説明

エネルギー使用目標量決定装置およびエネルギー使用目標量決定方法

【課題】事業者に課せられた総エネルギー使用目標量に基づいて、各事業所でのエネルギー使用目標量を配分して、事業者単位でエネルギー使用量の管理を行う。
【解決手段】各事業所固有の情報を登録する事業所情報登録手段21と、各事業所情報に基づいて、各事業所での今期のエネルギー使用標準量を推定する事業所エネルギー使用標準量推定手段22と、全事業所での今期の総エネルギー使用目標量を設定する事業者エネルギー使用目標量設定手段23と、各事業所での前記のエネルギー使用量を集計する事業所エネルギー使用量収集手段24と、各事業所での今期のエネルギー使用標準量と、全事業所での今期の総エネルギー使用目標量と、各事業所での前記のエネルギー使用量とに基づいて、各事業所での今期のエネルギー使用目標量を決定する事業所エネルギー使用目標量決定手段26とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の事業所を保有する事業者に課せられた総エネルギー使用目標量に基づいて、各事業所でのエネルギー使用目標量を配分するエネルギー使用目標量決定装置およびエネルギー使用目標量決定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の事業所を保有する企業や自治体などの事業者が、各事業所に対する温暖化対策を計画する際に、その指針を提示する温暖化対策計画策定システムがある(例えば特許文献1参照)。
この温暖化対策計画策定システムでは、事業者から提供された各事業所でのエネルギー使用量や延床面積などの情報に基づいて、最新技術の導入によるCO削減率、業種別エネルギー効率、最新技術導入の投資回収年を算出している。そして、これらの指標を総合的に評価して、複数の事業所のうち、どの事業所から温暖化対策を導入するかを示す導入順位を決定して事業者に通知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−65935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される従来の温暖化対策計画策定システムでは、事業所ごとに実際に使用したエネルギー量に基づいて、温暖化対策を導入する事業所の順位を決めている。
一方、省エネ法の改正によって、事業所単位でのエネルギー使用量の管理から事業者単位でのエネルギー使用量の管理へと移行した。すなわち、事業者単位で全事業所の総エネルギー使用目標量が課せられるようになり、この総エネルギー使用目標量を各事業所に配分する必要がある。しかしながら、従来の方法では、事業者に課せられた総エネルギー使用目標量に基づいて、各事業所でのエネルギー使用目標量を配分することはできず、事業者単位でのエネルギー使用量の管理を行うことができないという課題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、事業者に課せられた総エネルギー使用目標量に基づいて、各事業所でのエネルギー使用目標量を配分して、事業者単位でエネルギー使用量の管理を行うことができるエネルギー使用目標量決定装置およびエネルギー使用目標量決定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエネルギー使用目標量決定装置は、各事業所固有の情報を登録する事業所情報登録手段と、事業所情報登録手段により登録された各事業所情報に基づいて、各事業所での今期のエネルギー使用標準量を推定する事業所エネルギー使用標準量推定手段と、全事業所での今期の総エネルギー使用目標量を設定する事業者エネルギー使用目標量設定手段と、各事業所での前期のエネルギー使用量を集計する事業所エネルギー使用量収集手段と、事業所エネルギー使用標準量推定手段により推定された各事業所での今期のエネルギー使用標準量と、事業者エネルギー使用目標量設定手段により設定された全事業所での今期の総エネルギー使用目標量と、事業所エネルギー使用量収集手段により集計された各事業所での前期のエネルギー使用量とに基づいて、各事業所での今期のエネルギー使用目標量を決定する事業所エネルギー使用目標量決定手段とを備えたものである。
【0007】
