説明

エポキシ樹脂の連続的製造方法

アミン官能性を有するエポキシ樹脂は、連続的に、エポキシ官能性樹脂が開環付加によって作られる第一の反応帯域と、該樹脂がアミンと反応してエポキシ官能性生成物を作る第二の反応帯域と、エポキシ官能性生成物がアミンと反応して、アミン官能性を有するエポキシ樹脂を作る第三の反応帯域を通じて製造される。他の実施態様において、幾つかのアミンは、第一の反応帯域中で添加されて、第二の反応帯域を排除して、エポキシ官能性生成物が生成され、又は全てのアミン反応物は第一の反応帯域で添加されて、第二の及び第三の反応帯域の両方を排除して、アミン官能性生成物が生成されうる。場合により、溶剤は、蒸発帯域中で除去され、そして連続プロセス中に再循環され、そして架橋剤、添加剤を導入するために、かつ樹脂を乳化するために更なる帯域が含まれてよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミン官能性樹脂を、ポリエポキシドから、特に電着塗料組成物用にエポキシ樹脂から製造する方法に関する。
【0002】
開示の背景
この箇所の記載は、単に、本開示に関連した情報を提供するだけで、先行技術を成さないこともある。
【0003】
電着コーティング("電着")組成物及び方法は、今日の産業で広範に使用される。電着浴は、通常は、水中もしくは水と有機助溶剤との混合物中でイオン性安定化を有する、主たる皮膜形成性のエポキシ樹脂(本開示では"ポリマー"及び"樹脂"が同義で使用される)を含む水性の分散液もしくはエマルジョンを含む。耐久性の電着被膜が望まれる自動車もしくは工業的な用途においては、電着組成物は、硬化性(熱硬化性)の組成物として調合される。これは、通常は、主たる被膜形成性の樹脂と一緒に、該主たる樹脂上の官能基と好適な条件下で、例えば熱を加えることで反応することができ、こうしてコーティングを硬化しうる架橋剤を乳化させることによって達成される。電着の間に、比較的低い分子量を有するイオン的に荷電された樹脂を含有するコーティング材料は、導電性基体上へと、電着浴中に前記基体を浸し、次いで該基体と反対の電荷の極、例えばステンレス鋼電極との間に電位をかけることによって堆積される。荷電されたコーティング材料は、導電性の基体上に移動し、そこに堆積する。被覆された基体は、次いで加熱され、コーティングは硬化もしくは架橋する。
【0004】
陰極電着法では、塗被物は陰極である。陰極電着コーティング法で使用される水分散性樹脂は、正に荷電しうる親水性基として、第一級の、第二級の、第三級の及び/又は第四級のアミン部などのアミン官能基を有する。かかる樹脂は、現在では、幾つかの工程の前に冷却が必要とされる場合がある多くの工程を含むバッチ方法によって製造される。ビニルポリマーの製造のための連続法は、Campbell他の米国特許第6,552,144、Villalobos他の米国特許第6,605,681並びにこれらの特許の背景の箇所に記載される文献に開示されている。これらの方法は、フリーラジカル連鎖反応重合を考慮しているが、アミン官能性エポキシ樹脂を製造するといった段階的重合は考慮していない。
【0005】
開示の要旨
本開示は、アミン官能性を有するエポキシ樹脂の連続的な製造のための方法及び装置を記載している。
【0006】
該方法の一実施態様においては、アミン官能性を有するエポキシ樹脂は、連続的に、(a)ポリエポキシド、連鎖延長剤(少なくとも2個の活性水素含有基を有する反応物、"延長剤"とも呼ばれる)、及び場合により1種以上の一官能性の(連鎖停止剤)反応物及び/又は3個以上の反応性基を有する多官能性の反応物を、触媒と一緒に、開環重合(もしくは連鎖延長)が行われる第一の反応帯域中に約60分以下の平均滞留時間の間で導入し、そしてエポキシ官能性エポキシ樹脂を、第一の反応帯域から、前記反応物及び触媒が導入されるのと同じ速度で取り出すこと;(b)第二の反応帯域中に、エポキシ樹脂及び活性水素を有するアミンもしくはかかるアミンの混合物を、エポキシ樹脂が第一の反応帯域から取り出されるのと同じ速度で供給し(その際、アミンのエポキシ基への開環付加が第二の反応帯域で起こり、前記エポキシ樹脂及びアミン反応物は、第二の反応帯域中で約60分以下の平均滞留時間を有する)、そしてエポキシ官能性の生成物を第二の反応帯域から、エポキシ樹脂及びアミン反応物が第二の反応帯域に導入されるのと同じ速度で取り出すこと;(c)第二の反応帯域のエポキシ官能性の生成物及び活性水素を有するアミンもしくはかかるアミンの混合物を反応物として、第三の反応帯域中に、エポキシ官能性の生成物が第二の反応帯域から取り出されるのと同じ速度で供給し(その際、該反応物は約60分以下の第三の反応帯域中での平均滞留時間を有する)、その際、アミンのエポキシ基への開環付加が第三の反応帯域で起こり、アミン官能性を有するエポキシ樹脂が生成し、それを、第三の反応帯域から、前記反応物が第三の反応帯域中に供給されるのと同じ速度で取り出すこと;及び(d)場合により、第三の反応帯域からのアミン官能性を有するエポキシ樹脂を、生成物中に存在する任意の溶剤、残留反応物及び/又は副生成物の所望の量が取り出される蒸発帯域中に導入すること(その際、アミン官能性を有するエポキシ樹脂は、蒸発帯域中に、そして蒸発帯域から、アミン官能性を有するエポキシ樹脂が第三の反応帯域から取り出されるのと同じ速度で導入され、そして取り出される)、によって製造される。蒸発帯域から取り出される任意の溶剤もしくは残留反応物は、場合により、好適な箇所でプロセス中に再循環させてよい。
【0007】
類似の一実施態様においては、工程(a)は、触媒を添加せずに実施される。第一の反応帯域の温度は、十分に高いので、ポリエポキシド、延長剤及び如何なる任意の共反応物の反応も触媒を用いずに進行する。
【0008】
該方法のもう一つの実施態様においては、アミン官能性を有するエポキシ樹脂は、連続的に、(a)ポリエポキシド、連鎖延長剤、活性水素を有するアミンもしくはかかるアミンの混合物、及び場合により1種以上の一官能性の反応物及び/又は3個以上の反応性基を有する多官能性の反応物を、触媒と一緒に、開環重合が行われる第一の反応帯域中に約60分以下の平均滞留時間の間で導入し、そしてエポキシ官能性エポキシ樹脂生成物を、第一の反応帯域から、前記反応物が導入されるのと同じ速度で取り出すこと;(b)第二の反応帯域中に、第一の反応帯域のエポキシ官能性生成物を、エポキシ官能性生成物が第一の反応帯域から取り出されるのと同じ速度で供給し、そして活性水素を有するアミンもしくはかかるアミンの混合物を反応物として供給し(その際、該反応物は、第二の反応帯域中で約60分以下の平均滞留時間を有する)、アミン官能性を有するエポキシ樹脂が生成し、それを、第二の反応帯域から、該反応物が第二の反応帯域中に供給されるのと同じ速度で取り出すこと;(c)場合により、第二の反応帯域からのアミン官能性を有するエポキシ樹脂を、生成物中に存在する任意の溶剤、残留反応物及び/又は副生成物の所望の量が取り出される蒸発帯域中に導入すること(その際、アミン官能性を有するエポキシ樹脂は、蒸発帯域中に、そして蒸発帯域から、アミン官能性を有するエポキシ樹脂が第二の反応帯域から取り出されるのと同じ速度で導入され、そして取り出される)、によって製造される。蒸発帯域から取り出される任意の溶剤もしくは残留反応物は、場合により、好適な箇所でプロセス中に再循環させてよい。この実施態様の一例においては、開環重合を触媒するのに十分に塩基性の、反応物であってもよいアミンは、工程(a)の反応物において触媒として含まれる。同様の一実施態様においては、工程(a)は、触媒を添加せずに実施されるが、第一の反応帯域の温度は十分に高いので、ポリエポキシド、延長剤、アミン及び如何なる任意の共反応物の反応も触媒を用いずに進行する。
【0009】
