説明

エネルギ管理サーバ

【課題】省エネ活動を長期的に継続することが可能で、省エネ効果を持続的に得ることができるエネルギ管理サーバを提供する。
【解決手段】エネルギ管理サーバであるエコレース管理サーバ102は、エコレースを実施するために必要なエコレース情報を記憶するレース情報管理部217、エコレースの参加者を募集するレース参加受付部214、参加者に関する情報を記憶するユーザ情報管理部218、ネットワークを介して、各参加者の家庭で消費されるエネルギ量に関する情報を、各参加者の施設に設けられた集計装置から周期的に収集する評価用データ収集・計算部215、エコレースの終期に、ユーザ情報と、エネルギ消費量に関する情報とに基づいて、エコレースにおける参加者の順位を決定する順位計算部218とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭での電力エネルギの消費量を管理するエネルギ管理サーバに関し、特に家庭での電力エネルギの消費量の低減に継続的に取組むことを可能とするエネルギ管理サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、地球温暖化防止のため、電力消費量の削減、並びに、環境負荷の少ない太陽光発電、地熱発電、及びバイオマス発電といったグリーン電力の使用が切実に求められている。そのような背景のもと、家庭での消費電力の削減を実現するため、利用者の環境に対する意識を改善し、さらに省エネルギ(以下「省エネ」と省略する。)を実現するシステムが多数提案されている。さらに近年では、いかに省エネに継続的に取組むかを重視したシステムの提案がなされ始めている。
【0003】
例えば特開2006−163610号公報は、家庭での省エネ活動に対しインセンティブを与えることによって省エネ効果の持続を目指した発明を開示している。この発明は、省エネのための管理サーバに参加者登録をし、登録者ごと省エネの目標を設定する。本実施の形態では、目標としては、前年のエネルギ使用実績と、同地域同一契約体系の需要家の電力使用量の前年分の平均値との差に基づいて計算されるエネルギ削減量の目標が使用される。ただしこの目標の定め方は一通りではなく、種々の事情を勘案して目標が作成される。
【0004】
その後、登録者についてエネルギ消費量の実績を記録して、目標に対する省エネ削減量の達成度合いに応じてポイントを付加する。例えばエネルギ消費量の削減目標を達成できれば10ポイント、削減目標の50%を削減できれば5ポイント、等である。登録者は、そのポイントの合計を利用して商品等を購入できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−163610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術では、地域の平均の消費電力量と、自家庭の前年の消費電力量との差から目標を設定し、ポイントを付与している。この方法では、何度か省エネ活動を繰返すと省エネ効果が上がらなくなって、ポイントの獲得が難しくなり、ユーザのやる気が低下してしまうという問題がある。そのような状況になると、各家庭が継続的に省エネ活動に取組むことができなくなるおそれがある。さらに、特許文献1に記載の技術では、ポイントを発行する者にとってどのようなメリットがあるかが分かりにくいという問題がある。例えば電力会社がポイントを発行する場合、電力会社は電力が消費されるほど収入が得られるため、消費を減らすためのポイントを発行するインセンティブがない。電力の総消費量を削減することによって設備投資を抑制したり、電力の安定供給が可能になったりするという利点はあるかも知れないが、それらが継続的な省エネ活動にポイントを付与することに対する強いインセンティブとなることはないと考えられる。その結果、上記したようなポイント付与システムを維持することも長期的には難しくなるおそれがある。
【0007】
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、省エネ活動を長期的に継続することが可能で、省エネ効果を持続的に得ることができるエネルギ管理サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の局面に係るエネルギ管理サーバは、省エネの程度を競う競技であるエコレースを実施するために必要なエコレース情報を記憶するためのエコレース情報記憶手段と、ネットワークに接続され、エコレース情報記憶手段に記憶されたエコレース情報に基づき、当該エコレース情報に対応するエコレースへの複数の参加者を、ネットワークを介して募集するための参加者募集手段と、参加者募集手段により募集された参加者の各々に関する情報を記憶するための参加者情報記憶手段とを含むエネルギ管理サーバである。参加者の施設の各々には、当該施設で消費されるエネルギ量を集計するための集計手段が設けられている。当該集計手段はネットワークに接続されている。エネルギ管理サーバはさらに、ネットワークに接続され、当該ネットワークを介して、各参加者の施設で消費されるエネルギ量に関する情報を、各参加者の施設に設けられた集計手段から周期的に収集し記憶するためのエネルギ消費量情報収集・記憶手段と、エコレース情報記憶手段に記憶されたエコレース情報に基づき、エコレースの終期が到来したことに応答して、参加者情報記憶手段に記憶された参加者の情報と、エネルギ消費量情報収集・記憶手段に記憶された、各参加者の施設におけるエネルギ消費量に関する情報とに基づいて、エコレースにおける参加者の順位を決定するための順位決定手段とを含む。
【0009】
エコレース情報がエコレース情報記憶手段に接続されると、参加者募集手段がエコレースへの参加者を募集する。参加者情報は参加者情報記憶手段に記憶される。エコレースでは、参加者の施設に設けられた集計手段がその施設で消費されるエネルギ量を集計する。集計された情報はネットワークを介してエネルギ消費量情報収集・記憶手段に収集され、記憶される。エコレースの終期が到来すると、順位決定手段が、参加者の情報と、エネルギ消費量情報収集・記憶手段に記憶された各参加者のエネルギ消費量に関する情報とに基づき、エコレースにおける参加者の順位を決定する。
【0010】
省エネ活動が、複数の参加者の間での競技の形で実行される。競技の形で省エネ活動が行なわれるため、参加者にとっては他の参加者よりよい評価を得たいという欲求がある。そのため、省エネ活動の実効を挙げることができる。エコレースは繰返し実行できるので、参加者は常に新鮮に省エネ活動を行なうことができる。
【0011】
