説明

エピクロロヒドリンを含有する生成物、その調製および種々の用途におけるその使用

エピクロロヒドリンと、生成物1kgあたり0.1g未満の量の少なくとも1種のアルキルグリシジルエーテルとを含有する生成物。エポキシ樹脂、グリシジルエーテル、グリシジルエステル、グリシジルアミド、グリシジルイミド、食品および飲料用途において用いられることとなる生成物、カチオン化剤、および難燃剤、洗浄成分として用いられることとなる生成物、ならびにエピクロロヒドリンオリゴマーの生産における、エピクロロヒドリンを含有する生成物の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、そのすべての内容を参照により本明細書に援用する、2007年12月14日に出願の米国仮特許出願第61/007,661号、2007年6月12日に出願の仏国特許出願公開第07/55696号、2007年9月21日に出願の仏国特許出願公開第07/57751号、および2007年12月14日出願の米国仮特許出願第61/013672号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、エピクロロヒドリンベースの生成物、その+調製方法および種々の用途におけるこの生成物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
エピクロロヒドリンは、例えばエポキシ樹脂、合成エラストマー、グリシジルエーテル、ポリアミド樹脂等といった種々の生成物の生産における反応中間体である((非特許文献1))。
【0004】
エピクロロヒドリンは、例えば、過酸化水素での塩化アリルのエポキシ化またはジクロロプロパノールの脱塩化水素といった数々の経路により得ることが可能である。
【0005】
ジクロロプロパノール経路は、グリセロールの塩化水素処理によってジクロロプロパノールを得ることが可能であるという利点をもたらす。このグリセロールは、化石原料から、または再生可能な原料から、例えば、動物または植物由来の脂肪または油からエステル交換方法により得ることが可能である。
【0006】
いくつかの場合において、このように得られたエピクロロヒドリンは、一定の用途に対して不適切な不純物を含む。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版、第A9巻、539ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目標は、すべての既知の用途に好適なエピクロロヒドリンを含有する新規の生成物を提供することによりこれらの問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、従って、第1の実施形態において、エピクロロヒドリンと、生成物1kgあたり0.1g未満の量の少なくとも1種のアルキルグリシジルエーテルとを含有する生成物に関する。
【0010】
本発明の基本的な特徴の1つは不要な不純物の識別に属する。グリシジルアルキルエーテルは、不要な不純物として実際に識別されている。これらは、沸点が類似しているためエピクロロヒドリンから分離することがきわめて困難である。エピクロロヒドリン中のグリシジルアルキルエーテルの存在は、種々の理由のために、これらの用途のいくつかにおいて厄介であることを立証し得る。グリシジルエーテルは、繁殖毒性、免疫毒性および皮膚への毒性を有すると疑われている。グリシジルメチルエーテルもまた突然変異誘発性であると疑われている。これらのエーテルは、例えばエポキシド環の開環を介して高分子鎖に挿入される可能性がある分子として合成プロセスに干渉することが可能である。これらは最終生成物中に残留する可能性があり、最終生成物の特性の劣化に付随して分解する可能性がある。これらはいくらかの毒性を示すか、いくらかの毒性を示す化合物中で分解されることが可能であり、特に最終生成物が食品および飲料と接触することが意図される場合に安全性の問題を提起する。しかも、これらは、例えば廃水、または、パルプおよび紙産業においてリサイクルされるパルプを含有する水などの工業用水に蓄積され、汚染することが可能である。後者の場合には、これらのより高い濃度は、リサイクルされた水を用いて形成される紙の汚染を増加する可能性がある。
【0011】
本発明の生成物におけるアルキルグリシジルエーテルの含有量は、好ましくは0.08g/kg以下、より好ましくは0.06g/kg以下、さらにより好ましくは0.04g/kg以下、なお好ましくは0.020g/kg以下、最も好ましくは0.01g/kg以下および特に最も好ましくは0.005g/kg以下である。この含有量は、通常は0.0005g/kg以上である。
【0012】
本発明による生成物は、一般に生成物1kgあたり900g以上、好ましくは950g/kg以上、より好ましくは990g/kg以上、さらより好ましくは999g/kg以上および最も好ましくは999.5g/kg超であるエピクロロヒドリン含有量を有する。
【0013】
アルキルグリシジルエーテルのアルキル基は、直鎖または分岐または脂環式脂肪族アルキル基であることが可能であり、好ましくは直鎖または分岐脂肪族基である。
【0014】
アルキルグリシジルエーテルのアルキル基は、一般に1個以上、しばしば2個以上および頻繁に3個以上である多数の炭素原子を含有する。この炭素原子の数は、一般に10個以下、しばしば8個以下および頻繁に6個以下である。
【0015】
このアルキル基は、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルおよびオクチル基から選択され、ならびに、より好ましくはメチル、エチル、プロピルおよびブチル基から選択され、ならびに、特に好ましくはメチルおよびエチル基から選択される。特にきわめて好ましくは、このアルキル基はメチル基である。このプロピル基は、n−プロピルおよびイソプロピル基から選択されることが可能であり、ならびに、好ましくはイソプロピル基である。このブチル基は、1−ブチル、2−ブチル、イソブチルおよびt−ブチル基から選択されることが可能であり、好ましくはイソブチルおよびt−ブチル基から選択されることが可能である。
【0016】
本発明による生成物は、アルキルグリシジルエーテルおよびエピクロロヒドリンに追加して、少なくとも1種のハロゲン化炭化水素を含有し得る。このハロゲン化炭化水素は、任意に酸素を含有していてもよい、脂肪族または芳香族ハロゲン化炭化水素であり得る。これは、しばしば、脂肪族ハロゲン化炭化水素であり、頻繁に芳香族炭化水素である。
【0017】
生成物におけるハロゲン化炭化水素の含有量は、通常は生成物1kgあたり1g未満、好ましくは生成物1kgあたり0.8g以下、好ましくは0.6g/kg以下、より好ましくは0.5g/kg以下、さらより好ましくは0.4g/kg以下、さらにより好ましくは0.2g/kg以下、最も好ましくは0.1g/kg以下、より最も好ましくは0.05g/kg以下、さらに最も好ましくは0.01g/kg以下、および最も特に好ましくは0.001g/kg以下である。この含有量は、一般に0.001mg/kg以上である。
【0018】
このハロゲン化炭化水素は、クロロプロペン、トリクロロプロペン、トリクロロプロパン、クロロプロパノール、クロロプロペノール、ジクロロプロペン、ジクロロプロパン、ジクロロプロパノール、モノクロロプロパンジオール、クロロエーテル、モノクロロベンゼン、およびこれらのうちの少なくとも2種のいずれかの混合物から選択されることが可能である。
【0019】
このハロゲン化炭化水素は、
・クロロプロペン、しばしば2−クロロ−1−プロペン、頻繁に1−クロロ−1−プロペンシス、通常は1−クロロ−1−プロペントランスおよび具体的には3−クロロ−1−プロペンおよびこれらのうちの少なくとも2種のいずれかの混合物
・クロロプロパン、しばしば2−クロロプロパン、頻繁に1−クロロプロパンおよびこれらのうちの少なくとも2種のいずれかの混合物
・塩化メチル、しばしばジクロロメタン、頻繁にトリクロロメタン、通常はテトラクロロメタンおよびこれらのうちの少なくとも2種のいずれかの混合物
・ジクロロエタン、しばしば1,2−ジクロロエタン、
・クロロエタノール、しばしば2−クロロエタノール、
・トリクロロプロペン、しばしば1,3,3−トリクロロ−1−プロペン−シス、頻繁に1,3,3−トリクロロ−1−プロペン−トランス、通常は1,2,3−トリクロロプロペン−シス(?)、具体的には1,2,3−トリクロロプロペン−トランスおよびこれらのうちの少なくとも2種のいずれかの混合物
・トリクロロプロパン、しばしば1,2,3−トリクロロプロパン、頻繁に1,1,1−トリクロロプロパン、通常は1,1,3−トリクロロプロパン、通例1,1,2−トリクロロプロパンおよびこれらのうちの少なくとも2種のいずれかの混合物、
・クロロプロパノール、しばしば3−クロロ−1−プロパノール、
・クロロプロペノール、しばしば2−クロロ−2−プロペン−1−オール、頻繁に3−クロロ−2−プロペン−1−オールシスおよび具体的には3−クロロ−2−プロペン−1−オールトランス、およびこれらのうちの少なくとも2種のいずれかの混合物
・ジクロロプロペン、しばしばシス−1,3−ジクロロプロペン、頻繁にトランス−1,3−ジクロロプロペン、通常は3,3−ジクロロ−1−プロペン、頻繁に2,3−ジクロロ−1−プロペン、通常は1,3−ジクロロ−1−プロペン−シス、具体的には1,3−ジクロロ−1−プロペン−トランス、およびこれらのうちの少なくとも2種のいずれかの混合物、
・ジクロロプロパン、好ましくは1,3−ジクロロプロパン、1,2−ジクロロプロパン、2,2−ジクロロプロパン、およびこれらのうちの少なくとも2種のいずれかの混合物
・ジクロロプロパノール、しばしば1,3−ジクロロプロパン−2−オール、2,3−ジクロロプロパン−1−オール、およびこれらの混合物、
・モノクロロプロパンジオール、しばしば3−クロロ−1,2−プロパンジオール、頻繁に2−クロロ−1,3−プロパンジオール、およびこれらの混合物、ならびに
・クロロエーテル、好ましくは、粗式:C10Cl、C12ClO、CCl、C11Cl、およびこれらのうちの少なくとも2種の混合物から選択されるクロロエーテル、
・粗式CClO、CCl、CCl、C17Cl、C15ClO、CCl、およびこれらのうちの少なくとも2種の混合物の化合物
・ジクロロエポキシプロパン、
およびこれらのうちの少なくとも2種のいずれかの混合物
などの脂肪族ハロゲン化炭化水素から選択されることが可能である。
【0020】
芳香族ハロゲン化炭化水素は、少なくとも1種の芳香族性の環およびハロゲン原子を含む。ハロゲン原子は、芳香族環に直接的に結合していることが好ましい。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素およびこれらの混合物から選択され得る。塩素が好ましい。芳香族環は、単核性または多核性であり得、単核性であることが好ましい。芳香族ハロゲン化炭化水素は、モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−およびヘキサクロロ−ベンゼンおよび/またはナフタレンから選択され得る。モノクロロベンゼンが特に好ましい。
【0021】
1つの理論的説明に束縛されることは望まないが、モノクロロベンゼンは、特にこれがジクロロプロパノールの脱塩化水素により得られる場合に、エピクロロヒドリンを製造する方法に由来すると考えられている。より具体的には、モノクロロベンゼンは、特にこれが塩化水素を含有する塩素化剤を用いてグリセロールを塩素化する方法により得られる場合に、ジクロロプロパノール中に存在し得ると考えられている。さらにより具体的には、クロロベンゼンは、特にこれが、例えば4,4−メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)またはトルエンジイソシアネート(TDI)またはヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート(HDI)などの、イソシアネート、ジイソシアネートまたはポリイソシアネートの製造などの他の製造方法に由来する場合には、塩化水素中に存在し得ると考えられている。
【0022】
本発明による生成物は、クロロプロペンを、通常は生成物1kgあたり0.8g以下、しばしば0.6g/kg以下、頻繁に0.5g/kg以下、よりしばしば0.4g/kg以下、より頻繁に0.2g/kg以下、さらにしばしば0.1g/kg以下、さらにより頻繁に0.05g/kg以下、さらによりしばしば0.01g/kg以下、および特に0.001g/kg以下の含有量で含有することが可能である。この含有量は、通常は少なくとも0.001mg/kgである。クロロプロペンは、2−クロロ−1−プロペン、1−クロロ−1−プロペンシス、1−クロロ−1−プロペントランス、3−クロロ−1−プロペン、およびこれらのうちの少なくとも2種のいずれかの混合物から選択され得る。
【0023】
本発明による生成物は、トリクロロプロパンを、通常は生成物1kgあたり0.8g以下、しばしば0.6g/kg以下、頻繁に0.5g/kg以下、よりしばしば0.4g/kg以下、より頻繁に0.2g/kg以下、さらにしばしば0.1g/kg以下、さらにより頻繁に0.05g/kg以下、さらによりしばしば0.01g/kg以下、および特に0.001g/kg以下の含有量で、通例生成物1kgあたり0.008g以下の量、より通例では0.006g/kg以下の量、さらにしばしば0.004g/kg以下の量、さらによりしばしば0.002g/kg以下の量、最も頻繁に0.001g/kg以下の量、さらに最も頻繁に0.0005g/kg以下の量で含有することが可能である。この含有量は、通常は少なくとも0.001mg/kgである。
【0024】
本発明による生成物は、トリクロロプロペンを、通常は生成物1kgあたり0.8g以下の含有量、しばしば0.6g/kg以下、頻繁に0.5g/kg以下、よりしばしば0.4g/kg以下、より頻繁に0.2g/kg以下、さらにしばしば0.1g/kg以下、さらにより頻繁に0.05g/kg以下、さらによりしばしば0.01g/kg以下、および特に0.001g/kg以下の量で含有することが可能である。この含有量は、通常は少なくとも0.001mg/kgである。この含有量は、少なくとも0.001g/kgである。トリクロロプロペンは、1,3,3−トリクロロ−1−プロペン−シス、1,3,3−トリクロロ−1−プロペン−トランス、1,2,3−トリクロロプロペン−シス、具体的には1,2,3−トリクロロプロペン−トランスおよびこれらのうちの少なくとも2種のいずれかの混合物から選択され得る。
【0025】
本発明による生成物は、クロロプロペノールを、通常は生成物1kgあたり0.8g以下の含有量、しばしば0.6g/kg以下、頻繁に0.5g/kg以下、よりしばしば0.4g/kg以下、より頻繁に0.2g/kg以下、さらにしばしば0.1g/kg以下、さらにより頻繁に0.05g/kg以下、さらによりしばしば0.01g/kg以下、および特に0.001g/kg以下の含有量で含有することが可能である。この含有量は、通常は少なくとも0.001mg/kgである。クロロプロペノールは、2−クロロ−2−プロペン−1−オール、3−クロロ−2−プロペン−1−オールシス、3−クロロ−2−プロペン−1−オールトランスおよびこれらのうちの少なくとも2種のいずれかの混合物から選択され得る。
【0026】
本発明による生成物は、ジクロロプロペンを、通常は生成物1kgあたり0.8g以下の含有量、しばしば0.6g/kg以下、頻繁に0.5g/kg以下、よりしばしば0.4g/kg以下、より頻繁に0.2g/kg以下、さらにしばしば0.1g/kg以下、さらにより頻繁に0.05g/kg以下、さらによりしばしば0.01g/kg以下、および特に0.001g/kg以下の含有量で含有し得る。この含有量は、通常は少なくとも0.001mg/kgである。このジクロロプロペンは、3,3−ジクロロ−1−プロペン、2,3−ジクロロ−1−プロペン、1,3−ジクロロ−1−プロペン−シス、1,3−ジクロロ−1−プロペン−トランス、およびこれらのうちの少なくとも2種のいずれかの混合物から選択され得る。
【0027】
本発明による生成物は、ジクロロプロパンを、通常は生成物1kgあたり0.8g以下、しばしば0.6g/kg以下、頻繁に0.5g/kg以下、よりしばしば0.4g/kg以下、より頻繁に0.2g/kg以下、さらにしばしば0.2g/kg以下、さらにより頻繁に0.05g/kg以下、さらによりしばしば0.01g/kg以下、および特に0.001g/kg以下の含有量で含有することが可能である。この含有量は、通常は少なくとも0.001mg/kgである。ジクロロプロパンは、1,3−ジクロロプロパン、1,2−ジクロロプロパン、2,2−ジクロロプロパン、およびこれらのうちの少なくとも2種のいずれかの混合物から選択され得る。
