説明

エポキシ樹脂プレポリマーの除去方法および該方法を用いた炭素繊維強化樹脂中間基材からの炭素繊維の分離回収方法

【課題】エポキシ樹脂プレポリマーを簡便でかつ効率よく除去する方法を提供すること。硬化前の炭素繊維強化樹脂中間基材から炭素繊維を簡便でかつ高収率に、しかも品質劣化させずに回収する方法を提供すること。
【解決手段】エポキシ樹脂プレポリマーを、双極子モーメント3.0以上の非プロトン性の有機溶媒を含む溶媒と接触させ、該溶媒にエポキシ樹脂プレポリマーを溶解させるエポキシ樹脂プレポリマーの除去方法。炭素繊維、エポキシ樹脂プレポリマーおよび硬化剤を含む炭素繊維強化樹脂中間基材を、双極子モーメント3.0以上の非プロトン性の有機溶媒を含む溶媒と接触させ、該溶媒にエポキシ樹脂プレポリマーを溶解させる炭素繊維強化樹脂中間基材からの炭素繊維の分離回収方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ樹脂プレポリマーの除去方法および該方法を用いた炭素繊維強化樹脂中間基材からの炭素繊維の分離回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素繊維強化樹脂(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastic)は、比強度や比弾性率が高く、耐熱性や耐食性などの諸特性にも優れていることがよく知られている。このためCFRPは航空・宇宙用途や、ゴルフクラブ、テニスラケットなどのスポーツ用途や、医療用途など、いろいろな分野で広く利用されている。そのようなCFRPは、炭素繊維としてポリアクリロニトリル系炭素繊維やピッチ系炭素繊維に、硬化前のエポキシ樹脂プレポリマーおよび硬化剤などを含んだ樹脂組成物を含浸させた炭素繊維強化樹脂中間基材を目的とする形状になるように加工し、これに熱や圧力をかけて硬化させることにより製造される。
【0003】
目的形状を有するCFRPを製造するために、炭素繊維強化樹脂中間基材を加工する工程で当該中間基材の端材や屑類が発生する。現状では、これらは埋立処理されていることが多いが、近年、埋立地の確保が難しいうえに、埋立処理できたとしても未硬化の樹脂成分が土壌に溶出し、周囲の環境を悪化させるという懸念があり、環境負荷が少ない処理方法の確立が望まれている。また、資源の再利用という観点から、炭素繊維の回収・再利用が望まれている。
【0004】
CFRPからの炭素繊維回収方法としては、炭素繊維強化樹脂を乾留して樹脂を炭化物となした後、酸素存在下で、温度を300〜1000℃の範囲内で燃焼させないで加熱し、炭化物を酸化分解して炭素繊維を回収する方法(特許文献1)、テトラリンまたはデカリンを溶剤として用い、高温高圧で、樹脂を液相熱分解させて炭素繊維を回収する方法(特許文献2)、およびアルカリ金属化合物と有機溶剤を含む処理溶液を用いて樹脂硬化物を比較的高温で溶解することにより炭素繊維を分離する方法(特許文献3)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−33904号公報
【特許文献2】特開2004−91719号公報
【特許文献3】特開2005−255835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のいずれの方法も、CFRPを、高温および/または高圧の厳しい処理条件下、大規模な設備で処理する必要があった。上記従来技術を用いて、硬化前の炭素繊維強化樹脂中間基材から炭素繊維を回収しようとすると、高温処理および/または高圧処理が煩雑であったり、当該処理のための過大な設備が必要であったり、回収された炭素繊維の表面に亀裂や剥離等の発生、更には繊維径の減少による強度や弾性率の低下が起こったりした。このため、硬化前の炭素繊維強化樹脂中間基材から炭素繊維を回収する方法については、これまで簡便かつ適切な手法は提案されていなかった。
【0007】
本発明の目的は、エポキシ樹脂プレポリマーを簡便でかつ効率よく除去する方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、硬化前の炭素繊維強化樹脂中間基材から炭素繊維を簡便でかつ高収率に、しかも表面に亀裂や剥離等の発生、更には繊維径の減少による強度や弾性率の低下等の品質劣化を起こさずに回収する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、エポキシ樹脂プレポリマーを、双極子モーメント3.0以上の非プロトン性の有機溶媒を含む溶媒と接触させ、該溶媒にエポキシ樹脂プレポリマーを溶解させることを特徴とするエポキシ樹脂プレポリマーの除去方法に関する。
【0009】
