説明

エナメル質石灰化促進材セット

【課題】健全エナメル質および脱灰病変エナメル質に対し、エナメル質の表層だけではなく深部に至るまでミネラル密度を向上させ、石灰化することができるエナメル質石灰化促進材セットおよびそれに用いる石灰化材の提供。
【解決手段】エナメル質を前処理する前処理材と、前処理されたエナメル質を石灰化処理する石灰化材とを備えるエナメル質石灰化促進材セットであって、上記前処理材が過酸化物を含み、上記石灰化材が、カルシウム、ナトリウム及び水を含むと共に、リン酸及びリン酸水素の少なくともいずれか一方を含むものであるエナメル質石灰化促進材セット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯冠表面を覆うエナメル質の石灰化を促進するエナメル質石灰化促進材セットおよびそれに用いる石灰化材に関し、より詳しくは、健全エナメル質もしくは脱灰エナメル質に関わらず、エナメル質の表層から深部に至るまで石灰化を促進してエナメル質のミネラル密度を向上させるエナメル質石灰化促進材セットおよび石灰化材に関する。
【背景技術】
【0002】
健全エナメル質及び脱灰エナメル質のいずれに対しても効果的に石灰化させる方法は、従来から種々検討されている。エナメル質の表層から深部まで石灰化させることは、エナメル質の強度を向上して耐酸性を付与するだけではなく、脱灰エナメル質を治癒することも可能であり、より効果的にエナメル質を石灰化する方法が望まれている。
【0003】
例えば、特許文献1〜3には、フッ化物を応用したエナメル質の石灰化促進剤等が開示されており、フッ化物を応用したエナメル質の石灰化は、健全エナメル質及び脱灰エナメル質の両方に対して効果があることが確認されている。
【0004】
また、特許文献4及び5には、健全エナメル質及び脱灰エナメル質に対して石灰化効果を有する、牛乳由来のカゼインホスホペプチドに非結晶リン酸カルシウムを取り込んだ、カゼインホスホペプチド―非結晶リン酸カルシウム複合体を配合した口腔用組成物が開示されている。このカゼインホスホペプチド―非結晶リン酸カルシウム複合体は、エナメル質表面への吸着性が高く、カルシウムイオンとリン酸イオンを放出するため、その石灰化効果が確認されている。
【0005】
更に、特許文献6には、ハイドロキシアパタイトを使用する口腔組成物が開示されている。この口腔組成物は進行性の脱灰病変に対しても効果がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−195636号公報
【特許文献2】特開2007−099632号公報
【特許文献3】特開2005−263777号公報
【特許文献4】特開2006−213668号公報
【特許文献5】特開2008−543887号公報
【特許文献6】特許第4040705号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1〜3のフッ化物を応用したエナメル質の石灰化促進剤等は、健全エナメル質及び脱灰エナメル質の両方に対して石灰化の効果はあるものの、そのエナメル結晶構造は天然エナメル質の結晶構造とは異なるものであり、また、フッ化物を大量に摂取した場合のフッ素中毒やフッ素症等の副作用も報告されている。
【0008】
上記特許文献4,5のカゼインホスホペプチド―非結晶リン酸カルシウム複合体を配合した口腔用組成物は、エナメル質表面への吸着性が高く、カルシウムイオンとリン酸イオンを放出するため、その石灰化効果が確認されているものの、石灰化に長い時間を要するため、進行性の脱灰病変には効果的とはいえず、また、石灰化はエナメル質の表層だけであり、エナメル質の深部に至るまでミネラル密度を向上させ、石灰化を促進することは困難である。
【0009】
上記特許文献6のハイドロキシアパタイトを使用する口腔組成物は、進行性の脱灰病変に対しても効果があるけれども、ハイドロキシアパタイトを処理したエナメル質は、天然のエナメル質とは構造が異なるため、エナメル結晶の物理特性が天然のエナメル質と比較すると劣るという問題点がある。また、石灰化できているのはエナメル質の表層だけであり、この口腔組成物においてもエナメル質の深部に至るまでミネラル密度を向上させることは困難である。
【0010】
本発明は、上述のような点に鑑みてなされたものであって、健全エナメル質および脱灰病変エナメル質に対し、エナメル質の表層だけではなく深部に至るまでミネラル密度を向上させ、石灰化することができるエナメル質石灰化促進材セットおよびそれに用いる石灰化材を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本件発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、過酸化物を含む前処理材によってエナメル質を前処理し、カルシウム、ナトリウム及び水を含むと共に、リン酸及びリン酸水素の少なくともいずれか一方を含む石灰化材によって石灰化処理することによって、優れたエナメル質石灰化効果を発揮できることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明では、次のように構成している。
