エネルギ吸収織物要素
【課題】エネルギ吸収布片要素を提供すること。
【解決手段】第1の要素(7)、特に少なくとも第1の点(5)と第2の点(6)の間を長手方向に延びる糸と、第2の要素(8)、特に第1の点と第2の点の間を延びる糸とを備え、この2つの要素が、前記第1および前記第2の点のところで同一の引っ張り力に曝される墜落制止装置の構成部品であって、張力のない状態で、第2の要素の長手方向延びが第1の要素の長手方向延びより大きいことを特徴とする、墜落制止装置の構成部品。
【解決手段】第1の要素(7)、特に少なくとも第1の点(5)と第2の点(6)の間を長手方向に延びる糸と、第2の要素(8)、特に第1の点と第2の点の間を延びる糸とを備え、この2つの要素が、前記第1および前記第2の点のところで同一の引っ張り力に曝される墜落制止装置の構成部品であって、張力のない状態で、第2の要素の長手方向延びが第1の要素の長手方向延びより大きいことを特徴とする、墜落制止装置の構成部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全装具などの墜落制止装置の構成部品、特に布片および/または拘束綱に関し、およびこの型式の構成部品を備える墜落制止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、安全装具を備えるものなどの、墜落制止装置に使用される布片または拘束綱は、実質的に剛体であり、装具を着用している人の墜落中どのようなエネルギ吸収能力も全くまたはほとんどもたらさず、その結果、装置にその複雑性およびコストを増加させる補助のエネルギ吸収システムを加えることが必要となっている。
【特許文献1】米国特許第4736500号
【特許文献2】米国特許第4244174号
【特許文献3】米国特許第4415521号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、例えば高い高さのところで働いており、万一墜落の場合には拘束されなければならない人によって着用され、その構成部品が言わば使用者の墜落を中断させ、その結果特に速度が墜落速度からゼロ速度に突然変わるときの最後のときに、墜落に伴う怪我を防止する、例えば安全装具を備える墜落制止装置の構成部品、例えば布片または綱に関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、この構成部品は請求項1に定義されるようなものであり、それは以下のとおりである:
第1の要素(10)、少なくとも第1の点(5)と第2の点(6)の間を長手方向に延びる糸と、前記第1の点と前記第2の点の間を延びる第2の要素(11)とを備え、前記2つの要素が前記第1および前記第2の点のところで同一の引っ張り力に曝される、墜落制止装置の構成部品、特に拘束綱または布片であって、前記第2の要素が前記第1の要素の周りを螺旋旋回の形態で巻き付けられた糸であり、前記2本の糸がいわゆる笹縁糸を形成することを特徴とする、墜落制止装置の構成部品。
【0005】
そのような構成部品から出発して、墜落制止の観点で優れた能力を有する要素、例えば墜落制止装置の布片、綱または任意の他の部品、あるいは墜落制止装置それ自体を、非常に簡単な方法で得ることができるように、該構成部品を織ること、編むこと、網状にすること等によって各種要素を製造することができる。墜落中、長さの短い第1の要素が一部で伸張し、墜落重量または人の効果の下で伸び、そして第1の要素の伸張前は一種の長手方向遊びを備える(その長さが第1の要素の長さより長い)第2の要素は、第1の要素の形状により近い形状をとり、かつ特により直線的な形状をとり、特に伸張した第1の要素と一列に並び、墜落に伴う衝撃はこれらの2つの要素の組み合わされた作用によって吸収される。
【0006】
第1の要素の特性曲線がその伸張割合をそれに加えられる牽引力の関数として表わし、該特性曲線が、弾力範囲の後、一定のまたはわずかしか増加しない牽引力で伸張する範囲を、横軸に沿って少なくとも25%、好ましくは少なくとも33%、特に少なくとも50%、特に25%と100%の間にわたり示すことが好ましい。
【0007】
この弾性範囲は、前記一定の牽引力で伸張する範囲に対して小さく、特に10分の1以下であることが好ましい。
【0008】
この弾性範囲が小さく、特に横軸に沿って10%より少ない、特に5%より少ない長さにわたり延びることが好ましい。
【0009】
この構成部品または構成部品の一部分の特性曲線が、その伸張割合をそれに加えられる牽引力の関数として表わし、該特性曲線が、弾力範囲の後に、一定のまたはわずかしか増加しない牽引力で伸張する範囲を、横軸に沿って少なくとも25%、好ましくは少なくとも33%、特に少なくとも50%、特に25%と100%の間にわたり示すことが好ましい。
【0010】
この弾性範囲は、前記一定の牽引力で伸張する範囲に対して小さく、特に10分の1以下であることが好ましい。
【0011】
この弾性範囲が小さく、特に横軸に沿って10%より少ない、特に5%より少ない長さにわたり延びることが好ましい。
【0012】
特に、布片または墜落制止装置綱は、織るまたは編むこと等によって一緒に結合される複数の「笹縁」糸によって形成することができる。
【0013】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、この第1の要素はストリップ形状の布片部分であり、第2の要素はストリップ形状の部分であり、その真空下の長さまたは張力の掛かっていない長さが第1のストリップ形状の要素の真空下の長さまたは張力の掛かっていない長さより長く、その長さが最大伸張下で第1のストリップの長さに実質的に等しいものとされる。
【0014】
一実施形態によれば、この構成部品は「笹縁」糸から構成される拘束綱である。
【0015】
一改善例によれば、この構成部品は、外装を形成する被覆組織を形成するように、例えば編む、織る、網状にする等によって結合された複数の笹縁糸を備え、この外装内に、伸張割合を加えられる牽引力の関数として表わす特性曲線を有する材料を配置し、その特性曲線が、弾性範囲の後、一定のまたはわずかしか増加しない牽引力で伸張する範囲を、横軸に沿って少なくとも25%、好ましくは少なくとも33%、特に少なくとも50%、特に25%と100%の間にわたり示すものとされる。
【0016】
特に、この外装内の材料はPOYである。
【0017】
この型式の構成部品は、笹縁糸と特にPOYから作られる伸張可能材料の組み合わせのおかげで、鋭いリッジ上への墜落の場合に特に適合している。
