説明

エッチング方法

【課題】エッチング液に含まれるインジウムイオン及びスズイオンの内、特にインジウムイオンの濃度を適切な濃度に維持することができるエッチング方法を提供する。
【解決手段】蓚酸を含むエッチング液Lが貯留された貯留槽11からノズル体16,17にエッチング液Lを供給して吐出させ、酸化インジウムスズ膜が形成された基板Kをエッチングするとともに、ノズル体16,17から吐出されたエッチング液Lを貯留槽11内に回収するエッチング工程と、貯留槽11内に貯留されたエッチング液Lをキレート剤が充填された吸着容器32,33内に通液させて、エッチングによりエッチング液Lに含まれるようになったインジウムイオン及びスズイオンを吸着,除去した後、貯留槽11内に還流させる金属除去工程とを含むエッチング方法において、貯留槽11内に貯留されるエッチング液Lのインジウムイオンの濃度を260ppm以下に維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓚酸を含むエッチング液を用いて、酸化インジウムスズ膜が形成された基板をエッチングするエッチング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ,液晶ガラス基板,フォトマスク用ガラス基板,光ディスク用基板といった各種基板を製造する工程では、これらの基板をエッチング液によってエッチングする工程がある。
【0003】
そして、このような工程を実施するためのエッチング装置として、従来、例えば、特開2000−96264号公報に開示されたものが知られている。このエッチング装置は、エッチング液を貯留する貯留槽と、エッチング液によって基板をエッチングするエッチング機構と、貯留槽内のエッチング液をエッチング機構に供給するとともに、供給したエッチング液を貯留槽内に回収して、貯留槽とエッチング機構との間でエッチング液を循環させるエッチング用循環機構とを備える。
【0004】
前記エッチング機構は、処理チャンバと、処理チャンバ内に配設され、基板を搬送する複数の搬送ローラと、処理チャンバ内に配設され、基板の上面に向けてエッチング液を吐出する複数のノズル体とを備え、前記エッチング用循環機構は、貯留槽と各ノズル体とを接続する供給管と、供給管を介して各ノズル体にエッチング液を供給する供給ポンプと、処理チャンバの底部と貯留槽とを接続する回収管とからなる。
【0005】
そして、このエッチング装置では、各ノズル体に供給された貯留槽内のエッチング液が、搬送ローラによって搬送される基板の上面に向けて吐出され、吐出されたエッチング液によって基板がエッチングされる。また、基板の上面に吐出されたエッチング液は、回収管により貯留槽内に回収される。
【0006】
ところで、エッチング対象となる基板が、例えば、上面に酸化インジウムスズ膜が形成された基板である場合、当該基板をエッチングすると、この酸化インジウムスズ膜を構成するインジウム及びスズがエッチング液に溶解する。このため、エッチング液を循環させて使用する上記エッチング装置では、貯留槽内のエッチング液に含まれるインジウム及びスズ(インジウムイオン及びスズイオン)の濃度が徐々に上昇して、エッチング速度が低下するという問題や、基板を高精度にエッチングすることができないという問題を生じる。
【0007】
それゆえ、上記エッチング装置では、貯留槽内のエッチング液を定期的に交換しなければならず、エッチング液の交換にかかる費用(使用済みエッチング液の廃棄費用や、新たなエッチング液の購入費用)によって処理コストが上昇する。また、エッチング液の交換作業中は、エッチング装置を稼働させることができず、このことによっても処理コストが高くなる。
【0008】
そこで、本願出願人は、エッチング液からインジウムイオン及びスズイオンを除去してこのエッチング液を再生可能となったエッチング装置を提案している(特開2008−252049号公報参照)。このエッチング装置は、上記構成に加え、インジウムイオン及びスズイオンを吸着するキレート剤が内部に充填された吸着塔と、貯留槽内のエッチング液を吸着塔内に通液させるとともに、通液後のエッチング液を貯留槽内に還流させて、貯留槽と吸着塔との間でエッチング液を循環させる除去用循環機構とを更に備える。
【0009】
そして、このようなエッチング装置では、貯留槽と吸着塔との間でエッチング液が循環することにより、吸着塔のキレート剤によってエッチング液中のインジウムイオン及びスズイオンが吸着,除去され、貯留槽内のエッチング液に含まれるインジウムイオン及びスズイオンの濃度上昇が抑えられるので、上記のような問題が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−96264号公報
