説明

エネルギー貯蔵装置の電極製造用ドーピング装置及びこれを用いた電極製造方法

【課題】リチウムイオンキャパシタの電極に効果的にリチウムイオンをドーピングするとともに、ドーピング工程時間を短縮させるエネルギー貯蔵装置の電極製造用ドーピング装置及びこれを用いた電極製造方法を提供する。
【解決手段】エネルギー貯蔵装置の電極製造用ドーピング装置100は、電極板10にリチウムイオンをドーピング(doping)する工程が遂行されるドーピング空間を提供するドーピングチャンバ本体112、前記ドーピングチャンバ本体内に上下に積層され、リチウム(lithium)を含んだ複数のドーピング板116、そして前記ドーピング板の間の隙間に沿って前記電極板10が通るように、前記電極板10を移送する電極板移送器120を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエネルギー貯蔵装置の電極製造用ドーピング装置及びこれを用いた電極製造方法に関し、より詳細には、リチウムイオンキャパシタ(Lithium Ion Capacitor:LIC)の陰極製造のために、陰極製造用電極板にリチウムイオンをドーピングするドーピング装置及びこれを用いてリチウムイオンキャパシタの電極を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代エネルギー貯蔵装置のうちウルトラキャパシタまたはスーパーキャパシタと呼ばれる装置は、早い充放電速度、高い安定性、そして環境に優しい特性により、次世代エネルギー貯蔵装置として脚光を浴びている。一般的なスーパーキャパシタは、電極構造体(electrode structure)、分離膜(separator)、そして電解液(electrolyte solution)などで構成される。前記スーパーキャパシタは、前記電極構造体に電力を加えて、電解液内のキャリアイオンを選択的に前記電極に吸着させる電気化学的反応メカニズムを原理で駆動される。
【0003】
現在、代表的なスーパーキャパシタとして、リチウムイオンキャパシタ(Lithium Ion Capacitor:LIC)がある。一般的なリチウムイオンキャパシタは、活性炭素からなった陽極(positive electrode)と多様な種類のカーボン材料(例えば、グラファイト(graphite)、ソフトカーボン(soft carbon)及びハードカーボン(hard carbon))などからなった陰極(negative electrode)を備えた電極構造体を有する。このようなリチウムイオンキャパシタの製造工程は、陽極、分離膜及び陰極を順に繰り返して積層して電極構造物を形成する電極製造工程、前記電極構造物にプラス及びマイナス端子を熔接する端子熔接工程、そして前記陰極にリチウムイオン(Li)を予めドーピングするリチウムイオンドーピング工程(lithium ion doping process)などを含む。
【0004】
従来の代表的なリチウムドーピング工程は、電解液が満たされるドーピング槽を準備し、前記ドーピング槽内に前記電極構造体及び前記電極構造体に対向されるように配置されたリチウム含有ドーピング板を配置する。そして、陽極と陰極に電圧を印加する充電工程と陽極とリチウム金属板に電圧を印加する放電工程を数回繰り返して遂行して、前記ドーピング板内のリチウムイオンを前記陰極にドーピングする。しかし、上述のようなリチウムドーピング工程は、陰極全体に均一にリチウムイオンがドーピングされるまで、略10日以上の期間がかかる。このような長いリチウムドーピング工程は一般的なリチウムイオンキャパシタの生産効率を低下させる主要要因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−091191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、リチウムイオンキャパシタの電極に効果的にリチウムイオンをドーピングするドーピング装置を提供することである。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、リチウムイオンキャパシタの電極にリチウムイオンをドーピングするドーピング工程時間を短縮するリチウムドーピング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるエネルギー貯蔵装置用ドーピング装置は、電極板にリチウムイオンをドーピング(doping)する工程が遂行されるドーピング空間を提供するドーピングチャンバ本体、前記ドーピングチャンバ本体内に上下に積層され、リチウム(lithium)を含んだ複数のドーピング板、そして前記ドーピング板の間の隙間に沿って前記電極板が通るように、前記電極板を移送する電極板移送器を含む。
【0009】
