説明

エポキシ樹脂を用いた硬化物

【課題】エポキシ樹脂の透明性を維持しつつ高屈折率を付与すること、金属アルコキシドの添加量を幅広く変化させ屈折率を任意に制御すること、更にはエポキシ樹脂の耐熱性を改善することを課題とする。
【解決手段】エポキシ樹脂(a−1)のエポキシ基に対し、1分子中に1個のメルカプト基及び少なくとも1個のケイ素原子に結合したアルコキシ基を同時に有するシラン化合物(a−2)を反応させて得られるアルコキシシリル基変性エポキシ樹脂(A)と、
ジルコニウムアルコキシド及び/又はその加水分解部分縮合物(B)と、
水(C)と、
を含む硬化性エポキシ樹脂組成物を加水分解縮合反応を含む工程により硬化させて得られる硬化物であって、
前記硬化物中のジルコニウムの含有量が酸化ジルコニウム換算で5〜30質量%であり、且つ、動的粘弾性測定において室温以上250℃以下の温度領域にガラス転移温度を示さない硬化物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコキシシリル基変性エポキシ樹脂とジルコニウムアルコキシド及び/又はその加水分解部分縮合物と水とを含む硬化性エポキシ樹脂組成物から得られる、耐熱性及び透明性に優れ、且つ、高屈折率を有する硬化物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂は、電気的特性、機械的特性、熱的特性に優れており、電気・電子材料、塗料、接着材料、成形材料、及び土木材料等、多岐に渡って用いられている。またエポキシ樹脂は透明性にも優れており、光半導体用の封止樹脂等の光学用途にも幅広く用いられてきた。しかしながら、エポキシ樹脂に要求される諸特性は、近年ますます厳しいものとなっており、エポキシ樹脂単独でそれらの要求物性を満足することは困難なものとなってきている。そこで、エポキシ樹脂にシリカやシルセスキオキサン等の無機材料を複合化した、いわゆる有機−無機ハイブリッド材料が提案され、耐熱性、強度、寸法安定性等の物性の改善が図られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、封止材やレンズ材等の光学用途においては、近年、光取り出し効率の向上や、成型品の薄肉化(軽量化)がますます求められるようになり、屈折率の高い材料が志向されている。樹脂材料の屈折率を高くする方法の一つとして、酸化チタン等の高屈折率の金属酸化物微粒子を複合化する方法が検討されている(例えば、特許文献2参照)。エポキシ樹脂についても酸化チタン等の金属酸化物との複合化の例は多く知られている。
特許文献3及び4には、エポキシ樹脂中で金属アルコキシドを加水分解、縮合することにより得られるエポキシ樹脂−金属酸化物複合体が開示されている。本材料は透明性に優れ、LED封止材料に好適に使用できるとされている。
特許文献5においても、エポキシ樹脂、硬化剤、アルコキシチタンを含有するエポキシ樹脂組成物が開示されている。
特許文献6には、チタネート系カップリング剤を併用してチタンアルコキシドとエポキシ樹脂を複合化した硬化性樹脂組成物が開示されている。
特許文献7及び8においては、アミン系硬化剤を用いた場合のエポキシ樹脂と金属アルコキシドの複合化法が記載されている。
以上の特許文献3〜8に開示されたすべてのエポキシ樹脂組成物については、金属酸化物との複合化により強度、耐湿性、耐熱性、抗菌性等の物性が付与されているが、屈折率等の光学特性については何ら記載がない。
【0004】
エポキシ樹脂にチタンアルコキシドを複合化する別の方法として、非特許文献1及び2には、エポキシ樹脂と1級アミノ基を有するシランカップリング剤及びチタンブトキシドを溶媒中で混合し、アミノ基/エポキシ基間の反応と、ケイ素及びチタンアルコキシド間の加水分解縮合反応を同時に行う方法が開示されている。
特許文献9及び10には、メルカプト基を有するシラン化合物をエポキシ樹脂と反応させる方法が開示されているが、金属アルコキシドとの組み合わせについては記載はない。
特許文献11には、メルカプト基及びアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物とエポキシ化合物との反応生成物、及びチタン酸エステルからなるプライマー組成物が開示されている。このチタン酸エステルは該有機ケイ素化合物の加水分解触媒として添加されたものであり、屈折率等の光学特性に対する効果については何ら記載がない。
【0005】
【特許文献1】特開平10−298405号公報
【特許文献2】特開2003−073559号公報
【特許文献3】特開平06−239964号公報
【特許文献4】特開2006−070266号公報
【特許文献5】特開2000−319362号公報
【特許文献6】特開2002−187935号公報
【特許文献7】特開平08−100107号公報
【特許文献8】特開2005−036080号公報
【特許文献9】特開平07−033786号公報
【特許文献10】特開平11−209579号公報
【特許文献11】特開平03−242268号公報
【非特許文献1】矢野彰一郎ら、高分子論文集、2003年、第60巻、第9号、 490頁
