説明

エネルギー管理情報報知システム及びエネルギー管理情報報知方法

【課題】ユーザがエネルギー消費行動を改善する上で効果的な情報をユーザに報知する。
【解決手段】消費量を計測器を用いて計測することにより取得される消費量データを、ユーザ端末21から受信するデータ受信部17と、データ受信部17が受信した消費量データを解析するデータ解析部13と、データ解析部13による解析結果に応じたエネルギー管理情報を示すエネルギー管理情報データを、生成するデータ生成部14と、ユーザ端末21にてエネルギー管理情報データに基づいてエネルギー管理情報が報知されるように、ユーザ端末21に向けてエネルギー管理情報データを配信するデータ配信部15と、を有し、データ解析部13は、ユーザがエネルギー消費行動を行う上で管理すべき管理項目に応じた解析方式にて、消費量データを解析し、データ生成部14は、エネルギー管理情報が管理項目と対応して報知されるようなエネルギー管理情報データを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザのエネルギー消費行動に伴って建造物内にて消費されるエネルギーの消費量を削減するために用いられるエネルギー管理情報を、ユーザに対して報知するためのエネルギー管理情報報知システム及びエネルギー管理情報報知方法に係り、特に、ユーザが保有するユーザ端末に向けて、エネルギー管理情報を示すエネルギー管理情報データを配信するエネルギー管理情報報知システム及びエネルギー管理情報報知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気、ガス、水道等をはじめ、ユーザのエネルギー消費行動に伴って住宅やビル等の建造物内にて消費されるエネルギーについて、その消費量を削減するために用いられるエネルギー管理情報をユーザに対して報知するためのエネルギー管理情報報知システムは既に知られている(例えば、特許文献1参照)。こうしたエネルギー管理情報報知システムの多くは、エネルギー管理情報の報知にあたり、ユーザのエネルギー消費行動に伴って建造物内にて消費されるエネルギーの消費量(以下、単に消費量という)を、計測器を用いて計測することにより取得される消費量データを解析する。その後、エネルギー管理情報報知システムは、その解析結果に応じたエネルギー管理情報を報知するために、ユーザが保有するユーザ端末に向けて、エネルギー管理情報を示すエネルギー管理情報データを配信する。
【0003】
ところで、エネルギー管理情報報知システムが報知する情報としては、エネルギー消費量の実績値や、エネルギー消費量の目標値と実績値との比率等が挙げられる。また、特許文献1に記載のエネルギー消費削減支援装置では、エネルギー消費量の実績値等を住宅内の部屋別に又は電気使用機器別にユーザに報知させることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−169314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のエネルギー管理情報報知システムでは、同システムにより報知されるエネルギー管理情報の利用者であるユーザにとって、エネルギー消費量の実績値やその推移を把握することができるものの、エネルギー消費量を削減するための具体策を講じるのに十分な情報を報知できていない。かかる状況については、特許文献1に記載のエネルギー消費削減支援装置についても同様である。すなわち、当該装置から報知された情報をユーザが受け取ったとしても、ユーザは、部屋別又は機器別にエネルギー消費量を把握することができるものの、エネルギー消費行動を改善する上で具体的に何をすべきであるかについてまでは把握することができない場合もある。
以上のように、従来では、エネルギー管理情報報知システムが報知するエネルギー管理情報のうち、効果的なものが少なく、ユーザにとって利用価値がない情報が報知される虞があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、エネルギー消費量削減に向けてユーザがエネルギー消費行動を改善するのに効果的な情報を報知することが可能なシステムを構築することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明のエネルギー管理情報報知システムによれば、ユーザのエネルギー消費行動に伴って建造物内にて消費されるエネルギーの消費量を削減するために用いられるエネルギー管理情報を、前記ユーザに報知するために、前記ユーザが保有するユーザ端末に向けて、前記エネルギー管理情報を示すエネルギー管理情報データを配信するエネルギー管理情報報知システムであって、(A)前記消費量を計測器を用いて計測することにより取得される消費量データを、前記ユーザ端末側から受信するデータ受信部と、(B)該データ受信部が受信した前記消費量データを解析するデータ解析部と、(C)該データ解析部による解析結果に応じた前記エネルギー管理情報を示す前記エネルギー管理情報データを、生成するデータ生成部と、(D)前記ユーザ端末にて前記エネルギー管理情報データに基づいて前記エネルギー管理情報が前記ユーザに報知されるように、前記ユーザ端末に向けて前記エネルギー管理情報データを配信するデータ配信部と、を有し、(E1)前記データ解析部は、前記ユーザが前記エネルギー消費行動を行う上で管理すべき管理項目に応じた解析方式にて、前記消費量データを解析し、(E2)前記データ生成部は、前記エネルギー管理情報が前記管理項目と対応して報知されるような前記エネルギー管理情報データを生成することにより解決される。
本発明のエネルギー管理情報報知システムは、ユーザのエネルギー消費行動に伴って建造物内にて消費されるエネルギーの消費量を示す消費量データを、ユーザがエネルギー消費行動を行う上で管理すべき管理項目に応じた解析方式にて解析する。また、本発明のエネルギー管理情報報知システムは、上記データ解析の解析結果に応じたエネルギー管理情報が管理項目と対応して報知されるようなデータ(エネルギー管理情報データ)を生成する。このようにして報知されるエネルギー管理情報を利用することにより、ユーザは、いずれの管理項目についてエネルギー消費行動を見直せばよいのかを容易に把握することが可能となる。すなわち、上記の構成により、エネルギー消費量の削減に向けてエネルギー消費行動を改善しようと考えているユーザにとって効果的な情報を報知することが可能になる。
【0008】
また、上記のエネルギー管理情報報知システムにおいて、前記データ解析部は、前記管理項目に応じた算出方式にて前記管理項目に関する評価点を前記解析結果として算出し、
前記データ生成部は、前記評価点に応じた前記エネルギー管理情報が前記管理項目と対応して報知されるような前記エネルギー管理情報データを生成することとしてもよい。
かかる構成であれば、定量的なデータ解析が行われる結果、当該解析結果に応じたエネルギー管理情報について、その信憑性が向上する。
【0009】
また、上記のエネルギー管理情報報知システムにおいて、前記消費量データが、前記ユーザの前記エネルギー消費行動に伴って住宅内にて消費される消費電力量を示すデータである場合、電源の消し忘れ時間、前記ユーザが複数保有する同種の機器が同時使用される時間、総消費電力量に対する待機時消費電力量の割合、総消費電力量に対する深夜の消費電力量の割合、及び、前記ユーザが保有する機器の中で連続的に使用される機器についての連続使用時間のうち、少なくとも1つが前記管理項目とされていることとしてもよい。
かかる構成であれば、消費電力量の削減に向けてエネルギー消費行動を改善しようと考えているユーザにとって、効果的かつ具体的な情報を報知することが可能になる。
【0010】
また、上記のエネルギー管理情報報知システムにおいて、前記エネルギー管理情報報知システムは、前記エネルギー管理情報として、前記評価点に関する評価点情報を報知し、前記データ生成部は、前記評価点情報が前記管理項目と対応して報知されるような前記エネルギー管理情報データを生成することとしてもよい。
【0011】
また、上記のエネルギー管理情報報知システムにおいて、前記エネルギー管理情報報知システムは、前記エネルギー管理情報として、前記評価点情報、及び、前記エネルギー消費行動の改善のために用いられるアドバイス情報を報知し、前記データ生成部は、前記評価点情報が前記管理項目と対応して報知され、かつ、前記評価点に応じた前記アドバイス情報が報知されるような前記エネルギー管理情報データを生成することとしてもよい。
かかる構成であれば、エネルギー消費量の削減に向けてエネルギー消費行動を改善しようと考えているユーザにとって、より効果的な情報を報知することが可能になる。
【0012】
また、上記のエネルギー管理情報報知システムにおいて、前記アドバイス情報を示すアドバイスデータが複数記憶された記憶部を有し、前記データ生成部は、前記エネルギー管理情報データを生成する際に、複数の前記アドバイスデータの中から、前記評価点に応じた前記アドバイス情報を示す前記アドバイスデータを前記評価点に基づいて抽出し、抽出した前記アドバイスデータを前記エネルギー管理情報データに組み込むこととしてもよい。
かかる構成であれば、ユーザに報知するアドバイス情報のデータとして適当なアドバイスデータが抽出されることになる。この結果、ユーザがエネルギー消費行動を見直す上で、的確なエネルギー管理情報を報知することが可能になる。