本発明の実施例によると、前記電極板移送器は、前記電極板が前記隙間のうち何れか一つの隙間の一側開口から他側開口に移動された後曲がり、他の一つの隙間の他側開口から一側開口に移動されるように、前記電極板を移送することができる。
【0010】
本発明の実施例によると、前記電極板移送器は、前記リチウムドーピング工程以前の前記電極板を巻回して待機(stand−by)させる第1ローラー、前記リチウムドーピング工程が遂行されて前記ドーピングチャンバ本体から搬出される前記電極板を巻回して回収する第2ローラー、そして前記ドーピング空間の内部で前記電極板が前記ドーピング板の面方向に提供される前記隙間の全てを順に通過するように、前記ドーピングチャンバ本体に備えられた第3ローラーを含むことができる。
【0011】
本発明の実施例によると、前記第3ローラーは前記ドーピングチャンバ本体の両側に配置され、前記ドーピングチャンバ本体の一側に配置される前記第3ローラーは前記ドーピングチャンバ本体を基準に前記ドーピングチャンバ本体の他側に配置される前記第3ローラーとジグザグ構造(zigzag structure)を有するように配置されることができる。
【0012】
本発明の実施例によると、前記電解液の温度が20℃から70℃の温度範囲を満足するように前記電解液を加熱する加熱器をさらに含むことができる。
【0013】
本発明の実施例によると、前記ドーピングチャンバは前記内部空間を満たす電解液をさらに含み、前記電解液はLiPF6、LiBF4、LiSbF6、LiAsF5、LiClO4、LiN、CF3SO3、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiC(SO2CF3)2、LiPF4(CF3)2、LiPF3(C2F5)3、LiPF3(CF3)3、LiPF5(iso−C3F7)3、LiPF5(iso−C3F7)、(CF2)2(SO2)2NLi、そして(CF2)3(SO2)2NLiのうち少なくとも何れか一つのリチウム系電解質塩を含むことができる。
【0014】
本発明の実施例によると、前記ドーピングチャンバは前記内部空間を満たす電解液をさらに含み、前記ドーピング装置は前記電解液に超音波を加える超音波提供器をさらに含むことができる。
【0015】
本発明の実施例によると、前記電極板を乾燥させる乾燥チャンバをさらに含むことができる。
【0016】
本発明の実施例によると、前記乾燥チャンバは、乾燥チャンバ本体、前記乾燥チャンバ本体の内部にジグザグ構造(zigzag structure)を有するように配置された第4ローラー、そして前記第4ローラーによって移動される前記電極板を加熱する加熱器を含むことができる。
【0017】
本発明の実施例によると、前記ドーピングチャンバ内で前記電極板に前記ドーピング板が接触されるように、前記ドーピング板を移動させる駆動器をさらに含むことができる。
【0018】
本発明による電極製造方法は、電極板を待機(stand−by)させる段階、リチウムイオンを含んだドーピング板を用いて、前記電極板にリチウムイオンをドーピング(doping)する段階、そして前記電極板を回収する段階を含み、前記電極板を待機させる段階、前記電極板にリチウムイオンをドーピングする段階、そして前記電極板を回収する段階はイン−サイチュ(in−situ)で遂行されることができる。
【0019】
本発明の実施例によると、前記電極板を待機させる段階は、前記リチウムドーピング工程が遂行される前の前記電極板が巻回された第1ローラーを準備する段階を含み、前記電極板を回収する段階は、前記リチウムドーピング工程が遂行された後の前記電極板を第2ローラーに巻回して回収する段階を含むことができる。
【0020】
本発明の実施例によると、前記電極板にリチウムイオンをドーピングする段階は、電解液が満たされたドーピングチャンバ本体を準備する段階、前記ドーピングチャンバ本体に前記ドーピング板を積層する段階、そして前記電極板が前記ドーピング板の間の隙間を通過するように、前記電極板を移送する段階を含むことができる。
【0021】
本発明の実施例によると、前記電極板にリチウムイオンをドーピングする段階は、前記電解液の温度が20℃から70℃の温度範囲を満足するように前記電解液を加熱する段階を含むことができる。
【0022】
本発明の実施例によると、前記電極板にリチウムイオンをドーピングする段階は、前記電解液に超音波を印加する段階をさらに含むことができる。
【0023】
本発明の実施例によると、前記電解液はLiPF6、LiBF4、LiSbF6、LiAsF5、LiClO4、LiN、CF3SO3、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiC(SO2CF3)2、LiPF4(CF3)2、LiPF3(C2F5)3、LiPF3(CF3)3、LiPF5(iso−C3F7)3、LiPF5(iso−C3F7)、 (CF2)2(SO2)2NLi、そして(CF2)3(SO2)2NLiのうち少なくとも何れか一つのリチウム系電解質塩を含むことができる。