【0028】
本発明による生成物は、ジクロロプロパノールを、通常は生成物1kgあたり0.8g以下、しばしば0.6g/kg以下、頻繁に0.5g/kg以下、よりしばしば0.4g/kg以下、より頻繁に0.2g/kg以下、さらにしばしば0.1g/kg以下、さらにより頻繁に0.05g/kg以下、さらによりしばしば0.01g/kg以下、および特に0.001g/kg以下の含有量で含有することが可能である。この含有量は、通常は少なくとも0.001mg/kgである。ジクロロプロパノールは、1,3−ジクロロプロパン−2−オール、2,3−ジクロロプロパン−1−オールおよびこれらのいずれかの混合物から選択され得る。
【0029】
本発明による生成物は、モノクロロプロパンジオールを、通常は生成物1kgあたり0.8g以下、しばしば0.6g/kg以下、頻繁に0.5g/kg以下、よりしばしば0.4g/kg以下、より頻繁に0.2g/kg以下、さらにしばしば0.1g/kg以下、さらにより頻繁に0.05g/kg以下、さらによりしばしば0.01g/kg以下、および特に0.001g/kg以下の含有量で含有することが可能である。この含有量は、通常は少なくとも0.001mg/kgである。モノクロロプロパンジオールは、3−クロロ−1,2−プロパンジオール、2−クロロ−1,3−プロパンジオールおよびこれらのいずれかの混合物から選択され得る。
【0030】
本発明による生成物は、通常、クロロエーテルを、通常は生成物1kgあたり0.8g以下、しばしば0.6g/kg以下、頻繁に0.5g/kg以下、よりしばしば0.4g/kg以下、より頻繁に0.2g/kg以下、さらにしばしば0.1g/kg以下、さらにより頻繁に0.05g/kg以下、さらによりしばしば0.01g/kg以下、および特に0.001g/kg以下の含有量で含有することが可能である。この含有量は、通常は少なくとも0.001mg/kgである。クロロエーテルは、粗式C10Cl、C12ClO、CCl、C11Clのクロロエーテル、およびこれらのいずれかの混合物から選択され得る。
【0031】
本発明による生成物は、通常はクロロベンゼン、しばしばモノクロロベンゼンを、通常は生成物1kgあたり0.8g以下の含有量、しばしば0.6g/kg以下、頻繁に0.5g/kg以下、よりしばしば0.4g/kg以下、より頻繁に0.2g/kg以下、さらにしばしば0.1g/kg以下、さらにより頻繁に0.05g/kg以下、さらによりしばしば0.01g/kg以下、および特に0.001g/kg以下の量で含有する。この含有量は、通常は少なくとも0.001mg/kgである。
【0032】
本発明による生成物はまた、エピクロロヒドリン、アルキルグリシジルエーテルおよびハロゲン化炭化水素に追加して、例えば:
・アセトアルデヒド、アクロレイン、イソブタナル、イソペンタナル、およびこれらのちの少なくとも2種のいずれかの混合物といったアルデヒド、
・アセトン、クロロアセトン、シクロペンタノン、2−ブタノン、シクロヘキサノン、2−メチル−2−シクロペンテン−1−オン、粗式C10O、C12Oの3,5−ジメチル−2−シクロヘキセン−1−オンケトン、およびこれらのうちの少なくとも2種のいずれかの混合物といったケトン、
・イソプロパノール、アリルアルコール、グリセロール、およびこれらのうちの少なくとも2種のいずれかの混合物といった脂肪族アルコール、
・フェノールといった芳香族アルコール、
・ヒドロキシアセトンといったヒドロキシケトン、
・プロピレンオキシド、1,2−エポキシヘキサン、グリシドール、およびこれらのうちの少なくとも2種のいずれかの混合物といったエピクロロヒドリンとは異なるエポキシド、
・メチルシクロペンタン、エチルベンゼン、およびこれらのうちの少なくとも2種のいずれかの混合物といった炭化水素、
・粗式C10O、C10O、C14、C、C10、およびこれらのうちの少なくとも2種のいずれかの混合物の化合物
などの化合物を含有し得る。
【0033】
本発明による生成物は、少なくとも1種のアルデヒドを、通常は生成物1kgあたり0.8g以下、しばしば0.6g/kg以下、頻繁に0.5g/kg以下、よりしばしば0.4g/kg以下、より頻繁に0.2g/kg以下、さらにしばしば0.1g/kg以下、さらにより頻繁に0.05g/kg以下、さらによりしばしば0.01g/kg以下、および特に0.001g/kg以下の含有量で含有することが可能である。この含有量は、通常は少なくとも0.001mg/kgである。アルデヒドは、アセトアルデヒド、アクロレイン、イソブタナル、イソペンタナルおよびこれらのうちの少なくとも2種のいずれかの混合物から選択され得る。
【0034】
本発明による生成物は、通常、アクロレインを、通常は生成物1kgあたり0.07g未満、好ましくは0.01g/kg以下およびより好ましくは0.005g/kg以下の量で含有することが可能である。この含有量は、少なくとも0.001g/kgである。
【0035】
本発明による生成物は、ケトンを、通常は生成物1kgあたり0.8g以下、しばしば0.6g/kg以下、頻繁に0.5g/kg以下、よりしばしば0.4g/kg以下、より頻繁に0.2g/kg以下、さらにしばしば0.1g/kg以下、さらにより頻繁に0.05g/kg以下、さらによりしばしば0.01g/kg以下、および特に0.001g/kg以下の含有量で含有することが可能である。この含有量は、通常は少なくとも0.001mg/kgである。ケトンは、アセトン、クロロアセトン、2−ブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−メチル−2−シクロペンテン−1−オン、3,5−ジメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、粗式C10O、C12Oのケトン、およびこれらのうちの少なくとも2種のいずれかの混合物から選択され得る。
【0036】
本発明による生成物は、シクロペンタノンを、通常は0.001mg/kg以上、しばしば0.01mg/kg以上、頻繁に0.1mg/kg以上および特に0.001g/kg以上の量で含有することが可能である。この含有量は、通常、0.5g/kg以下、しばしば0.3g/kg以下、頻繁に0.1g/kg以下、よりしばしば0.05g/kg以下、より頻繁に0.01g/kg以下および特に0.005g/kg以下である。この含有量は、通常、0.001mg/kg以上、しばしば0.01mg/kg以上、頻繁に0.1mg/kg以上、よりしばしば0.5mg/kg以上および殊更に1mg/kg以上である。
【0037】
本発明による生成物は、クロロアセトンを、通常は生成物1kgあたり0.05g未満、好ましくは0.03g/kg以下およびより好ましくは0.01g/kg以下の量で含有することが可能である。この含有量は、少なくとも0.001g/kgである。
【0038】
本発明による生成物は、脂肪族アルコールを、通常は通常は生成物1kgあたり0.8g以下の含有量で、しばしば0.6g/kg以下、頻繁に0.5g/kg以下、よりしばしば0.4g/kg以下、より頻繁に0.2g/kg以下、さらにしばしば0.1g/kg以下、さらにより頻繁に0.05g/kg以下、さらによりしばしば0.01g/kg以下、および特に0.001g/kg以下の含有量で含有することが可能である。この含有量は、通常は少なくとも0.001mg/kgである。脂肪族アルコールは、イソプロパノール、アリルアルコール、グリセロール、およびこれらのうちの少なくとも2種のいずれかの混合物から選択され得る。
【0039】
本発明による生成物は、ヒドロキシケトンを、通常は生成物1kgあたり0.8g以下の含有量で、しばしば0.6g/kg以下、頻繁に0.5g/kg以下、よりしばしば0.4g/kg以下、より頻繁に0.2g/kg以下、さらにしばしば0.2g/kg以下、さらにより頻繁に0.05g/kg以下、さらによりしばしば0.01g/kg以下、および特に0.001g/kg以下の含有量で含有することが可能である。この含有量は、通常は少なくとも0.001mg/kgである。ヒドロキシケトンは、しばしばヒドロキシアセトンである。
【0040】
本発明による生成物は、エピクロロヒドリンとは異なるエポキシドを、通常は生成物1kgあたり0.8g以下の含有量で、しばしば0.6g/kg以下、頻繁に0.5g/kg以下、よりしばしば0.4g/kg以下、より頻繁に0.2g/kg以下、さらにしばしば0.2g/kg以下、さらにより頻繁に0.05g/kg以下、さらによりしばしば0.01g/kg以下、および特に0.001g/kg以下の含有量で含有することが可能である。この含有量は、通常は少なくとも0.001mg/kgである。エポキシドは、プロピレンオキシド、1,2−エポキシヘキサン、グリシドール、およびこれらのうちの少なくとも2種のいずれかの混合物から選択され得る。
【0041】
本発明による生成物は、グリシドールを、通常は生成物1kgあたり0.5g以下の含有量で、一般に0.2g/kg以下、頻繁に生成物1kgあたり0.10g以下、通例生成物1kgあたり0.05g以下、しばしば0.01g/kg以下および頻繁に0.005g/kg以下の量で含有することが可能である。
【0042】
本発明による生成物は、通常、その含有量の和が生成物1kgあたり0.1g未満、好ましくは0.01g/kg以下およびより好ましくは0.005g/kg以下であるグリセロール、ヒドロキシアセトンおよびグリシドールを含有する。この含有量は、少なくとも0.001g/kgである。
【0043】
本発明による生成物は、ジクロロプロパノールおよび少なくとも1種のクロロアルコキシプロパノールを通常は組成物1kgあたり0.1g以下の量で含有する組成物の脱塩化水素により得ることが可能である。
【0044】
クロロアルコキシプロパノールのアルコキシ基は、一般に1個以上、しばしば2個以上および頻繁に3個以上である多数の炭素原子を含有する。この炭素原子の数は、一般に10個以下、しばしば8個以下および頻繁に6個以下である。
【0045】
クロロアルコキシプロパノールのアルコキシ基は直鎖または分岐または脂環式脂肪族アルコキシ基であることが可能であり、好ましくは直鎖または分岐脂肪族基である。アルコキシ基は、好ましくは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシル、ヘキソキシ、ヘプトキシおよびオクトキシ基から選択され、ならびに、より好ましくはメトキシ、エトキシ、プロポキシルおよびブトキシ基から選択され、ならびに、特に好ましくはメトキシおよびエトキシ基から選択される。特にきわめて好ましくは、アルコキシ基はメトキシ基である。プロポキシ基は、n−プロポキシおよびイソプロポキシ基から選択されることが可能であり、好ましくはイソプロポキシ基である。ブトキシ基は、1−ブトキシ、2−ブトキシ、イソブトキシおよびt−ブトキシ基から選択されることが可能であり、好ましくはイソブトキシおよびt−ブトキシ基から選択されることが可能である。
【0046】
好ましくは、アルキルグリシジルエーテルのアルキル基はメチル基であると共に、クロロアルコキシプロパノールのアルコキシ基はメトキシ基である。
【0047】
本発明による生成物はジクロロプロパノールを含有する組成物から得ることが可能であり、ここで、クロロアルコキシプロパノール、好ましくはクロロメトキシプロパノールの含有量は、好ましくは0.08g/kg以下、より好ましくは0.06g/kg以下、さらにより好ましくは0.04g/kg以下、なお好ましくは0.05g/kg以下、最も好ましくは0.01g/kg以下および特に最も好ましくは0.005g/kg以下である。この含有量は、通常は0.0005g/kg以上である。
【0048】
クロロメトキシプロパノールは、2−クロロ−3−メトキシ−プロパン−1−オール、1−クロロ−3−メトキシ−プロパン−2−オールおよびこれらの混合物から選択されることが可能である。
【0049】
如何なる理論にも束縛されることはないが、ジクロロプロパノールがクロロアルコキシプロパノールの種々の異性体により汚染されている場合、ジクロロプロパノールのエピクロロヒドリンへの脱塩化水素には、クロロアルコキシプロパノールのアルキルグリシジルエーテルへの脱塩化水素が伴うと考えられている。これらのアルキルグリシジルエーテルは、通常、エピクロロヒドリンの沸点ときわめて類似する沸点を示し、このために、分離することがきわめて困難である。
【0050】
ジクロロプロパノールの生産の最中であって、特に、グリセロールおよびグリセロールの少なくとも1種のアルキルエーテルを含有する化合物の塩化水素処理によりジクロロプロパノールが得られる場合にクロロアルコキシプロパノールが生成される可能性がある。グリセロールアルキルエーテルは、グリセロールを生産する方法であって、特に、動物および/または植物由来の油および/または脂肪のエステル交換反応からグリセロールが得られる方法に由来することが可能である。
【0051】
本発明によるジクロロプロパノールを含有する組成物は、グリセロールおよび少なくとも1種のグリセロールアルキルエーテルを、通常は0.6g/kg以下、好ましくは0.1g/kg以下、より好ましくは0.02g/kg以下、なお好ましくは0.015g/kg以下および最も好ましくは0.01g/kg以下である量で含有する化合物の塩化水素処理によって得ることが可能である。この含有量は、通常は化合物1kgあたり0.0005g以上である。グリセロールアルキルエーテル中のアルキル基は上記に定義されているとおりであり、好ましくはメチル基である。
【0052】
本発明は、第2の実施形態において、エピクロロヒドリンと、生成物1kgあたり0.1g未満の量の少なくとも1種のアルキルグリシジルエーテルとを含有する生成物を得るための方法に関する。この生成物は、ジクロロプロパノールと、少なくとも1種のクロロアルコキシプロパノールを通常は組成物1kgあたり0.1g以下の量で含有する組成物の脱塩化水素により得ることが可能である。ジクロロプロパノールと少なくとも1種のクロロアルコキシプロパノールとを含有する組成物は、グリセロールと、少なくとも1種のグリセロールアルキルエーテルを化合物1kgあたり0.6g以下の量で含有する化合物の塩化水素処理により得ることが可能である。
【0053】
本発明による生成物を生成する方法は、以下の:
(a)ジクロロプロパノールと、組成物1kgあたり0.1g以下の量の少なくとも1種のクロロアルコキシプロパノールとを含有する組成物を得るために、グリセロールと、少なくとも1種のグリセロールアルキルエーテルを化合物1kgあたり0.6g以下の量で含有する化合物をカルボン酸の存在下に塩化水素と反応させるステップ
(b)エピクロロヒドリンと、生成物1kgあたり0.1g未満の量の少なくとも1種のアルキルグリシジルエーテルとを含有する生成物を得るために、ステップ(a)において得られたジクロロプロパノールを含有する組成物を塩基性剤とさらに反応させるステップ
を含む。
【0054】
この方法は、任意により以下の:
(c)グリセロールのエーテルが形成されると共にグリセロールから分離されないような条件下で、植物性脂肪または油をアルコールと反応させてグリセロールを含有する化合物を得るステップ、
(d)グリセロールと、少なくとも1種のグリセロールアルキルエーテルを好ましくは0.6g/kg以下である量で含有する化合物を得るために、ステップ(c)において得られたグリセロールを含有する化合物が、任意により減圧下で、蒸発濃縮、蒸発結晶化、蒸留、分留、ストリッピングまたは液体−液体抽出の少なくとも1種の処理にさらに供されるステップ
を含む。
【0055】
この方法のステップ(a)の条件は、その内容が本明細書において参照により援用される、SOLVAY SAによる出願の国際特許出願第PCT/EP2007/055742号パンフレット、より具体的には18ページ、17〜25行、および19ページ、4〜19行の一節に記載のものなどである。
【0056】
この方法のステップ(a)の条件は、その内容が本明細書において参照により援用される、SOLVAY SAによる出願の国際特許出願第PCT/EP2007/055742号パンフレット、より具体的には11ページ、12行〜17ページ、24行、および17ページ、31〜35行の一節に記載のものなどである。この触媒はドデカン酸ベースであることが可能である。
【0057】
この方法のステップ(c)および(d)の条件は、その内容が本明細書において参照により援用される、SOLVAY SAによる出願の国際特許出願第PCT/EP2007/055742号パンフレット、より具体的には6ページ、18行〜11ページ、11行の一節に記載のものなどである。
