説明

エポキシ樹脂組成物

【課題】LED等の樹脂封止に用いられているエポキシ樹脂−酸無水物硬化系の封止剤の耐熱性や透明性を改善する技術を提供する。
【解決手段】特定の不完全カゴ型シルセスキオキサン誘導体から選ばれる少なくとも1つの化合物である第1成分と、カチオン重合開始剤または酸無水物である第2成分とを必須成分として含有し、非ケイ素系のエポキシ樹脂および硬化促進剤から選ばれる少なくとも1つである第3成分を必要に応じて用いられる成分として含有するエポキシ樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング材、成型または注型成形して得られる光学材料、電気絶縁材料などとして有用なエポキシ樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、種々の表示板、画像読み取り用光源、交通信号、大型ディスプレイ用ユニット、携帯電話のバックライト等に実用化されている発光ダイオード(LED)等の発光装置は、芳香族エポキシ樹脂に硬化剤として脂環式酸無水物を用いたもので樹脂封止して製造されているのが一般的である。しかし、この樹脂系は酸無水物が酸で変色しやすいことや、硬化に長時間を要することが知られている。また、硬化した封止樹脂が屋外に放置される場合や、紫外線を発生する光源に曝される場合に、封止樹脂が黄変するという問題点を有している。
【0003】
このような問題点を解消するために、環状脂肪族エポキシ樹脂またはアクリル樹脂を用い、カチオン重合開始剤によってLED等の樹脂封止を行う方法が試みられている(特許文献1および2を参照)。しかし、上記カチオン重合した硬化樹脂は非常に脆いため、冷熱サイクルにより亀裂破壊を生じやすく、また、従来の芳香族エポキシ樹脂−酸無水物硬化系に比べ、硬化後の封止樹脂の着色が著しいという重大な欠点を有している。そのため、この硬化樹脂は、無色透明性を要求される用途、特に耐熱性と透明性が要求されるLEDの封止用途には不向きであった。
【0004】
そこで、冷熱サイクルによるクラックの発生が改良され、耐光性に優れたLED封止材用樹脂組成物が特許文献3に開示されている。ここに示された樹脂組成物は、水素化エポキシ樹脂や脂環式エポキシ樹脂をマトリックス成分とするものではあるが、未だ硬化後の着色が大きく更なる変色に対する改善が望まれていた。
【0005】
一方、特許文献4には、低粘度化剤として脂肪族環状エポキシ樹脂やオキセタン樹脂を用いた配線基板の電子部品と基板との隙間を埋めるための埋込樹脂組成物が記載されている。しかし、この樹脂組成物は、多量の無機フィラーを含有するもので、透明性を必要とする分野には適用できない。また、特許文献5には、変性オキセタン樹脂を活性エネルギー線硬化性樹脂とするアルカリ水溶液に可溶な樹脂組成物が示されているが、ここに示されたものは、アルカリ可溶性樹脂とすることを目的としており、また、変性オキセタン樹脂や多官能オキセタン樹脂は不飽和結合を有するため熱履歴による変色は避けられないものであった。なお、特許文献6〜10には、かご型ケイ素化合物およびその重合体が開示されているが、本発明のエポキシ樹脂組成物は開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭61−112334号公報、
【特許文献2】特開平02−289611号公報
【特許文献3】特開2003−277473公報
【特許文献4】特開2004−27186公報
【特許文献5】国際公開WO01/072857パンフレット
【特許文献6】特開2006−070049公報
【特許文献7】国際公開WO2004/081084パンフレット
【特許文献8】特開2004−331647公報
【特許文献9】国際公開WO2003/24870パンフレット
【特許文献10】国際公開WO2004/24741パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような従来技術の有する欠点を解消できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、低温焼成が可能で、例えば絶縁性、透明性、耐光性、耐熱性、靭性などに優れたエポキシ樹脂組成物を見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は下記の[1]項に示すエポキシ樹脂組成物に関する。
[1] 式(1)および式(2)のそれぞれで示されるシルセスキオキサン誘導体から選ばれる少なくとも1つの化合物である第1成分と、カチオン重合開始剤または酸無水物である第2成分とを必須成分として含有し、オキシラニル、オキシラニレン、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニルまたはオキセタニレンを有し、かつ分子中にケイ素を含まない化合物および硬化促進剤から選ばれる少なくとも1つである第3成分を必要に応じて用いられる成分として含有するエポキシ樹脂組成物:




ここに、Yは式(2−a)で示される基であり;Rは炭素数1〜45のアルキル、炭素数4〜8のシクロアルキル、アリールおよびアリールアルキルから独立して選択される基であり;炭素数1〜45のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして隣接しない任意の−CH−は、−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく;アリールおよびアリールアルキル中のベンゼン環において、任意の水素はハロゲンまたは炭素数1〜10のアルキルで置き換えられてもよく;この炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして隣接しない任意の−CH−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく;アリールアルキル中のアルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜10であり、そして隣接しない任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく;RおよびRは炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびフェニルから独立して選択される基であり;Rは炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;そして、X1はオキシラニル、オキシラニレン、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニルまたはオキセタニレンを有する基である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物は、例えば、低温焼成が可能で、絶縁性、透明性、耐光性、耐熱性、靭性などに優れている。そのため、光半導体の封止、絶縁膜、シール剤などに用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明で用いる用語について説明する。式(1)で表わされる化合物を化合物(1)と表記することがある。他の式で表される化合物についても同様に簡略化して称することがある。本発明においては、オキシラニル、オキシラニレン、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニルまたはオキセタニレンを含有する化合物の総称として、「エポキシ樹脂」を用いる。「任意の」は位置だけではなく個数についても任意であることを意味する。そして、「任意のAはBまたはCで置き換えられてもよい」という表現は、少なくとも1つのAがBで置き換えられる場合と少なくとも1つのAがCで置き換えられる場合とに加えて、少なくとも1つのAがBで置き換えられると同時にその他のAの少なくとも1つがCで置き換えられる場合も含まれることを意味する。なお、アルキルまたはアルキレンにおける任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいという設定には、連続する複数の−CH−のすべてが−O−で置き換えられることは含まれない。実施例においては、電子天秤の表示データを質量単位であるg(グラム)を用いて示した。重量%や重量比はこのような数値に基づくデータである。
【0011】
本発明は、上記の[1]項と下記の[2]〜[12]項とで構成される。
[2] Rがシクロペンチル、シクロヘキシル、炭素原子の数が1〜10であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして隣接しない任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキル、および任意の水素がハロゲンもしくは炭素数1〜10のアルキルで置き換えられてもよいフェニルから独立して選択される基であり;フェニルの置換基である炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして隣接しない任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよい、[1]項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0012】
[3] Rがシクロペンチル、シクロヘキシル、または任意の水素が塩素、フッ素、メチル、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで置き換えられてもよいフェニルである、[1]項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0013】
[4] Rがシクロヘキシルまたはフェニルである、[1]項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0014】
[5] Rがフェニルである、[1]項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0015】
[6] Xが式(3)、式(4)および式(5)のいずれか1つで示される基である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物:


【0016】
[7] 第2成分がカチオン重合開始剤である、[1]〜[6]のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0017】
[8] 第2成分が酸無水物である、[1]〜[6]のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0018】
[9] 酸無水物がヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物および水素化メチルナジック酸無水物の少なくとも1つである、[8]項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0019】
[10] [1]〜[9]のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物からなる光半導体封止用樹脂組成物。
[11] [1]〜[9]のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物からなる絶縁膜用樹脂組成物。
[12] [1]〜[9]のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物からなるシール剤用樹脂組成物。
【0020】
本発明のエポキシ樹脂組成物の必須成分である第1成分は、式(1)および式(2)のそれぞれで示されるシルセスキオキサン誘導体から選択される少なくとも1つの化合物である。以下の説明においては、式(1)および式(2)におけるシルセスキオキサン骨格の形状をダブルデッカータイプと表現することがある。


