説明

エファビレンツ圧縮錠製剤

本発明は、エファビレンツにおける50%薬剤含有圧縮錠製剤に関する。エファビレンツは、HIV感染およびAIDSの治療用に臨床試験中の非ヌクレオチド逆転写酵素阻害薬である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、エファビレンツ(efavirenz)の圧縮錠製剤で、50重量%の薬剤を含有し、適宜フィルムコーティングすることができるものに関する。エファビレンツは、HIV感染およびAIDSの治療での使用に関して臨床試験が行われている非ヌクレオシド逆転写酵素阻害薬である。その圧縮錠の製造方法も開示されている。
【0002】
(背景技術)
エファビレンツおよび構造的に類似する逆転写酵素阻害薬の合成は、米国特許5519021号、5663169号、5665720号ならびに相当するPCT国際特許出願WO95/20389号(1995年8月3日公開)に開示されている。さらに、高度にエナンチオマー選択的アセチリド付加および環化という手順によるエナンチオマーのベンゾオキサジノンの不斉合成が、トンプソンらの報告(Thompson et al., Tetrahedron Letters 1995, 36, 8937-8940)ならびにPCT公開WO96/37457号(1996年11月28日公開)に記載されている。
【0003】
さらに、(−)−6−クロロ−4−シクロプロピル−エチニル−4−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンゾオキサジン−2−オンの合成の各種態様が開示された出願がいくつかあり、それには1)キラルアルコールの製造方法、1997年1月14日出願のUSSN60/035462号、2)キラル添加剤、1997年1月10日出願のUSSN60/034926号、3)環化反応、1997年2月12日出願のUSSN60/037059号、ならびに逆溶剤結晶化法、1997年2月5日出願のUSSN60/037385号および1997年4月8日出願のUSSN60/042807号などがある。
【0004】
前記圧縮錠は、カプセルではなく錠剤を用いることができるようにする改良された製剤である。圧縮錠は、カプセルで認められるものと同等の生物学的利用能データを有することが示されている。この製剤の主要な特徴は、顆粒内(intragranularly)で超崩壊剤(superdisintegrant)および崩壊剤を用いて、生理的に等価な製剤を得るという点である。圧縮錠製剤はエファビレンツが脆く、しかも薬剤が圧縮時に結晶性を失うことから、管理が困難であった。これは、顆粒外(extragranularly)にて乳糖を加えることで克服された。
【0005】
(発明の開示)
本発明は、薬剤を50%含む製剤であるエファビレンツの圧縮錠に関する。
【0006】
本発明はさらに、湿式造粒法を用いる圧縮錠の製造方法に関するものでもある。
【0007】
(発明を実施するための最良の形態)
本発明は、エファビレンツの圧縮錠製剤で、50重量%の薬剤を含有し、適宜フィルムコーティングすることができるものに関する。
【0008】
この圧縮錠は、エファビレンツ、充填剤/崩壊剤、超崩壊剤、結合剤、界面活性剤、充填剤/圧縮助剤、潤滑剤および溶媒を含有し、エファビレンツは圧縮錠の総組成の約50重量%含有される。
【0009】
エファビレンツ濃度は、残りの賦形剤の濃度を変えることで、約1%〜約75%で変動させることができる。さらに型を変えることで、広範囲の用量を得ることができ、例えば同じ組成にて、40mg錠で20mg用量、600錠で300mg用量、または1200mg圧縮錠で600mgとすることができる。製剤から乳糖を除くことで、製剤中に約70%の薬剤を含有させて、860mg圧縮錠で600mg用量とする。これらの変動は実行が非常に簡単である。この製剤によって、エファビレンツを800mg圧縮錠としての単一600mg用量として製剤することができる。それに対して、カプセル製剤では、エファビレンツ600mgを投与するには、2個以上のカプセルを投与する必要がある。
【0010】
本発明は、医薬的に許容される充填剤/圧縮助剤、崩壊剤、超崩壊剤、潤滑剤、結合剤、界面活性剤、フィルムコーティング剤および溶媒の使用を意図するものである。これら化合物の例は以下に記載してあり、ウェードらの編著(Handbook of Pharmaceutical Excipients, Second Edition, Ed. A. Wade and P. J. Weller, 1994, The Pharmaceutical Press, London, England)により詳細に記載されている。
【0011】
充填剤および圧縮助剤の濃度は約5%〜約80%で変動させて、薬剤量を補うことができる。充填剤/圧縮助剤の例としては、乳糖、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、圧縮可能糖類、デキストレート類(dextrates)、デキストリン、ブドウ糖、リン酸カルシウム、カオリン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリンマニトール、粉末セルロース、アルファデンプンおよびショ糖などがある。
