説明

エネルギー供給システム

【課題】設置コストの削減を図ると共に、熱効率の向上を図ることが可能なエネルギー供給システムを提供する。
【解決手段】エネルギー供給システム1は、給水された水を太陽熱により加熱するソーラパネル10と、給水された水を加熱すると共に、ソーラパネル10により加熱された湯水をさらに加熱する給湯器40と、ソーラパネル10によって加熱された湯水、及び、給湯器40によって加熱された湯水を配管を介して、複数の家庭に供給する湯水配管設備51,52,55,56とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽熱によるクリーンエネルギーを利用した集合住宅向けのエネルギー供給システムが提案されている。このエネルギー供給システムでは、バルコニーに集熱器を設置して給湯設備を構成している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−304167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のエネルギー供給システムでは、給湯設備が各家庭に個別に設置されるため、集合住宅では設置数が多大となり、設置コストが決して安くないものであった。また、バルコニーに集熱器を配置する場合、集熱器の設置箇所がバルコニーに制限され、バルコニーが影に隠れる場合など、熱効率が決して高いとはいえない。
【0005】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その発明の目的とするところは、設置コストの削減を図ると共に、熱効率の向上を図ることが可能なエネルギー供給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のエネルギー供給システムは、給水された水を太陽熱により加熱する太陽熱湯水器と、給水された水を加熱すると共に、前記太陽熱湯水器により加熱された湯水をさらに加熱する給湯器と、前記太陽熱湯水器によって加熱された湯水、及び、前記給湯器によって加熱された湯水を配管を介して、複数の家庭に供給する湯水配管設備と、を備えることを特徴とする。
【0007】
このエネルギー供給システムによれば、太陽熱湯水器と、給湯器と、太陽熱湯水器によって加熱された湯水、及び、給湯器によって加熱された湯水を配管を介して、複数の家庭に供給する湯水配管設備とを備えるため、複数の家庭に対して太陽熱湯水器と給湯器とが共有されることとなる。このため、太陽熱湯水器及び給湯器の設置については、各家庭に設置する場合と比較して設置コストが削減される。また、太陽熱湯水器の設置箇所はバルコニー等に限られず、集熱効率のよい場所に設置したうえで配管設備により各家庭に供給すればよく、熱効率の向上を図ることができる。従って、設置コストの削減を図ると共に、熱効率の向上を図ることが可能なエネルギー供給システムを提供することができる。
【0008】
また、本発明のエネルギー供給システムは、前記給湯器に燃料ガスを供給するガス容器と、前記ガス容器内の燃料ガスを配管を介して、複数の家庭に供給するガス配管設備と、をさらに備えることが好ましい。
【0009】
このエネルギー供給システムによれば、給湯器に燃料ガスを供給するガス容器を備えると共に、このガス容器内の燃料ガスを配管を介して、複数の家庭に供給するため、燃料ガスについても設備が共有され、一層設置コストの削減を図ることができる。
【0010】
また、本発明のエネルギー供給システムは、前記太陽熱湯水器に給水された水の温度を計測する入水温度センサと、前記太陽熱湯水器から出力された湯水の量を計測する出水流量センサと、前記太陽熱湯水器から出力された湯水の温度を計測する出水温度センサと、前記入水及び出水流量センサと前記出水温度センサとからの計測信号に基づいて、前記太陽熱湯水器にて水の加熱に利用された熱量を算出する熱量算出手段と、各家庭それぞれに設置され、各家庭に供給された湯水の量を計測する複数の流量センサと、前記複数の流量センサからの計測信号に基づいて、個別の家庭に供給された湯水の割合を算出すると共に、前記熱量算出手段により算出された熱量と前記割合とから、個別の家庭において削減された熱量を算出する削減熱量算出手段と、各家庭それぞれに設置され、前記削減熱量算出手段により算出された個別の家庭の削減熱量を表示する複数の表示手段と、を備えることが好ましい。
【0011】
