説明

エポキシ−ポリシロキサンポリマー組成物

【課題】改良された耐薬品性などを有するエポキシベースのコーティング組成物を提供する。
【解決手段】水、式、


(各R1はOH基並びに6個以下の炭素原子を有するアルキル、各R2は水素並びに6個以下の炭素原子を有するアルキル、nはポリシロキサンの分子量が約40〜10,000の範囲)を有するポリシロキサン、二官能性アミノシラン硬化剤成分、1分子当たりに1個以上の1,2−エポキシド基を有し、エポキシ当量が100〜約5,000の範囲であり、非芳香族エポキシ樹脂、を組み合わせることにより製造されたエポキシ−ポリシロキサンポリマー組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は保護コーティング等のために有用なエポキシ樹脂ベースの組成物に関し、より詳細には、改良された可撓性、耐候性、圧縮強さおよび耐薬品性を有するエポキシ−ポリシロキサンポリマー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
エポキシコーティング材料はよく知られており、そして、保全、海洋、建設、建築、航空および製品仕上市場におけるスチール、アルミニウム、亜鉛メッキ、木およびコンクリートのための保護および装飾コーティングとして商業的に受け入れられている。これらのコーティングを製造するために用いる基礎原料は、一般に、必須成分として、(a)エポキシ樹脂、(b)硬化剤および(c)顔料もしくは骨材成分を含む。
【0003】
既知のエポキシベースのコーティング材料は、しばしば、エポキシ樹脂、硬化剤および顔料/骨材に加えて、幾つかの成分、例えば、非反応性および反応性希釈剤、例えば、モノ−およびジエポキシド、可塑剤、ビチューメンおよびアスファルトエキステンダー、接着促進剤、懸濁剤およびチキソトロピー剤、界面活性剤、腐蝕抑制剤、紫外線光安定剤、触媒およびレオロジー調節剤を含む。樹脂および硬化剤成分の両方とも、組成物の粘度を下げるために用いられる揮発性有機溶剤を含み、それにより、従来の空気式、エアレスおよび静電スプレー装置を用いたスプレー用途に適するコンシステンシーを提供することができる。
【0004】
エポキシベースの保護コーティングはコーティング材料として望ましいものとする多くの特性を有する。この保護コーティングは容易に入手可能であり、そしてスプレイング、ローリングおよびブラッシングを含む種々の方法により容易に適用される。この保護コーティングはスチール、コンクリートおよび他の基材に良好に接着し、低い湿分透過速度を有しそして水、塩化物および硫酸塩イオンの進入に対するバリアとして作用し、種々の大気暴露条件下で優れた腐蝕保護性を与え、そして多くの薬品および溶剤に対する良好な耐性を有する。
【0005】
エポキシベースのコーティング材料は、一般に、太陽光の下での風化に対する良好な耐性を有しない。このようなコーティングは耐薬品性および耐腐蝕性を維持する一方、太陽光の紫外線光成分の暴露は初期コーティングの光沢および色の両方を変化させるチョーキングとして知られる表面崩壊現象をもたらす。色および光沢の保持が望まれまたは要求されるときに、エポキシベースの保護コーティングは、通常、より耐候性のコーティング、例えば、アルキッド、ビニルもしくは脂肪族ポリウレタンコーティングによりトップコートされる。最終的な結果として、2層または時々3層コート系となり、それは耐腐蝕性および耐候性を付与するが、労働集約的でもあり、そして適用するのに費用がかさむ。
【0006】
このように、エポキシベースのコーティング材料は広く商業的に受け入れられているが、それでも、エポキシベースの材料には、改良された色および光沢保持性、より良好な耐薬品性および耐腐蝕性、並びに機械的酷使に対する改良された耐性の要求が残っている。新たなエポキシコーティング材料は新たな政府の規制および健康上の危険に対する規制に適合することが必要である。改良された色および光沢保持性を有するエポキシコーティング材料は、太陽光にさらされるところならどこでも要求される。チョーキングを起こさず、耐候性トップコートを要求しないエポキシコーティング材料は望ましい。改良された耐薬品性、耐腐蝕性、耐衝撃性および耐摩耗性を有するコーティング材料は化学、パワージェネレーション、レールカー、下水および排水処理、並びに、紙およびパルプ加工産業におけるスチールおよびコンクリートを保護するための一次および二次薬品包囲構造(primary and secondary chemical containment structures)の両方のために要求される。
【0007】
これまで、改良された耐候性を有するエポキシコーティングはアクリル樹脂により変性させること、または生来的に耐候性であるエポキシ樹脂を硬化させること、例えば、ソルビトールグリシジルエーテル、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの水素化反応生成物、および、より最近には、ポリアミド、脂環式アミンもしくはカルボキシル官能性アクリルもしくはポリエステル樹脂を含む、Monsantoのエポキシ官能性コエーテル化メラミン樹脂を硬化させることにより得られていた。別のアプローチはエポキシ化ポリエステル樹脂を、特定のカルボキシル官能性ビヒクルと組み合わせて用いることである。これらのコーティングは改良された耐久性を示すが、耐薬品性および耐腐蝕性は、一般に、上記に記載されたエポキシ樹脂ベースのコーティングよりも劣っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それ故、本発明の目的は改良された耐薬品性、耐腐蝕性および耐候性を有するエポキシベースのコーティング組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によって以下が提供される:
