エネルギー吸収車両フェンダ
衝突で生じる力を吸収するためのフェンダ(2)は、付属取付フランジ(4、5)を備えていて、取付フランジ(4、5)は、フェンダ(2)の外装部から延在する垂直配向セクション(4)と垂直配向セクション(4)から延在する水平配向セクション(5)とを備えており、垂直配向セクション(4)は垂直配向セクション(4)の剛性を高めるための1以上の輪郭部(10)を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行者保護に適合し得るタイプの車両フェンダに関する。
【背景技術】
【0002】
日本及び欧州諸国では、歩行者の当部及び身体を衝突から保護するのに役立つ車両フェンダシステム用のエネルギー吸収設計が法律によって求められる可能性がある。
【0003】
通例、金属フェンダは、ショットガン又はエプロンパネルとも呼ばれる剛性支持部材を介して車体に取付けられる。この剛性部材は車両の縦方向に延在しており、典型的には自動車のフレームに連結され、フードのすぐ下でフェンダ取付用の水平エプロンを形成する。各フェンダを取付けるため、一対の剛性部材がフロント又はエンジンルームの両側に配設される。フェンダの一部として形成されたL字形フランジがフロントルーム内に張り出して、剛性部材のエプロンに取付けられる。Chungの米国特許第6547316号には、フェンダのフランジと支持部材のエプロンとの間に取付けられ、フードの下部に位置する折曲部を利用した衝撃吸収具を有するフェンダパネルが記載されている。Leeの米国特許第6554341号は、フェンダフランジとエプロンの間の部材として、フェンダフランジから支持部材のエプロンまで下に向かって外側に広がった一対の脚部を備える衝撃吸収具に関する。この米国特許第6547316号には、歩行者との衝突時に上記中間折曲部材がエネルギーを吸収して歩行者の障害度を弱めると開示されている。
【0004】
以上の米国特許に記載された歩行者保護のための解決策は、フェンダのフランジと剛性支持部材との距離を増大させるとともにフェンダのフランジと剛性支持部材との間に比較的脆弱な別の構造体を挿入することに依拠したものである。この別個の脆弱な構造体は、歩行者保護を高めるために比較的弱い力で変形し得る。米国特許出願公開第2002/0060474号及び同第2003/0015890号は、本質的に剛性の非常に高い金属製フェンダを主な対象とする。
【特許文献1】米国特許第6547316号明細書
【特許文献2】米国特許第6554341号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2002/0060474号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2003/0015890号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
典型的なフェンダは、フェンダ上縁と剛性支持部材(いわゆるショットガン)へのフランジ取付部との距離が比較的短い。将来的な歩行者安全要件、特に頭部衝撃要件を満足するには、車両のこの部分が問題となる。これらの要件を満足するには、貫入空間が形成されるようにフェンダの構造及びフェンダの支持体を変更するのが望ましい。貫入空間の結果、フェンダとの衝突で物体が減速された際に、衝撃力が低減するようにフェンダは比較的低い位置に保たれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態では、プラスチックフェンダの貫入距離を、望ましくは剛性支持部材つまりショットガンの位置を下げることによって増大させる。別の実施形態では、フェンダの寸法安定性を保持しつつ、衝突時にフェンダの望ましい圧壊を与える。利用可能な圧壊距離で衝突エネルギー力が吸収されるように、望ましくは、貫入力に対して適度なレベルのフェンダの反作用がもたらされる。別の実施形態では、統合的解決法を、歩行者安全に適合し得る熱可塑性樹脂フェンダに組み込む。別の実施形態では、フェンダの圧壊性構造は、追加部品を一切必要とせず、二次的作業も必要としない。
【0007】
本発明のさらに別の実施形態では、取付フランジは、物体によって圧壊したときに前面からの衝撃力を低減するように調整できるが、他の方向には寸法安定性を与えるのに十分な剛性を備えた垂直配向セクションを有する。
【0008】