【0012】
(1)本発明のエナメル質石灰化促進材セットは、エナメル質を前処理する前処理材と、前処理されたエナメル質を石灰化処理する石灰化材とを備えるエナメル質石灰化促進材セットであって、上記前処理材が過酸化物を含み、上記石灰化材が、カルシウム、ナトリウム及び水を含むと共に、リン酸及びリン酸水素の少なくともいずれか一方を含むものである。
【0013】
本発明のエナメル質石灰化促進材セットは、少なくとも前処理材と石灰化材とを組み合わせて一揃い(セット)とするものである。
【0014】
前処理材は、エナメル質を石灰化するための活性化処理材として働き、石灰化材はエナメル質の石灰化処理材として働くものであり、前処理材および石灰化材のいずれか一方が欠けたとしても十分な石灰化効果を奏することができない。
【0015】
ここで、カルシウムとは、カルシウムを有する電解質化合物由来のカルシウム部分をいい、ナトリウムとは、ナトリウムを有する電解質化合物由来のナトリウム部分をいう。
【0016】
また、リン酸とは、PO4を有する電解質化合物由来のPO4部分をいい、リン酸水素とは、HPO4を有する電解質化合物由来のHPO4部分をいう。
【0017】
本件発明者らは、過酸化物を含む前処理材で前処理したエナメル質は、過酸化物の分解による活性酸素のフリーラジカルが大量に発生することによって、エナメル質表層の電荷が上昇し、エナメル質表層のミネラル密度の高い部分とミネラル密度の低い部分とに分離する現象を見出した。そして、このようにミネラル密度に高低の分布が生じたエナメル質は、その表層から深部まで上記石灰化材中で急速に石灰化され、その石灰化部位は健全なエナメル質と比較してミネラル密度が向上することを見出した。エナメル質のミネラル密度の向上とは、エナメル質の主要構成要素であるハイドロキシアパタイトの結晶密度の向上をいう。
【0018】
本発明のエナメル質石灰化促進材セットによると、健全エナメル質および脱灰病変エナメル質において、エナメル質の表層だけではなく深部に至るまでミネラル密度を向上させ、石灰化することができ、歯質を強化できると共に、脱灰病変の治癒を行うことができる。
【0019】
(2)本発明のエナメル質石灰化促進材セットの好ましい実施態様では、上記前処理材の上記過酸化物の濃度が、10〜90質量%であり、上記石灰化材は、上記カルシウム濃度が0.001〜0.1質量%、上記リン酸及び上記リン酸水素の両方を含む場合の合計濃度、及び、上記リン酸または上記リン酸水素のいずれか一方を含む場合の濃度が、いずれも0.001〜0.1質量%、上記ナトリウム濃度が0.03〜5.0質量%である。
【0020】
この実施態様の石灰化材のナトリウム濃度は0.03〜5.0質量%であり、このナトリウム濃度は、人工唾液およびリン酸カルシウム過飽和溶液と比較して高濃度である。
【0021】
このように石灰化材のナトリウム濃度を高濃度としている理由について説明する。
【0022】
エナメル質からミネラル成分が溶出し、ミネラル密度が低下する現象が脱灰であるが、この脱灰では、エナメル質のハイドロキシアパタイト[Ca10(PO4)6(OH)2]が溶解し、カルシウムイオンCa2+およびリン酸水素イオンHPO42−が溶出した状態となる。脱灰されたエナメル質にカルシウムイオンおよびリン酸イオンやリン酸水素イオンが高濃度に供給されると、カルシウムイオンおよびリン酸イオンもしくはリン酸水素イオンが取り込まれることで再石灰化が起こる。そのため、エナメル質の再石灰化を目的とする場合、カルシウムイオン、およびリン酸イオンもしくはリン酸水素イオンの供給のみに着目される場合が多い。
【0023】
したがって、脱灰したエナメル質に対して再石灰化を行う場合、カルシウムイオン、およびリン酸イオンもしくはリン酸水素イオンを高濃度で含有している溶液、例えば上記リン酸カルシウム過飽和液等の使用が提唱されている。
【0024】
本件発明者らは、上述のように、前処理材による活性化処理によって、ミネラル密度に高低の分布が生じたエナメル質の石灰化を効果的に進行させる場合には、カルシウムイオンおよびリン酸イオンやリン酸水素イオンだけではなく、ナトリウムイオンが高濃度に存在することが好ましいことを見出した。
【0025】
この実施態様によると、石灰化材のナトリウム濃度が0.03〜5.0質量%であって、人工唾液や従来の石灰化材であるリン酸カルシウム過飽和溶液と比較して高濃度であるので、前処理材による活性化処理によって、ミネラル密度に高低の分布が生じたエナメル質の石灰化を効果的に進行させることができる。
