説明

エポキシ化合物及び熱硬化性樹脂組成物

【課題】低粘度、低応力性、密着性に優れた硬化物を与え、半導体封止材、アンダーフィル材等の電気・電子デバイス材料に適するエポキシ化合物及び熱硬化性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】一般式(1)で示されるアルコキシケイ素化合物と、一般式(2)で示されるアルコキシケイ素化合物を、加水分解縮合させることにより得られるエポキシ化合物。
XSi(OR (1)
(式中、Xはエポキシ基を含む有機基、RはC1〜C4のアルキル基を表す。)
2−aSi(OR(2)
(式中、Xはエポキシ基を含む有機基、RはC1〜C10のアルキル基等を、また、aは0または1の整数を表す。)
本発明の熱硬化性樹脂組成物は上記エポキシ化合物と硬化剤を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なエポキシ化合物、及び各種電気・電子部品絶縁材料、積層板(プリント配線板)やFRP(繊維強化プラスチック)を始めとする各種複合材料、接着剤、塗料等に用いられる熱硬化性樹脂組成物に関するもので、更に詳しくは、低粘度、高密着性という特徴を持った半導体封止材、アンダーフィル材等の電子デバイス材料に適する熱硬化性樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気・電子機器の小型化、軽量化、高機能化に伴い、半導体の実装方式もピン挿入タイプから表面実装方式が主流になってきている。更に近年では半導体チップの高密度化、高集積化が進み、より高密度化が可能なフリップチップ実装方式が多くなってきている。フリップチップ実装とは、半導体チップの配線パターン面に高さ10〜100μm程度のバンプといわれる電極を数個から数千個形成し、基板の電極を導電ペーストあるいは半田等で接続する実装方式である。このフリップチップ実装方式の場合、半導体チップと基板の熱膨張係数の差によりチップと基板間に熱ストレス生じるため、半導体チップと基板を接合しただけでは半導体チップと基板が剥離してしまう。この熱ストレスを緩和する目的で、チップと基板間の数十μm程度の隙間をアンダーフィル材と呼ばれる樹脂材料等により充填封止する方法が採用されている。従来、アンダーフィル材としては液状のエポキシ樹脂が使用されているが、近年では信頼性を高めるため、アンダーフィル材の線膨張係数をバンプとして使用する半田の線膨張係数に合わせることを目的とした多量の無機充填剤の配合や、封止後のチップの反りを防止することを目的としたアンダーフィル材の低応力化、熱ストレスによる破壊、剥離防止を目的とした密着性の向上が図られている。
【0003】
多量の充填剤を配合する場合、アンダーフィル材自体の粘度が高くなるため、チップと基板の隙間に十分充填できないという問題や、充填速度低下による生産性の低下が問題となる。このような問題点を解決するため、反応性官能基含有シリコーン化合物を配合したアンダーフィル材(例えば特許文献1参照。)が提案されている。また、アンダーフィル材の低応力化を図るために、エポキシ基を有するケイ素化合物を配合したアンダーフィル材(例えば、特許文献2及び特許文献3参照。)が提案されている。また低応力化、高密着性を図るため、特定の構造を有するマレイミド化合物を使用した熱硬化性樹脂組成物(例えば、特許文献4参照。)が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−55486
【特許文献2】特開平10−231351
【特許文献3】特開平11−256012
【特許文献4】特開2003−221443
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、無機充填材の高充填性、低応力性、密着性に優れた、半導体封止材、アンダーフィル材等の電気・電子デバイス材料に適するエポキシ化合物、熱硬化性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記課題を解決すべく、鋭意研究を行った結果本発明に至った。
すなわち本発明は、
(1)一般式(1)で示されるアルコキシケイ素化合物と、一般式(2)で示されるアルコキシケイ素化合物を塩基性触媒の存在下、共加水分解縮合させることにより得られるエポキシ化合物
XSi(OR (1)
(式中、Xはエポキシ基を含む有機基、RはC1〜C4のアルキル基を表す。)
2−aSi(OR(2)
(式中、Xはエポキシ基を含む有機基、RはC1〜C10アルキル基、C1〜C10の置換アルキル基、アリール基、置換アリール基又は不飽和脂肪族残基を表す。aは0または1の整数である。Rが複数である場合、複数のRは互いに同一であっても異なっていてもよい。RはC1〜C4アルキル基を表す。但し、式(1)におけるXと式(2)におけるXは同じ基であっても、異なっていてもよい。)
(2)式(1)のXがグリシドキシ基で置換されたC1〜C4のアルキル基又はオキシラン基を持ったC5〜C8のシクロアルキル基で置換されたアルキル基であり、式(2)の化合物が、Xがグリシドキシ基で置換されたC1〜C4のアルキル基又はオキシラン基を持ったC5〜C8のシクロアルキル基で置換されたアルキル基であり、Rが炭素数6以下のアルキル基、アリール基又は(メタ)アクリロイル基である化合物である上記(1)記載のエポキシ化合物
