説明

エポキシ樹脂硬化用触媒、エポキシ樹脂組成物及び粉末コーティング組成物

グアニジニウム塩を含む硬化性エポキシ樹脂組成物、並びに当該組成物を含む粉末コーティング組成物が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ樹脂硬化用触媒、エポキシ樹脂組成物及び粉末コーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
熱硬化性エポキシ樹脂は、靭性、耐食性及び耐薬品性の点で優れた性質を示すだけでなく、安価である。こうした性質から、これらの樹脂は自動車コーティング、建築材料及び家庭用電気機器のような様々な用途におけるコーティング材料として理想的である。有利な点として、エポキシ樹脂は有機溶媒を含まないので環境にやさしい粉末コーティングとしての適用性を有している。
【0003】
公知のエポキシ樹脂粉末コーティング組成物は、エポキシ樹脂、カルボン酸基又はフェノール基を主たる末端基として有する樹脂、さらにはポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタン又はアクリレートポリマーのような追加樹脂を含んでいる。こうした種類の粉末コーティングは、十分な硬化のため高温で長時間の焼付工程を必要とする。焼付工程の高温の問題は、焼付温度を下げることができる硬化触媒を粉末コーティングに添加することで対処されてきた。粉末コーティングに使用されてきた硬化触媒の例には、イミダゾール類、金属塩錯体、アンモニウム塩及びホスホニウム塩がある。
【特許文献1】米国特許第2928803号明細書
【特許文献2】米国特許第3523143号明細書
【特許文献3】米国特許第3624180号明細書
【特許文献4】米国特許第3966836号明細書
【特許文献5】米国特許第4297255号明細書
【特許文献6】米国特許第5049237号明細書
【特許文献7】米国特許第5378571号明細書
【特許文献8】米国特許第5116975号明細書
【特許文献9】米国特許第5102979号明細書
【特許文献10】米国特許第5132423号明細書
【特許文献11】米国特許第5439988号明細書
【特許文献12】米国特許第5545692号明細書
【特許文献13】米国特許第5596037号明細書
【特許文献14】米国特許第5789498号明細書
【特許文献15】米国特許第5907025号明細書
【特許文献16】米国特許第6649728号明細書
【特許文献17】米国特許出願公開第2003/0109378号明細書
【特許文献18】国際公開第01/79359号パンフレット
【非特許文献1】Kantlehner et al.,Liebigs Ann.Chem.,“Herstellung von 1,1,2,3,3−Pentasubstituierten und 1,1,2,2,3,3−Hexasubstituierten Guanidiniumsalzen Sowie von 1,1,2,3,3−Pentaalkylguanidinen”,pp.108−126,1984.
【非特許文献2】Pruszynski,Can.J.Chem.,“Synthesis and Properties of Phenyl Substituted Derivatives of 2−Phenyl−1,1,2,2−Tetramethylguanidine”,65,pp.626−629,1987.
【非特許文献3】Scherrer,Ciba Specialty Chemicals Inc.,Basle,Switzerland,Plastic Additives Handbook,5th Edition,Colorants,Part I:Color,Pigments and Dyes”,pp.813−882,199.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
硬化温度をさらに一段と低下させるため、エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂を含む粉末コーティング組成物の硬化のためのさらに活性の高い触媒に対するニーズが依然存在する。また、改良エポキシ樹脂組成物及び改良粉末コーティング組成物に対するニーズも存在している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態は、エポキシ樹脂、及び触媒量のヘキサヒドロカルビルグアニジニウム塩を含んでなる硬化性組成物である。
【0006】
別の実施形態では、エポキシ樹脂100重量部、硬化剤約2〜約5000重量部、及び次式のヘキサヒドロカルビルグアニジニウム塩0.01〜約20重量部を含んでなる硬化性組成物が提供される。
【0007】
【化1】

式中、R、R、R、R及びRは各々独立にC〜C12ヒドロカルビル、RはC〜C12ヒドロカルビル又はC〜C12ヒドロカルビレンであるか、或いはR、R、R、R、R及びRのいずれか2つの組合せが結合して窒素原子又は窒素−炭素−窒素原子で連結した五員又は六員複素環を形成し、Xq−はアニオン又はジアニオンであり、nは1又は2である。
【0008】
さらに別の実施形態では、エポキシ樹脂、触媒量のヘキサヒドロカルビルグアニジニウム塩、硬化剤、並びにポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、フッ素化樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂及びこれらの組合せからなる群から選択される追加樹脂を含んでなる粉末コーティング組成物が提供される。
【0009】
さらに別の実施形態は、粉末コーティング組成物の製造方法であって、エポキシ樹脂、硬化剤、及び次式の触媒量のヘキサヒドロカルビルグアニジニウム塩を溶融混合して混合物を形成する段階、混合物を冷却して冷却混合物を形成する段階、並びに冷却混合物を粉砕して粉末コーティング組成物を形成する段階を含んでなる方法である。
【0010】
【化2】