また、この発明に係る各事業所固有の情報を登録する事業所情報登録ステップと、事業所情報登録ステップにおいて登録した各事業所情報に基づいて、各事業所での今期のエネルギー使用標準量を推定する事業所エネルギー使用標準量推定ステップと、全事業所での今期の総エネルギー使用目標量を設定する事業者エネルギー使用目標量設定ステップと、各事業所での前期のエネルギー使用量を集計する事業所エネルギー使用量収集ステップと、事業所エネルギー使用標準量推定ステップにおいて推定した各事業所での今期のエネルギー使用標準量と、事業者エネルギー使用目標量設定ステップにおいて設定した全事業所での今期の総エネルギー使用目標量と、事業所エネルギー使用量収集ステップにおいて集計した各事業所での前期のエネルギー使用量とに基づいて、各事業所での今期のエネルギー使用目標量を決定する事業所エネルギー使用目標量決定ステップとを有するものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、各事業所固有の情報を登録する事業所情報登録手段と、事業所情報登録手段により登録された各事業所情報に基づいて、各事業所での今期のエネルギー使用標準量を推定する事業所エネルギー使用標準量推定手段と、全事業所での今期の総エネルギー使用目標量を設定する事業者エネルギー使用目標量設定手段と、各事業所での前期のエネルギー使用量を集計する事業所エネルギー使用量収集手段と、事業所エネルギー使用標準量推定手段により推定された各事業所での今期のエネルギー使用標準量と、事業者エネルギー使用目標量設定手段により設定された全事業所での今期の総エネルギー使用目標量と、事業所エネルギー使用量収集手段により集計された各事業所での前期のエネルギー使用量とに基づいて、各事業所での今期のエネルギー使用目標量を決定する事業所エネルギー使用目標量決定手段とを備えたことで、単純に各事業所でのエネルギー使用量のみに基づいてエネルギー削減量を配分するのではなく、現状の省エネ状況を確認しながらエネルギー使用目標量を合理的に配分することができる。これにより、事業者単位でエネルギー使用量の管理を行うことができ、他事業所との比較を行うことで、省エネを推進し実践していくうえでの公平性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1に係るエネルギー使用目標量決定システムの構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る事業所端末の構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るエネルギー使用目標量決定装置の構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態1における事業所情報を用いたエネルギー使用標準量の推定を説明する図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係るエネルギー使用目標量決定装置によるエネルギー使用目標量決定動作を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態1に係るエネルギー使用目標量決定装置によるエネルギー使用目標量の決定を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るエネルギー使用目標量決定システムの構成を示すブロック図である。
エネルギー使用目標量決定システムでは、図1に示すように、企業や自治体などの事業者が保有する複数の事業所(図1ではA事業所,B事業所およびC事業所)の端末1と、各事業所でのエネルギー使用目標量を決定するエネルギー使用目標量決定装置2とがネットワークを介して接続されている。なお以下では、エネルギー使用目標量決定装置2による各事業所でのエネルギー使用目標量は年度ごとに決定されるものとする。
【0011】
次に、事業所端末1の構成について説明する。
図2はこの発明の実施の形態1に係る事業所端末1の構成を示すブロック図である。
事業所端末1は、図2に示すように、エネルギー使用量収集手段11、エネルギー使用量送信手段12、エネルギー使用目標量取得手段13およびエネルギー使用目標量表示手段14から構成されている。
【0012】
エネルギー使用量収集手段11は、当事業所で使用したエネルギー量を収集して集計するものである。このエネルギー使用量収集手段11により集計された当事業所でのエネルギー使用量を示す情報は所定周期(例えば1日)ごとにエネルギー使用量送信手段12に出力される。
【0013】
エネルギー使用量送信手段12は、エネルギー使用量収集手段11により集計された当事業所でのエネルギー使用量を示す情報をエネルギー使用目標量決定装置2の後述する事業所エネルギー使用量収集手段24にネットワークを介して送信するものである。
【0014】
エネルギー使用目標量取得手段13は、エネルギー使用目標量決定装置2の後述する事業所エネルギー使用目標量決定手段26により決定されネットワークを介して送信された当事業所での今年度のエネルギー使用目標量を示す情報を取得するものである。このエネルギー使用目標量取得手段13により取得された当事業所の今年度のエネルギー使用目標量を示す情報はエネルギー使用目標量表示手段14に出力される。
【0015】
エネルギー使用目標量表示手段14は、エネルギー使用目標量取得手段13により取得された当事業所の今年度のエネルギー使用目標量を示す情報を外部に表示するものである。
【0016】
次に、エネルギー使用目標量決定装置2の構成について説明する。
