説明

エピラクトースを含有する動物用飼料組成物、その組成物を含有する動物用配合飼料、及びその用途

【課題】エピラクトースを有効利用し、動物の生産性の向上に使用できる動物用飼料組成物、及びその動物用飼料組成物を含有する動物用配合飼料を提供する。また、その動物用飼料組成物、又は動物用配合飼料を用いて、動物の下痢・軟便の抑制、及び体重増加量の向上する方法を提供する。
【解決手段】エピラクトースを含有することを特徴とする動物用飼料組成物、及びその動物用飼料組成物を含有することを特徴とする動物用配合飼料。また、その動物用飼料組成物又は動物用配合飼料を動物に給与することを特徴とする動物の下痢・軟便を抑制する方法、及び動物の体重増加量を向上する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エピラクトースを含有する動物用飼料組成物、詳しくは牛、豚、鶏等の動物に給与する生乳、代用乳、乾牧草、農産加工副産物等とともに、単独或いは混合して給与するエピラクトースを含有する動物用飼料組成物、及びその動物用飼料組成物を含有する動物用配合飼料に関する。更に、その動物用飼料組成物又は動物用配合飼料の用途、詳しくは動物の下痢・軟便の抑制、及び体重増加量の向上のための用途に関する。
【背景技術】
【0002】
牛、豚、鶏等の家畜の飼養者にとって、家畜の健康維持促進を図って生産性を向上させることは重大な関心事である。例えば、細菌感染、免疫力不足等により下痢や消化不良が生じ、食肉用家畜の体重増加量、乳牛の乳生産量、鶏卵の生産性が低下して、しばしば畜産農家は経済的に損失を被っている。
【0003】
従来から、下痢等の治療や予防のために抗生物質等の薬剤が使用されている。しかし、近年、抗生物質等の薬剤は多剤耐性菌の出現や食肉、鶏卵等への残留等の弊害が指摘され、消費者から健康的で安全性の高い飼養技術が求められている。そこで、オリゴ糖や生菌剤等の種々の機能性素材を飼料に混合することで動物の生産性を向上する飼養技術が注目されている(特許文献1〜4)。このような機能性素材は、畜産農家の選択の幅を広げたり、組み合わせて使用したりするために、更に多くの種類の素材開発が望まれている。
【0004】
一方、近年、新規エピメラーゼの開発により、ラクトース(4−O−β−D−ガラクトピラノシル−D−グルコース)を原料として、エピラクトース(4−O−β−D−ガラクトピラノシル−D−マンノース)を安全に且つ大量に製造することが可能になった(特許文献5)。エピラクトースは牛乳中に極微量に存在することが知られていたが(非特許文献1)、その性質はほとんど知られていなかった。特許文献5において、いくつかの性質が確認され、機能性食品としての利用が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−138147号公報
【特許文献2】特開2003−334000号公報
【特許文献3】特開2004−173620号公報
【特許文献4】特許2008−48683号公報
【特許文献5】国際公開第2008/062555号パンフレット
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】T.R.I.Cataldi,ら、(1999)Anal.Chem.71、4919)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、エピラクトースを動物用飼料に利用することについては報告がなく、上述のような動物の生産性の向上に効果的に利用できるか不明であった。
【0008】
従って、本発明の目的は、エピラクトースを有効利用し、動物の生産性の向上に使用できる動物用飼料組成物、及びその動物用飼料組成物を含有する動物用配合飼料を提供することにある。更に、本発明の目的はその動物用飼料組成物、又は動物用配合飼料を用いて、動物の下痢・軟便の抑制、及び体重増加量の向上する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、下記の手段によって達成される。
(1)エピラクトースを含有することを特徴とする動物用飼料組成物。
(2)前記エピラクトースの含有量が0.01〜99質量%であることを特徴とする上記(1)に記載の動物用飼料組成物。
