説明

エポキシ樹脂組成物及び半導体装置

【課題】難燃性を維持し、−55℃〜260℃において半導体装置の反りを抑制したエリア実装型半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれを用いた半導体装置を提供すること。
【解決手段】下記式(1)、(2)、(3)及び(4)から選ばれる少なくとも1種のエポキシ樹脂(A)、下記式(5)、(6)、(7)及び(8)から選ばれる少なくとも1種の硬化剤(B)、アスペクト比が10〜40の無機充填剤(C)及び難燃剤(D)を含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物及び基板の片面に半導体素子が搭載され、この半導体素子が搭載された基板面側の実質的に片面のみが前述のエリア実装型半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いて封止されているエリア実装型半導体装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ樹脂組成物及び半導体装置に関するものであり、例えば、エリア実装型半導体装置に好適に用いられる。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の小型化、軽量化、高機能化の市場動向において、半導体の高集積化が年々進み、また半導体装置の表面実装化が促進される中で、新規にエリア実装型半導体装置が開発され、従来構造の半導体装置から移行し始めている。エリア実装型半導体装置としてはボールグリッドアレイ(以下BGAという)、或いは更に小型化を追求したチップサイズパッケージ(以下CSPという)が代表的であるが、これらは従来QFP、SOPに代表される表面実装型半導体装置では限界に近づいている多ピン化・高速化への要求に対応するために開発されたものである。構造としては、ビスマレイミド・トリアジン(以下、BTという)樹脂/銅箔回路基板に代表される回路基板の片面上に半導体素子を搭載し、その半導体素子搭載面、即ち基板の片面のみがエポキシ樹脂組成物等で成形・封止されている。半導体素子搭載面では数百μmから数mm程度の封止樹脂層が形成されるため、実質的に片面封止となっている。このため有機基板は金属基板とエポキシ樹脂組成物の硬化物との間での熱膨張・熱収縮の不整合、或いはエポキシ樹脂組成物の成形・硬化時の硬化収縮による影響により、これらの半導体装置では成形直後から反りが発生しやすい。半田接続時には半導体装置が230℃から260℃の温度にさらされるし、温度サイクル試験等においては−55℃の温度にさらされる事もある。その際に反り量が大きくなると配線切断につながり導通不良が発生したり、樹脂部にクラックが入りそのクラックが進展し配線を切断したりすることがある。反りの低減の検討はいたるところで行われており、トリフェニル型エポキシあるいはナフタレン型多官能エポキシを用いガラス転移温度を成形温度以上にすることで成形後、常温まで冷却した際の反りは低減されている(例えば、特許文献1参照)が、その後基板をリフロー温度に上げる工程があることを踏まえ半導体装置を260℃雰囲気下にさらすと反りが大きくなる問題がある。
また難燃性を確保するため通常水酸化アルミニウム等の難燃剤を配合するが、難燃剤を添加すると特に260℃での反りが大きくなる問題があった。
難燃性を維持しつつ、耐半田クラック性、流動性に優れ、−55℃〜260℃において低反りである新しい半導体封止用エポキシ樹脂組成物の開発が急務であった。
【0003】
【特許文献1】特開2002−37863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、エリア実装型半導体装置での成形後や半田処理時の反りが小さく、さらに温度サイクル試験等の低温時での反りも小さく、難燃性を維持しつつ、耐半田クラック性、流動性に優れる半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的は、下記[1]〜[4]に記載の本発明により達成される。
[1] 下記式(1)、(2)、(3)及び(4)から選ばれる少なくとも1種のエポキシ樹脂(A)、下記式(5)、(6)、(7)及び(8)から選ばれる少なくとも1種の硬化剤(B)、アスペクト比が10〜40の無機充填剤(C)及び難燃剤(D)を必須成分として含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
【0006】
【化9】

