説明

エマルションの製造方法、ならびに、そのエマルションを用いた塗料

【課題】本発明は、優れた耐汚染性と造膜性とを兼ね備えたエマルションの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の製造方法は、コア層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度が、シェル層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度よりも20℃以上高くなるように設定し、コア層を得る際にアルコキシシラン化合物を導入することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境配慮型のエマルションの製造方法、及びそのエマルションを用いた低VOC塗料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、揮発性有機化合物(VOC)の低減など、環境に対する関心が高まりつつあるなか、塗料・コーティング分野においては、有機溶剤を使用した溶剤系塗料から水性塗料への移行が急速に進んでいる。
このような水性塗料としては、例えば、エマルションをバインダーとするもの等が挙げられ、これらは主に水を媒体とするため、VOCの低減を図ることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながらエマルションをバインダーとする水性塗料は、一般に、造膜性等に劣ることが指摘されている。よって、造膜性を向上させるために、VOCの一種である造膜助剤を配合するものが多く、水性塗料といえども、VOCを相当量含むものもある。
【0004】
このような問題に対し、最近では、造膜助剤を配合することなく、造膜性を高める水性塗料の開発が行われている。
例えば、水性塗料で用いるエマルションのガラス転移温度を低く設定することにより造膜性を高めることができる。しかしエマルションのガラス転移温度を低く設定すると、耐汚染性に劣るという問題が発生する。反対にガラス転移温度を高く設定すると耐汚染性を向上させることはできるが、造膜性に劣るという問題が発生する。
【0005】
造膜性と耐汚染性を両立させる方法として、例えば、特許文献1では、ガラス転移温度の高いコア層と、ガラス転移温度の低いシェル層を有するコアシェルエマルションをバインダーとして用いることにより、造膜性と耐汚染性の両立を図っている。
このようなコアシェルエマルションは、一つのエマルション粒子内にガラス転移温度の高い層と低い層があり、ガラス転移温度の低い層が造膜性、高い層が耐汚染性に寄与しているものと思われる。
しかし、特許文献1では、その製造過程において、ガラス転移温度の高いコア層部に、ガラス転移温度の低いシェル成分が浸入する場合があり、コア層のガラス転移温度が想定したよりも低く、逆にシェル層のガラス転移温度が想定したよりも高くなる場合があった。よって、造膜性と耐汚染性を両立させることは困難となる場合があった。
【0006】
また、特許文献2では、コアシェル型のエマルションを製造するために、コア層を製造する際、重合性不飽和結合を2個もしくはそれ以上有する多官能モノマーを使用している。このような製造方法では、多官能モノマーによりコア層の架橋密度を高くすることができ、その結果、シェル成分となるモノマーがコア層部へ浸入することを防止することができる。
しかしながら、上記多官能モノマーでは、コア層全体が架橋し、しかも架橋密度が高くなりすぎる場合があるため、そのようなコアシェルエマルションをバインダーとして用いた場合、優れた造膜性が得られない場合があった。
【0007】
【特許文献1】特開2002−3778号公報
【特許文献2】特開平7−34027号公報
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討した結果、コア層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度が、シェル層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度よりも20℃以上高くなるように設定し、コア層を得る際にアルコキシシラン化合物を導入することにより得られるエマルションが、優れた耐汚染性と造膜性とを兼ね備えていることを見出し、本発明の完成に至った。
【0009】
即ち、本発明は、以下の特徴を含むものである。
1.(1)コア層形成用モノマーとアルコキシシラン化合物を混合し、重合してコア層を得る工程、
(2)コア層をシードとし、シェル層形成用モノマーをシード乳化重合する工程、
からなり、コア層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度が、シェル層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度よりも20℃以上高いことを特徴とするエマルションの製造方法
2.(1´)コア層形成用モノマーを重合した後、アルコキシシラン化合物を混合して、コア層を得る工程、
(2)コア層をシードとし、シェル層形成用モノマーをシード乳化重合する工程、
からなり、コア層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度が、シェル層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度よりも20℃以上高いことを特徴とするエマルションの製造方法
3.コア層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度が30℃以上であり、シェル層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度が10℃以下であることを特徴とする1.または2.に記載のエマルションの製造方法
4.コア層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度が、シェル層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度よりも40℃以上高いことを特徴とする1.または2.に記載のエマルションの製造方法
5.コア層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度が40℃以上であり、シェル層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度が0℃以下であることを特徴とする4.に記載のエマルションの製造方法
6.コア層形成用モノマーのうち、シクロアルキル基含有モノマー及び/またはt−アルキル基含有モノマーの合計量が重量比率で10重量%以上であることを特徴とする1.から5.のいずれかに記載のエマルションの製造方法
7.シェル層形成用モノマーのうち、シクロアルキル基含有モノマー及び/またはt−アルキル基含有モノマーの合計量が重量比率で5重量%以上であることを特徴とする1.から6.のいずれかに記載のエマルションの製造方法
8.コア層形成用モノマー及びシェル層形成用モノマーのうち、シクロアルキル基含有モノマー及び/またはt−アルキル基含有モノマーの合計量が重量比率で10重量%以上であることを特徴とする1.から7.のいずれかに記載のエマルションの製造方法
9.1.から8.のいずれかに記載の製造方法によって得られるエマルションをバインダーとする揮発性有機化合物(VOC)が5重量%未満の低VOC塗料
【発明の効果】
【0010】