【0013】
また、上記のエネルギー管理情報報知システムにおいて、前前記データ解析部は、前記評価点を算出するにあたり、前記算出方式として第1算出方式及び第2算出方式のうちのいずれかを選択し、前記第2算出方式では、前記第1算出方式と比較して、前記評価点を決定するパラメータが変化したときの前記評価点の加減量が大きくなっており、前記データ解析部は、所定時期には前記第2算出方式を選択し、当該所定時期以外の時期には前記第1算出方式を選択することとしてもよい。
かかる構成であれば、第2算出方式にて評価点を算出する時期を設ける効果として、ユーザのエネルギー消費行動の改善に対する意欲が高まることが期待される。
【0014】
また、上記のエネルギー管理情報報知システムにおいて、前記管理項目が複数設定されている場合、前記データ解析部は、前記管理項目に応じた解析方式にて前記エネルギー消費量データを解析する処理を前記管理項目別に実行し、前記データ生成部は、前記管理項目毎に、前記エネルギー管理情報が前記管理項目と対応して報知されるように前記エネルギー管理情報データを生成することとしてもよい。
かかる構成であれば、管理項目別にエネルギー管理情報が報知されることにより、ユーザは上記の管理項目別にエネルギー消費行動の改善の必要性を把握し、例えば、どの管理項目について優先的にエネルギー消費行動を改善する必要があるのかを把握することが可能になる。
【0015】
さらに、ユーザのエネルギー消費行動に伴って建造物内にて消費されるエネルギーの消費量を削減するために用いられるエネルギー管理情報を、前記ユーザに報知するために、前記ユーザが保有するユーザ端末に向けて、前記エネルギー管理情報を示すエネルギー管理情報データを配信するエネルギー管理情報報知方法であって、(A)前記消費量を計測器を用いて計測することにより取得される消費量データを、前記ユーザ端末側から受信するデータ受信処理と、(B)該データ受信処理にて受信した前記消費量データを解析するデータ解析処理と、(C)該データ解析処理における解析結果に応じた前記エネルギー管理情報を示す前記エネルギー管理情報データを、生成するデータ生成処理と、(D)前記ユーザ端末にて前記エネルギー管理情報データに基づいて前記ユーザに前記エネルギー管理情報が報知されるように、前記ユーザ端末に向けて前記エネルギー管理情報データを配信するデータ配信処理と、を有し、(E1)前記データ解析処理では、前記ユーザが前記エネルギー消費行動を行う上で管理すべき管理項目に応じた解析方式にて、前記消費量データを解析し、(E2)前記データ生成処理では、前記エネルギー管理情報が前記管理項目と対応して報知されるような前記エネルギー管理情報データを生成することを特徴とするエネルギー管理情報報知方法も実現可能である。
かかるエネルギー管理情報報知方法によれば、ユーザのエネルギー消費行動に伴って建造物内にて消費されるエネルギーの消費量を示す消費量データを、ユーザがエネルギー消費行動を行う上で管理すべき管理項目に応じた解析方式にて解析し、その解析結果に応じたエネルギー管理情報が上記管理項目と対応して報知されるようなデータ(エネルギー管理情報データ)を生成する。このようにして報知されるエネルギー管理情報であれば、当該情報を利用するユーザにとって、いずれの管理項目についてエネルギー消費行動を見直せばよいのか容易に把握することが可能となる。以上の結果、エネルギー消費量の削減に向けてエネルギー消費行動を改善しようと考えているユーザにとって、効果的な情報を報知することが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のエネルギー管理情報報知システムによれば、ユーザのエネルギー消費行動に伴って建造物内にて消費されるエネルギーの消費量を示す消費量データを、ユーザがエネルギー消費行動を行う上で管理すべき管理項目に応じた解析方式にて解析し、その解析結果に応じたエネルギー管理情報が管理項目と対応して報知されるようなデータ(エネルギー管理情報データ)を生成する。このようにして報知されるエネルギー管理情報であれば、当該情報を利用するユーザにとって、いずれの管理項目についてエネルギー消費行動を見直せばよいのか把握することが可能になる。すなわち、上記の構成により、エネルギー消費量の削減に向けてエネルギー消費行動を改善しようと考えているユーザにとって、効果的な情報を報知することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】エネルギー管理情報報知システム1の全体構成図である。
【図2】システムサーバ11の構成例を示す図である。
【図3】分岐回路32a〜32xと電気使用機器との対応関係を示す図である。
【図4】各管理項目と電気使用機器との対応関係を示す図である。
【図5】表示パネル21Pに表示されるエネルギー管理情報の一例を示す図である。
【図6】エネルギー管理情報報知システム1がエネルギー管理情報を報知するまでの一連の流れを示した図である。
【図7】管理項目Aに関する評価点の算出手順を示す図である。
【図8】管理項目Bに関する評価点の算出手順を示す図である。
【図9】管理項目Cに関する評価点の算出手順を示す図である。
【図10】管理項目Dに関する評価点の算出手順を示す図である。
【図11】管理項目Eに関する評価点の算出手順を示す図である。
【図12】データ生成処理の流れを示す図である。
【図13】管理項目Fに関する評価点の算出手順を示す図である。
【図14】管理項目Fに関する評価点を算出した場合に表示パネル21Pに表示されるエネルギー管理情報を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<<エネルギー管理情報報知システム1について>>
以下、本実施形態に係るエネルギー管理情報報知システム(以下、単に、本システム1とも言う)について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、本システム1の全体構成図である。図2は、後述するシステムサーバ11の構成例を示す図である。
【0019】
本システム1は、エネルギー管理情報を、ユーザに報知する情報報知システムである。エネルギー管理情報とは、ユーザの消費行動に伴って建造物内にて消費されるエネルギーの消費量を削減するために用いられる情報であり、エネルギー消費量の実績値に基づく情報やエネルギー消費行動を改善するために用いられるアドバイス情報などが挙げられる。なお、建造物とは、その内空間で電気、ガス、水道等のエネルギーが消費される構造物であり、住宅3やオフィスビル、工場内の建屋が該当する。以降、建造物の一例に住宅3を挙げ、当該住宅3の居住者をユーザとしてエネルギー管理情報を報知する本システム1について説明する。
【0020】
本システム1は、住宅3内に設置された表示パネル21Pにエネルギー管理情報を表示する態様にて、居住者にエネルギー管理情報を報知する。このため、本システム1は、居住者が保有する情報処理端末(以下、ユーザ端末21と言う)との間でデータの送受信を行う。
【0021】
具体的に説明すると、先ず、本システム1は、インターネット4を通じてユーザ端末21と通信可能であり、ユーザ端末21側から消費量データを受信する。消費量データとは、居住者のエネルギー消費行動に伴って住宅3内にて消費されるエネルギーの消費量を示すデータであって、計測器を用いて計測することにより取得されるデータである。なお、居住者のエネルギー消費行動とは、住宅3内で居住者が不可避的に電気、ガス、水道等のエネルギーを消費する行動であり、例えば、エネルギー消費機器を運転する行為や、待機電力を消費する状態でエネルギー消費機器の運転を待機させる行為が挙げられる。
【0022】
次に、本システム1は、受信した消費量データを解析した上でエネルギー管理情報データを生成する。エネルギー管理情報データとは、上記のデータ解析の解析結果に応じたエネルギー管理情報を示すデータであり、本具体例では、ユーザ端末21に読み取られることにより表示パネル21Pにエネルギー管理情報を表示させるためのデータである。
【0023】
最終的に、本システム1は、ユーザ端末21にてエネルギー管理情報データに基づいてエネルギー管理情報が居住者に報知されるように(具体的には、エネルギー管理情報が表示パネル21Pに表示されるように)、インターネット4を通じて当該エネルギー管理情報データをユーザ端末21に向けて配信する。
【0024】
なお、ユーザ端末21及び表示パネル21Pは、例えば、住宅3が建築される過程で住宅3内の所定箇所に取付けられる。また、本実施形態に係るユーザ端末21は、例えば、インターネット4に接続されている一方で、後述するデータロガー33や電力計測タップ34などの住宅3内に設置された計測器にも接続されている。つまり、本実施形態では、居住者のエネルギー消費行動に伴って住宅3内にて消費されるエネルギーの消費量(具体的には、消費電力量)が上記の計測器を用いて計測される。そして、ユーザ端末21が、計測の結果として取得される消費量データを、本システム1に向けて送信する。
【0025】
以下、上記の機能を有する本システム1の構成について説明する。本システム1は、図1に示すように、住宅3の管理会社2(例えば、住宅3を建築した建築会社)に設けられているサーバコンピュータ(以下、システムサーバ11と言う)を主構成要素とする。システムサーバ11は、図2に示すように、ハードウェア要素として、CPU11a、RAM11bやROM11cの半導体記憶媒体11d、補助記憶装置11e、及び、通信用インターフェース11fを備えている。
