エッチング装置、エッチング方法及びエッチングプログラム、並びに成膜装置
【課題】良好に任意の形状に加工することが可能なエッチング装置、エッチング方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】エッチング装置80は、イオンガン11と、XYステージ12と、制御部13と、PC15と、測定装置81とを備える。測定装置81は、基板31上の所定の測定点の厚みを測定する。予めイオンガン11のエッチングレートの分布と、基板31の被エッチング量の分布とに基づいて、エッチング中心の位置に応じて測定点における基板31の厚みの中間目標厚みが設定される。各領域でエッチングを施した際、測定点の厚みが当該中間目標厚みからの許容範囲に入る場合、XYステージ12を駆動し、エッチングを終了させる。
【解決手段】エッチング装置80は、イオンガン11と、XYステージ12と、制御部13と、PC15と、測定装置81とを備える。測定装置81は、基板31上の所定の測定点の厚みを測定する。予めイオンガン11のエッチングレートの分布と、基板31の被エッチング量の分布とに基づいて、エッチング中心の位置に応じて測定点における基板31の厚みの中間目標厚みが設定される。各領域でエッチングを施した際、測定点の厚みが当該中間目標厚みからの許容範囲に入る場合、XYステージ12を駆動し、エッチングを終了させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品等の製造に利用されるエッチング装置、エッチング方法及びエッチングプログラム、並びに成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体、電子部品製造の分野では基板上に薄膜を形成し、デバイスとする技術が一般に用いられている。例えば圧電素子を例に挙げると、圧電材料からなるウエハ又は基板上に電極膜を成膜し、数十〜数千個の複数の素子を形成した後、個々の素子に切り分けることにより、圧電素子が製造される。
【0003】
圧電素子は、利用する振動モードによっても異なるが、例えば厚みすべり振動を利用した振動素子では、その基板の厚み、電極膜の厚みによって周波数が決まるため、これらの厚みの精度によって周波数精度が決まる。なお、表面弾性波素子でも、その電極膜の厚みの精度によって周波数精度が決まる。従って、これらの素子で所望の周波数精度を得るためには、基板、電極膜の厚みを制御することが重要である。
【0004】
しかし、現在基板に用いられる研磨技術の精度は十分でなく、基板内での厚みの分布が生じる。更にスパッタ蒸着で成膜された電極膜にも厚み分布が生ずるため、同一基板内に形成された素子は周波数特性にばらつきが生ずる問題がある。
【0005】
そこで、基板内の厚みのばらつきを抑制するため、基板の各領域において必要な被エッチング総量を事前に算出し、被エッチング総量に達するエッチング時間を領域毎に算出する構成がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−214215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に開示されているように必要な被エッチング総量を事前に算出し、領域毎のエッチング時間を算出した場合であっても、実際のイオンビームのエッチング分布が既定の分布とずれると、所定のエッチング量に到達せず、もしくは所定のエッチング量以上にエッチングが施されてしまい、所望の形状にエッチングをすることができないという問題がある。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、イオンビームの既定のエッチング分布と実際のエッチング分布とのずれを補正し、良好に任意の形状に加工することが可能なエッチング装置、エッチング方法及びプログラムを提供することを目的とする。同時に、良好に任意の形状に膜形成することが可能な成膜装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るエッチング装置は、
所定のエッチング分布を有するエッチング源と、
エッチング対象物を載置するステージと、
前記エッチング源と前記ステージとの相対位置を調整する相対位置調整手段と、
前記エッチング対象物の所定の測定位置において厚みを測定する測定手段と、
前記エッチング対象物の被エッチング量の分布と前記エッチング源のレート分布とに基づいて、前記エッチング対象物の各位置におけるエッチング総量が被エッチング量に対応する最終目標厚みとなるように、前記測定位置の前記エッチング対象物の中間目標厚みを前記相対位置に対して算出し、前記相対位置調整手段と前記エッチング源との少なくとも一方を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記測定位置の前記エッチング対象物の厚みが、前記中間目標厚みに到達した時点で、前記エッチング源と前記ステージとの相対位置を移動させ、前記エッチング源の中心を移動させながらエッチング照射を重ね合わせることによって前記エッチング対象物全体において所望の目標形状を得ることを特徴とする。
【0010】
前記制御手段は、前記測定手段によって測定される前記エッチング対象物の厚み変化から、前記エッチング対象物の所定時間あたりのエッチング量を算出し、既定の値を超える場合、前記エッチング分布を補正し、前記中間目標厚みを再算出してもよい。
【0011】
前記測定手段の測定点は、前記エッチング対象物の一点であり、
前記制御手段は、前記測定点と、前記測定点の周囲をエッチングした際の前記測定点の厚みの変化から、前記エッチング分布を補正してもよい。
【0012】
前記制御手段は、
前記エッチング源を制御して、粒子ビームを連続的に照射させ、
前記相対位置調整手段を制御して、前記エッチング対象物を前記エッチング源に対してピッチ送りで移動させ、各ピッチ位置での停止時間を調節することによって、各ピッチ位置での前記粒子ビームの照射時間を制御してもよい。
【0013】
前記制御手段は、
前記相対位置調整手段を制御して前記エッチング対象物を前記エッチング源に対して所定ピッチで移動させ、
前記エッチング源を制御して、各ピッチ位置での前記エッチング源からの粒子ビームの照射強度を制御してもよい。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係るエッチング方法は、
既知のエッチング分布を有するエッチング源によりエッチング対象物のエッチング対象エリアに粒子ビームを生成すると共に前記エッチング源と前記エッチング対象物との相対位置を移動させることにより、前記エッチング対象エリアをエッチングするエッチング方法において、
測定手段によって前記エッチング対象物の所定の測定位置における厚みを測定し、
前記エッチング対象エリアの各位置において、前記エッチング用粒子の強度の積分値が被エッチング量の分布に一致し最終目標厚みとなるように、前記エッチング源のレート分布に基づいて、前記所定の測定位置の中間目標厚みを前記相対位置に対して算出し、前記エッチング源と、前記エッチング源と前記エッチング対象との相対位置と、を制御し、
前記測定手段によって測定された前記エッチング対象物の厚みが、前記エッチング対象物の中間目標厚みに到達した時点で、前記エッチング源と前記ステージとの相対位置を移動させ、前記エッチング源の中心を移動させながらエッチング照射を重ね合わせることによって前記エッチング対象物全体において所望の目標形状を得る、ことを特徴とする。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係るエッチングプログラムは、
コンピュータによる、
既知のエッチング分布を有するエッチング源によりエッチング対象物のエッチング対象エリアに粒子ビームを生成すると共に前記エッチング源と前記エッチング対象物との相対位置を移動させることにより、前記エッチング対象エリアをエッチングするエッチング方法の制御であって、
測定手段に前記エッチング対象物の所定の測定位置における厚みを測定させ、
前記エッチング対象エリアの各位置において、前記エッチング用粒子の強度の積分値が被エッチング量の分布に一致し最終目標厚みとなるように、前記エッチング源のレート分布に基づいて、前記測定位置における中間目標厚みを前記相対位置に対して算出し、前記エッチング源と、前記エッチング源と前記エッチング対象との相対位置と、を制御し、
前記測定手段によって測定される前記エッチング対象物の厚みが、前記エッチング対象物の中間目標厚みに到達した時点で、前記エッチング源と前記ステージとの相対位置を移動させ、前記エッチング源の中心を移動させながらエッチング照射を重ね合わせることによって前記エッチング対象物全体において所望の目標形状を得る、ことをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の第4の観点に係る成膜装置は、
所定の成膜分布を有する成膜源と、
成膜対象物を載置するステージと、
前記成膜源と前記ステージとの相対位置を調整する相対位置調整手段と、
前記成膜対象物の所定の測定位置において厚みを測定する測定手段と、
前記成膜対象物の被成膜量の分布に基づいて、前記成膜対象物の各位置における成膜総量が被成膜量に対応する最終目標厚みとなるように、前記成膜源のレート分布に基づいて、前記測定位置における中間目標厚みを前記相対位置に対して算出し、前記相対位置調整手段と前記成膜源との少なくとも一方を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記測定手段によって測定される前記成膜対象物の厚みが、前記成膜対象物の中間目標厚みに到達した時点で、前記成膜源と前記ステージとの相対位置を移動させ、前記成膜源の中心を移動させながら成膜を重ね合わせることによって前記成膜対象物全体において所望の目標形状を得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、エッチング対象物のエッチング量を測定する測定手段を用いることにより、良好に任意の形状に加工することが可能なエッチング装置、エッチング方法及びエッチングプログラムを提供することができる。また、成膜対象物の成膜量を測定する測定手段を用いることにより、良好に任意の形状に膜形成することが可能な成膜装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態に係るエッチング装置の構成例を模式的に示す図である。
【図2】第1実施形態に係るエッチング装置によってエッチングされる基板を模式的に示す図である。
【図3】第1実施形態に係るエッチング処理を示すフローチャートである。
【図4】図4(a)〜(c)はイオンガンの引き出し孔のノズルを示す図である。
【図5】(a)は、図4(a)に示す引き出し孔を用いた際の電流密度分布を示す図である。
【図6】図6(b)は図4(b)に示す引き出し孔を用いた際の電流密度分布を示す図であり、図6(c)は、図4(c)に示す引き出し孔を用いた際の電流密度分布を示す図である。
【図7】エッチング源が一次元方向のみに移動しエッチングが施される場合の基板を示す図である。
【図8】イオンガンの各停止位置における電流密度分布を示す図である。
【図9】(a)は停止位置Pnにおける電流密度分布を示す図である。(b)は停止位置Pn+1における電流密度分布を示す図である。(c)は停止位置Pn-1における電流密度分布を示す図である。
【図10】エッチング源が二次元方向に移動しエッチングが施される場合の基板を示す図である。
【図11】(a)はエッチング源が一次元方向にのみ移動する際のエッチングレートの比のテーブルを模式的に示す図であり、(b)はエッチング源が二次元方向に移動する際のエッチングレートの比のテーブルを模式的に示す図である。
【図12】図12(a)はエッチング対象物を模式的に示す平面図であり、図12(b)は図12(a)のB−B線断面図である。
【図13】第2実施形態に係るエッチング処理を示すフローチャートである。
【図14】測定点を複数箇所に設置する変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の各実施形態に係るエッチング装置、エッチング方法及びエッチングプログラムについて図面を参照して説明する。
【0020】
(第1実施形態)
第1実施形態に係るエッチング装置80の構成を図1に示す。また、図2に本実施形態のエッチング装置80によってエッチングされる基板31を模式的に示す。
【0021】
図1に示すようにエッチング装置80は、イオンガン11と、XYステージ12と、制御部13と、真空槽14と、PC15と、測定装置81と、を備える。イオンガン11とXYステージ12とは、真空槽14内に設置され、真空槽14によって大気から遮断されている。
【0022】