式中、R、R、R、R及びRは各々独立にC〜C12ヒドロカルビル、RはC〜C12ヒドロカルビル又はC〜C12ヒドロカルビレンであるか、或いはR、R、R、R、R及びRのいずれか2つの組合せが結合して窒素原子又は窒素−炭素−窒素原子で連結した五員又は六員複素環を形成し、Xq−はアニオン又はジアニオンであり、nは1又は2である。
【0011】
硬化性組成物を硬化して得られる反応生成物を含んでなる硬化組成物及び硬化組成物から製造される物品を含む他の実施形態については、以下で詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
今回、ヘキサヒドロカルビルグアニジニウム塩がエポキシ樹脂硬化の促進の点で優れた硬化触媒であることが判明した。ヘキサヒドロカルビルグアニジニウム塩は、エポキシ樹脂組成物の硬化反応速度を高めることが判明した。エポキシ樹脂粉末コーティングに使用すると、ヘキサヒドロカルビルグアニジニウム塩は粉末コーティングの硬化反応速度も高める。
【0013】
本明細書に単数形で記載したものは数量の限定を意味するわけではなく、そのものが1以上存在することを意味する。本明細書に開示した範囲はすべて上下両端を含み、結合可能である。
【0014】
硬化触媒として有用なヘキサヒドロカルビルグアニジニウム塩には、次の式(I)の化合物が包含される。
【0015】
【化3】