【0026】
また、システムサーバ11には、インターネット4を通じてユーザ端末21と通信するための通信プログラム、ユーザ端末21側からのデータを受信するためのデータ受信プログラム、受信されたデータを解析するためのデータ解析プログラム、解析結果に応じた情報をユーザ端末21の表示パネル21Pに表示させるための情報データを生成するためのデータ生成プログラム、及び、生成した情報データをユーザ端末21に向けて配信するためのデータ配信プログラムがインストールされている。
【0027】
以上までに説明してきた本システム1の構成について機能面から改めて言及する。本システム1は、図1に示すように、通信部12と、データ解析部13と、データ生成部14と、データ配信部15と、記憶部16と、データ受信部17と、を有する。なお、本システム1の各部は、制御部18を介して互いに接続されている。
【0028】
通信部12は、本システム1がインターネット4を通じてユーザ端末21と通信するためのものであり、通信用インターフェース11f、CPU11a、RAM11bやROM11c、及び、上記の通信プログラム等により構成される。データ受信部17は、ユーザ端末21が送信した消費量データを、通信部12と協働してユーザ端末21側から受信するためのものであり、CPU11a、RAM11bやROM11c、及び、上記のデータ受信プログラム等により構成される。データ解析部13は、データ受信部17が受信した消費量データを解析するためのものであり、CPU11a、RAM11bやROM11c、及び、上述したデータ解析プログラム等により構成される。なお、データ解析部13は、データ解析処理を実行するにあたり、記憶部16に記憶された各種データを適宜読み出す。
【0029】
データ生成部14は、データ解析部13による解析結果に応じたエネルギー管理情報を示すデータ(エネルギー管理情報データ)を生成するものであり、CPU11a、RAM11bやROM11c、及び、上述したデータ生成プログラム等により構成される。なお、データ生成部14は、データ生成処理を実行するにあたり、記憶部16に記憶された各種データを適宜読み出す。データ配信部15は、データ生成部14にて生成されたエネルギー管理情報データを、通信部12と協働してユーザ端末21に向けて配信するものであり、CPU11a、RAM11bやROM11c、及び、上述したデータ配信プログラムにより構成される。
【0030】
記憶部16は、管理会社2にて準備されたデータ、ユーザ端末21から送信されたエネルギー消費量データ等の各種データを記憶する。本実施形態に係る記憶部16は、システムサーバ11に備えられた補助記憶装置等11eにより構成される。ただし、記憶部16はシステムサーバ11内に内蔵されたものに限定されず、システムサーバ11とユーザ端末21との間に設けられたデータベースサーバであることとしてもよい。また、当該データベースサーバについては、システムサーバ11の管理者とは異なる管理者(例えば、通信会社)によって管理されていることとしてもよい。
【0031】
以上の構成を備えた本システム1は、居住者の消費行動に伴って住宅3内にて消費されるエネルギーの消費量を示すデータ(消費量データ)をユーザ端末21から受信し、当該データを解析する。その後、本システム1は、解析結果に応じたエネルギー管理情報を示すデータ(エネルギー管理情報データ)を生成し、ユーザ端末21にてエネルギー管理情報が表示パネル21Pに表示されるように、生成したデータをユーザ端末21に向けて送信する。以下、本システム1が有する各部の機能について、より具体的に説明する。
【0032】
先ず、本システム1における各部の機能を説明するにあたり、住宅3側に設けられた機能について概説する。住宅3側では、住宅3内で使用されるエネルギー消費機器について、所定時間毎のエネルギー消費量が計測器によって計測され、計測結果を示すデータはユーザ端末21に集約されるようになっている。ユーザ端末21は、集約したデータをエネルギー消費量データとしてシステムサーバ11に向けて送信する。その後、本システム1側からエネルギー管理情報データが送信されると、ユーザ端末21がインターネット4を通じて当該エネルギー管理情報データを受信し、当該データに基づき、エネルギー管理情報を表示パネル21Pに表示する。以降、住宅3内における電力消費を具体例に挙げて、本システム1が有する各部の機能について説明する。
【0033】
本実施形態では、先ず、住宅3側において、住宅3内で使用される電気使用機器について1分間毎の消費電力量が計測機器により計測されることになっている。消費電力量の計測は、計測対象として予め指定された電気使用機器について行われる。電力消費量の計測対象となる機器は、エネルギー消費行動を改善する上で消費電力量を管理するのが適当な機器であり、住宅3の居住者が入居する時点では既に指定済みである。そして、各電気使用機器について計測した1分間毎の消費電力量を示すデータ(以下、消費電力量データ)は、ユーザ端末21から本システム1に向けて逐次送信される。ここで、消費電力量データは、上述したエネルギー消費量データに相当する。なお、消費電力量の計測間隔は、1分間に限定されるものではなく、任意に設定することが可能である。
【0034】
消費電力量の計測についてより詳細に説明する。本実施形態では、住宅3内に設置された分電盤30により、住宅3における電力供給回路が、主幹回路31と、主幹回路31から枝分かれした複数の分岐回路32a〜32xとに分かれている。そして、分電盤30には、主幹回路31及び分岐回路32a〜32xの各々について、消費電力量を個別計測することが可能な電力センサ(不図示)が取付けられている。電力センサは、上述した計測器の一例であり、消費電力量に応じた信号を出力する。当該信号は、データロガー33にてデジタル信号に変換された上で一時的に蓄積される。
【0035】
なお、本実施形態では、各々の分岐回路32a〜32xが、住宅3内で使用される所定の電気使用機器と対応付けられている。例えば、分岐回路32aは、リビング照明の専用回路になっており、分岐回路32qは、エアコンの専用回路になっている。その他の分岐回路32b〜32x(32qを除く)についての対応付関係については、図3に示す通りである。図3は、分岐回路32a〜32xと電気使用機器との対応関係を示す図である。
【0036】
以上のように、本実施形態では、分電盤30における回路分岐により、各電気使用機器が分岐回路32a〜32xと対応付けられており(専用回路となっており)、各電気使用機器における消費電力量は、当該各電機使用機器に対応付けられている分岐回路32a〜32xでの消費電力量を計測することにより求められることになる。これにより、分岐回路32a〜32xの各々と対応付けられている各電気使用機器については、消費電力量を容易に計測することが可能である。なお、上記の回路分岐(すなわち、分電盤30の設置)は、例えば、住宅3の設計・建築段階で決定される。
【0037】
一方、住宅3内で使用される電気使用機器のうち、分岐回路32a〜32xと対応付けられていないもの(すなわち、専用の電力供給回路が設けられていない機器)については、電力センサと通信モジュールを内蔵した電力計測タップ34に接続されており、当該電力計測タップ34によって消費電力量の計測が行われる。
【0038】
以上のデータロガー33及び電力計測タップ34は、ユーザ端末21と接続しており、これらの計測機器による消費電力量の計測はユーザ端末21により制御される。そして、データロガー33及び電力計測タップ34は、ユーザ端末21からの実行指令を受けて消費電力量の計測を実行し、計測結果としての消費電力量データ(消費量データの一例)をユーザ端末21に伝送する。ユーザ端末21は、適宜の間隔にて、当該消費電力量データを本システム1に向けて送信する。なお、本実施形態における消費電力量の計測は、原則として常時1分間隔で実行される。
【0039】
ユーザ端末21が消費電力量データを本システム1に向けて送信すると、本システム1側では、データ受信部17が、通信部12と協働して、ユーザ端末21側から消費電力量データを受信する。そして、受信された消費電力量データは、本システム1に備えられた記憶部16に逐次記憶されてデータベースとして蓄積される。そして、本システム1では、データ解析部13によるデータ解析処理が定期的に実行される。
【0040】
そして、データ解析部13は、データ解析処理において、所定の解析方式にて消費電力量データを解析する。本実施形態において、所定の解析方式は、居住者が消費行動を行う上で管理すべき管理項目に応じた解析方式である。より詳しく説明すると、管理項目とは、適正なエネルギー消費行動を行う上で居住者が注意し管理すべき項目である。特に、居住者の消費行動に伴って住宅3内にて消費される消費電力量を示すデータ(以下、消費電力量データ)を消費量データとする場合、電源の消し忘れ時間、居住者が複数保有する同種の機器が同時使用される時間、総消費電力量に対する待機時消費電力量の割合、総消費電力量に対する深夜の消費電力量の割合、及び、居住者が保有する機器の中で連続的に使用される機器についての連続使用時間などが、上記の管理項目として挙げられる。
【0041】