図3はこの発明の実施の形態1に係るエネルギー使用目標量決定装置2の構成を示すブロック図である。
エネルギー使用目標量決定装置2は、図3に示すように、事業所情報記憶手段21、事業所エネルギー使用標準量推定手段22、事業者エネルギー使用目標量設定手段23、事業所エネルギー使用量収集手段24、事業所エネルギー使用量記憶手段25および事業所エネルギー使用目標量決定手段26から構成されている。
【0017】
事業所情報記憶手段21は、事業者により入力された今年度の各事業所固有の詳細情報を登録して記憶するものである。
ここで、事業所情報には、事業所の所在地(北海道、東北、関東甲信越、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、沖縄)、延床面積、建物用途(オフィス、店舗、病院、工場など)、稼働率(例えば図4に示す月ごとの予定入居率の年間平均値)などの情報が含まれている。なお、事業者は、図4に示すように、事業所の所在地および建物用途については予め設定された分類の中から該当するものを選択し、延床面積および月ごとの予定入居率については直接数値を入力する。
この事業所情報記憶手段21に記憶された今年度の各事業所情報は事業所エネルギー使用標準量推定手段22および事業所エネルギー使用目標量決定手段26により抽出される。
【0018】
事業所エネルギー使用標準量推定手段22は、事業所情報記憶手段21に記憶された今年度の各事業所情報に基づいて、各事業所での今年度のエネルギー使用標準量を推定して記憶するものである。
ここで、各事業所でのエネルギー使用量は一般的には建物(フロア)の延床面積に比例して増大し、このエネルギー使用量に最も影響を与える要因は事業所の代表的な使用用途である。したがって、各事業所の建物用途や延床面積などが分かっていれば各事業所でのエネルギー使用標準量を推定することができる。
【0019】
事業所エネルギー使用標準量推定手段22では、図4に示すように、事業所の所在地別のCO排出量に対する所在地係数、および建物用途別の延床面積当たりのCO排出量を統計情報として予め保持している。
そして、事業所エネルギー使用標準量推定手段22は、各事業所情報に含まれる建物用途、所在地、稼働率および延床面積に基づいて、次式から各事業所でのエネルギー使用標準量を推定する。

エネルギー使用標準量[t−CO]=建物用途別延床面積当たりのCO排出量[t−CO/m]×所在地係数×稼働率[%]×延床面積[m

この事業所エネルギー使用標準量推定手段22に記憶された各事業所での今年度のエネルギー使用標準量を示す情報は事業所エネルギー使用目標量決定手段26により抽出される。
【0020】
事業者エネルギー使用目標量設定手段23は、全事業所を統括する事業者単位での今年度の総エネルギー使用目標量を設定して記憶するものである。この事業者エネルギー使用目標量設定手段23に記憶された事業者単位での今年度の総エネルギー使用目標量を示す情報は事業所エネルギー使用目標量決定手段26により抽出される。
【0021】
事業所エネルギー使用量収集手段24は、各事業所端末1のエネルギー使用量送信手段12から、所定周期ごとに、エネルギー使用量を示す情報をネットワークを介して収集して、年単位で集計するものである。この事業所エネルギー使用量収集手段24により集計された各事業所での前年度のエネルギー使用量を示す情報は事業所エネルギー使用量記憶手段25に供給される。
【0022】
事業所エネルギー使用量記憶手段25は、事業所エネルギー使用量収集手段24により集計された各事業所での前年度のエネルギー使用量を示す情報を記憶するものである。この事業所エネルギー使用量記憶手段25に記憶された各事業所での前年度のエネルギー使用量は事業所エネルギー使用目標量決定手段26により抽出される。
【0023】
事業所エネルギー使用目標量決定手段26は、事業所エネルギー使用標準量推定手段22に記憶された各事業所での今年度のエネルギー使用標準量と、事業者エネルギー使用目標量設定手段23に記憶された事業者単位での今年度の総エネルギー使用目標量と、事業所エネルギー使用量記憶手段25に記憶された各事業所での前年度のエネルギー使用量とに基づいて、各事業所での今年度のエネルギー使用目標量を決定するものである。
ここで、事業所エネルギー使用目標量決定手段26は、今年度の総エネルギー使用目標量が各事業所での前年度のエネルギー使用量の総和より少ない場合に、前年度のエネルギー使用量が今年度のエネルギー使用標準量を超過している事業所を優先的に、その事業所での今年度のエネルギー使用目標量を前年度のエネルギー使用量よりも減少させる。
この事業所エネルギー使用目標量決定手段26により決定された各事業所での今年度のエネルギー使用目標量を示す情報は対応する事業所端末1のエネルギー使用目標量取得手段13にネットワークを介して送信される。
【0024】
次に、上記のように構成されるエネルギー使用目標量決定装置2によるエネルギー使用目標量決定動作について説明する。