本明細書では様々な実施形態について開示するが、望ましい十分な安定性が得られるように形状の種々異なる数多くの設計上の特徴を取付フランジの垂直配向セクションに組み込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、従来技術の典型的な金属フェンダ2の取付部の部分断面図を示し、金属フェンダは、符号7で示すナットとボルトで支持部材6に固定される。フードは符号1で示す。フェンダ2は、水平配向セクション5とつながる垂下セクション4を有するフランジ部を備える。図1に示す通り、垂下セクション4の高さが比較的短いのでフェンダ2の頂部と剛性支持部材6の間の間隔も比較的短距離であり、そのため衝突時に剛性支持部材6と接触するまでに物体が貫入するための空間がほとんどない。
【0010】
図2は、取付フランジの垂直配向セクション4の高さを、貫入物体からの支持部材6の間隔を設けつつ衝突時にフェンダ2が圧壊できるような十分な高さにした実施形態を示す。フェンダ2は美的外面を有する外面部を備える。フードを閉じたときにフード1を着座させるため、外装部からフロントルーム内に向かって陥凹部3が凹設される。陥凹部3はフェンダ2の外装部との結合部に外側リムを含む。フェンダ2の取付フランジ部は支持部材6に固定され、通例フェンダ2がしっかりと据付られる。支持部材6は当技術分野ではショットガンとして知られ、典型的には金属構造体からなり、車両のフレームに取付けられる。フランジ部は、内側リムに沿って陥凹部3につながる垂直配向セクション4と、支持部材6に取付けるため支持部材6に隣接してフロントルーム内に延在する水平配向セクション5とを含む。垂直配向セクション4は結合部で水平配向セクション5とつながって取付フランジ(4、5)を形成する。フランジの水平配向セクション5は、支持部材6の水平配向合せ面に固定される。図面に示す通り、ボルトの形態の締結具7が、フランジの水平配向セクション5の孔8と、エプロン又は支持部材6の水平配向部分の孔を貫通する。取付フランジ(本明細書ではフランジ部全体をいう。)は垂直配向セクション4と水平配向セクション5とを含む。
【0011】
フェンダはプラスチック材料で作製できる。典型的なプラスチック材料には、エンジニアリングプラスチックがある。典型的な熱可塑性樹脂樹脂としては、特に限定されないが、ポリカーボネート、コポリエステル−カーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリウレタン、ポリエチレン(高密度及び低密度)、ポリプロピレン、ゴム状弾性熱可塑性樹脂など、さらにはこれらと他のポリマーとのブレンド、例えばポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル/耐衝撃性ポリスチレン、ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンなど、並びにこれらのポリマーのブレンドが挙げられる。好適な熱可塑性樹脂樹脂の一例は、General Electric社からXENOY(登録商標)樹脂という商標で市販されているポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレートの組合せである。好ましい熱可塑性樹脂樹脂は、General Electric社からNORYL GTX(登録商標)樹脂という商標で市販されているポリアミドとポリフェニレンエーテルのブレンドである。ガラスのような繊維及びナノチューブを始めとするナノ複合材などの充填材も、本明細書で用いる熱可塑性樹脂と共に使用できる。
【0012】
フードを着座させる陥凹部3とフェンダ2を車両支持部材6に固定する取付フランジ(4、5)とを含めたフェンダ2全体は、望ましくは熱可塑性樹脂材料から一体構造部材として形成される。フェンダ2の外装部に支持を与える取付フランジ(4、5)の垂直配向セクション4は通常使用時にフェンダ2に寸法安定性を与えつつ、所定の衝突時に圧壊するのに適している。垂直配向セクション4は、剛性支持部材6に強い衝撃を与えずに、圧壊によって衝撃に吸収できるのに十分な高さつまり圧壊距離を有する。図1に示す通り、フランジの垂直配向セクション4は、陥凹部3の内側リムから取付フランジ(4、5)の水平配向セクション5まで延在する壁部をなす。壁部は、壁部に略垂直な方向の力に耐えるように剛性を与える輪郭形状を有する。