【特許文献2】特開2008−252049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、本願発明者らは鋭意研究を重ねたところ、貯留槽と吸着塔との間でエッチング液を循環させて、エッチング液に含まれるインジウムイオン及びスズイオンを吸着,除去する場合であっても、特にインジウムイオンの濃度については、これを適切な濃度に管理しなければならないことが判明した。これは、インジウムイオンの濃度がある一定レベルを超えると、エッチング液中のインジウムとエッチング液中の蓚酸とが結合して蓚酸インジウムとして結晶化するからである。
【0012】
この結晶化は、エッチング液によって常時濡れているような部分では起こり難く、例えば、エッチング液が内部で吐出される処理チャンバに隣接し且つ内部空間が処理チャンバの内部空間と連通したチャンバ(隣接チャンバ)の内壁や、隣接チャンバ内に配設された基板搬送用ローラ、処理チャンバの基板搬入口又は基板搬出口を開閉するシャッタなどで蓚酸インジウムが析出する。より具体的には、基板の搬入時又は搬出時にシャッタが開くと、処理チャンバ内から基板搬入口又は基板搬出口を介し隣接チャンバ内にミスト状のエッチング液が流入して前記内壁,基板搬送用ローラ及びシャッタなどに付着し、付着したエッチング液中の水分は、隣接チャンバ内では処理チャンバ内のようにエッチング液が吐出されていないことから蒸発し易く、水分が蒸発すると、エッチング液中のインジウムイオンの濃度が高まり、過飽和となったインジウムが蓚酸インジウムとして析出する。また、一旦蓚酸インジウムが析出すると、これを核として結晶が成長する。
【0013】
このようにして、蓚酸インジウムが結晶化すると、基板搬送用ローラに付着した結晶によって基板が傷付けられたり、シャッタの動作不良が引き起こされる。また、蓚酸インジウムの結晶が、貯留槽内に回収されるエッチング液に落下すると、エッチング液とともに循環するため、循環するエッチング液からゴミなどの不純物を取り除くフィルタが詰まる原因にもなる。このような問題を防止するためには、前記内壁,基板搬送用ローラ及びシャッタなどに付着した結晶を除去したり、フィルタを交換すれば良いが、このようなメンテナンス作業を定期的に行うようにすると、当該エッチング装置の稼働効率が低下する。尚、蓚酸インジウムの結晶は、単なる蓚酸の結晶とは異なり、エッチング液中に落下しても溶解し難いため、結晶のままエッチング液に含まれる。
【0014】
このように、キレート剤によってエッチング液からインジウムイオン及びスズイオンを吸着,除去する場合であっても、インジウムイオンの濃度については、これを適切な濃度に管理する必要がある。
【0015】
本発明は、本願発明者らが鋭意研究を重ねた結果なされたものであり、エッチング液に含まれるインジウムイオン及びスズイオンの内、特にインジウムイオンの濃度を適切な濃度に維持することができるエッチング方法の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するための本発明は、
蓚酸を含むエッチング液が貯留された貯留槽から、処理チャンバ内に配置されたノズル体に前記エッチング液を供給し、このノズル体から吐出されるエッチング液によって、酸化インジウムスズ膜が形成された基板をエッチングするとともに、前記吐出されたエッチング液を前記処理チャンバから前記貯留槽内に回収するエッチング工程と、
前記貯留槽内に貯留されたエッチング液を、インジウムイオン及びスズイオンを吸着するキレート剤が内部に充填された吸着容器内に通液させ、エッチングによってエッチング液に含まれるようになったインジウムイオン及びスズイオンを吸着,除去するとともに、インジウムイオン及びスズイオンが吸着,除去されたエッチング液を前記貯留槽内に還流させる金属除去工程とを含むエッチング方法において、
前記金属除去工程では、前記貯留槽内に貯留されるエッチング液のインジウムイオンの濃度が260ppm以下に維持されるようにインジウムイオン及びスズイオンを吸着,除去するようにしたことを特徴とするエッチング方法に係る。
【0017】
このエッチング方法によれば、蓚酸を含むエッチング液によって、酸化インジウムスズ膜が形成された基板をエッチングするに当たり、貯留槽内のエッチング液を循環させつつノズル体から吐出させて基板をエッチングするエッチング工程と、貯留槽内のエッチング液を循環させつつ吸着容器内のキレート剤でエッチング液中のインジウムイオン及びスズイオンを吸着,除去する金属除去工程とを実施するが、前記金属除去工程では、前記貯留槽内のエッチング液に含まれるインジウムイオンの濃度が260ppm以下に維持されるようにインジウムイオン及びスズイオンを吸着,除去する。
【0018】
