説明

エポチロンでの癌処置

持続静脈内(i.v.)投与により治療的有効量のエポチロンを毎日投与する工程を含む、増殖性疾患の処置のためのエポチロンの使用。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の要約
本発明は、増殖性疾患の、とりわけ、エポチロン、とりわけエポチロンBを使用した、ある処置レジメンにしたがった処置;好ましくは消化管腫瘍、より好ましくは(1)結腸および/または直腸の腫瘍(結腸直腸腫瘍)、とりわけそれが5−FUおよび他の化学療法剤、とりわけイリノテカンまたはオキサリプラチンでの少なくとも1つの他の標準的処置に抵抗性であるとき;(2)原発および転移腫瘍を含む、尿生殖路の腫瘍、好ましくは前立腺の腫瘍、とりわけホルモン処置に(“ホルモン抵抗性前立腺癌”)および/または他の標準化学療法剤処置に抵抗性であるとき;より好ましくは原発および転移腫瘍を含む、卵巣の腫瘍、とりわけ白金(“白金抵抗性卵巣癌”)処置におよび/またはタキサン処置におよび/または他の標準化学療法剤処置に抵抗性であるとき;(3)類表皮腫瘍、より好ましくは類表皮頭頚部腫瘍、最も好ましくは口腔腫瘍;(4)肺腫瘍、より好ましくは非小細胞肺腫瘍、とりわけ1種またはそれ以上の他の化学療法剤での処置に(とりわけ多剤耐性のために)、とりわけ抗癌剤のタキサン類のメンバー、特にタキソール(登録商標)での処置に抵抗性であるすべてのこれらの腫瘍;または(5)乳房腫瘍、より好ましくは多剤耐性、とりわけ抗癌剤のタキサン類のメンバー、特にタキソール(登録商標)での処置に抵抗性であるもの;の処置に関し、とりわけまた多剤耐性肺腫瘍(好ましくは非小細胞肺腫瘍)、多剤耐性乳房腫瘍、または多剤耐性類表皮腫瘍の処置、または本発明のより広い意味で上記のまたは、(本発明のより広い意味で)黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、神経芽腫、頭頚部癌または膀胱癌、またはより広い意味で腎臓癌、脳腫瘍(cancer)または胃癌のような任意の他の腫瘍、とりわけそれが1種またはそれ以上の化学療法剤に抵抗性である、とりわけ多剤耐性および/またはタキソール(登録商標)抵抗性であるとき;細胞毒性剤としてエポチロン、とりわけエポチロンBを投与することによる;処置に関し;
【0002】
“処置”なる用語はまた(i)該細胞毒性剤(好ましくはエポチロン、とりわけエポチロンB、いずれの場合も好ましくは薬学的に許容される担体と共に)を温血動物に、とりわけこのような処置を必要とするとき、少なくとも1つの処置に治療的有効量を投与することを含む、該疾患を処置するための方法(=処置法);(ii)増殖性疾患の処置のための該細胞毒性剤の使用;(iii)増殖性疾患の処置用医薬製剤の製造のための該細胞毒性剤の使用(該細胞毒性剤と薬学的に許容される担体の混合を含む);(iv)該増殖性疾患の処置に適当である用量の該細胞毒性剤を含む医薬製剤を含む。本発明は、好ましい態様において、(ヒト)患者または、他の処置、とりわけ他の化学療法剤、とりわけ5−フルオロウラシルでの標準的処置;またはタキソール(登録商標)のような抗癌剤のタキサン類のメンバーでの治療が失敗している患者の群の処置に関する。また増殖性疾患の、とりわけ該疾患が標準療法剤での処置に抵抗性であるときの、処置のために使用するエポチロン、とりわけエポチロンBにも関する。
【0003】
背景技術
癌はまだ医学的要請が充足されていない重要疾患の代表である。本疾患の最初の処置は、たいてい手術、放射線処置またはそれらの組み合わせであるが、再発(転移)疾患がよく起こる。ほとんどの癌に対する化学療法的処置は一般に治癒ではなく、疾患進行を遅らせるだけである。一般に、腫瘍およびそれらの転移は、多剤耐性の獲得として知られている事象において、化学療法剤に抵抗性となる。多くの場合、腫瘍はいくつかの種の化学療法剤に対して本質的に耐性である[DeVita V.T., Principles of Cancer Management: Chemotherapy. In: Cancer. Principles and Practice of Oncology. DeVita V.T. et al (eds.), 5th edition, Lippincott-Raven, Philadelphia, New York (1977), pp. 333-347;またはCleton, F.J., Chemotherapy: general aspects. In: Oxford Textbook of Oncology;Peckham, M., et al, Oxford University Press, Oxford, New York, Tokyo (1995), Vol. 1, pp. 445-453参照]。これは、例えば、肺腫瘍、とりわけ非小細胞肺癌腫の場合、または類表皮頭頚部腫瘍、とりわけ口腔腫瘍のような類表皮腫瘍、または乳房腫瘍のときのも当てはまる。腫瘍がなぜ処置不可能となる(処置に抵抗性となる)かの他の機構は、例えば、チュービリン変異またはグルタチオン介在機構の存在であり得る。
【0004】
腸、とりわけ結腸直腸癌は、癌処置の医学的要請が充足されていない特定の例である。該疾患の最初の処置はたいてい手術、放射線処置またはそれらの組み合わせであるが、再発(転移)疾患がよく起こる。再発した結腸直腸癌の第一選択化学療法的処置は5−フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカンおよびおそらくオキサリプラチンを含む。この処置は、該腫瘍が処置に抵抗性となるため、最良で疾患進行の遅延をを提供するに過ぎない。疾患のこの抵抗性段階の化学療法は、他の伝統的細胞毒性剤を含むが、すべて不適切であると考えられている[Cohen et al., Cancer of the colon. In: Cancer. Principles and Practice of Oncology;DeVita et al. (eds.), 5th edition, Lippincott Raven. Philadelphia, New York 1997, pp. 1144-1197;またはRowinsky, Ann. Rev. Med. 48, 353-74 (1997)参照]。さらに医学的要請が充足されていない尿生殖路の癌、とりわけ卵巣および前立腺癌に関して、最初の処置は結腸直腸癌に関して上記の通りであり、同様の問題を示す。再発した前立腺癌の第一選択化学療法的処置は、抗アンドロゲンを含み、再発はしばしばアンドロゲン依存性である。該腫瘍が6ヶ月から2年以内に常に抗アンドロゲンに抵抗性となるため(ホルモン−抵抗性前立腺腫瘍)、この処置は疾患進行の遅延を提供するのみに過ぎない。疾患のこの抗アンドロゲン抵抗性段階での処置は、ミトキサントロンまたは他の伝統的抗癌細胞毒性剤を含むが、すべて不適切であると考えられている[Oesterling et al., Cancer of the prostate. In: Cancer. Principles and Practice of Oncology. DeVita, V.T., et al. (eds.), 5th edition, Lippincott-Raven, Philadelphia, New York 1997, pp 1322-86;Sternberg, Cancers of the genitourinary tract. In: Cavalli et al. (eds.), Textbook of Medical Oncology;またはRoth, B. J., Semin. Oncol. 23(6 Suppl. 14), 49-55 (1996)参照]。卵巣癌の第一選択処置は、手術ならびにタキサンおよび白金を含む組み合わせでの化学療法を含む。しかしながら、ステージIIIおよびステージIV患者の大多数は再発し、その後の処置は寿命の延長に無効である。[DeVita, V.T., et al. (eds.), 5th edition, Lippincott-Raven, Philadelphia, New York 1997, pp 1322-86;Sternberg, Cancer of the genitourinary tract. In: Cavalli et al. (eds.), Textbook of Medical Oncology;またはRoth, B. J., Semin. Oncol. 23(6 Suppl. 14), 49-55 (1996)]。
【0005】
腫瘍処置用細胞毒性剤の中で、微小管安定化剤であるタキソール(登録商標)(パクリタキセル)が、著しい経済的な成功により非常に重要な化合物となってきている[Rowinsky E.K., The development and clinical utility of taxane class of antimicrotubule chemotherapy agents;Ann. Rev. Med. 48, 353-374 (1997)参照]。タキソテール(Taxotere(登録商標))(ドセタキセル)はもう一つの微小管安定化剤であり、また重要な化合物である。
【0006】
しかしながら、タキソール(登録商標)およびタキソテール(登録商標)は多くの欠点を有する。とりわけそれらの水への非常に低い溶解性が重要な問題となる。タキソール(登録商標)を、重篤な副作用を有し、とりわけ一例では患者を死亡させたとさえ報告されているアレルギー反応を誘発するCremophor EL(登録商標)(ポリオキシエチル化ヒマシ油;BASF, Ludwigshafen, Germany)との製剤で投与する必要がある。より重大には、ある種の腫瘍型が、薬剤を第一選択治療として投与したときでさえタキソール(登録商標)およびタキソテール(登録商標)での処置に抵抗性であるか、または腫瘍が複数サイクルの暴露後にタキソール(登録商標)またはタキソテールに対する耐性を獲得することが既知である。
【0007】
抗微小管抗癌剤のタキサン類は“過去数十年にわたる癌に対する化学療法の道具へのおそらく最も重要な追加”として歓迎されており[Rowinsky E.K., Ann. Rev. Med. 48, 353-374 (1997)参照]、かつ、タキソール(登録商標)の商業的成功にもかかわらず、タキソール(登録商標)の効果にはまだ限界がある。タキソール(登録商標)処置は多くの顕著な副作用があり、固形腫瘍のある重要な種類、すなわち結腸および前立腺はこの化合物にあまり反応しない(Rowinsky E.K.、前掲参照)。特に、単剤として、タキソール(登録商標)は結腸直腸癌、腎臓癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌および脳腫瘍(cancer)に臨床的に活性が乏しいと考えられている[Rowinsky E.K., 前掲;Bitton, R.J., et al., Drug Saf. 12, 196-208 (1995);またはArbuck, S.G., et al., J. Natl. Cancer Inst. Monogr. 15, 11-24 (1993)参照]。例えば、タキソール(登録商標)の効果は、薬物排出ポンプとして機能するホスホグリコプロテインの過剰発現のような種々の機構を介して起こる後天的な薬剤耐性機構により、ひどく限定され得る。
【0008】
したがって、特にタキサンおよび他の抗癌化合物での処置が長期生存率と相関しない多くの症例において、癌処置の道具を拡大するための化合物およびそれらの化合物での適当な投与レジメンを発見するための緊急の必要性が存在する。
【0009】
エポチロン類、とりわけエポチロンAおよびBは微小管安定化細胞毒性剤の新規クラスを示し(Gerth, K. et al., J. Antibiot. 49, 560-3 (1996);またはHoefle et al., DE 41 38 042参照)、例えば式:
【化1】

〔式中、Rは水素(エポチロンA)またはメチル(エポチロンB)である。〕
を有する。
【0010】
これらの化合物は下記の利点を有する:
