説明

エネルギー消費算出システム及びエネルギー消費算出方法

【課題】機器のエネルギー消費に関する情報を精度良く算出すること
【解決手段】機器のエネルギー消費に関する情報を算出するエネルギー消費システム1は、所定の空間における所定の機器のエネルギー料金を示す消費モデルを格納する消費モデルデータベース10aと、空間情報と該空間情報で示される空間の使用時間とが関連付けられた使用モデルの入力を受け付ける使用モデル受付部12と、機器情報と空間情報とが関連付けられた設置情報の入力を受け付ける設置情報受付部16と、受け付けられた使用モデル及び設置情報に基づいて機器の稼働状況を推定する稼働状況推定部20と、推定された稼働状況と消費モデルとに基づいて、該稼働状況におけるエネルギー料金を算出する算出部22と、そのエネルギー料金を出力する出力部24と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器のエネルギー消費に関する情報を算出するエネルギー消費算出システム及びエネルギー消費算出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、機器のエネルギー消費に関する情報を算出する手法が知られている。例えば、下記特許文献1には、顧客情報及び製品情報に基づいて製品のランニングコストを算出し、算出結果に基づいて製品の提案を行う製品情報システムが開示されている。また、下記特許文献2には、実際に計測された需要量に基づいて予測需要パターンを生成し、該パターンと、標準需要パターンとを比較することで最適な運転パターンを選定する運転計画装置が開示されている。
【特許文献1】特開2002−288326号公報
【特許文献2】特開2003−134664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1の製品情報システム、及び上記特許文献2の運転計画装置のいずれにおいても、機器の稼働状況が十分に考慮されていないため、算出の正確性が十分に保証されない。例えば、上記製品需要システムでは、ランニングコストの基礎となる使用時間は手入力に基づくものであるとともに、エネルギー消費に密接に関係する機器の設置状況が考慮されていないため、算出の精度に限界がある。また、上記運転計画装置では、予測需要パターンを生成するために実測値を用意しなければならないため、最適な運転パターンが、特定の稼働状況のみに基づいて選定されてしまうおそれがある。
【0004】
本発明は、上記課題を解決する為になされたものであり、機器のエネルギー消費に関する情報を精度良く算出することが可能なエネルギー消費算出システム及びエネルギー消費算出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のエネルギー消費算出システムは、機器のエネルギー消費に関する情報を算出するエネルギー消費算出システムであって、機器を示す機器情報と、該機器が設置される空間を示す空間情報と、該空間における該機器のエネルギー消費に関する消費情報とが関連付けられた消費モデルを格納する消費モデルデータベースと、算出対象の、空間情報と該空間情報で示される空間の使用時間とが関連付けられた使用モデルの入力を受け付ける使用モデル受付手段と、算出対象の、機器情報と空間情報とが関連付けられた設置情報の入力を受け付ける設置情報受付手段と、使用モデル受付手段により受け付けられた使用モデルと、設置情報受付手段により受け付けられた設置情報とに基づいて、機器の稼働状況を推定する稼働状況推定手段と、稼働状況推定手段により推定された稼働状況と、消費モデルデータベースにより格納されている消費モデルとに基づいて、該稼働状況におけるエネルギー消費に関する予測情報を算出する算出手段と、算出手段により算出された予測情報を出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明のエネルギー消費算出方法は、機器のエネルギー消費に関する情報を算出するエネルギー消費算出方法であって、機器を示す機器情報と、該機器が設置される空間を示す空間情報と、該空間における該機器のエネルギー消費に関する消費情報とが関連付けられた消費モデルを格納する消費モデル格納ステップと、算出対象の、空間情報と、該空間情報で示される空間の使用時間とが関連付けられた使用モデルの入力を受け付ける使用モデル受付ステップと、算出対象の、機器情報と空間情報とが関連付けられた設置情報の入力を受け付ける設置情報受付ステップと、使用モデル受付ステップにおいて受け付けられた使用モデルと、設置情報受付ステップにおいて受け付けられた設置情報とに基づいて、機器の稼働状況を推定する稼働状況推定ステップと、稼働状況推定ステップにおいて推定された稼働状況と、消費モデル格納ステップにおいて格納された消費モデルとに基づいて、該稼働状況におけるエネルギー消費に関する予測情報を算出する算出ステップと、算出ステップにおいて算出された予測情報を出力する出力ステップと、を備えることを特徴とする。