好ましくは、参加者情報記憶手段が記憶する参加者情報は、当該参加者の識別子と、ネットワークを介して当該参加者に連絡をとるための、ネットワーク上の通知先に関する通知先情報とを含む。レース情報は、エコレースにおける各参加者の施設における消費エネルギ量に基づき、各参加者に対する評価値を決定するための評価方法を特定する評価式と、エコレースの順位にしたがって、各参加者に対して提供される特典に関する特典情報とを含む。順位決定手段は、エコレース情報記憶手段に記憶されたエコレース情報に基づき、エコレースの終期が到来したことに応答して、参加者情報記憶手段に記憶された参加者の情報と、エネルギ消費量情報収集・記憶手段に記憶された、各参加者の施設におけるエネルギ消費量に関する情報と、エコレース情報内の評価式とに基づいて、エコレースにおける参加者の順位を決定するための手段を含む。エネルギ管理サーバはさらに、ネットワークに接続され、順位を決定するための手段により各参加者のエコレースにおける順位が決定されたことに応答して、順位を決定するための手段により決定された、各参加者のエコレースにおける順位に応じ、特典が提供される参加者の通知先情報に基づき、該当する特典に関する特典情報を参加者の通知先に送信するための特典情報通知手段を含む。
【0012】
より好ましくは、エネルギ消費量情報収集・記憶手段は、ネットワークに接続され、当該ネットワークを介して、各参加者の施設で消費されるエネルギ量に関する情報を、各参加者の施設に設けられた集計手段から定期的に収集するためのエネルギ消費量収集手段と、エネルギ消費量収集手段により各参加者の施設から毎日収集されたエネルギ消費量を、各参加者の施設について、エコレースの開始時から累計するためのエネルギ消費量累計手段と、各参加者の施設について、エネルギ消費量収集手段により当日収集されたエネルギ消費量と、エネルギ消費量累計手段により累計された累計エネルギ消費量とを記憶するためのエネルギ消費量記憶手段とを含む。エネルギ管理サーバはさらに、ネットワーク及びエネルギ消費量記憶手段に接続され、ネットワークを介して、参加者を特定して、あるエコレースにおける順位の問い合わせがあったことに応答して、エコレース情報に基づいて当該特定された参加者のその時点での順位を算出し、当該順位を返信するための順位返信手段を含む。
【0013】
さらに好ましくは、順位返信手段は、ネットワーク及びエネルギ消費量記憶手段に接続され、ネットワークを介して、参加者を特定して、あるエコレースにおける順位の問い合わせがあったことに応答して、エコレース情報に基づいて当該特定された参加者のその時点での順位を算出し、当該順位を、当該エコレースへの全参加者数とともに返信するための手段を含む。
【0014】
順位返信手段は、ネットワーク及びエネルギ消費量記憶手段に接続され、ネットワークを介して、参加者を特定して、あるエコレースへの順位の問合わせがあったことに応答して、エコレース情報及びエネルギ消費量記憶手段に記憶された情報に基づいて、当該特定された参加者のその時点での累計エネルギ消費量に基づく累計順位と、当該特定された参加者の当日のエネルギ消費量に基づく当日順位とを算出し、当該累計順位と当日順位とを返信するための手段を含んでもよい。
【0015】
好ましくは、集計手段の各々は、参加者の施設において消費されるエネルギ総量と、当該施設において、環境負荷を与えない発電資源によって発電された発電電力量と、当該発電電力量のうちで、当該施設において消費された電力量とを集計する手段を含む。エネルギ消費量情報収集・記憶手段は、ネットワークに接続され、当該ネットワークを介して、各参加者の施設で消費されるエネルギ総量と、当該施設において、環境負荷を与えない発電資源によって発電された発電電力量と、当該発電電力量のうちで、当該施設において消費された電力量に関する情報とを、各参加者の施設に設けられた集計手段から周期的に収集し記憶するための手段を含む。エコレース情報が含む判定式は、各需要家の施設での総消費エネルギ消費量に対し、当該需要家の施設において、環境負荷を与えない発電資源によって発電され、かつ当該需要家の施設において消費されたエネルギ消費量の割合を算出する式である。
【0016】
より好ましくは、エネルギ管理サーバはさらに、ネットワークに接続され、ネットワークを介し、エコレースの主催者からエコレース情報の入力を受信し、エコレース情報記憶手段に保存するための手段をさらに含む。
【0017】
エネルギ管理サーバはさらに、ネットワークに接続され、エコレース情報記憶手段に記憶されたエコレース情報に基づき、実施期間開始前のエコレースに関する開催情報をネットワークに接続された各集計手段に送信するための開催情報送信手段を含んでもよい。
【0018】
本発明の第2の局面に係るコンピュータプログラムは、ネットワークに接続されるコンピュータを、省エネの程度を競う競技であるエコレースを実施するために必要なエコレース情報を記憶するためのエコレース情報記憶手段と、ネットワークに接続され、エコレース情報記憶手段に記憶されたエコレース情報に基づき、当該エコレース情報に対応するエコレースへの複数の参加者を、ネットワークを介して募集するための参加者募集手段と、参加者募集手段により募集された参加者の各々に関する情報を記憶するための参加者情報記憶手段として機能させる。参加者の施設の各々には、当該施設で消費されるエネルギ量を集計するための集計手段が設けられる。当該集計手段はネットワークに接続されている。このコンピュータプログラムはさらに、コンピュータを、ネットワークに接続され、当該ネットワークを介して、各参加者の施設で消費されるエネルギ量に関する情報を、各参加者の施設に設けられた集計手段から周期的に収集し記憶するためのエネルギ消費量情報収集・記憶手段と、エコレース情報記憶手段に記憶されたエコレース情報に基づき、エコレースの終期が到来したことに応答して、参加者情報記憶手段に記憶された参加者の情報と、エネルギ消費量情報収集・記憶手段に記憶された、各参加者の施設におけるエネルギ消費量に関する情報とに基づいて、エコレースにおける参加者の順位を決定するための順位決定手段として機能させる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように本発明によれば、省エネ活動が、複数の参加者の間での競技の形で実行されるため、省エネ活動の実効を挙げることができ、省エネ活動を継続的に行なうことができる。その結果、省エネ活動を長期的に継続することが可能で、省エネ効果を持続的に得ることができるエネルギ管理サーバを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る省エネ推進システムの概略を説明するための構成図である。
【図2】実施の形態の概略構成を示す図である。
【図3】サービスサーバ101のより詳細な構成を示す図である。
【図4】エコレース管理サーバ102のより詳細な構成を示す図である。
【図5】HEMS装置103のより詳細な構成を示す図である。
【図6】サービス事業者がエコレースの開催を決定し、エコレース管理サーバ102に開催するエコレースの情報を登録するまでの処理を示す図である。
【図7】サービスサーバ101がエコレース管理サーバ102に対して登録を依頼する際の、エコレースの情報の例を示す図である。