(i)それらはタキソール(登録商標)よりも良好な水溶性を示し、したがって、製剤により適する;および
(ii)それらは、細胞培養実験において、細胞に多剤耐性を付与するP−グリコプロテイン排出ポンプの活性化のために他の化学療法剤、例えばタキソール(登録商標)での処置に耐性を示す細胞の増殖に対しても活性であることが報告されれている[Bollag, D. M., et al., “Epothilones, new class of microtubule-stabilizing agents with Taxol-like mechanism of action”, Cancer Research 55, 2325-33 (1995);およびBollag D.M., Exp. Opin. Invest. Drugs 6, 867-73 (1997)参照];および
(iii)微小管上の同じ結合部位または立体配置が近位の結合部位を共有しているように見えるにもかかわらず、エポチロンは、β−チューブリンが変えられたタキソール(登録商標)−耐性卵巣癌腫細胞系に対して活性であることが示されている[Kowalski, R. J., et al., J. Biol. Chem. 272(4), 2534-2541 (1997)参照]。
【0011】
他方、それらは非常に毒性であり、したがってインビボでの癌の処置における使用は事実上不可能であるとみなされていた[例えば、PNAS 95, 9642-7 (1998)参照]。したがって、本発明は、一方ではエポチロン、とりわけエポチロンBで腫瘍の処置を可能にし;そして他方では、多剤耐性のためにおよび/または何らかの他の機構のために、タキサン、例えばタキソール(登録商標)抵抗性である場合を含め、多剤耐性のために他の種の処置に不応である、ある患者群の処置を実際に可能にする投与レジメンを予測を超えて示す。
【0012】
本発明は、腫瘍疾患、例えば黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、神経芽腫、頭頚部癌、膀胱癌、腎臓癌、肝臓癌、脳腫瘍(cancer)、胃癌または好ましくは結腸直腸癌、前立腺癌、乳癌、肺癌(とりわけ非小細胞肺)または類表皮、例えば類表皮頭頚部癌、とりわけ口腔癌の処置を可能にする、エポチロン、好ましくはエポチロンAまたはとりわけエポチロンBでの処置に有用なインビボレジメンを提供する。
【0013】
一般的処置スケジュールが最前線の処置で既に種々の腫瘍型の処置を可能にしているが、本発明は、好ましくは他の化学療法剤、例えば1種またはそれ以上の化学療法剤での標準的処置、とりわけ5−フルオロウラシルおよび/またはタキサン、例えばタキソール(登録商標)処置に抵抗性を示すことが予期できるまたは抵抗性を示している腫瘍の処置に関する。
【0014】
驚くべきことに、他の化学療法剤、例えば5−フルオロウラシルでの標準的に処置に抵抗性の;および/またはタキサン類化合物のメンバー、最もとりわけタキソール(登録商標)での処置に抵抗性の腫瘍細胞および腫瘍、とりわけ結腸直腸腫瘍、とりわけまた標準的処置、例えば5−フルオロウラシルでの処置に抵抗性のもの;または肺腫瘍、とりわけ非小細胞性肺癌;類表皮、より好ましくは口腔腫瘍のような類表皮頭頚部腫瘍;または乳房腫瘍;および/またはそれらの転移の増殖でさえ、減少または停止でき、退行または腫瘍の消失でさえ可能であることが、本発明により判明した。
【0015】
本発明の好ましい態様の詳細な記載
本発明は、好ましくは本発明の一部として下記主題を扱う:
【0016】
明細書全体を通して“増殖性疾患の処置”または腫瘍の処置、癌の処置などが記載されているとき、それらは
a)(少なくとも一処置に関して)(好ましくは薬学的に許容される担体物質中)のエポチロン、とりわけエポチロンAおよび/またはB、とりわけBを、このような処置を必要とする温血動物、とりわけヒトに該疾患の処置を可能にする用量(=治療的有効量)で、好ましくは、上記および下記で好ましいと明記した投与量(量)で投与する工程を含む、増殖性疾患を処置するための方法(=処置法);
b)(とりわけヒトにおける)増殖性疾患の処置のための、エポチロン、好ましくはエポチロンAおよび/またはB、とりわけエポチロンBの使用、または該疾患の処置に使用するためのエポチロン、とりわけエポチロンB;
c)増殖性疾患の処置用医薬製剤の製造のための、エポチロン、とりわけエポチロンAおよび/またはB、とりわけエポチロンBの使用;および/または
d)増殖性疾患の処置に適当な用量のエポチロン、とりわけエポチロンAおよび/またはB、最もとりわけエポチロンBを含む医薬製剤;または本出願が出願される国において特許を可能とするための対象にしたがった、a)、b)、c)およびd)の任意の組み合わせ;
e)エポチロンと薬学的に許容される担体を混合することを含む、増殖性疾患の処置用医薬製剤の製造のためにエポチロンを使用する方法。ある腫瘍疾患または特定の腫瘍(例えば結腸腫瘍、結腸癌腫または結腸癌;または前立腺腫瘍、前立腺癌腫または前立腺癌)が“増殖性疾患”なる表現に代えて記載されている場合、a)からe)のカテゴリーがまた包含され、各々の腫瘍疾患が、特許可能な主題に対応して、“増殖性疾患”に代えて上記のa)からe)を満たし得ることを意味し;好ましくは、a)からe)の下の任意の処置は、ヒトの処置に関するものである。
【0017】
第一の局面において、本発明は、エポチロン、とりわけエポチロンAおよび/またはB、とりわけエポチロンBを約1から14日間、好ましくは約1から10日間、より好ましくは約1から7日間、さらにより好ましくは約1から5日間、その上より好ましくは約1、2、3、4または5日間、最も好ましくは約1または5日間にわたり毎日投与し、毎日の投与は6から24時間、好ましくは約8から24時間、より好ましくは約8から12時間、さらにより好ましくは約16から24時間、最も好ましくは約15から17時間、例えば16または23から24時間、例えば24時間にわたる持続静脈内(i.v.)投与によるものである、増殖性疾患、とりわけ1種またはそれ以上の他の化学療法剤、とりわけタキソール(登録商標)のようなタキサン類、および/または5−フルオロウラシルでの処置に抵抗性の癌の処置のためのインビボレジメンに関する。例えば1日にわたる投与は、1回の24時間持続静脈内注射(本願おいて注射は点滴を含む)であってよく、または5日間にわたる投与は、5日間にわたる5回の16時間持続静脈内注射、例えば5日間の各日の1回の16時間持続静脈内注射であってよい。
【0018】
好ましくは投与は前記の通りにだけでなく、1回またはそれ以上の(好ましくは2回から7回の)処置サイクル(複数もある)にしたがって行い、ここで、処置サイクルは1日から2週間、好ましくは1日から1週間、最も好ましくは1日または1週間の投薬期間および6日間から10週間、好ましくは1週間から6週間、より好ましくは1週間から4週間および最も好ましくは3週間から4週間の休薬期間から成る。
【0019】
投薬期間は、エポチロンを前記の通りに投与する処置サイクルの部分である。投与は、投薬期間の開始時またはこの期間中の任意の他の時間に行い得る。本投薬期間は、その間中投与を行う期間ではなく、それはエポチロンを投与する処置サイクル内の定義された期間であるだけである。本投薬期間はエポチロンの投与時間より短くないかもしれない。
【0020】
例えば、3週間処置サイクルは、投与を1日にわたり行い、投与が1週間の長さの投薬期間の1日目の8時間持続i.v.注射により投与し、この週の2日目から7日目は投与がない、1週間投薬期間であってよい。本1週間投薬期間は2週間休薬期間に続く;または3週間処置サイクルは、投与を5日間にわたって行い、この週の1日目から5日目の5回の8時間持続i.v.注射により投与し、この週の6日目および7日目は投与がない、1週間投薬期間であってよい。本1週間投薬期間は2週間休薬期間に続く。
【0021】
第二の局面において、本発明は、エポチロン、とりわけエポチロンAおよび/またはB、とりわけエポチロンBを前記のように投与する、増殖性疾患、とりわけ1種またはそれ以上の他の化学療法剤、とりわけタキソール(登録商標)のようなタキサン類、および/または5−フルオロウラシルに抵抗性の癌の処置のためのインビボレジメンに関し、好ましくはヒトに:
投与量(mg/m)=4.0から10 (I)
の用量で投与する。
【0022】
より好ましくは、処置用量は
投与量(mg/m)=5.0から10 (II);
さらにより好ましくは、
投与量(mg/m)=5.4から8 (III);
または最も好ましくは式IV
投与量(mg/m)=5.4から7.0 (IV)
にしたがう。
【0023】
投与量は1から14日間にわたり投与する総投与量または処置サイクルあたり投与する総投与量である。これは各持続注射の投与量ではない。
【0024】
好ましくは、1日にわたる投与に関して、投与量は約4.0から約10mg/mの間、好ましくは約5.0から約10mg/mの間、より好ましくは約5.4から約8mg/mの間、さらにより好ましくは約5.4から約7mg/mの間および最も好ましくは約7から約8mg/mの間であり、5日間にわたる投与に関して、投与量は約4.0から約10mg/mの間、好ましくは約5.0から約10mg/mの間、より好ましくは約5.4から約8mg/mの間、最も好ましくは約5.4から約6.5mg/mの間、さらにより好ましくは約5.4から約6.5mg/mの間および最も好ましくは約7から約8mg/mの間である。
【0025】
好ましくは、先行する処置の後に1週間以上、より好ましくは2から10週間、より好ましくは3から6週間の休薬期間が、例えば3、4、6、8、またはそれ以上の処置サイクル後に、患者の状態に依存して、患者を先行する処置から十分回復させるために必要であり得る。
【0026】
第三の局面において、本発明は、エポチロン、とりわけエポチロンBを温血動物、とりわけヒトに投与する、1種またはそれ以上の他の化学療法剤、とりわけ5−フルオロウラシルまたはタキサン類、とりわけタキソール(登録商標)の微小管安定化剤での処置に抵抗性の増殖性疾患、例えば多剤耐性腫瘍を処置するためのインビボレジメンに関する。
【0027】
第四の局面において、本発明は
(a)エポチロン、好ましくはエポチロンAおよび/またはエポチロンB、とりわけエポチロンBを、(b)別の抗腫瘍化学療法剤と組み合わせて投与ことにより増殖性疾患、とりわけ1種またはそれ以上の他の化学療法剤での処置に抵抗性であるものを処置するためのインビボレジメンに関し、好ましくは該組み合わせ処置は、成分(a)および(b)を(とりわけこのような処置を必要とする)温血動物、とりわけヒトに、好ましくはエポチロン、より好ましくはエポチロンAおよび/またはエポチロンB、とりわけエポチロンBの投与により処置できる増殖性疾患に対して併用で治療的に有効である量を組み合わせて投与するように調整されている;該投与は、好ましくは他の化学療法剤処置、例えばとりわけ5−フルオロウラシルまたはとりわけタキソール(登録商標)のような抗癌剤のタキサン類のメンバーでの処置に抵抗性の腫瘍を有するヒトに対して行う。
【0028】
この点で、本発明はまた前段落で定義の成分(a)および(b)を含む、組み合わせ製剤にも関する。
【0029】
本発明はまた“第四の局面において”で開始する2つ前の段落で定義した成分(a)および成分(b)を、1種またはそれ以上の薬学的に許容される担体物質の存在下または非存在下に含む、成分(a)および成分(b)の両方の活性化合物に関して、(とりわけ増殖している細胞に対する)抗増殖活性を該温血動物内で相互に増強させるために十分に短い時間間隔内で、同時にまたは時間的にずらして温血動物、とりわけヒトに投与するための組み合わせとしての、増殖性疾患の処置のための製品に関する。
【0030】
前記および後記で使用する一般的用語は、特記しない限り、下記の意味を有する:
増殖性疾患は主に腫瘍疾患(または癌)(および/またはすべての転移癌)(腫瘍または転移癌がどこに位置していても)、よりとりわけ乳癌、尿生殖器癌、肝臓癌、肺癌癌、消化管癌、類表皮癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、神経芽腫、頭頚部癌(この用語は、使用するときはすべて、頭部および/または頚部の癌を意味し、頭部および頚部の癌だけではなく、頭部または頚部の癌も意味する)または膀胱癌、またはより広い意味では、腎臓癌、脳腫瘍(cancer)または胃癌からなる群から選択される腫瘍;より好ましくは(i)乳房腫瘍;類表皮腫瘍、とりわけおよび類表皮頭頚部腫瘍、好ましくは口腔腫瘍;および肺腫瘍、とりわけ非小細胞肺腫瘍から;または消化管腫瘍、とりわけ結腸直腸腫瘍;および尿生殖器腫瘍、とりわけ前立腺腫瘍(とりわけホルモン−抵抗性前立腺腫瘍)から選択される腫瘍;または(ii)(より好ましくは)他の化学療法剤での処置に抵抗性の増殖性疾患、とりわけ対応する腫瘍(および/またはすべての転移)、よりとりわけ1個またはそれ以上の他の化学療法剤での、とりわけ5−フルオロウラシルおよび/または(好ましくは)微小管安定化剤のタキサン類、最もとりわけタキソール(登録商標)での処置に抵抗性である腫瘍から成る群から選択される腫瘍、さらにより好ましくは消化管、例えば結腸直腸(とりわけ標準、例えば5−フルオロウラシル、および/またはタキソール(登録商標)処置に抵抗性のもの);および尿生殖器、例えば前立腺腫瘍および卵巣腫瘍(および/またはそれらの転移、とりわけそれらの転移);最も好ましくは消化管腫瘍、とりわけ結腸直腸癌から選択される腫瘍;または(iii)多剤耐性のために他の化学療法剤での処置に抵抗性である、とりわけ微小管安定化剤のタキサン類のメンバー、好ましくはタキソール(登録商標)に抵抗性である、最もとりわけ多剤、とりわけタキソール(登録商標)、耐性肺腫瘍(とりわけ非小細胞肺腫瘍)、多剤耐性乳房腫瘍、または多剤耐性類表皮、好ましくは類表皮頭頚部腫瘍、最も好ましくは口腔腫瘍である。
【0031】
本発明のより広い意味で、増殖性疾患は、さらに、過形成、繊維症(とりわけ肺であるが、腎臓繊維症のような他のタイプの繊維症も)、血管形成、乾癬、アテローム性動脈硬化症ならびに、狭窄または血管形成術後の再狭窄のような血管内の平滑筋増殖のような過増殖性状態から選択され得る。
【0032】
前記および後記で腫瘍、腫瘍疾患、癌腫または癌を記載するときはまた、腫瘍および/または転移の位置がどこでも、原発臓器または組織のおよび/または任意の他の位置の転移がまたそれに変えてまたはそれに加えて意図される。
【0033】
“抵抗性”なる用語は、各増殖性疾患(とりわけ腫瘍および/またはそのすべての転移)が、エポチロン以外の(少なくとも1種の)化学療法剤での処置に際し、このような薬剤での処置後に抗増殖反応を示さないかわずかにしか示さず(腫瘍増殖の阻害がないかわずかな阻害のみ)、すなわち、温血動物、とりわけヒトにおいて他の(好ましくは標準)化学療法剤(好ましくは上記の通り)、とりわけ5−フルオロウラシル(とりわけ結腸癌のような結腸直腸癌の場合)、抗アンドロゲンまたは好ましくはミトキサントロン(とりわけ前立腺癌の場合)、またはレトロゾールのような抗エストロゲン(とりわけ乳癌の場合);またはとりわけ化学療法剤のタキサン類のメンバー、例えばタキソテール(登録商標)またはタキソール(登録商標)では全く処置できないか不満足な結果のみである;例えば腫瘍増殖が止まらないか、わずかにしか遅延しないかまたは緩解が見られない腫瘍を意味する。本発明は抵抗性腫瘍などを記載しているとき、(a)1種またはそれ以上の化学療法剤が患者の処置中に既に失敗している腫瘍(複数もある)だけでなく、(a)他の手段、例えば生検サンプルおよび化学療法剤の存在下での培養により抵抗性を示すことができる腫瘍(複数もある)も包含すると理解すべきである。“タキソール(登録商標)に抵抗性”のような用語が前記および後記で使用されているとき、この用語は、最終製品に加えて、また、タキソール(登録商標)の活性物質であるパクリタキセルを意味することを意図する。“ホルモン処置に抵抗性“または“ホルモン抵抗性”は、尿生殖路の腫瘍、とりわけ前立腺腫瘍の場合、抗アンドロゲンでの処置に抵抗性であることを意味する。
【0034】
タキソール(登録商標)は、好ましくはパクリタキセルを含む完成した製品を意味するが、より広い意味では、また、1個またはそれ以上の担体物質との任意の他のパクリタキセル製剤のパクリタキセル自体も包含することを意味する。
【0035】
好ましくは、抵抗性なる用語は、例えばインビボまたはインビトロ測定により、化学療法剤なしのコントロールと比較して、標準投与量で腫瘍増殖の50%より少ない腫瘍増殖の減少(すなわち50%以上のT/C%値)が得られることを意味する。
【0036】
多剤耐性腫瘍疾患は、タキサン類、とりわけタキソール(登録商標)、またはアントラサイクリン類、とりわけアドリアマイシン(登録商標)を含む、1種またはそれ以上の化学療法剤に対する耐性が見られるものである。この耐性の基礎は、各腫瘍の細胞表面に位置するエネルギー(とりわけATP)−依存性ポンプを介した、とりわけP−グリコプロテインファミリー、とりわけP−グリコプロテイン(P−gp)自体の輸送である。本発明において、代替的なまたは付加的な他の機構が、エポチロン以外の化学療法剤での処置に腫瘍を抵抗性とし得る。例えば、薬剤標的(とりわけ本件の場合微小管)の改変、化合物を不活性化し得る細胞内代謝の変化、または薬剤作用の機序の迂回または無効を促進する細胞の生理学の変化がこのような耐性をもたらし得る。
【0037】
“他の化学療法剤”または“標準化学療法剤”なる用語は、とりわけエポチロン以外の任意の化学療法剤;好ましくは導入部で定義した、とりわけ5−フルオロウラシル(とりわけ結腸癌のような結腸直腸癌の場合)、抗アンドロゲンまたはミトキサントロン(とりわけ前立腺癌の場合)、またはレトロゾールのような抗エストロゲン(とりわけ乳癌の場合)を意味する;とりわけ、本用語は5−フルオロウラシルまたは(より好ましくは)微小管安定化剤のタキサン類(とりわけ卵巣癌の場合)、例えば好ましくはタキソテール(登録商標)またはより好ましくはタキソール(登録商標)を意味する。“他の化学療法剤での標準的処置”、“他の化学療法剤処置”または“標準化学療法”は、少なくとも1種のこのような“他の”または“標準化学療法剤”での処置を意味する
【0038】
エポチロンなる用語は、任意のエポチロンまたはエポチロン誘導体を意味する。好ましくは、“エポチロン”なる用語は、エポチロンA、エポチロンB、WO98/25929に記載の任意のエポチロン誘導体(引用により包含させる)、またはそれらの任意の混合物を意味する;より好ましくは、それはエポチロンAおよび/またはエポチロンBを意味し、最も好ましくはそれはエポチロンBに関する。
【0039】
上記および下記に記載のすべての投与は、非経腸的、特に静脈内に、例えば、注射(infusion)または注入(injection)により成し得る。続いて“注射”を使用するとき、これは好ましくは静脈内または皮下注射を意味し、静脈内が最も好ましい投与形態である。
【0040】
続いて、成人に関するデータが説明の基礎である。しかしながら、本発明はまた小児における増殖性疾患の処置に関することは言うまでもない次いで、投与量を標準法および患者の年齢、状態ならびに他の特徴にしたがい補正すべきである。
【0041】
最大耐用量(MTD)を標準法にしたがい決定できる;好ましくは、温血動物において、経口または静脈内投与の場合のMTDを、処置温血動物個体において、死亡がなく、40パーセントより少ない、好ましくは25パーセント(%)より少ない体重減少が見られるとき、1回ボーラス投与の投与量として決定する(この用語は主に動物に関する;ヒトに関しては下記参照)。
【0042】
最大耐用量に関する“1回ボーラス投与”なる用語は、5から30分間にわたる1回ボーラス投与である。
【0043】
より好ましくは、処置を、3回目から8回目の、とりわけ3回目から5回目の処置サイクルの後に停止し、さらなる処置サイクルを再開する前に、1から5週間の休薬期間が続く。
【0044】
成分(a)、すなわちエポチロンAおよび/またはB、とりわけBの投与は、好ましくは上記の通り、とりわけ上記の具体的処置レジメンの一つを使用して行う。
【0045】
成分(b)の投与は、好ましくは当業者に既知の処置スケジュールにしたがい行う。
【0046】
一つの好ましい態様において、好ましくは成分(b)での処置が、成分(a)での処置の少なくとも2日、好ましくは5日から10日、例えば約5日前に終わり、その後該成分(a)を1回またはそれ以上、好ましくは1回から5回、とりわけ1回または2回投与する処置のような、好ましくは成分(a)での処置を開始する前に成分(b)の1回またはそれ以上の投与を含む処置において、成分(b)を成分(a)の投与前に投与する。
【0047】
より好ましい態様において、より好ましくは成分(a)での処置が、成分(b)での処置の直前に終わり、その後該成分(b)を投与する処置のような、好ましくは成分(b)での処置開始前に成分(a)の1回投与を含む処置において、成分(b)の前に、成分(a)を前記で定義の処置サイクルで投与する。
【0048】
第二の好ましい態様において、成分(a)を前記で定義の処置サイクルにしたがって投与する。他方、成分(b)を3または4週間毎のサイクルで投与し、各投与は成分(a)の投与の完了直後に開始する。
【0049】
“他の化学療法剤”なる用語は、とりわけ、下記のクラスに由来する化学療法剤のような、腫瘍疾患の処置に使用されているまたは使用できる任意の化学療法剤を意味する:
(A)アルキル化剤、好ましくは架橋化学療法剤、好ましくはビス−アルキル化剤、
(B)抗腫瘍抗生物質、好ましくドキソルビシン(アドリアマイシン(登録商標)、RUBEX(登録商標));
(C)代謝拮抗剤;
(D)植物アルカロイド;
(E)ホルモン剤およびアンタゴニスト、
(F)生物学的反応修飾剤、好ましくはリンホカインまたはインターフェロン
(G)タンパク質チロシンキナーゼおよび/またはセリン/スレオニンキナーゼの阻害剤;
(H)アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド誘導体;または
(I)その他の薬剤または他のもしくは未知の作用機序を有する薬剤
(J)モノクローナル抗体。
【0050】
“エポチロンAおよび/またはエポチロンB、とりわけエポチロンBの投与により処置できる増殖性疾患に対して併用で治療的に有効”なる用語は、反応が好ましくはそれ自体増殖の減少、例えば、腫瘍増殖の減少または(より好ましくは)腫瘍緩解でさえまたは(最も好ましくは)腫瘍消失(“完全反応”)を表す、好ましくは上記の増殖性疾患、とりわけ腫瘍疾患を意味する。
【0051】
好ましくは、“エポチロンAおよび/またはエポチロンB、とりわけエポチロンBの投与により処置できる増殖性疾患に対して併用で治療的に有効である量”は、組み合わせで、記載の増殖性疾患のいずれかに関与する細胞、とりわけ腫瘍(転移を含む)細胞の増殖を減少させる(とりわけ減少した腫瘍増殖)または、好ましくは退行でさえ、より好ましくはこのような細胞の部分的または完全な消失でさえもたらす(とりわけ腫瘍緩解、好ましくは腫瘍(複数もある)の消失を意味する完全反応)、組み合わせの成分(a)および(b)の任意の量を意味する。この用語は(a)および(b)が組み合わせでなくても抗増殖に有効であるような方法で投与するだけでなく、単独では効果を示さないか限界効果であるが、組み合わせで、明らかな抗増殖効果をもたらす、すなわち、増殖を減少させるまたは好ましくは増殖している細胞の退行または増殖性疾患からの治癒でさえもたらす、任意のこのような成分の用量の、任意の成分(a)および(b)の組み合わせも含む。加えて、本明細書で“組み合わせ”なる用語は、成分の固定された組み合わせを記載するためだけでなく、成分(a)および成分(b)の両方の活性化合物に関して、抗増殖活性を、例えば、患者において、相互に増強させるために十分に短い時間間隔内で、同時にまたは時間的にずらして使用するための成分(a)および(b)の任意の組み合わせを記載するために使用する。
【0052】
“成分(a)および(b)を含む組み合わせ製剤”なる用語は、医薬製品の形の成分(a)および(b)の、複数部分のキットまたは単独の混合された組み合わせとして、任意の組み合わせ、すなわち、好ましくは薬学的に許容される担体物質が存在するときを意味する。好ましい担体物質に関して、下記“医薬製剤”の項目参照。
