説明

エポキシ化脂肪酸エステル可塑剤を有する熱安定化ポリマー組成物

本開示は、塩化ビニル樹脂及びエポキシ化脂肪酸エステルを含有するポリマー組成物を対象とする。ポリマー組成物は、熱安定化組成物も含む。熱安定化組成物は、第1金属塩、第2金属塩及びβジケトンを含む。エポキシ化脂肪酸エステルは、ポリマー組成物における一次又は単独の可塑剤である。本発明のポリマー組成物は、ワイヤ及びケーブル用の被覆として有利な用途が見出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、以下のそれぞれの出願の一部継続出願であり、優先権を主張する:米国特許出願第61/247,427号、2009年9月30日出願;米国特許出願第61/247,329号、2009年9月30日出願;米国特許出願第61/247,383号、2009年9月30日出願;及び米国特許出願第61/288,713号、2009年12月21日出願。前述のそれぞれの出願の内容は、参照として本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
可塑剤は、軟性及び柔軟性をポリマー樹脂に付与するために添加される化合物又は化合物の混合物である。フタル酸ジエステル(「フタレート」としても知られている)は、ポリ塩化ビニル(PVC)及び他のビニルポリマーから形成されるポリマー生成物などの多くの柔軟なポリマー生成物において既知の可塑剤である。
【0003】
フタレート可塑剤は、近年、フタレートの環境に対する悪影響及びフタレートに曝露されたヒト(特に子供)に対する有害作用の可能性について心配する公共利益団体による厳しい監視下にある。
【0004】
エポキシ化植物油(例えば、エポキシ化ダイズ油、ESO)は、ポリ塩化ビニル(PVC)などの塩化ビニル樹脂の補助可塑剤及び補助安定剤としてフタル酸ジエステルの有効な代替物であることが知られている。エポキシ化植物油可塑剤は、従来、ポリマーマトリックスに少ない割合(典型的には、5〜15重量%以下)でしか使用されず、それは大量(15重量%超)の存在が、しみ出し(「はみ出し」)をもたらす傾向があるからである。エポキシ化植物油は、高温で劣化する傾向も有する。そのような劣化は、熱老化によりポリマーが脆性になり、変色することを引き起こすので問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポリマー組成物に可塑剤として適応されたときにしみ出さないエポキシ化脂肪酸エステルの必要性が存在する。はみ出しがなく、熱的に安定もしているエポキシ化脂肪酸エステル可塑剤を有するポリマー組成物の必要性が更に存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、ポリ塩化ビニル樹脂、エポキシ化脂肪酸エステル及び熱安定化組成物から構成されるポリマー組成物を提供する。熱安定化組成物は、はみ出しを低減/排除し、ポリマー組成物を熱的に安定化する。特に、熱安定化組成物は、脂肪酸エステルの分解を防止することにより、押出及び/又は熱老化の際にポリマー組成物を安定化する。
【0007】
本開示は、ポリマー組成物を提供する。実施形態では、ポリマー組成物が提供され、塩化ビニル樹脂、エポキシ化脂肪酸エステル及び熱安定化組成物を含む。熱安定化組成物は、第1金属塩、第2金属塩及びβジケトンを含む。
【0008】
本開示は、被覆導体を提供する。実施形態では、被覆導体が提供され、導体及び導体上の被覆を含む。被覆は、(i)塩化ビニル樹脂、(ii)エポキシ化脂肪酸エステル及び(iii)熱安定化組成物を含むポリマー組成物を含む。熱安定化組成物は、第1金属塩、第2金属塩及びβジケトンを含む。
【0009】
本開示の利点は、ポリマー組成物に使用されたときに低減されたループはみ出し(loop spew)をもたらす又はループはみ出しをもたらさないバイオ系可塑剤である。
【0010】
本開示の利点は、フタレート無含有及び/又は鉛無含有のバイオ系に基づいた可塑剤である。
【0011】
本開示の利点は、温室効果ガスを低減するバイオ系可塑剤である。
【0012】
本開示の利点は、使用者がLEEDクレジットを得ることを可能にするバイオ系可塑剤である。
【0013】
本開示の利点は、使用者が炭素クレジットを得ることを可能にするバイオ系可塑剤である。
【0014】
本開示の利点は、フタレート無含有及び/又は鉛無含有であるワイヤ及びケーブル用途の被覆である。
【0015】
本開示の利点は、ワイヤ/ケーブル被覆として適用されるポリマー組成物に使用されるときに、ループはみ出しをほとんど又は全く生じないフタレート無含有バイオ系可塑剤である。
【0016】
本開示の利点は、一次可塑剤としてエポキシ化脂肪酸エステルを含有するポリマー組成物である。
【0017】
本開示の利点は、単独可塑剤としてエポキシ化脂肪酸エステルを含有するポリマー組成物である。
【0018】
本開示の利点は、一次可塑剤としてエポキシ化脂肪酸エステルを含有する、ワイヤ及びケーブル用途の被覆である。
【0019】
本開示の利点は、単独可塑剤としてエポキシ化脂肪酸エステルを含有する、ワイヤ及びケーブル用途の被覆である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示は、ポリマー組成物を提供する。ポリマー組成物は、塩化ビニル樹脂、エポキシ化脂肪酸エステル及び熱安定化組成物を含む。熱安定化組成物は、第1金属塩、第2金属塩及びβジケトンを含有する。
【0021】
塩化ビニル樹脂
「塩化ビニル樹脂」は、本明細書で使用されるとき、少なくとも1つの水素が塩化物基に代えられている反復ビニル基を有するポリマーである。塩化ビニル樹脂を、塊状重合、溶液重合、懸濁重合及び乳化重合のような非限定手順により調製することができる。適切な塩化ビニル樹脂の非限定例には、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、塩化ビニル−エチレンコポリマー、塩化ビニル−プロピレンコポリマー、塩化ビニル−スチレンコポリマー、塩化ビニル−イソブチレンコポリマー、塩化ビニル−塩化ビニリデンコポリマー、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸ターポリマー、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリルコポリマー、塩化ビニル−ブタジエンコポリマー、塩化ビニル−イソプレンコポリマー、塩化ビニル−塩素化プロピレンコポリマー、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニルターポリマー、塩化ビニル−マレエートコポリマー、塩化ビニル−メタクリレートコポリマー、塩化ビニル−アクリロニトリルコポリマー、塩化ビニル−ビニルエーテルコポリマー及びそのブレンド、並びにアクリロニトリル−スチレンコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−エチル(メタ)アクリレートコポリマー及びポリエステルなどの塩素無含有合成樹脂とのブレンド、ブロックコポリマー及びグラフトコポリマーが含まれる。
【0022】
ポリマー組成物は、約10又は15又は20又は25又は30又は35又は40重量%〜約90又は85又は80又は75又は70又は65又は60重量%の量で塩化ビニル樹脂を含有する。重量パーセントは、ポリマー組成物の総重量に基づいている。
