説明

エネルギー貯蔵装置およびそれに関連する複合品

本発明の態様は、ポリマーマトリックス中に埋め込まれた細長い導電性構造体の複合品を含む、エネルギー貯蔵装置、例えばキャパシタおよび蓄電池に関する。イオン種を含む液体が、製品のポリマーマトリックス内部に分散されている。この液体は、ポリマーマトリックス内部の細長い導電性構造体に接触することができる。複合品を、エネルギー貯蔵装置として使用すると、細長い導電性構造体と液体と間の界面における大きな表面積によって、大きなエネルギー貯蔵を得ることができる。本発明の態様は、低温および高温の両方の安定性、高い周期的反復性、および機械的柔軟性を示す複合品を使用してエネルギーを貯蔵することを可能にする。この複合品は、無毒で、生体適合性を有し、環境に優しいものとすることができる。すなわち、この複合品は、自動車、RFID(無線認証)、MEMS(微小電気機械システム)および医療分野などにおける、様々なエネルギー貯蔵装置に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にはエネルギー貯蔵装置およびそのような構造体に関連する方法、ならびに複合品に関し、より具体的にはポリマーマトリックスと細長い導電性構造体とで形成された複合品に関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー貯蔵装置としては、電気化学キャパシタ(例えばスーパーキャパシタ)および蓄電池があげられる。電気化学キャパシタは、スーパーキャパシタを含み、携帯用システムおよび自動車用途において有望な電源である。従来型のキャパシタは、一般に、マイクロファラッドまたはピコファラッドのオーダーのキャパシタンスを有する。はるかに高いキャパシタンスを有するスーパーキャパシタが、1990年代から開発されてきた。スーパーキャパシタはまた、高い出力密度を有しており、このことは電気エネルギー貯蔵装置用途において有利となり得る。
【0003】
電気化学キャパシタの性能特性は、一部には、電極の構造的性質および電気化学的性質によって決まる。ドープされた導電性ポリマー、金属酸化物、金属窒化物、および様々な形態の炭素を含む様々な材料が、電極材料として使用するために研究されてきた。炭素ベースのスーパーキャパシタ電極は、大きい表面積と多孔質性のために関心を集めてきた。最近では、カーボンナノチューブが、電気化学二重層キャパシタ用の電極として使用されている(例えば、FrackowiakとBeguin、Electrochemical storage of energy in carbon nanotubes and nanostructured carbons; Carbon 40 (2002) 1775を参照)。単壁カーボンナノチューブとポリマー複合材の組合せを電極材料として使用するスーパーキャパシタが、米国特許第7061749(Liu)に記載されており、これにおいては、電解質透過性のセパレータまたはスペーサが電極間に挿入される。そのようなキャパシタにおいては、液体電解質とセパレータを使用することは、制約に結びつく可能性がある。
【0004】
従来型スーパーキャパシタ電極製作過程には、通常、活性電極材料と結合剤の物理的混合、電荷移動抵抗(charge-transfer resistance)を低減するのに重要な焼きなまし(annealing)処理などの、様々な工程が含まれる。多孔質で電気絶縁性のセパレータが、2つの電極の間に挟まれることもある。そのような工程は複雑で、その他の短所がある。
【0005】
蓄電池は、通常、携帯用電子デバイスや電気自動車または式ガソリン・電気ハイブリッド車などのシステムのためのエネルギー貯蔵装置として使用される。蓄電池用の電極材料、特にリチウム蓄電池の陰極(cathode)材料には、甚大な努力が振り向けられてきた。リチウム蓄電池は、放電中にリチウムイオンを放出するための活性材料を含む陽極(anode)を備える。
【0006】
カーボンナノチューブはまた、リチウム蓄電池の陰極材料を始めとして、電極材料として考えられてきた。例えば、特開平5−175929に対応する、特許第2513418号は、カーボンナノチューブを含有する陰極を開示している。電気放電によって得られるカーボンナノチューブが、陰極電極として使用されてきた。リチウムをドープした遷移金属合金酸化物を陰極材料として使用し、かつカーボンナノチューブを陽極材料として使用する、リチウム蓄電池は、米国特許第7060390(Chen)にも記載されている。畜電池においてカーボンナノチューブを電極材料として使用する従来型技法は、ナノチューブと導電性結合剤を混合すること、および焼きなまし処理を行うことを含めて、いくつかの工程を含み、このことは、等価抵抗を増大させるとともに、実際上、蓄電池の性能を低下させる。
【0007】
一般に、上記のものを含み、従来型装置の制約を克服するエネルギー貯蔵装置(例えば、電気化学キャパシタおよび蓄電池)と、それを形成する方法を提供するというニーズがある。特に、これらのエネルギー貯蔵装置は、安定性、柔軟性、生体適合性、パッケージの容易性を示すとともに、相対的に環境的に良性の材料で製作されることが望ましい。また、そのようなエネルギー貯蔵装置の電極は、大きいアクセス可能な表面積、高い孔隙率(porosity)、および高い導電率(conductivity)を有することが望ましい。簡便で安価、かつ容易に反復可能である、前述のような電極の製造方法に対するニーズがある。
【発明の概要】
【0008】
ポリマーマトリックスと細長い導電性構造体とで形成される複合品、ならびにそのような製品に関連するエネルギー貯蔵装置および方法が提供される。
本発明の様々な観点が記述される。所与の態様は、本発明の一つの観点または複数の観点を実施することができる。したがって、あるいくつかの対の観点が実際に互いに相反するとしても、観点同士が互いに相反すると理解するものではない。
【0009】
一観点において、本発明は、非導電性ポリマーマトリックスと、このポリマーマトリックス中に埋め込まれた第1の細長い導電性構造体を含む、第1の電極とを含む、エネルギー貯蔵装置に関する。このエネルギー貯蔵装置はまた、第2の電極と、イオン種を含む液体とを含む。この液体は、ポリマーマトリックスに含有される。態様によっては、エネルギー貯蔵装置は、キャパシタまたは蓄電池とすることができる。
別の観点において、本発明は、非導電性ポリマーマトリックスと、このポリマーマトリックス中に埋め込まれた複数の細長い導電性構造体とを含む、複合品に関係する。この複合品はまた、ポリマーマトリックスに含有されるイオン種を含む液体を含む。この複合品は、例えば、エネルギー貯蔵装置内で使用してもよい。
【0010】
さらに別の観点において、本発明は、エネルギー貯蔵装置において使用することのできる複合品を形成する方法に関する。この方法は、1組の細長い導電性構造体を形成すること、この1組の細長い導電性構造体に、ポリマーと液体との溶液を浸透させることを含む。この複合品は、細長い導電性構造体が、非導電性ポリマーマトリックス中に埋め込まれるように形成される。
本発明のその他の観点、態様および特徴は、添付の図面と合わせて考察すれば、以下の本発明の詳細な説明から、明白となるであろう。添付の図は概略であり、等尺にすることを意図するものではない。これらの図において、様々な図に示されている、それぞれの、同一または実質的に同様の構成要素は、単一の数字または記号によって表わされている。
分かりやすくする目的で、すべての図において、すべての構成要素に標識はつけていない。また、当業者に本発明を理解させるのに説明が不要である場合には、本発明のそれぞれの態様についてすべての構成要素を示してはいない。参照により本明細書に組み入れるすべての特許出願および特許は、参照によりそれらの全文を組み入れてある。矛盾が生じた場合には、(それがあれば)定義を始めとする、本明細書によって支配される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は本発明の一態様による複合品を示す図である。