【0024】
本発明の実施例によると、前記リチウムドーピング工程が遂行された後の前記電極板を乾燥させる段階をさらに含むことができる。
【0025】
本発明の実施例によると、前記電極板と前記ドーピング板を接触させる段階をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によるエネルギー貯蔵装置の電極製造用ドーピング装置は、ドーピング板が積層された内部空間を有するドーピングチャンバ、前記ドーピング板の間の隙間を順に経由するように前記電極板を移動させる電極板移送器を備え、前記ドーピングチャンバ及び前記電極板移送器は前記電極板が前記隙間を移動する前記電極板の移動距離及びドーピング時間を最大化することができる構造を有することができる。これにより、本発明によるリチウムドーピング装置は、単位面積あたり前記電極板と前記ドーピング板の間のドーピング区間を増加させて、リチウムドーピング工程効率を向上させることができる。
【0027】
本発明によるドーピング装置は、ドーピング前の電極板の待機(stand−by)工程、ドーピング工程、乾燥工程、そして回収工程を連続的に自動処理することができる。これにより、本発明によるリチウムドーピング装置は、リチウムドーピング工程をイン−ライン(in−line)自動化させて、前記リチウムドーピング工程の効率を向上させるとともに、前記リチウムドーピング工程の時間を短縮することができる。
【0028】
本発明の実施例による電極製造方法は、電極板の待機工程、リチウムイオンのドーピング工程、電極板の乾燥工程、そして電極板の回収工程を一つのドーピング装置でイン−ライン方式に自動化して処理して遂行することにより、エネルギー貯蔵装置の電極製造の工程時間を短縮し、生産量を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例によるリチウムドーピング装置を示す図面である。
【図2】本発明の実施例によるドーピング装置を用いた電極製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明の実施例による電極製造過程を説明するための図面である。
【図4】本発明の実施例による電極製造過程を説明するための図面である。
【図5】本発明の実施例による電極製造過程を説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを果たす方法は、添付図面とともに詳細に後述される実施例を参照すると明確になるであろう。しかし、本発明は以下で開示される実施例に限定されず、相異なる多様な形態で具現されることができる。本実施例は、本発明の開示が完全になるようにするとともに、本発明が属する技術分野にて通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に伝達するために提供されることができる。明細書全体において、同一参照符号は同一構成要素を示す。
【0031】
本明細書で用いられる用語は、実施例を説明するためのものであり、本発明を限定しようとするものではない。本明細書で、単数型は文句で特別に言及しない限り複数型も含む。明細書で用いられる「含む(comprise)」及び/または「含んでいる(comprising)」は言及された構成要素、段階、動作及び/または素子は一つ以上の他の構成要素、段階、動作及び/または素子の存在または追加を排除しない。
【0032】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施例によるリチウムドーピング装置に対して詳細に説明する。
【0033】
図1は本発明の実施例によるリチウムドーピング装置を示す図面である。図1を参照すると、本発明の実施例によるリチウムドーピング装置100は、ドーピングチャンバ110、電極板移送器120、乾燥チャンバ130、そして超音波提供器140を含むことができる。
【0034】
前記ドーピングチャンバ110は、電極板10に対してリチウムイオン(Li)をドーピング(doping)するリチウムドーピング工程(lithium pre−doping process)が遂行される工程空間を提供することができる。ここで、前記電極板10はいわゆるウルトラキャパシタまたはスーパーキャパシタと呼ばれるエネルギー貯蔵装置の電極を製造するための金属板であることができる。一例として、前記電極板10はリチウムイオンキャパシタ(Lithium Ion Capacitor:LIC)の陰極(negative electrode)製造用金属板であることができる。
【0035】
前記ドーピングチャンバ110は、ドーピングチャンバ本体112、ドーピング板116、そして温度調節器118を含むことができる。
