説明

エプチフィバチドの調製方法

【課題】エプチフィバチドを調製するための方法の提供。
【解決手段】2−7エプチフィバチド断片を形成するために2−6エプチフィバチド断片を活性化システインアミド残基に結合させる工程と、ジスルフィド結合形成を介してメルカプトプロピオン酸残基を2−7エプチフィバチド断片に付着させる工程と、分子内でペプチド結合させる工程と、保護基を除去する工程とを含み、エプチフィバチドを形成する調製方法、及び、構造的にエプチフィバチドに類似した新規化合物の調製方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2004年4月8日に出願された米国仮出願番号第60/560,453号に対して優先権を主張するものであり、これは本願明細書に完全に組み込まれるものとする。
【0002】
特定の実施形態において、本発明はエプチフィバチド及び心臓血管疾患の治療に使用される薬剤の新規な調製方法に関する。本発明はまた、構造的にエプチフィバチドと類似した化合物、エプチフィバチドの合成中間体として使用され得る化合物、及びエプチフィバチドの精製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
エプチフィバチドは、血小板糖タンパク質IIb/IIIaの非常に特異的な環式ヘプタペプチド・アンタゴニストである。エプチフィバチドは、不安定狭心症の治療のための経皮的冠状動脈インターベンションの間に使用される短時間作用性の非経口抗血栓剤、及び急性心筋梗塞症の治療のための血栓溶解剤の補助剤である。例えば、Phillips et al.,Journal of Biological Chemistry(1993),268(2),1066−73、及びScarborough,American Heart Journal(1999),138(6,Pt.1),1093−1104を参照。エプチフィバチドはまた、バルーン血管形成術を経験している患者に投与されるものであり、アメリカにおいて年間100万人以上の候補者に対する手法である。
【0004】
エプチフィバチドは血小板凝集を抑制することによって、具体的には、血小板受容体GP IIb−IIIaを遮断することによって機能すると考えられている。血小板の凝集によって心臓への血液供給が妨げられ、不安定狭心症、及び場合によっては心筋梗塞(心臓麻痺)が引き起こされる可能性がある。エプチフィバチドの効果は血小板に特異的であるために他の正常な心血管経路の障害を避けるものであり、さらにエプチフィバチドの使用が中止された場合には、前記効果が逆転する可能性がある。
【0005】
エプチフィバチドはINTEGRILINR(登録商標)として米国において販売されており、医学的に管理されている患者及び経皮冠動脈インターベンション(「PCI」)を経験する患者を含む急性冠状血管シンドローム(不安定狭心症及び非Q波梗塞)を有する患者の治療に使用されている。エプチフィバチドはまた、冠動脈内ステント留置術を伴う手法を含んだ経皮冠動脈インターベンションにおける使用にも適用されている。
【0006】
例えば米国特許第5,318,899号明細書、第5,686,570号明細書、及び第5,747,447号明細書において記載されているように、エプチフィバチドの合成法に関する多くの報告においては、周知の技術である固相ペプチド合成を使用している。商業用の液相方法もまた、1999 IBC Conference on Peptide Technologies、 「Peptisyntha’s Method of Producing GMP Peptides on an Industrial Scale」において報告されている。前記商業用の方法は、2つのフラグメントであるMpa−Har Gly及びAsp−Trp−Proを別々に調製することを必要とする収束合成である。これらの2つのフラグメントを結合することによって、エプチフィバチドに必要とされる7つの残基のうちの6つが提供される。最後に結合される残渣は、例えば米国特許5,506,362号明細書において記載されているように、S−トリチル保護されたシステインアミドである。S−トリチル保護基(システインアミド及びメルカプトプロピオニル残渣上)を除去した後、ジスルフィド結合の形成によって閉環が達成される。前記商業用の方法によって得られる粗製エプチフィバチドは、約80%の純度を有することが報告されている。2つのカラムクロマトグラフィ−の工程によって、99%を超える純度に改善される。
【0007】
エプチフィバチドを大規模に製造するためには、一般に、固相合成より液相合成が適していると見なされている。しかし、大規模な液相工程に対しては、溶解性の問題及び複雑な反応混合物が生成するという課題が存在する。このような複雑な反応混合物のために、例えば生成物の精製がより困難になる。これらの問題を解決するために存在する方法としては、例えば米国特許第4,954,616号明細書に記載されているように、過シリル化(persilylated)アミノ酸及び相間移動試薬を使用すること、及び大規模なクロマトグラフィーによる精製などが挙げられるが、そのような手段は工程全の費用を増加させることになってしまう。
【0008】
従って、エプチフィバチドの別の製造方法が必要である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、特に、エプチフィバチドの調製方法を提供するものである。本発明の特定の方法は、化学式IIの化合物を提供する工程であって、
【0010】
【化1】

【0011】
ここで、Harはホモアルギニルであり、Glyはグリシルであり、Aspはアスパルチルであり、Trpはトリプトファニルであり、Proはプロリルであり、Cys−NHはシステインアミドであり、Mpaはメルカプトプロミオン酸であり、さらにPはカルボキシル保護基である前記化学式IIの化合物を提供する工程と、
HarとMpa残基とを結合させて化学式IIIの化合物を形成させるものである前記結合させる工程と、
【0012】
【化2】

【0013】
化学式IIIの化合物のAsp残基からPを除去してエプチフィバチドを形成させるものである前記除去する工程と
を有するものである。
【0014】
本発明はまた、アミノ末端を保護するホモアルギニン残基をグリシン残基と結合させて以下の化学式の2−3エプチフィバチド断片を形成させるものである前記結合させる工程を提供するものである。
【0015】
【化3】

【0016】
さらに、本発明は、保護されたカルボキシル側鎖を有するアスパラギン酸残基をジペプチドのトリプトファニル残基を介してトリプトファニル−プロリルジペプチドに結合させて、以下の化学式の保護された4−6エプチフィバチド断片を形成する前記結合させる工程を提供するものである。
【0017】
【化4】

【0018】
脱保護の後、前記2−3エプチフィバチド断片のGly残基の前記4−6エプチフィバチド断片のAsp残基に対する結合を介して、前記2−3エプチフィバチド断片と前記4−6エプチフィバチド断片とを順番に結合させて、2−6エプチフィバチド断片が形成され、
【0019】
【化5】

【0020】
ここで、Harはホモアルギニルであり、Glyはグリシルであり、Aspはアスパルチルであり、Trpはトリプトファニルであり、Proはプロリルであり、Pはアミノ保護基であり、さらにPはカルボキシル保護基である。好適な実施形態において、2−6エプチフィバチド断片は、前記2−6エプチフィバチド断片のPro残基を通じて活性化システインアミド残基に結合し、それによって前記化学式の2−7エプチフィバチド断片が形成されるものであり、
【0021】
【化6】

【0022】
ここで、ACys−NHは活性化システインアミド残基である。メルカプトプロピオン酸残基は、メルカプトプロピオン酸残基と前記2−7エプチフィバチド断片のACys−NH残基との間のジスルフィド結合を介して、前記2−7エプチフィバチド断片に結合させることが可能であり、それによって化学式Iの化合物が形成されるものであり、
【0023】
【化7】

【0024】
ここで、Mpaはメルカプトプロピオン酸であり、Cys−NHはシステインアミドである。化学式Iの化合物のHar残渣からPを除去することにより、化学式IIの化合物が提供され、
【0025】
【化8】

【0026】
前記化合物のN末端のHar及びC末端のMpa残渣を結合させることにより、化学式IIIの化合物が提供されるものであり、
【0027】
【化9】

【0028】
さらにその後、Asp残渣からPを除去することにより、エプチフィバチドが得られる。
【0029】
本発明はまた、化学式IVの化合物など、記載された前述の方法によって形成される生成物を提供するものであり、
【0030】
【化10】