【0026】
(3)上記(2)の実施態様では、上記石灰化材は、上記カルシウム濃度が0.005〜0.01質量%、上記リン酸及び上記リン酸水素の両方を含む場合の合計濃度、及び、上記リン酸または上記リン酸水素のいずれか一方を含む場合の濃度が、いずれも0.005〜0.05質量%、上記ナトリウム濃度が0.1〜1.0質量%としてもよい。
【0027】
この実施態様によると、エナメル質の石灰化を一層効果的に進行させることができる。
【0028】
(4)本発明のエナメル質石灰化促進材セットの別の実施態様では、上記過酸化物が、過酸化水素または分解して過酸化水素を生じる化合物であって、上記前処理材の過酸化水素の濃度が、10〜90質量%である。
【0029】
過酸化水素を生じる化合物としては、例えば、過酸化尿素などが好ましい。
【0030】
この実施態様によると、前処理材による活性化処理を効果的に行うことができる。
【0031】
(5)本発明の石灰化材は、過酸化物を含む前処理材で前処理されたエナメル質を石灰化処理する石灰化材であって、カルシウム、ナトリウム及び水を含むと共に、リン酸及びリン酸水素の少なくともいずれか一方を含み、上記カルシウム濃度が0.001〜0.1質量%、上記リン酸及び上記リン酸水素の両方を含む場合の合計濃度、及び、上記リン酸及び上記リン酸水素のいずれか一方を含む場合の濃度が、いずれも0.001〜0.1質量%、上記ナトリウム濃度が0.03〜5.0質量%である。
【0032】
本発明の石灰化材によると、ナトリウム濃度が0.03〜5.0質量%と人工唾液や従来の石灰化材であるリン酸カルシウム過飽和溶液と比較して高濃度であるので、前処理材による活性化処理によって、ミネラル密度に高低の分布が生じたエナメル質の石灰化を効果的に進行させることができ、これによって、健全エナメル質および脱灰病変エナメル質において、エナメル質の表層だけではなく深部に至るまでミネラル密度を向上させ、石灰化することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によると、健全エナメル質および脱灰病変エナメル質において、エナメル質の表層だけではなく深部に至るまでミネラル密度を向上させ、石灰化することができ、歯質を強化できると共に、脱灰病変の治癒を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は健全なヒト抜去小臼歯の3次元マイクロCT画像である。
【図2】図2は前処理1を行った健全なヒト抜去小臼歯の3次元マイクロCT画像である。
【図3】図3は前処理1を行った後、石灰化材1に1週間浸漬した後の健全なヒト抜去小臼歯の3次元マイクロCT画像である。
【図4】図4は健全なヒト抜去小臼歯、前処理1後の健全なヒト抜去小臼歯、及び、前処理1を行った後、石灰化材1に1週間浸漬した後の健全なヒト抜去小臼歯について、マイクロCTで測定した平均ミネラル密度を示す図である。
【図5】図5は健全なヒト抜去小臼歯、及び、前処理を行うことなく、石灰化材1に1週間浸漬した後の健全なヒト抜去小臼歯について、マイクロCTで測定した平均ミネラル密度を示す図である。
【図6】図6は前処理2前の人工脱灰病巣を形成したヒト抜去前歯のマイクロCT画像である。
【図7】図7は前処理2を行った後の人工脱灰病巣を形成したヒト抜去前歯のマイクロCT画像である。
【図8】図8は前処理2後に石灰化材2に浸漬させた後の人工脱灰病巣を形成したヒト抜去前歯のマイクロCT画像である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明のエナメル質石灰化促進材セットは、過酸化物を含む前処理材と、カルシウム、ナトリウム及び水を含むと共に、リン酸及びリン酸水素の少なくともいずれか一方を含む石灰化材とを備えている。
【0036】
このエナメル質石灰化促進材セットは、歯冠表面を覆うエナメル質表面を、前処理材、石灰化材の順に処理する、2材式の口腔用組成物である。
【0037】
前処理材に含まれる過酸化物の濃度は、10〜90質量%であるのが好ましい。この過酸化物は、過酸化水素もしくは分解して過酸化水素を生じる化合物、例えば、過酸化尿素などであることが好ましい。特に過酸化水素、もしくは化合物が分解して生じる過酸化水素の濃度は、10〜50質量%であるのが好ましく、更に好ましくは、20〜40質量%である。
【0038】
エナメル質を前処理材によって前処理し、前処理材がエナメル質と接触している間に、光を照射する、熱を加える、酸化チタンなどの触媒を添加する、などの少なくともいずれかを行うことによって、前処理材による反応をより活性化させることができる。その中でも前処理材を処理した後に光を照射して前処理材を活性化させるのが好ましく、波長範囲350nm〜550nmの光を照射するのが更に好ましい。なお、この光の照射等の活性化処理は省略してもよい。
