説明

エポキシ官能化されたニトロキシルエーテルとアニオン重合することが可能なモノマーとから櫛形ブロックコポリマーを製造する方法

【課題】エポキシ官能化されたニトロキシルエーテルとアニオン重合することが可能なモノマーとから櫛形ブロックコポリマーを製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明は、エポキシ官能化されたニトロキシルエーテルと別のモノマーとから、アニオン重合により、またその後の、ニトロキシルが仲介する制御されたフリーラジカル重合により、櫛形ブロックコポリマーを製造する方法に関するものである。ブロックコポリマー骨核は、エチレン性不飽和モノマーのラジカルグラフト化が起こり得る定義された開始点を有する。本発明の別の対象は、前記方法により得られた櫛形ブロックポリマー及び、プラスチック用途のためのこのような櫛形ブロック−ポリマーの使用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ官能化されたニトロキシルエーテルと別のモノマーとから、アニオン重合により、またその後の、ニトロキシルが仲介する制御されたフリーラジカル重合により、櫛形ブロックコポリマーを製造する方法に関するものである。ブロックコポリマー骨核は、エチレン性不飽和モノマーのラジカルグラフト化が起こり得る定義された開始点を有する。本発明の別の対象は、前記方法により得られた櫛形ブロックポリマー及び、プラスチック用途のためのこのような櫛形ブロック−ポリマーの使用である。
【背景技術】
【0002】
化学的性質を異にする非極性鎖及び極性鎖の両方を含む両親媒性のブロック−及びグラフトコポリマーの合成は、様々な技術により研究されてきた。脂肪族ポリエーテル骨核の合成のための有望な研究手法は、例えば、ハイツ(Heitz)らにより、Macromol.Chem.183,1685(1982)(非特許文献1)に記載されている。
【0003】
特にグラフトコポリマーの設計における一つの問題は、特にラジカル的な“グラフト化”方法が選択された場合のグラフト化効率の不足である。グラフトモノマーの完全なグラフト化は殆ど達成されず、それ故、最終生成物には、グラフト化段階において形成されたホモポリマーがしばしば混入する。前記方法は、スチレンがポリブタジエンラテックスにラジカル的にグラフトされる、耐衝撃性ポリスチレンの合成において主に用いられる。より効率的なグラフト化は、ポリマー状骨核内の活性点が、出発分子に対して新規ポリマー鎖を共有結合させるために使用される場合に達成される。しかしながら、これは、骨核中に明確な“開始点”が存在することを必要とする。
【0004】
エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドをベースとする直鎖状ポリエーテルは、ポリウレタンにおけるそれらの広汎な用途の他に、医薬用途及び生物医学用途における多数の用途を見出している。工業的用途は、とりわけ、工業廃水の処理における凝集剤、表面の性質における抵抗低減及び変性、例えば帯電防止剤としての使用を含む。エチレンとプロピレンオキシドとの直鎖状ブロックコポリマーは商業的な用途も有し、そして、非イオン性界面活性剤、乳化剤及び安定性向上剤[例えば、BASFにより製造された“プルロニクス(Pluronics)(登録商標)のような]として役立つ。この種の統計コポリマーは入手もし易い。これらの生成物の大部分は、これらの最終分子量に応じて、液体又はワックスである。最小25%のエチレンオキシド含有率を持つこれらのコポリマーはまた水溶性であり、それ故、両親媒性グラフトコポリマーの合成のための興味ある物質類を提供する。
【0005】
例えば、国際特許出願公開第2004/022617号パンフレット(特許文献1)は、第一段階において、エポキシ基を含むモノマーであって、その内の一つのモノマーが更に不安定なニトロキシルエーテル基を含むモノマーからポリマー骨核をアニオン重合により作成し、そして第二段階において、制御されたフリーラジカル重合(CFRP)条件下で、前記骨核に対して櫛形又はスター構造を重合により与える方法を記載している。
【非特許文献1】ハイツ(Heitz)ら、Macromol.Chem.183,1685(1982)
【特許文献1】国際特許出願公開第2004/022617号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記概念を越えている。本発明は、エポキシ基を含むモノマーとアクリレートとから二段階にてブロックコポリマー骨核をアニオン重合により作成し、そして第三段階において、制御されたフリーラジカル重合(CFRP)条件下で、前記骨核に対して櫛形又はスター構造を重合(グラフト化)により与える。
【0007】
本発明の方法は、ポリマー骨核に極性を異にするブロックを前もって導入し、それにより、異なる要求に適合させることを可能にする。グラフト化ポイントはブロックコポリマー骨核のポリエーテル部分に局在しているので、ポリエーテルブロック長さはグラフトされたサイドアーム数及び分岐ファクターを決定する。ブロック長さの変更は、ポリマーの性質を調節する更なる手段である。更に、モノマー組成及び櫛形構造全体の分子量は、ポリマーの性質を決定する。
【0008】
得られるブロックコポリマー構造は、所望の樹脂からなるマトリックスに低い極性のポリマー鎖を経由して極性部分をつなぎ止めることにより恒久的な極性表面を保証し、熱可塑性材料の表面を変性する用途において興味がある。同様に、前記ポリマーは非イオン性界面活性剤として使用することができる。エピクロロヒドリンを含む骨核ポリマーへの新規分子の配合は、ゴム−熱可塑性櫛形コポリマーに導くことができる。更に、前記櫛形コポリマーは、例えば分離プロセスのための、自己組織化、自己集合性ポリマーシステムとして使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一つの対象は、櫛形ブロックコポリマーの製造方法であって、
a1)第一段階において、ポリエーテルを得るために、一つ又はそれより多くのエポキシ基を含むモノマーであって、少なくとも一つのモノマーが次式(I):
【化1】