このエネルギー供給システムによれば、太陽熱湯水器にて水の加熱に利用された熱量を算出し、これに基づいて個別の家庭の削減熱量を算出して表示するため、各家庭において太陽熱湯水器の利用を促すことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、設置コストの削減を図ると共に、熱効率の向上を図ることが可能なエネルギー供給システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るエネルギー供給システムの一例を示す構成図である。
【図2】図1に示したエコモニタの概略構成図である。
【図3】本実施形態に係るエコモニタの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係るエネルギー供給システムの一例を示す構成図である。なお、図1では、4家庭にエネルギーを供給する例を説明するが、特に4家庭に限られるものではない。
【0015】
本実施形態に係るエネルギー供給システム1は、図1に示すように、一戸建てなどの各家庭にエネルギーを供給するものであって、ソーラパネル(太陽熱湯水器)10と、蓄熱槽20と、バルク(ガス容器)30と、給湯器40と、各種配管(湯水配管設備、ガス配管設備)51〜56と、三方弁61,62と、複数のエコモニタ70と、温度センサ81,82と、流量センサ91〜95とからなっている。
【0016】
ソーラパネル10は、給水された水を太陽熱により加熱して湯水とするものである。ソーラパネル10からの湯水は、第1配管51を通じて蓄熱槽20に供給される。このようなソーラパネル10は、地面から少なくとも30cm以上浮いた状態で設置されており、洪水などによる水の浸入が防止されている。また、ソーラパネル10は、直射日光の照射方向で垂直方向に対して30%程度の傾斜が設けられている。これにより、ソーラパネル10自身による影で集熱能力が低下しないようにされている。
【0017】
蓄熱槽20は、供給された湯水の温度低下を抑制する保温槽として機能するものである。蓄熱槽20からの湯水は、各家庭で湯水が使用されることにより、第2配管52を通じてそれぞれの家庭に供給される。
【0018】
バルク30は、各家庭に供給する燃料ガスを貯蔵するガス容器である。バルク30内の燃料ガスは、第3配管53を通じて各家庭に供給される。また、バルク30には第4配管54が接続され、第4配管54の他端側は給湯器40に接続されている。
【0019】
給湯器40は、給水された水を加熱すると共に、第4配管54を通じて供給される燃料ガスを燃焼させることにより、ソーラパネル10にて加熱され蓄熱槽20を介して供給される湯水をさらに加熱するものである。蓄熱槽20からの湯水は、第2配管52より分岐される第5配管55を通じて給湯器40に供給される。また、第2配管52と第5配管55との接続部には第1三方弁61が設けられ、湯水の流れ方向を制御可能となっている。
【0020】
給湯器40によって加熱された湯水は第6配管56を通じて第2配管52に戻され、各家庭に供給される。なお、第6配管56と第2配管52との接続部には第2三方弁62が設けられ、湯水の流れ方向を制御可能となっている。
【0021】
このようなエネルギー供給システム1では、夏場のようにソーラパネル10によって水を充分に温めることができる環境において、第1三方弁61は湯水が第5配管55に流れず第2配管52のみを流れるように制御される。第2三方弁62についても第2配管52中を湯水が流れるように制御される。これにより、ソーラパネル10にて充分に温められた湯水が各家庭に供給される。また、夏場において蓄熱槽20内の湯が余る状況においては、蓄熱槽20への蓄熱を行うようにしてもよい。
【0022】
一方、冬場や夜間のようにソーラパネル10によって水を50℃〜60℃程度にしか暖めることができない環境では、第1三方弁61は湯水が第5配管55を通じて給湯器40側に流れるように制御される。第2三方弁62についても湯水が第6配管56から第2配管52に流れるように制御される。これにより、給湯器40を通じて湯水が流れることとなり、50℃〜60℃程度の湯水が所定の温度まで暖められて各家庭に供給される。
【0023】
また、エコモニタ70は、各家庭に設置されるものであり、ソーラパネル10により削減された熱量、削減されたガス使用体積量、削減された二酸化炭素排出量、及び削減されたガス料金等を算出するものである。
【0024】
入水温度センサ81は、ソーラパネル10に給水される水の温度を計測するものである。出水温度センサ82は、ソーラパネル10から出力された湯水の温度を計測するものである。
【0025】
流量センサ91〜94は、各家庭それぞれに設置され、各家庭に供給された湯水の量を計測するものである。なお、各家庭に設けられる水道メータの計測値を第1〜第4流量センサ91〜94として用いるようにしてもよい。出水流量センサ95は、ソーラパネル10から出力された湯水の量を計測するものである。