【図8】レース情報管理部217で管理されている、エコレースの基本情報を示す図である。
【図9】ユーザがエコレースへの参加登録を行なう処理を示すフローチャートである。
【図10】エコレース管理サーバのユーザ情報管理部に記憶されるユーザ情報の構成を示す図である。
【図11】エコレース期間中の順位の決定処理を実現するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図12】レース情報管理部217で保存している、参加者情報の構成を示す図である。
【図13】HEMS装置103から送信される評価値の例を示す図である。
【図14】HEMS装置103で順位を表示する処理を実現するプログラムのフローチャートである。
【図15】HEMS装置103での順位の表示画面例を示す図である。
【図16】エコレース終了時の、特典の提供と、ユーザへの順位の通知とを実現するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の説明及び図面において、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの名称及び機能も同一である。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0022】
本実施の形態は、「エコレース」と呼ばれるものを中心とする。エコレースとは、電力会社に限らず、任意のサービス事業者が主催して各家庭の参加を募り、参加する各家庭が行なった省エネ活動の程度をある評価基準にしたがって順位付けし、成績に応じて賞品等の特典が各家庭に与えられる競争形態のことをいう。以下の実施の形態では、賞品はサービス事業者から各家庭に与えられる。
【0023】
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る省エネ推進システムは、サービス事業者が管理しエコレースの登録等を行なうサービスサーバ101,101A及び101B等と、各家庭に設置され、家庭内の機器毎、又は部屋毎、家庭全体の消費電力や、太陽光発電等の発電電力量、売電電力量等を収集管理するHEMS(Home Energy Management System)HEMS装置103,103A及び103B等と、各家庭のHEMS(Home Energy Management System)装置103と接続され、サービス事業者が開催するエコレースを管理するためのエコレース管理サーバ102とを含む。サービスサーバ101,101A及び101B、HEMS装置103,103A及び103B、並びにサービス事業者が102エコレースを開催するためのエコレース管理サーバ102はいずれも、インターネット104を介して接続されている。エコレース管理サーバ102は、本発明に係るエネルギ管理サーバの一例である。
【0024】
以下の説明では、理解を容易にするため、図2に示すように、システムがサービスサーバ101とエコレース管理サーバ102とHEMS装置103とを含むものとする。
【0025】
図3〜図5は、それぞれ、図2におけるサービスサーバ101、エコレース管理サーバ102、及びHEMS装置103のより詳細な構成を示している。
【0026】
《サービスサーバ101》
図3を参照して、サービスサーバ101は、インターネット104に接続された通信部201と、通信部201に接続されたレース情報登録部203及びレース結果取得部204と、レース情報登録部203に接続された出力を持つレース情報作成部202と、レース結果取得部204の出力を受けるように接続された入力と、通信部201に接続された出力とを持つ特典提供部205とを含む。
【0027】
通信部201は、インターネット104に接続し、エコレース管理サーバ102との間で各種情報の送受信を行なう機能を持つ。
【0028】
レース情報作成部202は、エコレースの開催者からの入力に従い、エコレースの内容を作成する機能を持つ。
【0029】
レース情報登録部203は、エコレース開催に必要な情報(エコレース情報)を作成し、エコレースの開催要求と共にエコレース管理サーバ102に送信する機能を持つ。
【0030】
レース結果取得部204はエコレース管理サーバ102よりレース結果を受信する機能を持つ。
【0031】
特典提供部205は、レース結果取得部204が取得したエコレースの結果から、特典提供の対象者に対して、特典を取得するための情報を送信する機能を持つ。
【0032】
《エコレース管理サーバ102》
図4を参照して、エコレース管理サーバ102は、通信部211と、通信部211に接続され、通信部211を介してインターネット104上の端末からエコレースの開催要求をエコレース情報とともに受付けるレース開催受付部212と、通信部211を介してインターネット104に接続され、エコレースへの参加を受付けるレース参加受付部214と、通信部211を介してインターネット104に接続され、インターネット104上のHEMS装置103からエコレースに関する評価用データ(後述する)を毎日、定期的に収集し、評価値を算出する評価用データ収集・計算部215と、実施期間前のエコレースに関する情報を通信部211を介してインターネット104上で公開するレース情報公開部213とを含む。
【0033】
エコレース管理サーバ102はさらに、レース開催受付部212、レース参加受付部214、及び評価用データ収集・計算部215の出力を受ける入力と、レース情報公開部213に接続された出力とを有し、エコレース情報を記憶するレース情報管理部217と、レース情報管理部217に記憶されたエコレース情報及び評価用データに基づいて、登録者の順位を所定の計算方法で計算するための順位計算部216と、レース情報公開部213及びレース参加受付部214に接続され、開催されているレースへの参加者に関する情報を管理するためのユーザ情報管理部218とを含む。
【0034】
通信部211は、インターネットに接続し、サービスサーバ101及びHEMS装置103との間で各種情報の送受信を行なう機能を持つ。
【0035】
レース開催受付部212は、インターネット104を介してサービスサーバ101のレース情報登録部203からエコレース開催要求の入力を受け、ともに送信されてくるエコレース情報に基づいてエコレースの開催が可能かどうかの判定を行なう。エコレースの開催が可能の場合、レース情報管理部217にそのエコレースに関するエコレース情報の登録を行なう。
【0036】
レース情報公開部213は、サービスサーバ101及びHEMS装置103からエコレースに関する各種情報の取得要求を受信し、レース情報管理部217に管理されているエコレース情報のうち、特にエコレース開催前のものの開催に関する情報を送信する機能を持つ。
【0037】
レース参加受付部214は、HEMS装置103から、そのHEMS装置103を利用しているユーザのエコレースへの参加要求を受信し、レース情報管理部217にレースの参加者として登録する機能を持つ。
【0038】