1.水、
下記式、
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、各R1はヒドロキシ基並びに6個以下の炭素原子を有するアルキル、アリールおよびアルコキシ基からなる群より選ばれ、各R2は水素並びに6個以下の炭素原子を有するアルキルおよびアリール基からなる群より選ばれ、nはポリシロキサンの分子量が約40〜10,000の範囲になるように選択される)
を有するポリシロキサン、
前記ポリシロキサンとシラン基を介して縮合する二官能性アミノシラン硬化剤成分、
1分子当たりに1個より多くの1,2−エポキシド基を有し、エポキシ当量が100〜約5,000の範囲であり、ポリシロキサン中のアミン基と反応することにより連鎖延長が起こり、完全に硬化した非相互進入ポリマーネットワークのエポキシ−ポリシロキサンポリマーを形成させる、非芳香族エポキシ樹脂、
を組み合わせることにより製造されたエポキシ−ポリシロキサンポリマー組成物。
2.非芳香族エポキシド樹脂は水素化シクロヘキサンジメタノールおよび水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルのエポキシド樹脂からなる脂環式エポキシド樹脂の群より選ばれたものである、項目1記載の組成物。
3.前記二官能性アミノシランは下記一般式
Y−Si−(O−X)3
(式中、YはH(HNR)aであり、aは1であり、Rはアリール、アルキル、ジアルキルアリール、アルコキシアリールおよびシクロアルキル基からなる群より独立に選ばれた二官能性有機基であり、そしてXは約6個未満の炭素原子を含むアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキルまたはヒドロキシアルコキシアルキル基に限定される)
を有する、項目1記載の組成物。
4.周囲温度における硬化を促進するための少なくとも1種の金属触媒をさらに含み、この触媒は、各々オクトエート、ネオデカネートまたはナフタネートの形態の亜鉛、マンガン、ジルコニウム、チタン、コバルト、鉄、鉛および錫からなる群より選ばれたものである、項目1記載の組成物。
5.レオロジー調節剤、可塑剤、消泡剤、チクソトロピー剤、顔料湿潤化剤、ビチューメンおよびアスファルトエキステンダー、抗沈降剤、希釈剤、UV光安定剤、空気開放剤、分散助剤およびそれらの混合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の追加の成分を含む、項目1記載の組成物。
6.有機および無機着色顔料からなる群より選ばれた、微細粒径を有する顔料または骨材材料をさらに含み、この顔料の少なくとも90重量%は325メッシュU.S.シーブサイズより大きい、項目1記載の組成物。
7.組成物の合計重量を基準として、約10〜60重量%のエポキシ樹脂、15〜60重量%のポリシロキサン、および、5〜40重量%のアミノシラン硬化剤を含む、項目1記載の組成物。
8.約400〜10,000の範囲の分子量を有するアルコキシおよびシラノール官能性ポリシロキサンからなる群より選ばれたポリシロキサン、
前記ポリシロキサンとシラン基を介して縮合する二官能性アミノシラン硬化剤成分であって、下記一般式、
Y−Si−(O−X)3
(式中、YはH(HNR)aであり、aは1であり、Rはアリール、アルキル、ジアルキルアリール、アルコキシアリールおよびシクロアルキル基からなる群より独立に選ばれた二官能性有機基であり、そしてXは約6個未満の炭素原子を含むアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキルまたはヒドロキシアルコキシアルキル基に限定される)
を有する、硬化剤成分、
ポリシロキサン中のアミン基との反応により連鎖延長を起こし、完全に硬化したエポキシ−ポリシロキサンポリマーを形成させる、非芳香族エポキシ樹脂、
オルガノ錫触媒、および、
周囲温度で完全に硬化したポリマー組成物を形成するための加水分解および重縮合を促進するために十分な量の水、
を組み合わせることにより製造された、エポキシ−ポリシロキサンポリマー組成物。
9.組成物の合計重量を基準として約10〜60重量%のエポキシ樹脂を含み、このエポキシ樹脂は1分子当たりに1個より多くの1,2−エポキシド基を含み、そして100〜5,000の範囲のエポキシド当量を有する、項目8記載の組成物。
10.水素化シクロヘキサンジメタノールおよび水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルのエポキシド樹脂からなる脂環式エポキシ樹脂の群より選ばれた脂環式エポキシ樹脂からなる群より選ばれたものである、項目9記載の組成物。
11.組成物の合計重量を基準として15〜60重量%のポリシロキサンを含み、このポリシロキサンは、下記式
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、各R1はヒドロキシ基並びに6個以下の炭素原子を有するアルキル、アリールおよびアルコキシ基からなる群より選ばれ、各R2は水素並びに6個以下の炭素原子を有するアルキルおよびアリール基からなる群より選ばれ、nはポリシロキサンの分子量が約400を越えるように選択される)
を有するものである、項目8記載の組成物。