[式中、Lは炭素原子数1ないし18のアルキレン基、フェニレン基、フェニレン−炭素原子数1ないし18のアルキレン基、炭素原子数1ないし18のアルキレン−フェニレン基、炭素原子数1ないし18のアルキレン−フェニレンオキシ基及び炭素原子数5ないし12のシクロアルキレン基からなる群から選択された結合基を表わし、
p 及びRq は独立して、非置換或いは一つ若しくはそれより多くの電子吸引性基により又はフェニル基により置換された第三級結合した炭素原子数4ないし28のアルキル基を表わし、或いは、
p 及びRq は一緒になって、少なくとも四つの炭素原子数1ないし4のアルキル基により置換され且つ更に窒素原子又は酸素原子により中断され得る5又は6員ヘテロ環を形成する。]で表わされるところのモノマーの第一ブロックをアニオン重合により作成すること、
a2)第二段階において、モノマーが共役ジエン、スチレン、置換スチレン、ケトン又は式(Ia):
【化2】

[式中、R301 は水素原子又は炭素原子数1ないし4のアルキル基を表わし、L1 は−CN基又は−COOR300 基を表わし、そしてR300 は炭素原子数1ないし36のアルキル基を表わす。]で表わされる化合物であるところのモノマーの第二ブロックをアニオン重合により作成すること、並びに、第三段階において、
b)前記第二段階において得られたポリマーに少なくとも一つのエチレン性不飽和モノマーを添加し、得られた混合物を、ニトロキシルエーテル結合の開裂が起き及びラジカル重合が開始する温度に加熱すること、及び所望の程度に重合すること、
を含む方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
前記段階a1)及びa2)は逆の順序で行うこともできる。この場合には、式(Ia)で表わされる化合物は、第一ブロックとしてアニオン的に重合され、その後、エポキシ官能性モノマーのアニオン重合が行われる。
【0011】
式(I)で表わされるモノマーの例は次式(II):
【化3】

[式中、
1 、R2 、R3 及びR4 は互いに独立して炭素原子数1ないし4のアルキル基を表わし、
5 は水素原子又は炭素原子数1ないし4のアルキル基を表わし、
R’6 は水素原子を表わし、そして
6 は水素原子、−OR10基、−NR1011基、−O−C(O)−R10基又は−NR11−C(O)−R10基を表わし、
10及びR11は独立して、炭素原子数1ないし18のアルキル基、炭素原子数2ないし18のアルケニル基、炭素原子数2ないし18のアルキニル基を表わし、或いは、R6 が−NR1011基を表わす場合には、
10及びR11は一緒になって、炭素原子数2ないし12のアルキレンブリッジ、又は、
少なくとも一つの酸素原子により中断された炭素原子数2ないし12のアルキレンブリッジを表わし、或いは、
6 及びR’6 は共に水素原子を表わし、また一緒になって基=O又は基=N−O−R20を表わし、ここで、
20は直鎖状又は分岐鎖状の炭素原子数1ないし18のアルキル基、炭素原子数3ないし18のアルケニル基又は炭素原子数3ないし18のアルキニル基、炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基又は炭素原子数5ないし12のシクロアルケニル基、フェニル基、炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基、或いは、非置換、又は、一つ又はそれより多くの炭素原子数1ないし8のアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1ないし8のアルコキシ基により置換され得るナフチル基、−C(O)−炭素原子数1ないし36のアルキル基又はSi(Me)3 基を表わし、或いは、
6 及びR’6 は独立して、−O−炭素原子数1ないし12のアルキル基、−O−炭素原子数3ないし12のアルケニル基、−O−炭素原子数3ないし12のアルキニル基、−O−炭素原子数5ないし8のシクロアルキル基、−O−フェニル基、−O−ナフチル基、−O−炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基を表わし、或いは、
6 及びR’6 は一緒になって、二価基:−O−C(R21)(R22)−CH(R23)−O−、−O−CH(R21)−CH2 −C(R22)(R23)−O−、−O−CH(R22)−CH2 −C(R21)(R23)−O−、−O−CH2 −C(R21)(R22)−CH(R23)−O−、−O−o−フェニレン−O−、−O−1,2−シクロヘキシリデン−O−、−O−CH2 −CH=CH−CH2 −O−又は
【化4】