本発明はまた、炭素繊維、エポキシ樹脂プレポリマーおよび硬化剤を含む炭素繊維強化樹脂中間基材を、双極子モーメント3.0以上の非プロトン性の有機溶媒を含む溶媒と接触させ、該溶媒にエポキシ樹脂プレポリマーを溶解させることを特徴とする炭素繊維強化樹脂中間基材からの炭素繊維の分離回収方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るエポキシ樹脂プレポリマーの除去方法によれば、エポキシ樹脂プレポリマーを簡便でかつ効率よく除去することができる。特に本発明に係るエポキシ樹脂プレポリマーの除去方法は高温処理および高圧処理を要さないので、炭素繊維表面からエポキシ樹脂プレポリマーを、炭素繊維表面に亀裂や剥離等の発生、更には繊維径の減少による強度や弾性率の低下等の劣化を起こさずに、除去することができる。
本発明に係る炭素繊維の分離回収方法によれば、炭素繊維、エポキシ樹脂プレポリマーおよび硬化剤を含む炭素繊維強化樹脂中間基材から、炭素繊維を簡便でかつ高収率で、しかも表面に亀裂や剥離等の発生、更には繊維径の減少による強度や弾性率の低下等の品質劣化を起こさずに回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る炭素繊維の分離回収方法の好ましい一実施形態を採用した設備フロー図を示す。
【図2】実施例1で回収された炭素繊維の表面状態を示す顕微鏡写真(SEM写真)である。
【図3】作成例1で使用した炭素繊維の表面状態を示す顕微鏡写真(SEM写真)である。
【図4】作成例1で作成した炭素繊維強化樹脂中間基材の表面状態を示す顕微鏡写真(SEM写真)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(エポキシ樹脂プレポリマーの除去方法)
本発明に係るエポキシ樹脂プレポリマーの除去方法では、エポキシ樹脂プレポリマーを、特定の有機溶媒を含む溶媒と接触させる。
【0013】
エポキシ樹脂プレポリマーは、1分子中にエポキシ基を2個以上有する多官能エポキシ化合物および該多官能エポキシ化合物と硬化剤とをエポキシ基の開環反応により反応させて硬化物を形成する際の中間生成物を包含して意味するものである。本発明においてエポキシ樹脂プレポリマーは後者の中間生成物が好適である。中間生成物は除去が比較的困難であるが、本発明においてはそのような中間生成物であっても有効に除去できるためである。
【0014】
エポキシ樹脂プレポリマーとしての中間生成物は、詳しくは、多官能エポキシ化合物と硬化剤とを加熱によるエポキシ基の開環反応により十分に反応させて網目構造を有する硬化物(製品)を形成する際に、当該反応を途中で止めて得られる半製品である。このような半製品としては、例えば、炭素繊維強化樹脂(CFRP)の製造過程で加熱を途中で止めて得られる中間基材(プリプレグ)中の樹脂が挙げられる。CFRPの製造時において加熱により完全に反応させて得られる硬化物はその優れた強度および弾性率等の機械特性により所望形状への成形加工等が困難であるところ、加熱を途中で止めて得られるプリプレグは成形加工が比較的容易なため、当該プリプレグはCFRPの分野において一般的に取り引きされ、流通しているものである。
【0015】
エポキシ樹脂プレポリマーの数平均分子量は通常、200〜3000であり、好ましくは300〜2000、より好ましくは300〜1000である。
【0016】
数平均分子量はGPC(ゲル浸透クロマトグラフ)測定装置を用いて測定される。なお、市販の標準サンプルとしてポリスチレンオリゴマーを用い、測定条件における検量線を作成して求めることができる。
【0017】
多官能エポキシ化合物としては、具体的には、芳香族エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物および複素環式エポキシ化合物等が挙げられる。エポキシ樹脂プレポリマーの除去効率の観点から、芳香族エポキシ化合物、特にビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、N,N,N',N'−テトラグリシジル−4,4'−メチレンジアニリンが好ましい。
【0018】
芳香族エポキシ化合物の具体例として、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、2,2',6,6'−テトラメチル−4,4'−ビフェノールジグリシジルエーテル、N,N,O−トリグリシジル−m−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−4−アミノ−3−メチルフェノール、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジル−o−トルイジン、N,N,N',N'−テトラグリシジル−4,4'−メチレンジアニリン、N,N,N',N'−テトラグリシジル−2,2'−ジエチル−4,4'−メチレンジアニリン、N,N,N',N'−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、フタル酸ジグリシジル、テレフタル酸ジグリシジル、1,6−ジヒドロキシナフタレンのジグリシジルエーテル、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンのジグリシジルエーテル、トリス(p−ヒドロキシフェニル)メタンのトリグリシジルエーテル、テトラキス(p−ヒドロキシフェニル)エタンのテトラグリシジルエーテル、フェノールノボラックグリシジルエーテル、クレゾールノボラックグリシジルエーテル、フェノールとジシクロペンタジエンの縮合物のグリシジルエーテル、フェノールアラルキル樹脂のグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、N−グリシジルフタルイミド、ビスフェノールAジグリシジルエーテルとトリレンイソシアネートの付加により得られるオキサゾリドン型エポキシ樹脂、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの縮合により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0019】
脂肪族エポキシ化合物の具体例として、例えば、1,3−ビス(ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、エチレングリコールジグリジジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、アジピン酸ビス−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル等が挙げられる。
【0020】
複素環式エポキシ化合物の具体例として、例えば、5−エチル−1,3−ジグリシジル−5−メチルヒダントイン、1,3−ジグリシジル−5,5−ジメチルヒダントイン等が挙げられる。
【0021】
硬化剤は、多官能エポキシ化合物のエポキシ基との開環反応により網目構造を有する硬化物を形成し得る有機または無機の化合物であり、エポキシ樹脂の分野で硬化剤として使用されている公知のものが使用できる。
【0022】
硬化剤として、例えば、芳香族アミン、脂肪族アミン、脂環式アミン、カルボン酸無水物、ルイス酸錯体、酸系硬化触媒、塩基系硬化触媒などが挙げられる。
【0023】
芳香族アミンの具体的な例としては、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、2,2'−ジエチルジアミノジフェニルメタン、4,4'−メチレンビス(N−メチルアニリン)、4,4'−メチレンビス(N−エチルアニリン)、4,4'−メチレンビス(N−sec−ブチルアニリン)、N,N'−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。
【0024】
脂肪族アミンの具体例としては、ヘキサメチレンジアミン、1,3−ペンタンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ヒドラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロプレンジアミン、トリエチレンジアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、ステアリルアミン、N,N−ジメチルラウリルアミン、N,N−ジメチルミリスチルアミン、ヘキサン二酸ジヒドラジドなどが挙げられる。
【0025】
脂環式アミンの具体例としては、ピペラジン、ピペリジン、N,N−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4'−メチレンビスシクロヘキシルアミン、4、4'−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンなどが挙げられる。
【0026】
カルボン酸無水物としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水コハク酸、エチレングリコールビストリメリテート、テトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸などが挙げられる。
【0027】
ルイス酸錯体としては、三フッ化ホウ素またはそのアミン錯体、塩化亜鉛、塩化錫、塩化鉄、塩化アルミニウムなどが挙げられる。
【0028】
酸系硬化触媒としては、オクタン酸、ラウリル酸、ステアリン酸、コハク酸、グルタル酸などの脂肪族カルボン酸;安息香酸、ナフトエ酸、フタル酸、サリチル酸などの芳香族カルボン酸;フェノール、クレゾールなどのフェノール系化合物などが挙げられる。