【0026】
ここで、図2を参照してエコモニタ70について詳細に説明する。図2は、図1に示したエコモニタ70の概略構成図である。エコモニタ70は、ガス使用体積量等を表示する表示部(表示手段)71と、熱量算出部(熱量算出手段)72、削減値算出部(削減熱量算出手段)73とを備えている。
【0027】
図2に示すように、表示部71は、算出した各種の削減値を表示するものであり、具体的にはソーラパネル10によって削減された熱量71a、削減されたガス体積71b、削減ガス料金71c、及び削減二酸化炭素量71dを表示するようになっている。なお、エコモニタ70は給湯器40の操作盤についても兼ねており、表示部71は、給湯温度71eや給湯器20が異常か否かについての情報71fも表示するようになっている。
【0028】
熱量算出部72は、ソーラパネル10によって削減された熱量を算出するものである。この熱量算出部72は、入水温度センサ81、出水温度センサ82、及び出水温度センサ95からの計測信号に基づいて、削減された熱量を算出する。
【0029】
具体的に熱量算出部72は、入水温度センサ81の信号により求められるソーラパネル10での加熱前の水の温度をTc[℃]とし、出水流量センサ95の信号により求められるソーラパネル10から出湯された湯水の流量をF[L]とし、出水温度センサ82の信号により求められるソーラパネル10から出湯された湯水の温度をTm[℃]とし、熱量換算係数Cとすると、
Q=(Tm−Tc)×F×C/1000[MJ]・・・(1)
なる式(1)から、ソーラパネル10による水の加熱に利用された熱量Q、即ち、ソーラパネル10によって削減することができた湯水の生成に要する熱量が算出できる。なお、一例として、流量Fは、水1L=1kgとしており、熱量換算係数Cは、水の比熱を示しており、C=1[kcal/kg ℃]=4.18605[kJ/kg K]である。
【0030】
削減値算出部73は、個別の家庭において、ソーラパネル10により削減された熱量を算出するものである。すなわち、ソーラパネル10があることにより、それぞれの家庭で、どの程度熱量が削減されたかを算出するものである。この際、削減値算出部73は、複数の流量センサ91〜94からの計測信号に基づいて、個別の家庭に供給された湯水の割合を算出すると共に、熱量算出部72により算出された熱量Qと湯水の割合とから、個別の家庭において削減された熱量を算出する。
【0031】
具体的に説明すると、第1流量センサ91の計測値をF1とし、第2流量センサ92の計測値をF2とし、第3流量センサ93の計測値をF3とし、第4流量センサ94の計測値をF4とした場合、個別家庭の削減熱量Qnは、
Qn=Fn/(F1+F2+F3+F4)・・・(2)
なる式(2)から算出される。ここで、Fnは、個別家庭に供給された湯水の流量であり、F1からF4のいずれかの値が代入される。
【0032】
上記の表示部71は、削減値算出部73により算出された個別家庭の削減熱量Qnの情報71aを表示する。すなわち、第1流量センサ91が設置される家庭を第1家庭とした場合、第1家庭のエコモニタ70の表示部71は、第1家庭において削減された熱量を表示することとなる。この場合、他の家庭において削減された熱量は表示してもよいし、しなくともよい。
【0033】
さらに、本実施形態において削減値算出部73は、個別家庭の削減ガス体積の情報71b、削減ガス料金の情報71c、及び、削減二酸化炭素量の情報71dを算出する。また、表示部71は、図2に示すように、これらを表示する。
【0034】
詳細には、以下のようにして個別家庭の削減ガス体積、削減ガス料金、及び、削減二酸化炭素量が算出される。まず、個別家庭の削減熱量Qnに基づいてソーラパネル10の使用によって削減された個別家庭のガス使用体積量Vnが算出される。具体的に、燃料ガスの単位体積あたりの総発熱量をH[MJ/Nm]とし、給湯器40の燃焼効率をk[%]とすると、
Vn=Qn/(H×k)[Nm]・・・(3)
なる式(3)から、ソーラパネル10により削減できた個別家庭のガス使用体積量Vnを算出することができる。なお、一例として、都市ガスの単位体積あたりの総発熱量H1は、46.08[MJ/Nm]であり、プロパンガスの単位体積あたりの総発熱量H2は、101.38[MJ/Nm]である。また、kは、一般的に80%(一般型ガス給湯器)〜95%(高効率型ガス給湯器)などの一定の値である。
【0035】
その後、ガス使用体積量Vnに基づいてソーラパネル10の使用によって削減された個別家庭のガス料金Ynが算出される。具体的に、燃料ガスの単位体積あたりのガス料金をB[円/Nm]とすると、