【0031】
ここで、Rは水素またはPであり、Pはアミノ保護基であり、さらにPはカルボキシル保護基である。本発明の他の代表的な化合物は、Fmoc−Har−Gly−OH、Fmoc−Har−Gly−O−P、及びFmoc−Har−Gly−Asp(O−P)−Trp−Pro−OHを含み、ここでP及びPはカルボキシル保護基である。特定の実施形態において、本発明はエプチフィバチドと1%未満の特定の工程不純物とを含む組成物を提供するものである。本発明はまた、エプチフィバチドの精製方法を提供するものである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
一つの観点において、本発明は、2−3エプチフィバチド断片の調製と、4−6エプチフィバチド断片の調製と、2−6エプチフィバチド断片を形成するための2−3及び4−6エプチフィバチド断片の結合とを含むエプチフィバチドを調製するための収束方法を提供するものである。これらの方法の一部においては、2−6エプチフィバチド断片を活性化システインアミド残基に結合させて2−7エプチフィバチド断片を形成する前記結合工程と、メルカプトプロピオン酸と2−7エプチフィバチド断片間のジスルフィド結合を形成させて先駆物質Aを形成する前記結合工程と、先駆物質Aの分子内ペプチド結合をもたらす工程と、前記結合生成物から保護基を除去してエプチフィバチドを形成する前記除去する工程とを含む。
【0033】
更なる実施形態において、本発明は、本願明細書において記載されたエプチフィバチドの調製方法によって生産される生成物に関するものである。別の実施形態において、本発明は、エプチフィバチドを調製するために中間体として使用され得る新規化合物に関するものである。更なる実施形態において、本発明は、エプチフィバチドの構造類似化合物に関するものである。更なる実施形態において、本発明はまた、エプチフィバチドの精製方法を提供するものである。
【0034】
本願明細書において使用される「カルボキシル保護基」という用語は、選択的に結合及びカルボキシル基から除去することが可能である部分を指し、所望の反応上においては容認不可能な悪影響を与えることなく、前記部分が不要な化学反応に関与するのを防ぐためのものである。カルボキシル保護基の例には、例えば特にメチル、エチル、t−ブチル非置換ベンジル、及びシリルエステルなどのエステルなどが含まれる。他のカルボキシル保護基は当業者に周知であり、さらにJohn Wiley and Sons,Inc.から出版されているProtecting Groups in Organic Synthesis, Theodora W.Greene and Peter G.M.Wuts,3rd Edition,1999において詳述されている。
【0035】
本願明細書において使用される「アミノ保護基」という用語は、窒素原子に対して選択的に結合及び除去することが可能である部分を指し、所望の反応上受け入れ難い悪影響を与えることなく、前記部分が不要な化学反応に関与するのを防ぐためのものである。アミノ保護基の例には、例えば特にBoc、Cbz、Fmoc、alloc、メチル、及びウレタンなどのカルバミン酸エステル;フタルイミドなどの環状イミド誘導体;ホルミル、(非)置換アセチル、及びベンゾイルなどのアミド;及びt−ブチルジメチルシリル及びトリイソプロピルシリなどのトリアルキルシリル基などが含まれる。他のアミノ保護基は当技術分野で周知であり、Protecting Groups in Organic Synthesis,Theodora W.Greene and Peter G.M. Wuts, 3rd Edition,1999,published by John Wiley and Son,Inc.において詳細に記載されている。
【0036】
本願明細書において使用される「カップリング」及びその変化した用語は、任意の方法による結合部分間におけるアミド結合の形成を言及する。
【0037】
本願明細書において使用される「付着する(attaching)」及びその変化した用語は、結合部分間においてアミドまたはジスルフィド結合を形成するために使用される任意の手段によるアミドまたはジスルフィド結合の形成を言及する。
【0038】
本願明細書において使用される「活性化システインアミド残基」という用語は、メルカプトプロピオン酸を用いてジスルフィド結合を形成すること可能なシステインアミド残基を言及する。
【0039】
本願明細書において使用される「Gly−エプチフィバチド」という用語は、構造的にエプチフィバチドに関連するが、単一のグリシン残基よりむしろ2つの隣接したグリシン残基を含む化合物を言及する。
【0040】
本願明細書において指される全てのアミノ酸残基は、L−立体配置を有する天然アミノ酸である。
【0041】
エプチフィバチドは、以下の化学構造を有する。
【0042】
【化11】

【0043】
エプチフィバチドは、また、以下のようにアミノ酸記号を用いて表すことが可能であり、
【0044】
【化12】

【0045】
前記アミノ酸記号は以下に示した化学の図面に相当する。
【0046】
【化13】

【0047】
記述を容易にするために、前記残基はまた、(1)から(7)の番号をつけることが可能である。残基(1)はメルカプトプロピオン酸であり、(2)はホモアルギニル(Har)であり、(3)はグリシル(Gly)であり、(4)はアスパルチル(Asp)であり、(5)はトリプトファニル(Trp)であり、(6)はプロリル(Pro)であり、(7)はシステインアミド(システイン−NH)である。
【0048】
特定の実施形態において、本発明はエプチフィバチドを調製するための収束性方法に関する。第1の配列工程において、アミノ酸(2)及び(3)を含む2−3エプチフィバチドのフラグメントが調製される。第2の配列において、アミノ酸(4)、(5)、及び(6)を含む4−6エプチフィバチド断片が調製される。その後2つのフラグメントが連結され、ペンタペプチドである単一の2−6フラグメントが提供される。エプチフィバチドの2−6断片は、Har残基のN末端及びアスパルチル側鎖カルボキシル基で保護されている。スキーム1は、2−6エプチフィバチド断片の調製のための典型的な方法を概説したものである。
【0049】
【化14】