【0058】
本発明はまた、第3の実施形態において、エポキシ樹脂などのエポキシ誘導体、食品および飲料用途に用いられることとなる生成物、カチオン化剤、難燃剤、洗浄成分として用いられることとなる生成物、およびエピクロロヒドリンエラストマーの生産における、エピクロロヒドリンと、生成物1kgあたり0.1g以下の量の少なくとも1種のアルキルグリシジルエーテルとを含有する上述の本発明の生成物の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】エポキシ樹脂の化学式の例である。
【図2】少なくとも1個の芳香族ヒドロキシル基を有する化合物の化学式の例である。
【図3】1分子当たり、少なくとも1個の芳香族ヒドロキシル基または芳香族アミン基を有する化合物の化学式の例である。
【図4】ポリシクロペンタジエンポリフェノールまたは芳香族ポリアミンの化学式の例である。
【図5】凝析剤分子の化学式の例である。
【図6】湿潤強化樹脂ポリマーの化学式の例である。
【図7】リン含有難燃剤として用いられる化合物の化学式の例である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
1.エポキシ誘導体
1.1.一般
エポキシ誘導体は、例えば、エポキシ樹脂、グリシジルエーテル、グリシジルエステルおよびグリシジルアミド、ならびにイミドである。グリシジルエステルの例は、グリシジルアクリレートおよびグリシジルメタクリレートである。
【0061】
エポキシ樹脂とは、その化学式が、少なくとも1つのオキシラン基、好ましくは1つの2,3−エポキシプロピルオキシ基を含有するポリマーを示すことが意図される。
【0062】
ポリマーとは、化学共有結合を介して、しばしば反復的な様式で相互に結合された多くの単位を有する分子を示すことが意図され、これらの単位は繰り返し単位と称される。繰り返し単位の数は1以上である。ポリマーは、少なくとも1つのタイプの繰り返し単位を含有する。ポリマーが1つのタイプの繰り返し単位のみを含有する場合、これはホモポリマーと呼ばれる。ポリマーが2つ以上のタイプの繰り返し単位を含有する場合、これはコポリマーと呼ばれる。これらのコポリマーは、「Polymer Science Dictionary、M.S.M.,Elsevier Applied Science(LondonおよびNew York)、1989年、86ページ」に記載のものなどの、ランダムタイプ、交互タイプまたはブロックタイプのものであることが可能である。
【0063】
エポキシ樹脂の化学式の例が図1に示されており、式中、nは0ではない。
【0064】
グリシジルエーテルとは、その化学式が少なくとも1種のグリシジル(2,3−エポキシプロピル)基を含有すると共に、ポリマーではないエーテルを示すことが意図される。グリシジルエーテルの例は、N−ブチルグリシジルエーテル、C12〜C14脂肪族グリシジルエーテル、o−クレゾールグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルおよびブタンジオールジグリシジルエーテルである。
【0065】
グリシジルエステルとは、その化学式が少なくとも1種のグリシジル(2,3−エポキシプロピル)基を含有すると共に、ポリマーではないエステルを示すことが意図される。グリシジルエステルの例は、ヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステル、ネオデカン酸のグリシジルエステル、グリシジルアクリレートおよびグリシジルメタクリレートである。
【0066】
グリシジルアミドおよびイミドとは、その化学式が少なくとも1種のグリシジル(2,3−エポキシプロピル)基を含有すると共に、ポリマーではないアミドまたはイミドを示すことが意図される。グリシジルアミドおよびイミドの例は、1,3,5−トリス(2,3−エポキシプロピル)−1,3,5−ペルヒドロトリアジン−2,4,6−トリオンおよび5,5−ジメチル−1,3−ビス(2,3−エポキシプロピル)−2,4−イミダゾリジンジオンである。
【0067】
1.2.共反応体
本発明によるエピクロロヒドリンを含有する生成物がエポキシ誘導体の製造に用いられる場合、エピクロロヒドリンを含有する生成物は、通常は、少なくとも1個の活性水素原子、好ましくは少なくとも2個の活性水素原子を含有する少なくとも1種の化合物との反応に供され、続いて、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版、1987年、第A9巻、547〜553ページに記載されているとおり脱塩化水素に供される。
【0068】
1個の活性水素原子を含有する化合物は、モノアルコールから、好ましくは1−ブタノール、C12〜C14第1級アルコールまたはクレゾール、ならびにこれらの混合物、例えばネオデカン酸、アクリル酸、メタクリル酸またはこれらの混合物のようなモノカルボン酸から選択されることが可能である。
【0069】
少なくとも2個の活性水素原子を含有する化合物は、ポリオール、ポリアミン、アミノアルコール、ポリイミドおよびアミド、ポリカルボン酸、ならびに、これらの混合物から選択されることが可能である。
【0070】
ポリオールは芳香族または脂肪族であることが可能である。芳香族ポリオールが好ましい。
【0071】
好ましい脂肪族ポリオールは脂肪族ジオールであり、より好ましくはブタンジオール、ネオペンチルグリコール、水素化ビスフェノールA(4,4’−ジヒドロキシ−2,2−ジシクロヘキシルプロパン)、および脂肪族トリオール、好ましくはグリセロール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール、ならびに、これらの混合物から選択される。
【0072】
芳香族ポリオールは、ポリヒドロキシベンゼン、ポリフェノール化合物、およびこれらの混合物から選択されることが可能である。
【0073】
ポリヒドロキシベンゼンは、ジヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシベンゼン、およびこれらの混合物から選択されることが好ましい。ジヒドロキシベンゼンは、より好ましくは、1,2−、1,3−、1,4−ジヒドロキシベンゼンおよびこれらの混合物から選択される。
【0074】
トリヒドロキシベンゼンは1,3,5−トリヒドロキシベンゼンであることが好ましい。
【0075】
ポリフェノール化合物は、一般に、その分子が少なくとも1個の芳香族ヒドロキシル基を含有する化合物である。
【0076】
本明細書において利用されることが可能である少なくとも1個の芳香族ヒドロキシル基を有する好適な化合物は、その内容が本明細書において参照により援用される米国特許第4,499,255号明細書のものなどであり、例えば、フェノール、ビスフェノール、ノボラック樹脂、ポリビニルフェノール、図2の式I〜Vに表記のものなどの関連するアミン化合物等が挙げられ、式中、各Aは、独立して、1〜約12個の炭素原子、好ましくは1〜約6個の炭素原子、−O−、−S−、−S−S−、−(S=O)−、−(S=O)−または−(C=O)−を有する二価の炭化水素基であり;A’は、1〜約12個の炭素原子、好ましくは1〜約6個の炭素原子を有する三価の炭化水素基であり;各Rは、独立して、水素;1〜約10個の炭素原子、好ましくは1〜約4個の炭素原子を有するヒドロカルビル基;好ましくは塩素あるいは臭素といったハロゲン原子;または、ヒドロキシル基あるいはアミノ基であり;各Zは、独立して−OHまたはNH2であり;pは、約1〜約100、好ましくは約2〜約50の値を有し;mは、約1.00〜約6の値を有し;ならびに、nは0または1の値を有する。
【0077】
分子当たり少なくとも1つの芳香族ヒドロキシル基または芳香族アミン基を有する化合物としては図3の式VI〜VIIIにより表されるものもまた好適であり、式中、各Rは、1〜約18個の炭素原子、好ましくは約2〜約12個の炭素原子および最も好ましくは約2〜約6個の炭素原子を有する二価のヒドロカルビル基、図2の式IX、X、XIまたはXIIにより表される基であるか、または、Rは、窒素原子を有する安定な複素環を形成するようRと組み合わされることが可能であり;各Aは、独立して、1〜約10個の炭素原子、好ましくは1〜約4個の炭素原子、−O−、−S−、−S−S−、−(S=O)−、−(S=O)−または−(C=O)−を有する二価のヒドロカルビル基であり;各Rは、独立して、水素、2,3−エポキシプロピル基、2−アルキル−2,3−エポキシプロピル基、一価ヒドロカルビル基またはヒドロキシル置換一価ヒドロカルビル基(前記ヒドロカルビル基は1〜約9個の炭素原子を有し、前記アルキルは1〜約4個の炭素原子、好ましくは1〜約3個の炭素原子を有する)であり;各Rは、独立して、1〜約4個の炭素原子、好ましくは1〜約3個の炭素原子を有するアルキル基または水素であり;各Rは、独立して、1〜約4個の炭素原子を有するアルキル基または水素であり;各Rは、独立して、1〜約9個の炭素原子、好ましくは1〜約2個の炭素原子を有するヒドロカルビルまたはハロゲン置換ヒドロカルビル基、水素であり;各Rは、独立して、式XIVにより表される基から選択されるか、またはRが水素であることができないこと以外はRと同一の基から選択され;各Rは、独立して、2〜約4個の炭素原子、好ましくは2個の炭素原子を有する二価のヒドロカルビル基であり;各Zは、独立して、−OHまたは−NH2であり;各Xは、独立して、水素、塩素、臭素、または、1〜約9個の炭素原子、好ましくは1〜約6個の炭素原子を有するヒドロカルビルあるいはヒドロカルビルオキシ基であり;各mは、独立して、0または1の値を有し;nは、約0.01〜約6、好ましくは0.1〜約4の平均値を有し;pは、1〜約10、好ましくは1〜約3の平均値を有し;qは、少なくとも1、好ましくは1〜約150、最も好ましくは1〜約100および通常は1〜約10の平均値を有し;ならびに、各yおよびzは、独立して、1または2の値を有する。
【0078】
図4の式XIIIに表されているポリシクロペンタジエンポリフェノールまたは芳香族ポリアミンもまた好適であり、式中、Zは−OHまたは−NHであると共にnは1〜約5の値を有し;n’は、約1〜約10、好ましくは3〜約6の値を有し;各Rは、独立して、水素;1〜約10個の炭素原子、好ましくは1〜約4個の炭素原子を有するヒドロカルビル基;好ましくは塩素あるいは臭素といったハロゲン原子;または、ヒドロキシル基あるいはアミノ基である。
【0079】
好適なこのようなポリシクロペンタジエンポリフェノールおよびこれらを調製するための方法は、本明細書において参照により援用される、1983年6月28日にDonald L.Nelsonに発行された米国特許第4,390,680号明細書に見出すことが可能である。フェノール系化合物を芳香族アミンで置き換えることにより、ポリシクロ−ペンタジエン芳香族ポリアミンを同様の様式で調製することが可能である。
【0080】
例えば、ヒドロキシアニリン、アミノキシルエノール等などの、少なくとも1個の芳香族ヒドロキシル基および少なくとも1個の芳香族アミン基の両方を含有する化合物もまた好適である。
【0081】
ポリフェノール化合物は、好ましくは、ビスフェノールA(4,4’−ジヒドロキシ−2,2−ジフェニルプロパン、4,4’−イソプロピリデンジフェノール)、テトラブロモビスフェノールA(4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジブロモフェノール))、ビスフェノールAF(4,4’−[2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチリデン]ビスフェノール)=ヘキサフルオロビスフェノールA(4,4’−ジヒドロキシ−2,2−ジフェニル−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン)、1,1,2,2−テトラ(p−ヒドロキシフェニル)エタン、ヘキサフルオロビスフェノールA、テトラメチルビスフェノール(4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビスフェノール)、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,1’,7,7’−テトラヒドロキシ−ジナフチルメタン、4,4’−ジヒドロキシ−α−メチルスチルベン、ビスフェノールAのホルムアルデヒド(ビスフェノールAノボラック)との縮合物、フェノールのホルムアルデヒドとの縮合物、好ましくはビスフェノールF(ジヒドロキシジフェニルメタンのo,o’、o,p’およびp,p’異性体の混合物)、クレゾールのホルムアルデヒドとの縮合物(メチルヒドロキシジフェニルメタンのo,o’、o,p’およびp,p’異性体の混合物)、フェノールおよびジシクロペンタジエン(2,5−ビス[(ヒドロキシフェニル]オクタヒドロ−4,7−メタノ−5H−インデン)のアルキル化生成物、フェノールおよびグリオキサール(テトラキス(4−ヒドロキシ−フェニル)エタン)の縮合物、フェノールおよびヒドロキシベンズアルデヒド(例えば、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン)の縮合物、1,1,3−トリス−(p−ヒドロキシフェニル)−プロパン、ならびにこれらの混合物から選択される。
【0082】
ポリアミンは、脂肪族または芳香族であることが可能である。例えば4,4’−ジアミノジフェニルメタンのような芳香族ジアミンが好ましい。
【0083】
アミノアルコールは脂肪族または芳香族であることが可能である。例えば、p−アミノフェノールのような芳香族アミノアルコールが好ましい。
【0084】
イミドおよびアミドは脂肪族または芳香族であることが可能である。例えば1,3,5−トリアジントリオールおよびイミダゾリジン−2,4−ジオンのような複素環式イミドおよびアミドが好ましい。
【0085】
ポリカルボン酸は脂肪族または芳香族であることが可能である。二量体脂肪酸の一例は、リノールダイマー酸である。ポリカルボン酸は、好ましくは、例えばヘキサヒドロフタル酸のような芳香族ジカルボン酸である。
【0086】
1.3.エポキシ誘導体の形成方法
エポキシ樹脂、グリシジルエーテルおよびグリシジルエステルを形成するための方法は、一般に、エピクロロヒドリンを含有する生成物および少なくとも1個の活性水素原子を含有する化合物の反応、これに続く、塩基性薬剤での脱塩化水素化を含む。
【0087】
エポキシ樹脂を形成するための方法は、通常は、未硬化エポキシ樹脂の調製、これに続く硬化ステップといった2つのステップを含む。
【0088】
1.3.1.未硬化ER
エピクロロヒドリンを含有する生成物と、少なくとも1個、好ましくは2個の活性水素原子を含有する化合物との反応は、例えば、液体エポキシ樹脂(LER)を形成するための苛性カップリング法および相間移動触媒法、固体エポキシ樹脂(SER)を形成するためのタフィー法およびアドバンス法またはフュージョンといった技術分野において公知であるいずれかの方法により実施されることが可能である。
【0089】
苛性カップリング法
苛性法においては、苛性アルカリが、フェノール系ヒドロキシル基によるエピクロロヒドリンの第1級炭素原子に連結しているエポキシド基の求核性開環(カップリング反応)のための触媒として、ならびに、エポキシド基へのクロロヒドリンの転換のための脱塩化水素剤として用いられる。苛性アルカリ(NaOH)は、しかしながら、いずれかの塩基性化合物で置き換えることが可能である。
【0090】
エピクロロヒドリンおよび活性水素原子を有する化合物、好ましくは芳香族ヒドロキシルまたは芳香族アミン化合物は、それぞれ、約2:1〜約10:1、好ましくは約2:1〜約6:1のモル比で利用される。
【0091】
塩基性化合物は有機または無機塩基性化合物であり得る。有機塩基性化合物は、例えば、アミン、ホスフィンおよびアンモニウム、ホスホニウムまたは水酸化アルソニウムである。無機塩基性化合物が好ましい。「無機化合物」という表記は、炭素−水素結合を含有しない化合物を意味すると理解される。無機塩基性化合物は、アルカリおよびアルカリ土類金属酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、リン酸水素塩およびホウ酸塩、ならびに、これらの混合物から選択され得る。アルカリおよびアルカリ土類金属酸化物、ならびに、アルカリおよびアルカリ土類金属水酸化物が好ましい。本明細書において利用されることが可能である好ましい水酸化アルカリ金属としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムまたはこれらの混合物が挙げられる。水酸化ナトリウムが特に好ましい。