本発明のエマルションの製造方法では、ガラス転移温度の高いコア層にアルコキシシラン化合物を混合してコア層を得ることにより、ガラス転移温度の低いシェル層形成用モノマーがコア層内部に浸入することを抑制できるため、コアシェル型のエマルションを簡便に製造することができる。
アルコキシシラン化合物は、主に水等の存在下でアルコキシシラン縮合物を生成しやすいため、水等を媒体とする重合法(乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法等)を用いて重合した場合、アルコキシシラン化合物がコア層の最表面でアルコキシシラン縮合物を生成しやすく、かつ、コア層内部では、アルコキシシラン縮合物の生成がある程度抑制される。そのため、コア層表面が架橋した柔軟性をもつコア層が製造でき、ガラス転移温度の低いシェル層形成用モノマーがコア層内部に浸入することを抑制できるため、造膜性に優れたエマルションを得ることができると考えられる。
このようにして得られるエマルションは、優れた耐汚染性と造膜性の両立が可能であり、低VOC塗料用のバインダーとして好適に用いることができ、造膜助剤等のVOCが削減可能な環境配慮型の水性塗料を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を、実施するための最良の形態とともに詳細に説明する。
【0012】
本発明のエマルションの製造方法は、次の(i)、(ii)の方法で製造することを特徴とするものである。
【0013】
(i)(1)コア層形成用モノマーとアルコキシシラン化合物を混合し、重合してコア層を得る工程、(2)コア層をシードとし、シェル層形成用モノマーをシード乳化重合する工程、により製造する方法、
あるいは、
(ii)(1´)コア層形成用モノマーを重合した後、アルコキシシラン化合物を混合して、コア層を得る工程、(2)コア層をシードとし、シェル層形成用モノマーをシード乳化重合する工程、により製造する方法、等が挙げられる。
【0014】
このような製造方法では、まず第(1)段階目において、コア層形成用モノマーとアルコキシシラン化合物を混合し、重合してコア層を得((i)の方法)、または、コア層形成用モノマーを重合した後、アルコキシシラン化合物を混合して、コア層を得る((ii)の方法)。次に、第(2)段階目において、コア層をシードとし、シェル層形成用モノマーをシード乳化重合することによりコアシェル型のエマルションを得ることを特徴とするものである。
【0015】
この際、コア層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度は、シェル層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度よりも20℃以上(さらに好ましくは40℃以上、さらには60℃以上、さらには80℃以上)高く設定する。20℃以上高く設定することにより、優れた耐汚染性と造膜性を発揮できる。このような範囲から外れる場合、耐汚染性と造膜性の両立が困難となる。また第(1)段階目において、アルコキシシラン化合物を混合しない場合も、優れた耐汚染性と造膜性を発揮することができない。
本発明では、特に、コア層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度を30℃以上、シェル層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度を10℃以下とすることにより、常温における優れた造膜性と、耐汚染性を発揮することができ好ましい。
【0016】
コア層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度は、シェル層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度よりも20℃以上高ければ、特に限定されないが、好ましくは30℃以上(より好ましくは40℃以上、さらに好ましくは60℃以上、最も好ましくは70℃以上)である。
【0017】
シェル層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度は、コア層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度よりも20℃以上低ければ、特に限定されないが、好ましくは10℃以下(より好ましくは0℃以下、さらに好ましくは−5℃以下、最も好ましくは−10℃以下)である。
【0018】
本発明では、第(1)段階目で製造されたコア層を用いて、第(2)段階目にシェル層形成用モノマーをシード乳化重合することにより、少なくとも第(2)段階目のシード乳化重合時の水等によりコア層表面でアルコキシシラン縮合物が生成するため、シェル層形成用モノマーがコア層内部へ侵入することを抑制することができるとともに、コア層内部での架橋を抑えることができ、適度に柔軟性のあるコア層を製造することできると考えられる。
その結果、コアシェル型のエマルションを簡便に製造することができ、得られたエマルションは耐汚染性と造膜性を両立することができる。
【0019】
(i)の方法では、特に、水等を媒体とする重合法(乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法等)を用いて重合した場合、アルコキシシラン化合物がコア層の最表面でアルコキシシラン縮合物を生成しやすいため、最表面にアルコキシシラン縮合物が存在するコア層を簡便に製造することができると考えられる。また、(ii)の方法でも同様に、最表面にアルコキシシラン縮合物が存在するコア層を簡便に製造することができると考えられる。
このような場合、第(2)段階目にシェル層形成用モノマーをシード乳化重合する際に、シェル層形成用モノマーがコア層内部へ侵入することをより抑制することができるとともに、コア層内部での架橋を抑えることができ、適度に柔軟性のあるコア層を製造することできると考えられる。その結果、コア層とシェル層がより明確に区別されたコアシェル型のエマルションを製造することができるとともに、耐汚染性と造膜性をより両立させることができると考えられる。
【0020】
第(1)段階目におけるコア層形成用モノマーとしては、例えば、
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、イソクロトン酸、サリチル酸、けい皮酸等のカルボキシル基含有モノマー;
(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール―ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールアリルエーテル、ポリプロピレングリコールアリルエーテル、ポリエチレングリコール―ポリプロピレングリコールアリルエーテル、N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシル基含有モノマー;
(メタ)アクリル酸アミノメチル、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸アミノブチル、ブチルビニルベンジルアミン、ビニルフェニルアミン、p−アミノスチレン、(メタ)アクリル酸−N−メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N−t−ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジエチルアミノプロピル、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ピペリジン、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ピロリジン、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕モルホリン、4−〔N,N−ジメチルアミノ〕スチレン、4−〔N,N−ジエチルアミノ〕スチレン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のアミノ基含有モノマー;