【0012】
崩壊剤の例としては、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロース(croscarmellose)ナトリウム、クロスポビドン(crospovidone)、グアーガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メチルセルロース、微結晶セルロース、ポリアクリリン(polyacrilin)カリウム、粉末セルロース、ゼラチン化デンプン、アルギン酸ナトリウムおよびデンプンなどがある。
【0013】
充填剤(希釈剤とも称する)の例としては、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、圧縮可能糖類、精製砂糖、デキストレート類、デキストリン、ブドウ糖、第2リン酸カルシウム・2水和物、パルミトステアリン酸グリセリル、硬化植物油(I型)、カオリン、乳糖、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マニトール、ポリメタクリレート類、塩化カリウム、粉末セルロース、アルファデンプン、塩化ナトリウム、ソルビトール、デンプン、ショ糖、球状糖(sugar spheres)、タルクおよび第3リン酸カルシウムなどがある。
【0014】
超崩壊剤濃度は約1%〜約20%で変動させて、薬剤量を補い、妥当な溶解を得ることができる。超崩壊剤の例としては、上記の崩壊剤、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、ポビドン、グアーガム、ポラクリリン(polacrilin)カリウムおよびゼラチン化デンプンなどがある。
【0015】
結合剤濃度は1%〜10%で変動させて、薬剤量を補うことができる。結合剤の例としては、アカシア、アルギン酸、カルボマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グアーガム、硬化植物油(I型)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、液体グルコース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリメタクリレート類、ポビドン、ゼラチン化デンプン、アルギン酸ナトリウム、デンプンおよびツェインなどがある。
【0016】
界面活性剤の例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクセートナトリウム(スルホコハク酸ジオクチル・ナトリウム塩)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムおよびセトリミド(臭化アルキルトリメチルアンモニウム、主としてC14アルキル)などのアニオンおよびカチカン界面活性剤がある。
【0017】
潤滑剤の例としては、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、硬化ヒマシ油、硬化植物油、軽油、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸、タルクおよびステアリン酸亜鉛などがある。
【0018】
溶媒の例としては、水、エタノールまたはそれらの混合物などがある。
【0019】
圧縮錠はフィルムコーティングすることもできる。フィルムコーティング濃度は約10%以下で変動させて薬剤量を補うことができ、好ましくは約3.1%〜約3.3%である。フィルムコーティング懸濁液には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルナウバロウ、酢酸フタル酸セルロース、セチルアルコール、精製砂糖、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、液体グルコース、マルトデキストリン、メチルセルロース、微結晶ロウ、オパドライ(Opadry)およびオパドライII、ポリメタクリレート類、ポリビニルアルコール、シェラック、ショ糖、タルク、酸化チタンおよびツェインという成分のうちの1種類、2種類または3種類の組合せなどがある。
【0020】
好ましい充填剤/崩壊剤は微結晶セルロースである。好ましい超崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウムである。好ましい結合剤はヒドロキシプロピルセルロースである。好ましい界面活性剤はラウリル硫酸ナトリウムである。好ましい希釈剤/圧縮助剤は噴霧乾燥含水乳糖である。好ましい潤滑剤はステアリン酸マグネシウムである。この圧縮錠を製剤する上で好ましい溶媒は水である。好ましいフィルムコーティングには、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび酸化チタンなどがある。
【0021】
300mgフィルムコーティングエファビレンツ錠は以下の成分を含有する。
【0022】
【表1】


