説明

エッチング残渣を除去するための組成物基板及びその使用

【課題】基板からフォトレジスト及びエッチング残渣を選択的に除去できる組成物であって、上記組成物に対して同様に露出している可能性のある金属に破壊的化学作用を及ぼさない組成物を提供することを課題とする、また、極微量の酸化シリコンを呈し、一般的に絶縁体に対するエッチング速度の低い組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、フォトレジスト及びエッチング残渣を除去するのに適切な組成物であって、a)少なくとも約50重量%の、テトラフルフリルアルコール、ジアセトンアルコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びアルキレングリコールエーテルからなる群より選択される溶媒;b)約0.005〜約0.8重量%のフッ素ソース;c)上限約49.9重量%の水;及び、d)上限約20重量%の腐食抑制剤を含むことを特徴とする組成物を含む。また、本発明は、基板からフォトレジスト及び/又はエッチング残渣を除去する方法であって、上記の組成物と基板を接触させることを含むことを特徴とする方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の微細構造からのエッチング残渣の選択的な除去に関する。本発明は、残渣除去用組成物に対して露出している金属及び/又は二酸化シリコン膜に破壊的化学作用を及ぼさずに、残渣を選択的に除去する。また、本発明は、エッチング残渣を除去するのに適切な特定の洗浄組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
超小型電子構造の製作には多くの段階が含まれる。集積回路の製作過程には、半導体表面の選択的なエッチングが必要な場合がある。従来、物質を選択的に除去するために、非常に多くの様々なエッチング加工が様々な程度で使用されてきた。また、超小型電子構造中の異なる層の選択的なエッチングは、集積回路製作過程において非常に重要な段階であると考えられている。
【0003】
リアクティブイオンエッチング(RIE)は、ビア、金属線及び溝形成時にパターン転写する際の工程として選択されることが増えてきた。例えば、内部配線のバックエンドに多層膜を要する高性能のDRAMSやマイクロプロセッサー等の複合半導体デバイスでは、ビア、金属線及び溝構造の製造にRIEを使用している。ビアにより、シリコン、シリサイド又は金属配線の面とその次の配線の面とが層間絶縁体を介して接触する。金属線は伝導性の構造物で、デバイスの配線に使用する。溝構造は、金属線構造の形成において使用される。ビア、金属線及び溝構造では、一般的に、Al、AlCu、Cu、Ti、TiN、Ta、TaN、W、TiW、シリコン又は(タングステン、チタン又はコバルトのシリサイド等の)シリサイド等の金属及び合金が露出している。一般的に、RIE工程においては、再度スパッタされた酸化物と、(ビア、金属線及び/又は溝構造をパターン転写するために使用するフォトレジスト及び反射防止膜に由来する)有機物である可能性のある物質とを含む可能性のある(複合混合物の)残渣が残る。
【0004】
従って、残ったフォトレジスト、及び、一般的にはプラズマ(特にはRIE)による選択的エッチングによって生成した残渣を除去できる選択的洗浄物質及び工程の取得が望まれるであろう。また、フォトレジスト及びエッチング残渣を除去できる選択的洗浄組成物及び工程であって、(上記洗浄組成物に対して同様に露出している可能性のある)金属、シリコン、シリサイド及び/又は(堆積酸化物等の)層間絶縁体物質に対するよりも高い選択性を有する選択的洗浄組成物及び工程の取得が望まれるであろう。また、HSQ、MSQ、FOx、black diamond(これらは化学的に識別可能であろうか)及びTEOS(ケイ酸テトラエチル)等の耐性の低い低誘電率膜と適合でき、かつ、これらと共に使用できる組成物の取得が特に望まれるであろう。
【0005】
しかしながら、フッ化物を含有する剥離剤は通常、HSQ及びポーラスMSQ膜等の耐性の低い低誘電率膜に対するダメージが大きすぎる。
【0006】
例えば、ホルムアミドは良好なプロトン性溶媒ではあるが、ホルムアミドを含有する調製物はFOx(R)膜との適合性が低いということが分かった。非特許文献1を参照のこと。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Parker,Advances in Organic Chemistry,5,1(1965)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の要約
本発明は、基板からフォトレジスト及びエッチング残渣を選択的に除去できる組成物であって、上記組成物に対して同様に露出している可能性のある金属に破壊的化学作用を及ぼさない組成物を提供する。また、本発明は、極微量の酸化シリコンを呈し、一般的に絶縁体に対するエッチング速度の低い組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
フォトレジスト及びエッチング残渣を除去するのに適切な組成物であって、
a)少なくとも約50重量%の、テトラフルフリルアルコール、ジアセトンアルコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びアルキレングリコールエーテルからなる群より選択される溶媒;