本実施形態では、上記5つの項目をすべて管理項目としている。なお、以降、電源の消し忘れ時間を「管理項目A」と呼び、居住者が複数保有する同種の機器が同時使用される時間を「管理項目B」と呼び、総消費電力量に対する待機時消費電力量の割合を「管理項目C」と呼び、総消費電力量に対する深夜の消費電力量の割合を「管理項目D」と呼び、連続的に使用される機器についての連続使用時間を「管理項目E」と呼ぶ。
【0042】
本実施形態では、上記の如く、複数の管理項目A〜Eが設定されている。このように管理項目が複数(具体的には5項目)設定されている場合、データ解析部13は、管理項目に応じた解析方式にて消費電力量データを解析するデータ解析処理を、管理項目別に実行する。具体的に説明すると、データ解析処理において、データ解析部13は、消費電力量量データに基づき、管理項目に応じた算出方式にて、当該管理項目に関する評価点を解析結果として算出する。そして、評価点の算出方式は管理項目に対応付けられている。
【0043】
すなわち、データ解析部13は、ユーザ端末21から送信された消費電力量データを解析する際、各管理項目A〜Eに対応付けられた算出方式に則り、当該各管理項目A〜Eに関する評価点を上記の消費電力量データに基づいて算出することになる。そして、当該解析結果として、上記の評価点が管理項目A〜Eの数(すなわち、5つ)だけ算出されることになる。なお、本実施形態では、評価点の算出方式として加減方式を採用しており、データ解析部13は、データ解析処理において加減量を求めた上で、前回算出した評価点に当該加減量を反映させて評価点を更新することとしている。ちなみに、評価点の基準値(初期値)は50点であり、評価点の上限値を100点とし、下限値を0点としている。
【0044】
また、各管理項目A〜Eに関する評価点を算出するにあたって解析対象となる消費電力量データは、管理項目A〜E毎に決められている。つまり、ある管理項目に関する評価点を算出する場合には、消費電力量データのうち、当該ある管理項目と対応付けられた電気使用機器の消費電力量データのみが解析対象となる。例えば、管理項目Dに関する評価点を算出する場合には、図4中、管理項目Dに対応付けられた機器(具体的には、食器洗い乾燥機、電気自動車充電ポール(図4中、EV充電ポールと表記)、浴室乾燥機、洗濯機)の消費電力量データが解析されることになる。なお、各管理項目A〜Eと電気使用機器との対応関係については、図4に示す通りである。図4は、各管理項目A〜Eと電気使用機器との対応関係を示す図である。
【0045】
さらに、本実施形態では、管理項目A〜Eの各々について、評価点の算出方法として2種類の算出方式が用意されている。そして、データ解析部13は、各管理項目A〜Eに関する評価点を算出するにあたり、第1算出方式及び第2算出方式のうちのいずれかを選択する。ここで、管理項目A〜Eの各々について、第2算出方式では、第1算出方式と比較して、評価点を決定するパラメータが変化したときの評価点の加減量が大きくなっている。本実施形態では、上記パラメータが単位量だけ変化したときの加減量については、第2算出方式に則って算出すると、第1算出方式に則って算出した場合の2倍となる。
【0046】
そして、データ解析部13は、所定時期には第2算出方式を選択し、当該所定時期以外の時期には第1算出方式を選択する。ここで、第2算出方式が選択される時期は、居住者のエネルギー消費行動の改善に対する意欲を高めるために設けられ、本システム1側で予め指定されている。本実施形態では、月に1度、所定日数の期間(例えば1週間)を省エネルギー推進週間とし、当該期間内では第2算出方式が選択される。
【0047】
以上までに説明してきたデータ解析処理は、毎日、指定された時刻に実行される。ここで、データ解析処理における評価点の算出については、全管理項目A〜Eを通じて同時に行われることとしてもよく、管理項目A〜E別に実行時期(実行タイミング)が異なっていることとしてもよい。なお、各管理項目A〜Eに関する評価点の算出手順については、後に詳述する。
【0048】
次に、データ生成部14によりデータ生成処理が実行される。なお、本実施形態では、データ解析部13によるデータ解析処理が実行される都度、データ生成処理が実行される。データ生成処理は、データ解析部13による解析結果に応じたエネルギー管理情報を示すデータ(エネルギー管理情報データ)であって、当該エネルギー管理情報をユーザ端末21の表示パネル21Pに表示させるためのデータを生成する処理である。
【0049】
そして、データ生成処理において、データ生成部14は、エネルギー管理情報が管理項目と対応して報知されるようなエネルギー管理情報データを生成する。ここで、「エネルギー管理情報が管理項目と対応して報知される」とは、あるエネルギー管理情報として報知される内容と管理項目とが対応し、かつ、その対応関係が居住者に把握できるような態様で当該あるエネルギー管理情報が報知される(具体的には、ユーザ端末21の表示パネル21Pに表示される)ことを意味する。
【0050】
本実施形態に係るデータ生成処理について詳しく説明すると、上述のデータ解析処理において各管理項目A〜Eに関する評価点が算出されている。そして、当該評価点に関する評価点情報が、本システム1が報知するエネルギー管理情報となる。つまり、本システム1は、エネルギー管理情報として、評価点情報を報知する。さらに、評価点情報は、管理項目A〜Eと対応して報知される(分かり易く言えば、各管理項目A〜Eに関する評価点情報が管理項目別にユーザ端末21の表示パネル21Pに表示される)。そのため、データ生成部14は、評価点に応じたエネルギー管理情報(具体的には、評価点情報)が管理項目A〜Eと対応して報知されるようなエネルギー管理情報データを生成する。
【0051】
エネルギー管理情報データの生成方法について具体的に説明すると、データ生成部14は、先ず、評価点情報として、各管理項目A〜E別に、データ解析処理において算出された評価点の算出値を示す情報を報知する。評価点の算出値を示す情報としては、当該算出値の数値を示す文字情報、当該算出値と評価点の基準値との大小関係を示す文字情報が考えられる。また、文字情報に限定されず、当該文字情報に相当する画像情報(グラフやイラスト)であってもよい。
【0052】
本実施形態では、図5に示すように、評価点情報として、評価点の算出値を示す文字情報および算出値と基準値との大小関係を示す画像情報が管理項目A〜E毎に報知される。図5は、表示パネル21Pに表示されるエネルギー管理情報の一例を示す図である。なお、図5に示す例では、上記の大小関係がゲージ方式で表示されている。ゲージの指針(図5において略三角形の形状をした標識であり、以下、インジケータという)の位置は、評価点の算出値に相当し、インジケータの位置と基準位置(基準値に対応)との相対関係が上記大小関係を示している。なお、評価点の基準値は、各管理項目A〜Eで共通であり、具体的には50点となっている。インジケータについては、図5に示す形状に限らず、例えばキャラクター画像等のイラスト画像であってもよい。
【0053】
また、上記情報の他、評価点の算出値の変化傾向を示す文字情報や画像情報が評価点情報として追加されることとしてもよい。図5に示す例では、当該変化傾向を示す情報として、今回の算出値についての、前回の算出値からの変化傾向を示す画像情報(図5中、記号Dが付された矢印)がインジケータ付近に表示されている。
【0054】
本実施形態に係るデータ生成処理では、以上までに挙げた評価点情報を管理項目A〜E毎に示すデータがエネルギー管理情報データとして組み込まれる。そして、本実施形態では、評価点情報の他に、当該評価点に応じたアドバイス情報がエネルギー管理情報に加えられる。つまり、本システム1は、エネルギー管理情報として、評価点情報、及び、当該評価点に応じたアドバイス情報を報知する。アドバイス情報とは、エネルギー消費行動の改善のために用いられる情報であり、例えば、居住者の注意を喚起させる文字情報や、エネルギー消費行動を改善するための具体的施策を提示した文字情報のことである。
【0055】
以上のことから、データ生成部14は、評価点情報が管理項目と対応して報知され、かつ、評価点に応じたアドバイス情報が報知されるようなエネルギー管理情報データを生成する。より具体的に説明すると、アドバイス情報を示すアドバイスデータが、システムサーバ11の記憶部16には予め記憶されている。特に、本実施形態では、各管理項目A〜Eについて、複数のアドバイスデータが記憶部16に記憶されている。すなわち、本システム1は、各管理項目A〜Eと対応させて、複数種類のアドバイス情報を報知することが可能である。
【0056】
そして、本システム1は、管理項目A〜Eのうち、アドバイス情報を報知する一の管理項目を決定するとともに、当該一の管理項目に対して報知するアドバイス情報を、複数種類のアドバイス情報の中から選択する。かかる内容を実現するために、データ生成部14は、データ生成処理において、記憶部16に記憶された複数のアドバイスデータの中から、評価点に応じたアドバイス情報を示すアドバイスデータを当該評価点に基づいて抽出し、抽出したアドバイスデータをエネルギー管理情報に組み込む。
【0057】
