説明

エネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽

【課題】多数個のセル積層体にリチウムイオンを同時にフリードーピングさせることができるエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽を提供する。
【解決手段】本発明は電解液を収容したドーピング槽;前記ドーピング槽内に備えられたリチウム箔;及び前記リチウム箔及び前記ドーピング槽の電解液に浸るように備えられる少なくとも一つのセル積層体に電源を供給する電源供給手段;を含み、前記電源供給手段は前記セル積層体の陽極と陰極の間に電源を供給する充電工程と前記リチウム箔とセル積層体の陽極の間に電源を供給する放電工程を行って前記セル積層体の陰極にリチウムをドーピングするエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽に関し、多数個のセル積層体の陰極に同時にリチウムイオンをフリードーピングさせるためのエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電気化学的エネルギー貯蔵装置は、すべてのポータブル情報通信器機、電子機器において必須的に用いられる完製品器機の核心部品である。また、電気化学的エネルギー貯蔵装置は、未来型電気自動車及びポータブル電子装置等に適用されることができる新再生エネルギー分野のハイクオリティーエネルギー源として確実に用いられるであろう。
【0003】
電気化学的エネルギー貯蔵装置のうち電気化学キャパシタは電気二重層の原理を用いる電気二重層キャパシタ(Electrical double layer)と電気化学的酸化-還元反応を用いるハイブリッドスーパーキャパシタ(Hybrid supercapacitor)に分けられることができる。
【0004】
ここで、電気二重層キャパシタは高出力エネルギー特性を必要とする分野で多く用いられているが、電気二重層キャパシタは小さい容量といった問題点を有している。これに比べて、ハイブリッドスーパーキャパシタは、電気二重層キャパシタの容量特性を改善する新しい代案として多くの研究がなされている。特に、ハイブリッドスーパーキャパシタのうちリチウムイオンキャパシタ(Lithium ion capacitor; LIC)は電気二重層キャパシタに比べて3ないし4倍程度の蓄電容量を有することができる。
【0005】
一方、エネルギー貯蔵装置は巻取り(winding)タイプとパウチ(pouch)タイプで製造されることができて、パウチタイプのエネルギー貯蔵装置は巻取りタイプに比べて小さい重量を有し、低いコストで製造されることができる。
【0006】
パウチタイプのエネルギー貯蔵装置の製造工程は、シーツ形態を有する陽極、分離膜及び陰極を順次的に積層してセル積層体を形成する積層工程、陽極の端子と陰極の端子をそれぞれ溶接する溶接工程、及び各セルをアルミニウムでシーリングするシーリング工程を含むことができる。ここで、エネルギー貯蔵装置がリチウムイオンキャパシタである場合、シーリング工程の前に陰極にリチウムイオンをフリードーピングするための前処理ドーピング工程をさらに遂行しなければならなかった。
【0007】
このように、陰極にリチウムイオンをフリードーピングする工程はセル積層体をケースに収容した後、ケース内部に電解液を投入して遂行される。これによって、リチウムイオンフリードーピング工程はセル積層体にそれぞれ遂行されるため、生産性の低下により量産適用が困難であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明は、エネルギー貯蔵装置で発生される問題点を解決するために導き出されたものであり、具体的には、多数個のセル積層体にリチウムイオンを同時にフリードーピングさせることができるエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的はエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽を提供することである。前記エネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽は、電解液を収容したドーピング槽;前記ドーピング槽内に備えられたリチウム箔;及び前記リチウム箔及び前記ドーピング槽の電解液に浸るように備えられる少なくとも一つのセル積層体に電源を供給する電源供給手段;を含み、前記電源供給手段は前記セル積層体の陽極と陰極の間に電源を供給する充電工程と前記リチウム箔とセル積層体の陽極の間に電源を供給する放電工程を行って前記セル積層体の陰極にリチウムをドーピングすることができる。
【0010】
ここで、前記ドーピング槽は前記電解液の温度を調節する温度調節手段を備えることができる。
【0011】
また、前記充電工程を先に行った後に前記放電工程を行い、前記充電工程及び放電工程を繰り返して行うことができる。
【0012】