(3)対象とする動物が牛であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の動物用飼料組成物。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の動物用飼料組成物を含有することを特徴とする動物用配合飼料。
(5)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の動物用飼料組成物又は上記(4)に記載の動物用配合飼料を動物に給与することを特徴とする動物の下痢・軟便を抑制する方法。
(6)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の動物用飼料組成物又は上記(4)に記載の動物用配合飼料を動物に給与することを特徴とする動物の体重増加量を向上する方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、エピラクトースを含有する新規な動物用飼料組成物及び動物用配合飼料によって、動物の下痢・軟便の抑制や体重増加量の向上を図ることができるので、動物を健康的に飼育し、安全且つ効率的に畜産物を生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】子牛の糞便中の大腸菌数に対するエピラクトース給与による影響を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明において使用されるエピラクトース(4−O−β−D−ガラクトピラノシル−D−マンノース)はどのような由来のものでも良く、製造方法や純度に特に限定はない。動物用飼料に使用するため、安全性が高く且つ大量に製造することができる特許文献5の製造方法により得られたものが好ましい。即ち、ルミノコッカス(Ruminococcus)属由来のβ−1,4結合を有するオリゴ糖に対する2−エピメラーゼ活性を有する酵素をラクトース(4−O−β−D−ガラクトピラノシル−D−グルコース)に反応させて製造する。生成されたエピラクトースを含有する反応物は、酵素を不活性化し、未精製のまま用いても良く、精密ろ過、各種クロマト分離、真空濃縮、噴霧乾燥、凍結乾燥等の既知の方法により、精製、濃縮、乾燥等により高純度化、粉末化等して用いても良い。
【0013】
本発明の動物用飼料組成物におけるエピラクトースの含有量は、飼料組成物の溶解性、吸湿性、流動性、保存安定性等に悪影響を与えない範囲であれば、特に制限はない。より効果的に動物の下痢・軟便の抑制や体重増加量の向上するために、動物用飼料組成物の質量を基準として、0.01〜99質量%含有していることが好ましい。エピラクトースは、より好ましくは0.1〜99質量%、更に1〜99質量%含有していることが好ましい。
【0014】
本発明の動物用飼料組成物は、動物の嗜好性、飼料組成物の溶解性、吸湿性、流動性、保存安定性等に悪影響を与えない限り、オリゴ糖、生菌、酵素等の他の有用な機能性素材を含有していても良い。
【0015】
例えば、オリゴ糖(グルコース、フラクトース、ガラクトース等の単糖類が2〜10個つながったものを意味する)としては、イソマルトオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、コージオリゴ糖、トレハロース、サイクロデキストリン、分岐サイクロデキスリン、セロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ラミナリオリゴ糖、フラクトオリゴ糖(1−ケストース、ニストース、フラクトシルニストース等)、トレハルロース、パラチノース、パラチノースオリゴ糖、グルコシルスクロース、ラクトスクロース、テアンデロース、ガラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖、スタキオース、ラフィノース、レバンオリゴ糖、マンノオリゴ糖、イヌロオリゴ糖、アガロオリゴ糖、ネオアガロオリゴ糖等のオリゴ糖を使用することができる。
【0016】