【0039】
前処理材で前処理することによって起こるエナメル質表層のミネラル密度の分離、すなわち、エナメル質のミネラル密度に高低の分布が生じるのを阻害しなければ、前処理材に過酸化物以外の成分を含有させることができる。この過酸化物以外の成分としては、例えば、水及びエタノール等の溶媒、湿潤剤、増粘剤、界面活性剤、緩衝剤、分散剤、過酸化物活性化剤、酵素、歯牙知覚過敏症抑制剤、歯肉炎予防剤、歯周炎予防剤、虫歯予防剤、pH調整剤、防腐剤、殺菌剤、香料、香味剤、甘味料、着色剤、その他有効成分等を挙げることができる。
【0040】
前処理材のpHは2.0〜7.0とするのが好ましく、4.0〜5.5とするのが更に好ましい。
【0041】
前処理材に関して、公知の手法を適用することによって剤形・形状を任意に変えることができる。前処理材は、ジェル状、ペースト状、液状、シート状、フォーム状であるのが好ましく、より好ましくは、ジェル状、ペースト状、液状である。
【0042】
エナメル質に対する前処理材による前処理方法および前処理時間は特に限定はない。
【0043】
エナメル質に対する前処理方法では、シリンジ、トレー、ストリップス、シート、ガーゼ、スポンジなどと併用することも可能である。例えば、前処理材を、シリンジ等によって直接歯質に塗布したり、筆や綿球などを用いて歯質に塗布してもよい、あるいは、スパチュラなどで前処理材をとり、歯質に塗布してもよい。また、マウスガードやマウストレー等の口腔内装置に前処理材を注入し、口腔内に装着することで、前処理材をエナメル質に数時間に渡って接触させて前処理することもできる。更に、シートやスポンジなどに前処理材を染み込ませ、歯質に貼り付けることにより、前処理材をエナメル質に接触させて前処理することもできる。
【0044】
エナメル質に対する前処理回数は特に限定はなく、また、前処理材の反応の活性化を行う光照射等の回数も特に限定はない。エナメル質への前処理材の塗布処理と反応の活性化処理とを1セットとした場合、例えば、1〜10セット行うのが好ましく、1〜5セット行うのがより好ましい。
【0045】
本発明の石灰化材のカルシウム濃度は、0.001〜0.1質量%であるのが好ましく、より好ましくは0.005〜0.01質量%である。
【0046】
本発明の石灰化材は、水を含んでいるので、この水溶液中におけるカルシウムイオン濃度は、0.001〜0.1質量%であるのが好ましく、より好ましくは0.005〜0.01質量%である。
【0047】
また、石灰化材に含まれるカルシウム供給源は特に限定されず、例えば、塩化カルシウム、リン酸カルシウム、硝酸カルシウム、炭酸カルシウム、酢酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、オレイン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、フッ化カルシウム、などの公知のカルシウム供給源が挙げられる。この中で塩化カルシウムが好ましいが、その他のカルシウム供給源を用いても良い。口腔内で使用するため、配合するカルシウム供給源は、カルシウム塩およびイオンの状態で生体に対して安全であるものが望ましい。
【0048】
本発明の石灰化材は、リン酸及びリン酸水素の少なくともいずれか一方を含むものである。このリン酸及びリン酸水素の両方を含む場合の合計濃度、及び、リン酸またはリン酸水素のいずれか一方を含む場合の濃度が、いずれも0.001〜0.1質量%であるのが好ましく、リン酸及びリン酸水素の両方を含む場合の合計濃度、及び、リン酸またはリン酸水素のいずれか一方を含む場合の濃度が、いずれも0.005〜0.05質量%であるのがより好ましい。
【0049】
本発明の石灰化材は、水を含んでいるので、この水溶液中におけるリン酸イオンまたはリン酸水素イオンの濃度は、上記リン酸およびリン酸水素の場合と同様であるのが好ましい。
【0050】
また、石灰化材に含有するリン酸もしくはリン酸水素の供給源は特に限定されず、例えば、リン酸二水素カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二カリウムなどの他オルトリン酸のアルカリ金属塩、オルトリン酸のアルカリ土類金属塩、オルトリン酸のアンモニウム塩、メタリン酸のアルカリ金属塩、メタリン酸のアンモニウム塩など、他の公知のものが挙げられる。この中でリン酸二水素カリウム、リン酸水素ナトリウムが好ましいが、その他リン酸イオンまたはリン酸水素イオンの供給源を用いても良い。リン酸イオンもしくはリン酸水素イオンの供給源についても、口腔内で使用するため、リン酸塩およびイオンの状態で生体に対して安全であるものが望ましい。