本発明の他の目的のエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽は、電解液を収容して、底面と前記底面から延長された四つの側面を備えたドーピング槽;前記ドーピング槽内の四つの側面のうち少なくとも一つの側面上に位置するリチウム箔;前記ドーピング槽の一側面に位置する陽極接続手段;前記ドーピング槽の一側面と対応する他側面に位置する陰極接続手段;及び前記陽極接続手段、陰極接続手段及びリチウム箔に電源を供給する電源供給手段;を含むことができる。
【0013】
ここで、前記エネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽内に収容されて前記電解液に浸る少なくとも一つのセル積層体をさらに含み、前記セル積層体は陽極、陰極及びセパレーターを含み、前記陽極と陰極の間に前記セパレーターが介在され、前記陽極は前記陽極接続手段に連結されて、前記陰極は前記陰極接続手段に連結されることができる。
【0014】
また、前記電源供給手段は前記陽極接続手段と陰極接続手段の間に電源を供給する充電工程と前記リチウム箔と前記陽極接続手段の間に電源を供給する放電工程を行って前記陰極にリチウムをドーピングすることができる。
【0015】
また、前記充電工程を先に行った後に前記放電工程を行い、前記充電工程及び放電工程を繰り返して行うことができる。
【0016】
また、前記陽極及び陰極は締結部材によってそれぞれ陽極接続手段及び陰極接続手段に物理的及び電気的に連結されることができる。
【0017】
また、前記締結部材はクランプであることができる。
【0018】
また、前記陽極接続手段は前記ドーピング槽の一側面に固定されて、前記電源供給手段と電気的に連結された陽極本体部及び前記陽極本体部から前記他側面に向けて一定の長さで延長された少なくとも一つの陽極ロッド部を含み、前記陰極接続手段は前記ドーピング槽の他側面に固定されて、前記電源供給手段と電気的に連結された陰極本体部及び前記陰極本体部から前記一側面に向けて一定の長さで延長された少なくとも一つの陰極ロッド部を含むことができる。
【0019】
また、前記陽極本体部は前記ドーピング槽の一側面の外側に固定されて、前記陽極ロッド部は前記一側面を貫通して備えられて、前記陰極本体部は前記ドーピング槽の他側面の外側に固定されて、前記陰極ロッド部は前記他側面を貫通して備えられることができる。
【0020】
また、前記陽極本体部及び陰極本体部は導電物質を含み、前記陽極本体部の両側端のうち少なくとも一つに連結された陽極連結端子、及び、前記陰極本体部の両側端のうち少なくとも一つに連結された陰極連結端子を含み、前記陽極連結端子及び陰極連結端子を介して前記電源供給手段と陽極ロッド部及び陰極ロッド部が電気的に連結されることができる。
【0021】
また、前記ドーピング槽の側面がなす角に位置したリチウム固定タブをさらに含むことができる。
【0022】
また、前記リチウム固定タブは前記リチウム箔と物理的に締結されて前記リチウム箔を固定し、前記電源供給手段と電気的に連結されていて、前記電源供給手段と前記リチウム箔を電気的に連結することができる。
【0023】
また、前記リチウム固定タブの一定領域には前記ドーピング槽の側面と一定間隔で離隔されるように段差部が形成されていて、前記リチウム箔は前記リチウム固定タブの段差部と前記ドーピング槽の側面の間に形成された離隔空間に挟まれて固定されることができる。
【0024】
また、前記リチウム固定タブの上部には前記電源供給手段と連結されるタブ連結端子を備えることができる。
【0025】
また、前記電解液の温度を調節する温度調節手段をさらに含むことができる。
【0026】
また、前記温度調節手段はヒーターであり、前記ヒーターは前記ドーピング槽の底面上に備えられることができる。
【0027】
また、前記ドーピング槽は前記電解液をドーピング槽から排出する電解液排水口を含むことができる。
【0028】
また、前記電解液排水口は前記ドーピング槽の側面に備えられ、前記ドーピング槽の底面と隣接する位置に備えられることができる。
【0029】
また、前記ドーピング槽の底面は全体的に傾いていて、前記電解液排水口が備えられた側面と接する底面側がもっと低い位置になるように傾いていることができる。
【0030】
また、前記リチウム箔は前記陽極接続手段及び陰極接続手段よりは下部に位置することができる。
【0031】
また、前記リチウム箔は前記電解液に浸っていることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明のエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽は、多数個のエネルギー貯蔵装置にリチウムイオンをドーピングさせることができて、量産性を高めることができる。
【0033】
また、本発明のエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽は、電解液の温度を高めることができてリチウムイオンのドーピング効率を高めることができる。
【0034】
