説明

エネルギ消費削減方法及び無線通信端末

【課題】無線通信端末のエネルギ消費を減らすこと。
【解決手段】信号を第1及び第2の周波数バンドで送受信する無線通信端末は、第1の周波数バンドで動作するN個(N≧1)の経路を有する第1のMIMO回路(1)と、第2の周波数バンドで動作するM個(M≧1)の経路を有する第2のMIMO回路(2)とを有し、第1及び第2のMIMO回路の各々はN個及びM個の電力増幅器をそれぞれ有するフロントエンドモジュール(FEM)に結合され、個々のFEMはアンテナシステムに接続される。無線通信端末はコマンド回路を有し、M個(M<Nの場合)又はN個(N<Mの場合)のスイッチ回路を制御し、スイッチ回路の入力が第2のMIMO回路のM個の経路の1つに接続されかつ出力がM個の電力増幅器の1つに接続され、他の出力は加算回路を介してN個の電力増幅器の1つに接続され、他の入力はMIMO回路のN個の経路の1つに接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に無線通信端末(具体的には、国内環境内でビデオ、オーディオ又はデータしごう等のような信号をブロードバンド送信する端末)におけるエネルギ消費を削減する方法に関連する。
【0002】
より具体的に言えば、本発明はIEEE802.11n標準規格に従って動作しかつ同時に複数の周波数チャネルで動作する端末構造に関連する。
【背景技術】
【0003】
現在、IEEE802.11a/b/g又は11n標準規格又は標準仕様によるWiFi技術は、国内環境でのブロードバンド無線通信に広く使用されている。
【0004】
IEEE802.11n標準規格はIEEE802.11a/b/n標準規格に対する幾つかの改善を行っている。特に、この標準規格の最新版では、マルチアンテナ技術である複数入力複数出力(MIMO)技術の使用を認めており、MIMO技術は、(干渉の影響を大きく受ける国内環境のような通信環境におけるロバスト性(robustness)及び通信のビットレートの改善を可能にする。
【0005】
IEEE802.11n標準規格は2.4から2.5GHzまでのバンド及び4.9から5.9GHzまでのバンドで動作する。これら2つのバンドは以下の説明において2.4GHzバンド(2.4GHz帯)及び5GHzバンド(5GHz帯)と言及される。現在、通信端末はこれらのバンド双方で同時に動作できるように存在している。例えば、この種の端末は、トムソンライセンシング(TOMSON Licensing)の名義による仏国特許第2911739号に述べられている。
【0006】
従って、2.4GHz及び5GHzバンドで動作する無線通信端末は、2.4GHzバンドの信号及び5GHzバンドの信号を同時に受信及び/又は送信することができる。一般に、5GHzバンドはビデオの送信に使用され、2.4GHzバンドはデータの送信に使用される。
【0007】
5GHzバンド及び2.4GHzバンドで同時に機能できるようにするために、通常所有される通信端末は、別個のアンテナに関連するフロントエンドモジュール(Front End Modules:FEM)と、対応する周波数バンドで動作するベースバンドディジタル回路に対するRF回路を経由するインターフェースとを有する。
【0008】
知られているように、フロントエンドモジュールは送信する信号を増幅する電力増幅器を有する。
【0009】
標準的なシステムの場合、送信経路毎に1つの電力増幅器がある。しかしながら電力増幅器は多くのエネルギを消費する。更に、MIMO技術を用いるシステムで行われる変調は、非常に良い線形性を有する電力増幅器を必要とするが、非常に非効率的な変換効率を招く。
【0010】
しかしながら、多数のユーザ端末を普及させるには、それらの端末のエネルギ消費が最適化されていることを要する。現在、ユーザ端末の電力消費を減らすために行われている技術は、待受モード(スタンバイモード)を使用すること、或いは電力増幅器の入力における無線周波数電力を減らすことでアンテナを通じて放射又は輻射されるエネルギを減らすことである。しかしながら、A級で動作する電力増幅器の動作点(polarization point)は変更されず、素子で消費される電力は、入力における信号の電力がどうであれ多いままである。この問題を様々な提案がなされている(この点については、例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0162513(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の課題は、無線通信端末のエネルギ消費を減らす新規な方法及び装置を提供することにより、端末で消費される電力が、環境、所要ビットレート及びサービス品質等のような端末動作条件に従って動的に削減できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