【0092】
本発明による方法において、塩基性化合物は、液体、基本的に無水の固体、水和された固体、水性および/あるいは有機溶液、または、水性および/あるいは有機懸濁液の形態であり得る。塩基性化合物は、基本的に無水の固体、水和された固体、水溶液または水性懸濁液の形態であることが好ましい。溶液または懸濁液、好ましくは、塩基性化合物の水溶液であって、好ましくは水酸化ナトリウムの水溶液が用いられることが好ましい。
【0093】
溶液または懸濁液における塩基性薬剤の含有量は、一般に少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも20重量%、および最も好ましくは少なくとも30重量%である。この含有量は、通常は、70重量%以下、好ましくは60重量%以下、好ましくは50重量%以下、および最も好ましくは40重量%以下である。
【0094】
水酸化アルカリ金属は、水溶液として、通常は約20〜約50、好ましくは約40〜約50重量パーセントの濃度で利用されることが好ましい。
【0095】
本発明の方法において利用される塩基性化合物、好ましくは水酸化アルカリ金属の量は、好ましくは芳香族、ヒドロキシル基および好ましくは芳香族、アミン水素の各々当たり、約0.80モル〜約1.2モルの塩基性薬剤、好ましくは約0.90モル〜1.0モルである。
【0096】
塩基性薬剤、エピクロロヒドリンおよび活性水素原子を含有する化合物はどのような順番でも混合されることが可能である。塩基性化合物は、他の2種の反応体の混合物に添加されることが好ましい。塩基性薬剤、好ましくは、水酸化アルカリ金属は、連続的にまたは増加的に添加されることが可能であるが、添加されるすべての水酸化アルカリ金属を1回の増分とすることはない。
【0097】
この反応は、溶剤中に実施されることが可能である。利用することが可能である好適な溶剤は、反応混合物中の構成成分のいずれとも反応しないいずれかの溶剤を含む。好ましくは、このような溶剤は部分的にまたは完全に水和性であり、エピクロロヒドリンおよび水と共留出物を形成し、ならびに、この留出物は、利用される圧力で、反応混合物の最も低沸点の構成成分よりも低い沸点を有する。好適なこのような溶剤としては、例えば、1−メトキシ−2−ヒドロキシプロパン、1−ブトキシ−2−ヒドロキシエタン、シクロヘキサノールなどの第一級および第二級アルコールが挙げられる。第二級アルコールが好ましい。
【0098】
溶剤が用いられる場合、利用される溶剤の量は、利用される特定の溶剤および活性水素原子を含有する化合物に応じることとなる。この溶剤は、一般に、反応体の総重量に基づいて、約5〜約50重量パーセント、好ましくは約10〜約40重量パーセントの範囲である。
【0099】
圧力は、1絶対バールに等しい、1絶対バール未満または1絶対バール超であることが可能である。溶剤が用いられる場合、利用することが可能である好適な圧力は、約45℃〜約80℃、好ましくは約55℃〜約70℃の沸点を有する共留出物をもたらすであろうものである。
【0100】
反応温度は、通常は25℃以上、好ましくは50℃以上、より好ましくは90℃以上、および最も好ましくは95℃以上である。反応温度は、通常は200℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは125℃以下、および最も好ましくは120℃以下である。
【0101】
この反応は、通常は、反応混合物中に残留する活性水素原子を含有する基の量が、約0.5以下、好ましくは約0.2重量パーセント以下であるような長さの時間で実施される。この時間は、通常は0.5時間以上、頻繁に1.0時間以上、しばしば2.0時間以上、およびとりわけ3.0時間以上である。反応時間は、通常は20時間以下、しばしば10時間以下、頻繁に5時間以下、およびとりわけ4時間以下である。
【0102】
反応が完了したら、得られるエポキシ樹脂は、通常利用される方法のいずれかにおいて仕上げられる。過剰なエピクロロヒドリンは通常は蒸留により除去されると共に、塩はろ過、遠心分離および/または水洗により除去される。
【0103】
エピクロロヒドリン蒸留は、一般に、2ステップで実施される。第1のステップは、一般に大気圧(1絶対バール)で、通常は100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上、および最も好ましくは145℃以上および通常は200℃以下、好ましくは180℃以下、より好ましくは175℃以下、および最も好ましくは155℃以下の温度で実施される。第2のステップは、通常は準大気圧、通常は0.1絶対バール以下、好ましくは0.01バール以下、より好ましくは0.005バール以下、および最も好ましくは0.002バール以下で、通常は150℃以上、好ましくは170℃以上、より好ましくは190℃以上、および最も好ましくは195℃以上および通常は300℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは220℃以下、および最も好ましくは215℃以下の温度で実施される。
【0104】
形成される塩は、例えばトルエンといった溶剤の添加、これに続くろ過および溶剤を除去するための蒸留で、粗生成物から分離することが可能である。
【0105】
相間移動触媒法
あるいは、相間移動触媒法においては、カップリング反応および脱塩化水素を、脱塩化水素を促進するには十分に強塩基ではない第4級アンモニウム塩などの相間移動カップリング触媒を用いることにより、個別に実施することが可能である。一旦カップリング反応が完了したら、苛性アルカリが添加されて、脱塩化水素ステップが実施される。この方法を介しては、例えばビスフェノールAの単量体ジグリシジルエーテル(DGEBA)のより高い収率(>90%)が容易に達成可能である。
【0106】
バッチ法および好ましくは連続または半連続法を用いることが可能である。
【0107】
タフィー法
タフィー法が、より高分子量の固体樹脂を調製するために用いられる。これは、エピクロロヒドリン、活性水素原子を含有する化合物および理論量のNaOHから直接的である。この方法は、液体エポキシ樹脂を調製するために用いられる苛性カップリング法にきわめて似ている。より低いエピクロロヒドリン対活性水素原子を含有する化合物の比が、高分子量樹脂の形成を促進させるために用いられる。重合の完了時に、この混合物は、アルカリ塩水溶液および水−樹脂エマルジョンから構成されている。この生成物は、相を分離し、樹脂を水で洗浄し、および水を減圧下で除去することにより回収される。
【0108】
エピクロロヒドリンおよび活性水素原子を有する化合物、好ましくは芳香族ヒドロキシルまたは芳香族アミン化合物は、それぞれ、約1:1〜約2:1、好ましくは約1.3:1〜約1.8:1のモル比で利用される。
【0109】
水酸化アルカリ金属は、好ましくは水溶液として、通常は、約1〜約20、好ましくは約5〜約15重量パーセントの濃度で利用される。
【0110】
本発明の方法において利用される塩基性化合物、好ましくは水酸化アルカリ金属の量は、好ましくは芳香族、ヒドロキシル基および、好ましくは芳香族、アミン水素の各々あたり約0.05モル〜約2モル、好ましくは約0.1モル〜0.5モルの塩基性薬剤である。
【0111】
反応温度は、通常は25℃以上、好ましくは50℃以上、より好ましくは90℃以上、および最も好ましくは95℃以上である。反応温度は、通常は200℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは125℃以下、および最も好ましくは120℃以下である。
【0112】
反応時間は、通常は0.1時間以上、頻繁に0.5時間以上、しばしば1.0時間以上、およびとりわけ1.5時間以上である。反応時間は、通常は20時間以下、しばしば10時間以下、頻繁に5時間以下、およびとりわけ4時間以下である。
【0113】
塩基性薬剤、エピクロロヒドリンおよび活性水素原子を含有する化合物はどのような順番でも混合することが可能である。他の2種の反応体の混合物にエピクロロヒドリンを添加することが好ましい。
【0114】
この反応は、通常は、激しくかき混ぜながら実施される。
【0115】
反応の最後に、混合物は2つの層に分離する。より重い水性層が抜かれ、溶融したタフィー様の生成物が、洗浄水が中性になるまで湯で洗浄される。タフィー様の生成物は、一般に少なくとも100℃、好ましくは少なくとも120℃の温度で乾燥される。
【0116】
あるいは、エピクロロヒドリンおよび水は、180℃以下の温度、減圧下での蒸留により除去することが可能である。次いで、粗樹脂/塩混合物は、二次溶剤に溶解されて、水洗および塩の除去を促進することが可能である。次いで、この二次溶剤は、生成物を得るための減圧蒸留を介して除去されることが可能である。
【0117】
アドバンスまたはフュージョン法が固体エポキシ樹脂を形成するための代替的な方法であり、これは、液体エポキシ樹脂(例えば、粗DGEBA)のビスフェノールAでの連鎖延長反応に基づいている。
【0118】
1.3.2.硬化剤
エポキシ樹脂の硬化は、古典的な硬化剤を用いて実施することが可能である。硬化は、共反応性硬化剤と共に行うことが可能であり、または触媒性または光開始カチオン性であることが可能である。
【0119】
共反応性硬化剤は、アミン官能性硬化剤、触媒官能性ポリエステルおよび無水物硬化剤、フェノール封止型硬化剤、メラミン−、尿素−、およびフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メルカプタン(ポリスルフィドおよびポリメルカプタン)硬化剤、環式アミジン硬化剤、イソシアネート硬化剤およびシアン酸エステル硬化剤から選択されることが可能である。
【0120】
アミン官能性硬化剤は、第一級および第二級アミン、ポリアミド、アミドアミンおよびジシアンジアミドであることが可能である。
【0121】
アミンは、脂肪族、脂環式、芳香族アミンまたはアリールイルアミンであることが可能である。
【0122】
脂肪族アミンは、ポリエチレンポリアミン、ヘキサメチレンジアミン、ポリエーテルアミン(ポリグリコール−ベースのポリアミン)、ケチミン(ケトンと第一級脂肪族アミンとの反応生成物)、マンニッヒ塩基付加物(アミン、フェノールおよびホルムアルデヒドの反応生成物)、ポリエーテルアミン(エチレンまたはプロピレンオキシドに由来のポリオールとアミンとの反応生成物)、ならびに、これらの混合物などの液体脂肪族ポリアミンから選択されることが可能である。
【0123】
脂環式アミンは、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−シクロヘキシル)メタン、1,2−ジアミノ−シクロヘキサン、トリヘキシルメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、およびこれらの混合物から選択されることが可能である。
【0124】
芳香族アミンは、メタ−フェニレンジアミン、メチレンジアニリン、アルキル(テトラエチル−)−置換メチレンジアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ジエチレントルエンジアミンから選択されることが可能である。
【0125】
アリールイルアミンは、メタキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチルシクロヘキサン)から選択されることが可能である。
【0126】
アミンは、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリ(オキシプロピレンジアミン)、ポリ(オキシプロピレントリアミン)、ポリ(グリコールアミン)、N−アミノエチルピペラジン、イソホロンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、4,4−ジアミノ−ジフェニルメタン、4,4−ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、メタ−キシレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチルシクロヘキサン、およびこれらの混合物より具体的にはから選択される。
【0127】
ポリアミドは、二量化および三量化植物油脂肪酸の(9,12および9,11−リノール酸)ポリアミン(ジエチレントリアミン)との反応により、または、ポリアミンとフェノール含有カルボン酸(フェンアルカミン)との反応により得ることが可能である。
【0128】
アミドアミンは、トール油脂肪酸のような単官能性酸とジエチレンジアミンなどのポリアミンとの反応により得ることが可能である。
【0129】
触媒官能性ポリエステルは、テルフタル酸、トリメリト酸無水物およびネオペンチルアルコールの反応により得ることが可能である。
【0130】
酸無水物は、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、ナディックメチル無水物またはメチルハイミック酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、テトラクロロフタル酸無水物、およびこれらの混合物であることが可能である。
【0131】
フェノール封止型硬化剤は、フェノール、クレゾールまたはビスフェノールAとホルムアルデヒドとの反応により得ることが可能である生成物である。
【0132】
メルカプタン(ポリスルフィドおよびポリメルカプタン)硬化剤は、一般に、末端チオールを含有する。
【0133】
環式アミジン硬化剤は、例えば2−フェニルイミダゾリジンであることが可能である。
【0134】
シアン酸エステル硬化剤は、例えばビスフェノールAジシアン酸エステルであることが可能である。
【0135】
触媒硬化は、ルイス塩基またはルイス酸と共に実施することが可能である。
【0136】
ルイス塩基は、例えば2−ジエチルアミノ−メチルフェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールのような第三級アミン;ならびに、2−メチルイミダゾールおよび2−フェニルイミダゾールなどのイミダゾール;2−フェニルイミダゾリンのような環式アミジン;3−フェニル−1,1−ジメチルウレアのような置換尿素;ならびに、テトラアルキル−およびアルキル−トリフェニルホスホニウム塩のような第4級アンモニウム塩である。
【0137】
ルイス酸は、ホウ素三ハロゲン化物、好ましくはホウ素三フッ化物から選択されることが可能である。
【0138】
光開始カチオン性硬化は、トリアリールスルホニウム塩、ジアルキルフェナシルスルホニウム塩などの第VIa族元素のアリールジアゾニウム塩、ジアリールジアゾニウム塩、ジアリールジイオニウム塩およびオニウム塩のような光開始剤で実施することが可能である。
【0139】
1.4エポキシ樹脂の使用
エポキシ樹脂は、コーティング用途および構造用途において用いることが可能である。コーティング用途は、海洋性および工業性維持管理(船舶、輸送コンテナ、海上石油掘削装置およびプラットフォーム、橋梁、鉄道車両コーティングなどの輸送基盤用耐腐食性コーティング:工業用保管タンク用コーティング;ならびに、軽工業用および農業器具用プライマー)、金属コンテナ(アルミニウムおよびスチール製食品および飲料缶)およびコイルコーティング(金属缶端部、缶本体、建築製品、アプライアンスパネル、輸送、および金属備品用途)、自動車コーティング(プライマー表面コーティング)、ならびに、インクおよびレジストの分野におけるものであることが可能である。コーティングは、低固形分溶剤系コーティング、高固体溶剤系コーティング、非溶剤系コーティング、水性コーティング、粉末コーティングおよび放射線−硬化性コーティングのような種々の技術を用いて行うことが可能である。
【0140】
構造用途は、構造複合材分野(ガラス、ホウ素、グラファイトおよび芳香族ポリアラミドベースの繊維強化材料);土木、フローリング(床塗料、セルフレベリング床、こて塗り可能な床、および中礫仕上げ床)および建設の分野;電気積層体の分野;電気積層体分野(印刷配線板および印刷回路板);キャスティング、ポッティング、カプセル封入(スイッチギア部品、変圧器、絶縁体、高電圧ケーブル付属品、および同様のデバイス)およびトランスファー成形(半導体チップ、受動素子および集積回路などの電子部品のカプセル封入)のような他の電気的および電子的用途の分野;接着剤分野(金属、ガラス、セラミック、木材、織布および多く種類のプラスチックなどの同種および異種材料間接着);ならびに、工具分野(宇宙空間、自動車、鋳物工場、ボート建造および種々の工業用成形品用のプロトタイプ、マスターモデル、金型、ならびに、他の部品)におけるものであることが可能である。