【0021】
式(1)において、Rは炭素数1〜45のアルキル、炭素数4〜8のシクロアルキル、アリールおよびアリールアルキルから独立して選択される基である。この炭素数1〜45のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして隣接しない任意の−CH−は、−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよい。アリールおよびアリールアルキル中のベンゼン環において、任意の水素はハロゲンまたは炭素数1〜10のアルキルで置き換えられてもよい。この炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして隣接しない任意の−CH−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよい。アリールアルキル中のアルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜10であり、そして隣接しない任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよい。
【0022】
好ましいRはシクロペンチル、シクロヘキシル、炭素原子の数が1〜10であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして隣接しない任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキル、および任意の水素がハロゲンもしくは炭素数1〜10のアルキルで置き換えられてもよいフェニルから独立して選択される基である。フェニルの置換基である炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして隣接しない任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよい。
より好ましいRは、シクロペンチル、シクロヘキシル、または任意の水素が塩素、フッ素、メチル、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで置き換えられてもよいフェニルであり、更に好ましいRはシクロヘキシルまたはフェニルであり、そして最も好ましいRはフェニルである。
【0023】
およびRは、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびフェニルから独立して選択される基である。炭素数1〜4のアルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、2−メチルエチル、ブチルおよびt−ブチルである。RまたはRの好ましい例はメチルおよびフェニルである。RおよびRは同じ基であることが好ましい。
【0024】
1はオキシラニル、オキシラニレン、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニルおよびオキセタニレンのいずれか1つを有する基である。このようなX1の好ましい例を次に示す。


これらの式において、R、R、RおよびRは炭素数1〜6のアルキレンである。このアルキレンにおける1つの−CH−は−O−または1,4−フェニレンで置き換えられてもよい。そして、RおよびRは水素または炭素数1〜6のアルキルである。
【0025】
これらのうち、オキシラニル、3,4−エポキシシクロヘキシルおよびオキセタニルのいずれか1つを有する基がより好ましく、オキシラニルを有する基および3,4−エポキシシクロヘキシルを有する基がさらに好ましい。
【0026】
の特に好ましい例は、式(3)、式(4)および式(5)のそれぞれで示される基である。