【0029】
塩基系硬化触媒としては、ピペリジン、N,N−ジメチルピペラジン、トリエチレンジアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7またはその有機酸塩、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5またはその有機酸塩などが挙げられる。
【0030】
中でも、好ましい硬化剤として、芳香族アミン、脂肪族アミン、脂環式アミンが挙げられる。より好ましい硬化剤として、ピペラジン、ヒドラジン、ヘキサン二酸ジヒドラジド、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、4,4'−メチレンビスシクロヘキシルアミン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホンまたは4,4'−ジアミノジフェニルメタンなどが挙げられる。
【0031】
硬化剤の含有量は通常、多官能エポキシ化合物のエポキシ基1当量に対して硬化剤の活性水素、特にアミノ基が0.5当量以上、好ましくは1当量となるような量である。
【0032】
エポキシ樹脂プレポリマーを接触させる溶媒は、双極子モーメントが3.0以上、特に3.0〜5.0、好ましくは3.2〜4.8、より好ましくは3.5〜4.5であり、かついわゆる非プロトン性を有する有機溶媒(以下、単に「有機溶媒A」という)を含むものである。本発明において有機溶媒Aを含む溶媒を用いることにより、比較的低温および低圧で、エポキシ樹脂プレポリマーを溶出させることができ、結果としてエポキシ樹脂プレポリマーを簡便でかつ効率よく除去することができる。双極子モーメントが上記範囲内であり、かついわゆるプロトン性を有する有機溶媒は存在しない。有機溶媒の双極子モーメントが3.0未満であると、当該有機溶媒が非プロトン性であっても、プロトン性であっても、エポキシ樹脂プレポリマーを十分に除去することができない。
【0033】
有機溶媒Aとしては、例えば、ジメチルスルホキシド(双極子モーメント4.30)、N,N−ジメチルホルムアミド(同3.86)、N,N−ジメチルアセトアミド(同3.72)、N−メチルピロリドン(同4.09)、γ−ブチロラクトン(同4.12)、スルホラン(同4.81)からなる群から選ばれる少なくとも一種の有機溶媒が使用できる。エポキシ樹脂プレポリマーの除去効率の観点から好ましい有機溶媒Aとして、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンおよびγ−ブチロラクトンからなる群から選ばれる少なくとも一種の有機溶媒が挙げられる。より好ましい有機溶媒Aとして、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドおよびN−メチルピロリドンが挙げられる。上記双極子モーメントは溶剤ハンドブック 18版講談社サイエンティフィックに開示されている値である。
【0034】
エポキシ樹脂プレポリマーと接触させる溶媒(以下、単に「有機溶媒A含有溶媒」という)は、本発明の目的が達成される範囲内で、有機溶媒A以外に、当該有機溶媒Aに対して相溶性を有する、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン等の他の溶媒を含んでもよい。有機溶媒A含有溶媒中の有機溶媒Aの含有割合は通常、有機溶媒A含有溶媒全量に対して70〜100重量%、特に80〜100重量%が好適である。
【0035】
エポキシ樹脂プレポリマーと有機溶媒A含有溶媒との接触処理方法は、エポキシ樹脂プレポリマーを有機溶媒A含有溶媒中に溶解させ得る程度の接触時間を確保できる限り特に制限されず、例えば、エポキシ樹脂プレポリマーを有機溶媒A含有溶媒に浸漬して撹拌する浸漬方法、エポキシ樹脂プレポリマーに有機溶媒A含有溶媒を継続して吹きかけるスプレー方法等が挙げられる。エポキシ樹脂プレポリマーの除去効率の観点から、上記浸漬方法を採用することが好ましい。
【0036】
特に浸漬方法を採用する場合、有機溶媒A含有溶媒の使用量は、エポキシ樹脂プレポリマーの除去効果とコストとのバランスの観点から、エポキシ樹脂プレポリマーに対して3重量倍から200重量倍であることが好ましい。
【0037】
エポキシ樹脂プレポリマーと有機溶媒A含有溶媒との接触処理は10〜150℃、特に10℃以上150℃未満、好ましくは20〜60℃の温度条件下で行われる。本発明においては、特に20〜30℃という比較的低温でもエポキシ樹脂プレポリマーを十分に除去することができる。処理温度が10℃未満だと除去効果は低くなってしまう。また、150℃を超えると、除去効果が高いものの、大量の熱量が必要となってしまう。
【0038】