該方法のもう一つの実施態様においては、アミン官能性を有するエポキシ樹脂は、連続的に、(a)ポリエポキシド、連鎖延長剤、活性水素を有するアミンもしくはかかるアミンの混合物、及び場合により1種以上の一官能性の反応物及び/又は3個以上の反応性基を有する多官能性の反応物を、反応が行われる反応帯域中に約60分以下の平均滞留時間の間で導入し、アミン官能性を有するエポキシ樹脂が生成し、それを、該反応帯域から、該反応物が該反応帯域中に供給されるのと同じ速度で取り出すこと;及び(b)場合により、第二の反応帯域からのアミン官能性を有するエポキシ樹脂を、生成物中に存在する任意の溶剤の所望の量が取り出され、任意の残留反応物が取り出されることがある蒸発帯域中に導入すること(その際、アミン官能性を有するエポキシ樹脂は、蒸発帯域中に、そして蒸発帯域から、アミン官能性を有するエポキシ樹脂が第三の反応帯域から取り出されるのと同じ速度で導入され、そして取り出される)、によって製造される。蒸発帯域から回収される任意の溶剤もしくは反応物は、場合により、好適な箇所でプロセス中に再循環させてよい。この実施態様の一例においては、開環重合を触媒するのに十分に塩基性のアミンは、工程(a)の反応物中に含まれる。もう一つの例においては、異なる触媒が、反応のために工程(a)で使用される。同様の一実施態様においては、工程(a)は、触媒を添加せずに実施されるが、第一の反応帯域の温度は十分に高いので、ポリエポキシド、延長剤、アミン及び如何なる任意の共反応物の反応も触媒を用いずに進行する。
【0010】
様々な実施態様において、前記方法は、他の材料がアミン官能性を有するエポキシ樹脂と混合され、該混合物が水性媒体中に分散される更なる工程を含む。一例においては、連続的な製造は、アミン官能性を有するエポキシ樹脂を最後の反応帯域後(例えば蒸発帯域後)の箇所で、溶剤、可塑剤、架橋剤、添加剤及び水性媒体(例えば樹脂の塩形成のために1種以上の酸と、場合により水混和性もしくは水溶性の有機助溶剤を含有する脱イオン水)から選択される他の材料が導入される1つ以上の混合帯域及び/又は混合及び冷却帯域に通過させることによって継続される。もう一つの例においては、連続的な製造は、アミン官能性を有するエポキシ樹脂を最後の反応帯域後(例えば蒸発帯域後)の箇所で、溶剤、可塑剤、架橋剤及び添加剤が導入され、次いで得られた混合物が水性媒体(例えば樹脂の塩形成のために1種以上の酸と、場合により水混和性もしくは水溶性の有機助溶剤を含有する脱イオン水)を含有する複数の容器の1つ中に導入されて分散液が調製される1つ以上の混合帯域及び/又は混合及び冷却帯域に通過させることによって継続される。
【0011】
該方法の実施のための装置は、ポリエポキシド反応物、延長剤反応物、場合により一官能性反応物及び(場合により)触媒の1もしくはそれより多くの計量供給源を第一の反応帯域の上流で該帯域と流体的に連絡されて含み、第二の反応帯域を第一の反応帯域の下流で該帯域と流体的に連絡されて第一の生成物の受容のために含み、活性水素を有するアミンの計量供給源を、第二の反応帯域の上流で第二の反応帯域と連絡されて含み、第三の反応帯域を第二の反応帯域の下流で該帯域と流体的に連絡されて第二の生成物の受容のために含み、そして活性水素を有するアミンの計量供給源を第三の反応帯域の上流で第三の反応帯域と連絡されて含む。一定の実施態様においては、該装置は、蒸発帯域を、第三の反応帯域と流体的に連絡されて該帯域の下流で含んでよい。蒸発帯域中で回収されうる溶剤、残留反応物もしくはその両方は、該装置の好適な計量供給源中に再循環されてよい。
【0012】
該方法の実施のための装置のもう一つの実施態様は、ポリエポキシド反応物、延長剤反応物、活性水素を有するアミン、場合により一官能性反応物及び(場合により)触媒の1もしくはそれより多くの計量供給源を第一の反応帯域の上流で該帯域と流体的に連絡されて含み、そして第二の反応帯域を第一の反応帯域の下流で該帯域と流体的に連絡されて第一の生成物の受容のために含み、活性水素を有するアミンの計量供給源を第二の反応帯域の上流で第二の反応帯域と流体的に連絡されて含む。一定の実施態様においては、該装置は、蒸発帯域を、第二の反応帯域と流体的に連絡されて該帯域の下流で含んでよい。蒸発帯域中で回収されうる溶剤、残留反応物もしくはその両方は、該装置の好適な計量供給源中に再循環されてよい。
【0013】
該方法の実施のための装置のもう一つの実施態様は、ポリエポキシド反応物、延長剤反応物、活性水素を有するアミン、場合により一官能性及び/又は多官能性の反応物及び(場合により)触媒の1もしくはそれより多くの計量供給源を反応帯域の上流で該帯域と流体的に連絡されて含む。一定の実施態様においては、該装置は、蒸発帯域を、該反応帯域と流体的に連絡されて該帯域の下流で含んでよい。蒸発帯域中で回収されうる溶剤、残留反応物もしくはその両方は、該装置の好適な計量供給源中に再循環されてよい。
【0014】
様々な実施態様において、該装置は、更なる材料、例えば溶剤、可塑剤、架橋剤、添加剤及び水性媒体の関連した計量供給源を有する更なる混合帯域を含んでよく、又は該装置は、更なる材料、例えば溶剤、可塑剤、架橋剤及び添加剤の関連した計量供給源と、場合によりアミン官能性を有するエポキシ樹脂を水性媒体中に分散させるための複数の容器とを有する更なる混合帯域を含んでよい。
【0015】
本願で用いられる"1つの"などは、可能な場合は、"少なくとも1つの"そのものが存在すること、複数のそのものが存在してよいことを示している。詳細な説明の終わりにある実施例以外では、特許請求の範囲を含む明細書中のパラメータ(例えば量もしくは条件)の全てのパラメータ値は、全ての場合において、その数値の前に実際に"約"があろうとなかろうと、用語"約"によって修飾されるものと理解されるべきである。"約"は、示された数値が幾らかの僅かな不正確さを可能にすることを示している(数値の正確さに対するいくらかのアプローチを伴って;その値にほぼ又はかなり近い;ほとんど)。"約"により与えられる不正確さがそれにもかかわらず当該技術分野においてこの通常の意味をもって理解されないのであれば、本願で示される"約"は、少なくとも、通常の測定法からかかるパラメータを用いて生じうるずれを示している。加えて、範囲の開示は、全ての値と、全範囲内の細分された範囲の開示も含む。
【0016】
更なる適用範囲の領域は、本願にある詳細な説明から明らかになる。詳細な説明及び特定の実施例は、説明を目的とするに過ぎず、本開示の範囲を制限することを意図するものではないと理解されるべきである。
【0017】
本発明を、付随の図面を参照して説明する。その際、同じ番号は同じ要素を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、アミン官能性を有するエポキシ樹脂の連続的な製造のための3個の反応帯域を有する装置の一例を示すブロック図である。
【図2】図2は、アミン官能性を有するエポキシ樹脂の連続的な製造のための2個の反応帯域を有する装置の一例を示すブロック図である。
【図3】図3は、アミン官能性を有するエポキシ樹脂の連続的な製造のための単独の反応帯域を有する装置の一例を示すブロック図である。
【図4】図4は、アミン官能性を有するエポキシ樹脂の連続的な製造のための単独の反応帯域を有する選択的な装置の一例を示すブロック図である。
【図5】図5は、アミン官能性を有する生成物のエポキシ樹脂の、最後の反応帯域を出た後の代替的な連続的な処理の一例を示すブロック図である。
【図6】図6は、アミン官能性を有する生成物のエポキシ樹脂の、最後の反応帯域を出た後の代替的な連続的な処理のもう一つの例を示すブロック図である。
【0019】
詳細な説明
以下の詳細な説明は、単に例示を性質とするものであり、本開示、用途もしくは使用を制限することを意図するものではない。
【0020】
