説明

エネルギーデグレーダ、及びそれを備えた荷電粒子線照射システム

【課題】エネルギーが低い方の荷電粒子線の透過率の低下を緩和することが可能なエネルギーデグレーダ及びそれを備えた荷電粒子線照射システムを提供すること。
【解決手段】エネルギーの減衰量が異なる複数の減衰部材11A〜11Gを備え、エネルギー減衰量が大きい方の低エネルギー側減衰部材11Gを、エネルギー減衰量が小さい方の高エネルギー側減衰部材11Aよりも透過率が高い材質から形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子線のエネルギーを減衰させるエネルギーデグレーダ、及びそれを備えた荷電粒子線照射システムに関する。
【背景技術】
【0002】
陽子ビームなどの荷電粒子線を患者に照射してがん治療を行う設備が知られている。この種の設備は、イオン源で生成されたイオン(荷電粒子)を加速させるサイクロトロン(加速器)、サイクロトロンで加速された荷電粒子を輸送する輸送ライン、及び患者に対して任意の方向から荷電粒子線を照射する回転自在の照射装置(回転ガントリ)を備えている。
【0003】
下記特許文献1に記載の技術では、ビームライン(輸送ライン)にビーム吸収体(減衰材)を挿入してビームエネルギーを減衰させるデグレーダが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平01−286300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の荷電粒子線照射システムでは、被照射体の照射位置(深さ)に応じて荷電粒子線のエネルギーを調整している。荷電粒子線のエネルギーの調整には、減衰材を有するエネルギーデグレーダが用いられている。一般的に減衰材の材質としては、放射化しにくく、安価なグラファイトが採用されている。従来技術では、同一の材質からなる減衰材において、荷電粒子線が透過する長さを変更することで、減衰させるエネルギー量を調整していた。
【0006】
また、近年、通常よりも低いエネルギーの荷電粒子線の使用要求が高まっている。エネルギーの減衰量を大きくするために減衰材を厚くすると、荷電粒子線の散乱が大きくなり、減衰材を透過可能な荷電粒子の数(=透過率)が減少することになる。
【0007】
本発明は、以上の課題を解決することを目的としており、エネルギーが低い方の荷電粒子線の透過率の低下を緩和することが可能なエネルギーデグレーダ及びそれを備えた荷電粒子線照射システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、入射した荷電粒子線のエネルギーを減衰させる複数の減衰部材を備えたエネルギーデグレーダであって、減衰させるエネルギー量が異なる複数の前記減衰部材を有し、減衰させるエネルギー量が大きい方の前記減衰部材である低エネルギー側減衰部材は、減衰させるエネルギー量が小さい方の前記減衰部材である高エネルギー側減衰部材よりも前記荷電粒子線の透過率が高い材質からなることを特徴としている。
【0009】
本発明にかかるエネルギーデグレーダでは、エネルギーの減衰量が異なる複数の減衰部材を備え、エネルギー減衰量が大きい方の低エネルギー側減衰部材が、エネルギー減衰量が小さい方の高エネルギー側減衰部材よりも透過率が高い材質から形成されているため、低エネルギー側の荷電粒子線の透過率の低下を緩和することができる。その結果、低エネルギー領域(例えば70MeV以下)において、減衰部材を透過する荷電粒子数の減少を抑制することができる。エネルギー減衰量が大きい場合には、エネルギー減衰量が小さい場合と比較して、減衰部材を透過した後の荷電粒子線のエネルギーが低くなる。
【0010】
また、複数の減衰部材のうち、減衰させるエネルギー量が最も大きい低エネルギー側減衰部材のみが、透過率が高い材質からなる構成としてもよい。このように、エネルギーの減衰量が最も大きい減衰部材のみを、他の減衰部材よりも透過率が高いものとすることができる。
【0011】
また、低エネルギー側減衰部材は、ベリリウムから形成され、高エネルギー側減衰部材は、グラファイトから形成することができる。このように低エネルギー側減衰部材として、ベリリウムを採用することで、低エネルギー領域において、減衰部材を透過する荷電粒子数を増加させることができる。
