説明

エネルギー変換機器の管理提案システム及び管理提案方法

【課題】ユーザからのフィードバック情報を利用して、現実又は仮想のローカル施設に対し、エネルギー変換機器の配備又は制御に関する提案を行う。
【解決手段】エネルギー変換機器管理提案システム1は、エネルギーの状態を変換するエネルギー変換機器13を備える複数のローカル施設3と、複数のローカル施設に接続され、複数のローカル施設に対して、エネルギー変換機器の動作及び交換に関する提案を行う遠隔提案センター2とを備える。ローカル施設は、提案情報受信部14と、提案情報に基づいて、エネルギー変換機器の動作を制御するコントローラ15と、エネルギー変換機器の動作の結果に基づくフィードバック情報を生成するフィードバック情報生成部16と、フィードバック情報送信部17とを備え、遠隔提案センター2は、フィードバック情報受信部7と、フィードバック情報に基づいて、提案情報を生成及び修正する提案エンジン6と、提案情報送信部5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商業施設や一般住宅等の施設に導入できる複数のエネルギー変換機器の動作を管理し、並びにこのようなローカル施設に対して、エネルギー変換機器の新規導入、交換等を提案するエネルギー変換機器の管理提案システム及び管理提案方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商業施設や一般住宅等の建造物内には、空調機器、給湯器、照明等の様々なエネルギー変換機器が配備されている。これらの機器は、通常、複数の製造業者から、様々な型番を有する機種として市販されており、各機種の仕様は様々である。特に、近年では、エネルギー効率の高い機種の開発が盛んであり、新しい機種が次々に提案されている。
【0003】
これらの機器は、多くの場合、エネルギーとして、電力、ガス、石油等を使用する。電力は、通常、電力会社から供給され、ガスや石油等は燃料供給会社から供給されるが、太陽光発電、燃料電池及び蓄電池等、供給エネルギー源の選択肢も増加している。また、燃料電池の発電時に生じる排熱を熱エネルギー源として利用して、総合的なエネルギー効率を高めるコジェネレーション技術も進化している。
【0004】
更に、地球温暖化対策のために、CO排出量を制限しようとする国際的な協議も行われており、この対策は今後急加速していくものとみられる。したがって、CO排出量の削減は、国家的且つな国際的な課題でもあり、政府が、CO排出量の削減に取り組む企業又は個人に対し、減税、補助金の交付等の優遇政策を実施することもある。
【0005】
また、石油、天然ガス等の化石燃料は、将来的に枯渇することが予測されており、これらの価格は、国際情勢の影響を強く受けるため、不安定である。更に、資源輸入国では、為替相場の変動も燃料価格に影響する。したがって、これらの資源に由来するエネルギーの価格の変動には著しいものがある。
【0006】
新設する施設内に各種のエネルギー変換機器を導入する際、対費用効果の側面から、どの機種を導入することが有利であるかを判定するには、上述した様々な要素を複合的に検討する必要がある。また、既設の施設内の機器に問題が生じた場合には、その機器を修理するか、買い換えるかを決定する必要があり、この場合も、上述した様々な要素を複合的に検討する必要がある。
【0007】
なお、使用エネルギー効率の最適化制御方式に関する発明を開示する文献として、特開2007−287063号公報(特許文献1)や、特開2009−281619号公報(特許文献2)に記載されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−287063号公報
【特許文献2】特開2009−281619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、ユーザは、複数のエネルギー変換機器が最適に運転されることを望む。最適な運転とは、例えば、費用対効果が最大化される運転、すなわち、低いコストで高い顧客満足度を実現できる運転である。これには、空調機器の温度設定及び送風強度、照明機器の照度等をどのように制御するかの判断が含まれる。また、例えば、ユーザの住宅の屋根に太陽光発電パネルが取り付けられており、ガレージに駐車している電気自動車の蓄電池から住宅内部に電力を供給できるような場合には、太陽光発電パネルが発電した電力を住宅内で消費するか、電気自動車の蓄電池に蓄電するか、電力会社に販売するか、といった判断も必要である。これらの判断では、上述したような様々な因子を複合的に検討する必要がある。
【0010】
このような複雑な判断をユーザ側で行うことは困難である。また、ユーザに何らかの提案を行う場合、その提案の結果及びユーザの満足度をフィードバックし、フィードバックされた情報に基づいて、より精度が高い次の提案を行うことも望まれる。これまでは、エネルギーの供給側や、各種の機器の製造メーカーや販売業者等の都合による判断が多くの場合優先されており、ユーザ側とのレスポンスは殆ど無い。このようなフィードバックレスポンスを効率的に行い、需要者と供給者双方に配慮し、効果的に利用するシステムは開発されていない。
【0011】
そこで、本発明は、ユーザからのフィードバック情報を利用して、現実又は仮想のローカル施設に対し、エネルギー変換機器の配備及び制御又はそのいずれか一方に関する提案を行うことができるエネルギー変換機器の管理提案システム並びに管理提案方法を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述したような技術課題を解決するために、本発明に係るエネルギー変換機器管理提案システムは、エネルギーの状態を変換する少なくとも1つのエネルギー変換機器を備える複数のローカル施設と、複数のローカル施設に接続され、複数のローカル施設に対して、少なくとも1つのエネルギー変換機器の動作及び交換又はそれらのいずれか一方に関する提案を行う遠隔提案センターとを備える。ローカル施設は、遠隔提案センターからの提案情報を受信する提案情報受信手段と、遠隔提案センターからの提案情報に基づいて、少なくとも1つのエネルギー変換機器の動作を制御するコントローラと、少なくとも1つのエネルギー変換機器の動作の結果に基づくフィードバック情報を生成するフィードバック情報生成手段と、フィードバック情報生成手段が生成したフィードバック情報を遠隔提案センターに送信するフィードバック情報送信手段とを備える。遠隔提案センターは、ローカル施設からのフィードバック情報を受信するフィードバック情報受信手段と、フィードバック情報に基づいて、提案情報を生成及び及び修正又はそれらのいずれか一方を行う提案エンジンと、提案エンジンが生成し又は修正した提案情報をローカル施設に送信する提案情報送信手段とを備える。
