説明

エナンチオマー過剰のα−アミノニトリルのラセミ化方法

エナンチオマー過剰のα−アミノニトリルをルイス酸触媒と接触させることを特徴とするエナンチオマー過剰のα−アミノニトリルのラセミ化方法。好ましくは、非プロトン性溶媒が使用される。このルイス酸触媒は、好ましくは、周期表(CAS版)のIA族〜IVA族の典型金属元素、遷移金属元素、およびランタニド元素から選択される金属、特にAl、Ti、Zr、またはランタニド元素を含む。この触媒は、例えば一般構造Mを有し、好ましくは、アルミニウムアルコキシド、アルキルアルミニウム、ランタニドアルコキシド、およびランタノセン(lanthanocene)の群より選択される。このラセミ化は、例えば酵素または結晶化に誘導される分割プロセスなどの分割プロセスと組み合わせて行われることができ、好ましくはインサイチューで、例えば結晶化誘導不斉変換プロセスなどにおいてインサイチューで行われることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エナンチオマー過剰のα−アミノニトリルのラセミ化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬や農薬などの多くのエナンチオマー過剰の(enantiomeric enriched)有効成分は、エナンチオマー過剰のα−アミノニトリルを使用して調製することができ、このα−アミノニトリルは、α−アミノ酸またはその誘導体として一般に使用されている。医薬または農薬の調製には、一般に、多くの連続的なステップを有する方法を伴う。α−アミノニトリルは、例えばα−アミノ酸、α−アミノ酸アミド、β−アミノアルコール、ビシナルジアミン、および保護α−アミノアルデヒドなどの多種多様の化合物に変化させることができ、そのためエナンチオマー過剰の有効成分の調製に広く使用することができる。エナンチオマー過剰の化合物の調製には、一般に、望ましくない鏡像異性体が副生成物として残される場合には分割ステップが含まれる。このような分割においては、理論的最高収率は出発物質に対して50%である。望ましくない鏡像異性体のラセミ化および再利用によって、この収率を顕著に増大させることができる。特に分割プロセス(resolution process)をインサイチュー(in situ)でラセミ化と組み合わせることが好ましい。したがって、多種多様な分割プロセスに適合したα−アミノニトリルのラセミ化方法の必要性が存在する。
【0003】
エナンチオマー過剰のα−アミノニトリルのインサイチューでラセミ化を行う方法は、US−A−4683324に記載されている。
【0004】
US−A−4683324の方法の欠点は、プロトン性溶媒を使用する必要があることである。α−アミノニトリルは、プロトン性溶媒中である程度分解することが知られている。したがって、US−A−4683324の方法では、分解を抑制するためHCNが加えられる。さらに、EP−A−1050529から、非極性(事実上、非プロトン性を意味する)溶媒は、α−アミノニトリルを分解に対して安定化させ、ラセミ化を防止することが知られている。
【発明の開示】
【0005】
本発明の目的は、より少ない分解でラセミ化が行われ、高い収率および高い鏡像体過剰率のエナンチオマー過剰の化合物の調製において分割と併用可能な、α−アミノニトリルのラセミ化方法を提供することである。
【0006】
この目的は、ルイス酸触媒を使用する本発明によって実現される。ルイス酸はその定義から、遊離電子対を有する化合物からの電子対を受容することができる。
【0007】
本発明の適切なルイス酸触媒は、一般構造