エポキシ樹脂プレポリマーと有機溶媒A含有溶媒との接触処理は、大気圧下で行っても良いし、加圧下で行っても良い。本発明においては、特に大気圧下でもエポキシ樹脂プレポリマーを十分に除去することができる。当該接触処理を加圧下で行うと、比較的高いエポキシ樹脂プレポリマーの除去効果が期待できるものの、設備が大型になってしまうので、エポキシ樹脂プレポリマーの除去効果と設備コストとのバランスの観点から大気圧下で行うことが好ましい。
【0039】
エポキシ樹脂プレポリマーには、硬化剤以外に他の添加剤が含有されてもよい。他の添加剤としては、例えば、熱可塑性ポリマーであるポリエーテルスルホン等が挙げられる。
【0040】
エポキシ樹脂プレポリマーとの接触によりエポキシ樹脂プレポリマーが溶解された有機溶媒A含有溶媒は、回収後、蒸留法等により精製し、再利用することができる。一方で、蒸留法等による溶媒の精製後、エポキシ樹脂プレポリマーおよび添加剤は残渣として回収することができるので再利用できる。
【0041】
本発明に係るエポキシ樹脂プレポリマーの除去方法は、炭素繊維からのエポキシ樹脂プレポリマーの除去に有用である。一般的には、炭素繊維表面に付着したエポキシ樹脂プレポリマーは除去が困難であり、また他の方法では高温処理および/または高圧処理を要するため炭素繊維表面に亀裂や剥離等の発生、更には繊維径の減少による強度や弾性率の低下等の劣化が起こるものである。しかし本発明に係るエポキシ樹脂プレポリマーの除去方法によると、高温処理および高圧処理なしに、炭素繊維表面からエポキシ樹脂プレポリマーを簡便でかつ効率よく除去することができ、その結果として炭素繊維表面に亀裂や剥離等の発生、更には繊維径の減少による強度や弾性率の低下等の劣化が起こらない。
【0042】
本発明に係るエポキシ樹脂プレポリマーの除去方法を、炭素繊維表面からのエポキシ樹脂プレポリマーの除去に適用する場合、炭素繊維およびエポキシ樹脂プレポリマーを含む樹脂混合物を、前記した有機溶媒A含有溶媒と接触させる。この場合におけるエポキシ樹脂プレポリマー、有機溶媒A含有溶媒、該溶媒と樹脂混合物との接触処理およびその方法はそれぞれ、前記したエポキシ樹脂プレポリマー、有機溶媒A含有溶媒、該溶媒とエポキシ樹脂プレポリマーとの接触処理およびその方法と同様である。
【0043】
樹脂混合物は少なくとも炭素繊維および当該炭素繊維の表面に付着・接触して存在するエポキシ樹脂プレポリマーからなるものである。樹脂混合物におけるエポキシ樹脂プレポリマーの存在形態は、当該樹脂混合物の表面にエポキシ樹脂プレポリマーが露出して存在する限り特に制限されず、例えば、炭素繊維の長繊維の束または繊維群にエポキシ樹脂プレポリマーが含浸されてなる形態であってもよいし、エポキシ樹脂プレポリマー中に炭素繊維の短繊維が分散されてなる形態であってもよい。
【0044】
炭素繊維は、従来より炭素繊維強化樹脂(CFRP)に使用される炭素繊維が使用可能であり、例えば、PAN系炭素繊維でも、ピッチ系炭素繊維でもよい。
PAN系炭素繊維はポリアクリロニトリルを原料として製造された炭素繊維である。
ピッチ系炭素繊維はピッチ(石油精製あるいは石炭乾留等の副産物)を原料として製造された炭素繊維である。
【0045】
炭素繊維の長さは特に制限されるものではなく、例えば1mm程度のいわゆる短繊維であっても、10m程度のいわゆる長繊維であっても、それらの混合物であってもよい。
【0046】
炭素繊維の形態は、特に制限されるものではなく、例えば、一方向材、クロス、短繊維、不織布等のいずれの形態であっても構わない。
【0047】
樹脂混合物における炭素繊維とエポキシ樹脂プレポリマーとの混合比率は、当該樹脂混合物の表面にエポキシ樹脂プレポリマーが露出して、当該エポキシ樹脂プレポリマーと有機溶媒A含有溶媒との接触が達成される限り、特に制限されるものではなく、通常は炭素繊維/エポキシ樹脂プレポリマーの比率で50/50〜80/20である。
【0048】
樹脂混合物には、炭素繊維およびエポキシ樹脂プレポリマー以外に前記した硬化剤、熱可塑性ポリマー等の添加剤が含有されてもよい。特に硬化剤の含有量は前記した範囲と同様の範囲内であってよい。
【0049】
樹脂混合物の大きさは特に制限されるものではないが、小さいほど、エポキシ樹脂プレポリマーを迅速に除去できるので、樹脂混合物は最大長が50cm以下、特に1〜50mmになるように粉砕されて使用されることが好ましい。上記最大長とすると、エポキシ樹脂プレポリマーの溶解・除去により溶媒中に遊離する炭素繊維同士の絡み合いおよび炭素繊維の撹拌機への絡み付きが回避でき、処理操作がより一層簡便になる。
【0050】
(炭素繊維の分離回収方法)
以上に説明した本発明に係るエポキシ樹脂プレポリマーの除去方法を用いて、炭素繊維強化樹脂中間基材から炭素繊維を分離回収することができる。
【0051】