【0018】
本発明は、特に装具を備え、本発明による構成部品、特に布片または綱、特に拘束綱を備える墜落制止装置にも関係する。
【0019】
第1の要素がPOY(部分延伸糸(partially oriented yarn))から作られ、第2の糸が熱可塑性材料、特にポリエステルから作られるのが好ましい。
【0020】
POYは、従来は紡糸に使用される材料、例えばポリエステルなどの熱可塑性材料から作られるが、その製造中、多数の米国特許、例えば米国特許第4736500号、米国特許第4244174号および米国特許第4415521号に記載されているように、伸張ステップの全てに掛けられていない糸である。
【0021】
したがってPOYは、図4に示す形状を有するその特性曲線から出現するような、少なくとも伸張領域にわたり増加する牽引を加えなければならないことなしに、伸張可能のままである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に例示として、添付の図面と関連する本発明の実施形態の説明を行う。
図1aは、本発明の一実施形態による布片を備える装具の図である。
図1bは、本発明の別の実施形態による布片を備える装具の図である。
図2A及び図2Bは、それぞれ図1aおよび1bの布片の一部分の拡大図である。
図3A、図3B及び図3Cは、本発明による一群の糸を、非伸張状態、次いで伸張状態、最後に布片に織られた状態で示す図である。
図4は、本明細書で前述した笹縁糸、または本明細書で前述した布片の一部分に関して、該糸または布片の一部分を伸張させる曲線の形状を、その2つの端部のところに加えられる牽引力の関数として示す図である。
図5Aは、本発明による拘束綱の図である。
図5Bは、図5Aの綱の横断面図である。
図6、図7及び図8は、付属書1に定義される試験の様々な構成を示す図である。
【0023】
図1aでは、装具1は、墜落保護安全装具を着用している人の腿を取り囲むためのものである2つの脚帯紐9を備え、この装具は連結糸2によって保持装置に連結される。この装具1は、複数の布片、特に装具を着用している人の肩の上を通過させるためのものである2つの布片3を備え、これらの布片は、この装具の設計に応じて様々な様式で構成することができ、特に図1に示される様式に構成することができる。各布片3は、2つの点5と6の間を延びる少なくとも1つの部分4を備える。2つの点5と6の間のこの部分4は、その長さが2つの点5と6の間の布片の長さと等しい第1の布片要素7とやはり点5と6の間を延びる第2のストリップ形状の要素8から構成される。この第2の要素8は、布片の残りと連続しており、要素7は少なくとも2つの点5と6のところで、例えば溶接、接着、編むこと等によって、要素8に面して、布片の残りに固定される。これを行うために、布片3が取り上げられ、ストリップ部分8を形成するために一種のループが形成され、次いでストリップ7が固定される。点5と6の間を延びる要素8の全長は、直線的に配設されるとき、やはり直線的に配設されるときの、要素7の荷重なしの長さまたは非伸張長さより長い。
【0024】
図1bは、布片3’が部分4‘を備え、該部分4’はその2つの端部のところで(当該布片が切断された後で)布片3’に固定された別の実施可能な形態を示し、この部分4’は、笹縁糸から作られ、その芯はPOYおよび外装から作られ、それらはそれらの製造中に完全に伸張された従来型の熱可塑性織物材料から作られる糸から構成され、点5と6の間の外装の糸は、直線的に配設されるとき、非伸張でかつやはり直線的に配設されるときのPOY芯の単数または複数の糸より長い長さを有する。
【0025】
墜落中、要素7(それぞれ、部分4’の笹縁糸の芯)の長さは張力に起因して増加するであろう。同時に、ストリップ8(それぞれ、部分4’の笹縁糸の外装を形成する糸)は次いで、非伸張状態でストリップ7(それぞれ、笹縁糸の芯)と当初の長さでのその相違と関連するその遊びを利用することによって、ストリップ7(それぞれ、笹縁糸の芯)に平行な状態に接近する傾向になるであろう。墜落の最終時点で、ストリップ8(それぞれ、各外装糸)は、特に、重量、墜落の高さ等の関数としての計算が誤りなしで行われている場合、要素7(それぞれ、各芯糸)と同じ長さを有する。しかしながら緩衝作用は、要素8(それぞれ、各外装糸)が、墜落の終わりのときに、ストリップ7(それぞれ、笹縁糸の芯)に対して未だわずかな遊びを有するか、または、逆に伸張されるときストリップ7の長さと等しい長さを有することができるようにいくらか伸ばされているようなものとすることができる。特に、布片のストリップ7は、POYから作られる芯を備えた笹縁糸か、または直接的にPOYからなる笹縁糸に基づいており、一方布片3の残りおよびストリップ8は、その製造中に完全に伸張された従来型の織物材料から作られる。
【0026】
図3Aは、図1aの布片部分の2本のストリップのセットと同じ機能を果たす、図1bの布片を製造するために使用することができる糸を示す。これを行うために、2本の糸、すなわち、第1の直線糸10および第1の糸の周りに螺旋旋回の形態で巻き付けられる第2の糸11が使用される。糸10は実質的に直線的に延び、一方より長い長さを有する糸11は、糸10から離れて延びる。この2本の糸10および11は、笹縁糸として知られているものを一緒に形成する。墜落中、この糸10は伸張され、同時に糸11が広げられ、糸10に接近するように進む。この型式の笹縁糸を基にして、図3Cに示すような織られた布片を得るために、図3Aまたは図3Bに示すような(各々が糸10および糸11から構成される)笹縁糸を織るまたは編むことによって布片を製造することができ、したがってこの布片は、部分4’を形成するように布片1’の点5と6の間に固定するか、またはストリップ7として布片1に適用することができる。この場合(図1a)、笹縁糸ではなく専らPOYから作られる糸を使用し、外装糸の機能をストリップ8に行わせることもできる。
【0027】
図5Aおよび5Bは、笹縁糸の網状物によって形成される拘束綱を示し、その芯はPOYから作られる。この綱は、POYから作られる主芯を形成する中央要素20、およびこの主芯を取り囲む笹縁糸21の網状物から構成される外装とを備え、各笹縁糸は、POYから作られる芯22およびPOYではない、すなわち従来型の完全伸張方法を使用して製造されてきた、従来型の織物材料、特に熱可塑性プラスチック材料から作られる糸の網状物から構成される外装23を有する。さらに、この組み立て品は、(POYから作られない、すなわち、その製造中実質的に完全に引っ張られた)ポリエステル、ポリアミドまたは別の従来型の熱可塑性プラスチック織物材料から作られる筒状布片の形態の追加の外側外装24を備えることも、備えないこともできる。この拘束綱は、本明細書で後に付属書1で説明する鋭いリッジ上への墜落試験に合格する。