【0013】
フィードバック生成手段は、少なくとも1つのエネルギー変換機器への供給電力、燃料、水のいずれかを含む供給エネルギー及び動作時間又はそれらのいずれか一方を含む動作情報を受け取り、フィードバック情報を自動的に生成してもよい。ローカル施設は、ユーザが情報を入力する入力端末を更に備え、コントローラは、遠隔提案センターからの提案情報に加えて、入力端末から入力された目標値に基づいて、少なくとも1つのエネルギー変換機器の動作を制御してもよい。ローカル施設は、ユーザが情報を入力する入力端末を更に備え、フィードバック生成手段は、少なくとも1つのエネルギー変換機器への供給電力、燃料、水のいずれかを含む供給エネルギー及び動作時間又はそれらのいずれか一方を含む動作情報を受け取ると共に、入力端末にユーザが入力したユーザ入力情報を受け取り、動作情報及びユーザ入力情報とに基づいて、フィードバック情報を生成してもよい。ローカル施設は、遠隔提案センターからの提案情報を視覚化してユーザに表示する表示手段を備えていてもよい。
【0014】
提案エンジンは、エネルギーの状態を変換する2機種以上のエネルギー変換機器の動作仕様に関する動作仕様データと、各機種の導入価格に関する導入価格データと、供給電力、燃料、水のいずれかを含む供給エネルギーのエネルギー価格及び優遇政策又はそれらのいずれか一方を含む変動要因データと、エネルギー変換機器が配備されているローカル施設の仕様に関する施設仕様データと、2機種以上のエネルギー変換機器の実際の運転に関する運転データとが登録されると共に、動作仕様データ、導入価格データ、変動要因データ、施設仕様データ及び運転データが必要に応じて随時更新されるデータベースと、フィードバック情報に基づいてデータベースを更新し、更新されたデータベースに登録されているデータに基づいて、提案情報を生成し、或いは修正してもよい。
【0015】
更に、本発明は、エネルギーの状態を変換する少なくとも1つのエネルギー変換機器を備える複数のローカル施設と、これら複数のローカル施設に接続され、複数のローカル施設に対して、少なくとも1つのエネルギー変換機器の動作及びその交換又はそれらのいずれか一方に関する提案を行う遠隔提案センターとを備えるエネルギー変換機器の管理提案システムにおける管理提案方法であって、遠隔提案センターからの提案情報をローカル施設に設けられた提案情報受信手段にて受信するステップと、遠隔提案センターからの提案情報に基づいて、少なくとも1つのエネルギー変換機器の動作を前記ローカル施設に設けたコントローラにて制御するステップと、少なくとも1つのエネルギー変換機器の動作の結果に基づくフィードバック情報を、ローカル施設に設けたフィードバック情報生成手段にて生成するステップと、フィードバック情報生成手段が生成したフィードバック情報を、ローカル施設に設けたフィードバック情報送信手段を介して遠隔提案センターに送信するステップとを備えるとともに、ローカル施設からのフィードバック情報を遠隔提案センターに設けたフィードバック情報受信手段にて受信するステップと、フィードバック情報に基づいて、遠隔提案センターに設けた提案エンジンにて提案情報を生成及び修正又はそれらのいずれか一方を行うステップと、提案エンジンが生成及び修正又はそれらのいずれか一方を行う提案情報を遠隔提案センターに設けた提案情報送信手段を介してローカル施設に送信するステップとを備える。
【0016】
ここで、フィードバック情報を生成するステップにおいて、少なくとも1つのエネルギー変換機器への供給電力、燃料、水のいずれかを含む供給エネルギーの及び動作時間又はそれらのいずれか一方を含む動作情報を受け取り、フィードバック情報を自動的に生成するようにすることが望ましい。
【0017】
また、上述したような技術課題を解決するために、本発明に係るエネルギー変換機器管理提案システムは、ユーザの要望に応じて自動的又は半自動的にローカル施設の設計をシミュレートするローカル施設シミュレータと、ローカル施設シミュレータに接続され、ローカル施設シミュレータに対して、少なくとも1つのエネルギー変換機器の導入又は配置に関する提案を行う遠隔提案センターとを備える。ローカル施設シミュレータは、ローカル施設の設計をシミュレートする設計エンジンと、遠隔提案センターからの提案情報を受信する提案情報受信手段と、設計エンジンが設計したローカル施設の情報と、提案情報とを組み合わせて、シミュレート情報を生成するシミュレート情報生成手段と、シミュレート情報生成手段が生成したシミュレート情報を遠隔提案センターに送信するシミュレート情報送信手段とを備える。遠隔提案センターは、エネルギーの状態を変換する2機種以上のエネルギー変換機器の動作仕様に関する動作仕様データと、各機種の導入価格に関する導入価格データと、供給電力、燃料、水のいずれかを含む供給エネルギーのエネルギー価格及び優遇政策又はそれらのいずれか一方を含む変動要因データと、エネルギー変換機器が配備されているローカル施設の仕様に関する施設仕様データと、2機種以上のエネルギー変換機器の実際の運転に関する運転データとが登録されると共に、動作仕様データ、導入価格データ、変動要因データ、施設仕様データ及び運転データが必要に応じて随時更新されるデータベースと、ローカル施設シミュレータがシミュレートした設計と、データベースに登録されているデータとに基づいて、シミュレートされた設計に最適なエネルギー変換機器の組み合わせを提案する提案情報を生成する提案エンジンと、提案エンジンが生成した提案情報をローカル施設シミュレータに送信する提案情報送信手段とを備える。このエネルギー変換機器管理提案システムは、シミュレート情報に基づいて構築された、ローカル施設及びエネルギー変換機器を含む仮想三次元画像を表示する表示手段を更に備えるようにしてもよい。
【0018】