イオンガン11は、イオンビームを生成する装置である。イオンガン11のチャンバ内には例えばArが導入され、チャンバ内でアノードとフィラメントの間に直流電圧を印加し、直流熱陰極放電を起こすことによりArプラズマを発生させる。続いてArの正イオンを加速器によって加速させ、引き出し孔からイオンビームとして取り出す。イオンガンは直流熱陰極放電を利用するものに限らず、RFイオン源やマイクロ波イオン源を用いてもよい。イオンビームの電流密度、即ち、イオン密度は、引き出し孔の数、形状等により変化する。また、これらの引き出し孔を用いた場合の電流密度分布を図5及び図6に示す。図5(a)の電流密度分布は図4(a)の引き出し孔を用いた場合に対応し、図6(b)は図4(b)、図6(c)は図4(c)に対応する。なお、点は実測値であり、図5(a)及び図6(b)に示す線はガウス分布による近似である。なお、いずれのグラフも、イオンガン11とエッチング対象の基板31とを対向して配置して、基板31のイオンガン11の中心と対向する位置を原点としたときの原点からの距離と照射されるイオンビームの電流密度との関係を示すものである。
【0023】
詳細に後述するように、本実施形態ではイオンガン11から照射されるイオンビームの電流密度分布をガウス分布で近似し、エッチングレートを算出することによりイオンガンと基板との各相対位置におけるエッチング照射量(エッチング時間又は厚み)を算出する。従って、電流密度分布は、図5(a)又は図6(b)に示すようにガウス分布で近似することができることが好ましい。このため、本実施形態では図4(a)、(b)のようにほぼ同径の孔が形成された引き出し孔を用いるのが好ましい。また、図5(a)及び図6(b)から明らかなように孔の数を増やすと電流密度分布は横に広がる傾向を示す。従って、実施するエッチングの細密さ等に応じて孔の数を調節すると良い。また、電流密度分布は、孔の形状、数、配置、放電電流、エッチング源とエッチング対象との距離等を調節することにより制御できるため、ガウス分布、三角関数等で演算する場合は、所望の分布を得ることができるように、予めこれらの条件を調整しておけばよい。なお、電流密度分布は必ずしもガウス分布、三角関数等を用いた波形として表す必要はなく実測値を用いることも可能である。この場合、図4(c)のように径の異なる孔が形成された引き出し孔を用いることができる。
【0024】
XYステージ12は、載置台12a、シーケンサ等からなるステージ制御部、モータ等から構成されるステージ駆動部等を備える。図1に示すように載置台12aのイオンガン11に対向する面上には、エッチングが施される基板31が設置される。XYステージ12のステージ駆動部は、ステージ制御部によって制御され、更にステージ制御部は制御部13によって制御される。ステージ駆動部によって載置台12aはX軸及びY軸方向(図1の水平面)に移動する。XYステージ12の移動形態は、ピッチ送り(一定距離だけ移動して一旦停止する動作を繰り返す処理)でも、等速又は速度を変動させながら連続的に移動させる形態も可能である。本実施形態ではエッチング源であるイオンガン11が固定されているため、このXYステージ12の移動によって、基板31とイオンガン11との相対位置を調節する。
【0025】
測定装置81は、基板31の厚みを測定する装置であり、FTIR(フーリエ変換赤外分光計)等からなる。基板の厚みを測定する手段はFTIR(フーリエ変換赤外分光計)に限らず、例えば測定光の透過率又は反射率から厚み測定してもよい。なお、エッチング対象が水晶振動子等である場合、周波数測定装置等であってもよい。この場合、被加工物は、例えば図12(a)及び(b)に示すように凹部を備える載置部内に設置される。測定装置81は、制御部13によって制御されており、基板31の予め定めた測定点の厚みを測定する。
【0026】
制御部13は、例えばマイクロプロセッサ等から構成され、PC15によって算出されたエッチング照射量等のエッチング条件、シャッタによって基板を覆う条件、測定装置81の測定結果に沿ってイオンガン11と、XYステージ12と、測定装置81と、を制御する。
【0027】
PC15は、パーソナルコンピュータ等から構成される。PC15は、詳細に後述するように、予めエッチング装置80とは独立して設けられたFTIR(フーリエ変換赤外分光計)等の測定装置によって測定された基板31の厚み分布を基に、基板31のエッチング対象領域で必要となる被エッチング量の分布を判別する。判別には測定装置81を用いてもよいが、他の測定手段を用いてもよい。さらに、PC15は、この被エッチング量の分布、エッチングビームの電流密度分布(エッチング分布)、XYステージ12の移動速度等から、基板31の各領域にエッチングを施す時間、該時間経過後の各領域における厚み等を算出する。相対位置調整手段及び/又はエッチング源を測定装置81からの出力のみで制御する場合は、エッチング時間を算出せず、厚みのみを算出してもよい。基板31の一領域を仮に領域Aとすると、イオンガン11の照射範囲は基板31の領域Aよりも広く、XYステージの移動によりイオンガン11と基板31との相対位置が変化しても、領域Aがイオンガン11の照射範囲内に含まれる限り領域Aはエッチングされ続ける。イオンガン11と基板31との相対位置に対応した領域Aの目標厚みを中間目標厚みとし、各相対位置に対し複数の中間目標厚みを算出する。この複数の中間目標厚みは、総エッチング後、領域Aが最終目標厚みになるように設定する。ここで、最終目標厚みとは、エッチング対象物の各位置に対応した個々の値であり、均一なエッチングに限らず、所望の形状となるように最終目標厚みは任意の値に設定できる。
【0028】
次に、上述した構成を採るエッチング装置80の動作を図2及び図3のフローチャートと、数式とを用いて説明する。
【0029】
まず、エッチングを施す基板31を用意する。基板31は図2に点線で示すように複数の素子を形成することができる面積を備える。また、基板31には、予め測定点が設置されており、例えば図2に×印で示す領域が測定点(測定領域)と設定される。
【0030】
次に、イオンガン11の中心が測定領域に位置するよう、XYステージ12を駆動し、測定領域をエッチングする(ステップS811)。エッチング中、測定装置81によってこの測定領域の厚みThを測定する(ステップS812)。なお、測定領域の厚みの情報は、制御部13を介して、PC15に送られる。PC15は、この実測厚みが、予め算出した中間目標厚みの許容範囲内に入るか否かを判別し、許容範囲に入ると(ステップS813;Yes)、測定領域を中心とするエッチングを終了させる。エッチングの終了は、ステージ12の駆動により行う(ステップS814)。実測厚みが、中間目標厚みより大きい場合は(ステップS813;No)、ステップS811に戻り、エッチングと厚みThの測定を継続する。本実施形態では実測厚みに基づいてステージ12のみを駆動制御するが、イオンガン11を制御してもよい。
【0031】
続いて、×印で示す測定領域に近接する領域(例えば図2に示す上下、左右の領域)にイオンガン11の中心が位置するよう、ステージ12を駆動し、近接領域をエッチングする(ステップS815)。PC15は、測定領域がエッチング照射範囲内か否かを判別し、照射範囲内である場合は(ステップS816;Yes)、エッチング中、測定領域の厚みThを測定装置81によって測定する(ステップS817)。照射領域がエッチング範囲外である場合は(ステップS816;No)、測定領域の厚みThは測定せず、エッチング時間により制御する(ステップS820)。時間制御によるエッチングの終了は、ステージ12の駆動により行う(ステップS814)。PC15は、実測領域の厚みが、予め算出した測定領域における中間目標厚みの許容範囲内に入るか否かを判別し、許容範囲に入ると(ステップS818;Yes)、ステージ12を駆動させ(ステップS814)、近接領域を中心とするエッチングを終了させる。許容範囲に入らない場合(ステップS818;No)、更にエッチング処理を施し(ステップS819)、再度測定領域の厚みThを測定する(ステップS817)。
【0032】
第1実施形態では、少なくとも測定点(測定領域)を含む領域をエッチング照射する際に、測定点の膜厚を測定し、測定装置81の出力からステージ12を駆動制御(以下、膜厚制御と称する。)することを特徴とする。
【0033】
測定点がエッチング照射領域に含まれない場合は、エッチング時間により制御(以下、時間制御と称する。)すればよい。図3に示すフローチャートでは、測定領域の近接領域を中心にエッチングする場合にも膜厚制御する場合を例に挙げているが、測定領域を中心にエッチングする場合のみ膜厚制御してもよい。イオンガンの中心を測定する方が膜厚変化が大きく測定精度が向上するためである。測定装置81をXYステージに搭載し、測定領域が常にイオンガンの中心に一致するように測定装置81を駆動してもよい。この場合、ステージ12が測定装置81を搭載するか、又は他のXYステージをステージ12に同期して動作させればよい。また、測定領域が常にエッチングの中心からずれていれもよい。例えば、ステージ12の移動による複数回のエッチング照射のうち最終のエッチングにおける膜厚を測定制御すれば、被エッチング量を厚みで測定制御することができ、測定精度を向上させることができる。測定領域、並びに、膜厚制御及び時間制御は適宜選択すればよい。図3に示すフローチャートではイオンガン11の中心を測定領域に位置させてからエッチング処理を開始しているが、測定領域に近接する領域にイオンガン11の中心を位置させてからエッチング処理を開始し、エッチングステップの途中または最後にイオンガン11の中心を測定領域に位置させてもよい。
【0034】
エッチング照射量(エッチング時間T又は厚みTh)の算出は下記のように行う。
【0035】
基板31の厚みの分布を例えば、FTIR(フーリエ変換赤外分光計)等によって測定する。また、図5(a)、図6(b)に示すようなイオンガン11の電流密度分布は予め得ておく。
【0036】
続いて、測定装置等で測定された基板31の厚み分布に基づき、PC15は、基板31上に仮想的に形成したメッシュの各領域で必要な被エッチング量を算出する。さらにPC15は、以下に示す数式に従って、各領域で必要な被エッチング量と、イオンビームの電流密度分布(エッチング分布)等から、エッチング処理の制御パターンを算出する。
【0037】
理解を容易にするため、まず一次元のモデルを用いて説明する。図7に示すように、エッチングが施される対象は、一定のピッチpで、ピッチpと同じ辺を備える正方形状の領域がN個一列に並んだ構成であると仮定する。なお、ピッチpはイオンガン11と基板31との移動ピッチに相当する。本実施形態ではピッチpはイオンガン11の電流密度分布の標準偏差sから、p=s/2と設定する。なお、ピッチpの設定は正方形状に限らず任意であって、製造する素子のサイズに設定することも可能である。
【0038】
エッチング装置80は、XYステージ12を制御して、図8に示すようにイオンガン11のイオンビームの中心位置を、エッチング対象の各矩形領域の停止位置に順々に停止させ、イオンビームを適当な時間照射する。それぞれの位置で停止した際にエッチングされる総量が各領域のエッチング総量となる。
【0039】
ここでイオンビームの中心の停止位置をPとおく。なお本実施形態では、それぞれの端の領域が十分にエッチングされるように、ビームの停止位置を各領域の端からいくつか多く設定する。従って、ビームの停止位置は図7に示すようにP−i,…,P−2,P−1、P0,P1,P2…,Pn,…,PN,PN+1…,PN+iとなる。停止位置Pは基板上に仮想的に形成したメッシュの各領域に等しくなるように、P1,P2…,Pn,…,PN−1,PNと設定してもよい。或いは、基板の端の領域に必要な被エッチング総量が小さい場合には、基板上に仮想的に形成したメッシュの各領域よりもいくつか少なくなるように、停止位置PをPi,Pi+1,…,Pn,…,PN-(i+1),PN―iとしてもよい。停止位置Pの範囲が小さいほど、イオンビームをより有効に利用できる。次に、それぞれの停止位置でエッチングを施す時間をTとすると、各停止位置でのエッチング時間は、T−i,…,T−2,T−1、T0,T1,T2…,Tn,…,TN,TN+1…,TN+iとで示される。また、各領域のエッチング総量をE1,E2…,En,…,ENとする。なお、本実施形態ではピッチ送りの際の移動距離は一定であり、各領域の停止位置で停止する時間は、各領域ごとに設定される。従って、エッチング時間Tとは、停止位置Pにおけるビームの停止時間を示す。
【0040】
また、一般にエッチング量Eは、以下に示す数式1で与えられる。なお、式1のTはイオンガン11によるエッチング時間であり、Cは、スパッタ率S、分子量M、アボガドロ数NA、密度D、電子の素電荷e等で決まる比例定数である。
【0041】
【数1】
【0042】
また、上述したようにイオンガン11の電流密度分布は既知であり、この分布はガウス分布により下記数式2に示すように近似することが可能である。なお、数式2のAはガウス分布における曲線と基線の間の全面積であり、wは標準偏差sの2倍である。