上述のように、特にインジウムイオンについては、その濃度が一定レベルを超えると、例えば、エッチング液が内部で吐出される処理チャンバに隣接し且つ内部空間が処理チャンバの内部空間と連通したチャンバ(隣接チャンバ)の内壁や、隣接チャンバ内に配設された基板搬送用ローラ、処理チャンバの基板搬入口又は基板搬出口を開閉するシャッタなどで蓚酸インジウムが結晶化し、基板搬送用ローラに付着した結晶によって基板が傷付けられたり、シャッタの動作不良が引き起こされたり、貯留槽内に回収されるエッチング液に落下して含まれるようになった蓚酸インジウムの結晶によって、循環するエッチング液からゴミなどの不純物を取り除くフィルタが詰まるという問題が生じ、また、このような問題を防止すべく、前記内壁,基板搬送用ローラ及びシャッタなどに付着した結晶を除去したり、フィルタを交換するようにすると、このようなメンテナンス作業のためにエッチングの処理効率が低下する。
【0019】
そこで、本願発明者らは種々の実験を重ねた結果、インジウムイオンの濃度(質量濃度)が260ppm以下であれば、前記内壁,基板搬送用ローラ及びシャッタなどで蓚酸インジウムが析出しないとの知見を得た。
【0020】
したがって、本発明では、貯留槽内のエッチング液に含まれるインジウムイオンの濃度が260ppm以下に維持されるようにインジウムイオン及びスズイオンを除去するようにした。これにより、蓚酸インジウムの析出を確実に防止することができる。このため、基板搬送用ローラに付着した結晶によって基板が傷付けられたり、シャッタの動作不良が引き起こされたり、貯留槽内に回収されるエッチング液に落下して含まれるようになった蓚酸インジウムの結晶によって、循環するエッチング液からゴミなどの不純物を取り除くフィルタが詰まるという問題が生じることもないし、前記内壁,基板搬送用ローラ及びシャッタなどに付着した結晶の除去やフィルタ交換といったメンテナンスを行う必要もない。
【0021】
尚、インジウムイオン濃度を260ppm以下に維持するためには、常時、貯留槽内のエッチング液を吸着容器内に通液させても良いし、貯留槽内のエッチング液を吸着容器内に通液させてインジウムイオン濃度が下がると、吸着容器内への通液を一旦停止するようにしても良く、吸着容器内への通液方法は何ら限定されるものではない。
【0022】
また、キレート剤は、一般的に、平衡濃度が高いほど平衡吸着量が多いという特性を備えており、平衡濃度及び平衡吸着量をインジウムイオンの吸着に関して説明すれば、平衡濃度とは、吸着容器内に通液させるエッチング液のインジウムイオン濃度に相当し、平衡吸着量とは、単位重量当たりのキレート剤によって吸着される最大インジウム量に相当する。
【0023】
したがって、吸着容器内に通液させるエッチング液のインジウムイオン濃度が高いほど、低いときよりも多くのインジウムイオンをキレート剤に吸着させることができ、キレート剤に吸着されたインジウムイオンが飽和状態に達するまでの基板処理枚数を多くすることができる。このような観点から、貯留槽内のエッチング液に含まれるインジウムイオンの濃度は、結晶物が生成されない260ppm以下の範囲でなるべく高い濃度にすることが好ましい。但し、インジウムイオン濃度が100ppm以上であれば、キレート剤に吸着されたインジウムイオンが飽和状態に達するまでの基板処理枚数を一定レベル以上確保することができるので、経済性が損なわれることはない。
【0024】
また、前記金属除去工程においては、前記吸着容器を少なくとも2つ用い、これらの各吸着容器のいずれか1つに対し選択的にエッチング液を通液させて、通液後のエッチング液を前記貯留槽内に還流させるようにしても良い。この場合、エッチング液の供給される吸着容器を、例えば、キレート剤に吸着されたインジウムイオン及び/又はスズイオンが略飽和状態に達したと判断したときに切り換えることで、キレート剤の吸着能力を一定に維持することができる。尚、エッチング液の供給される吸着容器が切り換えられてエッチング液の供給が停止された吸着容器のキレート剤は、これに吸着されたインジウム及びスズを溶離させる溶離液などを用いて適宜再生される。
【0025】
上述のように、蓚酸インジウムの結晶化は、エッチング液によって常時濡れているような部分では起こり難く、処理チャンバに隣接し且つ内部空間が処理チャンバの内部空間と連通したチャンバの内壁や、そのチャンバ内の構造体に付着したエッチング液中の水分が蒸発し、インジウムイオンの濃度が高まることによって、過飽和となったインジウムが蓚酸インジウムとして析出する。したがって、前記処理チャンバに隣接したチャンバの内壁と、このチャンバの内部に配設された構造体との内の少なくとも一方に、前記エッチング液又は純水をかけるようにすれば、前記付着したエッチング液の水分が蒸発してインジウムイオンの濃度が飽和濃度以上に高まるのを防止することができる。これにより、蓚酸インジウムが析出するのをより確実に防止することができる。尚、エッチング液又は純水は、定期的にかけるようにしても、不定期的にかけるようにしても、常時かけるようにしても良い。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明に係るエッチング方法によれば、基板のエッチングによってエッチング液に溶解したインジウム及びスズ(インジウムイオン及びスズイオン)の内、特にインジウムイオンを適切な濃度に維持することができるので、析出物が生成されるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係るエッチング方法を実施するためのエッチング装置の概略構成を示した構成図である。