の一つを形成し、これらの式中、
21は水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、−COO(炭素原子数1ないし12)のアルキル基又は−CH2 OR24を表わし、
22及びR23は独立して、水素原子、メチル基又はエチル基を表わし、
24は炭素原子数1ないし12のアルキル基、ベンジル基又は炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基を表わし、そして
7 及びR8 は独立して、水素原子又は炭素原子数1ないし18のアルキル基を表わす。]で表わされるものである。
【0012】
炭素原子数1ないし18のアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状であってよい。その例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基、第三ブチル基、ペンチル基、2−ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、第三オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基又はオクタデシル基である。炭素原子数36までのアルキル基が使用可能である場合、炭素原子数1ないし18のアルキル基が好ましい。
【0013】
2個ないし18個の炭素原子を有するアルケニル基は分岐鎖状又は非分岐鎖状基、例えば、プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソブテニル基、n−2,4−ペンタジエニル基、3−メチル−2−ブテニル基、n−2−オクテニル基、n−2−ドデセニル基、イソドデセニル基である。
【0014】
2個ないし18個の炭素原子を有するアルキニル基は分岐鎖状又は非分岐鎖状基、例え
ば、プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、イソブチニル基、n−2,4−ペンタジイニル基、3−メチル−2−ブチニル基、n−2−オクチニル基、n−2−ドデシニル基、イソドデシニル基である。
【0015】
アルコキシ基の例は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、ペントキシ基、イソペントキシ基、ヘキソキシ基、ヘプトキシ基又はオクトキシ基である。
【0016】
炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基は、例えば、ベンジル基、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基又は2−フェニルエチル基であり、ベンジル基が好ましい。
【0017】
炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基は、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロペンチル基又はシクロオクチル基である。
【0018】
炭素原子数5ないし12のシクロアルケニル基は、例えば、3−シクロペンテニル基、3−シクロヘキセニル基又は3−シクロヘプテニル基である。
【0019】
ハロゲン原子は、F、Cl、Br又はIである。
【0020】
炭素原子数1ないし18のアルキレン基は分岐鎖状又は非分岐鎖状基、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基又はドデカメチレン基である。
【0021】
少なくとも一つの酸素原子により中断された炭素原子数2ないし12のアルキレンブリッジは、例えば、−CH2 −O−CH2 −CH2 −基、−CH2 −O−CH2 −CH2 −CH2 −基、−CH2 −O−CH2 −CH2 −CH2 −CH2 −基、−CH2 −O−CH2 −CH2 −O−CH2 −基である。
【0022】
好ましくは、R1 、R2 、R3 及びR4 はメチル基を表わすか、又は、R1 及びR3 はエチル基を表わし、そしてR2 及びR4 はメチル基を表わすか、又は、R1 及びR2 はエチル基を表わし、そしてR3 及びR4 はメチル基を表わす。
【0023】
例えば、R5 は水素原子又はメチル基を表わす。
【0024】
特に、R’6 は水素原子を表わし、そしてR6 は水素原子、−OR10基、−NR1011基、−O−C(O)−R10基又は−NR11−C(O)−R10基を表わし、
10及びR11は独立して、炭素原子数1ないし18のアルキル基、炭素原子数2ないし18のアルケニル基、炭素原子数2ないし18のアルキニル基を表わし、或いは、R6 が−NR1011基を表わす場合には、R10及びR11は一緒になって、炭素原子数2ないし12のアルキレンブリッジ、又は、少なくとも一つの酸素原子により中断された炭素原子数2ないし12のアルキレンブリッジを表わし、或いは、
6 及びR’6 は共に水素原子を表わし、また一緒になって基=O又は基=N−O−R20を表わし、ここで、
20は直鎖状又は分岐鎖状の炭素原子数1ないし18のアルキル基を表わす。
【0025】
他の具体的な実施態様において、R6 及びR’6 は一緒になって、二価基:−O−C(R21)(R22)−CH(R23)−O−、−O−CH(R21)−CH2 −C(R22)(R23)−O−、−O−CH(R22)−CH2 −C(R21)(R23)−O−、−O−CH2 −C
(R21)(R22)−CH(R23)−O−の一つを形成し、そして、R21、R22及びR23は、上記において定義されたものと同じ意味を表わす。
【0026】
具体的な化合物は下記表Aに与えられている。
【表1】

【0027】
式(II)で表わされる化合物、特に上記表Aに与えられた化合物は公知であり、そして、国際特許出願公開第99/46261号パンフレット、国際特許出願公開第02/48109号パンフレット又は米国特許第5721320号明細書に記載された如く製造され得る。
【0028】
コモノマーとして使用することができる適する他のエポキシ官能性モノマー:
【化5】