【0027】
化合物(1)は、国際公開WO2004/024741パンフレットに記載されている方法を参照して製造することができる。
【0028】


【0029】
式(2)において、Rは式(1)におけるRと同じ意味を有し、Yは式(2−a)で示される基である。そして、式(2−a)において、Rは式(1)におけるRと同じ意味を有し、X1は式(1)におけるX1と同じ意味を有する。化合物(2)は、国際公開WO2003/024870パンフレットに記載されている方法により製造することができる。
【0030】
必須成分である第2成分は、カチオン重合開始剤または酸無水物である。カチオン重合開始剤の例は、活性エネルギー線によりカチオン種またはルイス酸を発生する活性エネルギー線カチオン重合開始剤、および熱によりカチオン種またはルイス酸を発生する熱カチオン重合開始剤である。
【0031】
活性エネルギー線カチオン重合開始剤の例は、金属フルオロホウ素錯塩および三フッ化ホウ素錯化合物(米国特許第3379653号)、ビス(ペルフルアルキルスルホニル)メタン金属塩(米国特許第3586616号)、アリールジアゾニウム化合物(米国特許第3708296号)、VIa族元素の芳香族オニウム塩(米国特許第4058400号)、Va族元素の芳香族オニウム塩(米国特許第4069055号)、IIIa〜Va族元素のジカルボニルキレート(米国特許第4068091号)、チオピリリウム塩(米国特許第4139655号)、MF−陰イオンの形のVIb族元素(米国特許第4161478号;Mはリン、アンチモンおよび砒素から選択される。)、アリールスルホニウム錯塩(米国特許第4231951号)、芳香族ヨードニウム錯塩および芳香族スルホニウム錯塩(米国特許第4256828号)、およびビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド−ビス−ヘキサフルオロ金属塩(Journal of Polymer Science, Polymer Chemistry、第2巻、1789項(1984年))である。その他、鉄化合物の混合配位子金属塩およびシラノール−アルミニウム錯体も使用することが可能である。
【0032】
好ましい活性エネルギー線カチオン重合開始剤の例は、アリールスルホニウム錯塩、ハロゲン含有錯イオンの芳香族スルホニウムまたはヨードニウム塩、並びにII族、V族およびVI族元素の芳香族オニウム塩である。これらの塩のいくつかは商品として入手できる。
【0033】
熱カチオン重合開始剤としては、トリフル酸(Triflic acid)塩、三弗化ホウ素等のようなカチオン系またはプロトン酸触媒が用いられる。好ましい熱カチオン重合開始剤の例はトリフル酸塩であり、その例はトリフル酸ジエチルアンモニウム、トリフル酸ジイソプロピルアンモニウム、およびトリフル酸エチルジイソプロピルアンモニウムである。一方、活性エネルギー線カチオン重合開始剤としても用いられる芳香族オニウム塩のうち、熱によりカチオン種を発生するものがあり、これらも熱カチオン重合開始剤として用いることができる。
【0034】
これらのカチオン重合開始剤の中で、芳香族オニウム塩が、取り扱い性および潜在性と硬化性のバランスに優れるという点で好ましく、その中で、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩およびホスホニウム塩が取り扱い性および潜在性のバランスに優れるという点で好ましい。カチオン重合開始剤は、単独でもしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0035】
カチオン重合開始剤の好ましい使用割合は、使用するエポキシ樹脂の合計量に対する重量比で、0.0001〜0.15であり、より好ましくは0.0005〜0.05である。0.0001は、硬化反応が十分に進行して目的とする硬化物が得られるための下限がである。0.15は、硬化物の物性低下を招かず、硬化物に着色を引き起こす要因とならないための上限である。
【0036】
酸無水物の例は、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチル−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、4−メチル−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、3−メチル−シクロヘキサンジカルボン酸無水物と4−メチル−シクロヘキサンジカルボン酸無水物の混合物、テトラヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、およびメチルノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物である。
【0037】
このような酸無水物の好ましい使用割合は、使用するエポキシ樹脂に含まれるエポキシ基1当量に対する酸無水物の当量で0.7〜1.2である。硬化が完全な良好な硬化物を得るためには、この範囲内で酸無水物を用いることが好ましい。
【0038】
以下の説明では、オキシラニル、オキシラニレン、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニルまたはオキセタニレンを有し、かつ分子中にケイ素を含まない化合物を、非ケイ素系エポキシ樹脂と称することがある。本発明の熱硬化性樹脂組成物の第3成分は、必要に応じて用いられる成分である。この第3成分は、非ケイ素系エポキシ樹脂および硬化促進剤から選ばれる少なくとも1つである。非ケイ素系エポキシ樹脂の例は、ビスフェノール型エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂など)、2個のオキシラニルを有するエポキシ樹脂(ビフェニル型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂など)、多官能複素環式エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートなど)、および3個以上のオキシラニルを有するエポキシ樹脂(ポリ(エポキシ化シクロヘキセンオキサイド)などの多官能脂環式エポキシ樹脂など)である。これらのうち、透明性の観点から着色の少ない、ビスフェノール型エポキシ樹脂や複素環式エポキシ樹脂を用いることがより好ましく、複素環式エポキシ樹脂の中でもトリグリシジルイソシアヌレートが好ましい。これらのエポキシ樹脂は、2種以上を併用してもよい。
【0039】
このような非ケイ素系エポキシ樹脂を用いるとき、その好ましい配合割合は、第1成分と非ケイ素系エポキシ樹脂の合計量を基準として5〜95重量%である。この割合のより好ましい範囲は20〜70重量%であり、更に好ましい範囲は30〜60重量%である。
【0040】