【0023】
(a)充填剤/崩壊剤、超崩壊剤、結合剤および界面活性剤を混合する段階、 (b)エファビレンツ1重量当たり1.1重量%以上の水を加えて、混合物を湿式造粒して、混合物を凝集させる段階、 (c)造粒混合物を乾燥して、水分含有量を約0%〜約10%とする段階、 (d)乾燥混合物を粉砕して、均一な大きさに造粒する段階、 (e)粉砕混合物を充填剤/圧縮助剤と混合する段階、 (f)混合物を潤滑剤で潤滑する段階、ならびに (g)潤滑した混合物を圧縮して、所望の形状の圧縮錠とする段階 を含む、薬剤50%を含む圧縮錠の製造方法も提供される。
【0024】
圧縮錠をフィルムコーティング懸濁液でフィルムコーティングして、所望のフィルムコーティング圧縮錠を得る段階をさらに有する上記方法も提供される。
【0025】
前記造粒混合物を乾燥させて、水分含有量を約2%〜約5%とする上記方法も提供される。
【0026】
(a)エファビレンツを微結晶セルロース、ラウリル硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロースおよびクロスカルメロースナトリウムと混合する段階、 (b)エファビレンツ1重量当たり1.1重量%以上の水を加えて、混合物を約3分間〜約8分間湿式造粒して、混合物を凝集させる段階、 (c)造粒混合物を乾燥して、水分含有量を約2%〜約5%とする段階、 (d)乾燥混合物を粉砕して、約250μ〜約75μの顆粒とする段階、 (e)粉砕混合物を乳糖と混合する段階、 (f)混合物をステアリン酸マグネシウムで潤滑する段階、 (g)潤滑した混合物を圧縮して、所望の形状の圧縮錠とする段階、ならびに (h)圧縮錠重量の約3.1%〜約3.3%まで圧縮錠をフィルムコーティング懸濁液でフィルムコーティングする段階 を含む、薬剤50%を含む圧縮錠の製造方法も提供される。
【0027】
前記混合物を約6分間湿式造粒する上記方法も提供される。
【0028】
前記フィルムコーティング懸濁液がヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび酸化チタンを含む上記方法も提供される。
【0029】
湿式造粒は、フィールダー(Fielder)10リットル高剪断造粒混合機、ドラムもしくはパン造粒機ならびに流動床造粒機などの造粒混合機を用いて行うことができる。造粒はさらに、ローラー圧縮法を用いる乾式造粒(水を使用しない)を行うことで行うこともできる。
【0030】
前記乾燥段階は、グラット(Glatt)WST−15流動床乾燥機または箱形乾燥機を用いて行うことができる。
【0031】
前記粉砕段階は、コミル(Comil)またはフィッツ(Fitz)粉砕機などの粉砕機を用いて行うことができる。
【0032】
前記潤滑および混合段階は、V−混合機またはリボン混合機で行うことができる。
【0033】
錠剤を得る前記圧縮段階は、β−プレス、シングルステーションF−プレス、6−ステーションコルシュ(Korsh)などの各種プレスで行うことができる。
【0034】
フィルムコーティングは、グラットカラムコーター、相対的に小さいHi−コーター(9インチ〜12インチ(約22.9cm〜約30.5cm)パン)で行うことができる。
【0035】
前記製剤はさらに、相対的に低い用量(200mg)で、カプセルと生理的に等価であり、他の錠剤組成物より生物学的利用能が高い。カプセルに勝る利点としては、堅牢な加工段階および選別段階、比較的高い用量で大きさが比較的小さいこと、市場の嗜好などがある。この錠剤組成物はさらに、乳糖を顆粒外から加えることでエファビレンツの結晶性が失われると予想される問題を克服し、しかも溶解プロファイルを維持するものである。
【0036】
薬剤含有量を上昇させると、薬剤の溶解プロファイルに悪影響がある場合が多い。この障害は、顆粒内に超崩壊剤を含有させ、崩壊剤を顆粒内に含有させることで克服された。乳糖を顆粒外から加えて、エファビレンツの結晶性が維持された。
【0037】
この製剤は、臨床試験で使用されているカプセル製剤と生理的に等価であることが明らかになった。前記湿式造粒法を用いて、50rpmの撹拌羽根速度で撹拌しながら、10分以内に1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)溶液に薬剤を約80%が溶解するように製剤を至適化した。
【0038】
(−)−6−クロロ−4−シクロプロピルエチニル−4−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンゾオキサジン−2−オン(現在、これの一般名エファビレンツまたはコード名DMP−266で呼ばれる)の製造 図式1には、(−)−6−クロロ−4−シクロプロピルエチニル−4−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンゾオキサジン−2−オン(エファビレンツ)の合成における主要段階を示してある。キラル付加段階によって、1のトリフルオロメチルケトンに対するシクロプロピルアセチリドのエナンチオマー選択的付加を行うことができる。次に、得られるp−メトキシベンジル(PMB)保護アミノアルコール2を脱保護して、アミノアルコール3を得る。次に、クロロギ酸エステルおよび塩基を用いてアミノアルコールを環化して、エファビレンツを得る。
【0039】
【化1】