にしたがって錯形成する金属イオンMを含み、上式中、nは1以上の整数を表し、例えば1、2、3、4、5、6、7…であり、p、qおよびrはそれぞれ独立に0以上の整数を表し、例えば0、1、2、3、4、5、6、7…であり、また、nおよびpはMが中性となるように選択される。
【0008】
金属Mは、イオン形態(Mk+)でそしてXが適切な対イオンであってもよいし(式中、kは金属イオンの価数を表す)、または0価の形態(M)そしてp=0であってもよい。
【0009】
適切な金属は、例えば、周期表(CAS版)のIA族〜IVA族の典型金属元素、遷移金属元素、およびランタニド元素から選択され、好ましくはAl、Ti、Zrまたは例えば、SmまたはLaなどのランタニド元素、あるいはこれらの組み合わせである。
【0010】
Xは、陰イオン性対イオンまたは非0価金属のための共有結合した陰イオン性リガンドを表す。適切な例は、ハロゲン化合物、特にClまたはBr;例えば1〜12個のC原子を有するアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル(Pr)基、もしくはi−ブチル(Bu)基、例えば1〜12個のC原子を有するアルコキシ基、例えばn−ペントキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、好ましくは第2級アルコールから誘導されるアルコキシ基;アミド、アミノアルコール、またはアミンから誘導される陰イオン;CN基;陰イオン性芳香族リガンド、特に、シクロペンタジエニル(Cp)、ペンタメチルシクロペンタジエニル(Cp)、またはインデニルである。
【0011】
Sは、いわゆるスペクテイター(Spectator)リガンドを表しており、これは他のリガンドと交換困難な中性リガンドであり、例えば芳香族化合物またはオレフィンである。芳香族化合物の例は、ベンゼン、トルエン、クメン、シメン、またはメシチレンなどの芳香族炭化水素である。適切なオレフィンとしては、例えばジエン、特に1,5−シクロオクタジエンまたは1,5−ヘキサジエンである。
【0012】
Lは、他のリガンドで比較的容易に交換可能な中性リガンドを表しており、例えばホスフィン、特にPPhまたはPCy、ニトリル、または配位溶媒分子、特にテトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、アルコール、アミン、特に第3級アミン、例えばEtNである。
【0013】
前述のように一般構造Mで表される触媒は、当技術分野で一般的に知られている。当業者であれば理解できるように、スペクテイターリガンドSと中性リガンドLとの間の区別は、段階的で議論されるべきであり、さらには反応条件に依存しうる。
【0014】
適切な触媒の例は、LiBr、Al(OPr)、AlCl、Al(アルキル)(各アルキルはC1〜C12アルキル基である)、Al(Et)CN、Al(Bu)H、
【化1】


Zr(OBu)、ジルコノセン、Sm(OPr)、Sm(Cp)、La(Cp)である。特に好ましい触媒は、アルミニウムアルコキシド、アルキルアルミニウム、ランタニドアルコキシド、例えばサマリウムアルコキシド、およびランタノセン、例えばトリス−シクロペンタジエニルランタニド化合物である。
【0015】
ラセミ化は、溶媒の存在下で行うことが可能である。好ましくは、本発明のラセミ化では非プロトン性溶媒、例えば脂肪族炭化水素、例えばヘキサン、ヘプタン;芳香族炭化水素、例えばトルエンおよびキシレン;エーテル、例えばメチルt−ブチルエーテル(MTBE);エステル、例えば酢酸エチル;またはそれらの混合物が使用される。反応混合物中のアミノニトリルの濃度は好ましくは0.1〜2Mの間である。
【0016】
ラセミ化の温度は、好ましくは、できる限り高温で、さらに反応条件下で分解の程度が十分に低く維持されるように選択される。最適温度は当業者によって決定することができ、例えば−20〜120℃であり、好ましくは30〜100℃である。
【0017】
本発明のラセミ化は、独立した分割プロセスまたはインサイチューで分割プロセスと組み合わせることができ、それによって原理上は生成物を100%収率および100%eeで得ることができる。本発明の特に好ましい実施形態では、インサイチューで分割プロセスと組み合わせてラセミ化が行われる。
【0018】
本発明のラセミ化と組み合わせることが可能な分割プロセスの例は、例えば、結晶化誘導分割(crystallization induced resolution)(典型的な分割)、例えばジアステレオマー塩形成もしくはエントレインメントによる分割、酵素的分割(enzymatic resolution)、または物理的分離プロセスによって実施される分割である。インサイチューでラセミ化と組み合わせられる分割プロセスの例は、例えば、結晶化誘導不斉変換(crystallization induced asymmetric transformation)、または動的速度論的分割(dynamic kinetic resolution;DKR)である。本発明のラセミ化の明らかな利点は、非プロトン性溶媒を選択できることである。一般に「100%収率、100°ee」の結果を得るためには、分割プロセスにおいて非プロトン性溶媒を使用することがよりよい。例えば、非プロトン性有機溶媒の場合は、酵素的処理プロセスにおける酵素の失活がプロトン性有機溶媒の場合よりも遅い。したがって、酵素的分割(DKR)と組み合わせる場合、立体選択的反応、例えば立体選択的アシル化反応または立体選択的ニトリル反転反応に使用するためには、非プロトン性溶媒が特に適切な溶媒である。不斉変換の場合、ジアステレオマー塩の溶解性が低いことが好ましく、これは非プロトン性溶媒によって実現可能である。
【0019】
このような「100%収率および100%ee」の概念では、ラセミ化系は、ラセミ化系が立体的分離プロセス、例えば分割に使用される分割剤または酵素に適合するように選択される。最適反応条件の選択は、一般に、最適な分割または立体的分離条件と、最適なラセミ化条件との間で妥協することで解決される。当業者であれば、その状況における最適条件を見いだすことができる。例えば温度範囲は、ほとんどの場合0〜120℃の間、好ましくは20〜110℃の間で選択される。反応混合物中のアミノニトリルの濃度は、好ましくは0.1〜2Mの間である。
【0020】
本発明によりラセミ化することができるアミノニトリルの例は、例えば、式(1)で表されるアミノニトリルである。
【0021】
【化2】