b)約0.005〜約0.8重量%のフッ素ソース;
c)上限約49.9重量%の水;及び、
d)上限約20重量%の腐食抑制剤を含む
ことを特徴とする組成物に関する。
【0010】
前記フッ素ソースは、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、フッ化第4級アンモニウム、フルオロホウ酸塩、フルオロホウ酸、フッ化スズ(II)、フッ化アンチモン、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、ヘキサフルオロアルミニウム、及び、脂肪族の第1、第2又は第3アミンのフッ化物塩からなる群より選択され、前記フッ化物塩は次の式:
N(R)R
式中、R、R及びRはそれぞれ、H又はアルキル基を表わす:
を有する
ことが好ましい。
【0011】
前記フッ素ソースは、フッ化アンモニウム又はフッ化テトラメチルアンモニウムを含む
ことが好ましい。
【0012】
前記溶媒はテトラフルフリルアルコールを含む
ことが好ましい。
【0013】
前記溶媒はジアセトンアルコールを含む
ことが好ましい。
【0014】
前記腐食抑制剤はヒドロキシルアミンを含む
ことが好ましい。
【0015】
前記ヒドロキシルアミンはジエチルヒドロキシルアミンを含む
ことが好ましい。
【0016】
前記溶媒の量は約50重量%〜約75重量%であり、
前記フッ素ソースは約0.05〜約0.5重量%であり、前記水は約25〜約35重量%である
ことが好ましい。
【0017】
前記腐食抑制剤の量は約0.5〜約20重量%である
ことが好ましい。
【0018】
前記腐食抑制剤の量は約10〜約14重量%である
ことが好ましい。
【0019】
有機カルボン酸を含まない
ことが好ましい。
【0020】
また、本発明は、
基板(substract)からフォトレジスト又はエッチング残渣又はその両方を除去する方法であって、
a)少なくとも約50重量%の、テトラフルフリルアルコール(tetrofurfuryl alcohol)、ジアセトンアルコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びアルキレングリコールエーテルからなる群より選択される溶媒;
b)約0.005〜約0.8重量%のフッ素ソース;
c)上限約49.9重量%の水;及び、
d)上限約20重量%の腐食抑制剤
を含む組成物と前記基板を接触させることを含む
ことを特徴とする方法に関する。
【0021】
前記フッ素ソースは、フッ化水素酸、フッ化第4級アンモニウム、フルオロホウ酸塩、フルオロホウ酸、フッ化スズ(II)、フッ化アンチモン、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、ヘキサフルオロアルミニウム、及び、脂肪族の第1、第2又は第3アミンのフッ化物塩からなる群より選択され、前記フッ化物塩は次の式:
N(R)R
式中、R、R及びRはそれぞれ、H又はアルキル基を表わす:
を有する
ことが好ましい。
【0022】
前記フッ素ソースは、フッ化アンモニウム又はフッ化テトラメチルアンモニウムを含む
ことが好ましい。
【0023】
前記溶媒はテトラフルフリルアルコールを含む
ことが好ましい。
【0024】
前記溶媒はジアセトンアルコールを含む
ことが好ましい。
【0025】
前記腐食抑制剤はヒドロキシルアミンを含む
ことが好ましい。
【0026】
前記ヒドロキシルアミンはジエチルヒドロキシルアミンを含む
ことが好ましい。
【0027】
前記溶媒の量は約50重量%〜約75重量%であり、
前記フッ素ソースは約0.05〜約0.5重量%であり、前記水は約25〜約35重量%である
ことが好ましい。
【0028】
前記腐食抑制剤の量は約0.5〜約20重量%である
ことが好ましい。
【0029】
前記腐食抑制剤の量は約10〜約14重量%である
ことが好ましい。
【0030】
前記組成物は有機カルボン酸を含まない
ことが好ましい。
【0031】
前記基板は、金属、シリコン、シリケート及び層間絶縁体物質からなる群より選択される物質を更に含む
ことが好ましい。
【0032】
前記層間絶縁体物質は酸化シリコンを含む
ことが好ましい。
【0033】
前記金属は、銅、銅合金、チタン、窒化チタン、タンタル、窒化タンタル、タンタル、窒化タンタル、アルミニウム及び/又はアルミニウム合金からなる群より選択される
ことが好ましい。
【発明の効果】
【0034】
本発明によって、特定の選択された有機溶媒を剥離剤調製物中に使用することによって、低誘電率材料と適合できるフッ化物含有剥離剤を調製できることが分かった。本発明において、特定のプロトン性極性溶媒を選択することによって、耐性の低い低誘電率膜に対するダメージがより小さいであろう、フッ化物含有剥離剤を調製する試みがなされた。これらの調製物において、主要な溶媒としてプロトン性極性溶媒を選択した。本発明中においてフッ化物イオンの攻撃性を減少させることができる溶媒を選択した結果、本発明における調製物は、FOx(R)及びポーラスJSR等と非常に良好に適合できる。
【0035】
本発明の組成物は、良好な洗浄力を維持しながら、FOx(R)等の耐性の低い低誘電率膜及びポーラス低誘電率誘電体と良好に適合できる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