【図2】図2は本発明の一態様によるキャパシタを示す図である。
【図3】図3は本発明の一態様による蓄電池を示す図である。
【図4】図4は本発明の一態様による、複合品を形成する方法を示す図である。
【図5】図5は本発明の一態様による複合品の柔軟性を説明する写真である。
【図6】図6は本発明の一態様による細長い導電性構造体とポリマーマトリックスの画像である。
【図7A】図7Aは本発明の一態様による、キャパシタの電気的パラメータの実験結果を説明するグラフである。
【図7B】図7Bは本発明の一態様による、キャパシタの電気的パラメータの実験結果を説明するグラフである。
【図8】図8は本発明の一態様による、蓄電池の電気的性能の実験結果を説明するグラフである。
【図9】図9は本発明の一態様による、整列された細長い導電性構造体の画像である。
【図10A】図10Aは本発明の一態様による、特定の電解質を有するスーパーキャパシタのサイクリックボルタンモグラムを示す図である。
【図10B】図10Bは本発明の一態様による、特定の電解質を有するスーパーキャパシタの充放電曲線を示す図である。
【図11A】図11Aは本発明の一態様による、蓄電池の容量対電圧のグラフである。
【図11B】図11Bは本発明の一態様による、蓄電池の容量対サイクルのグラフである。
【図12A】図12Aは本発明の一態様による、出力密度対温度のグラフである。
【図12B】図12Bは本発明の一態様による、様々な温度におけるサイクリックボルタンモグラムのグラフである。
【図13A】図13Aは本発明の一態様による、汗、例えば汗水をスーパーキャパシタ電解質として使用する、スーパーキャパシタのサイクリックボルタンモグラムを示す図である。
【図13B】図13Bは本発明の一態様による、汗、例えば汗水をスーパーキャパシタ電解質として使用する、スーパーキャパシタの充放電曲線を示す図である。
【0012】
詳細な説明
本発明の態様は、ポリマーマトリックス中に少なくとも部分的に埋め込まれた細長い導電性構造体を含むことのできる、複合品に関する。以下に詳しく説明するように、複合品は、例えば、キャパシタ、蓄電池および燃料電池を含むエネルギー貯蔵装置を形成するのに使用してもよく、また太陽電池に使用してもよい。態様によっては、イオン種を含む液体を、製品のポリマーマトリックスに含有させてもよく、この液体は、ポリマーマトリックス内部で細長い導電性構造体と接触してもよい。この複合品をエネルギー貯蔵装置に使用すると、細長い導電性構造体と液体との間の界面における大きな表面積によって、高いエネルギー貯蔵を得ることができる。本発明の態様は、高温および低温の両方の安定性、高い周期的反復性、および機械的柔軟性を示す複合品を使用してエネルギーを貯蔵することを可能にする。この複合品は、無毒で、生体適合性があり、環境に優しいものとすることもできる。したがって、この複合品は、自動車分野における電気自動車やハイブリッド自動車、ならびにRFIDおよび医療分野における用途などの、多様なエネルギー貯蔵用途においても有用である。
【0013】
図1は複合品10の一態様を示す。この製品は、非導電性ポリマーマトリックス2と、このポリマーマトリックス中に埋め込まれた複数の細長い導電性構造体4を含む。イオン種を含む液体6は、ポリマーマトリックスに含有されている。すなわち、複合品10は、キャパシタや蓄電池などの異なるエネルギー貯蔵装置を形成するのに使用することのできる、比較的簡単な構造体である。エネルギー貯蔵用途に使用すると、複合品10の簡単さは、先行技術エネルギー貯蔵装置と比較して、少なくとも一部には、必要とされるパッケージングの複雑さを軽減するという理由で有利である。ここで、複合品10の様々な観点を、さらに詳細に説明する。
【0014】
任意の好適なポリマーおよび/またはブロックコポリマーをポリマーマトリックス2として使用してもよい。本発明のいくつかの態様においては、ポリマーマトリックスは非導電性であるのが好ましい。本明細書において使用する場合には、用語「非導電性」は、材料が、例えば約1010オーム・メートルよりも大きい、好ましくは約1016オーム・メートルよりも大きい抵抗を有する、電気的絶縁体であることを意味する。低導電率値および/または高抵抗値を有するポリマーマトリックスは、複合品を使用して形成することのできる、エネルギー貯蔵装置の短絡故障を防止することができる。態様によっては、ポリマーマトリックス2は、親水性ポリマーとしてもよい。態様によっては、ポリマーマトリックス2は、疎水性ポリマーとしてもよい。態様によっては、ポリマーマトリックス2は、セルロースおよび/または修飾セルロース材料としてもよい。ポリマーマトリックス2が、1種のセルロース材料である場合には、セルロースユニットは、水素結合を介して互いに引き付けあう。別の例として、ポリマーマトリックス2は、ポリエチレンオキシド(PEO)としてもよい。ポリマーマトリックス2は、本発明はこの点で限定されないので、有機ポリマーまたは無機ポリマーで形成してもよい。
【0015】
細長い導電性構造体は、ポリマーマトリックス中に埋め込むことができる。用語「埋め込まれた(embedded)」は、細長い導電性構造体の一部分が、少なくとも部分的にポリマーマトリックスによって包囲されていることを意味する。埋め込まれた細長い導電性構造体は、ポリマーに化学的に結合することなく、ポリマーマトリックス内部に存在してもよい。しかしながら、本発明はこの点において限定されないので、細長い導電性構造体は、マトリックスに物理的に結合および/または化学的に結合していてもよい。細長い導電性構造体がカーボンナノチューブであり、ポリマーマトリックスがセルロースである場合には、カーボンナノチューブは、ポリマーマトリックスのポリマーへと引き付けられる。用語「ポリマーマトリックス」は、単に、細長い導電性構造体の上に形成されたポリマーのコーティングではない。そうではなく、ポリマーマトリックスは、大規模な3次元構造を有してもよい。
【0016】
このポリマーマトリックスは、複合品の本体およびその中に存在する細長い導電性構造体のための枠組みを提供する。ポリマーマトリックスがフィルムである場合には、このフィルムの厚さは、例えば、細長い導電性構造体の長さとほぼ同じ程度の大きさにしてもよい。ポリマーマトリックスは、多孔質構造を有して、液体6が細孔を通過し、それによってポリマーマトリックス内部に分散される(例えば、含有される)とともに、その中の細長い導電性構造体と接触することを可能にしてもよい。ポリマーマトリックスは、以下に詳細に説明するように、結果として得られる製品に所望の3次元形状を与えるように、成形または成型してもよい。
【0017】
態様によっては、埋め込まれたフィラメントの一部分を露出させて、金属接点によるか、またはその他任意の好適な電気伝導性の接点材料よって、それと電気接触させてもよい。
ポリマーマトリックスは、任意の好適な形状および寸法に形成することができる。一例においては、ポリマーマトリックス2はフィルムとしてもよい。例えば、このフィルムの厚さは0.1〜3ミリメートルとしてもよい。態様によっては、フィルムの厚さは0.3〜1ミリメートルとしてもよい。ポリマーマトリックス2を多孔質として、細長い導電性構造体4がポリマーマトリックスの細孔内に埋め込まれるようにしてもよい。液体6は、ポリマーマトリックス2の1つまたは複数の領域において細孔を透過してもよい。態様によっては、液体6は、実質的にポリマー材料全域を透過してもよい。
【0018】