は下記表Bに与えられている。
【表2】

【0029】
例えば、式(I)とは異なる、エポキシ基を含むモノマーは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、2,3−エポキシプロピル−フェニルエーテル、2,3−エポキシプロピル−4−ノニル−フェニルエーテル、エピクロロヒドリン及び2,3−エポキシプロピル−2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルエーテルからなる群から選択される。
【0030】
前記化合物は公知であり、そして、商業的に入手可能である。
【0031】
例えば、式(I)で表わされるモノマー対他のモノマーの合計のモル比は100:0ないし1:99、特に80:20ないし20:80、とりわけ75:25ないし25:75である。
【0032】
アニオン的に重合することができる、段階a2)のために適するモノマーは、共役ジエン、例えばブタジエン、スチレン、置換スチレン及びケトン、例えばラクタム、ラクトン、オキシラン又は式(Ia):
【化6】

[式中、R301 は水素原子又は炭素原子数1ないし4のアルキル基を表わし、L1 は−CN基又は−COOR300 基を表わし、そしてR300 は炭素原子数1ないし36のアルキル基を表わす。]で表わされる化合物である。
【0033】
特に、R301 は水素原子を表わし、L1 は−CN基又は−COOR300 基(式中、R300 は炭素原子数1ないし8のアルキル基を表わす。)を表わす。
【0034】
段階a)の一般的な重合手法は周知であり、そして例えば、ポリマー科学及び技術の大辞典(Encyclopedia of Polymer Science and Technology),Vol6,1967,103〜209に記載されている。原理的には、二つの異なる方法が存在する。第一の方法は、触媒としてのルイス酸又はルイス塩基の存在下での、オキシアルキル化された活性水素部位に対するオキシラン基の傾向に依存する。第二の種類の重合反応は、不均一反応系における触媒表面上での、オキシラン基の高分子量ポリマーへの急速な重合を含む。他の反応系は、オジャン(Odian)著,“重合の原理(Principles of Polymerization)”,ウィレイ−インターサイエンス(Wiley−Interscience),ニューヨーク,1991,pp.536及びホーベン ヴィル(Houben Weyl)著,“高分子物質(Makromolekulare Stoffe),Bd.E20/2,ティーメ
シュツットガルト(Thieme Stuttgart),1987,pp1367に記載されている。それらは更に、アルミニウムポルフィリン化合物並びに、触媒として特定の鉄錯体及び亜鉛錯体を含む。
【0035】
前記重合はバルクにおいて又は、10〜90%(容量による)の溶剤を含む溶液において行うことができ、ガス状モノマー(プロピレンオキシド又はエチレンオキシド)が使用される場合は、とりわけ後の方法による。適する溶剤はテトラヒドロフラン(THF)、シクロヘキサン、トルエン、ジメチルホルムアミド(DMF)、塩素化溶剤及びそれらの混合物を含む。
【0036】
適するルイス塩基は、例えば、アルカリ金属アルコレートである。
【0037】
段階a)のブロックコモノマーは、例えば、重量平均分子量Mw 1000ないし100000、好ましくは1500ないし50000を有する。
【0038】
反応温度は、ニトロキシルエーテル結合の開裂がその化学構造に依存しており、そして100℃を越える温度で起こり得るので、好ましくは可能な限り低く保持すべきである。それ故、重合温度は100℃を越えるべきではない。適する重合温度は、例えば、−80℃ないし80℃、例えば−20℃ないし70℃、そして好ましくは0℃ないし60℃である。重合は通常、常圧下で不活性ガス雰囲気下で行われる。
【0039】
より低い反応温度が用いられるので、反応時間は通常より長く、典型的には1〜72時間、特に1〜48時間、好ましくは2〜24時間である。
【0040】
ポリエーテル骨核ポリマーの単離は、その分子構造に依存する。残渣モノマーは、真空下、100℃を越えない温度で除去することができ、それらが液体の場合には、抽出(例えば、ソックスレー抽出を経由して)され得、或いは、それらが固体の場合には、適切な溶剤で洗浄され得る。
【0041】
好ましくは、段階b)において、前記エチレン性不飽和モノマー又はオリゴマーは、スチレン、置換スチレン、共役ジエン、(アルキル)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル及び(アルキル)アクリルアミドからなる群から選択される。
【0042】
特に、段階b)において、前記エチレン性不飽和モノマーは、スチレン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、第三ブチルアクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート又はアクリロニトリルである。
【0043】
特に、エチレン性不飽和モノマーは、イソプレン、1,3−ブタジエン、α−炭素原子数5ないし18のアルケン、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン又は式CH2 =C(Ra )−(C=Z)−Rb [式中、Ra は水素原子又は炭素原子数1ないし4のアルキル基を表わし、Rb は−NH2 基、O- (Me+ )、グリシジル基、非置換の炭素原子数1ないし18のアルコキシ基、少なくとも一つの窒素原子及び/又は酸素原子により中断された炭素原子数2ないし100のアルコキシ基、或いはヒドロキシ置換された炭素原子数1ないし18のアルコキシ基、非置換の炭素原子数1ないし18のアルキルアミノ基、ジ(炭素原子数1ないし18のアルキル)アミノ基、ヒドロキシ置換された炭素原子数1ないし18のアルキルアミノ基又はヒドロキシ置換されたジ(炭素原子数1ないし18のアルキル)アミノ基、−O−CH2 −CH2 −N(CH3 2 基又は−O−CH2 −CH2 −N+ H(CH3 2 An- を表わし、
An- は一価有機又は無機酸のアニオンを表わし、
Meは一価金属原子又はアンモニウムイオンを表わし、
Zは酸素原子又は硫黄原子を表わす。]で表わされる化合物である。
【0044】
少なくとも一つの酸素原子により中断された炭素原子数2ないし100のアルコキシ基としてのRa の例は、次式:
【化7】