更に本発明は、エネルギーの状態を変換する少なくとも1つのエネルギー変換機器を備える複数のローカル施設と、前記複数のローカル施設に接続され、前記複数のローカル施設に対して、前記少なくとも1つのエネルギー変換機器の動作及びその交換又はそれらのいずれか一方に関する提案を行う遠隔提案センターとを備えるエネルギー変換機器の管理提案システムにおける管理提案方法であって、遠隔提案センターからの提案情報をローカル施設に設けられた提案情報受信手段にて受信するステップと、遠隔提案センターからの提案情報に基づいて、少なくとも1つのエネルギー変換機器の動作をローカル施設に設けたコントローラにて制御するステップと、少なくとも1つのエネルギー変換機器の動作の結果に基づくフィードバック情報を、ローカル施設に設けたフィードバック情報生成手段にて生成するステップと、フィードバック情報生成手段が生成したフィードバック情報を、前記ローカル施設に設けたフィードバック情報送信手段を介して遠隔提案センターに送信するステップとを備えるとともに、ローカル施設からのフィードバック情報を遠隔提案センターに設けたフィードバック情報受信手段にて受信するステップと、フィードバック情報に基づいて、遠隔提案センターに設けた提案エンジンにて提案情報を生成及び修正又はそれらのいずれか一方を行うステップと、提案エンジンが生成及び修正又はそれらのいずれか一方を行う提案情報を遠隔提案センターに設けた提案情報送信手段を介してローカル施設に送信するステップとを備えることを特徴とする。
【0019】
更にまた、本発明は、ユーザの要望に応じて自動的又は半自動的にローカル施設の設計をシミュレートするローカル施設シミュレータと、前記ローカル施設シミュレータに接続され、前記ローカル施設シミュレータに対して、少なくとも1つのエネルギー変換機器の導入配置に関する提案を行う遠隔提案センターとを備えるエネルギー変換機器の管理提案システムにおける管理提案方法であって、ローカル施設シミュレータに設けた設計エンジンにてローカル施設の設計をシミュレートするステップと、遠隔提案センターからの提案情報を前記ローカル施設シミュレータで受信するステップと、ローカル施設シミュレータに設けたシミュレート情報生成手段にて、設計エンジンが設計したローカル施設の情報と提案情報とを組み合わせてシミュレート情報を生成するステップと、シミュレート情報をローカル施設シミュレータから遠隔提案センターに送信するステップと、シミュレート情報と前記遠隔提案センターに登録されているデータとに基づいて、遠隔提案センターに設けた提案エンジンにてシミュレートされたローカル施設の設計に最適なエネルギー変換機器の組み合わせを提案する提案情報を生成するステップと、提案エンジンが生成した提案情報をローカル施設シミュレータに送信するステップとを有する。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るエネルギー変換機器管理提案システムは、ユーザのローカル施設からのフィードバック情報を利用して、提案情報を生成し、或いは修正することによって、エネルギー変換機器の配置及び制御又はそれらのいずれか一方に関する最適な提案を行うことができる。
【0021】
また、本発明に係るエネルギー変換機器管理提案システムは、遠隔提案センターからの提案情報をローカル施設シミュレータに提供することによって、適切なエネルギー変換機器を設計段階で検討することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明が適用されたエネルギー変換機器管理提案システムの概略を示す図である。
【図2】本発明が適用されたエネルギー変換機器管理提案システムの第1の実施の形態を示す図である。
【図3】本発明が適用されたエネルギー変換機器管理提案システムの第2の実施の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を適用したエネルギー変換機器管理提案システムの実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0024】
なお、本発明において、エネルギー変換機器とは、例えば光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽光発電機器、電気ネルギーを蓄積する大容量蓄電池、電気エネルギーを熱エネルギー及びそれを搬送する流体運動に変換する空調機器、電気エネルギーを光エネルギーに変換する照明機器等、さらには、電気自動車(EV)やプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)等エネルギーの形態を各種態様のエネルギーに変換する機器の総称である。エネルギー変換機器は、多くの場合、複数の製造業者から競合的に市販されており、各製造業者は、1つのカテゴリに属するエネルギー変換機器について、複数の機種(model)を製造し、市販している場合が多い。
【0025】
これらのエネルギー変換機器は、様々な施設内に配備される。ここで、施設とは、ショッピングモール等の商業施設、病院、学校、劇場、映画館、工場、住宅等、エネルギー変換機器が配備されるあらゆる形態の空間の総称である。特殊なケースでは、施設は野外である場合もあり、施設と野外が空間的に連続している場合もあり、開閉式のドームを備えた球技場等、施設の野外への開放の度合いが変化する場合もある。
【0026】
図1は、本発明を適用したエネルギー変換機器管理提案システム1の概略を示している。このエネルギー変換機器管理提案システム1は、遠隔提案センター2と、複数のローカル施設3とを備える。後に詳しく説明するように、遠隔提案センター2と、複数のローカル施設3とは、例えばインターネット4等の通信回線を介して接続され、相互に情報を送受することができる。
【0027】
ここで、遠隔提案センター2には、例えばデータベース及びプログラムを含むサーバが用いられ、ローカル施設3は、インターネット4を介して遠隔提案センター2にアクセスし、必要な情報及びプログラムをダウンロードして使用することを可能とする。また、ローカル施設3は、有用な情報を遠隔提案センター2にアップロードすることもできる。或いは、遠隔提案センター2をクラウド化し、必要なアプリケーションの実行、演算は全て遠隔提案センター2側で行い、ローカル施設3側では単なる情報の入出力のみを行うようにしてもよい。
【0028】
すなわち、以下では様々なデータの処理について説明するが、これらのデータの処理に関係する演算は、全て遠隔提案センター2で行ってもよく、或いは全てローカル施設3で行ってもよく、遠隔提案センター2及びローカル施設3がそれぞれ分担して行ってもよい。したがって、以下の説明において、例えば、ローカル施設3内で実行されると説明している演算は、実際には、遠隔提案センター2側で行ってもよい。本実施の形態で説明する処理又は演算は、エネルギー変換機器管理提案システム1内のいずれの部分で行ってもよく、これらのあらゆる可能性が本発明に含まれるものとする。
【0029】
本発明の第1の実施の形態として、遠隔提案センター2と、ローカル施設3の詳細な構成を図2に示す。図2では、代表的に1つのローカル施設3のみを示しているが、図1に示すように、遠隔提案センター2には、通常、複数のローカル施設3が接続される。