【0036】
前記ドーピングチャンバ本体112は前記電極板10にリチウムイオンをドーピングする工程を遂行する内部空間を有することができる。前記ドーピングチャンバ本体112は前記ドーピング装置100の構成を支持するための支持体として用いられることができる。前記ドーピングチャンバ本体112には前記電極板10が出入するための開口(非図示)が形成されることができる。
【0037】
前記ドーピングチャンバ本体112の前記内部空間には所定の電解液114が満たされることができる。前記電解液114は所定の溶媒にリチウムイオン(Li)を含む電解質塩を溶解させて製造された組成物であることができる。前記電解質塩にはリチウム系電解質塩が用いられることができる。前記リチウム系電解質塩は、LiPF6、LiBF4、LiSbF6、LiAsF5、LiClO4、LiN、CF3SO3、そしてLiCのうち少なくとも何れか一つを含むことができる。または、前記リチウム系電解質塩は、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiC(SO2CF3)2、LiPF4(CF3)2、LiPF3(C2F5)3、LiPF3(CF3)3、LiPF5(iso−C3F7)3、LiPF5(iso−C3F7)、(CF2)2(SO2)2NLi、そして(CF2)3(SO2)2NLiのうち少なくとも何れか一つを含むことができる。上述のような電解液114は前記ドーピング板116から前記電極板10に前記リチウムイオンを移動させる媒介体として用いられることができる。
【0038】
前記ドーピング板116は前記電極板10にリチウムイオンをドーピングするためのプレートであることができる。例えば、前記ドーピング板116はリチウムイオンを含む金属板であることができる。前記ドーピング板116は複数個が配置されることができる。前記ドーピング板116が複数個が備えられる場合、前記ドーピング板116は前記ドーピングチャンバ本体112の内部で上下に積層されることができる。これに加えて、前記ドーピング板116は互いに一定間隔で離隔されて配置されることができる。これにより、前記ドーピング板116は前記ドーピング板116の間に複数の隙間117をなすように構成されることができる。前記隙間117夫々は互いに水平に提供されるとともに、上下に積層された構造を有することができる。前記隙間117は前記電極板10が移動される移動経路として用いられることができる。
【0039】
一方、前記ドーピング板116の間隔は、前記電極板10が前記ドーピング板116の間を通ることを妨害しない限度で、最小限に調節されることが好ましい。これは、前記電極板10と前記ドーピング板116の間の間隔が遠くなるほど、前記電極板10に対するリチウムイオンのドーピング効率が低下するためである。
【0040】
または、前記ドーピング板116は前記ドーピング工程時、前記電極板10と接触するように、前記ドーピングチャンバ110の内部で移動可能に配置されることもできる。例えば、前記ドーピングチャンバ110は前記ドーピング板116を移動させる駆動器(非図示)をさらに備えることができる。前記駆動器は、前記ドーピング板116のうち二つのドーピング板が前記電極板10に向けて近付き、前記電極板10の両面に接触されるように、前記ドーピング板116を駆動することができる。一例として、前記駆動器はシリンダー、LMガイド、そして駆動モーターなどの構成で組み合わせられて、前記ドーピング板116を直線移動させることができる。
【0041】
前記温度調節器118は前記ドーピングチャンバ本体112内の電解液114の温度を調節することができる。前記温度調節器118は少なくとも一つのヒーター(heater)を含むことができる。前記温度調節器118は前記電解液114の温度が略20℃から70℃の温度範囲を満足するように、前記ドーピングチャンバ110を加熱することができる。前記温度調節器118には少なくとも一つのヒーター(heater)が用いられることができる。前記ヒーターは前記ドーピングチャンバ本体112の多様な位置に備えられることができ、図1に図示されたものに限定されない。
【0042】
前記電極板移送器120は、前記電極板10が前記ドーピングチャンバ110内のドーピング板116の間の隙間を通るように、前記電極板10を移送することができる。例えば、前記電極板移送器120は複数のローラー(roller)を含むローラー構造体(roller structure)を有することができる。一例として、前記電極板移送器120は第1ローラー122、第2ローラー124、そして第3ローラー126を含むことができる。
【0043】