【0043】
【数2】
【0044】
次に、図9(a)に示すようにイオンビームの中心がある停止位置Pnにあるとき、イオンビームの中心に相当する領域のエッチングレートa0を、a0=Ibd・Cとする。このとき停止位置Pnの周辺領域のエッチングレートa1,a2,a3,…,am及びa−1,a−2,…,a−mは、数式2のxにエッチング中心からの離間する距離pmを代入することにより、下記数式3のように示すことができる。
【0045】
【数3】
【0046】
以上から、イオンビームが停止位置Pnにあって照射時間がTnである場合の各領域のエッチング量は、それぞれの停止位置ごとに下記数式4のように示すことができる。なお、イオンビームが停止位置Pnに位置する際、停止位置Pnのエッチングレートに対する各領域のエッチングレートの比を予め求めておき、図11(a)に示すようにテーブルとしておくと、エッチングレートaを更に容易に算出することができ、好ましい。例えば、図11(a)に示す例では、停止位置の1つ隣の領域は0.8、2つ隣の領域は0.6であるため、エッチングレートa1、a2はそれぞれ、a1=0.8・a0、a2=0.6・a0とa0を用いて表すことができる。なお、上述したように、実測のエッチングレートが既定のエッチングレートの許容範囲に入らない場合は、このエッチングレートを実測値に沿うようにする。
【0047】
(数式4)
…
Pn−2;a−2Tn
Pn−1;a−1Tn
Pn ;a0Tn
Pn+1;a1Tn
Pn+2;a2Tn
…
【0048】
また、図9(b)に示すようにイオンビームの中心が停止位置Pn+1にあって、照射時間がTn+1である場合、それぞれの領域のエッチング量は、下記数式5に示される。
【0049】
(数式5)
…
Pn−2;a−3Tn+1
Pn−1;a−2Tn+1
Pn ;a−1Tn+1
Pn+1;a0Tn+1
Pn+2;a1Tn+1
…
【0050】
更に、図9(c)に示すようにイオンビームの中心が停止位置Pn−1にあって、照射時間がTn−1である場合、それぞれの領域のエッチング量は、下記数式6に示される。
【0051】
(数式6)
…
Pn−2;a−1Tn−1
Pn−1;a0Tn−1
Pn ;a1Tn−1
Pn+1;a2Tn−1
Pn+2;a3Tn−1
…
【0052】
以上を全ての停止位置(P−i,…,P−2,P−1、P0,P1,P2…,Pn,…,PN,PN+1…,PN+i)に応用することによって、基板31の各領域の全エッチング量は下記数式7に示され、更にこれを行列式で示す下記数式8で示すことができる。
【0053】
(数式7)
…
Pn−2;En−2=amTn−m−2+…+a−1Tn−1+a−3Tn+1+…+a−mTn+m−2
Pn−1;En−1=amTn−m−1+…+a0Tn−1 +a−2Tn+1+…+a−mTn+m−1
Pn ;E0 =amTn−m +…+a1Tn−1 +a−1Tn+1+…+a−mTn+m
Pn+1;En+1=amTn−m+1+…+a2Tn−1 +a0Tn+1 +…+a−mTn+m+1
Pn+2;En+2=amTn−m+2+…+a3Tn−1 +a1Tn+1 +…+a−mTn+m+2
…
【0054】
【数4】
【0055】
ここで、上述するようにエッチングレートaはイオンガン11の中心からの距離が定まれば定数として与えられるものであるから、数式7及び数式8はエッチング時間Tの多元連立一次方程式に相当する。従って、ガウス・ジョルダンの消去法、LU分解法、ガウス・ザウデルの反復法等、既知の解法によって十分な近似解を得ることが可能である。このようにして各停止位置Pにおけるエッチング時間Tを求めることができる。
【0056】
次に、以上の一次元のモデルを二次元に応用する。まず、図10に示すようにエッチングを施す基板31を升目状に区切り、一辺がピッチpの複数の正方形状の領域に区分する。次に基板31の領域上および基板31の周辺領域上のイオンガン11の停止位置をPと設定し、一次元の場合と同様に1行1列の領域の停止位置をP(1,1)、1行2列をP(1,2)…n行m列をP(n,m)と設定する。本実施形態では、エッチングの際に基板31の周縁領域を良好にエッチングできるよう、基板31より広い領域に停止位置を設け、例えば図10に示すように上下左右にそれぞれ行及び列を増加させる。停止位置Pは基板に等しい領域としてもよく、或いは基板より狭い領域としてもよい。基板の端の領域に必要な被エッチング総量が小さいことが前提となるが、イオンビームをより有効に利用できる。
【0057】
次に、イオンガン11が所定の停止位置にある場合のそれぞれの領域のエッチングレートを数式2及び数式3を用いて求める。一次元モデルでは、数式3のみでピッチの間隔pと停止位置からのピッチ数mを用いてビームからの距離をpmで表記することができたが、二次元モデルではこのような表記ができるのはイオンガンの停止位置の同行もしくは同列のみである。従って、停止位置に対して同列もしくは同行にない領域のエッチングレートは、数式2のxに停止位置からの距離(例えば各領域間の中心の距離)を代入することにより、エッチングレートを求める。なお、イオンガン11が所定の停止位置P(n,m)にある際、停止位置の中心におけるエッチングレートa(n,m)に対する周辺領域のエッチングレートa(n+i,m+j)の比を、予め図11(b)に示すようにテーブルとして算出しておくと、各領域のエッチングレートの算出が容易となって好ましい。例えば、図11に示す例では、イオンガン11の停止する領域の強度が1であり、停止位置に隣接する上下、左右の領域の強度が0.8、斜め上、下の各領域の強度が0.6である。これを用いると、P(n,m)に隣接するP(n−1,m)のエッチングレートは、a(n−1,m)=0.8・a(n,m)のようにa(n,m)を用いて表すことができる。
【0058】
次に、それぞれの領域のエッチング時間をTとし、数式8と同様の式を立てる。一次元と二次元では項の数が増加するのみで、二次元モデルでも一次元モデルと同様に多元一次連立方程式がたつ。従って、ガウス・ジョルダンの消去法、LU分解法、ガウス・ザウデルの反復法等、既知の解法によって十分な近似解を得ることが可能である。このようにして二次元モデルでも基板31の各領域のエッチング時間を算出することができる。
【0059】
なお、上述した二次元モデルでは領域の分割の仕方、ピッチ送りの移動距離等の設定によって、多元連立一次方程式は数十〜数千の次元となるが、次数は一次であるため、PC15を構成するパーソナルコンピュータの処理能力で十分近似解を求めることが可能である。この際、エッチング源(イオンガン11)の分布としては、単純な偶関数の方が計算は容易であり、ガウス分布、三角関数で表される分布が好ましい。
【0060】
このようにして、PC15は各停止位置Pにおけるエッチング時間Tを算出する。膜厚制御を厚みによって行う場合は、エッチング時間Tとエッチングレートaの積がエッチング量であるため、エッチング処理前の厚みからエッチング量を減算した値を目標の厚みとする。同様に、イオンガン11の位置に対応する測定領域の中間目標厚みTmは、各停止位置でのエッチング時間Tと、測定領域におけるエッチングレートaとの積からエッチング量を算出し、当該停止位置の前の測定領域の膜厚から当該エッチング量を減算することによって算出する。なお、中間目標厚みTmは、膜厚の制御に必要な領域のみ求めても、全領域の値を求めてもよい。
【0061】
PC15は、このようにして求めた各停止位置Pとその位置での測定領域の中間目標厚みTm又はエッチング時間Tとを対応付ける情報(制御パターン情報)を、制御部13に送信する。制御部13は、制御パターン情報を用いてXYステージ12、イオンガン11を制御し、各領域に所定のエッチングを施す。
【0062】
具体的には、制御部13は、i)XYステージ12を制御して、エッチング対象の基板31を所定ピッチpで移動する動作、ii)ピッチ送り完了後、XYステージ12を制御して中間目標厚みTmになるまで停止し、又は所定の停止時間Tだけ停止し、基板31にイオンビームを照射する、という制御を繰り返す。なお、イオンビームはエッチング開始から終了まで連続的に照射される。
【0063】
なお、XYステージ12の移動パターンとしては、例えば、図10に示すP(−i,−i)からP(−i,N+i)へと順番に移動し、続いてP(−i+1,N+i)からP(−i+1,−i)に移動する、というように各列を移動する動作を全ての行について行えばよい。なお、エッチングを施す方向、順序等は任意である。
【0064】
このように、本実施形態では、目標厚みを算出し、測定点を含む領域にエッチングを行い、相対位置制御手段をもとに相対位置調整手段又はエッチング源を制御する。これにより、エッチングを良好に行うことができる。
【0065】
(第2実施形態)
第2実施形態に係るエッチング装置、エッチング方法及びプログラムについて説明する。本実施形態が上述した第1実施形態と異なるのは、測定装置81から得られた測定点の厚みの情報から、イオンガン11の実測のエッチングレートを算出し、既定のエッチングレートと比較し、許容範囲以上の変化がある場合、エッチング時間を算出する際に用いるエッチングレートにこの変化を反映させたという点にある。
【0066】
本実施形態では、測定装置81は、(1)測定点のエッチング前の厚みと、(2)測定点にイオンガン11を設置した上で所定の時間だけ測定点の領域をエッチングした後の厚みと、(3)測定点に近接する領域にイオンガン11を設置した上で所定の時間だけ測定点に近接する領域をエッチングした後の、測定点の領域の厚みと、を測定する。この測定した測定点の厚みは、制御部13を介してPC15に送信され、PC15によって実測のエッチングレートが算出される。なお、エッチングレートとは、単位時間あたりのエッチング量に相当する。実測のエッチングレートが、既定の値より許容範囲以上に変化している場合、エッチング時間を算出する際に、この計算式のエッチングレートへ反映させる。このように測定点領域をエッチングした際と、近接する領域をエッチングした際の厚みを測定することにより、エッチング時間を算出する際のエッチングレートを実際の値に近づけることができる。
【0067】
次に、上述した構成を採るエッチング装置80の動作を図2及び図13のフローチャートと、数式とを用いて説明する。
まず、エッチングを施す基板31を用意する。基板31は図2に点線で示すように複数の素子を形成することができる面積を備える。また、基板31には、予め測定点が設置されており、例えば図2に×印で示す領域が測定点(測定領域)と設定される。
次に、この測定領域の厚みTh0を、測定装置81によって測定する(ステップS81)。続いて、イオンガン11の中心が測定領域に位置するよう、ステージ12を駆動し、測定領域を予め定めた時間エッチングし(ステップS82)、エッチング終了後の測定領域の厚みTh1を測定する(ステップS83)。
【0068】
続いて、×印で示す測定領域に近接する領域(例えば図2に示す上下、左右の領域)にイオンガン11の中心が位置するよう、ステージ12を駆動し、近接領域をエッチングする(ステップS84)。この近接領域をエッチングした際には、測定領域までイオンビームが届くため、測定領域もエッチングを受けるため、近接領域のエッチング後の測定領域の厚みTh2を測定装置81によって測定する(ステップS85)。なお、これらの測定領域の厚みの情報は、制御部13を介して、PC15に送られる。
【0069】
このようにして測定した、測定領域の厚みTh0、Th1、Th2から、PC15は、単位時間あたりのエッチング量を算出し、エッチングレートを算出する(ステップS86)。次に、PC15は、この実測エッチングレートが、既定のエッチングレートの許容範囲内に入るか否かを判別し、許容範囲に入らない場合は(ステップS87;No)は、実測エッチングレートを既定のエッチングレートに置き換える、実測エッチングレートに補正するための係数を既定のエッチングレートにかける、等によって既定のエッチングレートに実測値を反映させる(ステップS88)。次に、エッチング時間を算出する(ステップS89)。一方、実測エッチングレートの変化が、所定の許容範囲に入る場合(ステップS87;Yes)は、既定のエッチングレートを用いて、エッチング時間を算出する(ステップS89)。図13に示すフローチャートではエッチング時間を算出するがエッチング厚みを算出してもよい。なお、エッチング時間又は厚みの算出方法は第1実施形態に記述の通りである。エッチング時間を算出した後、エッチング処理を行う(ステップS90)。
【0070】
このように、本実施形態では、エッチング時間又は厚みを算出しエッチング処理を行うのに先立って、測定点を含む領域と、この測定領域に近接する領域を中心にエッチングを行い、実際のエッチング量を測定する。この測定値から、実測のエッチングレートを算出し、既定のエッチングレートの許容範囲に入るか否かを判別し、許容範囲を超える場合、実測のレートをエッチング時間又は厚み算出時のエッチングレートに反映させる。このようにエッチングレートを補正することにより、エッチング量を正確に把握し、算出されるエッチング時間又は厚みをより正確とすることができる。これにより、エッチングを良好に行うことができる。