【0053】
“成分(a)および成分(b)を含む製品”なる用語は、好ましくは
(a)エポチロンAおよび(好ましくは)エポチロンBから選択される少なくとも1種の化合物、および
(b)少なくとも1種の他の化学療法剤
を、1種またはそれ以上の薬学的に許容される担体物質の存在下または非存在下に含む、成分(a)および成分(b)の両方の活性化合物に関して、増殖している細胞に対する抗増殖活性を、とりわけ患者内で、相互に増強させるために十分に短い時間間隔内で、同時にまたは時間的にずらして使用するための、このような活性化合物に応答する増殖性疾患の処置のための組み合わせ製剤としての製品を意味し、組み合わせの有効成分(a)および(b)を独立して投与でき、または任意の成分(a)および(b)の区別できる用量の異なる固定された組み合わせの使用により異なる時点で投与できる点で、とりわけ“複数部分のキット”である。複数部分のキットの“パーツ”を、次いで、同時にまたは時間的にずらして、すなわち異なる時点で、かつ複数部分のキットの任意のパーツに関して同じまたは異なる時間間隔で、好ましくはパーツの組み合わせた使用での増殖性疾患に対する効果が、成分成分(a)および(b)の任意の一方単独の使用によりまたは、両方を各化合物が独立して作用するように使用することにより(例えば成分の各々の他への影響を避けるのに十分に長い期間で)得られるであろう効果より大きいように、すなわち、同じ投与量の成分(a)および(b)の一方のみを、または成分(a)および(b)の相互の効果を避けるのに十分に長い間隔の後に投与したときよりも増殖のより強い阻害、好ましくは、より強い退行または該増殖性疾患でさえ見られるように選択した時間間隔の条件で投与できる。“増殖している細胞に対する抗増殖活性を、とりわけ患者内で、相互に増強させるために”なる用語は;好ましくは、成分(a)および(b)の作用の相互の増強、とりわけ相乗作用および/または増殖している細胞の完全な消失まで(完全な消失を含む)の退行を起こすこと、そしてとりわけ成分(a)および(b)の間の強い相乗作用を意味する。
【0054】
“増殖している細胞”なる用語は、腫瘍および/または転移腫瘍細胞、とりわけ本明細書で好ましいと定義した腫瘍の細胞のような、とりわけ病的にまたは異常に増殖している細胞を意味する。
【0055】
好ましいのは、単独の成分のみと比較したとき、抗増殖活性が増強されている組み合わせ(相乗作用組み合わせ)、または増殖組織の退行および/または増殖性疾患の治癒を導く組み合わせである。
【0056】
“相乗作用”なる用語は、相加より強い効果、すなわち、各(a)および(b)自体を、単独であれ組み合わせであれ組み合わせ無しの単回処置と同じ用量で投与したとき(これは、(a)の投与量が(b)の投与量と同じでなければならないことを意味するものではないが、このような例もあり得る)、処置なしのコントロールと比較したとき、任意の(a)単独または任意の成分(b)による増殖の減少の倍率を単に乗法して得られた増殖の減少の倍率から到達するよりも強い任意の成分(a)と任意の成分(b)の効果である。単に説明のための理論的な例として、成分(a)単独が、腫瘍細胞の増殖を、処置無しのコントロールと比較して2倍減少させ、成分(b)単独が1.5倍減少させるならば、相加効果は、成分(a)および成分(b)の組み合わせ使用により、3倍(2×1.5)の増殖の減少見られるものである。相乗作用は、例えば3倍より多い増殖の減少が見られるとき、存在する。相乗作用の存在は、この分数積法(fractional product method)により[Webb, in: “Enzymes and Metabolic Inhibitors”, Vol. 1, 66-73 and 488-512, Academic Press, New York]またはまたはアイソボログラム法により[Berenbaum Pharmacol. Rev. 41, 99-141 (1984)の引用文献参照]、および/または組み合わせ指数(CI)計算法により[Chou et al., Trends Pharmacol. Sci. 4, 450-454 (1983);またはChou et al., New Avenues in Developmental Cancer Chemotherapy;Bristol-Myers Symposium Series, K.R. Harrap and I.A. Connors (eds.), 37-64, New York, Academic Press (1987)]示すことができる。
【0057】
“薬学的に許容される担体物質”なる用語は、下記の医薬製剤の定義中で説明する。
【0058】
各分子中に塩形成基が存在するならば、成分(b)(他の化学療法剤(複数もある))はまた、上記および下記でそれらが記載されいるすべてで、塩の形でも存在し得る。
【0059】
処置の終了は好ましくは下記のいずれかが起こったときに行う:例えば、反応に関するRECIST基準の下で疾患進行;許容できない毒性(例えば患者に、試験医に、または両方に);例えばSouthwest Oncology Group(SWOG)反応基準の下、完全反応以降の処置2サイクル;または患者の同意の撤回。
【0060】
成分の塩は特に酸付加塩、塩基との塩、または、数個の塩形成基が存在するとき、所望によりまた混合塩または分子内塩である。塩は、とりわけ薬学的に許容される、例えば実質的に非毒性の塩である。
【0061】
塩は、例えば、酸性基、例えばカルボキシ、ホスホジエステルまたはホスホロチオエート基を有する化学療法剤から形成され、例えば、元素周期表のIa、Ib、IIaおよびIIb族由来の非毒性金属塩、とりわけ適当なアルカリ金属塩、例えばリチウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩、またはアンモニウム塩のような適当な塩基との塩、また非置換またはヒドロキシ−置換モノ−、ジ−またはトリ−アルキルアミン、とりわけモノ−、ジ−またはトリ−低級アルキルアミンのような有機アミンと、または4級アンモニウム化合物と、例えばN−メチル−N−エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ−、ビス−もしくはトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミン、2−ヒドロキシ−tert−ブチルアミンまたはトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンのようなモノ−、ビス−またはトリス−(2−ヒドロキシ−低級アルキル)アミン、N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−アミンまたはトリ−(2−ヒドロキシエチル)−アミンのようなN,N−ジ−低級アルキル−N−(ヒドロキシ−低級アルキル)−アミン、またはN−メチル−D−グルカミンと形成される塩、またはテトラブチルアンモニウム塩のような4級アンモニウム塩である。塩基性基、例えばアミノまたはイミノ基を有する化学療法剤は、例えば無機酸、例えば塩酸のようなハロゲン化水素酸、硫酸またはリン酸と、または、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、コハク酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、メチルマレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、クエン酸または安息香酸のような有機カルボン酸、スルホン酸、スルホ(sulfo)またはホスホ酸(phospho acid)またはN−置換スルファミン酸と、またアミノ酸、例えば、α−アミノ酸と、およびまたメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−メチルベンゼンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、N−シクロヘキシルスルファミン酸(シクラメートの形成を伴う)と、またはアスコルビン酸のような他の酸性有機化合物と、酸付加塩を形成できる。酸性および塩基性基を有する化合物はまた分子内塩を形成できる。1個以上の塩形成基が存在するとき、また混合塩が存在することも可能である。
【0062】
前記および後記で数字を用いている場合、それらは上限および下限を示す数を含むことを意味する。例えば、“1から3の間”は“1を含む1から、3を含む3まで”、そして“1から3の範囲”はまた“1を含む1から、3を含む3まで”を意味する。数字(例えば3)の代わりに、数字を意味する語(例えば“三”)を使用しているときも同じことが当てはまる。
【0063】
“含む”を使用しているとき、これは好ましくは“本質的にから成る”、より好ましくは“から成る”に置き換えることができる。
【0064】
数字と関連して“約”を使用するとき、これは好ましくはその数字±15%、より好ましくはその数字+5%、最も好ましくは“約”が無いその数字自体を意味する。例えば、“約100”は“85(85を含む)から115(115を含む)”を意味する。“約”を数字の範囲と関連して使用するとき、例えば“約1から約3”、または“約1から約3の間”のとき、好ましくは前文で定義した“約”の定義を範囲の最初と終わりの各々を定義する各数字に適用する。好ましくは、“約”を任意の数字の値に関連して使用するとき、“約”を削除できる。
【0065】
“週に1回”なる用語は、“週に約1回”を意味し、この約は、好ましくは±1日を意味する(すなわち、“6から8日毎”と言い換え得る);最も好ましくは、“週に1回”は“7日毎に1回”を意味する。
【0066】
下記の本発明の好ましい態様において、一般的な定義を、前記および後記で提供したより具体的な定義に、適当であれば置き換えてよい。
【0067】
(1)本発明は、とりわけ、増殖性疾患、とりわけ癌、とりわけ他の化学療法剤および/または抗癌剤のタキサン類のメンバー、とりわけタキソール(登録商標)での処置に抵抗性の癌、よりとりわけ上記または下記で定義した好ましい疾患の一つの処置であり、エポチロン、とりわけエポチロンAまたは最もとりわけエポチロンBを約1から14日間にわたり、好ましくは約1から10日間にわたり、より好ましくは約1から7日間にわたり、さらにより好ましくは約1から5日間にわたり、さらにより好ましくは約1、2、3、4または5日間にわたり、最も好ましくは約1または5日間にわたり毎日投与し、ここで、毎日の投与がヒトに:
投与量(mg/m)=4.0から10 (I)
の投与量で、週に1回から週に6回まで、好ましくは週に3回から週に4回までの間隔で、6から24時間にわたり、好ましくは約8から24時間にわたり、より好ましくは約8から12時間にわたり、さらにより好ましくは約16から24時間にわたり、最も好ましくは約15から17時間にわたり、例えば16または23から24時間にわたり、例えば24時間にわたり継続する、持続静脈内(i.v.)投与であることを特徴とする、処置に関する。
【0068】
より好ましくは、処置用量が
投与量(mg/m)=5.0から10 (II);
さらにより好ましくは、
投与量(mg/m)=5.4から8 (III);
または最も好ましくは式IV
投与量(mg/m)=5.4から7 (IV)
にしたがう。
【0069】
投与量は1から14日間にわたり投与する総投与量である。それは、各持続注射の投与量ではない。
【0070】
(2)本発明はまた好ましくは、とりわけ5−フルオロウラシルおよび好ましくはタキサン類の微小管安定化剤、最もとりわけタキソール(登録商標)から選択される他の化学療法剤での処置に抵抗性の腫瘍疾患の処置であり、該腫瘍が消化管、例えば結腸直腸;腎臓;尿生殖器、例えば前立腺;膵臓;および脳腫瘍(tumor)(および/またはそのすべての転移)、最も好ましくは消化管腫瘍、とりわけ結腸直腸癌、よりとりわけ抗癌剤のタキサン類のメンバー、とりわけタキソール(登録商標)での処置に抵抗性の消化管癌、とりわけ結腸直腸癌、または非常にとりわけ、標準化学療法剤、とりわけ5−フルオロウラシルでの処置のような、標準化学療法剤に抵抗性のこのような腫瘍;または尿生殖路の腫瘍、とりわけ前立腺癌、よりとりわけホルモン−抵抗性前立腺癌、さらによりとりわけ卵巣癌および最もとりわけタキサンおよび/または白金処置に抵抗性の卵巣癌から選択され;ここで、エポチロンAおよび/またはB、とりわけエポチロンBを温血動物、とりわけヒトに投与する、処置に関する。