(3)上記(1)又は(2)記載のエポキシ化合物及び硬化剤並びに必要に応じて硬化促進剤(C)を含有する熱硬化性樹脂組成物。
(4)上記(1)又は(2)記載のエポキシ化合物以外のエポキシ樹脂を含有する上記(3)項記載の熱硬化性樹脂組成物
(5)上記(3)又は(4)記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物
に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のエポキシ化合物を必須成分とする熱硬化性樹脂組成物は、高充填性、低応力性、高密着性に優れた硬化物を与えることが出来、そのような特性が要求される半導体封止材、アンダーフィル材等の電気・電子デバイス材料の用途に極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のエポキシ化合物は、一般式(1)および一般式(2)で示されるアルコキシケイ素化合物を、塩基性触媒の存在下、共加水分解縮合することにより得ることができる。
XSi(OR (1)
(式中、Xはエポキシ基を含む有機基、RはC1〜C4のアルキル基を表す。)
2−aSi(OR(2)
(式中、Xはエポキシ基を含む有機基、RはC1〜C10のアルキル基、C1〜C10の置換アルキル基、アリール基、置換アリール基又は不飽和脂肪族残基を示す。aは0または1の整数である。Rが複数である場合、複数のRは互いに同一であっても異なっていてもよい。RはC1〜C4のアルキル基を表す。)
本発明のエポキシ化合物を製造するために使用する、一般式(1)、(2)のアルコキシケイ素化合物中のエポキシ基を有する有機基Xとしては、エポキシ基を有する有機基であれば特に制限はなく、また、式(1)と式(2)において互いに同一であっても異なっていてもよい。Xとしては、β−グリシドキシエチル、γ−グリシドキシプロピル、γ−グリシドキシブチル等の炭素数4以下のオキシグリシジル基が結合したグリシドキアルキル基、グリシジル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基、β−(3,4−エポキシシクロヘプチル)エチル基、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)プロピル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ペンチル基等のオキシラン基を持った炭素数5〜8のシクロアルキル基で置換されたアルキル基が挙げられる。これらの中で、C1〜C3のアルキル基にオキシグリシジル基が結合したグリシドキシアルキル基、オキシラン基を持ったC5〜C8のシクロアルキル基で置換された炭素数3以下のアルキル基、例えば、β−グリシドキシエチル基、γ−グリシドキシプロピル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基が好ましい。
また、一般式(1)におけるR、式(2)におけるRの例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、tert−ブチル基等のC1〜C4のアルキル基が挙げられる。これらR、Rは、相溶性、反応性等の反応条件の観点から、メチル又はエチルであることが好ましい。
一般式(1)の化合物として用いることのできる化合物の好ましい具体例としては、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等が挙げられる。これら一般式(1)で示されるアルコキシケイ素化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を用いても良い。
【0009】
本発明で使用する一般式(2)で示されるアルコキシケイ素化合物中の置換基Rの例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、アミル基、へキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等の直鎖状または分岐状のC1〜C10のアルキル基または置換アルキル基、アリール基、置換アリール基又は(メタ)アクリロイル基等の不飽和脂肪残基が挙げられる。これらの中で、C1〜C6のアルキル基、アリール基又は(メタ)アクリロイル基が好ましい。
一般式(2)で示されるアルコキシケイ素化合物として用いることのできる化合物の好ましい具体例としては、β−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
また、本発明で使用する一般式(2)で示されるアルコキシケイ素化合物としては、エポキシ基を有する有機基Xを有しない化合物を用いることもできる。このようなアルコキシケイ素化合物として用いることのできる化合物の好ましい具体例としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これら一般式(2)で示されるアルコキシケイ素化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を用いても良い。