【0071】
本発明は上述した実施形態に限られず様々な変形及び応用が可能である。
上述した第1実施形態と第2実施形態と組み合わせることも可能である。また、上述した実施形態では、測定点を基板の1箇所に設ける場合を例に挙げて説明したが、測定点を複数箇所に設けることも可能である。例えば、第2実施形態において、測定点の上下でエッチングした際の厚みの変化を測定すると、イオンビームの上下で補正を行うことが出来る。例えば、図11(b)に示すレートの表を用いて説明すると、中心の上では0.7、下では0.8というように、個別に補正を行うことが出来る。左右についても同様である。
【0072】
また、図14に示すように複数の測定点を設けた上で、エッチング処理を行いながら、厚みを測定することも可能である。この場合、各領域で所定時間エッチングさせた場合のエッチング量を測定することにより、所定量のエッチングに至らない場合は、更にエッチング時間を追加する、もしくは所定のエッチング量に至った場合はエッチングを打ち切る等して、実際のエッチング処理に測定結果をフィードバックさせることにより、更に正確なエッチング処理が可能となる。
【0073】
また、イオンガン11から出射されるイオンビームの電流密度(イオン密度)の分布は、図5及び図6に示すものに限定されず、より急峻な勾配或いはより穏やかな勾配でもよく、さらには、より狭い照射範囲でもより広い照射範囲でもよい。さらに、電流密度のピーク値もより大きくても或いは小さくてもよい。ただし、エッチング性能を有することが前提となる。
【0074】
更に、上記実施形態では、XYステージ12により、基板31を一定のピッチで移動し、各停止位置における停止時間を変化させイオンビームの照射時間を変化させる動作例を説明した。ただし、この制御パターンに限定されず、例えば、基板31を連続的な速度vで移動させつつ、イオンガン11を制御しイオンビームを照射する時間Tを各領域ごとに変化させることにより、全体として所望のエッチング量の分布を得るようにしてもよい。この場合、例えば所定の領域内にエッチング中心がある場合、その領域の中心を停止位置と仮定し、各領域内にエッチング中心が存在する時間を、上述した実施形態のピッチ送り間隔と考えることにより、上述した数式を用いてイオンガンによるエッチング時間を算出することができる。また、イオンガン11をエッチング開始から終了まで連続的に照射させ、エッチング対象である基板31を速度vで移動させ、この速度vまたはエッチング強度を変化させることにより、全体として所望のエッチング量の分布を得るようにしてもよい。
【0075】
また、上述した実施形態では、XYステージ12を移動させる移動距離を一定とし、停止時間を制御しイオンガン11からイオンビームを照射する時間を制御させたが、これに限られず、XYステージ12の移動速度、もしくはピッチ送りの時間間隔を一定にし、イオンガン11による照射時間を変化させ、エッチング時間を調節することもできる。例えば、制御部13は、i)XYステージ12を制御して、エッチング対象の基板31を所定ピッチpで移動する動作、ii)ピッチ送り完了後、一定の時間XYステージを停止し、イオンガン11を制御して、基板31にイオンビームを各停止位置に応じた時間Tだけ照射するという制御を繰り返す。
【0076】
なお、基板31とXYステージ12との相対位置の移動速度、イオンガン11によるエッチング時間、エッチング強度は、必ずしも2つを一定にする必要はなく、これらのうちいずれか2つを変化させても良いし、全てを変化させても良い。
【0077】
また、上述した実施形態では、PC15によって算出されたエッチング時間に基づき、制御部13がXYステージのステージ制御部及びイオンガン11を制御する場合を例に挙げたが、XYステージ12及びイオンガン11の制御方法はこれに限られない。例えば、シーケンサからなるステージ制御部を介さず、制御部13によってXYステージ12を制御することも可能であるし、PC15に制御部13の機能を持たせることも可能である。また、XYステージ12の移動量を制御部13もしくはPC15にフィードバックさせてもよい。
【0078】
本実施形態ではエッチング源であるイオンガンを固定し、XYステージによって基板を移動させるが、基板を固定し、XYステージによってイオンガンを移動させる構成としてもよい。或いは、基板をX軸方向に移動させ、イオンガンをY軸方向に移動させる等の構成としてもよい。
【0079】
また、上述した実施形態ではエッチング源としてイオンガンを例に挙げて説明したが、エッチング用粒子を生成するものであればこれに限られずプラズマ等のエッチング源、電子ビーム、反応性プラズマエッチングなどを用いることが可能である。
【0080】
以上説明した実施形態のエッチング方法によれば、エッチング対象物が、隣接する領域は不連続であって全体としてみれば連続的であるような準連続的に形状が変化しているものに対しても所望の形状を得ることが可能である。また基板の平面形状も方形の基板31を例に挙げたがこれに限られず、例えば円形、楕円形、多角形等であっても良い。更に連続的に形状が変化するものであれば、平板状に限られず曲面状であってもよい。
【0081】
また、エッチングの対象として半導体ウエハなどの基板31を例示したが、エッチングの対象は任意であり、半導体ウエハ、該ウエハ上に形成された任意の材質の膜、任意の材質の基体、その上に形成された層、等、任意である。
【0082】
第1及び第2の実施形態では、エッチング源を用いているが、蒸着やスパッタ等の成膜に応用することも可能である。上記実施形態における被エッチング総量を、目的の膜厚までに必要な被成膜量とし、上記実施形態におけるエッチング(質量除去)を成膜(質量付加)として、膜厚測定手段を用い同様の処理をすればよい。
【0083】
例えば、図1を例に挙げると、イオンガン11を所定の成膜分布を有する成膜源に置き換え、XYステージ12上には成膜対象物を載置する。測定装置81は、成膜対象物の所定の測定位置において厚みを測定する。成膜対象物の被成膜量の分布と成膜源のレート分布とに基づいて、成膜対象物の各位置における成膜総量が被成膜量に対応する最終目標厚みとなるように、所定の測定位置での成膜対象物の中間目標厚みを成膜位置(成膜源と成膜対象物との相対位置)に対して算出する。制御部は、測定手段によって測定された測定位置における成膜対象物の厚みが、中間目標厚みに到達した時点で、XYステージを移動させ、成膜源の中心を移動させながら成膜を重ね合わせる。これにより、成膜対象物全体において所望の目標形状を得ることが可能となる。
【符号の説明】
【0084】
80 エッチング装置
11 イオンガン(エッチング源)
12 XYステージ
13 制御部
14 真空槽
15 PC
31 基板
81 測定装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品等の製造に利用されるエッチング装置、エッチング方法及びエッチングプログラム、並びに成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体、電子部品製造の分野では基板上に薄膜を形成し、デバイスとする技術が一般に用いられている。例えば圧電素子を例に挙げると、圧電材料からなるウエハ又は基板上に電極膜を成膜し、数十〜数千個の複数の素子を形成した後、個々の素子に切り分けることにより、圧電素子が製造される。
【0003】
圧電素子は、利用する振動モードによっても異なるが、例えば厚みすべり振動を利用した振動素子では、その基板の厚み、電極膜の厚みによって周波数が決まるため、これらの厚みの精度によって周波数精度が決まる。なお、表面弾性波素子でも、その電極膜の厚みの精度によって周波数精度が決まる。従って、これらの素子で所望の周波数精度を得るためには、基板、電極膜の厚みを制御することが重要である。
【0004】
しかし、現在基板に用いられる研磨技術の精度は十分でなく、基板内での厚みの分布が生じる。更にスパッタ蒸着で成膜された電極膜にも厚み分布が生ずるため、同一基板内に形成された素子は周波数特性にばらつきが生ずる問題がある。
【0005】
そこで、基板内の厚みのばらつきを抑制するため、基板の各領域において必要な被エッチング総量を事前に算出し、被エッチング総量に達するエッチング時間を領域毎に算出する構成がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−214215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に開示されているように必要な被エッチング総量を事前に算出し、領域毎のエッチング時間を算出した場合であっても、実際のイオンビームのエッチング分布が既定の分布とずれると、所定のエッチング量に到達せず、もしくは所定のエッチング量以上にエッチングが施されてしまい、所望の形状にエッチングをすることができないという問題がある。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、イオンビームの既定のエッチング分布と実際のエッチング分布とのずれを補正し、良好に任意の形状に加工することが可能なエッチング装置、エッチング方法及びプログラムを提供することを目的とする。同時に、良好に任意の形状に膜形成することが可能な成膜装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るエッチング装置は、
所定のエッチング分布を有するエッチング源と、
エッチング対象物を載置するステージと、
前記エッチング源と前記ステージとの相対位置を調整する相対位置調整手段と、
前記エッチング対象物の所定の測定位置において厚みを測定する測定手段と、
前記エッチング対象物の被エッチング量の分布と前記エッチング源のレート分布とに基づいて、前記エッチング対象物の各位置におけるエッチング総量が被エッチング量に対応する最終目標厚みとなるように、前記測定位置の前記エッチング対象物の中間目標厚みを前記相対位置に対して算出し、前記相対位置調整手段と前記エッチング源との少なくとも一方を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記測定位置の前記エッチング対象物の厚みが、前記中間目標厚みに到達した時点で、前記エッチング源と前記ステージとの相対位置を移動させ、前記エッチング源の中心を移動させながらエッチング照射を重ね合わせることによって前記エッチング対象物全体において所望の目標形状を得ることを特徴とする。
【0010】
前記制御手段は、前記測定手段によって測定される前記エッチング対象物の厚み変化から、前記エッチング対象物の所定時間あたりのエッチング量を算出し、既定の値を超える場合、前記エッチング分布を補正し、前記中間目標厚みを再算出してもよい。
【0011】
前記測定手段の測定点は、前記エッチング対象物の一点であり、
前記制御手段は、前記測定点と、前記測定点の周囲をエッチングした際の前記測定点の厚みの変化から、前記エッチング分布を補正してもよい。
【0012】
前記制御手段は、
前記エッチング源を制御して、粒子ビームを連続的に照射させ、
前記相対位置調整手段を制御して、前記エッチング対象物を前記エッチング源に対してピッチ送りで移動させ、各ピッチ位置での停止時間を調節することによって、各ピッチ位置での前記粒子ビームの照射時間を制御してもよい。
【0013】
前記制御手段は、
前記相対位置調整手段を制御して前記エッチング対象物を前記エッチング源に対して所定ピッチで移動させ、
前記エッチング源を制御して、各ピッチ位置での前記エッチング源からの粒子ビームの照射強度を制御してもよい。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係るエッチング方法は、
既知のエッチング分布を有するエッチング源によりエッチング対象物のエッチング対象エリアに粒子ビームを生成すると共に前記エッチング源と前記エッチング対象物との相対位置を移動させることにより、前記エッチング対象エリアをエッチングするエッチング方法において、
測定手段によって前記エッチング対象物の所定の測定位置における厚みを測定し、
前記エッチング対象エリアの各位置において、前記エッチング用粒子の強度の積分値が被エッチング量の分布に一致し最終目標厚みとなるように、前記エッチング源のレート分布に基づいて、前記所定の測定位置の中間目標厚みを前記相対位置に対して算出し、前記エッチング源と、前記エッチング源と前記エッチング対象との相対位置と、を制御し、