開示される発明による方法は、
少なくとも第1及び第2の周波数バンドで信号を同時に送信及び/又は受信することが可能な無線通信端末のエネルギ消費を削減する方法であって、
前記無線通信端末は、前記第1の周波数バンドで動作するN個(N≧1)の経路を有する第1の回路と、前記第2の周波数バンドで動作するM個(M≧1)の経路を有する第2の回路とを有し、前記第1及び第2の回路の各々はN個及びM個の電力増幅器をそれぞれ有するフロントエンドモジュールに結合され、個々のフロントエンドモジュールはアンテナシステムに接続されており、当該方法は、
送信される及び/又は受信された信号を制御データにより抽出するステップと、
前記第1の周波数バンドにおけるバースト及び前記第2の周波数バンドにおけるバーストの送信の間に、競合の有無を検出するために送信時点を比較するステップと、
競合がなかった場合、抽出された制御データに従って、前記第1又は第2の周波数バンドの一方の信号を、他方の周波数バンドの前記フロントエンドモジュールの電力増幅器を介して送信し、該信号の周波数バンドの前記フロントエンドモジュールの電力増幅器を分離するステップと
を有する方法である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による通信端末のブロック図。
【図2】5GHzMIMO回路の詳細なブロック図。
【図3】TPCコマンド及び動作モード選択のタイミングを時間経過と共に示す図。
【図4】本発明による方法を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<発明の概要>
本発明により提案される方法は、
少なくとも第1及び第2の周波数バンドで信号を同時に送信及び/又は受信することが可能な無線通信端末のエネルギ消費を削減する方法であって、
前記無線通信端末は、前記第1の周波数バンドで動作するN個(N≧1)の経路を有する第1の回路と、前記第2の周波数バンドで動作するM個(M≧1)の経路を有する第2の回路とを有し、前記第1及び第2の回路の各々はN個及びM個の電力増幅器をそれぞれ有するフロントエンドモジュールに結合され、個々のフロントエンドモジュールはアンテナシステムに接続されており、当該方法は、
送信される及び/又は受信された信号を制御データから抽出するステップと、
前記第1の周波数バンドにおけるバースト及び前記第2の周波数バンドにおけるバーストの送信の間に、競合又は衝突(conflict)の有無を検出するために送信時点を比較するステップと、
競合がなかった場合、抽出された制御データに従って、前記第1又は第2の周波数バンドの一方の信号を、他方の周波数バンドの前記フロントエンドモジュールの電力増幅器を介して送信し、該信号の周波数バンドの前記フロントエンドモジュールの電力増幅器を分離するステップと
を有する方法である。
【0016】
実施の形態によれば、前記制御データは、送信される電力に関するデータ(TPC:送信電力制御データ)及びサービス品質に関するデータ(QoS:サービス品質データ)の中から選択されたものである。更に、前記第1の周波数バンドは5GHzの周波数バンドであり、前記第2の周波数バンドは2.4GHzの周波数バンドである。実施の形態によれば、2つの周波数バンドの信号を受信するフロントエンドモジュールの増幅器の少なくとも1つは、2.4GHz及び5GHzの2つのバンドをカバーすることができる。好ましくは、N個又はM個の経路の回路は複数の入力及び複数の出力を有するMIMO(multiple input multiple output)回路である。
【0017】
本発明の実施の形態によれば、競合がなかった場合又は前記電力増幅器が十分な帯域幅を有していた場合に、前記第1又は第2の周波数バンドの一方の前記信号を、前記他方の周波数バンドの前記フロントエンドモジュールの電力増幅器を介して送信し、該信号の周波数バンドの前記フロントエンドモジュールの電力増幅器を分離する。
【0018】
本発明の別の実施の形態によれば、2.4GHzの周波数バンドの信号が、5GHzの周波数バンドの前記フロントエンドモジュールの前記電力増幅器の少なくとも1つを通じて送信される。
【0019】