【0007】
【化10】

[式中aは、1〜10である。]
【0008】
【化11】

[式中bは、0〜10である。]
【0009】
【化12】

【0010】
【化13】

[式中cは、0〜10である。]
【0011】
【化14】

【0012】
【化15】

[式中、dは、1〜10である。]
【0013】
【化16】

[式中、eは、1〜10である。]
【0014】
[2] 難燃剤(D)がモリブデン酸亜鉛(D−1)及びホウ酸亜鉛(D−2)から選ばれる少なくとも1種である[1]項に記載のエポキシ樹脂組成物。
[3] アスペクト比が10〜40の無機充填剤(C)と難燃剤(D)の総量がエポキシ樹脂組成物の65重量%〜85重量%である[1]又は[2]項に記載のエポキシ樹脂組成物。
[4] エポキシ樹脂組成物が[1]乃至[3]項のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物であり、そのエリア実装型半導体装置の成形後、該エポキシ樹脂組成物をさらに190℃〜230℃で硬化させてなることを特徴とするエリア実装型半導体装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、式(1)、(2)、(3)及び(4)から選ばれる少なくとも1種のエポキシ樹脂(A)、式(5)、(6)、(7)及び(8)から選ばれる少なくとも1種の硬化剤(B)、アスペクト比が10〜40の無機充填剤(C)及び難燃剤(D)を必須成分とすることで難燃性を維持したまま半導体装置の反りを抑制するものであり及び、温度衝撃試験等において反り量が少ないことから良好な信頼性を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、式(1)、(2)、(3)及び(4)から選ばれる少なくとも1種のエポキシ樹脂(A)、式(5)、(6)、(7)及び(8)から選ばれる少なくとも1種の硬化剤(B)、アスペクト比が10〜40の無機充填剤(C)及び難燃剤(D)を必須成分として含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物で、アスペクト比が10〜40の無機充填剤(C)と難燃剤(D)を含むことにより、エリア実装型半導体装置での成形後や半田処理時、又は温度衝撃試験を想定した低温時の反りに優れるエポキシ樹脂組成物が得られるものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0017】
本発明で用いられる式(1)、(2)、(3)及び(4)から選ばれる少なくとも1種のエポキシ樹脂(A)、式(5)、(6)、(7)及び(8)から選ばれる少なくとも1種の硬化剤(B)は、エポキシ樹脂組成物のガラス転移温度を高くするのに用いる。ガラス転移温度が低いと、ガラス転移温度を超えた温度にさらされると反りが大きくなるため、できるだけ高いガラス転移温度のエポキシ樹脂組成物が望まれる。これらは、単独で用いても併用してもよい。
【0018】
前記エポキシ樹脂(A)は、特に、前記式(1)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂、前記式(2)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、前記式(3)で表されるエポキシ樹脂、及び前記式(4)で表されるナフタレン型4官能エポキシ樹脂のいずれか1種又は2種類以上を主成分とするものを用いるのが好ましい。
これらの樹脂は、ガラス転移温度が高く、またガラス転移温度以上での線膨張係数(以後α2という)が小さくなる。ガラス転移温度が低いと、ガラス転移温度を超えた温度にさらされると半導体装置の反りが大きくなるため、できるだけ高いガラス転移温度の樹脂が好ましい。またガラス転移温度以上でもα2が小さければ反り量は小さくなる。
また、前記式(2)におけるaは、エポキシ樹脂単位の平均の繰り返し数を表して いる。aは、1〜10程度であるのが好ましく、1〜5程度であるのがより好ましい。 前記式(3)におけるbは、エポキシ樹脂単位の平均の繰り返し数を表しており、0〜 10が好ましい。a及びbを前記範囲とすることにより、エポキシ樹脂組成物の流動性 がより向上する。
【0019】
前記硬化剤(B)は、難燃性を維持し半導体装置の反りの低減という観点でよい。特に、前記式(5)で表されるフェノール樹脂や前記式(6)で表されるパラローズアニリン(ベース)、前記式(7)で表されるフェノールアラルキル樹脂及び前記式(8)で表されるビフェニルアラルキル樹脂のいずれか1種又は2種以上を主成分とするものを用いるのが好ましい。他の樹脂を用いた場合には、難燃性の低下やα2が大きくなることで反り抑制効果が小さくなることがある。