【0051】
本発明の石灰化材のナトリウム濃度は0.03〜5.0質量%であるが好ましく、0.1〜1.0質量%であるのがより好ましい。
【0052】
本発明の石灰化材は、水を含んでいるので、この水溶液中におけるナトリウムイオン濃度は、0.03〜5.0質量%であるが好ましく、0.1〜1.0質量%であるのがより好ましい。
【0053】
石灰化材のナトリウム濃度0.03〜5.0質量%は、人工唾液およびリン酸カルシウム過飽和溶液と比較して高濃度である。
【0054】
このようにナトリウムの濃度を高濃度にしているのは、上述のように、前処理材による活性化処理によって、ミネラル密度に高低の分布が生じたエナメル質の石灰化を効果的に進行させることができるからである。
【0055】
ナトリウムの濃度を高濃度にすると、ミネラル密度に高低の分布が生じたエナメル質の石灰化を効果的に進行させることができる理由については、次のように考えることができる。
【0056】
すなわち、高濃度のナトリウムイオンが存在する場合、ハイドロキシアパタイトを形成させる際にナトリウムイオンが結晶核として機能を果たすこと、および、結晶核として機能しているナトリウムイオンがリン酸基と水酸基を誘導し、その後、カルシウムに置換することでハイドロキシアパタイトの結晶が成長すると考えられる。したがって、ハイドロキシアパタイトの結晶密度を向上させる、つまりエナメル質の石灰化を促進させるためには、高濃度のナトリウムイオンが存在することが効果的である。
【0057】
口腔内で分泌される唾液中にもナトリウムイオンは存在しているが、微量であるためエナメル質の石灰化効果は十分ではない。人工唾液においても同様である。
【0058】
一方、リン酸カルシウム過飽和液は、リン酸イオンとカルシウムイオンの濃度は高いが、ナトリウムイオンを含まないため結晶核になるイオンの存在がなく、ハイドロキシアパタイトの結晶化が難しい。また、この溶液を用いた場合において、エナメル質の石灰化は主に表層のみに起こるため、エナメル質の深部まで石灰化することは難しい。さらに、従来用いられているリン酸カルシウムやハイドロキシアパタイトを物理的もしくは化学的に直接作用させる方法は、健全エナメル質および脱灰したエナメル質の表層から深部に至る石灰化やハイドロキシアパタイト結晶の成長に対して不十分である。
【0059】
本発明の石灰化材に含まれるナトリウム供給源は特に限定されず、例えば、塩化ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム等の公知のものが挙げられる。ナトリウムイオン供給源についても、口腔内で使用するため、ナトリウム塩およびイオンの状態で生体に対して安全であるものが望ましい。
【0060】
石灰化材に関して、石灰化材中のカルシウムイオン、リン酸イオンおよびリン酸水素イオン、ナトリウムイオンと反応して沈殿を起こす、などの阻害をしなければ、カルシウムイオン、リン酸イオンまたはリン酸水素イオン、ナトリウムイオン、水以外の成分を含有させることができる。この成分としては、例えば、エタノール等の溶媒、湿潤剤、増粘剤、界面活性剤、緩衝剤、分散剤、過酸化物活性化剤、酵素、歯牙知覚過敏症抑制剤、歯肉炎予防剤、歯周炎予防剤、虫歯予防剤、pH調整剤、防腐剤、殺菌剤、香料、香味剤、甘味料、着色剤、その他有効成分等を挙げることができる。
【0061】
石灰化材のpHは4.0〜10.0の範囲が好ましく、6.0〜8.0の範囲であるのが更に好ましい。
【0062】
石灰化材に関して、公知の手法を適用することによって剤形・形状は任意に変えることができる。石灰化材は、ジェル状、ペースト状、液状、シート状、フォーム状であるのが好ましく、より好ましくは、ジェル状、ペースト状、液状である。
【0063】
エナメル質に対する石灰化材の処理方法および処理時間は特に限定はない。
【0064】
エナメル質に対する石灰化材の処理方法では、シリンジ、トレー、ストリップス、シート、ガーゼ、スポンジなどと併用することも可能である。例えば、石灰化材を、シリンジ等によって直接歯質に塗布したり、筆や綿球などを用いて歯質に塗布してもよい、あるいは、スパチュラなどで石灰化材をとり、歯質に塗布してもよい。また、マウスガードやマウストレー等の口腔内装置に石灰化材を注入し、口腔内に装着することで、石灰化材をエナメル質に数時間に渡って接触させて処理することもできる。更に、シートやスポンジなどに石灰化材を染み込ませ、歯質に貼り付けることにより、石灰化材をエナメル質に接触させて処理することもできる。
【実施例】
【0065】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