【0050】
スキーム1の配列Aは2−3エプチフィバチド断片の調整を示しており、配列Bは4−6エプチフィバチド断片の調製を示している。2つの配列は、エプチフィバチドの2−6断片を提供するために互いに合流する。スキーム1は典型的なアミノ酸保護基を示しているが、他の周知のアミノ酸保護基が使用可能であることがペプチド合成の当業者によって認められる。Fmoc(9−フルオレニルメトキシカルボニル)基の代わりに、例えばCbz(ベンジルオキシカルボニル)、RCbz(芳香環が置換されたベンジルオキシカルボニル基)、9(2−スルホ)フルオロエニルメチルカルバミン酸塩、9(2,7−ジブロモ)フルオロエニルメチルカルバミン酸塩、2−クロロ−3−インデニルメチルカルバミン酸塩、ベンズ[f]インデン−3−イルメチルカルバミン酸塩、またはAlloc(アリルオキシカルボニル)基などのカルバミン酸エステル保護基が使用可能である。
【0051】
アスパラギン酸残基上のt−ブチルエステルは、例えばODpm(ジフェニルメチル・エステル)など酸処理によって切断可能な他の任意の保護基、または例えばOBzl(ベンジルエステル)など水素化分解によって切断可能な保護基に置き換えることが可能である。
【0052】
スキーム1の配列Aにおいて表されるエプチフィバチド断片のFmoc−Har部分はRNP1−Harに置き換えることが可能であり、ここで前記RNP1は、例えばCbz(ベンジルオキシカルボニル)基、RCbz(芳香環が置換されたベンジルオキシカルボニル)基、またはAlloc(アリルオキシカルボニル)基などのアミノ保護基である。同様に、配列Bにおいて表されるエプチフィバチド断片のZ−Asp(またはCbz−Asp)部分はRNP2−Aspと置き換えることが可能であり、ここで、RNP2は例えばFmoc(フルオレニルメチルオキシカルボニルなど塩基性状態下で切断可能なアミノ保護基であるか、或いはRNP2は例えばRCbz(置換された芳香環を有するベンジロキシカルボニル保護基)基など水素化分解によって切断可能なアミノ保護基である。更に、スキーム1において表されるOtBu基はRCPと置き換えることが可能であり、ここでRCPは例えばODpm(ジフェニルメチルエステル)基など酸処理によって切断可能なカルボキシル保護基である。Pfp(ペンタフルオロフェニル)はカルボキシル活性化基であるRL1と置き換えることが可能であり、更にSu(スクシンイミド)はカルボキシル活性化基であるRL2と置き換えることが可能である。前記各断片の性質おいて、Pfp及びSuの両方は、例えばモノ及びジニトロフェニルエステル、トリ及びペンタフェニルエステルなどの他の安定な活性化エステルに置き換えられることが可能である。特定の保護基の選択は、同じ化合物に存在する別の保護基との一致性に依存することが当業者によって認められる。本発明の特定の実施形態において、特定の保護基は、他保護基に影響を及ぼさない反応条件下においてその保護基が選択的に除去され得るように選択される。
【0053】
本発明の特定の実施例において、保護された2−6エプチフィバチド断片は、次に、例えば3−ニトロ−2−ピリジンスルフェニル−システインアミド(H−Cys(Npys)−NH);Nps(2−ニトロ−フェニルスルフェニル);フェニル環が置換されたS−フェニルチオシステインアミド;S−アルキルチオシステインアミド;またはシステインアミドのS−スルホナート及びS−スルフェニルチオカルバミン酸塩などの「活性化」システインアミド(7)と結合し、エプチフィバチドの2−7ヘキサペプチド断片を形成する。残りのエプチフィバチド残基は、メルカプトプロピオン酸またはMpa−OH(1)である。1及び2−7断片間のジスルフィド結合を形成する状態下において、Mpa−OHが2−7ヘキサペプチド断片に付着させられる。この結果から得られるジスルフィド部分は、本願明細書においては前駆体Aとして示されており、エプチフィバチドを作るために重要で且つ新しい先駆物質である。前記前駆体Aの構造を以下に示す:
【0054】
【化15】

【0055】
ここでPはアミノ保護基であり、Pはカルボキシル保護基である。前記P基は前記P基の除去に適した状態下において安定していることが好ましい。前記基のうちの1つだけを選択的に除去することが可能である互換性を持ったP及びP基の選択は、当業者に周知である。互換性を有する保護基対の例は、基本的な状態下で除去されるP=Fmoc、及び同じ状態の下で安定なP=t−ブチルである。
【0056】
スキーム2は、前駆体Aの調製のための典型的な方法を概説したものである。
【0057】
【化16】

【0058】
スキーム1のように、スキーム2に示されるFmoc及びt−ブチル基は、一般にペプチド合成に有用であると認められる他の周知の保護基と置き換えることができる。
【0059】
本発明の特定の実施形態において、前駆体AからのP保護基を除去することによって、エプチフィバチドの前記2−7−1部分である別の前駆体Bが提供される。
【0060】
【化17】

【0061】
分子内ペプチドカップリングを経て、先駆物質Bは前駆体Cに変換される。
【0062】
【化18】

【0063】
分子内ペプチドカップリングは、これらに限定されないが例えばO−[シアノ(エトキシカルボニル)メチレンアミノ]−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩(TOTU)、HBTU、またはTBTU(2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウラニウムヘキサフルオロホスフェイト、及びそれぞれテトラフルオロホウ酸塩)などのウロニウム型カップリング試薬;これらに限定されないが、例えばDCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)、DIC(ジイソプロピルカルボジイミド)、またはEDC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド)などのカルボジイミド型試薬;活性化エステル;または例えばBop(ベンゾトリアゾール−1−イロキシ−トリ(ジメチルアミノ)−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェイト)またはPyBOP(ベンゾトリアゾール−1−イロキシ−トリ(ピロリジノ)−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェイト)などのホスホニウム型カップリング試薬など適切なカップリング試薬がある場合には、有機溶媒中で達成され得る。ペプチドカップリングは、例えばHumphrey and Chamberlin,Chem.Rev.1997,97,2243−2266に記載されており、これはこの参照により本願明細書に完全に組み込まれるものとする。
【0064】
前駆体CからP保護基を除去することにより、エプチフィバチドが提供される。前記Pの除去は、酸、塩基、または保護基が不安定となる他の任意の試薬または試薬系の存在下において、有機溶媒中などにおいて達成され得る。スキーム3は、前駆体Aからエプチフィバチドの調製するための典型的な方法を概説したものである。
【0065】
【化19】

【0066】
Fmoc保護基を除去した後、2−7−1断片は、分子内ペプチドカップリングによって、エプチフィバチドのt−ブチルエステルが提供される。アスパラギン酸残基からt−ブチル基を除去することにより、エプチフィバチドが得られる。
【0067】
特定の実施形態において、本発明は、構造的にあるエプチフィバチドに類似した化合物、及びエプチフィバチドを調製するために上述した方法に類似した方法に従って調製した化合物に関する。例えば、そのような化合物は、エプチフィバチドに記載したような単一のグリシン残基よりむしろ2つの隣接したグリシン残基を含むGly−エプチフィバチドを含む。
【0068】
【化20】