また、本発明のエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽は、電気的短絡ではなく外部から電流を印加してドーピング工程を遂行するため、リチウムイオンのドーピング時間を画期的に減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1実施形態によるエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽の概念を図示した概念図である。
【図2】本発明の第1実施形態によるエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽の具体的な形態を図示した平面図である。
【図3】図2に図示されたドーピング槽の斜視図である。
【図4】図3のドーピング槽の側面図である。
【図5】図3の角部の側面断面図である。
【図6】図3に図示されたセル積層体の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付の図面を参照して本発明による実施形態を詳細に説明する。しかし、本発明は以下に説明する実施形態に限定するものではなく、他の形態で具体化されることもできる。むしろ、以下に説明する実施形態は開示された内容が徹底かつ完全になるように、そして当業者に本発明の思想を十分に伝達するために提供されるものである。図面において、層及び領域の厚さは明確性を期するために誇張されたものであり、明細書の全体における同一の参照番号は同一の構成要素を示す。
【0037】
図1は本発明の第1実施形態によるエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽の概念を図示した概念図である。
【0038】
図1を参照して説明すると、本発明の第1実施形態によるエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽1000はドーピング槽1100、リチウム箔1200、電源供給手段1300及び温度調節手段1400を含むことができる。
【0039】
エネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽1000はセル積層体1500にリチウムイオンをフリードーピングする装置であることができる。
ドーピング槽1100は電解液1110を収容する槽であることができ、上端部はオープンにされた形態で備えられることができる。電解液1110はリチウム箔1200からイオン化されたリチウムイオンを移動させる役割をする。
【0040】
リチウム箔1200はドーピング槽1100内に備えられることができる。リチウム箔1200はドーピング槽1100の側面上に固定されて備えられ、ドーピング槽1100内の電解液1110に浸るように備えられることができる。
【0041】
電源供給手段1300はリチウム箔1200及びセル積層体1500に電源を供給してセル積層体1500の陰極1520にリチウムイオンをドーピングする役割をすることができる。電源供給手段1300はセル積層体1500を充電するための第1電源手段1310とセル積層体1500の陰極1520にリチウムイオンをドーピングするための第2電源手段1320を備えることができる。この際、第1電源手段1310は第1電源1312及び第1オン・オフスイッチ1314を含むことができて、第2電源手段1320は第2電源1322及び第2オンオフスイッチ1324を含むことができる。
【0042】
温度調節手段1400はドーピング槽1100内に収容された電解液1110の温度を調節する役割をする。温度調節手段1400はセル積層体1500の陰極1520にリチウムイオンが効率的にドーピングされるように電解液1110の温度を調節する役割をする。
【0043】
セル積層体1500は陽極1510、陰極1520 及びセパレーター1530を含むことができる。セパレーター1530は陽極1510と陰極1520の間に介在されて陽極1510と陰極1520を電気的に分離する役割をすることができる。
【0044】
セル積層体1500は陽極1510、陰極1520及びセパレーター1530が順次に積層された形態で備えられたり、陽極1510、陰極1520及びセパレーター1530が巻取された形態で備えられることができる。
【0045】
エネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽1000を用いてセル積層体1500にリチウムイオンをドーピングする方法を説明すると、まず、ドーピング槽1100内に電解液1110が収容された状態で少なくとも一つのセル積層体1500を電解液1110に浸るように入れる。
【0046】
次に、リチウム箔1200とセル積層体1500に電源供給手段1300を連結する。この際、電源供給手段1300の第1電源手段1310の第1電源1312の陽極端はセル積層体1500の陽極1510に連結し、第1電源手段1310の第 1電源1312の陰極端はセル積層体1500の陰極1520に連結する。そして電源供給手段1300の第2電源手段1320の第2電源1322の陽極端はリチウム箔1200に連結し、第2電源手段1320の第2電源1322の陰極端はセル積層体1500の陽極1510に連結する。この際、第1電源手段1310には第1電源手段1310をオン/オフさせる第1オンオフスイッチ1314を備えることができて、第2電源手段1320には第2電源手段1320をオン/オフさせる第2オンオフスイッチ1324を備えることができる。
