説明

エピタキシャル薄膜

【課題】高い触媒活性を与えるとともに、触媒成分の使用量を低減させることができる、燃料電池用電極触媒のための薄膜触媒を提供する。
【解決手段】ステップ面とテラス面とで構成された表面を有し、0.2〜200nmの厚さである、PtまたはPt合金のエピタキシャル薄膜である。テラス面は、原子レベルで平坦な面であり、ステップ面は、1原子層の高さを有する段差である。このような表面では、特定の面方位に配向しているため、膜の電子伝導性が高まり、触媒活性が高まる。特に、ステップ面の近傍に反応場が存在し、平坦なテラスのみの表面に比べて高い反応活性が得られる。また、単原子層に近い薄膜であるため、Ptなどの触媒成分の利用率が非常に高く、これにより少量の触媒成分で高い触媒活性が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用電極触媒に用いられるエピタキシャル薄膜に関する。より詳細には、本発明は、燃料電池用電極触媒の触媒活性および触媒成分の利用率を改善しうる燃料電池用電極触媒に用いられるエピタキシャル薄膜に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、電極反応による生成物が原理的に水であり、地球環境への悪影響がほとんどないクリーンな発電システムである。燃料電池としては、固体高分子型燃料電池、固体酸化物型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池、リン酸型燃料電池など、各種燃料電池が提案されている。この中では、固体高分子型燃料電池(PEFC)は、比較的低温で作動可能であることから、自動車等の移動体用動力源として期待され、開発が進められている。
【0003】
固体高分子型燃料電池の構成は、一般的には、膜電極接合体(MEA)をセパレータで挟持した構造となっている。前記MEAは、高分子電解質を一対の電極触媒層、すなわちアノード側電極触媒層およびカソード側電極触媒層により挟持されてなるものである。電極触媒層は、電極触媒およびプロトン伝導性の高分子電解質を含み、外部から供給される反応ガスを拡散させるために多孔質構造を有する。
【0004】
前記MEAでは、以下のような電気化学的反応が進行する。まず、アノード側に供給された燃料ガスに含まれる水素は、アノード側電極触媒層において触媒成分により酸化され、プロトンおよび電子となる。次に、生成したプロトンは、アノード側電極触媒層に含まれる高分子電解質、さらにアノード側電極触媒層と接触している高分子電解質膜を通り、カソード側電極触媒層に達する。また、アノード側電極触媒層で生成した電子はアノード側電極触媒層を構成している導電性担体、さらにアノード側電極触媒層の高分子電解質膜と異なる側に接触しているガス拡散層、ガスセパレータ、および外部回路などを通してカソード側電極触媒層に達する。そして、カソード側電極触媒層に達したプロトンおよび電子はカソード側電極触媒層に供給されている酸化剤ガスに含まれる酸素と反応し水を生成する。燃料電池では、上述した電気化学的反応を通して、電気を外部に取り出すことが可能となる。
【0005】
燃料電池の出力性能を向上させる上では、前記電極触媒の活性を向上させることが重要である。前記電極触媒としては、従来、導電性担体に粒子状の触媒成分を担持させた形態のものなどが用いられてきた。特許文献1では、触媒活性の向上を目的として、ナノスコピック触媒粒子を担持した微細構造化担持体ウィスカーを含むカソード触媒が開示されている。このナノスコピック触媒粒子は、2層で構成されており、第1層が白金であり、第2層が鉄と第2金属(Ni、Co、Mn)との合金または均等混合物であり、第1層および第2層の平均合計厚さが100Å(10nm)未満の薄膜である。
【特許文献1】特表2007−507328号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の方法では、高活性を与える薄膜の表面状態が指定されておらず、多結晶のPtの表面であるため、触媒活性の向上が十分には得られていなかった。また、100Å(10nm)程度の厚さの薄膜であれば、たとえ触媒活性が向上していても、Ptの利用率は従来の形態の電極触媒の場合(約33%)と比較して低くなるため、Ptの使用量を低減することは困難であった。
【0007】
そこで本発明は、高い触媒活性を与えるとともに、Ptなどの触媒成分の使用量を低減させることができる、燃料電池用電極触媒として使用される薄膜触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明は、ステップ面とテラス面とで構成された表面を有し、厚さが0.2〜200nmである、PtまたはPt合金のエピタキシャル薄膜である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のエピタキシャル薄膜によれば、高活性サイトを有する表面が選択されるため、触媒活性および触媒成分の利用率の高い電極触媒が得られうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明の第1は、テラス面と、ステップ面とで構成された表面を有する、0.2〜200nm厚さのPtまたはPt合金のエピタキシャル薄膜である。