【0069】
Gly−エプチフィバチドは、例えばエプチフィバチドの調製のために上述した方法によって調製され得る。但し、グリシンがホモアルギニンに結合して断片を形成するよりむしろ、Gly−Glyジペプチドがホモアルギニンに結合して2−3エプチフィバチド断片に相当するものを形成する場合を除く。例えば、この改良方法によれば、スキーム1に示されるH−Gly−OtBu(3)基は、H−Gly−Gly−OtBuと置き換えられる。
【0070】
エプチフィバチドを調製するために上述した方法に従ってエプチフィバチドを調製している間、本発明の一部の実施形態においては、Gly−エプチフィバチドが生じる。本発明の特定の実施形態は、エプチフィバチドとGly−エプチフィバチドとを有する組成物に関し、少なくとも99%のエプチフィバチドと約0.01%〜約1%の範囲のGly−エプチフィバチドとを有する組成物、及び少なくとも99%のエプチフィバチドと約0.01%〜約0.1%の範囲のGly−エプチフィバチドとを有する組成物を含むものである。
【0071】
本発明はまた、エプチフィバチドの精製方法を提供するものであり、例えば、エプチフィバチド水溶液をシリカが結合したオクタデシル炭素連鎖などを含む固定相に接触させる工程と、トリフルオロ酢酸/アセトニトリル溶液を有するエプチフィバチド水溶液と接触させた前記固定相を洗浄する工程と、選択的に酢酸/アセトニトリル溶液を有するエプチフィバチド水溶液と接触させた前記固定相を洗浄する工程と、アンモニウム酸/アセトニトリル溶液を有するエプチフィバチド水溶液と接触させた固定相を洗浄する工程とを含む。逆固定相は当業者に周知であり、そのような相の他のものはシリカを基盤としたオクタデシル炭素と置換すること可能である。
【0072】
本発明の特定の実施形態において、エプチフィバチド水溶液と接触した固定相は、95%の0.1%トリフルオロ酢酸水溶液及び5%のアセトニトリル溶液の初期濃度、及び50%の0.1%トリフルオロ酢酸水溶液及び50%のアセトニトリル溶液の最終濃度を有するグラジエントで洗浄される。
【0073】
本発明は、エプチフィバチド水溶液と接触した固定相が、95%の0.5%酢酸水溶液及び5%アセトニトリル溶液の初期濃度、及び50%の0.5%酢酸水溶液及び50%のアセトニトリル溶液の最終濃度を有するグラジエントによって洗浄される更なる実施形態を提供するものである。一部の実施形態において、前記固定相は、のトリフルオロ酢酸/アセトニトリルのグラジエントを用いた1若しくはそれ以上の洗浄の後、酢酸/アセトニトリルグラジエントで洗浄される。
【0074】
本発明はまた、アンモニウム酸/アセトニトリル溶液が、95%の100mMアンモニウム酸水溶液と5%のアセトニトリル溶液とを有する水溶液である実施形態を提供するものである。本発明の特定の観点において、前記固定相は、トリフルオロ酢酸/アセトニトリルグラジエントおよび/または酢酸/アセトニトリルグラジエントによる洗浄の後、アンモニウム酸/アセトニトリル溶液によって洗浄されるものである。
【0075】
前記記載方法で生じるアミノ酸残基のカップリングは、当業者に知られたペプチド合成の既知の方法によって達成され得るものである。ペプチドを形成するための任意の適切なカップリング方法が使用可能である。
【0076】
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態を図示したものであり、本発明の範囲を限定するものとして考慮されるべきではない。
【実施例1】
【0077】
Z−Asp(OtBu)−Trp−Pro−OHの調製
Z−Asp(OtBu)−Trp−Pro−OHは、例えばBodanszky,M.(1979),Active esters in peptide synthesis,The peptides,Vol.1(ed.E.Gross and J.Meienhofer),Chapter3において記載されているように、市販のZ−Asp(OtBu)−OSu及びH−Trp−Pro−OHを出発とした周知の方法によって得た。Academic Press,Londonはこの参照によりその全体が本願明細書に組み込まれるものである。
【実施例2】
【0078】
H−Asp(O−tBu)−Trp−Pro−OHの調製
約20℃の温度において、ジメチルアセトアミド(DMAC、1.2L)で満たした2リットルの反応装置に、約20℃の温度を維持しながら0.300kgの出発物質Z−Asp(OtBu)−Trp−Pro−OHを添加した。Z−Asp(OtBu)−Trp−Pro−OHを溶解させた後、前記反応混合物をパージし、窒素雰囲気下にした。炭素上のパラジウム(5重量%)(0.015kg)を前記反応混合物に添加し、前記反応混合物を約20℃で維持しながら、2バール圧力下で水素化した。
【0079】
2時間後、以後1時間毎に、前記反応物からの検体をHPLCで分析した。HPLC分析は、Purospher StarC18 55*4mmカラムにおいて、0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)を含む水/アセトニトリル溶媒混合物を用いて、水/アセトニトリルの10分間98:2から2:98へのグラジエントで実施した。HPLCは、検出215nm、流速2.0のml/min、さらに温度40℃であった。
【0080】
HPLC分析おいて、前記出発物質が生成物面積パーセントに対して0.2%以下を示した時に前記反応が完結したものと考慮した。HPLCによって前記反応が完結したことが示されたときに、p−トルエンスルホン酸水溶液(0.150Lの水中0.094kgのp−TsOH)を前記反応混合物に添加した。その後前記反応混合物は、DMAC(0.6Lで3回洗浄したCelite(登録商標))で前もって洗浄したCelite(登録商標)で濾過した。反応混合物を濾過した後、フィルターケーキ(filter cake)を新しいDMAC(0.3L)で3回洗浄した。最後の洗浄の後、HPLC分析を行い、フィルターケーキ中に生成物が残っていないことを確認した。
【0081】
約20℃において混合濾液を新しい容器に移し、同じ温度でN−エチルモルホリン(0.066L)を添加した。前記添加の間、温度を約22℃以下に維持した。その後前記混合物を約8〜12℃に冷却し、温度を約15℃以下に維持しながら水(3L)をゆっくり添加した。その後、前記混合物を8〜12℃で約30分間撹拌し、8時間のその温度で保持した。この間に生成物が水溶液から結晶化した。更なる冷却が必要であるか否かに関わらず、上清をHPLCで分析することにより、水溶液中に残った生成物量を決定することが可能である。得られたスラリーを濾過し、収集した固体を2:1の水:DMAC溶液で2回(各0.9L)洗浄した。その後、前記固体をアセトニトリルで2回(各0.9L)洗浄し、約25℃の減圧下で一定重量になるまで乾燥した。乾燥後の含水量は3.5%であった(Karl−Fisher分析)。
【0082】
前記生成物はトリフルオロ酢酸/アセトニトリル水溶液のグラジエントを使用した逆相HPLCで分析した。
【0083】
LC/MS分析によって、H−Asp(O−tBu)−Trp−Pro−OHの質量[M+H]473.0を確認した。
【0084】
回収率は93.2%(0.218kg)であり、純収率(net yield)は、93.1%であった(窒素含有量に基づき95.4%)。
【実施例3】
【0085】
Fmoc−Har−Gly−Asp(O−tBu)−Trp−Pro−OHの調製
THF:DMAC(それぞれ0.717L及び0.179L)中、Fmoc−Har−Gly−OHのスラリーに(純量0.163kg:ペプチド含有量に基づき90.5%)、メタンスルホン酸(0.027L)及びペンタフルオロフェノール(0.083kg)を添加した。固体が溶けるまで前記混合物を20℃で撹拌した。N−エチルモルホリン(NEM)(0.030L)を滴下して加えた後、THF(0.179L)中のジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(0.072kg)を滴下して加え、混合物を約20℃で撹拌した。Fmoc−Har−Gly−OPfpを形成した後、HPLCアッセイを行った。約17時間後、Fmoc−Har−Gly−OH/Fmoc−Har−Gly OPfpの比は1.5/98.5であった。
【0086】
前記反応混合物にH−Asp(O−tBu)−Trp−Pro−OH(0.146kg、約3.5w/w% HO)及びNEM(0.049L)を添加した。前記混合物を約20℃で3時間撹拌した。この時のHPLC分析によって、前記混合物が約87%の生成物、<2% Fmoc−Har−Gly−OPfp、6%のFmoc−Har−Gly−OH、約0.5%のH−Asp(O−tBu)−Trp−Pro−OH、及びFmoc−Har−Gly−Asp(O−tBu)−Trp−Pro−Asp(O−tBu)−Trp−Pro−OH(「d.a.不純物」)と確認された不純物を約5.5%含むことが示された。HPLC分析は、Purospher Star C18 55*4mmカラムにおいて、0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)含む水/アセトニトリル溶媒混合物を用いて、水/アセトニトリルを10分間で98:2から2:98のグラジエントによって実施した。HPLC検出は215nm、流速は2.0ml/分、及び温度は40℃であった。
【0087】