前記測定手段によって測定された前記エッチング対象物の厚みが、前記エッチング対象物の中間目標厚みに到達した時点で、前記エッチング源と前記ステージとの相対位置を移動させ、前記エッチング源の中心を移動させながらエッチング照射を重ね合わせることによって前記エッチング対象物全体において所望の目標形状を得る、ことを特徴とする。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係るエッチングプログラムは、
コンピュータによる、
既知のエッチング分布を有するエッチング源によりエッチング対象物のエッチング対象エリアに粒子ビームを生成すると共に前記エッチング源と前記エッチング対象物との相対位置を移動させることにより、前記エッチング対象エリアをエッチングするエッチング方法の制御であって、
測定手段に前記エッチング対象物の所定の測定位置における厚みを測定させ、
前記エッチング対象エリアの各位置において、前記エッチング用粒子の強度の積分値が被エッチング量の分布に一致し最終目標厚みとなるように、前記エッチング源のレート分布に基づいて、前記測定位置における中間目標厚みを前記相対位置に対して算出し、前記エッチング源と、前記エッチング源と前記エッチング対象との相対位置と、を制御し、
前記測定手段によって測定される前記エッチング対象物の厚みが、前記エッチング対象物の中間目標厚みに到達した時点で、前記エッチング源と前記ステージとの相対位置を移動させ、前記エッチング源の中心を移動させながらエッチング照射を重ね合わせることによって前記エッチング対象物全体において所望の目標形状を得る、ことをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の第4の観点に係る成膜装置は、
所定の成膜分布を有する成膜源と、
成膜対象物を載置するステージと、
前記成膜源と前記ステージとの相対位置を調整する相対位置調整手段と、
前記成膜対象物の所定の測定位置において厚みを測定する測定手段と、
前記成膜対象物の被成膜量の分布に基づいて、前記成膜対象物の各位置における成膜総量が被成膜量に対応する最終目標厚みとなるように、前記成膜源のレート分布に基づいて、前記測定位置における中間目標厚みを前記相対位置に対して算出し、前記相対位置調整手段と前記成膜源との少なくとも一方を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記測定手段によって測定される前記成膜対象物の厚みが、前記成膜対象物の中間目標厚みに到達した時点で、前記成膜源と前記ステージとの相対位置を移動させ、前記成膜源の中心を移動させながら成膜を重ね合わせることによって前記成膜対象物全体において所望の目標形状を得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、エッチング対象物のエッチング量を測定する測定手段を用いることにより、良好に任意の形状に加工することが可能なエッチング装置、エッチング方法及びエッチングプログラムを提供することができる。また、成膜対象物の成膜量を測定する測定手段を用いることにより、良好に任意の形状に膜形成することが可能な成膜装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態に係るエッチング装置の構成例を模式的に示す図である。
【図2】第1実施形態に係るエッチング装置によってエッチングされる基板を模式的に示す図である。
【図3】第1実施形態に係るエッチング処理を示すフローチャートである。
【図4】図4(a)〜(c)はイオンガンの引き出し孔のノズルを示す図である。
【図5】(a)は、図4(a)に示す引き出し孔を用いた際の電流密度分布を示す図である。
【図6】図6(b)は図4(b)に示す引き出し孔を用いた際の電流密度分布を示す図であり、図6(c)は、図4(c)に示す引き出し孔を用いた際の電流密度分布を示す図である。
【図7】エッチング源が一次元方向のみに移動しエッチングが施される場合の基板を示す図である。
【図8】イオンガンの各停止位置における電流密度分布を示す図である。
【図9】(a)は停止位置Pnにおける電流密度分布を示す図である。(b)は停止位置Pn+1における電流密度分布を示す図である。(c)は停止位置Pn-1における電流密度分布を示す図である。
【図10】エッチング源が二次元方向に移動しエッチングが施される場合の基板を示す図である。
【図11】(a)はエッチング源が一次元方向にのみ移動する際のエッチングレートの比のテーブルを模式的に示す図であり、(b)はエッチング源が二次元方向に移動する際のエッチングレートの比のテーブルを模式的に示す図である。
【図12】図12(a)はエッチング対象物を模式的に示す平面図であり、図12(b)は図12(a)のB−B線断面図である。
【図13】第2実施形態に係るエッチング処理を示すフローチャートである。
【図14】測定点を複数箇所に設置する変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の各実施形態に係るエッチング装置、エッチング方法及びエッチングプログラムについて図面を参照して説明する。
【0020】
(第1実施形態)
第1実施形態に係るエッチング装置80の構成を図1に示す。また、図2に本実施形態のエッチング装置80によってエッチングされる基板31を模式的に示す。
【0021】
図1に示すようにエッチング装置80は、イオンガン11と、XYステージ12と、制御部13と、真空槽14と、PC15と、測定装置81と、を備える。イオンガン11とXYステージ12とは、真空槽14内に設置され、真空槽14によって大気から遮断されている。
【0022】
イオンガン11は、イオンビームを生成する装置である。イオンガン11のチャンバ内には例えばArが導入され、チャンバ内でアノードとフィラメントの間に直流電圧を印加し、直流熱陰極放電を起こすことによりArプラズマを発生させる。続いてArの正イオンを加速器によって加速させ、引き出し孔からイオンビームとして取り出す。イオンガンは直流熱陰極放電を利用するものに限らず、RFイオン源やマイクロ波イオン源を用いてもよい。イオンビームの電流密度、即ち、イオン密度は、引き出し孔の数、形状等により変化する。また、これらの引き出し孔を用いた場合の電流密度分布を図5及び図6に示す。図5(a)の電流密度分布は図4(a)の引き出し孔を用いた場合に対応し、図6(b)は図4(b)、図6(c)は図4(c)に対応する。なお、点は実測値であり、図5(a)及び図6(b)に示す線はガウス分布による近似である。なお、いずれのグラフも、イオンガン11とエッチング対象の基板31とを対向して配置して、基板31のイオンガン11の中心と対向する位置を原点としたときの原点からの距離と照射されるイオンビームの電流密度との関係を示すものである。
【0023】
詳細に後述するように、本実施形態ではイオンガン11から照射されるイオンビームの電流密度分布をガウス分布で近似し、エッチングレートを算出することによりイオンガンと基板との各相対位置におけるエッチング照射量(エッチング時間又は厚み)を算出する。従って、電流密度分布は、図5(a)又は図6(b)に示すようにガウス分布で近似することができることが好ましい。このため、本実施形態では図4(a)、(b)のようにほぼ同径の孔が形成された引き出し孔を用いるのが好ましい。また、図5(a)及び図6(b)から明らかなように孔の数を増やすと電流密度分布は横に広がる傾向を示す。従って、実施するエッチングの細密さ等に応じて孔の数を調節すると良い。また、電流密度分布は、孔の形状、数、配置、放電電流、エッチング源とエッチング対象との距離等を調節することにより制御できるため、ガウス分布、三角関数等で演算する場合は、所望の分布を得ることができるように、予めこれらの条件を調整しておけばよい。なお、電流密度分布は必ずしもガウス分布、三角関数等を用いた波形として表す必要はなく実測値を用いることも可能である。この場合、図4(c)のように径の異なる孔が形成された引き出し孔を用いることができる。
【0024】
XYステージ12は、載置台12a、シーケンサ等からなるステージ制御部、モータ等から構成されるステージ駆動部等を備える。図1に示すように載置台12aのイオンガン11に対向する面上には、エッチングが施される基板31が設置される。XYステージ12のステージ駆動部は、ステージ制御部によって制御され、更にステージ制御部は制御部13によって制御される。ステージ駆動部によって載置台12aはX軸及びY軸方向(図1の水平面)に移動する。XYステージ12の移動形態は、ピッチ送り(一定距離だけ移動して一旦停止する動作を繰り返す処理)でも、等速又は速度を変動させながら連続的に移動させる形態も可能である。本実施形態ではエッチング源であるイオンガン11が固定されているため、このXYステージ12の移動によって、基板31とイオンガン11との相対位置を調節する。
【0025】
測定装置81は、基板31の厚みを測定する装置であり、FTIR(フーリエ変換赤外分光計)等からなる。基板の厚みを測定する手段はFTIR(フーリエ変換赤外分光計)に限らず、例えば測定光の透過率又は反射率から厚み測定してもよい。なお、エッチング対象が水晶振動子等である場合、周波数測定装置等であってもよい。この場合、被加工物は、例えば図12(a)及び(b)に示すように凹部を備える載置部内に設置される。測定装置81は、制御部13によって制御されており、基板31の予め定めた測定点の厚みを測定する。
【0026】
制御部13は、例えばマイクロプロセッサ等から構成され、PC15によって算出されたエッチング照射量等のエッチング条件、シャッタによって基板を覆う条件、測定装置81の測定結果に沿ってイオンガン11と、XYステージ12と、測定装置81と、を制御する。
【0027】
PC15は、パーソナルコンピュータ等から構成される。PC15は、詳細に後述するように、予めエッチング装置80とは独立して設けられたFTIR(フーリエ変換赤外分光計)等の測定装置によって測定された基板31の厚み分布を基に、基板31のエッチング対象領域で必要となる被エッチング量の分布を判別する。判別には測定装置81を用いてもよいが、他の測定手段を用いてもよい。さらに、PC15は、この被エッチング量の分布、エッチングビームの電流密度分布(エッチング分布)、XYステージ12の移動速度等から、基板31の各領域にエッチングを施す時間、該時間経過後の各領域における厚み等を算出する。相対位置調整手段及び/又はエッチング源を測定装置81からの出力のみで制御する場合は、エッチング時間を算出せず、厚みのみを算出してもよい。基板31の一領域を仮に領域Aとすると、イオンガン11の照射範囲は基板31の領域Aよりも広く、XYステージの移動によりイオンガン11と基板31との相対位置が変化しても、領域Aがイオンガン11の照射範囲内に含まれる限り領域Aはエッチングされ続ける。イオンガン11と基板31との相対位置に対応した領域Aの目標厚みを中間目標厚みとし、各相対位置に対し複数の中間目標厚みを算出する。この複数の中間目標厚みは、総エッチング後、領域Aが最終目標厚みになるように設定する。ここで、最終目標厚みとは、エッチング対象物の各位置に対応した個々の値であり、均一なエッチングに限らず、所望の形状となるように最終目標厚みは任意の値に設定できる。
【0028】
次に、上述した構成を採るエッチング装置80の動作を図2及び図3のフローチャートと、数式とを用いて説明する。
【0029】
まず、エッチングを施す基板31を用意する。基板31は図2に点線で示すように複数の素子を形成することができる面積を備える。また、基板31には、予め測定点が設置されており、例えば図2に×印で示す領域が測定点(測定領域)と設定される。
【0030】
次に、イオンガン11の中心が測定領域に位置するよう、XYステージ12を駆動し、測定領域をエッチングする(ステップS811)。エッチング中、測定装置81によってこの測定領域の厚みThを測定する(ステップS812)。なお、測定領域の厚みの情報は、制御部13を介して、PC15に送られる。PC15は、この実測厚みが、予め算出した中間目標厚みの許容範囲内に入るか否かを判別し、許容範囲に入ると(ステップS813;Yes)、測定領域を中心とするエッチングを終了させる。エッチングの終了は、ステージ12の駆動により行う(ステップS814)。実測厚みが、中間目標厚みより大きい場合は(ステップS813;No)、ステップS811に戻り、エッチングと厚みThの測定を継続する。本実施形態では実測厚みに基づいてステージ12のみを駆動制御するが、イオンガン11を制御してもよい。
【0031】
