説明

エナンチオマー純粋な(4S,8S)−及び(4R,8R)−4−p−ベンジル−8−メチル−3,6,9−トリアザ−3N,6N,9N−トリカルボキシメチル−1,11−ウンデカン二酸と生体分子との結合体、それらの製造方法並びに医薬品の製造のためのそれらの使用

本発明は、一般式(VIIa)及び(VIIb)で示され、式中、Aが基COOを表し、かつZとRは異なる意味を有するエナンチオマー純粋な結合体に関する。また本発明はこれらの結合体の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲で特徴付けられる対象:すなわちエナンチオマー純粋な(4S,8S)−及び(4R,8R)−4−p−ベンジル−8−メチル−3,6,9−トリアザ−N,N,N−トリカルボキシメチル−1,11−ウンデカン二酸と生体分子との結合体、それらの製造方法並びに放射性診断、放射線療法又はNMR診断用の医薬品の製造のためのそれらの使用に関する。
【0002】
診断目的及び治療目的のための放射線医薬の使用は生物学的及び薬学的な研究の分野で長い間知られている。特に放射線医薬は、規定の構造、例えば骨格、器官又は組織を表すために用いられる。診断的使用は、適用後に、検査されるべき患者の構造中に特異的に集積するかかる放射活性剤の処方を必要とする。局所的に集積される放射活性剤を次いで適当な検出器、例えばシンチレーションカメラ又は別の適当な撮影法を用いて探り、プロットし又はシンチグラフィーを行ってよい。検出される放射活性剤の分布及び相対強度は放射活性剤が存在する構造の位置を示し、かつ構造及び機能の異常、病理学的変化等の存在を表しうる。
【0003】
類似のように放射性医薬は、規定の罹患した組織又は領域を照射するための治療剤として患者に投与することができる。かかる治療は、規定の構造、器官又は組織中に集積する放射活性治療剤の製造を必要とする。IDEC Pharmaceuticals社によって開発された非ホジキンリンパ腫の治療用の医薬品はZevalin(R)である(例えばCancer (2002) Feb 15; 94, (4 Suppl): 1349-57を参照)。放射性イオンはこの場合に、キレーター(メチル置換されたジエチレン−トリアミン−五酢酸誘導体(MX−DTPA))によって腫瘍特異抗体に結合されているβ線放出90Yである。
【0004】
核磁気共鳴(NMR)は今日では、広く用いられ、インビボ−イメージングのために利用される医学診断法であり、これを用いて体内水中のプロトンの磁気的特性の測定により、体内導管及び体内組織(腫瘍を含む)を示すことができる。このために、例えば体内プロトンの規定のNMRパラメータ(例えば緩和時間T1及びT2)に影響を及ぼすことによって、得られるイメージのコントラストを強めるか、もしくはこのイメージを初めて判読可能にする造影剤が使用される。とりわけ、常磁性イオンの錯体、例えばガドリニウム含有錯体(例えばMagnevist(R))は、常磁性イオンが緩和時間の短縮に作用することに基づいて使用される。
【0005】
常磁性イオン、例えばGd3+、Mn2+、Cr3+、Fe3+及びCu2+も、多くの金属性放射性核種も遊離形で溶液として投与できないのは、その高い毒性のためである。これらのイオンをインビボ用途に適したものにするために、これらは一般に錯化される。例えばEP−A−0071564号では、とりわけジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)のガドリニウム(III)錯体のメグルミン塩がNMRトモグラフィー用の造影剤として記載されている。この錯体を含有する調製物は、Magnevist(R)という名称で世界中で最初のNMR造影剤として認められてきた。この造影剤は、静脈内適用により細胞外に広がり、そして糸球体分泌により腎臓から排除される。無傷の細胞膜の通過は実際は観察されていない。Magnevist(R)は病理学分野(例えば炎症、腫瘍)の表示用に特に良好に適している。
【0006】
しかしながら公知の放射性療法剤及び造影剤は、全ての用途には十分に使用できない。そのため、これらの剤の多くは体内の全ての細胞外空間に拡がる。この剤のインビボ診断及び療法における有効性を高めるために、標的細胞又は体内の所望の領域及び構造に対する特異性及び選択性を高めることが試みられている。この特性の改善は、例えばこれらの金属錯体を生体分子に結合させることによって、“ドラッグ−ターゲティング”原理に従って達成することができる。生体分子としては、血漿タンパク質、抗体、そのフラグメント、ホルモン、成長因子及び受容体と酵素の基質が該当する(例えばWO97/12850号、Institut fuer Diagnostikforschung an der FU Berlin)。しかしながら今までは、例えば腫瘍特異性(腫瘍集積)が多くの場合に十分に高くなく、それは特に放射性免疫療法では重要な目標である。
【0007】
更に、できる限り高い標的特異性の他に、大部分が毒性の錯化された金属イオンについて高いインビボ安定性を有する診断剤及び療法剤を提供することが望ましい。
【0008】
従って、本発明の課題は、前記の欠点を有さず、特に高いインビボ安定性、良好な適合性、そしてとりわけ器官特異的な特性を有する放射性診断及びNMR診断のための新規の剤並びに放射線療法剤を提供することであった。一方で、少ない用量で、効果的な診断及び療法に必要な質のイメージもしくは十分な放射を達成するためには、調査されるべき腫瘍組織又は器官中の滞留が十分であることが望ましい。しかしながら、他方では、引き続きできるだけ迅速にかつ極めて広範囲に完全に金属が体内から排除されることを保証することが望ましい。更に、NMR造影剤は、高いプロトン緩和を示し、そうして信号強度が高められることで用量の低減が可能であることが望ましい。生体物質に結合可能なDTPA誘導体の特性を置換基の導入によって改善する種々の試みがなされてきた。
【0009】
Brechbielらは、例えばメチル置換された、例えば抗体に結合できるDTPA誘導体の詳細な合成を記載している("A Convenient Synthesis of Bifunctional Chelating Agents Based on Diethylenetriaminepentaacetic Acid and Their Coordination Chemistry with Yttrium", Bionconjugate Chemistry, (1991), 180-186. "Synthesis of (1-(p-isothiocyanatobenzyl) derivatives of DTPA and EDTA. Antibody Labeling and Tumor-Imaging Studies.", Inorg. Chem. (1986), 25.2772, 2772-2781)。特許出願WO88/01618号(Gansowら)において、8位にメチル置換基を有し、かつ4位にパラ官能化されたベンジル置換基を有するDTPAが開示されている。
【0010】
【化1】

【0011】
該化合物はMX−DTPA、mx−DTPA又は1B4M−HDTPAと呼ばれる。特許出願WO01/41743号(IDEC Pharmaceuticals社)は、Boc保護された(S)−p−ニトロフェニルアラニン及び一カ所保護されたジアミンから出発する化合物Iの位置選択的合成を記載している。この化合物の4位でのステレオジェン中心は、(S)立体配置であると記載され、8位でのステレオジェン中心は定義されていない。
【0012】
既に前述したように、MX−DTPAは非ホジキンリンパ腫の治療用の調製物ZEVALIN(R)の成分である。ここでも、キレート性配位子として、(4S,8R)−及び(4S,8S)−MX−DTPAからなる混合物が使用される。
【0013】
McMurryら(J. Med. Chem., (1998), 41, 3546-3549)は、シクロヘキシル置換され、ニトロベンジルで置換されているDTPAはシクロヘキサン環の強固かつ嵩張る構造に基づいて好ましい立体配置を有することを示している。こうして、化合物IIは化合物IIIより高いインビボ安定性及びインビトロ安定性を有する(そしてこのことはエナンチオマーにも言える)。
【0014】
【化2】

【0015】
MX−DTPA(I)は良く調査されかつ許容可能な特性、例えば非置換DTPAと比較して高められた錯体安定性を示すにもかかわらず、それでもやはり、金属錯体の安定性をインビボで更に高め、そしてできるだけ高い安全性を有する診断剤及び療法剤を提供することが所望され続けている。
【0016】
ここで、比較的小さなメチル置換基(8位)がエナンチオ選択的に導入されているMX−DTPA誘導体が好適な立体配置で意想外にも、ジアステレオマー混合物(IV)(前記参照)より明らかに高い熱力学的安定性をインビボで有することが見出された。
【0017】
【化3】

【0018】
この場合に、見出されたように、記載された有利な効果を達成するためには、メチル置換基及びベンジル置換基の立体配置が(4S,8S)(化合物Va参照)又は(4R,8R)(化合物Vb参照)として存在しなければならない。立体配置(4S,8R)又は(4R,8S)(化合物VIaもしくはVIb参照)はそれに対して低い錯体安定性をもたらす。印象的な実験例は、各1当量のVa(R=−NO)、VIa(R=−NO)及びGd(III)塩の混合物においてほぼ大部分が化合物VaのGd錯体を形成することを示している。更に、化合物Vaについての熱力学的安定性定数はlogK=24.7±0.7で規定でき、従って、ジアステレオマー混合物IVの安定性定数(logK=22.5(J. Med. Chem. (1998), 41, 3546-3549))に対して明らかに高い。更に、化合物Vaの金属錯体の放射性毒性はインビボで化合物VIaに対して低いことが判明した。
【0019】
この結果は、8位のメチル置換基が、化合物II及びIIIのシクロヘキシル置換基の場合のように強固な“空間整備性(raumorganisierend)”又は立体的に要求の高い構造でないので予想外かつ意想外である。こうして、全ての4種の立体異性体がほぼ同じ錯化特性を有することが期待される。しかしながら既に前記のように、本発明による化合物Va及びVbは化合物VIa及びVIbと比較して明らかに良好な錯化特性を有することが示される。
【0020】
更に、本発明による化合物は良好な緩和性及び良好な水溶性を示すので、特に放射性診断及びNMR診断用の医薬品並びに放射性療法剤として好適である。
【0021】
従って、本発明は、一般式VIIa及びVIIb
【0022】
【化4】

[式中、
Zは水素原子又は原子番号21〜29、31、32、37〜39、42〜44、46、47、49、58〜71、75、77、82又は83の元素の金属イオン当量分を表し、
Aは基−COO−を表し、
Rは官能基を介して結合された生体分子を表すか、又は直鎖状又は分枝鎖状の飽和又は不飽和の、場合により1〜6個のO原子もしくはフェニレン、−NHCO−、−CONH−、
【0023】
【化5】

及び/又は−NH−(C=S)−NH−基によって中断されたC〜C25−アルキル基を表し、該基は場合により任意の位置で1〜6個のカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基又は別の官能基で置換されており、その基を介して生体分子が結合されていてよいが、但し、アルキル基は、官能基を介して結合された少なくとも1つの生体分子を含み、そして少なくとも2つのZは金属イオン当量分を表す]の結合体並びに、有機塩基又は無機塩基とのそれらの塩に関する。
【0024】
基Rは1〜25個の炭素原子を有するアルキル基を表す(その際、該基は生体分子が結合されている少なくとも1つの官能基を有する)。このアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状、飽和又は不飽和であってよく(例えば
【0025】
【化6】

)、かつ前記基は、任意の位置で1〜6個のカルボキシル基、ヒドロキシル基及び/又はアミノ基を有する(例えば
【0026】
【化7】

)か、又は少なくとも1つの別の官能性の結合基、例えばカルボキシル、活性化カルボキシル、アミノ、ニトロ、イソシアネート、イソチオシアネート、ヒドラジン、セミカルバジド、チオセミカルバジド、クロロアセトアミド、ブロモアセトアミド、ヨードアセトアミド、アクリル、アシルアミノ、混合無水物、アジド、酸塩化物、ヒドロキシド、スルホニルクロリド、ビニルスルホン、カルボジイミド、マレイミド、ジオキソ又は別の官能性の結合基(例えば
【0027】
【化8】

)を有してよく、これらの基を介して生体分子が結合されていてよい。
【0028】
〜C25−アルキル基は、場合により1〜6個のO原子、フェニレン基、−NHCO−、−CONH−、−O−(CO)−NH−、
【0029】
【化9】

及び/又は−NH−(C=S)−NH−基によって中断されていてよい(例えば、
【0030】
【化10】

)。
【0031】
Rはまた官能基自体、例えばカルボキシル、活性カルボキシル、アミノ、ニトロ、イソシアネート、イソチオシアネート、ヒドラジン、セミカルボジド、チオセミカルバジド、クロロアセトアミド、ブロモアセトアミド、ヨードアセトアミド、アクリル、アシルアミノ、混合無水物、アジド、酸塩化物、酸臭化物、ヒドロキシド、スルホニルクロリド、ビニルスルホン、カルボジイミド、マレイミド又はジアゾ(例えば
【0032】
【化11】