本発明に関連する無線通信端末は、
ビデオ、オーディオ又はデータの信号を第1及び第2の周波数バンドで送信及び/又は受信することが可能な無線通信端末であって、
前記第1の周波数バンドで動作するN個(N≧1)の経路を有する第1の回路と、
前記第2の周波数バンドで動作するM個(M≧1)の経路を有する第2の回路とを有し、
前記第1及び第2の回路の各々はN個及びM個の電力増幅器をそれぞれ有するフロントエンドモジュールに結合され、個々のフロントエンドモジュールはアンテナシステムに接続されており、当該無線通信端末は、
送信される及び/又は受信された信号を制御データから抽出する手段と、
前記第1の周波数バンドにおけるバースト及び前記第2の周波数バンドにおけるバーストの送信の間に、競合の有無を検出するために送信時点を比較する手段と、
競合がなかった場合、抽出された制御データに従って、前記第1又は第2の周波数バンドの一方の信号を、他方の周波数バンドの前記フロントエンドモジュールの電力増幅器を介して送信し、該信号の周波数バンドの前記フロントエンドモジュールの電力増幅器を分離する手段と
を有する無線通信端末である。
【0020】
実施の形態によれば、当該無線通信端末は、前記制御データを受信及び処理するための第1及び第2のMIMO回路に入力が接続されたコマンド回路を有し、前記コマンド回路は、M<NならばM個又はN<MならばN個のスイッチ回路を制御し、入力が前記第2のMIMO回路のM個の経路の1つに接続されかつ出力が前記M個の電力増幅器の1つに接続され、他の出力は加算回路を介して前記N個の電力増幅器の1つに接続され、他の入力は前記MIMO回路の前記N個の経路の1つに接続されている。
【0021】
従って、2.4GHz及び5GHzの2つのバンドをカバーすることが可能なワイドバンド電力増幅器を用いて、好ましくはバンド毎に1つの増幅器を用いて、使用される増幅器の数を動的に減らし、ユーザ端末の電力消費を抑制することができる。
<少なくとも1つの実施の形態に関する詳細な説明>
本発明に関する他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明を参照することで更に明確になるであろう。本説明は添付図面を参照しながら行われる。
【0022】
図1には、2.4GHzバンド及び5GHzバンドでビデオ、映像、オーディオ、音声、データ等の信号を同時に送信及び/又は受信することが可能な無線通信端末のブロック図が示されている。
【0023】
本発明は、複数の入力及び複数の出力を有するMIMO回路を有する端末に関連して説明されるが、当業者は、単独の入力及び単独の出力を有するSISO回路その他の任意の等価な回路にも適用可能であることを認めるであろう。
【0024】
より具体的には、端末はMIMO回路1を有する。MIMO回路はN×N回路であり、すなわち5GHzバンドにおいて、MIMO信号を受信するためのN個の入力端子とMIMO信号を送信するためのN個の出力端子とを有する(ただし、N≧1である)。
【0025】
N×NのMIMO信号はフロントエンドモジュール10を通じてアンテナシステム3に送信される、及び/又はアンテナシステム3からフロントエンドモジュール10を通じて受信される。図1では、フロントエンドモジュールの送信チャネルのみが描かれている。図示のフロントエンドモジュール10の送信チャネル又は送信経路はフィルタ11を有し、フィルタ11の出力は加算部12に接続され、加算部等の役割については後述する。加算部の出力は電力増幅器13の入力に接続され、電力増幅器は図示の実施の形態においてはワイドバンド増幅器である。この増幅器は制御回路4からの信号により起動され、制御回路等の役割については後述する。増幅器13の出力はスイッチ回路14又は切替回路14に接続され、スイッチ回路14自身はアンテナシステム3に接続され、アンテナシステム3は、ワイドバンド又はデュアルバンドマルチアクセス、オムニ指向性又はセクタ方式アンテナシステムにより形成できる。更に、スイッチ回路は、送信モード(Tx)又は受信モード(Rx)におけるアンテナシステムの接続状態を切り替える。
【0026】
通信システムは2.4GHzバンド用の第2のMIMO回路2も有し、第2のMIMO回路はM×Mの送信/受信の経路又はチャネルを有する。従ってMIMO回路2は、MIMO信号を受信するためのM個の入力端子とMIMO信号を送信するためのM個の出力端子とを有する(ただし、N≧1であり、上記のNとMは等しくてもよいし異なっていてもよい)。
【0027】
