説明

エネルギーモニタリングシステム

【課題】省エネ担当者の負担を軽減し、電力などの使用エネルギーの監視を確実に行うことのできるエネルギーモニタリングシステムを提供する。
【解決手段】このエネルギーモニタリングシステムは、計器と、エネルギー計測装置と、送信無線機と、スマートフォン等の携帯端末とを備え、データセンターの管理用サーバーと通信することによってエネルギーを監視する。このシステムの携帯端末は、エネルギー計測装置と、無線機を介して、無線で接続される無線手段と、エネルギー計測装置からの計測データを読み込むデータ収集手段と、少なくとも、現在の計測データを数値とグラフで表示する計測データ表示手段と、最大需要電力を予測し、予測された最大需要電力が所定値を超えると判断した場合に警報を発する監視警報手段とを備えたことによって課題解決ができた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗や工場などにおいて、電気、ガス、水道などのエネルギー媒体の使用量を計測、監視、管理して省エネルギー化を促進するためのエネルギーモニタリングシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
省エネルギーの関心が高まっており、電気、ガス、水道などの使用量をモニタリングする技術が開示されている。例えば、負荷に供給する電気、ガス、油、水等のエネルギー媒体の使用量を計測する複数の手段と、前記計測手段により計測した計測データが過去の使用量にもとづいて予め設定された省エネルギー目標値を超過したとき、前記負荷に対するエネルギー媒体の供給遮断や調整、又は警報の出力を行うユーザ側エネルギーコントローラと、炭酸ガス排出量の予測と実績記録・管理を行うモニタリングセンタとを備えたエネルギー管理システムが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1では、画面に表示される期間は、当日実績、前日実績、当月実績、年実績などの一つの単位期間について表示させ、電力や温度等については30分ごとの実績の経時変化を表示させている。
【0004】
また、電力使用量として少なくとも瞬時電力を検出し、検出した使用量を、無線送信し、受信手段が前記無線送信された信号を受信すると、前記使用量を、前記瞬時電力又はそれを積算した電力量により、予め記憶させた目標値と比較して表示させることからなり、電力使用状態監視時間帯を予め定め、前記監視時間帯内の前記比較結果を、少なくともグラフにより表示するようにした電力使用状態監視方法の技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
特許文献2では、瞬時電力と電力量とを無線送信回路の送信アンテナからパーソナルコンピュータ(以下パソコンと記載)の演算部に送信され、電力量と目標値との比較などの処理がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−170310号公報
【特許文献2】特開2000−193695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
店舗や工場などでは、日常的に、電気、ガスあるいは水道などのエネルギーが大量に使用されており、それに要するコストが大きい。大口電力使用者は、過去11ヶ月以降の最大需要電力(デマンド)の中で最も大きな値が基本電力の計算に使用され、高圧で受電される大口電力使用者の場合には最大需要電力が契約電力を超えると通常より割増しの違約金を支払うことになっている。
【0008】
しかし、特許文献1及び特許文献2とも、電力の使用量の結果のデータしか得ることができないので、目標値を超えた結果を知ったときには契約した最大需要電力量を超えている場合があり、リアルタイムでなく後追い的になって効果的な省エネ対策が実施できていないという問題があった。
【0009】
また、電力量などの使用量の把握のモニタリングは、特許文献1ではモニタリングセンタの画面に表示され、特許文献2ではパソコンの画面に表示される。しかし、省エネ対策のために使用電力量を把握しようとエネルギーモニタリングシステムを導入しても、専属の監視員を設けることがコスト上できないので、例えば大型店舗などのような企業で管理者や省エネ担当者が売り場に出て業務に従事している多忙な最中にいちいち部屋に戻ってモニタリングセンタやパソコンの画面を見ることはなかなか実行できないという問題があった。