【0071】
(3)本発明は、好ましくはまた腫瘍疾患、とりわけ肺腫瘍、とりわけ非小細胞肺癌腫、とりわけ抗癌剤のタキサン類のメンバー、とりわけタキソール(登録商標)での処置に抵抗性のこのような肺癌;乳房腫瘍、とりわけ多剤耐性であるもの;または類表皮腫瘍、好ましくは類表皮頭頚部腫瘍、とりわけ口腔腫瘍、とりわけ後者が多剤耐性および/または抗癌剤のタキサン類のメンバー、特にタキソール(登録商標)での処置に耐性であるときの処置であり;ここで、エポチロンAおよび/またはB、とりわけエポチロンBを温血動物、とりわけヒトに投与する、処置に関する。
【0072】
(4)本発明はまた好ましくは腫瘍疾患、とりわけ(i)消化管の腫瘍、最もとりわけ結腸および/または直腸の腫瘍(結腸直腸腫瘍);および/または(ii)尿生殖路の腫瘍、とりわけ前立腺卵巣腫瘍(好ましくはタキサンおよび/または白金抵抗性卵巣腫瘍);とりわけこのような腫瘍が他の化学療法剤、とりわけ5−フルオロウラシルおよび/またはタキサン類の一つ、最もとりわけタキソール(登録商標)に抵抗性であるものの処置のためのインビボレジメンであって;ここで、エポチロンAおよび/またはB、とりわけエポチロンBを、前記の通りに1回、ヒトにI、II、IIIまたはIVにしたがった投与量で投与し;そして、必要であれば、各々上記の投与範囲内の1回またはそれ以上の(好ましくは2回から7回の)さらなる投与をさらなる処置サイクルにおいて投与し、好ましくは各投与は、とりわけ先行処置の後1週間、よりとりわけ先行処置後1から6週間、さらによりとりわけ3から6週間、最もとりわけその処置後3から4週間の、先行する投与から処置個体を十分回復させるための期間後であるものに関する。
【0073】
より好ましくは、(1)から(4)の下、エポチロンBを1日にわたり、約4.0から約10、好ましくは約5.0から約10mg/m、より好ましくは約5.4から約8mg/m、さらにより好ましくは約5.4から約7mg/mおよび最も好ましくは約7から約8mg/mの間の投与量で、約5日間の投与に関しては、約4.0から約10、好ましくは約5.0から約10mg/m、より好ましくは約5.4から約8mg/m、最も好ましくは約5.4から約6.5mg/m、さらにより好ましくは約5.4から約7mg/mおよび最も好ましくは約7から約8mg/mの間の投与量で投与する。この投与量を、好ましくは毎日、好ましくはヒトに、約1から14日間にわたり、好ましくは約1から10日間にわたり、より好ましくは約1から7日間にわたり、さらにより好ましくは約1から5日間にわたり、さらにより好ましくは約1、2、3、4または5日間にわたり、最も好ましくは約1または5日間にわたり投与し、ここで、毎日の投与は、6から24時間にわたり、好ましくは約8から24時間にわたり、より好ましくは約8から12時間にわたり、さらにより好ましくは約16から24時間にわたり、最も好ましくは約15から17時間にわたり、例えば16または23から24時間にわたり、例えば24時間にわたり継続する持続静脈内(i.v.)投与による。
【0074】
より好ましくは、該処置サイクルを、疾患の進行、許容できない毒性、完全反応の決定以降1または好ましくは2サイクル、または患者の任意の理由による同意の撤回に遭遇するまで、1から10サイクル、好ましくは1から7サイクル繰り返す。
【0075】
(6)本発明は、好ましくはまた(a)エポチロンAおよび/またはエポチロンB、とりわけエポチロンBの、(b)
(A)アルキル化剤、好ましくは架橋化学療法剤、好ましくはビス−アルキル化剤、
(B)抗腫瘍抗生物質、好ましくドキソルビシン(アドリアマイシン(登録商標)、RUBEX(登録商標));
(C)代謝拮抗剤;
(D)植物アルカロイド;
(E)ホルモン剤およびアンタゴニスト、
(F)生物学的反応修飾剤、好ましくはリンホカインまたはインターフェロン
(G)タンパク質チロシンキナーゼおよび/またはセリン/スレオニンキナーゼの阻害剤;
(H)アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド誘導体;または
(I)その他の薬剤または他のもしくは未知の作用機序を有する薬剤;
{該組み合わせ処置は、成分(a)および(b)は、成分(a)および成分(b)の両方の活性化合物に関して、抗増殖活性を、例えば患者内で、相互に増強させるために十分に短い時間間隔内で、同時にまたは時間的にずらして使用するために調整される。}
(J)モノクローナル抗体。
からなる群から選択される他の化学療法剤と組み合わせた組み合わせ投与による、腫瘍疾患のインビボ処置に関する。
【0076】
(7)本発明はまた上記(6)の下に定義の成分(a)および成分(b)を、1種またはそれ以上の薬学的に許容される担体物質の存在下または非存在下に含む、成分(a)および(b)の両方の活性成分に関して、腫瘍疾患、とりわけ(i)消化管の腫瘍、最もとりわけ結腸および/または直腸の腫瘍(結腸直腸腫瘍);および/または(ii)尿生殖路の腫瘍、とりわけ卵巣腫瘍;とりわけ他の化学療法剤、とりわけタキサン類の一つ、最もとりわけタキソール(登録商標)での処置に抵抗性であるこのような腫瘍に対する活性を相互に増強ために十分に短い時間間隔内で、同時にまたは時間的にずらして投与するための組み合わせ製剤としての;該腫瘍疾患の処置のための製品に関する。
【0077】
(1)から(7)または本発明のその後の態様の下、エポチロン、とりわけエポチロンBの投与は、好ましくは、注射、とりわけ静脈内注射により行う。
【0078】
下記は、いくつかのとりわけ好ましい本発明の態様である:
A1. 前記の投与量、すなわち温血動物において約4.0から10mg/mの間、好ましくは5.0から10mg/mの間の投与量、より好ましくは5.4から8mg/mの間の投与量または最も好ましくは7から8mg/mの間の投与量を該温血動物に投与するのに適した、増殖性疾患、とりわけ他の化学療法剤での処置に抵抗性の増殖性疾患を処置するための、医薬製剤の製造のための、エポチロンの使用。
【0079】
A2. 増殖性疾患が腫瘍である、B1からB5のいずれかに記載の使用。
A3. 増殖性疾患が、タキサン類の微小管安定化剤、とりわけタキソール(登録商標)に抵抗性の腫瘍疾患である、A1に記載の使用。
A4. 増殖性疾患が結腸直腸腫瘍および/またはそれらの転移である、A1からA3のいずれかに記載の使用。
【0080】
A5. 増殖性疾患が卵巣腫瘍および/またはそれらの転移;とりわけタキサンおよび白金−抵抗性腫瘍である、A1からA3のいずれかに記載の使用。
A6. エポチロンがエポチロンAおよび/またはエポチロンB、好ましくはエポチロンBである、A1からA5のいずれかに記載の使用。
【0081】
B1. 前記の投与に適し、かつ(a)エポチロン、好ましくはエポチロンAおよび/またはエポチロンBと、(b)別の抗腫瘍療法剤と組み合わせて、他の化学療法剤での処置に抵抗性の増殖性疾患、とりわけ結腸直腸または前立腺腫瘍および/またはそれらの転移を有する温血動物に組み合わせ投与するのに適した、医薬製剤の製造のための、エポチロンの使用。
【0082】
B2. (a)エポチロンAまたは好ましくはエポチロンBおよび(b)1種またはそれ以上の他の抗腫瘍化学療法剤、および薬学的に許容される担体を含む、B2に記載の組み合わせ製剤。
【0083】
C1.成分(a)としてエポチロンAおよび/またはB、好ましくはエポチロンB、および成分(b)として、任意の他の抗腫瘍化学療法剤を、1種またはそれ以上の薬学的に許容される担体物質の存在下または非存在下に含む、温血動物、とりわけヒトへの、成分(a)および成分(b)の両方の活性化合物に関して、該温血動物内で抗腫瘍活性を相互に増強させるために十分に短い時間間隔内で投与するための組み合わせ製剤としての、増殖性疾患の処置のための製品。
【0084】
本発明は、最もとりわけエポチロンBでの下記の腫瘍/癌タイプの処置に関する:
(i)抗癌剤のタキサン類の代表、特にタキソール(登録商標)に;またはよりとりわけ標準化学療法剤、とりわけ5−フルオロウラシル、および/またはタキソール(登録商標)での処置に抵抗性の消化管、とりわけ結腸直腸腫瘍。
【0085】
(ii)原発およびとりわけ転移腫瘍を含む尿生殖路の腫瘍、とりわけ卵巣腫瘍;よりとりわけ5−フルオロウラシルに抵抗性であるとき;
【0086】
(iii)類表皮、よりとりわけ類表皮頭頚部、最もとりわけ類表皮口腔腫瘍、とりわけ多剤耐性のために、とりわけ他の化学療法剤に、とりわけ抗癌剤のタキサン類のメンバー、とりわけタキソール(登録商標)での処置に抵抗性のもの;
【0087】
(iv)とりわけ(主に)多剤耐性のために、他の化学療法剤に、とりわけ抗癌剤のタキサン類のメンバー、とりわけタキソール(登録商標)での処置に抵抗性の肺腫瘍、とりわけ非小細胞性肺癌;および/または
【0088】
(v)乳房腫瘍、とりわけ多剤耐性である乳房腫瘍、よりとりわけ抗癌剤のタキサン類のメンバー、とりわけタキソール(登録商標)での処置に抵抗性のもの。
【0089】
好ましくは、本発明は、任意の上記の腫瘍タイプ(i)から(v)、最も好ましくは(i)、(ii)、(iv)および(v)の処置に関する。
【0090】
より好ましくは、本発明は、(i)から(v)の下に記載のすべての腫瘍タイプ、とりわけそれらの中の任意の一つの、前記の処置スケジュールにしたがった処置による、処置に関する。
【0091】
該処置サイクルは1から8回、好ましくは1から5回繰り返す;
ここで、エポチロンB投与量は、好ましくは、
投与量(mg/m)=4.0から10 (I)
である。
【0092】
より好ましくは、処置投与量は
投与量(mg/m)=5.0から10 (II);
さらにより好ましくは、
投与量(mg/m)=5.4から8 (III);
または、最も好ましくは式IV
投与量(mg/m)=5.4から7 (IV)
に従う
【0093】
投与量は、1から14日間にわたり投与される総投与量である。それは各持続注射の投与量ではない。
【0094】
好ましくは、1日にわたる投与に関して、投与量は約4.0から約10mg/mの間、好ましくは約5.0から約10mg/mの間、より好ましくは約5.4から約8mg/mの間、さらにより好ましくは約5.4から約7mg/mの間および最も好ましくは約7から約8mg/mの間であり、5日間にわたる投与に関して、投与量は約4.0から約10mg/mの間、好ましくは約5.0から約10mg/mの間、より好ましくは約5.4から約8mg/mの間、最も好ましくは約5.4から約6.5mg/mの間、さらにより好ましくは約5.4から約7mg/mの間および最も好ましくは約7から約8mg/mの間である。
【0095】
好ましくは、先行する処置の後に1週間以上、より好ましくは2から10週間、より好ましくは3から6週間の休薬期間が、例えば3、4、6、8、またはそれ以上の処置サイクル後に、患者の状態に依存して、患者を先行する処置から十分回復させるために必要であり得る。
【0096】
とりわけ好ましいのは、また、実施例に記載のものに準じた処置条件である。
【0097】
医薬製剤
本発明はまた、上記腫瘍疾患に対して使用するための医薬製剤の製造のための、エポチロンAおよび/またはB、とりわけエポチロンAまたは好ましくはエポチロンBの使用;またはエポチロンAおよび/またはB、とりわけエポチロンAまたは好ましくはエポチロンB、および薬学的に許容される担体を含む、該腫瘍疾患の処置のための医薬製剤に関する。
【0098】
本発明はまた、増殖性疾患、とりわけ上記で好ましいと定義した腫瘍疾患の処置のための、エポチロンAおよび/またはエポチロンB、とりわけエポチロンBを含む医薬組成物、および該処置のための医薬製剤の製造に関する。
【0099】
エポチロンAおよび/またはBは、例えば、有効量の活性成分を、十分な量の無機または有機、固体または液体の、薬学的に許容される担体と共にまたは混合して含む、医薬組成物の製造のために使用し得る。