また、生菌としては、例えば、いわゆるプロバイオティクスとして有用な乳酸菌等の細菌や酵母、例えば、ラクトバチルス・プランタラム、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・サリバリウス、ラクトバチルス・ロイテリ、ラクトバチルス・ミリナス、ラクトバチルス・ペントサス、ラクトバチルス・ガセリ、ラクトバチルス・ファーメンタム、ラクトバチルス・ガリナーラム、ラクトバチルス・ラムノーサス、ラクトバチルス・カゼイ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・ファシウム、バチルス・コアギュランス、バチルス・バディウス、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・セレウス、バチルス・サブチリス、クロストリジウム・ブチリカム、ビフィドバクテリウム・サーモフィルス、ビフィドバクテリウム・シュウドロンガム、ビフィドバクテリウム・ラクティス、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ペディオコッカス・アシディラクティシ、ストレプトコッカス・ボビス、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ストレプトコッカス・インファンタリアス、サッカロミセス・セレビシエ、及びこれらの混合物等を使用することができる。
【0017】
また、酵素としては、例えば、セルラーゼ、フィターゼ、β−グルコシダーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、β−グルカナーゼ、ペントサナーゼ、トリプシン、キモトリプシン、プロテアーゼ、ペプチダーゼ及びこれらの混合物を使用できる。その他、酸化防止剤(クエン酸、アスコルビン酸、ビタミンE等)、乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル、レシチン等)、増粘剤(寒天、グルコマンナン、ゼラチン等)、ビタミン類(ビタミンA、B1、B2等)、フレーバー(ハーブ、ベリー、オレンジ等)等の各種成分を混合することもできる。
【0018】
本発明において、動物はヒト以外の脊椎動物を意味し、牛、馬、豚、羊、鶏等の家畜、サル、犬、猫、小鳥等の愛玩動物の他、魚等も含まれる。
【0019】
本発明の動物用飼料組成物を給与する対象動物は、動物であれば、特に、種類や給与時期に制限はない。好ましい対象動物は、生産性を向上する必要性が高く、その効果が高い牛、豚、馬、羊、鶏等の家畜類であり、特に牛が好ましい。
【0020】
また、消化管の発達が十分に成熟しておらず、下痢・軟便の問題や体重増加量の問題が重要である幼動物も対象動物として好ましく、特に哺乳期の幼動物が好ましい。
【0021】
本発明の動物用配合飼料は、本発明の動物用飼料組成物を含有していれば良く、形態や他の組成物には特に制限はない。例えば、生乳、代用乳、人工乳、ほ液等の飼料に、本発明の動物用飼料組成物を必要量添加した液状で給与する配合飼料の形態や、乾牧草、穀類、食品加工副産物、農産加工副産物、全粉乳、脱脂粉乳等の基礎飼料に本発明の動物用飼料組成物を必要量添加した、粉状、ペレット状、練り状等の配合飼料の形態でも良い。
【0022】
本発明の動物用配合飼料に対する、本発明の動物用飼料組成物の添加量は、本発明の動物の下痢・軟便の抑制や体重増加量の向上の効果が得られる量であれば、特に制限はない。動物飼料組成物の組成や給与する動物の種類によっても異なるが、効果とコスト面を考慮すると、動物配合飼料の重量を基準として、0.001〜10重量%、又は1日に、対象動物の体重1kgあたり、本発明の動物用飼料組成物を0.001〜100g、好ましくは0.01〜10g摂取するように、動物用飼料組成物の添加量を調節する。
【0023】
本発明の動物の下痢・軟便を抑制する方法は、本発明の動物用飼料組成物又は動物用配合飼料を動物に給与すればよく、その給与量は特に制限はない。より効果的に動物の下痢・軟便を抑制するために、好ましくは1日に、対象動物の体重1kgあたり、本発明の動物用飼料組成物又は動物用配合飼料をエピラクトースとして0.1〜1000mgになるように給与する。より高い効果とコスト面を考慮すると、1日に、対象動物の体重1kgあたり、エピラクトースとして5〜750mgになるように給与するのが好ましい。さらには1日に、対象動物の体重1kgあたり、エピラクトースとして10〜500mgになるように給与するのが好ましい。
【0024】