【0047】
次に、第1オンオフスイッチ1314をオン状態に変更してセル積層体1500の陽極1510と陰極1520の間を充電する充電工程を行う。セル積層体1500に充電が完了されると、第1オンオフスイッチ1314をオフ状態に変更させて、第2オンオフスイッチ1324をオン状態に変更して陽極1510とリチウム箔1200の間を放電して陰極1520にリチウムイオンがドーピングされるようにするドーピング工程を行う。
【0048】
本実施形態では説明の便宜上、電源供給手段1300が第1電源手段1310と第2電源手段1320を夫々備えて第1電源手段1310と第2電源手段1320が充電工程と放電工程を夫々制御すると説明しているが、電源供給手段1300は第1電源手段1310の機能と第2電源手段1320の機能を同時に有する一つの回路で構成するように変更することができる。
【0049】
この際、充電工程を先に行った後に放電工程を行い、充電工程及び放電工程を繰り返して行って陰極1520にリチウムイオンが十分にドーピングされるようにする。
【0050】
図2は本発明の第1実施形態によるエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽の具体的な形態を図示した平面図であり、図3は図2に図示されたドーピング槽の斜視図であり、図4は図3のドーピング槽の側面図であり、図5は図3の角部の側面断面図であり、図6は図3に図示されたセル積層体の分解斜視図である。
【0051】
図2乃至図6を参照してエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽2000を説明すると、エネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽2000はドーピング槽2100、リチウム箔2200、陽極接続手段2300、陰極接続手段2400及び電源供給手段2500を含むことができる。エネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽2000はセル積層体2600にリチウムイオンをドーピングする装置であることができる。エネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽2000は温度調節手段2700をさらに含むことができる。
【0052】
ドーピング槽2100は底面2110と底面2110から延長された四つの側面2120、2130、2140、2150を備えることができて、底面2110と四つの側面2120、2130、2140、2150からなる収容空間に電解液(未図示)を収容することができる。
【0053】
ドーピング槽2100の四つの側面2120、2130、2140、2150のうちいずれか一つの側面には電解液排水口2160を備えることができる。電解液排水口2160は電解液をドーピング槽2100から排出するために備えられる。
【0054】
電解液排水口2160は電解液の容易な排出のために底面2110と隣接した位置に備えられることが好ましい。
【0055】
一方、ドーピング槽2100の底面2110は図4に図示されたように全体的に傾くように備えられることができる。好ましくは、底面2110は、電解液排水口2160を備えた側面(図3及び図4では電解液排水口は図面符号2150で図示された側面)と接する底面側が電解液排水口2160を備えた側面と対向する側面(図3及び図4では電解液排水口は図面符号2140で図示された側面)と接する底面側に比べて、もっと低い位置になるように、傾くように備えられることができる。
【0056】
これは電解液を排出する時、ドーピング槽2100の底面2110に電解液が残留しないようにするためである。すなわち、底面2110を傾くように備えて、電解液が電解液排水口2160を介してドーピング槽2100から完全に排出されるようにするためである。
【0057】
リチウム箔2200はドーピング槽2100内の側面2120、2130、2140、2150のうち少なくとも一つの側面上に備えられることができる。リチウム箔2200はドーピング槽2100に収容された電解液に浸るように備えられることができて、後で説明する陽極接続手段2300と陰極接続手段2400より下部に位置することができる。
【0058】
リチウム箔2200はリチウム固定タブ2210によって固定されることができる。
【0059】
リチウム固定タブ2210はドーピング槽2100の側面2120、2130、2140、2150がなす四つの角のうちいずれか一つの角に位置することができる。
【0060】
リチウム固定タブ2210はリチウム箔2200と物理的に締結されてリチウム箔2200を固定し、電源供給手段2500と電気的に連結されていて、電源供給手段2500とリチウム箔2200を電気的に連結する役割をすることができる。
【0061】
リチウム固定タブ2210の一定領域には図5に図示されたようにその水平断面上に段差部2212を備えている。段差部2212は側面2120、2130、2140、2150と一定間隔で離隔されるようにし、段差部2212と側面2120、2130、2140、2150のうちいずれか一つの側面との間に離隔空間2214を形成するようにする。