前記反応混合物を濾過し、固体をTHF/DMACの5/1混合物で2回(2×0.489L)洗浄した。濾液を35℃、減圧下(約20mBar)において、約0.815Lに濃縮した。炭酸水素ナトリウム(0.059kg)を含むアセトニトリル/HO(4.1L)の1/4混合物に、前記濃縮混合物を1時間以上かけてゆっくり加えた。添加速度を注意深く制御することにより、粘着性の沈殿物の形成を避けた。前記溶液の約3.5%を約15分以上かけて加え、前記添加を中断して約20℃で1時間スラリーを撹拌した。糊のような沈殿物が白色スラリーに変わった。前記溶液の7.5超過%を15〜30分以上かけて加え、前記添加を再び中断して約20℃で2時間スラリーを撹拌した。残った89%の溶液は、約2時間以上かけて添加した。前記混合物は約20℃で12時間撹拌した後、濾過した。前記固体をアセトニトリル/HOの1/4混合物(3×0.7L)、アセトニトリル/ジ−イソプロピルエーテル(DIPE)の2/3混合物(3×0.7L)及びDIPE(2×0.7L)で洗浄した。前記固体生成物をT≦30℃で一定重量になるまで乾燥した。乾燥後の含水量は3.3%であった(Karl−Fisher分析)。
前記生成物は、水のトリフルオロ酢酸/アセトニトリルグラジエントを使用した逆相HPLCによって分析した。
【0088】
LC/MS分析によって、Fmoc−Har−Gly−Asp(OtBu)−Trp−Pro−OHの質量[M+H]922.5が確認された。
【0089】
回収率は81.8%(0.234kg)であり、純収率は82.3%であった(窒素含有量に基づくと96.0%)。
【実施例4】
【0090】
Fmoc−Har−Gly−Asp(O−tBu)−Trp−Pro−Cys(NPys)−NHの調製
Fmoc−Har−Gly−Asp(OtBu)−Trp−Pro−OH(0.225kg)を、20℃においてペプチド合成グレードのDMF(0.675L)で満たした反応装置に添加した。前記混合物を約0℃に冷却し、H−Cys(NPys)−NHを固体塩酸塩(0.080kg)として加えた。O−ベンゾトリアゾール1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩(TBTU)(0.082kg)を前記反応混合物に添加した。約0℃に温度を維持しながら、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(0.112L)を滴下して加えることによって、前記反応混合物のpHを7.0まで6.5に合わせた。前記温度において前記混合物を撹拌し、この間、約45分毎に検体における生成物の形成をHPLCで分析した。前記反応混合物のpHは、必要に応じてDIPEAを添加してpH6.5〜7.0に維持した。HPLC分析は、プラチナEPS 100−5 C18 5μ 250*4.6mmカラム;溶媒A:水中の0.1%TFA;溶媒B:アセトニトリル中の0.1%TFA;グラジエント:Bを15分後に12から98%において実施した。HPLC検出は215nm、流速は2.0ml/min、温度は40℃であった。ペンタペプチド及びCys(NPys)−NH出発物質がそれぞれHPLCにおいて1%未満を示すときに、前記反応は完結したとみなした。さもなければ、更なるTBTU、DIPEA、及び前記混合物において不足していることを示す出発物質を加えた。
【0091】
前記反応混合物を約5℃の温度で水(4.5L)を含む別の容器に添加した。前記添加物を撹拌している間、この温度は維持した。約5℃で10分間の撹拌の後、前記混合物を濾過し、更に前記固体を水で5回(各0.9L)洗浄した。その後、前記固体をトルエン(各0.675L)で3回洗浄した。トルエンによる洗浄液は、ジイソプロピルエーテルによる洗浄と置き換えることが可能である。前記固体は、減圧下35℃以下の温度で一定重量になるまで乾燥した。乾燥後の含水量は1.2%(Karl−Fisher分析)であった。
【0092】
前記生成物は、トリフルオロ酢酸/アセトニトリル水溶液のグラジエントを用いた逆相HPLCで分析した。
【0093】
LC/MS解析によって、Fmoc−Har−Gly−Asp(O−tBu)−Trp−Pro−Cys(NPys)NHの質量[M+H]1178.4を確認した。
【0094】
回収率は102.4%(0.295kg)であり純収率は87.7%であった(ペプチド含有量に基づくと82.0%)。
【実施例5】
【0095】
Fmoc−Har−Gly−Asp(O−tBu)−Trp−Pro−Cys(NH)−Mpa(Fmoc[2−7−1])の調製
HPLCグレードのアセトニトリル(0.570L)及びペプチド合成グレードDMF(0.285L)によって満たされた反応装置中、約20℃の窒素雰囲気下において、0.285kgのFmoc−Har−Gly−Asp(O−tBu)−Trp−Pro−Cys(NPys)NH(Fmoc[2−7])をゆっくり攪拌して加えた。Fmoc[2−7]の溶解後、前記混合物を約−3℃に冷却した。20℃で調製したアセトニトリル(0.057L)中のメルカプトプロピオン酸水溶液(Mpa,0.023kg)を反応温度が約−3℃に維持できる速度で前記反応混合物に添加した。前記反応はHPLC分析で観察し、この分析において、Fmoc[2−7−1]と比較してFmoc[2−7]が1%未満を示した場合に反応が完了したと考慮した。HPLC分析は、Purospher Star C18 55*4 mmカラムにおいて、0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)含む水/アセトニトリル溶媒混合物を用いて、水/アセトニトリルを10分間で98:2から2:98のグラジエントで実施した。HPLC検出は215nm、流速は2.0ml/min、温度は40℃であった。
【0096】
前記反応混合物は、約20℃において、HPLCグレードのアセトニトリル(5.7L)及びN−エチルモルホリニウム(NEM、0.033L)で満たした第2の容器に加えた。前記添加が完了した後、前記反応物をその温度で約30分撹拌した。前記スラリーは約0℃にゆっくり冷却し、その温度で約45分間撹拌し続けた。以下の方法はその後3回実施した:(a)攪拌を停止し、沈殿物と上清を分離した;(b)前記上清をポンプで容器から取り除き;(c)0℃において新しいHPLCグレードのアセトニトリル(1.425L)を前記反応装置に添加し、攪拌を再開した;(d)前記スラリーを約0℃で5分間撹拌した。残留スラリーを濾過し、固体をHPLCグレードのアセトニトリルで2回(各1.140L)、及びトルエン(1.425L)で1回洗浄した。トルエンを用いた前記洗浄液は、ジイソプロピルエーテルを用いた洗浄液と置き換えることが可能である。前記固体を20℃以下高真空下で乾燥した。
【0097】
前記生成物はトリフルオロ酢酸/アセトニトリル水溶液のグラジエントを使用した逆相HPLCで分析した。
【0098】
LC/MS解析によって、Fmoc−Har−Gly−Asp(O−tBu)−Trp−Pro−Cys(NH)−Mpaの質量[M+H]1128.4を確認した。
【0099】
回収率は93.8%(0.256kg)、純収率は定量的であった(ペプチド含有量に基づくと87.4%)。
【実施例6】
【0100】
H−Har−Gly−Asp(O−tBu)−Trp−Pro−Cys(NH)−Mpaの調製([2−7−1])
ペプチド合成グレードDMF(0.750L)で満たした反応装置に、約20℃において、0.250kgのFmoc−Har−Gly−Asp(O−tBu)−Trp−Pro−Cys(NH)−Mpa(Fmoc[2−7−1])をゆっくり攪拌して加えた。前記混合物を10℃まで冷却し、この温度でジエチルアミン(0.034L)を加えた。ジエチルアミンの添加後、前記混合物温度を約20℃に上げた。前記反応の進行は、毎時採取される検体をHPLC分析することによって観察した。HPLC分析は、Platinum EPS 100−5 C18 5μ 250*4.6 mmカラムにおいて実施した;溶媒A:水中の0.1%TFA;溶媒B:アセトニトリル中の0.1%TFA;グラジエント:15分後Bを22から98%。HPLC検出は215nm、流速は2.0ml/min、温度は40℃であった。前記反応は、Fmoc[2−7−1]のパーセントが[2−7−1]に対して約0.5%未満である場合に完結したと考慮した。前記反応は通常3時間後に完了した。
【0101】
前記反応混合物を酢酸エチル(5.0L)で満たした第2の容器に添加し、約10℃に冷却した。結果として生じる懸濁液を約10℃で10分間撹拌した。その後以下の方法を2回行った:(a)前記攪拌を停止し、約15分間、沈殿物を上清から分離した;(b)ポンプを用いて上清を容器から取り除いた;(c)新鮮なエチルアセテート(0.750L)を約10℃で加えた;(c)懸濁液を約10℃で約5分間撹拌した。前記スラリーを濾過し、この固体をエチルアセテートで6回(毎回0.750L)洗浄した。エチルアセテート残渣を除去するために、ジイソプロピルエーテルによる更なる洗浄を行っても良い。前記固体は25℃以下で最高18時間、高真空下で乾燥した。
【0102】
前記生成物は、トリフルオロ酢酸/アセトニトリル水溶液のグラジエントを使用した逆相HPLCによって分析した。
【0103】
LC/MS解析によって、H−Har−Gly−Asp(O−tBu)−Trp−Pro−Cys(NH)−Mpaの質量[M+H]906.3を確認した。
【0104】
GC解析によって3.4%の残存ジエチルアミンが示された。
【0105】
回収率は106.1%(0.213kg)であり、純収率は99.2%であった(ペプチド含有量に基づくと81.9%)。
【実施例7】
【0106】
[MPA−Har−Gly−Asp(O−tBu)−Trp−Pro−Cys](NH)(cyclo−[1−7](OtBu)−NH)の調製
反応装置をペプチド合成グレードのDMF(0.768L)で満たし、この溶液を約10℃に冷却した。O−[シアノ(エトキシカルボニル)メチルエナミノール]−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩(TOTU)(0.070kg)を加え、その後15℃に温度を維持しながらペプチド合成グレードのジクロロメタン(1.536L)で希釈した。得られた水溶液を約−60℃に冷却し、温度を−60℃に維持しながらNEM(0.024L)を少しずつ添加した。NEMの添加の前後でpHを測定した。HPLC分析のために検体を採取した。
【0107】