【0028】
糸10または要素7は、ある程度の伸張可能性を有する材料、特にPOYから作られる、すなわち、牽引力の関数として伸びの割合を与えるその曲線内において、弾性部分に対応する区画の後に実質的に水平なレベルの部分を含むことが好ましい。
【0029】
糸、布片または任意の要素の伸張の割合を与える曲線を、破断まで加えられる牽引力の関数として追跡することが可能である。
【0030】
この曲線を作り出すために、引張試験機、例えば一定の伸張勾配を有し、かつアダメル・ロマージイ(Adamel Lhomargy)から入手可能な、動作モードに従うDY31引張試験機が使用される。
【0031】
0と100の間の番手(Dtex)に対して、10N力センサおよび鋸歯状のゴム縁部を装備する空圧式プライヤーが使用され、10N−500mmプログラムが選択される。
【0032】
100と2,000の間の番手(Dtex)に対して、100N力センサおよび鋸歯状のゴム縁部を装備する空圧式プライヤーが使用され、100N−500mmプログラムが選択される。
【0033】
引き続き間隔が500mmにセットされ、次いで力センサが開始され、従来型の任意選択の「較正」を使用して基準化される。
【0034】
次いで解析すべき要素のサンプル、例えば単数の笹縁糸もしくは複数の笹縁糸または笹縁糸の織物から構成される布片のストリップもしくは笹縁糸から形成される綱の一部分のストリップが、選択された糸サイズの範囲に対応する寸法を選択することによって取り出され、このサンプルはその2つの端部のところで引張試験機の掴み具の間にクランプされる。伸張力が徐々に増加されると、図4に示す外観を有する曲線が生み出される。
【0035】
この曲線は、一連の3つの区間、D1、D2およびD3の形態で大雑把に示すことができ、本発明の好ましい実施形態による要素に特徴的なものである。
【0036】
第1の区間D1は、この場合においては非常に小さいが、この要素の弾性部分に対応し、その曲線は僅かである。実際、本発明によるこの要素は弾性的でなく、または低弾性であることが好ましい。この第1の区間は扇形に広がり、0から10%の範囲にわたり延び、この場合は3%まで延びる。
【0037】
第2の区間D2は実質的に水平であり、上記要素が、実質的に一定の牽引力の下で、または所望により牽引力をわずかに増加させつつ(この勾配はゼロまたは低く、特に弾性部分D1の勾配よりも、かつ本明細書で後に説明する最後の部分D3の勾配よりも小さい)伸張することができる部分に対応する。
【0038】
この第2の区間D2は、笹縁糸の芯のPOY材料の伸張に対応する。本発明の好ましい実施形態によれば、この区間D2は、横軸に沿って少なくとも25%、好ましくは少なくとも33%、特に少なくとも50%にわたって延び、例えば33%と100%の間にわたって延びる。図4に示す実施例では、それは約47%にわたって延びる。
【0039】
最後に、この曲線は、増加する勾配を有し要素が破断するまで延びる第3の区間D3を含む。この区間D3の勾配は、区間D2の勾配より大きい。
【0040】
糸11または布片8は、例えばポリエステル、ケブラーまたはポリアミド等の熱可塑性材料から作られるのが好ましいが、全てはその製造中従来型の伸張ステップを受けており、したがって、糸10または要素7よりも少ししか伸張できない。
【0041】
本発明によれば、この要素は図4に示す形状を有する特性曲線を有し、特にPOYから作られるのが好ましい。しかしながら、この型の特性曲線を有し、かつ特に非常に伸びの低い第2の区間を有する可能性のある要素を用いることはできない。これは、例えば、その芯がPOYではなく、紡がれたとき完全に引っ張られた熱可塑性プラスチック材料から単純に作られた笹縁糸に対する場合に相当する。
【0042】
笹縁糸としては、例えば、FILIXのDA 5464糸を使用でき、それは、糸の組成の51.30%を占める1,180 Dtex PES POY 4/295/66の芯と、内側および外側の2つの被覆とからなり、各被覆は、560 Dtex PA 6.6 FTS HT Cordura T440から作られ、かつ糸の24.30%を占め、かつこの笹縁糸は、4,574 Dtex+/−7%の最終番手を有し、この被覆は、メートル当たり1,400ターン+/−7%の捩りを有する。
【0043】
笹縁糸としては、FILIXのDA 5664糸も使用でき、それは、264のフィラメントを含有し、糸の組成の74.60%を占める1,180 Dtex PES POY 4/295/66の芯と、内側及び外側の2つの被覆とからなり、各被覆は、200 Dtex Nm 1/50 伸張破断ケブラーから作られ、かつ糸の12.70%を占め、かつこの笹縁糸は、2,152 Dtex+/−7%の最終番手を有し、この被覆は、メートル当たり1,500ターン+/−7%の捩りを有する。
【0044】
付属書1
使用説明書およびラベルが水平使用に関する特性を述べるときの、エネルギ吸収体を有する綱に対する試験機器要件および試験方法。
【0045】
B1要件
B.1.1 動的性能
最大公称荷重、ただし少なくとも100kg、に等価の試験物体でB.3.1に従って綱を試験に掛けるとき、この試験重量は維持されなければならず、かつこの物体のブレーキ力Fmaxは、6kNを超えてはならない。
【0046】
B.1.2 静的強度
最大公称荷重の3倍、ただし少なくとも4.5kN、に対応する試験力または重量でB.3.2に従って綱を試験に掛けるとき、エネルギ吸収体を有するこの綱は、30+0.25)分の時間にわたり加えられるこの試験力または重量に耐えなければならない。
【0047】
B.2 試験機器
試験機器は、EN 364:1992の4.4、4.5および4.6に従わなければならない。
【0048】
B.3 試験方法
EN 10278に従った引き抜き鋼(材料 C 45/E 355 GC(ST60)からEN 10025−2に対する)から作られた直角のバーを支持リッジとして使用した。この鋼バーの最小サイズは、(10×70)mm、かつリッジの半径は(0.5±0.1)mmでなければならない。
【0049】
B.3.1 動的性能
B.3.1.1 サンプリング
試験サンプルは、綱およびエネルギー吸収体を含まなければならない。少なくとも2つの試験サンプルを準備しなければならない。
【0050】
B.3.1.2 動作の試験モード