【0007】
このようなエネルギー消費算出システム及びエネルギー消費算出方法によれば、消費モデルが予めデータベースに格納されている。まず、入力された使用モデル及び設置情報に基づいて、該使用モデルに対応する機器の稼働状況が推定される。そして、推定された稼働状況と予め用意された消費モデルとに基づいて、該稼働状況におけるエネルギー消費に関する予測情報が算出され出力される。なお、使用モデルとは、空間情報で示される空間の使用時間を示す情報である。また、稼働状況とは、入力された使用モデルにおける所定の空間に設置された機器の稼働時間を示す情報である。
【0008】
このように、機器が設置される空間(設置空間)とその空間の使用時間とに基づいて機器の稼働状況が推定されるので、エネルギー消費に関する予測情報も、設置空間及びその空間の使用時間を反映したものとなる。一般に、機器が消費するエネルギーの量は、設置空間やその空間の使用時間に依存して変動する。したがって、設置空間及びその空間の使用時間に基づく算出手法を導入することで、機器のエネルギー消費に関する情報を精度良く算出できる。
【0009】
本発明のエネルギー消費算出システムでは、空間情報と、該空間情報で示される空間の使用者を示す使用者情報と、該使用者による該空間情報で示される空間の使用時間とが関連付けられた生活パターン情報を格納する生活パターンデータベースを更に備え、使用モデル受付手段が、空間情報及び使用者情報の入力を受け付け、該空間情報及び該使用者情報に基づいて生活パターンデータベースから生活パターン情報を抽出し、該生活パターン情報に対応する使用モデルを受け付ける、ことが好ましい。
【0010】
この場合、空間情報と使用者情報と使用時間とが関連付けられた生活パターン情報が格納されている生活パターンデータベースから、入力された空間情報及び使用者情報に基づく生活パターン情報が抽出される。そして、抽出された生活パターン情報に対応する使用モデルが受け付けられる。この場合、使用モデルは、空間の使用者を更に考慮した情報である。すなわち、この使用モデルにより、使用者が空間をどの時間に使用するかという、使用者の行動パターンが表現される。そのため、この使用モデルに基づいて推定される稼働状況、及びその稼働状況に基づいて算出される予測情報は、使用者の行動パターンを反映した情報となる。一般に、機器が消費するエネルギーの量は、その機器が設置される空間の使用者の行動パターンに依存して変動する。したがって、使用者の行動パターンを考慮した使用モデルを用いることで、機器のエネルギー消費に関する情報をより精度良く算出できる。
【0011】
本発明のエネルギー消費算出システムでは、算出対象の、空間が存在する地域を示す地域情報の入力を受け付ける地域情報受付手段と、算出対象の、時期を示す時期情報の入力を受け付ける時期情報受付手段と、を更に備え、消費モデルが、機器情報と、空間情報と、空間が存在する地域を示す地域情報と、時期を示す時期情報と、地域情報で示される地域での時期情報で示される時期における消費情報とが関連付けられたモデルであり、算出手段が、稼働状況と、地域情報受付手段により受け付けられた地域情報と、時期情報受付手段により受け付けられた時期情報と、消費モデルとに基づいて、予測情報を算出する、ことが好ましい。
【0012】
この場合、空間が存在する地域と時期とを更に含む消費モデルが提供され、それら地域及び時期も考慮して予測情報が算出される。機器によっては、設置される地域の環境や稼働時期によって、一定時間内に消費するエネルギーの量が異なる場合がある。したがって、地域及び時期に基づく算出手法を導入することで、機器のエネルギー消費に関する情報をより精度良く算出できる。
【0013】
本発明のエネルギー消費算出システムでは、消費情報が、空間における機器のエネルギー消費に基づいて課金される料金であり、予測情報が、稼働状況におけるエネルギー消費に基づいて課金される料金であることが好ましい。
【0014】
この場合、消費情報がエネルギー料金であるので、予測情報は、エネルギー料金の予測値である。そのため、設置空間及び行動パターンに基づいて、エネルギー料金を精度良く算出できる。