(メタ)アクリル酸グリシジル、ジグリシジルフマレート、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシル、3,4−エポキシビニルシクロヘキサン、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸−ε−カプロラクトン変性グリシジル、(メタ)アクリル酸−β−メチルグリシジル等のグリシジル基含有モノマー;
(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−シクロプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクロイルピロリジン、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、ビニルアミド、N,N−メチレンビスアクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;
ジアセトン(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、アクロレイン、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニル(イソ)ブチルケトン、アセトニルアクリレート、アクリルオキシアルキルプロパナール類、メタクリルオキシアルキルプロパナール類、2ーヒドロキシプロピルアクリレートアセチルアセテート、タンジオールアクリレートアセチルアセテート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシアリルエステル等のカルボニル基含有モノマー;
アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル基含有モノマー;
メタクリロイルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマー;
プロピレン−1,3−ジヒドラジン及びブチレン−1,4−ジヒドラジンなどのヒドラジノ基含有モノマー;
ビニルオキサゾリン、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−プロペニル2−オキサゾリン等のオキサゾリン基含有モノマー;
アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシアリルエステル等のアセトアセトキシル基含有モノマー;
N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミド等のメチロール基含有モノマー;
シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル基含有モノマー;
(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸t−アミル、(メタ)アクリル酸トリプロピルメチル、(メタ)アクリル酸トリイソプロピルメチル、(メタ)アクリル酸トリブチルメチル、(メタ)アクリル酸トリイソブチルメチル、(メタ)アクリル酸トリt−ブチルメチル、4−tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のt−アルキル基含有モノマー;
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−i−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、、(メタ)アクリル酸−sec−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸n一アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸オキチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ドデセニル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−フェニルエチル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−4−メトキシブチル等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;
ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール―ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールアリルエーテル、ポリプロピレングリコールアリルエーテル、ポリエチレングリコール―ポリプロピレングリコールアリルエーテル、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール―ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(メトキシ)ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(メトキシ)ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、(メトキシ)ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、(メトキシ)ポリエチレングリコールアリルエーテル、(メトキシ)ポリプロピレングリコールアリルエーテル、(メトキシ)ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールアリルエーテル等のポリアルキレングリコール鎖含有モノマー
フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン系モノマー;
スチレン、2−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル系モノマー;
スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸などのスルホン酸含有モノマー;
エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルケトン等のその他のモノマー;
等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができ、上述したガラス転移温度の範囲で適宜設定することができる。
【0021】
本発明では、特に、重合安定性、また後述するコアシェル型のエマルションの製造のし易さの面から、スチレン等の芳香族ビニル系モノマー、メタアクリル酸−t−ブチル、メタアクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、アミド基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー等を含むことが好ましい。