【非特許文献2】S.Yanoら、Polymer International、 2005年、第54巻、354頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3及び4において、金属アルコキシドの加水分解、縮合反応の触媒として用いられるアミン化合物や有機金属化合物は、エポキシ基の開環反応をも促進するため、エポキシ樹脂中で金属アルコキシドを加水分解、縮合する際、エポキシ樹脂の硬化反応が同時に進行してしまい、均一な硬化体を作業性良く得ることは難しい。またこれらの特許文献の実施例においては、金属アルコキシドとしてアルコキシシランの使用例しか示されていない。ケイ素に比べてチタンやジルコニウムのアルコキシドは反応性が極めて高く、また得られる酸化チタンや酸化ジルコニウムは表面の電位が低いため、生成した微粒子が急激に生長して凝集を起こしやすい。そのため、これらの金属酸化物を微粒子のままエポキシ樹脂中に均一に分散することはケイ素の場合と比べて格段に困難となる。
特許文献5において開示された組成物は、単にアルコキシチタンを加えるだけで何ら工夫を施しておらず、チタンアルコキシドから得られる酸化チタンが凝集により比較的大きな粒子を形成してしまうため透明な材料を得ることは困難である。特に酸化チタンの添加量を増やすほどその傾向は顕著となる。
特許文献6において用いられているチタネート系カップリング剤は、一般的に黄色〜褐色に着色しており、光学材料を目的とした樹脂組成物の調製に用いるには適さない。
特許文献7及び8において用いられているアミン硬化剤は、硬化物の着色を引き起こしやすく、硬化物を光学材料として使用する場合の硬化剤としては適していない。
非特許文献1及び2においては、屈折率等の光学特性については何ら記載はない。また1級アミノ基がエポキシ樹脂と反応すると、エポキシ樹脂が硬化反応を起こしてゲル化するため、均一で透明な硬化物が得られないという問題点も有する。
更に、チタンアルコキシドから誘導される酸化チタンは屈折率が高いため、光学特性の改善には有利であるが、光触媒活性を有していたり、高温で硬化させた際に硬化物が着色しやすい、エポキシ樹脂に充分な耐熱性を付与できない等、依然解決すべき課題を有している。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、エポキシ樹脂の透明性を維持しつつ高屈折率を付与すること、金属アルコキシドの添加量を幅広く変化させ屈折率を任意に制御すること、更にはエポキシ樹脂の耐熱性を改善することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、エポキシ樹脂に対して特定のシラン化合物を反応させた後、ジルコニウムアルコキシド及び/又はその加水分解部分縮合物を添加して得られる硬化性エポキシ樹脂組成物を加水分解縮合させることにより、ジルコニウムアルコキシドの添加量を増やしても透明性や均一性を損なわずに複合化できること、及び室温以上250℃以下の温度領域にガラス転移温度を示さない耐熱性に優れた硬化物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち、本発明は以下の通りである。
[1]
エポキシ樹脂(a−1)のエポキシ基に対し、1分子中に1個のメルカプト基及び少なくとも1個のケイ素原子に結合したアルコキシ基を同時に有するシラン化合物(a−2)を反応させて得られるアルコキシシリル基変性エポキシ樹脂(A)と、
ジルコニウムアルコキシド及び/又はその加水分解部分縮合物(B)と、
水(C)と、
を含む硬化性エポキシ樹脂組成物を加水分解縮合反応を含む工程により硬化させて得られる硬化物であって、
前記硬化物中のジルコニウムの含有量が酸化ジルコニウム換算で5〜30質量%であり、且つ、動的粘弾性測定において室温以上250℃以下の温度領域にガラス転移温度を示さない硬化物。
[2]
波長589.3nmにおける屈折率が1.59以上である、上記[1]記載の硬化物。
[3]
上記[1]又は[2]記載の硬化物からなる光学部材。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、耐熱性及び透明性に優れ、且つ、高屈折率を有する硬化物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、本実施の形態)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0012】
本実施の形態の硬化物は、
エポキシ樹脂(a−1)のエポキシ基に対し、1分子中に1個のメルカプト基及び少なくとも1個のケイ素原子に結合したアルコキシ基を同時に有するシラン化合物(a−2)を反応させて得られるアルコキシシリル基変性エポキシ樹脂(A)と、
ジルコニウムアルコキシド及び/又はその加水分解部分縮合物(B)と、
水(C)と、
を含む硬化性エポキシ樹脂組成物を加水分解縮合反応を含む工程により硬化させて得られる硬化物であって、
前記硬化物中のジルコニウムの含有量が酸化ジルコニウム換算で5〜30質量%であり、且つ、動的粘弾性測定において室温以上250℃以下の温度領域にガラス転移温度を示さない硬化物である。
【0013】