実施例1のエナメル質石灰化促進材セットの前処理材1を、35質量%の過酸化水素溶液とメチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体を重量比1:1の割合で混合・練和して調製した。この前処理剤1の過酸化水素濃度は、17.5質量%である。
【0066】
実施例1のエナメル質石灰化促進材セットの石灰化材1として、下記表1の配合組成の石灰化材を調製した。
【0067】
【表1】

石灰化材1は、精製水を溶媒とし、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、リン酸2水素カリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウムの順に、所定の質量を溶解・混合して調製した。各成分は溶媒中で完全に溶解させ、沈殿物が生じないように注意した。塩化カリウム及び硫酸マグネシウムは、配合を安定させるに、また、カルボキシメチルセルロースナトリウムは、石灰化材をジェル状にするためにれぞれ配合した。
【0068】
調製した石灰化材1における、塩化ナトリウム濃度は0.08質量%、塩化カリウム濃度は0.12質量%、硫酸マグネシウム濃度は0.01質量%、塩化カルシウム濃度は0.01質量%、リン酸2水素カリウムの濃度は0.03質量%、カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度は0.01質量%であり、pHは7.0であった。
【0069】
以上のように調製した前処理材1及び石灰化材1を備える実施例1の石灰化促進材セットを用いて試験を行った。
【0070】
健全なヒト抜去小臼歯における、唇側中央、舌側中央の二ヶ所に前処理材1を塗布し、その後、モリタ社製のハロゲンランプDP-075により3分間光照射し、前処理材1の活性化を行った。前処理材1の塗布と光照射とを前処理1とし、この前処理1を連続して3回繰り返した。
【0071】
その後、前処理1を行った小臼歯を石灰化材1に浸漬し、37℃で1週間保存した。その後、この小臼歯を取り出し、マイクロCTスキャナー(X-ray micro-CTシステム SMX-90、shimadzu社製)を用いてミネラル密度の評価を行った。なお、本試験は試験数5で行った。
【0072】
図1は健全なヒト抜去小臼歯、すなわち、前処理1前の3次元マイクロCT画像であり、図2は前処理1を行ったヒト抜去小臼歯の3次元マイクロCT画像であり、図3は、前処理1を行い、更に石灰化材1に1週間浸漬した後の抜去小臼歯の3次元マイクロCT画像、すなわち、前処理材1で前処理し、その後石灰化材1で処理した実施例1のエナメル質石灰化促進材セットを適用した抜去小臼歯のマイクロCT画像である。
【0073】
マイクロCT画像では、ミネラル密度の高低を可視化可能である。また、マイクロCTを用いると、歯質を破壊することなく、歯質断面のミネラル密度の測定も行うことが可能である。
【0074】
図1では健全なヒト抜去小臼歯における、唇側中央のミネラル密度の高低を、ミネラル密度が高くなるに従い紫(2500mg/cm3)から赤(3200mg/cm3)へとレインボーカラーで段階的に示したものを、濃淡画像に変換したものである。
【0075】
この図1に示されるように、エナメル質表層にはミネラル密度が3200 mg/cm3程度の高い部分があるが、表層から約500μm深部のミネラル密度は2900 mg/cm3程度である。
【0076】
図2は前処理1を行ったヒト抜去小臼歯のマイクロCT画像である。前処理1後には、図1に比較して、エナメル質の表層から深部において傾斜的にミネラル密度が大きく変化している。ミネラル密度が比較的高いエナメル質表層は変化がないものの、中間層の体積が減少している。一方、深部に見られる比較的ミネラル密度の低い層の体積は著しく増加している。これは、エナメル質への過酸化水素処理によって生じたフリーラジカルにより、エナメル質表層と深部で局所的にミネラル密度の高低の分布が生じたものと考えられる。
【0077】
図3は、前処理1を行った後、石灰化材1に1週間浸漬した後の抜去小臼歯のマイクロCT画像、すなわち、前処理材1で前処理し、その後石灰化材1で処理した実施例1のエナメル質石灰化促進材セットを適用した抜去小臼歯のマイクロCT画像である。この図3では、図1,図2のミネラル密度の高い表層と同程度である、3200 mg/cm3程度のミネラル密度の高い部分のみを示しており、このため、図1(a),(b)に比べて表示している深さは浅くなっている。
【0078】
この図3では、図1,図2のようなエナメル質表層だけではなく、深部に至るまで3200 mg/cm3程度の高いミネラル密度層が形成されていることが確認できた。すなわち、3200 mg/cm3程度のミネラル密度の高い層が、図1,図2に比べて厚くなっている。
【0079】