)又は別の官能性の結合基を表し、これらの基を介して生体分子が結合されていてよい。
【0033】
前記の可能な結合性基の多くは生体分子の官能基と至適pH範囲で選択的な反応、例えば−SH−基(生体分子中のシステイン)への付加を可能にするが、結合を弱酸性pH領域で行う場合には、マレイミド((2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−ピロール−1−イル)化合物、前記参照)又はブロモアセトアミドへの−SH−基の付加は除く。
【0034】
活性化カルボキシル基とは、生体分子との反応を容易にするように誘導体化された前記の係るカルボキシル基を意味する。どの基を活性化のために使用できるかは公知であり、例えば M. und A. Bodanszky, "The Practice of Peptide Synthesis", Springerverlag 1984に指摘される。例はカルボン酸とカルボジイミド又は活性化エステル、例えばヒドロキシベンゾトリアゾールエステルとの付加物である。特に有利には活性化カルボキシル基は
【0035】
【化12】

から選択される。
【0036】
前記の化合物の活性化エステルは当業者に公知のように製造される。イソチオシアネート又はα−ハロゲンアセテートの場合については、相応の末端アミン前駆体は文献から公知の方法によりチオホスゲン又は2−ハロ酢酸−ハロゲン化物と反応される。また相応のN−ヒドロキシスクシンイミドの誘導体化されたエステル、例えば
【0037】
【化13】

(Hal=ハロゲン)との反応も可能である。
【0038】
一般に前記の目的のためにカルボン酸のための全ての慣用の活性化法が使用でき、該方法は従来技術において公知である。R置換基がアミド基を有するのであれば、該分子は、活性化されたカルボン酸とアミンとを反応させることによって製造される。カルボン酸の活性化は慣用の方法により行われる。適当な活性化剤のための例はジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸(EDC)、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)及び0−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、有利にはDCCである。O−求核性触媒、例えばN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)又はN−ヒドロキシベンゾトリアゾールの添加も可能である。
【0039】
置換基がカルボン酸官能基であれば、該基は保護された形(例えばベンジルエステルの形で)使用され、保護基の分解は次いで水素化分解的に行われる。
【0040】
このカルボン酸官能基が適当な生体分子(生体分子の説明については以下参照)の適当な官能基に結合するために、該基を一般にまず活性化させるべきである。有利にはそのために活性化エステルを中間的に作成し、これを次いで生体分子の求核性基によって攻撃する。前記のように生体分子と式Iの化合物との間の共有結合が存在する。有利な活性化エステルはN−ヒドロキシスクシンイミドのエステル、パラニトロフェノールのエステル又はペンタフルオロフェノールのエステルである。官能基をイソチオシアネートの形で生体分子に結合すべき場合には、有利には先ず、必要であれば適当な保護基を備えていてよい第三級アミンを使用する。適当な保護基はペプチド化学から公知である。保護基の分解の後に、第1級末端アミンとチオホスゲンとの反応によってイソチオシアネートを製造してよい。そこに生体分子の求核性基を付加してよい。
【0041】
該結合体の合成は、一般に、まず誘導体化されかつ官能化された配位子又はキレート錯体を製造し、次いで生体分子に結合させるように行われる。しかしながら、合成により製造された生体分子を使用する場合に本発明による配位子又はキレート錯体は生体分子の合成の間に生体分子中に組み込んでもよい。これは、例えば合成ロボットでのオリゴペプチドの連続的な合成の間に実施してよい。必要に応じて、このために相応の生体分子の合成において慣用の保護基を本発明による化合物に導入してもよい。これを次いで慣用の合成アルゴリズムの経過において再び分解してよい。
【0042】
本発明による化合物は、少なくとも2つのキラル中心(4位及び8位)を有する。またRは1つ又は複数の付加的なキラル中心を有してよく、その際、本明細書及び特許請求の範囲において種々のエナンチオマーの間で違わず、前記の化合物は常に両方のエナンチオマーを含み、多くの立体中心が存在する場合には全ての可能なジアステレオマー並びにそれらの混合物も含む。
【0043】
「生体分子」とは本願では、天然に例えば生体で生じるか、又は類似の構造で合成により製造されるあらゆる分子を意味する。更に生体分子とは、生物学的に、例えば生体に生じる分子又はそこに生じる構造において相互作用する分子を意味するので、例えば規定の所望の生体部位に該結合体が集積する。「生体」とは本願では植物又は動物の生体をそれぞれ意味し、その際、動物、特にヒトの生体が有利である。
【0044】
生体分子は、特に生物中に生じる分子であり、該分子は進化的淘汰の産物として秩序的かつ複雑な作用によって生物に特異的な課題を満たし、かつその生命機能(物質代謝及び形態代謝、繁殖、エネルギー収支)の基礎に影響する。生体分子においてまず簡単な構成単位(アミノ酸、核酸塩基、単糖類、脂肪酸等)からより大きな分子(タンパク質、核酸、多糖類、脂質等)が合成される。相応の巨大分子を生体ポリマーとも呼ぶ。
【0045】
有利には生体分子は、例えば化合物VIIa′及びVIIb′(前記参照)の反応性基と反応しうる側鎖を有するアミノ酸からなるポリペプチド骨格を有してよい。かかる側鎖は、例えばアスパラギン酸残基及びグルタミン酸残基のカルボキシル基、リジン残基のアミノ基、チロシン残基及びヒスチジン残基の芳香族基並びにシステイン残基のスルフヒドリル基を含む。
【0046】
多くの例による生体分子の概要は、「TU−Grazの草案「生体分子の化学」(H. Berthold et al., Institut fuer Organische Chemie, TU-Graz, 2001)」に見られ、これはまたインターネットを介してwww.orgc.tu−graz.ac.atで閲覧できる。この文献の内容は引用することにより本願の詳細な説明に記載されたものとする。
【0047】
本発明による結合体の結合のために、以下の生体分子が特に適当である:生体ポリマー、タンパク質、例えば生物学的機能を有するタンパク質、HSA、BSA等、生物の規定の部位(例えばレセプター、細胞膜、チャンネル等に)に集積するタンパク質及びペプチド、プロテアーゼによって分解されるペプチド、合成による目的開裂部位を有するペプチド(例えば反応性エステル、アミドなど)、メタロプロテアーゼによって分解されるペプチド、光分解性リンカーを有するペプチド、酸化剤(オキシダーゼ)によって分解可能な基を有するペプチド、天然及び非天然のアミノ酸を有するペプチド、糖タンパク質(糖ペプチド)、シグナルタンパク質、抗ウイルス性タンパク質及びアポクトーシス(Apoktosis)、合成により変性された生体ポリマー、例えばリンカーで誘導体化された生体ポリマー、変性されたメタロプロテアーゼ及び誘導体化されたオキシダーゼ等、炭化水素(単糖類ないし多糖類)、例えば誘導体化された糖類、生物中で分解可能な糖類、シクロデキストリン及びその誘導体、アミノ糖類、キトサン、ポリスルフェート及びアセチルニューラミン酸誘導体、抗体、例えばモノクローナル抗体、抗体フラグメント、ポリクローナル抗体、ミニ抗体、単鎖(多くのフラグメントにリンカーで結合されている単鎖)、赤血球及び別の血球成分、癌マーカー(例えばCAA)及び細胞接着物質(例えばルイスX及び抗ルイスX誘導体)、DNA及びRNA断片、例えば誘導体化されたDNA及びRNA(例えばSELEX法によって見いだされたもの)、合成RNA及びDNA(非天然塩基を有するものも)、PNA(ヘキスト)及びアンチセンス、β−アミノ酸(Seebach)、細胞に通過させるためのベクトルアミン、生体原アミン、医薬品、癌原調製物、生物学的標的(例えばレセプター)に向けられる合成ポリマー、ステロイド(天然及び変性)、プロスタグランジン、タキソール及びその誘導体、エンドセリン、アルカロイド、葉酸及びその誘導体、生体活性脂質、脂肪、脂肪酸エステル、合成的に変性されたモノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリド、表面上で誘導体化されているリポソーム、天然の脂肪酸又はペルフルオロアルキル化合物からなるミセル、ポリフィリン、テキサフリン、拡張ポルフィリン、シトクロム、インヒビター、ノイラミダーゼ、ニューロペプチド、免疫調節剤、例えばFK506、CAPE及びグリオトキシン、エンドグリコシダーゼ、酵素によって活性化される基質、例えばカルモジュリンキナーゼ、カゼインキナーゼII、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、ヘパリナーゼ、基質−メタロプロテアーゼ、β−インスリン−レセプター−キナーゼ、UDP−ガラクトース−4−エピメラーゼ、フコシダーゼ、G−タンパク質、ガラクトシダーゼ、グリコシダーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ及びキシロシダーゼ、抗生物質、ビタミン及びビタミン類似体、ホルモン、DNA−インターカレーター、ヌクレオシド、ヌクレオチド、レクチン、ビタミンB12、ルイスX及び類似物、ソラーレン、ジエントリエン抗生物質、カルバシクリン、VEGF(血管内皮成長因子)、ソマトスタチン及びその誘導体、ビオチン誘導体、抗ホルモン、腫瘍特異的タンパク質及び合成薬、生体の酸性又は塩基性の領域に集積するポリマー(pH調整された分布)、ミオグロビン、アポミオグロビン等、神経伝達ペプチド、腫瘍壊死因子、炎症組織に集積するペプチド、血液プール試薬、アニオン及びカチオン−輸送タンパク質、ポリエステル(例えば乳酸の)、ポリアミド及びポリホスフェート。
【0048】
前記の生体分子の殆どは、例えばMerck、Aldrich、Sigma、Calibochem又はBachemで市販されている。
【0049】
更に、生体分子として、WO96/23526号及びWO01/08712号に開示される全ての“血漿タンパク質結合グループ”もしくは“目標結合グループ”を使用できる。前記の両者の公開公報の内容は引用することにより本願の詳細な説明に記載されたものとする。
【0050】
更に式VIIa及びVIIbの化合物は、先行技術で蛍光色素物質と反応される全ての同じ分子への結合体であってよく、例えばその位置確認は細胞内の落射蛍光顕微鏡によって測定される。また該化合物は原則的に任意の医薬品と結合でき、次いで該医薬品の投与の後に生物内の輸送をNMR技術又はシンチグラフィー技術によって追跡できる。更に、式VIIa及びVIIbの化合物と生体分子とからなる本発明による結合体は、生体分子に結合されている他の付加的な分子を有してもよい。本発明の範囲内での「生体分子」の概念では、従って生物学的系に存在する全ての分子、及び生体適合性な全ての分子を含む(生体分子の定義は前記参照)。
【0051】
本発明による常磁性錯体の緩和性は、特にNMR診断のために非常に適するほど高い。本発明による化合物はタンパク質に結合する。この特性は、血漿タンパク質に結合して、血流により長期に滞留することを可能にし、そうして脈管領域の表示が可能となる。更に、例えば腫瘍中に存在するような透過性の高められた位置の表示も可能である。この高められた導管透過性は更に放射活性金属錯体による腫瘍療法の基礎である。この薬剤は、腫瘍の内部で脈管から出て行き、組織中に留まり、組織は治療に有効な放射線にさらされる。
【0052】
血漿タンパク質結合は、本発明による物質が梗塞又は壊死に集中するため梗塞又は壊死の局在についての造影診断をも可能にする。
【0053】
壊死又は梗塞の検出、局在化及び監視は医学において重要な分野である。こうして心筋梗塞を回復不能の機能していない組織において直ちに引き起こさず、より長い時間(週ないし月)におよぶ動的な過程をもたらす。該疾患は、互いに明確に分けられず、重複している、ほぼ3段階で進行する。第一段階である心筋梗塞の発生は梗塞の24時間後を含み、その際、衝撃波のような崩壊(波面現象)が心内膜から心筋に進行する。第二段階である既に存在する梗塞は、その領域の安定化を含み、その際、治癒過程として線維形成が行われる(線維症)。第三段階である梗塞の完治は、全ての崩壊した組織が線維状の瘢痕組織と交換されることから始まる。この期間の間に、大規模な再構築が行われる。
【0054】
心筋梗塞の判断のためには、梗塞時に最終的に失われた組織の割合がどれほど多いか、そしてどの部位で損失が行われたかを知ることが決定的に重要である。それというのもこの知識に治療の種類は左右されるからである。梗塞は心筋だけでなく、別の脳又は腎臓中の組織においても生ずる。梗塞はある程度は治癒可能であるが、壊死、すなわち局所的に限定された組織の死の場合には残りの生物体にとっての悪い結果のみを防ぐか、又は少なくとも緩和できるにすぎない。壊死は多くの様式で、負傷によって、化学薬品によって、酸欠又は放射線によって生じうる。梗塞の場合と同様に、壊死の範囲及び種類を知ることは、より広い医師の行動のために重要である。
【0055】
本発明による一般式VIIa及びVIIbの結合体の製造は、自体公知のように、一般式VII′a及びVII′b
【0056】
【化14】