続いて、×印で示す測定領域に近接する領域(例えば図2に示す上下、左右の領域)にイオンガン11の中心が位置するよう、ステージ12を駆動し、近接領域をエッチングする(ステップS815)。PC15は、測定領域がエッチング照射範囲内か否かを判別し、照射範囲内である場合は(ステップS816;Yes)、エッチング中、測定領域の厚みThを測定装置81によって測定する(ステップS817)。照射領域がエッチング範囲外である場合は(ステップS816;No)、測定領域の厚みThは測定せず、エッチング時間により制御する(ステップS820)。時間制御によるエッチングの終了は、ステージ12の駆動により行う(ステップS814)。PC15は、実測領域の厚みが、予め算出した測定領域における中間目標厚みの許容範囲内に入るか否かを判別し、許容範囲に入ると(ステップS818;Yes)、ステージ12を駆動させ(ステップS814)、近接領域を中心とするエッチングを終了させる。許容範囲に入らない場合(ステップS818;No)、更にエッチング処理を施し(ステップS819)、再度測定領域の厚みThを測定する(ステップS817)。
【0032】
第1実施形態では、少なくとも測定点(測定領域)を含む領域をエッチング照射する際に、測定点の膜厚を測定し、測定装置81の出力からステージ12を駆動制御(以下、膜厚制御と称する。)することを特徴とする。
【0033】
測定点がエッチング照射領域に含まれない場合は、エッチング時間により制御(以下、時間制御と称する。)すればよい。図3に示すフローチャートでは、測定領域の近接領域を中心にエッチングする場合にも膜厚制御する場合を例に挙げているが、測定領域を中心にエッチングする場合のみ膜厚制御してもよい。イオンガンの中心を測定する方が膜厚変化が大きく測定精度が向上するためである。測定装置81をXYステージに搭載し、測定領域が常にイオンガンの中心に一致するように測定装置81を駆動してもよい。この場合、ステージ12が測定装置81を搭載するか、又は他のXYステージをステージ12に同期して動作させればよい。また、測定領域が常にエッチングの中心からずれていれもよい。例えば、ステージ12の移動による複数回のエッチング照射のうち最終のエッチングにおける膜厚を測定制御すれば、被エッチング量を厚みで測定制御することができ、測定精度を向上させることができる。測定領域、並びに、膜厚制御及び時間制御は適宜選択すればよい。図3に示すフローチャートではイオンガン11の中心を測定領域に位置させてからエッチング処理を開始しているが、測定領域に近接する領域にイオンガン11の中心を位置させてからエッチング処理を開始し、エッチングステップの途中または最後にイオンガン11の中心を測定領域に位置させてもよい。
【0034】
エッチング照射量(エッチング時間T又は厚みTh)の算出は下記のように行う。
【0035】
基板31の厚みの分布を例えば、FTIR(フーリエ変換赤外分光計)等によって測定する。また、図5(a)、図6(b)に示すようなイオンガン11の電流密度分布は予め得ておく。
【0036】
続いて、測定装置等で測定された基板31の厚み分布に基づき、PC15は、基板31上に仮想的に形成したメッシュの各領域で必要な被エッチング量を算出する。さらにPC15は、以下に示す数式に従って、各領域で必要な被エッチング量と、イオンビームの電流密度分布(エッチング分布)等から、エッチング処理の制御パターンを算出する。
【0037】
理解を容易にするため、まず一次元のモデルを用いて説明する。図7に示すように、エッチングが施される対象は、一定のピッチpで、ピッチpと同じ辺を備える正方形状の領域がN個一列に並んだ構成であると仮定する。なお、ピッチpはイオンガン11と基板31との移動ピッチに相当する。本実施形態ではピッチpはイオンガン11の電流密度分布の標準偏差sから、p=s/2と設定する。なお、ピッチpの設定は正方形状に限らず任意であって、製造する素子のサイズに設定することも可能である。
【0038】
エッチング装置80は、XYステージ12を制御して、図8に示すようにイオンガン11のイオンビームの中心位置を、エッチング対象の各矩形領域の停止位置に順々に停止させ、イオンビームを適当な時間照射する。それぞれの位置で停止した際にエッチングされる総量が各領域のエッチング総量となる。
【0039】
ここでイオンビームの中心の停止位置をPとおく。なお本実施形態では、それぞれの端の領域が十分にエッチングされるように、ビームの停止位置を各領域の端からいくつか多く設定する。従って、ビームの停止位置は図7に示すようにP−i,…,P−2,P−1、P0,P1,P2…,Pn,…,PN,PN+1…,PN+iとなる。停止位置Pは基板上に仮想的に形成したメッシュの各領域に等しくなるように、P1,P2…,Pn,…,PN−1,PNと設定してもよい。或いは、基板の端の領域に必要な被エッチング総量が小さい場合には、基板上に仮想的に形成したメッシュの各領域よりもいくつか少なくなるように、停止位置PをPi,Pi+1,…,Pn,…,PN-(i+1),PN―iとしてもよい。停止位置Pの範囲が小さいほど、イオンビームをより有効に利用できる。次に、それぞれの停止位置でエッチングを施す時間をTとすると、各停止位置でのエッチング時間は、T−i,…,T−2,T−1、T0,T1,T2…,Tn,…,TN,TN+1…,TN+iとで示される。また、各領域のエッチング総量をE1,E2…,En,…,ENとする。なお、本実施形態ではピッチ送りの際の移動距離は一定であり、各領域の停止位置で停止する時間は、各領域ごとに設定される。従って、エッチング時間Tとは、停止位置Pにおけるビームの停止時間を示す。
【0040】
また、一般にエッチング量Eは、以下に示す数式1で与えられる。なお、式1のTはイオンガン11によるエッチング時間であり、Cは、スパッタ率S、分子量M、アボガドロ数NA、密度D、電子の素電荷e等で決まる比例定数である。
【0041】
【数1】
【0042】
また、上述したようにイオンガン11の電流密度分布は既知であり、この分布はガウス分布により下記数式2に示すように近似することが可能である。なお、数式2のAはガウス分布における曲線と基線の間の全面積であり、wは標準偏差sの2倍である。
【0043】
【数2】
【0044】
次に、図9(a)に示すようにイオンビームの中心がある停止位置Pnにあるとき、イオンビームの中心に相当する領域のエッチングレートa0を、a0=Ibd・Cとする。このとき停止位置Pnの周辺領域のエッチングレートa1,a2,a3,…,am及びa−1,a−2,…,a−mは、数式2のxにエッチング中心からの離間する距離pmを代入することにより、下記数式3のように示すことができる。
【0045】
【数3】
【0046】
以上から、イオンビームが停止位置Pnにあって照射時間がTnである場合の各領域のエッチング量は、それぞれの停止位置ごとに下記数式4のように示すことができる。なお、イオンビームが停止位置Pnに位置する際、停止位置Pnのエッチングレートに対する各領域のエッチングレートの比を予め求めておき、図11(a)に示すようにテーブルとしておくと、エッチングレートaを更に容易に算出することができ、好ましい。例えば、図11(a)に示す例では、停止位置の1つ隣の領域は0.8、2つ隣の領域は0.6であるため、エッチングレートa1、a2はそれぞれ、a1=0.8・a0、a2=0.6・a0とa0を用いて表すことができる。なお、上述したように、実測のエッチングレートが既定のエッチングレートの許容範囲に入らない場合は、このエッチングレートを実測値に沿うようにする。
【0047】
(数式4)
…
Pn−2;a−2Tn
Pn−1;a−1Tn
Pn ;a0Tn
Pn+1;a1Tn
Pn+2;a2Tn
…
【0048】
また、図9(b)に示すようにイオンビームの中心が停止位置Pn+1にあって、照射時間がTn+1である場合、それぞれの領域のエッチング量は、下記数式5に示される。
【0049】
(数式5)
…
Pn−2;a−3Tn+1
Pn−1;a−2Tn+1
Pn ;a−1Tn+1
Pn+1;a0Tn+1
Pn+2;a1Tn+1
…
【0050】
更に、図9(c)に示すようにイオンビームの中心が停止位置Pn−1にあって、照射時間がTn−1である場合、それぞれの領域のエッチング量は、下記数式6に示される。
【0051】
(数式6)
…
Pn−2;a−1Tn−1
Pn−1;a0Tn−1
Pn ;a1Tn−1
Pn+1;a2Tn−1
Pn+2;a3Tn−1
…
【0052】
以上を全ての停止位置(P−i,…,P−2,P−1、P0,P1,P2…,Pn,…,PN,PN+1…,PN+i)に応用することによって、基板31の各領域の全エッチング量は下記数式7に示され、更にこれを行列式で示す下記数式8で示すことができる。
【0053】
(数式7)
…
Pn−2;En−2=amTn−m−2+…+a−1Tn−1+a−3Tn+1+…+a−mTn+m−2
Pn−1;En−1=amTn−m−1+…+a0Tn−1 +a−2Tn+1+…+a−mTn+m−1
Pn ;E0 =amTn−m +…+a1Tn−1 +a−1Tn+1+…+a−mTn+m
Pn+1;En+1=amTn−m+1+…+a2Tn−1 +a0Tn+1 +…+a−mTn+m+1
Pn+2;En+2=amTn−m+2+…+a3Tn−1 +a1Tn+1 +…+a−mTn+m+2
…
【0054】
【数4】
【0055】
ここで、上述するようにエッチングレートaはイオンガン11の中心からの距離が定まれば定数として与えられるものであるから、数式7及び数式8はエッチング時間Tの多元連立一次方程式に相当する。従って、ガウス・ジョルダンの消去法、LU分解法、ガウス・ザウデルの反復法等、既知の解法によって十分な近似解を得ることが可能である。このようにして各停止位置Pにおけるエッチング時間Tを求めることができる。
【0056】
次に、以上の一次元のモデルを二次元に応用する。まず、図10に示すようにエッチングを施す基板31を升目状に区切り、一辺がピッチpの複数の正方形状の領域に区分する。次に基板31の領域上および基板31の周辺領域上のイオンガン11の停止位置をPと設定し、一次元の場合と同様に1行1列の領域の停止位置をP(1,1)、1行2列をP(1,2)…n行m列をP(n,m)と設定する。本実施形態では、エッチングの際に基板31の周縁領域を良好にエッチングできるよう、基板31より広い領域に停止位置を設け、例えば図10に示すように上下左右にそれぞれ行及び列を増加させる。停止位置Pは基板に等しい領域としてもよく、或いは基板より狭い領域としてもよい。基板の端の領域に必要な被エッチング総量が小さいことが前提となるが、イオンビームをより有効に利用できる。
【0057】
次に、イオンガン11が所定の停止位置にある場合のそれぞれの領域のエッチングレートを数式2及び数式3を用いて求める。一次元モデルでは、数式3のみでピッチの間隔pと停止位置からのピッチ数mを用いてビームからの距離をpmで表記することができたが、二次元モデルではこのような表記ができるのはイオンガンの停止位置の同行もしくは同列のみである。従って、停止位置に対して同列もしくは同行にない領域のエッチングレートは、数式2のxに停止位置からの距離(例えば各領域間の中心の距離)を代入することにより、エッチングレートを求める。なお、イオンガン11が所定の停止位置P(n,m)にある際、停止位置の中心におけるエッチングレートa(n,m)に対する周辺領域のエッチングレートa(n+i,m+j)の比を、予め図11(b)に示すようにテーブルとして算出しておくと、各領域のエッチングレートの算出が容易となって好ましい。例えば、図11に示す例では、イオンガン11の停止する領域の強度が1であり、停止位置に隣接する上下、左右の領域の強度が0.8、斜め上、下の各領域の強度が0.6である。これを用いると、P(n,m)に隣接するP(n−1,m)のエッチングレートは、a(n−1,m)=0.8・a(n,m)のようにa(n,m)を用いて表すことができる。
【0058】
次に、それぞれの領域のエッチング時間をTとし、数式8と同様の式を立てる。一次元と二次元では項の数が増加するのみで、二次元モデルでも一次元モデルと同様に多元一次連立方程式がたつ。従って、ガウス・ジョルダンの消去法、LU分解法、ガウス・ザウデルの反復法等、既知の解法によって十分な近似解を得ることが可能である。このようにして二次元モデルでも基板31の各領域のエッチング時間を算出することができる。
【0059】
なお、上述した二次元モデルでは領域の分割の仕方、ピッチ送りの移動距離等の設定によって、多元連立一次方程式は数十〜数千の次元となるが、次数は一次であるため、PC15を構成するパーソナルコンピュータの処理能力で十分近似解を求めることが可能である。この際、エッチング源(イオンガン11)の分布としては、単純な偶関数の方が計算は容易であり、ガウス分布、三角関数で表される分布が好ましい。
【0060】
このようにして、PC15は各停止位置Pにおけるエッチング時間Tを算出する。膜厚制御を厚みによって行う場合は、エッチング時間Tとエッチングレートaの積がエッチング量であるため、エッチング処理前の厚みからエッチング量を減算した値を目標の厚みとする。同様に、イオンガン11の位置に対応する測定領域の中間目標厚みTmは、各停止位置でのエッチング時間Tと、測定領域におけるエッチングレートaとの積からエッチング量を算出し、当該停止位置の前の測定領域の膜厚から当該エッチング量を減算することによって算出する。なお、中間目標厚みTmは、膜厚の制御に必要な領域のみ求めても、全領域の値を求めてもよい。