本発明の動物の体重増加量を向上する方法は、本発明の動物用飼料組成物又は動物用配合飼料を動物に給与すればよく、その給与量は特に制限はない。より効果的に動物の下痢・軟便を抑制するために、好ましくは1日に、対象動物の体重1kgあたり、本発明の動物用飼料組成物又は動物用配合飼料をエピラクトースとして0.1〜1000mgになるように給与する。より高い効果とコスト面を考慮すると、1日に、対象動物の体重1kgあたり、エピラクトースとして5〜750mgになるように給与するのが好ましい。さらには1日に、対象動物の体重1kgあたり、エピラクトースとして10〜500mgになるように給与するのが好ましい。
【0025】
本発明の動物用飼料組成物又は動物用配合飼料の給与は、どのような方法で行っても良く、例えば、本発明の動物用飼料組成物を、上記の所要量になるように水道水、ミネラル含有水、生乳、全粉乳、脱脂粉乳、乳清、代用乳、人工乳、ほ液、リキッドフィード等の飲水又は液状飼料に溶解又は分散させて、動物に飲用液として給与しても良い。また、本発明の動物用飼料組成物を、上記の所要量になるように粉末、錠剤、ペレット、練り餌等の形態のサプリメントを調製して、給与しても良く、給与中の乾牧草や動物用配合飼料、ペットフード等に振りかけたり、混合したりして給与しても良い。また、本発明の動物用配合飼料を上記の所要量になるように動物に給与することも好ましい。
【0026】
本発明の動物用飼料組成物又は動物用配合飼料による動物の下痢・軟便を抑制する効果や体重増加量を向上する効果の作用機構は明らかではないが、病原細菌の動物腸管への付着防止による感染防御、腸内細菌叢の改善、嗜好性改善、飼料効率改善、免疫機能改善、脂質代謝改善、ミネラル吸収改善等の機能によるものと考えられる。特に、糞便中の大腸菌数を低下させる効果、人工乳摂取量の向上効果、及び腸管粘膜免疫の指標である、糞便中の免疫グロブリンA(IgA)量の増加効果が認められており、下痢・軟便を抑制や体重増加量を向上する効果につながるものと考えられる。
【0027】
動物の下痢・軟便の抑制や体重増加量の向上により、動物を健康的に飼育することができ、食肉用家畜の生産性向上や肉質改善、乳牛の乳生産量の向上や脂肪酸組成改善、鶏卵の生産性の向上が期待できる。
【実施例】
【0028】
次に本発明を実施例にて具体的に説明する。
1.試験方法
(1)供試動物
導入ホルスタイン雄子牛10頭を外観、体重、体調等について統計学的に偏りの無い2群に分けて用いた。
(2)給与飼料
代用乳:うしっ子ネオ(雪印種苗社製)
人工乳:ハイパスフード40(雪印種苗社製)
ぬるま湯:約30℃
(3)試験区
(実施例1)供試動物のうち5頭をエピラクトース給与区として、特許文献5の方法で製造したエピラクトース粗精製液(エピラクトース3.7質量%、乳糖14.7質量%含有)100mL/日を代用乳に混合して給与した(代用乳(下記、お湯溶解後)中エピラクトース含有量:0.093〜0.12質量%)。
(比較例1)供試動物のうち5頭を対照区として、乳糖14.7g/日を代用乳に混合して給与した。
(4)飼料給与方法
(i)代用乳
1回/日、朝の哺乳とする。代用乳に各試験区の糖素材を混合し、お湯(約50℃)に溶解して給与する。但し、実施例1のエピラクトース粗精製液は、お湯と同程度の温度まで加温した後、混合する。なお、哺乳は、飼養0〜3日目は、代用乳400gをお湯2.8Lに溶解し、4〜14日目は代用乳500gをお湯3.5Lに溶解して行った。
(ii)人工乳
不断給与(自由摂取)し、残食が50〜99gのときは前日より100g増量、残食が0〜49gの場合は前日より200g増量して供給した。
(iii)ぬるま湯
午前中、代用乳給与後に給与した。午後、ぬるま湯を入れ換えて給与した。
【0029】
2.評価内容
(1)体重
各個体の試験開始初日、7、14日目に体重を測定し、各試験区の平均値を求めた。
(2)糞便スコア
試験開始後、毎日、各個体の便性を14日目まで確認し、下痢の場合2点、軟便の場合1点、正常の場合0点とし、各試験区の平均値(1頭あたり)を糞便スコアとした。
(3)人工乳摂取量
自由摂取させた人工乳の摂取量を毎日測定し、各試験区の総量を比較した。
(4)大腸菌数
各個体の糞便を試験開始初日、7、14日目に採取し、その1gを供試検体とした。検体を滅菌した希釈液で10倍希釈を繰り返し、適当な濃度の希釈液をクロモアガーE.coli(関東化学社製)に混釈し、好気条件下で、37℃、24時間培養した。クロモアガーE.coliに発育してきたコロニ−について、典型的なコロニ−性状を示す菌株について菌数を測定した。