細長い導電性構造体4は、任意の好適な種類の導電性材料で形成することができる。ある好ましい態様においては、細長い導電性構造体4は、カーボンナノチューブなどの炭素で形成してもよい。カーボンナノチューブを使用する場合には、それらは、修飾または非修飾、官能化または非官能化、および多重壁化また単壁化するか、あるいはそれらの任意の好適な組合せとすることができる。態様によっては、細長い導電性構造体4は、1種または2種以上の金属酸化物および/または導電性ポリマーで形成してもよい。しかしながら、本発明はこの点において限定されないので、細長い導電性構造体は、任意の好適な材料で形成してもよい。態様によっては、細長い導電性構造体は、2種以上の材料で形成してもよい。フィラメント、ナノチューブ、またはナノワイヤなどの、任意の好適な種類または形状の細長い導電性構造体を使用してもよい。
【0019】
細長い導電性構造体4は、任意適当な長さ、例えば10ミクロン〜5ミリメートルとしてもよい。態様によっては、この長さは、約50〜500ミクロンとしてもよい。細長い導電性構造体のアスペクト比(すなわち、長さ/幅)は、1より大きく、より一般的には、5:1また10:1よりも大きくしてもよい。細長い導電性構造体は導電性であり、例えば、約10S/cmより大きい電気伝導率を有する。細長い導電性構造体4は、任意の好適な配向を有してもよい。態様によっては、少なくとも一部、大部分(例えば、50%以上)、または実質的に全部のフィラメントを互いに整列させてもよい。例えば、少なくとも一部、または実質的に全部のフィラメントを、細長い導電性構造体4がその上に配置される、基板または導電性材料に直角の方位に整列させてもよい。複合品をフィルムの形状に形成する場合には、細長い導電性構造体4の大部分を、フィルムの主表面8に直角の方位に互いに整列させてもよい。
【0020】
細長い導電性構造体4は、フィラメントのパターニングした束または連続配列として配設してもよい。本発明はこの点で限定されないので、細長い導電性構造体4は、互いに接触しても、しなくてもよい。細長い導電性構造体は、少なくとも一部の細長い導電性構造体の一部分(例えば、それぞれの端部)だけが露出されて、少なくとも一部の細長い導電性構造体の残部がポリマーマトリックスによって包囲されるように、ポリマーマトリックス内に埋め込んでもよい。細長い導電性構造体の少なくとも一部が、露出部分を有して、細長い導電性構造体への電気接触をもたらしてもよい。態様によっては、液体6は、ポリマーマトリックス内部で細長い導電性構造体と接触する。
【0021】
液体6は、ポリマーマトリックスに含有されている。態様によっては、液体6をポリマーマトリック全体にわたって分散させるのが好ましい。そのような構造によって、液体6は、大きな表面積にわたって細長い導電性構造体4と接触することができ、この大きな表面積は、高エネルギー貯蔵能力をもたらすことができる。液体6は、任意の好適なイオン種を有する任意の好適な液体とすることができる。液体6は、化合物の水溶液または非水溶液とすることができる。例えば、液体6は電解質としてもよい。態様によっては、液体6は、イオン液体、例えば、塩化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム([bmIm][Cl])などの室温イオン液体としてもよい。別の例として、液体は、硫酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸プロピレン、ジメトキシエタノール、炭酸ジエチルまたはアセトニトリルとしてもよい。さらに別の例として、液体には、LiClO、NaClO、LiAsF、BFまたは四元(quarternary)ホスホニウム塩を含めてもよい。しかしながら、本発明はこの点において限定されないので、任意の好適な液体を使用してもよい。態様によっては、液体6は、以下にさらに述べる様々な特異なエネルギー貯蔵装置用途を可能にする、体液(例えば、汗(perspiration)、尿、血液、唾液および/または滑液(synovial fluid))としてもよい。
【0022】
態様によっては、液体6は、ポリマーマトリックス2を構成するポリマーを溶解する能力を有してもよい。液体6内にポリマーを溶解すると、ポリマーマトリックス2中に埋め込まれた細長い導電性構造体を有する複合品10の形成を容易にすることができる。ポリマーマトリックス2の形成については、以下にさらに詳細に考察する。ポリマーマトリックス内に存在する液体の量は、複合品の総重量の約0.01%〜50%の間にしてもよい。態様によっては、液体の量は、複合品の総重量の約5%〜30%の間にしてもよい。
【0023】
図5に示すように、複合品10は、高度な機械的柔軟性を示し、性能の変化をほとんど、またはまったく生じることなく構造体を曲げることを可能にする。このような柔軟性によって、装置、例えばインプラントのためのフレキシブル電源を提供するのに構造体10、キャパシタ20および/または蓄電池30を使用することのできる医療用途に対して、複合品を特に有用にすることができる。別の例として、それらは、ウエアラブル・コンピューティング(wearable computing)用途などの様々なシナリオにおいて望まれるように、衣服内に使用して、携帯用エネルギー貯蔵を提供してもよい。複合品10は、人体または動物体に取り付けるように設計してもよい。複合品10は、無毒かつ生体適合性として、複合品10を人体または動物体内に移植可能に設計することを可能にしてもよい。
【0024】
汗、尿、血液、唾液および/または滑液などの体液を含む、様々な液体のいずれか1種または2種以上を、複合品に使用してもよい。体液を液体6として使用すると、自立型(self-sustainable)キャパシタ装置の製造が可能となり、このような自立型キャパシタ装置は、時間と共に漏出または腐食を起こす可能性があり、または有毒であることもある、事前パッケージされた液体電解質の使用により発生する可能性のあるパッケージング問題を克服することができる。体液は、患者の監視および/または診断などの様々な医療用途において、液体6として複合品中で使用してもよい。体液は、移植可能(implantable)装置において使用する場合に、液体6として特に有用である。例えば、体液(例えば、血液)を液体6として含む生体適合性複合品を、インビボ患者測定/監視のための移植可能なセンサの一部として使用してもよい。別の例として、体液(例えば、汗)を液体6として含む複合品を、患者の測定および/または監視のための移植不能センサとして使用してもよい。
【0025】
体液の任意の好適な特性を、そのようなセンサを使用して測定することができる。一例として、患者の電解質レベルを、体液の導電率に基づいて測定してもよい。態様によっては、体液を液体6として含む複合品は、移植可能な医療装置(例えば、ペースメーカー)用に設計されたエネルギー貯蔵装置に使用してもよい。体液を使用する複合品は、非医療用途においても有用である。例えば、液体6として体液を含む複合品は、運動選手が消耗する流体量を測定するセンサ、被験者における気分および/または神経質度合いを検出するセンサ(例えば、うそ発見器試験)、心拍数モニター用のエネルギー貯蔵装置、時計、およびその他の任意の好適な用途の一部として使用してもよい。
【0026】
複合品10は、環境に優しいものとして、環境に害を与えることなく容易に配置できるようにしてもよい。複合品10は、極高温および極低温において動作可能にしたり、オートクレーブ処理、放射線照射および/またはエチレンオキシド洗浄に対して安定となるように設計してもよい。複合品10の長所は、以下にさらに詳細に説明する、キャパシタ20および蓄電池30にも応用することができる。複合品のさらに別の用途としては、燃料電池および太陽電池などの、その他のエネルギー貯蔵装置およびエネルギー生成装置があげられる。例えば、複合品が太陽電池に使用される場合には、細長い導電性フィラメントは、電磁放射、例えば太陽光を受けると、電流を生成することができる。
【0027】
図1に示す複合品10は、以下で図2および3についてさらに詳細に考察するように、キャパシタや蓄電池などのエネルギー貯蔵装置を形成するのに使用することができる。しかしながら、本発明は、任意の好適な構造を使用してもよいので、図1に示す構造に限定されるものではない。本発明によるエネルギー貯蔵装置は、自動車用途、RFID用途および医療用途などの、様々な用途に使用することができる。例えば、エネルギー貯蔵装置は、温度センサ、スイッチ、薬剤送達装置、ペースメーカー、移植可能装置(例えば、ポンプ)および/または人工臓器に対してエネルギーを提供することができる。本発明の態様は、セル電話、携帯音楽プレーヤー、パーソナルディジタルアシスタンツ(PDA)、およびラップトップコンピュータなどの、携帯型(例えば、移動用)装置において有用である。さらに、本発明の態様は、センサおよびアクチュエータに、また微小電子機械システム(MEMS)、ナノ電子機械システム(NEMS)またはシステム・オン・チップなどの小規模装置、あるいはその他の蓄電池を電源とする装置に電力を提供するのに有用である。
【0028】
このエネルギー貯蔵装置は、水性環境または非水性環境において動作するように設計することが可能である。エネルギー貯蔵装置が医療用途において使用される場合には、それは、人体の一部分に移植されるように成形してもよい。自動車用途においては、それは、自動車の一部分の内部に適合するように成形してもよい。本発明の態様は、電気車両またはハイブリッド車両においてエネルギーを貯蔵するのに使用してもよい。例えば、本発明によって製作されるスーパーキャパシタは、電気車両またはハイブリッド車両における回生式ブレーキシステムによって生成されるエネルギーを貯蔵するのに使用することができる。
【0029】
図2は、本発明の一態様による、キャパシタ20の一例を示す。このキャパシタは、二重層キャパシタなどの、スーパーキャパシタとしてもよい。二重層キャパシタは、2種類の材料の間の界面における電荷分離によって成立する電界にエネルギーを貯蔵するタイプのキャパシタである。キャパシタンスは、界面の表面積に比例するので、界面の表面積を増大させると、装置内に貯蔵されるエネルギー量を増大させることができる。本発明のいくつかの態様は、細長い導電性構造体4と液体6の間の界面において大きな表面積を設けることによって、キャパシタ内に大量のエネルギー貯蔵を行うことを可能にする。一態様においては、キャパシタ20は、図1に示す複合品10を2つ使用して形成される。図2に示すように、複合品10同士は、主表面8に沿って互いに接触して、両構造体からのポリマー2を接触させる。
【0030】
複合品10同士がこのようにして接触している場合には、液体6は、構造体間を、例えば、ポリマーの細孔を介して自由に流れて、実質上、キャパシタ20内部に液体6の単一領域を得ることができる。液体6は、キャパシタ20の両側において、細長い導電性構造体4と接触してもよい。したがって、第1の複合品10(例えば、図2の左側)に対応する第1組の細長い導電性構造体4は、キャパシタ20の第1の電極を形成することができる。第2の複合品(例えば、図2の右側)に対応する第2組の細長い導電性構造体4は、キャパシタ20の第2の電極を形成することができる。この2組の細長い導電性構造体は、それぞれの電気導体12と接触して、それによって装置20を外部電気構成要素に接続するための端子を提供してもよい。これらの電極は、フィルム、繊維、織物、フェルト、マットおよび/またはそれらの任意の組合せもしくはその他の便宜な形態であってもよい。キャパシタ20は、有利には、ポリマーマトリックス2はそれ自体、非導電性であるので、キャパシタ電極の短絡故障を防止するために非導電性分離スペーサ(separate non-conductive spacer)がない。
【0031】
少なくとも1つの複合品10で形成されるキャパシタは、有利には、非常に高いキャパシタンス値を有することができる。特に、液体6とフィラメント4との界面によって、大きな有効表面積が得られる。実験結果によると、以下にさらに説明するように、少なくとも36ファラッド/グラムのキャパシタンス密度が達成されることが実証されており、またこれは限界と考えるものではない。さらに、キャパシタ20を試験したところ、195°K〜423°Kの範囲の温度で動作する。キャパシタ20は、少なくとも77°Kまでの低温に耐えることができ、195°Kにおいて容量挙動をなお回復する。
【0032】
図3は、本発明の別の態様による、蓄電池30の実施例を示す。蓄電池30は、図1について上述した複合品10を含む。蓄電池30の第1の電極(例えば、陰極)は、細長い導電性構造体4で形成される。この態様においては、蓄電池30の第2の電極14(例えば、陽極)は、第2の電極14の表面において電気化学的反応を提供するのに好適な材料で形成される。電極14は、任意の好適な材料で形成することができる。例えば、蓄電池30がリチウム蓄電池である場合には、電極14は、金属リチウムで形成してもよい。この場合には、液体6には、LiPF、LiClO、LiAsFおよび/またはLi塩(単数または複数)を含めてもよい。しかしながら、蓄電池30は、リチウム化学作用に基づく必要はなく、その他任意の好適な化学作用を使用してもよく、適当な電極および液体タイプを、それに応じて選択することができる。
【0033】
なお本発明は、図2および3に示すような、キャパシタ20または蓄電池30の構造に限定されるものではないことを理解すべきである。例えば、キャパシタは、1つの電極に対して1つの複合品10で形成することも可能であり、第2の電極は、任意の好適な方法で、複合品10なしで形成してもよい。さらに、キャパシタ20および蓄電池30は、任意の好適な形状に形成してもよく、形状は、自動車または人体などの対象物の特定の領域に適合するように選択してもよいことを理解すべきである。
【0034】
図4A〜4Cは、本発明の一態様による複合品10(図1)を形成する方法を示す。図4に示す方法は、エネルギー貯蔵装置(例えば、図2および3のもの)を形成するのに使用することができる。
図4Aは、基板16上への細長い導電性構造体4の形成を示す。任意の好適な基板を、細長い導電性構造体を形成するのに使用することができる。例えば、鉄および/またはアルミニウムなどの金属を、二酸化ケイ素などの絶縁フィルム上に電子ビーム堆積させてもよい。二酸化ケイ素フィルムは、シリコンウエハー上に形成してもよい。態様によっては、細長い導電性構造体が特定のパターンに形成されるように、金属をパターニングしてもよい。基板を任意選択でパターニングした後に、細長い導電性構造体4が形成される。例えば、細長い導電性構造体がカーボンナノチューブである場合には、整列された細長い導電性構造体を、化学蒸着で形成してもよい。
【0035】
図4Bは、細長い導電性構造体4をポリマーマトリックス2内に埋め込んだ、複合品10の形成を示す。ポリマーマトリックス2は、ポリマーと液体6の溶液を使用して形成してもよい。液体6は、ポリマーを液体中に溶解させるために加熱してもよい。溶液は、任意の好適な方法、例えば細長い導電性構造体4上に溶液を注いで、ポリマーマトリックス2中に浸透させてもよい。ポリマーは、溶液を冷却して溶液からポリマーを析出させることによって、ポリマーマトリックスに凝固させてもよい。一例として、ドライアイスを使用して、二酸化炭素の昇華点まで、ポリマーを冷却してもよい。過剰な液体6は、真空中での乾燥および/またはエタノール浸漬などの、任意の好適な手段を用いて除去してもよい。
【0036】