【0062】
離隔空間2214に図5に図示されたようにリチウム箔2200が挟まれてリチウム箔2200が固定されるようにする役割をする。また、リチウム箔2200が離隔空間2214に挟まれることによってリチウム箔2200とリチウム固定タブ2210は電気的に連結されるようにする役割をする。
【0063】
一方、リチウム固定タブ2210は上部から延長されて側面2120、2130、2140、2150上に電源供給手段2500と電気的に連結されるタブ連結端子2216を備えている。
【0064】
タブ連結端子2216は側面2120、2130、2140、2150の上端部に備えられて、電解液には浸らないほどに高い位置に備えられることが好ましい。
【0065】
本発明の実施形態で、リチウム箔2200はリチウム固定タブ2210を用いてタブ連結端子2216と連結されると説明したが、これに限定されるものではない。例えば、リチウム箔2200とタブ連結端子2216はクランプを用いて互いに電気的に連結することもできる。
【0066】
陽極接続手段2300はドーピング槽2100の一側面に位置することができて、陰極接続手段2400は陽極接続手段2300が位置する一側面と対応する他側面に位置することができる。図3では一側面を図面符号2120で図示された側面で示し、他側面は図面符号2130で図示された側面で示している。以下の説明の便宜上、一側面を図面符号2120で図示された側面で説明し、他側面を図面符号2130で図示された側面で説明する。
【0067】
陽極接続手段2300は一側面2120の上端部に固定されて備えられることができる。陽極接続手段2300は陽極本体部2320及び陽極ロッド部2340を含むことができる。陽極接続手段2300は陽極連結端子2360を含むことができる。
【0068】
陽極本体部2320は陽極接続手段2300をドーピング槽2100の一側面2120に固定する役割をすることができる。陽極本体部2320は一側面2120の外側に固定されることができる。また、陽極本体部2320は陽極ロッド部2340を物理的に固定する役割をする。また、陽極連結端子2360を備える場合、陽極本体部2320は導電物質を含んで陽極ロッド部2340と陽極連結端子2360を電気的に連結する役割をする。この際、陽極接続手段2300と電源供給手段2500が電気的に連結される時、電源供給手段2500は陽極ロッド部2340に直接連結されることができて、陽極連結端子2360を備えている場合は陽極連結端子2360を介して陽極ロッド部2340に連結されることができる。
【0069】
本発明の実施形態では陽極連結端子2360を備えていると仮定し、これを中心に説明する。
【0070】
陽極ロッド部2340は陽極本体部2320から延長され、ドーピング槽2100の他側面2130を向けて一定の長さで延長されることができる。陽極ロッド部2340は陽極本体部2320が一側面2120の外側に固定された場合、一側面2120を貫通して延長されることができる。陽極ロッド部2340は少なくとも一個または複数個が一定間隔で配列されて備えられることができる。
【0071】
陰極接続手段2400は他側面2130の上端部に固定されて備えられることができる。陰極接続手段2400は陰極本体部2420及び陰極ロッド部2440を含むことができる。陰極接続手段2400は陰極連結端子2460を含むことができる。
【0072】
陰極本体部2420は陰極接続手段2400をドーピング槽2100の他側面2130に固定する役割をする。陰極本体部2420は他側面2130の外側に固定されることができる。また、陰極本体部2420は陰極ロッド部2440を物理的に固定する役割をする。また、陰極連結端子2460を備える場合、陰極本体部2420は導電物質を含んで陰極ロッド部2440と陰極連結端子2460を電気的に連結する役割をする。この際、陰極接続手段2400と電源供給手段2500が電気的に連結される時、電源供給手段2500は陰極ロッド部2440に直接連結されることができる。または、陰極連結端子2460を備えている場合は陰極連結端子2460を介して陰極ロッド部2440に連結されることができる。
【0073】
本発明の実施形態では陰極連結端子2460を備えていると仮定してこれを中心に説明する。
【0074】
陰極ロッド部2440は陰極本体部2420から延長され、ドーピング槽2100の一側面2120を向けて一定の長さで延長されることができる。陰極ロッド部2440は陰極本体部2420が他側面2130の外側に固定された場合、他側面2130を貫通して延長されることができる。陰極ロッド部2440は少なくとも一個または複数個が一定間隔で配列されて備えられることができる。
【0075】
電源供給手段2500はリチウム箔2200及びセル積層体2600に電源を供給してセル積層体2600の陰極2620にリチウムイオンをドーピングする役割をすることができる。電源供給手段2500はセル積層体2600を充電するための第1電源手段2510とセル積層体2600の陰極2620にリチウムイオンをドーピングするための第2電源手段2520とを備えることができる。この際、第1電源手段2510は第1電源2512及び第1オンオフスイッチ2514を含むことができて、第2電源手段2520は第2電源2522及び第2オンオフスイッチ2524を含むことができる。