評価用データ収集・計算部215は、エコレースに参加しているHEMS装置103から、エコレースの順位を決定するために用いる評価値を計算するために必要な評価用データを毎日、定期的に収集し、参加者情報と、エコレース情報とに基づき、HEMS装置103ごとに評価値を計算し、その結果を評価用データとともにレース情報管理部217に登録する機能を持つ。本実施の形態では、後述するように、評価値は、エコレース情報に記述されている評価式によって行なう。
【0039】
順位計算部216は、レース情報管理部217に登録された、特定のエコレースに参加している全ユーザの評価値からエコレースの順位を計算し、レース情報管理部217に登録する機能を持つ。エコレースの順位の計算時期は、本実施の形態ではエコレースの終期である。しかし、後述するようにエコレースの開催中でもHEMS装置103から要求があればその時点でのそのHEMS装置103の順位を計算し、その結果を送信する。
【0040】
レース情報管理部217は、開催しているエコレースに関する基本情報、参加しているユーザとそのユーザの評価値、及び順位を保存する機能を持つ。
【0041】
ユーザ情報管理部218は、HEMS装置103を設置している家庭のユーザ情報を保存する機能を持つ。ここでは1家庭につき代表者1名の情報が登録されていることを想定している。
【0042】
《HEMS装置103》
HEMS装置103は、家庭でのエネルギ消費を管理するための装置であるが、後述するように表示部及び入力部を持ち、ユーザとの間の対話により、ユーザからの入力を受けることができる。
【0043】
通信部221は、インターネット104に接続され、エコレース管理サーバ102との間で各種情報の送受信を行なう機能を持つ。図には示していないが、一般的には、家庭内のネットワークとインターネット104との間にはゲートウェイが存在し、ゲートウェイがインターネット104上の通信先と接続される。
【0044】
表示部222は、液晶モニタ等のユーザが視覚的に情報を確認できるものであり、エコレース管理サーバ102から取得した情報等を表示する機能を持つ。
【0045】
入力部223は、キーボード、マウス、タッチパネル、又は音声等ユーザがHEMS装置103へ情報を入力するための機能をもつ。ユーザがHEMS装置103を操作するときに利用される。
【0046】
レース情報取得部224は、エコレース管理サーバ102より、開催されるエコレースの情報を取得する機能を持つ
順位情報取得部225は、エコレース管理サーバ102より、参加中のエコレースにおける、当該HEMS装置103の利用ユーザの現在順位を取得する機能を持つ。
【0047】
レース参加登録部226は、エコレース管理サーバ102に対して、HEMS装置103の利用ユーザがエコレースに参加依頼を送信する機能を持つ。
【0048】
電力情報収集部227は、家庭内に接続されている各家電機器等から消費電力量、発電電力量、及び売電電力量等を収集し、評価情報管理部に保存する機能を持つ。ここでHEMS装置103は、家庭内のエアコン、冷蔵庫、洗濯機、テレビ、照明装置等の家電機器、分電盤、及び太陽光発電システムのパワーコンディショナー装置に接続され、各機器の消費電力量、家庭全体の消費電力量、太陽光発電の発電電力量、及び売電電力量等を収集することができるものとする。
【0049】
電力情報管理部228は、前述した家庭内から収集した電力情報を保存する機能を持つ。
【0050】
評価情報通知部229は、電力情報管理部228から、参加中のエコレースの順位決定に必要な電力データをエコレース管理サーバ102に送信する機能を持つ。
【0051】
《プログラム構造》
図6以降では、図1〜図5で説明したシステムにおいて、エコレースを実施する過程及びそれを実現するためのプログラムの制御構造について順を追って説明する。
【0052】
図6は、サービス事業者がエコレースの開催を決定し、エコレース管理サーバ102に開催するエコレースの情報を登録するまでの処理を示す。図6を参照して、まず、ステップ111(以下「ステップ」を単に「S」と書く。)サービスサーバ101は、開催するエコレースの情報をエコレース管理サーバ102に送信し、レースの開催登録を依頼する。
【0053】
エコレース管理サーバ102は、依頼を受信すると(S112)、レース開催受付部212において、依頼されたエコレースが開催可能かどうかを確認する。具体的には、レースの実施期間が開催可能な期間であるか、評価情報が記載されているか、特典情報が記載されているか、等、エコレース情報の内容に不備がないかどうか(S113)、又は、登録されているレースが多すぎてサーバが管理できるレースの数を超えてしまっていないか(S114)を確認する。
【0054】
確認の結果、開催が不可能であれば、開催が不可能であることと、その理由とをサービスサーバ101に通知する(S115)。
【0055】
エコレース管理サーバ102は、S113及びS114の判定の結果、レースが開催可能であれば、受信した情報をレース情報管理部217にエコレースの基本情報として登録し、レースID(識別子)を付与する(S116)。レースIDはレース毎につけられるユニークなIDであり、以降、そのエコレースを識別するために用いられる。
【0056】
エコレース管理サーバ102はさらに、レース開催の登録が完了したことをレースIDとともにサービスサーバ101に通知して処理を終了する(S117)。
【0057】
図7を参照して、エコレース情報は以下のようなものを含む。なお、図7に示すエコレース情報例は、説明をわかりやすくするため、XML形式で示してある。もちろんエコレース情報の形式はXMLに限定されるわけではない。しかし、XML形式であれば、<エコレース情報>タグで一つのエコレースの情報を表現できるため、複数のエコレースの登録を一度にエコレース管理サーバ102に依頼することも可能である。エコレースの登録に必要な情報は、レース名、主催者、レースの実施期間、レースの順位を決定するための評価方法、及びレースの成績優良者に与えられる特典の情報を含む。図7においては、これらは全て対応する名前の開始タグ及び終了タグにより囲まれている。
【0058】
例えば評価方法は、〈評価方法〉タグと〈/評価方法〉タグとによりはさまれている。評価方法は、〈記述〉タグにより記載される、利用ユーザに対して提示するための文章と、<評価式>タグにより記載される、評価値を求めるための評価式と、〈評価用データ〉タグにより記載される、評価式に必要な電力量データの情報とを含む。評価用データは、この例では、太陽光発電の発電電力量と、太陽光発電の売電電力量と、家庭の総消費電力量とを含む。評価式は、「(太陽光発電電力量−太陽光売電電力量)/総消費電力量×100」とされている。この式は、各ユーザの家庭での総消費エネルギ消費量に対し、当該ユーザの施設において、環境負荷を与えない太陽光発電装置によって発電され、かつ当該ユーザの施設において消費されたエネルギ消費量の割合を算出する式ということができる。