【0012】
また、本発明は、上記のエネルギーデグレーダを備え、荷電粒子線を照射する荷電粒子線照射システムであって、エネルギーデグレーダに導入される荷電粒子を加速する加速器と、エネルギーデグレーダによってエネルギーが減衰された荷電粒子線を照射する照射装置と、を備えることを特徴としている。
【0013】
本発明に係る荷電粒子照射システムは、入射した荷電粒子線のエネルギーを減衰させるエネルギーデグレーダを備えている。このエネルギーデグレーダでは、エネルギーの減衰量が異なる複数の減衰部材を備え、エネルギー減衰量が大きい方の低エネルギー側減衰部材が、エネルギー減衰量が小さい方の高エネルギー側減衰部材よりも透過率が高い材質から形成されているため、低エネルギー側の荷電粒子線の透過率を向上させることができる。その結果、低エネルギー領域において、減衰部材を透過する荷電粒子数を増加させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のエネルギーデグレーダ及びそれを備えた荷電粒子線照射システムによれば、エネルギーが低い方の荷電粒子線の透過率の低下を緩和することができ、低エネルギー側減衰部材を透過する荷電粒子の数の減少を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る粒子線治療システムの配置図である。
【図2】本発明の実施形態に係るエネルギーデグレーダを示す概略図である。
【図3】本発明の第2実施例に係るエネルギーデグレーダを示す概略図である。
【図4】本発明の第3実施例に係るエネルギーデグレーダを示す概略図である。
【図5】本発明の第4実施例に係るエネルギーデグレーダを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るエネルギーデグレーダ、及びそれを備えた荷電粒子線照射システムの好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態では、荷電粒子線照射システムを粒子線治療システムとした場合について説明する。
【0017】
(荷電粒子線照射システム)
粒子線治療システムは、例えばがん治療に適用されるものであり、患者の体内の腫瘍(照射目標物)に対して、陽子ビーム(荷電粒子線)を照射する装置である。
【0018】
図1に示すように、粒子線治療システム1は、イオン源(図示せず)にて生成されたイオン(水素の陽イオン)を加速させて陽子ビームを生成するサイクロトロン(粒子加速器)2、患者に対して任意の方向から陽子ビームを照射する回転自在の回転ガントリ(照射装置)3、サイクロトロン2で生成された陽子ビーム(サイクロトロンで加速された荷電粒子ビーム)を回転ガントリ3まで輸送する輸送ライン4を備えている。
【0019】
サイクロトロン2で加速された陽子ビームは、輸送ライン4に沿って偏向され、回転ガントリ3に輸送される。輸送ライン4には、陽子ビームを偏向させるための偏向磁石が設けられている。また、輸送ライン4には、荷電粒子のエネルギーを減衰させるエネルギーデグレーダ10が設けられている(詳しくは後述する)。
【0020】
更に、輸送ライン4には、エネルギーデグレーダ10の後段(下流)に、ESS(エネルギー選択システム)30が設けられている。このESS30は、輸送されてきた所定のエネルギー分布を有する陽子ビームから所望のエネルギー幅の陽子ビームを選択的に取り出すものである。ESS30では、陽子ビームのエネルギー幅が、所望の範囲となるように選択される。
【0021】
回転ガントリ3は、患者が横たわる治療台、患者に向けて陽子ビームを照射する照射部を備えている。エネルギーデグレーダ10によってエネルギーが減衰された荷電粒子線は、照射部から出射され、患者の対象部位に照射される。
【0022】
(エネルギーデグレーダ)
図2は、本発明の実施形態に係るエネルギーデグレーダを示す概略図である。図2に示すエネルギーデグレーダ10は、陽子ビームBの経路上(ビームライン上)に設けられ、陽子ビームBのエネルギーを減衰させるものである。エネルギーデグレーダ10は、透過する陽子ビームBのエネルギーを減衰させる複数の減衰部材11A〜11Gを備えている。なお、減衰部材11A〜11Gを区別する必要がないときは、減衰部材11と記す。