[式中、Z′はZの意味を有するか、又はカルボキシル保護基を有し、R′は官能基を表し、かつAは基−COO−を表す]の化合物を、場合によりカルボキシル保護基の開裂後に生体分子と反応させ、引き続き(場合によりカルボキシル保護基の開裂後に)、そうして得られた酸を自体公知のように、原子番号21〜29、31、32、37〜39、42〜44、46、47、49、58〜71、75、77、82又は83の元素の少なくとも1種の金属酸化物又は金属塩と反応させ、引き続き所望であれば、存在する酸性水素原子を無機酸及び/又は有機酸又はアミノ酸により生理学的に認容性の塩に変換することによって行われる。
【0057】
生体分子との反応は、式VII′a及びVII′bの金属キレート(Z′は金属イオン当量分を表す)、キレーター(Z′は水素を表す)又は保護されたキレーター(Z′はカルボキシル保護基を表す)を用いて行うことができるので、保護基の開裂もしくは所望の金属イオンの導入は選択された反応経路に従って行われる。
【0058】
カルボキシル保護基Z′としては、低級アルキル基、アリール基及びアラルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、ビス(4−ニトロフェニル)メチル基並びにトリアルキルシリル基が該当する。
【0059】
保護基Z′の開裂は、自体公知のように、例えば加水分解、エステルの、有利には水性−アルカリ性溶液中のアルカリによる0〜50℃でのアルカリ性鹸化によって、又はベンジルエステルの場合には接触水素化によって、そしてt−ブチルエステルの場合には、例えば塩酸又はトリフルオロ酢酸による酸性加水分解によって行われる(Protective Groups in Organic Synthesis, 2nd Edition, T.W. Greene and P.G.M. Wutz, John Wiley & Sons, Inc., New York, 1991)。
【0060】
式VIIa及びVIIbの本発明による化合物の製造を、以下に選択された化合物1
【0061】
【化15】

[式中、Z′はt−ブチルである]の例で説明する。
【0062】
アルカリ性鹸化と引き続いてのイオン交換体処理によって、化合物1を遊離のカルボン酸を用いて化合物VII′aに変換させることができる。
【0063】
化合物1はトリアミン2から、アセトニトリル/水の混合物中で塩基として炭酸カリウムを用いたブロモ酢酸−t−ブチルエステルによるアルキル化反応によって生成する。
【0064】
【化16】

【0065】
化合物2はアミド3をボラン−テトラヒドロフラン錯体により還元させることによって得られる。この場合に、例えばJ. Amer. Chem. Soc., (1990), 9608に記載されるような条件に従う。
【0066】
【化17】

【0067】
アミド3は二カ所がBoc保護されたジアミン4からトリフルオロ酢酸及びジクロロメタンとの反応によって製造される。
【0068】
【化18】

【0069】
アミド4の形成は、この場合に当業者によく知られた方法に従って、例えば
− オキサリルクロリド:J. Org. Chem., 29 : 843 (1964)
− チオニルクロリド:Helv., 42 : 1653 (1959)
− カルボジイミド:Helv. 46 : 1550 (1963)
− カルボジイミド/ヒドロキシスクシンイミド:J. Am. Chem. Soc. 86 : 1839 (1964) sowie J. Org. Chem. 53 : 3583 (1988) ; Synthesis 453 (1972)
− 無水物法;2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン:J. Am. Chem. Soc. 90 : 1651 (1986) ;Int. J. Pept. Prot. Res., 26 : 493 (1985) ; Am. Soc. 73 : 3547 (1951)
− イミダゾリド法:Am. Soc. 91 : 2691 (1969)
J. Med. Chem. 1996,392596 ; Tetrahedron Letters 1994,35, 5981 ; Bioorg. Med. Letters 1996,6, 55 ; J. Chem. Soc. Commun. 1994,201
による酸活性化に従って、商業的に入手可能な酸5及び一カ所保護されたアミン6から行われる。
【0070】
【化19】