12.組成物の合計重量を基準として約10重量%以下の添加剤をさらに含み、この添加剤は流れ調節剤、レオロジー調節剤、可塑剤、消泡剤、チクソトロピー剤、顔料湿潤化剤、ビチューメンおよびアスファルトエキステンダー、抗沈降剤、希釈剤、UV光安定剤、空気開放剤および分散助剤からなる群より選ばれたものである、項目8記載の組成物。
13.微細粒径の顔料または骨材材料をさらに含み、この顔料または骨材材料は有機および無機着色顔料からなる群より選ばれ、この骨材材料は骨材材料の合計重量を基準として少なくとも90重量%が325より大きいU.S.メッシュサイズである、項目8記載の組成物。
14.水、
下記式
【0014】
【化3】

【0015】
を有するポリシロキサン、
(式中、各R1はヒドロキシ基並びに6個以下の炭素原子を有するアルキル、アリールおよびアルコキシ基からなる群より選ばれ、各R2は水素並びに6個以下の炭素原子を有するアルキルおよびアリール基からなる群より選ばれ、nはポリシロキサンの分子量が約400〜10,000の範囲になるように選択される)、
前記ポリシロキサンとシラン基を介して縮合し、下記一般式
Y−Si−(O−X)3
(式中、YはH(HNR)aであり、aは1であり、Rはアリール、アルキル、ジアルキルアリール、アルコキシアルキルおよびシクロアルキル基からなる群より独立に選ばれた二官能性有機基であり、そしてXは約6個未満の炭素原子を含むアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキルまたはヒドロキシアルコキシアルキル基に限定される)
を有する、二官能性アミノシラン硬化剤成分、および、
1分子当たりに1個より多くの1,2−エポキシド基を有し、100〜約5,000の範囲のエポキシド当量を有し、ポリシロキサン中のアミン基との反応により連鎖延長を起こし、完全に硬化した非相互進入ポリマーネットワークエポキシ−ポリシロキサンポリマーを形成させる、非芳香族エポキシ樹脂、
を混合することにより製造された非相互進入ポリマーネットワークエポキシ−ポリシロキサンポリマー組成物。
15.非芳香族エポキシ樹脂と、
400〜10,000の範囲の分子量を有するアルコキシおよびシラノール官能性ポリシロキサンからなる群より選ばれたポリシロキサンと、
水と
を混合することにより樹脂成分を形成させること、
この樹脂成分に、
2つの活性水素を有するアミノシランであって、そのシラン基を介して前記ポリシロキサンと縮合し、それにより、非芳香族エポキシド樹脂がポリシロキサン中のアミノ基との反応により連鎖延長を起こし、完全に硬化したエポキシ−ポリシロキサンポリマーを形成させる、アミノシラン、および、
オルガノ錫触媒
を添加することにより、周囲温度において樹脂成分を硬化させること、
の工程を含む、完全に硬化した熱硬化性エポキシ−ポリシロキサンポリマー組成物の製造法。
16.樹脂成分を形成させる工程の間に、顔料、骨材、流れ調節剤、レオロジー調節剤、可塑剤、消泡剤、チクソトロピー剤、顔料湿潤化剤、ビチューメンおよびアスファルトエキステンダー、抗沈降剤、希釈剤、UV光安定剤、空気開放剤および分散助剤からなる群より選ばれた1種以上の成分が添加される、項目15記載の方法。
17.下記式、
【0016】
【化4】

【0017】
(式中、各R1はヒドロキシ基並びに6個以下の炭素原子を有するアルキル、アリールおよびアルコキシ基からなる群より選ばれ、各R2は水素並びに6個以下の炭素原子を有するアルキルおよびアリール基からなる群より選ばれ、nはポリシロキサンの分子量が約400〜10,000の範囲となるように選択される)
を有するポリシロキサンと、
1個より多くの1,2−エポキシド基を有し、100〜約5,000のエポキシド当量を有する、非芳香族エポキシ樹脂と、
水と
を混合することにより樹脂成分を形成させること、
この樹脂成分に、
オルガノ錫触媒、および、
2つの活性水素を有するアミノシランであって、そのシラン基を介して前記ポリシロキサンと縮合し、それにより、エポキシ樹脂がポリシロキサン中のアミノ基との反応により連鎖延長を起こし、完全に硬化したエポキシ−ポリシロキサンポリマーを形成させる、アミノシラン
を添加することにより、周囲温度で樹脂成分を硬化させること、
の工程を含む、完全に硬化したエポキシ−ポリシロキサンポリマー組成物の製造法。
【0018】
発明の要約
次の成分を組み合わせることにより、本発明の原理によりエポキシ−ポリシロキサン組成物は製造される。
【0019】
(a)少なくとも2個の1,2−エポキシド基を有する非芳香族エポキシ樹脂とポリシロキサンとのブレンドをベースとする樹脂成分、
(b)アミノシランにより完全にまたは部分的に置換されていてよい二官能性アミン硬化剤成分、
(c)所望により、触媒、
(d)顔料または骨材成分、および、
(e)水。
【0020】
エポキシ−ポリシロキサン組成物は約10〜60重量%の非芳香族エポキシ樹脂成分、15〜60重量%のポリシロキサン、5〜40重量%のアミン硬化剤および約15重量%以下の触媒を用いることにより製造される。
【0021】
上記の成分は連続相のエポキシ−ポリシロキサンコポリマーを含む非相互進入ネットワーク組成物を形成するように反応する。本発明のエポキシ−ポリシロキサン組成物は、従来のエポキシ樹脂ベースのコーティングと比較したときに、改良された紫外線光に対する耐性および太陽光の下での耐候性、並びに、改良された耐薬品性および耐腐蝕性を示す。さらに、本発明のエポキシ−ポリシロキサン組成物は脂肪族ポリウレタンにより示される程度に近い色および光沢保持性を示し、そして用途によってはトップコーティングの必要性をなくすことができる。
【0022】
詳細な説明