【0012】
前記テラス面は、原子レベルで平坦な面であり、好ましくは0.27〜2.50nmの幅を有する。前記ステップ面は、1原子層(約0.27nm)の高さを有する段差である。このような表面では、特定の面方位に配向しているため、膜の電子伝導性が高まり、触媒活性が高まると考えられる。特に、ステップ面の近傍に反応場が存在し、平坦なテラスのみの表面に比べて高い反応活性が得られると考えられる。また、単原子層に近い薄膜であるため、Ptなどの触媒成分の利用率が非常に高い。したがって、上記のような表面を有する薄膜であれば、少量の触媒成分で高い触媒活性が得られうる。
【0013】
Pt多結晶体は、従来の形態の電極触媒であるPt担持カーボンよりも比活性が約15倍上昇することが報告されている(Gasteiger et al.,Appl.Catal.B:Environ.56(2005),pp.9−35(GM))。そこで、特定の面方位に配向した表面状態を有する薄膜を作製することによって、従来のPt担持カーボンと比較して更に高い活性を示す触媒が得られると考えられる。
【0014】
本明細書中、ステップ面とテラス面とで構成されるPtまたはPt合金の表面を以下のように表記する。
【0015】
【化1】

【0016】
ここで、Mは合金化する金属を表し、(S)はステップ面であることを示す。nはテラス原子列数であり、2〜9の整数である。好ましくは、nは、4〜9である。nが上記範囲であれば高い触媒活性が得られうる。(klm)はテラスの原子配列、(k’l’m’)はステップの原子配列を示す。k、l、m、k’、l’、m’は、それぞれ0〜1の整数である。
【0017】
触媒成分は、カソードまたはアノードにおける電極反応を促進させる機能を有する物質である。本発明のエピタキシャル薄膜は必須の触媒成分としてPtを含有する。Ptは他の金属と比較して触媒活性に優れる。
【0018】
触媒成分は、Ptと、その他の合金化する金属(M)との合金であってもよい。合金化する金属は、配置される電極における電極反応を促進する機能を有していれば、特に限定されない。合金化する金属は、例えば、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、タングステン、鉛、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、およびアルミニウムから選択される1以上である。前記合金の組成は、合金化する金属の種類にもよるが、好ましくはPtが5原子%以上であり、より好ましくは10原子%以上であり、さらに好ましくは30原子%以上である。
【0019】
テラスの原子配列およびステップの原子配列は特に制限されない。(111)、(110)、(100)の任意の原子配列が採用されうる。好ましくは、前記ピタキシャル薄膜は、(111)テラスと(111)ステップとから構成される表面、(111)テラスと(100)ステップとから構成される表面、または(100)テラスと(111)ステップとから構成される表面を有する。このような表面構造であれば、高活性であり、高い電子伝導度を備えるため好適である。特に、(111)テラスと(111)ステップとから構成される表面を有する膜が好適である。
【0020】
本発明のエピタキシャル薄膜は、膜厚が0.2〜200nmである。膜厚が0.2nmより薄くなると連続薄膜が作製されず、触媒成分が島状に凝集し、活性が低下する。膜厚が200nmを超えると、使用する触媒成分の量が増加してしまい、利用率が低下する。好ましくは、前記膜厚は、0.1〜1.0nmであり、より好ましくは0.27〜0.81nmである。特に、膜厚が1nm以下であれば単原子層の膜に近づき、触媒成分の利用率が大きく向上するため好ましい。本明細書中、膜厚の値は、膜の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定した値を採用するものとする。
【0021】
本発明のエピタキシャル薄膜の表面原子配列は、サイクリックボルタンメトリー法によって決定することができる。前記エピタキシャル薄膜は、サイクリックボルタンメトリー法による50〜1200mV(vs.RHE)の範囲の水素吸脱着波形において、100〜400mV(vs.RHE)の範囲で水素吸着電流および水素脱着電流のピーク電流値を示しうる。この際、サイクル数は10サイクル以上とする。サイクリックボルタンメトリー法による測定は、例えば、0.1M HClO溶液中で行われうる。上記のような波形は、PtまたはPt合金の単結晶表面に特徴的な波形である(星永宏他、電極触媒化学の新展開、北海道図書刊行会(2001)29−52頁)。上記のような波形を示す薄膜を用いると、高活性の電極触媒が得られうる。なお、上記波形の100〜400mV(vs.RHE)の範囲のピークに対応する電気量は、ステップ原子密度に比例し、ステップの割合が高くなるほど触媒活性が高くなる。