[式中、Rc は炭素原子数1ないし25のアルキル基、フェニル基又は炭素原子数1ないし5のアルキル基により置換されたフェニル基を表わし、Rd は水素原子又はメチル基を表わし、そしてvは1ないし50の数を表わす。]で表わされるものである。これらのモノマーは、例えば、対応するアルコキシ化されたアルコール又はフェノールのアクリル化により、非イオン性界面活性剤から誘導される。前記繰り返しユニットは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又は両方の混合物から誘導され得る。
【0045】
段落b)において使用することができる、適するアクリレートモノマー又はメタクリレートモノマーの別の例は、以下において与えられる。
【化8】

[式中、An- 及びRa は上記において定義されたものと同じ意味を表わし、そしてRe はメチル基、ベンジル基又はベンゾイルベンジル基を表わす。]。An- は好ましくはCl- 、Br- 又は -3 S−O−CH3 を表わす。
【0046】
別のアクリレートモノマーは、次式:
【化9】

[式中、Me+ はアルカリ金属カチオン又はアンモニウムカチオンを表わす。]で表わされるものである。
【0047】
アクリレート以外の適するモノマーの例は、次式:
【化10】

で表わされるものである。
【0048】
好ましくは、Ra は水素原子又はメチル基を表わし、Rb は−NH2 基、グリシジル基、非置換又はヒドロキシ置換された炭素原子数1ないし4のアルコキシ基、非置換の炭素原子数1ないし4のアルキルアミノ基、ジ(炭素原子数1ないし4のアルキル)アミノ基、ヒドロキシ−置換された炭素原子数1ないし4のアルキルアミノ基又はヒドロキシ−置換されたジ(炭素原子数1ないし4のアルキル)アミノ基を表わし、そして、Zは酸素原子を表わす。
【0049】
例えば、段階b)において、段階a1)及びa2)において製造されたブロックコポリマーと段階b)において添加されるエチレン性不飽和モノマーとの重量比は90:10ないし10:90である。
【0050】
既に述べられたように、高められた温度において、ニトロキシルエーテル結合が開裂し及びラジカル重合が開始される。好ましくは、段階b)において、重合温度は80℃ないし160℃、特に100℃ないし140℃である。
【0051】
典型的には、重量平均分子量Mw は2000ないし300000、好ましくは3000ないし100000である。
【0052】
得られた櫛形コポリマーの多分散性指数は、典型的には1.1ないし3.0である。
【0053】
本発明の他の対象は、上記の方法の段階a1)及びa2)により得ることが可能なブロックコポリマーである。
【0054】
コポリマー骨核は、例えば、以下に与えられる理想化された構造を有する。
【化11】