本実施の形態の(a−1)成分として用いられるエポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであり、公知のエポキシ樹脂が使用できる。具体的には、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、テトラフェニロールエタン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジメチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、レゾルシノール、メチルレゾルシノール、カテコール、メチルカテコール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシメチルナフタレン、ジヒドロキシジメチルナフタレン、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等のフェノール系のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;これらフェノール系グリシジルエーテル型エポキシ樹脂の芳香環を水添して得られる水添エポキシ樹脂;ポリプロピレングリコール等のアルコール系のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ヘキサヒドロ無水フタル酸やダイマー酸等を原料としたグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ヒダントイン、イソシアヌル酸、ジアミノジフェニルメタン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、1,2:8,9−ジエポキシリモネン、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物等の脂環式エポキシ樹脂;1,3−ビス[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラキス[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン等のエポキシシリコーン化合物等を挙げることができ、これらは1種を単独でも、2種以上を併用してもよい。これらの中でも特にビスフェノールAグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールAグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレートが好適に使用される。
【0014】
本実施の形態の(a−2)成分として用いられる1分子中に1個のメルカプト基と少なくとも1個のケイ素原子に結合したアルコキシ基を同時に有するシラン化合物は、メルカプト系シランカップリング剤として通常市販されているものであり、それらの中から1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。具体的には、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、メルカプトメチルメチルジメトキシシラン、メルカプトメチルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。メルカプト基は、エポキシ基に対する反応性が高い上、反応・硬化後も着色が生じない、硫黄原子の効果により高い屈折率が期待できるという点で1級アミノ基等よりも好適に使用される。
【0015】
本実施の形態の(A)成分は、上記(a−1)成分であるエポキシ樹脂のエポキシ基に対し、上記(a−2)成分を反応させて得られるアルコキシシリル基変性エポキシ樹脂である。本反応では、エポキシ樹脂のエポキシ基に対し、(a−2)成分のメルカプト基が付加反応し、アルコキシシリル基を有するエポキシ樹脂(アルコキシシリル基変性エポキシ樹脂)が生成する。
【0016】
(a−1)成分に対する(a−2)成分の反応比率については、(a−1)成分中のエポキシ基に対して当量ないし少過剰量のメルカプト基を反応させることが目安であるが、エポキシ基を過剰量とすることもできる。具体的な反応比率は、例えば(a−1)成分中のエポキシ基1モルに対してメルカプト基が0.2〜1.5モルとなる範囲であり、より好ましくは0.5〜1.2モル、更に好ましくは0.8〜1.1モルの範囲から選ばれる。
【0017】
(a−1)成分と(a−2)成分との反応は、反応温度0〜150℃、好ましくは20〜100℃の範囲で、0.5〜10時間、好ましくは2〜5時間行われる。反応は無溶媒で行える他、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の非プロトン系極性溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒から選ばれる1種又は2種以上を混合して使用することができる。
【0018】
またこの反応には触媒を用いることが好ましい。触媒の具体例としては、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、トリエチレンジアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジメチルベンジルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、N−メチルモルホリン、テトラメチルプロピレンジアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン等の三級アミン及びそれらの塩;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン等の有機ホスフィン化合物が挙げられる。