【0076】
電源供給手段2500はリチウム箔2200、陽極接続手段2300及び陰極接続手段2400に連結されることができる。この際、電源供給手段2500の第1電源手段2510の第1電源2512の陽極端は陽極接続手段2300に連結し、第1電源手段2510の第1電源2512の陰極端は陰極接続手段2400に連結されることができる。そして電源供給手段2500の第2電源手段2520の第2電源2522の陽極端はリチウム固定タブ2210、好ましくはリチウム連結端子2216に連結し、第2電源手段2520の第2電源2522の陰極端は陽極接続手段2300に連結される。
【0077】
エネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽2000はセル積層体2600の陰極2620にリチウムイオンをフリードーピングする装置である。この際、セル積層体2600は陽極2610、陰極2620及びセパレーター2630を含むことができる。セパレーター2630は陽極2610と陰極2620の間に介在されて陽極2610と陰極2620を電気的に分離する役割をすることができる。セル積層体2600は陽極2610、陰極2620及びセパレーター2630が順次に積層された形態で備えられたり、陽極2610、陰極2620及びセパレーター2630が巻取された形態で備えられることができる。一方、陽極2610は陽極2610を外部装置と連結することができる陽極タブ2612を備えていて、陰極2620もまた陰極タブ2622を備えることができる。
【0078】
セル積層体2600はエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽2000のドーピング槽2100内、好ましくはドーピング槽2100内の電解液の中に浸っている状態でリチウムイオンをドーピングすることができる。この際、陽極2610の陽極タブ2612及び陰極2620の陰極タブ2622は夫々陽極接続手段2300及び陰極接続手段2400、好ましくは陽極ロッド部2340及び陰極ロッド部2440に締結部材2640によって連結されることにより物理的及び電気的に連結される。この際、締結部材2640は陽極タブ2612と陽極ロッド部2340を締結するクランプであることができて、陰極タブ2622と陰極ロッド部2440を締結するクランプであることができる。
【0079】
温度調節手段2700はドーピング槽2100内に収容された電解液の温度を調節する役割をする。温度調節手段2700はセル積層体2600の陰極2620にリチウムイオンが効率的にドーピングされるように電解液の温度を調節する役割をする。温度調節手段2700はドーピング槽2100の底面2110上に備えられて、底面2110からドーピング槽2100の四つの側面2120、2130、2140、2150のうちいずれか一つの側面に延長されて外部に連結されることができる。図2では温度調節手段2700が図面符号2150で図示された側面に延長されたものとして図示しているが、どの側面に延長されてもかまわない。また、図示はしていないが、四つの側面2120、2130、2140、2150のうちいずれか一つの側面を貫通して外部に延長されてもかまわない。一方、温度調節手段2700は電解液を加熱する加熱装置であることができて、例えば、ヒーターであることができる。
【0080】
エネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽2000を用いてセル積層体2600にリチウムイオンをドーピングする方法を説明すると、まず、エネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽2000内に少なくとも一つのセル積層体2600を電解液に浸るように入れる。
【0081】
この際、セル積層体2600の陽極タブ2612は陽極ロッド部2340に締結部材2640で締結して、陰極タブ2622は陰極ロッド部2440に締結部材2640で締結する。
【0082】
次に、第1オンオフスイッチ2514をオン状態に変更してセル積層体2600の陽極2610と陰極2620の間を充電する充電工程を行う。セル積層体2600に充電が完了されると、第1オンオフスイッチ2514をオフ状態に変更させて、第2オンオフスイッチ2524をオン状態に変更して陽極2610とリチウム箔2200の間を放電して陰極2620にリチウムイオンがドーピングされるようにするドーピング工程を行う。
【0083】
この際、充電工程を先に行った後に放電工程を行い、充電工程及び放電工程を繰り返して行って陰極2620にリチウムイオンが十分にドーピングされるようにする。
【0084】
ここで、陰極2620にリチウムイオンドーピング工程が完了されると、セル積層体をドーピング槽から取り出した後にシーリング工程を遂行することによって、エネルギー貯蔵装置を製造することができる。
【0085】