(5)免疫グロブリンA(IgA)量
各個体の糞便を試験開始初日及び7日目に採取し、希釈液で適当な濃度に希釈し、供試検体とした。検体のIgAをサンドウィッチELISA法により測定した。初日から7日目のIgA量の増加率(7日目IgA量/初日IgA量)を評価した。
【0030】
3.試験結果
(1)体重
各試験区の体重の平均値を表1に示す。
【0031】
【表1】

【0032】
表1に示した通り、実施例1のエピラクトース給与区(エピラクトース給与量:0.05〜0.07g/日/kg−子牛)の子牛は、比較例1の対照区の子牛よりも良好な体重の増加を示し、エピラクトースの給与により体重増加量の向上が認められた。
(2)糞便スコア
各試験区の糞便スコアを表2に示す。
【0033】
【表2】

【0034】
表2に示した通り、実施例1のエピラクトース給与区の子牛は、飼養期間全体として比較例1の対照区の子牛よりも低い糞便スコアを示し、特に7日目までの初期段階に低い糞便スコアであった。従って、エピラクトースの給与により下痢・軟便の抑制が認められた。
(3)人工乳摂取量
各試験区の人工乳摂取量の総量を表3に示す。
【0035】
【表3】

【0036】
表3に示した通り、実施例1のエピラクトース給与区の子牛は、飼養期間を通じて、比較例1の対照区の子牛よりも人工乳の摂取量が高かった。
(4)大腸菌数
各試験区の糞便中の大腸菌数の対数値の変化を図1に示す。
【0037】
図1に示した通り、実施例1のエピラクトース給与区の子牛の糞便中の大腸菌数は比較例1の対照区よりも低い数値を示した。
(5)免疫グロブリンA(IgA)量
各試験区の糞便中のIgA量の変化を表4に示す。
【0038】
【表4】

【0039】
表4に示した通り、実施例1のエピラクトース給与区の糞便中のIgAの増加率の平均が比較例1の対照区よりも高かった。
【0040】
また、実施例1ではIgA量増加率が2倍を超える個体が3頭あり、比較例1の0頭より有意に高かった。なお、IgA量の増加率が2倍を超える個体数について実施例1と比較例1にてχ二乗検定を行ったところ、有意(5%)に高かった。
【0041】
従って、腸管粘膜免疫系の改善が示唆された。
【0042】
なお、本発明は上記の実施の形態及び実施例の構成に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明により、安全性及び効率性に優れた動物用飼料組成物及び動物用配合飼料を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エピラクトースを含有することを特徴とする動物用飼料組成物。
【請求項2】
前記エピラクトースの含有量が0.01〜99質量%であることを特徴とする請求項1に記載の動物用飼料組成物。
【請求項3】
対象とする動物が牛であることを特徴とする請求項1又は2に記載の動物用飼料組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の動物用飼料組成物を含有することを特徴とする動物用配合飼料。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の動物用飼料組成物又は請求項4に記載の動物用配合飼料を動物に給与することを特徴とする動物の下痢・軟便を抑制する方法。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の動物用飼料組成物又は請求項4に記載の動物用配合飼料を動物に給与することを特徴とする動物の体重増加量を向上する方法。

【図1】
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【公開番号】特開2013−51904(P2013−51904A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191311(P2011−191311)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(711002926)雪印メグミルク株式会社 (65)
【出願人】(391009877)雪印種苗株式会社 (19)
【Fターム(参考)】