Yn=Vn×B[円]・・・(4)
なる式(4)から、ソーラパネル10により削減できた個別家庭のガス料金Ynを算出することができる。なお、一例として、都市ガスの単位体積あたりのガス料金Bは、153[円/Nm]であり、プロパンガスの単位体積あたりのガス料金Bは、385[円/Nm]である。
【0036】
さらに、ガス使用体積量Vnに基づいてソーラパネル10の使用によって削減された個別家庭の二酸化炭素排出量Xnが算出される。具体的に、燃料ガスの単位体積あたりの二酸化炭素排出量をE[kgCO/Nm]とすると、
Xn=Vn×E[kgCO]・・・(5)
なる式(5)から、ソーラパネル10により削減できた個別家庭の二酸化炭素排出量Xnを算出することができる。なお、一例として、都市ガスの単位体積あたりの二酸化炭素排出量Eは、2.355[kgCO/Nm]であり、プロパンガスの単位体積あたりの二酸化炭素排出量Eは、5.893[kgCO/Nm]である。
【0037】
表示部71は、削減値算出部73により算出された個別家庭の削減ガス使用体積量Vn、削減ガス料金Yn、及び削減二酸化炭素排出量Xnを表示する。すなわち、第1流量センサ91が設置される家庭が第1家庭とした場合、第1家庭のエコモニタ70の表示部71は、第1家庭において削減されたガス使用体積量Vnの情報71b、ガス料金Ynの情報71c、及び二酸化炭素排出量Xnの情報71dを表示することとなる。この場合、他の家庭において削減されたガス使用体積量Vnの情報71b、ガス料金Ynの情報71c、及び二酸化炭素排出量Xnの情報71dは表示してもよいし、しなくともよい。
【0038】
さらに、本実施形態に係るエコモニタ70は、自動申請部74を備えている。自動申請部74は、個別家庭において削減された二酸化炭素排出量Xnに基づいて、公共機関や国の機関などに補助金を申請する申請書類を電子上で作成するものである。また、自動申請部74は、エコモニタ70がプリンタ等に接続される場合、申請書類を印刷出力してもよいし、エコモニタ70がインターネット等に接続される場合、電子書類を所定機関に送信するようにしてもよい。
【0039】
次に、本実施形態に係るエネルギー供給システム1の動作を説明する。まず、エネルギー供給システム1の湯水の供給動作を説明する。例えば、第1家庭においてお湯張りの指示があった場合、各家庭に温水が供給される。このとき、蓄熱槽20に蓄えられる湯水の温度が、お湯張りに適した温度に達している場合、第1及び第2三方弁61,62は、第2配管52のみを流れるように制御され、お湯張りに適した温度の湯が第1家庭に供給される。なお、蓄熱槽20に蓄えられる湯水の温度が高い場合、所定の配管から水が供給されて温度調節が為されたうえで第1家庭に湯が供給される。
【0040】
また、例えば、第1家庭においてお湯張りの指示があり、蓄熱槽20に蓄えられる湯水の温度が、お湯張りに適した温度に達していない場合、第1三方弁61が給湯器40側に制御される。これにより、蓄熱槽20からの湯水が給湯器40に供給される。また、バルク30からの燃料ガスが給湯器40に供給されてバーナが点火される。これにより、お湯張りに適した温度に達していない湯水が所定温度まで加熱される。さらに第2三方弁62が制御され、所定温度まで達した湯水が第1家庭に供給されることとなる。
【0041】
図3は、本実施形態に係るエコモニタ70の動作を示すフローチャートである。図3に示すように、まず、エコモニタ70は各種センサ81,82,91〜95の計測信号を入力する(S1)。次いで、熱量算出部72はソーラパネル10の利用によって削減された熱量Qを算出する(S2)。このとき、熱量算出部72は、上記式(1)に基づいて熱量Qを算出する。
【0042】
次いで、削減値算出部73は個別家庭の削減熱量Qnを算出する(S3)。このとき、削減値算出部73は、上記式(2)に基づいて個別家庭の削減熱量Qnを算出する。次に、削減値算出部73は個別家庭の削減ガス体積Vnを算出する(S4)。このとき、削減値算出部73は、上記式(3)に基づいて個別家庭の削減ガス体積Vnを算出する。
【0043】
その後、削減値算出部73は個別家庭の削減ガス料金Ynを算出する(S5)。このとき、削減値算出部73は、上記式(4)に基づいて個別家庭の削減ガス料金Ynを算出する。次いで、削減値算出部73は個別家庭の削減二酸化炭素排出量Xnを算出する(S6)。このとき、削減値算出部73は、上記式(5)に基づいて個別家庭の削減二酸化炭素排出量Xnを算出する。
【0044】