【0141】
1.5グリシジルエーテルおよびエステルの使用
これらの生成物は、コーティング、接着剤および反応性希釈剤などの用途に用いられる。
【0142】
1.6グリシジルアミドおよびイミドの使用
これらの生成物は、ポリエステルでの屋外粉末コーティングなどの用途について、または、非黄変エポキシ樹脂が所望される用途において用いられる。
【0143】
2.食品−飲料用途用生成物−凝析剤
2.1.一般
本発明によるエピクロロヒドリンを含有する生成物は、食品および飲料と接触することとなる用途において用いられることとなる生成物の製造、より具体的には合成有機凝析剤の製造に用いられることが可能である。
【0144】
凝析とは、一定の凝析剤の添加を介した粒子間の静電的な反発力の低減または排除を指し、技術用語においては、化学的混合および不安定化後であるが、凝集剤の投入の前のフロック形成の第1のフェーズを指す。
【0145】
凝析剤は、一般に、コロイドの陰電荷を中性化する高カチオン性電荷密度を有すると共に、フロックの形成を開始するポリマーである。これらは、一般に、粒子の周りの電荷の良好な拡散を可能とするために比較的低い分子量を示すと共に、溶出液中でのポリマーの良好な分散を許容するための低い粘度を示す。
【0146】
凝析剤とは、少なくとも1つの2−ヒドロキシプロピルジアルキルアンモニウム基を含有する少なくとも1つの繰り返し単位を含むポリマーを示すことが意図される。
【0147】
凝析剤分子の一例が図5に示されている。
【0148】
2.2.共反応体
本発明による用途において、エピクロロヒドリンを含有する生成物は、通常は、アンモニア、アミン、ポリアミノアミドまたはポリイミンとの反応に供される。
【0149】
これらのアミンは、モノ−、ジ−またはポリアミンであることが可能である。アミンは、脂肪族、脂環式または芳香族、飽和または不飽和、直鎖または置換型であることが可能である。アミンは、好ましくは少なくとも1つの、より好ましくは少なくとも2つの第一級アミノ水素を有する。
【0150】
アミンは、一般式:
H−(NH−R21−NR22−(R23−NH)−R24 (XIV)
によって表されることが可能であり、式中、R22およびR24は、Hに等しい場合を除いて同等であることもまたは異なっていることも可能であり、これらは、独立して、H、アルキルまたはアルケニル基、1〜30個の炭素原子を有する直鎖、分岐または炭素環から選択されることが可能であり;R21およびR23は、同等であることもまたは異なっていることも可能であり、好ましくは同等であり、2〜12個の炭素原子を有する二価脂肪族ラジカル芳香族基であることが可能であり、rおよびsの各々は0〜6の整数であり、rとsとの和は0〜6に等しい。
【0151】
アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、t−ブチルアミン、混合アミルアミン、n−オクチルアミン、分岐鎖ノニルアミンなどの低級アルキルおよび低級アルケニル第一級モノアミン;ジメチルアミン、エチルメチルアミン、ジエチルアミン、プロピルメチルアミン、プロピルエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、プロピルブチルアミン、エチルブチルアミン、メチルブチルアミン、ペンチルエチルアミン、ペンチルエチルアミン、およびペンチルプロピルアミンなどの第二級アミン;第三級アミン、ならびに、アルキレンジアミン、トリアミンおよびポリアミンが挙げられ、これらは、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ペンチレンジアミン、ヘキシレンジアミン、オクチレンジアミン、ドデシレンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、ジペンチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、トリブチレンテトラアミン、トリヘキシレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン、テトラプロピレンペンタミン、ペンタヘキシレンヘキサミン、ペンタプロピレンヘキサミン、N−エチル−1,2−エチレンジアミン、N−(2−プロペニル)−1,3−プロパンジアミン、N−ヘキシル−1,4−ブタンジアミン、N−2エチルヘキシル−1,3−プロパンジアミン、N−(5−オクテニル)−1,6−ヘキサンジアミン、N−ブチルトリエチレントリアミン、N−ヘキシルトリプロピレンテトラミン、N−ノニルテトラブチレンペンタミンおよびN−(オレイル)−ヘキセチレンヘプタミン、N−アルキル−1,3−ジアミノプロパン、ブタンおよびヘキサンなどの窒素に結合しているアルケニルまたはアルキル置換基を有しているかまたはおらず、ここで、ラジカルアルキルは、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、トリコシル、およびテトラコシルであることが可能である。
【0152】
モノアミンは、好ましくは第二級アミンであり、より好ましくはジメチルアミンである。
【0153】
ジアミンは、より好ましくは、1,2−ジアミノエタン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、N−置換ジアミノプロパン、より好ましくは、1−アミノ−3−ジメチルアミノプロパン、1−アミノ−3−ジエチルアミノプロパン、1−アミノ−3−シクロヘキシルアミノプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン、1,3−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、2−(ジエチルアミノ)エチルアミン、1−ジエチルアミノ−4−アミノペンタン、3−アミノエチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミンおよびN,N,N’,N’,−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミンから選択される。
【0154】
ポリアミノアミドは、一般に、ポリアミド、好ましくはポリアクリルアミド、ホルムアルデヒドおよびアミン、好ましくは第二級アミンから得られる。ポリ[N−(ジアルキルアミノアルキル)アクリルアミド]が特に好ましい。
【0155】
ポリイミンは、通常は、アルキレンイミン、好ましくはエチレンイミンの開環重合により得られる。
【0156】
2.3.方法
エピクロロヒドリンを含有する生成物と少なくとも1つ、好ましくは2つの第一級アミノ水素を含有する化合物との間の反応は、技術分野において公知であるいずれかの方法により実施されることが可能である。
【0157】
この反応は、一般に、液体相中において、場合により溶剤の存在下に実施される。この溶剤は、水、好ましくは水和性である有機溶剤、またはこれらの混合物から選択され得る。水が好ましい。メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールおよびブタノールのようなモノアルコールが好ましい有機溶剤である。
【0158】
溶剤が用いられる場合、溶剤−アンモニアまたはアミン混合物中におけるアンモニアまたはアミン含有量は、通常は5重量%(%wt)以上、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上および最も好ましくは45重量%以上である。この含有量は、通常は、90重量%以下、好ましくは75重量%以下、より好ましくは60重量%以下、および最も好ましくは55重量%以下である。
【0159】
エピクロロヒドリンおよびアンモニアまたはアミン間のモル比は、一般に、0.1以上、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.75以上および最も好ましくは1以上である。この比は、通常は、10以下、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、および最も好ましくは2以下である。
【0160】
この反応が実施される温度は、一般に、10℃以上、好ましくは25℃以上、より好ましくは50℃以上および最も好ましくは60℃以上である。この温度は、通常は120℃以下、好ましくは110℃以下、より好ましくは100℃以下、および最も好ましくは90℃以下である。
【0161】
反応が実施される圧力は、一般に、0.1絶対バール以上、好ましくは0.2絶対バール以上、より好ましくは0.5絶対バール以上および最も好ましくは1絶対バール以上である。この圧力は、通常は、20絶対バール以下、好ましくは10絶対バール以下、より好ましくは5絶対バール以下、および最も好ましくは2絶対バール以下である。
【0162】
反応時間は、一般に、10絶対分以上、好ましくは20絶対分以上、より好ましくは30絶対分以上および最も好ましくは60絶対分以上である。この時間は、通常は、10絶対時間以下、好ましくは5絶対時間以下、より好ましくは3絶対時間以下、および最も好ましくは2絶対時間以下である。
【0163】
製造手順は、通常は、アミンまたはアンモニアの溶剤中への溶解、続いて、場合によりそれ自体が溶剤中に溶解されているエピクロロヒドリンのゆっくりとした添加、反応温度を10〜50℃、しばしば25〜40℃に維持するための場合による冷却、次いで、エピクロロヒドリンの添加が完了した後の、60〜90℃への温度の昇温を含む。
【0164】
反応生成物は、水溶液として、または、例えば減圧下での溶剤の蒸留、酸あるいは塩基での溶液の処理といったさらなる処理後に固体として回収することが可能である。
【0165】
これらの反応は、モノマーの形成をもたらす。例えばエピクロロヒドリンおよびジメチルアミンの反応は、エピクロロヒドリンジメチルアミンモノマーをもたらす。これは、次いで、凝析剤として用いられる低分子量カチオン性ポリマーである対応する第4級アンモニウム化合物に単独重合される。このような重合は、通常は、アルカリ条件下で実施される。
【0166】
モノマーはまた、アクリルアミドと共重合されて、同様に水処理に用いられるより高分子量のポリマーを生成することが可能である。
【0167】
2.4.生成物の特徴
得られるポリマーは、通常は、少なくとも5000、しばしば少なくとも10000、および頻繁に少なくとも50000の分子量を示す。この分子量は、通常は、500000以下、しばしば400000以下、および頻繁に300000以下である。これらは、40〜50重量%のポリマーを含有すると共に、40〜11000センチポアズの粘度を示す水溶液として得ることが可能である。
【0168】
2.5.使用
これらのポリマーは、飲料水への転換のための原水の処理、パルプ製紙工業における水の紙のリサイクル、コーティング粘着防止化、ブレーキオイルエマルジョン、油およびグリース除去、ならびに、汚泥脱水に用いられることが可能である。これらはまた、精糖に用いられることも可能である。
【0169】
3.食品−飲料用途用生成物−湿潤強化樹脂
3.1.一般
本発明によるエピクロロヒドリンを含有する生成物は、食品および飲料と接触することとなる用途において用いられることとなる生成物の製造、より具体的には湿潤強化樹脂の製造に用いられることが可能である。
【0170】
湿潤強化樹脂とは、その化学式が、2,3−エポキシプロピルアミン、2,3−エポキシプロピルアンモニウム、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアミン、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム、3−ヒドロキシアゼチジニウム、およびこれらの少なくとも2種のいずれかの組み合わせから選択される少なくとも1つの基を含有するポリアミノアミドポリマーを示すことを意図するものである。
【0171】
このようなポリマーの化学式の例が図6に示されている。
【0172】
3.2.共反応体
本発明による用途において、エピクロロヒドリンを含有する生成物は、通常は、ポリアミンまたはポリアミドとの反応に供される。
【0173】
ポリアミンおよび反応条件は、凝析剤の製造について上述されているとおりである。
【0174】
ポリアミドは、通常は、その内容が本明細書において参照により援用される米国特許第865,727号明細書に記載されているとおり、アミン、好ましくはポリアルキレンポリアミン(この場合、ポリアミドは、一般にポリアミンアミドを指す)およびジカルボン酸、好ましくは飽和脂肪族ジカルボン酸を反応させることにより得られる。このポリアミドは、一般式
−NH−(R21−NR22−(R23−NH)−COR24CO− (XV)
により表され得、式中、R21、R22、R23、rおよびsは上述されているとおりであり、ならびに、R24は、好ましくは、フェニレン、ナフタレン、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、オクチレンおよびノニレンから選択される塩基性カルボン酸の二価の炭化水素基である。
【0175】
好ましくは、このポリアミドは、一般式
−NH(C2tHN)−COR24CO− (XVI)
により表され得、式中、tおよびxは、各々2以上であり、ならびに、式中、
−NH(C2tHN)−基は、好ましくは2〜8個のアルキレン基を含有する上述のポリアミンから誘導され、より好ましくはジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレントリアミンおよびN−ビス(アミノプロピル)メチルアミンから誘導され、
−COR24CO−基は、好ましくはフェニレン、ナフタレン、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、オクチレンおよびノニレンから選択される2〜12個の炭素原子を含有する二塩基性カルボン酸から誘導される。酸は、より好ましくは、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ジグリコール酸、セバシン酸またはアゼライン酸、およびこれらの混合物から選択される。
【0176】
3.3.方法
ポリアミドとエピクロロヒドリンとの反応は、通常は、一般に45℃以上の温度で実施される。この温度は、通常は100℃以下、好ましくは70℃以下である。この反応が実施される温度は、好ましくは2つステージで選択される。第1のステージにおいて、反応混合物は、30℃〜50℃、好ましくは39°〜41℃に維持される。第1のステージについての反応時間は、中間体ポリアミノクロロヒドリンを形成するために約90〜190分間であることが好ましい。次いで、中間体ポリアミノクロロヒドリンが決定されたレベルに制御下に架橋されるよう、反応温度が55°〜75℃に徐々に昇温される。第2のステージは、反応混合物の粘度が所望のレベル(好ましくはGardner−Holdt粘度スケールでレベルM〜N)に達するまで継続される。
【0177】
概して、この反応は、単独で、または水中に57重量%以下の水溶液中に実施することが可能である。好ましくは、このポリアミノアミドを、水中に52〜57重量%の水溶液、すなわち、43〜48重量%総固形分(可溶化された固体材料である溶液の重量パーセント)、より好ましくは約45重量%総固形分の溶液中にエピクロロヒドリンと反応させる。反応時間は温度に応じて変更され、より低い温度ではより長い時間がかかる。これらの樹脂の典型的な組成は12.5%(10〜40%固形分)である。しかしながら、水を輸送する必要性のために、会社は、より高い濃度の樹脂溶液を生成しようとした。調製が困難であるこのような濃縮溶液を形成することの主な問題点の少なくとも1つは、これらのジクロロプロパノールの高含有量であって、従って、最終用途においてこの不純物のレベルが超過することであると考えられる。
【0178】
反応は、ポリアミノアミドの利用可能なアミン基のすべて、または実質的にすべてがエピクロロヒドリンと反応するまで実施されることが好ましい。一般に、反応時間は約1〜19時間、好ましくは3〜6時間で変化する。この反応は発熱性であるため、エピクロロヒドリンは経時的にゆっくりとポリアミノアミドに添加されて、反応媒体からのより有効な熱伝達が許容される。反応媒体からの熱伝達は、反応容器を例えば氷浴といった冷却環境中に浸漬させる、または冷却コイルを反応容器中に通すなどの公知の手順に従って達成することが可能である。