より具体的には、本発明は、
フォトレジスト及びエッチング残渣を除去するのに適切な組成物であって、
a)少なくとも約50重量%の、テトラフルフリルアルコール、ジアセトンアルコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びアルキレングリコールエーテルからなる群より選択される溶媒;
b)約0.005〜約0.8重量%のフッ素ソース;
c)上限約49.9重量%の水;及び、
d)上限約20重量%の腐食抑制剤を含む
ことを特徴とする組成物
に関する。
【0037】
また、本発明は、
基板からフォトレジスト及び/又はエッチング残渣を除去する方法であって、
上記に開示された組成物と基板を接触させることを含む
ことを特徴とする方法
にも関する。
【0038】
本発明の他の目的及び利点は、以下の詳細な記載によって当業者には容易に明らかとなるであろう。本記載中では、本発明を実施するにあたり熟考された最良の形態を単に例解し、これによって本発明の好ましい実施形態のみを示し、記載している。また、本発明はその他の異なる実施形態も実施可能であること、及び、そのいくつかの詳細については、本発明の範囲内において、関連が明白な様々な改変が可能であることも理解されるであろう。従って、本記載は事実上の実例であって、限定を加えるものではないと見なされる。
【0039】
本発明の実施における最良で多様な態様
本発明は、フォトレジスト及び/又はエッチング残渣、特にリアクティブイオンエッチングによって生じた残渣の選択的な除去に関する。また、フォトレジスト及び/又はエッチング残渣は、金属、シリコン、シリケート、並びに/又は、堆積した酸化シリコン及び酸化シリコン誘導体(HSQ、MSQ、FOX、TEOS及びSOG等)等の層間絶縁体物質を含む物質中に存在する。上記フォトレジスト及び/又は残渣、並びに、金属、シリコン、シリケート及び/又は層間絶縁体物質は共に、洗浄組成物と接触するであろう。本発明によれば、金属、シリコン、二酸化シリコン及び層間絶縁体物質に有意な破壊的化学作用を及ぼさずに、フォトレジスト及び/又はエッチング後の残渣を選択的に除去できる。金属とは、一般的に、銅、銅合金、チタン、窒化チタン、タンタル、窒化タンタル、タングステン、チタン/タングステン、アルミニウム及び/又はアルミニウム合金である。本発明は、耐性の低い低誘電率膜を含む構造物に対して特に有利である。本発明によって除去される残渣は、リアクティブイオンエッチングによって生成したものが好ましい。
【0040】
本発明の組成物は、テトラフルフリルアルコール、ジアセトンアルコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びアルキレングリコールエーテルからなる群より選択される少なくとも一種の有機溶媒を少なくとも約50重量%、好ましくは約50〜約80%、最も好ましくは約50〜約70重量%含む。好ましい溶媒は、テトラフルフリルアルコール(tetrofurfuryl alcohol)及びジアセトンアルコールである。適切なアルキレングリコールエーテルとしては、ジ(エチレングリコール)ブチルエーテル及びプロピレングリコールメチルエーテルが含まれる。
【0041】
また、本発明の組成物はフッ素イオンソースを一般的に約0.005〜約0.8重量%、好ましくは約0.05〜約0.5重量%含む。
【0042】
本発明によるフッ素イオンソースを提供する典型的な化合物は、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、(フッ化テトラメチルアンモニウム及びフッ化テトラブチルアンモニウム等の)フッ化第4級アンモニウム、フルオロホウ酸塩、フルオロホウ酸、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、並びに、ヘキサフルオロアルミニウムである。また、脂肪族の第1、第2又は第3アミンのフッ化物塩も使用できる。これらは次の式を有する。
N(R)R
式中、R、R及びRはそれぞれ、H又はアルキル基を表わす。
【0043】
一般的に、R、R及びR中の炭素原子の総数は12以下である。好ましいフッ化化合物はフッ化アンモニウム及びフッ化テトラメチルアンモニウムである。
【0044】
また、本発明の組成物は、上限約49.9重量%、好ましくは約25〜35重量%の水を含むことができる。水は脱イオン水であることが好ましい。
【0045】
また、本発明の組成物は、特に組成物が銅等の金属と接触している場合に、上限約20重量%、より一般的には約0.2〜約19重量%の腐食抑制剤を任意に含むことができる。腐食抑制剤の例としては、カテコール、没食子酸、ベンゾトリアゾール、レゾルシノール、その他のフェノール、酸又はトリアゾール、好ましくはヒドロキシルアミン又はその酸性塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0046】
好ましいヒドロキシルアミンは、ジエチルヒドロキシルアミン及びその乳酸塩である。通常、ヒドロキシルアミンは、腐食性があるために、銅と適合できるとは考えられない。しかしながら、本発明の組成物において、それらは予想外にも銅の腐食を抑制する。
【0047】
本発明の組成物のpHは、一般的には約2〜約6.5、好ましくは約4.5〜約6.5である。
【0048】