【0023】
実施形態において、塩化ビニル樹脂はポリ塩化ビニルである。
【0024】
エポキシ化脂肪酸エステル(EFA)
ポリマー組成物は、エポキシ化脂肪酸エステルを含む。ポリマー組成物は、1つ、2つ、3つ又はそれ以上のエポキシ化脂肪酸エステルを含有することができる。用語「エポキシ化脂肪酸エステル」(又は「EFA」)は、本明細書で使用されるとき、少なくとも1つのエポキシド基を含有する少なくとも1つの脂肪酸部分を有する化合物である。「エポキシ基」は、酸素原子が、既に互いに結合している2個の炭素原子のそれぞれに結合している、3員環状エーテル(オキシラン又はアルキレンオキシドとも呼ばれる)である。
【0025】
適切なエポキシ化脂肪酸エステルの非限定例には、天然に生じるエポキシ化油、エポキシ化ダイズ油(ESO)、エポキシ化トウモロコシ油、エポキシ化ヒマワリ油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化カノーラ油、エポキシ化ナタネ油、エポキシ化ベニバナ油、エポキシ化トール油、エポキシ化キリ油、エポキシ化魚油、エポキシ化牛脂油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化ステアリン酸メチル、エポキシ化ステアリン酸ブチル、エポキシ化2−エチルヘキシルステアレート、エポキシ化ステアリン酸ステアリル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートエポキシ化ダイズ油、エポキシ化プロピレングリコールジオレエート、エポキシ化パーム油、エポキシ化脂肪酸メチルエステル、前述のそれぞれのエポキシ化誘導体及び前述の任意の組み合わせなどのエポキシ化動物及び植物油が含まれる。天然に生じるエポキシ化油の非限定例は、ベルノニア油である。
【0026】
ポリマー組成物は、以下の可塑剤の1つ以上を単独で又はEFAに加えて含有することができる:エポキシ化ポリブタジエン、トリス(エポキシプロピル)イソシアヌレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ジシクロヘキセンジエポキシド及びこれらの任意の組み合わせ。
【0027】
エポキシ化脂肪酸エステルは、多様な方法で調製することができる。脂肪酸を、アルコール(モノオール又はポリオール)と反応させて、エステル化、エステル交換又はエステル置換反応により、続いてこれらのエステル化、エステル交換又はエステル置換反応の生成物のエポキシ化により、脂肪酸とアルコールの間にエステル結合を作り出すことができる。特定の理論に束縛されることなく、エポキシ化がエステル化、エステル交換又はエステル置換反応の生成物の極性及び可溶性のパラメータを増大し、エポキシ化脂肪酸エステルとポリ塩化ビニル樹脂との相溶性の増加をもたらすと考えられる。
【0028】
天然油を出発材料として使用することができる。この場合、天然油を鹸化して脂肪酸にし、次に上記に開示されたようにアルコールでエステル化することができる。次に、低分子量エステルをエポキシ化する。不飽和エステルを過酸によりエポキシ化することができる。
【0029】
あるいは、脂肪酸のグリシジルエステルを、エピクロロヒドリン又は関連する化学薬品を介して調製することができる。なお別の代替的実施形態において、トリグリセリドをアルコールでエステル交換し、次に不飽和脂肪酸エステルを過酸でエポキシ化することが可能である。
【0030】
実施形態において、エポキシ化脂肪酸エステルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル及び2−エチルヘキシルエステルを含む任意のエポキシ化脂肪酸C〜C14エステルでありうる。更なる実施形態において、エポキシ化脂肪酸エステルは、脂肪酸メチルエステルのエポキシドである。
【0031】
脂肪酸メチルエステルのエポキシドの調製の非限定例はダイズ油により開始し、ここでダイズ油をメタノールでエステル交換して、油中に脂肪酸のメチルエステルを作る。不溶性のためにグリセロールを反応生成物から除去する。酢酸エチル中の過酢酸の溶液を使用して、脂肪酸の二重結合をエポキシ化する。過酸を35%未満の過酸及び摂氏35度未満に保持して、爆ごうを防止する。完了した後、酢酸エチル及び生成物酢酸を真空ストリップにより除去する。
【0032】
EFAはポリマー組成物において可塑剤として機能する。「可塑剤」は、それが添加されるポリマー樹脂(典型的には熱可塑性ポリマー)の弾性率及び引張り強さを低下し、柔軟性、伸び、衝撃強さ及び引き裂き強さを増加する物質である。可塑剤は、それが添加されるポリマー樹脂の融点を低下し、ポリマー樹脂のガラス移転温度を低下し及び/又はポリマー樹脂の加工性を向上することもできる。
【0033】
ポリマー組成物は、約10又は15又は20又は25又は30又は35又は40重量%〜約90又は85又は80又は75又は70又は65又は60重量%の量でエポキシ化脂肪酸エステルを含有する。重量パーセントは、ポリマー組成物の総重量に基づいている。
【0034】
実施形態において、EFAは、約3又は4又は5又は6〜約12又は10又は8のオキシラン指数(オキシラン酸素の率)を有する。
【0035】
実施形態において、EFAは、5未満又は3未満又は2未満又は0〜5未満のヨウ素価(ヨウ素g/100g)を有する。
【0036】
実施形態において、エポキシ化脂肪酸エステルは、エポキシ化ダイズ油である。
【0037】
実施形態において、EFAは、ポリマー組成物に存在する一次可塑剤である。更なる実施形態において、EFAは、ポリマー組成物に存在する単独可塑剤である。
【0038】
実施形態において、EFAは、バイオ系可塑剤組成物である。「バイオ系可塑剤組成物」は、本明細書で使用されるとき、植物由来材料から構成される可塑剤組成物である。バイオ系可塑剤組成物は、温室効果ガス排出を低減し、使用者が炭素及び/又はLEED(エネルギーと環境に配慮したデザインにおけるリーダーシップ(Leadership in Energy and Environmental Design))クレジットを得ることを可能にするので有利である。
【0039】
本開示の組成物はフタレート無含有でありうるが、実施形態において、可塑剤組成物は、フタレート(例えば、ジ−イソノニルフタレート、ジアリルフタレート、ジ−2−エチルヘキシル−フタレート、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート及びジイソトリデシルフタレート)、トリメリテート(例えば、トリオクチルトリメリテート、トリイソノニルトリメリテート及びトリイソデシルトリメリテート)、シトレート、硬化ヒマシ油のGrindsted(登録商標)Soft−N−Safeアセチル化モノグリセリド(Daniscoの製品)、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸のHexamoll(登録商標)DINCHジイソノニルエステル(BASFの製品)、ベンゾエート及びアジピン酸ポリエステルが含まれるが、これらに限定されない他の可塑剤を含むこともできる。
【0040】
熱安定化組成物
ポリマー組成物は、熱安定化組成物を含む。熱安定化組成物は、(i)第1金属塩、(ii)第2金属塩及び(iii)ジケトンを含む。
【0041】