図4Cは、基板16を取り除いた複合品10を示す。基板16は、任意の好適な方法で取り除くことができる。例えば、複合品10を、基板16から剥がしてもよい。エネルギー貯蔵装置を形成する場合には、さらなるステップを実行してもよい。例えば、キャパシタ20を形成する場合には、図4に示した方法を実行して、2つの複合品10A、10Bを製作して、2つの複合品を、図2に示すように接触させてもよい。蓄電池30を形成する場合には、図4に示す方法に続いて、適当な第2の電極を複合品10に付加する。さらに、電気導体12を適当に電極に取り付けて、例えば、この電極に好適に接触させてもよい。
【0037】
本出願者らは、さらに、複合品10、キャパシタ20および/または蓄電池30を連続工程で製造して、多数のそのような装置を迅速かつ効率的に製造できるようにすることが有利であることに気づいた。例えば、キャパシタ20は、両電極を同時に形成し、次いでポリマーをその構造体に付加することによって、形成してもよい。
【0038】
図6は、本発明のいくつかの態様による、複合品10を示す画像である。図6Aは、ナノチューブの「束(bundle)」の配列を有する複合品10の上面図であり、ポリマーマトリックス2を介して細長い導電性構造体4を見下ろしている。細長い導電性構造体4の複数の束が、ポリマーマトリックス2の内部およびその主表面8の下に埋め込まれているのが見える。図6Bは、複合品10の底面図を示し、細長い導電性構造体4とポリマーマトリックス2の束を見上げている。細長い導電性構造体は、図6Aよりも図6Bにおいてより容易に見えるのは、細長い導電性構造体の部分が、複合品10の底部で露出されているからである。図6Cは、ナノチューブの連続的な「フォレスト(forest)」を有する複合品10の上面図である。この上面図においては、ポリマーマトリックス2だけを見ることができる。図6Dは、ナノチューブの連続するフォレストを有する複合品10の底面図である。
【0039】
細長い導電性構造体4を示すさらに別の画像を図9に示してある。図9Aは、カーボンナノチューブの形態の、細長い導電性構造体4の側面図である。この画像において、細長い導電性構造体は、実質的に互いに整列され、下にある基板に直角であるように示されている。図9Bは、細長い導電性構造体4の上面図を示す。
図7および8は、実験的に測定された、キャパシタ20および蓄電池30の電気的性能を表わすグラフである。これらの実験結果は、キャパシタ20に対する優れた容量挙動、および蓄電池30に対する優れた性能を実証している。
【0040】
図7Aは、スキャンレート20mV/sにおける、キャパシタ20の周期ボルタンモグラム(voltammogram)70を示す。キャパシタンス−電圧曲線71のほぼ長方形で対称な形状から、理想的なキャパシタ挙動に近い、低い接触抵抗であることがわかる。図7Bは、2mAの一定印加電流による、キャパシタ20の定電流充電−放電挙動のグラフ75を示す。充填−放電曲線76の対称性は、ほぼ理想的な容量挙動を示している。2mAの一定値における充填−放電曲線76から測定される、キャパシタンス値が、18F/gと測定された。
図8は、50mA/gの一定電流における、蓄電池30の充放電サイクル挙動のグラフ80を示す。グラフ80は、第1の充電曲線81および第1の放電曲線82を示す。大きな初期容量は、初期使用時に発生する非可逆反応によるものと考えられる。
【0041】
実施例1
以下の非限定の実施例は、複合構造体および、そのような構造体に基づくエネルギー貯蔵装置の実験室製造と特性解析について示す。
炭素ナノチューブ成長:パターニングされた基板、およびパターニングされていない基板の上に垂直方向に整列されたカーボンナノチューブ(CNT)フィルムを、水補助式化学蒸着法(water-assisted chemical vapor deposition process)によって作製した。典型的には、1μm厚さのSiOで覆われたSiウエハの表面上に、10nmのAl層および1〜3nmのFe層を、電子ビームで堆積させた。炭素源としてエチレンを、バッファガスとしてAr/H(15%H濃度)を使用した。典型的なCVD成長試行では、炉がCNT成長温度(750〜800℃)まで加熱される間に、300sccm(スタンダード立方センチメートル/分)のAr/Hを、アルミナ管を介して流した。炉が設定温度に達した後、直ちにAr/H流を1300sccmに増大させ、Ar/Hガスの別の部分を、80sccmの流量で(室温に保たれた)水ボトル中を泡立てて通し、エチレンガスを、100sccmの速度でAr/Hガス混合物中に流した。CNT成長は20〜30分継続した。その後に、炉をAr/H保護の下に室温まで冷却した。結果として得られた多重壁ナノチューブ(MWNT:multi-wall nanotube)フォレストの厚さは、約200〜800μmであった。MWNTの平均直径は、TEM観察によれば、約8nmであった。
【0042】
イオン液へのセルロースの溶解:RTILを70℃まで予備加熱し、次いで37.5mgのセルロースを添加することによって、セルロースを、[bmIm][Cl](1.0g)の室温イオン液(RTIL)中に溶解させた。次いで、内容物を渦流によって混合し、4〜5秒間、マイクロ波を当て、[bmIm][Cl]複合溶液中に3.75%(w/w)のセルロースを得た。
【0043】
セルロースマトリックス内へのCNTの浸透:次いで、セルロース−RTIL溶液をCNT−SiO基板上に70℃で注ぎ、CNT配列に5分間、浸透させた。次いで、凝固させるために基板全体をドライアイス上に保持した。一例においては、この複合材をエタノール中に30分間、浸漬していくらかの量のイオン液を抽出し、同時に多量のイオン液を続いて形成されるスーパーキャパシタ用の電解質として残した。第2の事例においては、複合材を、エタノール中に一晩浸漬して、添加したイオン液のすべてを抽出した。エタノールは、イオン液−[bmIm][Cl]だけを溶解し、セルロース−CNT複合材をそのままで残した。この複合材を真空中で12時間、乾燥して、残留エタノールを除去した。RTILは、エタノールを蒸発させることによって、RTILがその中に溶解しているエタノールから容易に回収して、エタノールとRTILの両方を再使用のために再生することが可能であった。浸透されたCNTを含む乾燥されたセルロースフィルムをSiO基板から剥がして電極を形成し、この電極をさらに処理して、以下にさらに述べるように特性解析した。
【0044】
スーパーキャパシタ特性解析:そのような複合品の2つから形成され、外部スペーサまたはその他のセパレータを有さない、スーパーキャパシタについて、電気化学的性質および容量性計測を調査した。非導電性ポリマーマトリックスそれ自体は、セパレータとして作用するとともに、RTILを電解質として含有した。複合品は、スウェージロック(Swagelok)型ステンレス鋼セル内でプレスされた。サイクリックボルタンメトリ(cyclic voltammetry)測定および定電流充放電測定を、ポテンショスタット(Potentiostat)/ガルバノスタット(Galvanostat)(EG&G Princeton Applied Research、Model 273 A)を用いて実施した。ボルタンメトリー試験は、−0.6Vと0.4Vの間の電位で実施した。MWNTの固有キャパシタンス定電流充放電挙動を計算するために、2mAの一定電流を1秒の時間間隔で印加した。充放電曲線の傾きから以下の式によってキャパシタンスを計算した。
C=IΔt/ΔV
ここで、Iは印加電流である。
【0045】
充電池特性解析:リチウム充電池内の複合品の電気化学的性能試験を、リチウム金属箔を負電極として使用する、スウェージロックセル(Swagelok cell)を使用して実施した。この試験において、複合品は、ポリマーマトリックスとしてセルロース、正電極用の導電フィラメントとして(セルロース中に埋め込まれた)カーボンナノチューブ、および炭酸エチレン中に1MのLiPFと、炭酸ジメチルとを(体積で1:1)含む、液体電解質を含む。蓄電池を組み立てるのに、外部セパレータは使用しなかった。セルは、アルゴンを充填したグローブボックス内で組み立て、次いで、ポテンショスタット/ガルバノスタット(EG&G Princeton Applied Research, Model 273A)を使用して、定電流で3.1Vから0.05Vの間を循環させた。