また、図1の健全なヒト抜去小臼歯、図2の前処理1後のヒト抜去小臼歯、及び、図3の前処理1を行った後、石灰化材1に1週間浸漬した後の抜去小臼歯について、マイクロCTで測定した平均ミネラル密度、すなわち、表層から深部までのミネラル密度の平均を図4に示す。
比較例1
ヒト抜去小臼歯に、前処理1を行わないこと以外は実施例1と同様に処理、すなわち、石灰化材1に浸漬し、37℃で1週間保存した後、マイクロCTで測定した平均ミネラル密度を評価した。
【0080】
図5は、健全なヒト抜去小臼歯、及び、前処理を行うことなく、石灰化材1に37℃で1週間浸漬した後の抜去小臼歯、すなわち、比較例1について、マイクロCTで測定した平均ミネラル密度を示している。
【0081】
図4に示されるように、前処理1前である健全な抜去小臼歯の平均ミネラル密度は約2870 mg/cm3であった。前処理1後、一時的に平均ミネラル密度は約2800 mg/cm3まで低下するが、石灰化材1に1週間浸漬することで平均ミネラル密度は約2950 mg/cm3まで向上する。すなわち、実施例1の石灰化促進材セットを適用した抜去小臼歯の平均ミネラル密度は約2950 mg/cm3まで向上する。
【0082】
これに対して、図5に示すように、健全な抜去小臼歯の平均ミネラル密度は約2845 mg/cm3であるのに対し、前処理1は行わずに石灰化材1に1週間浸漬させた後の平均ミネラル密度、すなわち、比較例1の平均ミネラル密度は約2840 mg/cm3であり、エナメル質の平均ミネラル密度にほとんど変化は見られなかった。
【0083】
図5において、前処理1を行っていない健全な小臼歯を石灰化材1に浸漬させてもミネラル密度の向上が見られないことから、エナメル質に対して石灰化材1のみを用いても効果はほとんど無く、前処理材1と石灰化材1を組み合わせて使用することでエナメル質石灰化効果を発揮することが確認できた。また、本発明の石灰化促進材セットを用いることで、健全エナメル質の表層から深部までのミネラル密度を有意に向上させることが確認できた。
実施例2
実施例2のエナメル質石灰化促進材セットの前処理材2は、実施例1に用いた前処理材1と同じものを用いた。
【0084】
実施例2のエナメル質石灰化促進材セットの石灰化材2として、下記表2の配合組成の石灰化材を調製した。
【0085】
【表2】

石灰化材2は、精製水を溶媒とし、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、リン酸2水素カリウム、リン酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウムの順に所定の質量を溶解・混合して調製した。各成分は溶媒中で完全に溶解させ、沈殿物が生じないように注意した。
【0086】
調製した石灰化材2における、塩化ナトリウム濃度は0.8質量%、塩化カリウム濃度は0.04質量%、硫酸マグネシウム濃度は0.02質量%、塩化カルシウム濃度は0.014質量%、リン酸2水素カリウムの濃度は0.006質量%、リン酸水素ナトリウムの濃度は0.006質量%であり、炭酸水素ナトリウム0.035質量%であり、pHは7.4であった。
【0087】
以上のように調製した前処理材2及び石灰化材2を備える実施例2のエナメル質石灰化促進材セットを用いて試験を行った。
【0088】
また、下記表3に示す組成の人工脱灰溶液(pH4.8)を調製した。
【0089】
【表3】

健全なヒト抜去前歯の歯根部全体を常温重合レジンにて被覆し、人工脱灰溶液に浸漬し、37℃にて3ヶ月保存した後、取り出して水洗した。歯冠部を観察すると、唇面歯頚部付近に直径1mm程度の円形状に人工脱灰病巣の形成を確認した。この人工脱灰病巣が形成されたヒト抜去前歯を試料とした。
【0090】
次に、この試料の歯冠部唇面全体に前処理材2を塗布し、モリタ社製のハロゲンランプDP-075により3分間光照射を行い、前処理材2の活性化を行った。前処理材2の塗布と光照射とを前処理2とし、この前処理2を3回繰り返した。
【0091】
この前処理2後の試料を石灰化材2に浸漬し、37℃にて3週間保存した。この試料を取り出し、マイクロCTスキャナー(X-ray micro-CTシステム SMX-90、shimadzu社製)を用いてミネラル密度の評価を行った。
比較例2
実施例2と同様にして、歯冠部に人工脱灰病巣を形成した試料を作製し、その試料に前処理2は行わず、石灰化材2への浸漬を同様に行い、その後ミネラル密度の測定を行った。
【0092】
図6は前処理2前の人工脱灰病巣を形成したヒト抜去前歯、すなわち、前処理2前の試料のマイクロCT画像であり、図7は前処理2を行った後の試料のマイクロCT画像であり、図8は前処理2後に石灰化材2に浸漬させた後の試料、すなわち、実施例2のエナメル質石灰化促進材セットを適用した試料のマイクロCT画像である。