【0071】
化合物6はアジド7を水素及びPd/Cを用いて酢酸エステル中で還元することによって得られる。
【0072】
【化20】

【0073】
化合物7はメシレート8のナトリウムアジドによる置換反応から生ずる。
【0074】
【化21】

【0075】
メシレート8はアルコール9及びメタンスルホン酸塩化物との反応によって得ることができる。
【0076】
【化22】

【0077】
アルコール9は商業的に入手可能な(S)−2−アミノ−1−プロパノール(10)
【0078】
【化23】

及びジ−t−ブチルジカーボネート[(Boc)O]のテトラヒドロフラン中での反応からの生ずる生成物である。
【0079】
化合物1中に含まれるニトロ基は、アミノ基への変換後に直接、生体分子のための結合部として、例えば活性化エステルによるアミド形性又はカルボニル基による還元的アミノ化を介して、又は選択的に反応する基への変換後に用いられる。この変換反応は当業者によく知られている。このようにGansow(EP484984号)及びMeares(US4622420号)は、−SH基又は−NH基との結合に使用される非環式錯形成剤のハロゲン化アセトアミドの説明を記載している。
【0080】
アミノ基との選択的な結合はイソチオシアナト基が可能にする。その説明及びアミンによるその相応のチオ尿素への変換は、例えば特許US4680338号(Immunomedics社)において記載されている。ヒドラジドによるチオセミカルバジドへの変換は、出願WO95/15335号(Neorx社)に詳述されている。−SH基との選択的な反応はマレイミドが可能にする。その説明及び変換は、例えば特許US5273743号及びEP446071号(Hybritech社)又はEP345723号(Nihon−Medi Physics社)に記載されている。
【0081】
NMR診断のための錯体の製造用の所望の錯体の金属イオンの導入は、特許文献EP71564号、EP130934及びDE−OS3401052号に開示されているように行ってよい。更に所望の元素の金属酸化物又は金属塩(例えば塩化物、硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩又は硫酸塩)を水及び/又は低級アルコール(例えばメタノール、エタノール又はイソプロパノール)中に溶解させるか又は懸濁させ、かつ該溶液又は懸濁液と当量の本発明による錯形成剤とを反応させる。
【0082】
事実上なおも存在する遊離のカルボキシ基の中和は、例えばナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム又はカルシウムの無機塩基(例えば水酸化物、炭酸塩又は重炭酸塩)及び/又は有機塩基、例えばとりわけ第一級、第二級及び第三級のアミン、例えばエタノールアミン、モルホリン、グルカミン、N−メチルグルカミン及びN,N−ジメチルグルカミン並びに塩基性アミノ酸、例えばリジン、アルギニン及びオルニチン又は本来は中性又は酸性のアミノ酸のアミドによって行われる。
【0083】
中性錯体化合物を製造するために、例えば酸性錯塩中に水溶液又は懸濁液で、中和点に達する程度の量の所望の塩基を添加してよい。得られた溶液は引き続き真空中で乾燥濃縮してよい。しばしば、形成された中性塩を水と混和可能な溶液、例えば低級アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール等)、低級ケトン(アセトン等)、極性エーテル(テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等)の添加によって沈殿させ、かつこうして容易に単離されかつ良好に精製される結晶化物が得られることが有利である。所望の塩基は既に反応混合物の錯体形成の間に添加され、それによりプロセス工程が省かれることが特に有利であると見なされる。該錯形成剤を放射線診断薬又は治療薬の製造のために使用すべきであれば、該錯体の製造は前記錯形成剤から"Radiotracers for Medical Applications", Vol I, CRC Press, Boca Raton, Floridaに記載の方法により行ってよい。
【0084】
特に放射線薬剤として使用すべき場合には該錯体をまず、その使用直前に製造することが望ましい。従って本発明はまた式VIIa又はVIIbで示され、式中のZは放射性同位体を表す化合物を含む放射性医薬品の製造用のキットも含む。
【0085】
更に本発明の対象は、一般式VIIa又はVIIbの少なくとも1種の生理学的に認容性の結合体を、場合によりガレヌス製剤で慣用の添加剤と一緒に含有する医薬品である。
【0086】
本発明による医薬品製剤の製造は、自体公知のように、本発明による結合体を、 − 場合によりガレヌス製剤で慣用の添加剤を添加し、 − 水性媒体中に懸濁又は溶解させ、かつ − 引き続き該懸濁液又は溶液を場合により滅菌することによって行われる。
【0087】
適当な添加剤は、例えば生理学的に認容性の緩衝液(例えばトロメタミン)、錯形成剤の添加剤又は重錯体(例えばジエチレントリアミン五酢酸又は本発明による金属錯体に応答するCa錯体)又は、所望であれば電解質、例えば塩化ナトリウム又は、所望であれば酸化防止剤、例えばアスコルビン酸である。
【0088】
腸内投与又は別の目的のためには、本発明による薬剤の水又は生理学的な塩溶液中の懸濁液又は溶液が望ましいのであれば、これらはガレヌス製剤で慣用の1種以上の助剤[例えばメチルセルロース、ラクトース、マンニトール]及び/又は界面活性剤[例えばレシチン、Tween(R)、Myrj(R)]及び/又は矯味のための付香剤[例えばエーテル油]を混合する。
【0089】
原則的に、本発明による医薬品製剤を、錯塩を単離せずにも製造できる。それぞれの場合において、キレート結合が、本発明による塩及び塩溶液が実質的に、錯化されない毒性作用を示す金属イオンを含有しないように行われることに念を入れる。
【0090】
これは、例えば色指示薬、例えばキシレノールオレンジを用いて対照滴定によって製造プロセスの間に保証できる。
【0091】
従って本発明は錯体化合物及びその塩の製造方法にも関する。最終的な信頼性として単離された錯体塩を精製すべきである。
【0092】
本発明による医薬品は、有利には1フェムトモルから1.3モル/lの錯体塩を含有し、かつ一般に0.5ピコモル/kg〜5ミリモル/kgの量で投与される。その量は腸内適用及び非経口適用のために規定される。本発明による錯体化合物は、
1. 原子番号21〜29、42、44及び58〜70を有する元素の常磁性イオンとのその錯体の形でNMR診断のために使用される。適当なイオンは、例えばクロム(III)イオン、鉄(II)イオン、コバルト(II)イオン、ニッケル(II)イオン、銅(II)イオン、プラセオジム(III)イオン、ネオジム(III)イオン、サマリウム(III)イオン及びイッテルビウム(III)イオンである。その強い磁気モーメントのため、ガドリニウム(III)イオン、テルビウム(III)イオン、ジスプロシウム(III)イオン、ホルミウム(III)イオン、エルビウム(III)イオン、マンガン(II)イオン及び鉄(III)イオンがNMR診断のために特に有利である。
【0093】
2. 原子番号26,27、29、31、32、37〜39、43、46、47、49、61、62、64、67、70、71、75、77、82及び83を有する元素の放射性同位体とのその錯体の形で放射性診断及び放射性療法のために使用される。
【0094】
本発明による剤は核スピン断層撮影法のための造影剤としての適性に関する多くの前提条件を満たす。従ってこれらは卓越して、経口又は非経口の適用の後に信号強度の増大によって、核スピン断層撮影法を用いて得られる撮像をその表現力(Aussagekraft)において改善するために適当である。更にこれらは、できる限り少量の外来物質で生体を負荷するために必要な高い作用並びに検査の非侵襲性の特性を保持するために必要な良好な適合性を示す。
【0095】
本発明による剤の良好な水溶性及び低い浸透圧は、高濃縮された溶液の製造を可能にし、それにより許容される範囲内の循環系の容量負荷を保持し、体液による希釈を補うことができる、すなわちNMR診断薬はNMR分光法のためよりも100〜1000倍良好に水溶性でなければならない。更に本発明による剤はインビトロで高い安定性を有するだけでなく、インビボで意想外に高い安定性を有するので、錯体中で非共有的に結合される(それ自体有毒の)イオンの遊離又は交換は、新規の造影剤が完全に再び排除される時間内に極めて緩慢にのみ行われるにすぎない。
【0096】
一般に本発明による薬剤は、NMR診断薬として使用するために、0.0001〜5ミリモル/kg、有利には0.005〜0.5ミリモル/kgの量で投与される。使用の詳細は、例えばH.- J. Weinmann et al., Am. J. of Roentgenology 142, 619(1984)に記載されている。
【0097】
器官特異的なNMR診断薬の少ない用量(1mg/kg体重未満)は、例えば腫瘍及び心筋梗塞の検出のために使用できる。特に本発明による錯体の少量投与は放射線治療及び放射線診断での使用のために適当である。このように、療法目的のためにも、診断目的のためにも、0.5ピコモル/kg〜5マイクロモル/kg、有利には50ピコモル/kg〜500ナノモル/kgの用量で使用される。通常は、放射活性金属イオンに関しては、キレーターもしくはキレーター−生体物質結合体よりも約100〜100000倍低いモル濃度が使用されるので、従ってキレーターもしくはキレーター−生体物質結合体は過剰に存在する。
【0098】
更に本発明による錯体化合物は有利には増感試薬として、かつインビボNMR分光法のためのシフト試薬として使用できる。
【0099】
本発明による剤はその優れた放射活性及び該結合体に含まれる錯体化合物の良好な安定性に基づいて放射性診断薬及び放射性治療薬としても適当である。その使用及び投与の詳細は、例えば"Radiotracers for Medical Applications", CRC-Press, Boca Raton, Florida 1983並びにhttp://eur.j.nucl.med.17/ (1990) 346-364及びChem. Rev. 93 (1993) 1137-1156に記載されている。
【0100】
SPECTのために、同位体111In及び99mTcを有する錯体が好適である。
【0101】
放射性同位体による更なる撮像法は、例えば43Sc、44Sc、52Fe、55Co、68Ga、64Cu、86Y及び94mTcのような陽電子放出同位体を使用する陽電子放出型断層撮影法である(Heiss, W.D.; Phelps, M.E.; Positron Emission Tomography of Brain, Springer Verlag Berlin, Heidelberg, New York 1983)。
【0102】
本発明による化合物は意想外にも悪性及び良性の腫瘍の分化のために血液脳関門を有さない範囲で好適である。
【0103】
これらは、完全に生体から排除されることに優れ、従って良好に認容性である。
【0104】
本発明による物質は悪性腫瘍中に集積するので(健康な組織では拡散しないが、腫瘍血管の高い透過性)、これらは悪性腫瘍の照射治療も促進する。前記化合物は、使用される同位体の量及び種類でのみ相応の診断薬と異なるにすぎない。この場合に目的は、できる限り低い到達距離を有する高エネルギーの短波長線によって腫瘍細胞を撲滅することである。このために錯体中に含まれる金属(例えば鉄又はガドリニウム)の電離放射線(例えばX線)又は中性子線との相互作用を利用する。前記の効果によって金属錯体が存在する場所(例えば腫瘍)での局所的線量は極めて高くなる。同様の線量を悪性組織に発生させるために、かかる金属錯体の使用において健康な組織のために放射線負荷をかなり低減でき、かつそれにより患者について負担される副作用は回避できる。本発明による金属錯体−結合体は、従って悪性腫瘍の照射治療における放射線感受性物質としても適当である(例えばメスバウアー効果の利用又は中性子捕捉療法で)。好適なβ線放出イオンは、例えば46Sc、47Sc、48Sc、72Ga、73Ga、90Y、67Cu、109Pd、111Ag、149Pm、153Sm、166Ho、177Lu、186Re及び188Reであり、その際、90Y、177Lu、72Ga、153Sm及び67Cuが好ましい。短い半減期を有する好適なα線放出イオンは、例えば211At、211Bi、212Bi、213Bi及び214Biであり、その際、212Biが好ましい。適当な光子放出イオン及び電子放出イオンは158Gdであり、これは157Gdから中性子捕捉によって得ることができる。
【0105】
本発明による剤をR. L. Millsら[Nature Vol. 336, (1988), S. 787]によって提案された放射線療法の変法で使用する場合に、中心イオンはメスバウアー同位体、例えば57Fe又は151Euを起源とするものでなければならない。
【0106】
本発明による治療剤のインビボ適用では、前記の錯体を適当なキャリヤー、例えば血清又は生理学食塩水と一緒に、かつ別のタンパク質、例えばヒト血清アルブミンと一緒に投与してよい。この場合に用量は細胞障害の種類、使用される金属イオン並びに造影法の種類に依存する。
【0107】
本発明による治療剤は非経口、有利には静脈内で適用される。
【0108】
放射線治療薬の使用の詳細は、例えばR.. W. Kozak et al. TIBTEC, Oktober 1986, 262に記載されている(Bioconjugate Chem. 12(2001)7-34を参照)。
【0109】
全体で、診断医学及び療法医学における改善された可能性を開く新規の錯形成剤、金属錯体及び金属錯塩を合成するのに成功している。
【0110】
以下の実施例は本発明の対象の説明に役立つものである:
実施例10、12〜15、18、19、20、21、28〜31は抗体との結合体を記載している。別の生体分子との結合体は以下の一般的な作業工程に従って製造できる:そこでは“AAV”は一般的な作業工程を表し、“RP−18”は“逆相”クロマトグラフィー固定相を示す。1生体分子あたりの錯体の数はシンチグラフィー又はICP(誘導結合プラズマ原子放出分光法)によって測定した。
【0111】
一般的な作業手順(AAV)I:アルブミン−アミド−結合体
3ミリモルの酸を15mLのDMF中に溶解させ、氷冷下に380mg(3.3ミリモル)のN−ヒドロキシスクシンイミド及び681mgのジシクロヘキシルカルボジイミドと混合し、かつ1時間氷中で前活性化させる。活性化エステル混合物を150mLのリン酸緩衝液(pH7.4)中の16.75g(0.25ミリモル)のウシ血清アルブミン(BSA)の溶液に30分以内で滴加し、かつ室温で2時間撹拌する。配合溶液を濾過し、該濾液をAMICON(R)YM30(カットオフ30000Da)上で限外濾過し、濃縮物をセファデックス(R)G50カラム上でクロマトグラフィーし、かつ生成物フラクションを凍結乾燥させる。
【0112】
一般的な作業手順(AAV)II:アルブミン−マレイミド−結合体
1mLのDMF中の0.0438ミリモルのマレイミドを15mLのリン酸緩衝液(pH7.4)中に溶解された0.84g(0.0125ミリモル)のウシ血清アルブミン(BSA)に添加し、かつ室温で1時間撹拌する。配合溶液を濾過し、該濾液をAMICON(R)YM30(カットオフ30000Da)上で限外濾過し、濃縮物をセファデックス(R)G50カラム上でクロマトグラフィーし、かつ生成物フラクションを凍結乾燥させる。
【0113】
一般的な作業手順(AAV)III:アミド−結合体の製造
3ミリモルの酸を15mLのDMF中に溶解させ、氷冷下に380mg(3.3ミリモル)のN−ヒドロキシスクシンイミド及び681mgのジシクロヘキシルカルボジイミドと混合し、かつ1時間氷中で前活性化させる。活性化エステル混合物を15〜150mLのDMF中の2.5ミリモルのアミン成分の溶液に滴加し、かつ室温で一晩撹拌する。配合溶液を濾過し、かつシリカゲル上でクロマトグラフィーする。
【0114】
一般的な作業手順(AAV)IV:マレイミド−SH−結合体の製造
15mLのDMF中の3ミリモルのマレイミドを15〜150mLのDMF中の2.5ミリモルSH−成分に滴加し、かつ室温で1時間撹拌する。配合溶液を濾過し、該濾液をAMICON(R)YM30(カットオフ30000Da)上で限外濾過し、濃縮物をセファデックス(R)G50カラム上でクロマトグラフィーし、かつ生成物フラクションを凍結乾燥させる。
【0115】
一般的な作業手順(AAV)V:ハロゲンアセトアミド−SH−結合体の製造
15mLのDMF中の3ミリモルのハロゲンアセトアミドを15〜150mLのDMF中の2.5ミリモルSH−成分に滴加し、かつ室温で8時間撹拌する。配合溶液を濾過し、該濾液をAMICON(R)YM30(カットオフ30000Da)上で限外濾過し、濃縮物をセファデックス(R)G50カラム上でクロマトグラフィーし、かつ生成物フラクションを凍結乾燥させる。
【0116】
実施例1
a)(S)−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)カルバミン酸t−ブチルエステル
10.50g(140ミリモル)の(S)−(+)−2−アミノ−1−プロパノールを110mlのTHF中に溶解させ、そして0℃で冷却した。この撹拌された溶液に、30.2(139ミリモル)のジ−t−ブチルジカーボネートを45mlのTHF中に溶かした溶液を滴加した。反応混合物を25℃で90分間撹拌し、そして回転蒸発器上で濃縮した。残留物を300mlのジエチルエーテル中に取り、引き続き90mlの0.01MのHCl溶液で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムを用いて乾燥させ、そして回転蒸発器とオイルポンプで濃縮させた。粗生成物(20.4g)は更なる精製をせずに後続の反応のために使用された。
【0117】
b)(S)−メタンスルホン酸2−t−ブトキシカルボニルアミノプロピルエステル
20.3g(116ミリモル)の1aを125mlのジクロロメタン中に溶解させ、そして17.7g(175ミリモル)のトリエチルアミンと混合した。0℃で、14.7g(128ミリモル)のメタンスルホン酸塩化物を30mlのジクロロメタン中に溶かした溶液を滴加した。反応溶液を0℃で2時間撹拌し、引き続き300mlの水を混合した。有機相を分離した。水相を150mlのジクロロメタンで2回抽出した。合した有機相を150mlの0.1MのHCl溶液で1回、それぞれ150mlの5%の炭酸水素ナトリウム溶液で2回、引き続き50mlの飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。該溶液を濃縮し、そして冷却室中で晶出させた。その結晶を冷ヘキサンで洗浄した。
【0118】
25.4g(100ミリモル)の所望の生成物が得られた。
【0119】
MS−FAB:245(M +1,13)
c)(S)−(2−アジド−1−メチルエチル)カルバミン酸t−ブチルエステル
20.3g(100ミリモル)の1bを155mlのDMSO中に溶かした溶液を7.8g(120ミリモル)のナトリウムアジドと混合し、そして45℃で24時間撹拌した。250mlの氷水を添加した。該混合物を200mlのジクロロメタンで複数回抽出した。合した有機相を50mlの飽和塩化ナトリウム水溶液で2回洗浄した。有機相を濃縮した。11.4gの粗生成物が得られた。粗生成物は更なる精製をせずに後続の反応のために使用された。
【0120】
MS−FAB:201(M +1,23)
d)(S)−(2−アミノ−1−メチルエチル)カルバミン酸t−ブチルエステル
11.4g(57ミリモル)の1cを165mlの酢酸エチルエステル中に溶かした撹拌された溶液を1.8gPd/C(10%)と混合し、そして4バールの水素雰囲気に15時間さらした。触媒を濾過(いわゆるG4フリット)を介して分離した。濾液を回転蒸発器で濃縮し、そしてカラムクロマトグラフィーにより精製した(SiO−ジクロロメタン→ジクロロメタン:メタノール1:1)。所望の生成物が73%の収率(7.25g;42ミリモル)で得られた。
【0121】
MS−FAB:175(M +1,29)
e)(S,S)−{2−[2−t−ブトキシカルボニルアミノ−3−(4−ニトロフェニル)プロピオニルアミノ]−1−メチルエチル}カルバミン酸t−ブチルエステル
7.2g(41ミリモル)の1d、245mlの水及び245mlのジクロロメタンの撹拌された溶液を商業的に入手可能な12.9g(42ミリモル)の(S)−2−t−ブトキシカルボニルアミノ−3−(4−ニトロフェニル)プロピオン酸(Bachem社)及び6.4g(42ミリモル)の1−ヒドロキシベンゾトリアゾール−HO(HOBT)と混合した。該溶液を0℃に冷却し、そして8.8g(46ミリモル)の1−(ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDCI)と混合した。該反応溶液を0℃で7時間、室温で12時間、そして60℃で24時間撹拌した。その溶液を室温に冷却した。水相を分離し、そしてジクロロメタンで複数回抽出した。合した有機相を5%の炭酸水素ナトリウム溶液と飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。硫酸ナトリウムを用いて乾燥させ、そして回転蒸発器で濃縮させた。残留物をヘキサンと混合し、磨砕し、吸引し、そして次いで冷ヘキサンで洗浄した。固体を真空中で30℃において乾燥させた。所望の生成物1eが77%の収率(14.9g;32ミリモル)で得られた。
【0122】
MS−FAB:467(M +1,38)
f)(S,S)−N−(2−アミノプロピル)−3−(4−ニトロフェニル)プロパン−1,2−ジアミン
14.9g(32ミリモル)の1eを180mlのジクロロメタン中に懸濁させた。
【0123】
引き続き54.2g(475ミリモル)のトリフルオロ酢酸を滴加した。該溶液を1時間撹拌し、そして回転蒸発器で濃縮した。ジクロロメタンを添加し、そしてもう一度濃縮した。ジエチルエーテルを添加した。沈殿した固体を分離し、そして冷ジエチルエーテルで洗浄した。固体を真空中で35℃において乾燥させた。この固体(17.7g)を225mlの無水THF中に溶かした撹拌された溶液に、225ml(1M)のボラン−テトラヒドロフラン錯体を滴加した。該反応溶液を還流下に6時間加熱し、引き続き室温で一晩撹拌した。慎重に60mlのメタノールを滴加し、そして更に2時間撹拌した。該溶液を回転蒸発器で濃縮し、そして150mlのエタノールと混合した。HClガスを導通させると、固体が沈殿した。それを濃縮させ、そして無水ジエチルエーテルと混合した。固体を分離し、冷ジエチルエーテルで洗浄し、そして真空中で40℃において乾燥させた。9.61g(〜26.6ミリモル)の所望の生成物1fが三塩酸塩として得られた。