それぞれの金属塩の金属は、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム及びカリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウム)、亜鉛、アルミニウム、スズ及び/又はアルキルスズでありうる。適切な金属塩の非限定例には、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、オレイン酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩などの有機カルボン酸塩、リン酸ステアリル、リン酸ジステアリル、リン酸フェニル及びリン酸ジフェニルなどのリン酸塩、並びにこれらの塩基性塩、炭酸塩及び硫酸塩、これらの金属酸化物及び金属水酸化物が含まれる。
【0042】
実施形態において、金属塩は、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カドミウム、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレエートなどの有機スズ化合物から選択される。
【0043】
実施形態において、第1金属塩の金属は亜鉛であり、第2金属塩の金属は、カルシウム又はバリウムから選択される。
【0044】
実施形態において、第1金属塩はステアリン酸亜鉛である。第2金属塩はステアリン酸カルシウムである。
【0045】
実施形態において、第1金属塩はステアリン酸亜鉛である。第2金属塩はステアリン酸バリウムである。
【0046】
熱安定化組成物は、ハイドロタルサイト、ゼオライト、潤滑剤及び/又は過塩素酸塩を含むこともできる。
【0047】
ジケトン
熱安定化組成物は、βジケトンなどのジケトンを含む。適切なマルチケトン及びβジケトン化合物の非限定例には、アセチルアセトン、トリアセチルメタン、2,4,6−ヘプタトリオン、ブタノイルアセチルメタン、ラウロイルアセチルメタン、パルミトイルアセチルメタン、ステアロイルアセチルメタン、フェニルアセチルアセチルメタン、ジシクロヘキシルカルボニルメタン、ベンゾイルホルミルメタン、ベンゾイルアセチルメタン、ジベンゾイルメタン(Rhodiastab(登録商標)83)、パルミトイルベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、オクチルベンゾイルメタン、ビス(4−オクチルベンゾイル)メタン、ベンゾイルジアセチルメタン、4−メトキシベンゾイルベンゾイルメタン、ビス(4−カルボキシメチルベンゾイル)メタン、2−カルボキシメチルベンゾイルアセチルオクチルメタン、デヒドロ酢酸、シクロヘキサン−1,3−ジオン、3,6−ジメチル−2,4−ジオキシシクロヘキサン−1−カルボン酸メチルエステル、2−アセチルシクロヘキサノン、ジメドン、2−ベンゾイルシクロヘキサン及び前述の任意の組み合わせが含まれる。パルミトイルベンゾイルメタンとステアロイルベンゾイルメタンの適切な混合物の非限定例は、Rhodiastab(登録商標)50である。
【0048】
実施形態において、熱安定化組成物は鉛無含有である。適切な鉛無含有熱安定化組成物の非限定例には、Mark(登録商標)6797、Mark(登録商標)6777ACM、Therm−Chek(登録商標)RC215P、Therm−Chek(登録商標)7208、Naftosafe(登録商標)EH−314、Baeropan(登録商標)MC90400KA、Baeropan(登録商標)MC90400KA/1、Baeropan(登録商標)MC9238KA−US、Baeropan(登録商標)MC90249KA及びBaeropan(登録商標)MC9754KAが含まれる。
【0049】
熱安定化組成物は、約0.1又は0.2又は0.4又は0.6重量%〜約10.0又は7.0又は5.0重量%の量でポリマー組成物に存在する。重量パーセントは、ポリマー組成物の総重量に基づいている。
【0050】
実施形態において、熱安定化組成物の個別の成分(第1金属塩、第2金属塩及びジケトン)は、1つの化合物に全てが存在していなくてもよく、ポリマー組成物に別個に添加されうる。
【0051】
ポリマー組成物は、一般に、従来の乾式ブレンド又は湿式ブレンド法に従って調製される。ブレンド過程から得られる混合物を、Banburyバッチミキサ、Farrel連続ミキサ又は一軸若しくは二軸押出機などのミキサにより更に混合することができる。
【0052】
実施形態において、本発明のポリマー組成物は、本明細書に開示されている可塑剤をPVC粉末に吸収させて乾燥ブレンドを作製することより作製される。Henschelミキサ又はリボンブレンダが含まれるが、これらに限定されない任意に適切な方法/装置を使用して、乾燥ブレンドを作製することができる。ポリマー組成物は、PVD及び可塑剤に加えて他の添加剤を含有することができる。次に乾燥ブレンドを、更に、溶融ブレンド(例としては押し出し)により混合し、任意の所望の形状(膜、ペレットなど)に形成することができる。
【0053】
実施形態では、ポリマー組成物を溶融ブレンドする。溶融ブレンドポリマー組成物を小板に成形する。
【0054】
実施形態では、ポリマー組成物を溶融ブレンドし、小板に成形する。小板は、約D10又はD20又はD30〜約D70又はD60又はD50のショア硬度を有する。ショア硬度は、ASTM D 2240に従って測定される。
【0055】
実施形態では、ポリマー組成物を溶融ブレンドし、小板に成形する。小板は、ASTM D 638に従い、30ミル厚の小板から切断したドッグボーンにより測定して、113℃で168時間熱老化した後に約70%を超える又は約80%を超える又は90%を超える引張り強さ保持率を有する。
【0056】
実施形態では、ポリマー組成物を溶融ブレンドし、小板に成形する。小板は、ASTM D 638に従い、30ミル厚の小板から切断したドッグボーンにより測定して、136℃で168時間熱老化した後に約70%を超える又は80%を超える又は90%を超える引張り強さ保持率を有する。
【0057】
実施形態では、本発明のポリマー組成物を溶融ブレンドし、小板に成形する。小板は、ASTM D 638に従い、30ミル厚の小板により測定して、113℃で168時間熱老化した後に約30%を超える又は35%を超える又は40%を超える又は70%を超える又は約80%を超える又は90%を超える又は95%を超える引張り伸び保持率を有する。
【0058】
実施形態では、本発明のポリマー組成物を溶融ブレンドし、小板に成形する。小板は、ASTM D 638に従い、30ミル厚の小板により測定して、136℃で168時間熱老化した後に約30%を超える又は35%を超える又は40%を超える又は70%を超える又は80%を超える又は90%を超える引張り伸び保持率を有する。
【0059】
引張り強さ及び引張り伸びは、それぞれ、ASTM D−638に従い、圧縮成形小板から切断した(i)未老化及び(ii)熱老化ドッグボーン試験片において測定した。
【0060】
実施形態では、ポリマー組成物を溶融ブレンドし、小板に成形する。小板は、変色を示さない(すなわち、色を保持する)。色は、目視検査により決定される。
【0061】
実施形態では、ポリマー組成物を溶融ブレンドし、小板に成形する。小板は、23℃で48時間曝露された後、表面に僅かなしみ出し物(はみ出し物)を示すか又は全く示さない。しみ出しの存在は、ループはみ出し試験により決定される。
【0062】