【0015】
本発明のエネルギー消費算出システムでは、消費情報が、空間における機器のエネルギー消費に伴う二酸化炭素の排出量であり、予測情報が、稼働状況におけるエネルギー消費に伴う二酸化炭素の排出量であることが好ましい。
【0016】
この場合、消費情報が二酸化炭素排出量であるので、予測情報は、その排出量の予測値である。そのため、設置空間及び行動パターンに基づいて、二酸化炭素排出量を精度良く算出できる。
【発明の効果】
【0017】
このようなエネルギー消費算出システム及びエネルギー消費算出方法によれば、機器が設置される空間と使用モデルとに基づいてエネルギー消費に関する予測情報が算出されるので、機器のエネルギー消費に関する情報を精度良く算出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
まず、図1を用いて、実施形態に係るエネルギー消費システム1について説明する。図1は、エネルギー消費システム1の機能構成を示す図である。エネルギー消費システム1は、算出対象のエネルギー消費を予測するコンピュータシステムである。ここで算出対象とは、エネルギー消費を予測する際に考慮されるものである。具体的には、エネルギーを消費する機器、機器が設置される空間(例えば建物、部屋、屋外の空間)、空間の使用者(例えば個人や家族)、空間が存在する地域、及び時期が算出対象である。
【0020】
エネルギー消費システム1は、機能的構成要素として、格納部10、使用モデル受付部12、地域情報受付部14、時期情報受付部15、設置情報受付部16、稼働状況推定部20、算出部22、及び出力部24を備えている。
【0021】
格納部10は、所定の情報を格納する手段であり、消費モデルデータベース10aと生活パターンデータベース10bとを備えている。この格納部10は、データベースによって実現されている。
【0022】
消費モデルデータベース10aは、機器を示す機器情報と、該機器が設置される空間を示す空間情報と、該空間が存在する地域を示す地域情報と、時期を示す時期情報と、該地域内の空間において該時期に該機器を稼働させた場合の単位時間当たりのエネルギー料金とが関連付けられた消費モデルを格納するデータベースである。
【0023】
機器情報は、電気やガスなどのエネルギーを消費する機器の識別子である。何を機器情報とするかは限定されない。例えば、「エアコンディショナ1」、「エアコンディショナ2」、「ガスファンヒータ1」などのように、特定の機器を示す製品識別情報を機器情報として設定できる。また、「エアコンディショナ」、「ガスファンヒータ」のように、機器の分類を示す分類情報を機器情報として設定してもよい。
【0024】
空間情報は、部屋、ホール、屋外の特定の場所など、機器が設置される空間を識別するための情報である。空間情報の定義方法としては、例えば、「6畳の部屋」、「20mの部屋」などのような、面積に基づく方法、「マンション8畳」、「木造モルタル6畳」などのような、建物の構造と面積とに基づく方法、「リビング(12畳)」、「寝室(6.5畳)」などのような、機能と面積とに基づく方法などが考えられる。もちろん、これらの属性を組み合わせて空間情報を定義してもよいし、面積を用いずに空間情報を定義してもよい。
【0025】
地域情報は、機器が設置される空間が存在する地域を識別するための情報である。地域情報をどのように定義するかは限定されない。例えば、都道府県単位や、各都道府県内の地域単位に地域情報を構成することができる。
【0026】
時期情報は、時期を識別するための情報であり、例えば、月単位や季節単位で定義される。
【0027】
エネルギー料金は、エネルギー消費に基づいて課金される料金であり、エネルギー消費に関する消費情報の一種である。例えば、電気料金やガス料金はエネルギー料金である。また、機器が水道水を用いる場合には、水道料金もエネルギー料金に含めてよい。消費モデルデータベースに格納されるエネルギー料金は、機器を1時間稼働させた場合にかかる料金(以下では「単位料金」ともいう)である。
【0028】
なお、機器によっては、その単位料金が、空間、地域及び時期に依存しないものもある。このような機器の例として、照明器具やテレビなどが挙げられる。このような機器に対しては、例えば、空間情報を「全空間」、地域情報を「全地域」、時期情報を「通年」とした消費モデルや、空間情報、地域情報及び時期情報を省略した消費モデルを消費モデルデータベース10aに格納すればよい。この場合、各機器の単位料金は、全空間、全地域、全時期に共通する情報として扱われる。