【0023】
エネルギーデグレーダ10では、互いに厚さが異なる減衰部材11が、一方向に厚さ順に配置されている。本実施形態では、陽子ビームBの経路と交差する方向Xにおいて、減衰部材11Aから減衰部材11Gへ順に厚さが増加するように配置されている。なお、ここでいう厚さとは、荷電粒子線の透過方向における長さをいう。減衰部材11は、例えば、陽子ビームBが出射される出口側の端面が揃うように配置され、反対の入口側の端面が階段状を成すように配置されている。なお、減衰部材11は、厚さ順に配置されていなくてもよい。また、出口側の端面が階段状を成すように配置されていてもよく、その他の配置でもよい。
【0024】
減衰部材11は、支持部材(不図示)によって一体的に支持されている。また、エネルギーデグレーダ10は、減衰部材11に駆動力を付与する駆動源(例えば、駆動モータ)、減衰部材11の移動を案内する案内手段(例えば、ガイドレール)など備えている。そして、エネルギーデグレーダ10は、陽子ビームBを透過させる減衰部材11を、陽子ビームBの経路上に移動させることで、陽子ビームBのエネルギーの減衰量を変更する。エネルギーデグレーダ10は、陽子ビームBが透過する減衰部材11の厚さに応じて異なる減速度で陽子ビームBを減速させる。陽子ビームBは、運動エネルギーが減少して減衰する。
【0025】
ここで、エネルギーデグレーダ10では、減衰させるエネルギー量が大きい方の減衰部材11である低エネルギー側減衰部材が、減衰させるエネルギー量が小さい方の減衰部材11である高エネルギー側減衰部材よりも陽子ビームBの透過率が高い材質から形成されている。換言すれば、高エネルギー側減衰部材よりも、低エネルギー側減衰部材に、原子番号が小さい物質が採用されている。これは、減衰材料の原子番号が大きいほど陽子ビームBの散乱が大きく広がるため、透過できる陽子の数が減ることによる。
【0026】
本実施形態のエネルギーデグレーダ10では、減衰させるエネルギー量が最も大きい減衰部材11Gのみが、その他の減衰部材11A〜11Fよりも透過率が高い材質から形成されている。減衰部材11の材質としては、例えば、炭素(C)、ベリリウム(Be)などが挙げられる。本実施形態では、最も低エネルギー側の減衰部材11Gに、原子番号が小さい安定固形物質であるベリリウムが採用され、その他の減衰部材11A〜11Fに炭素(グラファイト)が採用されている。
【0027】
なお、低エネルギー側の二つの減衰部材11G,11Fに、残りの減衰部材11A〜11Eよりも透過率が高い材質を採用してもよい。また、最も低エネルギー側の減衰部材11Gに透過率が高い材質を採用しない場合でもよい。例えば、低エネルギー側の減衰部材11Fに、残りの減衰部材11A〜11Eよりも透過率が高い材質を採用し、最も低エネルギー側の減衰部材11Gと減衰部材11A〜11Dとを同じ材質によって形成してもよい。
【0028】
(エネルギーデグレーダ及び粒子線治療システムの作用)
粒子線治療システム1では、サイクロトロン2によって陽子ビームBが加速され、加速された陽子ビームB(例えば230MeV±数MeVのエネルギー範囲を有する)は、エネルギーデグレーダ10に導入される。エネルギーデグレーダ10では、駆動手段によって減衰部材11が駆動されて移動し、陽子ビームBの経路上に所望の減衰部材11が配置されている。そして、この減衰部材11を通過した陽子ビームBは、減衰部材11によって減速されて、エネルギーが減衰させられる(例えば200MeV±十数MeV)。
【0029】
エネルギーデグレーダ10を通過した陽子ビームBは、ESS30に導入される。ESS30では、導入された陽子ビームBうち、所望のエネルギー範囲の陽子ビームBが選択的に取り出される(例えば200MeV±1MeV)。エネルギー幅が選択された陽子ビームBは、輸送ライン4によって輸送されて回転ガントリ3に導入されて、被照射体に照射される。これにより、被照射体の内部の所定の深さ位置に到達するように陽子ビームBが照射される。被照射体の内部の深い位置に到達するように陽子ビームBを照射する場合には、エネルギーデグレーダ10による減衰量を小さくし、被照射体の内部の浅い位置(例えば体表付近)に到達するように陽子ビームBを照射する場合には、エネルギーデグレーダ10より減衰量を大きくする。