実施形態では、ポリマー組成物を溶融ブレンドし、小板に成形する。小板は、113℃で7日間老化した後、表面に僅かなしみ出し物(はみ出し物)を示すか又は全く示さない。しみ出し物の存在は、目視検査により決定される。
【0063】
実施形態では、ポリマー組成物を溶融ブレンドし、小板に成形する。小板は、136℃で7日間老化した後、表面に僅かなしみ出し物(はみ出し物)を示すか又は全く示さない。しみ出し物の存在は、目視検査により決定される。
【0064】
実施形態では、ポリマー組成物を溶融しブレンドし、小板に成形する。136℃で7日間曝露した後、30ミル厚の成形小板から切断した直径1.25インチの試験片は、元の重量(すなわち、熱老化前の重量)の96%超又は96.5%超又は97.0%超を維持する。
【0065】
実施形態では、ポリマー組成物を溶融ブレンドし、小板に成形する。小板は、20分を超える又は25分を超える又は30分を超える、200℃での酸化誘導時間を示す。
【0066】
実施形態では、ポリマー組成物を溶融ブレンドし、小板に成形する。小板は、113℃で8週間老化した後、300%未満又は250%未満又は200%未満のセカント弾性率保持率を示す。
【0067】
添加剤
前述のポリマー組成物のいずれも以下の添加剤の1つ以上を含むことができる:充填剤、酸化防止剤、難燃剤(三酸化アンチモン、酸化モリブジック及びアルミナ水和物)、ドリップ防止剤、着色剤、潤滑剤、低分子量ポリエチレン、ヒンダードアミン光安定剤(少なくとも1つの第二級又は第三級アミン基を有する)(「HALS」)、UV光線吸収剤(例えば、o−ヒドロキシフェニルトリアジン)、硬化剤、増進剤及び遅延剤、加工助剤、結合剤、耐電防止剤、核剤、滑剤、粘度調整剤、粘着付与剤、ブロッキング防止剤、界面活性剤、エキステンダー油、酸掃去剤、金属不活性化剤、並びにこれらの任意の組み合わせ。
【0068】
実施形態において、本発明のポリマー組成物は充填剤を含む。適切な充填剤の非限定例には、タルク、炭酸カルシウム、焼成クレー、ホワイティング、フラー土、ケイ酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウム、 二酸化チタン、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、親水性ヒュームドシリカ、疎水性(表面処理)ヒュームドシリカ及び前述の任意の組み合わせが含まれる。焼成クレーの非限定例は、Satintone(登録商標)SP−33及びPolyfil(登録商標)70である。
【0069】
実施形態において、本発明のポリマー組成物は酸化防止剤を含む。適切な酸化防止剤の非限定例には、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ−シンナメート)]メタン、ビス[(ベータ−(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−メチルカルボキシエチル)]スルフィド、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)及びチオジエチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナメートなどのヒンダードフェノール;トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト及びジ−tert−ブチルフェニル−ホスホニトなどのホスファイト及びホスホニト;ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート及びジステアリルチオジプロピオネートなどのチオ化合物;多様なシロキサン;重合化2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、n,n’−ビス(1,4−ジメチルペンチル−p−フェニレンジアミン)、アルキル化ジフェニルアミン、4,4’−ビス(アルファ,アルファ−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、ジフェニル−p−フェニレンジアミン、混合ジ−アリール−p−フェニレンジアミン、並びに他のヒンダードアミン劣化防止剤又は安定剤が含まれる。適切な酸化防止剤の非限定例には、Topanol(登録商標)CA、Vanox(登録商標)1320、Irganox(登録商標)1010、Irganox(登録商標)245及びIrganox(登録商標)1076が含まれる。酸化防止剤(又は複数の酸化防止剤)を、本開示の可塑剤(又は可塑剤組成物)に添加することができる。酸化防止剤を、ポリマー組成物の重量に基づいて0.01〜5重量%の量で使用することができる。
【0070】
実施形態において、本発明のポリマー組成物は潤滑剤を含む。適切な潤滑剤の非限定例には、ステアリン酸、ステアリン酸の金属塩、パラフィンロウ及びポリエチレングリコールが含まれる。潤滑剤は、単独で又は組み合わせて使用することができる。潤滑剤を熱安定化組成物と組み合わせることもできる。
【0071】
実施形態において、本発明のポリマー組成物は加工助剤を含む。適切な加工助剤の非限定例には、ステアリン酸亜鉛又はステアリン酸カルシウムなどのカルボン酸の金属塩;ステアリン酸、オレイン酸又はエルカ酸などの脂肪酸;ステアルアミド、オレアミド、エルカアミド又はN,N'−エチレンビス−ステアルアミドなどの脂肪酸アミド;ポリエチレンロウ;酸化ポリエチレンロウ;酸化エチレンのポリマー;酸化エチレンと酸化プロピレンのコポリマー;植物ロウ;石油ロウ;非イオン性界面活性剤;並びにポリシロキサンが含まれる。加工助剤を、組成物の重量に基づいて0.05〜5重量%の量で使用することができる。
【0072】
実施形態において、ポリマー組成物は安定剤及び酸化防止剤を含む。最適な安定剤及び酸化防止剤のパッケージによって、本発明のポリマー組成物は、高温での長時間乾燥又は湿潤絶縁抵抗試験に必要な用途及び温度が136℃までの高さの他の厳しい用途に適している。
【0073】
本発明のポリマー組成物(単数又は複数)は、本明細書に開示されている2つ以上の実施形態を含むことができる。
【0074】
被覆導体
本発明のポリマー組成物の前述の特性は、ワイヤ及びケーブルの被覆用途(ジャケット、絶縁)、特に高温電線/ケーブル用途などの物品に十分に適している。したがって、本開示は被覆導体を提供する。「導体」は、任意の電圧(DC、AC又は過渡)でエネルギーを移動する伸長形状(ワイヤ、ケーブル、ファイバ)の要素である。導体は、典型的には、少なくとも1つの金属線又は少なくとも1つの金属ケーブル(例えば、アルミニウム若しくは銅)であるが、光ファイバも含まれうる。
【0075】
導体は、単一のケーブル又は一緒に束ねられた複数のケーブル(すなわち、ケーブル心線又は心線)でありうる。「ケーブル」及び同様の用語は、保護絶縁体、ジャケット又はシース内の少なくとも1本のワイヤ又は光ファイバを意味する。典型的には、ケーブルは、典型的には共通の保護絶縁体、ジャケット又はシース内で一緒に束ねられている2本以上のワイヤ又は光ファイバである。ジャケット内部の個別のワイヤ又はファイバは、裸でありうる、覆われていることがある又は絶縁されうる。結合ケーブルは、電線及び光ファイバの両方を含有することができる。被覆導体は、柔軟、半剛性又は剛性でありうる。
【0076】