次に、表示部41は、ステップS3〜ステップS6において算出した各値を表示する(S7)。その後、自動申請部74は、個別家庭において削減された二酸化炭素排出量Xnに基づいて、公共機関や国の機関などに補助金を申請する申請書類を電子上で作成する(S8)。そして、自動申請部74は印刷や電子書類の送信を行い、図3に示す処理は終了する。
【0045】
このようにして、本実施形態に係るエネルギー供給システム1によれば、ソーラパネル10と、給湯器40と、ソーラパネル10によって加熱された湯水、及び、給湯器40によって加熱された湯水を配管を介して、複数の家庭に供給する湯水配管設備51,52,55,56とを備えるため、複数の家庭に対してソーラパネル10と給湯器40とが共有されることとなる。このため、ソーラパネル10及び給湯器40の設置については、各家庭に設置する場合と比較して設置コストが削減される。また、ソーラパネル10の設置箇所はバルコニー等に限られず、集熱効率のよい場所に設置したうえで配管設備51,52,55,56により各家庭に供給すればよく、熱効率の向上を図ることができる。従って、設置コストの削減を図ると共に、熱効率の向上を図ることが可能なエネルギー供給システム1を提供することができる。
【0046】
また、給湯器40に燃料ガスを供給するバルク30を備えると共に、このバルク30内の燃料ガスを配管を介して、複数の家庭に供給するため、燃料ガスについても設備が共有され、一層設置コストの削減を図ることができる。
【0047】
また、ソーラパネル10にて水の加熱に利用された熱量Qを算出し、これに基づいて個別の家庭の削減熱量Qnを算出して表示するため、各家庭においてソーラパネル10の利用を促すことができる。
【0048】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。例えば、本実施形態に係るエネルギー供給システム1は、戸建ての各家庭に湯水や燃料ガスを供給する例を示しているが、マンションなどの集合住宅に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…エネルギー供給システム
10…ソーラパネル(太陽熱温水器)
20…蓄熱槽
30…バルク(ガス容器)
40…給湯器
51〜56…配管(湯水配管設備、ガス配管設備)
61,62…三方弁
70…エコモニタ
71…表示部(表示手段)
72…熱量算出部(熱量算出手段)
73…削減値算出部(削減熱量算出手段)
74…自動申請部
81,82…温度センサ(入水温度センサ、出水温度センサ)
91〜95…流量センサ(複数の流量センサ、出水流量センサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水された水を太陽熱により加熱する太陽熱湯水器と、
給水された水を加熱すると共に、前記太陽熱湯水器により加熱された湯水をさらに加熱する給湯器と、
前記太陽熱湯水器によって加熱された湯水、及び、前記給湯器によって加熱された湯水を配管を介して、複数の家庭に供給する湯水配管設備と、
を備えることを特徴とするエネルギー供給システム。
【請求項2】
前記給湯器に燃料ガスを供給するガス容器と、
前記ガス容器内の燃料ガスを配管を介して、複数の家庭に供給するガス配管設備と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のエネルギー供給システム。
【請求項3】
前記太陽熱湯水器に給水された水の温度を計測する入水温度センサと、
前記太陽熱湯水器から出力された湯水の量を計測する出水流量センサと、
前記太陽熱湯水器から出力された湯水の温度を計測する出水温度センサと、
前記入水及び出水流量センサと前記出水温度センサとからの計測信号に基づいて、前記太陽熱湯水器にて水の加熱に利用された熱量を算出する熱量算出手段と、
各家庭それぞれに設置され、各家庭に供給された湯水の量を計測する複数の流量センサと、
前記複数の流量センサからの計測信号に基づいて、個別の家庭に供給された湯水の割合を算出すると共に、前記熱量算出手段により算出された熱量と前記割合とから、個別の家庭において削減された熱量を算出する削減熱量算出手段と、
各家庭それぞれに設置され、前記削減熱量算出手段により算出された個別の家庭の削減熱量を表示する複数の表示手段と、
を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のエネルギー供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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