【0019】
以上述べた(a−1)成分と(a−2)成分の付加反応は、核磁気共鳴分析法(1H−NMR法)やフーリエ変換赤外分光分析法(FT−IR法)等の分析手法により追跡することができる。
【0020】
本実施の形態の(B)成分は、ジルコニウムアルコキシド及び/又はその加水分解部分縮合物であり、硬化物に高い屈折率及び耐熱性を付与するための成分である。ジルコニウムアルコキシドの具体例としては、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラn−プロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラブトキシド等が挙げられる。またこれらのジルコニウムアルコキシドの1種又は2種以上を加水分解と同時に部分縮合することにより調製される有機溶媒に可溶なオリゴマー(加水分解縮合物)も、高屈折率及び耐熱性を達成する上で良好に使用できる。加水分解部分縮合の条件は特に限定されるものではないが、代表的な条件として以下が挙げられる。加水分解に使用される水の量は、ジルコニウムアルコキシド1モルに対して1〜2モルとすることが好ましく、1〜1.7モルがより好ましい。また反応温度は−20〜90℃、より好ましくは−5〜50℃、更に好ましくは0〜20℃の範囲である。加水分解部分縮合反応は好ましくは有機溶媒中で行われる。かかる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の非プロトン系極性溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒から選ばれる1種又は2種以上を混合して使用する。特に好ましい溶媒はメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒やテトラヒドロフランである。また加水分解部分縮合反応には塩酸、硫酸、硝酸、ギ酸等から選ばれる酸触媒や、アンモニアやアミン等の塩基触媒を併用することができる。触媒の使用量は、ジルコニウムアルコキシド1モルに対して0.001〜0.5モル、より好ましくは0.01〜0.2モル、更に好ましくは0.05〜0.2モルの範囲である。加水分解部分縮合に要する反応時間は、触媒の種類や使用量にもよるが0.1〜30時間、より好ましくは0.2〜10時間、更に好ましくは0.2〜5時間の範囲である。
【0021】
本実施の形態の硬化物は、上記(A)成分、(B)成分、及び(C)水を含む硬化性エポキシ樹脂組成物を加水分解縮合反応を含む工程により硬化させて得ることができる。(A)〜(C)成分の混合方法としては特に制限はないが、(A)成分のアルコキシシリル基と(C)水を予め反応させ、加水分解反応によりシラノール基とした後、(B)成分を混合することが好ましい。この際(A)成分に対する(C)水の添加量は、(A)成分中のアルコキシシリル基1モルに対して1〜3モルとすることが好ましい。またアルコキシ基の加水分解反応を促進する目的で、塩酸、硫酸、硝酸、ギ酸等から選ばれる酸触媒や、アンモニアやアミン等の塩基触媒を併用することができる。触媒の使用量は、アルコキシシリル基1モルに対して0.001〜0.5モル、より好ましくは0.01〜0.2モル、更に好ましくは0.05〜0.2モルの範囲である。反応温度及び反応時間は、触媒の種類や使用量にもよるが、反応温度は−20〜90℃、より好ましくは−5〜50℃、更に好ましくは0〜20℃の範囲であり、反応時間は0.1〜30時間、より好ましくは0.2〜10時間、更に好ましくは0.2〜5時間の範囲である。本反応は無溶媒で行うことができる他、(A)成分の調製で使用した溶媒中で連続して行うことも可能である。
【0022】
このようにして調製した(A)成分と(C)成分の混合物に(B)成分を添加し、(A)成分のアルコキシシリル基及びシラノール基と(B)成分の間で加水分解縮合を行うことで本実施の形態の硬化物を得ることができる。この際、縮合を促進する目的で、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート等の縮合触媒を添加することができる。反応は温度20〜200℃、好ましくは50〜150℃、更に好ましくは50〜100℃の範囲で行われ、縮合反応によって生ずる水、アルコール、残存する溶媒を除去しながら1〜100時間、好ましくは2〜50時間の範囲で硬化させる。硬化方法に制限はないが、例えば、コーティング、キャスティング、ポッティング等の方法で所定の形状に賦型し、オーブンや熱プレス等で加熱硬化することができる。
【0023】
本実施の形態の硬化物は、室温以上250℃以下の温度領域においてガラス転移温度を示さない。このため高温においても機械的強度の低下や寸法安定性の低下が少なく、耐熱性に優れた硬化物となる。ここで、室温とは10〜30℃の温度範囲のことを言う。