M個の端子はフロントエンドモジュール20に接続され、フロントエンドの送信/受信増幅チャネルの各々は、図1に示されているように、スイッチ回路21又は切替回路21と、スイッチ回路21の出力に接続されかつ制御回路からの信号により制御される電力増幅器22と、送信経路(Tx)及び受信経路(Rx)間の切り替えを行うスイッチ回路23とを有する。
【0028】
図1に示されているように、制御回路4は、MIMO回路1及びMIMO回路2から信号を受信し、制御回路4は、スイッチ回路21と、5GHz及び2.4GHzのフロントエンドモジュールの増幅チャネル各々における電力増幅器13、21と、スイッチ回路14、23とにそれぞれ制御信号を送信する。
【0029】
本発明によれば、制御回路4は、5GHz及び2.4GHzの増幅チャネルにそれぞれ対応するフロントエンドモジュール10及び20を制御するための情報(動的な又は可変な情報)を、2つのMIMO回路1及び2から受信する。
【0030】
図1に示されているように、制御回路4の第1の出力(a)は電力増幅器13をアクティブ又はディセーブルにするように電力増幅器13に接続されている。第2の出力(b)はワイドバンドフロントエンドモジュール10のTx/Rx(送信/受信)スイッチ14に接続されている。第3の信号(c)は2.4GHz送信チャネルのTx/Rxスイッチ23に接続されている。出力(d)はモジュール20の電力増幅器22をアクティブ又はディセーブルにするように電力増幅器22に接続されている。出力(e)はスイッチ回路21に接続され、加算部12を介して、5GHz信号と同じチャネルで2.4GHz信号を送信できるようにする。
【0031】
制御回路4により、通常の動作モード及び電力削減動作モードという2つの動作モードが統合され、この点については以下において詳細に説明する。
【0032】
図4を特に具体的に参照しながら本発明による電力消費削減方法を説明する。
【0033】
基本プロセスを示す図4のフローチャートに示されているように、本プロセスは、ステップ100においてデータを周期的に抽出することから始まり、一実施形態において、抽出されるデータは、TPC(送信電力制御)データ及びQoS(サービス品質)データである。
【0034】
TPCデータはMIMO回路自身から取得される。図2には、5GHzバンドで動作するMIMO回路1がブロック図で示されている。2.4GHzバンド用のMIMO回路は、TPCデータを分析する点を除いて、同じ基本構造を有する。MIMO回路1は信号プロセッサ1aを有し、信号プロセッサは2.4GHz送信を表す時間信号(temporal signal)を図1の制御回路4に送信するために使用される。更に、MIMO回路1は変調回路1cを有し、変調回路1cの後にアナログディジタル変換器1dが続き、アナログディジタル変換器1dはフロントエンドモジュールの送信チャネル(Tx)によりデータを送信できるようにする。同様に、信号プロセッサ1aは、フロントエンドモジュールに接続された復調回路1bに接続され、復調回路1bはフロントエンドモジュールの受信チャネル(Rx)から信号を受信する。
【0035】
当該技術分野で知られている方法により、特定の変調方式及び符号化方式(一般に、変調符号化方式(MCS)と呼ばれる)に従って、アクセスポイントと通信局(STA)とを無線接続で接続することで、TPCフレームが取得される。通信局は、送信される電力に関する情報項目(TPC)をアクセスポイントに周期的に送信している。この情報を利用して、アクセスポイント及び通信局間の距離や伝搬状況等に従って、アクセスポイントにとって必要な送信出力を算出することができる。
【0036】
更に、サービス品質(QoS)は、送信されるデータのタイプ又は種別(具体的には、データ、音声、ビデオ等)に応じてアクセスポイントにより決定される。そして、ビデオ信号は5GHzのMIMO回路を通じて通常の方法で送信され、5GHzチャネルの処理に高い優先度が与えられる。制御回路4により動作タイミングの分析が行われる。
【0037】