【0010】
また、使用電力が目標値を超えたときに警報メールがパソコンや携帯電話に送られてくるシステムがある。しかし、前記システムであっても、例えば、管理者や省エネ担当者が机上のパソコンから離れた場所において、警報メールを携帯電話で受け取ると、不要と思われるエアコンなどのスイッチを切った後、机上のパソコンまで戻り、その後の使用電力の推移状況を確認する必要がある。そして、必要に応じて、さらに別の電気機器のスイッチを切るなどの処置を講じた後、再び、机上のパソコンまで戻り、使用電力の推移状況を確認することになる。
【0011】
これらの行動をすることは、管理者や省エネ担当者に肉体的および精神的に大きな負担を強いることになる。さらに、エアコンのスイッチを切るだけでは不十分であったため、机上のパソコンに戻る間に、使用電力が契約電力である最大需要電力を超えてしまい、超過違約金の支払いを余儀なくされてしまうこともある。
【0012】
本発明はこうした問題に鑑み創案されたもので、管理者や省エネ担当者の負担を軽減させ時間ロスを削減すると共に、電力やガスなどの現在の使用エネルギーをリアルタイムで監視でき、最大需要電力を超えそうなときに時間的余裕をもって警告を発することができ、エネルギー損失の最小化に寄与できるエネルギーモニタリングシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
課題を解決するために請求項1に記載のエネルギーモニタリングシステム1の発明は、各種エネルギー機器30、30aを設備する店舗や工場などの各需要家の使用エネルギーを集中管理するエネルギーモニタリングシステム1であって、各種エネルギー機器30、30a単位のエネルギー使用量を計測する計器2、2aと、前記計器2、2aごとに対応させて配設され、前記計器2、2aからの使用量を1〜10秒のいずれかの時間で設定された秒単位の時間要素で区切ってエネルギー使用量を計測するエネルギー計測装置3、3aと、前記エネルギー計測装置3、3aでの計測値を他の機器間とで送受信する無線機4、4aと、前記エネルギー計測装置3、3aから受信したデータを処理及び表示等をする情報処理機器5と、前記情報処理機器5から送信されたエネルギー関連データを処理及び記憶する管理サーバーD1とを備え、前記情報処理機器5は、通信手段、ネットワーク手段及び情報端末手段を有し携帯することができるスマートフォン等の携帯端末10であり、前記無線機4、4aを介して前記エネルギー計測装置3、3aと無線で接続し、かつ管理サーバーD1とも無線で接続し送受信する無線手段と、前記エネルギー計測装置からの計測データを読み込むデータ収集手段と、前記収集した計測データを基に、1〜10秒のいずれかの時間で設定された秒単位ごと使用量をリアルタイムで更新する処理をしてリアルタイムの使用量を表示し、時間別に日単位でデータ処理をして日単位の使用量を表示し、日別に月単位でデータ処理をして月単位の使用量を表示し、又は月別に年間単位でデータ処理をして年間単位の使用量を表示するとともに、前記表示を使用量又は金額に単位切替して表示することができ、かつ前記表示を数値及び/又はグラフにデータ処理して表示できる計測データ処理及び表示手段と、設定された一定時間間隔ごとの最大需要電力を予測するために、前記一定時間内におけるリアルタイムで更新された使用量から、予め設定した平均使用量算出時間における平均使用量を演算し、前記更新された使用量に、前記平均使用量に現時刻から前記一定時間までの残余時間を乗じる演算を行った予測使用量を加算して一定時間内における最大需要電力を予測し、予測された最大需要電力が所定値を超えると判断した場合に警報アラームの表示及び/又は警報アラーム音の発生をする監視及び警報手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載のエネルギーモニタリングシステム1の発明は、請求項1において、スマートフォン等の携帯端末10である前記情報処理機器5が、各種エネルギー機器30、30aの電源スイッチを入り切りする制御手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載のエネルギーモニタリングシステム1の発明は、無線手段、データ収集手段、データ表示手段、監視手段及び警報手段などを備えたスマートフォン等の携帯端末10を使用することによって、従来のエネルギーモニタリングシステムでは必要であった、ASPサービスなどのデータ処理する管理サーバーの契約使用料、管理者や省エネ担当者が使用するパソコン、及び警報を受け取る携帯電話が不要になる。したがって、1台のスマートフォン等の携帯端末10で処理できるので、エネルギーモニタリングシステムの導入コスト及びランニングコストが安価にできるという効果を奏する。