アドバイスデータの抽出については、例えば、評価点とアドバイス情報とが対応しており、当該対応関係を示すテーブルデータが記憶部16に記憶されていれば、データ生成部14が、そのテーブルデータを参照して、評価点の算出値に応じたアドバイスデータを探知することにより実行可能となる。なお、アドバイス情報を報知する管理項目A〜Eの選択については、例えば、評価点の算出値が最も小さい(又は最も高い)管理項目、前回の算出値と今回の算出値との差が最も大きい(又は最も小さい)管理項目に設定しておけば実行可能となる。
【0058】
そして、完成したエネルギー管理情報データは、最終的に、データ配信部15によってインターネット4を通じてユーザ端末21に向けて配信されるようになる。つまり、データ配信部15は、エネルギー管理情報データの完成に伴い、ユーザ端末21にて当該エネルギー管理情報データに基づいて居住者にエネルギー管理情報が報知されるように、当該エネルギー管理情報データを通信部12と協働してユーザ端末21に向けて配信する。なお、データ配信処理は、データ生成処理が実行される都度(換言すると、エネルギー管理情報データが生成される都度)、実行される。
【0059】
本システム1は、以上までに説明してきた構成を有することにより、エネルギー消費行動に関する管理項目A〜Eと対応させてエネルギー管理情報を報知することが可能となる。この結果、居住者は、当該エネルギー管理情報を利用(閲覧)すれば、自己のエネルギー消費行動を改善する上でどのような項目(管理項目)について見直しが必要となるのかを把握することができる。すなわち、本システム1は、居住者に対してエネルギー消費量削減を図る上で効果的な情報を報知し、当該居住者の省エネルギー意識を向上させることが可能となる。
以降、本実施形態に係るエネルギー管理情報報知方法に関して、本システム1によりエネルギー管理情報が報知されるまでの一連の流れについて説明する。
【0060】
<<本実施形態に係るエネルギー管理情報報知方法について>>
図6を参照しながら、本実施形態に係るエネルギー管理情報報知方法について説明する。図6は、本システム1がエネルギー管理情報を報知するまでの一連の流れを示した図である。なお、以下の説明においても、上記と同様、住宅3内における電力消費を具体例に挙げて説明する。また、エネルギー消費行動に関する管理項目については、上述した管理項目A〜Eが設定されていることとする。
【0061】
エネルギー管理情報を報知するにあたり、先ず、住宅3内における消費電力量が計測器を用いて計測され、計測結果として取得されるデータ(消費電力量データ)がユーザ端末21から本システム1に向けて随時送信される(S001)。本システム1側では、データ受信部17が、送信されてきた消費電力量データを受信するデータ受信処理を逐次実行する(S002)。そして、受信された消費電力データは、記憶部16にデータベースとして蓄積されていく。
【0062】
次に、本システム1では、所定の時刻となると、データ解析部13がデータ解析処理を実行する。このデータ解析処理は、上述したように、管理項目A〜E毎に実行され、具体的には、収集した消費電力量データに基づいて、各管理項目A〜Eに関する評価点を算出する。このとき、データ解析部13は、各管理項目A〜Eに応じた算出方式にて、当該各管理項目A〜Eに関する評価点を算出する。さらに、評価点の算出にあたり、データ解析部13は、算出方式として、第1算出方式及び第2算出方式のうちのいずれかを選択する(S003〜S005)。第2算出方法を選択した場合には、前述したように、第1算出方法を選択した場合と比較して、評価点を決定するパラメータが単位量だけ変化したときの加減量が2倍となる。
【0063】
より具体的に説明すると、第2算出方式が選択される時期については、エネルギー管理情報報知システム1側で予め指定されており、例えば、データ解析プログラムに上記の時期が反映されている。そして、データ解析部13は、データ解析処理の実行日が上記時期に該当する場合(S003でYes)には第2算出方式を選択してデータ解析処理を実行する(S004)。一方で、データ解析処理の実行日が上記時期以外の時期に該当する場合(S003でNo)には、第1算出方式を選択してデータ解析処理を実行する(S005)。
【0064】
以下、管理項目A〜E毎の評価点の算出手順(換言すると、データ解析処理の手順)について説明する。なお、以下の説明では、第1算出方法を選択した場合の算出手順について説明する。
1)管理項目Aに関する評価点の算出手順
管理項目Aは、電源の消し忘れ時間のことであり、当該管理項目Aについては、図4に示される各管理項目と電気使用機器との対応関係に基づいて、管理項目Aと対応付けられている電気使用機器(具体的には、照明(和室)、照明(玄関廊下階段)、照明(浴室・洗面所)、照明(トイレ)、炊飯器、電気ポット)の消費電力量データを解析することにより、評価点が算出される。
【0065】
具体的な算出手順について説明すると、図7に示すように、先ず、記憶部16に記憶された消費電力量データのうち、管理項目Aに関する評価点を算出するために必要なデータをデータ解析部13が読み取るところから始まる(S011)。図7は、管理項目Aに関する評価点の算出手順を示す図である。より詳しく説明すると、データ解析部13は、管理項目Aと対応付けられている各電気使用機器の消費電力量データを読み取る。当該消費電力量データを読み取った結果、データ解析部13が、管理項目Aと対応付けられている各電気使用機器について、所定の電力以上の電力にて使用が開始されたと判断された場合には(S012でYes)、その開始時点を求める(S013)。開始時点を求めた後、当該所定の電力以上の電力にて使用が継続される時間(以下、消し忘れ時間という)を消費電力量から求める(S014)。この消し忘れ時間が所定時間に達した場合には(S015でYes)、前回の算出値から1点減点する(S016)。さらに、消し忘れ時間が更に続く場合には上記の所定時間が経過する度に1点減点とする。一方、消し忘れ時間が所定時間に満たず、かかる状態が1日間維持できた場合(S015でNo、かつ、S017でYes)、前回の算出値に1点加点する(S018)。なお、本実施形態では、管理項目Aと対応付けられている各電気使用機器が所定量以上の電力にて1日間使用されなかった場合、すなわち、1日中未使用であった場合には(S012でNo)、評価点の算出は行わないものとする(S019)。
以上の手順は、管理項目Aと対応付けられている電気使用機器毎に行われ、当該電気使用機器毎に加減量が求められることになる。最終的に電気使用機器毎の加減量が集計されて、当該集計結果にて評価点を更新することになる。なお、本実施形態では、消し忘れ時間が所定時間未満である状態を1日間維持できた場合に加点対象としているが、かかる期間は1日に限定されず、任意の期間に設定可能である。
【0066】
2)管理項目Bに関する評価点の算出手順
管理項目Bは、居住者が複数保有する同種の機器が同時使用される時間であり、当該管理項目Bについては、図4に示される各管理項目と電気使用機器との対応関係に基づいて、管理項目Bと対応付けられている電気使用機器の消費電力量データを解析することにより、評価点が算出される。管理項目Bと対応付けられている電気使用機器は、住宅3内に同種のものが複数ある機器であり、例えば、照明、テレビ、エアコン等である。
【0067】
具体的な算出手順について説明すると、図8に示すように、先ず、記憶部16に記憶された消費電力量データのうち、管理項目Bに関する評価点を算出するために必要なデータをデータ解析部13が読み取るところから始まる(S021)。図8は、管理項目Bに関する評価点の算出手順を示す図である。より詳しく説明すると、データ解析部13は、管理項目Bと対応付けられている電気使用機器の消費電力量データを読み取る。また、データ解析部13は、居住者の人数を特定する。居住者の人数の特定については、例えば、当該人数を示すデータが記憶部16に予め保存されており、かかるデータをデータ解析部13が読み取ることにより行われる。データ解析部13が消費電力量データを読み取った結果、住宅3内に複数ある同種の機器について、特定した居住者の人数以上の台数が同時に使用されたと判断された場合(S022でYes)には、前回の算出値から1点減点する(S023)。さらに、同種の機器が同時に使用される時間(同時使用時間)が継続する場合には(S026でYes)、所定時間が経過する度に1点減点とする(S027)。
一方、住宅3内に複数ある同種の機器について、同時に使用される台数が居住者の人数未満である状態が1日間維持できた場合には(S022でNo、かつ、S024でYes)、前回の算出値に1点加点する(S025)。なお、上記の状態を維持できる期間については、1日間に限定されず、任意の期間に設定することが可能である。
【0068】
3)管理項目Cに関する評価点の算出手順
管理項目Cは、総消費電力量に対する待機時消費電力量の割合であり、当該管理項目Cについては、図4に示される各管理項目と電気使用機器との対応関係に基づいて、管理項目Cと対応付けられている電気使用機器の消費電力量データを解析することにより、評価点が算出される。
【0069】