【0030】
遠隔提案センター2は、各ローカル施設3に提供する提案情報を生成する提案エンジン6と、この提案情報をローカル施設3に送信する提案情報送信部5と、各ローカル施設3からフィードバック情報を受信するフィードバック情報受信部7とを備える。更に、遠隔提案センター2は、データベース8を備え、データベース8には、動作仕様データ81、導入価格データ82、変動要因データ83、施設仕様データ84及び運転データ85等が格納されている。これらのデータの詳細については後述する。
【0031】
ローカル施設3は、複数のエネルギー変換機器13を備える。更に、ローカル施設3は、遠隔提案センター2からの提案情報を受信する提案情報受信部14と、提案情報に基づいて、エネルギー変換機器13を制御するコントローラ15と、エネルギー変換機器13の動作に基づくフィードバック情報を生成するフィードバック情報生成部16と、このフィードバック情報を遠隔提案センター2に送信するフィードバック情報送信部17とを備える。
【0032】
また、ローカル施設3は、提案情報等を視覚化してユーザに表示するディスプレイ18と、ユーザがエネルギー変換機器13の運転に関する目標値等を入力するための操作パネル19とを備えていてもよい。また、ローカル施設3には、エネルギー変換機器13の運転によって環境がどのように変化したかを感知する様々なセンサー20が配設されている。例えば、センサー20は、温度や明るさの変化を感知するセンサーであってもよい。多くの場合、エネルギー変換機器13の内部にもセンサー機能が設けられており、以後、センサー20に関する記述は、エネルギー変換機器13の内部センサーにも同様に適用される。
【0033】
遠隔提案センター2と、ローカル施設3とは、上述したように、インターネット4等の通信回線を介して接続されている。インターネット4には、これらの他に、製造業者9、販売業者10、保守修理業者11、安全管理業者12等の様々な外部業者が接続されている。これらの外部業者に対し、様々なレベルの権限を与え、外部業者は、自らに与えられた権限の範囲内で、このエネルギー変換機器管理提案システム1の様々な部分にアクセスして、情報を取得し、機器を制御し、及びデータを更新することができる。
【0034】
次に、本発明に基づくエネルギー変換機器管理提案システム1の動作について説明する。
【0035】
まず、遠隔提案センター2の提案エンジン6は、データベース8に格納されている動作仕様データ81、導入価格データ82、変動要因データ83、施設仕様データ84、運転データ85等のデータに基づいて、提案情報を生成する。
【0036】
動作仕様データ81とは、エネルギー変換機器13の定格出力、消費電力、耐用年数等、様々なデータを含む。また、動作仕様データ81には、必要な保守の頻度及び保守に必要なコストも含まれる。これらのデータは、各機器の製造業者9から入手してもよい。
【0037】
動作仕様データ81には、例えば、エネルギー変換機器が空調機器である場合、外部気温、設定温度、設置空間の容積、水量等によって、消費電力、消費燃料、水量等がどのように変化するか、といった詳細なデータも含まれる。このようなデータは、実際の運転又はシミュレーションによって、後述するフィードバックメカニズムを介して、入手することもできる。実際の運転又はシミュレーションによって入手されるデータによって、製造業者9からのデータを補強してもよく、製造業者9からのデータを更新してもよい。
【0038】
導入価格データ82は、エネルギー変換機器13の導入価格を示すデータである。導入価格とは、エネルギー変換機器の各機種の導入時に必要な金額であり、実際の販売価格の他、設置のための工事費等も含まれる。各機種の導入価格は、導入時期や導入地域によっても変化するため、導入価格は、随時更新する必要がある。
【0039】
変動要因データ83は、機器の導入、交換、修理の際のコスト、ランニングコスト等に影響を与える可能性があるあらゆる情報を数値化したデータである。例えば、消費エネルギーの削減又はCO2排出量の削減に有効なエネルギー変換機器の導入には、政府が補助を行う場合がある。この補助とは、補助金の交付を始め、減価償却を行う際の税制面での優遇等、様々なものがある。変動要因データには、このような補助政策を数値化したデータが含まれる。また、変動要因データには、電気料金やガス料金、更には石油、水の料金等が変動する可能性があり、且つエネルギー変換機器のランニングコストに影響する可能性がある外的なあらゆる要因が含まれる。
【0040】
施設仕様データ84とは、新設される又は既設のローカル施設3の設計に関するデータである。このデータには、ローカル施設3の寸法や容積に関するデータの他、建築材料に関するデータを含ませてもよい。また、施設の用途に応じて、空間内に収容される人員の予測数、空間内に配備される発熱機器の有無、空間が開閉される頻度等、様々な項目を含ませることができる。
【0041】
運転データ85とは、ローカル施設3内に配備されているエネルギー変換機器13の実際の運転の結果を示す情報が格納されている。運転データ85は、ローカル施設3から遠隔提案センター2に供給されるフィードバック情報に基づいて生成及び更新される。フィードバック情報には、例えば、エネルギー変換機器13への供給電力、消費燃料、水等の駆動源、更には、動作時間や動作の結果、例えば変化した温度や明るさを数値化した値等が含まれる。フィードバック情報は、エネルギー変換機器13及びセンサー20からのデータに基づいている。
【0042】
提案エンジン6は、以上のような、データベース8に格納されている様々なデータに基づいて、提案情報を生成する。ここで提案情報には、次のような情報が含まれる。
【0043】
第1に、提案情報は、各エネルギー変換機器13の実際の動作の最適な制御に関する情報を含む。例えば、提案エンジン6は、エネルギー変換機器13への供給電力、消費燃料や水の消費量等又はエネルギーコストを最小化するような制御を提案する。この際、ローカル施設3の操作パネル19を介してユーザが入力した目標値を考慮に入れてもよい。電気やガス、更には石油、水等の供給エネルギーの料金は、様々な要因によって変化する。また、ローカル施設3と電力会社との契約内容によっては、時間帯によって変化する場合もあり、更には、ガスや石油等の化石燃料の価額は国際情勢によって変動する場合もある。ここで、提案エンジン6は、一般化して説明すれば、これらの複雑に関係し合う因子を変数として、最適な解を導出する演算プログラムであるとみなすこともできる。