【0059】
図7に示す例では、特典は、〈賞品〉タグとその順位属性とによって分類される。1位のユーザには商品券1万円分が送られる。2位から10位のユーザには商品券3000円分が提供される。順位=「all」と記載されている〈賞品〉タグは、参加者全員に1割引のクーポンが提供されることを示す。
【0060】
図8を参照して、図7に記載のエコレース情報をレース情報管理部217で管理するためのテーブルが示されており、このテーブルの各エントリが1レースに対応する。各エントリは、レースIDと、レース名と、開催者名と、開催期間と、評価方法と、特典に関する情報とを含む。各エコレース情報は、図7に示すレース概要に記載された各情報を格納する。各エントリには、レース毎にユニークなレースIDが付与され、このレースIDを使用して管理される。
【0061】
図9を参照して、ユーザがエコレースへの参加登録を行なう処理について説明する。
ここで、本実施の形態においては、HEMS装置103の導入の際に、一家庭毎にユニークなユーザIDが割り当てられるものとする。それに伴い、図10に示すユーザ情報がエコレース管理サーバ102のユーザ情報管理部218に記憶される。図10を参照して、ユーザ情報は、ユーザIDと、その家庭の代表者の氏名と、特典の提供に用いられる連絡先と、そのユーザが参加しているエコレースのエコレースIDとを含む。
【0062】
再び図9を参照して、最初にHEMS装置103は、エコレース管理サーバ102に対して、レース情報取得部224に対して、参加可能なエコレースに関する情報の送信依頼を行なう(S141)。参加可能なエコレースとは、典型的には、エコレースの開催が予定されているが、まだ実施期間に至っていないエコレースのことをいう。もちろん、これ以外の条件を付してもよい。
【0063】
エコレース管理サーバ102では、レース情報公開部213が、HEMS装置103からの依頼を受信する(S142)。これに応答して、レース情報管理部217に登録されているエコレースの中から実施期間前であるエコレースの情報があるか否かを確認する(S143)。確認の結果、参加登録可能なエコレースがなければ、その旨をHEMS装置103に送信する。HEMS装置103では参加可能なエコレースがないことを表示部222に表示する(S144)。
【0064】
S143において実施前のエコレースがあれば、そのエコレースに関する情報をHEMS装置103に送信する(S145)。送信する情報は図7に示した情報と同等の内容である。
【0065】
HEMS装置103は、レース情報を受信すると、表示部222上にその内容を表示する(S146)。ユーザは、この情報を見て、図5に示す入力部223を使用し、希望のエコレースに対する参加の操作を行なうことができる。
【0066】
レース参加を希望する操作がユーザにより入力部223を介してなされると、レース参加登録部226が、レースIDを指定して、レースへの参加依頼をエコレース管理サーバ102に送信する(S147)。
【0067】
エコレース管理サーバ102のレース参加受付部214は、このレース参加依頼を受信する。レース参加受付部214は、依頼元のHEMS装置103に割り当てられているユーザIDと、参加依頼内のレースIDとについて参加者情報を作成し、レース情報管理部217内に、参加依頼内のレースIDとともに参加者情報として登録する(S148)。参加者情報については図12を参照して後述する。登録が完了すると、レース参加受付部214は、依頼元のHEMS装置103に対して、参加登録完了を通知する。
【0068】
HEMS装置103では、参加登録完了の通知を受けて、表示部222上に参加登録完了のメッセージを表示する(S149)。HEMS装置103はさらに、電力情報管理部228に、参加するエコレースのレースIDと、評価のためにエコレース管理サーバ102に送信しなければならない電力情報の種類とを記憶する。必要な電力情報の種類は、図7に示す〈評価用データ〉タグと同様の情報により知ることができる。
【0069】
図11を参照して、エコレース期間中の順位の決定処理を実現するためのプログラムは以下のような制御構造を持つ。なお、本実施の形態では、あるエコレースについて、1日に1回、予め決められた時刻に各HEMS装置103について評価値を算出し、算出された評価値に基づいてエコレースの順位(途中順位)を決定するものとする。HEMS装置103では、電力情報収集部227によって、家庭内の様々な機器から電力情報が所定時間ごとに収集され、それぞれ電力情報管理部228に記憶されているものとする。総消費電力量は分電盤から収集され、太陽光発電システムの総発電電力量及び売電電力量は、太陽光発電システムのパワーコンディショナーから収集される。
【0070】
図11を参照して、評価情報通知部229は、予め定められている時間になると、参加しているエコレースにおいて順位の評価に必要とされている電力データを電力情報管理部228から読出し、ユーザID、レースIDとともに、エコレース管理サーバ102に送信する(S301)。図7で取り上げたエコレースの場合は、送信される電力データは、家庭の全体の消費電力量と、ソーラー発電の発電電力量と、ソーラー発電の売電電力量とである。図11には、エコレース管理サーバ102の側のプログラムとして1つしか示していないが、実際には実施中のエコレースごとに別々のプロセスが動いており、レースIDによりメッセージが適切なプロセスに振分けられる。
【0071】
エコレース管理サーバ102では、評価用データ収集・計算部215が、HEMS装置103から評価用データを受信する(S302)。レース情報管理部217で管理している参加者情報の該当するレースID、ユーザIDのデータの累積評価用データに、受信した評価用データを加え、さらに、そのエコレースについて定められている評価式を用い、本日の評価値を算出し参加者情報に登録する(S303)。
【0072】
さらにエコレース管理サーバ102は、累積評価用データに基づき、レース開始から本日までの累積評価値を計算し、同様に参加者情報に登録する(S304)。この処理が、あるエコレースの参加者情報に登録されている全てのユーザIDからの評価用データの収集と評価値の計算が終わるまで繰返される(S305)。このエコレースの全参加者について本日分の評価値計算が完了すると、参加者情報の累積評価値から、各参加者の本日までの順位を算出し、本日の評価値から本日のみの順位を算出し、いずれも参加者情報に保存する(S306)。
【0073】
図12を参照して、レース情報管理部217で保存している参加者情報は、ユーザが参加しているエコレースのレースIDと、ユーザIDとを含み、これらによってレース情報とユーザ情報とに紐付けられている。参加者情報はさらに、同じレースIDの全ての参加者情報から求められる累積順位及び本日順位と、レース情報で記憶されている評価式を用いて計算される累積の評価値と、HEMS装置103から受信した電力データのレース開始からの累計と、本日の評価値と含む。もちろん本発明はこのような実施の形態には限定されない。例えば、参加者情報として、エコレース実施期間中、全ての日について、各ユーザの評価値を記憶するようにしても良い。