【0179】
この反応は、通常は、反応を緩和するために水溶液中に実施される。通常pH調整は必要ないが、反応の最中にpHが低下するために、いくつかの場合においては、形成される少なくともいくらかの酸と組み合わせるためにアルカリを添加することが望ましい場合がある。
【0180】
この反応においては、すべての第二級アミン基を第三級アミン基に転換するために十分なエピクロロヒドリンを用いることが好ましい。エピクロロヒドリンと第二級アミン基とのモル比は、通常は、0.1以上、好ましくは0.5以上、およびより好ましくは1以上である。このモル比は、通常は、10以下、好ましくは5以下、およびより好ましくは2以下である。
【0181】
ポリアミドとエピクロロヒドリンとの反応はまた四級化剤の存在下に実施されることが可能であり、四級化剤が含まれること以外の反応および反応体の条件は基本的に上述の場合と同じである。好ましい手順においては、エピクロロヒドリンが、先ず、45〜55℃の温度でポリアミドの水溶液に添加される。次いで、この反応混合物は、所望される重合速度に応じて、温度約60〜100℃に、および好ましくは約50〜80℃に加熱される。この温度での好適な時間、すなわち、0〜100分であって、エピクロロヒドリンのエポキシ基がポリアミドの第二級アミン基と反応した後の時間の後に四級化剤が添加され、この反応混合物が、好ましくは60℃〜80℃の温度で加熱される。次いで、この反応混合物のpHは、硫酸、塩酸、ギ酸等などのいずれかの好適な酸で4、好ましくは2〜3に下げられる。四級化剤の量は、25%〜75%、好ましくは50%の第三級アミン基を第4級基に転換するに十分であるべきである。
【0182】
四級化剤は、水性媒体中の第3級窒素原子を四級化することが可能であるいずれかの化合物であり得る。普通、これらの化合物は、これらの構造の主要部として、本明細書に記載の条件下でのアルキル化に容易に利用可能であるアルキル基または置換アルキル基を有することを特徴とする。これらは、ハロゲン化物、硫酸塩およびリン酸塩、ならびに置換ハロゲン化アルキルなどの鉱酸の低級アルキルエステルを含む。用いられ得るこれらの化合物の例示は、ジメチル、ジエチルおよびジプロピル硫酸塩;塩化メチル;ヨウ化メチル;臭化メチル;臭化エチル;臭化プロピル;モノ−、ジ−またはトリ−メチル、エチルおよびプロピルリン酸塩;1,3−ジクロロプロパノール−2;ならびに1−クロログリセロールである。塩化ベンジルおよびメチルp−トルエンスルホネートといった一定の芳香族化合物がまた用いられ得る。
【0183】
エピクロロヒドリンとポリアミドとの反応からもたらされる上記の生成物は、10.5〜12のpHでの炭酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウム溶液との処理によりさらに橋架け重合されることが可能である。
【0184】
3.4.使用
これらの樹脂は、紙タオル、ティーバッグ、コーヒーフィルタ、ミルクカートン、肉包装紙、壁紙などの濡れるであろう紙に用いられる。これらはまた、高フルクトースコーンシロップの製造に、およびウールの収縮を防止するために用いられることが可能である。
【0185】
4.カチオン化剤
4.1.一般
本発明によるエピクロロヒドリンを含有する生成物は、カチオン化剤の製造に用いられることが可能である。
【0186】
カチオン化剤とは、その化学式が2,3−エポキシプロピル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルおよびこれらの組み合わせから選択される少なくとも1種の基を含有する第4級アンモニウム塩であってポリマーではないものを示すことが意図される。
【0187】
カチオン化剤は、しばしば、窒素原子に結合しているグリシジルまたは3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル基を含有する第4級アンモニウム塩である。カチオン化剤は、固形分として、または、水溶液あるいは有機溶剤中の溶液として単離されることが可能である。
【0188】
カチオン化剤の例は、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチル塩化アンモニウムおよびグリシジルトリメチル塩化アンモニウムである。
【0189】
4.2.共反応体
本発明による用途において、エピクロロヒドリンを含有する生成物は、通常は、アミン、アミン塩、またはこれらの混合物との反応に供される。
【0190】
アミンは第三級アミンであることが好ましく、アミン塩は第三級アミン塩であることが好ましい。
【0191】
第三級アミン塩は、例えば、酸、好ましくは例えば塩酸または硫酸といった無機酸でアミンを処理することにより得られる塩である。
【0192】
第三級アミンは、式
31−N(R32)−R33 (XVII)
によって表され得、式中、R31、R32およびR33は、これらの2種が場合により結合して環を形成し、および1〜25個の炭素原子を含有する、アルキル、シクロアルキル、アルケン、アリール、アラルキル、アルキルアリールからなる群から選択されることが可能である。窒素に結合している基は、直鎖または置換、飽和または不飽和であることが可能である。
【0193】
31、R32およびR33の3つのすべてが同一である場合には、これらは、好ましくは、各々が4個以下の炭素原子を含有しているべきである。R31、R32およびR33の3つのすべてが同一ではない場合、および、R33が18個以下の炭素原子を含有する場合には、R31およびR32は、好ましくは、メチルおよびエチルから構成される基であるべきである。R31およびR32が結合して環を形成している場合には、R33は、好ましくは、メチルおよびエチルから構成される基に由来するべきである。
【0194】
好適な第三級アミンの例は、トリエチルアミン、N−メチルおよびN−エチルモルホリン、N−エチルおよびN−メチルピペリジンおよびメチルジアリルアミン、トリメチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジメチルドデシルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジメチルアニリン、トリ−nプロピルアミンである。
【0195】
第三級アミンが、例えば、トリメチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジメチルドデシルアミン、ジメチルステアリルアミンおよびジメチルアニリンのように、窒素に結合された2つのメチル基を有することが特に好ましい。
【0196】
アミン塩は、上述のアミンと塩酸または硫酸、好ましくは塩酸との反応により得られる塩であることが好ましい。
【0197】
4.3.方法
エピクロロヒドリンを含有する生成物とアミンまたはアミン塩との反応は、その内容が本明細書において参照により援用される米国特許第2,876,217号明細書に記載のものなど、技術分野において公知であるいずれかの方法により実施されることが可能である。
【0198】
この反応は、一般に、液体相中に、場合により溶剤の存在下に実施される。溶剤は、水、例えばアルコール、ケトン、エステルあるいは脂肪族炭化水素といった、好ましくは水和性の有機溶剤、またはこれらの混合物から選択され得る。水が好ましい。メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールおよびブタノールといったモノアルコールが好ましい有機溶剤であり、メタノールが特に好ましい。
【0199】
溶剤中のエピクロロヒドリンの含有量は、通常は、0.1mol/l以上、しばしば0.5mol/l以上、頻繁に1.0mol/l以上、特に2mol/l以上、殊更に5mol/l以上および時々10mol/l以上である。このエピクロロヒドリン含有量は、通常は20mol/l未満である。
【0200】
溶剤中のアミンまたはアミン塩の含有量は、通常は0.1mol/l以上、しばしば0.5mol/l以上、頻繁に1.0mol/l以上、特に2mol/l以上、殊更に5mol/l以上および時々10mol/l以上である。このアミンまたはアミン塩含有量は、通常は20mol/l未満である。
【0201】
エピクロロヒドリン/アミンまたはアミン塩のモル比は、通常は、0.1以上、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上および最も好ましくは1.2以上である。この比は、通常は10以下、より好ましくは5以下および最も好ましくは2以下である。
【0202】
反応が実施される温度は、一般に0℃以上、好ましくは10℃以上、より好ましくは25℃以上および最も好ましくは40℃以上である。この温度は、通常は100℃以下、好ましくは80℃以下、より好ましくは60℃以下、および最も好ましくは50℃以下である。
【0203】
反応が実施される圧力は、一般に0.1絶対バール以上、好ましくは0.2絶対バール以上、より好ましくは0.5絶対バール以上および最も好ましくは1絶対バール以上である。この圧力は、通常は20絶対バール以下、好ましくは10絶対バール以下、より好ましくは5絶対バール以下、および最も好ましくは2絶対バール以下である。
【0204】
反応時間は、一般に10絶対分以上、好ましくは20絶対分以上、より好ましくは30絶対分以上および最も好ましくは60絶対分以上である。この時間は、通常は72絶対時間以下、好ましくは60絶対時間以下、より好ましくは48絶対時間以下、および最も好ましくは10絶対時間以下である。
【0205】
アミン塩またはアミンとアミン塩との混合物が用いられる場合、反応のpHは、通常は少なくとも5、および好ましくは少なくとも6である。このpHは、通常は9以下、好ましくは8以下である。
【0206】
第1の実施形態において、製造手順は、通常、アミン、エピクロロヒドリンおよび水の混合、これに続く所望の温度での所望の時間の加熱を含む。水溶液は、減圧蒸留によりさらに濃縮される。蒸留温度は、反応について記載されているとおりである。蒸留圧力は、通常は100絶対mbar以下、好ましくは75絶対mbar以下および最も好ましくは50絶対mbar以下である。この圧力は、通常は少なくとも1絶対mbarである。
【0207】
第2の実施形態においては、先ず、アミンの水溶液が、8〜9のpHが達成されるまで塩酸に添加される。得られた溶液にエピクロロヒドリンがさらに添加され、この混合物は所望の温度で所望の時間攪拌される。この溶液は、固体3−クロロ−2−トリアルキル塩化アンモニウムに減圧下でさらに蒸留される。この固体は、そのまま、または、水溶液中の水酸化ナトリウムとの反応によりグリシジル誘導体にさらに環化されて用いられることが可能である。
【0208】
第3の態様において、塩酸アミンは水中に分散されている。十分な水酸化ナトリウムが添加されて、pHが約3から約8に上げられる。得られた溶液にエピクロロヒドリンがさらに添加され、この混合物は所望の温度で所望の時間攪拌される。クロロヒドリン基は、水溶液中の水酸化ナトリウムとの反応によりグリシジル誘導体にさらに環化される。
【0209】
種々の実施形態において、反応の最後に得られる水溶液は、少なくとも90重量%の固体、好ましくは少なくとも95重量%を含有するスラリーを得るために、減圧蒸発または50℃未満の温度での蒸留によりさらに濃縮されることが可能である。得られるアルコール−水スラリーの総重量に基づいて10〜70%wt、好ましくは25〜50%wtのアルコール含有量が得られるよう、イソプロパノール、n−プロパノール、およびt−ブタノール、好ましくはイソプロパノールなどの3〜4個の炭素原子を有する水和性のアルコールがスラリーに添加される。次いで、析出された固形分が、ろ過または固形分を液体から取り出すために好適な他の手段により回収される。この固体は、任意により、追加の量のアルコールあるいは他の非溶剤で洗浄され、および/または、微量の水およびアルコールをすべて除去するために乾燥され得る。
【0210】
反応生成物は、水溶液として、または、例えば減圧下での溶剤の蒸留、酸あるいは塩基での溶液の処理といったさらなる処理の後に固体として回収することが可能である。
【0211】
4.4.使用
カチオン化剤は、主に、高品質紙グレードの処理のため、または染料固定のための生地のカチオン化のために、紙産業により利用されるスターチのカチオン化において用いられる。
【0212】
5.難燃剤
5.1.一般
本発明によるエピクロロヒドリンを含有する生成物は、難燃剤添加剤の製造に用いられることが可能である。
【0213】
本発明によるエピクロロヒドリンを含有する生成物は、好ましくは、リン含有難燃剤添加剤の製造に用いられることが可能である。
【0214】
リン含有難燃剤とは、その化学式が、少なくとも1つのリン原子、ならびに、2,3−エポキシプロピルオキシ、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルから選択される少なくとも1つの基、およびこれらの少なくとも2種の組み合わせを含有する化合物を示すことが意図される。
【0215】
このような化合物の化学式の例が図7に表されている。
【0216】
5.2.共反応体
本発明による用途において、エピクロロヒドリンを含有する生成物は、通常は、リンを含有する無機化合物または有機化合物との反応に供される。このような無機化合物は、例えばリン酸(オルト、ピロおよびポリリン酸)、リン酸塩およびオキシ塩化リンである。リンを含有する有機化合物の例は、例えばリン酸エステル(オルト、ピロおよびポリリン酸の)、ホスホン酸、これらのエステルまたはこれらの塩、ホスフィン酸、これらのエステルまたはこれらの塩、ならびに、ホスフィンオキシドである。
【0217】
リンを含有する化合物は、一般式
O=P(X)(X)(X) (XVIII)
または
P(X)(X)(X) (XIX)
により表され得、式中、X、X、Xは、独立して、ハロゲン、H、OH、OR41、R41、OR42(OH)およびR42(OH)から選択されることが可能であり
式中、ハロゲンは、好ましくは臭素および塩素から選択され、ならびに、好ましくは塩素であり
式中、R41は、1〜20個の炭素原子、しばしば3〜12個の炭素原子を含有する、アルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、シクロアルキルラジカルであり、
式中、R42は、1〜20個の炭素原子、しばしば3〜12個の炭素原子を含有する、アルキレン、アリーレン、アルキルアリーレン、アリールアルキレン、シクロアルキレンラジカルであり、
式中、nは、1または2に等しい整数であり、
式中、X、X、Xの少なくとも2つは、好ましくはリン原子と一緒に、結合して環を形成することが可能である。
【0218】
リン含有化合物の例は、トリス(1,3−ジクロロ−2−プロピル)リン酸、トリス(1−クロロ−2−プロピル)リン酸、トリス(2,3−ジクロロプロピル)リン酸、イソブチルビス(ヒドロキシプロピル)ホスフィンオキシド、10−(2’,5’−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DHQEP)、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)、DOPOと4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン(Liu Y.L.、Journal of Polymer Science:パートA:Polymer Chemistry、2002年、第40巻、359〜368ページおよびJournal of Applied Polymer Science、2002年、第83巻、1697〜1701ページに表記されているDOPO2OHおよび2DOPO−PhOH,II)との反応生成物である。
【0219】
5.3.方法
エピクロロヒドリンを含有する生成物とリン含有化合物との反応は、Journal of Applied Polymer Science、2002年、第83巻、1697〜1701ページに記載されているものなどの、技術分野において公知であるいずれかの方法により実施される。
【0220】
この反応は、一般に、液体相中に、場合により溶剤の存在下で実施される。溶剤は、水、例えばアルコールといった有機溶剤、またはこれらの混合物から選択され得る。アルコールが好ましい。メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールおよびブタノールといったモノアルコールが好ましい有機溶剤であり、エタノールが特に好ましい。
【0221】