【0029】
消費モデルデータベース10aに格納される消費モデルの例を図2及び3に示す。図2では、地域情報「A県」、時期情報「1月」における消費モデルが示されている。この消費モデルにおいて、例えば、空間「マンション6畳」で機器「エアコンディショナ1」を稼働させた場合の単位料金は、「a12(円)」に設定されている。冷暖房機器が消費するエネルギーの量は、設置される場所だけでなく、地域の気候にも依存する場合が多いから、このように、地域情報及び時期情報毎の消費モデルを設定することは有意義である。
【0030】
図3では、いくつかの属性を省略した消費モデルが示されている。図3(a)は、地域情報及び時期情報を省略した消費モデルである。例えば、空間情報「4.5畳」及び機器情報「白熱灯」に対する単位料金は、任意の地域情報及び時期情報について「M1」である。一方、図3(b)は、更に空間情報も省略した消費モデルである。例えば、機器情報「液晶テレビ22型」に対する単位料金は、任意の空間情報、地域情報及び時期情報について「S1」である。このように、エネルギー消費システム1では、消費モデルを柔軟に設定することが可能である。
【0031】
生活パターンデータベース10bは、空間情報と、該空間情報で示される空間の使用者を示す使用者情報と、該使用者による該空間情報で示される空間の使用時間とが関連付けられた生活パターン情報を格納するデータベースである。
【0032】
使用者情報は、空間を使用する個人又はグループを識別するための情報である。例えば、「単身者」、「大人3名」、「大人2名、子供2名」などのように使用者情報を定義できる。使用者情報をどのように定義するかは限定されず、例えば、年齢や性別などの属性を含む使用者情報を定義してもよい。
【0033】
使用時間は、使用者情報で示される使用者が空間情報で示される空間を何時間使用するか(どの時間帯に利用するか)を示す情報である。使用時間の定義方法は限定されず、時間及び時間帯のどちらで表現してもよい。また、使用時間を「終日」と設定したり、曜日や日にちを用いて定義したりしてもよい。
【0034】
生活パターン情報は、例えば公的・私的機関が作成した調査データに基づいて作成できる。図4は、生活パターン情報の例である。図4では、使用者「大人2名、子供2名」が空間「リビング(6畳)」を使用する時間は「7:00〜22:00」であると定義され、その使用者が空間「部屋2(6畳)」を使用する時間は「7:00〜8:00、15:00〜19:00、20:00〜22:00」と定義されている。
【0035】
使用モデル受付部12は、算出対象の、空間情報と該空間情報で示される空間の使用時間とが関連付けられた使用モデルの入力を受け付ける使用モデル受付手段である。使用モデル受付部12は、受け付けた使用モデルを稼働状況推定部20に出力する。
【0036】
使用モデル受付部12は、使用モデルの受付方法を二種類提供する。一つは直接入力による受付方法であり、もう一つは生活パターンデータベース10bから抽出する受付方法である。エネルギー消費システム1の使用者は、受付方法をこれら二種類から選択できる。
【0037】
例えば、使用モデル受付部12は、図5に示される使用モデルの直接入力を受け付ける。あるいは、使用モデル受付部12は、使用者情報及び空間情報の入力を受け付け、これら二つの情報を含む生活パターン情報を生活パターンデータベース10bから抽出し、抽出された生活パターン情報に対応する使用モデルを取得する(受け付ける)。例えば、使用モデル受付部12は、使用者情報「大人2名、子供2名」と、空間情報「建物がマンション、且つ部屋構成がキッチン(2畳)、リビング(6畳)、部屋1(4.5畳)、部屋2(6畳)及び部屋3(6畳)」の入力を受け付けて、図4で示される生活パターン情報を抽出し、この生活パターン情報に対応する使用モデル、すなわち図5に示す使用モデルを受け付ける。なお、この使用モデルは図6に示すガントチャートとして表すことが可能である。
【0038】
地域情報受付部14は、算出対象の、地域情報の入力を受け付ける地域情報受付手段である。地域情報受付部14は、受け付けた地域情報を算出部22に出力する。
【0039】
時期情報受付部15は、算出対象の、時期情報の入力を受け付ける時期情報受付手段である。時期情報受付部15は、受け付けた時期情報を算出部22に出力する。
【0040】
設置情報受付部16は、算出対象の、機器情報と空間情報とが関連付けられた設置情報の入力を受け付ける設置情報受付手段である。
【0041】