図5はこの発明の実施の形態1に係るエネルギー使用目標量決定装置2によるエネルギー使用目標量決定動作を示すフローチャートである。また、図6はこの発明の実施の形態1に係るエネルギー使用目標量決定装置2によるエネルギー使用目標量の決定を説明する図である。
【0025】
エネルギー使用目標量決定装置2によるエネルギー使用目標量決定動作では、図5に示すように、まず、事業所情報記憶手段21は、事業者により入力された各事業所の今年度の詳細情報を登録して記憶する(ステップST51、事業所情報登録ステップ)。
【0026】
次いで、事業所エネルギー使用標準量推定手段22は、事業所情報記憶手段21に記憶された今年度の各事業所情報に基づいて、各事業所での今年度のエネルギー使用標準量を推定して記憶する(ステップST52、事業所エネルギー使用標準量推定ステップ)。ここで、図6に示す各事業所での今年度のエネルギー使用標準量は、A事業所は50[t−CO]であり、B事業所は40[t−CO]であり、C事業所は40[t−CO]である。
【0027】
次いで、事業者エネルギー使用目標量設定手段23は、事業者単位での今年度の総エネルギー使用目標量を設定して記憶する(ステップST53、事業者エネルギー使用目標量設定ステップ)。ここで、図6に示す事業者単位での今年度の総エネルギー使用目標量は110[t−CO]である。
【0028】
次いで、事業所エネルギー使用量収集手段24は、各事業所端末1のエネルギー使用量送信手段12から、所定周期ごとに、エネルギー使用量を示す情報をネットワークを介して収集して、年単位で集計する(ステップST54、事業所エネルギー使用量収集ステップ)。ここで、図6に示す各事業所での前年度のエネルギー使用量は、A事業所は60[t−CO]であり、B事業所は45[t−CO]であり、C事業所は29[t−CO]である。
この事業所エネルギー使用量収集手段24により集計された各事業所での前年度のエネルギー使用量を示す情報は、事業所エネルギー使用量記憶手段25に記憶される。
【0029】
次いで、事業所エネルギー使用目標量決定手段26は、事業所エネルギー使用標準量推定手段22に記憶された各事業所でのエネルギー使用標準量と、事業者エネルギー使用目標量設定手段23に記憶された事業者単位での今年度の総エネルギー使用目標量と、事業所エネルギー使用量記憶手段25に記憶された各事業所での前年度のエネルギー使用量とに基づいて、各事業所での今年度のエネルギー使用目標量を決定する(ステップST55、事業所エネルギー使用目標量決定ステップ)。
【0030】
ここで、図6に示す事業者単位での前年度の総エネルギー使用量は、(60+45+29)=134[t−CO]である。そのため、事業者単位での前年度の総エネルギー使用量と今年度の総エネルギー使用目標量との差(総エネルギー削減目標量)は、(134−110)=24[t−CO]となる。
そして、事業所エネルギー使用目標量決定手段26は、この総エネルギー削減目標量(24[t−CO])を、公平性の高い方法で各事業所に配分する。すなわち、事業所エネルギー使用目標量決定手段26は、事業所での前年度のエネルギー使用量が今年度のエネルギー使用標準量より多いほど、エネルギー使用量を削減する余裕があると判断して、その事業所に対してより多くのエネルギー削減目標量を配分する。
【0031】
図6では、各事業所での今年度のエネルギー使用標準量に対する前年度の実際のエネルギー使用量の比率は、A事業所は120.0[%]であり、B事業所は112.5[%]であり、C事業所は72.5[%]である。
すなわち、C事業所では、前年度のエネルギー使用量が今年度のエネルギー使用標準量よりも少なく、これ以上のエネルギー使用量の削減は厳しいことがわかる。それに対して、A,B事業所では、前年度のエネルギー使用量が今年度のエネルギー使用標準量を超過しているため、エネルギー使用量を削減する余裕があることがわかる。
【0032】
そこで、事業所エネルギー使用目標量決定手段26は、C事業所では既に十分に省エネルギーが実施されていると判断して、C事業所での今年度のエネルギー使用目標量を、前年度のエネルギー使用量と同一の29[t−CO](エネルギー削減目標量は0[t−CO])に設定する。
【0033】
一方、事業所エネルギー使用目標量決定手段26は、A,B事業所では省エネルギーが十分に実施されていないと判断して、今年度のエネルギー使用目標量を前年度のエネルギー使用量よりも減少させる(図6では、今年度のエネルギー使用標準量に対する今年度のエネルギー使用目標量の比率を90[%]として、今年度のエネルギー使用目標量を、A事業所は45[t−CO](エネルギー削減目標量は15[t−CO])に設定し、B事業所は36[t−CO](エネルギー削減目標量は9[t−CO])に設定している)。
【0034】
この事業所エネルギー使用目標量決定手段26により決定された各事業所での今年度のエネルギー使用目標量を示す情報は、対応する事業所端末1のエネルギー使用目標量取得手段13にネットワークを介して送信される。