また、カルボキシル基含有モノマーは、後述するアルコキシシラン化合物自体の縮合反応を促進する効果があり、また、アルコキシシラン化合物の種類によってはアルコキシシラン化合物と反応し、コア層表面にアルコキシシラン縮合物を固定化できると考えられる。
このようなカルボキシル基含有モノマーは、コア層形成用モノマー全量に対し、0.1〜10重量%、0.5〜5重量%程度含むことが好ましい。
また、形成塗膜の耐水性、耐候性向上の面から、シクロアルキル基含有モノマー、t−アルキル基含有モノマー等を含むことが好ましい。シクロアルキル基含有モノマー、t−アルキル基含有モノマーを含むことによって、造膜性等を維持しつつ、形成塗膜の耐水性、耐候性を向上させることができる。さらに、形成塗膜のクリヤー性、弾性塗膜への密着性の向上も期待できる。
シクロアルキル基含有モノマー及び/またはt−アルキル基含有モノマーの混合比率は、コア層形成用モノマーのうち、シクロアルキル基含有モノマー及び/またはt−アルキル基含有モノマーの合計量が重量比率で10重量%以上(好ましくは15重量%以上95重量%以下、さらに好ましくは20重量%以上85重量%以下)であることが好ましい。
【0022】
第(1)段階目におけるアルコキシシラン化合物は、アルコキシシラン化合物の縮合物(アルコキシシラン縮合物)を生成し、主に、第(2)段階目のシード乳化重合において、シェル層形成用モノマーが、コア層(シード粒子)内部に浸入することを抑制する効果があるものである。
【0023】
アルコキシシラン化合物としては、例えば、
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシシシラン、ビニルトリエトキシシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン等の不飽和結合を有するアルコキシシラン化合物;
3−グリドキシメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリドキシメタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリドキシメタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリドキシメタクリロキシプロピルメチルジエトキシシシラン、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のグリシジル基を有するアルコキシシラン化合物;
N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するアルコキシシラン化合物;
γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基を有するアルコキシシラン化合物;
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、プロピルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、ブチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメチルシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン、あるいは、これらのアルコキシシランのアルコキシル基のうち、ポリオキシアルキレン基含有化合物、アミノ基含有化合物、フッ素含有化合物等によって変性されたアルコキシシラン変性物等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0024】
本発明では特に、不飽和結合を有するアルコキシシラン化合物、グリシジル基を有するアルコキシシラン化合物、アミノ基を有するアルコキシシラン化合物を用いることが好ましく、このようなアルコキシシラン化合物を用いた場合、造膜性、耐汚染性が良好となり、また耐水性や透明性にも優れた膜を形成できる。
【0025】
また、コア層形成用モノマーと、アルコキシシラン化合物は、相互に反応可能な官能基を有することが好ましい。反応可能な官能基を有することにより、アルコキシシラン化合物をエマルションに固定化でき、耐汚染性、造膜性を向上できるとともに、耐水性、透明性の向上も図ることができる。このような官能基の組合わせとしては、カルボキシル基とグリシジル基、カルボキシル基とアミノ基、カルボキシル基とカルボジイミド基、カルボキシル基とアジリジン基、カルボキシル基とオキサゾリン基、カルボキシル基とアルコキシル基、ヒドロキシル基とイソシアネート基、アミノ基とグリシジル基、カルボニル基とヒドラジド基、アセトアセトキシル基とアミノ基、アルコキシル基どうし等の組合わせが挙げられる。
本発明では特に、コア層形成用モノマーとしてカルボキシル基含有モノマーを含み、アルコキシシラン化合物としてグリシジル基を有するアルコキシシラン化合物を使用する組み合わせ、コア層形成用モノマーとしてカルボキシル基含有モノマーを含み、アルコキシシラン化合物としてアミノ基を有するアルコキシシラン化合物を使用する組み合わせ、コア層形成用モノマーとしてアセトアセトキシル基含有モノマーを含み、アルコキシシラン化合物としてアミノ基を有するアルコキシシラン化合物を使用する組み合わせ等が好ましい。
【0026】
コア層形成用モノマーとアルコキシシラン化合物の混合量としては、コア層形成用モノマー100重量部に対し、アルコキシシラン化合物0.01〜10重量部、さらには0.05〜5重量部であることが好ましい。このような範囲であることにより、コア層(シード粒子)の架橋密度をより適度なものとすることができ、シェル層形成用モノマーの浸入を制御できるとともに、優れた造膜性、耐汚染性を示すことができる。0.01重量部より少ない場合はコア層(シード粒子)内にシェル層形成用モノマーが浸入するおそれがあり、造膜性、耐汚染性に劣る場合がある。10重量部より多い場合は、コア層が硬くなりすぎ、造膜性に劣る場合があり、さらに第(2)段階目において、シェル層形成用モノマーのみからなる新粒子が合成される可能性が高く、造膜性、耐汚染性、透明性、耐水性に劣る場合がある。
【0027】
第(1)段階において、(i)の方法では、コア層形成用モノマー、及び、アルコキシシラン化合物、必要に応じ各種添加剤を混合し、通常知られる乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法等によりコア層(シード粒子)を製造すればよい。特に、本発明では、乳化重合法を用いてコア層(シード粒子)を製造することが好ましい。乳化重合法で製造した場合、特定大きさのコア層(シード粒子)を簡便に製造することができ、第(1)段階から第(2)段階へ連続して製造ができるため、製造過程が簡略化されるため好ましい。
【0028】
また(ii)の方法では、コア層形成用モノマー、必要に応じ各種添加剤を混合し、通常知られる乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法等により重合し、その後アルコキシシラン化合物を混合してコア層(シード粒子)を製造すればよい。このような方法でも、まず、乳化重合法で重合し、その後アルコキシシラン化合物を混合してコア層(シード粒子)を製造することが好ましい。また、添加剤は、コア層形成用モノマー重合時、及び/または、アルコキシシラン化合物混合時に添加できる。
【0029】
添加剤としては、水、乳化剤、開始剤、溶剤、分散剤、乳化安定化剤、重合禁止剤、重合抑制剤、緩衝剤、架橋剤、pH調整剤、連鎖移動剤、触媒等が挙げられ、各種重合法、目的に応じ、必要量添加すればよい。