図1は、開示された方法を実施するための装置の一実施態様を図示している。図1は様々な特定の反応物の略語及び指示を含むが、該方法及び装置は、これらの特定の反応物に制限されるものではないと理解されるべきである。ここで図1を参照すると、該反応装置は、エポキシ重合反応のための反応物及び触媒を連続的に供給するための源としてはたらく少なくとも2個の計量供給タンク2、4を含む。エポキシ官能性のプレポリマー生成物Cは、過剰のポリエポキシドと、延長剤及び場合により一官能性反応物と反応された反応生成物である。該ポリエポキシドは、モノマーもしくはオリゴマーであってよい。図1に示されるポリエポキシドの一例は、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA)又はビスフェノールAのジグリシジルエーテルから誘導された樹脂であり、かつ延長剤の一例は、ジフェノール反応物、例えば図1に示されるビスフェノールA(BPA)である。含まれてよい一官能性反応物の例は、フェノール(図1に示される)又はフェノールのグリシジルエーテルである。図1は、触媒が使用される一実施態様を説明している。反応物及び触媒は、計量供給タンク2、4の内容物が反応器10中に供給されるまで反応を抑制するように、計量供給タンク2、4の間で分けられている。計量供給タンク2、4の間での材料の分離は、異なる様式で行ってよい。一実施態様、つまり図1に示される実施態様においては、反応物であるモノマー(ポリエポキシド、延長剤及び一官能性反応物)は、タンク2に装填され、そして触媒(図1では"TPP"と例示される)は、タンク4に装填される。計量供給を容易にするために、触媒は、この場合には、溶剤で希釈される。一定の実施態様においては、開環重合を触媒するのに十分に塩基性のアミンは、反応物中に含まれている。一定の実施態様においては、溶剤は、図1に示されるように、ポリエポキシド、延長剤もしくは他の反応物と一緒に、特に高粘性の混合物の場合において含むことが望ましいことがある。もう一つの実施態様においては、エポキシ官能性反応物及び活性水素官能性反応物は、別個の計量供給タンクに装填される。例えばエポキシ官能性反応物はタンク2に装填され、そして活性水素官能性反応物はタンク4に装填される。この実施態様において、触媒は、いずれかのタンクもしくは両方のタンクに又は更なる計量供給タンク中に含まれていてよい。改めて、溶剤は、計量供給もしくは粘度制御を容易にするために含まれていてよい。
【0021】
もちろん、より多くの計量供給タンクが存在してよく、その際、それらのタンクの間で反応物は更に分けられる。しかしながら、単純にするために、計量供給タンクの数は最小限に保つことが良策である。該計量供給タンクは、反応帯域へとよく混合された材料供給物を提供するための撹拌装置、例えば撹拌機、スタティック混合エレメント、混練エレメントなどを含んでよい。計量供給タンクは、加熱することもできてよい。計量供給タンクの内容物は加熱により粘度が低減されることがある。ポンプもしくは圧力は、材料を計量供給タンクから反応帯域へと供給するために使用でき、又は計量供給タンクは、重力によって反応帯域中に供給することもできる。
【0022】
図1において、計量供給タンク2、4の内容物は、第一の反応帯域10中に供給される。開示された連続的流動反応のための反応帯域を提供するのに適した装置の例は、それらに制限されないが、連続撹拌槽反応器("CSTR")、管形反応器、テーパ付反応器、テイラー反応器、他の種類のプラグ流反応器、ループ型反応器、押出反応器及びこれらの組み合わせを含む。これらの反応器は、水平に、鉛直にもしくは角度をもって構成されていてよい。該反応帯域は、反応帯域中の温度の精密制御のための手段、例えば冷却ジャケット及び加熱ジャケットによる制御、内部加熱コイル、内部冷却コイル、内部加熱もしくは冷却混合エレメント、外部加熱もしくは冷却エレメント、例えば拡張フィン、他の温度制御装置又はこれらの組み合わせを有するべきである。該反応帯域は、また、よく混合された反応帯域を提供するための撹拌装置、例えば撹拌機、スタティック混合エレメント、オーガー、一軸スクリュー及び二軸スクリュー、回転パドル、回転ドラム、ロータ・ステータアレイなどを含んでもよい。反応帯域は、ヘッドスペースを伴って又は伴わずに運転することができる。該反応帯域がヘッドスペースを有さずに、その代わりに液体で満たされている場合に、生産性は高まり、ヘッドスペース中の装置の汚損が回避される。"液体で満たされている"は、使用可能な容量の全てが液体で満たされているので、反応帯域容器がヘッドスペースを伴わずに運転されることを意味するために使用される。
【0023】
好適なポリエポキシド反応物は、制限されないが、ジグリシジル芳香族化合物、例えば多価フェノール、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシアセトフェノン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニレン)エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、2−メチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、1,5−ジヒドロキシ−3−ナフタレン及び他のジヒドロキシナフチレン、カテコール、レゾルシノールなどのジグリシジルエーテルを含む。また好適なのは、脂肪族ジオールのジグリシジルエーテル、例えば1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ(テトラヒドロフラン)、1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンなどのジグリシジルエーテルである。ジカルボン酸のジグリシジルエステルは、またポリエポキシドとして使用することもできる。特定の化合物の例は、シュウ酸、シクロヘキサン二酢酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などのジグリシジルエステルを含む。ポリグリシジル反応物は、好ましくは少量でジエポキシド反応物と組み合わせて使用してよい。ノボラックエポキシドは、ポリエポキシド官能性反応物として使用してよい。ノボラックエポキシ樹脂は、エポキシフェノールノボラック樹脂もしくはエポキシクレゾールノボラック樹脂から選択できる。他の好適な高級官能性ポリエポキシドは、トリオール及び高級ポリオールのグリシジルエーテル及びエステル、例えばトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール及びグリセロール;トリカルボン酸もしくはポリカルボン酸のトリグリシジルエーテルである。また、ポリエポキシドとして有用なのは、エポキシ化アルカン、例えばシクロヘキセンオキシド及びエポキシ化脂肪酸及び脂肪酸誘導体、例えばエポキシ化大豆油である。他の有用なポリエポキシドは、制限されないが、ポリエポキシドポリマー、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂及びエポキシ樹脂及びポリマー並びにエポキシ変性されたポリブタジエン、ポリイソプレン、アクリロブタジエンニトリルコポリマー又は他のエポキシ変性されたゴムを基礎とする複数のエポキシ基を有するポリマーを含む。図1に示される例においては、ポリエポキシド反応物は、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA)及び/又はDGBPAのオリゴマーである。例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルは、約175〜約225g/当量のエポキシ当量(EEW)を有してよい。
【0024】
好適な延長剤は、少なくとも2個の活性水素含有基を有し、かつポリカルボン酸、ポリオール、ポリフェノール及び2個以上のアミノ水素を有するアミン、特にジカルボン酸、ジオール、ジフェノール及びジアミンを含む。特に、好適な延長剤の制限されない例は、ジフェノール、ジオール及び二酸、例えばポリエポキシの形成に関連して前記されたもの;ポリカプロラクトンジオール及びエトキシ化ビスフェノールA、例えばBASF Corporation社から商品名MACOL(登録商標)として入手できるものを含む。他の好適な延長剤は、制限されないが、カルボキシ官能性もしくはアミン官能性のアクリル、ポリエステル、ポリエーテル及びエポキシ樹脂及びポリマーを含む。更なる他の好適な延長剤は、制限されないが、ポリアミン、例えばジアミン、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノブチルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノブチルアミン、ジプロピルアミン及びピペリジン、例えば1−(2−アミノエチル)ピペラジン、ポリアルキレンポリアミン、例えばトリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、トリプロピレンテトラミン、テトラプロピレンペンタミン、ペンタプロピレンヘキサミン、N,N′−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)プロパン−1,3−ジアミン並びにポリオキシアルキレンアミン、例えばBASF AG社から商品名POLYAMIN(登録商標)として得られるもの又はHuntsman社から商品名JEFFAMINE(登録商標)として得られるものを含む。図1は、延長剤反応物としてビスフェノールA(BPA)を示している。