【0100】
本発明はまた、該増殖性疾患の処置に有効な量のポチロンAおよび/またはB、とりわけエポチロンBを、少なくとも1個の薬学的に許容される担体と共に含む、温血動物、とりわけヒトへの投与に適した、前記で定義の増殖性疾患の処置のための医薬組成物にも関する。
【0101】
本発明の医薬組成物は、有効量の薬理学的活性成分を、単独で、または顕著な量の薬学的に許容される担体と共に含む、温血動物(ヒトまたは動物)に筋肉内または静脈内のような非経腸投与するためのものである。活性成分の投与量は、温血動物の種、体重、年齢および個々の状態、個々の薬物動態データ、処置すべき疾患よび投与の形態に依存する;好ましくは、投与量は、前記で定義の好ましい投与量の一つであり、小児処置を意図するとき、適当に対応する。
【0102】
医薬組成物は、約0.00002から約95%、とりわけ(例えば使用できる状態の注射希釈剤の場合)0.0001から0.02%、または(例えば注射濃縮液の場合)約0.1%から約95%、好ましくは約20%から約90%の活性成分を含む(各場合、重量/重量)。本発明の医薬組成物は、例えば、アンプル、バイアルの形のような単位投与形であり得る。
【0103】
好ましくは、投与量は、上記の投与範囲に基づいた処置レジメンが可能となるように選択する。
【0104】
本発明の医薬組成物は、それ自体既知の方法で、例えば、慣用の溶解、凍結乾燥、混合、造粒または糖衣工程の手段により製造する。
【0105】
活性成分の溶液、およびまた懸濁液、そしてとりわけ等張水溶液または懸濁液を好ましくは使用し、例えば活性成分を単独で、または薬学的に許容される担体、例えばマンニトールと共に含む凍結乾燥組成物の場合、このような溶液または懸濁液を使用前に産生することが可能である。医薬組成物は滅菌できおよび/または賦形剤、例えば防腐剤、安定化剤、湿潤剤および/または乳化剤、可溶化剤、浸透圧調整用塩および/または緩衝剤を含んでよく、それ自体既知の方法で、例えば慣用の溶解または凍結乾燥工程の手段により製造する。該溶液または懸濁液はまたナトリウムカルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルピロリドンまたはゼラチンのような増粘剤を含み得る。
【0106】
油中の懸濁液は、油成分として、注射目的に一般的な植物油、合成油または半合成油を含む。特記できるのは、とりわけ酸成分として、8から22個、とりわけ12から22個の炭素原子を有する長鎖脂肪酸、例えばラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸または対応する不飽和酸、例えばオレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、ブラシジン酸(brasidic acid)またはリノール酸を含む液体脂肪酸エステルであり、所望により、抗酸化剤、例えばビタミンE、β−カロテンまたは3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエンを添加する。これらの脂肪酸エステルのアルコール成分は、最大6個の炭素原子を有し、モノ−またはポリ−ヒドロキシ、例えばモノ−、ジ−またはトリ−ヒドロキシ、アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールまたはペンタノールまたはそれらの異性体であるが、とりわけグリコールおよびグリセロールである。脂肪酸エステルの下記の例をしたがって特記すべきである:オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、“Labrafil M 2375”(ポリオキシエチレングリセロールトリオレエート、Gattefosse, Paris)、“Miglyol 812”(CからC12の鎖長の飽和脂肪酸、Huels AG, Germany)、とりわけ綿実油、アーモンド油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油、ダイズ油およびよりとりわけ落花生油のような植物油。
【0107】
注入または注射溶液は、滅菌条件下で慣用法で製造する;同じことが、また、組成物のアンプルまたはバイアルへの挿入および容器の密封にも当てはまる。
【0108】
好ましいのは、エポチロンAおよび/またはエポチロンB、とりわけエポチロンB、および薬学的に許容される有機溶媒を含む、注射製剤である。
【0109】
本製剤は界面活性剤の使用を必要としない。Cremophorのような界面活性剤はアレルギー反応の原因となり得て、それらはまた標準的PVC容器、管系などからの可塑剤を浸出し得る。その結果、それらを用いるとき、特別な注射器具、例えばニトログリセリン管系およびガラス、管系などの非可塑性容器を使用する必要がある。
【0110】
本発明の製剤に使用する薬学的に許容される有機溶媒は、当分野で既知の任意のこのような有機溶媒から選択し得る。好ましくは本溶媒はアルコール、例えば無水エタノールまたはエタノール/水混合物、より好ましくは70%エタノール、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリプロピレングリコールまたはN−メチルピロリドン、最も好ましくはポリプロピレングリコールまたは70%エタノールまたはとりわけポリエチレングリコール300から選択する。
【0111】
エポチロンは、好ましくは製剤中に約0.1から約100mg/ml、より好ましくは約1から約100mg/ml、さらにより好ましくは約1から約10mg/ml(とりわけ注射濃縮液中)の濃度で存在し得る。
【0112】
エポチロンAおよびエポチロンBは純粋な物質として、またはエポチロンAおよびBの混合物として使用し得る。エポチロンBのより大きな抗腫瘍活性を考慮すると、それは製剤中でエポチロンAより少ない濃度で用い得る。その純粋な形で使用するとき、5から100mg/ml、好ましくは10から50mg/mlの濃度のエポチロンAを用いるのが好ましく、一方、エポチロンBを純粋な形で使用するとき、それは好ましくは0.1から10、より好ましくは1から10、さらにより好ましくは1から2mg/mlの濃度で用いる(この数字は、特に、処置前に適宜希釈する注射濃縮液に関して言及する、下記参照)。
【0113】
このような製剤は、簡便にはバイアルまたはアンプル中に貯蔵する。典型的に、バイアルまたはアンプルはガラス製、例えばホウ珪酸またはソーダ石灰ガラス製である。バイアルまたはアンプルは当分野で慣用の任意の容量であってよく、好ましくはそれらは0.5から5mlの製剤の貯蔵に十分な大きさである。本製剤は、12から24ヶ月までの、少なくとも2から8℃の温度での貯蔵期間について安定である。
【0114】
製剤は、エポチロンを患者に投与できる前に、静脈内投与に適した水性媒体中に希釈しなければならない。
【0115】
注射溶液は、好ましくは体液と同じまたは本質的に同じ浸透圧を有しなければならない。故に、水性媒体は、好ましくは、体液と同じまたは本質的に同じ浸透圧を注射溶液に与える効果を有する等張剤を含む。
【0116】
等張剤は当分野で既知の任意のもの、例えばマンニトール、デキストロース、グルコースおよび塩化ナトリウムから選択し得る。好ましくは本等張剤はグルコースまたは塩化ナトリウムである。本等張剤は、注射溶液に体液と同じまたは本質的に同じ浸透圧を与える量で使用し得る。必要な厳密な量は、慣用の実験により決定でき、注射溶液の組成および等張剤の性質に依存するであろう。特定の等張剤の選択は、活性剤の特性を考慮して行う。
【0117】
水性媒体中の等張剤の濃度は、使用する特定の等張剤の性質に依存するであろう。グルコースを使用するとき、それは好ましくは1から5%w/v、より特には5%w/vの濃度で使用する。等張剤が塩化ナトリウムであるとき、それは好ましくは1%w/vまで、特に0.9%w/vまでの量で用いる。
【0118】
注射製剤は水性媒体で希釈し得る。希釈剤として用いる水性媒体の量は、注射溶液中のエポチロンの所望の濃度にしたがって選択する。好ましくは、注射溶液は、上記の注射濃縮液のバイアルまたはアンプルと水性媒体を混合することにより製造し、水性媒体により20mlから200mlまで、好ましくは約50および約100mlまでの容量とする。
【0119】
注射溶液は静脈内投与すべき製剤で一般的に用いる他の賦形剤を含み得る。賦形剤は抗酸化剤を含む。
【0120】
抗酸化剤は、エポチロンを酸化的分解に対して保護するために用い得る。抗酸化剤は、当分野で既知のかつ静脈内製剤に適した任意のこのような抗酸化剤から選択し得る。抗酸化剤の量は通常の実験により決定し得る。抗酸化剤を添加する代わりに、またはそれに加えて、酸素(空気)を注射溶液との接触から離すことにより抗酸化効果を達成し得る。これは該注射溶液を保持する容器を、不活性ガス、例えば窒素でパージすることにより簡便には行う。
【0121】
注射溶液は、製剤のアンプルまたはバイアルと、水性媒体、例えばWFI中の5%w/vグルコース溶液またはとりわけ0.9%塩化ナトリウム溶液を、適当な容器、例えば輸液バッグまたは瓶中で混合することにより製造し得る。
【0122】
注射溶液は、製造したら、好ましくは製造直後にまたは短時間以内に、例えば6時間以内に使用する。
【0123】
注射溶液を保持するための容器は、注射溶液と非反応性である任意の慣用の容器から選択し得る。前記のガラスタイプのものから製造されたガラスが適しているが、プラスチック容器、例えばプラスチック輸液バッグの使用が好ましいことがある。
【0124】
プラスチック容器は、原則として熱可塑性ポリマーから成るものである。プラスチック剤量はさらに添加剤、例えば可塑剤、増量剤、抗酸化剤、静電気防止剤および当分野で慣用の他の添加剤を含み得る。
【0125】
本発明に適当なプラスチックは、熱殺菌に必要な高温に耐性でなければならない。好ましいプラスチック輸液バッグは当分野で既知のPVCプラスチック材料製のものである。
【0126】
広範囲の容器サイズを用い得る。容器サイズを選択するとき、水性媒体中へのエポチロンの溶解性、取り扱いの容易さ、および、適当であれば容器の貯蔵を考慮し得る。
【0127】
約250から1000mlの間の注射溶液、好ましくは約50から約120mlの間の注射溶液を貯蔵できる容器の使用が好ましい。
【0128】
注射溶液は、微小管相互作用剤パクリタキセルの注射溶液と類似の形態で作用し、パクリタキセルを使用できる状態の処置に遊離である。ある種の腫瘍に関して、エポチロンはパクリタキセルと比較して増強された有利な効果を提供する。
【0129】
投与形は、100mg/mまでのエポチロンAおよび、約18mg/mまでのエポチロンBを静脈内投与するのに便利であり得る。必要な正確な投与量および投与期間は、状態の重症度ならびに投与の割合に依存し、好ましくは上記で定義の通りである。投与が静脈内により送達されるため、投与する用量および血中濃度を既知のインビボおよびインビトロ法に基づいて正確に決定できる。
【0130】
他の化学療法剤との組み合わせのとき、2個またはそれ以上の上記で定義の成分(a)および(b)の固定された組み合わせ、または2個またはそれ以上の個別の製剤(例えば、キットのパーツ中に)を上記のように製造でき、または他の化学療法剤(複数もある)を市販され、当業者に既知の標準製剤として使用する。
【0131】
実施例
実施例1:1および5日間にわたり、8時間持続注射により投与した単剤エポチロンBの第1相、用量設定試験。
【0132】
評価項目
主要評価項目
・ 下記レジメンおよびスケジュールにしたがって投与したEPO906のMTDを決定するため:
・ 3週間毎に1回および4週間毎に1回の一回ボーラスi.v.注射
・ 3週間毎に1日のおよび4週間毎に1日の持続注射
・ 3週間毎に5日間のおよび4週間毎に5日間の持続注射
局所的に進行したまたは転移結腸癌の患者では栄養補助剤の使用およびCIDでの集中管理を伴う。
【0133】
副次評価項目
・ 上記投与レジメンおよびスケジュールで投与したEPO906の安全性および耐容性を評価すること。