式中、R、R、R、R及びRは各々独立にC〜C12ヒドロカルビル、RはC〜C12ヒドロカルビル又はC〜C12ヒドロカルビレンであるか、或いはR、R、R、R、R及びRのいずれか2つの組合せが結合して窒素原子又は窒素−炭素−窒素原子で連結した五員又は六員複素環を形成し、Xq−はアニオン又はジアニオンであり、nは1又は2である。式(I)に点線の結合で示す通り、ヘキサヒドロカルビルグアニジニウム塩の正電荷は1つの炭素原子及び3つの窒素原子に非局在化している。
【0016】
本明細書で用いる「ヒドロカルビル」及び「ヒドロカルビレン」とは、炭素と水素のみからなる残基をいう。かかる残基は、脂肪族でも芳香族でよく、直鎖、環状、二環状、枝分れ、飽和又は不飽和のいずれでもよい。また、脂肪族、芳香族、直鎖、環状、二環状、枝分れ、飽和及び不飽和炭化水素部分の組合せを含んでいてもよい。ただし、その旨明記した場合には、ヒドロカルビル又はヒドロカルビレン残基は置換残基の炭素及び水素上にヘテロ原子を含んでいてもよい。つまり、かかるヘテロ原子を含むものと明示した場合、ヒドロカルビル又はヒドロカルビレン残基はカルボニル基、アミノ基、ヒドロキシル基などを含んでいてもよいし、或いはヒドロカルビル又はヒドロカルビレン残基の主鎖にヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0017】
、R、R、R及びRは各々独立にC〜C12ヒドロカルビル、さらに具体的にはC〜Cヒドロカルビルである。RはC〜C12ヒドロカルビル、さらに具体的にはC〜Cヒドロカルビルである。また、RはC〜C12ヒドロカルビレン、さらに具体的にはC〜Cヒドロカルビレンでもよい。或いは、R、R、R、R、R及びRのいずれか2つの組合せが結合して窒素原子又は窒素−炭素−窒素原子で連結した五員又は六員複素環を形成していてもよい。例えば、RとRの組合せ及びRとRの組合せは各々独立に、窒素原子で連結した五員又は六員複素環を形成し得る。他の組合せの例としては、RとRの組合せ及びRとRの組合せが挙げられ、これらは結合してグアニジニウムコアの窒素−炭素−窒素原子部分を含む複素環を形成し得る。好適な複素環としては、例えば、ピペリジノ、ピロロ及びモルホリノが挙げられる。
【0018】
式(I)のXq−基はアニオン又はジアニオン、さらに具体的には強酸のアニオン又はジアニオンである。qが1である場合の例示的なアニオンとしては、塩素イオンや臭素イオンのようなハロゲンイオン、メタンスルホン酸イオンやトルエンスルホン酸イオンのようなヒドロカルビルスルホン酸イオン、及びメチル硫酸イオンやエチル硫酸イオンのようなC〜C12ヒドロカルビル硫酸イオンが挙げられる。qが2である場合の例示的なジアニオンとしては、硫酸イオンが挙げられる。nの値は、Rがヒドロカルビルの場合とヒドロカルビレンの場合で、それぞれ1又は2である。例示的なヘキサヒドロカルビルグアニジニウム塩としては、ヘキサエチルグアニジニウムブロミド、1,6−ビス(N,N′,N′,N″,N″−ペンタ−n−ブチルグアニジニウム)ヘキサンジブロミド、1,6−ビス(N−n−ブチル−N′,N′,N″,N″−テトラエチルグアニジニウム)ヘキサンジブロミドなどが挙げられる。
【0019】
ヘキサヒドロカルビルグアニジニウム塩は、テトラアルキル尿素又はその複素環式類似体とホスゲン又はオキシ塩化リンとの反応、又は対応するチオ尿素とN,N−ジアルキルカルバモイルハライドとの反応でクロロホルムアミジニウム塩(「Vilsmeier塩」と呼ばれる。)を生成し、次いでその塩をジアルキルアミンと反応させることによって製造できる。例示的な合成方法は、Kantlehner et al.,Liebigs Ann.Chem.,108〜126(1984)及びPruszynski,Can.J.Chem.,65,626〜629(1987)(これらの開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。)に見出すことができる。α,ω−ビス(ペンタアルキルグアニジニウム)アルカン塩は、同様に、クロロホルムアミジニウム塩をモノアルキルアミンと反応させ、次いで得られたペンタアルキルグアニジニウム塩をアルキレンジハライドと反応させることによって製造できる。かかる塩は米国特許第5116975号(Brunelle)(その開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。)に開示されている。
【0020】
硬化性組成物に存在するヘキサヒドロカルビルグアニジニウム塩の量は、エポキシ樹脂並びにその中に存在し得る任意成分の硬化剤及び/又は任意成分の追加の硬化性モノマー、オリゴマー又は樹脂の硬化を触媒するのに十分な量であればよい。ヘキサヒドロカルビルグアニジニウム塩の量は、エポキシ樹脂100重量部に対して約0.01〜約20重量部、さらに具体的には約0.1〜約10重量部、さらに一段と具体的には約0.5〜約5重量部である。
【0021】
硬化性組成物に使用できるエポキシ樹脂としては、1分子当たり平均1超のエポキシ基を有するエポキシ樹脂が包含される。かかるエポキシ樹脂の例としては、エピクロロヒドリンと第二の化合物との反応生成物が挙げられる。好適な第二の化合物としては、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールエポキシ樹脂(A型、B型、F型など)、フェノールノボラック樹脂とビスフェノールエポキシ樹脂(A型、B型、F型など)との組合せ、クレゾール化合物(例えば、クレゾールノボラック)、ジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びネオペンチルグリコール)、トリオール(例えば、トリメチロールプロパン及びグリセロール)、テトラオール(例えば、ペンタエリトリトール)、カルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びトリメリト酸)並びにヒドロキシカルボン酸(例えば、p−オキシ安息香酸及びp−オキシナフトエ酸)が挙げられる。
【0022】
使用できる他のエポキシ樹脂は、フェノールノボラック樹脂とビスフェノールエポキシ樹脂(A型、B型、F型など)との反応生成物である。また、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシシクロヘキサン)カルボキシレート及びこれらの混合物のような脂環式エポキシ化合物も包含される。さらに他のエポキシ樹脂は、グリシジル(メタ)アクリレートから製造される重付加ポリマーである。かかるエポキシ樹脂は、トリグリシジルイソシアヌレート、その誘導体などである。上述のエポキシ樹脂は、単独で又は組合せて使用できる。
【0023】
エポキシ樹脂は、好ましくは80〜2000、さらに好ましくは90〜1000の範囲内のエポキシ当量を有する。本明細書で用いる「エポキシ当量」とは、エポキシ樹脂の質量を、その質量中の反応性エポキシ等価物(エポキシ基又はオキシラン基)のモル数で除した値を意味する。単位はグラム/モル当量で表されることが多い。