【0022】
(上式中、はキラルC原子を表しており、R、R、R、およびRはそれぞれ独立して、H、または例えば1〜20個のC原子を有する任意に置換したアルキル基、アリール基、アルカリール基、もしくはアラルキル基、またはRとRもしくはRとRもしくはRとRは、それらに結合する一つ以上の元素と一緒に、任意に置換した例えば3〜20個のC原子を有する4〜8員(複素)環基を表す)。
【実施例】
【0023】
本発明を以下の実施例によって説明するが、それらによって限定されるものではない。
【0024】
(実施例I シアン化ジエチルアルミニウムを使用するラセミ化)
5mlのバイアル中で、(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリル(e.e.>99%)0.1mmolをトルエン1mlに溶解した。このバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、反応混合物を窒素で脱気した。1Mのシアン化ジエチルアルミニウムのトルエン溶液をシリンジで加え、反応混合物を窒素下80℃において18時間撹拌した。結果を表1に示す。
【0025】
【表1】

【0026】
(実施例II アルミニウム錯体を使用した室温におけるラセミ化)
a)シアン化ジエチルアルミニウム((CAlCN))、b)トリエチルアルミニウム((CAl)、c)トリ−i−ブチルアルミニウム[(CHCHCHAl)、およびd)MAO(メチルアルミノキサン)から、新しいストック溶液(トルエン中0.1m)を調製した。各ストック溶液を以下の2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルのラセミ化操作において触媒溶液として使用した。
【0027】
5mlのバイアル中で、(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリル(e.e.>99%)0.1mmolをトルエン0.9mlに溶解した。このバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、反応混合物を窒素で脱気した。この溶液に、触媒溶液0.1mlをシリンジで加え、反応混合物を窒素下で室温において撹拌した。結果を以下の表2に示す。
【0028】
【表2】

【0029】
(実施例III DIBALを使用した室温におけるラセミ化)
ヘキサン中のDIBAL(水素化ジイソブチルアルミニウム)の0.1Mストック溶液を、ヘキサン中の1M溶液を希釈することによって調製した。5mlのバイアル中で、(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリル(e.e.>99%)0.1mmolを0.トルエン9ml中に溶解した。このバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、反応混合物を窒素で脱気した。この溶液に、ヘキサン中の0.1Mのストック溶液0.1mlをシリンジで加え、反応混合物を窒素下で室温において撹拌した。1.25時間後、2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルが59%e.e.までラセミ化した。
【0030】
(実施例IV 不均一系ラセミ化触媒を使用した(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルのラセミ化)
触媒と固体(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリル(0.1mmol、e.e.>99%)とを、グローブボックス中の乾燥雰囲気下、磁気撹拌子を有する予め乾燥させた5mlのバイアル中で秤量した。このバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、グローブボックスから取り出した。この不均一混合物に、1mlの乾燥溶媒をシリンジで加え、反応混合物を窒素下で、以下の表3に示される温度で撹拌した。
【0031】
【表3】

【0032】
(実施例V アルミニウムイソプロポキシドを使用した(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルのラセミ化)
【0033】
A)固体アルミニウムイソプロポキシドを使用した触媒反応
固体アルミニウムイソプロポキシド(Al(OPr))および固体(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリル(0.1mmol、e.e.>99%)を5mlのバイアルに入れ、1mlの溶媒中に溶解した。このバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、溶液を窒素で脱気し、以下の表4に示す温度でラセミ化を行った。
【0034】
【表4】

【0035】
B)他のアルミニウム誘導体から調製したアルミニウムイソプロポキシド
触媒溶液1:シアン化ジエチルアルミニウム(CAlCN)からアルミニウムイソプロポキシドを誘導した。25mlのバイアル中に、イソプロパノール(3mmol)およびトルエン(9ml)を加えた。このバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、溶液を窒素で脱気した。この溶液に、トルエン中の(CAlCNの1M溶液1mlを窒素雰囲気で加えた。
【0036】
触媒溶液2:シアン化ジエチルアルミニウム(CAlCN)からアルミニウムイソプロポキシドを誘導した。触媒溶液1と同様の手順の後、80℃で1時間加熱した。
【0037】
触媒溶液3:トリエチルアルミニウム((CAl)からアルミニウムイソプロポキシドを誘導した。25mlバイアル中に、イソプロパノール(4mmol)およびトルエン(9ml)を加えた。バイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、溶液を窒素で脱気した。この溶液に、トルエン中の(CAlの1M溶液1mlを窒素雰囲気で加えた。得られた触媒溶液を室温で一晩静置した。
【0038】
触媒溶液1、2、および3を、(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルの標準的なラセミ化プロトコルに使用した。
【0039】
5mlのバイアル中で、(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリル(e.e.>99%)0.1mmolをトルエン0.9ml中に溶解した。このバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、反応混合物を窒素で脱気した。この溶液に、触媒溶液をシリンジで加え、以下の表5に示される温度で反応混合物を加熱した。
【0040】
【表5】