【図2】平衡濃度と平衡吸着量との関係を示したグラフ(吸着等温線)である。
【図3】250ppm,200ppm,150ppm及び100ppmにインジウムイオン濃度を維持する場合の、貯留槽内に貯留されたエッチング液のインジウムイオン濃度と、基板のエッチング枚数との関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の具体的な実施形態について、添付図面に基づき説明する。尚、本実施形態では、図1に示すようなエッチング装置1を用い、蓚酸濃度(重量濃度)が3.4%のエッチング液Lによって、上面に酸化インジウムスズ膜が形成された基板Kをエッチングする場合を一例に挙げて説明する。
【0029】
まず、前記エッチング装置1について説明する。このエッチング装置1は、図1に示すように、エッチング液Lを貯留する貯留槽11と、エッチング液Lによって基板Kをエッチングするエッチング機構12と、貯留槽11とエッチング機構12との間でエッチング液Lを循環させるエッチング用循環機構20と、エッチング液Lに溶解したインジウム及びスズを吸着,除去する吸着機構31と、貯留槽11と吸着機構31との間でエッチング液Lを循環させる除去用循環機構34と、エッチング機構12,エッチング用循環機構20及び除去用循環機構34の作動を制御する制御装置28などから構成される。
【0030】
前記エッチング機構12は、閉塞空間を備えた処理チャンバ13と、処理チャンバ13内に配設され、基板Kを水平に支持して所定方向(矢示方向)に搬送する複数の搬送ローラ14と、処理チャンバ13内の上部に配設され、エッチング用循環機構20によって供給されたエッチング液Lが流通する流通管15と、流通管15に固設され、搬送ローラ14によって搬送される基板Kの上面に向けてエッチング液Lを吐出する複数のスプレーノズル体16と、処理チャンバ13内でスプレーノズル体16よりも基板搬送方向上流側に配設され、搬送ローラ14によって搬送される基板Kの上面に向けてエッチング液Lを吐出するスリットノズル体17と、処理チャンバ13内に配設された振り子式の基板検出センサ18などを備える。
【0031】
前記処理チャンバ13には、基板搬入口13a及び基板搬出口13bがそれぞれ形成されており、基板搬入口13aはシャッタ19によって開閉される。また、処理チャンバ13の底面には排出口13cが形成されており、この排出口13cから処理チャンバ13内のエッチング液Lが外部に排出される。
【0032】
また、前記エッチング機構12は、処理チャンバ13に隣接して基板搬送方向上流側及び下流側に配置されたチャンバ50,55を備える。前記チャンバ50の内部空間は前記基板搬入口13aに接続して処理チャンバ13の内部空間と連通しており、チャンバ50内には、前記搬送ローラ14が設けられる。
【0033】
前記チャンバ55の内部空間は前記基板搬出口13bに接続して処理チャンバ13の内部空間と連通しており、チャンバ55内には、前記搬送ローラ14と、搬送ローラ14によって搬送される基板Kの上面に向けてエアを吐出する2つのスリットノズル体56とが設けられる。また、チャンバ55には、シャッタ57によって開閉される基板搬出口55aと、チャンバ55内のエッチング液Lを外部に排出するための排出口55bとが形成されている。尚、スリットノズル体56には、供給部58から供給管59を介しエア及び純水のいずれか一方が切り換えられて供給されるようになっている。
【0034】
また、前記各チャンバ13,50,55には、図示しない供給源から供給される純水を、一部の搬送ローラ14、シャッタ19,57、チャンバ50,55の内壁及びスリットノズル体17,56の外面に向けて吐出するノズル体60が設けられている。また、基板検出センサ18の可動部には図示しない供給管を介して前記エッチング液Lが常時供給されるようになっている。
【0035】
前記エッチング用循環機構20は、一端側が貯留槽11に接続し、他端側が分岐して流通管15及びスリットノズル体17に接続した供給管21と、供給管21を介して流通管15内及びスリットノズル体17にエッチング液Lを供給する供給ポンプ22と、一端側が分岐して処理チャンバ13の排出口13c及びチャンバ55の排出口55bに接続し、他端側が貯留槽11に接続した回収管23などからなる。
【0036】