【0024】
硬化性組成物は、さらに、エポキシ樹脂及びヘキサヒドロカルビルグアニジニウム塩に加えて硬化剤を含んでいてもよい。エポキシ樹脂と反応して架橋結合を生じる公知のあらゆる硬化剤が使用できる。硬化組成物中のエポキシ樹脂の量は、硬化剤の官能基に対するモル%として、約0.01〜約30、さらに具体的には約0.1〜約20、さらに一段と具体的には約0.5〜約10である。
【0025】
例示的な硬化剤としては、例えばビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、m−キシレンジアミン及び3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5,5]ウンデカンのような脂肪族アミン及び脂環式アミン、例えばm−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン及びジアミノジフェニルスルホンのような芳香族アミン、並びに例えばベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7,1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−7のような第三アミン及び対応する塩を含むヒドロカルビルアミンが挙げられる。
【0026】
他の硬化剤としては、芳香族酸無水物(例えば、無水フタル酸、無水トリメリト酸及び無水ピロメリト酸)並びに脂環式酸無水物(例えば、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物及びトリアルキルテトラヒドロフタル酸無水物)を含む無水物化合物が挙げられる。さらに他の硬化剤としては、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビフェノール、フェノールノボラック化合物、クレゾールノボラック化合物、ビスフェノールAのような二価フェノールのノボラック化合物、トリスヒドロキシフェニルメタン、ヒドロカルビルポリフェノール及びジシクロペンタジエンポリフェノールのような多価フェノールが挙げられる。
【0027】
他の例示的な硬化剤としては、イミダゾール類及びその塩(例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール及び2−フェニルイミダゾール)、アミンの三フッ化ホウ素(BF)錯体、ブレンテッド酸(脂肪族スルホニウム塩及び芳香族スルホニウム塩を含む)、ジシアンジアミド、有機酸ヒドラジド(例えば、アジピン酸ジヒドラジド及びフタル酸ジヒドラジド)、レゾール、ポリカルボン酸(例えば、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、トリメリト酸、及びカルボン酸基を含むポリエステル樹脂)並びに有機ホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィン)が挙げられる。
【0028】
一実施形態では、カルボン酸基を含むポリエステル樹脂を硬化性組成物の硬化剤として使用でき、特に粉末コーティング組成物で使用できる。エポキシ樹脂及びカルボン酸基を含むポリエステル樹脂を含んでなる粉末コーティングは、反応性、付着力、耐食性及び物理的性質の良好なバランスを示す。
【0029】
カルボン酸基を含むポリエステル樹脂は、一般に、多価カルボン酸及びポリオールから製造できる。好適な多価カルボン酸の例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、ドデカンジカルボン酸及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、対応するエステル及び酸無水物、ラクトン(例えば、γ−ブチロクトン及びε−カプロクトン)及び対応するヒドロキシカルボン酸、並びに芳香族オキシモノカルボン酸(例えば、p−オキシエトキシ安息香酸)が挙げられる。
【0030】
好適なポリオールの例としては、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エチレングリコール及びプロピレングリコールのホモポリマー及びコポリマー、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ダイマー酸ジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリトリトール、ヘキサントリオール、N,N,N′,N′−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、カテコール、レゾルシノール、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、並びにビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物が挙げられる。ダイマー酸ジオールは、米国特許第5102979号(Mikiら)及び同第5545692号(Kohlerら)に概説されている。
【0031】
アミド結合を含む他の好適なポリオールも、カルボン酸基を含むポリエステルを製造するために使用できる。かかるポリオールの例としては、ジアミン(例えば、ヘキサメチレンジアミン、キシレンジアミン及びイソホロンジアミン)、トリアミン並びにアミノアルコール(例えば、モノエタノールアミン及びトリイソプロパノールアミン)から製造されるものが挙げられる。これらのアミンは、単独で又は組合せて使用できる。
【0032】
カルボン酸基を含むポリエステル樹脂及びその製法は、米国特許第3966836号(De Cleurら)、同第3523143号(Kwong)、同第3624180号(Schmidら)、同第5596037号(Moensら)及び同第5439988号(Moensら)に見出すことができる。
【0033】
カルボン酸基を含むポリエステル樹脂の酸価は、水酸化カリウム約5〜約800ミリグラム/グラム(mgKOH/g)、具体的には約10〜約500mgKOH/g、さらに具体的には約20〜約250mgKOH/gである。
【0034】
硬化性組成物に存在する硬化剤の量は、エポキシ樹脂100重量部に対して約2〜約5000重量部、具体的には約5〜約4000重量部、さらに具体的には約10〜約2000重量部である。
【0035】
カルボン酸基を含むポリエステル樹脂を硬化性組成物に使用する場合、ポリエステル樹脂のカルボン酸基とエポキシ樹脂のエポキシ基とのモル比は約0.03〜約100、具体的には約0.05〜約10、さらに具体的には約0.1〜約3である。
【0036】