【0093】
各マイクロCT画像は、人工脱灰病巣を形成したヒト抜去前歯の断面であり、向かって右側面がエナメル質唇面である。
【0094】
図6に示すように前処理2前の試料は、エナメル質表層から300μm程度の深部までのミネラル密度の高い部分(約3200 mg/cm3)が確認できるが、エナメル質深部にいくに従ってミネラル密度の低下が見られる。また、人工脱灰病巣では局所的なミネラル密度の低下が生じており、直径1mm程度の人工脱灰病巣が確認できる。
【0095】
図7に示すように、前処理2後の試料においてはエナメル質表層にミネラル密度の高い部分が見られるものの、その厚さは前処理2前と比較すると若干薄くなっている。また、人工脱灰病巣の大きさにほとんど違いは見られない。
【0096】
それに対し、図8に示すように石灰化材2浸漬後の試料、すなわち、実施例2のエナメル質石灰化促進材セットを適用した試料では、エナメル質表層だけではなく、深部に渡ってミネラル密度の高い層が形成されているのが確認できる。また、人工脱灰病巣も前処理2後と比較して有意に縮小しており、人工脱灰病巣のミネラル密度が健全エナメル質程度まで向上していることが確認できた。
【0097】
比較例2である前処理2を行わずに石灰化材2に浸漬した試料のマイクロCT画像は示していないが、石灰化材2浸漬前と比較してエナメル質のミネラル密度の向上は見られず、また人工脱灰病巣においてもミネラル密度の向上は確認できなかった。
【0098】
以上のように、本発明のエナメル質石灰化促進材セットは、前処理材と石灰化材とを組み合わせて用いることで効果を発揮し、健全エナメル質だけではなく、人工脱灰病巣に対してもミネラル密度を向上できることが確認できた。また、人工脱灰病巣に本発明のエナメル質石灰化促進材セットを用いることで、健全エナメル質程度にまでミネラル密度を向上できることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明のエナメル質石灰化促進材セットは、歯質の強化、虫歯の予防や治療などに有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エナメル質を前処理する前処理材と、前処理されたエナメル質を石灰化処理する石灰化材とを備えるエナメル質石灰化促進材セットであって、
上記前処理材が過酸化物を含み、
上記石灰化材が、カルシウム、ナトリウム及び水を含むと共に、リン酸及びリン酸水素の少なくともいずれか一方を含む、
ことを特徴とするエナメル質石灰化促進材セット。
【請求項2】
上記前処理材の上記過酸化物の濃度が、10〜90質量%であり、
上記石灰化材は、
上記カルシウム濃度が0.001〜0.1質量%、
上記リン酸及び上記リン酸水素の両方を含む場合の合計濃度、及び、上記リン酸または上記リン酸水素のいずれか一方を含む場合の濃度が、いずれも0.001〜0.1質量%、
上記ナトリウム濃度が0.03〜5.0質量%である、
請求項1に記載のエナメル質石灰化促進材セット。
【請求項3】
上記石灰化材は、
上記カルシウム濃度が0.005〜0.01質量%、
上記リン酸及び上記リン酸水素の両方を含む場合の合計濃度、及び、上記リン酸及び上記リン酸水素のいずれか一方を含む場合の濃度が、いずれも0.005〜0.05質量%、
上記ナトリウム濃度が0.1〜1.0質量%である、
請求項2に記載のエナメル質石灰化促進材セット。
【請求項4】
上記過酸化物が、過酸化水素または分解して過酸化水素を生じる化合物であって、上記前処理材の過酸化水素の濃度が、10〜90質量%である、
請求項2または3に記載のエナメル質石灰化促進材セット。
【請求項5】
過酸化物を含む前処理材で前処理されたエナメル質を石灰化処理する石灰化材であって、
カルシウム、ナトリウム及び水を含むと共に、リン酸及びリン酸水素の少なくともいずれか一方を含み、
上記カルシウム濃度が0.001〜0.1質量%、
上記リン酸及び上記リン酸水素の両方を含む場合の合計濃度、及び、上記リン酸または上記リン酸水素のいずれか一方を含む場合の濃度が、いずれも0.001〜0.1質量%、
上記ナトリウム濃度が0.03〜5.0質量%である、
ことを特徴とする石灰化材。

【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−178725(P2011−178725A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44975(P2010−44975)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(592019213)学校法人昭和大学 (23)
【出願人】(390011143)株式会社松風 (125)
【Fターム(参考)】