炭素繊維の分離回収方法は、樹脂混合物として炭素繊維強化樹脂中間基材を用いること以外、本発明に係るエポキシ樹脂プレポリマーの除去方法において炭素繊維表面からエポキシ樹脂プレポリマーを除去する場合と同様である。詳しくは、炭素繊維強化樹脂中間基材を、有機溶媒A含有溶媒と接触させ、該溶媒にエポキシ樹脂プレポリマーを溶解させる。これによって、炭素繊維強化樹脂中間基材から、エポキシ樹脂プレポリマーを簡便でかつ効率よく除去することができ、結果として炭素繊維を簡便でかつ高収率で、しかも品質劣化させずに回収することができる。前記したエポキシ樹脂プレポリマーの除去方法の説明は、特記しない限り、「樹脂混合物」を「炭素繊維強化樹脂中間基材」と読み替えて、「炭素繊維の分離回収方法」の説明として準用するものとする。
【0052】
炭素繊維強化樹脂中間基材は、炭素繊維強化樹脂(CFRP)を製造するためのプリプレグ(中間基材)であって、CFRPの製造過程で完全硬化に至る前に加熱を途中で止めて得られるプリプレグである。炭素繊維強化樹脂中間基材としては、プリプレグの成形加工時に発生する端材や屑類が使用できる。
【0053】
炭素繊維強化樹脂中間基材(以下、単に「中間基材」という)は詳しくは、炭素繊維、エポキシ樹脂プレポリマーおよび硬化剤を含むものである。当該中間基材に含まれる炭素繊維、エポキシ樹脂プレポリマーおよび硬化剤は前記エポキシ樹脂プレポリマーの除去方法においてと同様である。
【0054】
中間基材におけるエポキシ樹脂プレポリマーの存在形態は当該基材の表面にエポキシ樹脂プレポリマーが露出して存在する限り特に制限されず、前記した樹脂混合物におけるエポキシ樹脂プレポリマーの存在形態と同様の形態が例示できる。中間基材におけるエポキシ樹脂プレポリマーの存在形態は通常、炭素繊維の長繊維の束または繊維群にエポキシ樹脂プレポリマーが含浸されてなる形態またはエポキシ樹脂プレポリマー中に炭素繊維の単繊維が分散されてなる形態である。
【0055】
中間基材における炭素繊維とエポキシ樹脂プレポリマーとの混合比率は、当該中間基材の表面にエポキシ樹脂プレポリマーが露出して、当該エポキシ樹脂プレポリマーと前記有機溶媒A含有溶媒との接触が達成される限り、特に制限されるものではない。中間基材における炭素繊維とエポキシ樹脂プレポリマーとの混合比率は通常、炭素繊維/エポキシ樹脂プレポリマーの重量割合で50/50〜80/20であり、好ましくは60/40〜70/30である。
【0056】
中間基材には、硬化剤以外に他の添加剤が含有されてもよい。他の添加剤としては、例えば、熱可塑性ポリマー等が挙げられる。
【0057】
中間基材の大きさは特に制限されるものではないが、小さいほど、エポキシ樹脂プレポリマーを迅速に除去でき、結果として炭素繊維の回収効率が向上するので、中間基材は最大長が前記した樹脂混合物と同様の範囲内になるように粉砕されて使用されることが好ましい。当該最大長とすると、エポキシ樹脂プレポリマーの溶解・除去により溶媒中に遊離する炭素繊維同士の絡み合いおよび炭素繊維の撹拌機への絡み付きが回避でき、炭素繊維の回収処理操作がより一層簡便になる。
【0058】
中間基材と接触させる溶媒は前記した同様の有機溶媒A含有溶媒である。
中間基材と有機溶媒A含有溶媒との接触処理およびその方法は、前記した樹脂混合物と有機溶媒A含有溶媒との接触処理およびその方法と同様である。
【0059】
中間基材を有機溶媒A含有溶媒と接触させてエポキシ樹脂プレポリマーを除去した後は、当該溶媒から、当該溶媒中に分散されている炭素繊維を分離する。分離方法は炭素繊維を分離できれば特に制限されず、例えば、自然濾過方法、減圧濾過方法、加圧濾過方法、遠心分離方法等が挙げられる。
【0060】
分離された炭素繊維は洗浄した後、乾燥してもよいし、または洗浄することなく、直接、乾燥してもよい。洗浄処理は、溶媒に溶解または分散していたエポキシ樹脂プレポリマー、硬化剤およびその他の添加剤等の物質が炭素繊維表面に再付着しているのを濯ぎ落とす処理である。洗浄方法は特に制限されず、炭素繊維を洗浄液に浸漬して撹拌する方法、炭素繊維に洗浄液をスプレーする方法等が挙げられる。洗浄液としては特に制限されず、例えば、有機溶媒Aとして使用される有機溶媒、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、メチルアルコール、メチルエチルケトン、アセトン等が挙げられる。好ましくは有機溶媒Aを用いる。洗浄後の乾燥の観点から、有機溶媒Aで洗浄した後、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、メチルアルコール、メチルエチルケトン、アセトン等の低沸点洗浄液で再度、洗浄することが好ましい。洗浄された炭素繊維は、前記した同様の分離方法等により分離された後、乾燥を行う。
【0061】