【0040】
図式2には、キラル付加反応である別法を用いるエファビレンツの製造を示してある。この新たなキラル付加反応によって、図式1に示した保護−脱保護の手順を行う必要がなくなる。
【0041】
【化2】


【0042】
図式3には、エファビレンツ製造で使用されるキラル中間体の合成方法を示してある。この反応は、約1.2当量のシクロプロピルアセチレンおよびキラル添加剤を用いることで進行することが明らかになっており、その量は従来法よりかなり少ない。多くのキラル添加剤について調べたところ、N−メチルエフェドリンおよびN−ピロリジニルノルエフェドリンなどの市販のキラル配位子で高収率が得られる。
【0043】
【化3】


【0044】
アミノアルコール3の環化による1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンゾオキサジン−2−オン4の製造を以下の図式4に示してある。この反応は1段階プロセスとして行うことができるか、あるいは別法として、使用するクロロギ酸エステルに応じて、中間体カーバメート5の単離を行う場合がある2段階プロセスで行うことができる。クロロギ酸アリルは、水系塩基で処理した場合に、1段階プロセスで生成物を環化させるような安定性の低いカーバメートを形成することが明らかになっている。あるいはクロロギ酸アルキルは、環化段階を行う前に単離・精製することができる重要な中間体であるアルキルカーバメートを与える。アルキルカーバメートの安定性に基づいて、エファビレンツの実施可能な2段階プロセスが開発されており、そのプロセスはアルキルカーバメート中間体5の形成とそれに続くカーバメートの環化による所望の生成物4の取得を含むものである。さらに、ホスゲンも使用可能であることが明らかになっている。
【0045】
【化4】


【0046】
圧縮錠は、図式5に示した一連の段階に従って製剤される。
【0047】
【化5】


【0048】
以下、実施例によって本発明を説明する。これらの実施例は本発明を例示することを目的として示したものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0049】
実施例1
【0050】
【化6】


【0051】
【表2】


【0052】
トリフルオロエタノールおよび(1R,2S)−N−ピロリジニルノルエピネフリンのTHF(9リットル)溶液に窒素下で、0℃のジエチル亜鉛溶液を、温度が30℃に保たれるようゆっくりと加える。混合物を室温で0.5〜1時間撹拌する。別の乾燥フラスコ中で、クロロマグネシウムシクロプロピルアセチリドの溶液を次のように調製する。0℃の無希釈シクロプロピルアセチリドに、内部温度が30℃以下に保たれるよう、n−ブチルマグネシウムクロライドの溶液をゆっくり加える。溶液を0℃で約40分間撹拌し、洗浄液としてTHF 0.36リットルを用いて、カニューレによって前記亜鉛試薬に移し入れる。混合物を冷却して−10℃とし、ケトアニリン1aを加える。混合物を−2℃〜−8℃で35時間撹拌し、昇温させて室温とし、3時間撹拌し、30%炭酸カリウムで1.5時間かけて反応停止する。混合物を4時間撹拌し、固体を濾過によって除去し、THFで洗浄する(ケーキ容量の2倍)。湿った固体にはなお、約18重量%のピロリジニルノルエフェドリンが含まれており、さらなる試験用に保存する。濾液および洗浄液を合わせ、30%クエン酸で処理する。2層を分液する。有機層を水(1.5リットル)で洗浄する。合わせた水層をトルエン2.5リットルで抽出し、ノルエフェドリン回収用に保存する。トルエン抽出液を有機溶液と合わせ、濃縮して約2.5リットルとする。トルエンを連続的に供給し、GCによってTHFが検出できなくなるまで蒸留する、最終容量を3.9リットルに制御する。ヘプタン(5.2リットル)を1時間かけて加える。スラリーを冷却して0℃とし、1時間熟成させ、濾過する。固体をヘプタン(ケーキ容量の2倍)で洗浄し、乾燥させて、アミノアルコール3(1.234kg、収率95%)を白色結晶として得る。取得物は純度99.8A%および99.3%eeである。
【0053】
実施例2
【0054】
【化7】