【0030】
乳化剤としては、アニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、両イオン性乳化剤等特に限定されず、用いることができる。
例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸塩、ロジン酸塩、アルキル硫酸エステル、アルキルスルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル(アリール)硫酸エステル塩等のアニオン性乳化剤、
ラウリルトリアルキルアンモニウム塩、ステアリルトリアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩などの第4級アンモニウム塩、第1級〜第3級アミン塩、ラウリルピリジニウム塩、ベンザルコニウム塩、ベンゼトニウム塩、或は、ラウリルアミンアセテート等のカチオン性界面活性剤、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等のノニオン性界面活性剤、
カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸型、イミダゾリン誘導体型等の両性界面活性剤等が挙げられる。
本発明では、特に、凍結安定性の面からポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性乳化剤や、ノニオン性乳化剤の使用が好ましい。
【0031】
開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩開始剤、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4’−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)二塩酸塩等のアゾ系開始剤、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル、クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド等の過酸化系開始剤、レドックス開始剤、光重合開始剤、反応性開始剤等を用いることができる。
【0032】
触媒としては、例えば、アルコキシシラン化合物の反応を促進するもの等が挙げられる。このような触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫マレートなどの有機錫化合物;リン酸、モノメチルホスフェート、モノエチルホフェート、モノオクチルホスフェートなどのリン酸またはリン酸エステル類;プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、グリシジルメタクリレート、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、エピコート828などのエポキシ化合物とリン酸および/または酸性モノリン酸エステルとの付加物;有機チタネート化合物;有機アルミニウム化合物;有機ジルコニウム化合物;マレイン酸、アジピン酸、アゼライン酸、これらの酸無水物、パラトルエンスルフォン酸などの酸性化合物;ヘキシルアミン、N.N−ジメチルドデシルアミンなどのアミン類;水酸化ナトリウムなどのアルカリ性化合物等の硬化触媒類が挙げられる。
【0033】
重合温度としては、特に限定されないが、20℃から90℃程度であればよい。
コア層(シード粒子)の平均粒子径は、特に限定されないが、50nmから1000nm(好ましくは50nmから500nm)であることが好ましい。
なお、平均粒子径は、動的光散乱法により測定した値である。具体的には、動的光散乱測定装置として、マイクロトラック粒度分析計(例えば、UPA150、日機装株式会社製)を用い、検出された散乱強度をヒストグラム解析法のMarquardt法により解析した値であり、測定温度は25℃である。
【0034】
第(2)段階目では、第(1)段階目で得られたコア層(シード粒子)をシードとし、シェル層形成用モノマーをシード乳化重合することを特徴とする。
シェル層形成用モノマーとしては、例えば、上記したコア層形成用モノマーと同様のモノマーが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を、上述したガラス転移温度の範囲で適宜設定し用いることができる。
第(2)段階目では特に、コアシェル型エマルション粒子の製造の容易さ、低温安定性、重合安定性、造膜性等を考慮すると、カルボキシル基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、アミド基含有モノマー、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、ポリアルキレングリコール鎖含有モノマー等を含むことが好ましい。
また、形成塗膜の耐水性、耐候性向上の面から、シクロアルキル基含有モノマー、t−アルキル基含有モノマー等を含むことが好ましい。シクロアルキル基含有モノマー、t−アルキル基含有モノマーを含むことによって、造膜性等を維持しつつ、耐水性、耐候性を向上させることができる。さらに、形成塗膜のクリヤー性、弾性塗膜への密着性の向上も期待できる。
シクロアルキル基含有モノマー及び/またはt−アルキル基含有モノマーの混合比率は、シェル層形成用モノマーのうち、シクロアルキル基含有モノマー及び/またはt−アルキル基含有モノマーの合計量が重量比率で5重量%以上(好ましくは5重量%以上50重量%以下、さらに好ましくは10重量%以上30重量%以下)であることが好ましい。
【0035】
第(2)段階におけるシード乳化重合法では、例えば、コア層(シード粒子)、水、乳化剤等を含有するプレエマルションを予め作製しておき、シェル層形成用モノマー(またはシェル層形成用モノマー、水、乳化剤等を含有するプレエマルション)を添加し、重合する方法等により、コアシェル型のエマルションを製造することができる。特に、第(1)段階目において、乳化重合法でコア層を製造した場合は、第(1)段階目で得られたエマルションに、シェル層形成用モノマー(またはシェル層形成用モノマー、水、乳化剤等を含有するプレエマルション)を添加し、重合することにより製造することができ、第(1)段階目の製造から第(2)段階目の製造がへ連続して製造ができるため、製造過程が簡略化されるため好ましい。
【0036】
また、上記成分以外に、本発明の効果を阻害しない程度に、水、乳化剤、開始剤、溶剤、分散剤、乳化安定化剤、重合禁止剤、重合抑制剤、緩衝剤、架橋剤、pH調整剤、連鎖移動剤等の添加剤を添加することもできる。
【0037】
重合温度としては、特に限定されないが、20℃から90℃程度であればよい。
エマルションの平均粒子径は、特に限定されないが、60nm〜1100nm(好ましくは60nm〜600nm)であることが好ましい。1100nmよりも大きい場合は、経時安定性や耐水性が劣る恐れがある。60nmよりも小さい場合は、固形分の低いエマルションとなり適用範囲が制限される恐れがある。
【0038】
コアシェル型のエマルションのコア層とシェル層の比は、重量比率で、1:5〜5:1、さらには1:3〜3:1であることが好ましい。このような範囲であることにより、より優れた造膜性と耐汚染性の両立が可能である。このような範囲よりもコア層が多い場合は、造膜性に劣る場合があり、このような範囲よりもシェル層が多い場合は、耐汚染性に劣る場合がある。