輪郭形状は隆起又はくぼみの形態の異形部を含み、これらの隆起又はくぼみは望ましくは垂直配向フランジ部と接続又は隣接して横方向の力に耐える剛性を与える。好ましくは、輪郭部又は異形部10は、垂直配向フランジセクション4及び水平配向フランジセクション5の両方と一体をなす。好ましい実施形態では、、陥凹部3のリムの下方で複数の輪郭部又は異形部10が所定の間隔をおいて配設される。この構成では、垂直配向セクションは陥凹部3付近で圧壊し易くなる。好ましい構成では、輪郭部10はフランジを補剛する働きをし、フランジの水平セクションとフランジの垂直配向セクション4の間に延在する隆起の形態である。好ましい実施形態では、複数の補剛部が垂直セクション又は壁部の長さに沿って配設される。
【0013】
フランジの垂直配向セクション4の垂直高さは車両ごと変更できるが、好ましくは約60mm以上である。垂直配向セクション4の高さは好ましくは約60〜約100mmである。本発明における高さは典型的には約80mmのオーダーである。好ましくは、輪郭部又は異形部10の少なくとも一部はフランジの垂直配向セクション4の高さの約3分の2を超える。好ましくは、輪郭部又は異形部10はフランジの水平配向セクション5から上向きに延びる。前述の通り、輪郭部10は、垂直及び水平配向セクション4及び5の結合部又は結合部を強化するため好ましくは垂直及び水平配向セクション4及び5と一体をなす。
【0014】
衝突時、圧壊性壁部は望ましくは変形して衝突エネルギーを吸収する。異形部のエネルギー吸収効率は、寸法安定性に望ましい剛性が得られかつ衝撃力が低減するように適合させることができる。垂直配向セクション4の衝撃応答性は、密度、厚さ及び形状の種々異なる材料を使用することによって特定の車両に対して調整できる。様々な実施形態では、衝突によるエネルギーは、輪郭部の形状、異形部の数、水平フランジから測定した異形部の高さ、異形部の幅、異形部の深さ、フランジの垂直配向セクション4での開口部の配設、輪郭部又は異形部での開口部の配設、壁厚の変更、或いは隆起部と壁部及びフランジの水平配向セクションとの結合部の変更によって制御することができる。1以上の特徴形状を変更して、特定の衝撃レベルのエネルギーを吸収するようにフェンダを調整できる。幾何形状は、空間的制約、顧客のデザイン或いは利用可能なパッケージ空間の大小によっても左右される。
【0015】
図3に示す通り、輪郭部10は多面突出部の形態であり、フランジの垂直配向セクション4の垂直壁から離隔した前壁部と一対の側壁及び頂壁とがつながっている。図4は、輪郭部10に開口部又は切欠部13を設けた図3の実施形態を示す。図5は、輪郭部10の開口部13に加えてフランジの垂直配向セクション4に開口部15を設けた図4の実施形態を示す。図6は、輪郭部10を均等な間隔で配設し、各輪郭部10で開口部13を画成したフランジの垂直配向セクション4を示す。図7は、各輪郭部10によって画成される開口部13とフランジの垂直部4に設けた開口部15を利用した実施形態を示す。開口部15と開口部13は異なる形状を有する。図8は、フランジの垂直セクション4と水平セクション5の間に延在する2つの接合平面を有する輪郭部10を示す。接合面はフランジとの結合部で六角形をなし、フランジの垂直配向セクション4との間に2つの結合部が存在し、フランジの水平配向セクション5との間に2つの結合部が存在する。図示した構成では、隣り合った輪郭部10の間にも結合部が形成される。図9は、垂直セクション4及び水平セクション5との交差部で三角形をなす一対の交差平面を有する輪郭セクション10を示す。図10は、一対の交差平面の間に傾斜平面セクションを配設した図9の輪郭部の変形例を示す。図11は、様々な傾斜平面を利用して輪郭部10を形成した図10の実施形態を示す。図11、12、13、14及び15は、様々な形状表面を利用した輪郭部10を示す。このような形状表面としては、楕円形、放物形その他の曲線形が挙げられ、これらは対称形、非対称形のいずれかでもよい。これら形状は垂直配向セクション4と水平配向セクション5の間に延在する。
【0016】
以上開示してきた本発明の好ましい実施形態が上記の目的を満たすように十分に計算されたものであることは明らかであろうが、本発明の技術的思想及び技術的範囲から逸脱せずに本発明に様々な修正、変形及び変更を加えることができることは明らかであり、本発明は特許請求の範囲でしか限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来技術のフェンダ構成を示す概略側面図