【0124】
MS−FAB:253(M +1,28)
g)(S,S)−{[2−{[2−(ビス−t−ブトキシカルボニルメチルアミノ)プロピル]−t−ブトキシカルボニルメチルアミノ}−1−(4−ニトロベンジル)エチル]−t−ブトキシカルボニルメチル−アミノ酢酸t−ブチルエステル
9.6g(27ミリモル)の1fを290mlのアセトニトリル及び60mlの水に溶かした撹拌された溶液に、43.8g(317ミリモル)の炭酸カリウム及び39g(200ミリモル)のブロモ酢酸−t−ブチルエステルを添加した。該溶液を70℃で7時間まで加熱した。更に13.1g(94ミリモル)の炭酸カリウム及び8.8ml(60ミリモル)のブロモ酢酸−t−ブチルエステルを添加した。該溶液を70℃で7時間まで撹拌した。4.3g(26ミリモル)のヨウ化カリウムを添加した。
【0125】
該溶液を70℃で7時間まで撹拌した。反応溶液を回転蒸発器で濃縮し、水と混合し、そして酢酸エステルで3回抽出した。合した有機相を塩化ナトリウムの飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして濃縮させた。残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製した(SiO−ジクロロメタン→ジクロロメタン:メタノール98:2)。所望の生成物1gが54%の収率(23.2g;42ミリモル)で得られた。
【0126】
MS−FAB:824(M +1,58)
h)(S,S)−{[2−{[2−(ビス−カルボキシメチルアミノ)プロピル]−カルボキシメチルアミノ}−1−(4−ニトロベンジル)エチル]−カルボキシメチル−アミノ}酢酸
14.8g(130ミリモル)のトリフルオロ酢酸、25.5g(300ミリモル)のジクロロメタン及び2.9g(25ミリモル)のトリエチルシランの撹拌された溶液に、1.65g(2ミリモル)の1gを添加した。該反応混合物を1時間撹拌し、そして回転蒸発器とオイルポンプで濃縮した。残留物をジエチルエーテルと混合した。該固体を濾過によって分離し、そしてジエチルエーテルで洗浄した。所望の生成物1hが99%の収率(1.0g;1.99ミリモル)で得られた。
【0127】
MS−FAB:543(M +1,59)
実施例2
(S,S)−{[2−(4−アミノフェニル)−1−({[2−(ビス−t−ブトキシカルボニルメチルアミノ)プロピル]−t−ブトキシカルボニルメチルアミノ}メチル)エチル]−t−ブトキシカルボニルメチル−アミノ}酢酸t−ブチルエステル
0.5g(0.6ミリモル)の1gを10mlのイソプロパノール中に溶かした溶液に0.2gのPd/C(10%)を添加した。反応溶液上の雰囲気は水素を有した。該溶液を5時間撹拌し、濾過し、そして濃縮した。
【0128】
所望の生成物2が81%(397mg、0.5ミリモル)で得られた。
【0129】
MS−FAB:795(M +1,63)
実施例3
(S,S)−[(1−(4−アミノベンジル)−2−{[2−(ビス−カルボキシメチルアミノ)プロピル]−カルボキシメチルアミノ}エチル]−カルボキシメチル−アミノ]酢酸
方法A:0.5g(0.9ミリモル)の1hを10mlのイソプロパノール中に溶かした溶液に0.2gのPd/C(10%)を添加した。反応溶液上の雰囲気は水素を有した。該溶液を5時間撹拌し、濾過し、そして濃縮した。所望の生成物3が87%(410mg;0.78ミリモル)で得られた。
【0130】
MS−FAB:513(M +1,43)
方法B:3.64g(32ミリモル)のトリフルオロ酢酸、6.38g(75ミリモル)のジクロロメタン及び0.7g(6ミリモル)のトリエチルシランの撹拌された溶液に、397mg(0.5ミリモル)の2を添加した。該反応混合物を1時間撹拌し、そして回転蒸発器とオイルポンプで濃縮した。残留物をジエチルエーテルと混合した。該固体を濾過によって分離し、そしてジエチルエーテルで洗浄した。所望の生成物3が99%の収率(253mg;0.5ミリモル)で得られた。
【0131】
MS−FAB:513(M +1,48)
実施例4
(S,S)−[(2−{[2−(ビスカルボキシメチルアミノ)プロピル]カルボキシメチルアミノ}−1−{4−[3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロピロール−1−イル)プロピオニルアミノ]ベンジル}エチル)カルボキシメチルアミノ]酢酸
1.02g(2ミリモル)の3及び774mg(6ミリモル)のジイソプロピルエチルアミンを20mlのDMF中に溶かした撹拌された溶液に0℃で800mg(3ミリモル)の3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−ピロール−1−イル)プロピオン酸2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルエステル(Aldrich社)を添加した。該反応溶液を室温で4時間撹拌した。その溶液を120mlの激しく撹拌されたジエチルエーテルに滴加した。その懸濁液を30分間撹拌し、そして濾過した。残留物をオイルポンプで乾燥させた。残留物の一部をセミ分取RP−HPLCによって精製した。
【0132】
MS−FAB:664(M +1,24)
実施例5
(S,S)−[(1−(4−イソチオシアナトベンジル)−2−{[2−(ビス−カルボキシメチルアミノ)プロピル]−カルボキシメチルアミノ}エチル)−カルボキシメチル−アミノ]酢酸
0.51g(1ミリモル)の3、3mlの水、605mg(6ミリモル)のトリエチルアミン及び3mlのクロロホルムからなる激しく撹拌された2相系に、0℃で少量のクロロホルム中の114mg(1ミリモル)のチオホスゲンを滴加した。該溶液を3時間撹拌した。有機相を分離した。有機相を水で2回抽出した。合した水相をジクロロメタンで洗浄し、水で希釈し、そして凍結乾燥させた。該物質をHPLCを介して純度について調べた:アセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸勾配(3:96.9:0.1→99.9:0:0.1)によるHyPurity C18(50μm、150×3.0mm)。所望の生成物5が91%の収率(505mg、910ミリモル)で得られた。
【0133】
MS−FAB:555(M +1,39)
実施例6
(S,S)−({2−{[2−(ビス−カルボキシメチルアミノ)プロピル]−カルボキシメチルアミノ}−1−[4−(2−ブロモアセチルアミノ)ベンジル]エチル}カルボキシメチルアミノ)酢酸
0.51g(1ミリモル)の3及び606mg(6ミリモル)のトリエチルアミンを10mlのDMF中に溶かした溶液に、−20℃で202mg(1.1ミリモル)のブロモ酢酸臭化物を添加した。該反応溶液を室温で1時間撹拌した。該溶液を激しく撹拌されたジエチルエーテルに注入した。沈殿物を濾過分離し、水中に取り、そして直ちに凍結乾燥させた。該物質をHPLCを介して純度について調べた:アセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸勾配(3:96.9:0.1→99.9:0:0.1)によるHyPurity C18(50μm、150×3.0mm)。
【0134】
所望の生成物6が82%の収率(520mg;820ミリモル)で得られた。
【0135】
MS−FAB:634(M +1,46)
実施例7
(S,S)−({2−{[2−(ビス−カルボキシメチルアミノ)プロピル]−カルボキシメチルアミノ}−1−[4−(2−ヨードアセチルアミノ)ベンジル]エチル}カルボキシメチルアミノ)酢酸
0.51g(1ミリモル)の3及び606mg(6ミリモル)のトリエチルアミンを10mlのDMF中に溶かした溶液に、−20℃で274mg(1.1ミリモル)のヨード酢酸臭化物を添加した。該反応溶液を室温で1時間撹拌した。該溶液を激しく撹拌されたジエチルエーテルに注入した。沈殿物を濾過分離し、水中に取り、そして直ちに凍結乾燥させた。該物質をHPLCを介して純度について調べた:アセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸勾配(3:96.9:0.1→99.9:0:0.1)によるHyPurity C18(50μm、150×3.0mm)。所望の生成物7が88%の収率(600mg;880マイクロモル)で得られた。
【0136】
MS−FAB:681(M +1,32)
実施例8
(S,S)−({2−{[2−(ビス−カルボキシメチルアミノ)プロピル]−カルボキシメチルアミノ}−1−[4−(2−ヨードアセチルアミノ)ベンジル]エチル}カルボキシメチルアミノ)酢酸
0.51g(1ミリモル)の3及び606mg(6ミリモル)のトリエチルアミンを10mlのDMF中に溶かした溶液に、−20℃で125mg(1.1ミリモル)のクロロ酢酸塩化物を添加した。該反応溶液を室温で1時間撹拌した。該溶液を激しく撹拌されたジエチルエーテルに注入した。沈殿物を濾過分離し、水中に取り、そして直ちに凍結乾燥させた。該物質をHPLCを介して純度について調べた:アセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸勾配(3:96.9:0.1→99.9:0:0.1)によるHyPurity C18(50μm、150×3.0mm)。所望の生成物8が82%の収率(520mg;820マイクロモル)で得られた。
【0137】
MS−FAB:590(M +1,31)
実施例9
(S,S)−({2−{[2−(ビス−カルボキシメチルアミノ)プロピル]−カルボキシメチルアミノ}−1−[4−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロピロール−1−イル)ベンジル]エチル}カルボキシメチルアミノ)酢酸
Tetrahedron Lett.; 38;46;1997;8089-8092に依拠:
約1gの乾燥されたシリカゲル、100mg(1.0ミリモル)の無水マレイン酸、512mg(1.0ミリモル)の3及び35.6mg(0.1ミリモル)の塩化タンタル(V)からなる混合物をマイクロ波(300W)中で5分間加熱した。残留物をフリットを介してメタノールで溶出させた。濾液を濃縮した。残留物を水中に取った。該溶液を凍結乾燥させた。残留物の一部をセミ分取RP−HPLCによって精製した。アセトニトリル−水混合物(20:80)。
【0138】
該物質をHPLCを介して純度について調べた:アセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸勾配(3:96.9:0.1→99.9:0:0.1)によるHyPurity C18(50μm、150×3.0mm)。所望の生成物9が94mg(0.16ミリモル)で96%の純度で得られた。
【0139】
MS−FAB:593(M +1,42)
実施例10
実施例4、すなわち(S,S)−[{2−{[2−(ビス−カルボキシメチルアミノ)プロピル]−カルボキシメチルアミノ}−1−{4−[3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロピロール−1−イル)プロピオニルアミノ]ベンジル}エチル)カルボキシメチルアミノ]酢酸の抗体結合体
自由に利用可能なチオール基を有する抗体200μg(例えばHuM195(Michael R. McDevitt, J. Nuc. Med. 40, 1999, 1722参照;Protein Design Labs Inc.社(Mountainview, CA,USA)で市販されている)といった抗体は自由に利用可能なチオール基を有さず、これは2−イミノチオラン塩酸の使用によって作成できる)を1.2mlのホウ酸緩衝液(50mM、pH8.5)中で希釈し、50μlのホウ酸緩衝液(前記参照)中に溶解された実施例4からの生成物159μg(240ナノモル)と混合し、そして37℃で3時間撹拌した。それをNAP−5カラム(Amersham Pharmacia Biotech AB社、セファデックスG−25、移動相:PBS)を介して精製した。
【0140】
実施例11
(S,S)−{[2−{[2−(ビス−カルボキシメチルアミノ)プロピル]−カルボキシメチルアミノ}−1−(4−{3−[2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロピロール−1−イル)エチル]チオウレイド}ベンジル)エチル]カルボキシメチルアミノ}酢酸
555mg(1ミリモル)の5を5mlのDMF中に溶かした撹拌された溶液に、154mg(1.1ミリモル)の1−(2−アミノエチル)ピロール−2,5−ジオンを2mlのジオキサンに溶かした溶液を滴加した。該反応溶液を一晩撹拌し、そして80mlの激しく撹拌されたジエチルエーテルに滴加した。沈殿物を濾過分離し、そして水中に取った。該溶液を凍結乾燥させた。残留物の一部をセミ分取RP−HPLCによって精製した。アセトニトリル−水混合物(20:80)。
【0141】
該物質をHPLCを介して純度について調べた:アセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸勾配(3:96.9:0.1→99.9:0:0.1)によるHyPurity C18(50μm、150×3.0mm)。所望の生成物11が0.104g(0.15ミリモル)で高純度で得られた。
【0142】
MS−FAB:696(M +1,33)
実施例12
実施例4、すなわち(S,S)−[{2−{[2−(ビス−カルボキシメチルアミノ)プロピル]−カルボキシメチルアミノ}−1−{4−[3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロピロール−1−イル)プロピオニルアミノ]ベンジル}エチル)カルボキシメチルアミノ]酢酸の抗体結合体のインジウム錯体
自由に利用可能なチオール基を有する抗体200μg(例えばHuM195(Michael R. McDevitt, J. Nuc. Med. 40, 1999, 1722参照;Protein Design Labs Inc.社(Mountainview, CA,USA)で市販されている)といった抗体は自由に利用可能なチオール基を有さず、これは2−イミノチオラン塩酸の使用によって作成できる(例えばEP0607222号B1))を1.2mlのホウ酸緩衝液(50mM、pH8.5)中で希釈し、50μlのホウ酸緩衝液(前記参照)中に溶解された実施例11からの生成物159μg(240ナノモル)と混合し、そして37℃で3時間撹拌した。試料溶液をSlide−A−Lyzer 1000、Pierce MWCO(透析法)中でそれぞれ200mlのNaOAc緩衝液0.1M(pH6.0)に対して置くことで、ホウ酸緩衝液を酢酸緩衝液と交換した。引き続き400mlのNaOAc緩衝液0.1M(pH6)に対して一晩置いた。該溶液を80μl(0.05MのHCl)の[111In]InCl(27.88MBq)と混合し、そして室温で30分間撹拌した。それをNAP−5カラム(Amersham Pharmacia Biotech AB社、セファデックスG−25、移動相:PBS)を介して精製した。
【0143】
実施例13
(1′R,2R,5S)−5−({[2−({1−カルボキシ−5−[3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロピロール−1−イル)プロピオニルアミノ]ペンチル}カルボキシメチルアミノ)エチル]カルボキシメチルアミノ}メチル)−1−カルボキシメチルピロリジン−2−カルボン酸の抗体結合体のイットリウム錯体
自由に利用可能なチオール基を有する抗体200μg(例えばHuM195(Michael R. McDevitt, J. Nuc. Med. 40, 1999, 1722参照;Protein Design Labs Inc.社(Mountainview, CA,USA)で市販されている)といった抗体は自由に利用可能なチオール基を有さず、これは2−イミノチオラン塩酸の使用によって作成できる)を1.2mlのホウ酸緩衝液(50mM、pH8.5)中で希釈し、50μlのホウ酸緩衝液(前記参照)中に溶解された実施例11からの生成物159μg(240ナノモル)と混合し、そして37℃で3時間撹拌した。試料溶液をSlide−A−Lyzer 1000、Pierce MWCO(透析法)中でそれぞれ200mlのNaOAc緩衝液0.1M(pH6.0)に対して置くことで、ホウ酸緩衝液を酢酸緩衝液と交換した。引き続き400mlのNaOAc緩衝液0.1M(pH6)に対して一晩置いた。その溶液を50MBqの[90Y]YClと混合し、そして室温で30分間撹拌した。それをNAP−5カラム(Amersham Pharmacia Biotech AB社、セファデックスG−25、移動相:PBS)を介して精製した。
【0144】
実施例14
(1′R,2R,5S)−5−({[2−({1−カルボキシ−5−[3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロピロール−1−イル)プロピオニルアミノ]ペンチル}カルボキシメチルアミノ)エチル]カルボキシメチルアミノ}メチル)−1−カルボキシメチルピロリジン−2−カルボン酸の抗体結合体のスカンジウム錯体
自由に利用可能なチオール基を有する抗体200μg(例えばHuM195(Michael R. McDevitt, J. Nuc. Med. 40, 1999, 1722参照;Protein Design Labs Inc.社(Mountainview, CA,USA)で市販されている)といった抗体は自由に利用可能なチオール基を有さず、これは2−イミノチオラン塩酸の使用によって作成できる)を1.2mlのホウ酸緩衝液(50mM、pH8.5)中で希釈し、50μlのホウ酸緩衝液(前記参照)中に溶解された実施例11からの生成物159μg(240ナノモル)と混合し、そして37℃で3時間撹拌した。試料溶液をSlide−A−Lyzer 1000、Pierce MWCO(透析法)中でそれぞれ200mlのNaOAc緩衝液0.1M(pH6.0)に対して置くことで、ホウ酸緩衝液を酢酸緩衝液と交換した。引き続き400mlのNaOAc緩衝液0.1M(pH6)に対して一晩置いた。その溶液を50MBqの[47Sc]ScClと混合し、そして室温で30分間撹拌した。それをNAP−5カラム(Amersham Pharmacia Biotech AB社、セファデックスG−25、移動相:PBS)を介して精製した。
【0145】
実施例15
(1′R,2R,5S)−5−({[2−({1−カルボキシ−5−[3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロピロール−1−イル)プロピオニルアミノ]ペンチル}カルボキシメチルアミノ)エチル]カルボキシメチルアミノ}メチル)−1−カルボキシメチルピロリジン−2−カルボン酸の抗体結合体のルテチウム錯体
自由に利用可能なチオール基を有する抗体200μg(例えばHuM195(Michael R. McDevitt, J. Nuc. Med. 40, 1999, 1722参照;Protein Design Labs Inc.社(Mountainview, CA,USA)で市販されている)といった抗体は自由に利用可能なチオール基を有さず、これは2−イミノチオラン塩酸の使用によって作成できる)を1.2mlのホウ酸緩衝液(50mM、pH8.5)中で希釈し、50μlのホウ酸緩衝液(前記参照)中に溶解された実施例11からの生成物159μg(240ナノモル)と混合し、そして37℃で3時間撹拌した。試料溶液をSlide−A−Lyzer 1000、Pierce MWCO(透析法)中でそれぞれ200mlのNaOAc緩衝液0.1M(pH6.0)に対して置くことで、ホウ酸緩衝液を酢酸緩衝液と交換した。引き続き400mlのNaOAc緩衝液0.1M(pH6)に対して一晩置いた。その溶液を50MBqの[177Lu]LuClと混合し、そして室温で30分間撹拌した。それをNAP−5カラム(Amersham Pharmacia Biotech AB社、セファデックスG−25、移動相:PBS)を介して精製した。
【0146】
実施例16
a)(S)−6−ベンジルオキシカルボニルアミノ−2−(2−t−ブトキシカルボニルアミノアセチルアミノ)ヘキサン酸ベンジルエステル
2.15g(12.28ミリモル)のBoc−Gly−OH及び4.08ml(29.5ミリモル)のトリエチルアミンを50mlのジクロロメタン中に溶かした撹拌された溶液に、1.55g(13.5ミリモル)のN−ヒドロキシスクシンイミドを添加した。20分後に、5g(12.3ミリモル)のH−Lys−(Z)−OBzl塩酸を幾らかのジクロロメタン中に溶かしたものと2.78g(13.5ミリモル)のジクロロヘキシルカルボジイミドを幾らかのジクロロメタン中に溶かしたものを添加した。該溶液を3日間撹拌し、そして250mlの氷水に注入した。有機相を分離した。水相をジクロロメタンで複数回抽出した。合した有機相を塩化ナトリウムの飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして濃縮させた。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製した(SiOヘキサン:酢酸エステル4:1→ヘキサン:酢酸エステル1:1)。所望の生成物16aが96%の収率(6.2g;11.7ミリモル)で得られた。
【0147】
MS−FAB:528(M +1,75)
b)(S)−6−ベンジルオキシカルボニルアミノ−2−(2−{2−[2−(2−t−−ブトキシカルボニルアミノアセチルアミノ)アセチルアミノ]アセチルアミノ}アセチルアミノ)ヘキサン酸ベンジルエステル
6.2g(11.7ミリモル)の16aを30mlのジクロロメタン中に溶かした溶液に、0℃で30mlのトリフルオロ酢酸を滴加した。該溶液を室温で2時間撹拌し、そして回転蒸発器で濃縮した。50mlの水及び50mlのトルエンを添加し、そして再び回転蒸発器で濃縮した。最後の作業手順を3回繰り返した。
【0148】
引き続きオイルポンプで濃縮させた。
【0149】