また、コア層形成用モノマーと、シェル層形成用モノマーは、相互に反応可能な官能基を有することが好ましい。反応可能な官能基を有することにより、耐水性、透明性等の向上を図ることができる。このような官能基の組合わせとしては、カルボキシル基とグリシジル基、カルボキシル基とアミノ基、カルボキシル基とカルボジイミド基、カルボキシル基とアジリジン基、カルボキシル基とオキサゾリン基、カルボキシル基とアルコキシル基、ヒドロキシル基とイソシアネート基、アミノ基とグリシジル基、カルボニル基とヒドラジド基、アセトアセトキシル基とアミノ基、アルコキシル基どうし等の組合わせが挙げられる。
【0039】
さらに、コア層形成用モノマー及びシェル層形成用モノマーを含有するモノマー群を重合して得られる重合体のガラス転移温度が−10℃以上40℃以下、さらには0℃以上40℃以下であることが好ましい。このガラス転移温度は、本発明では、コアシェル型のエマルションのトータルのガラス転移温度の表すものであり、−10℃以上40℃以下であることにより、特に常温において、より優れた造膜性と耐汚染性を両立することができる。トータルのガラス転移温度が−10℃未満の場合、耐汚染性が劣る場合があり、40℃より高い場合、造膜性に劣る場合がある。
【0040】
なお本発明のガラス転移温度は、フォックス(FOX)の式より計算される値である。例えば、モノマー(1)及びモノマー(2)からなる2成分系において、それぞれのホモポリマーのガラス転移点Tg(1)およびTg(2)が分かっている場合には、該モノマー(1)及び(2)の2成分からなる共重合体のガラス転移点Tgは、次式に示すフォックス(FOX)の式(2成分)により計算値として求めることができる。
1/Tg=W(1)/Tg(1)+W(2)/Tg(2)(但し、W(1)+W(2)=1)
W(1):モノマー(1)の重量分率、W(2):モノマー(2)の重量分率、Tg(1):モノマー(1)のホモポリマーのTg値(単位:K)、Tg(2):モノマー(2)のホモポリマーのTg値(単位:K)
本発明におけるポリマーのTg値は上記の式を多成分系に一般化した式により計算したものである。
なお、本発明のガラス転移温度に算出には、コア層形成用モノマー及び/またはシェル層形成用モノマーで算出した値であり、アルコキシシラン化合物は含まれない値である。
【0041】
また、コア層形成用モノマー及びシェル層形成用モノマーのうち、シクロアルキル基含有モノマー及び/またはt−アルキル基含有モノマーの合計量が重量比率で10重量%以上、好ましくは15重量%以上95重量%以下であることが好ましい。10重量%以上であることにより、形成塗膜の耐水性、耐候性の向上が期待できる。さらに、形成塗膜のクリヤー性、弾性塗膜への密着性の向上も期待できる。
【0042】
本発明で製造されたエマルションは、インク、接着剤、塗料・コーティング材料、プラスチック成形用材料等様々な分野で利用可能である。特に本発明では、塗料用のバインダーとして好適に用いることができる。
塗料用のバインダーとして用いた場合、優れた造膜性(低温での造膜性等)を示し、かつ、形成塗膜は、耐汚染性に優れ、さらに透明性、光沢性に優れている。
特に、コア層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度が30℃以上であり、シェル層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度が10℃以下であることにより、常温においても優れた造膜性を示すため、水性でありながら、造膜助剤等のVOCの削減可能な環境配慮型の水性塗料(低VOC塗料)を得ることができる。
【0043】
このような塗料(低VOC塗料)は、上塗材として適用することができ、上述のエマルションをバインダーとし、必要に応じ通常用いられる公知の着色顔料、体質顔料、骨材、繊維、可塑剤、防腐剤、防黴剤、消泡剤、粘性調整剤、レベリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、たれ防止剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、抗菌剤、吸着剤、光触媒等を、単独あるいは併用して配合することにより得ることができる。さらに、適宜水を加えて粘度等を調整することもできる。
本発明では、必要に応じ、造膜助剤その他の揮発性有機化合物を混合することもできるが、その含有量は塗料中に5重量%未満(さらには1重量%未満)とすることが好ましい。本発明は、造膜助剤等の揮発性有機化合物がこのような低含有量であっても、優れた造膜性を示すことができる。
このような塗料(低VOC塗料)は、上塗材として使用することが好ましいが、用途に応じ、下塗材、中塗材等に適用することも可能である。
【0044】
例えば、着色顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、黒色酸化鉄、銅クロムブラック、コバルトブラック、銅マンガン鉄ブラック、モリブデートオレンジ、パーマネントレッド、パーマネントカーミン、アントラキノンレッド、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、酸化第二鉄、黄色酸化鉄、チタンイエロー、ファーストイエロー、クロムグリーン、オーカー、群青、紺青、コバルトグリーン、コバルトブルー等の無機系着色顔料、アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ベンゾイミダゾール系、フタロシアニン系、ジスアゾ系、イソインドリノン系、キノフタロン系等の有機系着色顔料、パール顔料、アルミニウム顔料、金属又は金属酸化物をコーティングしたガラスフレークまたは樹脂フィルム、ホログラム顔料、コレステリック結晶ポリマー顔料等の光輝性顔料、蛍光顔料、蓄光顔料等が挙げられる。
【0045】
体質顔料としては、重質炭酸カルシウム、軽微性炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、炭酸バリウム、ホワイトカーボン、珪藻土、寒水石、陶土、チャイナクレー、バライト粉、硫酸バリウム、沈降性硫酸バリウム、珪砂、珪石粉、石英粉、樹脂ビーズ、ガラスビーズ、中空バルーン等が挙げられる。
【0046】
本発明における塗料(低VOC塗料)は、例えば、モルタル、コンクリート、石膏ボード、サイディングボード、押出成形板、スレート板、石綿セメント板、繊維混入セメント板、ケイ酸カルシウム板、ALC板、金属、木材、ガラス、陶磁器、焼成タイル、磁器タイル、プラスチック板、合成樹脂等の基材、あるいはこのような基材上に形成された塗膜(下塗材や既存塗膜等)等に対し適用することができる。
【0047】
塗料(低VOC塗料)の塗装方法としては、特に限定されず公知の方法で塗装することができるが、塗料(低VOC塗料)の形態の応じ、例えば、刷毛、スプレー、ローラー、鏝、へら等の各種塗装器具を用いた塗装や、ロールコーター、フローコーター等種々の方法により塗装することができる。また、塗料(低VOC塗料)の塗付量は、各種用途にあわせて、適宜設定すればよい。
【実施例】
【0048】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより明確にするが、本発明はこの実施例に限定されない。
【0049】
(実施例1)
水38重量部、アニオン乳化剤1重量部、開始剤0.2重量部と、表1の合成例1(コア層)に示す原料を各重量部で混合し、窒素雰囲気下80℃で3時間、乳化重合を行い、コア層(シード粒子)を含むエマルション(1)を得た。