前記第1ローラー122は前記ドーピング工程が遂行される前の前記電極板10を待機(stand−by)させるローラーであることができる。このために、前記第1ローラー122はドーピング前に電極板10が巻回された状態で、前記ドーピング装置100に備えられることができる。これに反し、前記第2ローラー124は前記ドーピング工程が遂行された前記電極板10を回収するローラーであることができる。これにより、前記第1ローラー122は前記電極板10が巻き出されるようにするローラーであり、前記第2ローラー124は前記第1ローラー122から巻き出される前記電極板10を巻回して回収するローラーであることができる。
【0044】
前記第3ローラー126は、前記第1ローラー122から巻き出される前記電極板10が前記ドーピングチャンバ110を経由した後、前記第2ローラー124に回収されるように、前記電極板10の移動を案内するローラーであることができる。
【0045】
一方、前記第3ローラー126は前記ドーピングチャンバ110の内部で前記電極板10の移動経路を増加させることができるように構成されることができる。これに加えて、前記第3ローラー126は前記電極板10が前記ドーピング板116の間の隙間を通るように構成されることができる。例えば、前記第3ローラー126は前記ドーピングチャンバ110の側面に複数個が備えられ、前記第3ローラー126は前記ドーピングチャンバ110を基準にジグザグ構造(zigzag structure)を有するように配置されることができる。これにより、前記第3ローラー126のうち前記ドーピングチャンバ110の一側に配置されるローラーは、前記ドーピングチャンバ110の他側に配置されるローラーに比べて相異なる高さに配置されることができる。
【0046】
上述のような構造の電極板移送器120は、前記電極板10が前記ドーピング板116がなす隙間117を順に通過しながら、前記ドーピングチャンバ110の内部を移動するようにすることができる。より具体的には、前記電極板移送器120は、前記電極板10が前記隙間117のうち何れか一つの隙間117の一側開口117aから他側開口117bに移動された後、前記第3ローラー126によって曲がり、他の一つの隙間117の他側開口117bから一側開口117aに移動されるようにすることができる。これにより、前記電極板移送器120は前記ドーピングチャンバ110の内部で前記ドーピング板116と隣接して通る前記電極板10の移動区間を増加させた構造を有することができる。
【0047】
前記乾燥チャンバ130は前記ドーピング工程が遂行された前記電極板10を乾燥させることができる。例えば、前記乾燥チャンバ130は、乾燥チャンバ本体132、第4ローラー134、そして加熱器136を含むことができる。前記乾燥チャンバ本体132は前記電極板10を乾燥させる乾燥工程を遂行する内部空間を有することができる。前記第4ローラー134は前記乾燥チャンバ本体132の内部で前記電極板10の移動経路を増加させるために提供されることができる。このために、前記第4ローラー134は前記乾燥チャンバ本体132の内部で相異なる高さにジグザグ構造をなすように配置されることができる。そして、前記加熱器136は前記乾燥チャンバ本体132の内部で前記第4ローラー134によって移動される前記電極板10を加熱することができる。前記加熱器136にはヒーターまたは熱風器が用いられることができる。
【0048】
前記超音波提供器140は前記電極板10へのリチウムイオンドーピング工程の効率を増加させるために提供されることができる。一例として、前記超音波提供器140は前記ドーピングチャンバ110内の前記電解液114に所定の超音波を加えることができる。この場合、前記ドーピング工程時、前記超音波が加えられた前記電解液114により、前記電極板10に対するリチウムイオンのドーピング効率を増加させることができる。他の例として、前記超音波提供器140は前記ドーピング板116に超音波を加えたり、前記電極板10に直接超音波を加えるように構成されることもできる。前記超音波提供器140が前記ドーピング工程の効率を増加させるために、前記ドーピングチャンバ110に超音波を加える方式は多様に変更及び変形されることができる。一方、前記超音波提供器140が前記電解液114に加える超音波の強度は、前記電極板10及び前記ドーピング板116の厚さ及び前記電極板10に対するドーピング強度などによって変更されることができる。
【0049】
上述のように、本発明の実施例によるリチウムドーピング装置100は、ドーピング板116が積層された内部空間を有するドーピングチャンバ110、前記ドーピング板116の間の隙間117を順に経由するように、前記電極板10を移動させる電極板移送器120を備えることができる。ここで、前記ドーピングチャンバ110及び前記電極板移送器120は、前記電極板10が前記ドーピングチャンバ110内で前記ドーピング板116に最大限長い間ドーピング工程が遂行されるように、前記隙間117を移動する前記電極板10の移動区間及びドーピング時間を最大化した構造を有することができる。これにより、本発明によるリチウムドーピング装置は、単位面積あたり前記電極板10と前記ドーピング板116の間のドーピング区間を増加させて、リチウムドーピング工程の効率を向上させることができる。
