説明

エネルギー補給用ゲル状食品及びその製造方法

【課題】低タンパク質、低塩で高カロリーの、プリンやチーズケーキ等のタイプのエネルギー補給用ゲル状食品を提供すること。
【解決手段】ブリックス糖度35〜60となる量の糖質を含むエネルギー補給用ゲル状食品であって、油脂を乳化した状態で含み、油脂含有量が前記食品の全重量を基準として2〜30重量%であり、寒天によってゲル化された前記食品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー補給用ゲル状食品、特に低タンパク質、低塩で高カロリーの、プリンやチーズケーキ等のタイプのエネルギー補給用ゲル状食品に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、病気を治療するための食事療法が医療界で注目されており、各種の医療食が開発されている。これらの医療食では、必要な栄養成分が補強されると共に、患者が食べやすい食事として提供されることが重要である。腎臓病食では、タンパク質、食塩を制限する一方、エネルギーを確保するために糖質や脂質を十分補強する必要がある。このような要請から、腎臓病食として、低タンパク質、低塩で高カロリーの食品が種々開発されており、特に食べやすいデザートとしてカロリー(糖質)を補強できる生菓子タイプの高カロリーゼリーが開発されている(特開平9−84532号公報及び特開2008−73023号公報)。
【0003】
【特許文献1】特開平9−84532号公報
【特許文献2】特開2008−73023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記の先行技術のゼリーは、pH3.0〜4.6程度の酸性ゲル状食品を対象としている。すなわち、腎臓病患者はタンパク質の摂取を制限されているため、プリンやチーズケーキ等の牛乳やチーズを含むものではない酸性ゲル状食品が提案されている。一方で、プリンやチーズケーキ等に近い風味、組織を有する、低タンパク質で高カロリーとしたゲル状食品を腎臓病患者に提供することができれば、腎臓病食のメニューが増えるため有益となる。しかし、プリンやチーズケーキ等の乳風味を形成するために重要となる牛乳やチーズを含まずに高カロリーとしたゲル状食品をつくる場合には、通常のプリンやチーズケーキに近い乳風味や組織をつくることが極めて困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明らは、寒天を含むゲル化剤によってゲル化すると共に、油脂を乳化した状態でかつ特定の比率で配合することにより、乳タンパク質によりもたらされるクリーミーな乳感と組織に近い性能が得られることを見出した。すなわち、本発明は、ブリックス糖度35〜60となる量の糖質を含むエネルギー補給用ゲル状食品であって、油脂を乳化した状態で配合し、油脂含有量が前記食品の全重量を基準として2〜30重量%であり、寒天によってゲル化された前記食品を提供する。
また、本発明は、エネルギー補給用ゲル状食品の製造方法であって、(1)糖質を含まない状態で、寒天を含むゲル化剤を加温水和してゲル化剤溶液を調製する工程、及び(2)ゲル化剤溶液に乳化した状態の油脂と糖質と必要に応じて他の原料を加えて、冷却固化ゼリー基材を調製する工程を含む前記製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、低タンパク質、低塩で高カロリーの、乳タンパク質によりもたらされるクリーミーな乳感と組織に近い性能を有するプリンやチーズケーキ等のタイプのエネルギー補給用ゲル状食品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のエネルギー補給用ゲル状食品は、ブリックス糖度35〜60となる量の糖質を含む。ブリックス糖度は、好ましくは35〜45である。ブリックス糖度35以上となる量の糖質を含むゲル状食品とすることによって少量でカロリーを効果的に補給することができるため、腎臓病患者に提供する腎臓病食等として有用である。一方、味覚の面でブリックス糖度は60以下であることが好ましい。ここで、本明細書において、ブリックス糖度とは、20℃におけるゲル化剤溶液又は基材の屈折率を測定し、純蔗糖溶液(サッカロース)の重量/重量パーセントに換算(国際砂糖分析法標準化委員会の換算表を使用)した値をいう。