【0041】
C)他のアルミニウム誘導体から調製したアルミニウムイソプロポキシド。トリエチルアミンの存在下での触媒的ラセミ化
【0042】
触媒溶液:トリメチルアルミニウム((CHAl)からアルミニウムイソプロポキシドを誘導した。25mlのバイアル中にイソプロパノール(3mmol)およびトルエン(9.5ml)を加えた。このバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、溶液を窒素で脱気した。この溶液に、トルエン中の(CHAlの2M溶液0.5mlを窒素雰囲気で加える。得られた触媒溶液を、室温で15分間、および80℃で15分間それぞれ静置した。
【0043】
トリエチルアミンのストック溶液:50mlのバイアル中に、トリエチルアミン(2.54mmol)およびトルエン(25ml)を加えた。このバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、室温で保管した。
【0044】
触媒溶液を、トリエチルアミンの存在下での(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルの標準的なラセミ化プロトコルに使用した。
【0045】
5mlのバイアル中で、(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリル(e.e.>99%)0.1mmolをトルエン中に溶解し、トリエチルアミンのストック溶液を加えた。このバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、反応混合物を窒素で脱気した。この溶液に、触媒溶液をシリンジで加え、反応混合物を60℃で19時間加熱した。
【0046】
【表6】

【0047】
D)トリメチルアルミニウム((CHAl)から調製したAl(OPr)と、固体Al(OPr)とを使用した(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルのラセミ化の比較
触媒溶液を、トリメチルアルミニウム((CHAl)から誘導した。25mlのバイアル中にイソプロパノール(3mmol)およびトルエン(9.5ml)を加えた。このバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、溶液を窒素で脱気した。この溶液に、トルエン中の(CHAlの2M溶液0.5mlを窒素雰囲気で加える。得られた触媒溶液を、室温で15分間、および80℃で15分間それぞれ静置した。
【0048】
5mlのバイアル中で、(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリル(e.e.>99%)0.1mmolおよび固体Al(OPr)をトルエン中に溶解した。このバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、反応混合物を窒素で脱気した。この溶液に、触媒溶液をシリンジで加え、反応混合物を60℃で2時間加熱した。結果を表7に示す。
【0049】
【表7】

【0050】
(実施例VI シアン化トリメチルシリル(TMS−CN)の存在下でAl(OPr)を使用した(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルのラセミ化)
5mlのバイアル中で、トルエン(1ml)を、(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリル(ee.>99%)0.1mmol、AL(OPr)(0.01mmol)、およびTMS−CNに加えた。このバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、反応混合物を窒素で脱気した。3時間で反応混合物の温度を80℃まで上昇させた。結果を表8に示す。
【0051】
【表8】

【0052】
(実施例VII シアン化ジエチルアルミニウム(CAlCN)をイソプロパノールと併用した(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルのラセミ化)
触媒溶液:50mlのバイアル中にトルエン(10ml)を加えた。このバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、トルエンを窒素で脱気した。このトルエンに、窒素雰囲気下で、トルエン中の(CAlCNの1M溶液0.4ml、およびイソプロパノール(8.5mmol)をそれぞれ加えた。
【0053】
得られた触媒溶液を室温で一晩静置し、(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルの触媒的ラセミ化に使用した。
【0054】
5mlのバイアル中で、(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリル(e.e.>99%)0.1mmolをトルエン1ml中に溶解した。このバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、反応混合物を窒素で脱気した。この溶液に、触媒溶液をシリンジで加え、温度を80℃まで上昇させた。結果を表9に示す。
【0055】
【表9】