本実施形態では説明の便宜上、電源供給手段2500が第1電源手段2510と第2電源手段2520を夫々備えて第1電源手段2510と第2電源手段2520が充電工程と放電工程を夫々制御すると説明しているが、電源供給手段2500は第1電源手段2510の機能と第2電源手段2520の機能を同時に有する一つの回路で構成するように変更することができる。
【0086】
したがって、本発明のエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽を用いて、セル積層体を電解液が収容されたドーピング槽に浸した後に充電工程及び放電工程を繰り返して行うことによってリチウムイオンをドーピングさせた後、エネルギー貯蔵装置を密封する工程を遂行することによって、多数個のエネルギー貯蔵装置を容易に製造することができる。
【0087】
また、本発明のエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽は電解液の温度を調節することによって、ドーピング効率を高めることができ、リチウムイオンのドーピング時間を画期的に減らすことができる。
【0088】
以上のように本発明を実施形態を参照して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者であれば、本発明の主旨及び範囲を逸脱することなく修正、変更が可能であり、このような修正および変更も本発明に属するものであることは明らかであろう。
【符号の説明】
【0089】
2000 エネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽
2100 ドーピング槽
2200 リチウム箔
2300 陽極接続手段
2400 陰極接続手段
2500 電源供給手段
2600 セル積層体
2700 温度調節手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解液を収容したドーピング槽;
前記ドーピング槽内に備えられたリチウム箔;及び
前記リチウム箔及び前記ドーピング槽の電解液に浸るように備えられる少なくとも一つのセル積層体に電源を供給する電源供給手段;を含み、
前記電源供給手段は前記セル積層体の陽極と陰極の間に電源を供給する充電工程と前記リチウム箔とセル積層体の陽極の間に電源を供給する放電工程を行って前記セル積層体の陰極にリチウムをドーピングするものである、エネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽。
【請求項2】
前記ドーピング槽は前記電解液の温度を調節する温度調節手段を備える請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽。
【請求項3】
前記充電工程を先に行った後に前記放電工程を行い、前記充電工程及び放電工程を繰り返して行う請求項1または2に記載のエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽。
【請求項4】
電解液を収容し、底面と前記底面から延長された四つの側面を備えたドーピング槽;
前記ドーピング槽内の四つの側面のうち少なくとも一つの側面上に位置するリチウム箔;
前記ドーピング槽の一側面に位置する陽極接続手段;
前記ドーピング槽の一側面と対応する他側面に位置する陰極接続手段;及び
前記陽極接続手段、陰極接続手段及びリチウム箔に電源を供給する電源供給手段;
を含むエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽。
【請求項5】
前記エネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽内に収容されて前記電解液に浸る少なくとも一つのセル積層体をさらに含み、
前記セル積層体は陽極、陰極及びセパレーターを含み、前記陽極と陰極の間に前記セパレーターが介在され、
前記陽極は前記陽極接続手段に連結されて、前記陰極は前記陰極接続手段に連結される請求項4に記載のエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽。
【請求項6】
前記電源供給手段は前記陽極接続手段と陰極接続手段の間に電源を供給する充電工程と前記リチウム箔と前記陽極接続手段の間に電源を供給する放電工程を行って前記陰極にリチウムをドーピングするものである、請求項5に記載のエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽。
【請求項7】
前記充電工程を先に行った後に前記放電工程を行い、前記充電工程及び放電工程を繰り返して行う請求項6に記載のエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽。
【請求項8】
前記陽極及び陰極は締結部材によって夫々陽極接続手段及び陰極接続手段に物理的及び電気的に連結される請求項5に記載のエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽。
【請求項9】
前記締結部材はクランプである請求項8に記載のエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽。