被覆は、導体上に位置する。被覆は、絶縁層及び/又は半導体層などの1つ以上の内側層でありうる。被覆は、外側層(「ジャケット」又は「シース」とも呼ばれる)を含むこともできる。被覆は、本明細書に開示されている本発明のポリマー組成物のいずれかを含む。本明細書で使用されるとき、「上に」(「on」)は、被覆と導体の直接的な接触又は間接的な接触を含む。「直接的な接触」は、被覆が導体と直ちに接触し、被覆と導体の間に介在層(単数若しくは複数)がない及び/又は介在物質(単数若しくは複数)がない配置である。「間接的な接触」は、介在層(単数若しくは複数)及び/或いは介在構造(単数若しくは複数)又は材料(単数若しくは複数)が導体と被覆の間に位置している配置である。被覆は、導体を完全に又は部分的に覆うことができるか、そうでなければ取り囲む又は包み込むことができる。被覆は、導体を取り囲む単独成分でありうる。あるいは、被覆は、金属導体を包み込む多層ジャケット又はシースの1つの層でありうる。
【0077】
被覆は、本発明のポリマー樹脂を含む。ポリマー樹脂は、本明細書に開示されている任意のポリマー樹脂でありうる。ポリマー樹脂は、(i)塩化ビニル樹脂、(ii)エポキシ化脂肪酸エステル、及び(iii)熱安定化組成物を含む。熱安定化組成物は、第1金属塩、第2金属塩及びβジケトンを含む。
【0078】
実施形態において、エポキシ化脂肪酸エステルは、被覆における一次可塑剤である。更なる実施形態において、エポキシ化脂肪酸エステルは、被覆における単独可塑剤である。
【0079】
実施形態において、被覆に存在するエポキシ化脂肪酸エステルは、エポキシ化ダイズ油である。
【0080】
被覆は、本発明の組成物について上記に考察された特性のいずれかを有することができる。実施形態において、被覆導体は、UL−1581に従って測定する熱試験に合格する。
【0081】
本発明のポリマー組成物は、予想外には、柔軟性、低い可塑剤揮発性、低い移動(はみ出しが少ない/ない)、低い粘度及び高い熱安定性の特性を示し、同時にエポキシ化脂肪酸エステルを一次可塑剤又は単独可塑剤として組成物に含有している。本発明のポリマー組成物は、予想外には、過酷な136℃熱老化試験に対抗する及び/又は打ち勝つ。導体上に被覆として押し出されたとき、本発明のポリマー組成物は、予想外には、高温での過酷な乾燥及び湿潤絶縁抵抗試験(例えば、湿潤では75℃又は乾燥では97℃)に対抗する及び/又は打ち勝つ。
【0082】
適切な被覆導体の非限定例には、大衆消費電子製品用のたわみ配線などのたわみ配線、電源ケーブル、携帯電話及び/又はコンピュータ用の充電器線、コンピュータデータコード、電源コード、機器配線材料、建設用電線、自動車用電線及び家電用アクセサリコードが含まれる。
【0083】
本発明の被覆導体は、本明細書に開示されている2つ以上の実施形態を含むことができる。
【0084】
本明細書に開示されている組成物を含むジャケットを有する、被覆ワイヤ又は被覆ケーブル(任意の絶縁層を有する)などの被覆導体は、多様な種類の押出機、例えば一軸又は二軸型により調製することができる。従来の押出機の記載は米国特許第4,857,600号において見出すことができる。共押出し及び押出機の例は、米国特許5,575,965号において見出すことができる。典型的な押出機は、上流末端にホッパ、下流末端にダイを有する。ホッパは、スクリュを含有するバレルに供給する。下流末端では、スクリュとダイの末端の間にスクリーンパック及びブレーカープレートがある。押出機のスクリュ部分は、供給区画、圧縮区画及び計量区画の3つの区画、並びに後面加熱領域及び前面加熱領域の2つの領域に分かれていると考慮され、区画と領域は上流から下流へと連続している。代替的には、上流から下流へと連続している軸に沿って多数の加熱領域(2つを超える)が存在することができる。2つ以上のバレルを有する場合、バレルは直列に連結されている。それぞれのバレルにおける長さ対直径の比は、約15:1〜約30:1の範囲である。
【0085】
本開示のワイヤ及びケーブル構造(すなわち、被覆金属導体)は、本発明の組成物を導体上又は絶縁導体の束上に押し出して、絶縁導体の周囲に被覆(又はジャケット)を形成することによって作製される。ジャケット又は絶縁体の厚さは、所望の最終使用用途の要件によって決まる。ジャケット又は絶縁体の典型的な厚さは、約0.010インチから約0.200インチ又は約0.015インチから約0.050インチである。本発明の組成物を、予め作製された組成物から押し出してジャケットにすることができる。通常、本発明の組成物は、押出機への供給が容易なようにペレットの形態である。ワイヤ及びケーブルのジャケット又は絶縁体は、本発明の組成物をペレット化する別個の工程を経ることなく、混合押出機から直接押し出すことができる。この1工程混合/押出過程は、組成物の1つの熱履歴工程を省く。
【0086】
ナイロン層を、絶縁体を覆うように押し出すこともでき、従来のTHHN、THWN及びTHWN−2構造などである。
【0087】
本開示の実施形態の非限定例を下記に提供する。
【0088】
実施形態E1では、ポリマー組成物が提供され、塩化ビニル樹脂、エポキシ化脂肪酸エステル及び熱安定化組成物を含む。熱安定化組成物は、第1金属塩、第2金属塩及びβジケトンを含む。E2。エポキシ化脂肪酸エステルが約3重量%〜約12重量%のオキシラン指数を有する、E1のポリマー組成物。E3。エポキシ化脂肪酸が0〜5未満のヨウ素価を有する、E1〜E2のいずれかのポリマー組成物。E4。エポキシ化脂肪酸がエポキシ化ダイズ油である、E1〜E3のいずれかのポリマー組成物。E5。熱安定化組成物が2つの異なる金属を含み、それぞれの金属が、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム及びスズからなる群より選択される、E1〜E4のいずれかのポリマー組成物。E6。第1金属塩が亜鉛を含み、第2金属塩が、バリウム及びカルシウムからなる群より選択される金属を含む、E1〜E5のいずれかのポリマー組成物。E7。熱安定化組成物が、ジベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン及びこれらの組み合わせからなる群より選択されるβジケトンを含む、E1〜E6のいずれかのポリマー組成物。E8。ASTM D 3291に従って測定して0〜2のループはみ出し値を有する、E1〜E7のいずれかのポリマー組成物。E9。UL1581及びASTM D 638に従って測定して、136℃で168時間の熱老化後に約30%を超える引張り伸び保持率を有する、E1〜E8のいずれかのポリマー組成物。
【0089】
実施形態E10では、ポリマー組成物が提供され、ポリ塩化ビニル樹脂、エポキシ化ダイズ油及び熱安定化組成物を含む。熱安定化組成物は、第1金属塩、第2金属塩及びβジケトンを含む。E11。熱安定化組成物が、ステアリン酸亜鉛、並びにジベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン及びこれらの組み合わせからなる群より選択されるβジケトンを含む、E10のポリマー組成物。
【0090】
実施形態E12では、被覆導体が提供され、導体及び導体上の被覆を含む。被覆は、実施形態E1〜E11のいずれかのポリマー組成物を含む。
【0091】
定義
