説明

エポキシ樹脂組成物

【目的】 樹脂組成物の粘度がフィラメントワインディング成形が可能な低粘度であり、ポットライフが長く、さらにこれらを成形する場合には成形性に優れ、得られた成形物の品質が良好で、耐熱性、耐湿性のどちらも優れたエポキシ樹脂組成物を提供する。
【構成】 (A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、(B)ポリグリシジルアミン型エポキシ樹脂、および(C)3,3′−ジエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、を必須成分として含有するエポキシ樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエポキシ樹脂組成物に関し、特に複合材料用エポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維、ガラス繊維等を強化材とする複合材料はゴルフシャフト、釣竿、テニスラケット等のスポーツ・レジャー用品、航空機関係、印刷用ロール、圧力容器等の工業材料および医療関係等に使用されている。さらに近年においては、かかる複合材料が工業材料部品に使用されることが多くなっている。
【0003】強化繊維に樹脂を含浸して成形した繊維強化プラスチック(FRP)は、一般に炭素繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維、アラミド繊維、ボロン繊維等の強化繊維にマトリックス樹脂を含浸して加熱成形することにより得られ、その中でも強化繊維に炭素繊維を用いた複合材料を炭素繊維強化プラスチック(CFRP)と呼ばれている。
【0004】代表的な成形法の一つであるフィラメントワインディング法は高い生産性でFRPおよびCFRPを得ることができるので有望な成形方法である。フィラメントワインディング法で例えばCFRPを成形する場合、樹脂の粘度が成形性に著しい影響を及ぼす。炭素繊維に樹脂を均一に含浸させるために、通常樹脂の粘度を低粘度にする方法が用いられる。該樹脂の粘度が高いと繊維に樹脂が均一に含浸せず、繊維の繰り出し性が悪くなり易い。
【0005】また、大型の成形物を成形するためには樹脂組成物のポットライフが最低4時間以上と長くなければならない等の制約があるため、樹脂組成物の選定が重要な課題である。
【0006】従来、CFRPのマトリックス樹脂としては炭素繊維に対する接着性に優れるエポキシ樹脂が用いられている。しかしながら、CFRPとしてのガラス転移温度が高温で、かつ高温での吸水重量増加率が5.0%以下の耐熱耐湿性エポキシ樹脂は、一般的に粘度が高く、フィラメントワインディング成形に用いるのは困難である。特に、多官能グリシジルアミン型エポキシ樹脂と硬化剤としてジアミノジフェニルスルホンまたはジアミノジフェニルメタンを混合した樹脂組成物は粘度が高く、さらには硬化時の粘度が著しく低いため、樹脂が漏洩したり、流動したりして得られる成形物の精度に問題を生じるため、フィラメントワインディング成形には用いることができない。また低粘度にするため、硬化剤として酸無水物を用いると得られた成形物の耐湿性が著しく低下する。
【0007】これまでにフィラメントワインディング成形が可能な低粘度の樹脂組成物が幾つか提案されているが、耐熱性、耐湿性のどちらかが劣るという欠点を有している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、これらの課題を解決するため、樹脂組成物の粘度がフィラメントワインディング成形が可能な低粘度であり、ポットライフが長く、さらにこれらを成形する場合には成形性に優れ、得られた成形物の品質が良好で、耐熱性、耐湿性のどちらも優れたエポキシ樹脂組成物を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明に係わる樹脂組成物は、(A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、(B)ポリグリシジルアミン型エポキシ樹脂、および(C)3,3′−ジエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタンを必須成分として含有するエポキシ樹脂組成物に関する。
【0010】本発明においてエポキシ樹脂成分として用いられる成分(A)100重量部に対する(B)の配合割合は、60〜150重量部であることが好ましく、より好ましくは80〜130重量部である。
【0011】成分(A)100重量部に対して、成分(B)が60重量部より少ないとCFRPとしてのガラス転移温度が低下し耐熱性が不充分となり、150重量部より多くなるとエポキシ樹脂成分の粘度が高くなり炭素繊維等の繊維束への含浸が十分に行えなくなる。