残留物を90mlのジクロロメタン中に溶かした撹拌された溶液を0℃で2.37g(18.3ミリモル)のジイソプロピルエチルジアミン、3.02g(14.7ミリモル)のジシクロヘキシルカルボジイミドを少量のジクロロメタン中に溶かしたもの、1.69g(14.7ミリモル)のN−ヒドロキシスクシンイミド及び3.4g(14.7ミリモル)のBoc−Gly−Gly−OHと混合した。該懸濁液を室温で3日間撹拌し、そして150mlの氷水と混合した。有機相を分離した。水相を酢酸エステルで複数回抽出した。合した有機相を塩化ナトリウムの飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして濃縮させた。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製した(SiO酢酸エステル→メタノール:酢酸エステル15:85)。所望の生成物16bが53%の収率(4.18g;6.5ミリモル)で得られた。
【0150】
MS−FAB:643(M +1,56)
c)(S)−2−{2−[2−(2−t−ブトキシカルボニルアミノアセチルアミノ)アセチルアミノ]アセチルアミノ}−6−[3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロピロール−1−イル)プロピオニルアミノ]ヘキサン酸
4.18g(6.5ミリモル)の16bを40mlのイソプロパノール中に溶かした溶液に、1gのPd/C(10%)を添加した。撹拌された溶液上の雰囲気を水素で飽和させた。該反応溶液を90分間撹拌し、濾過し、そして濃縮した。
【0151】
残留物を0℃で20mlのDMF、1.5g(12ミリモル)のジイソプロピルエチルアミン及び2.4mg(9ミリモル)の3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロピロール−1−イル)プロピオン酸2,5−ジオキソピロリジン−1−イルエステル(Aldrich社)と混合した。該反応溶液を室温で4時間撹拌した。該溶液をHCl溶液(pH4)中に添加し、そして酢酸エステルで複数回抽出した。
【0152】
合した有機相を塩化ナトリウムの飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして濃縮させた。
【0153】
残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製した(SiO酢酸エステル→メタノール:酢酸エステル20:80)。所望の生成物16cが67%の収率(2.5g;4.4ミリモル)で得られた。
【0154】
MS−FAB:570(M +1,31)
d)(1S,1′S,4S)−1−[4−{3−[({[({1−カルボキシ−5−[3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロピロール−1−イル)プロピオニルアミノ]ペンチルカルバモイル}メチル)カルバモイル]メチル}カルバモイル)メチル]チオウレイド}]ベンジル−4−メチル−DTPA
570mg(1ミリモル)の16cを5mlのジクロロメタン中に溶かした撹拌された溶液に、0℃で5mlのトリフルオロ酢酸を滴加した。該溶液を室温で2時間撹拌し、そして回転蒸発器で濃縮した。残留物をジエチルエーテルと一緒に撹拌した。引き続きオイルポンプで濃縮させた。
【0155】
その残留物をDMF中に取り、200mgまで(2ミリモルまで)のトリエチルアミン及び505mg(0.9ミリモル)の5と混合した。該溶液を40℃で3時間撹拌し、そして激しく撹拌されたジエチルエーテルに滴加した。沈殿物を濾過分離し、そしてRP−カラムクロマトグラフィーによって精製した。
【0156】
MS−FAB:1016(M +1,31)
実施例17
(S,S)−[(1−(4−アミノベンジル)−2−{[2−(ビス−カルボキシメチルアミノ)プロピル]−カルボキシメチルアミノ}エチル)−カルボキシメチル−アミノ]酢酸のガドリニウム錯体
128.1mg(0.25ミリモル)の3を4mlの蒸留水中に懸濁させ、80℃に加温し、そして溶解させた。少しずつ45.3mg(0.125ミリモル)のGdと混合した。該懸濁液を80℃に加温し、そして1時間撹拌した。該溶液を室温に冷却し、そして水酸化ナトリウム溶液(1M)を用いてpH=7に調整した。凍結乾燥によって水を除去した。所望の生成物が166.6mg(0.25ミリモル、99.8%)で得られた。
【0157】
MS−FAB(M +1,21):668
実施例18
(1S,1′S,4S)−1−[4−{3−[({[({1−カルボキシ−5−[3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロピロール−1−イル)プロピオニルアミノ]ペンチルカルバモイル}メチル)カルバモイル]メチル}カルバモイル)メチル]チオウレイド}]ベンジル−4−メチル−DTPAの抗体結合体
自由に利用可能なチオール基を有する抗体200μg(例えばHuM195(Michael R. McDevitt, J. Nuc. Med. 40, 1999, 1722参照;Protein Design Labs Inc.社(Mountainview, CA,USA)で市販されている)といった抗体は自由に利用可能なチオール基を有さず、これは2−イミノチオラン塩酸の使用によって作成できる)を1.2mlのホウ酸緩衝液(50mM、pH8.5)中で希釈し、50μlのホウ酸緩衝液(前記参照)中に溶解された実施例16dからの生成物243μg(240ナノモル)と混合し、そして37℃で3時間撹拌した。それをNAP−5カラム(Amersham Pharmacia Biotech AB社、セファデックスG−25、移動相:PBS)を介して精製した。
【0158】
実施例19
(1S,1′S,4S)−1−[4−{3−[({[({1−カルボキシ−5−[3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロピロール−1−イル)プロピオニルアミノ]ペンチルカルバモイル}メチル)カルバモイル]メチル}カルバモイル)メチル]チオウレイド}]ベンジル−4−メチル−DTPAの抗体結合体のイットリウム錯体
自由に利用可能なチオール基を有する抗体200μg(例えばHuM195(Michael R. McDevitt, J. Nuc. Med. 40, 1999, 1722参照;Protein Design Labs Inc.社(Mountainview, CA,USA)で市販されている)といった抗体は自由に利用可能なチオール基を有さず、これは2−イミノチオラン塩酸の使用によって作成できる)を1.2mlのホウ酸緩衝液(50mM、pH8.5)中で希釈し、50μlのホウ酸緩衝液(前記参照)中に溶解された実施例16dからの生成物243μg(240ナノモル)と混合し、そして37℃で3時間撹拌した。試料溶液をSlide−A−Lyzer 1000、Pierce MWCO(透析法)中でそれぞれ200mlのNaOAc緩衝液0.1M(pH6.0)に対して置くことで、ホウ酸緩衝液を酢酸緩衝液と交換した。引き続き400mlのNaOAc緩衝液0.1M(pH6)に対して一晩置いた。その溶液を50MBqの[90Y]YClと混合し、そして室温で30分間撹拌した。それをNAP−5カラム(Amersham Pharmacia Biotech AB社、セファデックスG−25、移動相:PBS)を介して精製した。
【0159】
実施例20
(1S,1′S,4S)−1−[4−{3−[({[({1−カルボキシ−5−[3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロピロール−1−イル)プロピオニルアミノ]ペンチルカルバモイル}メチル)カルバモイル]メチル}カルバモイル)メチル]チオウレイド}]ベンジル−4−メチル−DTPAの抗体結合体のスカンジウム錯体
自由に利用可能なチオール基を有する抗体200μg(例えばHuM195(Michael R. McDevitt, J. Nuc. Med. 40, 1999, 1722参照;Protein Design Labs Inc.社(Mountainview, CA,USA)で市販されている)といった抗体は自由に利用可能なチオール基を有さず、これは2−イミノチオラン塩酸の使用によって作成できる)を1.2mlのホウ酸緩衝液(50mM、pH8.5)中で希釈し、50μlのホウ酸緩衝液(前記参照)中に溶解された実施例16dからの生成物243μg(240ナノモル)と混合し、そして37℃で3時間撹拌した。試料溶液をSlide−A−Lyzer 1000、Pierce MWCO(透析法)中でそれぞれ200mlのNaOAc緩衝液0.1M(pH6.0)に対して置くことで、ホウ酸緩衝液を酢酸緩衝液と交換した。引き続き400mlのNaOAc緩衝液0.1M(pH6)に対して一晩置いた。その溶液を50MBqの[47Sc]ScClと混合し、そして室温で30分間撹拌した。それをNAP−5カラム(Amersham Pharmacia Biotech AB社、セファデックスG−25、移動相:PBS)を介して精製した。
【0160】
実施例21
(1S,1′S,4S)−1−[4−{3−[({[({1−カルボキシ−5−[3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロピロール−1−イル)プロピオニルアミノ]ペンチルカルバモイル}メチル)カルバモイル]メチル}カルバモイル)メチル]チオウレイド}]ベンジル−4−メチル−DTPAの抗体結合体のルテチウム錯体
自由に利用可能なチオール基を有する抗体200μg(例えばHuM195(Michael R. McDevitt, J. Nuc. Med. 40, 1999, 1722参照;Protein Design Labs Inc.社(Mountainview, CA,USA)で市販されている)といった抗体は自由に利用可能なチオール基を有さず、これは2−イミノチオラン塩酸の使用によって作成できる)を1.2mlのホウ酸緩衝液(50mM、pH8.5)中で希釈し、50μlのホウ酸緩衝液(前記参照)中に溶解された実施例16dからの生成物243μg(240ナノモル)と混合し、そして37℃で3時間撹拌した。試料溶液をSlide−A−Lyzer 1000、Pierce MWCO(透析法)中でそれぞれ200mlのNaOAc緩衝液0.1M(pH6.0)に対して置くことで、ホウ酸緩衝液を酢酸緩衝液と交換した。引き続き400mlのNaOAc緩衝液0.1M(pH6)に対して一晩置いた。その溶液を50MBqの[177Lu]LuClと混合し、そして室温で30分間撹拌した。それをNAP−5カラム(Amersham Pharmacia Biotech AB社、セファデックスG−25、移動相:PBS)を介して精製した。
【0161】
実施例22
(R,R)−{[2−{[2−(ビス−カルボキシメチルアミノ)プロピル]−カルボキシメチルアミノ}−1−(4−ニトロベンジル)エチル]−カルボキシメチル−アミノ}酢酸
実施例22の合成を実施例1と同様に行ったが、(S)−2−アミノ−1−プロパノールではなく(R)−2−アミノ−1−プロパノールを使用することと、(S)−2−t−ブトキシカルボニルアミノ−3−(4−ニトロフェニル)プロピオン酸ではなく(R)−2−t−ブトキシカルボニルアミノ−3−(4−ニトロフェニル)プロピオン酸を構成成分として使用することが異なる。所望の生成物22が高純度(>96%、RP−HPLC)で得られた。
【0162】
MS−FAB:513(M +1,42)
実施例23
(R,R)−[(1−(4−アミノベンジル)−2−{[2−(ビス−カルボキシメチルアミノ)プロピル]−カルボキシメチルアミノ}エチル]−カルボキシメチル−アミノ]酢酸
実施例23の合成を実施例3の方法Aと同様に実施したが、出発材料として1hではなく22を使用したことが異なる。所望の生成物23が96%の収率で得られた。
【0163】
MS−FAB:513(M +1,42)
実施例24
(R,R)−{[2−(4−アミノフェニル)−1−({[2−(ビス−t−ブトキシカルボニルメチルアミノ)プロピル]−t−ブトキシカルボニルメチルアミノ}メチル)エチル]−t−ブトキシカルボニルメチル−アミノ}酢酸t−ブチルエステル
実施例24の合成を実施例2と同様に実施したが、出発材料として1gではなく、22の合成での相応の前駆体を使用したことが異なる。所望の生成物24が86%の収率で得られた。
【0164】
MS−FAB:794(M +1,53)
実施例25
(R,R)−[(1−(4−イソチオシアナトベンジル)−2−{[2−(ビス−カルボキシメチルアミノ)プロピル]−カルボキシメチルアミノ}エチル]−カルボキシメチル−アミノ]酢酸
実施例25の合成を実施例5と同様に実施したが、出発材料として3ではなく23を使用したことが異なる。所望の生成物25が74%の収率で得られた。
【0165】
MS−FAB:555(M +1,33)
実施例26
(R,R)−({2−{[2−(ビス−カルボキシメチルアミノ)プロピル]カルボキシメチルアミノ}−1−[4−(2−ブロモアセチルアミノ)ベンジル]エチル}カルボキシメチルアミノ)酢酸
実施例26の合成を実施例6と同様に実施したが、出発材料として3ではなく23を使用したことが異なる。所望の生成物23が71%の収率で得られた。
【0166】
MS−FAB:590(M +1,48)
実施例27
a)N−[4−(2−(ビス−カルボキシメチルアミノ)−3−{[2−(ビス−カルボキシメチルアミノ)プロピル]カルボキシメチルアミノ}プロピル)フェニル]スクシンアミン酸
793mg(1ミリモル)の24及び0.28ml(2ミリモルまで)のジイソプロピルエチルアミンを20mlのTHF中に溶かした溶液に、200mg(2ミリモル)の無水コハク酸を添加した。該溶液を室温で2時間撹拌した。該溶液を容量の3分の1まで濃縮し、ジクロロメタンで希釈し、そして水溶液(pH=4.5)に添加した。水相を分離し、そしてジクロロメタンで複数回抽出した。合した有機相を塩化ナトリウム溶液で洗浄した。硫酸ナトリウムを用いて乾燥させ、そして回転蒸発器で濃縮させた。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製した(CHCl−MeOH)。所望の生成物27aが85%の収率(0.85ミリモル)で得られた。
【0167】
MS−FAB:613(M +1,58)
b)(1R,1′S,4R)−1−[4−{3−{[({[({1−カルボキシ−5−[3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロピロール−1−イル)プロピオニルアミノ]ペンチルカルバモイル}メチル)カルバモイル]メチル}カルバモイル)メチル]カルバモイル}プロピオニル)]ベンジル−4−メチル−DTPA
570mg(1ミリモル)の16cを5mlのジクロロメタン中に溶かした撹拌された溶液に、0℃で5mlのトリフルオロ酢酸を滴加した。該溶液を室温で2時間撹拌し、そして回転蒸発器で濃縮した。残留物をジエチルエーテルと一緒に撹拌した。引き続きオイルポンプで濃縮させた。残留物をジクロロメタン中に懸濁させ、0.25g(2ミリモルまで)のヒューニッヒ塩基、304mg(2ミリモル)の1−ヒドロキシベンゾトリアゾール−HO(HOBT)及び122mg(2ミリモル)の27aと混合した。該溶液を0℃に冷却し、そして419mg(21ミリモル)の1−(ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDCI)と混合した。該溶液を12時間撹拌し、そして氷水に注入した。水相を分離し、そしてジクロロメタンで複数回抽出した。合した有機相を塩化ナトリウム溶液で洗浄した。硫酸ナトリウムを用いて乾燥させ、そして回転蒸発器で濃縮させた。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製した(CHCl−アセトニトリル)。所望の生成物が85%の収率(0.85ミリモル)で得られ、これを次いで5mlのジクロロメタン及び3mlのアニソールに取り、そして5mlのトリフルオロ酢酸と0℃で混合した。該溶液を8時間撹拌し、濃縮させ、そしてジエチルエーテルと一緒に撹拌した。所望の生成物27bが90%の収率(813.9mg)で得られた。
【0168】
MS−FAB:1064(M +1,38)
実施例28
(1R,1′S,4R)−1−[4−{3−{[({[({1−カルボキシ−5−[3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロピロール−1−イル)プロピオニルアミノ]ペンチルカルバモイル}メチル)カルバモイル]メチル}カルバモイル)メチル]カルバモイル}プロピオニル)]ベンジル−4−メチル−DTPAの抗体結合体
自由に利用可能なチオール基を有する抗体200μg(例えばHuM195(Michael R. McDevitt, J. Nuc. Med. 40, 1999, 1722参照;Protein Design Labs Inc.社(Mountainview, CA,USA)で市販されている)といった抗体は自由に利用可能なチオール基を有さず、これは2−イミノチオラン塩酸の使用によって作成できる)を1.2mlのホウ酸緩衝液(50mM、pH8.5)中で希釈し、50μlのホウ酸緩衝液(前記参照)中に溶解された実施例27bからの生成物255μg(240ナノモル)と混合し、そして37℃で3時間撹拌した。それをNAP−5カラム(Amersham Pharmacia Biotech AB社、セファデックスG−25、移動相:PBS)を介して精製した。
【0169】
実施例29
(1R,1′S,4R)−1−[4−{3−{[({[({1−カルボキシ−5−[3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロピロール−1−イル)プロピオニルアミノ]ペンチルカルバモイル}メチル)カルバモイル]メチル}カルバモイル)メチル]カルバモイル}プロピオニル)]ベンジル−4−メチル−DTPAのイットリウム錯体
自由に利用可能なチオール基を有する抗体200μg(例えばHuM195(Michael R. McDevitt, J. Nuc. Med. 40, 1999, 1722参照;Protein Design Labs Inc.社(Mountainview, CA,USA)で市販されている)といった抗体は自由に利用可能なチオール基を有さず、これは2−イミノチオラン塩酸の使用によって作成できる)を1.2mlのホウ酸緩衝液(50mM、pH8.5)中で希釈し、50μlのホウ酸緩衝液(前記参照)中に溶解された実施例27bからの生成物255μg(240ナノモル)と混合し、そして37℃で3時間撹拌した。試料溶液をSlide−A−Lyzer 1000、Pierce MWCO(透析法)中でそれぞれ200mlのNaOAc緩衝液0.1M(pH6.0)に対して置くことで、ホウ酸緩衝液を酢酸緩衝液と交換した。引き続き400mlのNaOAc緩衝液0.1M(pH6)に対して一晩置いた。その溶液を50MBqの[90Y]YClと混合し、そして室温で30分間撹拌した。それをNAP−5カラム(Amersham Pharmacia Biotech AB社、セファデックスG−25、移動相:PBS)を介して精製した。
【0170】
実施例30
(1R,1′S,4R)−1−[4−{3−{[({[({1−カルボキシ−5−[3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロピロール−1−イル)プロピオニルアミノ]ペンチルカルバモイル}メチル)カルバモイル]メチル}カルバモイル)メチル]カルバモイル}プロピオニル)]ベンジル−4−メチル−DTPAのルテチウム錯体
自由に利用可能なチオール基を有する抗体200μg(例えばHuM195(Michael R. McDevitt, J. Nuc. Med. 40, 1999, 1722参照;Protein Design Labs Inc.社(Mountainview, CA,USA)で市販されている)といった抗体は自由に利用可能なチオール基を有さず、これは2−イミノチオラン塩酸の使用によって作成できる)を1.2mlのホウ酸緩衝液(50mM、pH8.5)中で希釈し、50μlのホウ酸緩衝液(前記参照)中に溶解された実施例27bからの生成物255μg(240ナノモル)と混合し、そして37℃で3時間撹拌した。試料溶液をSlide−A−Lyzer 1000、Pierce MWCO(透析法)中でそれぞれ200mlのNaOAc緩衝液0.1M(pH6.0)に対して置くことで、ホウ酸緩衝液を酢酸緩衝液と交換した。引き続き400mlのNaOAc緩衝液0.1M(pH6)に対して一晩置いた。その溶液を50MBqの[177Lu]LuClと混合し、そして室温で30分間撹拌した。それをNAP−5カラム(Amersham Pharmacia Biotech AB社、セファデックスG−25、移動相:PBS)を介して精製した。
【0171】
実施例31
(1R,1′S,4R)−1−[4−{3−{[({[({1−カルボキシ−5−[3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロピロール−1−イル)プロピオニルアミノ]ペンチルカルバモイル}メチル)カルバモイル]メチル}カルバモイル)メチル]カルバモイル}プロピオニル)]ベンジル−4−メチル−DTPAのスカンジウム錯体
自由に利用可能なチオール基を有する抗体200μg(例えばHuM195(Michael R. McDevitt, J. Nuc. Med. 40, 1999, 1722参照;Protein Design Labs Inc.社(Mountainview, CA,USA)で市販されている)といった抗体は自由に利用可能なチオール基を有さず、これは2−イミノチオラン塩酸の使用によって作成できる)を1.2mlのホウ酸緩衝液(50mM、pH8.5)中で希釈し、50μlのホウ酸緩衝液(前記参照)中に溶解された実施例27bからの生成物255μg(240ナノモル)と混合し、そして37℃で3時間撹拌した。試料溶液をSlide−A−Lyzer 1000、Pierce MWCO(透析法)中でそれぞれ200mlのNaOAc緩衝液0.1M(pH6.0)に対して置くことで、ホウ酸緩衝液を酢酸緩衝液と交換した。引き続き400mlのNaOAc緩衝液0.1M(pH6)に対して一晩置いた。その溶液を50MBqの[47Sc]ScClと混合し、そして室温で30分間撹拌した。それをNAP−5カラム(Amersham Pharmacia Biotech AB社、セファデックスG−25、移動相:PBS)を介して精製した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式VIIa及びVIIb
【化1】