【0010】
本発明のエポキシ化合物は、一般式(1)のアルコキシケイ素化合物と一般式(2)で示されるアルコキシケイ素化合物を共加水分解縮合することにより得ることができる(以下、共加水分解縮合のことを単に縮合という。)。
縮合反応における一般式(1)で示される化合物及び一般式(2)で示される化合物のそれぞれの使用割合は、所望する樹脂物性、硬化物性に応じて適宜決定することができるが、一般式(1)の化合物の使用割合は、一般式(1)の化合物と一般式(2)の化合物の合計モルに対して、通常5〜80モル%、好ましくは8〜60モル%である。また、得られるエポキシ化合物A中のエポキシ基の含有量としては、エポキシ化合物A中のSi原子1モルに対して、通常5モル%以上、好ましくは10モル%以上、特に好ましくは30〜70モル%であるものが好ましい。
また、縮合反応に使用する水の量としては、反応系全体のアルコキシ基1モルに対し通常0.1〜1.5モル、好ましくは0.2〜1.2モルである。
【0011】
本発明において前記縮合反応に使用する塩基性触媒としては、水中で塩基性を示す化合物であれば特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウムのようなアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムのようなアルカリ金属炭酸塩、アンモニア等の無機塩基、トリエチルアミン、ジエチレントリアミン、n−ブチルアミン、ジメチルアミノエタノール、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等の有機塩基を使用することができる。これらの中でも、特に生成物からの触媒除去が容易である点で無機塩基又はアンモニアが好ましい。これらの塩基性触媒の添加量は、反応系中のアルコキシケイ素化合物の合計重量に対し、通常0.001〜7.5重量%、好ましくは0.01〜5重量%である。
【0012】
縮合反応は、無溶剤または溶剤中で行うことができる。溶剤としては、一般式(1)および一般式(2)のアルコキシケイ素化合物を溶解する溶剤であれば特に制限はない。このような溶剤としては、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのような非プロトン性極性溶媒、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素等が例示できる。その中でも非プロトン性極性溶媒が好ましい。溶剤の使用量は、反応が円滑に進行する範囲であれば特に制限はないが、一般式(1)と一般式(2)の化合物の合計重量100部に対して、通常50〜900重量部程度使用する。
縮合反応における反応温度は、触媒量にもよるが、通常20〜160℃、好ましくは40〜140℃である。又、反応時間は通常1〜12時間である。
【0013】
このようにして得られる本発明のエポキシ化合物の分子量は、重量平均分子量で400〜50000のものが好ましく、750〜30000のものがより好ましい。重量平均分子量で400未満の場合、組成物にした場合の硬化性が低下する傾向があり、50000より大きい場合、組成物の粘度が高くなり過ぎることがある。
【0014】
本発明のエポキシ化合物は、各種用途に供されるが、通常、硬化剤と組み合わせた、熱硬化性樹脂組成物として使用される。また各種用途に提供するにあたっては、用途に応じて各種のエポキシ樹脂を併用することもできる。
【0015】
本発明の熱硬化性樹脂組成物において、本発明のエポキシ化合物を他のエポキシ樹脂と併用する場合、本発明のエポキシ化合物が全エポキシ基含有化合物中に占める割合は、10重量%以上が好ましい。使用することができる他のエポキシ樹脂としては、通常、電気・電子部品に使用されるエポキシ樹脂であれば特に制限はなく、通常フェノール性水酸基を2個以上有する化合物をグリシジル化して得ることができる。用いうるエポキシ樹脂の具体例としては、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールF、ビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、ビスフェノールF、ビスフェノールS若しくはビスフェノールK等のビスフェノール類、又はビフェノール若しくはテトラメチルビフェノール等のビフェノール類、又はハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジメチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン若しくはジ−ter.ブチルハイドロキノン等のハイドロキノン類、又はレゾルシノール若しくはメチルレゾルシノール等のレゾルシノール類、又はカテコール若しくはメチルカテコール等のカテコール類、又はジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシメチルナフタレン若しくはジヒドロキシジメチルナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類のグリシジル化物やフェノール類若しくはナフトール類とアルデヒド類との縮合物、又はフェノール類若しくはナフトール類とキシリレングリコールとの縮合物又はフェノール類とイソプロペニルアセトフェノンとの縮合物又はフェノール類とジシクロペンタジエンとの反応物又はビスメトキシメチルビフェニルとナフトール類若しくはフェノール類との縮合物のグリシジル化物等が挙げられる。