・ 上記投与レジメンおよびスケジュールで投与したEPO906の修飾Response Evaluation Criteria In Solid Tumor (RECIST、文章後添付資料1)にしたがった総合的な反応率(CR+PR)により定義される、初期作用を決定すること。上記投与レジメンおよびスケジュールで投与したEPO906の、修飾RECIST基準にしたがった、進行までの時間(TTP)、総合的な反応期間および総合的な反応までの時間を決定すること。
・ 上記の通りに栄養補助剤と共に投与されたEPO906を投与され、CIDで集中管理されている患者の下痢の発生率および重症度を評価するため、下痢からの回復および経時的な体重の変化を評価すること。文章後添付資料13に別に記載する腸透過性試験(選択した施設での患者の任意試験)を使用した腸粘膜の機能回復を評価すること。文章後添付資料3および14に記載の様々なGI試験を使用した、下痢の病態生理学を評価すること。
・ 5−10分注射を、3週間毎(q3w)および4週間毎(q4w)にMTD用量レベルで投与されている患者における、ならびに24時間および120時間持続注射を、q3wおよびq4wですべての用量レベルで受けている患者におけるEPO906のPKを評価すること。
・ 生体マーカー開発のために、腫瘍−特異的変異を調査し、腫瘍細胞と血液細胞および血漿における遺伝子発現変化を比較すること。
・ EPO906で処置した患者から得た血液サンプルで薬理遺伝学的分析を行うため。薬理遺伝学的サンプルは、本治験のこの部分に参加することに同意した患者からのみ採取する。
【0134】
設計
これは、再発性/抵抗性の進行した結腸癌の患者におけるEPO906の安全性および耐容性を評価するための、オープンラベル、非無作為、多施設、6アーム、第I相用量漸増試験である。GI毒性に関する耐容性および安全性を増加させるために、すべての患者で下記方法を用いなければならず、予防的栄養補助剤およびCIDでの集中管理のコンプライアンスを確実にしなければならない:
・ 栄養補助剤は数種の成分から成り、各々下痢を有する栄養不良の結腸癌患者の食事管理として有用な特性を有する。これはオメガ−3脂肪酸、プレバイオティクス、プロバイオティクスおよび抗分泌因子およびグルタミンであろう。
・ CIDでの集中管理は、医学的管理のためのアルゴリズムおよびEPO906誘発下痢の精密検査に基づき、下痢の早期検出および診断、適切な臨床ケア、ロペラミド、アヘンチンキ、コデインまたはオクトレオチドの使用から成るであろう。
【0135】
EPO906は、(1)3週間毎に1回の、1回、5−10分ボーラスi.v.注射、または(2)3週間毎の1日のCIV(1×24時間注射)、または(3)3週間毎の5日間のCIV(5×16時間注射)のいずれかとして、下痢制御手段として栄養補助剤+CIDでの集中管理と共に投与する。q3wレジメンの各投与においてMTDに到達したら、さらなる調査を行い、栄養補助剤+CIDでの集中管理と共に(4)ボーラス4週間毎に1回、(5)4週間毎に1回、1日のCIV(1×24時間注射)または(6)4週間毎の5日間のCIV(5×24時間注射)として投与されたEPO906のq4wレジメンのMTDを決定する(表1)。
アーム1:ボーラス q3w
アーム2:CIV 1日 q3w
アーム3:CIV 5日間 q3w
アーム4:ボーラス q4w
アーム5:CIV 1日 q4w
アーム6:CIV 5日間 q4w
【0136】
【表1】

#患者はいつでも試験から離れ得る。試験完了評価はその時点で行うべきである。
【0137】
NB:q3wスケジュールでMTDに到達したら、患者をq3wで定義したMTDの投与量で開始する、各q4wスケジュールに入れる。
【0138】
【表2】

試験終了−最後の患者の最後の来院
【0139】
試験に参加したすべての患者が試験薬の少なくとも6サイクルを完了したとき、最後の患者の最後の来院を申請し、治験報告書を作成するであろう。
【0140】
CR、PRまたはSDである患者、および試験医の意見で、試験薬から利益を受け続けるであろう患者は、単剤としてEPO906でのさらなる処置を受け続け、標準的な処置法を継続する。患者が新しい抗新生物治療を開始したとき、その患者は中止すべきである。
【0141】
有害事象、投与用量および腫瘍反応データはデータベースを閉じた後も集め続けなければならないであろう。治験報告書への追記はすべての患者が中止したときに完了する。
【0142】
デザインの討論
これは、投与したEPO906のMTDを決定するための“3+3”デザイン(Storer 1989)を使用した第I相試験であろう。
【0143】
この試験の目的は、安全性および効果プロフィールを改善するための、最小の毒性および最高のMTDでのEPO906の最適投与レジメンを発見することである。これは、CIDでの集中管理(CIDの処置に関するJCO 1998ガイドライン、Wadler 1998から改変)のような方法により達成されるであろう。下痢を有する栄養不良の結腸癌患者の食事管理のためのさらなる支持的方法は、栄養補助剤の予防的投与であろう。
【0144】
MTDの決定のために、サイクル1および2中に起こるDLTは、サイクル1での観察のみに基づくよりも、良好な投与および投与間隔の評価であるとみなされる。
【0145】
MTDを定義するために必要な患者数はどのように用量漸増を進めるかに依存するであろう。最初の3アームにおけるq3w用量漸増のために約60名の患者、および、最後の3アームにおけるq4w投与のために約30名の患者。さらに、ボーラスおよびCIVアームで到達した最高MTDで、さらに、PK目的で評価可能な6名の患者が必要である。
【0146】
ボーラスアームにおける最低投与量で、2/3または2/6患者が最初のサイクルでDLTを示したならば、そのアームは中止する。ボーラスアームの最低投与量で、2/3または2/6患者が第2サイクルでDLTを示したならば、その最低投与量をボーラスアームq4wで試験する。
【0147】
CIV投与アームはボーラスアームよりも遅れて開始してよく、低濃度でのEPO906に関する利用可能な安定性データに依存する。
【0148】
6.5mg/m以下の用量の漸減は、本試験のCIVアームにおいてのみ試みるであろう(それまでにこれらの以上に低濃度での安定性データが利用可能であれば)。ボーラス投与に関しては、十分な低濃度のデータが利用可能であるため、漸減は試みないであろう。
【0149】
患者集団
回腸造瘻術もしくは人工肛門造設術なし、または腹部もしくは骨盤照射歴なしであり、5−FUまたは確立された細胞毒性化合物(イリノテカンまたはオキサリプラチンまたは結腸癌に使用する他の細胞毒性化合物)と組み合わせた5−FUの後に再発したか抵抗性である、進行した結腸癌(ACC)の患者。患者は、以前に、5−FUまた確立された細胞毒性剤と組み合わせたは5−FUでアジュバントまたはネオアジュバント処置を受けているか、セツキシマブ(抗EGFR)または局所的に適用される化学療法で以前に処置を受けていてもよい。
【0150】
本試験は、観察される毒性に依存してMTDを発見するために約90名の評価可能な患者が必要である。
【0151】
包含および除外基準
包含基準
本試験に包含させるために下記基準を満たさなければならない:
・ 組織学的または細胞学的に確認された局所的に進行した進行性または転移結腸癌と診断された患者。
・ 患者は、修飾RECIST基準(文章後添付資料1)により定義する通り、少なくとも一つの測定可能な病巣を有しなければならない。
・ 5−FUまたは確立された細胞毒性剤と組み合わせた5−FUで転移疾患に対する第一選択処置を受けた患者。
・ 任意の人種の18歳の男性または女性患者。
・ 一般状態<2(WHOスケール)の患者。
・ 少なくとも3ヶ月の余命を有する患者。
・ 下記のパラメーターにより定義して、肝臓、腎臓または血液学的機能が障害されていない患者:
・ Hb9.0g/dL
・ 血小板数100×109/L(輸血なし)
・ ANC1.5×109/L
・ 血清ALT(SGPT)またはAST(SGOT)2.5×ULN(肝臓転移が存在するとき、5×ULN)
・ 血清総ビリルビン1.5×ULN
・ 血清クレアチニン<2.0×ULN
・ 女性患者は、血清妊娠試験で陰性でなければならない(両側卵巣摘出および/または子宮摘出を受けた患者または閉経後の患者には当てはまらない)。
・ 生殖可能なすべての成人は、試験中および処置終了後少なくとも3ヶ月、有効な避妊法を使用することに同意しなければならない。
・ すべての患者は、EPO906注射後最初の5日間、性交中障害式避妊手段を使用するか、それを避けなければならない。
・ 書面でのインフォームドコンセントを得なければならない。
【0152】
除外基準
・ すべての原因の手術から完全に回復していない患者。
・ 試験参加前の28日以内に何らかの化学療法剤、免疫療法剤または治験薬(セツキシマブ以外)を受けている患者。
・ 以前に骨盤または腹部放射線療法を受けた患者。
・ 回腸造瘻術または人工肛門造設術を受けた患者。
・ 悪性腫瘍が同時に存在する患者であるが、悪性に属する疾患に>3年間かかっていなかったものを除く。非黒色腫皮膚癌および子宮頚癌腫併発(in situ)の患者は、それらが活動性疾患の証拠があるときのみ除外する。
・ エリスロポエチン以外の造血生因子を受けている患者(セクション3.4.4参照)。
・ Coumadin(登録商標)または他のワルファリン含有薬剤を1mg/日より多い濃度で摂取している患者。留置カテーテルまたは孔の維持のための予防的な低用量のCoumadin(登録商標)(1mg以下)の投与は可能である。
・ 膿瘍または瘻を含む、活動性のまたは急性もしくは慢性の制御できないと疑われる感染の患者。
・ 試験医の意見では本プロトコールと適合しない他の非悪性疾患の存在。
・ 症候的脳転移または軟髄膜疾患の臨床的徴候を有する患者。
・ 心臓疾患を有し、基礎として異常ECGを有し、New York Heart Association分類でIIIまたはIVに分類される患者。
・ ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の既知の診断を有する患者。
・ 医学的レジメンに不従順である経歴を有する患者または信用できない可能性があるとみなされる患者。
・ 妊婦または授乳婦。
・ >グレード1の下痢の患者。
・ 予防的ロペラミド処置を受けている患者。
・ >グレード1の末梢多発性ニューロパシーの患者。
【0153】
処置
EPO906は、3週間毎に1回および4週間毎に1回の1回5−10分ボーラスi.v.注射として、または3週間毎および4週間毎の1日の持続注射(1×24時間)として、または3週間毎および4週間毎の5日間の持続注射(5×24時間)として投与するであろう。
【0154】
EPO906は、各スケジュールで、サイクルあたり、実際の体重に基づいた体表面積に関して6.5mg/mの用量で開始する。体重で>10%の何らかの変化が試験中に起こったら用量調節をしなければならない。患者の身長および体重からの体表面性の概算の計算図表は、本プロトコールの文章後添付資料2に提供する。
【0155】
安全性
安全性集団は、試験に参加し、少なくとも1回試験薬(EPO906)を投与され、かつ、試験薬投与後に少なくとも1回安全性評価を受けたすべての患者を含む。すべての安全性評価および分析は本患者手段で行う。
【0156】
効果
この集団は、少なくとも1回処置を受け、かつ、重いプロトコール違反(例えば誤って入れられた患者)がないすべての患者を含む。
【0157】
効果はこの用量設定試験の主要評価項目ではない。しかしながら、各患者の最良の総合的な反応(CR、PR、SD、PDまたはUNK)は要約されるであろう。この総合的な反応割合は、彼らの最良の総合的な反応が完全反応(CR)または部分反応(PR)であった患者の割合として定義するであろう。総合的な反応割合(CR+PR)の信頼区間を提示するであろう。すべての効果パラメーターは投与アームにより提示するであろう。
【0158】
相対的な腫瘍反応の最初の評価の前に疾患または処置に関係する理由(例えば死亡、有害事象、臨床疾患進行など)により中止した患者は腫瘍反応の分類において非反応者と分類する。
【0159】