【0025】
場合により含まれていてよい一官能性反応物は、制限されないが、フェノール、アルキルフェノール、例えばノニルフェノール及びドデシルフェノール、他の一官能性のエポキシ反応性化合物、例えばジメチルエタノールアミン及びモノエポキシド、例えばフェノールのグリシジルエーテル、ノニルフェノールのグリシジルエーテル又はクレゾールのグリシジルエーテル及び二量体脂肪酸である。図1は、一官能性反応物としてフェノールを示している。
【0026】
有用な触媒は、オキシラン環を活性化する触媒、例えば第三級アミンもしくは第四級アンモニウム塩(例えばベンジルジメチルアミン、ジメチルアミノシクロヘキサン、トリエチルアミン、N−メチルイミダゾール、テトラメチルアンモニウムブロミド及びテトラブチルアンモニウムヒドロキシド)、スズ及び/又はリンの錯塩(例えば(CH33SNI、(CH34PI、トリフェニルホスフィン、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド、テトラブチルホスホニウムヨージド)などを含む。当該技術分野においては、第三級アミン触媒は、幾つかの反応で好ましいことがあると知られている。図1は、触媒としてトリフェニルホスフィン(TPP)を示している。
【0027】
好適な溶剤は、制限されないが、不活性有機溶剤、例えばケトン、例えばメチルイソブチルケトン及びメチルアミルケトン、芳香族溶剤、例えばトルエン、キシレン、Aromatic 100及びAromatic 150並びにエステル、例えばブチルアセテート、n−プロピルアセテート、ヘキシルアセテートを含む。
【0028】
再び、図1に示される特定の例を参照すると、液体混合物(A)であって、約50〜約90質量%のビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBPA)(エポキシ当量=175〜225g/当量)、約10〜約30質量%のビスフェノールA(BPA)、0〜約20質量%のフェノールもしくはフェノール誘導体(例えばアルキルフェノールなど)(図1では"PHENOL"と示される)及び場合により0〜約20質量%の好適な溶剤(例えばキシレン)を含む混合物は、計量供給タンク2において、約50℃〜約135℃で保持され、そのタンクから、連続的に、約100℃〜約350℃(他の実施態様では160℃〜250℃)の温度で運転する第一の反応帯域10に添加される。特定のエポキシ当量、反応物のパーセンテージ及び反応温度は、選択された特定の反応物及び所望の生成物に応じて適合される。エポキシ官能性反応生成物を製造するために、ポリエポキシド及び任意の一官能性のエポキシド反応物の当量は、連鎖延長剤及びエポキシドと反応性の任意の一官能性反応物の当量と比較して僅かにないし中程度に過剰(例えば5〜50%の当量過剰)に保たれる。計量供給タンク2は、これらの材料の源としてはたらき、第一の反応帯域10に材料を連続的に添加することを可能にする間隔で補充される。約10〜約90質量%の好適な触媒、例えばトリフェニルホスフィン(TPP)及び約90〜約10質量%の好適な溶剤(例えばキシレン)の液体混合物(B)は、計量供給タンク4中で約50℃〜約125℃で保持され、そのタンクから連続的に、第一の反応帯域10にそれが添加される。計量供給タンク2、4からの液体混合物(A)及び液体混合物(B)の供給速度は、それぞれ互いに調整されるので、第一の反応帯域10中への反応物の全供給物中の触媒(例えばTPP)の濃度は、約0.001〜約1.0質量%で保持される。計量供給タンク2、4からの全供給速度も制御されているので、第一の反応帯域10中の材料の平均滞留時間は、約60分未満である。他の実施態様においては、第一の反応帯域10中の材料の滞留時間は、約30分未満又は約15分未満であってよい。条件(温度、平均滞留時間)は、連続的な製造方法を始めるときに、所望のエポキシ官能性生成物が生ずるように調整される。
【0029】
第一の反応帯域の反応生成物(C)、つまり例えば約400〜約600g/当量のエポキシ当量EEWを有するエポキシ官能性樹脂は、連続的に、第一の反応帯域10から、混合物(A)と(B)の第一の反応帯域10への合わせた質量供給速度と同じ質量速度で取り出される。反応生成物(C)は、連続的に、反応帯域10から取り出されるのと同じ質量速度で、約120℃〜約300℃の温度で運転している第二の反応帯域20へと供給される。様々な他の実施態様においては、該反応生成物(C)は、約450〜約575もしくは約500〜約550のEEWを有してよい。約50〜約100%の活性水素を有するアミンもしくはかかるアミンの混合物(図1では、DEOA、ジエタノールアミンで表される)及び0〜約50%の好適な溶剤を含む液体混合物(D)は、計量供給タンク12において約50℃〜約125℃で保持され、そのタンクから、液体混合物(D)は、連続的に、第二の反応帯域20へと供給される。
【0030】
液体混合物(D)において使用できるアミンの他の好適な例は、制限されないが、アルカノールアミン、例えばジプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジブタノールアミン、ジイソブタノールアミン、ジグリコールアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、液体混合物(F)に関して以下に挙げるアミンなどを含む。溶剤の好適な例は、計量供給タンク2、4に関して上述したものを含む。
【0031】
液体混合物(D)の供給速度は、アミンの濃度が約1〜約30質量%の生成物(C)となるように制御されるように、液体混合物(D)及び生成物(C)中のアミン当量及び溶剤の量に依存して、エポキシ官能性反応生成物が生ずるように調整される。第二の反応帯域20の反応容量は、反応帯域20中の平均滞留時間が約60分以下であるように制御される。様々な実施態様においては、反応帯域中の平均滞留時間は、約30分以下又は約15分以下であってよい。計量供給タンク12は、液体混合物(D)の連続的な供給速度を保証する間隔で補充される。
【0032】
第二の反応帯域20の反応生成物(E)は、約450〜約1000g/当量のエポキシ当量EEWを有してよい。様々な実施態様において、反応生成物(E)は、約500〜約850g/当量もしくは約600〜約700g/当量のEEWを有する。反応生成物(E)は、また、約275〜約525g/当量のヒドロキシル当量HEWを有してもよい。様々な実施態様において、反応生成物(E)は、約325〜約475g/当量もしくは約375〜約425g/当量のHEWを有する。反応生成物(E)は、連続的に第二の反応帯域20から、液体混合物(D)と生成物(C)とを合わせた反応帯域20中への質量供給速度と同じ質量供給速度で取り出され、そして反応生成物(E)は、連続的に同じ速度で、約160℃〜約300℃の温度で運転している第三の反応帯域30に供給される。約50〜100質量%の活性水素を有するアミンもしくはかかるアミンの混合物及び0〜約50質量%の好適な溶剤を含む液体混合物(F)は、計量供給タンク22において、約50℃〜約125℃で保持され、そのタンクから連続的に第三の反応帯域30へとそれが供給される。液体混合物(F)の供給速度は、アミンの濃度が約1〜約10質量%の生成物(E)となるように制御されるように、液体混合物(F)及び生成物(E)中の特定のアミン及び特定量の溶剤に依存して調整される。第三の反応帯域30の反応容量は、反応帯域30中の平均滞留時間が約60分以下であるように制御される。様々な実施態様においては、反応帯域30中の平均滞留時間は、約30分以下又は約15分以下である。改めて、これらの特定の当量、温度、パーセンテージ及び他のパラメータは、図1の例に示される特定の反応物に当てはまる。
【0033】