【0055】
【表3】


【0056】
撹拌機、窒素管および熱電対を取り付けた3頸丸底フラスコに、固体のアミノアルコール3、MTBE(500mL)およびKHCO水溶液(HO 654mL中45g)を加えた。25℃で4バッチにて、固体のクロロギ酸4−ニトロフェニルを加えた。添加後、溶液のpHをモニタリングした。反応中pHを8.5〜4に維持し、最終的には8.0とした。混合物を20〜25℃で2時間撹拌した。水層のpHが11.0に達するまで、KOH水溶液(2N)を20分間かけて加えた。
【0057】
分液を行い、ブライン500mLをMTBE層に加えた。pHが6〜7になるまで、0.1N酢酸を加えた。分液を行い、有機相をブライン(500mL)で洗浄した。この時点で、混合物の溶媒をEtOH/IPAに切り換え、実施例5および6に記載の方法に従って結晶化させた。
【0058】
実施例3
【0059】
【化8】


【0060】
【表4】


【0061】
撹拌機、窒素管および熱電対を取り付けた3頸丸底フラスコに、固体アミノアルコール3a、トルエン(500mL)およびKHCO水溶液(HO 500mL中86.5g)を入れた。ホスゲンのトルエン溶液を25℃で加え、混合物を20〜25℃で2時間撹拌した。
【0062】
分液を行い、有機相をブライン(500mL)で洗浄した。この時点で、混合物の溶媒をEtOH/IPAに切り換え、実施例5および6に記載の方法に従って結晶化させた。
【0063】
実施例4
【0064】
【化9】


【0065】
【表5】


【0066】
撹拌機、窒素管および熱電対を取り付けた3頸丸底フラスコに、固体アミノアルコール3a、MTBE(500mL)およびKHCO水溶液(HO 500mL中86.5g)を入れた。反応が完了するまでホスゲンガスを25℃で溶液にゆっくり吹き込んだ。
【0067】
分液を行い、有機相をブライン(500mL)で洗浄した。この時点で、混合物の溶媒をEtOH/IPAに切り換え、実施例5および6に記載の方法に従って結晶化させた。
【0068】
実施例5 400g規模での制御下の逆溶媒添加を用いる、エファビレンツ1g当たり溶媒15mLの比率を用いた30%2−プロパノール水溶液からのエファビレンツの結晶化 エファビレンツ原料400gを2−プロパノール1.8リットルに溶かす。溶液を濾過して過剰の物質を除去する。脱イオン(DI)水1.95リットルを、30〜60分かけて溶液に加える。エファビレンツのシード(II型湿ケーキ)10g〜20gを溶液に加える。シード床を1時間熟成させる。スラリーの混合にはインターミグ(Intermig)撹拌機の使用が好ましい。必要に応じて(非常に長い結晶または濃厚スラリーの存在により)、スラリーを15〜60秒間湿式粉砕する。DI水2.25リットルを4〜6時間かけてスラリーに加える。必要に応じて(非常に長い結晶または濃厚スラリーの存在により)、添加中にスラリーを15〜60秒間湿式粉砕する。上清中の生成物濃度が一定となるまで、スラリーを2〜16時間熟成させる。スラリーを濾過して、結晶湿ケーキを単離する。得られる湿ケーキを1〜2床容量の30%2−プロパノール水溶液で洗浄し、それぞれ1床容量のDI水で2回洗浄する。洗浄した湿ケーキを50℃で真空乾燥する。
【0069】
実施例6 400g規模での半連続プロセスを用いる、エファビレンツ1g当たり溶媒15mLの比率を用いた30%2−プロパノール水溶液からのエファビレンツの結晶化 エファビレンツ原料400gを2−プロパノール1.8リットルに溶かす。30体積%2−プロパノール水溶液0.3リットル中でII型エファビレンツ20gを混合するかあるいは結晶器中で予め結晶化して得られたスラリーの一部を入れることで、ヒール(heel)スラリーを形成する。溶かしたバッチおよびDI水4.2リットルを、一定速度で6時間かけて同時に入れて、結晶器中での溶媒組成が一定に維持されるようにする。結晶化時にはインターミグ撹拌機の使用が好ましい。この添加の際に、結晶の長さが過度に長い場合あるいはスラリーが濃厚過ぎる状態になった場合には、スラリーを湿式粉砕する。上清中の生成物濃度が一定となるまで、スラリーを2〜16時間熟成させる。スラリーを濾過して、結晶湿ケーキを単離する。得られる湿ケーキを1〜2床容量の30%2−プロパノール水溶液で洗浄し、それぞれ1床容量のDI水で2回洗浄する。洗浄した湿ケーキを50℃で真空乾燥する。
【0070】
実施例7 アミノアルコール3の調製およびee高品質化−プロセスを通して
【0071】
【化10】