鋼チェインまたはケーブルを、綱の係合要素に取り付け、鋼チェインまたはケーブルを試験構造体の剛体固定点に連結した。B.2で指定した試験物体を公差(0+1)kgで取り付けるとともに、エネルギ吸収体のもう1つの端部のところに力測定計器をとりつけた
。
【0051】
2つの試験墜落を行った。1つの試験では試験物体をリッジに対して直角に、もう1つの試験では横方向に1.50mのオフセットを設けて位置決めした。新しい試験サンプルを各試験に対し使用することができる。図B.1は、横方向オフセットを示す平面図での試験配置を示す。
【0052】
試験物体を、リッジから500mmの最大水平距離に対して(20000+50)
mmだけ上昇させた。
【0053】
鋼チェインまたはケーブルの長さは、試験物体を上昇させたときシステムが完全にぴんと張るように調整した。
【0054】
試験物体を、急速分配装置を用いて維持した。
【0055】
試験物体を初期速度なしで解放した。
【0056】
制止力を測定し、B.1.1の要件に合致することをチェックした。
【0057】
図6および7は、それぞれ側面図ならびにリッジに対して90°のところでの平面図での試験配置を示し、かつ図8に対しては、上方から見た、横方向オフセットを有する試験配置を示す。
【0058】
図6、7および8の符号は、以下の通りである。
符号
101 急速分配装置
102 力測定計器
103 エネルギ吸収体を有する綱
104 鋼チェイン/ケーブル
105 剛体固定点
106 剛体鋼物体
107 バー
108 プラットフォーム
109 ブリッジ・ガーダー
【0059】
B.3.2 静的強度
B.3.1に従った動的性能テストの後、この試験物体を、(0+1)
kgの公差を有するB.1.2に指定される試験物体または力と交換し
3分(30+0.25)の間維持した。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1A】本発明の一実施形態による布片を備える装具の図である。
【図1B】本発明の別の実施形態による布片を備える装具の図である。
【図2A】図1aの布片の一部分の拡大図である。
【図2B】図1Bの布片の一部分の拡大図である。
【図3A】本発明による一群の糸を、非伸張状態で示す図である。
【図3B】本発明による一群の糸を、伸張状態で示す図である。
【図3C】本発明による一群の糸を、布片に織られた状態で示す図である。
【図4】本明細書で前述した笹縁糸、または本明細書で前述した布片の一部分に関して、該糸または布片の一部分を伸張させる曲線の形状を、その2つの端部のところに加えられる牽引力の関数として示す図である。
【図5A】本発明による拘束綱の図である。
【図5B】図5Aの綱の横断面図である。
【図6】付属書1に定義される試験の構成を示す図である。
【図7】付属書1に定義される試験の構成を示す図である。
【図8】付属書1に定義される試験の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
1、1’ 装具
2 連結糸
3、3’ 布片
4、4’ 点5と6の間の部分
5、6 点
7 第1の要素、ストリップ
8 第2の要素、ストリップ
9 脚帯紐
10 第1の糸
11 第2の糸
20 中央要素
21 網状物
22 芯
23 外装
24 外側外装
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全装具などの墜落制止装置の構成部品、特に布片および/または拘束綱に関し、およびこの型式の構成部品を備える墜落制止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、安全装具を備えるものなどの、墜落制止装置に使用される布片または拘束綱は、実質的に剛体であり、装具を着用している人の墜落中どのようなエネルギ吸収能力も全くまたはほとんどもたらさず、その結果、装置にその複雑性およびコストを増加させる補助のエネルギ吸収システムを加えることが必要となっている。
【特許文献1】米国特許第4736500号
【特許文献2】米国特許第4244174号
【特許文献3】米国特許第4415521号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、例えば高い高さのところで働いており、万一墜落の場合には拘束されなければならない人によって着用され、その構成部品が言わば使用者の墜落を中断させ、その結果特に速度が墜落速度からゼロ速度に突然変わるときの最後のときに、墜落に伴う怪我を防止する、例えば安全装具を備える墜落制止装置の構成部品、例えば布片または綱に関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、この構成部品は請求項1に定義されるようなものであり、それは以下のとおりである:
第1の要素(10)、少なくとも第1の点(5)と第2の点(6)の間を長手方向に延びる糸と、前記第1の点と前記第2の点の間を延びる第2の要素(11)とを備え、前記2つの要素が前記第1および前記第2の点のところで同一の引っ張り力に曝される、墜落制止装置の構成部品、特に拘束綱または布片であって、前記第2の要素が前記第1の要素の周りを螺旋旋回の形態で巻き付けられた糸であり、前記2本の糸がいわゆる笹縁糸を形成することを特徴とする、墜落制止装置の構成部品。
【0005】
そのような構成部品から出発して、墜落制止の観点で優れた能力を有する要素、例えば墜落制止装置の布片、綱または任意の他の部品、あるいは墜落制止装置それ自体を、非常に簡単な方法で得ることができるように、該構成部品を織ること、編むこと、網状にすること等によって各種要素を製造することができる。墜落中、長さの短い第1の要素が一部で伸張し、墜落重量または人の効果の下で伸び、そして第1の要素の伸張前は一種の長手方向遊びを備える(その長さが第1の要素の長さより長い)第2の要素は、第1の要素の形状により近い形状をとり、かつ特により直線的な形状をとり、特に伸張した第1の要素と一列に並び、墜落に伴う衝撃はこれらの2つの要素の組み合わされた作用によって吸収される。
【0006】
第1の要素の特性曲線がその伸張割合をそれに加えられる牽引力の関数として表わし、該特性曲線が、弾力範囲の後、一定のまたはわずかしか増加しない牽引力で伸張する範囲を、横軸に沿って少なくとも25%、好ましくは少なくとも33%、特に少なくとも50%、特に25%と100%の間にわたり示すことが好ましい。
【0007】
この弾性範囲は、前記一定の牽引力で伸張する範囲に対して小さく、特に10分の1以下であることが好ましい。