液体混合物(F)(又は前記のように混合物(D))中で使用してよい活性水素を有するアミンの好適な例は、制限されないが、ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、N−アミノエチルピペラジン、アミノプロピルモルホリン、テトラメチルジプロピレントリアミン、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジブチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジメチルアミノブチルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノブチルアミン、ジプロピルアミン、メチルブチルアミン、アルカノールアミン、例えばメチルエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、アミノプロピルモノメチルエタノールアミン並びにジエタノールアミン、ジケチミン(1モルのジエチレントリアミンと2モルのメチルイソブチルケトンとの反応生成物)及びポリオキシアルキレンアミンを含む。図1は、一例として、ジメチルアミノプロピルアミン、DMAPAでチャージされた計量供給タンク22を示している。好適な溶剤は、制限されないが、計量供給タンク2、4に関して上述した全てのものを含む。
【0034】
反応帯域30の反応生成物(G)は、約125〜約500g/当量のヒドロキシル当量HEWを有してよい。様々な他の例において、反応生成物(G)は、約175〜約325g/当量もしくは約225〜約275g/当量のヒドロキシル当量HEWを有する。反応生成物(G)は、連続的に第三の反応帯域30から、液体混合物(F)と生成物(E)の合わせた質量供給速度と同じ質量供給速度で取り出される。改めて、これらの特定の当量は、図1の例に示される特定の反応物に当てはまる。
【0035】
場合により、該方法は、生成物(G)から溶剤及び/又は未反応の材料及び/又は副生成物を蒸発させる工程を含む。図1に示されるこの実施態様において、生成物(G)は、連続的に、それが反応帯域30から取り出されるのと同じ速度で、約160℃〜約300℃の温度で運転している蒸発帯域40へと供給され、その際、溶剤、任意の未反応の材料(例えばアミンもしくはフェノールの1つ)又は低沸点副生成物が、生成物(G)から分離され、それは場合により好適な計量供給タンクへと再循環される。溶剤、任意の未反応の材料又は任意の副生成物の全てもしくは一部だけを、蒸発帯域中で取り出すことができる。一実施態様において、全ての揮発性材料は、蒸発帯域中で取り出される。図1の特定の例において、原則的に、溶剤及びことによると少量のアミンが生成物(G)から分離される。蒸発帯域のために適した装置の制限されない例は、薄膜型蒸発器、流下ストランド(falling strand)型蒸発器、短経路蒸発器、ワイプドフィルム(wiped film)蒸発器、流下薄膜型蒸発器、フラッシュタンク、多段階蒸発器、凝縮器及び凝縮された1種以上の液体を好適な供給タンクに戻すためのポンプを含む。場合により、該装置は、蒸発による分離を可能にする分離帯域を含んでよい。
【0036】
図1は、生成物(H)を生じ、かつ回収した材料を好適な1つ以上の計量供給タンクに戻す回復ユニット42(例えば凝縮器及びポンプ)と連絡した蒸発帯域を示している。(随意の蒸発工程と随意の蒸発帯域40が省略される場合に、生成物(H)は、生成物(G)から変化されない。)図1は、例えば、材料が回復ユニット42からDEOA、DMAPA及び溶剤源へと戻ることと、そこから計量供給タンク12、22へと戻ることを示している。他の実施態様において、材料は、計量供給タンク2もしくは計量供給タンク4に、又は計量供給タンク2もしくは計量供給タンク4中に供給する源に戻すことができる。蒸発帯域40を出る生成物(H)は、連続的に、生成物(G)が蒸発帯域に入るのと同じ速度で取り出し、そして生成物(H)は、連続的に冷却帯域50へと同じ速度で供給される。冷却帯域50において、生成物(H)の温度は、例えば生成物(H)が反応帯域30を出る温度から、約180℃〜約50℃の温度に低減される。生成物(H)は、冷却帯域から取り出され、そして別個のプロセスにおいて処理されてよく、又は生成物(H)は、図1に示される連続的方法の随意の更なる工程で処理されてよく、こうして電着エマルジョンが製造される。
【0037】
引き続き、生成物(H)は、ここで約180℃から約50℃にまで冷却されるが、それは連続的に混合帯域60へと、それが冷却帯域50から取り出されるのと同じ質量供給速度で供給される。少なくとも1種の架橋剤を含む液体混合物(J)は、計量供給タンク52中で、例えば約25℃〜約100℃で保持され、そのタンクから、連続的に混合帯域60へと、例えば約25%〜約75%の生成物(H)の質量供給速度で供給されて、電着バインダーが製造される。混合帯域装置は、一軸もしくは二軸の押出機、スタティック混合機、回転ドラム混合機、混練機、スタティック混合エレメントを有するパイプ、混合オーガーなどから選択することができる。混合帯域60の容量は、平均滞留時間が約20分以下であるように制御される。該温度は、必要に応じて、(例えばジャケットもしくは内部コイルを用いて)、任意の未熟な架橋を、滞留時間の間に混合帯域60中で抑えるように制御される。様々な実施態様において、混合帯域60の容量は、平均滞留時間が、混合帯域60において、約10分以下もしくは5分以下であるように制御される。架橋剤の好適な例は、制限されないが、ブロックトポリイソシアネートを含む。芳香族の、脂肪族のもしくは脂環式のポリイソシアネートの例は、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート(MDI)、2,4−もしくは2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、p−フェニレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、フェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、2−イソシアナトプロピルシクロヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン2,4′−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、二量体脂肪酸から誘導されるジイソシアネートの混合物であって、Henkel社によって市販名DDI1410として販売されているもの、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、1,7−ジイソシアナト−4−イソシアナト−メチルヘプタンもしくは1−イソシアナト−2−(3−イソシアナトプロピル)シクロヘキサン並びに高級ポリイソシアネート、例えばトリフェニルメタン−4,4′,4′′−トリイソシアネート又はこれらのポリイソシアネートの混合物を含む。好適なポリイソシアネートは、また、ポリイソシアネートであって、これらから誘導され、イソシアヌレート、ビウレット、アロファネート、イミノオキサジアジンジオン、ウレタン、ウレアもしくはウレットジオン基を有するものを含む。ウレタン基を有するポリイソシアネートは、例えば、幾つかのイソシアネート基とポリオール、例えばトリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール及びグリセロールなどのポリオールとを反応させることによって得られる。イソシアネート基は、ブロッキング剤と反応される。好適なブロッキング剤の例は、フェノール、クレゾール、キシレノール、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、ジエチルマロネート、ジメチルマロネート、エチルアセトアセテート、メチルアセトアセテート、アルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、イソブタノール、t−ブタノール、ブタノール、グリコールモノエーテル、例えばエチレンもしくはプロピレングリコールモノエーテル、酸アミド(例えばアセトアニリド)、イミド(例えばスクシンイミド)、アミン(例えばジフェニルアミン)、イミダゾール、ウレア、エチレンウレア、2−オキサゾリドン、エチレンイミン、オキシム(例えばメチルエチルケトキシム)などを含む。コーティング皮膜の硬化反応のための触媒は、この時点で又は後の時点で導入してよい。