乾燥方法は、洗浄液または溶媒の蒸発が達成されれば特に制限されず、迅速乾燥の観点から加温することが好ましい。このとき、減圧することがさらに好ましい。乾燥温度は200℃以下、特に20〜120℃が好適である。
【0062】
中間基材との接触により当該中間基材中のエポキシ樹脂プレポリマー等が溶解された有機溶媒A含有溶媒や洗浄処理に使用された洗浄液は、回収後、蒸留法等により精製し、再利用することができる。一方で、蒸留法等による精製後、エポキシ樹脂プレポリマーおよび添加剤は残渣として回収することができるので再利用できる。
【0063】
本発明に係る炭素繊維の分離回収方法の好ましい一実施形態を採用した設備フロー図を図1に示す。当該設備フロー図における各工程での処理は回分式であるが、連続式であってもよい。
【0064】
図1において、中間基材1はまず、粉砕槽2内で裁断・粉砕され、得られた粉砕物は溶解槽3内に供給される。溶解槽3内では有機溶媒A含有溶媒が収容されており、当該溶媒中に粉砕物を浸漬し、撹拌を行うことにより、中間基材中のエポキシ樹脂プレポリマーを当該溶媒に溶解させる。エポキシ樹脂プレポリマーを十分に溶解させた後は、当該溶媒を濾過装置4により濾過し、溶媒中に分散されていた炭素繊維を分離する。分離された炭素繊維は洗浄槽5内に供給される。洗浄槽5内では洗浄液が収容されており、当該洗浄液中に炭素繊維を浸漬し、撹拌を行うことにより、炭素繊維表面に再付着していたエポキシ樹脂プレポリマー、硬化剤、およびその他の添加剤等の物質を濯ぎ落とす。その後、洗浄液を濾過装置6により濾過し、洗浄液中に分散されていた炭素繊維を分離する。分離された炭素繊維は乾燥装置7内に供給され、所望により減圧下で乾燥を行い、炭素繊維8を回収する。
【実施例】
【0065】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例のみに制限されるものではない。以下の実施例中、「室温」とは「25℃」を意味するものとする。
【0066】
(作成例1)
硬化剤(4,4'−ジアミノジフェニルスルホン(以下DDS))15.0gを170℃付近まで昇温し、DDSを溶融した。溶融させたDDSに70℃付近まで加温した多官能エポキシ化合物(ビスフェノールAジグリシジルエーテル(以下BADGE))を41.1g加えた。その後、DDSとBADGEが完全に溶融するまで170℃に加温しながら攪拌し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物約1.5gを、炭素繊維(PAN系炭素繊維;三菱レイヨン社製)約2gに対して含浸した。その後1時間、100℃にて加温し熟成させた。熟成後、2時間、10℃以下で冷却して粉砕し、炭素繊維強化樹脂中間基材(最大長30mm)を得た。当該中間基材中の樹脂成分の数平均分子量は630であった。
【0067】
(作成例2)
作成例1において、多官能 エポキシ化合物をビスフェノールAジグリシジルエーテル41.1gからビスフェノールFジグリシジルエーテル37.7gに変更した以外、作成例1と同様の方法により、炭素繊維強化樹脂中間基材(最大長30mm)を得た。当該中間基材中の樹脂成分の数平均分子量は590であった。
【0068】
(作成例3)
作成例1において、多官能エポキシ化合物をビスフェノールAジグリシジルエーテル41.1gからN,N,N',N'−テトラグリシジル−4,4'−メチレンジアニリン25.5gに変更した以外、作成例1と同様の方法により、炭素繊維強化樹脂中間基材(最大長30mm)を得た。当該中間基材中の樹脂成分の数平均分子量は740であった。
【0069】
(実施例1)
炭素繊維強化樹脂中間基材を溶媒処理に供した。詳しくは、作成例1にて作成した炭素繊維強化樹脂中間基材約3.5gと溶媒N−メチルピロリドン(室温)70gを200mLの三角フラスコにマグネティックスターラーとともに入れ、室温、大気圧下で1時間攪拌を行った。攪拌終了後、ヌッチェを用い、固液分離を行った。ヌッチェ上に捕捉された炭素繊維をイソプロピルアルコール10.0gでリンスを2回行った。この炭素繊維を乾燥機に入れ、100℃、100Pa以下で5時間減圧乾燥を行い、炭素繊維を回収した。この結果、樹脂組成物の除去率は97.8%であった。実施例1で回収された炭素繊維の表面状態を示す顕微鏡写真(SEM写真)を図2に示す。作成例1で使用した炭素繊維の表面状態を示す顕微鏡写真(SEM写真)を図3に示す。作成例1で作成した炭素繊維強化樹脂中間基材の表面状態を示す顕微鏡写真(SEM写真)を図4に示す。図2および図3より、回収された炭素繊維の表面に亀裂や剥離等の発生、更には繊維径の減少による強度や弾性率の低下等の品質劣化は全く起こっていなかった。本発明に係るエポキシ樹脂プレポリマーの除去方法では、炭素繊維の表面に亀裂や剥離等の発生、更には繊維径の減少による強度や弾性率の低下等の品質劣化を起こさずに回収することができることが明らかである。
【0070】