【0016】
本発明のエネルギーモニタリングシステム1では、スマートフォン等の携帯端末10がエネルギー計測装置3からのデータを、管理サーバーを介さずに直接に受信でき、前記受信したデータを前記携帯端末10でデータ処理させて表示させることができる。これにより、大型店舗などのような企業で管理者や省エネ担当者が売り場に出て業務に従事している多忙な最中においても、スマートフォン等の携帯端末10を使って、その場ですぐに確認することができることから、いちいち部屋に戻らなくてもよく、移動というムダな時間を削減できて作業効率向上が実現でき、エネルギーの使用量を確実に容易に確認でき対応するので省エネ活動が確実に実行されるという効果を奏する。
【0017】
管理者や省エネ担当者が警報メールをスマートフォン等の携帯端末10で受け取ると、不要と思われる例えばエアコンなどのスイッチを切った後、その場で移動しないで、その後の使用電力の推移状況を確認できることから、従来では各種エネルギー機器30、30aとパソコン間を行ったり来たりしたムダな移動を削減でき作業効率が極めて高まるという効果を奏する。
【0018】
さらに、スマートフォン等の携帯端末10はパソコンと比較して操作が簡単なので、使用エネルギー量の監視を、より容易に行うことができる。
【0019】
使用電力を実績と目標とを比較するのでなく、実績を基にこれから予測される使用電力を演算して求めて目標値と比較するので、最大需要電力量(デマンド)を越えてしまうというリスクがないという効果がある。具体的には、最大需要電力量は30分間の使用量から求められるが、30分間の時間帯ごとに、リアルタイムで現在の使用状況を反映させながら、30分間の時間帯のうちの残りの時間を現在の平均使用量で推移し30分間経過したときの使用量を予測し、その予測した使用量の値が最大需要電力量(デマンド)を越える可能性のある場合に警報を発するようにしているため、契約使用量を超えて割り増し額を支払わなくてよいという効果を奏する。
【0020】
請求項2に記載のエネルギーモニタリングシステム1の発明は、請求項1と同じ効果を奏する。さらに、エネルギー計測装置3、3aで電源のオンオフ制御をさせる機器を配設させた場合であるが、警報を受取ったときに各種エネルギー機器30、30aの中で電源をオンオフさせたい設備の設置されている場所まで移動せず、現在いるその場ですぐに該当する設備の電源のオンオフ制御ができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るエネルギーモニタリングシステムの実施形態を示す概要構成図である。
【図2】月別の年間使用電力量のグラフを表示する画面の概要図である。
【図3】リアルタイムでの使用量のグラフと最大需要電力の予測電力の数字等を表示する画面の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係るエネルギーモニタリングシステム1は店舗や工場などにおける電気やガスなどのエネルギーの使用量の監視、データ処理、警報送信などを実施して省エネ化に寄与させるシステムであり、その実施形態の概要を図1に示す。
【0023】
本発明であるエネルギーモニタリングシステム1は、各種エネルギー機器30、30aを設備する店舗や工場などの各需要家の使用エネルギーを集中管理するエネルギーモニタリングシステム1であって、各種エネルギー機器30、30a単位のエネルギー使用量を計測する計器2、2aと、前記計器2、2aごとに対応させて配設され、前記計器2、2aからの使用量を1〜10秒のいずれかの時間で設定された秒単位の時間要素で区切ってエネルギー使用量を計測するエネルギー計測装置3、3aと、前記エネルギー計測装置3、3aでの計測値を他の機器間とで送受信する無線機4、4aと、前記エネルギー計測装置3、3aから受信したデータを処理及び表示等をする情報処理機器5と、前記情報処理機器5から送信されたエネルギー関連データを処理及び記憶する管理サーバーD1とを備え、前記情報処理機器5は、通信手段、ネットワーク手段及び情報端末手段を有し携帯することができるスマートフォン等の携帯端末10である。
【0024】