本発明においては、酸無水物とともに硬化促進剤を使用してもよい。このような硬化促進剤としては、4級ホスホニウム塩、例えば、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムブロミド、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、n−ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド;イミダゾール類、3級アミン、4級アンモニウム塩、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7などの双環式アミジン類とその誘導体、2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類などが挙げられる。しかしながら、硬化性がよく、着色がないものであれば、これらに限定されない。これらの硬化促進剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7などの双環式アミジン類、およびイミダゾール類は、少量の添加量でもエポキシ樹脂に対して高い活性を示し、比較的低い硬化温度でも短時間で、例えば、150℃程度でも90秒位で硬化することができるのでより好ましい。テトラフェニルホスホニウムブロミドも好ましい。
【0041】
このような硬化促進剤を用いるとき、その好ましい使用割合は、第1成分と非ケイ素系エポキシ樹脂の合計量に対する重量比で0.003〜0.04であり、より好ましくは0.004〜0.02である。0.003は、硬化促進効果が認められるための下限である。0.4は、硬化物の物性低下を招かず、硬化物に着色を引き起こす要因とならないための上限である。
【0042】
本発明の組成物には酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤を添加することにより、加熱時の酸化劣化を防止し着色の少ない硬化物とすることができる。酸化防止剤の例はフェノール系、硫黄系、およびリン系の酸化防止剤である。酸化防止剤を使用するときの好ましい配合割合は、エポキシ樹脂組成物全量を基準とする重量比で0.0001〜0.1である。
【0043】
酸化防止剤の具体例は、モノフェノール類(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなど)、ビスフェノール類(2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなど)、高分子型フェノール類(1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジンー2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェノールなど)、硫黄系酸化防止剤(ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルル−3,3’−チオジプロピオネートなど)、ホスファイト類(リフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、ビス[2−t−ブチル−6−メチル−4−{2−(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル]ヒドロゲンホスファイトなど)、およびオキサホスファフェナントレンオキサイド類(,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドなど)である。これらの酸化防止剤はそれぞれ単独で使用できるが、フェノール系/硫黄系またはフェノール系/リン系と組み合わせて使用することが特に好ましい。
【0044】
本発明の組成物には、耐光性を向上させるために紫外線吸収剤を配合してもよい。紫外線吸収剤としては、一般のプラスチック用紫外線吸収剤を使用でき、その好ましい配合割合は、エポキシ樹脂組成物全量を基準とする重量比で0.0001〜0.1である。
【0045】
紫外線吸収剤の具体例は、フェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等のサリチル酸類、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジtert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジtert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジtert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−{(2’−ヒドロキシ−3’,3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル}ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール類、およびビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[{3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドリキシフェニル}メチル]ブチルマロネート等のヒンダートアミン類である。
【0046】
本発明の組成物には、更に下記のような成分を配合してもよい。
(1)粉末状の補強剤や充填剤、たとえば酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの金属酸化物、微粉末シリカ、溶融シリカ、結晶シリカなどのケイ素化合物、ガラスビーズ等の透明フィラー、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物、その他、カオリン、マイカ、石英粉末、グラファイト、二硫化モリブデン等。これらは、本発明のエポキシ組成物の透明性を損なわない範囲で配合される。これらを配合するときの好ましい割合は、本発明の組成物全量に対する重量比で、0.10〜1.0の範囲である。
【0047】
(2)着色剤または顔料、たとえば二酸化チタン、モリブデン赤、紺青、群青、カドミウム黄、カドミウム赤および有機色素等。
(3)難燃剤、例えば、三酸化アンチモン、ブロム化合物およびリン化合物等。
(4)イオン吸着体。
(5)カップリング剤
これらの成分を配合するときの好ましい割合は、エポキシ樹脂組成物全量に対する重量比で0.0001〜0.30である。
【0048】
本発明のエポキシ樹脂組成物から得られる硬化物は、耐光性に優れているので、ピーク波長が350〜550nmの比較的短い波長の光を発光する素子を封止するのに好適である。このような発光素子としては有機金属気相成長法(MOCVD法)、分子線結晶成長法(MBE法)ハライド系気相成長法(HVPE法)により形成されたIII族窒化物系化合物半導体が挙げられる。半導体の構造としては、MIS接合、PIN接合やpn接合などを有するホモ構造、ヘテロ構造またはダブルヘテロ構成のものが挙げられる。半導体層の材料やその混晶度によって発光波長を種々選択することができる。また、半導体活性層を量子効果が生ずる薄膜に形成させた単一量子井戸構造や多重量子井戸構造とすることもできる。
【実施例】
【0049】
本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例によって限定されない。
[合成例1]
<化合物(1−1)の製造>
下記の経路により化合物(1−1)を製造した。