これらは、市販若しくは公知の方法により得ることが出来る。その他EHPE−3150、セロキサイド2021(ダイセル化学工業(株)製)、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂等の脂環式エポキシ樹脂、TEPIC,TEPIC−L、TEPIC−H、TEPIC−S(いずれも日産化学工業(株)製)等の複素環式エポキシ樹脂も併用しうるエポキシ樹脂として挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いても良い。
【0016】
硬化剤としては、通常、エポキシ樹脂の硬化剤として使用されている、アミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物等を特に制限無く使用できる。具体的には、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ベンジルジメチルアミン等の3級アミン、ジシアンジアミド、テトラエチレンペンタミン、ベンジルジメチルアミン、ケチミン化合物、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ビスフェノール類、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒドとの重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物との重合物、フェノール類と芳香族ジメチロールとの重縮合物、又はビスメトキシメチルビフェニルとナフトール類若しくはフェノール類との縮合物等、ビフェノール類及びこれらの変性物、イミダゾール、3フッ化硼素−アミン錯体、グアニジン誘導体などが挙げられる。硬化剤の使用量は、組成物中のエポキシ基1当量に対して0.2〜1.5当量が好ましく、0.3〜1.2当量が特に好ましい。また、硬化剤として3級アミンを使用する場合、その使用量は、組成物中のエポキシ基含有化合物(本発明のエポキシ化合物と必要により他のエポキシ樹脂)に対し、0.3〜20重量%が好ましく、0.5〜10重量%が特に好ましい。
【0017】
本発明の熱硬化性樹脂組成物中には必要により硬化促進剤を含有させることができる。硬化促進剤としては、例えば2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチルー4−メチルイミダゾール、等のイミダゾール類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルフォスフィン等のホスフィン類、オクチル酸スズなどの金属化合物、第4級ホスホニウム塩などが挙げられる。硬化促進剤は、組成物中のエポキシ基含有化合物100重量部に対して0.01〜15重量部が必要に応じ用いられる。
【0018】
更に、本発明の熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じてシリカ、アルミナ、ガラスファイバー、タルク等の充填材や離型剤、顔料、表面処理剤、粘度調整剤、可塑剤、安定剤、カップリング剤等、種々の配合剤を添加することができる。
【0019】
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物を、溶剤に溶解し、ワニスとして使用することも出来る。溶剤としては、組成物の各成分を溶解する物であれば特に限定されないが、例えばトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これら溶剤の溶解したワニスを、ガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させ、加熱乾燥して得たプリプレグを熱プレス成形して本発明の硬化物を得ることも出来る。
その際溶剤は、本発明の熱硬化性樹脂組成物と溶剤の合計重量に対し溶剤の占める割合が、通常10〜70重量%、好ましくは15〜65重量%となる量使用する。
【0020】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、前記各成分を均一に混合することにより得られる。本発明の熱硬化性樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易にその硬化物とすることができる。例えばエポキシ基含有化合物と硬化剤並びに必要により硬化促進剤及び無機フィラー等の配合剤とを必要に応じて押出機、ニ−ダ、ロ−ル等を用いて均一になるまで充分に混合、分散、脱泡することにより得ることができる。得られた熱硬化性樹脂組成物を塗布、注型あるいはトランスファ−成型機などを用いて成型し、さらに80〜200℃で2〜10時間加熱することにより硬化物を得ることができる。