【0044】
第2に、提案情報は、電源及び電力供給先の最適な選択に関する情報を含む。上述の通り、エネルギー変換機器13は、太陽光発電パネルである場合もあり、電気自動車内のバッテリである場合もある。すなわち、ローカル施設3では、電力会社から供給されている商用電源の他に、一部のエネルギー変換機器13を電源として選択することもできる。このような環境において、ユーザにとって最も有利な電源を選択するためには、様々な因子を検討する必要があり、このような判断をユーザ側で随時行うことは、非現実的である。提案エンジン6は、データベース8に格納されている様々なデータに基づいて、このような電源及び電力供給先の選択を適切に判断することができる。
【0045】
第3に、提案情報は、既存のエネルギー変換機器13の保守や修理の必要性に関する情報を含む。例えば、ローカル施設3からのフィードバック情報と、データベース8内の動作仕様データ81との比較によって、エネルギー変換機器13の動作に異常が検出された場合、提案エンジン6は、エネルギー変換機器13に保守や修理の必要があると判断する。このような提案は、視覚化され、ローカル施設3のディスプレイ18に表示される。もちろん、ユーザへの提案の通知は、音声で行ってもよく、音声と画像の両方で行ってもよい。また、異常値の検出を保守修理業者11又は安全管理業者12に通知し、これらからユーザに連絡を行うようにしてもよい。
【0046】
第4に、提案情報は、新たな機器への交換の判断に関する情報を含む。例えば、効率的なエネルギー変換機器が発売され、ローカル施設3内に既設のエネルギー変換機器13のランニングコストを考慮すると、買い換えを行った方がユーザにとって有利である場合もある。製造業者9は、データベース8に、動作仕様データ81の形式で、新たな機種に関する情報を随時登録している。提案エンジン6は、これらの情報を考慮に入れて、必要に応じて、ユーザにエネルギー変換機器13の買い換えを提案することもできる。このような提案は、視覚化され、ローカル施設3のディスプレイ18に表示される。ここで提案される情報は、好ましくは、ユーザにとってコストを最適化するための提案であるが、新たな機種の機能を紹介する広告としての役割を果たしてもよい。
【0047】
以上のようにして提案エンジン6が生成した提案情報は、提案情報送信部5に供給される。提案情報送信部5は、提案情報を、例えば、インターネット4等の通信回線を介する送信に適するデータに変換して、提案情報をローカル施設3に送信する。ここで行われる変換は、データのパケット化、シリアル化、宛先IPアドレスの付加等を含み、これらの処理については当業者にとって明らかであるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0048】
ローカル施設3の提案情報受信部14は、この提案情報送信部5から送信されてきた提案情報を受信し、データのアンパック等の必要な処理を施した後に、コントローラ15に供給する。
【0049】
コントローラ15は、この提案情報に基づいて、各エネルギー変換機器13を制御する。この制御には、各エネルギー変換機器13の具体的な動作の他に、上述したように、電源や燃料等の供給エネルギーの選択等も含まれる。また、提案情報が、エネルギー変換機器13の保守や修理の必要性に関する情報、又は新たな機器への交換の判断に関する情報である場合、コントローラ15は、この情報を視覚化して、ディスプレイ18に供給し、ディスプレイ18に表示させることによって、提案情報の内容をユーザに通知する。
【0050】
フィードバック情報生成部16は、ローカル施設3から遠隔提案センター2にフィードバックするべき情報を生成する。このために、フィードバック情報生成部16は、様々な情報を収集する。例えば、フィードバック情報生成部16には、エネルギー変換機器13の動作に関する情報が供給される。この情報には、エネルギー変換機器13の実際の消費電力、燃料、水等の供給エネルギーの消費量に関する情報である。近年では、通信機能を有する電力計であるスマートメータも開発されており、このような消費電力に関する情報は、十分に収集可能である。これ以外にも、エネルギー変換機器が自らの動作に関する情報を蓄積し又は外部に通信する機能を有していれば、様々な動作データをフィードバック情報生成部16に供給することができる。
【0051】
また、センサー20が感知したデータもフィードバック情報生成部16に供給される。ここでセンサー20には、例えば、温度センサー等の各センサーが用いられ、これらセンサーからのデータにより、ローカル施設3内のある位置において、温度、湿度、光量、風量、水量、回転量等がどのように変化したかといった情報が得られる。
【0052】
また、ユーザは、操作パネル19を介して、様々な情報を入力することができる。例えば、ユーザは、様々なエネルギー変換機器13の動作目標を設定することができる。これは、例えば、目標とする月間の電気料金であってもよい。また、ユーザは、コストの視点及び快適さの視点から、このエネルギー変換機器管理提案システム1による制御に満足しているか否かを示す情報を操作パネル19に入力してもよい。なお、操作パネル19とディスプレイ18は、多くの場合、近接して配設され、一体に形成してもよい。また、専用の操作パネル19及びディスプレイ18を設ける必要は必ずしもなく、これに類する機能は、携帯電話、コンピュータ装置、携帯型情報端末等、表示機能を有する機器上で、ソフトウェアアプリケーションとして実現してもよい。このように、操作パネル19又はこれに類する端末装置を介してユーザが入力した情報も、フィードバック情報生成部16に供給され、フィードバック情報の一部を構成する。
【0053】
フィードバック情報は、フィードバック情報送信部17に供給され、ここでデータのパッキング等の適切な処理を経て、遠隔提案センター2に送信される。遠隔提案センター2では、フィードバック情報受信部7が、このフィードバック情報を受信する。提案エンジン6は、このフィードバック情報に基づいて、データベース8に登録されている各データを補強、更新又は修正する。
【0054】
例えば、フィードバック情報は、運転データ85として蓄積される。これによって、実際のエネルギー変換機器13がどのように運転され、その結果、環境がどのように変化したかといった情報が蓄積される。また、ユーザが設定した目標値及びこの目標値に対する現実の運転の誤差等に関する情報も蓄積される。このような情報が蓄積される程、提案エンジン6が生成する提案情報の妥当性が高くなる。
【0055】