元素周期表に対する全ての参照は、CRC Press,Inc.、2003により出版され著作権保有されている元素周期表を参照する。また、基又は複数の基に対するあらゆる参照は、基を番号付けするためにIUPAC系を使用するこの元素周期表に反映されている基又は複数の基である。特に異なる記述がない、内容から示唆されない又は当該技術において慣用ではない限り、全ての部及び率は、重量に基づいており、全ての試験方法は、この開示の出願日の時点で最新のものである。米国の特許実務の目的において、任意の参照特許、特許出願又は公報の内容は、特に、合成技術、生成物及び加工設計、ポリマー、触媒、定義(本開示において特に提供されている任意の定義と不一致ではない程度)及び当該技術における一般的知識に関して、その全体が参照として組み込まれる(又はその同等の米国版が参照としてそのように組み込まれる)。
【0092】
本開示の数値範囲は近似値であり、したがって、特に示されない限り、範囲外の値を含むことができる。数値範囲は、任意のより低い値と任意のより高い値との間に少なくとも2単位の分離があるのであれば、1単位ずつ増加する下限及び上限値以上の全ての値を含む。例として、例えば分子量、メルトインデックスなどの組成的、物理的又は他の特性が100〜1,000である場合、意図は、100,101、102などの全ての個別の値及び100〜144、155〜170、197〜200などの部分範囲は、明確に列挙されることである。1未満である値又は1を超える分数(例えば、1.1、1.5など)を含有する値を含有する範囲では、1単位は、適切であれば0.0001、0.001、0.01又は0.1であることが考慮される。10未満(例えば、1〜5)の一桁の数を含有する範囲では、1単位は典型的には0.1であると考慮される。これらは、何が特に意図されるかの例にすぎず、列挙される最低値と最高値の間の数値の可能な組み合わせは、全て、本開示に明確に記述されていると考慮されるべきである。数値範囲は、とりわけ、組成物及び/又は被覆における成分、添加剤及び組成物における他の多様な成分の量、並びにこれらの成分が定義される多様な性質及び特性について本開示内において提供される。
【0093】
化学化合物に関して使用されるとき、特に示されていない限り、単数形は、全ての異性体形態を含み、その逆もある(例えば、「ヘキサン」はヘキサンの全ての異性体を個別的又は集合的に含む)。用語「化合物」及び「錯体」は、有機、無機及び有機金属化合物を意味するために交換可能に使用される。用語「原子」は、イオン状態にかかわらず、すなわち、電荷若しくは部分電荷を有するか又は別の原子に結合しているかにかかわらず、元素の最小構成成分を意味する。用語「非晶質」は、示差走査熱量測定(DSC)又は同等の技術により決定される結晶融点を欠いているポリマーを意味する。
【0094】
「ブレンド」、「ポリマーブレンド」及び同様の用語は、2つ以上のポリマーのブレンド、並びにポリマーと多様な添加剤とのブレンドを意味する。そのようなブレンドは、混和性であっても、なくてもよい。そのようなブレンドは、相分離しても、しなくてもよい。そのようなブレンドは、透過電子顕微鏡分光法、光拡散、X線拡散及び当該技術において既知の他の任意の方法により決定される1つ以上のドメイン構成を含有しても、しなくてもよい。
【0095】
「組成物」及び同様の用語は、2つ以上の成分の混合物又はブレンドを意味する。
【0096】
用語「含む」、「含まれる」、「有する」及びこれらの派生語は、任意の追加の成分、工程又は手順の存在を、これらが特に開示されているかにかかわらず、除外することを意図しない。疑念を回避するために、用語「含む」の使用により特許請求される全ての組成物は、特に記述のない限り、任意の追加的な添加剤、補助剤又は化合物を、ポリマーであるか又はそうでないかにかかわらず含むことができる。対照的に、用語「から実質的になる」は、操作性に必須ではないもの以外は、後に続く任意の列挙他の任意の成分、工程又は手順の範囲を除外する。用語「からなる」は、特に叙述又は提示されていない任意の成分、工程又は手順を除外する。用語「又は」は、特に記述のない限り、個別のみならず任意の組み合わせで提示されたメンバーを意味する。
【0097】
実施形態において、本明細書に開示されている組成物は、フタレート無含有である。用語「フタレート無含有の組成物」は、本明細書で使用されるとき、フタレートを欠いているか、そうでなければフタレートがない組成物である。「フタレート」は、以下の構造(I):
【0098】
【化1】

【0099】
[式中、R及びR’は、同一又は異なっていてよい]を含む化合物である。R及びR’は、それぞれ、1〜20個の炭素原子を有する置換/非置換ヒドロカルビル基から選択される。本明細書で使用されるとき、用語「ヒドロカルビル」及び「炭化水素」は、水素原子及び炭素原子のみを含有する置換基を意味し、分岐鎖又は非分岐鎖、飽和又は不飽和、環状、多環式、縮合又は非環式の種及びこれらの組み合わせが含まれる。ヒドロカルビル基の非限定例には、アルキル−、シクロアルキル−、アルケニル−、アルカジエニル−、シクロアルケニル−、シクロアルカジエニル−、アリール−、アラルキル、アルキルアリール及びアルキニル基が含まれる。位置3、4、5及び6は、それぞれ、水素又は他の部分で占有されうる。
【0100】
用語「ポリマー」(及び同様の用語)は、同一又は異なる種類のモノマーを反応(すなわち、重合)させることにより調製された高分子化合物である。「ポリマー」には、ホモポリマー及びコポリマーが含まれる。
【0101】
試験方法
熱安定化組成物におけるジケトンの存在は、安定化されたTHFによる1重量%での抽出、続く液体注入GC−MSにより決定される。ベータ−ジケトンの同定は、質量スペクトルの解釈及び外部標準液との比較を介して実施される。
【0102】
ヨウ素価は、油中の不飽和度を測定し、AOCS Official Method Cd 1−25(g I/100g)に従って決定される。
【0103】
ループはみ出しは、180°ループ曲げの内側に生じた圧縮応力に起因してはみ出した可塑剤の量を評価することにより、ポリ(塩化ビニル)プラスチックにおける可塑剤の相溶性を決定するASTM D 3291に従って測定される。簡潔には、この方法を使用して、可塑化ポリ(塩化ビニル)シートの試験片をおよそ180°の弧に沿って曲げ、これらを所望の形状に保持するように設計されたジグに固定する。試験片を制御温度(すなわち、23℃)に保持し、特定の時間間隔で試験片を取り外し、逆方向に180°に曲げ、ループの内側の成形物を目視検査及び乾燥人差し指でその領域を拭うことにより、可塑剤のはみ出しの証拠について検査する。表1は、ループはみ出しの値のランク付けを示す。
【0104】
【表1】

【0105】
200℃での酸化誘導時間(OIT)は、示差走査熱量測定(DSC)を使用して決定される。DSCセルを、器具が高純度インジウム(融点=156.6℃)を使用する温度に正確に較正されていることを確実にするために、前もって確かめる。実験の前に、DSCセルが200.0℃の等温温度に達すること及び窒素及び酸素パージガスがDSCパージガス入口に接続されていることを確実にする。試料質量のおよそ10〜15mgを開放アルミニウムパンで使用する。最も一貫性のあるOITの結果は、単一ディスク試験片を使用して得られる。そのように成形された小板材料を使用して、試料が均質であり、試験結果に最小限の影響を与えることを確実にする。試料を、窒素パージ下、20℃/分の速度により室温から特定の温度で加熱する。試料を、窒素パージ下、特定の温度で5分間保持して、試料及びDSCセルが標的温度で熱的に平衡になるようにする。5分間保持した後、ガスを窒素から酸素パージに替える。試料を、有意な酸化発熱反応が得られるまで、酸素パージによる等温条件下で保持する。これが生じるために必要な時間は、試験される材料の相対的な酸化安定性によって決まる。実験は、有意な発熱の発生が得られた後においてのみ停止される(すなわち、mW>2.00の場合、次のセグメントが終了される)。OIT値は、DSCデータ分析ソフトウエアにおける発生オプションを使用して確立された発生時間として定義される。