前記吸着機構31は、エッチング機構12でのエッチング処理によってエッチング液Lに溶解し、当該エッチング液Lに含まれるようになったインジウム及びスズ(インジウムイオン及びスズイオン)を吸着するキレート剤(図示せず)が内部に充填された少なくとも2つの吸着容器(第1吸着容器32及び第2吸着容器33)を備える。尚、前記キレート剤とは、インジウムイオン及びスズイオンといった金属イオンを吸着し、吸着された金属は特定の溶液によって溶離するという性質を備えたものである。また、前記キレート剤としては、少なくともインジウムイオン及びスズイオンを吸着可能なものであれば良く、特に限定されるものではない。
【0037】
前記除去用循環機構34は、一端側が貯留槽11に接続し、他端側が分岐して各吸着容器32,33に接続した供給管35と、供給管35を介して各吸着容器32,33の内部にエッチング液Lを供給する供給ポンプ36と、一端側が貯留槽11に接続し、他端側が分岐して各吸着容器32,33に接続した回収管37と、供給管35の他端側にそれぞれ設けられた第1供給側切換弁38及び第2供給側切換弁39と、回収管37の他端側にそれぞれ設けられた第1排出側切換弁40及び第2排出側切換弁41とからなる。
【0038】
この除去用循環機構34では、第1供給側切換弁38及び第1排出側切換弁40が開き、第2供給側切換弁39及び第2排出側切換弁41が閉じているときには第1吸着容器32に、第1供給側切換弁38及び第1排出側切換弁40が閉じ、第2供給側切換弁39及び第2排出側切換弁41が開いているときには第2吸着容器33にエッチング液Lが供給され、このようにして、貯留槽11内のエッチング液Lが供給管35を介して吸着容器32,33のいずれか一方に選択的に供給される。そして、この吸着容器32,33内を流通したエッチング液Lは、回収管37により貯留槽11内に回収される。
【0039】
前記制御装置28は、供給ポンプ22を制御して、貯留槽11とエッチング機構12との間でエッチング液Lを循環させる処理と、供給ポンプ36及び各切換弁38,39,40,41を制御して、貯留槽11と吸着容器32,33のいずれか一方との間でエッチング液Lを循環させる処理と、供給部58を制御して、エア及び純水のいずれか一方をスリットノズル体56に供給する処理とを実行する。
【0040】
次に、以上のように構成されたエッチング装置1を用い、複数の基板Kを連続的にエッチングする方法について説明する。尚、貯留槽11内には、インジウムイオン及びスズイオンが全く含まれていない新しいエッチング液Lが貯留されているものとする。
【0041】
まず、エッチング工程を行うが、このエッチング工程では、前工程から供給される基板Kがチャンバ50,処理チャンバ13及びチャンバ55内を順次通過して後工程に排出されるように搬送ローラ14により基板Kを所定方向に搬送する。また、貯留槽11に貯留されたエッチング液Lを、供給ポンプ22により各スプレーノズル体16及びスリットノズル体17に供給し、これらのノズル体16,17から基板Kの上面に向けて吐出させるとともに、基板Kの上面に向けて吐出させたエッチング液Lを、処理チャンバ13の排出口13cから回収管23内を流通させて貯留槽11内に回収する。更に、供給部58からスリットノズル体56にエアを供給して吐出させる。
【0042】
そして、基板Kは、処理チャンバ13内を通過する際に、各スプレーノズル体16及びスリットノズル体17から吐出されたエッチング液L(エッチング液L中の蓚酸)によってエッチングされ、このエッチングにより基板Kの酸化インジウムスズ膜がエッチング液Lに溶解して、循環するエッチング液Lにインジウムイオン及びスズイオンが含まれるようになる。また、基板Kがチャンバ55内を通過する際には、スリットノズル体56から吐出されたエアによって基板K上からエッチング液Lが取り除かれ、取り除かれたエッチング液Lはチャンバ55の排出口55bから回収管23を通って貯留槽11内に還流される。
【0043】
この後、酸化インジウムスズ膜が溶解することにより、循環するエッチング液L中のインジウムイオン及びスズイオンの濃度が上昇して一定濃度に達すると、金属除去工程を開始する。
【0044】
この金属除去工程では、貯留槽11に貯留されたエッチング液Lを、供給ポンプ36により供給管35を介して吸着容器32,33のいずれか一方に供給し、吸着容器32,33内を流通したエッチング液Lを、回収管37を介して貯留槽11内に回収する。このようにして、エッチング液Lに含まれるインジウムイオン及びスズイオンを吸着容器32,33内のキレート剤によって吸着,除去し、貯留槽11内のエッチング液Lに含まれるインジウムイオン及びスズイオンの濃度を一定濃度以下に抑える。
【0045】