硬化性組成物はさらに、例えば顔料、染料、脱ガス剤、難燃剤、垂れ防止剤、増粘剤、表面調整剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤及び補強材のような1種以上の添加剤を含んでいてもよい。かかる添加剤は、組成物の他の成分と一緒に配合してもよいし、或いは調製後の組成物に添加してもよい。
【0037】
好適な顔料の例としては、二酸化チタン、べんがら、粉末亜鉛、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、キナクリドン顔料、アゾ顔料、イソインドリノン顔料及び各種の焼成顔料のような有色顔料、並びにシリカ、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム及びガラスフレークのような体質顔料が挙げられる。当技術分野で公知の好適な顔料及び染料の例としては、“Plastic Additives Handbook,5th Edition”,R.Gachter and H.Muller(eds.),P.P.Klemchuck(assoc.ed.),Hansen Publishers,New York,1993の“Colorants”の章に記載されたものが挙げられる。
【0038】
硬化性エポキシ樹脂組成物は、粉末コーティング組成物として使用できる。かかる粉末コーティング組成物は、一般に、エポキシ樹脂、ヘキサヒドロカルビルグアニジニウム塩及び硬化剤を含む。組成物はさらに、得られる硬化材料が所望の物理的性質を有するように選択できる1種以上の硬化性モノマー、オリゴマー及び/又は合成樹脂を含んでいてもよい。例示的な合成樹脂としては、フェノール樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、フッ素化樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂及びポリエステル樹脂が挙げられる。
【0039】
一実施形態では、粉末コーティング組成物の製造方法は、エポキシ樹脂、硬化剤、ヘキサヒドロカルビルグアニジニウム塩及び任意の添加剤を配合し、次いで増粘及びゲル化を避けるようにしながらローラー、ニーダー又は押出機を用いて所定温度及び所定時間で溶融混合することを含んでなる。次に、溶融混合した材料を冷却し、粉砕し、次いで所望の粒度分布に分級する。一般に、粉末コーティング組成物の平均粒度は約0.1〜約500マイクロメートル、さらに具体的には約1〜約300マイクロメートル、さらに一段と具体的には約5〜約150マイクロメートルである。
【0040】
粉末コーティング組成物は、最終コーティングの表面品質及び光沢を向上させるため、外部添加による流動性向上剤を適宜含んでいてもよい。流動性向上剤の例は、Solutia社(現在はUCB社)から市販のModaflowである。他の流動性向上剤としては、2−エチルヘキシルアクリレート、エチルアクリレート又はブチルアクリレートのような低Tgアクリレートのコオリゴマー、並びにKing Industries社から市販のDISPARLON製品を始めとするビニルポリマー及び油状誘導体が挙げられる。
【0041】
粉末コーティング組成物は、平滑で一様なコーティングを得るため、静電吹付け、流動層焼結又は静電流動層焼結のような任意の常用粉末コーティング付着技術を用いて基材の表面に塗工し得る。好適な基材は、例えば、未処理又は前処理した金属基材、木材、木材材料、プラスチック、ガラス、セラミック又は紙である。
【0042】
硬化は、粉末コーティング組成物を硬化させるのに十分な温度及び時間で被覆基材を加熱することによって達成できる。粉末コーティング組成物を硬化させるための好適な硬化温度は約60〜約320℃、具体的には約90〜約250℃、さらに具体的には約110〜約200℃である。
【0043】
粉末コーティング組成物は、特に限定されないが、例えば土木工事や建設用の材料、家電製品、重電機械、道路建設用材料、スチール家具、自動車部品、スポーツ設備及び給水用材料の防食や装飾、並びに電気絶縁用の粉末コーティングのような任意の用途に使用できる。かかる用途には、例えば、自動車やトラックや軍用乗物やオートバイの外装及び内装部材(パネル、クォーターパネル、ロッカーパネル、装備品、フェンダー、ドア、デッキの蓋、トランクの蓋、フード、ボンネット、屋根、バンパー、フェーシア、グリル、ミラーハウジング、支柱のアップリケ、被覆材、車体のサイドモール、ホイールカバー、ハブキャップ、ドアハンドル、スポイラー、窓枠、前照灯ベゼル、前照灯、尾灯、尾灯ハウジング、尾灯ベゼル、ナンバープレートの囲い、ルーフラック及び歩み板を含む)、屋外乗物及び屋外装置用の囲い、ハウジング、パネル及び部品、電気装置及び電気通信装置用の囲い、屋外用家具、航空機の部材、ボート及び船舶設備(装備品、囲い及びハウジングを含む)、船外発動機ハウジング、測深機ハウジング、個人用船舶、ジェットスキー、プール、温泉、ホットタブ、階段、階段の覆い、建築及び建設用途(例えば、窓ガラス、かわら、窓、床、装飾用の窓装備品又は処理材)、アルミニウム押出品及びファサード、写真や絵画やポスターや類似の展示品用の処理ガラスカバー、壁パネル及びドア、保護グラフィックス、屋外用及び屋内用看板、自動金銭出納機(ATM)用の囲い、ハウジング、パネル及び部品、芝生用や園芸用トラクター、芝刈り機、及び芝生用や園芸用道具をはじめとする道具用の囲い、ハウジング、パネル及び部品、窓及びドア装備品、スポーツ設備及び玩具、スノーモービル用の囲い、ハウジング、パネル及び部品、レクリエーション用乗物のパネル及び部材、運動場の設備、プラスチック−木材の組合せから製造された物品、ゴルフコースマーカー、ユーティリティピットカバー、コンピューターハウジング、デスクトップコンピューターハウジング、ポータブルコンピューターハウジング、ラップトップコンピューターハウジング、パームヘルドコンピューターハウジング、モニターハウジング、プリンターハウジング、キーボード、ファックス装置ハウジング、コピー機ハウジング、電話機ハウジング、携帯電話ハウジング、ラジオ送信機ハウジング、ラジオ受信機ハウジング、照明器具、照明装置、ネットワークインターフェース装置ハウジング、変圧器ハウジング、空気調和機ハウジング、公共輸送機関用の被覆材又は座席、列車や地下鉄やバス用の被覆材又は座席、メーターハウジング、アンテナハウジング、衛星放送アンテナ用被覆材、被覆ヘルメット及び人体防護用具、被覆合成繊維織物又は天然繊維織物、被覆写真フィルム及び写真プリント、被覆塗装物品、被覆染色物品、被覆蛍光物品、被覆発泡物品その他の用途がある。
【0044】
一実施形態では、硬化組成物は、エポキシ樹脂及び触媒量のヘキサヒドロカルビルグアニジニウム塩を含んでなる硬化性組成物を硬化して得られる反応生成物を含んでなる。
【0045】
別の実施形態では、硬化組成物は、エポキシ樹脂100重量部、硬化剤約2〜約5000重量部、及び次式のヘキサヒドロカルビルグアニジニウム塩0.01〜約20重量部を含んでなる硬化性組成物を硬化して得られる反応生成物を含んでなる。
【0046】
【化4】