樹脂組成物の除去率は以下の計算式にて算出した。除去率の評価ランクを以下に示す。
◎;90≦除去率≦100%;
○;80≦除去率<90%;
△;60≦除去率<80%(実用上問題なし);
×;除去率<60%(実用上問題あり)。
【0071】
【数1】

【0072】
(実施例2〜4および比較例1〜5)
実施例1において、溶媒をN−メチルピロリドンから表1または表2に記載の有機溶媒に変更した以外、実施例1と同様の方法により、炭素繊維の回収および樹脂組成物の除去率の算出を行った。
【0073】
(実施例5)
作成例2にて作成した炭素繊維強化樹脂中間基材を用いたこと以外、実施例1と同様の方法により、炭素繊維の回収および樹脂組成物の除去率の算出を行った。
【0074】
(実施例6〜8および比較例6〜10)
実施例5において、溶媒をN−メチルピロリドンから表3または表4に記載の有機溶媒に変更した以外、実施例5と同様の方法により、炭素繊維の回収および樹脂組成物の除去率の算出を行った。
【0075】
(実施例9)
作成例3にて作成した炭素繊維強化樹脂中間基材を用いたこと以外、実施例1と同様の方法により、炭素繊維の回収および樹脂組成物の除去率の算出を行った。
【0076】
(実施例10〜12および比較例11〜15)
実施例9において、溶媒をN−メチルピロリドンから表5または表6に記載の有機溶媒に変更した以外、実施例9と同様の方法により、炭素繊維の回収および樹脂組成物の除去率の算出を行った。
【0077】
(実施例13〜16)
作成例3にて作成した炭素繊維強化樹脂中間基材を用いたこと、N−メチル−2−ピロリドンと水との混合溶媒を用いたこと、混合溶媒の混合比率(重量比)を表7に記載の比率としたこと、混合溶媒を炭素繊維強化樹脂中間基材に対して30重量倍で使用したこと以外、実施例1と同様の方法により、炭素繊維の回収および樹脂組成物の除去率の算出を行った。
【0078】
【表1】

【0079】
【表2】

【0080】
【表3】

【0081】
【表4】

【0082】
【表5】

【0083】
【表6】

【0084】
【表7】

【符号の説明】
【0085】
1:中間基材
2:粉砕槽
3:溶解槽
4:濾過装置
5:洗浄槽
6:濾過装置
7:乾燥装置
8:炭素繊維

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂プレポリマーを、双極子モーメント3.0以上の非プロトン性の有機溶媒を含む溶媒と接触させ、該溶媒にエポキシ樹脂プレポリマーを溶解させることを特徴とするエポキシ樹脂プレポリマーの除去方法。
【請求項2】
前記有機溶媒が、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンおよびγ−ブチロラクトンからなる群から選ばれる少なくとも一種の有機溶媒である請求項1に記載のエポキシ樹脂プレポリマーの除去方法。
【請求項3】
前記接触処理を10〜150℃で行う請求項1または2に記載のエポキシ樹脂プレポリマーの除去方法。
【請求項4】
前記接触処理を大気圧下で行う請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂プレポリマーの除去方法。
【請求項5】
炭素繊維、エポキシ樹脂プレポリマーおよび硬化剤を含む炭素繊維強化樹脂中間基材を、双極子モーメント3.0以上の非プロトン性の有機溶媒を含む溶媒と接触させ、該溶媒にエポキシ樹脂プレポリマーを溶解させることを特徴とする炭素繊維強化樹脂中間基材からの炭素繊維の分離回収方法。
【請求項6】
前記有機溶媒が、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンおよびγ−ブチロラクトンからなる群から選ばれる少なくとも一種の有機溶媒である請求項5に記載の炭素繊維の分離回収方法。
【請求項7】
前記接触処理を10〜150℃で行う請求項5または6に記載の炭素繊維の分離回収方法。
【請求項8】
前記接触処理を大気圧下で行う請求項5〜7のいずれかに記載の炭素繊維の分離回収方法。
【請求項9】
前記炭素繊維強化樹脂中間基材を予め最大長50mm以下に切断した後、前記溶媒と接触させる請求項5〜8のいずれかに記載の炭素繊維の分離回収方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−107973(P2013−107973A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253657(P2011−253657)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000187046)東レ・ファインケミカル株式会社 (153)
【出願人】(304025769)日本エコロジー株式会社 (3)
【Fターム(参考)】