反応混合物におけるエピクロロヒドリンの含有量は、通常は0.1mol/l以上、しばしば1.0mol/l以上、頻繁にも2mol/l以上および特に5mol/l以上である。このエピクロロヒドリン含有量は、通常は20mol/l未満である。
【0222】
反応混合物中におけるリン含有化合物の含有量は、通常は0.1mol/l以上、しばしば0.2mol/l以上および頻繁に0.5mol/l以上である。この含有量は、通常は、2mol/l未満である。
【0223】
エピクロロヒドリン/リン含有化合物のモル比は、通常は1以上、好ましくは2以上、より好ましくは5以上および最も好ましくは10以上である。この比は、通常は50以下、より好ましくは30以下および最も好ましくは20以下である。
【0224】
反応が実施される温度は、一般に0℃以上、しばしば5℃以上、頻繁に10℃以上、特に20℃以上およびより具体的には50℃以上である。この温度は、通常は100℃以下、好ましくは80℃以下、より好ましくは60℃以下、および最も好ましくは30℃以下である。
【0225】
反応が実施される圧力は、一般に0.1絶対バール以上、好ましくは0.2絶対バール以上、より好ましくは0.5絶対バール以上および最も好ましくは1絶対バールで以上ある。この圧力は、通常は20絶対バール以下、好ましくは10絶対バール以下、より好ましくは5絶対バール以下、および最も好ましくは2絶対バール以下である。
【0226】
反応時間は反応が実施される温度に依存する。この時間は、一般に10絶対分以上、好ましくは1絶対時間以上、より好ましくは10絶対分以上および最も好ましくは24絶対時間以上である。この時間は、通常は72絶対時間以下、好ましくは60絶対時間以下、より好ましくは48絶対時間以下、および最も好ましくは30絶対時間以下である。
【0227】
例えば水酸化カリウムといった塩基性化合物が反応媒体中に存在していることが可能である。これは、一般に、リン含有化合物がOH基を分子中に含む場合である。塩基性化合物/リン含有化合物モル比は、通常は、0.1以上、好ましくはも0.15以上、および最も好ましくは0.2以上である。この比は、通常は5以下、より好ましくは3以下および最も好ましくは1以下である。
【0228】
例えばベンジルトリメチル塩化アンモニウムといった、オニウム塩、好ましくは第4級アンモニウムまたはホスホニウム塩、より好ましくは第4級塩化アンモニウムが、反応媒体中に存在していることが可能である。これは、一般に、リン含有化合物がホスフィンオキシドである場合である。オニウム/リン含有化合物比は、通常は0.01以上、好ましくは0.05以上、および最も好ましくは0.1以上である。この比は、通常は1以下、より好ましくは0.5以下および最も好ましくは0.2以下である。
【0229】
この反応の生成物は、例えばろ過といったいずれかの手段により回収されることが可能であり、減圧下での蒸発に供される前に洗浄操作に供される。
【0230】
5.4.使用
難燃剤は、通常は、特にポリウレタンフォームといったポリマーなどの種々の材料における可燃性ガスの発生を防止するために用いられる。
【0231】
6.洗浄処方成分
6.1.一般
本発明によるエピクロロヒドリンを含有する生成物は、洗浄成分の製造に用いられることが可能である。洗浄成分とは、その化学式が少なくとも1つの3−スルホネート−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ基を含有する化合物を示すことが意図される。この化合物は、オリゴマーまたはポリマーであることが可能である。オリゴマーは、各ポリマー分子における多数の繰り返し単位が20未満であるポリマーである。
【0232】
洗浄成分とは、その少なくとも1つの繰り返し単位が少なくとも1つの2−ヒドロキシプロピルアンモニウム基、好ましくは2−ヒドロキシプロピルイミダゾリジウム基を含むポリマーを示すことが意図される。
【0233】
本発明によるエピクロロヒドリンを含有する生成物は、好ましくは、カチオン性モノマー、ポリマーまたはオリゴマー、アニオン性界面活性剤、例えばスルホン酸塩ベースの界面活性剤、好ましくはアルキルグリセリルエーテルスルホネート界面活性剤、単量体またはオリゴマー系またはカチオン性環状アミンベースのポリマーの製造に用いられることが可能である。
【0234】
6.2.共反応体
本発明による用途において、洗浄助剤がスルホネートベースの界面活性剤である場合、エピクロロヒドリンを含有する生成物は、通常は、10〜40個の炭素原子、好ましくは10〜22個の炭素原子、より好ましくは14〜18個の炭素原子および最も好ましくは16〜18個の炭素原子を含有する脂肪族アルコールとの反応に供される。アルキル鎖は分岐または直鎖またはエトキシル化であり得、存在する場合、側鎖は、メチルまたはエチルなどの1〜4個の炭素原子を含有するアルキル部分を含む。
【0235】
本発明による用途において、洗浄成分がカチオン性アミンベースのポリマーである場合、エピクロロヒドリンを含有する生成物は、通常は、直鎖アルキルアミン、分岐アルキルアミン、シクロアルキルアミン、アルコキシアミン、アミノアルコール、少なくとも1個の窒素原子を環構造中に含有する環状アミン、アルキレンジアミン、ポリエーテルジアミン、ポリアルキレンポリアミンサミンからなる群から選択されるアミンとの反応に供される。
【0236】
前記アミンの特定の例が上記に挙げられている。
【0237】
少なくとも1個の窒素原子を環構造中に含有する環式アミンは、例えばモノアミノアルキルピペラジン、ビス(アミノアルキル)ピペラジン、モノアミノアルキルイミダゾール、アミノアルキルモルホリン、アミノアルキルピペラジンおよびアミノアルキルピロリジンである。モノアミノアルキルピペラジンは、例えば1−(2−アミノエチル)ピペラジンおよび1−(3−アミノプロピル)ピペラジンである。好ましいモノアミノアルキルイミダゾールは、2〜8個の炭素原子をアルキル基中に有する。好適な化合物の例は、1−(2−アミノエチル)イミダゾールおよび1−(3−アミノプロピル)イミダゾールである。好適なビス(アミノアルキル)ピペラジンは、例えば1,4−ビス(2−アミノエチル)ピペラジンおよび1,4−ビス(3−アミノプロピル)−ピペラジンである。好ましいアミノアルキルモルホリンは、アミノエチルモルホリンおよび4−(3−アミノプロピル)−モルホリンである。この群の他の好ましい化合物は、アミノエチルピペリジン、アミノプロピルピペリジンおよびアミノプロピルピロリジンである。
【0238】
少なくとも2個の反応性窒素原子を環中に有する環式アミンは、例えばイミダゾール;2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾールおよび2−イソブチルイミダゾールなどの1〜25個の炭素原子をアルキル基中に有するC−アルキル置換イミダゾール;イミダゾリン;2−フェニルイミダゾリンおよび2−トリルイミダゾリンなどの1〜25個の炭素原子をアルキル基中に有するC−アルキル置換イミダゾリンおよびアリールイミダゾリン;ピペラジン;1−エチルピペラジン、1−(2−ヒドロキシ−1−エチル)ピペラジン、1−(2−ヒドロキシ−1−プロピル)ピペラジン、1−(2−ヒドロキシ−1−ブチル)ピペラジン、1−(2−ヒドロキシ−1−ペンチル)ピペラジン、1−(2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル)ピペラジン、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシエチル)ピペラジン、1−(2−ヒドロキシ−2−フェニル−1−エチル)ピペラジンなどの1〜25個の炭素原子をアルキル基中に有するN−アルキルピペラジン;例えば1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジエチルピペラジン、1,4−ジプロピルピペラジン、1,4−ジベンジルピペラジン、1,4−ビス(2−ヒドロキシ−1−エチル)ピペラジン、1,4−ビス(2−ヒドロキシ−1−プロピル)ピペラジン、1,4−ビス(2−ヒドロキシ−1−ブチル)ピペラジン、1,4−ビス(2−ヒドロキシ−1−ペンチル)ピペラジン、および1,4−ビス(2−ヒドロキシ−2−フェニル−1−エチル)ピペラジンなどの1〜25個の炭素原子をアルキル基中に有するN,N’−ジアルキルピペラジンである。少なくとも2個の反応性窒素原子を有する他の環状アミンは、メラミン、ならびに、2−ヒドロキシベンズイミダゾールおよび2−アミノベンズイミダゾールなどのベンズイミダゾールである。
【0239】
6.3.方法
エピクロロヒドリンを含有する生成物とアルコールとの反応は、その内容が本明細書において参照により援用される、米国特許第5,567,359号明細書および米国特許出願公開第2006/0079433号明細書に記載のものなどの技術分野において公知であるいずれかの方法により実施される。
【0240】
この反応は、通常は、65〜90℃の温度で実施される。
【0241】
アルコール:エピクロロヒドリンの典型的なモル比は、1:1.24〜1:4.02の範囲である。
【0242】
例えば塩化第二すずといった触媒が、反応を実施する際に通常は用いられる。初期のアルコール:塩化第二すず質量比は、一般に100:0.67である。
【0243】
反応時間は、通常は、0.25〜1時間である。
【0244】
エピクロロヒドリン/アルコール比および時間は、必要とされるオリゴマー化度に適応されることが可能である。
【0245】
エピクロロヒドリンは、通常は、アルコール−触媒混合物に徐々に添加される。
【0246】
この反応の生成物は、単量体またはオリゴマー系アルキルクロログリセリルエーテルである。
【0247】
アルキルクロログリセリルエーテルは、塩基性化合物、好ましくは水酸化ナトリウムとの反応によりアルキルグリシジルエーテルにさらに転換される。この反応は、通常は、水酸化ナトリウムの35%水溶液と一緒に、90℃超の温度で、および1:1.5のアルコール:NaOHモル比で実施される。
【0248】
アルキルグリシジルエーテルは、通常は、一般にメタ重亜硫酸ナトリウムと水酸化ナトリウムとを組み合わせることにより得られる亜硫酸水素ナトリウムおよび亜硫酸ナトリウムの混合物との反応によりアルキルグリセリル界面活性剤にさらに転換される。
【0249】
エピクロロヒドリンを含有する生成物とアミンとの反応は、その内容が本明細書において参照により援用される、米国特許第6,740,633号明細書および米国特許出願公開第2006/0052272号明細書に記載のものなどの技術分野において公知であるいずれかの方法により実施される。
【0250】
この反応は、通常は、25〜90℃の温度で、2ステップで実施され、ここで、第1のステップは40〜60℃の温度で、および第2のステップは90〜100℃の温度で実施される。
【0251】
アミン:エピクロロヒドリンの典型的なモル比は、1:1〜1:1.4の範囲である。
【0252】
反応時間は、通常は、0.25〜1時間である。
【0253】
アミンとエピクロロヒドリンとの縮合物は、通常は、ハロゲン化アルキル、エポキシド、クロロ酢酸、2−クロロエタンスルホン酸、クロロプロピオン酸、エポキシコハク酸、プロパンスルホン、3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、ジメチル硫酸および/あるいはジエチル硫酸を用いてさらに四級化されるか、またはこの縮合物の第3級窒素原子の酸化によりN−オキシドに酸化される。
【0254】
6.4.使用
洗浄成分の例は、界面活性剤または表面堆積促進材料である。これらは、通常は、清浄化組成物例えば皿洗い洗剤、洗濯組成物、シャンプーおよびシンバー(synbar)の構成成分として用いられる。
【0255】
7.エピクロロヒドリンエラストマー
7.1.一般
本発明によるエピクロロヒドリンを含有する生成物は、エピクロロヒドリンエラストマーの製造に用いられることが可能である。
【0256】
エピクロロヒドリンエラストマーとは、少なくとも1つのタイプの繰り返し単位、少なくとも1つの2−クロロメチルエトキシ基を含有する少なくとも1つのタイプの繰り返し単位を含有するポリマーを示すことが意図される。このポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーであることが可能である。
【0257】
エピクロロヒドリンエラストマーの例は、エピクロロヒドリンのホモポリマー、エピクロロヒドリンのアルキレンまたはフェニレンオキシドとのコポリマー、およびエピクロロヒドリンのアルキレンまたはフェニレンオキシドと、グリシジルエーテルとのターポリマーである。
【0258】
アルキレンオキシドは、スチレンオキシド、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブテン−1オキシド、ドデセン−1−オキシドから選択されることが可能であり、好ましくはエチレンオキシドである。
【0259】
グリシジルエーテルは、アルキルおよびハロアルキルグリシジルエーテル、例えば、2−クロロエチルグリシジルエーテルおよびアリルグリシジルエーテルから選択されることが可能である。
【0260】
7.2.共反応体
本発明による用途において、エピクロロヒドリンを含有する生成物は、通常は、アルキレンあるいはフェニレンオキシドとの反応、または、アルキレンあるいはフェニレンオキシドおよびグリシジルエーテルとの反応に供されるか、またはエピクロロヒドリンは単独重合される。
【0261】
7.3.方法
この反応は、その内容が本明細書において参照により援用される、米国特許第3,135,705号明細書、米国特許第3,158,580号明細書、米国特許第3,158,581号明細書、米国特許第3,026,270号明細書および米国特許第3,341,491号明細書に記載のものなどの技術分野において公知であるいずれかの方法により実施される。
【0262】
この反応は、通常は、脂肪族あるいは芳香族炭化水素、塩素化炭化水素、またはエーテル中の溶液中に実施される。
【0263】
エピクロロヒドリンおよびアルキレンオキシド間の重量比は、通常は、20:80〜90:10である。
【0264】
この反応は、R51Alおよび水を反応させることにより形成される触媒(R51Al−O−AlR51であると考えられる)の存在下に実施されることが好ましく、式中、R51は、アルキル、シクロアルキル、アリールまたはアルカリールラジカルから選択されることが可能である。アセチルアセトンを添加することにより触媒活性を向上させることが可能である。いく種かの有機亜鉛および有機マグネシウム化合物の組み合わせ、ならびに、アルキルアルミニウム化合物と組み合わされた他の添加剤およびキレート化剤もまた有効な触媒である。
【0265】
この反応は、逆混合反応器を用いて連続的な方法で実施することが可能である。
【0266】
反応を実施することが可能である温度は、通常は、−80℃〜250℃、好ましくは−80〜150℃、より好ましくは−30〜100℃を含む。25〜50℃の温度が特に簡便である。
【0267】
エピクロロヒドリンのホモポリマーおよびコポリマーを、例えば、硫黄、ジチオカルバメート、チウラムスルフィドおよびチアゾールの群の少なくとも1種の薬剤の存在下にポリアミンあるいはアミンと、または、芳香族カルボン酸の塩、脂肪族カルボン酸の塩、炭酸の塩、亜リン酸の塩、ケイ酸の塩、ならびに、周期律表の第IIA、IIBおよびIVA族の金属の酸化物、ならびに、2−メルカプトイミダゾリンおよび2−メルカプトピリイミジンからなる群から選択される少なくとも1種のヘテロ環式化合物からなる群から選択される金属化合物とさらに反応させることにより、さらに架橋されることが可能である。
【0268】
7.4.使用
エピクロロヒドリンエラストマーは、一般に、専門用途、例えば自動車部品(燃料ポンプダイヤフラム、排ガス制御ホース、モータマウント、ガスケット、シールおよび可搬式燃料タンク)といった専門用途、航空機産業における専門用途、専用屋根用膜用、コートされた布、溶剤保管コンテナ、紙ミルおよび印刷ローラ、ならびに、多様な油専門領域における専門用途において用いられる。
【実施例】
【0269】
5つのエピクロロヒドリン(ECH)サンプルを用いた。ガスクロマトグラフィ分析により得たこれらの組成が表1に表されている。
【0270】
【表1】

【0271】
【表2】

【0272】
実施例1〜10(ECHのホモ重合)
テストを、エピクロロヒドリンサンプルECH1(実施例1〜3)、ECH2(実施例4〜6)およびECH3(実施例7〜10)と共に以下の手順に従って実施した。薬品の量が表2に示されている。
【0273】
エピクロロヒドリン(ECH)の重合は、システム臭化テトラオクチルアンモニウム(NoctBr)/トリイソブチルアルミニウム(TiBA)の存在下に実施した。