前記式(5)におけるcは、フェノール樹脂単位の平均の繰り返し数を表しており、0〜10が好ましい。また、前記式(7)におけるd、及び、前記式(8)におけるeは、それぞれ、フェノール樹脂単位の平均の繰り返し数を表している。d及びeは、それぞれ、1〜10程度であるのが好ましく、1〜5程度であるのがより好ましい。c、d及びeを、それぞれ、前記範囲とすることにより、エポキシ樹脂組成物の流動性の低下が好適に防止又は抑制される。
【0020】
本発明に用いるアスペクト比が10〜40の無機充填剤(C)とは、ガラスフレークやガラスファイバー、マイカ、クレー等の粘土鉱物が挙げられる。
アスペクト比が10〜40の無機充填剤を用いることで半導体装置とした場合の反り抑制効果が大きく、難燃性においても好ましい。これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アスペクト比は平均厚みと平均粒径より平均粒径/平均厚みで求めた値とする。
【0021】
本発明で用いる難燃剤(D)としては、モリブデン酸亜鉛(D−1)及びホウ酸亜鉛(D−2)が好ましく、難燃性、高温時(特にガラス転移温度以上)での反りを抑制するのに効果を発揮する。モリブデン酸亜鉛及びホウ酸亜鉛は粒径が大きくなると難燃効果が小さく、平均粒径は1μm〜70μmが好ましく、5μm〜50μmのものがより好ましい。
【0022】
また、前記無機充填剤(C)とモリブデン酸亜鉛(D−1)及びホウ酸亜鉛(D−2)の含有量がエポキシ樹脂組成物の65重量%〜85重量%であることが好ましい。65重量%未満でも85重量%より多くしても反りが大きくなる。
【0023】
また該エポキシ樹脂組成物を成形し、その後成形温度以上の高温で数時間放置し、完全硬化させる。その際の温度条件は175℃以上、2時間以上であればよく、特に190℃〜230℃で4時間〜12時間が好ましい。処理温度を高くすることでガラス転移温度を更に向上させることができる。230℃以上で12時間以上放置しても更にガラス転移温度が向上することはない。
【0024】
さらに本発明には硬化促進剤を用いることができるが、エポキシ樹脂とフェノール樹脂との架橋反応を促進するものであればよく、例えば1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等のジアザビシクロアルケン及びその誘導体、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート塩等の有機リン系化合物、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独でも混合して用いてもよい。
【0025】
さらに本発明においては、必要に応じて、カップリング剤、カーボンブラックに代表される着色剤、天然ワックス及び合成ワックス等の離型剤等が適宜配合可能である。
エポキシ樹脂組成物とするには、各成分を混合後、加熱ニーダや熱ロールにより加熱混練し、続いて冷却、粉砕することで得られる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて、半導体素子を封止して半導体装置を製造するには、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の従来からの成形方法で硬化成形すればよい。
【実施例】
【0026】
以下、本発明を実施例で具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。配合割合は重量部とする。
実施例1
エポキシ樹脂(A−1)(ジャパンエポキシレジン(株)製 E−1032H60、融点56℃、エポキシ当量171 一般式(3)のb=0を主成分とするエポキシ樹脂)、フェノール樹脂(B−1)(明和化成(株)製 MEH7500、軟化点110℃、水酸基当量97 一般式(5)のc=0を主成分とするフェノール樹脂)、ガラスフレーク(C−1)(日本板硝子(株)製 RCF140A アスペクト比28 平均粒径45μm)、難燃剤としてモリブデン酸亜鉛(D−1)、硬化促進剤としてイミダゾール(四国化成工業(株)製 2MPZ)、その他の添加剤として、離型剤:カルナバワックス、着色剤:カーボンブラック、カップリング剤(チッソ社製GPS−M)を、それぞれ用意し、以下の割合で配合した。