本発明による電力消費削減方法の第2のステップにおいて、2.4GHzのバーストの送信の有無、すなわち2.4GHzフロントエンドモジュールを通じて送信する信号の有無が、ステップ101において判定又は検査される。結果が否定的であった場合(送信がなされていない場合)、動作フローはステップ101に再び戻る。結果が肯定的であった場合(送信がなされている場合)、ステップ102において、5GHzのバースト送信が検査される。結果が否定的であった場合、ステップ106に示されているように通常の動作が行われる。結果が肯定的であった場合、ステップ103において、制御回路4は2.4GHz信号及び5GHz信号の送信タイミングを分析する。ステップ104において、時間的な競合が生じるか否かが判定される、すなわち個々の信号が同時に送信される必要の有無が判定される。信号が同時には送信されない場合、ステップ107において、2.4GHz用のMIMO回路から送信される信号は、ワイドバンド増幅器を含む送信チャネルを有する5GHz信号用のフロントエンドモジュールにルーティングされ、そのフロントエンドモジュールは2.4GHzで信号を送信することができる一方、2.4GHz用のフロントエンドモジュールの電力増幅器22は非動作状態にされる。
【0038】
時間的に競合する場合、本発明の実施の形態によれば、ステップ105において、5GHz用のフロントエンドモジュール10のワイドバンド電力増幅器の線形性が充分であるか否かが検査される。結果が否定的であった場合、回路は通常の動作状態に留まる(ステップ106)。結果が肯定的であった場合、2.4GHzで送信される信号は、5GHz用のフロントエンドモジュール10にルーティングされる(ステップ107)。フロントエンドモジュール10のワイドバンド電力増幅器に関するこの制御ステップは選択的又は任意的であることが、当業者に認められるであろう。
【0039】
従って、制御回路4は以下の2つの可能な動作モードを端末に相応しい動作モードに決定する。
【0040】
− 通常の動作モード(2.4GHz及び5GHz)。この動作モードの場合、図1に示す2つのフロントエンドモジュール10及び20は同時に使用される。
【0041】
− 消費電力を削減する動作モード。この動作モードの場合、ワイドバンドフロントエンドモジュール10のみを用いて5GHz信号及び2.4GHz信号の双方を送信及び受信する。電力増幅器が充分に広い帯域幅を有する場合は同時に送信される、或いは時間分割方式で共有される。
【0042】
同時送信に関し、電力増幅器のクラス及び効率に依存する帯域幅が与えられていた場合において、送信電力が端末で規定される限界未満であった場合、2.4GHzで送信される信号は、5GHzフロントエンドモジュールのワイドバンド送信チャネルの入力に加えることが可能である。この場合、2.4GHz用のフロントエンドモジュールの電力増幅器はディセーブルにされ、システムの電力消費を削減できる。
【0043】
5/2.4GHzの共有される時間(shared time)の送信に関し、制御回路4は、システムの電力消費を制限するように動作モードを管理する。図3はフロントエンドモジュールを制御するために異なる処理が実行される順序を時間経過と共に図示している。始めに、アクセスポイント(AP)は通信局(STA)に無線接続により接続されており、AP(端末)は通信局から受信したTPC情報をデコードし、アナログ/ディジタル変換器と共に5GHz用のMIMO回路の出力電力を制御する。その後、制御回路は最適な形態(動作モード)を決定し、ワイドバンド送信チャネルの機能をイネーブルにし、可能であれば、ワイドバンドフロントエンドモジュールにより、送信する2.4GHz信号を混合する又は加える。
【0044】
本発明は入力端子と出力端子の数が等しいMIMO回路を参照しながら説明された。しかしながら、本発明は入力端子と出力端子の数が異なるMIMO回路に適用することもできる(N×N’及び/又はM×M’)。更に、N及びMは同一でもよいし異なっていてもよい。
【0045】
N=Mであったとすると、この場合、N個の電力増幅器を使用するだけであるので、コスト及び電力消費の観点から相応しい形態が使用される。
【0046】
N<Mであった場合、2.4GHzMIMO回路の電力増幅器のいくつかは5GHzチャネルのフロントエンドモジュールに接続され、これにより電力消費を削減できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1及び第2の周波数バンドで信号を同時に送信及び/又は受信することが可能な無線通信端末のエネルギ消費を削減する方法であって、
前記無線通信端末は、前記第1の周波数バンドで動作するN個(N≧1)の経路を有する第1の回路と、前記第2の周波数バンドで動作するM個(M≧1)の経路を有する第2の回路とを有し、前記第1及び第2の回路の各々はN個及びM個の電力増幅器をそれぞれ有するフロントエンドモジュールに結合され、個々のフロントエンドモジュールはアンテナシステムに接続されており、当該方法は、
送信される及び/又は受信された信号を制御データにより抽出するステップと、