【0022】
好ましくは、本発明のエピタキシャル薄膜は、100〜200mV(vs.RHE)の範囲に水素吸着電流および水素脱着電流のピーク電流値を示しうる。このような波形は、前記エピタキシャル薄膜が(111)テラスと(111)ステップとから構成される表面を有する場合に得られうる。
【0023】
または、本発明のエピタキシャル薄膜は、200〜300mV(vs.RHE)の範囲に水素吸着電流および水素脱着電流のピーク電流値を示しうる。このような波形は、前記エピタキシャル薄膜が(111)テラスと(100)ステップとから構成される表面を有する場合に得られうる。
【0024】
または、本発明のエピタキシャル薄膜は、300〜400mV(vs.RHE)の範囲に水素吸着電流および水素脱着電流のピーク電流値を示しうる。このような波形は、前記エピタキシャル薄膜が(100)テラスと(111)ステップとから構成される表面を有する場合に得られうる。
【0025】
本発明のエピタキシャル薄膜は、エピタキシャル成長した薄膜、すなわち、基板となる結晶と特定の方位関係にある、単結晶の薄膜を成長させて作製した薄膜であることが好ましい。このような薄膜は、好ましくは、CuKα線を用いたX線電子回折(XRD)スペクトルにおいて、PtまたはPt合金が特定の面方位に配向していることを示すピークを与える。すなわち、特定の面方位に由来するピークのみを示し、PtまたはPt合金のその他の面方位に由来するピークを与えない。PtまたはPt合金を特定の面方位のみに配向させることによって、薄膜の電子伝導性が高まるため、触媒活性が向上しうる。好ましくは、本発明のエピタキシャル薄膜は、PtまたはPt合金の(111)面または(100)面に由来するXRDピークを示し、特に好ましくは、(111)面に由来するピークを示す。
【0026】
前記エピタキシャル薄膜は、好ましくは、第2元素またはその化合物を含む下地の上に形成される。前記下地を採用することで、触媒活性がさらに向上する。前記第2元素は、好ましくは、第4〜第6周期の4〜12族の金属、CおよびSiからなる群から選択される1以上である。上記金属としては、例えば、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Pd、Ag、またはAuが用いられうる。特には、Cr、Au、Ni、Coが好ましく用いられうる。前記第2元素を含む化合物としては、例えば、PtNi、PtCoなどが挙げられる。これらの第2元素または化合物は2種類以上を併用してもよく、2層以上の下地を積層して用いてもよい。上記のような下地を用いた場合、Pt薄膜の電子状態が下地の電子状態の影響を受けて5d電子欠損状態を生じることが、触媒活性が増加することに寄与していると考えられる。
【0027】
本発明はまた、スパッタリング、化学蒸着(CVD)、原子層堆積(ALD)、またはレーザー処理のいずれかを用いた成膜工程を含み、前記成膜工程における膜の成長速度を0.001〜10nm/秒に制御する、エピタキシャル薄膜の製造方法を提供する。
【0028】
スパッタリングとしては、例えば、電子サイクロトロン共鳴スパッタリング、高周波(RF)スパッタリング、マグネトロンスパッタリング、対向ターゲットスパッタリング、ミラートロンスパッタリング、イオンビームスパッタリングなどが挙げられるが、これらに制限されるものではない。CVDとしては、熱CVD、プラズマCVD、光CVDなどが挙げられるが、これらに制限されるものではない。レーザー処理としては、例えば、レーザーアブレーションなどの方法が用いられうる。
【0029】
ここで、エピタキシャル薄膜を作製するための基礎実験用の基板としては、例えば、Si、サファイア、SiO、Al、GaAs、InP、GaN、AlN、AlGaN、InNなどの単結晶のエピタキシャル基板、またはアモルファスSi、SiO、などのアモルファス基板が用いられうる。好ましくは、前記基板は、Si、サファイア、SiO単結晶のエピタキシャル基板である。
【0030】
前記エピタキシャル薄膜は、上記のような基板上に直接製膜してもよく、前記基板にあらかじめ第2元素またはその化合物を含む下地を作製し、この下地の上に製膜してもよい。前記第2元素の具体例は上述した通りである。前記下地の作製方法も特に制限されず、スパッタリング、化学蒸着(CVD)、原子層堆積(ALD)、レーザー処理の他、パルスレーザー蒸着法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、分子線エピタキシー法、電子ビーム蒸着法、溶射法など従来公知の方法を用いて作製することができる。下地の厚さは特に限定されないが、好ましくは10〜400nmである。