なお、ガラス転移温度は種々の方法で測定できるが、ここで言うガラス転移温度は、動的粘弾性測定で得られるものを指し、tanδのピークによって示される。
【0024】
本実施の形態の硬化物において(A)成分に対する(B)成分の使用量は、硬化物中のジルコニウムの含有量が酸化ジルコニウム換算で5〜30質量%となる範囲、より好ましくは5〜20質量%となる範囲である。ジルコニウムの含有量が酸化ジルコニウム換算で5質量%未満であると、屈折率の向上効果が不充分であったり、室温以上250℃以下の温度領域でガラス転移温度が消失しない傾向にある。一方、30質量%を超えると機械物性が低下したり、透明性が損なわれる傾向にある。
【0025】
本実施の形態の硬化物中においては、(A)成分中のSiは(B)成分のZrとSi−O−Zr結合を形成して(B)成分から生成する酸化ジルコニウムを(A)成分中に均一かつ安定に分散する機能を発揮し、透明性に優れた硬化物を与えるものと推定される。このSi−O−Zr結合の生成は、例えば、固体29Si−NMRやFT−IR等の分析手法により追跡することが可能である。また(B)成分に由来する酸化ジルコニウムが硬化物中で形成すると考えられるドメインの大きさは、透明性の観点から好ましくは500nm以下、より好ましくは50nm以下、更に好ましくは20nm以下である。ここで、ドメインの大きさは、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定することができる。
【0026】
本実施の形態の硬化物を得るに当たっては、上記(A)〜(C)成分以外に他の成分を併用することができる。例えば(A)〜(C)成分を反応させるに当たり、その他のシラン類として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジエトキシシラン、メチルシクロペンチルジメトキシシラン、メチルシクロペンチルジエトキシシラン、及びこれらの部分縮合物を併用することができる。特にテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、及びその部分縮合物が好適に使用できる。
【0027】
本実施の形態の硬化物を得る際には、(A)〜(C)成分からなる硬化性エポキシ樹脂組成物に対し、更にエポキシ樹脂硬化剤を併用することができる。特に(A)成分を調製する際、(a−1)成分のエポキシ基が(a−2)成分に対し過剰となるように反応させた場合は、(A)成分中に残存するエポキシ基に対しエポキシ樹脂硬化剤を反応させて硬化物の機械物性等を更に向上させることができる。エポキシ樹脂硬化剤としては、通常エポキシ樹脂に対して使用できるものであれば特に限定されない。また、エポキシ樹脂硬化剤は、一般的に硬化促進剤として硬化剤と併せて用いられるものも含む。この硬化促進剤は、触媒量の添加で硬化剤の反応を加速する役割を果たすものである。
【0028】
エポキシ樹脂硬化剤として用いられる化合物の具体例としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、m−キシレンジアミン、m−フェニレンジアミン、イソホロンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−アミノエチルピペラジン、ジシアンジアミド等のアミン系硬化剤;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジメチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、レゾルシノール、メチルレゾルシノール、カテコール、メチルカテコール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシメチルナフタレン、ジヒドロキシジメチルナフタレン、トリスヒロドキシフェニルメタン、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等のフェノール系硬化剤;無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチル−3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸。無水ドデセニルコハク酸、無水トリアルキルテトラヒドロフタル酸等の酸無水物系硬化剤;2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール化合物及びそれらの塩;1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、トリエチレンジアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール等の三級アミン及びそれらの塩;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン等の有機ホスフィン化合物;スルホニウム、ヨードニウム、ジアゾニウム、アンモニウム等から選ばれる少なくとも1種のカチオンと、BF4-、PF6-、SbF6-から選ばれる少なくとも1種のアニオンとから構成されるオニウム塩系のエポキシ基開環重合触媒等を挙げることができ、これらは1種を単独でも、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、特に酸無水物系硬化剤は透明性に優れたエポキシ樹脂硬化物を得るのに適しており好適に使用できる。また、2−ブテニルテトラメチレンスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、3−メチル−2−ブテニルテトラメチレンスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等のカチオン系重合触媒も好適に使用できる。