【0050】
温度計、滴下漏斗、および還流冷却器を備えた内容積50ミリリットルの反応容器に、化合物(a)(2.0g)、アリルグリシジルエーテル(1.4g)、およびトルエン(3.4g)を仕込み、乾燥窒素でシールした。マグネチックスターラーで攪拌しながら、反応液温度が70℃になるように加熱した。そしてマイクロシリンジでカルステッド触媒(2.0μl)を添加したのち、1時間撹拌を継続した。そして反応液をサンプリングしIR分析を行なった結果、Si−H基を示唆する2138cm−1の吸収が消失していることを確認した。次いで、反応液は減圧濃縮して粘稠な液体2.5gを得た。得られた粘稠な液体について、29Si−NMR分析を行なった結果、グリシドキシプロピルジメチルシリル基に相当する11.42ppmのシグナルを確認した。GPC分析の結果、数平均分子量は1100、重量平均分子量は1170であった。以上のデータは、粘稠な液体が式(1−1)で示される化学構造を有する化合物であることを示唆している。
【0051】
[合成例2]
<化合物(2−1)の製造>
下記の経路により化合物(2−1)を製造した。


【0052】
窒素雰囲気下、化合物(b)(5.0g、4.33mmol)にトルエン(50ml)を加えて懸濁し、白金−ジビニルシロキサン錯体(3wt%トルエン溶液、30μl)を加えて90℃に加熱した。これにアリルグリシジルエーテル(1.04g、9.1mmol)を滴下し、還流状態で3時間加熱した。放冷後、トルエン(50ml)、水(100ml)を加えて抽出した。有機層を水洗した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でトルエンを溜去して、得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:トルエン/酢酸エチル)で精製した。減圧下で溶媒を溜去した後、エタノール/酢酸エチルから再結晶して化合物(2−1)1.6gを得た。
H−NMR(溶媒:CDCl):δ(ppm);0.30(s,6H)、0.73−0.76(t,4H)、1.66−1.72(m,4H)、2.42−2.44(m,2H)、2.64−2.66(m,2H)、2.95−2.98(m,2H)、3.15−3.19(m,2H)、3.28−3.39(m,4H)、3.44−3.48(m,2H)、7.18−7.53(m,40H).
29Si−NMR(溶媒:CDCl):δ(ppm);−17.4(s,2Si)、−78.6(s,4Si)、(−79.5)−(−79.6)(t,4Si).
【0053】
[実施例1]
<エポキシ樹脂組成物の調製1>
サンエイドSI−100(三新化学工業社製、:芳香族スルホニウム型カチオン重合開始剤)0.0840g、化合物(c)(ダイセル化学製、セロキサイド2021P)7.7164g(28.58mmol)をスクリュー管に入れ、攪拌子にて攪拌溶解した。その後、化合物(1−1)(6.3163g:3.59mmol)を加え、十分攪拌して均一な溶液を得た。この溶液を5μmのメンブランフィルターにてろ過して、エポキシ樹脂組成物を得た。これをワニス1とする。


【0054】
[実施例2]
<エポキシ樹脂組成物の調製2>
サンエイドSI−100(0.0840g)、化合物(c)(6.3226g:23.42mmol)をスクリュー管に入れ、攪拌子にて攪拌溶解した。その後、化合物(1−1)(10.2916g:5.85mmol)を加え、十分攪拌して均一な溶液を得た。この溶液を5μmのメンブランフィルターでろ過して、エポキシ樹脂組成物を得た。これをワニス2とする。
【0055】
[実施例3]
<エポキシ樹脂組成物の調製3>
U―CAT5003(0.1008gサンアプロ社製:第4級ホスホニウムブロマイド硬化促進剤)、化合物(d)(日立化成工業社製HN−5500:3−メチル−シクロヘキサンジカルボン酸無水物と4−メチル−シクロヘキサンジカルボン酸無水物の混合物)3.883g(23.09mmol)をスクリュー管に入れ、攪拌子にて攪拌して溶解した。その後、化合物(1−1)10.1442g(5.77mmol)を加え、十分攪拌して均一な溶液を得た。次に、この溶液を5μmのメンブランフィルターでろ過して、エポキシ樹脂組成物を得た。これをワニス3とする。


【0056】
[比較例1]
<エポキシ樹脂組成物の調製4>
サンエイドSI−100(三新化学工業社製:芳香族スルホニウム型カチオン重合開始剤)0.0840g、化合物(c)14.0000g(51.85mmol)をスクリュー管に入れ、攪拌子にて攪拌して溶解した。この溶液を5μmのメンブランフィルターでろ過して、エポキシ樹脂組成物を得た。これをワニス4とする。
【0057】
[比較例2]
<エポキシ樹脂組成物の調製5>
U―CAT5003(0.06g)、化合物(d)(4.697g:27.93mmol)をスクリュー管に入れ、攪拌子にて攪拌溶解した。その後、化合物(e)(ビスフェノールAジグリシジルエーテル水素添加物(阪本薬品工業(株)、SB−HBA)、6.0000g:13.95mmol)を加え、十分攪拌して均一な溶液を得た。この溶液を5μmのメンブランフィルターでろ過して、エポキシ樹脂組成物を得た。これをワニス5とする。


【0058】
[実施例4]
<物性測定1>
実施例1において得られたワニス1、実施例2で得られたワニス2、実施例3で得られたワニス3、および比較例1で得られたワニス4を、それぞれシリコンウエハー(低抵抗シリコンウエハー、高抵抗シリコンウエハー)基板上に、スピンナーにて塗布し、表1の条件で焼成して物性測定用サンプルとした。
<表1>