【図2】フェンダ構成の位置実施形態を示す概略側面図
【図3】取付フランジの垂直配向セクションの一実施形態の部分斜視図
【図4】取付フランジの垂直配向セクションの一実施形態の部分斜視図
【図5】取付フランジの垂直配向セクションの一実施形態の部分斜視図
【図6】取付フランジの垂直配向セクションの一実施形態の部分斜視図
【図7】取付フランジの垂直配向セクションの一実施形態の部分斜視図
【図8】取付フランジの垂直配向セクションの一実施形態の部分斜視図
【図9】取付フランジの垂直配向セクションの一実施形態の部分斜視図
【図10】取付フランジの垂直配向セクションの一実施形態の部分斜視図
【図11】取付フランジの垂直配向セクションの一実施形態の部分斜視図
【図12】取付フランジの垂直配向セクションの一実施形態の部分斜視図
【図13】取付フランジの垂直配向セクションの一実施形態の部分斜視図
【図14】取付フランジの垂直配向セクションの一実施形態の部分斜視図
【図15】取付フランジの垂直配向セクションの一実施形態の部分斜視図
【符号の説明】
【0018】
1 フード
2 フェンダ
3 陥凹部
4 垂直配向セクション
5 水平配向セクション
6 支持部材
7 締結具
8 孔
10 輪郭部
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行者保護に適合し得るタイプの車両フェンダに関する。
【背景技術】
【0002】
日本及び欧州諸国では、歩行者の当部及び身体を衝突から保護するのに役立つ車両フェンダシステム用のエネルギー吸収設計が法律によって求められる可能性がある。
【0003】
通例、金属フェンダは、ショットガン又はエプロンパネルとも呼ばれる剛性支持部材を介して車体に取付けられる。この剛性部材は車両の縦方向に延在しており、典型的には自動車のフレームに連結され、フードのすぐ下でフェンダ取付用の水平エプロンを形成する。各フェンダを取付けるため、一対の剛性部材がフロント又はエンジンルームの両側に配設される。フェンダの一部として形成されたL字形フランジがフロントルーム内に張り出して、剛性部材のエプロンに取付けられる。Chungの米国特許第6547316号には、フェンダのフランジと支持部材のエプロンとの間に取付けられ、フードの下部に位置する折曲部を利用した衝撃吸収具を有するフェンダパネルが記載されている。Leeの米国特許第6554341号は、フェンダフランジとエプロンの間の部材として、フェンダフランジから支持部材のエプロンまで下に向かって外側に広がった一対の脚部を備える衝撃吸収具に関する。この米国特許第6547316号には、歩行者との衝突時に上記中間折曲部材がエネルギーを吸収して歩行者の障害度を弱めると開示されている。
【0004】
以上の米国特許に記載された歩行者保護のための解決策は、フェンダのフランジと剛性支持部材との距離を増大させるとともにフェンダのフランジと剛性支持部材との間に比較的脆弱な別の構造体を挿入することに依拠したものである。この別個の脆弱な構造体は、歩行者保護を高めるために比較的弱い力で変形し得る。米国特許出願公開第2002/0060474号及び同第2003/0015890号は、本質的に剛性の非常に高い金属製フェンダを主な対象とする。
【特許文献1】米国特許第6547316号明細書
【特許文献2】米国特許第6554341号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2002/0060474号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2003/0015890号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