【0031】
燃料電池の触媒層に用いる場合は、ガスや物質拡散性を確保するために薄膜作製用の基板として、多孔質体、ファイバー、微粒子(直径1nm〜200μm)を用いることができる。
【0032】
本発明のエピタキシャル薄膜の製造方法においては、前記成膜工程における膜の成長速度を、0.001〜10nm/秒に制御する。膜の成長速度が上記範囲であれば、表面にテラス面とステップ面とを有する連続した薄膜を作製することができる。前記成長速度は、好ましくは0.01〜1nm/秒であり、より好ましくは0.06〜0.9nm/秒であり、特に好ましくは0.06〜0.1nm/秒である。上記速度で、好ましくは0.75〜300秒の時間で製膜する。
【0033】
膜の成長速度を制御する方法は特に制限されないが、例えば、基板を冷却したり、スパッタリングなどの際の出力を低下させるなどの方法を用いて、膜の成長速度を抑えることができる。製膜時の基板温度は、好ましくは0〜20℃であり、より好ましくは2〜10℃である。例えば、スパッタリングによって製膜する場合の出力は、好ましくは50〜250Wであり、より好ましくは100〜200Wである。
【0034】
本発明はまた、本発明のエピタキシャル薄膜を用いた燃料電池用電極触媒を提供する。前記エピタキシャル薄膜を、例えば、微粒子または多孔体の表面に成膜し、電極触媒として用いることができる。上記薄膜を微粒子または多孔体の表面に成膜することによって、燃料電池の電極触媒層内での拡散抵抗が低減され、物質輸送経路が十分に確保される。したがって、電池の高い出力が確保される。
【0035】
用いられる微粒子または多孔体の材質は特に制限されない。微粒子または多孔体としては、例えば、カーボンブラック、活性炭、コークス、天然黒鉛、人造黒鉛などからなるカーボン粒子が挙げられる。または、カーボンナノチューブ、カーボンファイバーなどが用いられうる。
【0036】
前記微粒子または多孔体の大きさは特に限定されないが、製膜の容易さ、触媒利用率、電極触媒層の厚みを適切な範囲で制御するなどの観点から、平均粒子径が5〜200nm、好ましくは10〜100nm程度とするのがよい。平均粒子径は、走査型電子顕微鏡によって観察される一次粒子径によって規定される。前記微粒子または多孔体の形状も特に制限されない。前記微粒子または多孔体が球形以外の形状である場合、一次粒子径は、最端部を結ぶ最長距離の大きさを採用する。
【0037】
前記微粒子または多孔体の表面にエピタキシャル薄膜を製膜する方法は上記と同様であるのでここでは詳細な説明を省略する。
【0038】
本発明はまた、本発明の燃料電池用電極触媒を用いた燃料電池を提供する。
【0039】
本発明の燃料電池用電極触媒は、電極触媒層に用いることができる。前記電極触媒層は、上記した本発明の燃料電池用電極触媒と、高分子電解質と、を含む。
【0040】
本発明の燃料電池用電極触媒は、アノードおよびカソードの双方の電極触媒層に好適に用いられる。しかしながら、アノードにおける水素の酸化反応に対してカソードでの還元反応が遅く、過電圧が大きい。したがって、前記燃料電池用電極触媒は少なくともカソードに使用される形態が効果が大きく好ましい。
【0041】
電極触媒層に用いられる高分子電解質としては、特に限定されず公知のものを用いることができるが、少なくともプロトン伝導性を有するのが好ましい。これにより高い発電性能を有する電極触媒層が得られる。この際使用できる高分子電解質は、ポリマー骨格の全部又は一部がフッ素化されたフッ素系ポリマーであってイオン交換基を備えた高分子電解質、または、ポリマー骨格にフッ素を含まない炭化水素系ポリマーであってイオン交換基を備えた高分子電解質、などが挙げられる。
【0042】
前記イオン交換基としては、特に制限されないが、−SOH、−COOH、−PO(OH)、−POH(OH)、−SONHSO−、−Ph(OH)(Phはフェニル基を表す)等の陽イオン交換基、−NH、−NHR、−NRR’、−NRR’R’’、−NH等(R、R’、およびR’’は、それぞれアルキル基、シクロアルキル基、アリール基等を表す)等の陰イオン交換基などが挙げられる。
【0043】
前記フッ素系ポリマーであってイオン交換基を備えた高分子電解質として、具体的には、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)等のパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマー、ポリトリフルオロスチレンスルホン酸系ポリマー、パーフルオロカーボンホスホン酸系ポリマー、トリフルオロスチレンスルホン酸系ポリマー、エチレンテトラフルオロエチレン−g−スチレンスルホン酸系ポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン−g−ポリスチレンスルホン酸系ポリマー、ポリフッ化ビニリデン−g−ポリスチレンスルホン酸系ポリマーなどが好適な一例として挙げられる。