【0056】
(実施例VIII アルミニウム/アミン触媒を使用した(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルのラセミ化)
触媒溶液1:50mlのバイアル中にベンジルアミン(2mmol)およびトルエン(9ml)を加えた。このバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、溶液を窒素で脱気した。この溶液に、トルエン中の(CAlCNの1M溶液1mlを窒素雰囲気で加えた。
【0057】
触媒溶液2、3、および4:25mlのバイアル中にアミン(3mmol)およびトルエン(9ml)を加えた。このバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、溶液を窒素で脱気した。この溶液に、トルエン中の(CHAlの2M溶液0.5mlを窒素雰囲気で加えた。一晩で温度を80℃まで上昇させた。
【0058】
触媒溶液
触媒溶液 アミン
2 (S)−1−フェニルエチルアミン
3 (RS)−1−フェニルエチルアミン
4 N−メチルベンジルアミン
【0059】
触媒溶液を、(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルの触媒的ラセミ化に使用した。
【0060】
5mlのバイアル中で、(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリル(e.e.>99%)0.1mmolをトルエン0.9ml中に溶解した。このバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、反応混合物を窒素で脱気した。この溶液に、0.1ml触媒溶液をシリンジで加え、温度を60℃まで1時間上昇させた。結果を表10に示す。
【0061】
【表10】

【0062】
(実施例IX 酢酸イソプロピルの存在下でシアン化ジエチルアルミニウム(CAlCNを使用した(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルのラセミ化)
触媒溶液:50mlのバイアル中にトルエン(9ml)を加えた。このバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、溶液を窒素で脱気した。この溶液に、トルエン中の(CAlCNの1M溶液1mlを窒素雰囲気で加えた。
【0063】
触媒溶液を、酢酸イソプロピルの存在下での(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルの標準的なラセミ化プロトコルに使用した。
【0064】
5mlのバイアル中で、(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリル(e.e.>99%)0.1mmolおよび酢酸イソプロピル(0.11mmol)をトルエン0.9ml中に溶解した。このバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、反応混合物を窒素で脱気した。この脱気した溶液に、触媒溶液0.1mlをシリンジで加え、反応混合物を周囲温度で1時間静置すると、2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルが23%e.e.までラセミ化した。
【0065】
(実施例X リチウム塩を使用した(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルのラセミ化)
使用前に、LiBrを300℃で真空乾燥した。新しいLiPFをグローブボックス中でそのように使用した。
【0066】
リチウム塩のストック:グローブボックス中、リチウム塩を25mlのバイアル中に加えた。このバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、グローブボックスから取り出した。乾燥THFを加えて、リチウム塩を溶解させた。
触媒溶液 リチウム塩(mmol) THF(ml)
LiBr 1.5 15
LiPF 1 10
【0067】
リチウム塩を使用した(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルのラセミ化:5mlのバイアルに、(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリル(e.e.>99%)0.1mmolを加えた。このバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、窒素で脱気した。(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルを含有するバイアルに触媒溶液(1ml)を加え、2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルを溶解させた。窒素下で所定の温度においてラセミ化を行った。結果を表11にまとめている。
【0068】
【表11】

【0069】
(実施例XI 前期遷移金属触媒を使用した(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルニトリルのラセミ化)
Zr(OBuを使用したラセミ化
触媒溶液調製の一般手順:Zr(OBuを、乾燥窒素の雰囲気で5mlのバイアル中に入れ、金属ナトリウムから新しく蒸留したトルエンを加え、このバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止した。
【0070】
トルエン中のZr(OBu溶液
溶液(M) Zr(OBu(mmol) トルエン(ml)
0.1 1 10
1 2 2
【0071】
(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルのラセミ化:5mlのバイアル中で、(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリル(e.e.>99%)0.1mmolを乾燥トルエン0.9ml中に溶解した。このバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、反応混合物を窒素で脱気した。この溶液に、Zr(OBuのトルエン溶液(0.1ml)をシリンジで加え、その反応混合物を80℃で24時間撹拌した。結果を表12に示す。
【0072】
【表12】

【0073】
異なる錯体を使用したラセミ化
【化3】

【0074】
触媒溶液:錯体(0.1mmol)を、乾燥窒素の雰囲気下で5mlのバイアル中に入れ、金属ナトリウムから新しく蒸留したトルエン(1ml)を加えた。このバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、錯体が完全に溶解するまでこの混合物を撹拌した。
【0075】
(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルのラセミ化:5mlのバイアル中で、(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリル(e.e.>99%)0.1mmolを乾燥トルエン0.9ml中に溶解した。このバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、反応混合物を窒素で脱気した。この溶液に触媒溶液(0.1ml)をシリンジで加え、反応混合物を50℃で24時間撹拌した。結果を表13に示す。
【0076】
【表13】