本発明の組成物は、HSQ(FOx)、MSQ、SiLK等の低誘電率膜と適合できる。また、上記調製物は、フォトレジスト、並びに、有機残渣、有機金属残渣、無機残渣、金属酸化物又はフォトレジスト複合体等のプラズマエッチング残渣を、アルミニウム、銅又はチタンを含有する基板をほとんど腐食することなしに、低温で剥離するのに有効である。
【0049】
製造工程において、フォトレジスト層を基板上にコートする。フォトリソグラフィー法を使用して、フォトレジスト層上にパターンを定める。このようにして、パターンを形成したフォトレジスト層をプラズマエッチングに供することによって、パターンを基板に移す。エッチング段階においてエッチング残渣が生成する。本発明中で使用する基板は、アッシングするものもあればしないものもある。基板をアッシングする場合、洗浄するべき主な残渣はエッチング液残渣である。基板をアッシングしない場合は、洗浄又は剥離するべき主な残渣はエッチング残渣とフォトレジストの両方である。
【実施例】
【0050】
以下の実施例によって本発明を更に説明するが、これらは制限を加えるものではない。
【0051】
以下に示す実施例A〜Zは、本発明の適切な組成物の例証である。
【0052】
【表1】

【0053】
上記の組成物は、アルミニウム線及び銅線及びビアからエッチング残渣及びフォトレジストを洗浄及び剥離するのに有効である。また、上記組成物は、低誘電率材料及び超低誘電率材料からのエッチング残渣及びフォトレジストの除去においても有効であった。これらは、低誘電率材料及び超低誘電率材料と適合できる。
【0054】
以下の実施例A1〜A6において、ポジ型フォトレジストを基板上にスピンコートする。上記ポジ型フォトレジストは、ジアゾナフトキノン及びノボラック樹脂を含む。コートしたフォトレジストを90秒間90℃で焼く。パターンを書き込んだマスクを通してi線(365nm)に露光し、その後に現像することによって、フォトレジスト上にパターンを定める。その後、パターンをプラズマエッチングによって低誘電率基板に移す。実施例A1〜A6中に示す組成物を使用して、フォトレジスト残渣及びエッチング残渣を除去する。
【0055】
【表2】

【0056】
上述の実施例から抜粋したものについてのより詳細な考察を以下に示す。
【0057】
<実施例A>
実施例Aの組成物は、ジアセトンアルコール59.25重量%、フッ化アンモニウム0.3重量%及びイオン交換水40.45重量%からなる。実施例Aは、低誘電率基板及び金属基板からエッチング残渣及びフォトレジストを除去するための洗浄用及び剥離用組成物である。
【0058】
<実施例C>
実施例Cの組成物は、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール59.25重量%、フッ化アンモニウム0.3重量%及びイオン交換水40.45重量%からなる。実施例Cは、低誘電率及び金属線及びビアからエッチング残渣及びフォトレジストを除去するための洗浄用及び剥離用組成物である。
【0059】
<実施例H>
実施例Hの組成物は、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール49.25重量%、フッ化アンモニウム0.3重量%、イオン交換水45.45重量%及びレゾルシノール5重量%からなる。この組成物は、アルミニウム銅基板上のエッチング残渣及びフォトレジストの除去を目的として設計したものである。
【0060】
<実施例V>
実施例Vの組成物は、テトラヒドロフルフリルアルコール60重量%、フッ化アンモニウム0.4重量%、イオン交換水25.6重量%及びグリセリン14重量%からなる。また、この組成物は、低誘電率及び金属線及びビアからエッチング残渣及びフォトレジストを洗浄及び剥離するのに有効である。
【0061】
<実施例A1>
実施例A1の組成物は、プロピレングリコールメチルエーテル63重量%、イオン交換水22.6重量%、フッ化アンモニウム0.8重量%、プロピレングリコール10重量%、ジエチルヒドロキシルアミン1.8重量%及び乳酸1.8重量%からなる。実施例Hは、低誘電率及び金属線及びビアからエッチング残渣及びフォトレジストを除去するための洗浄用及び剥離用組成物である。
【0062】
<実施例A3>
実施例A3の組成物は、テトラヒドロフルフリルアルコール65重量%、イオン交換水15.72重量%、フッ化アンモニウム0.48重量%、グリセリン15.8重量%及びクエン酸アンモニウム3重量%からなる。実施例A3は、低誘電率及び金属線及びビアからエッチング残渣及びフォトレジストを除去するための洗浄用及び剥離用組成物である。
【0063】
<実施例A4>
実施例A4の組成物は、プロピレングリコールメチルエーテル35.5重量%、プロピレングリコールプロピルエーテル20重量%、イオン交換水25.9重量%、フッ化アンモニウム0.6重量%、プロピレングリコール14重量%、ジエチルヒドロキシルアミン2重量%及び乳酸2重量%からなる。実施例A4は、低誘電率及び金属線及びビアからエッチング残渣及びフォトレジストを除去するための洗浄用及び剥離用組成物である。
【0064】
<実施例A5>
実施例A5の組成物は、プロピレングリコールメチルエーテル30.5重量%、プロピレングリコールプロピルエーテル15重量%、イオン交換水25.9重量%、フッ化アンモニウム0.6重量%、プロピレングリコール14重量%及びジエチルヒドロキシルアミン14重量%からなる。実施例A5は、低誘電率及び金属線及びビアからエッチング残渣及びフォトレジストを除去するための洗浄用及び剥離用組成物である。