[式中、
Zは水素原子又は原子番号21〜29、31、32、37〜39、42〜44、46、47、49、58〜71、75、77、82又は83の元素の金属イオン当量分を表し、
Aは基−COO−を表し、
Rは官能基を介して結合された生体分子を表すか、又は直鎖状又は分枝鎖状の飽和又は不飽和の、場合により1〜6個のO原子もしくはフェニレン、−NHCO−、−CONH−、
【化2】

及び/又は−NH−(C=S)−NH−基によって中断されたC〜C25−アルキル基を表し、該基は場合により任意の位置で1〜6個のカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基又は別の官能基で置換されており、これらの基を介して生体分子が結合されていてよいが、但し、アルキル基は、生体分子と結合できる少なくとも1つの官能基を有し、そして少なくとも2つのZは金属イオン当量分を表す]の結合体並びに、有機塩基又は無機塩基とのそれらの塩。
【請求項2】
少なくとも2つの基Zが原子番号21〜29、42、44及び58〜70の常磁性元素の金属イオン当量分を表す、請求項1記載の結合体。
【請求項3】
基Zが原子番号26、27、29、31、32、37〜39、43、46、47、49、61、62、64、70、71、75、77、82及び83の放射活性元素の金属イオン当量分を表す、請求項1記載の結合体。
【請求項4】
Rが
【化3】