【0050】
また、本発明の実施例によるリチウムドーピング装置100は、ドーピング前の電極板10の待機(stand−by)、ドーピング工程、乾燥工程、そして回収工程を連続的に自動処理することができる。これにより、本発明によるリチウムドーピング装置はリチウムドーピング工程をイン−ライン(in−line)自動化して、前記リチウムドーピング工程の効率を向上させるとともに、前記リチウムドーピング工程の時間を短縮することができる。
【0051】
次に、本発明の実施例によるエネルギー貯蔵装置の電極製造用ドーピング装置を用いた電極製造工程について詳細に説明する。ここで、図1を参照して上述したドーピング装置100に対して重複される内容は省略または簡素化されることができる。
【0052】
図2は本発明の実施例によるドーピング装置を用いた電極製造方法を説明するためのフローチャートであり、図3から図5は本発明の実施例による電極製造過程を説明するための図面である。
【0053】
本発明の実施例によるエネルギー貯蔵装置の電極製造方法は、図1を参照して上述したドーピング装置100を用いて、電極板を待機させる段階、電極板にリチウムイオンをドーピングする段階、電極板を乾燥させる段階、そして電極板を回収する段階をイン−サイチュ(in−situ)で連続処理してなされることができる。これにより、本発明による電極製造方法は、上述した電極板の待機工程、リチウムイオンのドーピング工程、電極板の乾燥工程、そして電極板の回収工程をイン−ライン方式に自動化して処理されることができる。
【0054】
以下、前記電極板の待機段階、前記リチウムイオンのドーピング段階、前記電極板の乾燥段階、そして前記電極板の回収段階夫々に対して具体的に説明する。
【0055】
図2及び図3に示したように、ドーピング装置100に電極板10を待機(stand−by)させることができる(S110)。前記電極板10を待機させる段階は箔(foil)形態に製作された電極板10を準備する段階、前記電極板10を第1ローラー122に巻回して貯蔵する段階、そして前記電極板10が巻回された前記第1ローラー122を前記ドーピング装置100に装着する段階を含むことができる。
【0056】
図2及び図4に示したように、電極板10にリチウムイオンをドーピング(doping)することができる(S120)。前記電極板10にリチウムイオンをドーピングする段階は、電解液114が満たされたドーピングチャンバ本体112を準備する段階、前記ドーピングチャンバ本体112内にリチウムイオンを含んだドーピング板116の積層構造体を配置する段階、そして前記電極板10が前記ドーピング板116の間の隙間117を順に通過するように、前記電極板10を移送する段階を含むことができる。前記電極板10を移送する段階は、第1から第3ローラー122、124、126からなるローラー構造体を駆動させてなされることができる。
【0057】
前記電極板10にリチウムイオンをドーピングする過程で、前記電解液114の工程温度は略20℃から70℃の温度範囲を満足するように調節されることができる。このために、前記温度調節器118は前記電解液114の温度が前記工程温度を満足するように、前記電解液114を持続的に加熱することができる。
【0058】
また、前記電極板10にリチウムイオンをドーピングする過程で、前記電解液114に超音波を印加する段階がさらに加えられることができる。前記超音波を印加する段階は、前記電極板10に対するリチウムイオンのドーピング効率を増加させるために加えられることができる。
【0059】
一方、前記電極板10にリチウムイオンをドーピングする段階は、前記電極板10と前記ドーピング板116を接触させる段階をさらに含むことができる。前記電極板10と前記ドーピング板116を接触させる段階は、前記電極板10の移動を中止させる段階及び前記ドーピング板116が前記電極板10に向けて移動するように、前記ドーピング板116を移動させる段階を含むことができる。前記ドーピング板116を移動させる段階は、二つのドーピング板116が一つの対をなして、前記電極板10の両面に夫々接触されるようにしてなされることができる。この場合、前記電極板10に対するリチウムイオンのドーピング効率を増加させることができる。
【0060】
図2及び図5に示したように、前記電極板10を乾燥させることができる(S130)。例えば、前記リチウムイオンをドーピングした後、前記ドーピングチャンバ本体112から搬出される前記電極板10は前記電解液114によって濡れた(wetting)状態であることができる。これにより、前記電極板10に残留する前記電解液114を除去する工程が遂行されることができる。このために、前記電極板10を乾燥させる段階は、前記電極板10を所定のヒーター(heater)で加熱したり、熱風器で熱風を加えてなされることができる。
