説明

エネルギーマネジメントシステム

【課題】ユーザの生活行動によってエネルギー消費量がどのように変化したかをユーザに提示することができるエネルギーマネジメントシステムを提供する。
【解決手段】エネルギーマネジメントシステムは、住戸1での使用電力量を管理する管理装置10とサーバ装置20とで構成される。管理装置10は、電力測定部34,35a〜35eから所定の時間間隔で取得した計測結果を蓄積する記憶手段11と、記憶手段11に蓄積された使用電力量をサーバ装置20に送信する通信手段12を備える。サーバ装置20は、管理装置10から送信された使用電力量の計測結果を受信する受信手段21と、受信した使用電力量を蓄積する電力量記憶手段22と、電力量記憶手段22に蓄積された使用電力量に基づいて、居住者の生活行動を推測する推測手段23と、使用電力量と推測手段23で推測された居住者の生活行動とを対応付けて表示する表示端末27を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギーマネジメントシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、各住戸において全体の電力使用量や電気機器毎の電力使用量をそれぞれ計測し、計測結果に基づいて電力使用量に関する情報を各住戸のパソコンなどに表示させるようにしたエネルギーマネジメントシステムが提供されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
上記公報に記載されたエネルギーマネジメントシステムでは、電力使用量の増減を視覚的に把握できるよう、電力使用量の変化をグラフで表示していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−162424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、住戸内の電気設備などによるエネルギー消費量は、当該住戸に居住するユーザの生活行動によって大きく変動するが、上述した従来のエネルギーマネジメントシステムでは、電力使用量の変化をグラフ表示しているだけで、ユーザの生活行動が電力使用量の増減にどのように影響しているか判りにくかった。そのため、ユーザは、エネルギーマネジメントシステムによって表示される電力使用量のグラフと、スケジュール帳や日記などに書かれた当日の生活行動とを見比べて、電力使用量の増減と生活行動との相関を判断していた。したがって、電力使用量の増減が、どのような生活行動によって発生したものかをユーザが理解しにくく、そのため省エネルギーを実現するために生活行動をどのように変更すればよいかが判りにくいものであった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、ユーザの生活行動によってエネルギー消費量がどのように変化したかをユーザに提示することができるエネルギーマネジメントシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のエネルギーマネジメントシステムは、住戸でのエネルギー消費量を取得するエネルギー消費量取得装置と、住戸で消費されたエネルギー消費量を表示する表示装置とで構成される。エネルギー消費量取得装置は、住戸で使用される負荷機器のエネルギー消費量を計測する計測手段から、所定の時間間隔で取得した計測結果を表示装置に送信する送信手段を備えている。表示装置は、受信手段と、推測手段と、表示手段を備える。受信手段は、エネルギー消費量取得装置から送信されたエネルギー消費量の計測結果を受信する。推測手段は、受信手段が受信したエネルギー消費量の計測結果に基づいて、エネルギー消費期間における居住者の生活行動を推測する。表示手段は、エネルギー消費量と推測手段で推測された居住者の生活行動とを対応付けて表示する。
【0008】
このエネルギーマネジメントシステムにおいて、エネルギー消費量取得装置は、電源に接続される主幹回路及び主幹回路から分岐した分岐回路のそれぞれで消費される消費電力量を計測する計測手段から各回路の消費電力量をエネルギー消費量として取得する。そして、推測手段が、各回路に接続されている電気機器の種類に基づいて、居住者の生活行動を推測することも好ましい。
【0009】
また、このエネルギーマネジメントシステムにおいて、表示装置が、住戸の居住者によって入力されたスケジュール情報を取得するスケジュール取得手段を備えることも好ましい。表示手段は、エネルギー消費量及び推測手段で推測された居住者の生活行動と、スケジュール取得手段が取得したスケジュール情報とを対応させて表示する。