典型的なフェンダは、フェンダ上縁と剛性支持部材(いわゆるショットガン)へのフランジ取付部との距離が比較的短い。将来的な歩行者安全要件、特に頭部衝撃要件を満足するには、車両のこの部分が問題となる。これらの要件を満足するには、貫入空間が形成されるようにフェンダの構造及びフェンダの支持体を変更するのが望ましい。貫入空間の結果、フェンダとの衝突で物体が減速された際に、衝撃力が低減するようにフェンダは比較的低い位置に保たれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態では、プラスチックフェンダの貫入距離を、望ましくは剛性支持部材つまりショットガンの位置を下げることによって増大させる。別の実施形態では、フェンダの寸法安定性を保持しつつ、衝突時にフェンダの望ましい圧壊を与える。利用可能な圧壊距離で衝突エネルギー力が吸収されるように、望ましくは、貫入力に対して適度なレベルのフェンダの反作用がもたらされる。別の実施形態では、統合的解決法を、歩行者安全に適合し得る熱可塑性樹脂フェンダに組み込む。別の実施形態では、フェンダの圧壊性構造は、追加部品を一切必要とせず、二次的作業も必要としない。
【0007】
本発明のさらに別の実施形態では、取付フランジは、物体によって圧壊したときに前面からの衝撃力を低減するように調整できるが、他の方向には寸法安定性を与えるのに十分な剛性を備えた垂直配向セクションを有する。
【0008】
本明細書では様々な実施形態について開示するが、望ましい十分な安定性が得られるように形状の種々異なる数多くの設計上の特徴を取付フランジの垂直配向セクションに組み込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、従来技術の典型的な金属フェンダ2の取付部の部分断面図を示し、金属フェンダは、符号7で示すナットとボルトで支持部材6に固定される。フードは符号1で示す。フェンダ2は、水平配向セクション5とつながる垂下セクション4を有するフランジ部を備える。図1に示す通り、垂下セクション4の高さが比較的短いのでフェンダ2の頂部と剛性支持部材6の間の間隔も比較的短距離であり、そのため衝突時に剛性支持部材6と接触するまでに物体が貫入するための空間がほとんどない。
【0010】
図2は、取付フランジの垂直配向セクション4の高さを、貫入物体からの支持部材6の間隔を設けつつ衝突時にフェンダ2が圧壊できるような十分な高さにした実施形態を示す。フェンダ2は美的外面を有する外面部を備える。フードを閉じたときにフード1を着座させるため、外装部からフロントルーム内に向かって陥凹部3が凹設される。陥凹部3はフェンダ2の外装部との結合部に外側リムを含む。フェンダ2の取付フランジ部は支持部材6に固定され、通例フェンダ2がしっかりと据付られる。支持部材6は当技術分野ではショットガンとして知られ、典型的には金属構造体からなり、車両のフレームに取付けられる。フランジ部は、内側リムに沿って陥凹部3につながる垂直配向セクション4と、支持部材6に取付けるため支持部材6に隣接してフロントルーム内に延在する水平配向セクション5とを含む。垂直配向セクション4は結合部で水平配向セクション5とつながって取付フランジ(4、5)を形成する。フランジの水平配向セクション5は、支持部材6の水平配向合せ面に固定される。図面に示す通り、ボルトの形態の締結具7が、フランジの水平配向セクション5の孔8と、エプロン又は支持部材6の水平配向部分の孔を貫通する。取付フランジ(本明細書ではフランジ部全体をいう。)は垂直配向セクション4と水平配向セクション5とを含む。
【0011】
フェンダはプラスチック材料で作製できる。典型的なプラスチック材料には、エンジニアリングプラスチックがある。典型的な熱可塑性樹脂樹脂としては、特に限定されないが、ポリカーボネート、コポリエステル−カーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリウレタン、ポリエチレン(高密度及び低密度)、ポリプロピレン、ゴム状弾性熱可塑性樹脂など、さらにはこれらと他のポリマーとのブレンド、例えばポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル/耐衝撃性ポリスチレン、ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンなど、並びにこれらのポリマーのブレンドが挙げられる。好適な熱可塑性樹脂樹脂の一例は、General Electric社からXENOY(登録商標)樹脂という商標で市販されているポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレートの組合せである。好ましい熱可塑性樹脂樹脂は、General Electric社からNORYL GTX(登録商標)樹脂という商標で市販されているポリアミドとポリフェニレンエーテルのブレンドである。ガラスのような繊維及びナノチューブを始めとするナノ複合材などの充填材も、本明細書で用いる熱可塑性樹脂と共に使用できる。