【0035】
以上のように、この実施の形態1によれば、事業者単位で課せられた今年度の総エネルギー使用目標量に対して、各事業所でのエネルギー使用標準量と前年度のエネルギー使用量との差に基づいて、各事業所でのエネルギー使用目標量を配分するように構成したので、単純に各事業所でのエネルギー使用量のみに基づいてエネルギー削減量を配分するのではなく、現状の省エネ状況を確認しながらエネルギー使用目標量を合理的に配分することができる。これにより、事業者単位でエネルギー使用量の管理を行うことができ、他事業所との比較が行うことで、省エネを推進し実践していくうえでの公平性を高めることができる。
【0036】
なお、この実施の形態1に係るエネルギー使用目標量決定システムで用いたエネルギー使用量、エネルギー使用標準量、総エネルギー使用目標量およびエネルギー使用目標量は、年単位で扱うものとして説明したが、こられの期間は年単位に限られるものではなく、例えば、月単位や半年単位で扱うように構成してもよい。
【0037】
また、この実施の形態1に係るエネルギー使用標準量推定手段22では、各事業所でのエネルギー使用標準量を推定する際に、事業所情報に含まれる所在地、建物用途、稼働率および延床面積に基づいて推定するように構成したが、これに限るものではなく、例えば、さらに各事業所での生産量などを考慮してエネルギー使用標準量を推定するように構成してもよい。これにより各事業所でのエネルギー使用標準量をさらに正確に推定することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 事業所端末
2 エネルギー使用目標量決定装置
11 エネルギー使用量収集手段
12 エネルギー使用量送信手段
13 エネルギー使用目標量取得手段
14 エネルギー使用目標量表示手段
21 事業所情報記憶手段
22 事業所エネルギー使用標準量推定手段
23 事業者エネルギー使用目標量設定手段
24 事業所エネルギー使用量収集手段
25 事業所エネルギー使用量記憶手段
26 事業所エネルギー使用目標量決定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各事業所固有の情報を登録する事業所情報登録手段と、
前記事業所情報登録手段により登録された各事業所情報に基づいて、各事業所での今期のエネルギー使用標準量を推定する事業所エネルギー使用標準量推定手段と、
全事業所での今期の総エネルギー使用目標量を設定する事業者エネルギー使用目標量設定手段と、
前記各事業所での前期のエネルギー使用量を集計する事業所エネルギー使用量収集手段と、
前記事業所エネルギー使用標準量推定手段により推定された各事業所での今期のエネルギー使用標準量と、前記事業者エネルギー使用目標量設定手段により設定された全事業所での今期の総エネルギー使用目標量と、前記事業所エネルギー使用量収集手段により集計された各事業所での前期のエネルギー使用量とに基づいて、各事業所での今期のエネルギー使用目標量を決定する事業所エネルギー使用目標量決定手段と
を備えたエネルギー使用目標量決定装置。
【請求項2】
事業所エネルギー使用目標量決定手段は、今期の総エネルギー使用目標量が各事業所での前期のエネルギー使用量の総和より少ない場合に、前記前期のエネルギー使用量が今期のエネルギー使用標準量を超過している事業所を優先的に、当該事業所での今期のエネルギー使用目標量を前記前期のエネルギー使用量よりも減少させる
ことを特徴とする請求項1記載のエネルギー使用目標量決定装置。
【請求項3】
各事業所固有の情報を登録する事業所情報登録ステップと、
前記事業所情報登録ステップにおいて登録した各事業所情報に基づいて、各事業所での今期のエネルギー使用標準量を推定する事業所エネルギー使用標準量推定ステップと、
全事業所での今期の総エネルギー使用目標量を設定する事業者エネルギー使用目標量設定ステップと、
前記各事業所での前期のエネルギー使用量を集計する事業所エネルギー使用量収集ステップと、
前記事業所エネルギー使用標準量推定ステップにおいて推定した各事業所での今期のエネルギー使用標準量と、前記事業者エネルギー使用目標量設定ステップにおいて設定した全事業所での今期の総エネルギー使用目標量と、前記事業所エネルギー使用量収集ステップにおいて集計した各事業所での前期のエネルギー使用量とに基づいて、各事業所での今期のエネルギー使用目標量を決定する事業所エネルギー使用目標量決定ステップと
を有するエネルギー使用目標量決定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−3398(P2012−3398A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136136(P2010−136136)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)