【0010】
このエネルギーマネジメントシステムにおいて、スケジュール取得手段は、住戸の居住者を含む複数のユーザが入力したスケジュール情報をユーザ毎に管理するスケジュール管理装置から、住戸の居住者が入力したスケジュール情報を取得することも好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、住戸内の負荷機器によるエネルギー消費量と、居住者の生活行動とが対応付けて表示されるから、両者の相関関係を理解し易く、省エネルギーを実現するために、どのような生活行動をとればよいかが理解しやすいという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態の概略的なシステム構成図である。
【図2】同上の動作を説明するフローチャートである。
【図3】同上の管理装置に表示される表示画面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1はエネルギーマネジメントシステムのシステム構成図であり、このエネルギーマネジメントシステムは、住戸1に設けられた管理装置10と、サーバ装置20とで構成される。サーバ装置20は、このサーバ装置20の運営会社と管理契約を結んだ複数の住戸1における電力の使用状況を管理する。
【0014】
管理装置10が設けられた住戸1には、商用電源ACからの幹線L1が一次側に接続された主幹ブレーカ31と、主幹ブレーカ31の二次側の主幹回路L2に接続された複数台(例えば5台)の分岐ブレーカ32a〜32eを収納した分電盤30が設置されている。
【0015】
各分岐ブレーカ32a〜32eで分岐された分岐回路L3a〜L3eのうち、分岐回路L3a〜L3cは、特定の負荷機器が単独で接続される専用の分岐回路である。例えば分岐回路L3aに設けられたコンセント装置33aにはエアコン41が接続され、分岐回路L3bに設けられたコンセント装置33bにはIH調理器42が接続され、分岐回路L3cに設けられたコンセント装置33cには電気給湯器43が接続されている。また分岐回路L3dは照明器具用の分岐回路であり、分岐回路L3dに設けられたシーリングタイプのコンセント装置33cには照明器具44が接続されている。また分岐回路L3eは、住戸1の各部屋に設けられたコンセント装置33eに給電するための分岐回路であり、コンセント装置33eには任意の種類の電気機器45が着脱自在に接続される。この種の電気機器45としては、例えばテレビやAV機器のように所望の部屋に設置されて使用されるものや、掃除機やドライヤのように使用時のみコンセント装置33eに接続されて使用されるものがある。尚、分岐回路L3a…の数や、各分岐回路L3a…に設けたコンセント装置33a…の数や、使用される電気機器の種類及び台数は上記の形態に限定されるものではなく、使用環境によって適宜変更が可能である。
【0016】
主幹回路L2での使用電力量は、主幹回路L2に設けた電力測定部34によって、所定の時間間隔(例えば10分間隔)で測定され、管理装置10に出力される。また各分岐回路L3a〜L3eでの使用電力量は、分岐回路毎に設けられた電力測定部35a〜35eによって、所定の時間間隔(例えば10分間隔)でそれぞれ測定され、各電力測定部35a〜35eから管理装置10に出力される。
【0017】
次に管理装置10について説明する。管理装置10は、記憶手段11(第1記憶手段)と通信手段12を備えている。
【0018】
記憶手段11は、電力測定部34,35a〜35eから取り込んだ使用電力量の計測結果を回路毎に蓄積している。下記の表1は、記憶手段11に記憶された計測結果の一例であり、主幹回路L2及び各分岐回路L3a〜L3eでの使用電力量が、回路番号や計測時刻や回路種別とともに蓄積されている。尚、各回路には回路番号が付されており、主幹回路L2の回路番号は1、分岐回路L3a,L3b,L3c,L3d,L3eの回路番号はそれぞれ2,3,4,5,6となっている。
【0019】
【表1】

【0020】
通信手段12は、定期的(例えば1時間毎)に、記憶手段11から各回路の使用電力量を読み取り、読み取った各回路の使用電力量を、例えばインターネットのような広域ネットワークを介してサーバ装置20に送信する。
【0021】
サーバ装置20は、管理対象の住戸の管理装置10から、回路毎に測定された使用電力量を受信すると、各回路の使用電力量に基づいて電力の使用目的を推測し、使用電力量とその使用目的(つまり居住者の生活行動)とを対応付けて表示する機能を備えている。またサーバ装置20は、スケジュール管理システム50から、住戸1に居住する居住者のスケジュール情報を収集し、使用電力量と居住者のスケジュール情報とを対応付けて表示する機能も備えている。