【0008】
本発明のエネルギー補給用ゲル状食品に使用される糖質は何れの糖質でもよいが、エネルギー補給用ゲル状食品には大量の糖質が加えられることになるため、特に還元糖等の低甘味性の糖質が好ましい。砂糖と比べた場合の甘味が1/2以下程度、例えば1/4以下程度の糖質が好ましく、マルトース、直鎖オリゴ糖、還元分岐オリゴ糖、マルトオリゴ糖(デキストリン)、マルトデキストリン、グラニュー糖、酵素糖化水あめ等を単独あるいは適宜組み合せて使用することが好ましい。上記の糖質によって、甘味がやわらかに感じられて、しかも高カロリーのゲル状食品が得られるため、本発明の効能が最大限発揮される。糖質の使用量は求めるゲル状食品のブリックス糖度に応じて当業者が容易に設定することが可能である。また、他の原料に糖質が含まれるのであれば、その量も勘案して量を設定することができる。例えば、前記の糖質(砂糖と比べた場合の甘味が1/2以下程度のもの)を用いる場合は、乾燥重量として25〜60重量%程度を使用することで、概ね本発明のゲル状食品に好ましいブリックスが得られる。
【0009】
また、本発明のエネルギー補給用ゲル状食品には、油脂を乳化した状態で含む。油脂は動物油脂、植物油脂及び魚油脂等の何れでもよい。油脂含有量は、前記ゲル状食品の全重量を基準として2〜30重量%であり、好ましくは5〜15重量%である。エネルギー補給用ゲル状食品に乳化した状態で油脂を含み、上記範囲の油脂含有量とすることで、乳タンパク質によりもたらされるクリーミーな乳感と組織に近い性能が得られる。エネルギー補給用ゲル状食品に、油脂を乳化した状態で均一に含むことが望ましい。油脂を乳化した状態とは、所謂乳化状態、即ち、水系の分散媒中に油が微細粒子として分散している状態、あるいは、油系の分散媒中に水が微細粒子として分散している状態を指す。油脂を乳化した状態は、油脂、水及び必要により乳化剤を、均質化等の一般的な方法で乳化して達成することができる。乳化した状態の油脂として、具体的には、植物油脂クリーム(コーヒーホワイトナーのような形態のもの)、バター、マーガリンや、これらでタンパク質を含まないものが挙げられる。乳化した状態の油脂に占める油脂の割合は、制限がないが、エネルギー補給用ゲル状食品を提供する目的から、油脂の割合を増やす(例えば20重量%以上にする)ことが望ましい。
また、本発明のエネルギー補給用ゲル状食品は、寒天によってゲル化されたものである。寒天の含有量は、前記ゲル状食品の全重量を基準として、好ましくは0.01〜0.5重量%であり、より好ましくは0.05〜0.3重量%である。寒天の重量は乾燥重量に基づく。寒天によって、糖度及び油分の多い原料を安定なゲルに形成することができ、上記ゲルにより乳タンパク質によりもたらされるクリーミーな乳感と組織に近い性能が得られる。
【0010】
また、本発明のエネルギー補給用ゲル状食品は、ローカストビーンガム、ペクチン、キサンタンガム、カラヤガム、グァーガム、タマリンドガム及びκカラギーナンからなる群より選ばれた1以上、より好ましくはローカストビーンガム、キサンタンガムより選ばれた1以上をさらに含んでもよい。これらの原料を配合することにより、本発明のゲル状食品にプリン様のプルンプルンとした弾力をさらに付与することができる。これらの原料の含有量は、前記ゲル状食品の全重量を基準として、好ましくは0.01〜0.5重量%であり、より好ましくは0.01〜0.35重量%である。これらの原料の重量は乾燥重量に基づく。これらの原料は、本明細書でいうゲル化剤に該当する。
また、本発明のエネルギー補給用ゲル状食品は、HMペクチン、ネイティブジェランガム、セルロース、発酵セルロース、カルボキシメチルセルロース及びシトラス繊維からなる群より選ばれた1以上、より好ましくはセルロース、発酵セルロースより選ばれた1以上をさらに含んでもよい。これらの原料を配合することにより、本発明のゲル状食品の製造工程中、及び保存中の油脂の乳化状態の安定性を高めることができる。これらの原料の含有量は、前記ゲル状食品の全重量を基準として、好ましくは0.01〜2重量%であり、より好ましくは0.05〜1重量%である。これらの原料の重量は乾燥重量に基づく。これらの原料のうち、HMペクチン、ネイティブジェランガムは、本明細書でいうゲル化剤に該当する。