エポキシ−ポリシロキサン組成物は、水の存在下に下記成分を組み合わせることにより、本発明の原理により製造される。
【0023】
(a)非芳香族エポキシド樹脂およびポリシロキサンを含む樹脂成分、
(b)硬化剤成分、
(c)所望により、オルガノ錫触媒、および、
(d)所望により、顔料および/または骨材成分。
【0024】
本発明のエポキシ−ポリシロキサン組成物は、使用者によって追求される所望の特性を達成するために、レオロジー調節剤、可塑剤、チクソトロピー剤、消泡剤および溶剤等のような他の成分を含んでよい。
【0025】
樹脂成分は、エポキシド樹脂およびポリシロキサンのブレンドを含む。エポキシ−ポリシロキサン組成物を形成するために有用なエポキシ樹脂は1分子当たりに1個より多くの1,2−エポキシド基を含む、非芳香族水素化エポキシ樹脂である。好ましい非芳香族エポキシ樹脂は1分子当たりに2個の1,2−エポキシド基を含む。エポキシ樹脂は好ましくは固体形態でなく液体形態であり、約100〜5,000の範囲のエポキシド当量を有し、そして約2の反応性を有する。
【0026】
好ましいエポキシ樹脂は非芳香族水素化シクロヘキサンジメタノールおよび水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルのタイプのエポキシド樹脂、例えば、Shell Chemical,Houston,TexasのEpon DPL-862、Eponex 1510、Heloxy 107およびEponex 1513(水素化ビスフェノールA−エピクロロヒドリンエポキシ樹脂)、Monsanto,Springfield,MassachusettsのSantolink LSE-120、Pacific Anchor,Allentown,PennsylvaniaのEpodil 757(シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル)、Ciba Geigy,Hawthorne,New YorkのAraldite XUGY358およびPY327、Rhone-Poulenc,Lousiville,KentuckyのEpirez 505、Reichold Chemicals,Pensacola,FloridaのAroflint 393および607、および、Union Carbide,Tarrytown,New YorkのERL4221を含む。他の適切な非芳香族エポキシ樹脂は、各々Shell ChemicalのDER 732およびDER 736、Heloxy 67、68、107、48、84、505および71、Arco Chemical,Newtown Square,PennsylvaniaのPolyBD-605、CVC Specialty Chemicals,Cherry Hill,New JerseyのErisys GE-60、および、Reichold ChemicalのFineclad A241を含む。
【0027】
このような非芳香族水素化エポキシド樹脂は約2という限定的な反応性のために望ましく、それは直鎖のエポキシポリマーの生成を促進し、そして架橋したエポキシポリマーの生成を抑制する。このエポキシド樹脂に硬化剤を添加することにより形成される得られる線状のエポキシポリマーは本組成物の改良された耐候性の原因を担う。耐候性保護コーティングを形成するためのこのような非芳香族エポキシド樹脂の使用は、エポキシド樹脂の反応性が限定されており、それ故、保護コーティングを形成するために樹脂が硬化しえないと考えられていたために、以前には探究されていなかった。
【0028】
好ましいエポキシ−ポリシロキサン組成物は10〜60重量%のエポキシ樹脂を含む。もし組成物が約10重量%未満のエポキシ樹脂を含むならば、コーティングの耐薬品性は妥協されるであろう。
【0029】
もし組成物が約60重量%を超えるエポキシ樹脂を含むならば、コーティングの耐候性は妥協されるであろう。特に好ましい組成物は約25重量%の非芳香族エポキシ樹脂を含む。
【0030】
樹脂成分を構成するために用いられるポリシロキサンに関して、好ましいポリシロキサンは、制限するわけではないが、下記式を有するものを含む。
【0031】
【化5】

【0032】
式中、各R1はヒドロキシ基、並びに、6個以下の炭素原子を有するアルキル、アリールおよびアルコキシ基からなる群より選ばる。各R2は水素並びに6個以下の炭素原子を有するアルキルおよびアリール基からなる群より選ばれる。R1およびR2はポリシロキサンの急速な加水分解を促進するように6個未満の炭素原子を有する基を含むことが好ましく、この反応は加水分解のアルコール類似体生成物の揮発性により進行される。6個より多くの炭素原子を有するR1およびR2基は、各アルコール類似体が比較的に低い揮発性であるために、ポリシロキサンの加水分解を減損させる傾向がある。
【0033】
ポリシロキサン成分が約400〜約10,000の範囲の分子量を有するようにnが選択されることが好ましい。約400未満の分子量を有するポリシロキサン成分は脆い組成物を生じさせることがある。約10,000より大きな分子量を有するポリシロキサン成分は20℃において約3,000〜15,000センチポアズという望ましい範囲の外にある粘度を有する組成物を生じさせることがあり、現状の揮発性有機物含分(VOC)要求値を超える量の溶剤を添加することなしには適用のために粘性すぎる組成物となる。
【0034】