【0046】
結果と考察:上述のように、乾燥させたセルロース−CNT複合材フィルムをSiO基板から剥がした。フィルムは、非常に良好な柔軟性と機械的強度を有していた。図5に示すCNT−セルロース複合材フィルムの写真のコピーは、フィルムの両端を保持しながら、曲げたときのフィルムの柔軟性を示している。
CNT束およびCNT配列は、複合材フィルムのセルロースマトリックス中に埋め込まれた。結果として得られたフィルムを、走査型電子顕微鏡(SEM)で解析した。SEM画像を図6A〜6Dに示す。浸透されたCNT束を含むセルロース複合材マトリックスの上面図および底面図を、それぞれ図6Aおよび6Bに示し、対応するCNTフォレストの画像を、それぞれ図6Cおよび6Dに示す。
【0047】
図6Aから、CNTの一端は、複合材マトリックス中に完全に埋め込まれており、他端は複合材の外部に露出されていることが明らかである。高倍率画像では、良好なパッキング密度におけるCNTの良好な整列が示されている。複合材フィルムの厚さを、走査型電子顕微鏡を使用してフィルムの断面を観察することによって測定したところ、約200μmであった。
【0048】
スーパーキャパシタのサイクリックボルタンモグラム70は、20mV/sのスキャンレートで図7Aに示してある。理想的なキャパシタ挙動に近い、キャパシタンス−電圧曲線71の長方形で対称の形状から、接触抵抗の低さがわかる。2mAの一定電流を印加された電極の定電流充放電挙動を、図7Bに示す。充放電曲線76の対称性は、良好な容量挙動を示している。2mAの一定電流における充放電曲線から測定したキャパシタンス値は、18F/gであり、これはカーボンナノチューブで製作した電気化学キャパシタの価に匹敵する。電極の充放電サイクル挙動は、50mA/gの一定電流で3.1Vから0.05Vの間で循環させて、リチウム挿入および抽出の間に測定した(図8)。大きな初期容量は、初期のリチオ化(lithiation)時に発生する不可逆反応によるものである。
【0049】
実施例2
以下の実施例は、複合構造体における使用に好適な、多重壁ナノチューブ(MWNT:multi-wall nanotubes)の製造および特性解析を示す。
50〜100ミクロンのMWNTを、化学蒸着により石英およびシリコンの基板上に成長させた。触媒源としてのフェロセン(0.3g)と、炭素源としてのキシレン(30mL)のガス状混合物を150℃超まで加熱して、10分間、基板上に流し、この基板自体を、石英管炉内で800℃まで加熱した。MWNTは、制御された厚さと長さで、酸化物層上で選択的に成長した。(基板の酸化物層は、MWNTの様々なパターンを生成するために、フォトリソグラフィと、それに続く湿式および/または乾式エッチングの組合せによってパターニングすることができる。)
【0050】
シリコン上に成長した典型的なMWNTフォレストの走査型電子顕微鏡(SEM)画像が、図9Aおよび9Bに示されている。これらのチューブは、典型的な直径が10〜20nmと長さが65μmで、垂直に整列されている。次いで、サンプルを、MWNT側を上にしてメチルメタクリレートモノマー(60mL)を入れたビーカー中にゆっくりと浸し、クリーンルーム中で2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)開始剤(0.17g)と1−デカンチオール連鎖移動剤(chain transfer agent)(30μL)を使用して重合化させた。55℃の水槽内で24時間の重合化を完了した後に、ビーカーを破壊してサンプルを取り出した。MWNTは、PMMAマトリックス中に完全に埋め込まれて、安定化されている。このPMMA−MWNTシートをシリコン基板から剥ぎ取って、非常に円滑な表面を形成した。
【0051】
上端25μmを良好な溶媒(アセトンまたはトルエン)で50分間、エッチングし、続いて脱イオン水で10分間、洗浄することによって、MWNTをPMMAマトリックスのシリコン側の側面から露出させた。(MWNTの露出長さは、溶媒エッチング時間を変えることによって制御することができる。)対照標準として、同一の手順を使用して製作したブランクPMMAフィルムを、溶媒でエッチングして、非常に円滑な表面を維持することを観察した。図9Bは、PMMAフィルム上のMWNTブラシ(brushes)を示す。シリコン上のMWNTの任意のパターンを、ポリマー表面の上に正確に転写することができる。このブラシは、概ね垂直方向に整列されており、溶媒乾燥工程のせいで、全般的に絡み合った(約50nm直径の)束を形成する。これによって表面粗さが生成され、この表面粗さによってMWNTの粘着性が向上する。
【0052】
実施例3
この実施例においては、上記の説明に従ってキャパシタを製作したが、金属コーティングは、細長い導電性構造体の露出された(例えば、埋め込まれていない)部分の上に堆積させた。この金属コーティングを電気導体12として付加して、接触抵抗を低減することによって、有利なキャパシタンス値および出力密度値が得られた。
【0053】
A.スーパーキャパシタンス性能
充放電曲線を測定し、KOHおよびRTIL電解質を備えるCNT−セルロース複合材電極に対して、36F/gおよび22F/gの固有キャパシタンスがそれぞれ計算された。サイクリックボルタンモグラム100が図10Aに示されており、それぞれ、KOHまたはRTIL電解質を含むスーパーキャパシタに対する電流−電圧曲線101および102を示している。スーパーキャパシタの充放電曲線106および107を示すグラフ105が、図10Bに示されており、各スーパーキャパシタは、それぞれKOHまたはRTIL電解質を有する。
【0054】
B.リチウム充填池性能
容量/電圧グラフ110は、図11Aに示す曲線111および112を示し、これらは、最初の放電サイクル(曲線111)および充電サイクル(曲線112)中の充電池性能の例を示す。リチウム電池について、図11Aは、容量対電圧曲線を示し、図11Bは容量対サイクル数のグラフ115を示している。430mAh/gの不可逆容量が得られた。さらなる充電および放電のサイクルの結果、約110mAh/gの可逆容量が得られ、これは10サイクルにわって安定であった(図11B)。
【0055】
実施例4
この実施例においては、キャパシタを上記の説明に従って製作して、これらのキャパシタの性能を異なる温度において試験した。キャパシタ(CNT−セルロース/RTIL複合材)の一例の電気化学的性能のグラフ120が、温度の関数として、図12Aに示されており(出力密度対温度)、その性能が曲線121として示されている。図12Bは、サイクリックボルタンモグラム125を示し、スーパーキャパシタ温度の関数として電流−電圧曲線126が示されている。スーパーキャパシタ装置を、異なる温度に加熱して、サイクリックボルタンメトリ測定を実施した。電流−電圧面積は、スーパーキャパシタの出力密度の尺度を与えるものであり、温度の増加と共に増大することがわかった。測定は、77°Kにおいても行ったが、この温度においては、容量挙動は観察されなかった。しかしながら、この装置は、温度が195°Kを超えると、その容量挙動を回復した。このことは、スーパーキャパシタが、広範囲の動作温度(195K〜423K)にわたって機能することを明らかに示すものである。したがって、スーパーキャパシタは、軍事用途において遭遇するような極限天候条件の下で使用される携帯用装置に対して有用である。
【0056】
実施例5