また、本発明のゲル状食品のタンパク質含量は、前記ゲル状食品の全重量を基準として、好ましくは3重量%以下であり、より好ましくは0.5重量%以下である。また、本発明のゲル状食品のカリウム含量は、前記ゲル状食品の全重量を基準として、好ましくは0.5〜20mg/100gであり、より好ましくは1〜10mg/100gである。このように、タンパク質含量及びカリウム含量を抑えることにより、腎臓病患者に適した製品とすることが可能となる。タンパク質含量は窒素定量換算法によって、カリウム含量は誘導結合プラズマ発光分析法によって各々測定することができる。
【0011】
本発明のエネルギー補給用ゲル状食品は、(1)糖質を含まない状態で、寒天を含むゲル化剤を加温水和してゲル化剤溶液を調製し、(2)ゲル化剤溶液に乳化した状態の油脂と糖質と必要に応じて他の原料を加えて、冷却固化ゼリー基材を調製することにより製造することができる。
工程(1)における「糖質を含まない状態」とは、本発明に使用される上記糖質が原料として加えられていない状態、あるいは、上記糖質が下記するゲル化剤及び糖質を一緒に加温水和してゲル化剤溶液を調製して固化する場合に、品質不良のゲル状食品となる不具合が起こらない程度(例えばブリックス糖度15以下)にまで減らして加えられる状態を意味する。一般に、ゲル化剤及び多量の糖質を一緒に加温水和してゲル化剤溶液を調製して、これを固化すると、食感、味覚等の面で不良なゲル状食品となるが、上記のように糖質を含まない状態でゲル化剤を加温水和し、後に糖質を加えるという手順を採用することにより、舌触り、口どけが滑らかで、甘味がやわらかに感じられ、組織が滑らかで外観も優れた高カロリーのゲル状食品を得ることができる。
尚、この条件を採用することよって上記のような食感等が得られるメカニズムは定かではないが、ゲル化剤及び糖質を一括して加温水和する場合は、水和性の高い糖質の水和が優先し、ゲル化剤の水和がこれに遅れて二次的に行われる結果、これを固化して得られるゲル状食品の物性が損なわれるのに対して、予めゲル化剤を水和させ、これに糖質を加えた場合には、両者の水和が極限まで達成されるためではないかと考えられる。
【0012】
ゲル化剤を加温水和させるための条件は、上記水和が達成される限り制限はなく、使用するゲル化剤の溶解温度以上であればよいが、本発明においては、例えば約70〜100℃、好ましくは約75〜90℃、例えば80℃で、0(達温)〜20分間程度、好ましくは5〜15分間、例えば10分とするのが、ゲル化剤の溶解性を高め、ゲル状食品のゲル化を好適に達成する上で好ましい。水和の際使用する水の量は特に制限されない。加温水和は適宜撹拌条件下で行い得る。ゲル化剤は乾燥粉末(各種製剤を含む)、あるいは一旦液化したもの等何れの態様で用いてもよい。なお、本工程においては、工程(2)で糖質を加える前にゲル化剤が完全に溶解されていることが好ましい。
本発明において、ゲル化剤として使用される寒天は当該技術分野に知られるどのようなものを使用してもよいが、100℃未満、好ましくは75〜90℃の温度に加熱することにより十分に水和させることを考慮すると即溶性寒天であることが好ましい。
【0013】
本発明の工程(2)では、工程(1)で調製されたゲル化剤溶液に乳化した状態の油脂、糖質及び必要に応じて他の原料を加えて冷却固化ゼリー基材が調製される。ここで、他の原料とは、ゲル状食品に使用することが当業者に知られるあらゆる原料を意味し、例えば乳製品、ビタミン等の他の栄養成分、食物繊維、酸味料、香料等が挙げられる。これらの原料を必要に応じて任意の量で使用することができる。ただし、腎臓病患者に適したゲル状食品とするためには、たんぱく質原料は含まないことが好ましく、またカリウム含量を抑える観点から果実及び果汁も使用しないことが好ましい。