【0074】
図13に、図7で示したレースを例として、HEMS装置103から送信される評価値情報の例を示す。図7と同じくこの例では、評価値情報はxml形式で記述されている。この評価値情報は、ユーザID及びレースIDと、日付と、評価用の電力データとを含む。評価用データは、本日の消費電力量と、本日の発電電力量と、本日の売電電力量とを含む。
【0075】
エコレース管理サーバ102は、このデータを受信すると、ユーザIDとレースIDとから紐付けされる参加者情報の累積評価用データにこれらの値を加える。そして、累積評評価値と本日の評価値とを計算する。図7及び図13に示す例では、本日の評価値は次のような式から求められる。
【0076】
(900−0)/2000×100=45
図14を参照して、順位を表示する処理を実行する際、HEMS装置103は、順位情報取得部225において、ユーザIDとレースIDを指定して、エコレース管理サーバ102へ順位の送信依頼を送信する(S401)。
【0077】
エコレース管理サーバ102では、順位情報の送信依頼をレース情報公開部213が受信する(S402)。これに応答して、レース情報管理部217の参加者情報に基づいて、該当するユーザIDのユーザがそのレースの参加者かどうかを確認する(S403)。ユーザがそのエコレースの参加者でなければエラーを通知する(S404)。HEMS装置103は、表示部222にこのエラーの通知を表示する。ユーザがエコレースの参加者であるばあいは、エコレース管理サーバ102は、そのユーザの累積順位と、本日順位とをレース情報管理部217から取得し、レースの参加者数とともにHEMS装置103へ送信する(S405)。エコレースの参加者数は、参加者情報のレコードのうち、該当するレースIDを持つレコードの数を数えることで求められる。
【0078】
図15を参照して、HEMS装置103の表示部222はこの際、ユーザの累積順位だけではなく、本日の順位も表示する。この結果、そのユーザの家庭のその日の生活が他の家庭と比べどの程度省エネだったかが分かる。ユーザは、この表示に基づき、その後の順位をさらに上げるためにどのような生活をすればよいかを考えることができる。すなわち、より省エネルギな生活を送るための参考とすることができる。HEMS装置103で収集している機器ごと電力量データとを使って分析することにより、どの機器のどういう設定が問題か、また効果があるかを通知することが可能となる。
【0079】
再び図14を参照して、HEMS装置103では、順位情報取得部225がこの順位情報を受信する(S406)。これに応答して、表示部222が累積の順位と本日の順位とを表示する(S407)。
【0080】
図16を参照して、エコレース終了時には、ユーザに対する特典の提供と、ユーザへの順位の通知とを以下のようにして行なう。本実施の形態では、エコレース管理サーバ102は、エコレースごとに、毎日決まった時間に以下の処理を実行する。エコレース管理サーバ102は、エコレースの実施期間が終了かどうかの確認を行なう(S501)。エコレースの実施期間が終了していなければこの処理を終了する。エコレースの実施期間が終了していれば、該当するエコレースの参加者情報を参照し、レースに参加している全ユーザの累積評価値から最終的な順位を決定する(S502)。レース情報公開部213は、レース情報管理部217のレース情報からそのエコレースで特典を受ける対象となる順位を確認し、参加者情報から特典を受ける対象となるユーザIDを取得する。レース情報公開部213はさらに、該当するユーザの氏名と、特典の通知先の情報とをユーザ情報管理部218から取得し、順位の情報とともにサービスサーバ101に通知する(S503)。
【0081】
サービスサーバ101では、レース結果取得部204がエコレースの結果の情報を受信する(S504)。サービスサーバ101の特典提供部205は、受信した結果情報にある特典対象者の各通知先に対して、特典の受け方を通知して処理を終了する(S505)。なお、この実施の形態では特典提供部205はサービスサーバ101内に設けられているが、本発明はそのような実施の形態には限定されない。エコレース管理サーバ102がレース結果に基づいて特典を該当ユーザに通知するようにしてもよい。
【0082】
例えば、特典の内容が図7に示したような場合を想定する。特典の通知先は、HEMS装置103を利用している家庭の代表者のメールアドレスとする。特典提供部205は、商品券又はクーポンがダウンロードできるWEBページのURLと、そのURLにアクセスするためのIDとパスワードとを記載した電子メールを該当するHEMS装置103について登録されているメールアドレスに送信する。この電子メールを受信したユーザはそのURLをアクセスし、商品券又はクーポンを得る。こうした仕組は、既存の技術を組合わせて容易に実現できる。
【0083】
なお、このような特典は、原則としてエコレース主催者が負担する。後述するようにエコレース主催者にとってエコレースを開催するメリットがあるため、メリットに応じた適切な額となることが期待できる。
【0084】
図7に示す例ではまた、参加者全員にクーポンが提供されることになっている。この場合、クーポンを電子メールで送信することになっており、かつ電子メールの送信者がエコレース主催者であれば、エコレース主催者は、参加者全員の連絡先を入手できる。エコレース主催者は何らかのサービスを提供している事業者であることが想定されているので、エコレース主催者は新たな顧客の情報を得ることができる。この点は、エコレースを主催するインセンティブとなる。
【0085】
しかしこのような方式は、個人情報保護の観点から好ましくないとされる可能性がある。その場合は、エコレース管理サーバ102とサービスサーバ101とを個人情報に関しては完全に分離するとよい。すなわち、特典を提供するためのURLをレース情報としてエコレース管理サーバ102に保存しておき、エコレース終了後、特典対象者にエコレース管理サーバ102からそのURLを通知するようにする。エコレース主催者に対して
レース参加者の個人情報は与えられないので、個人情報の保護に効果的である。この場合でも、例えばクーポンとしてエコレース主催者に関連するサービス事業者の商品を購入するために特に有利な特典を付与したり、クーポンにエコレース主催者の広告を付したりすることにより、特典を受けたユーザが、エコレース主催者に関連するサービス事業者に有利な消費行動をとることが考えられる。したがって、サービス事業者がエコレースを主催するメリットは十分あるといえる。
【0086】
なお、本実施の形態では、エコレース終了後には、図14で説明したのと同様の処理で、ユーザに対して最終的な順位を表示することができる。
【0087】