【0022】
このサーバ装置20は、受信手段21と、電力量記憶手段22(第2記憶手段)と、推測手段23と、スケジュール入力手段24と、スケジュール記憶手段25(第3記憶手段)と、表示制御手段26と、表示端末27を主要な構成として備えている。
【0023】
受信手段21は、管理装置10から送信された使用電力量の計測結果を受信すると、受信した使用電力量を住戸毎及び回路毎に電力量記憶手段22に記憶させる。尚、サーバ装置20の管理対象である住戸には個別の識別番号(顧客番号)が割り当てられており、管理装置10は、各回路の使用電力量の測定結果を、自己の顧客番号と共に送信する。
【0024】
電力量記憶手段22は、受信手段21が各管理装置10から受信した使用電力量の計測結果を、管理装置10毎及び回路毎に蓄積する。下記の表2は、電力量記憶手段22に記憶された計測結果の一例である。ある住戸1には「01234」という顧客番号が割り当てられており、電力量記憶手段22では、この住戸1の管理装置10から送信された使用電力量の計測結果と顧客番号「01234」とを対応付けて蓄積している。また電力量記憶手段22は、各管理装置10から入力されたデータを蓄積する際、主幹回路L2及び各分岐回路L3a〜L3eでの使用電力量を、回路番号や計測時刻や回路種別と対応付けて蓄積している。
【0025】
【表2】

【0026】
推測手段23は、電力量記憶手段22に記憶された回路毎の使用電力量をもとに、当該住戸に居住する居住者の生活行動を推測し、推測結果を表示制御手段26に出力する。例えば分岐回路L3dは住戸1内の複数の照明器具44に給電するための分岐回路であり、推測手段23では、分岐回路L3dの全使用電力量と所定のしきい値との高低を比較することによって、居住者が在宅中(活動中)か外出中か就寝中かを推定する。
【0027】
ここで、推測手段23が、照明器具44の全使用電力量から、居住者が在宅(活動中)しているか、外出しているか、就寝しているかの別を表す在不在モードを推測する処理について、図2のフローチャートを参照しながら説明する。
【0028】
推測手段23は、任意のタイミング(例えばユーザが表示端末27を用いて使用電力量の表示操作を行うタイミング)で、電力量記憶手段22に蓄積された使用電力量のデータを取り込み、このデータをもとに在不在モードを推測する。先ず、推測手段23は、電力量記憶手段22から、照明器具44が接続された分岐回路L3dについて10分毎の使用電力量の計測結果を取り込み(図2のS1)、直前の10分間における使用電力量との差分を計算する(S2)。推測手段23は、S2で求めた差分としきい値Aとの高低を比較する(S3)。ここで、住戸1内で外出時にのみ使用される照明器具44の合計使用電力量が予め求められており、この合計使用電力量よりも若干大きい値にしきい値Aは設定されている。
【0029】
S2の判定の結果、差分がしきい値A以下であれば(S2のNo)、推測手段23は、直前の10分間の在不在モードが「外出」であったか否かの判断を行う(S4)。直前の10分間の在不在モードも「外出」であれば(S4のYes)、推測手段23は今回の10分間も在不在モードを「外出」のまま継続した後(S5)、24時間分の判定が終了したか否かを判断する(S7)。ここで、24時間分の判定が終了していなければ(S7のNo)、推測手段23は、S1に戻って次の10分間の判断処理を開始し、24時間分の判定が終了していれば(S7のYes)、推測手段23は判定処理を終了する。またS4の判定で、直前の10分間の在不在モードが「外出」でなければ(S4のNo)、推測手段23は、直前のモードを終了し、今回の10分間から在不在モードを「外出」モードとした後(S6)、S7の処理へ移行する。
【0030】
またS3の判定で上記の差分がしきい値Aより大きいと判断された場合、推測手段23は、上記の差分としきい値Bとの高低を比較する(S8)。ここで、しきい値Bは、就寝時にのみ使用される照明器具44の合計使用電力量(この電力量は外出時にのみ使用される照明器具44の合計使用電力量よりも大きい値である。)よりも若干大きい値に設定されている。
【0031】
S8の判定の結果、差分がしきい値Bよりも大きければ(S8のYes)、推測手段23は、直前の10分間の在不在モードが「在宅」であったか否かの判断を行う(S9)。直前の10分間の在不在モードが「在宅」であれば(S9のYes)、推測手段23は今回の10分間も在不在モードを「在宅」のまま継続した後(S10)、S7の処理へ移行する。また直前の10分間の在不在モードが「在宅」でなければ(S9のNo)、推測手段23は、直前のモードを終了し、今回の10分間から在不在モードを「在宅」モードとした後(S11)、S7の処理へ移行する。