【0044】
前記炭化水素系ポリマーであってイオン交換基を備えた高分子電解質として、具体的には、ポリサルホンスルホン酸系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトンスルホン酸系ポリマー、ポリベンズイミダゾールアルキルスルホン酸系ポリマー、ポリベンズイミダゾールアルキルホスホン酸系ポリマー、架橋ポリスチレンスルホン酸系ポリマー、ポリエーテルサルホンスルホン酸系ポリマー等が好適な一例として挙げられる。
【0045】
高分子電解質は、高いイオン交換能を有し、化学的耐久性・力学的耐久性、などに優れることから、前記フッ素系ポリマーであってイオン交換基を備えた高分子電解質を用いるのが好ましく、なかでも、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)などのフッ素系電解質が好ましく挙げられる。
【0046】
電極触媒層に含まれる高分子電解質の含有量は、電解質抵抗値を所望の値とする観点からは、電極触媒層を構成する成分の全質量に対して、好ましくは0.15〜0.45質量%、より好ましくは0.25〜0.40質量%とするのがよい。前記高分子電解質の含有量が、0.15質量%以上であれば触媒層中に高分子電解質を均一に保持できる効果が得られ、0.45質量%以下であれば反応ガスの十分な拡散性を得られる。なお、「電極触媒層を構成する成分の全質量」とは、好ましくは、電極触媒の質量と高分子電解質の質量との総和である。
【0047】
前記電極触媒層の厚さは、外部から供給されるガスの拡散性および膜電極接合体の発電性能を考慮すると、好ましくは1〜25μm、より好ましくは2〜20μm、特に好ましくは5〜10μmとするのがよい。前記電極触媒層の厚さが、1μm以上であれば面方向および厚さ方向ともに均一な厚さを有する電極触媒層を容易に形成することができ、25μm以下であれば電極触媒層内に水分が停留することにより生じるフラッディング現象を抑制することができる。
【0048】
上記電極触媒層をMEAに用いることにより、発電性能に優れるMEAとすることが可能となる。
【0049】
MEAの基本的な構成としては、特に限定されず、従来一般的なものであればよい。すなわち、カソード側電極触媒層およびアノード側電極触媒層が固体電解質膜の両面に対向して配置され、さらにこれをガス拡散層で挟持した構成である。
【0050】
MEAに用いられる固体高分子電解質膜としては、特に限定されず、電極触媒層に用いたものと同様の固体高分子電解質からなる膜が挙げられる。また、デュポン社製の各種のナフィオン(登録商標)やフレミオン(登録商標)に代表されるパーフルオロスルホン酸膜、ダウケミカル社製のイオン交換樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合体樹脂膜、トリフルオロスチレンをベースポリマーとする樹脂膜などのフッ素系高分子電解質や、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂系膜など、一般的に市販されている固体高分子型電解質膜、高分子微多孔膜に液体電解質を含浸させた膜、多孔質体に高分子電解質を充填させた膜などを用いてもよい。前記固体高分子電解質膜に用いられる固体高分子電解質と、電極触媒層に用いられる固体高分子電解質とは、同じであっても異なっていてもよい。電極触媒層と固体高分子電解質膜との密着性を向上させる観点から、同じものを用いるのが好ましい。
【0051】
前記固体高分子電解質膜の厚さとしては、得られるMEAの特性を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは5〜300μm、より好ましくは10〜200μm、特に好ましくは15〜150μmである。製膜時の強度やMEA作動時の耐久性の観点から5μm以上であることが好ましく、MEA作動時の出力特性の観点から300μm以下であることが好ましい。
【0052】
MEAに用いられるガス拡散層としては、特に限定されず、炭素製の織物、紙状抄紙体、フェルト、不織布といった導電性及び多孔質性を有するシート状材料を基材とするものなどが挙げられる。
【0053】
前記ガス拡散層の厚さは、得られるガス拡散層の特性を考慮して適宜決定すればよいが、30〜500μm程度とすればよい。厚さが、30μm未満であると十分な機械的強度などが得られない恐れがあり、500μmを超えるとガスや水などが透過する距離が長くなり望ましくない。
【0054】
前記ガス拡散層は、撥水性をより高めてフラッディング現象などを防ぐために、前記基材に撥水剤が含まれているのが好ましい。前記撥水剤としては、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系の高分子材料、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。