設置情報は、どの機器がどこに設置されているかを示すものである。例えば、設置情報受付部16は、機器情報「エアコンディショナ1」と空間情報「マンション6畳」とが関連付けられた設置情報の入力を受け付ける。設置情報受付部16は、受け付けた設置情報を稼働状況推定部20に出力する。
【0042】
なお、地域情報受付部14、時期情報受付部15、及び設置情報受付部16における情報の受付方法は限定されない。例えば、各受付部が、図示しない入力装置から伝達された情報を受け付けてもよいし、データベースやメモリなどの図示しない記憶装置に予め格納されている情報を読み出すことで受け付けてもよい。
【0043】
稼働状況推定部20は、使用モデル受付部12から入力された使用モデル(使用モデル受付部12により受け付けられた使用モデル)と、設置情報受付部16から入力された設置情報とに基づいて、その使用モデルにおける機器の稼働状況を推定する稼働状況推定手段である。
【0044】
具体的には、稼働状況推定部20は、入力された設置情報を含む消費モデルを消費モデルデータベース10aから抽出する。続いて、稼働状況推定部20は、抽出した消費モデルに含まれる空間情報と、入力された使用モデルに含まれる空間情報とを関連付けることで、設置情報に含まれる機器情報で示される機器の稼働推定時間を示す稼働推定情報を生成する。稼働推定情報は、ある一つの空間に存在する一つの機器についての稼働状況を示すデータの集合である。稼働状況推定部20は、生成した稼働推定情報を算出部22に出力する。
【0045】
例えば、図7に示す設置情報と、図5及び6で示される使用モデルとが入力された場合、稼働状況推定部20は、図8で示される稼働推定情報を生成する。なお、図8に示す稼働推定情報は、空間の使用時間と、該空間に設置されている機器の稼働推定時間とが等しいことを前提に生成されている。もちろん、機器の稼働推定時間を算出するための所定のプログラムを予め記憶しておき、稼働状況推定部20が、そのプログラムを用いて、機器の稼働推定時間をより詳細に算出してもよい。例えば、空間情報「キッチン(2畳)」及び空間使用時間「4.0時間」に対して、三つの機器情報「IHクッキングヒータ」、「ガスコンロ」及び「その他電気調理器具」が関連付けられている場合、各機器の使用割合に応じて稼働推定時間を算出してもよい。仮に、「IHクッキングヒータ」、「ガスコンロ」及び「その他電気調理器具」の使用割合が「30%」、「60%」及び「10%」であれば、各機器の稼働推定時間はそれぞれ「1.2時間」、「2.4時間」及び「0.4時間」となる。
【0046】
算出部22は、稼働状況推定部20から入力された稼働推定情報(稼働状況推定部20により推定された稼働状況)と、地域情報受付部14から入力された地域情報と、時期情報受付部15から入力された時期情報と、消費モデルデータベース10aに格納されている消費モデルとに基づいて、その稼働推定情報で示される稼働状況におけるエネルギー料金(エネルギー消費に関する予測情報)を算出する算出手段である。すなわち、算出部22は、入力された算出対象の使用モデル、地域情報、時期情報及び設置情報に基づくエネルギー料金を算出する。
【0047】
具体的には、算出部22は、稼働推定情報に含まれる機器情報と一致し、且つ稼働推定情報の空間情報、入力された地域情報、及び入力された時期情報を含む消費モデルを、消費モデルデータベース10aから抽出する。続いて、算出部22は、稼働推定情報に含まれる各機器情報に対して、抽出した消費モデルに含まれる単位料金と、稼働推定情報に含まれる稼働推定時間とを掛け合わせ、推定されるエネルギー料金(以下「推定料金」ともいう)を算出する。そして、算出部22は、算出された一以上の推定料金を料金情報として出力部24に出力する。
【0048】
以下、図8に示す稼働推定情報と、地域情報「A県」と、時期情報「1月」とが入力された場合の算出方法を説明する。その稼働推定情報に含まれる機器情報のうち、「ガスファンヒータ」、「エアコンディショナ1」、及び「灯油ファンヒータ」については、図2に示す消費モデルを利用できる。一方、機器情報「蛍光灯」及び「白熱灯」については、図3に示す消費モデルを利用できる。
【0049】
例えば、空間情報「マンション、リビング(6畳)」、地域情報「A県」及び時期情報「1月」に関連付けられた機器情報「エアコンディショナ1」の推定料金C1は、以下の式により得られる。
C1=a12×15.0
【0050】
また、空間情報「マンション、部屋1(4.5畳)」、地域情報「A県」及び時期情報「1月」に関連付けられた機器情報「白熱灯」の推定料金C2は、以下の式により得られる。
C2=M1×5.0
【0051】