【0059】
上記サンプルについて、表面抵抗率、体積抵抗率および誘電率を測定した。結果を表2に示す。
<表2>

ダブルデッカータイプのシルセスキオキサン骨格を有するエポキシ樹脂と非ケイ素系エポキシ樹脂との組み合わせで得られた硬化膜およびダブルデッカータイプのシルセスキオキサン骨格を有するエポキシ樹脂から得られた硬化膜は、どちらも、分子中にケイ素を含有しないエポキシ樹脂だけから得られた硬化膜に比べて、表面抵抗率、体積抵抗率および誘電率のすべてにおいて良い値を示した。
【0060】
[実施例5]
<物性測定2(耐熱性試験)>
実施例1において得られたワニス1、実施例2で得られたワニス2、実施例3で得られたワニス3、比較例1で得られたワニス4、および比較例2で得られたワニス5を、それぞれガラス基板上にスピンナーにて塗布した。その後、表3に示す条件で焼成して、耐熱性試験用サンプルを形成した。形成された膜はガラス基板上に24μmの膜厚を有していた。
<表3>

【0061】
上記サンプルについて、送風定温乾燥器(アドバンテック社製、DRM420DA)を用い、150℃にて耐熱性試験を行った。その結果、得られたガラス基板について、分光光度計(JASCO V−560 UV/VIS)を用い、400nmおよび350nmにおける光線透過率を測定して、その評価結果を表4および表5に示した。
<表4> (400nm)

【0062】
<表5> (350nm)

ダブルデッカータイプのシルセスキオキサン骨格を有するエポキシ樹脂と非ケイ素系エポキシ樹脂との組み合わせで得られた硬化膜は、非ケイ素系エポキシ樹脂だけから得られた硬化膜に比べて耐熱性が良いことが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物は、例えば、低温焼成が可能で、絶縁性、透明性、耐光性、耐熱性、靭性などに優れている。そのため、光半導体の封止、絶縁膜、シール剤などに用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)および式(2)のそれぞれで示されるシルセスキオキサン誘導体から選ばれる少なくとも1つの化合物である第1成分と、カチオン重合開始剤または酸無水物である第2成分とを必須成分として含有し、オキシラニル、オキシラニレン、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニルまたはオキセタニレンを有し、かつ分子中にケイ素を含まない化合物および硬化促進剤から選ばれる少なくとも1つである第3成分を必要に応じて用いられる成分として含有するエポキシ樹脂組成物:




ここに、Yは式(2−a)で示される基であり;Rは炭素数1〜45のアルキル、炭素数4〜8のシクロアルキル、アリールおよびアリールアルキルから独立して選択される基であり;炭素数1〜45のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして隣接しない任意の−CH−は、−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく;アリールおよびアリールアルキル中のベンゼン環において、任意の水素はハロゲンまたは炭素数1〜10のアルキルで置き換えられてもよく;この炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして隣接しない任意の−CH−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく;アリールアルキル中のアルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜10であり、そして隣接しない任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく;RおよびRは、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびフェニルから独立して選択される基であり;Rは炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり;そして、X1はオキシラニル、オキシラニレン、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニルおよびオキセタニレンのいずれか1つを有する基である。
【請求項2】
Rが、シクロペンチル、シクロヘキシル、炭素原子の数が1〜10であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして隣接しない任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいアルキル、および任意の水素がハロゲンもしくは炭素数1〜10のアルキルで置き換えられてもよいフェニルから独立して選択される基であり;フェニルの置換基である炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして隣接しない任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよい、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
Rがシクロペンチル、シクロヘキシル、または任意の水素が塩素、フッ素、メチル、メトキシ、もしくはトリフルオロメチルで置き換えられてもよいフェニルである、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
Rがシクロヘキシルまたはフェニルである、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
Rがフェニルである、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項6】
が式(3)、式(4)および式(5)のいずれか1つで示される基である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物:


【請求項7】
第2成分がカチオン重合開始剤である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項8】
第2成分が酸無水物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項9】
酸無水物がヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物および水素化メチルナジック酸無水物の少なくとも1つである、請求項8に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物からなる光半導体封止用樹脂組成物。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物からなる絶縁膜用樹脂組成物。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物からなるシール剤用樹脂組成物。

【公開番号】特開2012−46752(P2012−46752A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198602(P2011−198602)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【分割の表示】特願2006−160627(P2006−160627)の分割
【原出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【出願人】(311002067)JNC株式会社 (208)
【Fターム(参考)】