エポキシ樹脂(A−1): 10.0重量部
フェノール樹脂(B−1): 5.3重量部
ガラスフレーク(C−1): 74.0重量部
モリブデン酸亜鉛(D−1): 10.0重量部
硬化促進剤(イミダゾール): 0.3重量部
離型剤(カルバナワックス): 0.2重量部
着色剤(カーボンブラック): 0.1重量部
カップリング剤(GPS−M): 0.1重量部
尚、使用したアスペクト比が10〜40の無機充填剤の平均粒径は、(株)島津製作所製レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−7000(レーザー波長:405nm)を用いて測定した。
【0027】
上記の各成分を常温においてミキサーで混合し、70〜120℃で加熱ロールにより混練し、冷却後粉砕してエポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を以下の方法で評価した。評価結果を表1に示す。
【0028】
評価方法
1.スパイラルフロー:EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型を用い、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間2分で測定した。単位はcmである。
2.ガラス転移温度(以下Tgという)、線膨張係数α1(Tg以下の線膨張係数)、α2(Tg以上の線膨張係数):低圧トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力7.4×106Pa、硬化時間120秒で成形したテストピースを、後硬化として175℃で4時間処理及び200℃で4時間処理し、熱機械分析装置(セイコー電子(株)製TMA−120、昇温速度5℃/分)を用いて測定した。Tgは30℃と280℃の接線の交点とした。線膨張係数αの単位は(/℃)である。
【0029】
3.パッケージ反り量:回路基板(住友ベークライト(株)製 ELC−4785GSコアの両面板、基板サイズは43×43mm)にシリコンチップ(サイズ15×15mm、厚さ0.73mm)を実装し、アンダーフィル(住友ベークライト(株)製 CRP−4152)を充填し、トランスファー成形機を用いて上記のエポキシ樹脂組成物を、金型温度180℃、注入圧力7.4MPa、硬化時間2分で成形し、パッケージ(パッケージサイズは43×43mm)とした。更に後硬化として175℃4時間及び200℃で4時間処理した。室温に冷却後パッケージの反り量を、シャドーモアレ方式の反り測定装置(PS−200 Acrometrix社製)を用いて高さ方向の変位を測定し、変位差の最も大きい値を反り量とした。測定温度は−55℃、25℃、150℃、260℃の4点で行った。全ての温度域においてその反りの値が200μm以下◎、400μm以下を○、600μm以下を△、800μm以下を×とした。
【0030】
4.耐半田クラック性:パッケージ反り量を測定する成形後、後硬化(175℃で4時間処理)されたパッケージを用いて、JEDEC レベル3処理に従い65℃、相対湿度60%で168時間処理した後、JEDEC条件のピーク温度235℃でIRリフロー処理を行った。処理後のパッケージ内部の剥離及びクラックの有無を超音波探傷機で観察し、不良パッケージの個数を数えた。不良パッケージの個数がn個であるとき、n/8と表示した。
5.熱衝撃性試験:上記パッケージ反り量を測定する成形後、後硬化(175℃で4時間処理)されたパッケージ10個を、125℃で24時間、乾燥処理を行い、JEDEC レベル3処理に従い65℃/60%相対湿度の恒温恒湿槽に入れ、40時間放置した。その後、IRリフロー(N2フロー中)に3回通し、−55℃と125℃の槽が瞬時に入れ替わる装置(ESPEC製、THERMAL SHOCK CHAMBER TSA−101S)にパッケージを10個投入し125℃30分後、−55℃30分を1サイクルとし1000サイクル後のパッケージ内部の剥離、クラックを超音波探傷機により確認した。10個のパッケージのうち、不良の生じたパッケージがn個であるとき、n/10とした。
【0031】
6.難燃性:上記のエポキシ樹脂組成物を用いて、トランスファー成形機により、金型温度175℃、注入圧力6.86MPa(70kgf/cm2)、硬化時間120秒の条件で成形した後、175℃で4時間の後硬化を行った、厚さ1.0mmの難燃性試験サンプルを用いて、UL94規格に従い、ΣF、Fmaxを測定し、V−0、V−1、V−2、規格外を判定した。
【0032】
