説明

エッチング液

【課題】本発明は、熱酸化膜とSOD膜とを、同じか又は近いエッチングレートでエッチングし、かつPoly−Si膜をほとんどエッチングしないエッチング液を提供すること、より具体的には、熱酸化膜及びSOD膜の23℃でのエッチングレートがいずれも50Å/分以下であり、SOD膜/熱酸化膜のエッチングレート比が1.25以下であり、かつ熱酸化膜を75ÅエッチングしたときにPoly−Si膜のエッチング量が10Å以下となるエッチング液を提供することを目的とする。
【解決手段】
(1)エッチング液全体に対して99重量%以上のトリプロピレングリコールモノメチルエーテル、
(2)エッチング液全体に対して0.4重量%以下の水、
(3)フッ化水素、及び
(4)ヒドロキシルアミン、及びアンモニアから選択される1種又は2種のアミン
からなるエッチング液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッチング液等に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造におけるリセスゲート(recess gate)またはコンタクトホール(contact hole)の形成などにおいては、適切な形状のゲートまたはホールを形成し、CD(critical dimension)損失を最小化するため、しばしば、熱酸化(THOX; thermal oxide)膜とSOD膜(Spin-on dielectric film)を同じか又は近いエッチングレートでエッチングする事が求められる。この際、エッチングの対象ではない物質(例、Poly−Si膜、リセス領域が形成されるシリコン基板)はほとんどエッチングされない事が、CD損失の最小化の観点で望ましい。また、実質的にシリコン基板のエッチング量を直接測定するのは困難な場合が多いので、シリコン基板のエッチング量は、これと相関し試験的測定が容易なPoly−Si膜のエッチング量を用いて表示するのが一般的である。すなわち、Poly−Si膜のエッチング量が少ないということはシリコン基板のエッチング量が少ないということを示し得る。
【0003】
その一例として、超微細プロセス用に、熱酸化膜とSOD膜とを、同じか又は近いエッチングレートでエッチングし、かつPoly−Si膜や、シリコン基板をほとんどエッチングしないエッチング液が求められている。より具体的には、例えば、熱酸化膜及びSOD膜の23℃でのエッチングレートがいずれも50Å/分以下であり、SOD膜/熱酸化膜のエッチングレート比が1.25以下であり、かつ熱酸化膜を75ÅエッチングしたときにPoly−Si膜のエッチング量が10Å以下となるエッチング液が求められている。
【0004】
エッチング液として、例えば、特許文献1には、アニールしたBPSG膜(ボロンリンガラス膜)と熱酸化膜とのエッチングレート比が1.5以下のエッチング液が開示されている。また、特許文献2には、ノンアニールのBPSG膜/熱酸化膜のエッチングレート比、及びノンアニールのSOD膜/熱酸化膜のエッチングレート比がともに3以下であるエッチング液が開示されている。
【0005】
しかしながら、本発明者らの研究によると、例えば特許文献1に開示されているフッ化物塩、水、エタノールからなるエッチング液を使用した場合、SOD膜と熱酸化膜とのエッチングレート比が1.25を超え、このエッチング液は、上述の要求を満さなった。また、特許文献2に開示されているフッ化物塩(CH3CH2NH3HF2)、水、トリプロピレングリコールからなるエッチング液を使用した場合、SOD膜/熱酸化膜のエッチングレート比が1.25を超え、このエッチング液は、上述の要求を満さなった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−164585号公報
【特許文献2】国際公開第2006/126583号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、熱酸化膜とSOD膜とを、同じか又は近いエッチングレートでエッチングし、かつPoly−Si膜をほとんどエッチングしないエッチング液を提供すること、より具体的には、熱酸化膜及びSOD膜の23℃でのエッチングレートがいずれも50Å/分以下であり、SOD膜/熱酸化膜のエッチングレート比が1.25以下であり、かつ熱酸化膜を75ÅエッチングしたときにPoly−Si膜のエッチング量が10Å以下となるエッチング液を提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、以下の項1〜4などに関する。
[項1]
(1)エッチング液全体に対して99重量%以上のトリプロピレングリコールモノメチルエーテル、
(2)エッチング液全体に対して0.4重量%以下の水、
(3)フッ化水素(HF)、及び
(4)ヒドロキシルアミン、及びアンモニアから選択される1種又は2種のアミン
からなるエッチング液。
[項2]