【0061】
そして、リチウムドーピング工程が遂行された電極板10を回収することができる(S140)。前記電極板10を回収する工程は、前記乾燥処理が完了された前記電極板10を第2ローラー124に巻回して貯蔵することができる。ここで、前記第1ローラー122に巻回された前記電極板10が全て前記第2ローラー124に巻回されると、前記第2ローラー124を前記ドーピング装置100から分離させて、電極製造のための後続工程が遂行される場所に移動させることができる。
【0062】
上述のように、本発明の実施例による電極製造方法は、電極板10を待機させる段階、前記電極板10にリチウムイオンをドーピングする段階、前記電極板10を乾燥させる段階、そして前記電極板10を回収する段階をイン−サイチュ(in−situ)で連続処理してなされることができる。これにより、本発明による電極製造方法は、電極板の待機工程、リチウムイオンのドーピング工程、電極板の乾燥工程、そして電極板の回収工程を一つのドーピング装置100からイン−ライン方式に自動化して処理して遂行することにより、エネルギー貯蔵装置の電極製造の工程時間を短縮して、生産量を向上させることができる。
【0063】
以上の詳細な説明は本発明を例示するものである。また、上述の内容は本発明の好ましい実施形態を示して説明するものに過ぎず、本発明は多様な他の組合、変更及び環境で用いることができる。即ち、本明細書に開示された発明の概念の範囲、述べた開示内容と均等な範囲及び/または当業界の技術または知識の範囲内で変更または修正が可能である。上述の実施例は本発明を実施するにおいて最善の状態を説明するためのものであり、本発明のような他の発明を用いるにおいて当業界に公知された他の状態での実施、そして発明の具体的な適用分野及び用途で要求される多様な変更も可能である。従って、以上の発明の詳細な説明は開示された実施状態に本発明を制限しようとする意図ではない。また、添付された請求範囲は他の実施状態も含むと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0064】
10 電極板
100 リチウムドーピング装置
110 ドーピングチャンバ
112 ドーピングチャンバ本体
114 電解液
116 ドーピング板
117 隙間
117a 一側開口
117b 他側開口
120 電極板移送器
122 第1ローラー
124 第2ローラー
126 第3ローラー
130 乾燥チャンバ
132 乾燥チャンバ本体
134 第4ローラー
136 加熱器
140 超音波提供器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極板にリチウムイオンをドーピングする工程が遂行されるドーピング空間を提供するドーピングチャンバ本体;
前記ドーピングチャンバ本体内に上下に積層され、リチウムを含んだ複数のドーピング板;及び
前記ドーピング板の間の隙間に沿って前記電極板が通るように、前記電極板を移送する電極板移送器を含む、エネルギー貯蔵装置用ドーピング装置。
【請求項2】
前記電極板移送器は、前記電極板が前記隙間のうち何れか一つの隙間の一側開口から他側開口に移動された後曲がり、他の一つの隙間の他側開口から一側開口に移動されるように、前記電極板を移送する請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置用ドーピング装置。
【請求項3】
前記電極板移送器は、
前記リチウムドーピング工程以前の前記電極板を巻回して待機させる第1ローラー;
前記リチウムドーピング工程が遂行されて前記ドーピングチャンバ本体から搬出される前記電極板を巻回して回収する第2ローラー;及び
前記ドーピング空間の内部で前記電極板が前記ドーピング板の面方向に提供される前記隙間の全てを順に通過するように、前記ドーピングチャンバ本体に備えられた第3ローラーを含む請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置用ドーピング装置。
【請求項4】
前記第3ローラーは前記ドーピングチャンバ本体の両側に配置され、 前記ドーピングチャンバ本体の一側に配置される前記第3ローラーは前記ドーピングチャンバ本体を基準に前記ドーピングチャンバ本体の他側に配置される前記第3ローラーとジグザグ構造を有するように配置される請求項3に記載のエネルギー貯蔵装置用ドーピング装置。
【請求項5】
前記電解液の温度が20℃から70℃の温度範囲を満足するように前記電解液を加熱する加熱器をさらに含む請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置用ドーピング装置。