そして、スマートフォン等の携帯端末10は、前記無線機4、4aを介して前記エネルギー計測装置3、3aと無線で接続し、かつ管理サーバーD1とも無線で接続し送受信する無線手段と、前記エネルギー計測装置3、3aからの計測データを読み込むデータ収集手段と、前記収集した計測データを基に、1〜10秒のいずれかの時間で設定された秒単位ごと使用量をリアルタイムで更新する処理をしてリアルタイムの使用量を表示し、時間別に日単位でデータ処理をして日単位の使用量を表示し、日別に月単位でデータ処理をして月単位の使用量を表示し、又は月別に年間単位でデータ処理をして年間単位の使用量を表示するとともに、前記表示を使用量又は金額に単位切替して表示することができ、かつ前記表示を数値及び/又はグラフにデータ処理して表示できる計測データ処理及び表示手段と、設定された一定時間間隔ごとの最大需要電力を予測するために、前記一定時間内におけるリアルタイムで更新された使用量から、予め設定した平均使用量算出時間における平均使用量を演算し、前記更新された使用量に、前記平均使用量に現時刻から前記一定時間までの残余時間を乗じる演算を行った予測使用量を加算して一定時間内における最大需要電力を予測し、予測された最大需要電力が所定値を超えると判断した場合に警報アラームの表示及び/又は警報アラーム音の発生をする監視及び警報手段とを備えている。
【0025】
また、スマートフォン等の携帯端末10は、各種エネルギー機器30、30aの電源スイッチを入り切りする制御手段を備えることもできる。
【0026】
各種エネルギー機器30、30aとは、電気、ガス又は水道などをエネルギー源として作動する設備や機器を意味する。
【0027】
計器2、2a類は、店舗や工場に設置されている個々の設備や機器などの各種エネルギー機器30、30a単位で使用するエネルギーである電力、ガス及び水の使用量について、現在の使用量と累計の使用量とを計測する計器である。また、必要に応じて温度や湿度を測定する計器も含める。
【0028】
エネルギー計測装置3、3aは、個々の設備や機器に配設された計器類からエネルギー使用量のデータの瞬時値を連続的に自動的に取り込み、1〜10秒のいずれかの時間で設定された秒ごとに使用量を合計して記憶する。例えば、5秒と設定した場合には、5秒間の使用電力量を1区切りとして取り込み、その取り込んだデータを記憶することを連続的に行う。
【0029】
また、エネルギー計測装置3、3aには、個々の設備や機器の電源回路を接続させることができ、エネルギー計測装置3、3aで電源のオンオフ制御をさせる機器を配設することもできる。この制御機器を配設させた場合には、スマートフォン等の携帯端末10の操作によって個々の設備や機器の電源をオンオフさせることができる。
【0030】
エネルギー計測装置3、3aに接続させる無線機4、4aは、エネルギー計測装置3、3aで処理した計測値をスマートフォン等の携帯端末10に無線送信し、又はスマートフォン等の携帯端末10からの制御信号などをエネルギー計測装置3、3aに送る。
【0031】
スマートフォン等の携帯端末10は、送受信無線機を介して前記エネルギー計測装置3、3aと無線で接続するので、従来のエネルギーモニタリングシステムで行われていた、管理サーバーを介してエネルギー計測装置3、3aからのエネルギー関連データを取得することが不要となり、本発明であるエネルギーモニタリングシステム1では前記エネルギー計測装置3、3aと無線で直接に送受信することが可能になった。
【0032】
エネルギー計測装置3、3aから無線で直接にエネルギー関連データを取得でき、かつエネルギー関連データを保存している管理サーバーD1から直接取得ができることによって、従来ではエネルギー関連データを閲覧するために、モニタリングセンタのある部屋又はパソコン設置された部屋まで移動していたが、本発明では移動することなく閲覧したいと思ったその場で、すぐに、直接に、エネルギー計測装置3、3aから、エネルギー関連データを取得できるようになった。
【0033】
また、スマートフォン等の携帯端末10の、エネルギー計測装置3、3aからの計測データを読み込むデータ収集手段は、前記エネルギー計測装置3、3aが1〜10秒のいずれかの時間間隔で集計し記憶しているデータを読み込むことを実施し、例えば5秒と設定した場合には、エネルギー計測装置3、3aによって5秒間の使用量として集計したデータを収集することを行う。
【0034】