【実施例】
【0021】
以下、本発明を実施例により、より具体的に説明する。尚、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、実施例中特に断りがない限り、部は重量部を示す。また、実施例中の各物性値は以下の方法で測定した。
重量平均分子量:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法
エポキシ当量:JIS K−7236に記載の方法で測定。
粘度:E型粘度計を使用し25℃にて測定。
【0022】
実施例1
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン47.3部、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン9.9部、ジメチルジメトキシシラン19.2部、メチルイソブチルケトン305.6部、0.1重量%水酸化カリウム水溶液10.8部を反応容器に仕込み、80℃に昇温した。昇温後、80℃にて5時間反応させた。反応終了後、洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返した。次いで減圧下で溶媒を除去することにより本発明のエポキシ化合物(A−1)51部を得た。得られた化合物のエポキシ当量は220g/eq、重量平均分子量は1550、粘度は470mPa・sであった。
【0023】
実施例2
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン47.3部、ジフェニルジメトキシシラン4.9部、ジメチルジメトキシシラン21.6部、メチルイソブチルケトン295.2部、0.1重量%水酸化カリウム水溶液10.8部を反応容器に仕込み、80℃に昇温した。昇温後、80℃にて5時間反応させた。反応終了後、洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返した。次いで減圧下で溶媒を除去することにより本発明のエポキシ化合物(A−2)48部を得た。得られた化合物のエポキシ当量は256g/eq、重量平均分子量は1500、粘度は450mPa・sであった。
【0024】
実施例3
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン47.3部、ジメチルジメトキシシラン24部、メチルイソブチルケトン285.2部、0.1重量%水酸化カリウム水溶液10.8部を反応容器に仕込み、80℃に昇温した。昇温後、80℃にて5時間反応させた。反応終了後、洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返した。次いで減圧下で溶媒を除去することにより本発明のエポキシ化合物(A−3)46部を得た。得られた化合物のエポキシ当量は240g/eq、重量平均分子量は1400、粘度は370mPa・sであった。
【0025】
実施例4
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン47.3部、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン46.5部、メチルイソブチルケトン375.2部、0.2重量%炭酸カリウム水溶液10.8部を反応容器に仕込み、80℃に昇温した。昇温後、80℃にて5時間反応させた。反応終了後、洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返した。次いで減圧下で溶媒を除去することにより本発明のエポキシ化合物(A−4)65部を得た。得られた化合物のエポキシ当量は342g/eq、重量平均分子量は1550、粘度は410mPa・sであった。
【0026】
実施例5
β―(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン9.8部、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン29.8部、ジメチルジメトキシシラン28.8部、メチルイソブチルケトン273.6部、0.1重量%水酸化カリウム水溶液10.8部を反応容器に仕込み、80℃に昇温した。昇温後、80℃にて5時間反応させた。反応終了後、洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返した。次いで減圧下で溶媒を除去することにより本発明のエポキシ化合物(A−5)42部を得た。得られた化合物のエポキシ当量は300g/eq、重量平均分子量は1400、粘度は650mPa・sであった。
【0027】
実施例6〜10および比較例1
エポキシ基含有化合物、硬化剤、硬化促進剤及び充填材を表1に記載の割合(部)で秤量し、3本ロールにて分散混練した後、真空脱泡処理することにより熱硬化性樹脂組成物を作製した。作製した材料を用いて以下の試験を行い、結果を表2に示した。
(1)充填性試験:80℃の熱板上にて得られた熱硬化性樹脂組成物をフリップチップ実装パッケージに5分間注入した後、150℃にて2時間、オーブン中で加熱硬化することにより充填性試験用パッケージを得た。得られたパッケージ内部の充填状態を超音波探傷機にて観察し、充填不良があるものを×、充填不良が無いものを○として評価した。