【0012】
フードを着座させる陥凹部3とフェンダ2を車両支持部材6に固定する取付フランジ(4、5)とを含めたフェンダ2全体は、望ましくは熱可塑性樹脂材料から一体構造部材として形成される。フェンダ2の外装部に支持を与える取付フランジ(4、5)の垂直配向セクション4は通常使用時にフェンダ2に寸法安定性を与えつつ、所定の衝突時に圧壊するのに適している。垂直配向セクション4は、剛性支持部材6に強い衝撃を与えずに、圧壊によって衝撃に吸収できるのに十分な高さつまり圧壊距離を有する。図1に示す通り、フランジの垂直配向セクション4は、陥凹部3の内側リムから取付フランジ(4、5)の水平配向セクション5まで延在する壁部をなす。壁部は、壁部に略垂直な方向の力に耐えるように剛性を与える輪郭形状を有する。輪郭形状は隆起又はくぼみの形態の異形部を含み、これらの隆起又はくぼみは望ましくは垂直配向フランジ部と接続又は隣接して横方向の力に耐える剛性を与える。好ましくは、輪郭部又は異形部10は、垂直配向フランジセクション4及び水平配向フランジセクション5の両方と一体をなす。好ましい実施形態では、、陥凹部3のリムの下方で複数の輪郭部又は異形部10が所定の間隔をおいて配設される。この構成では、垂直配向セクションは陥凹部3付近で圧壊し易くなる。好ましい構成では、輪郭部10はフランジを補剛する働きをし、フランジの水平セクションとフランジの垂直配向セクション4の間に延在する隆起の形態である。好ましい実施形態では、複数の補剛部が垂直セクション又は壁部の長さに沿って配設される。
【0013】
フランジの垂直配向セクション4の垂直高さは車両ごと変更できるが、好ましくは約60mm以上である。垂直配向セクション4の高さは好ましくは約60〜約100mmである。本発明における高さは典型的には約80mmのオーダーである。好ましくは、輪郭部又は異形部10の少なくとも一部はフランジの垂直配向セクション4の高さの約3分の2を超える。好ましくは、輪郭部又は異形部10はフランジの水平配向セクション5から上向きに延びる。前述の通り、輪郭部10は、垂直及び水平配向セクション4及び5の結合部又は結合部を強化するため好ましくは垂直及び水平配向セクション4及び5と一体をなす。
【0014】
衝突時、圧壊性壁部は望ましくは変形して衝突エネルギーを吸収する。異形部のエネルギー吸収効率は、寸法安定性に望ましい剛性が得られかつ衝撃力が低減するように適合させることができる。垂直配向セクション4の衝撃応答性は、密度、厚さ及び形状の種々異なる材料を使用することによって特定の車両に対して調整できる。様々な実施形態では、衝突によるエネルギーは、輪郭部の形状、異形部の数、水平フランジから測定した異形部の高さ、異形部の幅、異形部の深さ、フランジの垂直配向セクション4での開口部の配設、輪郭部又は異形部での開口部の配設、壁厚の変更、或いは隆起部と壁部及びフランジの水平配向セクションとの結合部の変更によって制御することができる。1以上の特徴形状を変更して、特定の衝撃レベルのエネルギーを吸収するようにフェンダを調整できる。幾何形状は、空間的制約、顧客のデザイン或いは利用可能なパッケージ空間の大小によっても左右される。
【0015】
図3に示す通り、輪郭部10は多面突出部の形態であり、フランジの垂直配向セクション4の垂直壁から離隔した前壁部と一対の側壁及び頂壁とがつながっている。図4は、輪郭部10に開口部又は切欠部13を設けた図3の実施形態を示す。図5は、輪郭部10の開口部13に加えてフランジの垂直配向セクション4に開口部15を設けた図4の実施形態を示す。図6は、輪郭部10を均等な間隔で配設し、各輪郭部10で開口部13を画成したフランジの垂直配向セクション4を示す。図7は、各輪郭部10によって画成される開口部13とフランジの垂直部4に設けた開口部15を利用した実施形態を示す。開口部15と開口部13は異なる形状を有する。図8は、フランジの垂直セクション4と水平セクション5の間に延在する2つの接合平面を有する輪郭部10を示す。接合面はフランジとの結合部で六角形をなし、フランジの垂直配向セクション4との間に2つの結合部が存在し、フランジの水平配向セクション5との間に2つの結合部が存在する。図示した構成では、隣り合った輪郭部10の間にも結合部が形成される。図9は、垂直セクション4及び水平セクション5との交差部で三角形をなす一対の交差平面を有する輪郭セクション10を示す。図10は、一対の交差平面の間に傾斜平面セクションを配設した図9の輪郭部の変形例を示す。図11は、様々な傾斜平面を利用して輪郭部10を形成した図10の実施形態を示す。図11、12、13、14及び15は、様々な形状表面を利用した輪郭部10を示す。このような形状表面としては、楕円形、放物形その他の曲線形が挙げられ、これらは対称形、非対称形のいずれかでもよい。これら形状は垂直配向セクション4と水平配向セクション5の間に延在する。