【0055】
L、Rp 、Rq 、L1 及びXの意味は上記において与えられたものと同じ意味であり、またm、n及びpは独立して数3ないし1000、好ましくは5ないし500である。
【0056】
本発明の別の対象は、段階a1)、a2)及びb)で上記に定義された方法により得ることが可能な櫛形ブロックコポリマーである。
【0057】
本発明のまた別の対象は、段階a1)、a2)及びb)で上記に定義された方法により得ることが可能な櫛形ブロックコポリマーの、接着剤、表面改良剤、界面活性剤としての、或いは、熱可塑性、弾性又は熱硬化性ポリマーにおける相溶化剤としての、或いは、部品成形のための押出又は射出成形用プラスチック材としての使用である。
【0058】
個々の置換基のための定義は、櫛形ブロックコポリマーの製造方法について既に与えられており、それらは本発明の他の対象にも用いられる。
【0059】
本発明により製造されたポリマーは、下記の用途のために有用である:発泡部材、押出及び射出成形品、例えば向上した加工性及び/又はバリヤー性を持つ部材を成形するためのプラスチック材、接着剤、洗剤、分散剤、乳化剤、界面活性剤、消泡剤、接着促進剤、腐食防止剤、粘性改良剤、潤滑剤、レオロジー改良剤、粘性付与剤、架橋剤、紙処理、水処理、電子材料、ペイント、コーティング、写真、インク材料、画像化材料、スーパー吸収剤、化粧品、ヘヤ製品、保存料、殺生物材料、又はアルファルト、皮革、テキスタイル、セラミック及び木材用変性剤。更に、前記櫛形コポリマーは、例えば分離プロセスのための、自己組織化、自己集合性ポリマーシステムとして使用することができる。
【0060】
段階a)及び段階b)の両方ともリビング又は“疑似リビング”重合であり、段階a)はアニオン性リビング重合であり、そして段階b)はリビングラジカル重合である。
段階b)の重合はリビングラジカル重合なので、それは事実上自由に、開始することもまた停止することもできる。更に、ポリマー生成物は、官能性アルコキシアミン基を保持しており、リビング物質における重合の継続を可能にする。従って、本発明の一実施態様において、一旦、第一モノマーが初期ラジカル重合において消費されると、その後、第二重合段階において、第二モノマーを添加して、成長中のポリマー鎖上に第二ブロックを形成することができる。それ故、同一又は異なるモノマーとの更なる重合を行い、櫛形構造のマルチ−ブロックコポリマーを製造することが可能である。
【0061】
更に、これはリビングラジカル重合であるので、ブロックは、本質的に、如何なる順序でも製造することができる。イオン重合における場合のように、最も安定化されていないポリマー中間体から最も安定化されたポリマー中間体まで逐次重合段階が行われなければならないブロックコポリマーの製造に、必ずしも限定されない。従って、ポリアクリロニトリル又はポリ(メタ)アクリレートブロックを最初に製造し、その後、スチレン又はブタジエンブロックをそれに結合させるなど、マルチ−ブロックコポリマーを製造すること
が可能である。
【0062】
モノマー混合物を使用することにより、又は、第一モノマーが完全に消費される前に第二モノマーを添加することにより、ランダムコポリマー及びテーパーコポリマー構造物を同様に合成することができる。
【実施例】
【0063】
下記の実施例により、本発明を説明する。
概論:
溶剤及びモノマーは、使用直前に、アルゴン雰囲気下又は真空下で、ビグリューカラムを通して蒸溜した。
【0064】
酸素を除去するために、重合前にアルゴンを用いて全ての重合反応混合物をフラッシュし、そして、凍結融解サイクルを適用して真空下で揮発させた。反応混合物を、その後、アルゴン雰囲気下で重合させた。
【0065】
重合反応の開始時点で、全ての出発物質は、均質に溶解された。
【0066】
転換率は、メタノール中での沈澱により、及び/又は、少なくとも60分間、真空中(0.002トル)で乾燥させることにより、ポリマーから未反応モノマーを除去し、残留ポリマーを秤量し、そして 開始剤の重量を差し引くことにより決定された。
【0067】
ポリマーのキャラクタリゼーションは、GPC(ゲル透過クロマトグラフィー)により行った。
【0068】
GPC:
GPCは、フラックス インスツルメンツ(FLUX INSTRUMENTS)社製のレオス(RHEOS)4000を使用して行った。テトラヒドロフラン(THF)が溶剤として使用され、そして、1mL/分でポンプ押出された。二本のクロマトグラフィーカラム[英国、シュロップシャー州のポリマー インスツルメンツ(POLYMER INSTRUMENTS)社製のプルゲル(Plgel)5μm 混合−C型]が直列に配置された。測定は40℃で行われた。カラムは、200ないし2000000ダルトンのMn を有する低多分散性ポリスチレンを用いてキャリブレーションされた。検出は、30℃で、アーカテック アーゲー(ERCATECH AG)のRI−検出器ERC−7515Aを使用して行った。
【0069】
1.ブロックコポリマー骨核(ポリエーテル−b−PMMA)の合成
使用したエポキシ官能性ニトロキシルエーテルは以下のものである。
【化12】

化合物103は、国際特許出願公開第02/48109号パンフレットに従って製造された。
実施例E1+E2:
ゴム隔膜、磁気撹拌棒及びアルゴン入口を備えた、乾燥し、アルゴン−パージされたシ
ュレンク管内において、カリウム第三ブチレート0.505g(0.0045モル)を、乾燥トルエン10mLに溶解した。化合物103 8.67g(0.02モル)を乾燥トルエン30mLに溶解し、そして、開始剤溶液に添加した。この溶液を、60℃で6時間加熱した(備考:NORが存在する場合には、重合温度は、NORの分解を避けるために、110℃を越えるべきではない。)。室温に冷却した後、試料5mL(E1)を採取した。その後、乾燥トルエン40mL中のメチルメタクリレート11.21g(0.108モル)の溶液を滴下し、そして、混合物を室温で一晩撹拌した。メタノール5mLを用いて反応を停止し、そして溶剤を真空下で除去した。ポリマーをメタノール中で沈澱させ、そして恒量まで、60℃真空下で一晩乾燥した。
ブロックコポリマー(E2)が、白色固体として得られた。
【表3】