【0072】
【表6】


【0073】
トリフルオロエタノール(429.5g、4.29mol)および(1R,2S)−N−ピロリジニルノルエピネフリン(1.35kg、6.58mol)のTHF(9リットル)溶液に0℃窒素下で、ジエチル亜鉛のヘキサン溶液を加えた。得られた混合物を室温で約30分間撹拌した。別の乾燥フラスコ中で、クロロマグネシウムシクロプロピルアセチリドの溶液を次のように調製した。n−ブチルマグネシウムクロライドのTHF溶液(2M、2.68リットル、5.37mol)に、温度を≦25℃に維持しながら、0℃の無希釈シクロプロピルアセチレンを加えた。溶液を0℃で1〜2時間撹拌した。クロロマグネシウムシクロプロピルアセチリドの溶液を昇温させて室温とし、5分間かけてカニューレによって亜鉛試薬中に移し入れ、次にTHF0.36リットルで容器を洗浄した。得られた混合物を約30℃で0.5時間熟成し、冷却して20℃とした。ケトアニリン1(1.00kg、4.47mol)を固体として1回で加え、得られた混合物を20〜28℃で3時間撹拌した。
【0074】
30%炭酸カリウム水溶液(1.2リットル)で反応停止し、1時間熟成させた。固体廃棄物を濾過し、ケーキをTHF(3倍ケーキ容量)で洗浄した。濾液および洗浄液を合わせ、溶媒をIPAcに切り換えた。
【0075】
生成物3およびピロリジニルノルエフェドリンのIPAc溶液をクエン酸(3.5リットル)および水(1.5リットル)で洗浄した。合わせた水層をIPAc(2リットル)で抽出し、ノルエフェドリン回収用に保管した。合わせた有機層に12N HCl(405mL、4.88mol)を加えて、アミノアルコール−HCl塩の薄いスラリーを形成した。混合物を25℃で30分間熟成させ、共沸によって脱水した。
【0076】
スラリーを25℃で30分間熟成させ、濾過した。ケーキをIPAc2.5リットルで洗浄し、減圧/窒素下で24時間にわたって25℃で乾燥して、湿HCl塩1.76kgを得た。
【0077】
塩をMTBE(6リットル)およびNaCO(水6.25リットル中1.18kg)の混合液に溶かした。分液を行い、有機層を水1.25リットルで洗浄した。次に、有機層の溶媒をトルエンに切り換えた。
【0078】
ヘプタン(5リットル)を25℃で1時間かけて加えた。スラリーを冷却して0℃とし、1時間熟成させ、濾過した。固体をヘプタン(2倍ケーキ容量)で洗浄し、乾燥させて、アミノアルコール3(1.166kg、全体収率90%)を白色結晶固体として得た。
【0079】
ノルエフェドリンの回収 水溶液を50%NaOH水溶液を用いてpH13の塩基性とし、ヘプタン(2リットル)で抽出した。ヘプタン溶液を水(1リットル)で洗浄し、濃縮して、残留IPAcおよび水を除去した。最終容量を約3リットルに調節した。ヘプタン溶液を冷却して−20℃とし、2時間熟成させ、濾過した。固体を冷ヘプタン(1倍ケーキ容量)で洗浄し、乾燥して、固体1.269g(回収率94%)を得た。
【0080】
実施例8 エファビレンツの50%薬剤含有圧縮錠
【0081】
【表7】