【0077】
(実施例XII アルミニウムアルコキシドを使用した(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルのラセミ化)
MeAlから調製したアルミニウムアルコキシド触媒
触媒溶液の調製の一般手順:アルコール(3mmol)を25mlのバイアル中に入れ、金属ナトリウムから新しく蒸留したトルエン(9.5ml)を加えた。このバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、窒素で脱気した。この溶液にMeAlの2Mトルエン溶液(0.5ml、1mmol)を加え、生成したメタンを乾燥窒素気流で除去した。室温で15分間静置した後、表に示される時間で、温度を80℃まで上昇させる。
【0078】
(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルのラセミ化:5mlのバイアル中で、(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリル(e.e.>99%)0.1mmolを乾燥トルエン0.9ml中に溶解した。このバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、反応混合物を窒素で脱気した。この溶液に触媒溶液(0.1ml)をシリンジで加え、反応混合物の温度を60℃まで上昇させた。一定時間におけるラセミ化の程度を表14に示す。
【0079】
【表14】

【0080】
BuAlから調製したアルミニウムアルコキシド触媒
イソプロパノール(3mmol)を25mlのバイアル中に入れ、金属ナトリウムから新しく蒸留したトルエン(9ml)を加えた。このバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、窒素で脱気した。この溶液にBuAlの1Mトルエン溶液(1ml、1mmol)を加え、生成したブタンを乾燥窒素気流で除去した。室温で15分間静置した後、表に示される時間で、温度を80℃まで上昇させる。
【0081】
(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルのラセミ化:5mlのバイアル中で、(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリル(e.e.>99%)0.1mmolを乾燥トルエン0.9ml中に溶解させた。このバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、反応混合物を窒素で脱気した。この溶液に触媒溶液(0.1ml)をシリンジで加え、反応混合物の温度を60℃まで上昇させた。ラセミ化の程度を表15に示す。
【0082】
【表15】

【0083】
(実施例XIII テトラフルオロホウ酸ビス(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)により触媒される(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルのラセミ化)
(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリル(e.e.>99%)(146mg、0.1mmol)およびテトラフルオロホウ酸ビス(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)(4.5mg、0.011mmol)を、5mlの乾燥バイアル中に入れた。このバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、新しく蒸留したトルエン(0.9ml)を加え、反応混合物を窒素で脱気した。反応混合物の温度を、18時間で、60℃まで上昇させると、(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルが62%e.e.までラセミ化した。
【0084】
(実施例XIV 金属イソプロポキシドを使用した(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルのラセミ化)
触媒溶液:予め乾燥させた25mlのバイアル中に、乾燥窒素雰囲気下で金属イソプロポキシド(1mmol)を加えた。この金属イソプロポキシドに、ナトリウムから新しく蒸留したトルエン(10ml)を加え、このバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止した。
【0085】
(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルのラセミ化:5mlのバイアルに、(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリル(e.e.>99%)0.1mmolを投入し、乾燥トルエン0.9ml中に溶解させた。このバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、この均一溶液を窒素で脱気した。この溶液に触媒溶液(0.1ml)をシリンジで加え、反応混合物の温度を60℃まで上昇させた。異なる金属触媒を使用した一定時間におけるラセミ化の程度を表16に示す。
【0086】
【表16】

【0087】
(実施例XV Al(OPr)を使用した(R)−2−アミノ−2,3−ジメチルブチロニトリルのラセミ化)
2本の5mlバイアル中で、(R)−2−アミノ−2,3−ジメチルブチロニトリル(e.e.86%)を0.1mmol秤量した。これらのバイアルに、0.9mlのトルエンを加えた。これらのバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、溶液を窒素で脱気した。脱気した溶液の一方に、トルエン中の0.1MのAl(OPr)触媒溶液0.2mlをシリンジで加え、反応混合物およびブランク反応の温度を60℃まで上昇させた。1/2時間後、反応混合物およびブランクの試料を採取し、HPLCで分析した。この時点で反応混合物はラセミ体であった。結果を表17に示す。
【0088】
【表17】

【0089】
(実施例XVI AlEtを使用した(R)−2−アミノ−2,3−ジメチルブチロニトリルのラセミ化)
2本の5mlのバイアル中で、(R)−2−アミノ−2,3−ジメチルブチロニトリル(e.e86%)を0.1mmol秤量した。これらのバイアルに、0.9mlのトルエンを加えた。これらのバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、反応混合物およびブランクを窒素で脱気した。脱気した溶液の一方に、トルエン中の0.1MのAlEt触媒溶液0.2mlをシリンジで加えた。反応混合物およびブランク反応物を室温で静置した。5分後、反応混合物およびブランクの試料を採取し、HPLCで分析した。この時点で反応混合物はラセミ体であった。結果を表18に示す。
【0090】
【表18】