【0070】
2.櫛形コポリマー形成、“グラフト化”段階
実施例E3:
磁気撹拌棒及びアルゴン入口を備えたビュチ小型オートクレーブ内において、E2 2.5gを、スチレン/アクリロニトリル(比率3:1)混合物32.25gに溶解した。この溶液を氷浴中で冷却することにより脱ガスし、その後、アルゴンを用いてパージした。その後、オートクレーブを油浴中に浸漬し、そして110℃で6時間加熱した。室温に冷却した後、メタノール中でこの溶液から沈澱物を得、そして恒量まで、30℃真空下で乾燥させた。反応生成物をGPCにより分析し、そして櫛形コポリマー収量(=ブロックコポリマー骨核からグラフトされたスチレン/アクリロニトリルモノマーの量)を、重量測定法で決定した。
櫛形コポリマー(E3)が、白色固体として得られた。
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
櫛形ブロックコポリマーの製造方法であって、
a1)第一段階において、ポリエーテルを得るために、一つ又はそれより多くのエポキシ基を含むモノマーであって、少なくとも一つのモノマーが次式(I):
【化1】

[式中、Lは炭素原子数1ないし18のアルキレン基、フェニレン基、フェニレン−炭素原子数1ないし18のアルキレン基、炭素原子数1ないし18のアルキレン−フェニレン基、炭素原子数1ないし18のアルキレン−フェニレンオキシ基及び炭素原子数5ないし12のシクロアルキレン基からなる群から選択された結合基を表わし、
p 及びRq は独立して、非置換或いは一つ若しくはそれより多くの電子吸引性基により又はフェニル基により置換された第三級結合した炭素原子数4ないし28のアルキル基を表わし、或いは、
p 及びRq は一緒になって、少なくとも四つの炭素原子数1ないし4のアルキル基により置換され且つ更に窒素原子又は酸素原子により中断され得る5又は6員ヘテロ環を形成する。]で表わされるところのモノマーの第一ブロックをアニオン重合により作成すること、
a2)第二段階において、モノマーが共役ジエン、スチレン、置換スチレン、ケトン又は式(Ia):
【化2】

[式中、R301 は水素原子又は炭素原子数1ないし4のアルキル基を表わし、L1 は−CN基又は−COOR300 基を表わし、そしてR300 は炭素原子数1ないし36のアルキル基を表わす。]で表わされる化合物であるところのモノマーの第二ブロックをアニオン重合により作成すること、並びに、第三段階において、
b)前記第二段階において得られたポリマーに少なくとも一つのエチレン性不飽和モノマーを添加し、得られた混合物を、ニトロキシルエーテル結合の開裂が起き及びラジカル重合が開始する温度に加熱すること、及び所望の程度に重合すること、
を含む方法。
【請求項2】
前記段階a1)及びa2)が逆の順序で行われる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
式(I)で表わされる前記モノマーが次式(II):
【化3】

[式中、
1 、R2 、R3 及びR4 は互いに独立して炭素原子数1ないし4のアルキル基を表わし、
5 は水素原子又は炭素原子数1ないし4のアルキル基を表わし、
R’6 は水素原子を表わし、そして
6 は水素原子、−OR10基、−NR1011基、−O−C(O)−R10基又は−NR11−C(O)−R10基を表わし、
10及びR11は独立して、炭素原子数1ないし18のアルキル基、炭素原子数2ないし18のアルケニル基、炭素原子数2ないし18のアルキニル基を表わし、或いは、R6 が−NR1011基を表わす場合には、
10及びR11は一緒になって、炭素原子数2ないし12のアルキレンブリッジ、又は、少なくとも一つの酸素原子により中断された炭素原子数2ないし12のアルキレンブリッジを表わし、或いは、
6 及びR’6 は共に水素原子を表わし、また一緒になって基=O又は基=N−O−R20を表わし、ここで、
20は直鎖状又は分岐鎖状の炭素原子数1ないし18のアルキル基、炭素原子数3ないし18のアルケニル基又は炭素原子数3ないし18のアルキニル基、炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基又は炭素原子数5ないし12のシクロアルケニル基、フェニル基、炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基、或いは、非置換、又は、一つ又はそれより多くの炭素原子数1ないし8のアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1ないし8のアルコキシ基により置換され得るナフチル基、−C(O)−炭素原子数1ないし36のアルキル基又はSi(Me)3 基を表わし、或いは、
6 及びR’6 は独立して、−O−炭素原子数1ないし12のアルキル基、−O−炭素原子数3ないし12のアルケニル基、−O−炭素原子数3ないし12のアルキニル基、−O−炭素原子数5ないし8のシクロアルキル基、−O−フェニル基、−O−ナフチル基、−O−炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基を表わし、或いは、
6 及びR’6 は一緒になって、二価基:−O−C(R21)(R22)−CH(R23)−O−、−O−CH(R21)−CH2 −C(R22)(R23)−O−、−O−CH(R22)−CH2 −C(R21)(R23)−O−、−O−CH2 −C(R21)(R22)−CH(R23)−O−、−O−o−フェニレン−O−、−O−1,2−シクロヘキシリデン−O−、−O−CH2 −CH=CH−CH2 −O−又は
【化4】