式中、R、R、R、R及びRは各々独立にC〜C12ヒドロカルビル、RはC〜C12ヒドロカルビル又はC〜C12ヒドロカルビレンであるか、或いはR、R、R、R、R及びRのいずれか2つの組合せが結合して窒素原子又は窒素−炭素−窒素原子で連結した五員又は六員複素環を形成し、Xq−は任意の安定なアニオン、好ましくは臭素イオン、塩素イオン、トルエンスルホン酸イオン又はメタンスルホン酸イオンであり、nは1又は2である。
【0047】
さらに別の実施形態では、硬化組成物は、エポキシ樹脂、触媒量のヘキサヒドロカルビルグアニジニウム塩、硬化剤、並びにポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、フッ素化樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂及びこれらの組合せからなる群から選択される追加樹脂を含んでなる粉末コーティング組成物を硬化して得られる反応生成物を含んでなる。追加樹脂は、エポキシ樹脂及び硬化剤の合計量100重量部に対して約0.1〜約500重量部、さらに具体的には約5〜約200重量部、さらに一段と具体的には約10〜約100重量部の量で存在し得る。
【0048】
さらに別の実施形態では、本明細書に記載の硬化組成物から物品を製造できる。
【実施例】
【0049】
実施例1及び比較例1〜8は、コーヒー粉砕機内でエポキシ樹脂、硬化剤及び触媒を予備混合し、次いで16ミリメートル(mm)二軸押出機(Prism、バレル長さ/バレル直径(L/D)=25)で85〜95℃で溶融配合して製造した。押出ダイから出た直後、押出物を液体窒素中で急冷した。次いで、押出物を粉砕し、室温で真空乾燥した。実施例2及び比較例9〜10は、硬化剤を添加せずに上述の手順に従って製造した。表1に組成物の成分を示す。
【0050】
【表1】