尚、エッチング液L中のインジウムイオン及びスズイオンの濃度が一定濃度に達したか否かは、例えば、前記基板検出センサ18から得られる出力信号を基に、処理チャンバ13を通過した基板Kの枚数、即ち、エッチング機構12でエッチングされた基板Kの枚数を計数し、計数した枚数が予め設定された枚数(インジウムイオン及びスズイオンの濃度が前記一定濃度に達すると推定される枚数)になったか否かで判断することができる。また、前記一定濃度は、インジウムイオンについては100ppm以上260ppm以下の濃度(質量濃度)で任意に設定することができる。
【0046】
この後、エッチング液Lが供給される吸着容器32,33のキレート剤の吸着能力が低下し、貯留槽11内のエッチング液Lに含まれるインジウムイオン及びスズイオンの濃度を一定濃度以下に抑えることが困難になると、即ち、前記基板検出センサ18から得られる出力信号を基に、エッチング機構12でエッチングされた基板Kの枚数を計数して、計数した枚数が予め設定された枚数になり、キレート剤に吸着されたインジウムイオン及び/又はスズイオンが略飽和状態に達したと推定される枚数になると、エッチング液Lの供給される吸着容器32,33を切り換えてエッチング液Lを循環させる。
【0047】
以降、エッチング機構12でエッチングされた基板Kの枚数が予め設定された枚数になる度に(キレート剤に吸着されたインジウムイオン及び/又はスズイオンが略飽和状態に達したと推定される枚数になる度に)吸着容器32,33を交互に切り換えながら、貯留槽11に貯留されたエッチング液Lを吸着容器32,33のいずれか一方に供給する。
【0048】
このように、金属除去工程では、吸着容器32,33を交互に切り換えてキレート剤の吸着能力を一定に維持しながらエッチング液Lを循環させ、これにより、貯留槽11内のエッチング液Lに含まれるインジウムイオン及びスズイオンを一定濃度以下(インジウムイオンは100ppm以上260ppm以下)に維持する。
【0049】
尚、吸着容器32,33の切換でエッチング液Lの供給が停止された吸着容器32,33、即ち、使用済みの吸着容器32,33については、未使用(再生済み)の(キレート剤にインジウム及びスズが吸着されていない)吸着容器32,33と交換する。或いは、使用済みの吸着容器32,33内に、キレート剤に吸着されたインジウム及びスズを溶離させるための溶離液を通液させて、この溶離液にインジウム及びスズを溶離させた後、内部を洗浄するための洗浄液を通液させて、吸着容器32,33の内部に残存した溶離液を洗い流し、このようにして、吸着容器32,33を再使用可能にする(再生する)。
【0050】
また、基板検出センサ18の可動部には、供給管(図示せず)を介して貯留槽11内のエッチング液Lを常時供給し、定期的に,不定期的に又は常時、一部の搬送ローラ14、シャッタ19,57、チャンバ50,55の内壁及びスリットノズル体17,56の外面に向けてノズル体60から純水を吐出させるとともに、供給部58からスリットノズル体56に純水を供給する。このようにしているのは、エッチング液L中のインジウムとエッチング液L中の蓚酸とが結合して蓚酸インジウムとして結晶化するのを防止するためである。尚、スリットノズル体56に純水を供給する際には、純水が貯留槽11内に流入しないように、回収管23に設けられた図示しない弁が切り換えられて適宜回収部に回収される。
【0051】
ところで、特にインジウムイオンについては、その濃度が一定レベルを超えると、エッチング液L中のインジウムとエッチング液L中の蓚酸とが結合して蓚酸インジウムとして結晶化する。この結晶化は、エッチング液Lによって常時濡れているような部分では起こり難いものの、シャッタ19が開いた際に処理チャンバ13内から基板搬入口13aを介してチャンバ50内に流入したミスト状のエッチング液Lや、処理チャンバ13内から基板搬出口13bを介してチャンバ55内に流入したミスト状のエッチング液Lが付着するチャンバ50,55の内壁、チャンバ50,55内に配置された一部の搬送ローラ14、シャッタ19,57及びスリットノズル体56の外面などでは、付着したエッチング液L中の水分が蒸発してインジウムイオンの濃度が高まることにより、過飽和となったインジウムが蓚酸インジウムとして析出する。また、スリットノズル体17についても、その外面にミスト状のエッチング液Lが付着するため、上記と同様に蓚酸インジウムが析出する。更に、基板検出センサ18の可動部についても、これが基板Kの下側に配置され、エッチング液Lがさほどかからないことから乾燥し易く、蓚酸インジウムが析出し易い。そして、一旦蓚酸インジウムが析出すると、これを核として結晶が成長する。
【0052】