【0061】
PC15は、このようにして求めた各停止位置Pとその位置での測定領域の中間目標厚みTm又はエッチング時間Tとを対応付ける情報(制御パターン情報)を、制御部13に送信する。制御部13は、制御パターン情報を用いてXYステージ12、イオンガン11を制御し、各領域に所定のエッチングを施す。
【0062】
具体的には、制御部13は、i)XYステージ12を制御して、エッチング対象の基板31を所定ピッチpで移動する動作、ii)ピッチ送り完了後、XYステージ12を制御して中間目標厚みTmになるまで停止し、又は所定の停止時間Tだけ停止し、基板31にイオンビームを照射する、という制御を繰り返す。なお、イオンビームはエッチング開始から終了まで連続的に照射される。
【0063】
なお、XYステージ12の移動パターンとしては、例えば、図10に示すP(−i,−i)からP(−i,N+i)へと順番に移動し、続いてP(−i+1,N+i)からP(−i+1,−i)に移動する、というように各列を移動する動作を全ての行について行えばよい。なお、エッチングを施す方向、順序等は任意である。
【0064】
このように、本実施形態では、目標厚みを算出し、測定点を含む領域にエッチングを行い、相対位置制御手段をもとに相対位置調整手段又はエッチング源を制御する。これにより、エッチングを良好に行うことができる。
【0065】
(第2実施形態)
第2実施形態に係るエッチング装置、エッチング方法及びプログラムについて説明する。本実施形態が上述した第1実施形態と異なるのは、測定装置81から得られた測定点の厚みの情報から、イオンガン11の実測のエッチングレートを算出し、既定のエッチングレートと比較し、許容範囲以上の変化がある場合、エッチング時間を算出する際に用いるエッチングレートにこの変化を反映させたという点にある。
【0066】
本実施形態では、測定装置81は、(1)測定点のエッチング前の厚みと、(2)測定点にイオンガン11を設置した上で所定の時間だけ測定点の領域をエッチングした後の厚みと、(3)測定点に近接する領域にイオンガン11を設置した上で所定の時間だけ測定点に近接する領域をエッチングした後の、測定点の領域の厚みと、を測定する。この測定した測定点の厚みは、制御部13を介してPC15に送信され、PC15によって実測のエッチングレートが算出される。なお、エッチングレートとは、単位時間あたりのエッチング量に相当する。実測のエッチングレートが、既定の値より許容範囲以上に変化している場合、エッチング時間を算出する際に、この計算式のエッチングレートへ反映させる。このように測定点領域をエッチングした際と、近接する領域をエッチングした際の厚みを測定することにより、エッチング時間を算出する際のエッチングレートを実際の値に近づけることができる。
【0067】
次に、上述した構成を採るエッチング装置80の動作を図2及び図13のフローチャートと、数式とを用いて説明する。
まず、エッチングを施す基板31を用意する。基板31は図2に点線で示すように複数の素子を形成することができる面積を備える。また、基板31には、予め測定点が設置されており、例えば図2に×印で示す領域が測定点(測定領域)と設定される。
次に、この測定領域の厚みTh0を、測定装置81によって測定する(ステップS81)。続いて、イオンガン11の中心が測定領域に位置するよう、ステージ12を駆動し、測定領域を予め定めた時間エッチングし(ステップS82)、エッチング終了後の測定領域の厚みTh1を測定する(ステップS83)。
【0068】
続いて、×印で示す測定領域に近接する領域(例えば図2に示す上下、左右の領域)にイオンガン11の中心が位置するよう、ステージ12を駆動し、近接領域をエッチングする(ステップS84)。この近接領域をエッチングした際には、測定領域までイオンビームが届くため、測定領域もエッチングを受けるため、近接領域のエッチング後の測定領域の厚みTh2を測定装置81によって測定する(ステップS85)。なお、これらの測定領域の厚みの情報は、制御部13を介して、PC15に送られる。
【0069】
このようにして測定した、測定領域の厚みTh0、Th1、Th2から、PC15は、単位時間あたりのエッチング量を算出し、エッチングレートを算出する(ステップS86)。次に、PC15は、この実測エッチングレートが、既定のエッチングレートの許容範囲内に入るか否かを判別し、許容範囲に入らない場合は(ステップS87;No)は、実測エッチングレートを既定のエッチングレートに置き換える、実測エッチングレートに補正するための係数を既定のエッチングレートにかける、等によって既定のエッチングレートに実測値を反映させる(ステップS88)。次に、エッチング時間を算出する(ステップS89)。一方、実測エッチングレートの変化が、所定の許容範囲に入る場合(ステップS87;Yes)は、既定のエッチングレートを用いて、エッチング時間を算出する(ステップS89)。図13に示すフローチャートではエッチング時間を算出するがエッチング厚みを算出してもよい。なお、エッチング時間又は厚みの算出方法は第1実施形態に記述の通りである。エッチング時間を算出した後、エッチング処理を行う(ステップS90)。
【0070】
このように、本実施形態では、エッチング時間又は厚みを算出しエッチング処理を行うのに先立って、測定点を含む領域と、この測定領域に近接する領域を中心にエッチングを行い、実際のエッチング量を測定する。この測定値から、実測のエッチングレートを算出し、既定のエッチングレートの許容範囲に入るか否かを判別し、許容範囲を超える場合、実測のレートをエッチング時間又は厚み算出時のエッチングレートに反映させる。このようにエッチングレートを補正することにより、エッチング量を正確に把握し、算出されるエッチング時間又は厚みをより正確とすることができる。これにより、エッチングを良好に行うことができる。
【0071】
本発明は上述した実施形態に限られず様々な変形及び応用が可能である。
上述した第1実施形態と第2実施形態と組み合わせることも可能である。また、上述した実施形態では、測定点を基板の1箇所に設ける場合を例に挙げて説明したが、測定点を複数箇所に設けることも可能である。例えば、第2実施形態において、測定点の上下でエッチングした際の厚みの変化を測定すると、イオンビームの上下で補正を行うことが出来る。例えば、図11(b)に示すレートの表を用いて説明すると、中心の上では0.7、下では0.8というように、個別に補正を行うことが出来る。左右についても同様である。
【0072】
また、図14に示すように複数の測定点を設けた上で、エッチング処理を行いながら、厚みを測定することも可能である。この場合、各領域で所定時間エッチングさせた場合のエッチング量を測定することにより、所定量のエッチングに至らない場合は、更にエッチング時間を追加する、もしくは所定のエッチング量に至った場合はエッチングを打ち切る等して、実際のエッチング処理に測定結果をフィードバックさせることにより、更に正確なエッチング処理が可能となる。
【0073】
また、イオンガン11から出射されるイオンビームの電流密度(イオン密度)の分布は、図5及び図6に示すものに限定されず、より急峻な勾配或いはより穏やかな勾配でもよく、さらには、より狭い照射範囲でもより広い照射範囲でもよい。さらに、電流密度のピーク値もより大きくても或いは小さくてもよい。ただし、エッチング性能を有することが前提となる。
【0074】
更に、上記実施形態では、XYステージ12により、基板31を一定のピッチで移動し、各停止位置における停止時間を変化させイオンビームの照射時間を変化させる動作例を説明した。ただし、この制御パターンに限定されず、例えば、基板31を連続的な速度vで移動させつつ、イオンガン11を制御しイオンビームを照射する時間Tを各領域ごとに変化させることにより、全体として所望のエッチング量の分布を得るようにしてもよい。この場合、例えば所定の領域内にエッチング中心がある場合、その領域の中心を停止位置と仮定し、各領域内にエッチング中心が存在する時間を、上述した実施形態のピッチ送り間隔と考えることにより、上述した数式を用いてイオンガンによるエッチング時間を算出することができる。また、イオンガン11をエッチング開始から終了まで連続的に照射させ、エッチング対象である基板31を速度vで移動させ、この速度vまたはエッチング強度を変化させることにより、全体として所望のエッチング量の分布を得るようにしてもよい。
【0075】
また、上述した実施形態では、XYステージ12を移動させる移動距離を一定とし、停止時間を制御しイオンガン11からイオンビームを照射する時間を制御させたが、これに限られず、XYステージ12の移動速度、もしくはピッチ送りの時間間隔を一定にし、イオンガン11による照射時間を変化させ、エッチング時間を調節することもできる。例えば、制御部13は、i)XYステージ12を制御して、エッチング対象の基板31を所定ピッチpで移動する動作、ii)ピッチ送り完了後、一定の時間XYステージを停止し、イオンガン11を制御して、基板31にイオンビームを各停止位置に応じた時間Tだけ照射するという制御を繰り返す。
【0076】
なお、基板31とXYステージ12との相対位置の移動速度、イオンガン11によるエッチング時間、エッチング強度は、必ずしも2つを一定にする必要はなく、これらのうちいずれか2つを変化させても良いし、全てを変化させても良い。
【0077】
また、上述した実施形態では、PC15によって算出されたエッチング時間に基づき、制御部13がXYステージのステージ制御部及びイオンガン11を制御する場合を例に挙げたが、XYステージ12及びイオンガン11の制御方法はこれに限られない。例えば、シーケンサからなるステージ制御部を介さず、制御部13によってXYステージ12を制御することも可能であるし、PC15に制御部13の機能を持たせることも可能である。また、XYステージ12の移動量を制御部13もしくはPC15にフィードバックさせてもよい。
【0078】
本実施形態ではエッチング源であるイオンガンを固定し、XYステージによって基板を移動させるが、基板を固定し、XYステージによってイオンガンを移動させる構成としてもよい。或いは、基板をX軸方向に移動させ、イオンガンをY軸方向に移動させる等の構成としてもよい。
【0079】
また、上述した実施形態ではエッチング源としてイオンガンを例に挙げて説明したが、エッチング用粒子を生成するものであればこれに限られずプラズマ等のエッチング源、電子ビーム、反応性プラズマエッチングなどを用いることが可能である。
【0080】
以上説明した実施形態のエッチング方法によれば、エッチング対象物が、隣接する領域は不連続であって全体としてみれば連続的であるような準連続的に形状が変化しているものに対しても所望の形状を得ることが可能である。また基板の平面形状も方形の基板31を例に挙げたがこれに限られず、例えば円形、楕円形、多角形等であっても良い。更に連続的に形状が変化するものであれば、平板状に限られず曲面状であってもよい。
【0081】
また、エッチングの対象として半導体ウエハなどの基板31を例示したが、エッチングの対象は任意であり、半導体ウエハ、該ウエハ上に形成された任意の材質の膜、任意の材質の基体、その上に形成された層、等、任意である。
【0082】
第1及び第2の実施形態では、エッチング源を用いているが、蒸着やスパッタ等の成膜に応用することも可能である。上記実施形態における被エッチング総量を、目的の膜厚までに必要な被成膜量とし、上記実施形態におけるエッチング(質量除去)を成膜(質量付加)として、膜厚測定手段を用い同様の処理をすればよい。
【0083】
例えば、図1を例に挙げると、イオンガン11を所定の成膜分布を有する成膜源に置き換え、XYステージ12上には成膜対象物を載置する。測定装置81は、成膜対象物の所定の測定位置において厚みを測定する。成膜対象物の被成膜量の分布と成膜源のレート分布とに基づいて、成膜対象物の各位置における成膜総量が被成膜量に対応する最終目標厚みとなるように、所定の測定位置での成膜対象物の中間目標厚みを成膜位置(成膜源と成膜対象物との相対位置)に対して算出する。制御部は、測定手段によって測定された測定位置における成膜対象物の厚みが、中間目標厚みに到達した時点で、XYステージを移動させ、成膜源の中心を移動させながら成膜を重ね合わせる。これにより、成膜対象物全体において所望の目標形状を得ることが可能となる。
【符号の説明】
【0084】
80 エッチング装置
11 イオンガン(エッチング源)
12 XYステージ
13 制御部
14 真空槽
15 PC
31 基板
81 測定装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のエッチング分布を有するエッチング源と、
エッチング対象物を載置するステージと、
前記エッチング源と前記ステージとの相対位置を調整する相対位置調整手段と、