【0008】
この弾性範囲が小さく、特に横軸に沿って10%より少ない、特に5%より少ない長さにわたり延びることが好ましい。
【0009】
この構成部品または構成部品の一部分の特性曲線が、その伸張割合をそれに加えられる牽引力の関数として表わし、該特性曲線が、弾力範囲の後に、一定のまたはわずかしか増加しない牽引力で伸張する範囲を、横軸に沿って少なくとも25%、好ましくは少なくとも33%、特に少なくとも50%、特に25%と100%の間にわたり示すことが好ましい。
【0010】
この弾性範囲は、前記一定の牽引力で伸張する範囲に対して小さく、特に10分の1以下であることが好ましい。
【0011】
この弾性範囲が小さく、特に横軸に沿って10%より少ない、特に5%より少ない長さにわたり延びることが好ましい。
【0012】
特に、布片または墜落制止装置綱は、織るまたは編むこと等によって一緒に結合される複数の「笹縁」糸によって形成することができる。
【0013】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、この第1の要素はストリップ形状の布片部分であり、第2の要素はストリップ形状の部分であり、その真空下の長さまたは張力の掛かっていない長さが第1のストリップ形状の要素の真空下の長さまたは張力の掛かっていない長さより長く、その長さが最大伸張下で第1のストリップの長さに実質的に等しいものとされる。
【0014】
一実施形態によれば、この構成部品は「笹縁」糸から構成される拘束綱である。
【0015】
一改善例によれば、この構成部品は、外装を形成する被覆組織を形成するように、例えば編む、織る、網状にする等によって結合された複数の笹縁糸を備え、この外装内に、伸張割合を加えられる牽引力の関数として表わす特性曲線を有する材料を配置し、その特性曲線が、弾性範囲の後、一定のまたはわずかしか増加しない牽引力で伸張する範囲を、横軸に沿って少なくとも25%、好ましくは少なくとも33%、特に少なくとも50%、特に25%と100%の間にわたり示すものとされる。
【0016】
特に、この外装内の材料はPOYである。
【0017】
この型式の構成部品は、笹縁糸と特にPOYから作られる伸張可能材料の組み合わせのおかげで、鋭いリッジ上への墜落の場合に特に適合している。
【0018】
本発明は、特に装具を備え、本発明による構成部品、特に布片または綱、特に拘束綱を備える墜落制止装置にも関係する。
【0019】
第1の要素がPOY(部分延伸糸(partially oriented yarn))から作られ、第2の糸が熱可塑性材料、特にポリエステルから作られるのが好ましい。
【0020】
POYは、従来は紡糸に使用される材料、例えばポリエステルなどの熱可塑性材料から作られるが、その製造中、多数の米国特許、例えば米国特許第4736500号、米国特許第4244174号および米国特許第4415521号に記載されているように、伸張ステップの全てに掛けられていない糸である。
【0021】
したがってPOYは、図4に示す形状を有するその特性曲線から出現するような、少なくとも伸張領域にわたり増加する牽引を加えなければならないことなしに、伸張可能のままである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に例示として、添付の図面と関連する本発明の実施形態の説明を行う。
図1aは、本発明の一実施形態による布片を備える装具の図である。
図1bは、本発明の別の実施形態による布片を備える装具の図である。
図2A及び図2Bは、それぞれ図1aおよび1bの布片の一部分の拡大図である。
図3A、図3B及び図3Cは、本発明による一群の糸を、非伸張状態、次いで伸張状態、最後に布片に織られた状態で示す図である。
図4は、本明細書で前述した笹縁糸、または本明細書で前述した布片の一部分に関して、該糸または布片の一部分を伸張させる曲線の形状を、その2つの端部のところに加えられる牽引力の関数として示す図である。
図5Aは、本発明による拘束綱の図である。
図5Bは、図5Aの綱の横断面図である。
図6、図7及び図8は、付属書1に定義される試験の様々な構成を示す図である。
【0023】
図1aでは、装具1は、墜落保護安全装具を着用している人の腿を取り囲むためのものである2つの脚帯紐9を備え、この装具は連結糸2によって保持装置に連結される。この装具1は、複数の布片、特に装具を着用している人の肩の上を通過させるためのものである2つの布片3を備え、これらの布片は、この装具の設計に応じて様々な様式で構成することができ、特に図1に示される様式に構成することができる。各布片3は、2つの点5と6の間を延びる少なくとも1つの部分4を備える。2つの点5と6の間のこの部分4は、その長さが2つの点5と6の間の布片の長さと等しい第1の布片要素7とやはり点5と6の間を延びる第2のストリップ形状の要素8から構成される。この第2の要素8は、布片の残りと連続しており、要素7は少なくとも2つの点5と6のところで、例えば溶接、接着、編むこと等によって、要素8に面して、布片の残りに固定される。これを行うために、布片3が取り上げられ、ストリップ部分8を形成するために一種のループが形成され、次いでストリップ7が固定される。点5と6の間を延びる要素8の全長は、直線的に配設されるとき、やはり直線的に配設されるときの、要素7の荷重なしの長さまたは非伸張長さより長い。
【0024】
図1bは、布片3’が部分4‘を備え、該部分4’はその2つの端部のところで(当該布片が切断された後で)布片3’に固定された別の実施可能な形態を示し、この部分4’は、笹縁糸から作られ、その芯はPOYおよび外装から作られ、それらはそれらの製造中に完全に伸張された従来型の熱可塑性織物材料から作られる糸から構成され、点5と6の間の外装の糸は、直線的に配設されるとき、非伸張でかつやはり直線的に配設されるときのPOY芯の単数または複数の糸より長い長さを有する。
【0025】
墜落中、要素7(それぞれ、部分4’の笹縁糸の芯)の長さは張力に起因して増加するであろう。同時に、ストリップ8(それぞれ、部分4’の笹縁糸の外装を形成する糸)は次いで、非伸張状態でストリップ7(それぞれ、笹縁糸の芯)と当初の長さでのその相違と関連するその遊びを利用することによって、ストリップ7(それぞれ、笹縁糸の芯)に平行な状態に接近する傾向になるであろう。墜落の最終時点で、ストリップ8(それぞれ、各外装糸)は、特に、重量、墜落の高さ等の関数としての計算が誤りなしで行われている場合、要素7(それぞれ、各芯糸)と同じ長さを有する。しかしながら緩衝作用は、要素8(それぞれ、各外装糸)が、墜落の終わりのときに、ストリップ7(それぞれ、笹縁糸の芯)に対して未だわずかな遊びを有するか、または、逆に伸張されるときストリップ7の長さと等しい長さを有することができるようにいくらか伸ばされているようなものとすることができる。特に、布片のストリップ7は、POYから作られる芯を備えた笹縁糸か、または直接的にPOYからなる笹縁糸に基づいており、一方布片3の残りおよびストリップ8は、その製造中に完全に伸張された従来型の織物材料から作られる。