【請求項6】
前記ドーピングチャンバは前記内部空間を満たす電解液をさらに含み、
前記電解液はLiPF6、LiBF4、LiSbF6、LiAsF5、LiClO4、LiN、CF3SO3、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiC(SO2CF3)2、LiPF4(CF3)2、LiPF3(C2F5)3、LiPF3(CF3)3、LiPF5(iso−C3F7)3、LiPF5(iso−C3F7)、(CF2)2(SO2)2NLi、そして(CF2)3(SO2)2NLiのうち少なくとも何れか一つのリチウム系電解質塩を含む請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置用ドーピング装置。
【請求項7】
前記ドーピングチャンバは前記内部空間を満たす電解液をさらに含み、
前記ドーピング装置は前記電解液に超音波を加える超音波提供器をさらに含む請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置用ドーピング装置。
【請求項8】
前記電極板を乾燥させる乾燥チャンバをさらに含む請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置用ドーピング装置。
【請求項9】
前記乾燥チャンバは、
乾燥チャンバ本体;
前記乾燥チャンバ本体の内部にジグザグ構造を有するように配置された第4ローラー;及び
前記第4ローラーによって移動される前記電極板を加熱する加熱器を含む請求項8に記載のエネルギー貯蔵装置用ドーピング装置。
【請求項10】
前記ドーピングチャンバ内で前記電極板に前記ドーピング板が接触されるように、前記ドーピング板を移動させる駆動器をさらに含む請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置用ドーピング装置。
【請求項11】
エネルギー貯蔵装置の電極を製造する方法において、
電極板を待機させる段階;
リチウムイオンを含んだドーピング板を用いて、前記電極板にリチウムイオンをドーピングする段階;及び
前記電極板を回収する段階を含み、
前記電極板を待機させる段階、前記電極板にリチウムイオンをドーピングする段階、そして前記電極板を回収する段階はイン−サイチュで遂行される電極製造方法。
【請求項12】
前記電極板を待機させる段階は、前記リチウムドーピング工程が遂行される以前の前記電極板が巻回された第1ローラーを準備する段階を含み、
前記電極板を回収する段階は、前記リチウムドーピング工程が遂行された後の前記電極板を第2ローラーに巻回して回収する段階を含む請求項11に記載の電極製造方法。
【請求項13】
前記電極板にリチウムイオンをドーピングする段階は、
電解液が満たされたドーピングチャンバ本体を準備する段階;
前記ドーピングチャンバ本体に前記ドーピング板を積層する段階;及び
前記電極板が前記ドーピング板の間の隙間を通過するように、前記電極板を移送する段階を含む請求項11に記載の電極製造方法。
【請求項14】
前記電極板にリチウムイオンをドーピングする段階は、前記電解液の温度が20℃から70℃の温度範囲を満足するように前記電解液を加熱する段階を含む請求項11に記載の電極製造方法。
【請求項15】
前記電極板にリチウムイオンをドーピングする段階は、前記電解液に超音波を印加する段階をさらに含む請求項11に記載の電極製造方法。
【請求項16】
前記電解液はLiPF6、LiBF4、LiSbF6、LiAsF5、LiClO4、LiN、CF3SO3、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiC(SO2CF3)2、LiPF4(CF3)2、LiPF3(C2F5)3、LiPF3(CF3)3、LiPF5(iso−C3F7)3、LiPF5(iso−C3F7)、 (CF2)2(SO2)2NLi、そして(CF2)3(SO2)2NLiのうち少なくとも何れか一つのリチウム系電解質塩を含む請求項11に記載の電極製造方法。
【請求項17】
前記リチウムドーピング工程が遂行された後の前記電極板を乾燥させる段階をさらに含む請求項11に記載の電極製造方法。
【請求項18】
前記電極板と前記ドーピング板を接触させる段階をさらに含む請求項11に記載の電極製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−49544(P2012−49544A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184697(P2011−184697)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】