【0091】
(実施例XVII Zr(BuO)を使用した(R)−2−アミノ−2,3−ジメチルブチロニトリルのラセミ化)
2本の5mlのバイアル中で、(R)−2−アミノ−2,3−ジメチルブチロニトリル(e.e.86%)を0.1mmol秤量した。これらのバイアルに、トルエン0.4mlを加えた。これらのバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、反応混合物を窒素で脱気した。脱気した溶液の一方に、トルエン中の1MのZr(BuO)触媒溶液0.6mlをシリンジで加えた。反応混合物およびブランク反応物の温度を80℃まで上昇させた。1日後、反応混合物およびブランクの試料を採取し、HPLCで分析した。この時点で反応混合物はラセミ体であった。結果を表19に示す。
【0092】
【表19】

【0093】
(実施例XVIII Al(OPr)を使用した(R)−2−アミノ−3−メチルブチロニトリルのラセミ化)
2本の5mlのバイアル中で、(R)−2−アミノ−3−メチルブチロニトリル(e.e.74%)を0.1mmol秤量した。両方に0.9mlのトルエンを加えた。これらのバイアルをテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップで封止し、反応混合物を窒素で脱気した。脱気した溶液の一方に、トルエン中の0.1MのAl(OPr)触媒溶液0.1mlをシリンジで加えた。反応混合物の温度を60℃まで上昇させた。55分後、反応混合物およびブランクの試料を採取し、HPLCで分析した。この時点で反応混合物はラセミ体であった。結果を表20に示す。
【0094】
【表20】

【0095】
(実施例XIX Al(OPr)を使用したラセミ化、およびノボザイム(Novozyme)435(登録商標)により触媒される酵素的アシル化による(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルの動的速度論的分割)
(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリル75mg(0.51mmol)およびフェニル酢酸イソプロピル104mg(0.59mmol)のo−キシレン4.2g中の溶液に、ノボザイム435(登録商標)201mgを加えた。反応混合物を周囲温度下で20分間撹拌した後、減圧下(〜100mbar)で、トルエン中の0.1MのAl(OPr)溶液0.44g(0.05mmol)を加えた。反応混合物を70℃において、減圧下(約100mbar)で43時間撹拌した。〜20時間後に、さらにノボザイム435(登録商標)185mgと、トルエン中のAl(OPr)溶液0.42gとを加えた。反応をHPLCで分析した。43時間後、N−フェニルアセチル−(S)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルが64%e.e.(S)で生成した。この出発物質は部分的にラセミ化していた。
【0096】
(実施例XX ラセミ化触媒としてAl(OPr)を使用した2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルの不斉変換)
2.5g(17mmol)の2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルおよび4.8g(17mmol)のN−(4−クロロベンゾイル)−L−グルタミン酸を68mlのメタノール中に溶解することによって、ラセミ体の2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルおよびN−(4−クロロベンゾイル)−L−グルタミン酸の1:1ジアステレオマー塩を生成した。すべての物質が溶解するまで、この混合物を室温で撹拌した。減圧下でメタノールを蒸発させて、7.2gの1:1ジアステレオマー塩を得た(HPLC分析:2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリル<5%e.e.)。シュレンク管中で、2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルN−(4−クロロベンゾイル)−L−グルタミン酸塩0.860g(2mmol)をトルエン4.8ml中に溶解させた。この混合物を80℃で一晩撹拌し加熱した。次に冷却後、トルエン中の1MのAl(OPr)溶液0.2mlを加えた。反応混合物を80℃でさらに2日間撹拌し加熱した。室温に冷却した後、沈殿物を濾過し、トルエンで洗浄した。残留物(0.651g)をHPLCで分析した。結果を表21に示す。(光学収率=収率×e.e.)。
【0097】
【表21】

【0098】
(実施例XXI ラセミ化触媒としてSmO(OPr)13を使用したトルエン中の2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルの不斉変換)
メタノール4.0ml中に、2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリル250mg(1.7mmol)、N−(4−クロロベンゾイル)−L−グルタミン酸480mg(1.7mmol)、およびサマリウムイソプロポキシド(SmO(OPr)13)100mgを溶解させる。減圧下でメタノールを除去し、その残留物を2mlのトルエン中に懸濁させた。トルエンを蒸発させることによって、最後の微量なメタノールまでも除去し、その残留物に4mlのトルエンを加えた。反応混合物を80℃で21.5時間撹拌した。冷却後、ジアステレオマー塩およびSmO(OPr)13を濾過した。この残留物をCHCl中に懸濁させ、飽和NaHCO溶液で洗浄した。CHCl溶液を乾燥させ、蒸発させた。残留した(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリル(200mg)をHPLCで分析した。結果を表22に示す。
【0099】
【表22】