【0082】
エファビレンツ(950g)を、微結晶セルロース(380g)、ラウリル硫酸ナトリウム(19g)、ヒドロキシプロピルセルロース(60.8g)およびクロスカルメロースナトリウム(95g)とフィールダー(Fielder)10リットル高剪断造粒混合機中で4分間混合した。エファビレンツ1重量当たり約1.1重量%以上の水(1.045リットル)を加えて、約6分間〜約8分間かけて混合物を湿式造粒し、適切な噴霧ノズルを用いて凝集させた。グラットWST−15流動床乾燥機で造粒混合物を乾燥して、約2%〜約5%の水分含有量とした。乾燥混合物を、コミル中で40G円形スクリーンを用いて粉砕した。粉砕混合物を、V−混合機で4分間乳糖と混合した(計算した量は、最終組成物が19.8重量%の乳糖を含有するようにする上で必要な量である)。V−混合機中で3分間、混合物をステアリン酸マグネシウムで潤滑した(計算した量は、最終組成物が1重量%のステアリン酸マグネシウムを含有するようにする上で必要な量である)。潤滑混合物をβ−プレスを用いて圧縮して、所望の形状の圧縮錠を得た。得られた圧縮錠を、19インチ(約48.3cm)オハラ(O′Hara)パンコーターで2.5重量%ヒドロキシプロピルセルロール(HPC)、2.5重量%ヒドロキシメチルセルロース(HPMC)および1重量%酸化チタン(TiO)ならびに94重量%水で、1錠当たり約3.3%のコーティング重量となるまでフィルムコーティングした。留意すべき点として、コーティングは懸濁液の乾燥型である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 エファビレンツ、充填剤/崩壊剤、超崩壊剤、結合剤、界面活性剤、希釈剤/圧縮助剤、潤滑剤および溶媒を含有する圧縮錠であって、エファビレンツが圧縮錠の総組成の約50重量%含有される圧縮錠。
【請求項2】 前記充填剤が、乳糖、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、圧縮可能糖類、デキストレート類、デキストリン、ブドウ糖、リン酸カルシウム、カオリン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリンマニトール、粉末セルロース、アルファデンプンおよびショ糖を含む請求項1に記載の圧縮錠。
【請求項3】 前記崩壊剤および超崩壊剤が、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グアーガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メチルセルロース、微結晶セルロース、ポリアクリリンカリウム、粉末セルロース、アルファデンプン、アルギン酸ナトリウムおよびデンプンを含む請求項2に記載の圧縮錠。
【請求項4】 前記結合剤が、アカシア、アルギン酸、カルボマー、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、液体グルコース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリメタクリレート類、ポビドン、アルファデンプン、アルギン酸ナトリウム、デンプンおよびツェインを含む請求項3に記載の圧縮錠。
【請求項5】 前記界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクセートナトリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムおよびセトリミドを含む請求項3に記載の圧縮錠。
【請求項6】 前記充填剤/圧縮助剤が、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、圧縮可能糖類、精製砂糖、デキストレート類、デキストリン、ブドウ糖、第2リン酸カルシウム・2水和物、パルミトステアリン酸グリセリル、硬化植物油(I型)、カオリン、噴霧乾燥含水乳糖などの乳糖、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マニトール、ポリメタクリレート類、塩化カリウム、粉末セルロース、アルファデンプン、塩化ナトリウム、ソルビトール、デンプン、ショ糖、球状糖、タルクおよび第3リン酸カルシウムを含む請求項5に記載の圧縮錠。
【請求項7】 潤滑剤が、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、硬化ヒマシ油、硬化植物油、軽油、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸、タルクおよびステアリン酸亜鉛を含む請求項6に記載の圧縮錠。