EPO906の性質を特徴付ける下記の薬物動態パラメーターを、各血中濃度−時間プロフィールから計算するであろう:
【表3】

【0160】
薬物動態および薬力学分析
薬物動態指標と臨床的結果(反応、毒性、生体マーカーなど)の間の関係の予備的評価を、適していれば行うであろう。
【0161】
統計法
用量漸増の3+3設計を使用するであろう(Storer 1989)。MTD決定の目的で、6用量レベルのEPO906を検討するであろう。これらは6.5mg/m、7.0mg/m、7.5mg/mおよび8.0mg/m、8.5mg/mおよび9.0mg/mである。用量漸増は、患者の各コホートの第1および第2サイクルの毒性に基づくであろう。患者内用量漸増は許可されないであろう。
【0162】
MTDは、6アームの各々で、q3wスケジュールで開始して定義されるであろう。
MTDは、q3wスケジュールの3アームの各々の3名から6名の患者うち少なくとも2名でDLTが観察される投与量レベルの直ぐ下のレベルと定義する。q3wスケジュールでMTDが判明したら、q4wスケジュールアームを始め、各q3wアームで判明したMTD用量で開始する。
【0163】
MTDを定義するために必要な患者数はどのように用量漸増を進めるかに依存するであろう。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
増殖性疾患の処置のためのエポチロンの使用;増殖性疾患の処置用医薬製剤の製造のためのエポチロンの使用;増殖性疾患の処置に適当な一定量のエポチロンを含む医薬製剤;または治療的有効量のエポチロンを薬学的に許容される担体と共にこのような処置を必要とする温血動物に1から14日間にわたり毎日投与する工程を含む、増殖性疾患を処置する方法であって、ここで、投与が、6から24時間継続する持続静脈内(i.v.)投与によるものである、方法。
【請求項2】
エポチロンがエポチロンBである、請求項1記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項3】
エポチロンを1処置サイクルより多く使用し、ここで、該処置サイクルが1日から2週間の投薬期間と6日間から10週間の休薬期間から成り、ここで、該投薬期間が1から14日間にわたる該投与よりも短くない、請求項1または2に記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項4】
エポチロンBをヒトに4.0mg/mから10mg/mの間の用量で使用する、請求項1から3のいずれかに記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項5】
エポチロンBをヒトに5mg/mから10mg/mの間の用量で使用する、請求項1から4のいずれかに記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項6】
エポチロンBを5.4mg/mから8mg/mの間の用量で使用する、請求項1から5のいずれかに記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項7】
エポチロンBを7mg/mから8mg/mの間の用量で使用する、請求項1から6のいずれかに記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項8】
エポチロンBを1から10日間にわたる静脈内注射により投与する、請求項1から7のいずれかに記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項9】
エポチロンを1から7日間にわたる静脈内注射により投与する、請求項1から8のいずれかに記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項10】
エポチロンを1から5日間にわたる静脈内注射により投与する、請求項1から9のいずれかに記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項11】
エポチロンを1日間にわたる静脈内注射により投与する、請求項1から10のいずれかに記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項12】
エポチロンを5日間にわたる静脈内注射により投与する、請求項1から10のいずれかに記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項13】
増殖性疾患がエポチロン以外の1種またはそれ以上の化学療法剤に抵抗性であり、ここで、エポチロン、とりわけエポチロンBを、このような処置を必要とするヒトに該疾患の処置に適当な投与量で投与する、請求項1から12のいずれかに記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項14】
処置すべき抵抗性腫瘍が肺、結腸直腸、前立腺、卵巣、乳房または類表皮頭頚部腫瘍からなる群から選択される、請求項13記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項15】
処置すべき腫瘍が5−フルオロウラシルに抵抗性の結腸直腸腫瘍である、請求項13記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項16】
処置すべき結腸直腸腫瘍が、さらに少なくとも1種の他の標準化学療法剤に抵抗性である、請求項15記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項17】
処置すべき腫瘍がタキソールおよび5−フルオロウラシル処置に抵抗性の結腸直腸腫瘍である、請求項16記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項18】
処置すべき腫瘍が5−フルオロウラシルに抵抗性の卵巣腫瘍および/またはそのすべての転移である、請求項13記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項19】
処置すべき腫瘍が、少なくとも1種の他の化学療法剤での処置に抵抗性の類表皮頭頚部腫瘍である、請求項13記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項20】
類表皮頭頚部腫瘍がタキソールでの処置に抵抗性である、請求項19記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項21】
処置すべき腫瘍が少なくとも1種の他の化学療法剤での処置に抵抗性の肺腫瘍である、請求項13記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項22】
処置すべき腫瘍が非小細胞性肺癌である、請求項21記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項23】
非小細胞性肺癌がタキソールでの処置に抵抗性である、請求項22記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項24】
処置すべき腫瘍が乳房腫瘍である、請求項13記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項25】
処置すべき腫瘍が標準化学療法に抵抗性の結腸直腸腫瘍である、請求項13記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項26】
処置すべき腫瘍が、多剤耐性のために少なくとも1種の他の化学療法剤での処置に抵抗性である類表皮頭頚部腫瘍である、請求項13記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項27】
処置すべき増殖性疾患が結腸直腸腫瘍、尿生殖路の腫瘍、類表皮腫瘍、肺腫瘍および乳房腫瘍からなる群から選択される、請求項1から12のいずれかに記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項28】
処置すべき増殖性疾患が、少なくとも5−フルオロウラシルおよび/または標準化学療法剤に抵抗性である結腸直腸腫瘍である、請求項27記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項29】
処置すべき増殖性疾患が卵巣腫瘍である、請求項27記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項30】
卵巣腫瘍が5−フルオロウラシルに抵抗性である、請求項29記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項31】
増殖性疾患が類表皮頭頚部腫瘍である、請求項27記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項32】
頭頚部腫瘍が多剤耐性である、請求項31記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項33】
増殖性疾患が非小細胞肺腫瘍である、請求項27記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項34】
非小細胞肺腫瘍が抗癌剤のタキサン類のメンバーでの処置に抵抗性である、請求項33記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項35】
増殖性疾患が乳房腫瘍である、請求項27記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項36】
乳房腫瘍が抗癌剤のタキサン類の少なくとも1種のメンバーでの処置に抵抗性である、請求項35記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項37】
処置すべき増殖性疾患が多剤耐性腫瘍である、請求項1から13のいずれかに記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項38】
処置すべき増殖性疾患が黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、神経芽腫、頭頚部癌、膀胱癌、腎臓癌、脳腫瘍(cancer)および胃癌から成る群から選択される、請求項1から13のいずれかに記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項39】
さらに(a)エポチロンBを(b)別の抗腫瘍療法剤と組み合わせて投与する工程を含み、該組み合わせ処置が、成分(a)および成分(b)を、このような処置を必要とするヒトに、かつ、併用で該増殖性疾患に対して有効な量で投与するように調整されている、請求項1から38のいずれかに記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項40】
増殖性疾患が腫瘍タキサン類の抗癌剤での処置に抵抗性であり、該腫瘍が結腸直腸、卵巣、膵臓および脳腫瘍(tumor)から成る群から選択される、請求項1または2に記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。
【請求項41】
増殖性疾患が多剤耐性非小細胞肺癌腫、多剤耐性乳房腫瘍、または多剤耐性類表皮頭頚部腫瘍である、請求項1または2に記載の処置のための使用;医薬製剤の製造ためのエポチロンの使用;医薬製剤;または増殖性疾患を処置する方法。


【公表番号】特表2009−513486(P2009−513486A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516063(P2006−516063)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006921
【国際公開番号】WO2005/000292
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】