【0032】
また、S8の判定の結果、差分がしきい値B以下であれば(S8のNo)、推測手段23は、直前の10分間の在不在モードが「就寝」であったか否かの判断を行う(S12)。直前の10分間の在不在モードが「就寝」であれば(S12のYes)、推測手段23は今回の10分間も在不在モードを「就寝」のまま継続した後(S13)、S7の処理へ移行する。また直前の10分間の在不在モードが「就寝」でなければ(S12のNo)、推測手段23は、直前のモードを終了し、今回の10分間から在不在モードを「就寝」モードとした後(S14)、S7の処理へ移行する。
【0033】
このように、照明器具44の使用電力量からは、在宅中(活動中)か外出中か就寝中といった大まかな生活行動しか推測できないが、特定の電気機器が単独で接続された分岐回路L3a〜L3cの使用電力量からは、より詳細な生活行動を推測できる。
【0034】
例えば分岐回路L3aにはエアコン41が単独で接続されているので、推測手段23は、分岐回路L3aの使用電力量と所定の閾値(待機電力相当)との高低を比較し、分岐回路L3aの使用電力量が閾値以上になると、居住者が空調操作を行ったと推測できる。
【0035】
また分岐回路L3bにはIH調理器42が単独で接続されているので、推測手段23は、分岐回路L3bの使用電力量と所定の閾値(待機電力相当)との高低を比較し、分岐回路L3aの使用電力量が閾値以上になると、居住者が調理を行ったと推測できる。
【0036】
また分岐回路L3cにはヒートポンプ式の電気給湯器43が単独で接続されているので、推測手段23は、分岐回路L3bの使用電力量に基づいて、入浴動作を推測することができる。ヒートポンプ式の電気給湯器43は、電気料金の安い深夜に湯を沸かして貯湯タンクに貯めておき、昼間の時間帯は貯湯タンクに貯めておいた湯を使用する。また入浴などで湯を多量に使用する場合は、貯湯タンクの湯が足りなくなるので、電気給湯器43は追い炊きを行っている。したがって、推測手段23は、深夜時間帯以外で分岐回路L3bの使用電力量が所定のしきい値以上になると、居住者の入浴によって電力が使用されたと判断する。また推測手段23は、深夜時間帯で分岐回路L3bの使用電力量が所定のしきい値以上になると、電気給湯器43が自動的に湯沸かし動作を行っていると推定する。
【0037】
また、スケジュール入力手段24は、例えばユーザが表示端末27を用いて使用電力量の表示操作を行うと、スケジュール管理システム50に対して、住戸1に居住する居住者のスケジュール情報を要求する。そして、スケジュール入力手段24は、送信要求に対してスケジュール管理システム50からスケジュール情報が返送されると、入力されたスケジュール情報をスケジュール記憶手段25に出力する。
【0038】
尚、スケジュール管理システム50は入力用端末51とスケジュール管理装置52とで構成される。入力用端末51は、管理対象である複数ユーザのスケジュール情報を入力するために用いられる。ここで、スケジュール情報は、個々のユーザを識別するための顧客番号、個々のスケジュールを識別するためのスケジュールID、スケジュールの開始時刻及び終了時刻、スケジュールの詳細な内容などからなる。スケジュール管理装置52は、入力用端末51から入力された複数ユーザのスケジュール情報を、ユーザ毎に記憶しており、スケジュール入力手段24からの送信要求に対して、要求されたユーザのスケジュール情報を抽出し、スケジュール入力手段24へ返送する。
【0039】
スケジュール記憶手段25は、スケジュール入力手段24からスケジュール情報が入力されると、入力されたスケジュール情報を住戸毎に蓄積する。下記の表3はスケジュール記憶手段25に蓄積されているスケジュール情報を示し、住戸1に割り当てられた顧客番号に対応付けて、スケジュール情報が記憶されている。ここで、スケジュール情報は、個々のスケジュールを識別するためのスケジュールIDと、スケジュールの開始時刻および終了時刻と、スケジュールの詳細を示す情報とで構成されている。
【0040】
【表3】

【0041】
表示制御手段26は、電力量記憶手段22に蓄積された使用電力量の計測結果と、推測手段23によって推測された居住者の生活行動と、スケジュール記憶手段25に蓄積されたスケジュール情報をもとに表示画面データを作成し、表示端末27に出力する。
【0042】
表示端末27(表示手段)は、表示制御手段26から表示画面データが入力されると、表示制御手段26で作成された画面を表示する。