【請求項8】 前記溶媒が、水、エタノールまたはそれらの混合物を含む請求項7に記載の圧縮錠。
【請求項9】 前記充填剤/崩壊剤が微結晶セルロースである請求項8に記載の圧縮錠。
【請求項10】 前記超崩壊剤がクロスカルメロースナトリウムである請求項9に記載の圧縮錠。
【請求項11】 前記結合剤がヒドロキシプロピルセルロースである請求項10に記載の圧縮錠。
【請求項12】 前記界面活性剤がラウリル硫酸ナトリウムである請求項11に記載の圧縮錠。
【請求項13】 前記充填剤/圧縮助剤は噴霧乾燥含水乳糖である。
【請求項14】 前記潤滑剤がステアリン酸マグネシウムである請求項13に記載の圧縮錠。
【請求項15】 エファビレンツ、微結晶セルロースNF、ヒドロキシプロピルセルロースLF NF、クロスカルメロースナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、噴霧乾燥含水乳糖(EG)およびステアリン酸マグネシウム(EG)を含む請求項14に記載の圧縮錠。
【請求項16】 エファビレンツ約300mg、微結晶セルロースNF約120mg、ヒドロキシプロピルセルロースLF NF約19.2mg、クロスカルメロースナトリウム約30mg、ラウリル硫酸ナトリウム約6mg、噴霧乾燥含水乳糖(EG)約118.8mgおよびステアリン酸マグネシウム(EG)約6mgを含む請求項15に記載の圧縮錠。
【請求項17】 薬剤50%を含む圧縮錠の製造方法において、 (a)充填剤/崩壊剤、超崩壊剤、結合剤および界面活性剤を混合する段階、 (b)エファビレンツ1重量当たり1.1重量%以上の水を加えて、混合物を湿式造粒して、混合物を凝集させる段階、 (c)造粒混合物を乾燥して、水分含有量を約0%〜約10%とする段階、 (d)乾燥混合物を粉砕して、均一な大きさに造粒する段階、 (e)粉砕混合物を充填剤/圧縮助剤と混合する段階、 (f)混合物を潤滑剤で潤滑する段階、ならびに (g)潤滑した混合物を圧縮して、所望の形状の圧縮錠とする段階 を有することを特徴とする方法。
【請求項18】 圧縮錠をフィルムコーティング懸濁液でフィルムコーティングして、所望のフィルムコーティング圧縮錠を得る段階をさらに有する請求項19に記載の方法。
【請求項19】 前記造粒混合物を乾燥させて、水分含有量を約2%〜約5%とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】 薬剤50%を含むフィルムコーティング圧縮錠の製造方法において、 (a)エファビレンツを微結晶セルロース、ラウリル硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロースおよびクロスカルメロースナトリウムと混合する段階、 (b)エファビレンツ1重量当たり1.1重量%以上の水を加えて、混合物を約3分間〜約8分間湿式造粒して、混合物を凝集させる段階、 (c)造粒混合物を乾燥して、水分含有量を約2%〜約5%とする段階、 (d)乾燥混合物を粉砕して、約250μ〜約75μの顆粒とする段階、 (e)粉砕混合物を乳糖と混合する段階、 (f)混合物をステアリン酸マグネシウムで潤滑する段階、 (g)潤滑した混合物を圧縮して、所望の形状の圧縮錠とする段階、ならびに (h)圧縮錠重量の約1重量%〜約10重量%まで圧縮錠をフィルムコーティング懸濁液でフィルムコーティングする段階 を有することを特徴とする方法。
【請求項21】 前記混合物を約6分間湿式造粒する請求項20に記載の方法。
【請求項22】 前記フィルムコーティング懸濁液がヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび酸化チタンを含む請求項21に記載の方法。
【請求項23】 前記圧縮錠を、圧縮錠重量の約3.1重量%〜約3.3重量%までフィルムコーティング懸濁液でフィルムコーティングする請求項22に記載の方法。

【公表番号】特表2002−516281(P2002−516281A)
【公表日】平成14年6月4日(2002.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−550486(P2000−550486)
【出願日】平成11年5月24日(1999.5.24)
【国際出願番号】PCT/US99/11464
【国際公開番号】WO99/61026
【国際公開日】平成11年12月2日(1999.12.2)
【出願人】
【氏名又は名称】メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】