【0012】本発明において硬化剤として用いられる成分(C)の配合割合は、成分(A)および成分(B)の総重量100重量部に対して、30〜50重量部であることが好ましく、より好ましくは35〜45重量部である。
【0013】成分(A)および成分(B)の総重量100重量部に対して、成分(C)が30重量部より少ないとCFRPとしてのガラス転移温度が低下し耐熱性が不充分となったり、耐湿性が低下したりする。また、成分(C)が60重量部より多くなると量増加に見合った耐熱性や耐湿性の向上効果が得られない。
【0014】本発明における成分(A)のビスフェノールA型エポキシ樹脂の例としてはエピコート828、エピコート825(商品名:以上、油化シェルエポキシ(株)製)、エポトートYD128(商品名:東都化成(株)製)、エピクロン850(商品名:大日本インキ化学工業(株)製)、スミエポキシELA−128(商品名:住友化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0015】成分(B)のポリグリシジルアミン型エポキシ樹脂としてはトリグリシジルアミン型エポキシ樹脂およびテトラグリシジルアミン型エポキシ樹脂を用いることができ、特にテトラグリシジルアミン型エポキシ樹脂が好ましく用いられる。
【0016】具体的には、トリグリシジルアミン型エポキシ樹脂としてはスミエポキシELM120、スミエポキシELM100(商品名:以上、住友化学工業(株)製)、エピクロン430−L、エピクロン430(商品名:以上、大日本インキ化学工業(株)製)等を例示することができ、テトラグリシジルアミン型エポキシ樹脂としてはエポトートYH434、エポトートYH434L(商品名:以上、東都化成(株)製)、スミエポキシELM434、スミエポキシELM434HV(商品名:以上、住友化学工業(株)製)、アラルダイトMY−720(商品名:旭チバ(株)製)、エピコート604(商品名:油化シェルエポキシ(株)製)等を例示することができる。
【0017】成分(C)の3,3′−ジエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタンとしては、カヤハードA−A、カヤハードA−B、カヤハードA−S(商品名:以上、日本化薬(株)製)等として市販されているものを用いることができる。
【0018】本発明のエポキシ樹脂組成物においては、その性能を損なわない範囲で他のエポキシ樹脂、靭性付与剤、フィラー、着色剤等を適宜配合することができる。本発明のエポキシ樹脂組成物に所望に応じて含有することのできるエポキシ樹脂としてはビスフェノールF型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、環式脂肪族エポキシ樹脂、トリグリシジルメタン型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0019】靭性付与剤としては反応性エラストマー、ハイカーCTBN変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ニトリルゴム添加エポキシ樹脂、架橋アクリルゴム微粒子添加エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、熱可塑性エラストマー添加エポキシ樹脂等が挙げられ、加硫剤や加硫促進剤を該靭性付与剤に加えることもできる。
【0020】フィラーとしてはマイカ、アルミナ、タルク、微粉状シリカ、亜鉛末、アルミニウム粉等が挙げられる。着色剤としては有機顔料ではアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、アンスラキノン系顔料等、無機顔料では二硫化チタン、硫化クロム、コバルトブルー、硫化鉄等が挙げられる。
【0021】また、成分(C)の硬化剤の他、必要に応じて他の硬化剤および/または硬化促進剤を配合することができる。これらの硬化剤としてはジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジエチルトルエン、トリアミノジエチルトルエン、ジシアンジアミド、フェノールノボラック樹脂等のフェノール化合物、アミンアダクト型硬化剤、マイクロカプセル型硬化剤等を挙げることができる。但し、これらの硬化剤は単独で用いても所定の粘度や耐熱性を有した樹脂組成物を得られないことがあるため好ましくない。
【0022】硬化促進剤としては三フッ化ホウ素のモノメチルアミン錯体等のBF3錯体、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア、3−(4−クロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア等を挙げることができる。