【0026】
図3Aは、図1aの布片部分の2本のストリップのセットと同じ機能を果たす、図1bの布片を製造するために使用することができる糸を示す。これを行うために、2本の糸、すなわち、第1の直線糸10および第1の糸の周りに螺旋旋回の形態で巻き付けられる第2の糸11が使用される。糸10は実質的に直線的に延び、一方より長い長さを有する糸11は、糸10から離れて延びる。この2本の糸10および11は、笹縁糸として知られているものを一緒に形成する。墜落中、この糸10は伸張され、同時に糸11が広げられ、糸10に接近するように進む。この型式の笹縁糸を基にして、図3Cに示すような織られた布片を得るために、図3Aまたは図3Bに示すような(各々が糸10および糸11から構成される)笹縁糸を織るまたは編むことによって布片を製造することができ、したがってこの布片は、部分4’を形成するように布片1’の点5と6の間に固定するか、またはストリップ7として布片1に適用することができる。この場合(図1a)、笹縁糸ではなく専らPOYから作られる糸を使用し、外装糸の機能をストリップ8に行わせることもできる。
【0027】
図5Aおよび5Bは、笹縁糸の網状物によって形成される拘束綱を示し、その芯はPOYから作られる。この綱は、POYから作られる主芯を形成する中央要素20、およびこの主芯を取り囲む笹縁糸21の網状物から構成される外装とを備え、各笹縁糸は、POYから作られる芯22およびPOYではない、すなわち従来型の完全伸張方法を使用して製造されてきた、従来型の織物材料、特に熱可塑性プラスチック材料から作られる糸の網状物から構成される外装23を有する。さらに、この組み立て品は、(POYから作られない、すなわち、その製造中実質的に完全に引っ張られた)ポリエステル、ポリアミドまたは別の従来型の熱可塑性プラスチック織物材料から作られる筒状布片の形態の追加の外側外装24を備えることも、備えないこともできる。この拘束綱は、本明細書で後に付属書1で説明する鋭いリッジ上への墜落試験に合格する。
【0028】
糸10または要素7は、ある程度の伸張可能性を有する材料、特にPOYから作られる、すなわち、牽引力の関数として伸びの割合を与えるその曲線内において、弾性部分に対応する区画の後に実質的に水平なレベルの部分を含むことが好ましい。
【0029】
糸、布片または任意の要素の伸張の割合を与える曲線を、破断まで加えられる牽引力の関数として追跡することが可能である。
【0030】
この曲線を作り出すために、引張試験機、例えば一定の伸張勾配を有し、かつアダメル・ロマージイ(Adamel Lhomargy)から入手可能な、動作モードに従うDY31引張試験機が使用される。
【0031】
0と100の間の番手(Dtex)に対して、10N力センサおよび鋸歯状のゴム縁部を装備する空圧式プライヤーが使用され、10N−500mmプログラムが選択される。
【0032】
100と2,000の間の番手(Dtex)に対して、100N力センサおよび鋸歯状のゴム縁部を装備する空圧式プライヤーが使用され、100N−500mmプログラムが選択される。
【0033】
引き続き間隔が500mmにセットされ、次いで力センサが開始され、従来型の任意選択の「較正」を使用して基準化される。
【0034】
次いで解析すべき要素のサンプル、例えば単数の笹縁糸もしくは複数の笹縁糸または笹縁糸の織物から構成される布片のストリップもしくは笹縁糸から形成される綱の一部分のストリップが、選択された糸サイズの範囲に対応する寸法を選択することによって取り出され、このサンプルはその2つの端部のところで引張試験機の掴み具の間にクランプされる。伸張力が徐々に増加されると、図4に示す外観を有する曲線が生み出される。
【0035】
この曲線は、一連の3つの区間、D1、D2およびD3の形態で大雑把に示すことができ、本発明の好ましい実施形態による要素に特徴的なものである。
【0036】
第1の区間D1は、この場合においては非常に小さいが、この要素の弾性部分に対応し、その曲線は僅かである。実際、本発明によるこの要素は弾性的でなく、または低弾性であることが好ましい。この第1の区間は扇形に広がり、0から10%の範囲にわたり延び、この場合は3%まで延びる。
【0037】
第2の区間D2は実質的に水平であり、上記要素が、実質的に一定の牽引力の下で、または所望により牽引力をわずかに増加させつつ(この勾配はゼロまたは低く、特に弾性部分D1の勾配よりも、かつ本明細書で後に説明する最後の部分D3の勾配よりも小さい)伸張することができる部分に対応する。
【0038】
この第2の区間D2は、笹縁糸の芯のPOY材料の伸張に対応する。本発明の好ましい実施形態によれば、この区間D2は、横軸に沿って少なくとも25%、好ましくは少なくとも33%、特に少なくとも50%にわたって延び、例えば33%と100%の間にわたって延びる。図4に示す実施例では、それは約47%にわたって延びる。
【0039】
最後に、この曲線は、増加する勾配を有し要素が破断するまで延びる第3の区間D3を含む。この区間D3の勾配は、区間D2の勾配より大きい。
【0040】
糸11または布片8は、例えばポリエステル、ケブラーまたはポリアミド等の熱可塑性材料から作られるのが好ましいが、全てはその製造中従来型の伸張ステップを受けており、したがって、糸10または要素7よりも少ししか伸張できない。
【0041】
本発明によれば、この要素は図4に示す形状を有する特性曲線を有し、特にPOYから作られるのが好ましい。しかしながら、この型の特性曲線を有し、かつ特に非常に伸びの低い第2の区間を有する可能性のある要素を用いることはできない。これは、例えば、その芯がPOYではなく、紡がれたとき完全に引っ張られた熱可塑性プラスチック材料から単純に作られた笹縁糸に対する場合に相当する。
【0042】