【0065】
<実施例A6>
実施例A6の組成物は、トリ(プロピレングリコール)メチルエーテル30.5重量%、プロピレングリコールプロピルエーテル15重量%、イオン交換水25.9重量%、フッ化アンモニウム0.6重量%、プロピレングリコール14重量%及びジエチルヒドロキシルアミン14重量%からなる。実施例A6は、低誘電率及び金属線及びビアからエッチング残渣及びフォトレジストを除去するための洗浄用及び剥離用組成物である。
【0066】
表中の実施例は全てフォトレジスト、エッチング残渣及びアッシング残渣の剥離及び洗浄において非常に有効である。工程中の温度は40℃を超えてはならず、上記の実施例は全て、槽洗浄工程、スプレーツール及び枚葉方式用ツールにおいて使用できる。
【0067】
前述の本発明の記載は、本発明を説明して記載している。また、上記の開示は、本発明の好ましい実施形態のみを示して記載している。しかしながら、上述するように、上記以外の様々な組み合わせ、改変及び環境において本発明を使用でき、また、本明細書中に記載する本発明の概念の範囲内において、上述の教示及び/又は関連する技術の技能若しくは知識に従って適切に変更又は改変できることを理解しなければならない。上記に記載する実施形態は、本発明の実施について知られている最良の形態を説明すること、及び、他の当業者が本発明を上記(又はそれ以外)の実施形態において、特定の用途又は本発明の使用において要求される様々な改変を加味して利用するのを可能にすることを更に意図するものである。従って、本記載は、本発明を本明細書中に開示する形態に限定することを意図するものではない。また、付随の特許請求の範囲が他の実施形態を含むと解釈されることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトレジスト残渣、エッチング残渣及びその混合物からなる群より選択される少なくとも1種類の残渣からなる残渣を除去するための組成物であって、
a)50〜80重量%のアルキレングリコールエーテルを含む有機溶媒;
b)プロピレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、ポリビニルアルコール(PVA)、乳酸エチル及びN,N−ジメチルアセトアミドからなる群より選択される少なくとも1種類の溶媒;
c)フッ素ソース;
d)上限49.9重量%の水;及び
e)任意で上限20重量%の腐食抑制剤
を含む
ことを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記フッ素ソースは、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、フッ化第4級アンモニウム、フルオロホウ酸塩、フルオロホウ酸、フッ化スズ(II)、フッ化アンチモン、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、ヘキサフルオロアルミニウム、及び、脂肪族の第1、第2又は第3アミンのフッ化物塩からなる群より選択され、前記脂肪族の第1、第2又は第3アミンは次の式:
N(R)R
式中、R、R及びRはそれぞれ、H又はアルキル基を表わす:
を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記フッ素ソースは、フッ化アンモニウムを含む
ことを特徴とする請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記フッ素ソースは、脂肪族の第1、第2又は第3アミンのフッ化物塩からなり、前記脂肪族の第1、第2又は第3アミンは次の式:
N(R)R
式中、R、R及びRはそれぞれ、H又はアルキル基を表わす:
ことを特徴とする請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記溶媒はプロピレングリコールを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記溶媒はエチレングリコールを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記溶媒はグリセリンを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記溶媒はポリビニルアルコールを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記溶媒はN,N−ジメチルアセトアミドを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
腐食抑制剤を更に含む
ことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記腐食抑制剤はヒドロキシルアミンを含む
ことを特徴とする請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記腐食抑制剤は酸を更に含む
ことを特徴とする請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記腐食抑制剤は乳酸を含む
ことを特徴とする請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