【0023】本発明によるエポキシ樹脂組成物の製造方法には特に制限はないが、通常成分(A)〜(C)を10℃〜80℃、好ましくは20℃〜30℃で混合することが望ましい。80℃より高い温度で硬化剤(C)を混合すると樹脂と硬化剤が反応し易くなり、該樹脂組成物のポットライフが短くなり易いので好ましくない。
【0024】該樹脂組成物の使用温度は通常10〜80℃、好ましくは50〜70℃であり、該温度でのポットライフ(可使時間)は5時間以上、好ましくは8時間以上とすることができる。
【0025】樹脂組成物の耐湿性は吸水重量増加率、すなわち強化繊維に樹脂を含浸・成形して得られる複合材料を150℃のスチーム内に40時間放置したときの重量増加量が放置前の重量に対して何%増加したかによって求められるが、本発明のエポキシ樹脂組成物は通常5wt%以下、好ましくは4wt%以下、より好ましくは3wt%以下のものを得ることができる。
【0026】また、本発明のエポキシ樹脂組成物においては、80℃以下、好ましくは50〜70℃での粘度が2Pa・s以下、好ましくは1Pa・s以下、より好ましくは0.7Pa・s以下のものを得ることができるため強化繊維に含浸させ易く、フィラメントワインディング成形に好適である。
【0027】耐熱性は硬化後の組成物のガラス転移点によって求められるが、本発明のエポキシ樹脂組成物のガラス転移点が通常150℃以上、好ましくは160℃以上、より好ましくは170℃以上の樹脂を得ることができる。
【0028】本発明のエポキシ樹脂組成物はフィラメントワインディング成形に最も適するが、プルトルージョン成形、ハンドレイアップ成形等にも有効に使用することができる。
【0029】本発明においては、前記成分(A)、(B)および(C)を含有する樹脂組成物を強化繊維に含浸させフィラメントワインディング法等により成形し複合材料とする。
【0030】強化繊維としては特に限定されず複合材料の強化繊維として用いられる全ての繊維を用いることができる。例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維、チタン酸カリウム繊維、ポリエチレン繊維および表面処理した有機繊維等を挙げることができ、また、これらのうちから選ばれる2種類以上をハイブリッド構造とした繊維を用いることができる。特に、炭素繊維を強化繊維として用いた場合、軽量で高剛性の成形物が得られるため好ましく用いられる。
【0031】本発明のエポキシ樹脂組成物はフィラメントワインディング法により複合材料とすることができる。例えば、樹脂を含浸した強化繊維をフィラメントワインディング法によりマンドレルに巻き付け、通常150℃〜200℃で30分〜2時間、加熱硬化させることにより複合材料とすることができる。得られた複合材料は品質が安定で、しかもボイドが少ないものが得られる。
【0032】これら複合材料の用途の一例として印刷インキ用ロール、自転車パイプ、圧力容器等が挙げられる。その中でも印刷インキ用のCFRP製ゴム被覆ロールには上記した複合材料が適している。すなわち、近年、従来のスチール製ロールと比べ、軽量で作業性が良好であるため、CFRP製ゴム被覆ロールがスチール製ロールの代替として急速に利用されつつある。従来の250F硬化エポキシ樹脂系のCFRP製ロールでは未加硫ゴムをCFRP管に巻き付け、150℃のスチーム加熱下に加硫する際、熱の影響のためロールに変形を生じたり、高温の水分の影響のため、一部に腫れや剥がれを生じたりする。それに対し、本発明のエポキシ樹脂組成物により得られたCFRPロールでは150℃における耐熱性はもちろんのこと、スチームの影響も少ないため、寸法精度の優れたCFRP製印刷インキ用のゴム被覆ロールが得られる。
【0033】
【実施例】以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定するものではない。
【0034】実施例1ビスフェノールA型エポキシ樹脂(A)(商品名:エピコート828、油化シェルエポキシ(株)製)50重量部、テトラグリシジルアミン型エポキシ樹脂(B)(商品名:エポトートYH−434L(東都化成(株)製)50重量部、3,3′−ジエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン(C)(商品名:カヤハードA−B、日本化薬(株)製)40重量部を添加し、25℃で充分撹拌混合し、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。このエポキシ樹脂組成物のガラス転移点は200℃、60℃における粘度は0.2Pa・sであり、かつ同温度におけるポットライフは8時間以上と充分長いものであった。