【0038】
生成物(K)(電着バインダー)は、連続的に、混合帯域60から排出され、それは貯蔵されるかもしくは別個のプロセスで使用されるか、それは、水性媒体中に、図1に示されるように、連続プロセスの連続工程で分散させてよい。一実施態様においては、全ての揮発性材料(溶剤など)は、蒸発帯域40において生成物(G)から除去され、生成物(K)の製造において溶剤は添加されず、生成物(K)は、非揮発性生成物であり、この時点で排出される。排出された生成物(K)は、例えば冷却バンド上で冷却され、次いで固化してから、小片に砕かれるか、又は造粒される。その小片もしくは造粒された電着バインダーは、次いで、場合により(しかし好ましくは)粉砕してまず微細な粒度にして、次いで電着バインダーを、水、アミン官能性エポキシ樹脂の塩形成用の酸及び場合により助溶剤、可塑剤並びに他の所望の添加剤を装填した配合タンクに添加することによって分散させることができる。分散用の固体電着バインダーの製造のための及び固形電着バインダーの分散のための更なる詳細は、Tazziaの米国特許出願公開番号US2007/0270526号A1に開示されており、それは参照をもって開示されたものとする。
【0039】
場合により、可塑剤もしくは溶剤又はその両方は、架橋剤と一緒に添加してよく、提供された生成物(K)は、混合帯域60の直後では排出されず、又は追加の混合帯域(図示せず)中で添加してよい。エポキシ樹脂のアミン基は、リン酸、プロピオン酸、酢酸、乳酸、クエン酸、硝酸又はスルファミン酸などの酸と分散プロセスにおいて塩形成される。塩形成性の酸は、分散水と計量供給タンク62中で混合してよく、そこから分散帯域70中にそれが供給される。該酸は、水分散性を樹脂に付与するのに十分な主たる樹脂のアミノ基を中和するのに十分な量で使用される。該樹脂は、完全に中和されてもよいが、部分中和は、通常は、所望の水分散性の付与に十分である。"部分中和"とは、該樹脂上の少なくとも1個であるが、全てよりは少ない塩形成可能な基が中和されることを意味する。樹脂が少なくとも部分的に中和されているとは、該樹脂上の少なくとも1個の塩形成可能な基が中和され、かかる基の全てまでが中和されていてよいことを意味する。特定の樹脂に必要な水分散性を与えるのに必要な中和の程度は、その化学組成、分子量及び他のかかる要素に依存し、それは当業者によって簡単な実験を通じて容易に決定することができる。
【0040】
引き続き図1で、脱イオン水と塩形成性の酸との計量供給タンク62中の混合物は、生成物(K)と一緒に分散帯域70中に供給されて、電着エマルジョンが生成される。分散帯域70中で製造される分散液中の電着バインダーの量は、分散帯域70中で形成されるエマルジョンの質量に対して、約10質量%〜約70質量%であってよい。凝集及び安定性に寄与する少量の高沸点の共溶剤、例えばグリコールエーテル及びグリコールエーテルエステル及び/又は可塑剤は、計量供給タンク62中に含まれていてもよい。凝集溶剤の制限されない例は、アルコール、グリコールエーテル、ポリオール及びケトンを含む。特定の凝集溶剤は、エチレングリコールのモノブチル及びモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールのフェニルエーテル、エチレングリコールのモノアルキルエーテル、例えばエチレングリコールもしくはプロピレングリコールのモノメチル、モノエチル、モノプロピル及びモノブチルエーテル;エチレングリコールもしくはプロピレングリコールのジアルキルエーテル、例えばエチレングリコールジメチルエーテル及びプロピレングリコールジメチルエーテル;ブチルカルビトール;ジアセトンアルコールを含む。可塑剤の制限されない例は、ノニルフェノール、ビスフェノールA、クレゾールのエチレンもしくはプロピレンオキシド付加物又は他のかかる材料、又はエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを基礎とするポリグリコールを含む。凝集溶剤の量は、決定的ではなく、一般に、樹脂固体の全質量に対して、約0〜15質量%、好ましくは約0.5〜5質量%である。可塑剤は、樹脂固体に対して15質量%までの水準で使用できる。
【0041】
電着エマルジョン(K)は、その際、電着コーティング組成物(もしくは浴)の製造において使用される。電着浴は、通常は、顔料ペーストの一部として別個に添加される、1種以上の顔料と、任意の更なる所望の材料、例えば凝集助剤、抑泡助剤及び樹脂の乳化の前もしくは後に添加してよい他の添加剤を含む。電着プライマーのための慣用の顔料は、二酸化チタン、酸化第二鉄、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、沈殿硫酸バリウム、ホスホモリブデン酸アルミニウム、クロム酸ストロンチウム、塩基性のケイ酸鉛もしくはクロム酸鉛を含む。該顔料は、粉砕樹脂もしくは顔料分散剤を用いて分散されてよい。電着浴中での顔料対樹脂の質量比は、重要なことがあり、好ましくは50未満:100、より好ましくは40未満:100、通常は約10〜30:100であるべきである。より高い顔料対樹脂固体の質量比は、凝集及び流動に悪影響を及ぼすことが判明した。通常は、顔料は、浴中の不揮発性材料の質量に対して10〜40質量%である。好ましくは、顔料は、浴中の不揮発性材料の質量に対して15〜30質量%である。電着プライマーで通常使用される任意の顔料及び充填剤が含まれていてよい。クレイなどの増量剤及び腐食防止顔料が通常は含まれる。
【0042】
電着コーティング組成物は、随意の成分、例えば染料、流動調節剤、可塑剤、触媒、湿潤剤、界面活性剤、UV吸収剤、HALS化合物、酸化防止剤、消泡剤などを含有してよい。界面活性剤及び湿潤剤の例は、アルキルイミダゾリン、例えばCiba−Geigy Industrial Chemicals社からAMINE C(登録商標)として入手されるもの、アセチレン系アルコール、例えばAir Products and Chemicals社から商品名SURFYNOL(登録商標)として入手されるものを含む。
【0043】
スズ触媒などの硬化触媒は、該コーティング組成物中で使用してよい。典型的な例は、制限されないが、スズ及びビスマス化合物、例えばジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオキシド及びビスマスオクトエートである。使用される場合に、触媒は、一般に、全体の樹脂固体の質量に対するスズの質量に対して約0.05〜2質量%の量で存在する。
【0044】
これらの任意の追加の材料は、連続的製造法の間に又はその後の好適な時点で添加してよい。
【0045】
ここで、図2を参照すると、もう一つの実施態様においては、アミン官能性を有するエポキシ樹脂は、2個の反応帯域を有する装置を用いて製造される。計量供給タンク2、4は、ここでも、開環エポキシ重合反応のための反応物及び触媒を連続的に供給するための源としてはたらく。図1と同様に、図2は、一例として、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA)、ビスフェノールA(BPA)、フェノール並びに計量供給タンク2に装填される溶剤及び計量供給タンク4に装填される触媒及び溶剤を示しており、ここでも、種々のポリエポキシド、延長剤、随意のモノマー反応物、随意の溶剤もしくは触媒が使用されてよい。図1の場合と同様に、反応物は、2個の計量供給タンクの間で別々に分けられ、又は追加の計量供給タンク中に装填することができる。図1に関して記載したように、計量供給を容易にするために、触媒は溶剤で希釈されてよい。一定の実施態様においては、開環重合を触媒するのに十分に塩基性のアミンは、反応物中に含まれている。一定の実施態様において、ポリエポキシド、延長剤もしくは他の反応物と一緒に溶剤を含むことが望ましいことがある。図2において、計量供給タンク2、4の内容物は、第一の反応帯域中に供給され、それは、図1の反応帯域10と同じ装置を含んでよい。液体混合物(A)及び(B)の例示質量、例示温度並びに例示供給速度は、図1に関して上述したように使用してよい。
【0046】