以上説明したように、本実施の形態に係るシステムによれば、サービス事業者が主催するエコレースに電力の消費家である一般家庭が参加して、他の家庭との省エネ効果を競いあうことができる。その際、エコレースの結果として何らかの特典を得ることができるというインセンティブを与えることで、楽しく、積極的、かつ継続的に省エネ活動に取組むことが期待される。エコレースはサービス事業者がそれぞれ個別にその内容について工夫して主催することができるので、エコレースごとに参加者が新たな気持ちで参加でき、省エネ活動を継続することができる。
【0088】
上記実施の形態では、エコレース主催者が省エネ効果の評価方法を決定している。しかし本発明はそのような実施の形態には限定されな。エコレース管理サーバ102に、いくつかの評価方法を準備しておき、その中からエコレース主催者が適宜選択するという方法をとっても良い。
【0089】
上記実施の形態では、エコレースの順位をHEMS装置103が取得する際、他の情報については特に利用していない。しかし本発明はそのような実施の形態に限定されるわけではない。自分よりも上位の参加者の評価と自分の評価との差も取得し、あとどれだけ節約すれば、順位を上げることができるかを表示する等の方法を取ることもできる。他の家庭との良い意味での競争意識を刺激することにより、ユーザの省エネ活動への取組み意識を向上することもできる。
【0090】
また、エコレースが開催されてしばらくすると、下位の順位のユーザが上位に進出できる見込みがほとんどなくなってしまう可能性がないとはいえない。その結果、商品の取得が絶望的になると参加者がエコ活動を諦めてしまう危険性がある。そのような状況を回避するために、エコレース主催者は、エコレース開催中にその参加者に限定してミニレースを開催するようにしても良い。例えば期間中のある一日等のように特定の短い期間で結果を集計して特別な特典を授与したり、通常とは異なる基準で評価をすることで特色のあるユーザに得点を授与したりすることもできる。毎日、優秀な結果を残したユーザに日替わりで特典を付与することもできる。こうすることで、エコレースに参加している全てのユーザがその終了までエコ活動を継続することが可能となる。
【0091】
なお、レース開催中は、エコレース参加者に対してHEMS装置103が表示する画面に、独占的にエコレース主催者の関連するサービス事業の広告を表示できるようにしてもよい。こうした方法をとることで、エコレース主催者の事業をユーザに理解してもらうことが可能になり、エコレース主催者にとってレースを主催するメリットとなるとなる。したがって、多くのエコレース主催者による多数のエコレースを開催可能となることが期待できる。
【0092】
上記実施の形態では、HEMS装置103がレース情報を取得し、レース情報の記載にしたがい、エコレースでの評価に用いる電力情報を分電盤等から取得して定期的にエコレース管理サーバ102に通知する。しかし本発明はそのような実施の形態には限定されない。HEMS装置103は原則としてその管理する全ての電気機器の消費電力(発電電力)に関する情報を取得する。したがって、エコレース管理サーバ102が各家庭のHEMS装置103から、評価に用いる電力データを定期的に取得するようにしても良い。
【0093】
上記実施の形態では、エコレース管理サーバ102で、評価に用いる電力データに基づいて、図7に示すようなエコレース情報により定められる評価式で計算して評価値を得ている。しかし本発明はそのような実施の形態には限定されない。評価式までHEMS装置103に通知し、HEMS装置103が電力データに基づいて評価式にしたがい評価値を計算し、評価値だけをエコレース管理サーバ102に送信するようにしてもよい。
【0094】
上記実施の形態により、以下のような効果を奏することもできる。すなわち、上記実施の形態では、エコを対象とする評価値を基準としてエコレースを行なう。したがって、エコレース主催者であるサービス事業者は、エコに対して真剣な取組みを行なっていると言えるため、企業のイメージアップを図ることができる。さらに、レース自体が省エネに貢献することであると言うことができ、エコレース管理サーバ102で累積した評価値から、具体的にどの程度の環境貢献ができたかも言えることになる。
【0095】
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0096】
101,101A,101B サービスサーバ
102 エコレース管理サーバ
103,103A,103B HEMS装置
203 レース情報登録部
204 レース結果取得部
205 特典提供部
212 レース開催受付部
213 レース情報公開部
214 レース参加受付部
215 評価用データ収集・計算部
216 順位計算部
217 レース情報管理部
218 ユーザ情報管理部
222 表示部
223 入力部
224 レース情報取得部
225 順位情報取得部
226 レース参加登録部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
省エネルギの程度を競う競技であるエコレースを実施するために必要なエコレース情報を記憶するためのエコレース情報記憶手段と、
ネットワークに接続され、前記エコレース情報記憶手段に記憶されたエコレース情報に基づき、当該エコレース情報に対応するエコレースへの複数の参加者を、前記ネットワークを介して募集するための参加者募集手段と、
前記参加者募集手段により募集された参加者の各々に関する情報を記憶するための参加者情報記憶手段とを含むエネルギ管理サーバであって、
前記参加者の施設の各々には、当該施設で消費されるエネルギ量を集計するための集計手段が設けられ、かつ当該集計手段は前記ネットワークに接続されており、
前記エネルギ管理サーバはさらに、
前記ネットワークに接続され、当該ネットワークを介して、各参加者の施設で消費されるエネルギ量に関する情報を、各参加者の施設に設けられた前記集計手段から周期的に収集し記憶するためのエネルギ消費量情報収集・記憶手段と、
前記エコレース情報記憶手段に記憶されたエコレース情報に基づき、エコレースの終期が到来したことに応答して、前記参加者情報記憶手段に記憶された参加者の情報と、前記エネルギ消費量情報収集・記憶手段に記憶された、各参加者の施設におけるエネルギ消費量に関する情報とに基づいて、前記エコレースにおける参加者の順位を決定するための順位決定手段とを含む、エネルギ管理サーバ。
【請求項2】
請求項1に記載のエネルギ管理サーバであって、
前記参加者情報記憶手段が記憶する参加者情報は、
当該参加者の識別子と、
前記ネットワークを介して当該参加者に連絡をとるための、前記ネットワーク上の通知先に関する通知先情報とを含み、
前記レース情報は、
エコレースにおける各参加者の施設における消費エネルギ量に基づき、各参加者に対する評価値を決定するための評価方法を特定する評価式と、
エコレースの順位にしたがって、各参加者に対して提供される特典に関する特典情報とを含み、