このようにして、蓚酸インジウムが結晶化すると、搬送ローラ14に付着した結晶によって基板Kが傷付けられたり、シャッタ19,57の動作不良や基板検出センサ18の誤検知が引き起こされたり、スリットノズル体56の開口部を塞いでエアが均一に吐出されず、液切り処理にムラが発生する。また、蓚酸インジウムの結晶が、貯留槽11内に回収されるエッチング液Lに落下すると、循環するエッチング液Lからゴミなどの不純物を取り除くフィルタが詰まる原因となる。その一方、このような問題を防止すべく、前記チャンバ50,55の内壁、チャンバ50,55内に配置された一部の搬送ローラ14、シャッタ19,57、スリットノズル体17,56の外面及び基板検出センサ18の可動部などに付着した結晶を除去したり、フィルタを交換するようにすると、このようなメンテナンス作業のためにエッチング装置1の稼働効率が低下する。尚、蓚酸インジウムの結晶は、単なる蓚酸の結晶とは異なり、エッチング液L中に落下しても溶解し難いため、結晶のままエッチング液に含まれる。
【0053】
そこで、本願発明者らは種々の実験を重ねた結果、インジウムイオンの濃度が260ppm以下であれば、前記チャンバ50,55の内壁、チャンバ50,55内に配置された一部の搬送ローラ14、シャッタ19,57、スリットノズル体17,56の外面及び基板検出センサ18の可動部などで蓚酸インジウムが析出しないとの知見を得た。
【0054】
したがって、本例のエッチング方法では、貯留槽11内のエッチング液Lに含まれるインジウムイオンの濃度が260ppm以下に維持されるように前記金属除去工程でエッチング液L中のインジウムイオン及びスズイオンを吸着,除去するようにした。これにより、蓚酸インジウムの析出を確実に防止することができる。このため、搬送ローラ14に付着した結晶によって基板Kが傷付けられたり、シャッタ19,57の動作不良や基板検出センサ18の誤検知が引き起こされたり、循環するエッチング液Lからゴミなどの不純物を取り除くフィルタが詰まったり、スリットノズル体56の開口部が塞がれて液切り処理にムラが発生するという問題が生じることもないし、前記チャンバ50,55の内壁、チャンバ50,55内に配置された一部の搬送ローラ14、シャッタ19,57、スリットノズル体17,56の外面及び基板検出センサ18の可動部などに付着した結晶の除去やフィルタ交換といったメンテナンスを行う必要もない。
【0055】
また、本例では、基板検出センサ18の可動部にエッチング液Lを供給し、一部の搬送ローラ14、シャッタ19,57、チャンバ50,55の内壁及びスリットノズル体17,56の外面に向けて純水を吐出しているので、これらの乾燥を防止して、蓚酸インジウムが析出するのをより確実に防止することができる。また、スリットノズル体56の内部に純水を供給することで、開口部に付着した蓚酸インジウムを洗い流して除去することもできる。
【0056】
尚、キレート剤は、一般的に、図2に示すような吸着特性を有することが知られている。この図2は、平衡濃度(mg/L)と平衡吸着量(mg/L)との関係を示したグラフ(吸着等温線)であり、平衡濃度及び平衡吸着量をインジウムイオンの吸着に関して説明すれば、平衡濃度とは、吸着容器32,33内に通液させるエッチング液Lのインジウムイオン濃度を示し、平衡吸着量とは、単位重量当たりのキレート剤によって吸着される最大インジウム量(mg/g)を示す。
【0057】
そして、この図2から分かるように、吸着容器32,33内に通液させるエッチング液Lのインジウムイオン濃度が高いほど、低いときよりも多くのインジウムイオンをキレート剤に吸着させることができる。したがって、貯留槽11内のエッチング液Lのインジウムイオン濃度は、260ppm以下の範囲でなるべく高い濃度にすることが好ましく、このようにすれば、キレート剤に吸着されたインジウムイオンが飽和状態に達するまでのエッチング枚数を多くして、吸着容器32,33の切換サイクルを長くすることができ、経済的である。
【0058】
一方、図3は、インジウムイオン濃度を、例えば、250ppm,200ppm,150ppm及び100ppmに維持した場合の、貯留槽11内に貯留されたエッチング液Lのインジウムイオン濃度と、基板Kのエッチング枚数との関係を求めたグラフである。この図示例では、エッチング工程を開始した後、貯留槽11内のインジウムイオン濃度が250ppm,200ppm,150ppm及び100ppmになったときに金属除去工程を開始し、吸着容器32,33を切り換えながらエッチング液Lを循環させて、貯留槽11内のインジウムイオン濃度を約250ppm,200ppm,150ppm及び100ppmに維持した。また、貯留槽11内のインジウムイオン濃度を250ppm,200ppm,150ppm及び100ppmに維持するときの、吸着容器32,33の切換サイクルは、それぞれ約9000枚,7950枚,6800枚及び5450枚であり、100ppmに維持したときは、250ppmに維持するときよりも約40%程度少なかった。
【0059】