(1)エッチング液全体に対して99重量%以上のトリプロピレングリコールモノメチルエーテル、
(2)エッチング液全体に対して0.4重量%以下の水、
(3)フッ化水素、及び
(4)エチルアミン
からなり、
フッ化水素/エチルアミンのモル含有量比が5以上であるエッチング液。
[項3]
(1)エッチング液全体に対して99重量%以上のトリプロピレングリコールモノメチルエーテル、
(2)エッチング液全体に対して0.4重量%以下の水、
(3)フッ化水素、及び
(4)ヒドロキシルアミン、及びアンモニアから選択される1種又は2種のアミン
を混合する工程を含む製造方法によって製造されるエッチング液。
[項4]
(1)エッチング液全体に対して99重量%以上のトリプロピレングリコールモノメチルエーテル、
(2)エッチング液全体に対して0.4重量%以下の水、
(3)フッ化水素、及び
(4)フッ化水素5モル当り1モル以下のエチルアミン
を混合する工程を含む製造方法によって製造されるエッチング液。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、熱酸化膜とSOD膜とを、同じか又は近いエッチングレートでエッチングし、かつPoly−Si膜をほとんどエッチングしないエッチング液、より具体的には、熱酸化膜及びSOD膜の23℃でのエッチングレートがいずれも50Å/分以下であり、SOD膜/熱酸化膜のエッチングレート比が1.25以下であり、かつ熱酸化膜を75ÅエッチングしたときにPoly−Si膜のエッチング量が10Å以下となるエッチング液が得られる。このようなエッチング液の使用により、超微細プロセスで製造される半導体デバイスの製造におけるエッチング処理を好適に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一態様は、
(1)エッチング液全体に対して99重量%以上のトリプロピレングリコールモノメチルエーテル、
(2)エッチング液全体に対して0.4重量%以下の水、
(3)フッ化水素、及び
(4)ヒドロキシルアミン、及びアンモニアから選択される1種又は2種のアミン
からなるエッチング液
である。
当該エッチング液において、フッ化水素は、ヒドロキシルアミン及び/又はアンモニアと共に塩を形成していてもよい。このようなエッチング液も、本発明の範囲内である。
なお、本明細書中、フッ化水素、ヒドロキシルアミン、アンモニア、エチルアミン、およびアミンの各量に関する数値の記載は、これらが塩を形成している場合においても、フリー体に換算した数値によって記載される。
なお、本明細書中、「アミン」なる用語は、アンモニアを包含する意味で用いられる。
【0011】
当該態様のエッチング液中のトリプロピレングリコールモノメチルエーテルの含有量はエッチング液全体に対して、99重量%以上である。当該含有量は、他の成分の含有量によって決定すればよく、通常、99.6重量%未満、好ましくは99.5重量%以下である。
【0012】
当該態様のエッチング液中の水の含有量はエッチング液全体に対して、0.4重量%以下であり、好ましくは0.3重量%以下である。水の量が多くなると、SOD膜/熱酸化膜とのエッチングレート比が大きくなる傾向がある。一方、当該含有量は、好適なエッチングレート比を得る観点から、好ましくは0重量%より大きい(例、0.01重量%以上)。
【0013】
当該態様のエッチング液におけるフッ化水素のアミンに対するモル含有量比は、特に限定されないが、通常1〜10、好ましくは、2〜10である。
また、当該態様のエッチング液におけるフッ化水素の含有量およびアミンの含有量の合計は、0.1〜0.5重量%、好ましくは、0.1〜0.3重量%である。
【0014】
本発明の別の一態様は、
(1)エッチング液全体に対して99重量%以上のトリプロピレングリコールモノメチルエーテル、
(2)エッチング液全体に対して0.4重量%以下の水、
(3)フッ化水素、及び
(4)エチルアミン
からなり、
フッ化水素/エチルアミンのモル含有量比が5以上であるエッチング液
である。
当該エッチング液において、フッ化水素はエチルアミンと共に塩を形成していてもよい。このようなエッチング液も、本発明の範囲内である。
【0015】
当該態様のエッチング液中のトリプロピレングリコールモノメチルエーテルの含有量はエッチング液全体に対して、99重量%以上である。当該含有量は、他の成分の含有量によって決定すればよく、通常、99.6重量%未満、好ましくは99.5重量%以下である。
【0016】
当該態様のエッチング液中の水の含有量はエッチング液全体に対して、0.4重量%以下であり、好ましくは0.3重量%以下である。水の量が多くなると、SOD膜/熱酸化膜のエッチングレート比が大きくなる傾向がある。一方、当該含有量は、好適なエッチングレート比を得る観点から、好ましくは0重量%より大きい(例、0.01重量%以上)。
【0017】