改めて、第一の反応帯域の反応生成物(C)、つまりエポキシ官能性樹脂は、連続的に、第一の反応帯域10から、混合物(A)と(B)の合わせた第一の反応帯域10への質量供給速度と同じ質量速度で取り出される。反応生成物(C)は、連続的に、反応帯域10から取り出されるのと同じ質量速度で第二の反応帯域20へと供給される。反応生成物(C)のエポキシ当量及び反応帯域20の温度は、例えば図1に関して上述したものであってよい。しかしながら、図2においては、図1とは異なり、全てのアミン反応物(ここでも、ジエタノールアミン、DEOA及びジメチルアミノプロピルアミン、DMAPAによって表される)は、場合により溶剤と一緒に、計量供給タンク12に装填される。計量供給タンク12中のアミンもしくはアミンの混合物は、約50℃〜約125℃で保持してよい。一例としては、計量供給タンク12の内容物は、約50〜約100%の活性水素を有するアミン及び0〜約50%の好適な溶剤であってよい。混合物(D2)及び生成物(C)の反応生成物は、アミン官能性エポキシ樹脂である。反応帯域20中の平均滞留時間、温度及び溶剤の例は、図1に関して上述したのと同じように使用できる。計量供給タンク12は、液体混合物(D)の連続的な供給速度を保証する間隔で補充される。
【0047】
反応帯域20の反応生成物(G)は、約125〜約500g/当量のヒドロキシル当量HEWを有してよい。様々な他の例において、反応生成物(G)は、約175〜約325g/当量もしくは約225〜約275g/当量のヒドロキシル当量HEWを有する。反応生成物(G)は、連続的に反応帯域20から、混合物(D2)と生成物(C)の合わせた質量供給速度と同じ質量供給速度で取り出される。改めて、これらの特定の当量は、図2の例に示される特定の反応物に当てはまる。この点から、該連続法は、図1について記載したのと同様に継続する。
【0048】
ここで、図3を参照すると、もう一つの実施態様においては、アミン官能性を有するエポキシ樹脂は、1個の反応帯域を有する装置を用いて製造される。この実施態様は、活性水素を有するアミンの混合物(D3)を、反応帯域10中に混合物(A)及び混合物(B)と一緒に連続的に供給するという点で図2の態様とは異なる。反応帯域10から出て行く生成物(G)は、アミン官能性エポキシ樹脂である。この点から、該連続法は、図1について記載したのと同様に継続する。
【0049】
アミン官能性を有するエポキシ樹脂の連続的製造は、また、ポリエポキシドの開環重合のための触媒を含むことなく、代わりに第一の反応帯域10中の温度を、開環重合が触媒なくして進行する温度にまで高めることによって実施することもできる。例えば、これは、図1〜3に示される反応物については、第一の反応帯域の温度が約200〜約350℃である場合に達成される。このように、一実施態様において、アミン官能性を有するエポキシ樹脂の製造方法は、図1に関して既に説明した方法に従って製造されるが、但し、触媒は第一の反応帯域中に添加されず、かつ第一の反応帯域中の温度が約200〜約350℃である。計量供給タンク4は、この方法の実施態様を実施するための装置から省かれる。同様に、もう一つの実施態様において、アミン官能性を有するエポキシ樹脂の製造方法は、図2に関して既に説明した方法に従って製造されるが、但し、触媒は第一の反応帯域中に添加されず、かつ第一の反応帯域中の温度が約200〜約350℃である。改めて、計量供給タンク4は、この方法の実施態様を実施するための装置から省かれる。第三の別形において、アミン官能性を有するエポキシ樹脂の製造方法は、図3に関して既に説明した方法に従って製造されるが、但し、触媒は第一の反応帯域中に添加されず、かつ第一の反応帯域中の温度が約200〜約350℃である。もう一度改めて、計量供給タンク4は、この方法の実施態様を実施するための装置から省かれる。
【0050】
アミン官能性を有するエポキシ樹脂の連続的製造は、また、第一の反応器中に、エポキシ開環重合を触媒するのに十分な塩基性のアミン基の十分な量を含む材料を包含することによって実施することもでき、その際、該材料は、第一の反応器中の反応物の1もしくはそれより多くと反応する官能基を有する。制限されない例としては、該材料は、第三級アミン基及び第二級もしくは第一級アミン基の両者であって、エポキシ樹脂のエポキシ基と反応する基を有するアミンから選択することができる。図4に示される例においては、トリフェニルホスフィン触媒及び計量供給タンク4が省かれ、その際、DMAPAの第三級アミンは、開環重合のための触媒として作用する。装置、反応条件、反応物及び反応物の量は、その他上記の通りである。図1及び2に関連して記載された方法は、同様に変更して、トリフェニルホスフィン触媒を省き、混合物(D)及び/又は混合物(F)又は混合物(D2)からのアミン反応物の1つの触媒量を計量供給タンク4を通じて添加して、その代わりに、後続の反応帯域中に添加されるアミンの量がそれに応じて低減される。他の実施態様において、図1及び2に関して記載された方法は、同様に変更して、トリフェニルホスフィン触媒を省き、第三級アミン基と更に1もしくはそれより多くのエポキシ基又は1もしくはそれより多くのエポキシ反応性基を有する反応物の触媒量を計量供給タンク4を通じてその代わりに添加する。
【0051】
図5及び6は、エポキシ樹脂生成物(G)の処理のための追加の実施態様であって、最後の反応帯域を出た後の態様又はエポキシ樹脂生成物(H)の処理のための追加の実施態様であって、随意の蒸発帯域を出た後の態様を図示している。まず図5を参照すると、エポキシ樹脂生成物は、第一の混合帯域50に入り、そこで該生成物が冷却される。計量供給タンク42中の溶剤と可塑剤との混合物は、一定の速度で混合帯域50中に添加され、エポキシ樹脂生成物と合されて、エポキシ樹脂混合物が形成される。この混合物は、次いで混合帯域60に入り、そこで架橋剤が、計量供給タンク52から導入され、電着バインダーが生成する。次いで電着バインダーは、分散帯域70に入り、そこで、酸と脱イオン水との混合物が導入されて、電着バインダーの水性エマルジョンが調製される。様々な添加剤を、次いで場合により、混合帯域80において計量供給タンク72によって添加してよい。電着エマルジョンを、次いで、電着コーティング組成物の製造において使用準備ができるように濾過してよい。
【0052】
図6は、電着バインダーの同様の製造方法であって、まず溶剤及び可塑剤を計量供給タンク42からエポキシ樹脂へと混合及び冷却帯域50において添加し、次いで架橋剤を計量供給タンク52を通じて混合帯域60に添加することによって行う方法を図示している。次いで、しかしながら、電着バインダーは、一定の速度で、連続的に、計量供給タンク62からの脱イオン水と計量供給タンク64からの添加剤が予め装填されている複数の配合タンク70の最初のものに供給される。十分な量の電着バインダーを1つの配合タンク中に添加して、所望の樹脂(固体)含有の電着エマルジョンを製造する場合に、混合帯域60を出る電着バインダーの、既に水、酸及び添加剤が予め装填された第二の配合タンク70中への供給が始められる。その間に、第一の配合タンク70からの完成した電着エマルジョンは、フィルタ80で濾過され、貯蔵に移される。第一の配合タンクは、その際改めて、脱イオン水、酸及び添加剤で予め装填される。十分な数の配合タンクが存在するので、エマルジョンが一つの配合タンクにおいて完成したら、別の配合タンクは予め装填され、電着バインダーの導入の準備ができるため、連続的な製造方法が中断せずに継続する。
【0053】
電着エマルジョンは、その際、前記のように電着コーティング組成物もしくは浴の製造において使用される。
【0054】
電着浴は、一般に、800マイクロオームないし6000マイクロオームの導電性を有する。導電性が低すぎる場合に、所望の厚さと所望の特性を有する皮膜を得ることが困難である。他方で、組成物が導電性過ぎると、浴中での基体もしくは対向電極の溶解、不均一な膜厚、被膜の破断又は被膜の腐蝕もしくは水腐れに対する不十分な耐久性などの問題点が生じうる。
【0055】
該コーティング組成物は、基体上に電着され、次いで硬化して、被覆物品を形成する。該電着コーティング組成物は、任意の導電性基体、例えば鋼、銅、アルミニウム又は他の金属もしくは金属合金上に、好ましくは乾燥膜厚10〜35μmまで適用することができる。本発明の組成物で被覆される物品は、金属製の自動車部品もしくは車体であってよい。適用後に、被覆された物品は、浴から取り出され、脱イオン水ですすがれる。該コーティングは、好適な条件下で、例えば約275゜F〜約375゜F(約135℃〜約190℃)で、約15分〜約60分にわたり焼き付けることによって硬化してよい。