笹縁糸としては、例えば、FILIXのDA 5464糸を使用でき、それは、糸の組成の51.30%を占める1,180 Dtex PES POY 4/295/66の芯と、内側および外側の2つの被覆とからなり、各被覆は、560 Dtex PA 6.6 FTS HT Cordura T440から作られ、かつ糸の24.30%を占め、かつこの笹縁糸は、4,574 Dtex+/−7%の最終番手を有し、この被覆は、メートル当たり1,400ターン+/−7%の捩りを有する。
【0043】
笹縁糸としては、FILIXのDA 5664糸も使用でき、それは、264のフィラメントを含有し、糸の組成の74.60%を占める1,180 Dtex PES POY 4/295/66の芯と、内側及び外側の2つの被覆とからなり、各被覆は、200 Dtex Nm 1/50 伸張破断ケブラーから作られ、かつ糸の12.70%を占め、かつこの笹縁糸は、2,152 Dtex+/−7%の最終番手を有し、この被覆は、メートル当たり1,500ターン+/−7%の捩りを有する。
【0044】
付属書1
使用説明書およびラベルが水平使用に関する特性を述べるときの、エネルギ吸収体を有する綱に対する試験機器要件および試験方法。
【0045】
B1要件
B.1.1 動的性能
最大公称荷重、ただし少なくとも100kg、に等価の試験物体でB.3.1に従って綱を試験に掛けるとき、この試験重量は維持されなければならず、かつこの物体のブレーキ力Fmaxは、6kNを超えてはならない。
【0046】
B.1.2 静的強度
最大公称荷重の3倍、ただし少なくとも4.5kN、に対応する試験力または重量でB.3.2に従って綱を試験に掛けるとき、エネルギ吸収体を有するこの綱は、30+0.25)分の時間にわたり加えられるこの試験力または重量に耐えなければならない。
【0047】
B.2 試験機器
試験機器は、EN 364:1992の4.4、4.5および4.6に従わなければならない。
【0048】
B.3 試験方法
EN 10278に従った引き抜き鋼(材料 C 45/E 355 GC(ST60)からEN 10025−2に対する)から作られた直角のバーを支持リッジとして使用した。この鋼バーの最小サイズは、(10×70)mm、かつリッジの半径は(0.5±0.1)mmでなければならない。
【0049】
B.3.1 動的性能
B.3.1.1 サンプリング
試験サンプルは、綱およびエネルギー吸収体を含まなければならない。少なくとも2つの試験サンプルを準備しなければならない。
【0050】
B.3.1.2 動作の試験モード
鋼チェインまたはケーブルを、綱の係合要素に取り付け、鋼チェインまたはケーブルを試験構造体の剛体固定点に連結した。B.2で指定した試験物体を公差(0+1)kgで取り付けるとともに、エネルギ吸収体のもう1つの端部のところに力測定計器をとりつけた
。
【0051】
2つの試験墜落を行った。1つの試験では試験物体をリッジに対して直角に、もう1つの試験では横方向に1.50mのオフセットを設けて位置決めした。新しい試験サンプルを各試験に対し使用することができる。図B.1は、横方向オフセットを示す平面図での試験配置を示す。
【0052】
試験物体を、リッジから500mmの最大水平距離に対して(20000+50)
mmだけ上昇させた。
【0053】
鋼チェインまたはケーブルの長さは、試験物体を上昇させたときシステムが完全にぴんと張るように調整した。
【0054】
試験物体を、急速分配装置を用いて維持した。
【0055】
試験物体を初期速度なしで解放した。
【0056】
制止力を測定し、B.1.1の要件に合致することをチェックした。
【0057】
図6および7は、それぞれ側面図ならびにリッジに対して90°のところでの平面図での試験配置を示し、かつ図8に対しては、上方から見た、横方向オフセットを有する試験配置を示す。
【0058】
図6、7および8の符号は、以下の通りである。
符号
101 急速分配装置
102 力測定計器
103 エネルギ吸収体を有する綱
104 鋼チェイン/ケーブル
105 剛体固定点
106 剛体鋼物体
107 バー
108 プラットフォーム
109 ブリッジ・ガーダー
【0059】
B.3.2 静的強度
B.3.1に従った動的性能テストの後、この試験物体を、(0+1)
kgの公差を有するB.1.2に指定される試験物体または力と交換し
3分(30+0.25)の間維持した。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1A】本発明の一実施形態による布片を備える装具の図である。
【図1B】本発明の別の実施形態による布片を備える装具の図である。
【図2A】図1aの布片の一部分の拡大図である。
【図2B】図1Bの布片の一部分の拡大図である。
【図3A】本発明による一群の糸を、非伸張状態で示す図である。
【図3B】本発明による一群の糸を、伸張状態で示す図である。
【図3C】本発明による一群の糸を、布片に織られた状態で示す図である。
【図4】本明細書で前述した笹縁糸、または本明細書で前述した布片の一部分に関して、該糸または布片の一部分を伸張させる曲線の形状を、その2つの端部のところに加えられる牽引力の関数として示す図である。
【図5A】本発明による拘束綱の図である。
【図5B】図5Aの綱の横断面図である。
【図6】付属書1に定義される試験の構成を示す図である。
【図7】付属書1に定義される試験の構成を示す図である。
【図8】付属書1に定義される試験の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
1、1’ 装具
2 連結糸
3、3’ 布片
4、4’ 点5と6の間の部分
5、6 点
7 第1の要素、ストリップ
8 第2の要素、ストリップ
9 脚帯紐
10 第1の糸
11 第2の糸
20 中央要素
21 網状物
22 芯
23 外装
24 外側外装
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の要素(10)と、少なくとも第1の点(5)と第2の点(6)の間を長手方向に延びる糸と、前記第1の点と前記第2の点の間を延びる第2の要素(11)とを備え、前記2つの要素が前記第1および前記第2の点のところで同一の引っ張り力に曝される、墜落制止装置の構成部品、特に拘束綱または布片であって、前記第2の要素が前記第1の要素の周りを螺旋旋回の形態で巻き付けられた糸であり、前記2本の糸がいわゆる笹縁糸を形成することを特徴とする、墜落制止装置の構成部品。
【請求項2】
前記第1の要素の特性曲線がその伸張割合をそれに加えられる牽引力の関数として表わし、該特性曲線が、弾性範囲(D1)の後、一定のまたはわずかしか増加しない牽引力で伸張する範囲(D2)を、横軸に沿って少なくとも25%、好ましくは少なくとも33%、特に少なくとも50%、特に25%と100%の間にわたり示すことを特徴とする、請求項1に記載の構成部品。