【0043】
図3は表示端末27に表示される画面の一例であり、1日分(図示例では例えば9月22日)の使用電力量、生活行動、スケジュールが表示されている。
【0044】
画面上側の表示欄B1には当日の日付とスケジュール情報が表示されている。尚、表示欄B1にスケジュール情報を全て表示できない場合、表示端末27に設けられたスクロール釦を操作することで、表示欄B1の表示内容をスクロールさせればよい。
【0045】
表示欄B1の下側は左右方向において4つの表示欄B2〜B5に分かれ、各表示欄B2〜B5の上端を0時、下端を24時として、1時間毎のグリッド線が表示されている。右端の表示欄B5には、1時間毎の使用電力量(積算消費電力)が、縦軸を時間軸、横軸を使用電力量とした横棒グラフで表示されている。左端の表示欄B2には、スケジュール記憶手段25に蓄積されたスケジュール情報が、対応する時間帯(開始時刻から終了時刻まで)にバー表示されている。左から2番目の表示欄B3には、推測手段23によって推測された居住者の生活行動が、対応する時間帯にバー表示されている。また全使用電力量のうち、待機電力や、宅内のエアコン41による消費電力や、ヒートポンプ式の電気給湯器43による深夜の湯沸かし動作によって消費される電力は、宅内で消費される基礎的な電力であり、このような電力を基礎エネルギーという。左から3番目の表示欄B4には、基礎エネルギー分の電力消費が判るように、照明器具44の使用電力量から推測された在不在モードと、エアコン41及びヒートポンプ式の電気給湯器43の稼働時間とが対応する時間帯にバー表示されている。このような表示欄B4の表示をもとに、外出時や就寝時に発生する使用電力量は基礎エネルギー分と判断され、在宅時にもエアコン41の稼働時は基礎エネルギー分が増加していると判断できる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態のエネルギーマネジメントシステムは、住戸1でのエネルギー消費量を取得する管理装置10(エネルギー消費量取得装置)と、住戸1で消費されたエネルギー消費量を表示するサーバ装置20(表示装置)とで構成される。管理装置10は通信手段12(送信手段)を備える。通信手段12は、住戸1で使用される負荷機器の使用電力量(エネルギー消費量)を回路毎に計測する計測手段(電力測定部34,35a〜35e)から、所定の時間間隔で取得した計測結果をサーバ装置20に送信する。サーバ装置20は、受信手段21と、推測手段23と、表示制御手段26と、表示端末27とを備えている。受信手段21は、住戸1の管理装置10から送信された各回路の使用電力量を受信する。推測手段23は、受信手段21が受信した使用電力量(エネルギー消費量)の計測結果に基づいて、電力消費期間(エネルギー消費期間)における居住者の生活行動を推測する。表示端末27は、使用電力量(エネルギー消費量)と、推測手段23で推測された居住者の生活行動とを対応付けて表示する。
【0047】
これにより、表示端末27には、住戸1の使用電力量(エネルギー消費量)と推測手段23で推測された居住者の生活行動とが対応付けて表示されるので、居住者の生活行動が使用電力量に与える影響を居住者が容易に理解することができる。その結果、住戸1の居住者が、省エネルギーを実現するために、生活行動をどのように改善すればよいか、対応策を立てやすく、一般の住戸など家庭部門での省エネルギーを実現することができる。
【0048】
また、エネルギー消費量取得装置は、電源に接続される主幹回路及び主幹回路から分岐した分岐回路のそれぞれで消費される消費電力量を計測する計測手段(電力測定部34,35a〜35e)から各回路の消費電力量をエネルギー消費量として取得する。サーバ装置20の推測手段23では、各回路に接続されている電気機器の種類に基づいて、居住者の生活行動を推測している。
【0049】
ここで、分岐回路の中には、特定の種類の電気機器が単独で接続されている回路もあり、このような分岐回路の消費電力量(使用電力量)を測定することで、居住者の生活行動をより詳細に推測することができる。そして、特定種の電気機器の使用電力量から推測した居住者の生活行動を、使用電力量とともに表示することによって、居住者の生活行動が使用電力量に与える影響をより詳細に評価することができる。
【0050】
また、サーバ装置20は、住戸1の居住者によって入力されたスケジュール情報を取得するスケジュール入力手段24(スケジュール取得手段)を備えている。そして、サーバ装置20の表示端末27に、エネルギー消費量及び推測手段23で推測された居住者の生活行動と、スケジュール入力手段24が取得したスケジュール情報とを対応させて表示することも好ましい。