前記順位決定手段は、前記エコレース情報記憶手段に記憶されたエコレース情報に基づき、エコレースの終期が到来したことに応答して、前記参加者情報記憶手段に記憶された参加者の情報と、前記エネルギ消費量情報収集・記憶手段に記憶された、各参加者の施設におけるエネルギ消費量に関する情報と、前記エコレース情報内の前記評価式とに基づいて、前記エコレースにおける参加者の順位を決定するための手段を含み、
前記エネルギ管理サーバはさらに、
前記ネットワークに接続され、前記順位を決定するための手段により各参加者のエコレースにおける順位が決定されたことに応答して、前記順位を決定するための手段により決定された、各参加者のエコレースにおける順位に応じ、特典が提供される参加者の通知先情報に基づき、該当する特典に関する特典情報を参加者の通知先に送信するための特典情報通知手段を含む、エネルギ管理サーバ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のエネルギ管理サーバであって、
前記エネルギ消費量情報収集・記憶手段は、
前記ネットワークに接続され、当該ネットワークを介して、各参加者の施設で消費されるエネルギ量に関する情報を、各参加者の施設に設けられた前記集計手段から定期的に収集するためのエネルギ消費量収集手段と、
前記エネルギ消費量収集手段により各参加者の施設から毎日収集されたエネルギ消費量を、各参加者の施設について、エコレースの開始時から累計するためのエネルギ消費量累計手段と、
各参加者の施設について、前記エネルギ消費量収集手段により当日収集されたエネルギ消費量と、前記エネルギ消費量累計手段により累計された累計エネルギ消費量とを記憶するためのエネルギ消費量記憶手段とを含み、
前記エネルギ管理サーバはさらに、前記ネットワーク及び前記エネルギ消費量記憶手段に接続され、前記ネットワークを介して、参加者を特定して、あるエコレースにおける順位の問い合わせがあったことに応答して、前記エコレース情報に基づいて当該特定された参加者のその時点での順位を算出し、当該順位を返信するための順位返信手段を含む、エネルギ管理サーバ。
【請求項4】
請求項3に記載のエネルギ管理サーバであって、前記順位返信手段は、前記ネットワーク及び前記エネルギ消費量記憶手段に接続され、前記ネットワークを介して、参加者を特定して、あるエコレースにおける順位の問い合わせがあったことに応答して、前記エコレース情報に基づいて当該特定された参加者のその時点での順位を算出し、当該順位を、当該エコレースへの全参加者数とともに返信するための手段を含む、エネルギ管理サーバ。
【請求項5】
請求項3に記載のエネルギ管理サーバであって、前記順位返信手段は、前記ネットワーク及び前記エネルギ消費量記憶手段に接続され、前記ネットワークを介して、参加者を特定して、あるエコレースへの順位の問合わせがあったことに応答して、前記エコレース情報及び前記エネルギ消費量記憶手段に記憶された情報に基づいて、当該特定された参加者のその時点での累計エネルギ消費量に基づく累計順位と、当該特定された参加者の当日のエネルギ消費量に基づく当日順位とを算出し、当該累計順位と当日順位とを返信するための手段を含む、エネルギ管理サーバ。
【請求項6】
請求項1に記載のエネルギ管理サーバであって、
前記集計手段の各々は、前記参加者の施設において消費されるエネルギ総量と、当該施設において、環境負荷を与えない発電資源によって発電された発電電力量と、当該発電電力量のうちで、当該施設において消費された電力量とを集計する手段を含み、
前記エネルギ消費量情報収集・記憶手段は、前記ネットワークに接続され、当該ネットワークを介して、各参加者の施設で消費されるエネルギ総量と、当該施設において、環境負荷を与えない発電資源によって発電された発電電力量と、当該発電電力量のうちで、当該施設において消費された電力量に関する情報とを、各参加者の施設に設けられた前記集計手段から周期的に収集し記憶するための手段を含み、
前記エコレース情報が含む判定式は、各需要家の施設での総消費エネルギ消費量に対し、当該需要家の施設において、環境負荷を与えない発電資源によって発電され、かつ当該需要家の施設において消費されたエネルギ消費量の割合を算出する式である、エネルギ管理サーバ。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載のエネルギ管理サーバであって、さらに、前記ネットワークに接続され、前記ネットワークを介し、エコレースの主催者からエコレース情報の入力を受信し、前記エコレース情報記憶手段に保存するための手段をさらに含む、エネルギ管理サーバ。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載のエネルギ管理サーバであって、さらに、前記ネットワークに接続され、前記エコレース情報記憶手段に記憶されたエコレース情報に基づき、実施期間開始前のエコレースに関する開催情報を前記ネットワークに接続された各前記集計手段に送信するための開催情報送信手段を含む、エネルギ管理サーバ。
【請求項9】
ネットワークに接続されるコンピュータを、
省エネルギの程度を競う競技であるエコレースを実施するために必要なエコレース情報を記憶するためのエコレース情報記憶手段と、
ネットワークに接続され、前記エコレース情報記憶手段に記憶されたエコレース情報に基づき、当該エコレース情報に対応するエコレースへの複数の参加者を、前記ネットワークを介して募集するための参加者募集手段と、
前記参加者募集手段により募集された参加者の各々に関する情報を記憶するための参加者情報記憶手段として機能させるコンピュータプログラムであって、
前記参加者の施設の各々には、当該施設で消費されるエネルギ量を集計するための集計手段が設けられ、かつ当該集計手段は前記ネットワークに接続されており、
前記コンピュータプログラムはさらに、前記コンピュータを、
前記ネットワークに接続され、当該ネットワークを介して、各参加者の施設で消費されるエネルギ量に関する情報を、各参加者の施設に設けられた前記集計手段から周期的に収集し記憶するためのエネルギ消費量情報収集・記憶手段と、
前記エコレース情報記憶手段に記憶されたエコレース情報に基づき、エコレースの終期が到来したことに応答して、前記参加者情報記憶手段に記憶された参加者の情報と、前記エネルギ消費量情報収集・記憶手段に記憶された、各参加者の施設におけるエネルギ消費量に関する情報とに基づいて、前記エコレースにおける参加者の順位を決定するための順位決定手段として機能させる、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−88892(P2012−88892A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234377(P2010−234377)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)