また、フィードバック情報によって、例えば、動作仕様データ81を更新することもできる。既に、製造業者から提供されている動作仕様データ81がある場合、このフィードバック情報によって、不足するデータを補強し、又は既存のデータを修正してもよい。このようなフィードバック情報は、更に、製造業者にフィードバックすることもできる。製造業者は、このようなフィードバック情報に基づいて、自社の動作仕様データを検証し、更には補強することができる。
【0056】
このように、データベース8は、フィードバック情報によって継続的に更新される。更新されたデータベース8は、互いに他のユーザへの提案に利用することもでき、他のユーザに提案されたシステムからのフィードバックによって、データベース8は、再び更新される。このような繰り返しによって、データベース8は、常に進化し、コンテンツを充実させ、その利用価値を高めていく。
【0057】
データベース8は、フィードバック情報だけではなく、様々なオペレータ、業者、機関によって更新することができる。例えば、上述の通り、製造業者9、販売業者10、保守修理業者11、安全管理業者12等の様々な外部業者に対し、様々なレベルの権限を与え、外部業者は、自らに与えられた権限の範囲内で、データベース8にアクセスし、情報を取得又は更新することができる。また、遠隔提案センター2の専属のオペレータ、政府・自治体の機関等もデータベース8にアクセスし、情報を取得又は更新することができる。すなわち、データベース8は、エネルギーに関連する様々な知識が広く共有された知識データベースであり、使用される毎に知識が蓄積され、充実する学習型のデータベースである。
【0058】
このデータベース8は、ユーザに大きな利益をもたらす。すなわち、本発明のエネルギー変換機器管理提案システム1は、複数のエネルギー変換機器13の動作仕様、各機種の導入価格、供給電力、燃料、水のいずれかを含む供給エネルギーのエネルギー価格や優遇政策、更に、エネルギー変換機器が導入される施設の仕様、並びにこれらから算出されるイニシャルコスト及びランニングコスト等、複雑に関係し合う膨大な量の情報から、最適なエネルギー変換機器の機種及び機種の組み合わせ、更にはこれらの動作の制御をユーザに提案することができる。これにより、ユーザは、施設の新設又は維持に必要な費用を大幅に削減することができる。
【0059】
また、本発明に基づくデータベース8は、エネルギー変換機器13の製造業者9にとっても有益である。上述のように、データベース8には、実際の運転によって取得される情報がフィードバックされるため、データベース8に格納されるデータは、製造業者にとっても興味深いものとなる。製造業者9は、様々な運転環境下での運転に基づく動作データによって、自社の製品の動作データの公称値を検証し、補強することができ、或いは、このような動作データを以後の製品開発に活用することができる。
【0060】
次に、本発明の第2の実施の形態を図3に示す。先に説明した実施の形態では、既設のローカル施設3に対して様々な提案を行ったが、この第2の実施の形態では、建設前のローカル施設に関する提案を行う。この場合、エネルギー変換機器管理提案システム101は、上述と同様の遠隔提案センター2と、ローカル施設シミュレータ30とを備える。ローカル施設シミュレータ30は、その核として、コンピュータ・エイディド・デザイン(Computer Aided Design:以下、CADという。)エンジン31を備える。ここで、CADとは、住宅等の設計を自動化するコンピュータベースの設計支援システムである。これによって、多くの時間や労力を必要とする住宅等の設計図の生成や修正を簡単且つ迅速に処理することができる。
【0061】
具体的には、ローカル施設シミュレータ30では、操作パネル32に必要な情報を入力することによって、CADエンジン31がローカル施設の外観及び内観の3次元グラフィックを生成することができる。この3次元グラフィックは、ディスプレイ33に表示され、ユーザは、ローカル施設の外観や間取りを仮想的に体験することができる。このようなCADシステムは、既に様々なものが開発及び市販されており、これを本システムと連動させることも可能である。
【0062】
本発明の第2の実施の形態では、このCADエンジン31を備えるローカル施設シミュレータ30と、遠隔提案センター2とを接続している。まず、ローカル施設シミュレータ30は、CADエンジンが生成した設計に関する情報を遠隔提案センター2に送信する。遠隔提案センター2では、このローカル施設の設計に関する情報に基づいて、現時点で仮想のローカル施設に配備するための最適なエネルギー変換機器の組み合わせを示す提案情報を生成する。具体的には、提案エンジン6は、ローカル施設シミュレータ30からの設計に関する情報と、上述したデータベース8に登録されている様々な情報とに基づいて、提案情報を生成する。この提案情報は、最適なエネルギー変換機器の組み合わせを示すものであってもよく、幾つかの候補を選択肢として提示するものであってもよい。シミュレートされたローカル施設の設計と、施設仕様データ84に登録されている既設のローカル施設の設計とが一致又は類似していれば、提案エンジン6は、この既設のローカル施設に関連付けられている実際の運転データ85も検討の材料に組み入れることができる。例えば、住宅を設計する場合、既設の住宅の中から同様の設計の住宅を検索して、その住宅で実際に使用されているエネルギー変換機器に関するデータを利用することができる。
【0063】
提案エンジン6が生成した提案情報は、提案情報送信部5からローカル施設シミュレータ30に宛てて送信される。ローカル施設シミュレータ30側では、提案情報受信部34がこの提案情報を受信する。この提案情報は、シミュレート情報生成部35に供給され、シミュレート情報生成部35は、先にCADエンジンが生成しているローカル施設の設計とこの提案情報とを組み合わせて、シミュレート情報を生成する。すなわち、シミュレート情報生成部35は、仮想的に構築された三次元(3D)空間内に、仮想のエネルギー変換機器を配設し、これらの運転をシミュレートする。このようにして得られたシミュレート情報は、シミュレート情報送信部36から遠隔情報センター2にフィードバックされる。また、このシミュレート情報に基づく画像、すなわち、仮想3D空間内にエネルギー変換機器が配備された状態の画像をディスプレイ33に表示してもよい。これにより、ユーザは、提案されたエネルギー変換機器が配備されたローカル施設の内観を仮想的に体験することができる。
【0064】