【0056】
電着の後に、適用されたコーティングを通常は硬化させてから、使用される場合には他のコーティングが適用される。該電着層が自動車用途でのプライマーとして使用される場合に、1もしくはそれより多くの追加のコーティング層、例えばプライマーサーフェイサー、着色被覆及び場合によりクリヤーコート層を、該電着層上に適用してよい。前記着色被覆は、トップコートエナメルであってよい。自動車産業において、該着色被覆は、しばしばベースコートであり、それはクリヤーコート層で上塗りされる。プライマーサーフェイサー及びトップコートエナメル又はベースコート及びクリヤーコートの複合トップコートは、水系もしくは溶剤系のいずれであってもよい。該コーティングは、当該技術分野で知られる多くの種々の様式で配合及び適用することができる。例えば、使用される樹脂は、アクリル系、ポリウレタンもしくはポリエステルであってよい。典型的なトップコート配合は、好適な製品を市場に提供するBASF Corporation社に付与された様々な特許に記載される。
【0057】
詳細な説明は、単に例示的な性質にすぎず、従って本開示の骨子から逸脱しない別形も本発明の一部である。それらの別形は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱するものとして見なされるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミン官能性エポキシ樹脂の連続的製造方法において、
(a)連続的に、ポリエポキシド、延長剤及びアミンを含む反応物を、反応帯域に添加して、アミン官能性エポキシ樹脂を開環重合によって製造すること(その際、該アミン官能性エポキシ樹脂は、全ての材料が反応帯域に添加されるのを合わせた速度と同じ速度で、連続的に反応帯域を出る)、
を含む前記方法。
【請求項2】
反応帯域中の材料の平均滞留時間が、15分以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
反応帯域が、ヘッドスペースを伴わずに運転される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
反応帯域が、100℃〜350℃の温度で運転される、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
更に、
(b)連続的に、アミン官能性エポキシ樹脂を蒸発帯域中に導入し、そこで、溶剤、残留反応物及び副生成物の少なくとも1つを除去し、そして場合により、除去された溶剤及び残留反応物の少なくとも1つを少なくとも1つの反応帯域中に再循環させること
を含む、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
反応帯域に添加される反応物が、50℃〜135℃の温度である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1種のアミンを、連続的に反応帯域に添加する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
反応帯域が、開環重合が触媒の添加なくして進行するのに十分に高い温度で運転される、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
開環重合を触媒するのに十分な塩基性の十分な量のアミン基を有するアミン反応物を、連続的に反応帯域に添加する、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
更に、
(c)連続的に、アミン官能性エポキシ樹脂を、混合帯域中に導入し、そして連続的に混合帯域に、架橋剤を含む材料を添加して、電着バインダーを生成すること(その際、電着バインダーは混合帯域を、アミン官能性エポキシ樹脂が導入され、かつ架橋剤が混合帯域に添加されるのを合わせた速度と同じ速度で出る)と、
(d1)連続的に、該電着バインダーを分散帯域中に導入し、そして連続的に分散帯域に、酸及び水を含む混合物を添加して、電着エマルジョンを生成し(その際、場合により、少なくとも1種のバインダー及び混合物は、可塑剤及び助溶剤を含み、更に電着エマルジョンは分散帯域を、電着バインダーが導入され、かつ酸と水を含む混合物が混合帯域に添加されるのを合わせた速度と等しい速度で出るか、又は
(d2)連続的に電着バインダーを、少なくとも脱イオン水及び酸の混合物で予め装填された複数の配合タンクの1つ中に導入して、電着エマルジョンを生成するか(その際、場合により、少なくとも1つのバインダー及び混合物は可塑剤及び助溶剤を含む)
のいずれかを含む、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
全ての揮発性材料を、蒸発帯域中で除去し、更に
(c)連続的に、蒸発帯域からのアミン官能性エポキシ樹脂を、混合帯域中に導入し、そして連続的に混合帯域に、架橋剤を含む材料を添加して、電着バインダーを生成すること(その際、電着バインダーは混合帯域を、アミン官能性エポキシ樹脂が導入され、かつ材料が混合帯域に添加されるのを合わせた速度と同じ速度で出る)と、
(f)電着バインダーを冷却して固体にし、そして固体の電着バインダーを粉砕すること
を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
アミン官能性エポキシ樹脂の連続的製造のための装置であって、ポリエポキシド、延長剤及びアミンの1もしくはそれより多くの計量供給源を、反応帯域の上流で、かつ該帯域と流体的に連絡されて含む、前記装置。
【請求項13】
更に、蒸発帯域を、反応帯域と流体的に連絡されて、かつ反応段階の下流で、反応帯域からのアミン官能性エポキシ樹脂を受容するために含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
更に、混合帯域を、反応帯域の下流で、かつ該帯域と流体的に連絡されて反応帯域からのアミン官能性エポキシ樹脂を受容するために含み、かつ架橋剤の計量供給源を、混合帯域の上流で、かつ混合帯域と流体的に連絡されて含み、かつ
更に、分散帯域を、混合帯域の下流で、かつ該帯域と流体的に連絡されて混合帯域からのアミン官能性エポキシ樹脂と架橋剤との混合物の受容のために含み、かつ水、酸の1もしくはそれより多くの計量供給源を、分散帯域の上流で、かつ分散帯域と流体的に連絡されて含むか(その際、該混合物の1つ及び該1もしくは複数の計量供給源は、場合により更に溶剤、可塑剤及び添加剤の少なくとも1つを含む)、又は
更に、複数の分散タンクを、混合帯域の下流で、かつ混合帯域と流体的に連絡されて混合帯域からのアミン官能性エポキシ樹脂と架橋剤との混合物の受容のために含み、かつ水及び酸の1もしくはそれより多くの計量供給源を分散タンクの上流で、かつ分散タンクと流体的に連絡されて含む(その際、該混合物の1つ及び該1もしくは複数の計量供給源は、場合により更に溶剤、可塑剤及び添加剤の少なくとも1つを含む)、請求項12又は13に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−526946(P2011−526946A)
【公表日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516397(P2011−516397)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/046201
【国際公開番号】WO2010/002539
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(390008981)ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (155)
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D−48165 Muenster,Germany
【Fターム(参考)】