【請求項10】
前記陽極接続手段は前記ドーピング槽の一側面に固定され、前記電源供給手段と電気的に連結された陽極本体部及び前記陽極本体部から前記他側面に向けて一定の長さで延長された少なくとも一つの陽極ロッド部を含み、
前記陰極接続手段は前記ドーピング槽の他側面に固定されて、前記電源供給手段と電気的に連結された陰極本体部及び前記陰極本体部から前記一側面に向けて一定の長さで延長された少なくとも一つの陰極ロッド部を含む請求項4から9のうちいずれか1つに記載のエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽。
【請求項11】
前記陽極本体部は前記ドーピング槽の一側面の外側に固定され、前記陽極ロッド部は前記一側面を貫通して備えられて、
前記陰極本体部は前記ドーピング槽の他側面の外側に固定され、前記陰極ロッド部は前記他側面を貫通して備えられる請求項10に記載のエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽。
【請求項12】
前記陽極本体部及び陰極本体部は導電物質を含み、
前記陽極本体部の両側端のうち少なくとも一つに連結された陽極連結端子、及び、
前記陰極本体部の両側端のうち少なくとも一つに連結された陰極連結端子を含み、
前記陽極連結端子及び陰極連結端子を介して前記電源供給手段と陽極ロッド部及び陰極ロッド部が電気的に連結される請求項10に記載のエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽。
【請求項13】
前記ドーピング槽の四つの側面がなす四つの角のうちいずれか一つの角に位置したリチウム固定タブをさらに含む請求項4から12のうちいずれか1つに記載のエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽。
【請求項14】
前記リチウム固定タブは前記リチウム箔と物理的に締結されて前記リチウム箔を固定し、前記電源供給手段と電気的に連結されていて、前記電源供給手段と前記リチウム箔を電気的に連結する請求項13に記載のエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽。
【請求項15】
前記リチウム固定タブの一定領域には前記ドーピング槽の側面と一定の間隔で離隔されるように段差部が形成されていて、
前記リチウム箔は前記リチウム固定タブの段差部と前記ドーピング槽の側面の間に形成された離隔空間に挟まれて固定される請求項14に記載のエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽。
【請求項16】
前記リチウム固定タブの上部には前記電源供給手段と連結されるタブ連結端子を備える請求項14に記載のエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽。
【請求項17】
前記電解液の温度を調節する温度調節手段をさらに含む請求項4から16のうちいずれか1つに記載のエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽。
【請求項18】
前記温度調節手段はヒーターであり、前記ヒーターは前記ドーピング槽の底面上に備えられる請求項17に記載のエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽。
【請求項19】
前記ドーピング槽は前記電解液をドーピング槽から排出する電解液排水口を含む請求項4から18のうちいずれか1つに記載のエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽。
【請求項20】
前記電解液排水口は前記ドーピング槽の側面に備えられ、前記ドーピング槽の底面と隣接した位置に備えられた請求項19に記載のエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽。
【請求項21】
前記ドーピング槽の底面は全体的に傾いていて、前記電解液排水口が備えられた側面と接する底面側がもっと低い位置になるように傾いている請求項20に記載のエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽。
【請求項22】
前記リチウム箔は前記陽極接続手段及び陰極接続手段よりは下部に位置する請求項4から21のうちいずれか1つに記載のエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽。
【請求項23】
前記リチウム箔は前記電解液に浸っている請求項22に記載のエネルギー貯蔵装置製造用のドーピング槽。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−243941(P2011−243941A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220727(P2010−220727)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】