好ましいポリシロキサン成分はアルコキシ−およびシラノール官能性ポリシロキサンである。特に好ましいアルコキシ官能性ポリシロキサンはマドハウス官能性(madhouse-functional)ポリシロキサンであり、制限するわけではないが、Dow CorningのDC-3074およびDC-3037、Wacker,Adrian,MichiganのGE SR191、SY-550およびSY-231を含む。好ましいシラノール官能性ポリシロキサンは、制限するわけではないが、Dow CorningのDC840、Z6018、Q1-2530および6-2230中間体である。
【0035】
好ましいエポキシ−ポリシロキサン組成物は15〜60重量%のポリシロキサンを含む。この範囲外の量のポリシロキサンを使用すると、劣った耐候性および耐薬品性を有する組成物が生じることがある。特に好ましいエポキシ−ポリシロキサン組成物は約30重量%のポリシロキサンを含む。
【0036】
硬化剤成分は一般的なクラスの脂肪族アミン、脂肪族アミンアダクト、ポリアミドアミン、脂環式アミンおよび脂環式アミンアダクト、芳香族アミン、マンニッヒ塩基およびケチミンからなる群より選ばれたアミンを含む。好ましい硬化剤成分は、二官能性アミン、即ち、2つの活性水素を有するアミンを含み、このアミンは下記一般式を有するアミノシランにより完全にまたは部分的に置換されていてよい。
【0037】
Y−Si−(O−X)3
(式中、YはH(HNR)aであり、aは1であり、各Rはアリール、アルキル、ジアルキルアリール、アルコキシアリールおよびシクロアルキル基からなる群より独立に選ばれた二官能性有機基であり、Rは各Y分子内で異なることができる)。各Xは同一であってもまたは異なっていてもよく、約6個未満の炭素原子を有するアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキルおよびヒドロキシアルコキシアルキル基に限定される。エポキシ1当量当たり少なくとも0.7当量のアミンまたは0.2モルのアミノシランは硬化剤成分中に存在することができる。
【0038】
好ましいアミノシランは、制限するわけではないが、アミノエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、n−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルジエチレントリアミン、3−(3−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノメチルフェニルトリメトキシシラン、2アミノエチル3アミノプロピルトリス2エチルヘキソキシシラン、n−アミノヘキシルアミノプロピルトリメトキシシランおよびトリスアミノプロピルトリスメトキシエトキシシランを含む。
【0039】
本発明に有用な幾つかのアミノシランの製造業者および商品名を表Iに示す。
【0040】
【表1】

【0041】
好ましいアミノシランは二官能性シランであり、アミノプロピルトリメトキシシランおよびアミノプロピルトリエトキシシランを含む。特に好ましいアミノシランはUnion Carbide A1100である。二官能性アミノシランは望ましい。というのは、2の反応性を有する、即ち、2つのみのアミン水素を有するアミノシランの組み合わせが、2の反応性を有する非芳香族エポキシと反応して、改良された耐候性を示す、線状の架橋されていないエポキシポリマーを形成することが判っているからである。
【0042】
このような好ましいアミンおよびアミノシランは、基材コーティングとして適用されたときに、色および光沢保持性の両方の点で優れた耐候性を示すエポキシ−ポリシロキサン組成物を生じさせる。好ましいエポキシ−ポリシロキサン組成物は5〜40重量%のアミンおよび/またはアミノシランを含む。この範囲外の量のアミンおよび/またはアミノシラン成分は劣った耐候性および耐薬品性を有する組成物を生じさせることがある。特に好ましいエポキシ−ポリシロキサン組成物は約15重量%のアミンおよび/またはアミノシランを含む。従って、本発明の実施による好ましいコーティング組成物は2:1の重量比のポリシロキサン:アミンおよび/またはアミノシランを含むことができる。
【0043】
本発明のエポキシ−ポリシロキサン組成物を製造するときに、硬化剤成分:樹脂成分の割合は、硬化剤が一般的なクラスのアミン、または上記一般式のアミノシランまたはそれらのいずれかの組み合わせから選ばれたかに関係なく、広い範囲で変化することができる。一般に、エポキシ樹脂成分は1エポキシド当量当たりに少なくとも約0.7〜約1.2アミン当量、または、1エポキシド当量当たりに少なくとも約0.2モルのアミノシランを提供するために十分な量の硬化剤とともに硬化される。もし、添加される硬化剤の量が1エポキシド当量当たりに0.7アミン当量未満の量を提供するならば、生じるコーティングおよびフロアリング組成物は遅い硬化時間を示し、そして劣った耐候性および耐薬品性を有するであろう。もし、添加される硬化剤の量が1エポキシド当量当たりに1.2アミン当量を越える量を提供するならば、生じるコーティングおよびフロアリング組成物は表面のブラッシングまたはべとつきを示すであろう。
【0044】
本発明のエポキシ−ポリシロキサン組成物は従来の空気式、エアレス、エア支援エアレスおよび静電スプレー装置、ブラシまたはローラーを用いた適用のために配合される。組成物は、25マイクロメートル〜約2ミリメートルの乾燥膜厚さでのスチール、亜鉛メッキ、アルミニウム、コンクリートおよび他の表面のための保護コーティングとして使用されることが意図される。従って、組成物を形成するために有用な顔料または骨材は微細粒径の材料、好ましくは少なくとも90重量%が325メッシュU.S.シーブサイズを超えるものから選択される。
【0045】