なお、ユーザが、操作パネル32を介して予めエネルギー変換機器のコスト効率に関する目標値を設定し、この目標値と、シミュレートによって算出された結果との誤差を遠隔提案センター2にフィードバックしてもよい。遠隔提案センター2は、この誤差を補正するような新たな提案を行ってもよい。また、この具体例では、シミュレート情報生成部35は、CADエンジン31から独立したモジュールとして示しているが、シミュレート情報生成部35は、CADエンジン31の一部であってもよい。また、ローカル施設シミュレータ全体を1つのアプリケーションソフトウェアとして実現し、これをコンピュータシステムにインストールして使用してもよい。この場合、ディスプレイ33は、コンピュータ装置のモニタ及びプリンタであり、操作パネル32は、キーボード、マウス、タッチパネル等の入出力装置である。
【0065】
なお、本発明の2つの実施の形態について説明したが、第1の実施の形態の遠隔提案センター2と、第2の実施の形態の遠隔提案センター2とは同一のものである。遠隔提案センター2は、1つ以上の実際のローカル施設3と、1つ以上のローカル施設シミュレータ30との両方に同時に接続される。このため、ローカル施設シミュレータ30において、実際のローカル施設3に関して蓄積された実際的な知識を利用することができる。例えば、ユーザは、ローカル施設シミュレータ30を利用することによって、建築予定の住宅を様々な角度から検討できると共に、その住宅に適するエネルギー変換機器の提案を享受でき、そのランニングコストまで事前に知ることができる。また、ユーザは、予算及び嗜好に応じてエネルギー変換機器の候補を変更し、その都度、コスト効率及び内観を確認することもできる。このような作業は、通常、膨大な背景知識が必要であり、データベース8が存在しなければ、一個人又は一企業体で達成することは、極めて困難である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
上述したように、本発明に係るエネルギー変換機器管理提案システムは、多様且つ膨大な量の情報に基づいて、最適なエネルギー変換機器を選択し、これらのエネルギー変換機器を最適に制御できるため、ユーザにとって有益である。また、本発明に係るエネルギー変換機器管理提案システムは、実際のエネルギー変換機器の運転から得られる情報をデータベースにフィードバックするため、エネルギー変換機器の製造業者及び保守業者にとっても有益である。
【符号の説明】
【0067】
1、101 エネルギー変換機器管理提案システム、2 遠隔提案センター、3 ローカル施設、4 インターネット、5 提案情報送信部、6 提案エンジン、7 フィードバック情報受信部、8 データベース、9 製造業者、10 販売業者、11 保守修理業者、12 安全管理業者、14 提案情報受信部、 15 コントローラ、16 フィードバック情報生成部、17 フィードバック情報送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギーの状態を変換する少なくとも1つのエネルギー変換機器を備える複数のローカル施設と、
前記複数のローカル施設に接続され、前記複数のローカル施設に対して、前記少なくとも1つのエネルギー変換機器の動作及びその交換又はそれらのいずれか一方に関する提案を行う遠隔提案センターと
を備えるエネルギー変換機器の管理提案システムであって、
前記ローカル施設は、
前記遠隔提案センターからの提案情報を受信する提案情報受信手段と、
前記遠隔提案センターからの提案情報に基づいて、前記少なくとも1つのエネルギー変換機器の動作を制御するコントローラと、
前記少なくとも1つのエネルギー変換機器の動作の結果に基づくフィードバック情報を生成するフィードバック情報生成手段と、
前記フィードバック情報生成手段が生成したフィードバック情報を前記遠隔提案センターに送信するフィードバック情報送信手段とを備え、
前記遠隔提案センターは、
前記ローカル施設からのフィードバック情報を受信するフィードバック情報受信手段と、
前記フィードバック情報に基づいて、前記提案情報を生成及び修正又はそれらのいずれか一方を行う提案エンジンと、
前記提案エンジンが生成及び修正又はそれらのいずれか一方を行う提案情報を前記ローカル施設に送信する提案情報送信手段と
を備えるエネルギー変換機器の管理提案システム。
【請求項2】
前記フィードバック生成手段は、前記少なくとも1つのエネルギー変換機器の消費電力及び動作時間又はそれらのいずれか一方を含む動作情報を受け取り、前記フィードバック情報を自動的に生成する請求項1記載のエネルギー変換機器の管理提案システム。
【請求項3】
前記ローカル施設は、ユーザが情報を入力する入力端末を更に備え、
前記コントローラは、前記遠隔提案センターからの提案情報に加えて、前記入力端末から入力された目標値に基づいて、前記少なくとも1つのエネルギー変換機器の動作を制御する請求項1記載のエネルギー変換機器の管理提案システム。
【請求項4】
前記ローカル施設は、ユーザが情報を入力する入力端末を更に備え、
前記フィードバック生成手段は、前記少なくとも1つのエネルギー変換機器への供給電力、燃料、水のいずれかを含む供給エネルギー及び動作時間又はそれらのいずれか一方を含む動作情報を受け取ると共に、前記入力端末にユーザが入力したユーザ入力情報を受け取り、前記動作情報及びユーザ入力情報とに基づいて、前記フィードバック情報を生成する請求項1記載のエネルギー変換機器の管理提案システム。
【請求項5】
前記ローカル施設は、前記遠隔提案センターからの提案情報を視覚化してユーザに表示する表示手段を備える請求項1記載のエネルギー変換機器の管理提案システム。
【請求項6】
前記提案エンジンは、
エネルギーの状態を変換する2機種以上のエネルギー変換機器の動作仕様に関する動作仕様データと、前記各機種の導入価格に関する導入価格データと、エネルギー価格及び優遇政策又はそれらのいずれか一方を含む変動要因データと、前記エネルギー変換機器が配備されているローカル施設の仕様に関する施設仕様データと、前記2機種以上のエネルギー変換機器の実際の運転に関する運転データとが登録されると共に、前記動作仕様データ、導入価格データ、変動要因データ、施設仕様データ及び運転データが必要に応じて随時更新されるデータベースと、
前記フィードバック情報に基づいて前記データベースを更新し、
前記更新されたデータベースに登録されているデータに基づいて、前記提案情報を生成及び修正又はそれらのいずれか一方を行う請求項1記載のエネルギー変換機器の管理提案システム。
【請求項7】