HPLC分析は、Phenomenex Luna C18(2)カラム,5μm,150*4.6mmで行い、15分後にBを12から98%にグラジエントした。溶媒A:水中0.1%のTFA、溶媒B:アセトニトリル中0.1%のTFA。検出は215nm、流速は2ml/min、温度は40℃であった。
【0108】
別の反応装置を約20℃においてペプチド合成グレードのDMF(0.768L)で満たした後、0.192kgのH−Har−Gly−Asp(O−tBu)−Trp−Pro−Cys(NH)−Mpa([2−7−1])で満たした。固体が溶けた時に得られた水溶液を約0℃に冷却した。HOBt(0.026kg)を少しずつ(HOBtの重量は純度補正した)に添加した。得られた水溶液をペプチド合成グレードのジクロロメタン(0.384L)で希釈した。HPLC解析のために検体を採取した。
【0109】
温度を−60℃に維持しながら、付加ポンプを使用して前記[2−7−1]の水溶液を非常にゆっくり最低3時間かけてTOTU水溶液に添加した。前記[2−7−1]水溶液を50%添加した後、HPLC分析のために検体を採取した。この時点でpHも測定した。HPLC及びpHのサンプリングはまた、[2−7−1]の添加が完了したときにも採取した。温度を−60℃に維持しながら、必要に応じてNEMを添加することによって前記pHを7〜7.5に合わせた。
【0110】
温度を−60℃に維持しながら、前記pHを15分毎に点検し、必要に応じてNEMを用いて7〜7.5に合わせた。環化が完了するまで45分毎にHPLCのためにサンプリングした。環化生成物に対する[2−7−1]の面積パーセントが<0.5%となった時に反応が完了したとみなした。
【0111】
反応が失速した場合、[2−7−1]の残渣に対して1.1当量のTOTUを添加し、温度を−60℃に維持しながら、必要に応じてpHを7〜7.5に合わせた。
【0112】
反応が完了したとき、<40℃の減圧下において、前記混合物を約0.8Lの最終容積に濃縮した。得られた粘着性の水溶液を約5℃に冷却し、速く撹拌した約0℃の酢酸エチル(7.0L)にゆっくり加えた。得られたスラリーを約0℃で20分間撹拌した。その後以下の方法を3回行った:(a)前記攪拌を停止し、沈殿物と上清とを分離した;(b)上清を容器からポンプで取り除いた;(c)約0℃において、新鮮な酢酸エチル(1.15L)を反応装置に添加し、攪拌を再開した;(d)前記スラリーを約0℃で約20分撹拌した。上記方法を最後に実施した時、小容量の酢酸エチル(0.768L)を前記反応物に添加し、0℃で10分間の攪拌を再開した。得られたスラリーを濾過し、この固体を酢酸エチル(0.576L)で1回、さらにジイソプロピルエーテル(0.576L)で3回洗浄した。前記固体を約20℃の高真空下で乾燥した。
【0113】
前記生成物は、トリフルオロ酢酸/アセトニトリル水溶液のグラジエントを使用した逆相HPLCで分析した。
【0114】
LC/MS解析によって、(cyclo−[1−7](OtBu)−NH)の質量[M+H]888.2が確認された。
【0115】
回収率は103.7%(0.194kg)であり;純収率は定量的であった(ペプチド含有量に基づくと79.7%)。
【実施例8】
【0116】
[MPA−Har−Gly−Asp−Trp−Pro−Cys](NH)(cyclo−[1−7]−NH)の調製
ジクロロメタン(0.573L)、アニソール(0.086L)、及びTFA(0.122L)の混合物を約20℃で調製した。得られた水溶液を15℃に冷却し、[1−7](OtBu)−NH(0.191kg)の固体をゆっくり加えた。前記[1−7](OtBu)−NHの添加の間、温度を20℃に維持した。前記反応混合物を更に10℃に冷却し、約10分後に過剰部分のTFA(0.365L)を添加した。前記添加の間、温度を20℃以下に保持した。全てのTFAを添加した後、反応物を20℃で撹拌し、その後HPLCを行った。
【0117】
HPLC分析は、Platinum EPS 100−5 C18カラム250*4.6mmにおいて実施した。溶媒Aは0.1%TFA水溶液であり、溶媒Bは0.1%TFA含有アセトニトリル溶液であり、グラジエントは15分後にBを22から98%することによって行った。検出は215nm、流速は1.5ml/min、及び温度は40℃であった。生成物に対して残存[1−7](OtBu)−NHが<3.0面積%であるとき、前記反応が完了した。
【0118】
前記反応が完了したとき、この混合物を10℃に冷却し、10℃において2/1ジイソプロピルエーテル(DIPE)/アセトニトリル(3.78L)の水溶液に添加した。得られたスラリーを10℃で10分間撹拌し、その後減圧下で濾過した。前記固体を、DIPE及びアセトニトリルの7/3混合物(0.573L)で3回、更にDIPE(0.573L)で3回洗浄した。この生成物を25℃以下で乾燥した。
【0119】
前記生成物は、トリフルオロ酢酸/アセトニトリル水溶液のグラジエントを使用した逆相HPLCによって分析した。
【0120】
LC/MS解析によって、(シクロ−[1−7]−NH)の質量[M+H]832.3が確認された。
【0121】
回収率は0.157kg(87.9%)であり、純収率は87.2%であった(ペプチド含有量に基づくと79.1%)。
【0122】
純粋なAPIの含有量は45.8%であった。この値は以下のHPLC方法によって得られた:Synergi Max−RP 4μm 80A 250*4.6mm;溶媒A:52mMのHPO/CHCN/100mMのH7SA(86/14/0.80);溶媒B:52mMのHPO/CHCN/100mMのH7SA(50/50/0.80);220nm;1.3ml/min;50℃;グラジエント:45分以上0%Bの後、13分にわたってBを45%にした後、1分にわたってBを100%にした。
【実施例9】
【0123】
エプチフィバチドの精製
一次精製
一次精製は、トリフルオロ酢酸/アセトニトリルに基づく精製で行った。個々の主要フラクションに対して適用される基準は≧92.0%にした。固定相は、5cmの直径を有するKromasil C18,10μm,100Aカラムを用いた。カラム圧力は50バール、流速は50ml/min、検出波長は215ナノメートルとした。移動相は以下のように行った:
溶媒A:処理水(processed water)中0.1%のTFA/CHCN(95/5);及び
溶媒B:処理水中0.1%のTFA/CHCN(50/50)。
【0124】
前記カラムは、15分にわたって100%溶媒Aで溶出することよって平衡させた。精製グラジエントは以下のように行った:10分にわたり100%溶媒Aの溶出;グラジエント:60分にわたりBを15%から45%;及び15分にわたり100%溶媒Bの溶出。
【0125】
精製はMAD−009−SF323TG1方法を使用して観察し、標的受入れ基準は次の通りであった:
主要フラクション(F1):≧92%;及び
側面フラクション(fp):≧60%及び<92%。
収集したフラクションは、2℃〜8℃で保存した。
【0126】
二次性精製
二次精製は、酢酸/アセトニトリルに基づく精製で行った。個々の主要フラクションの基準は99%であり、単一不純物は<0.3/0.5%であった。固定相は、5cmの直径を有するKromasil C18,10μm,100Aカラムで行った。カラム圧力は40±5バール、流速は50ml/min、検出は波長215nmであった。移動相は以下のように行った:
溶媒A:処理水中0.5%のAcOH/CHCN(95/5);及び
溶媒B:処理水中0.5%のAcOH/CHCN(50/50)。
【0127】
前記カラムは、15分にわたる100%溶媒Aの溶出によって平衡化した。精製グラジエントは次の通りであった:10分にわたって溶媒Aを100%溶出;グラジエント:5分にわたって溶媒Bを15%から0%;60分にわたって溶媒Bを15%から35%;及び15分にわたって溶媒Bを100%溶出。
【0128】
前記精製はMAD−009−SF323TG1方法を使用して観察し、標的受入れ基準は以下のように行った:
主要フラクション(F1):≧99.0%不純物<0.3/0.5%;及び
サイドフラクション(fp):>80.0%及び<99.0%。
収集フラクションは、2℃〜8℃で保存した。
【0129】
脱塩/濃縮:
酢酸アンモニウム水溶液の二重脱塩工程は、残存性のトリフルオロアセテート対イオンを除去するため及びペプチドのアセテート型を得るために、濃縮工程の前に実行した。前記濃縮工程によって処理溶液の体積を減量させた。
【0130】
NHOAc脱塩/AcOH濃縮のための固定相は、5cmの直径を有するKromasil C18,10μm,100Aカラムで行った。カラム圧力は40±5バール、流速は50ml/min、及び検出波長は215ナノメートルであった。移動相は以下のように行った:
溶媒A:処理水中0.5%のAcOH/CHCN(95/5);
溶媒B:処理水中0.5%のAcOH/CHCN(50/50);及び
溶媒C:処理水中NHOAc100のmM pH6.5/CH3CN(95/5)。
【0131】
前記カラムは、15分にわたり100%溶媒Aの溶出によって平衡化した。カラム充填のために、Ac0H精製からの主要フラクションは、処理水の2容積で希釈した。
【0132】
脱塩は次のように行った:溶媒A10分;溶媒C10分;溶媒A10分;及び溶媒C10分。
濃縮は次のように行った:溶媒A10分及び溶媒B15分以上。
【0133】
脱塩及び濃縮はMAD−009−SF323TG1方法を使用して観察し、標的受入れ基準は次のように行った:
主要フラクション(F1):≧不純物と共に99.0%<0.3/0.5%;及び
サイドフラクション(fp):>80.0%及び<99.0%。
【0134】
収集フラクションは、2℃〜8℃で保存した。
【0135】
本願明細書において引用または記載した各特許、特許出願、及び公開物の全ての開示は、この参照によって本願明細書に組み込まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式IIの化合物を提供する工程であって、
【化21】