【0035】得られたエポキシ樹脂組成物を60℃に加熱し、引張弾性率230GPa、引張強度3400MPaの炭素繊維に含浸させながらフィラメントワインディング法により、内径73mmφのマンドレルに巻き付け、180℃で2時間硬化し、肉厚3mmのCFRP管を作成した。このCFRP管の肉厚は均一でしかもボイドが少なかった。さらに、CFRP管を切断機を用いて、長さ200mmの試験片を得た。これを150℃のスチーム内に40時間放置した。重量増加は2.5wt%であった。
【0036】実施例2ビスフェノールA型エポキシ樹脂(A)(商品名:エピコート828、油化シェルエポキシ(株)製)40重量部、テトラグリシジルアミン型エポキシ樹脂(B)(商品名:エポトートYH−434L、東都化成(株)製)60重量部、3,3′−ジエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン(C)(商品名:カヤハードA−S、日本化薬(株)製)50重量部を添加し、25℃で充分撹拌混合し、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。このエポキシ樹脂組成物のガラス転移点は200℃、60℃における粘度は約0.6Pa・sであり、かつ同温度におけるポットライフは8時間以上で充分長いものであった。
【0037】得られたエポキシ樹脂組成物を60℃に加熱し、引張弾性率230GPa、引張強度3400MPaの炭素繊維に含浸させながらフィラメントワインディング法により、内径73mmφのマンドレルに巻き付け、180℃で2時間硬化し、肉厚3mmのCFRP管を作成した。このCFRP管の肉厚は均一でしかもボイドが少なかった。さらに、CFRP管を切断機を用いて、長さ200mmの試験片を得た。これを150℃のスチーム内に40時間放置した。重量増加は2.0wt%であった。
【0038】実施例3ビスフェノールA型エポキシ樹脂(A)(商品名:エポトートYD−128、東都化成(株)製)50重量部、テトラグリシジルアミン型エポキシ樹脂(B)(商品名:エポトートYH−434、東都化成(株)製)50重量部、3,3′−ジエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン(C)(商品名:カヤハードA−A、日本化薬(株)製)40重量部を添加し、25℃で充分撹拌混合し、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。このエポキシ樹脂組成物のガラス転移点は200℃、60℃における粘度は約0.4Pa・sであり、かつ同温度におけるポットライフは8時間以上で充分長いものであった。
【0039】得られたエポキシ樹脂組成物を60℃に加熱し、引張弾性率400GPa、引張強度2300MPaの炭素繊維に含浸させながらフィラメントワインディング法により、内径73mmφのマンドレルに巻き付け、180℃で2時間硬化し、肉厚3mmのCFRP管を作成した。このCFRP管の肉厚は均一でしかもボイドが少なかった。さらに、CFRP管を切断機を用いて、長さ200mmの試験片を得た。これを150℃のスチーム内に40時間放置した。重量増加は3.0wt%であった。
【0040】比較例1ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エピコート828、油化シェルエポキシ(株)製)50重量部、テトラグリシジルアミン型エポキシ樹脂(商品名:エポトートYH−434L、東都化成(株)製)50重量部、硬化剤として無水メチルハイミック酸(日立化成工業(株)製)120重量部を添加し、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール2重量部を添加し、25℃で充分撹拌混合し、エポキシ樹脂組成物を得た。
【0041】得られたエポキシ樹脂組成物を60℃に加熱し、引張弾性率230GPa、引張強度3400MPaの炭素繊維に含浸させながらフィラメントワインディング法により、内径73mmφのマンドレルに巻き付け、180℃で2時間硬化し、肉厚3mmのCFRP管を作成した。CFRP管を切断機を用いて、長さ200mmの試験片を得た。これを150℃のスチーム内に40時間放置した。重量増加は6.0wt%であった。また、表面に腫れや剥がれが見られた。
【0042】比較例2ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エピコート828、油化シェルエポキシ(株)製)50重量部、テトラグリシジルアミン型エポキシ樹脂(商品名:エポトートYH−434L、東都化成(株)製)50重量部、硬化剤としてジアミノジフェニルスルホン30重量部を添加し、硬化促進剤として三フッ化ホウ素のモノメチルアミン錯体を0.5重量部を添加し、25℃で充分分撹拌混合し、エポキシ樹脂組成物を得た。このエポキシ樹脂組成物の60℃における粘度は2.3Pa・sであった。