【0100】
(実施例XXII SmO(OPr)13をラセミ化触媒として使用したヘプタン中の2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリルの不斉変換)
メタノール4.0ml中に、2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリル250mg(1.7mmol)、N−(4−クロロベンゾイル)−L−グルタミン酸480mg(1.7mmol)、およびサマリウムイソプロポキシド(SmO(OPr)13)100mgを溶解させる。減圧下でメタノールを除去し、その残留物をヘプタン2ml中に懸濁させた。ヘプタンを蒸発させることによって、最後の微量なメタノールまでも除去し、その残留物にヘプタン4mlを加えた。反応混合物を80℃で21.5時間撹拌した。冷却後、ジアステレオマー塩およびSmO(OPr)13を濾過した。この残留物をCHCl中に懸濁させ、飽和NaHCO溶液で洗浄した。CHCl溶液を乾燥させ、蒸発させた。残留した(R)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニトリル(205mg)をHPLCで分析した。結果を表23に示す。
【0101】
【表23】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
エナンチオマー過剰のα−アミノニトリルのラセミ化方法であって、
前記エナンチオマー過剰のα−アミノニトリルをルイス酸触媒と接触させることを特徴とする方法。
【請求項2】
非プロトン性溶媒が使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ルイス酸触媒が、周期表(CAS版)のIA族〜IVA族の典型金属元素、遷移金属元素、およびランタニド元素から選択される金属元素を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記金属元素が、Al、Ti、Zr、またはランタニド元素からなる群より選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
一般構造Mを有する触媒、ここで、Mが金属元素を表し、Xが陰イオン性対イオンまたは非0価金属のための共有結合した陰イオン性リガンドを表し、Sがスペクテイター(Spectator)リガンドを表し、Lが中性リガンドを表し、nが1以上の整数を表し、p、qおよびrがそれぞれ独立に0以上の整数を表し、nおよびpが、Mが中性となるように選択される、が使用される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記触媒が、アルミニウムアルコキシド、アルキルアルミニウム、ランタニドアルコキシド、およびランタノセン(lanthanocene)の群より選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ラセミ化が、分割プロセスと組み合わせて行われる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ラセミ化が、酵素的分割プロセスと組み合わせて行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ラセミ化が、結晶化誘導分割プロセスと組み合わせて行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記分割プロセスが、インサイチュー(in situ)でラセミ化と組み合わせられる、請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ラセミ化が、結晶化誘導不斉変換プロセスにおいてインサイチュー(in situ)で行われる、請求項10に記載の方法。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エナンチオマー過剰のα−アミノニトリルのラセミ化方法であって、
前記エナンチオマー過剰のα−アミノニトリルを非プロトン性溶媒中でルイス酸触媒と接触させることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ルイス酸触媒が、周期表(CAS版)のIA族〜IVA族の典型金属元素、遷移金属元素、およびランタニド元素から選択される金属元素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属元素が、Al、Ti、Zr、またはランタニド元素からなる群より選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
一般構造Mを有する触媒、ここで、Mが金属元素を表し、Xが陰イオン性対イオンまたは非0価金属のための共有結合した陰イオン性リガンドを表し、Sがスペクテイター(Spectator)リガンドを表し、Lが中性リガンドを表し、nが1以上の整数を表し、p、qおよびrがそれぞれ独立に0以上の整数を表し、nおよびpが、Mが中性となるように選択される、が使用される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記触媒が、アルミニウムアルコキシド、アルキルアルミニウム、ランタニドアルコキシド、およびランタノセン(lanthanocene)の群より選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ラセミ化が、分割プロセスと組み合わせて行われる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ラセミ化が、酵素的分割プロセスと組み合わせて行われる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ラセミ化が、結晶化誘導分割プロセスと組み合わせて行われる、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記分割プロセスが、インサイチュー(in situ)でラセミ化と組み合わせられる、請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ラセミ化が、結晶化誘導不斉変換プロセスにおいてインサイチュー(in situ)で行われる、請求項9に記載の方法。

【公表番号】特表2006−507330(P2006−507330A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−552534(P2004−552534)
【出願日】平成15年11月3日(2003.11.3)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012412
【国際公開番号】WO2004/046088
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(505074311)
【Fターム(参考)】