を表し、これらを介して生体分子が結合されている、請求項1記載の結合体。
【請求項5】
Rが
【化4】

を表し、これらを介して生体分子が結合されている、請求項1記載の結合体。
【請求項6】
Rが官能基のカルボキシル、活性化カルボキシル、アミノ、ニトロ、イソシアネート、イソチオシアネート、ヒドラジン、セミカルバジド、チオセミカルバジド、クロロアセトアミド、ブロモアセトアミド、ヨードアセトアミド、アクリル、アシルアミノ、混合無水物、アジド、酸塩化物、酸臭化物、ヒドロキシド、スルホニルクロリド、ビニルスルホン、カルボジイミド、マレイミド又はジアゾを表す、請求項1記載の結合体。
【請求項7】
活性化カルボキシル基が
【化5】

から選択される、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
生体分子が、生体ポリマー、タンパク質、例えば生物学的機能を有するタンパク質、HSA、BSA等、生物の規定の部位(例えばレセプター、細胞膜、チャンネル等に)に集積するタンパク質及びペプチド、プロテアーゼによって分解されるペプチド、合成による目的開裂部位(例えば反応性エステル、アミドなど)を有するペプチド、メタロプロテアーゼによって分解されるペプチド、光分解性リンカーを有するペプチド、酸化剤(オキシダーゼ)によって分解可能な基を有するペプチド、天然及び非天然のアミノ酸を有するペプチド、糖タンパク質(糖ペプチド)、シグナルタンパク質、抗ウイルス性タンパク質及びアポクトーシス、合成により変性された生体ポリマー、例えばリンカーで誘導体化された生体ポリマー、変性されたメタロプロテアーゼ及び誘導体化されたオキシダーゼ等、炭化水素(単糖類ないし多糖類)、例えば誘導体化された糖類、生物中で分解可能な糖類、シクロデキストリン及びその誘導体、アミノ糖類、キトサン、ポリスルフェート及びアセチルニューラミン酸誘導体、抗体、例えばモノクローナル抗体、抗体フラグメント、ポリクローナル抗体、ミニ抗体、単鎖(多くのフラグメントにリンカーで結合されている単鎖)、赤血球及び別の血球成分、癌マーカー(例えばCAA)及び細胞接着物質(例えばルイスX及び抗ルイスX誘導体)、DNA及びRNA断片、例えば誘導体化されたDNA及びRNA(例えばSELEX法によって見いだされたもの)、合成RNA及びDNA(非天然塩基を有するものも)、PNA(ヘキスト)及びアンチセンス、β−アミノ酸(Seebach)、細胞に通過させるためのベクトルアミン、生体原アミン、医薬品、癌原調製物、生物学的標的(例えばレセプター)に向けられる合成ポリマー、ステロイド(天然及び変性)、プロスタグランジン、タキソール及びその誘導体、エンドセリン、アルカロイド、葉酸及びその誘導体、生体活性脂質、脂肪、脂肪酸エステル、人工的に変性されたモノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリド、表面上で誘導体化されているリポソーム、天然の脂肪酸又はペルフルオロアルキル化合物からなるミセル、ポリフィリン、テキサフリン、拡張ポルフィリン、シトクロム、インヒビター、ノイラミダーゼ、神経ペプチド、免疫調節剤、例えばFK506、CAPE及びグリオトキシン、エンドグリコシダーゼ、酵素によって活性化される基質、例えばカルモジュリンキナーゼ、カゼインキナーゼII、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、ヘパリナーゼ、基質−メタロプロテアーゼ、β−インスリン−レセプター−キナーゼ、UDP−ガラクトース−4−エピメラーゼ、フコシダーゼ、G−タンパク質、ガラクトシダーゼ、グリコシダーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ及びキシロシダーゼ、抗生物質、ビタミン及びビタミン類似体、ホルモン、DNA−インターカレーター、ヌクレオシド、ヌクレオチド、レクチン、ビタミンB12、ルイスX及び類似物、ソラーレン、ジエントリエン抗生物質、カルバシクリン、VEGF(血管内皮成長因子)、ソマトスタチン及びその誘導体、ビオチン誘導体、抗ホルモン、腫瘍特異的タンパク質及び合成薬、生体の酸性又は塩基性の領域に集積するポリマー(pH調整された分布)、ミオグロビン、アポミオグロビン等、神経伝達ペプチド、腫瘍壊死因子、炎症組織に集積するペプチド、血液プール試薬、アニオン及びカチオン−輸送タンパク質、ポリエステル(例えば乳酸の)、ポリアミド及びポリホスフェートから選択される、請求項1記載の結合体。
【請求項9】
請求項1記載の一般式VIIa及びVIIbの結合体の製造であって、自体公知のように、一般式VII′a及びVII′b
【化6】

[式中、Z′はZの意味を有するか、又はカルボキシル保護基を有し、R′は官能基を表し、かつAは基−COO−を表す]の化合物を、場合によりカルボキシル保護基の開裂後に生体分子と反応させ、引き続き(場合によりカルボキシル保護基の開裂後に)、そうして得られた酸を自体公知のように、原子番号21〜29、31、32、37〜39、42〜44、46、47、49、58〜71、75、77、82又は83の元素の少なくとも1種の金属酸化物又は金属塩と反応させ、引き続き所望であれば、存在する酸性水素原子を無機酸及び/又は有機酸又はアミノ酸により生理学的に認容性の塩に変換することを特徴とする方法。
【請求項10】
式中、Zが水素原子である請求項1記載の結合体及び原子番号26、27、29、31、32、37〜39、43、46、61、62、64、67、70、71、75、77、82及び83の放射活性元素の化合物を含む放射性医薬品の製造用キット。
【請求項11】
請求項2記載の生理学的に認容性の少なくとも1種の化合物を含有する医薬品。
【請求項12】
請求項3記載の生理学的に認容性の少なくとも1種の化合物を含有する医薬品。
【請求項13】
NMR診断剤の製造のための、請求項2記載の化合物の使用。
【請求項14】
放射性診断剤又は放射性療法剤の製造のための、請求項3記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2007−515374(P2007−515374A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−567773(P2004−567773)
【出願日】平成15年12月22日(2003.12.22)
【国際出願番号】PCT/EP2003/014922
【国際公開番号】WO2004/069282
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(390014166)シエーリング アクチエンゲゼルシヤフト (12)
【氏名又は名称原語表記】Schering Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−13353 Berlin, Germany
【Fターム(参考)】