【0106】
オキシラン指数(オキシラン酸素含有量)は、AOCS Official Method Cd 9−57に従って決定される。
【0107】
ポリマー組成物における可塑剤の相溶性も、確定された時間(例えば7日間)にわたって高温(例えば、113℃又は136℃)で老化した成形又は押出試験片の目視検査によって評価される。押出試験片は、ワイヤの形態(すなわち、導体を覆って押し出された絶縁体)でありうる。
【0108】
ショア硬度は、ASTM D 2240に従って決定される。
【0109】
被覆導体(押出ワイヤ)の表面平滑性は、ANSI/ASME B46.1に従い、日本のMitutoyo製の表面粗さ測定装置を使用して測定される。
【0110】
未老化試験片、113℃又は136℃又は60℃(QUVチャンバ及び90%の相対的湿度)で8週間まで老化した試験片の引張り強さ(TS)、引張り強さ保持率(TSR)、引張り伸び(TE)、引張り伸び保持率(TER)及びセカント弾性(2インチ/分)は、成形小板から切断したドッグボーン又は被覆導体(押出ワイヤ)から取り外した管状絶縁体のいずれかにより、ASTM D 638及びUL 1581/2556に従って決定される。
【0111】
用語「UL 1581」は、電線、ケーブル及び可撓コードのUnderwriters Laboratoriesの参照標準(Underwriters Laboratories Reference Standard for Electrical Wires, Cables, and Flexible Cords)である。UL 1581は、導体、絶縁体、ジャケット及び他の被覆について、試料調製、試料選択及び条件付けについての方法、並びにワイヤ及びケーブルの標準に求められる測定及び計算についての特定の詳細を含有する。
【0112】
500ボルトの直流による23℃での体積抵抗率(オーム−cm)は、ASTM D 257に従って測定される。直径3.5インチの試験片を、40ミル厚成形小板から切断し、Hewlett Packard 4329A High Resistance Meterに接続したHewlett Packard 16008A Resistivity Cellを使用して試験する。
【0113】
136℃で7日後の重量保持(%)は、30ミル厚成形小板から切断した直径1.25インチの試験片で測定される。
【0114】
湿潤絶縁抵抗(WIR)は、UL 83/2556に従って、14 AWG固体銅導体及び0.015インチの絶縁体厚のワイヤ試料で測定される。試料の長さは14フィートであり、10フィートが水に浸漬されたコイルであり、両端の2フィートが、電源へのリード線として作用する。試料は、水浴により75℃及び600VのACで36週間まで老化される。絶縁抵抗は、Quadtech 1868Aメグオームメータにより500VのDCを60秒間適用することにより測定される。最初の測定は、6時間水浸した後、電圧を適用しないで実施される。後の測定は全て1週間に1回の頻度で行われる。
【0115】
例としてであって限定ではなく、本開示の例を提供する。
【実施例】
【0116】
実施例1〜6及び比較試料(CS)1〜8の成分を下記の表2に提供する。
【0117】
【表2】

【0118】
多様な材料の物質安全データシートから得られた(安定化されたTHFにより1重量%で抽出され、続いて液体注入GC−MSにより決定されたジケトンの存在を除く)多様な熱安定化組成物の組成を、表3に提供する。重量パーセントは、熱安定化組成物の総重量に基づいている。
【0119】
【表3】

【0120】
多様な熱安定化組成物の分析試験を実施して、Rhodiastab 83(ジベンゾイルメタン)及びRhodiastab 50(パルミトイルベンゾイルメタンとステアロイルベンゾイルメタンの混合物)などのβジケトンの存在を調べる。比較試料2、3及び4(CS2、CS3及びCS4)の熱安定化組成物は、βジケトンを含有しない。
【0121】
以下の手順を使用して、実施例1〜6及びCS1〜8の組成物を調製する。
−可塑剤を60℃に少なくとも60分間予熱し、使用前に振とうする。
−個別の成分を計量する。
−最初に、可塑剤組成物をソーキングしてPVC粉末することにより「乾燥ブレンド」を作製し、次に溶融混合物を作製する。
−以下の手順を「乾燥ブレンド」の調製に使用する。
(a)へらを使用して容器において全て(可塑剤及び充填剤を除く)を混合することにより、「固体混合物」を作製する。
(b)シグマブレードを有する「40cm」Brabenderミキシングボウルを90℃及び40rpmで使用する。
(c)2分間温めた後、固体混合物を加える。30秒間混合する。
(d)可塑剤を加える。360秒間(6分間)混合する。
(e)クレー充填剤を加える。60秒間混合する。
(f)停止させ、「乾燥ブレンド」を取り出す。
−続いて「乾燥ブレンド」を、以下の手順を使用して溶融混合する。
(a)カムローターを有する「40cm」Brabenderミキシングボウルを40rpm設定で使用する
(b)「乾燥ブレンド」を加え、180℃で2分間混合する。
【0122】
ミキシングボウルから取り出したブレンド組成物を、180℃で5分間圧縮成形し、得られた小板の色を記録する(クリーム色が望ましい)。硬度、重量、引張り強さ、伸び(2インチ/分)を、30ミル厚成形小板から切断した未老化試験片及び113℃又は136℃で168時間老化した試験片で測定する。熱老化試験片を、表面のしみ出し物(はみ出し物)の証拠についても視覚的に検査する。体積抵抗率を、40ミル厚成形小板から切断した試験片により23℃で測定する。ショア硬度を、250ミル厚の成形試験片で測定する。結果を下記の表4に示す。
【0123】
【表4】


【0124】
実施例1〜6は、熱老化の前後に満足のいく特性を示す。対照的に、熱安定剤なしで作製された比較試料1(CS1)は、136℃で老化した後、劣っている特性、すなわち、琥珀色(劣化を示す)、より高い密度、より多い重量損失及び不十分な引張り伸び保持率を示す。熱安定化組成物としてステアリン酸亜鉛を含有する比較試料2、5及び7(CS2、CS5及びCS7)は、136℃で老化した後、相当量のしみ出し(はみ出し)及びはるかに劣っている引張り伸び保持率をもたらす。ジケトンのない金属塩の混合物である比較試料3及び4(CS3及びCS4)も琥珀色を示し、有意な劣化が溶融混合及び圧縮成形工程の際に生じたことを示している。熱安定化組成物としてステアリン酸カルシウムを含有する比較試料6及び8(CS6及びCS8)は、136℃で老化した後、有意な変色、しみ出し(はみ出し)及び劣っている引張り伸び保持率をもたらす。
【0125】
実施例1〜6は、混合金属石鹸及びβジケトンを含有する熱安定化組成物の0.2〜10重量%を有するPVC/ESOが優れた特性を生じることを実証している。
【0126】
実施例7及び比較試料9〜11
実施例7及び比較試料9〜11の成分を下記の表5に提供する。
【0127】
【表5】

【0128】
以下の手順を使用して、実施例7及びCS9〜11の組成物を調製する。