【0030】
このような本実施形態のエネルギーデグレーダ及びそれを備えた粒子線治療システムによれば、複数の減衰部材11を備え、これらの減衰部材11に入射する陽子ビームBのエネルギーを減衰させることができる。エネルギーデグレーダ10では、エネルギー減衰量が大きい方の低エネルギー側減衰部材11Gが、エネルギー減衰量が小さい方の高エネルギー側減衰部材よりも透過率が高い材料から形成されているため、低エネルギー側の陽子ビームBの透過率の低下を緩和することができる。その結果、低エネルギー領域において、陽子ビームBの散乱を抑え、減衰部材11を透過できる陽子の数の減少を抑制することができる。
【0031】
また、複数の減衰部材11のうち、減衰させるエネルギー量が最も大きい低エネルギー側減衰部材11Gのみが、透過率が高く高価なベリリウムによって形成されているため、製造コストの増加を抑えつつ、低エネルギー側減衰部材11Gを透過する陽子の数の減少を抑制することができる。すなわち、照射される陽子の数の減少を抑制することができる。これにより、体表付近の浅い位置へ、有効に陽子ビームBを照射することができ、信頼性の高い粒子線治療システム1を実現することができる。
【0032】
下記の表1は、陽子ビームBの各エネルギーにおける透過率を示すものである。表1中の透過率は、ESS30の出口で測定した値である。このときの減衰部材の材質は、全て同一でありグラファイトをしている。
【表1】

【0033】
下記の表2は、陽子ビームBの透過率について、減衰部材の材質による比較を示すものである。陽子ビームBのエネルギーが70[MeV]であり、ビーム径がφ5mm、φ2mmである場合について計測した。
【表2】

【0034】
(第2実施例)
次に図3を参照して、第2実施例に係るエネルギーデグレーダ10Bについて説明する。図3に示すエネルギーデグレーダ10Bが、図2に示すエネルギーデグレーダ10と違う点は、一つの減衰部材12A〜12Gにおいて、異なる厚さを有する点である。このように一つの減衰部材12A〜12Gにおいて、複数の厚みを有する構成としてもよい。
【0035】
(第3実施例)
次に図4を参照して、第3実施例に係るエネルギーデグレーダ10Cについて説明する。図4に示すように、エネルギーデグレーダ10Cは、互いに対向して配置された一対の減衰部材13,14を有している。減衰部材11は、くさび形を成し、互いの斜面13a,14a同士が対面して配置されている。減衰部材13,14は、陽子ビームBの進行方向と交差するX方向に移動可能な構成とされている。減衰部材13,14をX方向に移動させ、陽子ビームBが減衰部材13,14を透過する長さを変更して、陽子ビームBのエネルギーの減衰量を制御する。なお、減衰部材13,14の何れか一方を、陽子ビームBの進行方向へ駆動して、減衰部材13,14の隙間を調整し、陽子ビームBのビーム径を制御する構成としてもよい。
【0036】
この減衰部材13,14は、減衰させるエネルギー量が異なる複数の減衰部材13A,13B,14A,14Bを備えている。減衰させるエネルギー量が大きい方の低エネルギー側減衰部材13B,14Bは、減衰させるエネルギー量が小さい方の高エネルギー側減衰部材13A,14Aよりも、陽子ビームBの透過率が高い材質から形成されている。例えば、陽子ビームBのエネルギーを70[MeV]に減衰させる部分にのみ、透過率が高い材質(ベリリウム)が採用されている。
【0037】
このような第3実施例のエネルギーデグレーダ10Cにおいても、上記実施形態のエネルギーデグレーダ10と同様に、低エネルギー領域において、陽子ビームBの散乱を抑え、減衰部材13B,14Bを透過する陽子の数の減少を抑制することができる。
【0038】
(第4実施例)