出力部24は、算出部22により算出された推定料金を出力する出力手段である。例えば、出力部24は、算出部22から入力された料金情報を文字やグラフなどの可視情報に変換し、モニタやプリンタなどの出力装置(図示せず)に出力する。また、出力部24は、該料金情報を音声情報に変換してスピーカ(図示せず)に出力することも可能である。これにより、エネルギー消費システム1の使用者は、推定されるエネルギー料金を知ることができる。出力部24は、入力された一以上の料金情報をそのまま出力してもよいし、それら料金情報を集計して出力してもよい。
【0052】
次に、図9を用いて、図1に示すエネルギー消費システム1の処理を説明するとともに本実施形態に係るエネルギー消費算出方法について説明する。図9は、エネルギー消費システム1の処理を示すフローチャートである。
【0053】
エネルギー消費システム1では、予め、消費モデルが消費モデルデータベース10aに格納されているとともに(消費モデル格納ステップ)、空間情報、使用者情報、生活パターン情報及び使用時間が関連付けられたデータが生活パターンデータベース10bに格納されている。
【0054】
まず、使用モデル受付部12が使用モデルの入力を受け付ける。このとき、二種類の入力方法が提供され、エネルギー消費システム1の使用者がこれら二種類の入力方法のうち一の方法を選択する(ステップS11、使用モデル受付ステップ)。生活パターンデータベースを使用しない場合には(ステップS11;NO、使用モデル受付ステップ)、使用モデル受付部12は、使用モデルの直接入力を受け付ける(ステップS12、使用モデル受付ステップ)。生活パターンデータベースを使用する場合(ステップS11;YES、使用モデル受付ステップ)、使用モデル受付部12は、入力された使用者情報及び空間情報を含む生活パターン情報を生活パターンデータベース10bから抽出し、抽出した生活パターン情報に対応する使用モデルを受け付ける(ステップS13、使用モデル受付ステップ)。続いて、地域情報受付部14が地域情報の入力を受け付ける(ステップS14)。続いて、時期情報受付部15が時期情報の入力を受け付ける(ステップS15)。更に、設置情報受付部16が設置情報の入力を受け付ける(ステップS16、設置情報受付ステップ)。
【0055】
続いて、稼働状況推定部20が、受け付けられた使用モデルにおける機器の稼働状況を推定する(ステップS18、稼働状況推定ステップ)。この推定は、入力された設置情報を含む消費モデルを抽出し、抽出した消費モデルと、入力された使用モデルとが関連付けられた稼働推定情報を生成することにより行われる。
【0056】
続いて、算出部22が、推定された稼働状況と、入力された地域情報及び時期情報とに基づいてエネルギー料金を算出する(ステップS20、算出ステップ)。この算出は、入力された稼働推定情報に含まれる機器情報及び空間情報と、入力された地域情報と、入力された時期情報とを含む消費モデルを消費モデルデータベース10aから抽出し、抽出した消費モデルに含まれる単位料金と、稼動情報に含まれる稼働推定時間とを掛け合わせることにより行われる。最後に、出力部24が、算出されたエネルギー料金を出力する(ステップS22、出力ステップ)。
【0057】
以上説明したように、本実施形態によれば、機器の設置場所と使用モデルとに基づいて機器の稼働状況が推定されるので、算出される推定料金も、設置場所及びその場所の使用時間を反映したものとなる。一般に、機器が消費するエネルギーの量は、機器の設置場所及びその場所の使用時間に依存して変動する。したがって、該設置場所及びその場所の使用時間に基づく算出手法を導入することで、機器のエネルギー料金を精度良く算出できる。
【0058】
一般に、機器の使用者(消費者)は、該機器の稼働に要する費用(維持費用)について高い関心を持っている。例えば、新しい機器を購入する際、購入者は、機器の稼働に必要な電気料金やガス料金に注目することが多い。このような場合にエネルギー消費システム1を用いれば、購入者は、自身の家族構成及び使用時間が加味された維持費用を予測することができる。また、新居を購入する場合などに、転居先での機器の維持費用を予測することも可能である。
【0059】
また、本実施形態によれば、使用者の行動パターンが反映された使用モデルを用いて稼働状況が推定され、推定料金が算出される。一般に、機器が消費するエネルギーの量は、その機器が設置される空間の使用者の行動パターンに依存して変動する。したがって、使用者の行動パターンを考慮した使用モデルを用いることで、機器のエネルギー料金をより精度良く算出できる。