表2は、2及び5モル%の触媒添加量に基づくエポキシ樹脂組成物を示す。実施例1及び比較例1〜8に関する量は重量%である。実施例2及び比較例9〜10に関する量は重量部である。
【0051】
【表2】

【0052】
【表3】

【0053】
【表4】

【0054】
【表5】


表2に示したエポキシ樹脂組成物の反応速度は、Perkin Elmer DSC 7を用いた示差走査熱量測定法(DSC)で測定した。各組成物から作製した試料の大きさは15〜20ミリグラム(mg)であった。2種の等温試験プロトコルを用いた。第一のものは、120℃で30分間の等温保持に続く急冷、次いで10℃/分で25〜300℃の温度走査を含んでいた。試験の等温部分から反応熱及び対応する硬化粉末転化曲線を求め、後続の走査から硬化網状構造のガラス転移温度(T)及び残留反応熱を評価した。両反応熱を用いて120℃で30分後の実際の転化率を計算し、反応開始の勾配を用いて初期反応速度を計算した。
【0055】
反応速度、ジュール/グラム(J/g)単位の反応熱、及び転化率を含む速度論的測定の結果を表3に示す。表3に示す通り、ヘキサエチルグアニジニウムブロミド触媒を含む組成物(実施例1)は、比較用触媒を含む組成物に比べて反応速度及び転化率が大幅に増大した。
【0056】
【表6】

【0057】
【表7】


表4は、硬化剤なしのエポキシ樹脂組成物に関する反応熱を示す。結果から明らかな通り、ヘキサエチルグアニジニウムブロミドは、硬化剤の非存在下でエポキシ樹脂の硬化反応を開始させるための触媒としても使用できる。
【0058】
【表8】


以上、好ましい実施形態に関して本発明を説明してきたが、本発明の技術的範囲から逸脱せずに様々な変更及び均等物による構成要素の置換をなし得ることは当業者には自明であろう。さらに、本発明の本質的な範囲から逸脱せずに特定の状況又は材料を本発明の教示に適合させるため、多くの修正を行うことができる。したがって、本発明は本発明を実施するための最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に属するあらゆる実施形態を包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂、及び
触媒量のヘキサヒドロカルビルグアニジニウム塩
を含んでなる硬化性組成物。
【請求項2】
前記ヘキサヒドロカルビルグアニジニウム塩が次式のものである、請求項1記載の組成物。
【化1】

式中、R、R、R、R及びRは各々独立にC〜C12ヒドロカルビル、RはC〜C12ヒドロカルビル又はC〜C12ヒドロカルビレンであるか、或いはR、R、R、R、R及びRのいずれか2つの組合せが結合して窒素原子又は窒素−炭素−窒素原子で連結した五員又は六員複素環を形成し、Xq−はアニオン又はジアニオンであり、nは1又は2である。
【請求項3】
とRの組合せ又はRとRの組合せが各々独立に窒素原子で連結した五員又は六員複素環を形成し、該五員又は六員複素環がピペリジニル、ピロリル、ピロリジニル及びモルホリニルからなる群から選択される、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
がハロゲンイオン、ヒドロカルビルスルホン酸イオン、C〜C12ヒドロカルビル硫酸イオン又は硫酸イオンである、請求項2記載の組成物。
【請求項5】
前記ヘキサヒドロカルビルグアニジニウム塩がヘキサエチルグアニジニウムハライドである、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
前記エポキシ樹脂が1分子当たり平均1超のエポキシ基を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
前記エポキシ樹脂が、
エピクロロヒドリンと、フェノール樹脂、ビスフェノールエポキシ樹脂、クレゾール化合物、ジオール、トリオール、テトラオール、カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸及びこれらの組合せからなる群から選択される第二の化合物との反応生成物、
フェノールノボラック樹脂とビスフェノールエポキシ樹脂との反応生成物、
脂環式エポキシ化合物、
グリシジル(メタ)アクリレートから製造される重付加ポリマー、
トリグリシジルイソシアヌレート、並びに
これらの組合せ
からなる群から選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
前記エポキシ樹脂が、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシシクロヘキサン)カルボキシレート及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
当該組成物が、エポキシ樹脂100重量部に対して0.01〜約20重量部の量のヘキサヒドロカルビルグアニジニウム塩を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
当該組成物がさらに硬化剤を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
当該組成物が、エポキシ樹脂100重量部に対して約2〜約5000重量部の硬化剤を含む、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
当該組成物が、エポキシ樹脂及び硬化剤の合計量100重量部に対して0.01〜約20重量部の量のヘキサヒドロカルビルグアニジニウム塩を含む、請求項10記載の組成物。
【請求項13】
前記硬化剤が、脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン、第三アミン、芳香族酸無水物、脂環式酸無水物、多価フェノール、イミダゾール類、アミンのBF錯体、ブレンテッド酸、ジシアンジアミド、有機酸ヒドラジド、レゾール、ポリカルボン酸、有機ホスフィン、カルボン酸基を含むポリエステル、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項10載の組成物。
【請求項14】
前記硬化剤がカルボン酸基を含むポリエステルであり、カルボン酸基を含むポリエステル樹脂のカルボン酸基とエポキシ樹脂のエポキシ基とのモル比が約0.03〜約100である、請求項13載の組成物。
【請求項15】
前記カルボン酸基を含むポリエステル樹脂が多価カルボン酸及びポリオールから製造され、
該多価カルボン酸が、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、及び上述の多価カルボン酸の対応するエステル又は酸無水物、ラクトン及びその対応するヒドロキシカルボン酸、芳香族オキシモノカルボン酸並びにこれらの組合せからなる群から選択され、
該ポリオールが、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エチレングリコール及びプロピレングリコールのホモポリマー及びコポリマー、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ダイマー酸ジオール、トリメチレンプロパノール、グリセリン、ヘキサントリオール、N,N,N′,N′−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、カテコール、レゾルシノール、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物並びにこれらの組合せからなる群から選択される、請求項13載の組成物。
【請求項16】
エポキシ樹脂100重量部、
硬化剤約2〜約5000重量部、及び
次式のヘキサヒドロカルビルグアニジニウム塩0.01〜約20重量部
を含んでなる硬化性組成物。
【化2】