当該本発明のエッチング液におけるフッ化水素のエチルアミンに対するモル含有量比(すなわち、フッ化水素/エチルアミンのモル含有量比)は、Poly−Si膜の望まざるエッチングを抑制する観点から、5以上である。当該モル含有量比の上限は特に限定されないが、当該モル含有量比は好ましくは、10以下である。当該モル含有量比が高すぎると、SOD膜/熱酸化膜のエッチングレート比が本発明のエッチング液中の水の含有量によって影響を受け易くなる。
また、当該態様のエッチング液におけるフッ化水素の含有量およびエチルアミンの含有量の合計は、0.1〜0.5重量%、好ましくは、0.1〜0.3重量%である。
【0018】
本発明のエッチング液は、エッチングに使用した場合、好ましくは、以下の(i)〜(iii)の条件を全て満たす。
(i)熱酸化膜のエッチングレート及びSOD膜のエッチングレートが、いずれも23℃で50Å/分以下である。
(ii)SOD膜/熱酸化膜のエッチングレート比が1.25以下である。
(iii)熱酸化膜を75ÅエッチングしたときのPoly−Si膜のエッチング量が10Å以下である。
【0019】
本明細書における「エッチングレート」は、エッチング液で、23℃でシリコン基板上に形成された膜をエッチングし、各膜のエッチング処理前の膜厚とエッチング処理後の膜厚の差をエッチング時間で割って算出した数値である。
当該数値は、具体的には、本明細書の比較例及び実施例に記載の方法に準じて、測定することができる。
【0020】
本明細書における「エッチングレート比」は、同一組成のエッチング液を用いて、2種類の膜について測定した、上記「エッチングレート」の比を意味する。例えば、「SOD膜/熱酸化膜のエッチングレート比」は、「SOD膜のエッチングレート/熱酸化膜のエッチングレートの比」を表す。なお、本明細書中、エッチングレート比を「選択比」と称する場合がある。
【0021】
本明細書における「熱酸化膜を75ÅエッチングしたときのPoly−Si膜のエッチング量」とは、熱酸化膜を75Åエッチングするのに要する時間、23℃でPoly−Si膜をエッチング処理した場合の、エッチング処理前後の膜厚の差を意味する。
ここで、「熱酸化膜を75Åエッチングするのに要する時間」は、熱酸化膜について測定した上記「エッチングレート」から算出される。
【0022】
本発明のエッチング液による、熱酸化膜のエッチングレート及びSOD膜のエッチングレートは、23℃で、いずれも、好ましくは約50Å/分以下であり、より好ましくは約40Å/分以下、更に好ましくは約30Å/分以下、特に好ましくは約25Å/分以下である。エッチングレートの下限は、好ましくは約5Å/分、より好ましくは約10Å/分である。エッチングレートが低い方が、エッチング工程の条件設定が容易になる点で、好ましい。一方、高い作業効率を得る観点から、エッチングレートは、上記した下限以上の数値である事が好ましい。
本発明のエッチング液による、SOD膜/熱酸化膜のエッチングレート比は、好ましくは1.25以下、より好ましくは1.2以下、更に好ましくは1.1以下である。
【0023】
エッチングレート比を1.25以下にすることが好ましい理由は、エッチングレート比が1.25よりも高くなるとDRAM及びFLASHのメモリ半導体の分離(isolation)工程において、STI(Shallow Trench Isolation)工程のギャップフィル(gapfill)物質としてSOD(Spin On Dielectric)を用いる場合、熱酸化膜の一定の厚さを除去するとき、SODが露出することによって、大きなSOD損失が発生すると、分離がうまくできないという問題が生じるのためである。したがって、50nm デバイス(device)以下の場合、前記熱酸化膜とSOD膜間のエッチング比率を1.0程度にすることが特に好ましい。
【0024】
本発明のエッチング液による、熱酸化膜を75ÅエッチングしたときのPoly−Si膜のエッチング量は、好ましくは10Å以下であり、より好ましくは7.5Å以下、更に好ましくは5Å以下、特に好ましくは3Åである。当該Poly−Si膜のエッチング量は少ないほど良い。
【0025】
前述したように、Poly Si膜のエッチング量が少ないことはシリコン基板のエッチング量が少ないことを示し得る。したがって、Poly Si膜またはシリコン基板のエッチング量が少ないほど好ましい理由は、DRAMの場合、STI工程でリセスゲート(recess gate)を適用するため、シリコン基板をドライエッチングした後、洗浄が行われるとき、Poly Si膜またはシリコン基板のエッチング量が多い化学物質(chemical)を用いると、シリコン(Si)の損失が発生するためである。このようなシリコン(Si)の損失は、CD(Critical Dimension)に影響を及ぼし、後続のゲート工程の不良をもたらす。
【0026】
本発明のエッチング液は、所定量の各成分を公知の方法で混合する事によって、製造する事ができる。各成分を混合するとき、その添加順序は任意である。