【0043】得られたエポキシ樹脂組成物を60℃に加熱し、引張弾性率230GPa、引張強度3400MPaの炭素繊維に含浸させながらフィラメントワインディング法により、内径73mmφのマンドレルに巻き付けたが、繊維への含浸が均一ではなく、繊維の繰り出し性が悪く、均一に巻くことができなかった。さらに、180℃で2時間硬化し、肉厚3mmのCFRP管を作成したが、得られた成形物は硬化中に樹脂が漏洩し、肉厚が均一ではなく、ボイドも多かった。
【0044】比較例3ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エピコート828、油化シェルエポキシ(株)製)100重量部、3,3′−ジエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン(C)(商品名:カヤハードA−B、日本化薬(株)製)30重量部を添加し、25℃で充分撹拌混合し、エポキシ樹脂組成物を得た。
【0045】得られたエポキシ樹脂組成物を60℃に加熱し、引張弾性率230GPa、引張強度3400MPaの炭素繊維に含浸させながらフィラメントワインディング法により、内径73mmφのマンドレルに巻き付け、180℃で2時間硬化し、肉厚3mmのCFRP管を作成した。得られた成形物のガラス転移温度は130℃であった。これを150℃のスチーム内に40時間放置したところ、成形物は変形した。
【0046】比較例4ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エピコート828、油化シェルエポキシ(株)製)50重量部、テトラグリシジルアミン型エポキシ樹脂(商品名:YH−434L、東都化成(株)製)50重量部、硬化剤としてジアミノジフェニルメタン30重量部を添加し、25℃で充分撹拌混合し、樹エポキシ脂組成物を得た。このエポキシ樹脂組成物の60℃における粘度は3.0Pa・sであった。
【0047】得られたエポキシ樹脂組成物を60℃に加熱し、引張弾性率230GPa、引張強度3400MPaの炭素繊維に含浸させながらフィラメントワインディング法により、内径73mmφのマンドレルに巻き付けたが、繊維への含浸が均一ではなく、繊維の繰り出し性が悪く、均一に巻くことができなかった。
【0048】比較例5ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エピコート828、油化シェルエポキシ(株)製)100重量部に対して硬化剤としてN,N′−(4,4′−メチレンビスフェニル)−ジメチルアミンを30重量部を添加し、25℃で充分撹拌混合し、エポキシ樹脂組成物を得た。
【0049】得られたエポキシ樹脂組成物を60℃に加熱し、引張弾性率230GPa、引張強度3400MPaの炭素繊維に含浸させながらフィラメントワインディング法により、内径73mmφのマンドレルに巻き付け、180℃で2時間硬化し、肉厚3mmのCFRP管を作成した。得られた成形物のガラス転移温度は130℃であった。これを150℃のスチーム内に40時間放置したところ、成形物は変形した。
【0050】比較例6ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エピコート828、油化シェルエポキシ(株)製)30重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エピコート1001、油化シェルエポキシ(株)製)70重量部に対して硬化剤としてN,N′−(4,4′−メチレンビスフェニル)−ジメチルアミンを30重量部を添加し、25℃で充分撹拌混合し、エポキシ樹脂組成物を得た。このエポキシ樹脂組成物の60℃粘度は40Pa・s であった。
【0051】得られたエポキシ樹脂組成物を60℃に加熱し、引張弾性率230GPa、引張強度3400MPaの炭素繊維に含浸させたが、粘度が高く、繊維への含浸ができなかった。
【0052】
【発明の効果】本発明のエポキシ樹脂組成物は、低粘度であり、しかも使用温度でのポットライフが長いため、特にフィラメントワインディング成形等に適するものであり、複合材料のマトリックスとして用いるとボイドが少なく、しかも耐熱性および耐湿性に優れた複合材料が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、(B)ポリグリシジルアミン型エポキシ樹脂、および(C)3,3′−ジエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、を必須成分として含有するエポキシ樹脂組成物。