前記第1の周波数バンドにおけるバースト及び前記第2の周波数バンドにおけるバーストの送信の間に、競合の有無を検出するために送信時点を比較するステップと、
競合がなかった場合、抽出された制御データに従って、前記第1又は第2の周波数バンドの一方の信号を、他方の周波数バンドの前記フロントエンドモジュールの電力増幅器を介して送信し、該信号の周波数バンドの前記フロントエンドモジュールの電力増幅器を分離するステップと
を有する方法。
【請求項2】
競合がなかった場合又は前記電力増幅器が十分な帯域幅を有していた場合に、前記第1又は第2の周波数バンドの一方の前記信号を、前記他方の周波数バンドの前記フロントエンドモジュールの電力増幅器を介して送信し、該信号の周波数バンドの前記フロントエンドモジュールの電力増幅器を分離する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記制御データは、送信される電力に関する送信電力制御データ及びサービス品質に関するサービス品質データの中から選択されたものである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の周波数バンドは5GHzの周波数バンドであり、前記第2の周波数バンドは2.4GHzの周波数バンドである、請求項1-3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
2.4GHzの周波数バンドの信号が、5GHzの周波数バンドの前記フロントエンドモジュールの前記電力増幅器の少なくとも1つを通じて送信される、請求項1-4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1及び第2の回路がMIMO回路である、請求項1-5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
ビデオ、オーディオ又はデータの信号を第1及び第2の周波数バンドで送信及び/又は受信することが可能な無線通信端末であって、
前記第1の周波数バンドで動作するN個(N≧1)の経路を有する第1の回路と、
前記第2の周波数バンドで動作するM個(M≧1)の経路を有する第2の回路とを有し、
前記第1及び第2の回路の各々はN個及びM個の電力増幅器をそれぞれ有するフロントエンドモジュールに結合され、個々のフロントエンドモジュールはアンテナシステムに接続されており、当該無線通信端末は、
送信される及び/又は受信された信号を制御データから抽出する手段と、
前記第1の周波数バンドにおけるバースト及び前記第2の周波数バンドにおけるバーストの送信の間に、競合の有無を検出するために送信時点を比較する手段と、
競合がなかった場合、抽出された制御データに従って、前記第1又は第2の周波数バンドの一方の信号を、他方の周波数バンドの前記フロントエンドモジュールの電力増幅器を介して送信し、該信号の周波数バンドの前記フロントエンドモジュールの電力増幅器を分離する手段と
を有する無線通信端末。
【請求項8】
当該無線通信端末が、前記制御データを受信及び処理するための第1及び第2のMIMO回路に入力が接続されたコマンド回路を有し、前記コマンド回路は、M<NならばM個、N<MならばN個のスイッチ回路を制御し、前記入力が前記第2のMIMO回路のM個の経路の1つに接続されかつ出力が前記M個の電力増幅器の1つに接続され、他の出力は加算回路を介して前記N個の電力増幅器の1つに接続され、他の入力は前記MIMO回路の前記N個の経路の1つに接続されている、請求項7に記載の無線通信端末。
【請求項9】
2つの周波数バンドの信号を受信する前記フロントエンドモジュールの前記電力増幅器のうちの少なくとも1つがワイドバンド増幅器である、請求項7又は8に記載の無線通信端末。
【請求項10】
請求項1-6の何れか1項に記載の方法を実行する請求項7-9の何れか1項に記載の無線通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−110741(P2013−110741A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−252060(P2012−252060)
【出願日】平成24年11月16日(2012.11.16)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】1−5, rue Jeanne d’Arc, 92130 ISSY LES MOULINEAUX, France
【Fターム(参考)】