ゲル化剤溶液に添加する糖質及び他の原料は、乾燥粉末あるいは液化したもの等の何れでもよいが、糖質については、溶解が容易であり、また味覚の優れたゲル状食品を得るために、液化したもの(シロップ)を用いることが望ましい。また、予め糖質及び他の原料を加温水和したものをゲル化剤溶液に加えることもでき、この場合糖質は約50〜80℃の温度に加温水和することが好ましく、この方法を採用することにより、十分水和した糖質をゲル化剤溶液に加えて均質な基材を得、更に食感及び味覚に優れたゲル状食品を製造することができる。
粉末状の糖質等を用いる場合は、ゲル化剤を加温水和してゲル化剤溶液を得た後、これに上記の原料を加えて更に加熱を続けて水和させることができる。これらの各処理は適宜撹拌条件下で行い得る。各原料の溶解混合を効率的に行うために、ゲル化剤溶液の調製から糖質等の添加までの工程を連続的に加熱しながら行うことができる。
【0014】
なお、このように調製したゼリー基材に、必要により酸原料を加えてpHを調整することができる。このゼリー基材を適当な容器に充填し、冷却固化を行う。なお、この段階で必要に応じてシール、密封して、加熱殺菌を行ってもよい。加熱殺菌は、容器に充填したゼリー基材を温水層に入れて、ゼリー基材の温度を75〜95℃にしてから10〜30分間保持することにより、あるいはレトルト処理により行われる。このように、必要により加熱殺菌処理を施すことにより、最終製品の常温流通が可能となる。
ゼリー基材の冷却固化温度は、使用するゲル化剤の種類、含有量、比率に応じて当業者が任意に設定することが可能であるが、本発明においては例えばゲル状食品の温度が20〜50℃、好ましくは20〜40℃になるまで冷却することにより固化させることができる。
以上に説明した本発明の製造方法により、たんぱく質及びカリウム含量を抑制し、かつプリンやチーズケーキ等のタイプのエネルギー補給用ゲル状食品を得る事が可能となる。
以下、実施例により説明する。
【実施例】
【0015】
(チーズケーキ様食品)
(実施例1)
表1に示した配合(数値は原料の質量部を示す)に従い、寒天、ローカストビーンガム及びセルロースを水に加え、85℃に加熱溶解してゲル化剤を水和させ、ゲル化剤溶液を得た。ゲル化剤溶液のブリックス糖度は11であった。
このようにして得られたゲル化剤溶液にグラニュー糖、マルトオリゴ糖、植物油脂クリーム(植物油脂13.5重量部、乳脂肪2.5重量部及び水14重量部を均質乳化して得た植物油脂クリーム)、クエン酸、色素及び香料を加えて基材を調製した。基材のブリックス糖度は37.0であった。また、基材のpHは3.80であった。なお、カリウム含有量及びタンパク質含有量を表1に示す。
前記基材を容量60ccの容器に充填し、シールし、密封し、温水で80℃の温度にして20分間殺菌を行った。その後35℃にまで冷却してゼリー状のチーズケーキ様食品を得た。
得られたチーズケーキ様食品は、通常のレアチーズケーキに近いクリーミーでチーズのコク味のある乳感を有し、組織と食感・口どけもそれに近い良好なものであった。
【0016】
(実施例2〜4)
原料の配合を表1のように変える以外は実施例1と同様にしてチーズケーキ様食品を製造した。
実施例2で得られたチーズケーキ様食品は、実施例1のものと比べて弾力のよわいものであったが、通常のレアチーズケーキに近い乳感、組織と食感・口どけを有するものであった。
実施例3で得られたチーズケーキ様食品は、多少油脂の分離が認められたが、実施例1のものと同等の乳感、組織と食感・口どけを有するものであった。
実施例4で得られたチーズケーキ様食品は、実施例1のものと比べて弾力のよわいもので、多少油脂の分離が認められたが、通常のレアチーズケーキに近い乳感、組織と食感・口どけを有するものであった。
【0017】
(比較例1)
植物油脂クリームに代えて、これと同様の成分となる植物油脂及び乳脂肪(すなわち、これらの油脂は乳化されていない)を使用した。
比較例1で得られたチーズケーキ様食品は、ゲルの硬さはあるが、油脂の分離が認められ、乳化が不安定で、通常のレアチーズケーキに近い乳感、組織と食感・口どけの何れもが乏しいものであった。
【0018】
【表1】

【0019】
(実施例5)
実施例1と同じ配合で、寒天、ローカストビーンガム、セルロース、グラニュー糖、マルトオリゴ糖及び植物油脂クリーム(実施例1で用いたものと同じもの)を水に加え、85℃に加熱溶解してゲル化剤を水和させ、ゲル化剤溶液を得た。つまり、実施例1と同じ原料(クエン酸、色素及び香料以外のもの)を一括して加熱溶解し、ゲル化剤溶液を得た。