【0051】
これにより、スケジュール情報から推定される居住者の生活行動が、使用電力量にどのような影響を与えているかを、居住者が容易に理解することができる。尚、本実施形態では居住者の生活行動とスケジュール情報とを左右に並べて表示させており、生活行動とスケジュール情報との対応が理解しやすくなっている。
【0052】
また本実施形態では、スケジュール取得手段が、住戸の居住者を含む複数のユーザが入力したスケジュール情報をユーザ毎に管理するスケジュール管理装置52から、住戸の居住者が入力したスケジュール情報を取得するスケジュール入力手段24で構成されている。
【0053】
これにより、住戸の居住者が普段利用しているスケジュール管理装置からスケジュール情報が入力されるから、居住者が別途にスケジュール情報を入力する手間を省くことができ、居住者の負担を減らすことができる。
【0054】
尚、本実施形態では、管理装置10に、エネルギー消費量の計測結果を記憶する記憶手段11を備えているが、管理装置10は、エネルギー消費量の計測結果をサーバ装置20に逐次送信し、サーバ装置20側で各住戸のエネルギー消費量を記憶してもよい。また本実施形態では、サーバ装置20が、各住戸の管理装置10から送信されたエネルギー消費量の計測結果を蓄積する電力量記憶手段22を備えているが、必ずしも電力量記憶手段22を備える必要はなく、エネルギー消費量の計測結果が必要なときに、住戸側の管理装置10からエネルギー消費量の計測結果を受信すればよい。また本実施形態では、サーバ装置20が、スケジュール情報を記憶するスケジュール記憶手段25を備えているが、必ずしもスケジュール記憶手段25を備える必要はなく、スケジュール情報が必要なときに、スケジュール管理システム50から取得すればよい。
【符号の説明】
【0055】
1 住戸
10 管理装置(エネルギー消費量取得装置)
11 記憶手段
12 通信手段(送信手段)
20 サーバ装置(表示装置)
21 受信手段
22 電力量記憶手段
23 推測手段
26 表示制御手段(表示手段)
27 表示端末(表示手段)
34,35a〜35e 電力測定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住戸でのエネルギー消費量を取得するエネルギー消費量取得装置と、前記住戸で消費されたエネルギー消費量を表示する表示装置とで構成され、
前記エネルギー消費量取得装置は、前記住戸で使用される負荷機器のエネルギー消費量を計測する計測手段から、所定の時間間隔で取得した計測結果を前記表示装置に送信する送信手段を備え、
前記表示装置は、前記エネルギー消費量取得装置から送信されたエネルギー消費量の計測結果を受信する受信手段と、前記受信手段が受信したエネルギー消費量の計測結果に基づいて、エネルギー消費期間における居住者の生活行動を推測する推測手段と、エネルギー消費量と前記推測手段で推測された居住者の生活行動とを対応付けて表示する表示手段とを備えたことを特徴とするエネルギーマネジメントシステム。
【請求項2】
前記エネルギー消費量取得装置は、電源に接続される主幹回路及び前記主幹回路から分岐した分岐回路のそれぞれで消費される消費電力量を計測する前記計測手段から各回路の消費電力量を前記エネルギー消費量として取得し、
前記推測手段は、前記各回路に接続されている電気機器の種類に基づいて、居住者の生活行動を推測することを特徴とする請求項1記載のエネルギーマネジメントシステム。
【請求項3】
前記表示装置は、前記住戸の居住者によって入力されたスケジュール情報を取得するスケジュール取得手段を備え、
前記表示手段は、エネルギー消費量及び前記推測手段で推測された居住者の生活行動と、前記スケジュール取得手段が取得したスケジュール情報とを対応させて表示することを特徴とする請求項1又は2の何れか1項に記載のエネルギーマネジメントシステム。
【請求項4】
前記スケジュール取得手段は、前記住戸の居住者を含む複数のユーザが入力したスケジュール情報をユーザ毎に管理するスケジュール管理装置から、前記住戸の居住者が入力したスケジュール情報を取得することを特徴とする請求項3記載のエネルギーマネジメントシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−174030(P2012−174030A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35909(P2011−35909)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】