適切な顔料は、二酸化チタン、カーボンブラック、ランプブラック、酸化亜鉛、天然および合成の赤、黄色、褐色および黒の酸化鉄、トルイジンおよびベンジジンイエロー、フタロシアニンブルーおよびグリーンおよびカルバゾールバイオレットを含む有機および無機の着色顔料、並びに、粉砕および結晶シリカ、硫酸バリウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、マイカ、雲母状酸化鉄(micaceousiron oxide)、炭酸カルシウム、亜鉛粉末、アルミニウムおよび珪酸アルミニウム、石膏、長石等を含むエキステンダー顔料から選ばれてよい。組成物を形成するために用いる顔料の量は特定の組成物の用途により変化することが理解され、そして透明な組成物が望まれるときには0であることができる。好ましいエポキシ−ポリシロキサン組成物は約50重量%までの微細粒径の顔料および/または骨材を含むことができる。50重量%を超える量の微細粒径の顔料および/または骨材成分を用いると、適用のために粘性すぎる組成物を生じることがある。
【0046】
特定の最終用途により、好ましいコーティング組成物は約20重量%の微細粒径の骨材および/または顔料を含むことができる。
【0047】
顔料および/または骨材成分は、通常、樹脂成分のエポキシ樹脂部分に添加され、そして少なくとも3ヘグマン(Hgman)の粉砕微細度にコウレス(Cowles)ミキサーを用いて分散されるか、または、同微細度までボールミルまたはサンドミルに掛けられ、その後にポリシロキサン成分に添加される。微細粒径の顔料および/または骨材を選択し、そして約3ヘグマンまで分散させ、またはミリングすることにより、従来の空気式、空気支援エアレス、エアレスおよび静電スプレー装置を用いて、混合した樹脂を微細化させそして硬化させることができ、滑らかな均質の表面外観を適用後に提供する。
【0048】
水は本発明の重要な成分であり、ポリシロキサンの加水分解および次のシラノールの縮合の両方を起こさせるために十分な量で存在すべきである。水の源は主に大気湿分および顔料または骨材材料上に吸収された湿分である。湿分のない環境下でのコーティングおよびフロアリング組成物の使用のように周囲条件によっては、硬化を促進するために更なる水を添加してもよい。好ましいエポキシ−ポリシロキサン組成物は加水分解を促進するための水を理論量以下で含む。水を添加することなく製造した組成物は加水分解および縮合反応に要求される量の湿分を含んでいないことがあり、それ故、不十分な程度の耐紫外線性、耐腐蝕性および耐薬品性を有する組成物製品を生じることがある。約2重量%を越える水を用いて製造した組成物は加水分解しそして重合して、適用前に所望しないゲルを形成する傾向がある。特に好ましいエポキシ−ポリシロキサン組成物は約1重量%の水を用いて製造される。
【0049】
所望ならば、水はエポキシド樹脂またはポリアミン硬化剤のいずれかに添加されてよい。水の他の源はエポキシド樹脂、ポリアミン硬化剤、希釈用溶剤または他の成分中に存在する微量の水分を含む。水は、米国特許第4,250,074号明細書に記載されているように、ケチミンもしくはアルコール/溶剤/水混合物を用いることにより混入されることもでき、この米国特許明細書を参照により取り入れる。
【0050】
水の源に関係なく、使用される水の合計量は加水分解反応を促進するために必要な理論量であるべきである。理論量を越える量の水は、過剰の水が最終の硬化した組成物製品の表面光沢を減じるように作用するので望ましくない。
【0051】
約5重量%以下の触媒は、本発明の変性エポキシコーティングおよびフロアリング材料の乾燥および硬化を促進するために、樹脂成分に添加されてよく、または、完全に別個の成分として添加されてよい。有用な触媒は塗料産業においてよく知られているメタルドライヤー、例えば、亜鉛、マンガン、ジルコニウム、チタン、コバルト、鉄、鉛および錫の、各々、オクトエート、ネオデカネートおよびナフタネートの形態のものを含む。適切な触媒は下記一般式を有するオルガノ錫触媒を含む。
【0052】
【化6】

【0053】
(式中、R5およびR6は各々、11個以下の炭素原子を有するアルキル、アリールおよびアルコキシ基からなる群より選ばれ、R7およびR8は各々R5およびR6と同一の基から選ばれるか、または、ハロゲン、硫黄または酸素のような無機原子からなる群より選ばれる)。ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、オルガノチタネート、酢酸ナトリウム、および、プロピルアミン、エチルアミノエタノール、トリエタノールアミン、トリエチルアミンおよびメチルジエタノールアミンを含む脂肪族第二級もしくは第三級ポリアミンは、ポリシロキサンおよびシランの加水分解重縮合を促進するために単独でまたは混合物として使用されてよい。好ましい触媒はジブチル錫ジラウレートである。
【0054】
本発明のエポキシ−ポリシロキサン組成物は、一般に、低い粘度を有し、そして溶剤の添加なしにスプレー適用されうる。しかしながら、静電スプレー装置を用いた微細化および適用性を改良するために、または、ブラシ、ローラーもしくは標準的な空気式およびエアレススプレー装置により適用されるときに流動性およびレベリング性および外観を改良するために、有機溶剤を添加してもよい。この目的に有用な例示の溶剤はエステル、エーテル、アルコール、ケトン、グリコール等を含む。本発明の組成物に添加される溶剤の最大量は組成物1リットル当たり約420gの溶剤までというクリーンエア条項下の政府規制により制限される。
【0055】