エネルギーの状態を変換する少なくとも1つのエネルギー変換機器を備える複数のローカル施設と、前記複数のローカル施設に接続され、前記複数のローカル施設に対して、前記少なくとも1つのエネルギー変換機器の動作及びその交換又はそれらのいずれか一方に関する提案を行う遠隔提案センターとを備えるエネルギー変換機器の管理提案システムにおける管理提案方法であって、
前記遠隔提案センターからの提案情報を前記ローカル施設に設けられた提案情報受信手段にて受信するステップと、
前記遠隔提案センターからの提案情報に基づいて、前記少なくとも1つのエネルギー変換機器の動作を前記ローカル施設に設けたコントローラにて制御するステップと、
前記少なくとも1つのエネルギー変換機器の動作の結果に基づくフィードバック情報を、前記ローカル施設に設けたフィードバック情報生成手段にて生成するステップと、
前記フィードバック情報生成手段が生成したフィードバック情報を、前記ローカル施設に設けたフィードバック情報送信手段を介して前記遠隔提案センターに送信するステップとを備えるとともに、
前記ローカル施設からのフィードバック情報を前記遠隔提案センターに設けたフィードバック情報受信手段にて受信するステップと、
前記フィードバック情報に基づいて、前記遠隔提案センターに設けた提案エンジンにて前記提案情報を生成及び修正又はそれらのいずれか一方を行うステップと、
前記提案エンジンが生成及び修正又はそれらのいずれか一方を行う提案情報を前記遠隔提案センターに設けた提案情報送信手段を介して前記ローカル施設に送信するステップとを備えることを特徴とするエネルギー変換機器の管理提案方法。
【請求項8】
前記フィードバック情報を生成するステップにおいて、前記少なくとも1つのエネルギー変換機器への供給電力及び動作時間又はそれらのいずれか一方を含む動作情報を受け取り、前記フィードバック情報を自動的に生成する請求項7記載のエネルギー変換機器の管理提案方法。
【請求項9】
ユーザの要望に応じて自動的又は半自動的にローカル施設の設計をシミュレートするローカル施設シミュレータと、前記ローカル施設シミュレータに接続され、前記ローカル施設シミュレータに対して、少なくとも1つのエネルギー変換機器の導入配置に関する提案を行う遠隔提案センターと
を備えるエネルギー変換機器の管理提案システムであって、
前記ローカル施設シミュレータは、
ローカル施設の設計をシミュレートする設計エンジンと、
前記遠隔提案センターからの提案情報を受信する提案情報受信手段と、
前記設計エンジンが設計したローカル施設の情報と、前記提案情報とを組み合わせて、シミュレート情報を生成するシミュレート情報生成手段と、
前記シミュレート情報生成手段が生成したシミュレート情報を前記遠隔提案センターに送信するシミュレート情報送信手段とを備え、
前記遠隔提案センターは、
エネルギーの状態を変換する2機種以上のエネルギー変換機器の動作仕様に関する動作仕様データと、前記各機種の導入価格に関する導入価格データと、供給電力、燃料、水のいずれかを含む供給エネルギーのエネルギー価格及び優遇政策又はそれらのいずれか一方を含む変動要因データと、前記エネルギー変換機器が配備されているローカル施設の仕様に関する施設仕様データと、前記2機種以上のエネルギー変換機器の実際の運転に関する運転データとが登録されると共に、前記動作仕様データ、導入価格データ、変動要因データ、施設仕様データ及び運転データが必要に応じて随時更新されるデータベースと、
前記ローカル施設シミュレータがシミュレートした設計と、前記データベースに登録されているデータとに基づいて、前記シミュレートされた設計に最適なエネルギー変換機器の組み合わせを提案する提案情報を生成する提案エンジンと、
前記提案エンジンが生成した提案情報を前記ローカル施設シミュレータに送信する提案情報送信手段とを備えるエネルギー変換機器の管理提案システム。
【請求項10】
前記シミュレート情報に基づいて構築された、ローカル施設及びエネルギー変換機器を含む仮想三次元画像を表示する表示手段を更に備える請求項9記載のエネルギー変換機器の管理提案システム。
【請求項11】
ユーザの要望に応じて自動的又は半自動的にローカル施設の設計をシミュレートするローカル施設シミュレータと、前記ローカル施設シミュレータに接続され、前記ローカル施設シミュレータに対して、少なくとも1つのエネルギー変換機器の導入配置に関する提案を行う遠隔提案センターとを備えるエネルギー変換機器の管理提案システムにおける管理提案方法であって、
前記ローカル施設シミュレータに設けた設計エンジンにてローカル施設の設計をシミュレートするステップと、
前記遠隔提案センターからの提案情報を前記ローカル施設シミュレータで受信するステップと、
前記ローカル施設シミュレータに設けたシミュレート情報生成手段にて、前記設計エンジンが設計したローカル施設の情報と前記提案情報とを組み合わせてシミュレート情報を生成するステップと、
前記シミュレート情報を前記ローカル施設シミュレータから前記遠隔提案センターに送信するステップと、
前記シミュレート情報と前記前記遠隔提案センターに登録されているデータとに基づいて、前記遠隔提案センターに設けた提案エンジンにて前記シミュレートされたローカル施設の設計に最適なエネルギー変換機器の組み合わせを提案する提案情報を生成するステップと、
前記提案エンジンが生成した提案情報を前記ローカル施設シミュレータに送信するステップとを有するエネルギー変換機器の管理提案方法。
【請求項12】
前記遠隔提案センターに登録されたデータベースは、エネルギーの状態を変換する2機種以上のエネルギー変換機器の動作仕様に関する動作仕様データと、前記各機種の導入価格に関する導入価格データと、供給電力、燃料、水のいずれかを含む供給エネルギーのエネルギー価格及び優遇政策又はそれらのいずれか一方を含む変動要因データと、前記エネルギー変換機器が配備されているローカル施設の仕様に関する施設仕様データと、前記2機種以上のエネルギー変換機器の実際の運転に関する運転データとが登録されると共に、前記動作仕様データ、導入価格データ、変動要因データ、施設仕様データ及び運転データが必要に応じて随時更新されることを特徴とする請求項11記載のエネルギー変換機器の管理提案方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−150546(P2012−150546A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6901(P2011−6901)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(309040790)パトックス.ジャパン株式会社 (8)