次に、スマートフォン等の携帯端末10の表示手段は、収集した計測データから現在の使用状況をリアルタイムで表示することができる。リアルタイムで表示するとは、1〜10秒のいずれかの時間で設定された秒ごとの使用量を、前記設定された時間経過ごとに、表示されている使用量に追加させて使用量を更新して最新の使用量を表示することを実施させる。例えば5秒に設定されていれば直近の5秒間の使用量を、現在表示されている使用量に追加させて使用量を更新させ、5秒経過ごとに最新の使用量を数値又はグラフでスマートフォン等の携帯端末10の画面上に表示する。
【0035】
図3でリアルタイム表示を説明する。設定された時間を5秒、現時点をB分、B分から5秒前をC分とし、実績を表す使用電力Gのグラフ上でC分における使用電力をPkwhとし、C分からB分までの間の5秒間での使用量をQkwhとする。端末携帯10は、5秒間ごとに次の5秒間の使用量Qkwhをエネルギー計測装置3から収集するので、B分の直前までに表示されており、C分時での使用量であるPkwhに、B分になった瞬間に、収集した5秒間の使用量Qkwhを加算して、使用電力Gのグラフは使用量Rkwhまでの表示に更新される。このような繰り返しを5秒ごとに行うことによって、5秒ごとに使用電力Gのグラフがリアルタイムで更新される。
【0036】
また、収集した計測データから、時間別に日単位でデータ処理をして日単位の使用量を表示し、日別に月単位でデータ処理をして月単位の使用量を表示し、又は図2に示すように月別に年間単位でデータ処理をして年間単位の使用量を表示するとともに、前記表示を使用量又は金額に単位切替して表示することができ、かつ前記表示を数値及び/又はグラフにデータ処理して表示できる。また、これらのうちのどの表示を選択させるかについては、モニタリングセンタやパソコンの前にいなくてもどこにいても携帯端末10を使用して手元でできる。
【0037】
次に、スマートフォン等の携帯端末10の監視手段は、現在の使用状況が継続された場合に予測される最大需要電力が所定値を超えるかを監視する手段であって、リアルタイムの表示ができる技術により、初めて可能となった。
【0038】
前記監視手段におけるリアルタイムの使用量から最大需要電力を予測する方法は、設定された一定時間間隔ごとの最大需要電力を予測するために、前記一定時間内におけるリアルタイムで更新された使用量から、予め設定した平均使用量算出時間における平均使用量を演算し、前記更新された使用量に、前記平均使用量に現時刻から前記一定時間までの残余時間を乗じる演算を行った予測使用量を加算して一定時間内における最大需要電力を予測する方法である。
【0039】
例えば、図3には、最大需要電力の一定時間間隔を30分間とし、最大需要電力の契約電力G1、契約電力G1より少ない電力量に設定した目標電力G2、及び使用電力Gのグラフが記載されている。ここで、現時点をB分、B分より30秒前をD分とし、リアルタイムでの更新時間間隔を5秒とし、平均使用量算出時間を30秒に設定した場合を図3で説明する。
【0040】
1〜10秒のいずれかで設定した時間を5秒とし、平均使用量を算出する時間を30秒と設定した場合、携帯端末10がエネルギー計測装置3、3aから5秒ごとに収集するリアルタイムの使用電力を加算した使用電力であるRkwhと、B分より30秒前であるD分における使用電力Skwhとの差である、直前の30秒間の使用量を30秒で除した使用量を、現時点のB分から30分経過するまでの残りの時間である(30―B)分の秒数を乗じた増加量を、現時点の使用量Rkwhに加算して30分間の最大需要電力を予測して、その予測使用量が図3に示すように画面上に「予測使用量○○kwh」と表示される。そして、予測使用量と目標量と比較し30分経過時点で予測使用量が目標量を上回るのか、又は下回るのかを監視する。この繰り返しを5秒ごとに実施するので、常に5秒ごとにリアルタイムで30分経過するまでに事前に予測される最大需要電力を把握できる。
【0041】
そして、警報手段は、予測された最大需要電力が目標値を超えそうであると判断した場合に、警報アラーム表示及び/又は警報アラーム音を発するようにしている。省エネ担当者は携帯しているスマートフォン等の携帯端末による、警報アラーム表示及び/又は警報アラーム音により遅延なく即座に知ることができる。
【0042】
また、警報を発した履歴を保存し、一覧表として表示することもできる。
【0043】
スマートフォン等の携帯端末10の制御手段は、エネルギー計測装置3、3aに電源のオンオフ制御をさせる機器を配設されている場合のみ、前記スマートフォン等の携帯端末10からの遠隔操作によって、省エネ担当者がオンオフさせたい設備まで移動しなくとも、その場でスマートフォン等の携帯端末10でオンオフ制御をすることができる。