エマルション(1)は固形分40重量%であった。また、コア層(シード粒子)の平均粒子径は110nmであった。
次に、エマルション(1)64重量部に、水10重量部、アニオン乳化剤1重量部、開始剤0.2重量部と、表1の合成例1(シェル層)に示す原料を各重量部で混合したプレエマルションを、窒素雰囲気下80℃で2時間かけて添加し、シード乳化重合を行い、コアシェル型エマルション(1)を得た。
コアシェル型エマルション(1)は、固形分50重量%であり、平均粒子径は150nmであった。コアシェル型エマルション(1)を用いて、次の各種試験を行った。
【0050】
(造膜性試験(エマルション))
スレート板(150mm×150mm)に、SKクリヤーシーラー(合成樹脂エマルション系シーラー、エスケー化研株式会社製)をローラーで150g/m塗付し、温度23℃、相対湿度50%(以下、「標準状態」ともいう。)で24時間養生させた後、コアシェル型エマルション(1)を刷毛にて150g/m塗付し、温度2℃で24時間乾燥させた。24時間後の塗膜の割れの有無を目視にて評価した。結果は表3に示す。
◎:塗膜の割れ数0
〇:塗膜の割れ数1〜5
△:塗膜の割れ数6〜10
×:塗膜の割れ数11以上
【0051】
(耐汚染試験(エマルション))
ガラス板(150mm×150mm)に、すきま150μmのフィルムアプリケーターを用いてコアシェル型エマルション(1)を塗付し、標準状態で48時間乾燥させた後、珪砂を散布し、温度50℃で静置した。3時間後、試験体を垂直にして珪砂を落下させ、残存する珪砂量を目視にて評価した。結果は表3に示す。
◎:残存率25%未満
○:残存率25以上50%未満
△:残存率50以上75%未満
×:残存率75%以上
【0052】
次に、コアシェル型エマルション(1)65重量部、二酸化チタンペースト(二酸化チタン含有量70重量%)30重量部、添加剤(消泡剤、粘性調整剤)5重量部を常法にて均一に混合、攪拌し、VOCが0.1重量%未満の環境配慮型の水性塗料を製造した。この水性塗料を用いて、次の各種試験を行った。
【0053】
(造膜性試験(水性塗料))
スレート板(150mm×150mm)に、SKクリヤーシーラー(合成樹脂エマルション系シーラー、エスケー化研株式会社製)をローラーで150g/m塗付し、温度23℃、相対湿度50%(以下、「標準状態」ともいう。)で24時間養生させた後、水性塗料を刷毛にて300g/m塗付し、温度2℃で24時間乾燥させた。24時間後の塗膜の割れの有無を目視にて評価した。結果は表3に示す。
◎:塗膜の割れ数0
〇:塗膜の割れ数1〜5
△:塗膜の割れ数6〜10
×:塗膜の割れ数11以上
【0054】
(光沢度測定(水性塗料))
ガラス板(150mm×150mm)に、すきま150μmのフィルムアプリケーターを用いて水性塗料を塗付し、標準状態で48時間乾燥させた後、光沢度計(日本電色工業株式会社製)を用いて、60度光沢を測定した。結果は表3に示す。
【0055】
(耐汚染試験(水性塗料))
光沢度測定を行った後、試験体に珪砂を散布し、温度50℃で静置した。3時間後、試験体を垂直にして珪砂を落下させ、残存する珪砂量を目視にて評価した。結果は表3に示す。
◎:残存率25%未満
○:残存率25以上50%未満
△:残存率50以上75%未満
×:残存率75%以上
【0056】
(耐水性試験(水性塗料))
スレート板(150mm×150mm)に、SKクリヤーシーラー(合成樹脂エマルション系シーラー、エスケー化研株式会社製)をローラーで150g/m塗付し、標準状態で24時間養生させた後、水性塗料をスプレーにて300g/m塗付し、標準状態で14日間乾燥させた。耐水性試験では、14日間乾燥後、23℃の水に96時間浸漬し、96時間浸漬前後の光沢度を、光沢度計(日本電色工業株式会社製)にて測定し、光沢保持率を算出することによって評価した。評価は次の通りである。結果は表3に示す。
◎:光沢保持率95%以上
○:光沢保持率80以上以上95%未満
△:光沢保持率60以上以上80%未満
×:光沢保持率60%未満
【0057】
(促進耐候性試験(水性塗料))
スレート板(150mm×150mm)に、SKクリヤーシーラー(合成樹脂エマルション系シーラー、エスケー化研株式会社製)をローラーで150g/m塗付し、標準状態で24時間養生させた後、水性塗料をスプレーにて300g/m塗付し、標準状態で14日間乾燥させた。促進耐候性試験では、キセノンウェザーメーターで480時間照射し、480時間照射前後の光沢度を、光沢度計(日本電色工業株式会社製)にて測定し、光沢保持率を算出することによって評価した。評価は次の通りである。結果は表3に示す。
◎:光沢保持率95%以上
○:光沢保持率80以上以上95%未満
△:光沢保持率60以上以上80%未満
×:光沢保持率60%未満
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
【表3】

【0061】
(実施例2)
表1の合成例2(コア層)に示す原料・各重量部、表1の合成例2(シェル層)に示す原料・各重量部を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、コアシェル型エマルション(2)を得、実施例1と同様の方法で水性塗料を製造した。
なお、コアシェル型エマルション(2)は、固形分50重量%であり、平均粒子径は155nmであった。また、得られた水性塗料は、VOCが0.1重量%未満の環境配慮型の水性塗料であった。
得れらたコアシェル型エマルション(2)、及びその水性塗料を用いて、実施例1と同様の試験を行った。
結果は表3に示す。
【0062】
(実施例3)
表1の合成例3(コア層)に示す原料・各重量部、表1の合成例3(シェル層)に示す原料・各重量部を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、コアシェル型エマルション(3)を得、実施例1と同様の方法で水性塗料を製造した。
なお、コアシェル型エマルション(3)は、固形分50%重量であり、平均粒子径は150nmであった。また、得られた水性塗料は、VOCが0.1重量%未満の環境配慮型の水性塗料であった。
得れらたコアシェル型エマルション(3)、及びその水性塗料を用いて、実施例1と同様の試験を行った。
結果は表3に示す。
【0063】
(実施例4)
水38重量部、アニオン乳化剤1重量部、開始剤0.2重量部と、表1の合成例4(コア層1)に示す原料を各重量部で混合し、窒素雰囲気下80℃で3時間、乳化重合を行った後、表1の合成例4(コア層2)に示す原料を各重量部で混合し、コア層(シード粒子)を含むエマルション(4)を得た。
次に、エマルション(4)64重量部に、水10重量部、アニオン乳化剤1重量部、開始剤0.2重量部と、表1の合成例4(シェル層)に示す原料を各重量部で混合したプレエマルションを、窒素雰囲気下80℃で2時間かけて添加し、シード乳化重合を行い、コアシェル型エマルション(4)を得た、実施例1と同様の方法で水性塗料を製造した。
なお、コアシェル型エマルション(4)は、固形分50%重量であり、平均粒子径は160nmであった。また、得られた水性塗料は、VOCが0.1重量%未満の環境配慮型の水性塗料であった。
得れらたコアシェル型エマルション(4)、及びその水性塗料を用いて、実施例1と同様の試験を行った。
結果は表3に示す。
【0064】
(実施例5)
表1の合成例5(コア層)に示す原料・各重量部、表1の合成例5(シェル層)に示す原料・各重量部を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、コアシェル型エマルション(3)を得、実施例1と同様の方法で水性塗料を製造した。