具体的な算出手順について説明すると、図9に示すように、先ず、記憶部16に記憶された消費電力量データのうち、管理項目Cに関する評価点を算出するために必要なデータをデータ解析部13が読み取るところから始まる(S031)。図9は、管理項目Cに関する評価点の算出手順を示す図である。より詳しく説明すると、データ解析部13は、管理項目Cと対応付けられている各電気使用機器について、1日分(例えば、午前3時〜翌日の午前3時まで)の消費電力量データを読み取る。そして、1日分の消費電力量データに基づき、管理項目Cと対応付けられている各電気使用機器について、待機時消費電力量として消費された電力量の集計値を求める(S032)。ここで、各電気使用機器の待機時消費電力値は既知となっており、データ解析部13は、当該待機時消費電力値に±10%の幅を加味した範囲内における電力量を集計して上記待機時消費電力量の集計値を求める。そして、電気使用機器毎に求めた待機時消費電力量の集計値を、管理項目Cと対応付けられているすべての電気使用機器分だけ合算する(S033)。一方、管理項目Cと対応付けられている各電気使用機器について、1日分の消費電力量データに基づき、総消費電力量を求め(S034)、当該総消費電力量を、管理項目Cと対応付けられているすべての電気使用機器分だけ合算する(S035)。その後、待機時消費電力量の集計値の合算結果について、総消費電力量の合算結果に対する割合を求め(S036)、当該割合が所定値以上である場合には(S037でYes)、前回の算出値から1点減点する(S038)。一方、上記の割合が所定値未満である場合には(S037でNo)、前回の算出値に1点加点する(S039)。
【0070】
4)管理項目Dに関する評価点の算出手順
管理項目Dは、総消費電力量に対する深夜の消費電力量の割合であり、当該管理項目Dについては、図4に示される各管理項目と電気使用機器との対応関係に基づいて、管理項目Dと対応付けられている電気使用機器(具体的には、食器洗い乾燥機、EV充電ポール、浴室乾燥機、洗濯機)の消費電力量データを解析することにより、評価点が算出される。
【0071】
具体的な算出手順について説明すると、図10に示すように、先ず、記憶部16に記憶された消費電力量データのうち、管理項目Dに関する評価点を算出するために必要なデータをデータ解析部13が読み取るところから始まる(S041)。図10は、管理項目Dに関する評価点の算出手順を示す図である。より詳しく説明すると、データ解析部13は、管理項目Dと対応付けられている各電気使用機器について、1日分(午前7時〜翌日の午前7時)の消費電力量データを読み取る。そして、管理項目Dと対応付けられている各電気使用機器について、1日分の消費電力量データのうち、深夜電力時間帯(電力を消費する時間帯として奨励される時間帯であり、例えば、午後11時〜翌日の午前7時)分のデータに基づき、深夜電力時間帯における消費電力量の集計値を求める(S042)。一方、管理項目Dと対応付けられている各電気使用機器について、1日分の消費電力量データに基づき、1日分の総消費電力量を求める(S043)。その後、深夜電力時間帯における消費電力量の集計値について、1日分の総消費電力量に対する割合を求め(S044)、当該割合が所定値未満である場合には(S045でYes)、前回の算出値から1点減点する(S046)。一方、上記の割合が所定値よりも大きい場合には(S045でNo)、前回の算出値に1点加点する(S047)。
なお、以上の手順は、管理項目Dと対応付けられている電気使用機器毎に行われ、当該電気使用機器毎に加減量が求められることになる。最終的に電気使用機器毎の加減量が集計されて、当該集計結果にて評価点を更新することになる。
【0072】
5)管理項目Eに関する評価点の算出手順
管理項目Eは、居住者が保有する機器の中で連続的に使用される機器についての連続使用時間であり、当該管理項目Eについては、図5に示される各管理項目と電気使用機器との対応関係に基づいて、管理項目Eと対応付けられている電気使用機器(具体的には、照明(リビング)、照明(ダイニング・キッチン)、照明(寝室)、照明(子供部屋)、テレビ、パソコン)の消費電力量データを解析することにより、評価点が算出される。
【0073】
具体的な算出手順について説明すると、図11に示すように、先ず、記憶部16に記憶された消費電力量データのうち、管理項目Eに関する評価点を算出するために必要なデータをデータ解析部13が読み取るところから始まる(S051)。図11は、管理項目Eに関する評価点の算出手順を示す図である。より詳しく説明すると、データ解析部13は、管理項目Eと対応付けられている各電気使用機器の消費電力量データを読み取る。データ解析部13が消費電力量データを読み取った結果、管理項目Eと対応付けられている各電気使用機器について、所定量以上の電力にて使用が開始されたと判断された場合には(S052でYes)、その開始時点を求める(S053)。開始時点を求めた後、当該所定量以上の電力にて連続的に使用される時間(連続使用時間)を消費電力量データから求める(S054)。この連続使用時間が所定時間に達した場合には(S055でYes)、前回の算出値から1点減点する(S056)。さらに、連続使用時間が更に続く場合には上記の所定時間が経過する度に1点減点とする。
一方、連続使用時間が所定時間に満たない状態を1日間維持できた場合(S057でYes)、前回の算出値に1点加点する(S058)。なお、管理項目Eと対応付けられている各電気使用機器が所定量以上の電力にて1日間使用されなかった場合、すなわち、1日中未使用であった場合には(S052でNo)、評価点の算出は行わないものとする(S059)。
以上の手順は、管理項目Eと対応付けられている電気使用機器毎に行われ、当該電気使用機器毎に加減量が求められることになる。最終的に電気使用機器毎の加減量が集計されて、当該集計結果にて評価点を更新することになる。なお、本実施形態では、連続使用時間が所定時間未満である状態を1日間維持できた場合に加点対象としているが、かかる期間は1日に限定されず、任意の期間に設定可能である。
【0074】
以上までに説明してきた手順によりデータ解析部13が各管理項目A〜Eに関する評価点を算出した時点で、データ解析処理が完了する。そして、データ解析処理が完了すると、図6に示すように、データ生成部14が、各管理項目A〜Eに関する評価点に応じたエネルギー管理情報を示すエネルギー管理情報データを生成する(S006)。
【0075】
データ生成処理について詳しく説明すると、図12に示すように、先ず、データ生成部14は、データ解析処理で算出された各管理項目A〜Eに関する評価点を示すデータを読み取る(S061)。その後、データ生成部14は、読み取ったデータに基づいて、上述した評価点情報が各管理項目A〜Eに報知されるようなエネルギー管理情報データを生成する(S063)。本実施形態の場合、評価点の算出値を示す文字情報及び画像情報が管理項目A〜E毎にユーザ端末21の表示パネル21Pに表示されるように、エネルギー管理情報データが生成される。なお、図12は、データ生成処理の流れを示す図である。
【0076】
一方、データ生成部14は、エネルギー管理情報データの中に、所定のアドバイスデータを組み込む。すなわち、前述したように、データ生成部14は、評価点に応じたアドバイス情報を示すアドバイスデータを、記憶部16に記憶された複数のアドバイスデータの中から当該評価点に基づいて抽出する(S062)。具体的に説明すると、アドバイスデータの抽出にあたり、管理項目A〜Eのうち、アドバイス情報を報知する管理項目を選択する。その後、選択された管理項目について準備されたアドバイスデータの中から、当該管理項目に関する評価点の算出値に応じたアドバイスデータを抽出する。この際、アドバイス情報と評価点との対応関係を示したテーブルデータを参照すれば、上記のデータ抽出を効率よく行うことが可能になる。
【0077】
その後、データ生成部14は、抽出したアドバイスデータを、エネルギー管理情報データに組み込む(S064)。なお、本実施形態では、上記の評価点情報やアドバイス情報を示すデータに加え、各管理項目A〜Eについて評価点の算出値の変化傾向を示す情報を表示させるためのデータも組み込まれる。そして、報知すべき情報をユーザ端末21の表示パネル21Pに表示させるためのデータが全て整った段階で、データ生成処理が完了する。
【0078】
データ生成処理の完了後、データ配信部15が、当該データ生成処理にて生成されたエネルギー管理情報データをユーザ端末21に向けて配信するデータ配信処理を実行する(S007)。一方、インターネット4を介して上記のデータを受信したユーザ端末21側では、表示パネル21Pにエネルギー管理情報が自動的に表示され、居住者は表示パネル21Pにて当該エネルギー管理情報を利用(閲覧)することが可能となる(S008)。
【0079】
なお、データ生成処理及びデータ配信処理は、データ解析処理において管理項目A〜Eのいずれかに関する評価点が算出される度に実行されることが好適である。すなわち、管理項目A〜Eのいずれかに関する評価点が算出されることに伴ってエネルギー管理情報が更新される場合には、当該更新されたエネルギー管理情報を居住者に逐次報知すべく、データ解析処理が実行される都度、データ生成処理及びデータ配信処理が行われることが望ましい。
【0080】
<<本システム1の有効性について>>
本システム1は、上述したデータ受信部17と、データ解析部13と、データ生成部14と、データ配信部15と、を有する。データ解析部13は、データ受信部17が受信した消費量データ(居住者のエネルギー消費行動に伴って住宅3内にて消費されるエネルギーの消費量を示すデータ)を解析する。そして、本実施形態において、データ解析部13は、居住者がエネルギー消費行動を行う上で管理すべき管理項目に応じた解析方式にて、消費量データを解析する。また、データ生成部14は、エネルギー管理情報が管理項目と対応して報知されるように(ユーザ端末21の表示パネル21Pに表示されるように)、エネルギー管理情報データを生成する、を有する。これにより、居住者にとって、エネルギー消費量削減に向けてエネルギー消費行動を改善する上で効果的なエネルギー管理情報を報知することが可能になる。