【0055】
また、撥水性をより向上させるために、前記ガス拡散層は、前記基材上に撥水剤を含むカーボン粒子の集合体からなるカーボン粒子層を有するものであってもよい。
【0056】
前記カーボン粒子としては、特に限定されず、カーボンブラック、黒鉛、膨張黒鉛などの従来一般的なものであればよい。なかでも、電子伝導性に優れ、比表面積が大きいことから、オイルファーネスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが好ましく挙げられる。
【0057】
前記カーボン粒子の粒径は、10〜100nm程度とするのがよい。これにより、毛細管力による高い排水性が得られるとともに、電極触媒層との接触性も向上させることが可能となる。
【0058】
前記カーボン粒子層に用いられる撥水剤としては、前記基材に用いられる上述した撥水剤と同様のものが挙げられる。なかでも、撥水性、電極反応時の耐食性などに優れることから、フッ素系の高分子材料が好ましく用いられる。
【0059】
前記カーボン粒子層における、カーボン粒子と撥水剤との混合比は、カーボン粒子が多過ぎると期待するほど撥水性が得られない恐れがあり、撥水剤が多過ぎると十分な電子伝導性が得られない恐れがある。これらを考慮して、カーボン粒子層におけるカーボン粒子と撥水剤との混合比は、質量比で、90:10〜40:60程度とするのがよい。
【0060】
前記カーボン粒子層の厚さは、得られるガス拡散層の撥水性を考慮して適宜決定すればよい。
【0061】
前記燃料電池の種類としては、特に限定されず、上記した説明中では固体高分子型燃料電池を例に挙げて説明したが、この他にも、リン酸型燃料電池、直接メタノール型燃料電池などが挙げられる。
【0062】
前記燃料電池の構成としては、特に限定されず、従来公知の技術を適宜利用すればよいが、一般的にはMEAをセパレータで挟持した構造を有する。
【0063】
ここで、本発明の好ましい一実施形態である燃料電池を図1を用いて説明する。固体高分子型燃料電池260は、固体高分子電解質膜210の両側にMEA200を有する。MEA200は、アノード側電極触媒層220aおよびアノード側ガス拡散層230aと、カソード側電極触媒層220bおよびカソード側ガス拡散層230bとが、それぞれ対向して配置されてなる。さらにMEA200を、アノード側セパレータ250aおよびカソード側セパレータ250bで挟持することで構成されている。また、MEAに供給される燃料ガスおよび酸化剤ガスは、アノード側セパレータ250aおよびカソード側セパレータ250bに、それぞれ複数箇所設けられたガス供給溝251a、251bなどを介して供給される。
【0064】
MEAを挟持するセパレータとしては、緻密カーボングラファイト、炭素板等のカーボン製や、ステンレス等の金属製のものなど、従来公知のものであれば制限なく用いることができる。セパレータは、空気と燃料ガスとを分離する機能を有するものであり、それらの流路を確保するための流路溝が形成されてもよい。セパレータなどの厚さや大きさ、流路溝の形状などについては、特に限定されず、得られる燃料電池の出力特性などを考慮して適宜決定すればよい。
【0065】
さらに、燃料電池が所望する電圧等を得られるように、セパレータを介してMEAを複数積層して直列に繋いだスタックを形成してもよい。燃料電池の形状などは、特に限定されず、所望する電圧などの電池特性が得られるように適宜決定すればよい。
【0066】
上述の燃料電池は、自動車用燃料電池、家庭用燃料電池、電子機器用燃料電池など幅広く適用可能である。
【実施例】
【0067】
本発明を以下の実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
【0068】
<実施例1>
はじめに、シリコン基板(13mm×30mm、厚さ100μm)上に、Cr薄膜(厚さ50nm)およびAu薄膜(厚さ300nm)を順次作製した。Cr薄膜およびAu薄膜は、15℃でスパッタ法を用いて作製した。このCr薄膜およびAu薄膜を積層した基板の基板温度をチラーを用いて5℃に制御し、スパッタ法を用いて0.067nm/sの成長速度でAu薄膜上に200nmのPt薄膜を作製した。
【0069】
スパッタ条件は下記の通りである。
【0070】
装置:3元スパッタ装置(テクノファイン社製 TS−300)
到達圧力:2〜8×10−5Pa
出力(Pt):100W
時間(Pt):7.5〜3000s
製膜速度(Pt):0.067nm/s
出力(Au):200W
時間(Au):344.8s
製膜速度(Au):0.870nm/s
出力(Cr):200W
時間(Cr):160.2s
製膜速度(Au):0.312nm/s
<実施例2>