−可塑剤を60℃に少なくとも60分間予熱し、使用前に振とうする。
−個別の成分を計量する。
−最初に、可塑剤をソーキングしてPVC粉末することにより「乾燥ブレンド」を作製し、次に溶融混合物を作製する。
−以下の手順を「乾燥ブレンド」の調製に使用する。
(a)へらを使用して容器において全て(可塑剤及び充填剤を除く)を混合することにより、「固体混合物」を作製する。
(b)シグマブレードを有する「250cm」Brabenderミキシングボウルを90℃及び90rpmで使用する。
(c)2分間温めた後、固体混合物を加える。30秒間混合する。
(d)可塑剤を加える。360秒間(6分間)混合する。
e)充填剤を加える。60秒間混合する。
f)停止させ、「乾燥ブレンド」を取り出す。
−続いて「乾燥ブレンド」を、以下の手順を使用して溶融混合する。
(a)カムローターを有する「250cm3」Brabenderミキシングボウルを40rpm設定で使用する。
(b)「乾燥ブレンド」を加え、180℃で2分間混合する。
【0129】
ミキシングボウルから取り出したブレンド組成物を、180℃で5分間圧縮成形し、得られた小板の色を記録する(クリーム色が望ましい)。重量、引張り強さ/伸び(2インチ/分)を、30ミル厚成形小板から切断した未老化試験片及び113℃又は136℃又は60℃(QUVチャンバ及び90%相対湿度)で8週間まで老化した試験片で測定する。熱老化試験片を、表面のしみ出し物(はみ出し物)の証拠についても視覚的に検査する。酸化誘導時間も測定する。結果を表6に示す。
【0130】
【表6】

【0131】
CS9〜11と比較して、実施例7の組成物は、高温で8週間まで老化した後、はるかに優れた酸化誘導時間;高温での重量保持(UV及び90%相対湿度の高い湿度に曝露されたときでも);セカント弾性率保持率及び引張り伸び保持率を示す。
【0132】
実施例8及び9
実施例8及び9の成分を下記の表7に提供する。
【0133】
【表7】

【0134】
以下の手順を使用して、実施例8及び9の組成物を調製する。
−可塑剤を60℃に少なくとも60分間予熱し、使用前に振とうする。
−個別の成分を計量する。
−最初に、可塑剤をソーキングしてPVC粉末することにより「乾燥ブレンド」を作製し、次に溶融混合物を作製する。
−以下の手順を「乾燥ブレンド」の調製に使用する。
(a)へらを使用して容器において全て(可塑剤及び充填剤を除く)を混合することにより、「固体混合物」を作製する。
(b)Henschel型ハイインテンシティミキサを使用して、最初に固体混合物を60秒間フラクシングし、次に可塑剤を360秒間(6分間)かけて添加及び混合し、最後にクレーを加え、更に90秒間混合することにより、3kgの「乾燥ブレンド」を設定温度90℃及び1800rpmで作製する。
(c)停止させ、「乾燥ブレンド」を取り出す。
−続いて「乾燥ブレンド」を、45rpm及びゾーン1=170℃、ゾーン2=175℃、ゾーン3=180℃、ダイ=185℃の設定温度プロフィールで円錐形二軸押出機(25:1 L/D)を使用して溶融混合する。続いて押出束を空冷し、ペレット化する。
【0135】
ペレットを180℃で5分間圧縮成形する。試験片を、体積抵抗率及びショア硬度を除いた全ての特性を試験するために、30ミル成形小板から切断する。体積抵抗率を、40ミル厚成形小板から切断した試験片で測定する。ショア硬度を、250ミル厚の成形試験片で測定する。またペレットを使用して、25:1一軸押出機を40rpm及び170℃、175℃、180℃、185℃の設定温度で使用して0.064インチ(14AWG)固体銅導体上に被覆することにより、ワイヤ/ケーブルを作製する。被覆導体の外径は、およそ0.094インチ(すなわち、およそ0.015インチ厚の絶縁体)である。ワイヤ押出しの際にダイ圧力が留意される。結果を下記の表8及び9に示す。ワイヤの75℃での湿潤絶縁抵抗測定値を表10に示す。
【0136】
実施例8及び9の組成物は、(1)はみ出しのない平滑ケーブル被覆をもたらす。(1)はみ出しのない平滑ケーブル被覆は、(2)136℃で熱老化した後に優れた引張り特性保持率を有し、(3)優れた電気特性を有する。特に、ワイヤの長時間湿潤絶縁抵抗は優れており、0.115メガオーム/1000フィートの最低合格要件を十分に越えており、24週間後に1週間あたり2%未満の絶縁抵抗の減少という安定基準に合格している。
【0137】
【表8】

【0138】
【表9】

【0139】
【表10】

【0140】
本開示は、本明細書に含有されている実施形態及び例示に限定されるのではなく、以下の特許請求の範囲内に入る実施形態の一部及び異なる実施形態の要素の組み合わせを含むこれらの実施形態の変更形態を含むことが、特に意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化ビニル樹脂と、
エポキシ化脂肪酸エステルと、
第1金属塩、第2金属塩及びβジケトンを含む熱安定化組成物と
を含む、ポリマー組成物。
【請求項2】
前記エポキシ化脂肪酸エステルが約3重量%〜約12重量%のオキシラン指数を有する、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
前記エポキシ化脂肪酸が0〜5未満のヨウ素価を有する、請求項1または2に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
前記エポキシ化脂肪酸がエポキシ化ダイズ油である、請求項1から3のいずれかに記載のポリマー組成物。
【請求項5】
前記熱安定化組成物が2つの異なる金属を含み、それぞれの金属が、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム及びスズからなる群より選択される、請求項1から4のいずれかに記載のポリマー組成物。
【請求項6】
前記第1金属塩が亜鉛を含み、前記第2金属塩が、バリウム及びカルシウムからなる群より選択される金属を含む、請求項1から5のいずれかに記載のポリマー組成物。
【請求項7】
前記熱安定化組成物が、ジベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン及びこれらの組み合わせからなる群より選択されるβジケトンを含む、請求項1から6のいずれかに記載のポリマー組成物。
【請求項8】
ASTM D 3291に従って測定して0〜2のループはみ出し値を有する、請求項1から7のいずれかに記載のポリマー組成物。
【請求項9】
ASTM D 638に従って測定して、136℃で168時間の熱老化後に約30%を超える引張り伸び保持率を有する、請求項1から8のいずれかに記載のポリマー組成物。
【請求項10】
導体と、
導体上の被覆とを含み、該被覆が、
(i)塩化ビニル樹脂;
(ii)エポキシ化脂肪酸エステル;及び
(iii)第1金属塩、第2金属塩及びβジケトンを含む熱安定化組成物
を含むポリマー組成物を含む
被覆導体。

【公表番号】特表2013−506738(P2013−506738A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532270(P2012−532270)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/050699
【国際公開番号】WO2011/041396
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】