この実施例においては、上記の説明に従うが、電極として人の汗(例えば、汗水(sweat))を使用してキャパシタを製作した。図13Aは、サイクリックボルタンモグラム130を示し、電流−電圧曲線131が示されており、図14Bは、人の汗が電解質として使用されたスーパーキャパシタの充放電曲線136を示している。スーパーキャパシタにおける電荷貯蔵の機構は、イオンの電極表面への往復移動によっているので、発明者らは、スーパーキャパシタ内の電解質として人の汗を使用して実験を行った。この実験においては、エタノールを使用してRTILを完全に抽出し、人の汗を代替電解質として使用した。良好な容量挙動が観察され(図13A)、固有キャパシタンスは12F/gであった(図13B)。また、このスーパーキャパシタは、約2.4Vの動作電圧を示し、これは高エネルギー用途に対して有望である。このスーパーキャパシタは、自立型スーパーキャパシタ装置の製作に使用することも可能であり、これによって、水性電解質によって生じるパッケージングの問題が克服されることになる。
【0057】
以上、本発明の少なくとも1つの態様のいくつかの観点について説明したが、当業者は、様々な変更、修正、および改良を容易に思い付くであろう。そのような変更、修正、および改良は、本開示の一部として、本発明の趣旨と範囲に含めることを意図するものである。したがって、前述の説明および図面は、例示のためだけのものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非導電性ポリマーマトリックス;
前記ポリマーマトリックス中に埋め込まれた第1の細長い導電性構造体を含む、第1の電極;
第2の電極;および
前記ポリマーマトリックスに含有されるイオン種を含む液体
を含む、エネルギー貯蔵装置。
【請求項2】
キャパシタを含む、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項3】
キャパシタがスーパーキャパシタであり、
第2の電極が、ポリマーマトリックス中に埋め込まれた第2の細長い導電性構造体を含む、請求項2に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項4】
第1の細長い導電性構造体は第1のポリマーマトリックス中に埋め込まれており、第2の細長い導電性構造体は第2のポリマーマトリックス中に埋め込まれている、請求項3に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項5】
第1および第2のポリマーマトリックスが互いに接触している、請求項4に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項6】
第1および第2の細長い導電性構造体が同一のポリマーマトリックス中に埋め込まれている、請求項4に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項7】
非導電性分離スペーサがない、請求項2に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項8】
蓄電池を含む、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項9】
第2の電極がリチウムを含む、請求項8に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項10】
液体がリチウム塩を含む、請求項8に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項11】
液体が、LiPF、LiClO、LiAsFおよびLi塩の少なくとも1種を含む、請求項8に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項12】
第1の電極と電気的に接触する導電性材料をさらに含む、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項13】
導電性材料が導電性フィルムの形態であり、細長い導電性構造体の少なくとも実質的な部分が前記導電性フィルムに直角に整列されている、請求項12に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項14】
キャパシタが、実質的に約195°K〜423°Kの全温度範囲にわたって動作可能である、請求項2に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項15】
センサ、温度センサ、スイッチ、薬剤送達装置、ペースメーカー、移植可能装置、移動用装置、MEMS装置、NEMS装置、RFID装置、システム・オン・チップ、および人工臓器の内の少なくとも1種にエネルギーを供給するように設計された、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項16】
人体に取り付けるように設計された、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項17】
人体の一部分の内部に移植するように成形された、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項18】
ポリマーマトリックスがセルロースを含む、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項19】
ポリマーマトリックスが多孔質である、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項20】
細長い導電性構造体の実質的な部分が、互いに整列されている、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項21】
フィラメントが、パターニングされたフィラメントの束に配列されている、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項22】
細長い導電性構造体が、カーボンフィラメントを含む、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項23】
カーボンフィラメントが、カーボンナノチューブを含む、請求項22に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項24】
細長い導電性構造体の少なくとも一部のそれぞれの端部だけが露出され、前記細長い導電性構造体の少なくとも一部の残りの部分はポリマーマトリックスで包囲されるように、前記細長い導電性構造体がポリマーマトリックス中に埋め込まれている、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項25】
液体が電解質である、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項26】
液体が、細長い導電性構造体の表面積の実質的な部分と接触している、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項27】
液体が、室温イオン液体である、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項28】
液体が、水溶液を含む、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項29】
水溶液が、硫酸、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムからなる群から選択される、請求項28に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項30】