式中、R、R、R、R及びRは各々独立にC〜C12ヒドロカルビル、RはC〜C12ヒドロカルビル又はC〜C12ヒドロカルビレンであるか、或いはR、R、R、R、R及びRのいずれか2つの組合せが結合して窒素原子又は窒素−炭素−窒素原子で連結した五員又は六員複素環を形成し、Xq−はアニオン又はジアニオンであり、nは1又は2である。
【請求項17】
エポキシ樹脂がトリグリシジルイソシアヌレートであり、硬化剤がカルボン酸基を含むポリエステルであり、ヘキサヒドロカルビルグアニジニウム塩がヘキサエチルグアニジニウムハライドである、請求項16記載の硬化性組成物。
【請求項18】
エポキシ樹脂、
触媒量のヘキサヒドロカルビルグアニジニウム塩、
硬化剤、並びに
ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、フッ素化樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂及びこれらの組合せからなる群から選択される追加樹脂
を含んでなる粉末コーティング組成物。
【請求項19】
前記追加樹脂がポリエステル樹脂である、請求項18記載の粉末コーティング組成物。
【請求項20】
前記追加樹脂の量がエポキシ樹脂及び硬化剤の合計量100重量部に対して約0.1〜約500重量部である、請求項18記載の粉末コーティング組成物。
【請求項21】
さらに、顔料、脱ガス剤、難燃剤、垂れ防止剤、増粘剤、表面調整剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、補強材及びこれらの組合せからなる群から選択される添加剤を含む、請求項1記載の粉末コーティング組成物。
【請求項22】
粉末コーティング組成物の製造方法であって、
エポキシ樹脂、硬化剤及び次式の触媒量のヘキサヒドロカルビルグアニジニウム塩を溶融混合して混合物を形成する段階、
【化3】

(式中、R、R、R、R及びRは各々独立にC〜C12ヒドロカルビル、RはC〜C12ヒドロカルビル又はC〜C12ヒドロカルビレンであるか、或いはR、R、R、R、R及びRのいずれか2つの組合せが結合して窒素原子又は窒素−炭素−窒素原子で連結した五員又は六員複素環を形成し、Xq−はアニオン又はジアニオンであり、nは1又は2である。)
混合物を冷却して冷却混合物を形成する段階、並びに
冷却混合物を粉砕して粉末コーティング組成物を形成する段階
を含んでなる方法。
【請求項23】
溶融混合に先立ち、エポキシ樹脂、硬化剤及びヘキサヒドロカルビルグアニジニウム塩を配合して配合混合物を形成する段階をさらに含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
請求項1記載の硬化性組成物を硬化して得られる反応生成物を含んでなる硬化組成物。
【請求項25】
請求項16記載の硬化性組成物を硬化して得られる反応生成物を含んでなる硬化組成物。
【請求項26】
請求項18記載の硬化性組成物を硬化して得られる反応生成物を含んでなる硬化組成物。
【請求項27】
請求項24記載の硬化組成物を含んでなる物品。
【請求項28】
請求項25記載の硬化組成物を含んでなる物品。
【請求項29】
請求項26記載の硬化粉末コーティング組成物を含んでなる物品。

【公表番号】特表2008−500407(P2008−500407A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502136(P2007−502136)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/009175
【国際公開番号】WO2005/118670
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】