実施例2〜7
実施例1以外で用いた成分は、エポキシ樹脂として主成分が前記式(2)であるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(A−2)(日本化薬(株)製、NC−3000P、軟化点60℃、エポキシ当量272 ただし、繰り返し単位数aは3で、平均値を示す。)、主成分が前記式(1)であるエポキシ樹脂(A−3)(ジャパンエポキシレジン(株)製、YX4000H エポキシ当量193)、主成分が前記式(4)であるナフタレン型4官能エポキシ樹脂(A−4)(大日本印刷(株)製 HP4770エポキシ当量141)、下記式(11)に示すナフタレンノボラック型エポキシ樹脂(A−5)(新日鐵化学(株)製 ESN−375 エポキシ当量173)、硬化剤として主成分が前記式(6)である(B−2)(関東化学(株)製 パラローズアニリン(ベース) NH2当量101)、主成分が前記式(7)であるフェノールアラルキル樹脂(B−3)(三井化学(株)製 XL−225、水酸基当量172 軟化点77℃ ただし、繰り返し単位数dは3で、平均値を示す。)、主成分が前記式(8)であるビフェニルアラルキル型フェノール樹脂(B−4)(明和化成(株)製、MEH−7851ss、水酸基当量199 軟化点68℃ ただし、繰り返し単位数eは3で、平均値を示す。)、アスペクト比が10〜40の無機充填剤(C)として、ガラスファイバーであるマイクロウール(C−2)(日本板硝子(株)製 CMLF109 アスペクト比35 平均粒径70μm)、難燃剤(D−2)を表1の配合に従い、実施例1と同様に混練してエポキシ樹脂組成物を作製し評価を行った。
【0033】
比較例1、2
比較例1は実施例1のガラスフレーク(C−1)に変えて球状溶融シリカ(C−3)(平均粒径15μm)を用い、比較例2は、難燃剤として水酸化アルミニウムを用い、表1の配合に従い、実施例1と同様に混錬を行ってエポキシ樹脂組成物を作製し評価を行った。
【0034】
結果
実施例1〜7はいずれも良好な結果となった。実施例1〜7の後硬化温度が200℃4時間の場合であるが、175℃4時間の後硬化に比べ反りの値が小さくなる傾向であった。比較例1、2は、パッケージ反り量が大きく、耐半田クラック性、熱衝撃性試験でパッケージ内部の剥離及びクラックが発生した。
【0035】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、難燃性を維持し反り抑制に優れたものであり、特に温度衝撃性に優れることから車載用途に用いられるエリア実装型半導体装置等への適用が有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)、(2)、(3)及び(4)から選ばれる少なくとも1種のエポキシ樹脂(A)、下記式(5)、(6)、(7)及び(8)から選ばれる少なくとも1種の硬化剤(B)、アスペクト比が10〜40の無機充填剤(C)、及び難燃剤(D)を必須成分として含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
【化1】

【化2】

[式中aは、1〜10である。]
【化3】

[式中bは、0〜10である。]
【化4】

【化5】

[式中cは、0〜10である。]
【化6】

【化7】

[式中、dは、1〜10である。]
【化8】

[式中、eは、1〜10である。]
【請求項2】
難燃剤(D)がモリブデン酸亜鉛(D−1)及びホウ酸亜鉛(D−2)から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
アスペクト比が10〜40の無機充填剤(C)と難燃剤(D)の総量がエポキシ樹脂組成物の65重量%〜85重量%である請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
エポキシ樹脂組成物が請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物であり、そのエリア実装型半導体装置の成形後、該エポキシ樹脂組成物をさらに190℃〜230℃で硬化させてなることを特徴とするエリア実装型半導体装置。

【公開番号】特開2007−177150(P2007−177150A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−379312(P2005−379312)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】