【0081】
すなわち、発明が解決しようとする課題の項で説明したように、従来のシステムでは、エネルギー消費量の実績や推移等を示す情報が報知されるものの、当該情報を利用するユーザにとって、エネルギー消費量削減を図る上で自己のエネルギー消費行動をどのように見直せばよいかを当該情報から把握することが困難であった。すなわち、従来のエネルギー管理情報報知システムが報知するエネルギー管理情報は、効果的なものではなく、居住者の行動改善や意識の向上につながらない虞があるものであった。
【0082】
これに対して、本システム1によれば、管理項目A〜Eに応じた解析方式にて消費量データが解析されると共に、解析結果に応じたエネルギー管理情報が管理項目A〜Eと対応して報知されるようなエネルギー管理情報データが生成される。このエネルギー管理情報データに基づいて報知されるエネルギー管理情報は、上記の管理項目A〜Eに対応した内容であるので、当該情報を利用する居住者は、いずれの管理項目についてエネルギー消費行動を見直せばよいのか把握することが可能になる。すなわち、上記の構成を有する本システム1であれば、エネルギー消費量削減に向けてエネルギー消費行動を改善する上で、効果的な情報を報知することが可能になる。
【0083】
また、本実施形態において、データ解析部13は、管理項目A〜Eに応じた算出方式にて当該管理項目A〜Eに関する評価点を解析結果として算出し、データ生成部14は、評価点に応じた情報が管理項目A〜Eと対応して報知されるようにエネルギー管理情報データを生成することとした。しかし、これに限定されるものではなく、データ解析部13によるデータ解析処理において評価点の算出以外の解析、例えば、定性的な解析が行われることとしてもよい。ただし、定量的なデータ解析が行われることにより、当該解析結果に応じたエネルギー管理情報の信憑性が向上するという点においては、本実施形態の方が好適である。
【0084】
また、本実施形態において、データ解析部13は、評価点を算出する際の算出方式として、第1算出方式及び第2算出方式のうちのいずれかを選択し、第2算出方式では、第1算出方式と比較して、評価点を決定するパラメータが変化したときの加減量が大きくなっていることとした。そして、データ解析部13は、省エネ推進週間のような所定時期には第2算出方式を選択し、当該所定時期以外の時期には第1算出方式を選択することとした。しかし、これに限定されるものではなく、評価点の算出方式が固定されている(時期によって変わらない)こととしてもよい。ただし、第2算出方式にて評価点を算出する時期を設けることにより、居住者のエネルギー消費行動の改善に対する意欲を高めることが可能になるという点においては、本実施形態の方が好適である。
【0085】
また、本実施形態において、エネルギー管理情報として評価点情報とアドバイス情報が報知され、データ生成部14は、評価点情報が管理項目A〜Eと対応して報知され、かつ、評価点に応じたアドバイス情報が報知されるようにエネルギー管理情報データを生成することとした。しかし、これに限定されるものではなく、アドバイス情報が報知されないこととしてもよい。ただし、アドバイス情報が利用できれば、居住者は、エネルギー消費量の削減に向けてエネルギー消費行動を改善するにあたり、的確な指針を得ることができる。すなわち、本実施形態の方が、エネルギー消費行動を改善しようと考えている居住者にとって、より効果的な情報を報知する点において好適である。
【0086】
また、本実施形態において、記憶部16にはアドバイスデータが複数記憶されており、データ生成部14は、データ生成処理において、複数のアドバイスデータの中から、評価点に応じたアドバイス情報を示すアドバイスデータを評価点に基づいて抽出し、抽出したアドバイスデータをエネルギー管理情報データに組み込むこととした。しかし、これに限定されるものではなく、例えば、単一のアドバイスデータのみが記憶部16に記憶されていることとしてもよく、又は、アドバイスデータの抽出が無作為に行われることとしてもよい。ただし、居住者に報知するアドバイス情報のデータとして適当なアドバイスデータが、評価点(すなわち、データ解析結果)に応じて適切に抽出される結果、居住者のエネルギー消費行動に即して的確かつエネルギー管理情報が報知される点においては、本実施形態の方が望ましい。なお、本実施形態については、一の管理項目のみについて、一のアドバイス情報が報知されることとしたが、これに限定されるものではなく、複数の管理項目についてアドバイス情報が報知されてもよく、各管理項目について複数のアドバイス情報が報知されることとしてもよい。
【0087】
また、本実施形態において、管理項目が複数設定されている場合、データ解析部13は、管理項目に応じた解析方式にてエネルギー消費量データを解析する処理を、管理項目A〜E別に実行し、データ生成部14は、管理項目A〜E毎に、エネルギー管理情報が管理項目と対応して報知されるようなエネルギー管理情報データを生成することとした。これにより、エネルギー管理情報が各管理項目A〜Eと対応して報知され、居住者は管理項目A〜E別にエネルギー消費行動の改善の必要性を把握し、例えば、どの管理項目について優先的にエネルギー消費行動を改善する必要があるのかを把握することが可能になる。ただし、これに限定されるものではなく、単一の管理項目のみが設定されていることとしてもよい。
【0088】
また、本実施形態において、エネルギー消費量データが居住者の消費電力量データである場合、電源の消し忘れ時間、居住者が複数保有する同種の機器が同時使用される時間、総消費電力量に対する待機時消費電力量の割合、総消費電力量に対する深夜の消費電力量の割合、及び、居住者が保有する機器の中で連続的に使用される機器についての連続使用時間のすべてが、管理項目となっていることとした。ただし、これに限定されず、上記の項目のうち、少なくとも1つが管理項目となっていればよい。かかる構成であれば、電力消費量の削減に向けてエネルギー消費行動を改善しようと考えている居住者にとって、効果的かつ具体的な情報を報知することが可能になる。
【0089】
さらに、上記以外の管理項目が含まれていることとしてもよい。例えば、本実施形態では、待機時消費電力量に関する管理項目として、総消費電力量に対する待機時消費電力量の割合(すなわち、管理項目C)を用いているが、住宅3内において待機時電力を消費している機器の合計数を用いることとしてもよい。かかる管理項目(以下、管理項目F)に関する評価点の算出手順について、図13及び図14を参照しながら説明する。図13は、管理項目Fに関する評価点の算出手順を示す図である。図14は、管理項目Fに関する評価点を算出した場合に表示パネル21Pに表示されるエネルギー管理情報を示す図である。
【0090】
管理項目Fは、住宅3内において待機時電力を消費する電気使用機器のうち、実際に待機時電力を消費している機器の合計値である。管理項目Fについては、図4に示される各管理項目と電気使用機器との対応関係に基づいて、管理項目Cと対応付けられている電気使用機器と同じ機器の消費電力量データを解析することにより、評価点が算出される。
【0091】
具体的な算出手順について説明すると、図13に示すように、先ず、記憶部16に記憶された消費電力量データのうち、管理項目Fに関する評価点を算出するために必要なデータをデータ解析部13が読み取るところから始まる(S071)。より詳しく説明すると、データ解析部13は、待機時電力を消費する電気使用機器(すなわち、管理項目Cと対応付けられている電気使用機器と同一の機器)の消費電力量データを読み取る。そして、消費電力データに基づいて、待機時電力を実際に消費している機器の数をカウントする(S072)。例えば、所定時間毎の消費電力量が指定範囲にある電気使用機器は、待機時電力を実際に消費している機器に該当する。ここで、指定範囲とは、所定時間あたりの待機時消費電力量に相当する範囲である。なお、指定範囲については、評価点算出の事前に設定されていてもよく、評価点算出の際に計算することとしてもよい。
上記手順にてカウントされた電気使用機器の数(すなわち、待機時電力を消費する電気使用機器の数)が所定数以上である場合には(S073でYes)、前回の算出値から1点減点する(S074)。一方、所定数に満たない場合には(S073でNo)、前回の算出値に対して1点加点する(S075)。そして、上記一連の工程が所定時間毎に繰り返して行われる(S076でYes)。なお、所定時間については任意に設定可能である。
【0092】
以上の手順により管理項目Fについて評価点が算出されると、その算出結果は、表示パネル21Pに表示されることとなる。この際、表示パネル21Pには、図14に示すように、管理項目Fに関する評価点の算出結果とともに、待機時電力を消費する機器としてカウントされた電気使用機器が表示されることとなる。すなわち、居住者は、住宅3内の電気使用機器のうち、現在待機時電力を消費している機器を表示パネル21Pにて確認することが可能になる。
<<その他の実施形態>>