(2)低応力性:低応力性の尺度として、以下の方法に従って反りを測定した。厚さ0.5mmの銅板上に得られた熱硬化性樹脂組成物を塗布し、その上に15×6×0.3mm(厚さ)のシリコンチップを載せ、150℃にて2時間、オーブン中で硬化させることによってシリコンチップを銅板に接着した。接着後、シリコンチップの長手方向を、表面粗さ計を用いて測定し、上下方向の変位の最大値を反りとした。
(3)密着性:厚さ1mmのガラス板上に得られた熱硬化性樹脂組成物を塗布し、その上に2mm角のシリコンチップを載せ、150℃にて2時間、オーブン中で硬化させることによってシリコンチップをガラス板に接着した。接着したシリコンチップの接着強度をプッシュプルゲージで測定した。また同様にして作製した試験片を湿度85%、温度85℃にて72時間吸湿処理を施し、同様に接着強度を測定した。
【0028】
表1
実施例6 実施例7 実施例8 実施例9 実施例10 比較例1
A−1 50
A−2 50
A−3 50
A−4 50
A−5 50
エポキシ樹脂1 50 50 50 50 50 100
硬化剤 88 82 84 74 77 99
2E4MZ 1 1 1 1 1 1
シリカ1 56 55 55 52 53 60
シリカ2 56 55 55 52 53 60

エポキシ樹脂1:液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂;エポキシ当量170g/eq、粘度4500mPa・s
硬化剤:メチルヘキサヒドロフタル酸無水物
2E4MZ:2−エチル−4−メチルイミダゾール
シリカ1:平均粒径7.9μmの溶融球状シリカ
シリカ2:平均粒径0.3μmの溶融球状シリカ
【0029】
表2
実施例6 実施例7 実施例8 実施例9 実施例10 比較例1
充填性 ○ ○ ○ ○ ○ ×
低応力性 40 45 35 50 55 150
(μm)
密着性 100 104 98 100 95 100
(kg/cm
密着性(吸湿後) 75 80 70 68 65 10
(kg/cm
【0030】
以上より、本発明のエポキシ化合物を必須成分とする熱硬化性樹脂組成物は、従来のエポキシ樹脂を使用した場合と比較して、充填性、低応力性、密着性に優れた硬化物を与えることが出来るため、半導体のフリップチップ実装等の信頼性を高めることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明のエポキシ化合物および熱硬化性樹脂組成物は、低応力性、密着性に優れることから、半導体のフリップチップ実装に使用されるアンダーフィル材を始めとした半導体封止材、電子部品の層間絶縁材、プリント配線基板等の電気・電子材料、印刷インキ、塗料、各種コーティング剤、接着剤としても利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で示されるアルコキシケイ素化合物と、一般式(2)で示されるアルコキシケイ素化合物を塩基性触媒の存在下、共加水分解縮合させることにより得られるエポキシ化合物。
XSi(OR (1)
(式中、Xはエポキシ基を含む有機基、RはC1〜C4のアルキル基を表す。)
2−aSi(OR(2)
(式中、Xはエポキシ基を含む有機基、RはC1〜C10のアルキル基、C1〜C10の置換アルキル基、アリール基、置換アリール基又は不飽和脂肪族残基を表す。aは0または1の整数である。Rが複数である場合、複数のRは互いに同一であっても異なっていてもよい。RはC1〜C4のアルキル基を表す。但し、式(1)におけるXと式(2)におけるXは同じ基であっても、異なっていてもよい。)
【請求項2】
式(1)の化合物が、Xがグリシドキシ基で置換されたC1〜C4のアルキル基又はオキシラン基を持ったC5〜C8のシクロアルキル基で置換されたアルキル基である化合物であり、式(2)の化合物が、Xがグリシドキシ基で置換されたC1〜C4のアルキル基又はオキシラン基を持ったC5〜C8のシクロアルキル基で置換されたアルキル基であり、Rが炭素数6以下のアルキル基、アリール基又は(メタ)アクリロイル基である化合物である請求項1記載のエポキシ化合物。
【請求項3】
請求項1又は2記載のエポキシ化合物及び硬化剤並びに必要に応じて硬化促進剤を含有する熱硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1又は2記載のエポキシ化合物以外のエポキシ樹脂を含有する請求項3記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項3又は4記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物。

【公開番号】特開2006−8747(P2006−8747A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−183931(P2004−183931)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【Fターム(参考)】