【0060】
また、本実施形態によれば、空間が存在する地域と時期とを更に含む消費モデルが提供され、それら地域及び時期も考慮して推定料金が算出される。機器によっては、設置される地域の環境や稼働時期によって、一定時間内に消費するエネルギーの量が異なる場合がある。したがって、本実施形態のように、地域及び時期に基づく算出手法を導入することで、機器のエネルギー料金をより精度良く算出できる。
【0061】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で以下のような様々な変形が可能である。
【0062】
上記実施形態では、消費情報がエネルギー料金である消費モデルを用いたが、消費情報の種類は限定されない。例えば、二酸化炭素排出量を消費情報とする消費モデルを用いてもよい。この場合、機器の設置場所及び使用者の行動パターンに基づいて、二酸化炭素排出量の予測値を精度良く算出できる。また、電気やガスなどの消費量を消費情報とする消費モデルを用いてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、機器情報、空間情報、地域情報、時期情報及び消費情報が関連付けられた消費モデルを使用したが、消費モデルの構成はこれに限定されない。例えば、機器情報、空間情報及び消費情報のみが関連付けられた消費モデルを使用してもよい。また、図10のように機器情報と使用者情報と消費情報とが関連付けられた消費モデルを使用してもよい。この場合、使用モデルに使用者情報が含まれている必要がある。したがって、使用モデル受付部12は、図4に示すような使用モデルの直接入力を受け付けるか、同図に示す生活パターン情報をそのまま使用モデルとして受け付ける。例えば、洗濯機、IHクッキングヒータ、ガスコンロのように、使用頻度が家族構成に依存する可能性が高い機器については、空間情報ではなく使用者情報に基づく消費モデルを用いた方がより好ましい。そして、上記実施形態で用いた消費モデルと、このような別の消費モデルとを併用することで、より精度の高い予測を行うことが可能になる。
【0064】
上記実施形態では、使用者情報を含む使用モデルを用いたが、使用者情報を含まない使用モデルを用いてもよい。この場合でも、使用モデル受付部12が各空間の使用時間の入力を直接受け付けることで、機器の稼働状況の推定に必要な使用モデルを稼働状況推定部20に出力できる。
【0065】
エネルギー消費システム1のハードウェア構成は限定されない。例えば、エネルギー消費システム1を一台のコンピュータで構成したり、クライアントサーバ型のシステムで構成したりすることが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施形態に係るエネルギー消費システムの機能構成を示す図である。
【図2】図1に示す消費モデルデータベースに格納される消費モデルの例を示す図である。
【図3】図1に示す消費モデルデータベースに格納される消費モデルの例を示す図であり、(a)は、地域情報及び時期情報を省略した消費モデル、(b)は、更に空間情報も省略した消費モデルである。
【図4】図1に示す生活パターンデータベースに格納される生活パターン情報の例を示す図である。
【図5】図1に示す使用モデル受付部が受け付ける使用モデルの例である。
【図6】図5に示す使用モデルのガントチャートである。
【図7】設置情報の例を示す図である。
【図8】稼働推定情報の例を示す図である。
【図9】図1に示すエネルギー消費システムの処理を示すフローチャートである。
【図10】消費モデルの変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
1…エネルギー消費システム、10a…消費モデルデータベース、10b…生活パターンデータベース、12…使用モデル受付部(使用モデル受付手段)、14…地域情報受付部(地域情報受付手段)、15…時期情報受付部(時期情報受付手段)、16…設置情報受付部(設置情報受付手段)、20…稼働状況推定部(稼働状況推定手段)、22…算出部(算出手段)、24…出力部(出力手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器のエネルギー消費に関する情報を算出するエネルギー消費算出システムであって、
機器を示す機器情報と、該機器が設置される空間を示す空間情報と、該空間における該機器のエネルギー消費に関する消費情報とが関連付けられた消費モデルを格納する消費モデルデータベースと、
算出対象の、前記空間情報と該空間情報で示される空間の使用時間とが関連付けられた使用モデルの入力を受け付ける使用モデル受付手段と、
前記算出対象の、前記機器情報と前記空間情報とが関連付けられた設置情報の入力を受け付ける設置情報受付手段と、
前記使用モデル受付手段により受け付けられた使用モデルと、前記設置情報受付手段により受け付けられた設置情報とに基づいて、前記機器の稼働状況を推定する稼働状況推定手段と、
前記稼働状況推定手段により推定された稼働状況と、前記消費モデルデータベースにより格納されている消費モデルとに基づいて、該稼働状況におけるエネルギー消費に関する予測情報を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された予測情報を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とするエネルギー消費算出システム。
【請求項2】
前記空間情報と、該空間情報で示される空間の使用者を示す使用者情報と、該使用者による該空間情報で示される空間の使用時間とが関連付けられた生活パターン情報を格納する生活パターンデータベースを更に備え、
前記使用モデル受付手段が、前記空間情報及び前記使用者情報の入力を受け付け、該空間情報及び該使用者情報に基づいて前記生活パターンデータベースから前記生活パターン情報を抽出し、該生活パターン情報に対応する前記使用モデルを受け付ける、
ことを特徴とする請求項1に記載のエネルギー消費算出システム。
【請求項3】
前記算出対象の、前記空間が存在する地域を示す地域情報の入力を受け付ける地域情報受付手段と、
前記算出対象の、時期を示す時期情報の入力を受け付ける時期情報受付手段と、
を更に備え、
前記消費モデルが、前記機器情報と、前記空間情報と、前記空間が存在する地域を示す地域情報と、時期を示す時期情報と、前記地域情報で示される地域での前記時期情報で示される時期における前記消費情報とが関連付けられたモデルであり、
前記算出手段が、前記稼働状況と、前記地域情報受付手段により受け付けられた地域情報と、前記時期情報受付手段により受け付けられた時期情報と、前記消費モデルとに基づいて、前記予測情報を算出する、
請求項1又は2に記載のエネルギー消費算出システム。
【請求項4】
前記消費情報が、前記空間における前記機器のエネルギー消費に基づいて課金される料金であり、
前記予測情報が、前記稼働状況におけるエネルギー消費に基づいて課金される料金である、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のエネルギー消費算出システム。
【請求項5】
前記消費情報が、前記空間における前記機器のエネルギー消費に伴う二酸化炭素の排出量であり、
前記予測情報が、前記稼働状況におけるエネルギー消費に伴う二酸化炭素の排出量である、
請求項1〜4のいずれか一項に記載のエネルギー消費算出システム。
【請求項6】
機器のエネルギー消費に関する情報を算出するエネルギー消費算出方法であって、
機器を示す機器情報と、該機器が設置される空間を示す空間情報と、該空間における該機器のエネルギー消費に関する消費情報とが関連付けられた消費モデルを格納する消費モデル格納ステップと、
算出対象の、前記空間情報と、該空間情報で示される空間の使用時間とが関連付けられた使用モデルの入力を受け付ける使用モデル受付ステップと、
前記算出対象の、前記機器情報と前記空間情報とが関連付けられた設置情報の入力を受け付ける設置情報受付ステップと、
前記使用モデル受付ステップにおいて受け付けられた使用モデルと、前記設置情報受付ステップにおいて受け付けられた設置情報とに基づいて、前記機器の稼働状況を推定する稼働状況推定ステップと、
前記稼働状況推定ステップにおいて推定された稼働状況と、前記消費モデル格納ステップにおいて格納された消費モデルとに基づいて、該稼働状況におけるエネルギー消費に関する予測情報を算出する算出ステップと、
前記算出ステップにおいて算出された予測情報を出力する出力ステップと、
を備えることを特徴とするエネルギー消費算出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−250542(P2008−250542A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−89538(P2007−89538)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000004444)新日本石油株式会社 (1,898)