式中、
Harはホモアルギニルであり、
Glyはグリシルであり、
Aspはアスパルチルであり、
Trpはトリプトファニルであり、
Proはプロリルであり、
Cys−NHはシステインアミドであり、
Mpaはメルカプトプロピオン酸であり、
はカルボキシル保護基である、前記提供する工程と、
化学式IIIの化合物を形成するためにHar及びMpa残基を結合させる工程と、
【化22】

を有する方法によって形成される、生成物。
【請求項2】
化学式Iの化合物を提供する工程であって、
【化23】

式中、
Harはホモアルギニルであり、
Glyはグリシルであり、
Aspはアスパルチルであり、
Trpはトリプトファニルであり、
Proはプロリルであり、
Cys−NHはシステインアミドであり、
Mpaはメルカプトプロピオン酸であり、
はアミノ保護基であり、
はカルボキシル保護基である、前記提供する工程と、
化学式Iの前記Har残基からPを除去する工程と、
これにより化学式IIの化合物を形成する工程であって、
【化24】

Har、Gly、Asp、Trp、Pro、Cys−NH、Mpa及びPは化学式Iのものと同一である、前記形成する工程と、
化学式IIIの化合物を形成するために前記Har及びMpa残基を結合させる工程と
【化25】

を有する方法によって形成される、生成物。
【請求項3】
以下の化学式の2−7エプチフィバチド断片を提供する工程であって、
【化26】

式中、
Harはホモアルギニルであり、
Glyはグリシルであり、
Aspはアスパルチルであり、
Trpはトリプトファニルであり、
Proはプロリルであり、
ACys−NHは活性化システインアミド残基であり、
はアミノ保護基であり、
はカルボキシル保護基である、前記提供する工程と、
Mpa残基を前記2−7エプチフィバチド断片に結合させる工程であって、
Mpaはメルカトプロピオン酸であり、前記Mpa残基と前記2−7エプチフィバチド断片のACys−NH残基との間におけるジスルフィド結合を介して化学式Iの化合物を形成させるものであり、
【化27】

式中、
Har、Gly、Asp、Trp、Pro、Cys−NH、Mpa及びPは前記2−7エプチフィバチド断片のものと同一である、前記結合させる工程と、
化学式Iの前記Har残基からPを除去する工程と、
これにより化学式IIの化合物を形成する工程と、
【化28】

化学式IIIの化合物を形成するために化学式IIの前記Har及びMpa残基を結合させる工程と
【化29】

を有する方法によって形成される、生成物。
【請求項4】
以下の化学式の2−6エプチフィバチド断片を提供する工程であって、
【化30】

式中、
Harはホモアルギニルであり、
Glyはグリシルであり、
Aspはアスパルチルであり、
Trpはトリプトファニルであり、
Proはプロリルであり、
はアミノ保護基であり、
はカルボキシル保護基である、前記提供する工程と、
前記2−6エプチフィバチド断片のPro残基を介して、活性化システインアミド残基を結合させる工程であって、以下の化学式の2−7エプチフィバチド断片を形成させるものであり、
【化31】

式中、
Har、Gly、Asp、Trp、Pro及びPは前記2−6エプチフィバチド断片のものと同一であり、及び、ACys−NHは活性化システインアミド残基である、前記結合させる工程と、
Mpa残基を前記2−7エプチフィバチド断片に結合させる工程であって、
Mpaはメルカトプロピオン酸であり、前記2−7エプチフィバチド断片のMpa残基と前記ACys−NH残基との間におけるジスルフィド結合を介して化学式Iの化合物を形成させるものであり、
【化32】

式中、
Har、Gly、Asp、Trp、Pro、Cys−NH、Mpa及びPは上記のものと同一である、前記結合させる工程と、
化学式Iの前記Har残基からPを除去する工程と、
これにより化学式IIの化合物を形成する工程と、
【化33】