本発明のエポキシ−ポリシロキサン組成物はレオロジー調節剤、可塑剤、消泡剤、チクソトロピー剤、顔料湿潤化剤、ビチューメンおよびアスファルトエキステンダー、抗沈降剤、希釈剤、UV光安定剤、空気開放剤および分散助剤をも含んでよい。好ましいエポキシ−ポリシロキサン組成物は約10重量%以下の量でこのような調節剤および添加剤を含んでよい。
【0056】
本発明のエポキシ−ポリシロキサン組成物は防湿容器内の2−パッケージ系として供給される。1つのパッケージはエポキシ樹脂、ポリシロキサン、顔料および/または骨材成分、所望ならば、添加剤および溶剤を含む。第二のパッケージはポリアミンおよび/またはアミノシラン、および、所望により、触媒または促進剤を含む。
【0057】
本発明のエポキシ−ポリシロキサン組成物は約−6℃〜50℃の範囲の周囲温度条件で適用され、そして完全に硬化することができる。−18℃未満の温度では、硬化は極端に抑制される。しかしながら、本発明の組成物は150℃〜200℃以下のベーキングもしくは硬化温度で適用されてよい。
【0058】
特定の理論に束縛されるつもりはないが、本発明のエポキシ−ポリシロキサン組成物は(1)エポキシ樹脂とアミンおよび/またはアミノシラン硬化剤との反応によりエポキシポリマー鎖を形成すること、(2)ポリシロキサン成分の加水分解重縮合によりアルコールおよびポリシロキサンポリマーを生じること、および、(3)エポキシポリマー鎖とポリシロキサンポリマーとの共重合により、完全に硬化したエポキシ−ポリシロキサンポリマー組成物を形成すること、により硬化されるものと信じられる。アミノシランが硬化剤を構成するために用いられるときには、アミノシランのアミン部分はエポキシ−アミン付加反応を起こし、そしてアミノシランのシラン部分はポリシロキサンの加水分解重縮合を起こす。
【0059】
硬化した状態で、エポキシ−ポリシロキサン組成物は連続のポリシロキサンポリマー鎖により架橋された線状のエポキシ鎖フラグメントの均質に分散されたものとして存在し、それにより、従来のエポキシ系よりも実質的に有利である非相互進入ポリマーネットワーク(IPN)化学構造を形成する。
【0060】
成分どうしが混合されたときに、アミノシラン成分のシラン部分はポリシロキサン成分と縮合し、そしてエポキシ樹脂がポリシロキサンからペンダントされているアミノ基との反応により連鎖延長を起こし、完全に硬化されたエポキシ−ポリシロキサンポリマー組成物を形成するものと信じられる。このような反応において、エポキシ樹脂は、ポリシロキサンの有利な特徴を損なうことなく、組成物の架橋密度を追加する架橋促進剤として作用するものと信じられる。
【0061】
別個に、エポキシ樹脂はアミノシランと反応してエポキシポリマー鎖フラグメントを形成し、そしてポリシロキサンとアミノシランは加水分解重縮合を経てポリシロキサンポリマーを形成する。各重合の反応速度論は実質的に異なり、それにより、IPN形成を抑制する。例えば、エポキシ樹脂の重合の時間はポリシロキサンポリマーの重合の時間の約6倍である。非芳香族エポキシ樹脂を重合するために必要な時間が比較的に長いのは、芳香族もしくは不飽和エポキシ樹脂の高い反応性と比較したときに、非芳香族エポキシ樹脂は生来的に非反応性であるためと信じられる。
【0062】
最終的に、本発明のエポキシ−ポリシロキサン組成物の化学的および物理的特性は、エポキシ樹脂、ポリシロキサン、アミンおよび/またはアミノシラン硬化剤並びに顔料または骨材の思慮深い選択により影響される。非芳香族エポキシ樹脂と二官能性アミノシランとを組み合わせることにより製造されたエポキシ−ポリシロキサン組成物はカセイアルカリに対する改良された耐性を示し、耐候性であり、無限再適用性があり、ポリウレタンよりも良好な耐摩耗性を有する。シロキサンポリマーおよびエポキシポリマーは低い耐摩耗性を有することが知られているので、このことは全く予測されなかったことである。本発明のエポキシ−ポリシロキサン組成物は、耐薬品性および耐候性の予期しない、驚くべき改良を示し、さらに、高い引張強さおよび圧縮強さ、並びに、優れた耐衝撃性および耐摩耗性を示す。
【0063】
本発明のこれらおよび他の特徴は次の例を考えたときにより明らかになるであろう。例1〜4に使用される成分の説明のために表2を参照されたい。各例において、使用される成分はグラムでの重量基準で記載された割合で混合される。
【0064】
【表2】


【実施例】
【0065】

例1〜4は組成物の樹脂成分の製造およびコーティング目的に用いる本発明の顔料または骨材材料の配合を記載する。各例において、樹脂および顔料ブレンドを構成するために用いる成分のタイプおよび割合は若干変更されている。各例において製造した各樹脂および顔料ブレンドの一部を種々の硬化剤成分および溶剤と種々の割合で混合し、それを表3に示す。各々の得られたエポキシ−ポリシロキサン組成物を、表3に示すように、硬化時間、耐候性、耐腐蝕性および耐薬品性について試験した。
【0066】
例1
樹脂および顔料ブレンドを、385グラムのEponex 1513(エポキシド樹脂)、5グラムのNuosperse 657(顔料湿潤化剤)、5グラムのBYK 080(消泡剤)、10グラムのDislon 6500(チキソトロピー剤)および338グラムのTioxide RTC 60(二酸化チタン)を混合することにより製造した。これらの成分を1クオートのカンに添加し、そしてエアモータ駆動のコウレス溶解器を用いて5ヘグマン粉砕微細度に分散させた。これに約20分間を要し、その後、432グラムのDC-3074(ポリシロキサン)を添加し、合わせた混合物を、その後、均質になるまで攪拌した。この樹脂ブレンドは70°F(20℃)で約10,000cpのブルックフィールド粘度を有し、315グラム/当量の計算当量を有した。