ここで、フッ化水素としては、例えば、無水フッ酸、又はフッ化水素酸を用いる事ができる。フッ化水素として、フッ化水素酸を用いる場合、本発明のエッチング液が含有する水は、当該フッ化水素酸に由来してもよい。
また、アミンとしては、アミン水溶液を用いる事ができる。アミンとして、アミン水溶液を用いる場合、本発明のエッチング液が含有する水は、当該アミン水溶液に由来してもよい。
【0027】
本発明のエッチング液をエッチングに使用する場合の条件は、例えば、エッチング液温度:約15〜約40℃、被エッチング物との接触時間:約0.25〜約10分間、である。
【0028】
本明細書における用語「エッチング液」は、「洗浄液」としての実施形態を包含する。
【0029】
本発明のエッチング液で処理される被エッチング物としては、熱酸化膜、SOD膜、及びPoly-Si部を含む半導体デバイス(例、ULSIなどの超微細デバイス)が挙げられる。
図1〜5に、本発明のエッチング液を適用するSTIの構造、および本発明のエッチング液適用前後のSTIの構造の模式図を記載するが、これは本発明の理解の補助を目的とするものであり、本発明はこれに限定されるものではない。
図1に記載されたSTI構造のエッチング液適用前後のX−X断面図を示した図2、図3、およびY−Y断面図を示した図4、図5は、本発明による低選択比を有するエッチング液を適用することによって、熱酸化膜が除去され、活性領域であるシリコン基板のリセスCDの損失およびギャップフィル物質であるSOD膜のCD損失が最小化されたことを表現している。
【0030】
本発明で使用されるSOD膜は、塗布法により製造される膜であり、有機SOD膜と無機SOD膜のいずれであってもよいが、無機SOD膜が好ましく例示される。
SOD膜は二酸化ケイ素を主成分とし、他の元素がドープされていてもよい。
【0031】
SOD膜のアニールは、ウェットアニールで、350℃〜900℃、10分〜120分の条件、好ましくは850℃、60分の条件とする。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
実施例及び比較例において、エッチングレートの測定は、ナノスペック3000AF−T(ナノメトリクスジャパン株式会社)を用いてエッチング前後の膜厚を測定することで行った。
【0034】
エッチング液のエッチングレートは、各エッチング液で、23℃で5分間各膜をエッチングし、エッチング処理前の膜厚とエッチング処理後の膜厚の差をエッチング時間で割って算出した数値である。
【0035】
[比較例1〜4、並びに実施例1、及び2]
エチルアミン、フッ化水素、水及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテル(TPME)を表1で表される割合で混合してエッチング液を調製し、シリコン基板上にSOD(Spin on Dielectric)膜、熱酸化(THOX)膜、Poly−Si膜のいずれかを形成した試験基板に対するエッチングレート及びその比(選択比)を求めた。Poly−Si膜のエッチング量は、熱酸化膜のエッチングレートから、熱酸化膜を75Åエッチングするのに要する時間を求め、求めた時間Poly−Si膜をエッチングし、エッチング処理前後の膜厚の差を測定することにより求めた。なお、エチルアミンとしては、70%エチルアミン水溶液を用い、フッ化水素としては、50%フッ化水素酸を用いて、各エッチング液を調製した。
【0036】
結果を表1に示す。表中、ERはエッチングレートを意味する。
【表1−A】

【表1−B】

【0037】
[比較例5〜7、及び実施例3〜5]
アミン(エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ヒドロキシルアミン、またはアンモニア)、フッ化水素、水及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテルを表2で表される割合で混合してエッチング液を調製し、シリコン基板上にSOD(Spin on Dielectric)膜、熱酸化(THOX)膜、Poly−Si膜のいずれかを形成した試験基板に対するエッチングレート及びその比(選択比)を求めた。Poly−Si膜のエッチング量は、熱酸化膜のエッチングレートから、熱酸化膜を75Åエッチングするのに要する時間を求め、求めた時間Poly−Si膜をエッチングし、エッチング処理前後の膜厚の差を測定することにより求めた。なお、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンは99%以上のものを、ヒドロキシルアミンは50%水溶液、アンモニアは29%水溶液、フッ化水素は、50%フッ化水素酸を用いて調製した。
【0038】
【表2−A】

【表2−B】

【0039】
[実施例6]
SOD膜/熱酸化膜のエッチングレート比が1.13のエッチング液および1.56のエッチング液(比較例1)を用いて、半導体デバイスのエッチング試験を行った。