【0016】
以上開示してきた本発明の好ましい実施形態が上記の目的を満たすように十分に計算されたものであることは明らかであろうが、本発明の技術的思想及び技術的範囲から逸脱せずに本発明に様々な修正、変形及び変更を加えることができることは明らかであり、本発明は特許請求の範囲でしか限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来技術のフェンダ構成を示す概略側面図
【図2】フェンダ構成の位置実施形態を示す概略側面図
【図3】取付フランジの垂直配向セクションの一実施形態の部分斜視図
【図4】取付フランジの垂直配向セクションの一実施形態の部分斜視図
【図5】取付フランジの垂直配向セクションの一実施形態の部分斜視図
【図6】取付フランジの垂直配向セクションの一実施形態の部分斜視図
【図7】取付フランジの垂直配向セクションの一実施形態の部分斜視図
【図8】取付フランジの垂直配向セクションの一実施形態の部分斜視図
【図9】取付フランジの垂直配向セクションの一実施形態の部分斜視図
【図10】取付フランジの垂直配向セクションの一実施形態の部分斜視図
【図11】取付フランジの垂直配向セクションの一実施形態の部分斜視図
【図12】取付フランジの垂直配向セクションの一実施形態の部分斜視図
【図13】取付フランジの垂直配向セクションの一実施形態の部分斜視図
【図14】取付フランジの垂直配向セクションの一実施形態の部分斜視図
【図15】取付フランジの垂直配向セクションの一実施形態の部分斜視図
【符号の説明】
【0018】
1 フード
2 フェンダ
3 陥凹部
4 垂直配向セクション
5 水平配向セクション
6 支持部材
7 締結具
8 孔
10 輪郭部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝突で生じる力を吸収するため車両への取付に適合したフェンダ(2)であって、当該フェンダ(2)が付属取付フランジ(4、5)を備え、取付フランジ(4、5)が、フェンダ(2)の外装部から延在する垂直配向セクション(4)と垂直配向セクション(4)から延在する水平配向セクション(5)とを備えていて車両への装着に適しており、垂直配向セクション(4)が垂直配向セクション(4)の剛性を高めるための1以上の輪郭部(10)を備える、フェンダ(2)。
【請求項2】
美的外面を有する外面部と、フード(1)を閉じたときにフード(1)を着座させるため美的外面から凹設した陥凹部(3)とを備える、フード(1)との交合に適した請求項1記載のフェンダ(2)。
【請求項3】
垂直配向セクション(4)が結合部で水平配向セクション(5)とつながって取付フランジ(4、5)を形成している、請求項1記載のフェンダ(2)。
【請求項4】
フランジ(4、5)の水平配向セクション(5)が車両支持部材(6)の水平配向合せ面への固定に適合している、車両支持部材(6)への装着に適した請求項1記載のフェンダ(2)。
【請求項5】
当該フェンダ(2)が実質的に完全にプラスチック材料からなる、請求項1記載のフェンダ(2)。
【請求項6】
当該フェンダが実質的に完全に熱可塑性樹脂材料からなる、請求項1記載のフェンダ(2)。
【請求項7】
当該フェンダ(2)が実質的に完全にポリカーボネート、コポリエステル−カーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリウレタン、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群から選択されるプラスチック材料からなる、請求項1記載のフェンダ(2)。
【請求項8】