このようにして得られたゲル化剤溶液にクエン酸、色素及び香料を加えて基材を調製した。基材のブリックス糖度は37.0であった。また、基材のpHは3.80であった。なお、カリウム含有量及びタンパク質含有量は実施例1と同じである。
前記の基材を容量60ccの容器に充填し、シールし、密封し、温水で80℃の温度にして20分間殺菌を行った。その後35℃にまで冷却してゼリー状のチーズケーキ様食品を得た。
得られたチーズケーキ様食品は、実施例1のものと比べてゲルの硬さがよわく、カスタードクリームのような物性のもので、クリーミーでチーズのコク味のある乳感を有し、カスタードクリーム様の組織と食感・口どけを有するものであった。
【0020】
(実施例6)
実施例1と同じ配合で、寒天、ローカストビーンガム、セルロース及び植物油脂クリーム(実施例1で用いたものと同じもの)を水に加え、85℃に加熱溶解してゲル化剤を水和させ、ゲル化剤溶液を得た。ゲル化剤溶液のブリックス糖度は11であった。
このようにして得られたゲル化剤溶液にグラニュー糖、マルトオリゴ糖、クエン酸、色素及び香料を加えて基材を調製した。基材のブリックス糖度は37.0であった。また、基材のpHは3.80であった。なお、カリウム含有量及びタンパク質含有量は実施例1と同じである。
前記の基材を容量60ccの容器に充填し、シールし、密封し、温水で80℃の温度にして20分間殺菌を行った。その後35℃にまで冷却してゼリー状のチーズケーキ様食品を得た。
得られたチーズケーキ様食品は、実施例1のものと比べてゲルの硬さがよわく、実施例5のものと比べてゲルが硬い、ハードヨーグルトのような物性のもので、クリーミーでチーズのコク味のある乳感を有し、ハードヨーグルト様の組織と食感・口どけを有するものであった。
【0021】
(プリン様食品)
(実施例7)
表2に示した配合に従い、寒天、ローカストビーンガム、キサンタンガム及び発酵セルロースを水に加え、85℃に加熱溶解してゲル化剤を水和させ、ゲル化剤溶液を得た。ゲル化剤溶液のブリックス糖度は11であった。
このようにして得られたゲル化剤溶液にグラニュー糖、マルトオリゴ糖及び植物油脂クリーム(実施例1で用いたものと同じもの)、色素及び香料を加えて基材を調製した。基材のブリックス糖度は36であった。また、基材のpHは中性(6.5程度)であった。なお、カリウム含有量及びタンパク質含有量を表2に示す。
前記基材を容量60ccの容器に充填し、シールし、密封し、レトルト釜で120℃の温度にして20分間殺菌を行った。その後35℃にまで冷却してゼリー状のプリン様食品を得た。
得られたプリン様食品は、通常のプリンに近いクリーミーで甘味のある乳感を有し、組織と食感・口どけもそれに近い良好なものであった。
【0022】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブリックス糖度35〜60となる量の糖質を含むエネルギー補給用ゲル状食品であって、
油脂を乳化した状態で含み、
油脂含有量が前記食品の全重量を基準として2〜30重量%であり、
寒天によってゲル化された前記食品。
【請求項2】
ローカストビーンガム、ペクチン、キサンタンガム、カラヤガム、グァーガム、タマリンドガム及びκカラギーナンからなる群より選ばれた1以上をさらに含む請求項1記載のエネルギー補給用ゲル状食品。
【請求項3】
HMペクチン、ネイティブジェランガム、セルロース、発酵セルロース、カルボキシメチルセルロース及びシトラス繊維からなる群より選ばれた1以上をさらに含む請求項1又は2記載のエネルギー補給用ゲル状食品。
【請求項4】
タンパク質含有量が前記食品の全重量を基準として0.5重量%以下である、請求項1〜3のいずれか記載のエネルギー補給用ゲル状食品。
【請求項5】
エネルギー補給用ゲル状食品の製造方法であって、
(1)糖質を含まない状態で、寒天を含むゲル化剤を加温水和してゲル化剤溶液を調製する工程、及び
(2)ゲル化剤溶液に乳化した状態の油脂と糖質と必要に応じて他の原料を加えて、冷却固化ゼリー基材を調製する工程
を含む前記製造方法。