選択比1.13のエッチング液は、上述の実施例のエッチング液と同様にして、表3に表される組成で、調製した。また、上述の実施例と同様に、各エッチングレートおよびその選択比を比を求めた(表3)。なお、当該エッチング液自体もまた本発明の実施例である。
【表3−A】

【表3−B】

比較例1による選択比1.56のエッチング液および本願発明による選択比1.13のエッチング液を適用した場合、適用前後のデバイスの顕微鏡写真を各々図6および図7に示す。
図6(a)および図6(b)に示すように、比較例1による選択比1.56のエッチング液を適用したデバイスの場合、活性領域であるシリコン基板のリセスCD(Active CD)損失が18nmであり、SOD膜のCD(Oxide CD)損失が30nmであった。その反面、図7(a)および図7(b)に示されたように、本発明による選択比1.13のエッチング液を用いたデバイスの場合には、活性領域であるシリコン基板のリセスCD(Active CD)損失が3〜5nmであり、SOD膜のCD(Oxide CD)損失が13nmであった。
したがって、本発明による選択比が低いエッチング液の適用時に、デバイスの活性領域であるシリコン基板のリセスCD損失およびSOD膜のCD損失が顕著に減少するため、安全的な後続ゲート工程を具現することができるということを確認することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明のエッチング液は、超微細プロセスで製造される半導体デバイスの製造におけるエッチング処理に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係るエッチング液が適用されるSTI構造の上面図である。
【図2】本発明に係るエッチング液の適用前の前記STI構造のX−X断面図である。
【図3】本発明に係るエッチング液の適用後の前記STI構造のX−X断面図である。
【図4】本発明に係るエッチング液の適用前の前記STI構造のY−Y断面図である。
【図5】本発明に係るエッチング液の適用後の前記STI構造のY−Y断面図である。
【図6】選択比1.56のエッチング液を適用した場合の、適用前(a)および適用後(b)のデバイスの顕微鏡写真である。
【図7】選択比1.13のエッチング液を適用した場合の、適用前(a)および適用後(b)のデバイスの顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0042】
10: シリコン基板
11: SOD膜
12: 熱酸化膜
13: リセス
14: 熱酸化膜/シリコン基板
15: 熱酸化膜/SOD膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)エッチング液全体に対して99重量%以上のトリプロピレングリコールモノメチルエーテル、
(2)エッチング液全体に対して0.4重量%以下の水、
(3)フッ化水素、及び
(4)ヒドロキシルアミン、及びアンモニアから選択される1種又は2種のアミン
からなるエッチング液。
【請求項2】
(1)エッチング液全体に対して99重量%以上のトリプロピレングリコールモノメチルエーテル、
(2)エッチング液全体に対して0.4重量%以下の水、
(3)フッ化水素、及び
(4)エチルアミン
からなり、
フッ化水素/エチルアミンのモル含有量比が5以上であるエッチング液。
【請求項3】
(1)エッチング液全体に対して99重量%以上のトリプロピレングリコールモノメチルエーテル、
(2)エッチング液全体に対して0.4重量%以下の水、
(3)フッ化水素、及び
(4)ヒドロキシルアミン、及びアンモニアから選択される1種又は2種のアミン
を混合する工程を含む製造方法によって製造されるエッチング液。
【請求項4】
(1)エッチング液全体に対して99重量%以上のトリプロピレングリコールモノメチルエーテル、
(2)エッチング液全体に対して0.4重量%以下の水、
(3)フッ化水素、及び
(4)フッ化水素5モル当り1モル以下のエチルアミン
を混合する工程を含む製造方法によって製造されるエッチング液。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−67982(P2010−67982A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208587(P2009−208587)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(591024111)株式会社ハイニックスセミコンダクター (1,189)
【氏名又は名称原語表記】HYNIX SEMICONDUCTOR INC.
【住所又は居所原語表記】San 136−1,Ami−Ri,Bubal−Eup,Ichon−Shi,Kyoungki−Do,Korea
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】