当該フェンダが実質的に完全にポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレートブレンド、ポリフェニレンエーテル/耐衝撃性ポリスチレンブレンド、ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブレンド及びこれらのブレンドからなる群から選択されるプラスチック材料ブレンドからなる、請求項1記載のフェンダ(2)。
【請求項9】
取付フランジ(4、5)の垂直配向セクション(4)が、所定の衝突時に圧壊するとともに通常使用時にはフェンダ(2)の寸法安定性を与える、請求項1記載のフェンダ(2)。
【請求項10】
垂直配向セクション(4)が、垂直配向セクション(4)に剛性を与えるとともに横方向の力に耐える1以上の輪郭部(10)を備える、請求項1記載のフェンダ(2)。
【請求項1】
衝突で生じる力を吸収するため車両への取付に適合したフェンダ(2)であって、当該フェンダ(2)が付属取付フランジ(4、5)を備え、取付フランジ(4、5)が、フェンダ(2)の外装部から延在する垂直配向セクション(4)と垂直配向セクション(4)から延在する水平配向セクション(5)とを備えていて車両への装着に適しており、垂直配向セクション(4)が垂直配向セクション(4)の剛性を高めるための1以上の輪郭部(10)を備える、フェンダ(2)。
【請求項2】
美的外面を有する外面部と、フード(1)を閉じたときにフード(1)を着座させるため美的外面から凹設した陥凹部(3)とを備える、フード(1)との交合に適した請求項1記載のフェンダ(2)。
【請求項3】
垂直配向セクション(4)が結合部で水平配向セクション(5)とつながって取付フランジ(4、5)を形成している、請求項1記載のフェンダ(2)。
【請求項4】
フランジ(4、5)の水平配向セクション(5)が車両支持部材(6)の水平配向合せ面への固定に適合している、車両支持部材(6)への装着に適した請求項1記載のフェンダ(2)。
【請求項5】
当該フェンダ(2)が実質的に完全にプラスチック材料からなる、請求項1記載のフェンダ(2)。
【請求項6】
当該フェンダが実質的に完全に熱可塑性樹脂材料からなる、請求項1記載のフェンダ(2)。
【請求項7】
当該フェンダ(2)が実質的に完全にポリカーボネート、コポリエステル−カーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリウレタン、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群から選択されるプラスチック材料からなる、請求項1記載のフェンダ(2)。
【請求項8】
当該フェンダが実質的に完全にポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレートブレンド、ポリフェニレンエーテル/耐衝撃性ポリスチレンブレンド、ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブレンド及びこれらのブレンドからなる群から選択されるプラスチック材料ブレンドからなる、請求項1記載のフェンダ(2)。
【請求項9】
取付フランジ(4、5)の垂直配向セクション(4)が、所定の衝突時に圧壊するとともに通常使用時にはフェンダ(2)の寸法安定性を与える、請求項1記載のフェンダ(2)。
【請求項10】
垂直配向セクション(4)が、垂直配向セクション(4)に剛性を与えるとともに横方向の力に耐える1以上の輪郭部(10)を備える、請求項1記載のフェンダ(2)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2007−504053(P2007−504053A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526260(P2006−526260)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/029279
【国際公開番号】WO2005/023606
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/029279
【国際公開番号】WO2005/023606
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】
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