の一つを形成し、これらの式中、
21は水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、−COO(炭素原子数1ないし12)のアルキル基又は−CH2 OR24を表わし、
22及びR23は独立して、水素原子、メチル基又はエチル基を表わし、
24は炭素原子数1ないし12のアルキル基、ベンジル基又は炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基を表わし、そして
7 及びR8 は独立して、水素原子又は炭素原子数1ないし18のアルキル基を表わす。]で表わされるものである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記R1 、R2 、R3 及びR4 がメチル基を表わすか、又は、前記R1 及びR3 がエチル基を表わし、そして前記R2 及びR4 がメチル基を表わすか、又は、前記R1 及びR2 がエチル基を表わし、そして前記R3 及びR4 がメチル基を表わす、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記R5 が水素原子又はメチル基を表わす、請求項3記載の方法。
【請求項6】
前記式中、
R’6 が水素原子を表わし、そしてR6 が水素原子、−OR10基、−NR1011基、−O−C(O)−R10基又は−NR11−C(O)−R10基を表わし、
10及びR11が独立して、水素原子、炭素原子数1ないし18のアルキル基、炭素原子数2ないし18のアルケニル基、炭素原子数2ないし18のアルキニル基を表わし、或いは、R6 が−NR1011基を表わす場合には、R10及びR11は一緒になって、炭素原子数2ないし12のアルキレンブリッジ、又は、少なくとも一つの酸素原子により中断された炭素原子数2ないし12のアルキレンブリッジを表わし、或いは、
6 及びR’6 が共に水素原子を表わし、また一緒になって基=O又は基=N−O−R20を表わし、ここで、
20は直鎖状又は分岐鎖状の炭素原子数1ないし18のアルキル基を表わす、請求項3記載の方法。
【請求項7】
前記式中、
6 及びR’6 は一緒になって、二価基:−O−C(R21)(R22)−CH(R23)−O−、−O−CH(R21)−CH2 −C(R22)(R23)−O−、−O−CH(R22)−CH2 −C(R21)(R23)−O−、−O−CH2 −C(R21)(R22)−CH(R23)−O−の一つを形成し、そして、
21、R22及びR23は、請求項3において定義されたものと同じ意味を表わす、請求項3記載の方法。
【請求項8】
式(I)とは異なる前記エポキシ基を含むモノマーが、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、2,3−エポキシプロピル−フェニルエーテル、2,3−エポキシプロピル−4−ノニル−フェニルエーテル、エピクロロヒドリン及び2,3−エポキシプロピル−2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルエーテルからなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記段階a)において、式(I)で表わされるモノマー対他のモノマーの合計のモル比が100:0ないし1:99である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記モノマーにおいて、前記段階a2)のモノマーが、ブタジエン、スチレン、置換スチレン、ケトン及び式(Ia):
【化5】

[式中、R301 は水素原子又は炭素原子数1ないし4のアルキル基を表わし、L1 は−CN基又は−COOR300 基を表わし、そしてR300 は炭素原子数1ないし36のアルキル基を表わす。]で表わされる化合物からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記段階b)において、前記エチレン性不飽和モノマー又はオリゴマーが、スチレン、置換スチレン、共役ジエン、(アルキル)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル及び(アルキル)アクリルアミドからなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記段階b)において、前記エチレン性不飽和モノマーが、スチレン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、第三ブチルアクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート又はアクリロニトリルである、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記段階b)において、前記段階a1)及びa2)において製造されたブロックコポリマーと前記段階b)において添加されたエチレン性不飽和モノマーとの重量比が90:10ないし10:90である、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記段階b)において、重合温度が80℃ないし160℃である、請求項1記載の方法。
【請求項15】
請求項1記載の方法の段階a1)及びa2)により得ることが可能なブロックコポリマー。
【請求項16】
請求項1記載の方法により得ることが可能な櫛形ブロックコポリマー。
【請求項17】
請求項1記載の方法により得ることが可能な櫛形ブロックコポリマーの、接着剤、表面改良剤、界面活性剤としての、或いは、熱可塑性、弾性又は熱硬化性ポリマーにおける相溶化剤としての、或いは、部品成形のための押出又は射出成形用プラスチック材としての使用。

【公表番号】特表2008−540716(P2008−540716A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509411(P2008−509411)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【国際出願番号】PCT/EP2006/061774
【国際公開番号】WO2006/117302
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】