【0029】
本実施の形態の硬化物を得るに際し、硬化性エポキシ樹脂組成物中には、上述の成分以外に必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、安定剤、反応性ないし非反応性の希釈剤、可塑剤、離型剤、難燃剤、顔料、着色剤、蛍光体等を添加することができる。また熱膨張率、硬度、チキソ性等の諸物性の改良を目的として、シリカ(ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、沈降性シリカ等)やガラス等のフィラーを添加することができる。ガラスの形状としては、短繊維、長繊維、織布、不織布等が使用でき特に限定されない。ガラスの種類としては、Eガラス、Tガラス、Dガラス、NEガラス等が使用でき特に限定されない。
【0030】
本実施の形態の硬化物の屈折率は、波長589.3nmにおいて1.59以上であることが好ましい。屈折率が上記範囲であると、硬化物を封止材やレンズ材等の光学用途に用いた場合に、光取り出し効率の向上や成型品の薄肉化、軽量化に有利となる傾向にある。本実施の形態の硬化物は、その透明性や高い屈折率を活かして、眼鏡レンズ、光学機器用レンズ、CDやDVDのピックアップ用レンズ、自動車ヘッドランプ用レンズ、プロジェクター用レンズ等のレンズ材料、LED等の封止材、光ファイバー、光導波路、光フィルター、光学用接着剤、光ディスク基板、ディスプレイ基板、反射防止膜等のコーティング材等、各種光学部材に好適に使用される。
【実施例】
【0031】
以下、本実施の形態を実施例に基づき具体的に説明するが、本実施の形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
物性の測定は以下に述べる方法により行った。
(1)付加反応及び加水分解縮合反応による硬化反応の追跡
フーリエ変換赤外分光分析装置(Perkin Elmer社製、SPECTRUM2000)を用い、KBr法によりIRスペクトルを測定することにより行った。
(2)屈折率測定
アッベ屈折計(アタゴ(株)製、NAR−2T)を用いて測定を行った。光源としてNa線単色光(589.3nm)、試験片とプリズム間の中間液としてイオウヨウ化メチレン(nD=1.78)を用いた。試験片は硬化物を8×30×1mmの直方体状片に切り出し、耐水研磨紙2000番で研磨後、更にアルミナで研磨したものを用いた。
(3)動的粘弾性測定
非共振強制振動型粘弾性測定装置(レオロジー(株)製、DVE−V4FTレオスペクトラーを用いて測定を行った。硬化物を4.5×30×0.45mmの大きさの試験片に加工し、引っ張りモード、周波数10Hz、変位振幅5μm、昇温速度2℃/分の条件で、−150〜250℃の範囲で測定を行った。
(4)透過型電子顕微鏡(TEM)観察
硬化物の相構造を観察するために透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製、JEM−1210)を使用した。ウルトラミクロトーム((株)ライカ製、REICHERT ULTRACUT E)及びダイヤモンドナイフ(住友電工(株)製、SUMI KNIFE SK1045)を用い、厚さ50nmの超薄膜片を作製し、この薄膜片を銅メッシュ上に載せ観察した。
【0032】
[実施例1]
(1)アルコキシシリル基変性エポキシ樹脂の合成
グローブボックス内でビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名JER828、MW=380)10.0質量部に3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、LS−1390)10.6質量部とジメチルベンジルアミン0.05質量部を加えて80℃で撹拌した。変性反応に伴う発熱が認められ、発熱がなくなるまで2時間撹拌を続けた。
得られたメルカプトシラン変性エポキシ樹脂の構造を確認するため、FT−IRを測定したところ、4530cm-1に現れるエポキシ基の伸縮振動のピークと2568cm-1に現れる−SH基の伸縮振動のピークが完全に消失していることが確認され、エポキシ基とメルカプト基が定量的に反応していることが判った。更には3−メルカプトプロピルトリメトキシシランに由来するメトキシ基は未反応のまま残存していることが判った。
【0033】
(2)硬化性エポキシ樹脂組成物の調製と硬化
上記(1)で調製したメルカプトシラン変性エポキシ樹脂全量に対し、イソプロパノール24.0質量部と塩酸0.19質量部を加え、30分間攪拌した。