【0044】
管理サーバーD1は、データセンターD内に設置されており、情報処理機器5から送信されたエネルギー関連データを処理及び記憶する。本発明であるエネルギーモニタリングシステム1の場合は、情報処理機器5が携帯端末10であり、前記携帯端末10には、無線手段、データ収集手段、データ表示手段、監視手段及び警報手段などを具備させることができるので、管理サーバーD1は前記携帯端末10が処理し送信されたエネルギー関連データを例えば店舗別又は工場別に記憶できればよい。
【0045】
なお、本発明のエネルギーモニタリングシステム1は、電力だけでなく、ガスの使用量も、ガス計器とガス用のエネルギー計測装置と無線機を使用して監視でき、水道の使用量も、水道計器と水道用のエネルギー計測装置と無線機を使用して監視することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 エネルギーモニタリングシステム
2 計器
2a 計器
3 エネルギー計測装置
3a エネルギー計測装置
4 無線機
4a 無線機
5 情報処理機器
6 通信回線
10 携帯端末
30 エネルギー機器
30a エネルギー機器
D データセンター
D1 管理サーバー
G 使用電力
G1 契約電力
G2 目標電力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種エネルギー機器を設備する店舗や工場などの各需要家の使用エネルギーを集中管理するエネルギーモニタリングシステムであって、
各種エネルギー機器単位のエネルギー使用量を計測する計器と、前記計器ごとに対応させて配設され、前記計器からの使用量を1〜10秒のいずれかの時間で設定された秒単位の時間要素で区切ってエネルギー使用量を計測するエネルギー計測装置と、前記エネルギー計測装置での計測値を他の機器間とで送受信する無線機と、前記エネルギー計測装置から受信したデータを処理及び表示等をする情報処理機器と、前記情報処理機器から送信されたエネルギー関連データを処理及び記憶する管理サーバーと、を備え、
前記情報処理機器は、通信手段、ネットワーク手段及び情報端末手段を有し携帯することができるスマートフォン等の携帯端末であり、前記無線機を介して前記エネルギー計測装置と無線で接続し、かつ管理サーバーとも無線で接続し送受信する無線手段と、前記エネルギー計測装置からの計測データを読み込むデータ収集手段と、前記収集した計測データを基に、1〜10秒のいずれかの時間で設定された秒単位ごと使用量をリアルタイムで更新する処理をしてリアルタイムの使用量を表示し、時間別に日単位でデータ処理をして日単位の使用量を表示し、日別に月単位でデータ処理をして月単位の使用量を表示し、又は月別に年間単位でデータ処理をして年間単位の使用量を表示するとともに、前記表示を使用量又は金額に単位切替して表示することができ、かつ前記表示を数値及び/又はグラフにデータ処理して表示できる計測データ処理及び表示手段と、設定された一定時間間隔ごとの最大需要電力を予測するために、前記一定時間内におけるリアルタイムで更新された使用量から、予め設定した平均使用量算出時間における平均使用量を演算し、前記更新された使用量に、前記平均使用量に現時刻から前記一定時間までの残余時間を乗じる演算を行った予測使用量を加算して一定時間内における最大需要電力を予測し、予測された最大需要電力が所定値を超えると判断した場合に警報アラームの表示及び/又は警報アラーム音の発生をする監視及び警報手段と、を備えたことを特徴とするエネルギーモニタリングシステム。
【請求項2】
スマートフォン等の携帯端末である前記情報処理機器が、各種エネルギー機器の電源スイッチを入り切りする制御手段を有することを特徴とする請求項1に記載のエネルギーモニタリングシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−220397(P2012−220397A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88014(P2011−88014)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(509280903)株式会社グリーンテクノロジー (1)
【Fターム(参考)】