フォトレジスト残渣、エッチング残渣及びその混合物からなる群より選択される少なくとも1種類の残渣からなる残渣を除去するための組成物であって、
a)50〜80重量%のアルキレングリコールエーテルを含む有機溶媒;
b)プロピレングリコール及びグリセリンより選択される少なくとも1種類の溶媒;
c)0.005−0.8重量%のフッ素ソース;
d)上限49.9重量%の水;及び
e)上限20重量%の腐食抑制剤
を含む
ことを特徴とする組成物。
【請求項15】
前記腐食抑制剤はヒドロキシルアミンを含む
ことを特徴とする請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記腐食抑制剤は酸を更に含む
ことを特徴とする請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記腐食抑制剤は乳酸を含む
ことを特徴とする請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
前記溶媒はプロピレングリコールを含む
ことを特徴とする請求項14に記載の組成物。
【請求項19】
前記溶媒はグリセリンを含む
ことを特徴とする請求項14に記載の組成物。
【請求項20】
フォトレジスト残渣、エッチング残渣及びその混合物からなる群より選択される少なくとも1種類の残渣からなる残渣を除去するための方法であって、
a)50〜80重量%のアルキレングリコールエーテルを含む有機溶媒;
b)プロピレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、ポリビニルアルコール(PVA)、乳酸エチル及びN,N−ジメチルアセトアミドからなる群より選択される少なくとも1種類の溶媒;
c)フッ素ソース;
d)上限49.9重量%の水;及び
e)任意で上限20重量%の腐食抑制剤
を含む組成物と基板を接触させることを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項21】
前記フッ素ソースは、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、フッ化第4級アンモニウム、フルオロホウ酸塩、フルオロホウ酸、フッ化スズ(II)、フッ化アンチモン、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、ヘキサフルオロアルミニウム、及び、脂肪族の第1、第2又は第3アミンのフッ化物塩からなる群より選択され、前記脂肪族の第1、第2又は第3アミンは次の式:
N(R)R
式中、R、R及びRはそれぞれ、H又はアルキル基を表わす:
を有する
ことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記フッ素ソースは、フッ化アンモニウムを含む
ことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記フッ素ソースは、脂肪族の第1、第2又は第3アミンのフッ化物塩からなり、前記脂肪族の第1、第2又は第3アミンは次の式:
N(R)R
式中、R、R及びRはそれぞれ、H又はアルキル基を表わす:
ことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記溶媒はプロピレングリコールを含む
ことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記溶媒はエチレングリコールを含む
ことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記溶媒はグリセリンを含む
ことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記溶媒はポリビニルアルコールを含む
ことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記溶媒はN,N−ジメチルアセトアミドを含む
ことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項29】
腐食抑制剤を更に含む
ことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項30】
前記腐食抑制剤はヒドロキシルアミンを含む
ことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記腐食抑制剤は酸を更に含む
ことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記腐食抑制剤は乳酸を含む
ことを特徴とする請求項31に記載の方法。

【公開番号】特開2013−92776(P2013−92776A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−251510(P2012−251510)
【出願日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【分割の表示】特願2009−261187(P2009−261187)の分割
【原出願日】平成15年9月26日(2003.9.26)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】