Pt薄膜の厚さを50nmとしたことを除いては実施例1と同様の手順でPt薄膜を作製した。
【0071】
<実施例3>
Pt薄膜の厚さを5nmとしたことを除いては実施例1と同様の手順でPt薄膜を作製した。
【0072】
<比較例1>
基板温度(製膜速度)の制御をしなかったことを除いては実施例1と同様の手順でPt薄膜を作製した。
【0073】
<比較例2>
基板温度(製膜速度)の制御をしなかったことを除いては実施例3と同様の手順でPt薄膜を作製した。
【0074】
<薄膜表面のSEMによる観察>
各実施例および比較例で作製したPt薄膜の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。得られた表面画像を図2に示す。実施例1〜3、比較例1では均質な薄膜が形成されていることがわかる。しかしながら、比較例2の画像では、Ptが白色のドットとなって島状に観察され、均質な膜が形成されなかった。
【0075】
<XRDによる評価>
各実施例および比較例で作製したPt薄膜のXRDスペクトルを測定した。
【0076】
XRDの測定条件は、以下の通りである;
測定機器:マックサイエンス社製 X線回折装置(MXP18VAHF型)
線源:(CuKα)
出力設定:電圧40kV、電流300mA
発散スリット:1.0°
散乱スリット:1.0°
受光スリット:0.3mm
走査範囲:5〜90°。
【0077】
図3(a)は比較例1で作製した薄膜のXRDスペクトルである。図3(a)に示すように、Au基板に由来するピークの他に、Pt(111)、Pt(200)、Pt(220)の格子面に由来するピークが観測され、多結晶性であることがわかる。比較例2の触媒も同様に多結晶性であった(図示せず)。一方、図3(b)に示すように、実施例1〜3の触媒は、Pt(111)に由来するピークのみを示し、Pt(111)に配向していることを示した。したがって、実施例1〜3の触媒は、膜がエピタキシャル成長していることが確認された。
【0078】
<電気化学測定>
回転ディスク電極装置(北斗電工社製HZ−301)を使用し、対極に白金線、参照極には標準水素電極、作用極には上記実施例および比較例の薄膜を用い、これらの薄膜にリード線を取り付け、電解液に浸漬して測定した。電解液には0.1MのHClO水溶液を用いた。電気化学測定は、ポテンショスタット(北斗電工社製電気化学測定システムHZ−5000)によって測定した。作用極の幾何表面積は1.0cmであった。
【0079】
回転ディスク電極装置に電極、電解液をセットして、電解液を窒素で30分間パージした後に、サイクリックボルタンメトリーを電位走査速度は20mV/s、電位走査範囲は50〜1200mV(vs.RHE)、25℃の条件で行なった。図4に示すサイクリックボルタモグラム(サイクリックボルタンメトリーで測定したグラフを表す)は、上記条件で測定した15サイクル目の結果を採用した。サイクルは計15サイクル行った。
【0080】
図4に示す結果から、実施例1〜3の薄膜では、約130mV(vs.RHE)の範囲に水素吸着電流および水素脱着電流のピーク電流値を示した。これは、Pt(S)−[n(111)×(111)]面を有するPt単結晶電極のサイクリックボルタモグラム(星永宏他、電極触媒化学の新展開、北海道図書刊行会(2001)29−52頁)と同様であった。したがって、実施例1〜3の薄膜は、(111)テラスと(111)ステップとから構成される表面を有することが確認された。また、実施例1〜3の結果を比較すると、130mV付近のピークの強度は、実施例1、実施例2、実施例3の順で小さくなっている。これは、ステップの原子の比率がこの順で小さくなっていることを示す。一方、比較例1、2の薄膜では、典型的なPt多結晶のサイクリックボルタモグラムが得られた(図示せず)。
【0081】
<酸素還元活性評価(比活性)>
上記のサイクリックボルタンメトリー後に、電解液中を酸素で30分間パージした後、作用極を1600rpmで回転させて50mVから1200mV(vs.RHE)に電位走査して酸素還元電流を測定した。900mV(vs.RHE)のときの酸素還元電流値をPt表面積で割ることにより、実施例1〜3における比活性を算出した。Pt表面積は、サイクリックボルタモグラムから電位の幅50mV〜400mVの間で起こる水素吸着電荷量(還元側の電位×電流から求めた面積)を、単位白金面積あたりの水素吸着する電荷量(210μC/cm−Pt)で割ることにより求めた。
【0082】