前記エッチング対象物の所定の測定位置において厚みを測定する測定手段と、
前記エッチング対象物の被エッチング量の分布と前記エッチング源のレート分布とに基づいて、前記エッチング対象物の各位置におけるエッチング総量が被エッチング量に対応する最終目標厚みとなるように、前記測定位置の前記エッチング対象物の中間目標厚みを前記相対位置に対して算出し、前記相対位置調整手段と前記エッチング源との少なくとも一方を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記測定位置の前記エッチング対象物の厚みが、前記中間目標厚みに到達した時点で、前記エッチング源と前記ステージとの相対位置を移動させ、前記エッチング源の中心を移動させながらエッチング照射を重ね合わせることによって前記エッチング対象物全体において所望の目標形状を得ることを特徴とするエッチング装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記測定手段によって測定される前記エッチング対象物の厚み変化から、前記エッチング対象物の所定時間あたりのエッチング量を算出し、既定の値を超える場合、前記エッチング分布を補正し、前記中間目標厚みを再算出することを特徴とする請求項1に記載のエッチング装置。
【請求項3】
前記測定手段の測定点は、前記エッチング対象物の一点であり、
前記制御手段は、前記測定点と、前記測定点の周囲をエッチングした際の前記測定点の厚みの変化から、前記エッチング分布を補正することを特徴とする請求項2に記載のエッチング装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記エッチング源を制御して、粒子ビームを連続的に照射させ、
前記相対位置調整手段を制御して、前記エッチング対象物を前記エッチング源に対してピッチ送りで移動させ、各ピッチ位置での停止時間を調節することによって、各ピッチ位置での前記粒子ビームの照射時間を制御する、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエッチング装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記相対位置調整手段を制御して前記エッチング対象物を前記エッチング源に対して所定ピッチで移動させ、
前記エッチング源を制御して、各ピッチ位置での前記エッチング源からの粒子ビームの照射強度を制御する、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエッチング装置。
【請求項6】
既知のエッチング分布を有するエッチング源によりエッチング対象物のエッチング対象エリアに粒子ビームを生成すると共に前記エッチング源と前記エッチング対象物との相対位置を移動させることにより、前記エッチング対象エリアをエッチングするエッチング方法において、
測定手段によって前記エッチング対象物の所定の測定位置における厚みを測定し、
前記エッチング対象エリアの各位置において、前記エッチング用粒子の強度の積分値が被エッチング量の分布に一致し最終目標厚みとなるように、前記エッチング源のレート分布に基づいて、前記所定の測定位置の中間目標厚みを前記相対位置に対して算出し、前記エッチング源と、前記エッチング源と前記エッチング対象との相対位置と、を制御し、
前記測定手段によって測定された前記エッチング対象物の厚みが、前記エッチング対象物の中間目標厚みに到達した時点で、前記エッチング源と前記ステージとの相対位置を移動させ、前記エッチング源の中心を移動させながらエッチング照射を重ね合わせることによって前記エッチング対象物全体において所望の目標形状を得る、ことを特徴とするエッチング方法。
【請求項7】
コンピュータによる、
既知のエッチング分布を有するエッチング源によりエッチング対象物のエッチング対象エリアに粒子ビームを生成すると共に前記エッチング源と前記エッチング対象物との相対位置を移動させることにより、前記エッチング対象エリアをエッチングするエッチング方法の制御であって、
測定手段に前記エッチング対象物の所定の測定位置における厚みを測定させ、
前記エッチング対象エリアの各位置において、前記エッチング用粒子の強度の積分値が被エッチング量の分布に一致し最終目標厚みとなるように、前記エッチング源のレート分布に基づいて、前記測定位置における中間目標厚みを前記相対位置に対して算出し、前記エッチング源と、前記エッチング源と前記エッチング対象との相対位置と、を制御し、
前記測定手段によって測定される前記エッチング対象物の厚みが、前記エッチング対象物の中間目標厚みに到達した時点で、前記エッチング源と前記ステージとの相対位置を移動させ、前記エッチング源の中心を移動させながらエッチング照射を重ね合わせることによって前記エッチング対象物全体において所望の目標形状を得る、ことをコンピュータに実行させることを特徴とするエッチングプログラム。
【請求項8】
所定の成膜分布を有する成膜源と、
成膜対象物を載置するステージと、
前記成膜源と前記ステージとの相対位置を調整する相対位置調整手段と、
前記成膜対象物の所定の測定位置において厚みを測定する測定手段と、
前記成膜対象物の被成膜量の分布に基づいて、前記成膜対象物の各位置における成膜総量が被成膜量に対応する最終目標厚みとなるように、前記成膜源のレート分布に基づいて、前記測定位置における中間目標厚みを前記相対位置に対して算出し、前記相対位置調整手段と前記成膜源との少なくとも一方を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記測定手段によって測定される前記成膜対象物の厚みが、前記成膜対象物の中間目標厚みに到達した時点で、前記成膜源と前記ステージとの相対位置を移動させ、前記成膜源の中心を移動させながら成膜を重ね合わせることによって前記成膜対象物全体において所望の目標形状を得ることを特徴とする成膜装置。
【請求項1】
所定のエッチング分布を有するエッチング源と、
エッチング対象物を載置するステージと、
前記エッチング源と前記ステージとの相対位置を調整する相対位置調整手段と、
前記エッチング対象物の所定の測定位置において厚みを測定する測定手段と、
前記エッチング対象物の被エッチング量の分布と前記エッチング源のレート分布とに基づいて、前記エッチング対象物の各位置におけるエッチング総量が被エッチング量に対応する最終目標厚みとなるように、前記測定位置の前記エッチング対象物の中間目標厚みを前記相対位置に対して算出し、前記相対位置調整手段と前記エッチング源との少なくとも一方を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記測定位置の前記エッチング対象物の厚みが、前記中間目標厚みに到達した時点で、前記エッチング源と前記ステージとの相対位置を移動させ、前記エッチング源の中心を移動させながらエッチング照射を重ね合わせることによって前記エッチング対象物全体において所望の目標形状を得ることを特徴とするエッチング装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記測定手段によって測定される前記エッチング対象物の厚み変化から、前記エッチング対象物の所定時間あたりのエッチング量を算出し、既定の値を超える場合、前記エッチング分布を補正し、前記中間目標厚みを再算出することを特徴とする請求項1に記載のエッチング装置。
【請求項3】
前記測定手段の測定点は、前記エッチング対象物の一点であり、
前記制御手段は、前記測定点と、前記測定点の周囲をエッチングした際の前記測定点の厚みの変化から、前記エッチング分布を補正することを特徴とする請求項2に記載のエッチング装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記エッチング源を制御して、粒子ビームを連続的に照射させ、
前記相対位置調整手段を制御して、前記エッチング対象物を前記エッチング源に対してピッチ送りで移動させ、各ピッチ位置での停止時間を調節することによって、各ピッチ位置での前記粒子ビームの照射時間を制御する、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエッチング装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記相対位置調整手段を制御して前記エッチング対象物を前記エッチング源に対して所定ピッチで移動させ、
前記エッチング源を制御して、各ピッチ位置での前記エッチング源からの粒子ビームの照射強度を制御する、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエッチング装置。
【請求項6】
既知のエッチング分布を有するエッチング源によりエッチング対象物のエッチング対象エリアに粒子ビームを生成すると共に前記エッチング源と前記エッチング対象物との相対位置を移動させることにより、前記エッチング対象エリアをエッチングするエッチング方法において、
測定手段によって前記エッチング対象物の所定の測定位置における厚みを測定し、
前記エッチング対象エリアの各位置において、前記エッチング用粒子の強度の積分値が被エッチング量の分布に一致し最終目標厚みとなるように、前記エッチング源のレート分布に基づいて、前記所定の測定位置の中間目標厚みを前記相対位置に対して算出し、前記エッチング源と、前記エッチング源と前記エッチング対象との相対位置と、を制御し、
前記測定手段によって測定された前記エッチング対象物の厚みが、前記エッチング対象物の中間目標厚みに到達した時点で、前記エッチング源と前記ステージとの相対位置を移動させ、前記エッチング源の中心を移動させながらエッチング照射を重ね合わせることによって前記エッチング対象物全体において所望の目標形状を得る、ことを特徴とするエッチング方法。
【請求項7】
コンピュータによる、
既知のエッチング分布を有するエッチング源によりエッチング対象物のエッチング対象エリアに粒子ビームを生成すると共に前記エッチング源と前記エッチング対象物との相対位置を移動させることにより、前記エッチング対象エリアをエッチングするエッチング方法の制御であって、
測定手段に前記エッチング対象物の所定の測定位置における厚みを測定させ、
前記エッチング対象エリアの各位置において、前記エッチング用粒子の強度の積分値が被エッチング量の分布に一致し最終目標厚みとなるように、前記エッチング源のレート分布に基づいて、前記測定位置における中間目標厚みを前記相対位置に対して算出し、前記エッチング源と、前記エッチング源と前記エッチング対象との相対位置と、を制御し、
前記測定手段によって測定される前記エッチング対象物の厚みが、前記エッチング対象物の中間目標厚みに到達した時点で、前記エッチング源と前記ステージとの相対位置を移動させ、前記エッチング源の中心を移動させながらエッチング照射を重ね合わせることによって前記エッチング対象物全体において所望の目標形状を得る、ことをコンピュータに実行させることを特徴とするエッチングプログラム。
【請求項8】
所定の成膜分布を有する成膜源と、
成膜対象物を載置するステージと、
前記成膜源と前記ステージとの相対位置を調整する相対位置調整手段と、
前記成膜対象物の所定の測定位置において厚みを測定する測定手段と、
前記成膜対象物の被成膜量の分布に基づいて、前記成膜対象物の各位置における成膜総量が被成膜量に対応する最終目標厚みとなるように、前記成膜源のレート分布に基づいて、前記測定位置における中間目標厚みを前記相対位置に対して算出し、前記相対位置調整手段と前記成膜源との少なくとも一方を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記測定手段によって測定される前記成膜対象物の厚みが、前記成膜対象物の中間目標厚みに到達した時点で、前記成膜源と前記ステージとの相対位置を移動させ、前記成膜源の中心を移動させながら成膜を重ね合わせることによって前記成膜対象物全体において所望の目標形状を得ることを特徴とする成膜装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−161124(P2010−161124A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1152(P2009−1152)
【出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【出願人】(000146009)株式会社昭和真空 (72)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【出願人】(000146009)株式会社昭和真空 (72)
【Fターム(参考)】
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