【請求項3】
前記弾性範囲(D1)が前記一定の牽引力で伸張する範囲(D2)に対して小さく、特に10分の1以下であることを特徴とする、請求項2に記載の構成部品。
【請求項4】
前記弾性範囲が小さく、特に横軸に沿って10%より少ない、特に5%より少ない長さにわたり延びることを特徴とする、請求項2または3のいずれかに記載の構成部品。
【請求項5】
前記構成部品、特に布片が、織るまたは編むこと等によって一緒に結合された複数の「笹縁」糸によって形成されたものであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の構成部品。
【請求項6】
前記構成部品が、網状にされた「笹縁」糸から構成された拘束綱であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の構成部品。
【請求項7】
前記構成部品が、外装を形成する被覆組織を形成するように、例えば編む、織る、網状にする等によって結合された複数の笹縁糸と、伸張割合を加えられる牽引力の関数として表わす特性曲線を有する材料とを含んでなり、その特性曲線が、弾性範囲の後、一定のまたはわずかしか増加しない牽引力で伸張する範囲を、横軸に沿って少なくとも25%、好ましくは少なくとも33%、特に少なくとも50%、特に25%と100%の間にわたり示すことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の構成部品。
【請求項8】
前記第1の要素がPOY(部分延伸糸)から作られ、前記第2の糸が熱可塑性材料、特にポリエステルから作られることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の構成部品。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の構成部品、特に布片または拘束綱を備える、墜落制止装置。
【請求項1】
第1の要素(10)と、少なくとも第1の点(5)と第2の点(6)の間を長手方向に延びる糸と、前記第1の点と前記第2の点の間を延びる第2の要素(11)とを備え、前記2つの要素が前記第1および前記第2の点のところで同一の引っ張り力に曝される、墜落制止装置の構成部品、特に拘束綱または布片であって、前記第2の要素が前記第1の要素の周りを螺旋旋回の形態で巻き付けられた糸であり、前記2本の糸がいわゆる笹縁糸を形成することを特徴とする、墜落制止装置の構成部品。
【請求項2】
前記第1の要素の特性曲線がその伸張割合をそれに加えられる牽引力の関数として表わし、該特性曲線が、弾性範囲(D1)の後、一定のまたはわずかしか増加しない牽引力で伸張する範囲(D2)を、横軸に沿って少なくとも25%、好ましくは少なくとも33%、特に少なくとも50%、特に25%と100%の間にわたり示すことを特徴とする、請求項1に記載の構成部品。
【請求項3】
前記弾性範囲(D1)が前記一定の牽引力で伸張する範囲(D2)に対して小さく、特に10分の1以下であることを特徴とする、請求項2に記載の構成部品。
【請求項4】
前記弾性範囲が小さく、特に横軸に沿って10%より少ない、特に5%より少ない長さにわたり延びることを特徴とする、請求項2または3のいずれかに記載の構成部品。
【請求項5】
前記構成部品、特に布片が、織るまたは編むこと等によって一緒に結合された複数の「笹縁」糸によって形成されたものであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の構成部品。
【請求項6】
前記構成部品が、網状にされた「笹縁」糸から構成された拘束綱であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の構成部品。
【請求項7】
前記構成部品が、外装を形成する被覆組織を形成するように、例えば編む、織る、網状にする等によって結合された複数の笹縁糸と、伸張割合を加えられる牽引力の関数として表わす特性曲線を有する材料とを含んでなり、その特性曲線が、弾性範囲の後、一定のまたはわずかしか増加しない牽引力で伸張する範囲を、横軸に沿って少なくとも25%、好ましくは少なくとも33%、特に少なくとも50%、特に25%と100%の間にわたり示すことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の構成部品。
【請求項8】
前記第1の要素がPOY(部分延伸糸)から作られ、前記第2の糸が熱可塑性材料、特にポリエステルから作られることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の構成部品。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の構成部品、特に布片または拘束綱を備える、墜落制止装置。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2009−79342(P2009−79342A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−219132(P2008−219132)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(508260739)スペリアン フォール プロテクション フランス (1)
【氏名又は名称原語表記】SPERIAN FALL PROTECTION FRANCE
【住所又は居所原語表記】35−37 rue de la Bidauderie,BP 427,18104 Vierzon Cedex,FRANCE
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−219132(P2008−219132)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(508260739)スペリアン フォール プロテクション フランス (1)
【氏名又は名称原語表記】SPERIAN FALL PROTECTION FRANCE
【住所又は居所原語表記】35−37 rue de la Bidauderie,BP 427,18104 Vierzon Cedex,FRANCE
【Fターム(参考)】
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