図5は、実施例1〜3の薄膜の比活性を、Pt(S)−[n(111)×(111)]面におけるステップの割合の関数として表したグラフである。前記ステップの割合は、サイクリックボルタモグラムから、J.Clavilier et al.Chem.Phys.141,1(1990)に記載の方法に従って、(111)ステップに由来するピークの電気量Q(step)を求め、Q(step)/Q(total)をPt表面のステップ密度の代表指標として用いてORR比活性の結果を整理した。ここでQ(total)は総電気量である。図5から、面積あたりのステップの割合が高いほど、比活性が高くなっていることがわかる。比較のため、200nm厚さのPt多結晶体で測定した結果(図5中の三角形のプロット)も併せて示した。図5の結果からわかるように、実施例1〜3の薄膜は、いずれも多結晶体の場合よりも比活性が向上している。また、ステップの割合が高いほど、比活性が高まることが明らかになった。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の固体高分子型燃料電池の一実施形態を示す模式図である。
【図2】実施例1〜3、比較例1、2で作製した薄膜の表面のSEM写真である。
【図3】(a)比較例1で作製した薄膜、(b)実施例1〜3で作製した薄膜のXRDスペクトルである。
【図4】実施例1〜3で作製した薄膜のサイクリックボルタモグラムである。
【図5】実施例1〜3で作製した薄膜の比活性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0084】
200 MEA、
210 固体高分子電解質膜、
220a アノード側電極触媒層、
220b カソード側電極触媒層、
230a、230b ガス拡散層、
260 固体高分子電解質型燃料電池、
250a、250b セパレータ、
251a、251b ガス供給溝。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステップ面とテラス面とで構成された表面を有し、0.2〜200nmの厚さである、PtまたはPt合金のエピタキシャル薄膜。
【請求項2】
サイクリックボルタンメトリー法による50〜1200mV(vs.RHE)の範囲の水素吸脱着波形(サイクル数10サイクル以上)において、100〜400mV(vs.RHE)の範囲で水素吸着電流および水素脱着電流のピーク電流値を示す、請求項1に記載のエピタキシャル薄膜。
【請求項3】
前記エピタキシャル薄膜は、X線回折スペクトルにおいてPtまたはPt合金の特定の面方位に由来するピークを示す、請求項1または2に記載のエピタキシャル薄膜。
【請求項4】
前記エピタキシャル薄膜は、第2元素またはその化合物を含む下地の上に形成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエピタキシャル薄膜。
【請求項5】
前記第2元素は、第4〜第6周期の4〜12族の金属、C、およびSiからなる群から選択される1以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエピタキシャル薄膜。
【請求項6】
(111)テラスと(111)ステップからなる表面を有し、0.2〜200nmの厚さである、PtまたはPt合金のエピタキシャル薄膜。
【請求項7】
サイクリックボルタンメトリー法による50〜1200mV(vs.RHE)の範囲の水素吸脱着波形(サイクル数10サイクル以上)において、100〜200mV(vs.RHE)の範囲で水素吸着電流および水素脱着電流のピーク電流値を示す、請求項6に記載のエピタキシャル薄膜。
【請求項8】
前記エピタキシャル薄膜は、X線回折スペクトルにおいてPtまたはPt合金の(111)面に由来するピークを示す、請求項6または7に記載のエピタキシャル薄膜。
【請求項9】
前記エピタキシャル薄膜は、第2元素またはその化合物を含む下地の上に形成される、請求項6〜8のいずれか1項に記載のエピタキシャル薄膜。
【請求項10】
前記第2元素は、第4〜第6周期の4〜12族の金属、C、およびSiからなる群から選択される1以上である、請求項6〜9のいずれか1項に記載のエピタキシャル薄膜。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のエピタキシャル薄膜が微粒子または多孔体の表面に製膜されてなる、燃料電池用電極触媒。
【請求項12】
請求項11に記載の燃料電池用電極触媒を用いた燃料電池。
【請求項13】
スパッタリング、化学蒸着、原子層堆積、およびレーザー処理から選択される1以上の成膜工程を含み、前記成膜工程における膜の成長速度を0.001〜10nm/秒に制御する、エピタキシャル薄膜の製造方法。

【図1】
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【図5】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−103067(P2010−103067A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276096(P2008−276096)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】