溶液が、炭酸プロピレン、ジメトキシエタノール、炭酸ジエチル、およびアセトニトリルからなる群から選択される、非水溶液である、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項31】
液体が、LiClO、NaClO、LiAsF、BFおよび四元ホスホニウム塩の内の少なくとも1種を含む、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項32】
実質的に機械的柔軟性を有する、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項33】
ポリマー内に存在する液体の重量による量が、エネルギー貯蔵装置の総重量の約5%〜30%の間である、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項34】
第1の電極とポリマーマトリックスとが、フィルムとして形成されている、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項35】
液体が、ポリマーマトリックス中に分散されている、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項36】
液体が体液を含む、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項37】
第1の電極、第2の電極およびポリマーマトリックスが、単一のフィルムとして形成されて、第1の細長い導電性構造体および第2の細長い導電性構造体が、同一のポリマーマトリックス中に埋め込まれているとともに、前記ポリマーマトリックスの部分によって互いに離隔されている、請求項3に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項38】
非導電性ポリマーマトリックス;
前記ポリマーマトリックス中に埋め込まれた複数の第1の細長い導電性構造体;および
前記ポリマーマトリックスに含有される、イオン種を含む液体
を含む、複合品。
【請求項39】
ポリマーマトリックスがセルロースを含む、請求項38に記載の製品。
【請求項40】
ポリマーマトリックスが多孔質である、請求項38に記載の製品。
【請求項41】
細長い導電性構造体の実質的な部分が、互いに整列されている、請求項38に記載の製品。
【請求項42】
細長い導電性構造体の実質的に全部が、互いに整列されている、請求項38に記載の製品。
【請求項43】
細長い導電性構造体が、カーボンナノチューブを含む、請求項38に記載の製品。
【請求項44】
細長い導電性構造体の少なくとも一部のそれぞれの端部だけが露出され、前記細長い導電性構造体の少なくとも一部の残りの部分はポリマーマトリックスで包囲されるように、前記細長い導電性構造体がポリマーマトリックス中に埋め込まれている、請求項38に記載の製品。
【請求項45】
液体が電解質である、請求項38に記載の製品。
【請求項46】
液体が、細長い導電性構造体の表面積の実質的な部分と接触している、請求項38に記載の製品。
【請求項47】
液体が室温イオン液体である、請求項38に記載の製品。
【請求項48】
エネルギー貯蔵装置の少なくとも一部分を含む、請求項38に記載の製品。
【請求項49】
人体の一部分の内部に移植されるように成形された、請求項38に記載の製品。
【請求項50】
人体内部に移植するか、またはそれに取り付けるように設計されたセンサの一部である、請求項38に記載の製品。
【請求項51】
1組の細長い導電性構造体を形成すること;
前記1組の細長い導電性構造体に、ポリマーと液体との溶液を浸透させること;および
非導電性ポリマーマトリックス中に埋め込まれた前記1組の細長い導電性構造体を含む、複合品を形成すること
を含む、複合品を形成する方法。
【請求項52】
1組の細長い導電性構造体が、化学蒸着を使用して基板上に形成される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
基板上に金属層を形成すること;
1組の細長い導電性構造体を形成する前に、前記金属をパターニングすること;および
前記細長い導電性構造体を、前記金属のパターニングに対応する、パターンに形成すること
をさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
1組の細長い導電性構造体に溶液を浸透させる前に、液体を加熱して該液体中にポリマーを溶解させることによって、前記溶液を形成することをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
1組の細長い導電性構造体に浸透させることは、溶液を前記1組の細長い導電性構造体中に注ぐことを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
複合品を形成することが、ポリマーマトリックス中にポリマーを凝固させることを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項57】
ポリマーマトリックス中にポリマーを凝固させることが、前記ポリマーマトリックスの少なくとも一部分を溶液から析出させるように、前記溶液を冷却することを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
ポリマーを凝固させるために、二酸化炭素の昇華点にほぼ等しい温度に前記ポリマーを冷却する、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
液体の一部分を除去することをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項60】
液体の一部分を除去することが、複合品を真空中で乾燥することを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
液体の一部分を除去することが、エタノール中に複合品を浸漬することを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
複合成品を所望の形状に形成することをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項63】
複合成品を所望の形状に形成することが、前記複合品を形成する前に、所望の形状を有する型に溶液を注入することを含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
所望の形状が、物体の指定された領域内部に適合するように設計された形状である、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
1組の細長い導電性構造体を形成することが、
第1の細長い導電性構造体を形成すること;および
前記第1の細長い導電性構造体の上に導電性層を形成することを含む、請求項51に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【公表番号】特表2009−543346(P2009−543346A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518334(P2009−518334)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【国際出願番号】PCT/US2007/015353
【国際公開番号】WO2008/005431
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(502263411)レンセラール ポリテクニック インスティチュート (14)
【Fターム(参考)】