得られた溶液3.0質量部を量り取り(正味のメルカプトシラン変性エポキシ樹脂1.38質量部を含む)、蒸留水0.196質量部、ジブチルスズジラウレート0.015質量部を加え、最後にジルコニウムテトラn−プロポキシド(和光純薬工業(株)製、試薬)0.225質量部(硬化物中のジルコニウムの理論含有量が酸化ジルコニウム(ZrO2)換算で6.9質量%となる量)を含むクロロホルム溶液を加えて充分に攪拌した。
得られた溶液を型に入れ大気圧下で1日静置して揮発成分を除去した後、恒温槽に移し80℃で48時間、更に150℃で24時間反応させ硬化物を得た。この硬化物は僅かに黄色い着色が見られたが、透明性に優れたものであった。
【0034】
(3)硬化物の解析
上記(2)で得た硬化物のFT−IRを測定したところ、Si−O−CH3に由来する2840cm-1のピークが消失し、Si−O−Si結合に由来する1034cm-1の吸収とSi−O−Zr結合に由来する950cm-1の吸収が確認された。また硬化物のTEM観察を行ったところ、無機成分の凝集によるドメイン構造は見られず均一な構造が確認された。Si−O−Zr結合の生成によりジルコニウムが系中に均一に相溶し、優れた透明性が得られたと推定された。
この硬化物の動的粘弾性を測定したところ、室温〜250℃の範囲でガラス転移温度は観察されなかった。
【0035】
[実施例2〜4]
実施例1と同じ手順に従い、ジルコニウムの理論含有量が酸化ジルコニウム(ZrO2)換算でそれぞれ11.1、14.3、17.2質量%となるようにジルコニウムテトラn−プロポキシドを加え硬化させた。得られた硬化物の特性を表1にまとめた。
【0036】
[比較例1]
実施例1において、ジルコニウムテトラn−プロポキシドは使用せず、メルカプトシラン変性エポキシ樹脂のみを加水分解縮合し、硬化させた。得られた硬化物の特性を表1にまとめた。
【0037】
[比較例2]
実施例1と同じ手順に従い、ジルコニウムの理論含有量が酸化ジルコニウム(ZrO2)換算で2.4質量%となるようにジルコニウムテトラn−プロポキシドを加え硬化させた。得られた硬化物の特性を表1にまとめた。
【0038】
[比較例3]
実施例1において、ジルコニウムテトラn−プロポキシドの代わりにチタンテトライソプロポキシド(和光純薬工業(株)製、試薬)を用い、チタンの理論含有量が酸化チタン(TiO2)換算で7.2質量%となるように硬化させた。硬化条件は、150℃×12時間とした。得られた硬化物の特性を表1にまとめた。
【0039】
【表1】

【0040】
表1の結果から明らかなように、酸化ジルコニウムの含有量が5〜30質量%の範囲である実施例1〜4においては、高屈折率で、室温〜250℃の温度領域にガラス転移温度を示さない硬化物が得られた。
これに対し、酸化ジルコニウムの含有量が5質量%未満である比較例1及び2においては、屈折率が低く、また室温〜250℃の温度領域にガラス転移温度が観測された。
チタンテトライソプロポキシドを用いた比較例3においては、硬化物が著しく着色しており、また、室温〜250℃の温度領域にガラス転移温度が観察された。
このことから、特定量のジルコニウムアルコキシドを用いた本実施の形態の硬化物は、透明性に優れ、高屈折率と高耐熱性を両立した材料として有利に使用できることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の硬化物は、その透明性と高い屈折率、耐熱性を活かして、眼鏡レンズ、光学機器用レンズ、CDやDVDのピックアップ用レンズ、自動車ヘッドランプ用レンズ、プロジェクター用レンズ等のレンズ材料、LED等の封止材、光ファイバー、光導波路、光フィルター、光学用接着剤、光ディスク基板、ディスプレイ基板、反射防止膜等のコーティング材等、各種光学部材としての産業上利用可能性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂(a−1)のエポキシ基に対し、1分子中に1個のメルカプト基及び少なくとも1個のケイ素原子に結合したアルコキシ基を同時に有するシラン化合物(a−2)を反応させて得られるアルコキシシリル基変性エポキシ樹脂(A)と、
ジルコニウムアルコキシド及び/又はその加水分解部分縮合物(B)と、
水(C)と、
を含む硬化性エポキシ樹脂組成物を加水分解縮合反応を含む工程により硬化させて得られる硬化物であって、
前記硬化物中のジルコニウムの含有量が酸化ジルコニウム換算で5〜30質量%であり、且つ、動的粘弾性測定において室温以上250℃以下の温度領域にガラス転移温度を示さない硬化物。
【請求項2】
波長589.3nmにおける屈折率が1.59以上である、請求項1記載の硬化物。
【請求項3】
請求項1又は2記載の硬化物からなる光学部材。

【公開番号】特開2010−100721(P2010−100721A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−272976(P2008−272976)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年6月13日 日本接着学会発行の「日本接着学会第46回年次大会講演要旨集」に発表
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【出願人】(399030060)学校法人 関西大学 (208)
【Fターム(参考)】