次に図5を参照して、第4実施例に係るエネルギーデグレーダ10Dについて説明する。図5は、エネルギーデグレーダの正面図であり、陽子ビームBの進行方向から示すものである。図5に示すエネルギーデグレーダ10Dは、厚さが異なる複数の減衰部材15A,15Bを備え、複数の減衰部材15A,15は、渦巻き状に配置されている。例えば、中央側が薄く、外側が厚くなるように、複数の減衰部材15A,15Bが配置されている。なお、中央側が厚く、外側が薄くなるように複数の減衰部材15A,15Bを配置してもよい。
【0039】
エネルギーデグレーダ10Dの中央には、陽子ビームBの進行方向と平行に延在する回転軸16が配置されている。この回転軸16は、軸周りに回転可能であると共に、陽子ビームの進行方向と交差する方向に移動可能な構成とされている。この回転軸16が回転する共に、所定の方向に移動することで、所望の減衰部材15A,15Bが陽子ビームの経路上に配置される。
【0040】
ここで、第4実施例のエネルギーデグレーダ10Dにおいても、減衰させるエネルギー量が大きい方の低エネルギー側減衰部材15Bは、減衰させるエネルギー量が小さい方の高エネルギー側減衰部材15Aよりも、陽子ビームの透過率が高い材質から形成されている。このような第4実施例のエネルギーデグレーダ10Dにおいても、上記実施形態のエネルギーデグレーダ10と同様に、低エネルギー領域において、陽子ビームBの散乱を抑え、減衰部材13B,14Bを透過する陽子の数の減少を抑制することができる。
【0041】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0042】
また、エネルギーデグレーダ10の配置は、サイクロトロン2の直後に限定されず、回転ガントリ3に設置された照射ノズル中にエネルギーデグレーダ10が設けられている構成でもよい。
【0043】
また、加速器は、サイクロトロン2に限定されず、例えば、シンクロサイクロトロンなど、他の加速器でもよい。また、荷電粒子線は陽子ビームに限定されず、炭素ビーム(重粒子ビーム)などでも良い。
【0044】
また、低エネルギー側減衰部材の材質は、ベリリウムに限定されず、その他の減衰材料を採用してもよい。
【0045】
また、粒子治療システム1は、回転ガントリを用いず、固定照射としてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…粒子線治療システム(荷電粒子照射システム)、2…サイクロトロン(粒子加速器)、3…回転ガントリ、4…輸送ライン、10,10B,10C,10D…エネルギーデグレーダ、11A〜11F,12A〜12F,13A,14A,15A…高エネルギー側減衰部材(減衰部材)、11G,12G,13B,14B,15B…低エネルギー側減衰部材(減衰部材)、B…陽子ビーム(荷電粒子線)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した荷電粒子線のエネルギーを減衰させる複数の減衰部材を備えたエネルギーデグレーダであって、
減衰させるエネルギー量が異なる複数の前記減衰部材を有し、
減衰させるエネルギー量が大きい方の前記減衰部材である低エネルギー側減衰部材は、減衰させるエネルギー量が小さい方の前記減衰部材である高エネルギー側減衰部材よりも前記荷電粒子線の透過率が高い材質からなることを特徴とするエネルギーデグレーダ。
【請求項2】
前記複数の減衰部材のうち、減衰させるエネルギー量が最も大きい前記低エネルギー側減衰部材のみが、前記透過率が高い材質からなることを特徴とする請求項1に記載のエネルギーデグレーダ。
【請求項3】
前記低エネルギー側減衰部材は、ベリリウムから形成され、前記高エネルギー側減衰部材は、グラファイトから形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のエネルギーデグレーダ。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載のエネルギーデグレーダを備え、前記荷電粒子線を照射する荷電粒子線照射システムであって、
前記エネルギーデグレーダに導入される荷電粒子を加速する加速器と、
前記エネルギーデグレーダによってエネルギーが減衰された前記荷電粒子線を照射する照射装置と、
を備える荷電粒子線照射システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate