説明

エネルギー管理システム

【課題】空調エネルギー使用量のテナント毎の分配を公平に行うことのできるエネルギー管理システムを提供する。
【解決手段】顧客ビル1に設置されたビル管理装置9の記憶装置13に空調用積算電力計4の計測データと室内温度計6の計測データおよび空調装置2の冷暖房稼働期間データを格納し、これらデータを通信回線14を介して計算装置15へ送信する。計算装置15は、各テナント5の総床面積に対する個々の床面積の比率を床面積係数として記憶する床面積係数記憶部20Aと、各テナント5の室内平均温度を算出する室内平均温度算出部26Aと、各テナント5の空調エネルギー係数を算出する空調エネルギー係数算出部26Bと、各テナント5の空調使用電力量を演算する空調エネルギー算出部26とを備えており、各テナント5の室内平均温度や床面積を考慮して使用電力量を按分するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調エネルギー使用量を示す電力量計を共有する複数のテナントの使用実績管理に好適なエネルギー管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物内に複数のテナントを入居させる場合、1つの空調設備を複数のテナントで共有することがある。このような場合において、各テナントの使用した空調エネルギー使用実績を反映した空調エネルギー課金システムが普及しているが、テナント毎の空調使用実態が異なるため、テナント毎の空調エネルギー使用量の正確な把握が困難な面がある。そこで従来より、各テナントの空調設備スイッチが0N/0FF操作された時刻の履歴を記憶するスイッチ操作記録部と、空調エネルギーの使用量の履歴を記憶するエネルギー使用量記録部と、空調エネルギーの使用状況の履歴を記憶するエネルギー使用状況記録部と、使用状況の履歴に対して空調0FFであった時間帯を除外して修正させるエネルギー使用判断部とを備え、修正された履歴に基づいて空調エネルギーを同時使用していたテナント数を計数し、複数のテナントが同時使用していた時間帯では、空調エネルギーの使用量を所定の割合で各テナントに分配するようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−230163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、空調エネルギーの使用量は、各テナント毎の空調設定温度や空調延長時間、あるいは室内面積といった様々な状態の変化に応じた分配を実施する必要がある。しかしながら、上記特許文献1に開示された空調エネルギー課金システムでは、空調設備スイッチの0N/0FF操作時間を計数し、同時使用していたテナント数に応じて空調エネルギー使用量を分配するのみであり、空調設定温度や空調延長時間や室内面積を加味した計算を実施していないため、テナント毎の空調エネルギー使用量の分配が不公平になる場合があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、空調エネルギー使用量のテナント毎の分配を公平に行うことができるエネルギー管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、設備エネルギーの使用量を示す電力量計を共有する複数のテナントに対し、少なくとも空調装置の使用電力量を計測する電力量計の計測データと、各テナントの室内温度を計測する室内温度計の計測データと、前記空調装置の冷暖房稼働期間データとに基づいて、計算装置が各テナント毎に使用電力量を按分して結果を出力するようにしたエネルギー管理システムにおいて、前記計算装置が、各テナントの総床面積に対する個々の床面積の比率を床面積係数として記憶する床面積係数記憶部と、前記室内温度計の計測値から各テナントの室内平均温度を算出する室内平均温度算出部と、前記室内平均温度と前記冷暖房稼動期間データから各テナントの空調エネルギー係数を算出する空調エネルギー係数算出部と、前記空調エネルギー係数と前記床面積係数および前記電力量計の計測データから各テナントの空調使用電力量を演算する空調エネルギー算出部とを備えている構成とした。
【0007】
このように構成されたエネルギー管理システムでは、設備エネルギーの使用量を示す電力量計を共有する複数のテナントに対し、各テナントの室内平均温度や床面積を考慮して使用電力量を按分するため、各テナントに対して公平な電力量を請求することがきる。
【0008】
上記のエネルギー管理システムにおいて、電力量計の計測データと室内温度計の計測データおよび冷暖房稼働期間データを、キーボードなどを用いて計算装置の記憶装置に直接入力したり、メモリーカードなどの電子記憶媒体を用いて計算装置の記憶装置に取り込むようにしても良いが、計測データ記憶装置を有するビル管理装置を備え、電力量計の計測データと室内温度計の計測データおよび冷暖房稼働期間データをビル管理装置の計測データ記憶装置に格納すると共に、この計測データ記憶装置に記憶された各データを所定の周期で通信回線を介して計算装置へ送信するようにすると、通信によってデータの送信を行うことができて好ましい。
【0009】
また、上記のエネルギー管理システムにおいて、空調エネルギー係数は、予め設定された基準温度で空調装置を所定時間作動させたときの基準面積あたりの電力使用量に対し、任意の室内温度で空調装置を所定時間作動させたときの基準面積あたりの電力使用量の比率であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によるエネルギー管理システムでは、設備エネルギーの使用量を示す電力量計を共有する複数のテナントに対し、空調装置により空調された室内の平均温度や各テナントが借用している床面積を考慮して使用電力量を按分するようにしたので、各テナントに対して公平な電力量を請求することがきる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態例に係るエネルギー管理システムのブロック構成図である。
【図2】該エネルギー管理システムの動作手順を示すフローチャートである。
【図3】該エネルギー管理システムにおける冷房時の冷房空調負荷係数の算出方法を示す説明図である。
【図4】該エネルギー管理システムにおける暖房時の暖房空調負荷係数の算出方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1に示すように、建物である顧客ビル1には複数のテナント5が入居しており、これらテナント5は必要に応じてテナントa〜テナントcとして説明する。この顧客ビル1には空調装置2とエネルギー計測部3が設けられており、空調装置2には冷房・暖房でそれぞれ空調を実施した期間が分かる冷暖房稼動期間データを出力する出力装置7が設置されている。エネルギー計測部3は空調用積算電力計4と室内温度計6とを有しており、空調用積算電力計4は、顧客ビル1の空調を行う空調装置2の電力使用量を計数すると共に、その計数データを出力する。室内温度計6は複数のテナント5毎に設置されており、この室内温度計6は、テナント5の室内の温度を計数すると共に、その計数データを出力する。
【0013】
また、顧客ビル1にはビル管理装置9が設置されており、このビル管理装置9はデータ取込部10と制御装置11と通信装置12および記憶装置13を有している。空調用積算電力計4と室内温度計6および出力装置7は、制御装置11に予め記憶されたプログラムに基づいて、電力使用量の計数データやテナント5の室内温度の計数データや空調装置2の冷暖房稼動期間データを出力し、データ取込部10が取り込んだこれらデータは制御装置11によって記憶装置13に格納される。そして、記憶装置13に格納された各データは、通信装置12および通信回線14を介して遠隔的に接続された計算装置15に定期的に取り込まれるようになっている。
【0014】
この計算装置15には、ビル管理装置9と通信回線14を介して遠隔的に接続される通信装置16と、所定のプログラムが組み込まれて計算装置15の制御を行う制御装置17と、ビル管理装置9の記憶装置13に記憶されている各種データを取り込むテナント情報取得部18と、このテナント情報取得部18の起動によって記憶装置13より取得した電力使用量の計数データやテナント5の室内温度の計数データや空調装置2の冷暖房稼動期間データを記憶する記憶装置20と、顧客ビル1のテナント5毎の空調電力使用量を按分する空調エネルギー算出部26と、この空調エネルギー算出部26で求めた空調電力使用量を外部に出力する情報出力部23とが備えられている。ここで、テナント情報取得部18は、通信装置16および通信回線14を介してビル管理装置9の通信装置12と遠隔的に接続する時期や時刻を顧客ビル1毎に記憶し、その時期や時刻となると、制御装置17を起動してビル管理装置9の記憶装置13に記憶されているデータを取り込む。また、空調エネルギー算出部26は、記憶装置20に記憶されているテナント5の室内温度の計数データを演算し、顧客ビル1のテナント5毎の室内平均温度を算出し、このテナント5毎の室内平均温度と記憶装置20に記憶されている冷暖房稼動期間データとを用いて演算し、テナント5毎の空調エネルギー係数を算出し、このテナント5毎の空調エネルギー係数と記憶装置20に記憶されている電力使用量の計数データを演算し、顧客ビル1のテナント5毎の空調電力使用量を按分する。
【0015】
なお、通信回線14とビル管理装置9および通信装置16のいずれか1つ以上が設置されていない場合、計算装置15は上記の構成に加えて、外部情報入力部21と外部情報取得部22のいずれか1つまたは両方を備えた構成となっている。ここで、外部情報入力部21では、電力使用量の計数データやテナント5の室内温度の計数データや空調装置2の冷暖房稼動期間データを、キーボードなどから記憶装置20に直接入力することが可能であり、外部情報取得部22では、電力使用量の計数データやテナント5の室内温度の計数データや空調装置2の冷暖房稼動期間データを、メモリーカードなどの電子記憶媒体から記憶装置20に取り込むことが可能である。すなわち、電力使用量の計数データやテナント5の室内温度の計数データや空調装置2の冷暖房稼動期間データは、必ずしもビル管理装置9の記憶装置13から通信回線14を介して計算装置15の記憶装置20に記憶させなくても良く、キーボードなどを用いて記憶装置20に直接入力したり、メモリーカードなどの電子記憶媒体を用いて記憶装置20に取り込まれるようにすることも可能である。したがって、通信回線14とビル管理装置9および通信装置16の全てが設置されている場合、これら外部情報入力部21や外部情報取得部22は不要となる。
【0016】
記憶装置20は、顧客ビル1における空調装置2で空調可能なテナント5の総床面積に対する個々のテナントa〜テナントcの床面積の比率を床面積係数とする床面積係数記憶部20Aと、空調エネルギー算出部26で求めたテナント5毎の空調電力使用量を記憶する計算結果記憶部20Bとを有している。ここで、床面積係数はテナント5の床面積の増減によって再登録されるものである。
【0017】
また、空調エネルギー算出部26は、後述するテナント5毎の室内平均温度の算出を行う室内平均温度算出部26Aと、同じく後述する室内平均温度と空調負荷係数を用いた計算式により求められる空調エネルギー係数を演算する空調エネルギー係数算出部26Bとを有している。
【0018】
次に、本実施形態例に係るエネルギー管理システムの動作手順を図2のフローチャートを用いて説明する。
【0019】
まず、通信回線14とビル管理装置9および通信装置16の全てが設置されており、ステップS1において、通信によるデータの送信が可能な場合(Yesの場合)、テナント情報取得部18は、顧客ビル1のデータを取得する時間や時期になると、制御装置17に対してテナント情報取得要求を出力する(ステップS2)。そして、テナント情報取得要求の指令を受けた制御装置17は、通信装置16を起動させ、通信回線14を介してビル管理装置9の通信装置12との接続を行い、ビル管理装置9の制御装置11に対してテナント情報取得コマンドを送信する(ステップS3)。
【0020】
次に、テナント情報取得コマンドを受信した制御装置11は、記憶装置13に記憶されている各種データ、つまり、空調装置2の前回テナント情報取得コマンドを受信した時点から今回テナント情報取得コマンドを受信した時点までの空調用積算電力計4が計測した空調装置2の電力使用量データや、テナント5毎に室内温度計6が前回テナント情報取得コマンドを受信した時点から今回テナント情報取得コマンドを受信した時点までに所定間隔で計測した室内温度データや、空調装置2が前回テナント情報取得コマンドを受信した時点から今回テナント情報取得コマンドを受信した時点までの冷房または暖房でそれぞれ空調を実施した期間が分かる冷暖房稼動期間データを、それぞれ計算装置15の制御装置17へ送信する。制御装置17はビル管理装置9からこれらのデータを取得すると(ステップS4)、それを記憶装置20へ格納する(ステップS6)。
【0021】
一方、通信回線14とビル管理装置9および通信装置16のいずれか1つ以上が設置されておらず、ステップS1において、通信によるデータの送信ができない場合(Noの場合)、テナント5毎に空調電力使用量を按分する期間の空調用積算電力計4が計測した空調装置2の電力使用量データや、同じくテナント5毎に空調電力使用量を按分する期間のテナント5毎の室内温度計6が所定間隔で計測した室内温度データや、同じくテナント5毎に空調電力使用量を按分する期間の冷房または暖房でそれぞれ空調を実施した期間が分かる冷暖房稼動期間データを、目視による記録または空調用積算電力計4や室内温度計6や空調装置2からデータとして取得し(ステップS5)、外部情報入力部21や外部情報取得部22から記憶装置20へ直接格納する(ステップS6)。
【0022】
ステップS6において、電力使用量の計数データやテナント5の室内温度の計数データや空調装置2の冷暖房稼動期間データが記憶装置20に格納されると、空調エネルギー算出部26は、テナントa〜cの空調エネルギーを算出するために、ステップS6で記憶装置20に格納されたデータを取得する(ステップS7)。ここで、テナントaから順に演算することとなる。
【0023】
まず、ステップS8において、空調エネルギー算出部26が取得したデータであるテナントaの室内温度データを用い、室内平均温度算出部26Aでテナントaの室内平均温度の算出を行う。室内平均温度は室内温度データの合計を室内温度データのデータ数で割り算することによって求めることができる。
【0024】
次に、ステップS9において、室内平均温度演算部26Aで演算した室内平均温度と、空調エネルギー算出部26が取得したデータである冷暖房稼動期間データとを用い、空調エネルギー係数算出部26Bでテナントaの空調エネルギー係数の演算を行う。冷房時の空調エネルギー係数は、1.0+(室内平均温度−冷房基準温度)×冷房空調負荷係数で求めることができ、暖房時の空調エネルギー係数は、1.0+(室内平均温度−暖房基準温度)×暖房空調負荷係数で求めることができる。
【0025】
ここで、冷房基準温度は冷房期間の標準設定温度であり、顧客ビル1においてテナント5室内の冷房時の温度を28℃と決めている場合、冷房基準温度は28℃となる。また、暖房基準温度は暖房期間の標準設定温度であり、顧客ビル1においてテナント5室内の暖房時の温度を20℃と決めている場合、暖房基準温度は20℃となる。これら冷房基準温度と暖房基準温度は、空調エネルギー係数算出部26Bが空調エネルギー係数を演算する前に、予め空調エネルギー係数算出部26Bに定数として設定しておくものとする。
【0026】
なお、冷房時と暖房時の区別は、ステップS6で記憶装置20に格納された冷暖房稼動期間データにより判別する。ここで、冷暖房稼動期間データに冷房期間と暖房期間が混在する場合は、冷房期間と暖房期間のそれぞれで空調エネルギー係数の演算を行い、それぞれの稼動期間の比率で足し合わせる。したがって、冷房期間と暖房期間が混在する場合の空調エネルギー係数は、冷房時の空調エネルギー係数×(冷房期間/データ取得期間)+暖房時の空調エネルギー係数×(暖房期間/データ取得期間)で求めることができる。
【0027】
次に、前記ステップS9の演算で使用する冷房空調負荷係数と暖房空調負荷係数について図3と図4を用いて説明する。
【0028】
図3は、各種ビルで空調装置が単一のテナントで使用されている場合において、冷房で使用した時の電力使用量と室内温度を実際に計測し、その時の実測値を実測値A1から実測値Anとしてプロットしている。ここで、実測値A1〜Anの近似曲線Y=aX+bを算出し、この近似曲線Yの傾きであるaを冷房空調負荷係数とする。
【0029】
図4は、各種ビルで空調装置が単一のテナントで使用されている場合において、暖房で使用した時の電力使用量と室内温度を実際に計測し、その時の実測値を実測値B1から実測値Bnとしてプロットしている。ここで、実測値B1〜Bnの近似曲線Y=cX+dを算出し、この近似曲線Yの傾きであるcを暖房空調負荷係数とする。
【0030】
これら冷房空調負荷係数と暖房空調負荷係数は、別途算出した値を、空調エネルギー係数算出部26Bが空調エネルギー係数を演算する前に、予め空調エネルギー係数算出部26Bに定数として設定しておくものとする。
【0031】
図2のフローチャートに戻って説明を続けると、空調エネルギー係数算出部26Bでテナントaの空調エネルギー係数の演算を行った後(ステップS9)、ステップS10において、空調エネルギー算出部26は床面積係数記憶部20Aからテナントaの床面積係数を取り込み、テナント按分比率係数を算出する(ステップS11)。ここで、テナントaのテナント按分比率係数は、テナントaの床面積係数と空調エネルギー係数の積で求められる。
【0032】
次に、ステップS12において、残りのテナントbおよびテナントcに関してステップS11の演算が完了したか否かを判断し、完了していないとき(Noの場合)はステップS8に戻る。
【0033】
そして、全テナントa〜cのテナント按分比率係数の算出が完了すると、ステップS12からステップS13に進み、空調エネルギー算出部26が空調装置2の電力使用量の按分を行う。ここで、テナントaの電力使用量の按分は、テナントaのテナント按分比率係数をテナントa〜cのテナント按分比率係数の総和で割り算し、空調装置2の電力使用量を掛け算することで求めることができる。
【0034】
しかる後、ステップS14へ進み、ステップS13で行った演算により算出されたテナントa〜cの電力使用量の結果を、一旦、計算結果記憶部20Bに格納する。これにより、テナント5毎に算出した電力使用量を計算結果記憶部20Bからディスプレイやプリンターなどの情報出力部23により出力することができるようになり、顧客ビル1のテナント5毎に空調エネルギー使用量が確認できるようになる(ステップS15)。
【0035】
以上説明したように、本実施形態例に係るエネルギー管理システムでは、複数のテナント5(a〜c)毎に使用電力量を按分して結果を出力する計算装置15が、各テナントa〜cの総床面積に対する個々の床面積の比率を床面積係数として記憶する床面積係数記憶部20Aと、室内温度計6の計測値から各テナントa〜cの室内平均温度を算出する室内平均温度算出部26Aと、室内平均温度と空調装置2の冷暖房稼動期間データとから各テナントa〜cの空調エネルギー係数を算出する空調エネルギー係数算出部26Bと、空調エネルギー係数と床面積係数および空調用積算電力計4の計測データから各テナントa〜cの空調使用電力量を演算する空調エネルギー算出部26とを備えており、空調装置2により空調された室内の平均温度や各テナントa〜cが借用している床面積を考慮して使用電力量を按分するようにしたので、設備エネルギーの使用量を示す電力量計を共有する複数のテナント5に対して公平な電力量を請求することがきる。
【0036】
また、各テナントa〜cが入居する顧客ビル1に計測データ記憶装置13を有するビル管理装置9が設置されており、空調用積算電力計4の計測データと室内温度計6の計測データおよび空調装置2の冷暖房稼働期間データをビル管理装置9の計測データ記憶装置13に格納すると共に、この計測データ記憶装置13に記憶された各種データを所定の周期で通信回線14を介して計算装置15へ送信するようにしたので、作業員がキーボードやメモリーカードを用いてデータ入力をしなくても、通信によってデータの送信を自動的に行うことができる。
【符号の説明】
【0037】
1 顧客ビル
2 空調装置
3 エネルギー計測部
4 空調用積算電力計
5 テナント
6 室内温度計
7 出力装置
9 ビル管理装置
10 データ取込部
11 制御装置
12 通信装置
13 記憶装置
14 通信回線
15 計算装置
16 通信装置
17 制御装置
18 テナント情報取得部
20 記憶装置
20A 床面積係数記憶部
20B 計算結果記憶部
21 外部情報入力部
22 外部情報取得部
23 情報出力部
26 空調エネルギー算出部
26A 室内平均温度算出部
26B 空調エネルギー係数算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備エネルギーの使用量を示す電力量計を共有する複数のテナントに対し、少なくとも空調装置の使用電力量を計測する電力量計の計測データと、各テナントの室内温度を計測する室内温度計の計測データと、前記空調装置の冷暖房稼働期間データとに基づいて、計算装置が各テナント毎に使用電力量を按分して結果を出力するようにしたエネルギー管理システムにおいて、
前記計算装置が、各テナントの総床面積に対する個々の床面積の比率を床面積係数として記憶する床面積係数記憶部と、前記室内温度計の計測値から各テナントの室内平均温度を算出する室内平均温度算出部と、前記室内平均温度と前記冷暖房稼動期間データから各テナントの空調エネルギー係数を算出する空調エネルギー係数算出部と、前記空調エネルギー係数と前記床面積係数および前記電力量計の計測データから各テナントの空調使用電力量を演算する空調エネルギー算出部とを備えていることを特徴とするエネルギー管理システム。
【請求項2】
請求項1記載のエネルギー管理システムにおいて、計測データ記憶装置を有するビル管理装置を備え、前記電力量計の計測データと前記室内温度計の計測データおよび前記冷暖房稼働期間データを前記計測データ記憶装置に格納すると共に、この計測データ記憶装置に記憶された前記各データを所定の周期で通信回線を介して前記計算装置へ送信するようにしたことを特徴とするエネルギー管理システム。
【請求項3】
請求項1または2記載のエネルギー管理システムにおいて、前記空調エネルギー係数は、予め設定された基準温度で前記空調装置を所定時間作動させたときの基準面積あたりの電力使用量に対し、任意の室内温度で前記空調装置を所定時間作動させたときの基準面積あたりの電力使用量の比率であることを特徴とするエネルギー管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−37438(P2013−37438A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171111(P2011−171111)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)