【0274】
エピクロロヒドリンは、減圧下に、24時間かけて25℃で水酸化カルシウムで乾燥させ、さらに蒸留した。
【0275】
重合反応は、ポリテトラフルオロエチレンバルブを取り付けたパイレックス(登録商標)容器中に実施した。この容器を火炎加熱下で排気させて残存水分を除去した。室温に冷却させた後、この容器を−30℃に冷却させ(エタノール/液体窒素冷却浴)、トルエンおよびエピクロロヒドリンを減圧下に添加した。これらの添加の後、アルゴンを容器中に導入すると共に、臭化テトラオクチルアンモニウムおよびトリイソブチルアルミニウムを容器に添加した。この添加が反応の時間ゼロに設定される。磁気攪拌下に−30℃で所与の時間置いた後、1〜2mLのエタノールを容器に添加することにより反応を停止した。次いで、反応媒体の体積の半分を蒸発に供し、その後、ポリマーを容器から回収した。
【0276】
転化率は、回収したポリマーの重量と添加したエピクロロヒドリンの重量とを比較することにより得た。
【0277】
理論的モル重量(Mn th.)は、臭化テトラオクチルアンモニウムの量に基づいて算出した。
【0278】
計測したポリマーモル重量(Mn exp)およびモル重量分散体を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより得た。
【0279】
ポリマーの立体規則性は13CおよびH NMRにより得た。
【0280】
テストの結果が表3にまとめられている。
【0281】
【表3】

【0282】
【表4】

【0283】
実施例13〜15(ECHのホモ重合)
テストを、エピクロロヒドリンサンプルECH1(実施例13)、ECH2(実施例14)およびECH3(実施例15)と共に以下の手順に従って実施した。薬品の量が表4に示されている。
【0284】
エピクロロヒドリン(ECH)の重合は、システム水/トリエチルアルミニウム(TEA)の存在下に実施した。
【0285】
トルエンおよび水中の溶液中のTEAを、アルゴン下に、先ず排気すると共に乾燥させた容器に添加し、トルエン中のECHを添加(反応の時間ゼロ)前に、磁気攪拌下で減圧下に30分静置させたこと以外は実施例1の手順に従った。重合は、25℃の温度で12時間実施した。結果が表5にまとめられている。
【0286】
【表5】

【0287】
【表6】

【0288】
実施例16
米国特許第2,811,227号明細書によるビスフェノールAのジグリシジルジエーテルから主に構成される生成物の調製
【0289】
利用した装置は、機械的攪拌機、熱電対を備えるジャケットおよび水冷コンデンサが配設されたディーンスターク分離器が設けられた恒温化フラスコであった。ポンプを用いて、苛性ソーダ水溶液を一定の速度でフラスコ中に注入した。
【0290】
反応フラスコには、最初、ビスフェノールA(68.4g、0.3mol)と、プロピレン−塩素プラント由来のエピクロロヒドリンサンプルECH4(277.5g、3.0mol)との混合物を仕込んだ。エピクロロヒドリンの分析は表1に記されている。トリクロロプロパン含有量は0.049g/kgである。この混合物を、還流下に攪拌しながら111℃の温度に加熱した。苛性ソーダの40%水溶液(60.8g、0.6mol)を、12ml/hの速度で3.5時間の間導入した。フラスコ中の混合物の温度を、一定の還流を確実とするために、100℃〜115℃の範囲に維持した。分離器における下相として反応中に傾瀉した富エピクロロヒドリン有機相を定期的に反応フラスコ中にリサイクルすると共に、分離器における上相として回収した富水相を定期的に抜き出した。苛性ソーダ溶液をすべて導入した後、加熱を15分維持して、デカンタ中の水相の回収を達成した。表6に示す組成で29.7gの水性相を回収した。
【0291】
30mbarの減圧下での蒸留により、および109℃への混合物の進行的な加熱により過剰量のエピクロロヒドリンを反応混合物から取り出した。156.1g(1.7mol)のエピクロロヒドリンをこのステップにおいて回収した。留出物の組成は表6に示されている。
【0292】
攪拌下での567.2gのトルエンの添加の後に、ろ過により粗生成物(45.5g)から塩を分離した。ろ過ケーキを124.4gのトルエンで洗浄した。トルエン溶液を混合すると共に、185℃で、1mbarの圧力下で蒸発させた。
【0293】
659.4gのトルエンを、表6に示す組成で蒸発した画分の縮合物として回収した。蒸発の残存生成物(100.5g)は、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルを主生成物として含有すると共に、および未転換ビスフェノールAはまったく含有していなかった(<5mg/kg)。残渣は、4.98molエポキシ/kgおよび1.52%の加水分解性塩素を含有していた。
【0294】
実施例17
実施例16に記載の装置において試行を現実化した。
【0295】
反応フラスコには、最初、ビスフェノールA(68.4g、0.3mol)およびエピクロロヒドリンサンプルECH5(277.5g、3.0mol)の混合物を仕込んだ。エピクロロヒドリンの分析は表1に記されている。トリクロロプロパン含有量は0.007g/kgである。この混合物を、還流下に攪拌しながら119℃の温度に加熱した。苛性ソーダの40%水溶液(60.8g、0.6mol)を、12ml/hの速度で3.5時間の間導入した。フラスコ中の混合物の温度を、一定の還流を確実とするために、102℃〜119℃の範囲に維持した。分離器における下相として反応中に傾瀉した富エピクロロヒドリン有機相を定期的に反応フラスコ中にリサイクルすると共に、分離器における上相として回収した富水相を定期的に抜き出した。苛性ソーダ溶液をすべて導入した後、加熱を15分維持して、デカンタ中の水相の回収を達成した。表6に示す組成で54.5gの水性相を回収した。
【0296】
30mbarの減圧下での蒸留により、および118℃への混合物の進行的な加熱により過剰量のエピクロロヒドリンを反応混合物から取り出した。148.2g(1.5mol)のエピクロロヒドリンをこのステップにおいて回収した。留出物の組成は表6に示されている。
【0297】
攪拌下での228.4gのトルエンの添加の後に、ろ過により粗生成物(47.8g)から塩を分離した。ろ過ケーキを97.3gのトルエンで洗浄した。トルエン溶液を混合すると共に、180℃で、1mbarの圧力下で蒸発させた。
【0298】
305.0gのトルエンを、表6に示す組成で蒸発の縮合物として回収した。蒸発の残存生成物(99.8g)は、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルを主生成物として含有すると共に、および未転化ビスフェノールAはまったく含有していなかった(<5mg/kg)。残渣は、4.93molエポキシ/kgおよび0.49%の加水分解性塩素を含有していた。
【0299】
実施例16および17において得た残存生成物の高性能液体クロマトグラフィー分析は類似していた。
【0300】
【表7】

【0301】
【表8】

【0302】
実施例18
Solvay SAにより出願されたWO2005/054167号パンフレットに準拠して、305mLの実行容積を有するガラス製の恒温化ジャケット反応器に、47.2重量%水酸化ナトリウム、ならびに、ジクロロプロパノールの水性混合物、グリセロールおよび濃塩酸から調製した混合物を、有機酸の存在下に、連続的に供給した。この混合物は、575gの水/kg、404.6gの1,3−ジクロロ−2−プロパノール/kg、20.1gの2,3−ジクロロ−1−プロパノール/kg、0.14gのアクロレイン/kg、0.13gのエピクロロヒドリン/kg、0.04gの1,2,3−トリクロロプロパン/kg、0.04gのクロロアセトン/kgおよび0.03gの粗式C10Cl/kgのエーテルを含有していた。水酸化ナトリウムを262g/hの流量で導入すると共に、水性ジクロロプロパノール混合物を1180g/hの流量で導入した。この反応媒体は、激しく攪拌しながら25℃で一定に維持した。連続的な溢流により反応器を出る液体混合物を回収し、次いで、第1の分離画分および第2の分離画分が得られるよう、ガラス漏斗中でバッチモードで分離した。3753gの第1の分離画分(MEL1)を193mbarの減圧下でバッチ蒸留に供した。磁気攪拌機バール、液体の温度を計測するための熱電対およびカラムの頂部での留出物の一部の還流を可能とするデバイスが配設されたプレート蒸留カラムが設けられた丸底フラスコを用いてバッチ蒸留を実施した。ガラスプレートカラムは、液体の流れのための内部アパーチャ10mm径中央孔、および、周縁の4分の3を超えて辺に位置された、各孔間が1mm未満の一定の間隔で離間されている3列の約0.8mmの直径を有する小孔で穿孔されている、30mmの直径を有するプレート5枚を含んでいた。プレート間の離間距離は30mmであった。このカラムは、断熱性(真空下のガラスジャケット)であった。蒸留カラムの頂部に位置された熱電対が、蒸留される気相の温度の計測を可能としていた。留出物を、止め栓を備える漏斗で回収した。第1の蒸留画分を49℃〜67℃の間で回収したところ、分離後に、425gの有機相(D1 org)および159gの水性相(D1 aq)がもたらされた。有機相(D1 org)をボイラーの内容物と組み合わせて混合物(MEL2)を得、次いで、これを187℃の温度で蒸留した。第2の蒸留画分を66℃〜67℃の間で回収したと結果、分離後に、244gの有機相(D2 org)および11.5gの水性相(D2 aq)がもたらされた。次いで主留出物である999.5g/kgでの2082gのエピクロロヒドリンを67℃の温度で回収した(D3)。最終ボイラー(MEL3)を構成する混合物は1226gと計量され、きわめて低い留分の実現されたエピクロロヒドリンのみを含有していた。有機相D2 orgおよびボイラーMEL3は、改善された値で、それぞれ、エピクロロヒドリン、ならびに、1,3−ジクロロ−2−プロパノールおよび2,3−ジクロロ−1−プロパノールの混合物を回収するために、蒸留操作にリサイクルすることが可能であった。蒸留操作において用いると共に得られた組成(g/kg)が表7に記載されている。
【0303】
【表9】

【0304】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エピクロロヒドリンと、生成物1kgあたり0.1g未満の量の少なくとも1種のアルキルグリシジルエーテルとを含有する生成物。
【請求項2】
エピクロロヒドリンの含有量が生成物1kgあたり900g以上である、請求項1に記載の生成物。
【請求項3】
アルキルグリシジルエーテルがメチルグリシジルエーテルである、請求項1または2に記載の生成物。
【請求項4】
ジクロロプロパノールと、組成物1kgあたり0.1g以下の量の少なくとも1種のクロロアルコキシプロパノールとを含有する組成物の脱塩化水素により得られる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の生成物。
【請求項5】
クロロアルコキシプロパノールが、2−クロロ−3−アルコキシ−プロパン−1−オール、1−クロロ−3−アルコキシ−プロパン−2−オール、およびこれらの混合物から選択される、請求項4に記載の生成物。
【請求項6】
ジクロロプロパノールを含有する組成物が、グリセロールと、化合物1kgあたり0.6g以下の量の少なくとも1種のグリセロールアルキルエーテルとを含有する化合物の塩化水素処理により得られる、請求項4または5に記載の生成物。
【請求項7】
以下の:
(a)ジクロロプロパノールと、組成物1kgあたり0.1g以下の量の少なくとも1種のクロロアルコキシプロパノールとを含有する組成物を得るために、グリセロールを含有する化合物をカルボン酸の存在下に塩化水素と反応させるステップ、
(b)エピクロロヒドリンと、生成物1kgあたり0.1g未満の量の少なくとも1種のアルキルグリシジルエーテルとを含有する生成物を得るために、ステップ(a)において得られたジクロロプロパノールを含有する組成物を塩基性剤とさらに反応させるステップ
を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の生成物を製造する方法。
【請求項8】
以下の:
(c)グリセロールのエーテルが形成されると共にグリセロールから分離されないような条件下で、植物性の脂肪または油をアルコールと反応させてグリセロールを含有する化合物を得るステップ、
(d)グリセロールと、好ましくは0.6g/kg以下の量の少なくとも1種のグリセロールアルキルエーテルを含有する化合物を得るために、ステップ(a)において得られたグリセロールを含有する化合物が、場合により任意選択で減圧下において、蒸発濃縮、蒸発結晶化、蒸留、分留、ストリッピング、または液体−液体抽出の少なくとも1種の処理にさらに供されるステップ
を追加で含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
エポキシ樹脂などのエポキシ誘導体、グリシジルエーテル、グリシジルエステル、グリシジルアミドおよびイミドの製造、凝析剤および湿潤強化樹脂などの食品および飲料用途に用いられることとなる生成物の製造、カチオン化剤の製造、難燃剤の製造、洗浄成分として用いられることとなる生成物の製造、または、エピクロロヒドリンエラストマーの製造における、請求項1〜6のいずれか一項に記載のエピクロロヒドリンを含有する生成物の使用。
【請求項10】
エポキシ樹脂またはグリシジルエーテルまたはグリシジルエステルまたはグリシジルアミドまたはグリシジルイミドを得るために、エピクロロヒドリンを含有する生成物が、モノアルコール、モノカルボン酸、ポリオール、ポリアミン、アミノアルコール、ポリイミドおよびアミド、ポリカルボン酸、ならびにこれらの混合物から選択される、少なくとも1個の活性水素原子を含有する化合物との反応に供される、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
凝析剤として使用される生成物を得るために、エピクロロヒドリンを含有する生成物を、アンモニア、アミン、ポリアミノアミドあるいはポリイミンと反応させ、または、湿潤強化樹脂を得るために、エピクロロヒドリンを含有する生成物を、ポリアミン、ポリアミドあるいはポリアミノアミドと反応させる、請求項9に記載の使用。
【請求項12】
カチオン化剤を得るために、エピクロロヒドリンを含有する生成物を、アミン、アミン塩、あるいはこれらの混合物と反応させる、請求項9に記載の使用。
【請求項13】
難燃剤を得るために、エピクロロヒドリンを含有する生成物を、リン酸、リン酸塩、オキシ塩化リン、リン酸エステル、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスフィン酸、ホスフィン酸エステル、ホスフィン酸塩、ホスフィンオキシド、ホスフィン、またはこれらの混合物から選択される化合物と反応させる、請求項9に記載の使用。
【請求項14】
洗浄成分を製造するために、エピクロロヒドリンを含有する生成物を、12〜16個の炭素原子を含有するモノアルコールあるいはエトキシル化アルコールと反応させるか、または、直鎖アルキルアミン、分岐アルキルアミン、シクロアルキルアミン、アルコキシアミン、アミノアルコール、少なくとも1個の窒素原子を環構造中に有する環状アミン、アルキレンジアミン、ポリエーテルジアミン、ポリアルキレンポリアミンからなる群から選択されるアミンと反応させる、請求項9に記載の使用。
【請求項15】
エピクロロヒドリンエラストマーを得るために、エピクロロヒドリンを含有する生成物を、アルキレンオキシドあるいはフェニレンオキシドと反応させるか、または、アルキレンオキシドあるいはフェニレンオキシド、およびグリシジルエーテルと反応させるか、または、単独重合させる、請求項9に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−529164(P2010−529164A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511620(P2010−511620)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【国際出願番号】PCT/EP2008/057246
【国際公開番号】WO2008/152044
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(591001248)ソルヴェイ(ソシエテ アノニム) (252)
【Fターム(参考)】