化学式IIIの化合物を形成するために前記Har及びMpa残基を結合させる工程と
【化34】

を有する方法によって形成される、生成物。
【請求項5】
以下の化学式の2−3エプチフィバチド断片を提供する工程と、
【化35】

前記2−3エプチフィバチド断片を以下の化学式の4−6エプチフィバチド断片に結合させる工程であって、
【化36】

式中、
Harはホモアルギニルであり、
Glyはグリシルであり、
Aspはアスパルチルであり、
Trpはトリプトファニルであり、
Proはプロリルであり、
はアミノ保護基であり、
はカルボキシル保護基であり、
当該結合させる工程は、前記2−3エプチフィバチド断片のGly残基を前記4−6エプチフィバチド断片のAsp残基に結合させて以下の化学式の2−6エプチフィバチド断片を形成させるものであり、
【化37】

式中、
Har、Gly、Asp、Trp、Pro及びPは前記2−3及び4−6エプチフィバチド断片のものと同一である、前記結合させる工程と、
前記2−6エプチフィバチド断片のPro残基を介して、活性化システインアミド残基を結合させる工程であって、以下の化学式の2−7エプチフィバチド断片を形成させるものであり、
【化38】

式中、
Har、Gly、Asp、Trp、Pro及びPは前記2−6エプチフィバチド断片のものと同一であり、及び、ACys−NHは活性化システインアミド残基である、前記結合させる工程と、
Mpa残基を前記2−7エプチフィバチド断片に結合させる工程であって、
Mpaはメルカトプロピオン酸であり、前記Mpa残基と前記2−7エプチフィバチド断片のACys−NH残基との間におけるジスルフィド結合を介して化学式Iの化合物を形成させるものであり、
【化39】

式中、Har、Gly、Asp、Trp、Pro、Cys−NH、Mpa及びPは前記2−7エプチフィバチド断片のものと同一である、前記結合させる工程と、
化学式Iの前記Har残基からPを除去する工程と、
これにより化学式IIの化合物を形成する工程と、
【化40】

化学式IIIの化合物を形成するために前記Har及びMpa残基を結合させる工程と
【化41】

を有する方法によって形成される、生成物。
【請求項6】
保護されたカルボキシル側鎖を有する、アミノ末端が保護されたAsp残基を提供する工程と、Trp−Proジペプチドに、当該ジペプチドのTrp残基を介して前記Asp残基を結合させる工程と、
アミノ末端保護基を前記Asp残基から除去する工程であって、以下の化学式の4−6エプチフィバチド断片を形成させるものであり、
【化42】

式中、
Aspはアスパルチルであり、
Trpはトリプトファニルであり、
Proはプロリルであり、
はカルボキシル保護基である、前記除去する工程と、
前記4−6エプチフィバチド断片と以下の化学式の2−3エプチフィバチドとを結合させる工程であって、
【化43】

式中、
Harはホモアルギニルであり、
Glyはグリシルであり、
はアミノ保護基であり、
当該結合させる工程は、前記2−3エプチフィバチド断片のGly残基を前記4−6エプチフィバチド断片のAsp残基に結合させて以下の化学式の2−6エプチフィバチド断片を形成させるものであり、
【化44】

式中、
Har、Gly、Asp、Trp、Pro及びPは、前記2−3及び4−6エプチフィバチド断片のものと同一である、前記結合させる工程と、
前記2−6エプチフィバチド断片のPro残基を介して、活性化システインアミド残基を結合させる工程であって、以下の化学式の2−7エプチフィバチド断片を形成させるものであり、
【化45】

式中、
Har、Gly、Asp、Trp、Pro及びPは、前記2−6エプチフィバチド断片のものと同一であり、及び、ACys−NHは活性化システインアミド残基である、前記結合させる工程と、
Mpa残基を前記2−7エプチフィバチド断片に結合させる工程であって、
Mpaはメルカトプロピオン酸であり、前記Mpa残基と前記2−7エプチフィバチドのACys−NH残基との間におけるジスルフィド結合を介して化学式Iの化合物を形成させるものであり、
【化46】

式中、Har、Gly、Asp、Trp、Pro、Cys−NH、Mpa及びPは前記2−7エプチフィバチド断片のものと同一である、前記結合させる工程と、
化学式Iの前記Har残基からPを除去する工程と、
これにより化学式IIの化合物を形成する工程と、
【化47】

化学式IIIの化合物を形成するために前記Har及びMpa残基を結合させる工程と
【化48】

を有する方法によって形成される、生成物。
【請求項7】
保護されたカルボキシル側鎖を有する、アミノ末端が保護されたAsp残基を提供する工程であって、
Aspはアスパルチルである、前記提供する工程と、
保護されたカルボキシル側鎖を有する前記Asp残基を、Trp−Proジペプチドに、当該ジペプチドのTrp残基を介して結合させる工程であって、
Trpはトリプトファニル、
Proはプロリルである、前記結合させる工程と、
以下の化学式の4−6エプチフィバチドを形成するために前記Asp残基からアミノ末端保護基を除去する工程であって、
【化49】

式中、
Aspはアスパルチルであり、
Trpはトリプトファニルであり、
Proはプロリルであり、
はカルボキシル保護基である、前記除去する工程と、
以下の化学式の2−3エプチフィバチド断片と前記4−6エプチフィバチド断片とを結合させる工程であって、
【化50】

式中、
Harはホモアルギニルであり、
Glyはグリシルであり、
はアミノ保護基であり、
以下の化学式の前記2−3エプチフィバチド断片は、
【化51】

2−3エプチフィバチド断片を形成させるための、アミノ末端が保護されたHar残基と、保護されているか又は保護されていないGly残基との結合から形成されるものであり、
その後、前記2−3エプチフィバチド断片は前記4−6エプチフィバチド断片に結合されるものであり、当該結合させる工程は、前記2−3エプチフィバチド断片のGly残基を、前記4−6エプチフィバチド断片のAsp残基に結合させて、以下の化学式の2−6エプチフィバチド断片を形成させるものであり、
【化52】

式中、
Har、Gly、Asp、Trp、Pro及びPは前記2−3及び4−6エプチフィバチド断片のものと同一である、前記結合させる工程と、
前記2−6エプチフィバチド断片のPro残基を介して、活性化システインアミド残基を結合させる工程であって、以下の化学式の2−7エプチフィバチド断片を形成させるものであり、
【化53】

式中、
Har、Gly、Asp、Trp、Pro及びPは前記2−6エプチフィバチド断片のものと同一であり、及び、ACys−NHは活性システインアミドである、前記結合させる工程と、
Mpa残基を前記2−7エプチフィバチド断片に結合させる工程であって、
Mpaはメルカトプロピオン酸であり、前記Mpa残基と前記2−7エプチフィバチドのACys−NH残基との間のジスルフィド結合を介して化学式Iの化合物を形成させるものであり、
【化54】

式中、Har、Gly、Asp、Trp、Pro、Cys−NH、Mpa及びPは前記2−7エプチフィバチド断片のものと同一である、前記結合させる工程と、
化学式Iの前記Har残基からPを除去する工程と、
これにより化学式IIの化合物を形成する工程と、
【化55】

化学式IIIの化合物を形成するために前記Har及びMpa残基を結合させる工程と
【化56】

を有する方法によって形成される、生成物。

【公開番号】特開2012−111756(P2012−111756A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−266478(P2011−266478)
【出願日】平成23年12月6日(2011.12.6)
【分割の表示】特願2007−507520(P2007−507520)の分割
【原出願日】平成17年4月8日(2005.4.8)
【出願人】(399052800)ミレニアム ファーマシューティカルズ インク. (4)
【Fターム(参考)】