この図3からも分かるように、貯留槽11内のエッチング液Lのインジウムイオン濃度が高いほど、キレート剤に吸着されたインジウムイオンが飽和状態に達するまでのエッチング枚数が多く、吸着容器32,33の切換サイクルが長い。しかしながら、貯留槽11内のインジウムイオン濃度を100ppmに維持した場合であっても、250ppmに維持するときの約60%程度の切換サイクルを確保することができており、許容可能なレベルにある。したがって、経済的な観点から言えば、貯留槽11内のエッチング液Lのインジウムイオン濃度はできるだけ高く維持することが好ましいが、インジウムイオン濃度が100ppm以上であれば、吸着容器32,33の切換サイクルを一定レベル以上に長くして、キレート剤の再生に要するコストを抑えることができる。
【0060】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の採り得る具体的な態様は、何らこれに限定されるものではない。
【0061】
上例では、エッチング液Lが供給される吸着容器32,33の切り換えを、基板Kのエッチング枚数で制御したが、これに限られるものではなく、エッチング液Lの供給される吸着容器32,33を所定の時間間隔で、即ち、キレート剤に吸着されたインジウムイオン及び/又はスズイオンが略飽和状態に達すると推定される時間間隔で切り換えても良いし、貯留槽11に貯留されたエッチング液Lのインジウムイオン濃度及び/又はスズイオン濃度を測定して、測定した濃度を基に吸着容器32,33を切り換えても良い。
【0062】
また、吸着容器32,33内にエッチング液Lを通液させる態様は、上述した態様に限定されず、どのようなものであっても良い。例えば、上例では、金属除去工程開始後、常時、貯留槽11内のエッチング液Lを吸着容器32,33内に通液させたが、インジウムイオン濃度及びスズイオンスズ濃度が下がると、再びインジウムイオン濃度及びスズイオンスズ濃度が一定濃度に達するまで、吸着容器32,33内への通液を一旦停止するようにしても良い。
【符号の説明】
【0063】
1 エッチング装置
11 貯留槽
12 エッチング機構
13 処理チャンバ
14 搬送ローラ
16 スプレーノズル体
17 スリットノズル体
20 エッチング用循環機構
21 供給管
22 供給ポンプ
23 回収管
31 吸着機構
32 第1吸着容器
33 第2吸着容器
34 除去用循環機構
35 供給管
36 供給ポンプ
37 回収管
50 チャンバ
55 チャンバ
56 スリットノズル体
K 基板
L エッチング液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓚酸を含むエッチング液が貯留された貯留槽から、処理チャンバ内に配置されたノズル体に前記エッチング液を供給し、このノズル体から吐出されるエッチング液によって、酸化インジウムスズ膜が形成された基板をエッチングするとともに、前記吐出されたエッチング液を前記処理チャンバから前記貯留槽内に回収するエッチング工程と、
前記貯留槽内に貯留されたエッチング液を、インジウムイオン及びスズイオンを吸着するキレート剤が内部に充填された吸着容器内に通液させ、エッチングによってエッチング液に含まれるようになったインジウムイオン及びスズイオンを吸着,除去するとともに、インジウムイオン及びスズイオンが吸着,除去されたエッチング液を前記貯留槽内に還流させる金属除去工程とを含むエッチング方法において、
前記金属除去工程では、前記貯留槽内に貯留されるエッチング液のインジウムイオンの濃度が260ppm以下に維持されるようにインジウムイオン及びスズイオンを吸着,除去するようにしたことを特徴とするエッチング方法。
【請求項2】
前記金属除去工程では、前記貯留槽内に貯留されるエッチング液のインジウムイオンの濃度が100ppm以上に維持されるようにインジウムイオン及びスズイオンを吸着,除去するようにしたことを特徴とする請求項1記載のエッチング方法。
【請求項3】
前記金属除去工程では、前記吸着容器を少なくとも2つ用い、これらの各吸着容器のいずれか1つに対し選択的にエッチング液を通液させて、通液後のエッチング液を前記貯留槽内に還流させるようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載のエッチング方法。
【請求項4】
前記処理チャンバに隣接し且つ内部空間が前記処理チャンバの内部空間と連通したチャンバの内壁と、このチャンバの内部に配設された構造体との内の少なくとも一方には、前記エッチング液又は純水をかけるようにしたことを特徴とする請求項1乃至3記載のいずれかのエッチング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−166006(P2011−166006A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28756(P2010−28756)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000183369)住友精密工業株式会社 (336)
【Fターム(参考)】