上記の実施形態には、主として本発明のエネルギー管理情報報知システム及びエネルギー管理情報報知方法について説明した。しかし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。また、上述したデータ解析処理やデータ生成処理の手順等については、本発明の効果を発揮させるための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0093】
また、上記の実施形態では、本システム1の主構成要素としてのサーバコンピュータ(すなわち、システムサーバ11)が、住宅3の管理会社2に設けられていることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、サーバコンピュータ(すなわち、エネルギー管理情報報知システム)が、住宅3内に設けられていることとしてもよい。
【0094】
また、上記の実施形態では、エネルギー消費量データとして、住宅3内における消費電力量データを例に挙げ、電力消費に関するエネルギー管理情報報知システムについて説明した。当然ながら、上記のエネルギー消費量データとしては、ガス消費量データや水道使用量データなど、他のエネルギー消費量データであってもよい。さらに、報知されるエネルギー管理情報については、1つのエネルギー消費に関するものに限らず、複数のエネルギー消費に関するものであってもよい。かかる場合、複数のエネルギー消費(例えば、電力消費とガス消費)の各々について、図5に示すような情報が表示パネル21Pに表示されることとしてもよい。
【0095】
また、上記の実施形態では、エネルギー管理情報が文字情報や画像情報として報知される形態、すなわち、エネルギー管理情報がユーザ端末21の表示パネル21Pに表示可能な視覚的情報であることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、エネルギー管理情報として、音声情報が報知されることとしてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 本システム(エネルギー管理情報報知システム)、 2 管理会社、
3 住宅、 4 インターネット、
11 システムサーバ、11a CPU、11b RAM、11c ROM、
11d 半導体記憶媒体、11e 補助記憶装置、11f 通信用インターフェース
12 通信部、13 データ解析部、14 データ生成部、15 データ配信部、
16 記憶部、17 データ受信部、18 制御部、
21 ユーザ端末、21P 表示パネル、30 分電盤、31 主幹回路、
32a〜32x 分岐回路、33 データロガー、34 電力計測タップ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザのエネルギー消費行動に伴って建造物内にて消費されるエネルギーの消費量を削減するために用いられるエネルギー管理情報を、前記ユーザに報知するために、前記ユーザが保有するユーザ端末に向けて、前記エネルギー管理情報を示すエネルギー管理情報データを配信するエネルギー管理情報報知システムであって、
前記消費量を計測器を用いて計測することにより取得される消費量データを、前記ユーザ端末側から受信するデータ受信部と、
該データ受信部が受信した前記消費量データを解析するデータ解析部と、
該データ解析部による解析結果に応じた前記エネルギー管理情報を示す前記エネルギー管理情報データを、生成するデータ生成部と、
前記ユーザ端末にて前記エネルギー管理情報データに基づいて前記エネルギー管理情報が前記ユーザに報知されるように、前記ユーザ端末に向けて前記エネルギー管理情報データを配信するデータ配信部と、を有し、
前記データ解析部は、前記ユーザが前記エネルギー消費行動を行う上で管理すべき管理項目に応じた解析方式にて、前記消費量データを解析し、
前記データ生成部は、前記エネルギー管理情報が前記管理項目と対応して報知されるような前記エネルギー管理情報データを生成することを特徴とするエネルギー管理情報報知システム。
【請求項2】
前記データ解析部は、前記管理項目に応じた算出方式にて前記管理項目に関する評価点を前記解析結果として算出し、
前記データ生成部は、前記評価点に応じた前記エネルギー管理情報が前記管理項目と対応して報知されるような前記エネルギー管理情報データを生成することを特徴とする請求項1に記載のエネルギー管理情報報知システム。
【請求項3】
前記消費量データが、前記ユーザの前記エネルギー消費行動に伴って住宅内にて消費される消費電力量を示すデータである場合、
電源の消し忘れ時間、前記ユーザが複数保有する同種の機器が同時使用される時間、総消費電力量に対する待機時消費電力量の割合、総消費電力量に対する深夜の消費電力量の割合、及び、前記ユーザが保有する機器の中で連続的に使用される機器についての連続使用時間のうち、少なくとも1つが前記管理項目とされていることを特徴とする請求項2に記載のエネルギー管理情報報知システム。
【請求項4】
前記エネルギー管理情報報知システムは、前記エネルギー管理情報として、前記評価点に関する評価点情報を報知し、
前記データ生成部は、前記評価点情報が前記管理項目と対応して報知されるような前記エネルギー管理情報データを生成することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のエネルギー管理情報報知システム。
【請求項5】
前記エネルギー管理情報報知システムは、前記エネルギー管理情報として、前記評価点情報、及び、前記エネルギー消費行動の改善のために用いられるアドバイス情報を報知し、
前記データ生成部は、前記評価点情報が前記管理項目と対応して報知され、かつ、前記評価点に応じた前記アドバイス情報が報知されるような前記エネルギー管理情報データを生成することを特徴とする請求項4に記載のエネルギー管理情報報知システム。
【請求項6】
前記アドバイス情報を示すアドバイスデータが複数記憶された記憶部を有し、
前記データ生成部は、前記エネルギー管理情報データを生成する際に、複数の前記アドバイスデータの中から、前記評価点に応じた前記アドバイス情報を示す前記アドバイスデータを前記評価点に基づいて抽出し、抽出した前記アドバイスデータを前記エネルギー管理情報データに組み込むことを特徴とする請求項5に記載のエネルギー管理情報報知システム。
【請求項7】
前記データ解析部は、前記評価点を算出するにあたり、前記算出方式として第1算出方式及び第2算出方式のうちのいずれかを選択し、
前記第2算出方式では、前記第1算出方式と比較して、前記評価点を決定するパラメータが変化したときの前記評価点の加減量が大きくなっており、
前記データ解析部は、所定時期には前記第2算出方式を選択し、当該所定時期以外の時期には前記第1算出方式を選択することを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載のエネルギー管理情報報知システム。
【請求項8】
前記管理項目が複数設定されている場合、
前記データ解析部は、前記管理項目に応じた解析方式にて前記エネルギー消費量データを解析する処理を前記管理項目別に実行し、
前記データ生成部は、前記管理項目毎に、前記エネルギー管理情報が前記管理項目と対応して報知されるような前記エネルギー管理情報データを生成することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のエネルギー管理情報報知システム。
【請求項9】
ユーザのエネルギー消費行動に伴って建造物内にて消費されるエネルギーの消費量を削減するために用いられるエネルギー管理情報を、前記ユーザに報知するために、前記ユーザが保有するユーザ端末に向けて、前記エネルギー管理情報を示すエネルギー管理情報データを配信するエネルギー管理情報報知方法であって、
前記消費量を計測器を用いて計測することにより取得される消費量データを、前記ユーザ端末側から受信するデータ受信処理と、
該データ受信処理にて受信した前記消費量データを解析するデータ解析処理と、
該データ解析処理における解析結果に応じた前記エネルギー管理情報を示す前記エネルギー管理情報データを、生成するデータ生成処理と、
前記ユーザ端末にて前記エネルギー管理情報データに基づいて前記ユーザに前記エネルギー管理情報が報知されるように、前記ユーザ端末に向けて前記エネルギー管理情報データを配信するデータ配信処理と、を有し、
前記データ解析処理では、前記ユーザが前記エネルギー消費行動を行う上で管理すべき管理項目に応じた解析方式にて、前記消費量データを解析し、
前記データ生成処理では、前記エネルギー管理情報が前記管理項目と対応して報知されるような前記エネルギー管理情報データを生成することを特徴とするエネルギー管理情報報知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−123478(P2012−123478A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271805(P2010−271805)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、独立行政法人情報通信研究機構「高度通信・放送研究開発委託研究/情報通信・エネルギー統合技術の研究開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)