【0067】
例2
樹脂および顔料ブレンドを、390グラムのEpodil 757(エポキシド樹脂)、5グラムのNuosperise 657(顔料湿潤化剤)、5グラムのBYK 080(消泡剤)、10グラムのDislon 6500(チキソトロピー剤)および338グラムのTioxide RTC 60(二酸化チタン)を混合することにより製造した。これらの成分を1クオートのカンに添加し、そしてエアモータ駆動のコウレス溶解器を用いて5ヘグマン粉砕微細度に分散させた。これに約20分間を要し、その後、432グラムのDC-3074(ポリシロキサン)を添加し、合わせた混合物を、その後、均質になるまで攪拌した。この樹脂ブレンドは70°F(20℃)で約3,800cpのブルックフィールド粘度を有し、265グラム/当量の計算当量を有した。
【0068】
例3
例1の樹脂および顔料ブレンドを製造するために使用されたのと同一の成分および手順を用いたが、385グラムのEponex 1513(エポキシド樹脂)の代わりに356グラムのAroflint 607(エポキシド樹脂)を用いた。この樹脂ブレンドは70°F(20℃)で約6800cpのブルックフィールド粘度を有し、338グラム/当量の計算当量を有した。
【0069】
比較例4
エポキシ樹脂および顔料ブレンドを、711グラムのEpon 828(エポキシド樹脂)、5グラムのNuosperse 657(顔料湿潤化剤)、5グラムのBYK 080(消泡剤)、10グラムのDislon 6500(チキソトロピー剤)および338グラムのTioxide RTC 60(二酸化チタン)を混合することにより製造した。この比較例はポリシロキサン成分を含まなかった。これらの成分を1クオートのカンに添加し、そしてエアモータ駆動のコウレス溶解器を用いて5ヘグマン粉砕微細度未満に分散させた。この混合物を100グラムのキシレンにより希釈して、粘度を下げ、その後、均質になるまで混合した。この樹脂ブレンドは70°F(20℃)で約12,000cpのブルックフィールド粘度を有し、313グラム/当量の計算当量を有した。
【0070】
300グラムの例1の樹脂ブレンドを48グラムのUnion Carbide A-1100(アミノプロピルトリメトキシシラン)および20グラムの酢酸ブチル(有機溶剤)と混合した。この混合物をサンドブラスト処理されたスチール試験パネルに、DeVilbissエアアトマイジングスプレーガンを用いてスプレー塗布した。このコーティングは1時間未満で接触に対して乾燥し、そして約8時間で全体が乾燥した。このコーティング組成物は90の60°初期光沢度を示した。
【0071】
例1、2および3並びに比較例4の樹脂ブレンドを表3に示した硬化剤および溶剤と混合し、同様に試験パネルに塗布した。
【0072】
表3により製造した組成物を、次のASTMおよび工業試験法により硬化時間、耐候性、耐腐蝕性および耐薬品性について試験した。
1.ASTM G53はQUV加速耐候性と時々呼ばれ、太陽光および、雨および露としての水により生じるコーティングの劣化をシミュレートすることを意図した加速試験である。試験パネルを交互の紫外線光および凝縮湿度サイクルにさらす。劣化はコーティングの光沢の損失またはラスティングおよびブリスタリングにより測定される。
2.ASTM B117は規定の条件下に塩スプレー(フォグ)にさらした、コーティングされたパネルの耐腐蝕性を測定する。パネルを周期的に検査し、そしてASTM D1654によりブリスタリングおよびラスティングについて等級化する。等級化試験法は1〜10のスケールを用い、10は変化がないことを示す。
3.Chemical Resistance,Union Carbide Method C117は10種の異なる試薬に対するコーティングの耐性を測定する。1ミリリットルの各試薬を試験コーティング上に配置し、そしてウォッチガラスで覆う。24時間後に、試薬を除去し、変化を1〜10のスケールで等級化し、10は変化していないことを示し、8は幾分かの変化を示し、6は大きな変化を示し、4は部分的な破損を示し、そして2は完全な破損を示す。
【0073】
【表3】



【0074】
QUV加速耐候性の光沢保持性、塩フォグ試験および薬品スポット試験は、本発明のエポキシ−ポリシロキサン組成物から形成されたコーティングが、従来のエポキシベースのコーティング組成物と比較したときに、改良された耐薬品性、耐腐蝕性および耐候性を有することを明らかに示す。
【0075】
本発明のエポキシ−ポリシロキサン組成物を、その特定の好ましい態様を参照してかなり詳細に説明してきたが、他の態様も可能である。それ故、添付の請求の範囲は本明細書中に記載した好ましい態様に限定されるべきでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。

【公開番号】特開2011−157558(P2011−157558A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70815(P2011−70815)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【分割の表示】特願2007−203687(P2007−203687)の分割
【原出願日】平成9年5月6日(1997.5.6)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ,インコーポレイテッド (267)
【Fターム(参考)】