なお、コアシェル型エマルション(5)は、固形分50%重量であり、平均粒子径は150nmであった。また、得られた水性塗料は、VOCが0.1重量%未満の環境配慮型の水性塗料であった。
得れらたコアシェル型エマルション(5)、及びその水性塗料を用いて、実施例1と同様の試験を行った。
結果は表3に示す。
【0065】
(実施例6)
表1の合成例6(コア層)に示す原料・各重量部、表1の合成例6(シェル層)に示す原料・各重量部を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、コアシェル型エマルション(6)を得、実施例1と同様の方法で水性塗料を製造した。
なお、コアシェル型エマルション(6)は、固形分50%重量であり、平均粒子径は152nmであった。また、得られた水性塗料は、VOCが0.1重量%未満の環境配慮型の水性塗料であった。
得れらたコアシェル型エマルション(6)、及びその水性塗料を用いて、実施例1と同様の試験を行った。
結果は表3に示す。
【0066】
(実施例7)
表1の合成例7(コア層)に示す原料・各重量部、表1の合成例7(シェル層)に示す原料・各重量部を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、コアシェル型エマルション(7)を得、実施例1と同様の方法で水性塗料を製造した。
なお、コアシェル型エマルション(7)は、固形分50%重量であり、平均粒子径は150nmであった。また、得られた水性塗料は、VOCが0.1重量%未満の環境配慮型の水性塗料であった。
得れらたコアシェル型エマルション(7)、及びその水性塗料を用いて、実施例1と同様の試験を行った。
結果は表3に示す。
【0067】
(比較例1)
表1の合成例8(コア層)に示す原料・各重量部、表1の合成例8(シェル層)に示す原料・各重量部を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、コアシェル型エマルション(8)を得、実施例1と同様の方法で水性塗料を製造した。
なお、コアシェル型エマルション(8)は、固形分50重量%であり、平均粒子径は160nmであった。
得れらたコアシェル型エマルション(8)、及びその水性塗料を用いて、実施例1と同様の試験を行った。
結果は表3に示す。
【0068】
(比較例2)
表1の合成例9(コア層)に示す原料・各重量部、表1の合成例9(シェル層)に示す原料・各重量部を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、コアシェル型エマルション(9)を得、実施例1と同様の方法で水性塗料を製造した。
なお、コアシェル型エマルション(9)は、固形分50重量%であり、平均粒子径は150nmであった。
得れらたコアシェル型エマルション(9)、及びその水性塗料を用いて、実施例1と同様の試験を行った。
結果は表3に示す。
【0069】
(比較例3)
水48重量部、アニオン乳化剤2重量部、開始剤0.4重量部と、表1の合成例10に示す原料を各重量部で混合し、窒素雰囲気下80℃で3時間、乳化重合を行い、エマルション(10)を得た。
エマルション(10)は固形分50%重量であり、平均粒子径は145nmであった。
次に、エマルション(10)65重量部、二酸化チタンペースト(二酸化チタン含有量70重量%)30重量部、添加剤(消泡剤、粘性調整剤)5重量部を配合し水性塗料を製造した。
得れらたコアシェル型エマルション(10)、及びその水性塗料を用いて、実施例1と同様の試験を行った。
結果は表3に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)コア層形成用モノマーとアルコキシシラン化合物を混合し、重合してコア層を得る工程、
(2)コア層をシードとし、シェル層形成用モノマーをシード乳化重合する工程、
からなり、コア層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度が、シェル層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度よりも20℃以上高いことを特徴とするエマルションの製造方法
【請求項2】
(1´)コア層形成用モノマーを重合した後、アルコキシシラン化合物を混合して、コア層を得る工程、
(2)コア層をシードとし、シェル層形成用モノマーをシード乳化重合する工程、
からなり、コア層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度が、シェル層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度よりも20℃以上高いことを特徴とするエマルションの製造方法
【請求項3】
コア層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度が30℃以上であり、シェル層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度が10℃以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエマルションの製造方法
【請求項4】
コア層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度が、シェル層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度よりも40℃以上高いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエマルションの製造方法
【請求項5】
コア層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度が40℃以上であり、シェル層形成用モノマーの重合体のガラス転移温度が0℃以下であることを特徴とする請求項4に記載のエマルションの製造方法
【請求項6】
コア層形成用モノマーのうち、シクロアルキル基含有モノマー及び/またはt−アルキル基含有モノマーの合計量が重量比率で10重量%以上であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のエマルションの製造方法
【請求項7】
シェル層形成用モノマーのうち、シクロアルキル基含有モノマー及び/またはt−アルキル基含有モノマーの合計量が重量比率で5重量%以上であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のエマルションの製造方法
【請求項8】
コア層形成用モノマー及びシェル層形成用モノマーのうち、シクロアルキル基含有モノマー及び/またはt−アルキル基含有モノマーの合計量が重量比率で10重量%以上であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載のエマルションの製造方法
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の製造方法によって得られるエマルションをバインダーとする揮発性有機化合物(VOC)が5重量%未満の低VOC塗料



【公開番号】特開2006−193716(P2006−193716A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−293762(P2005−293762)
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(000180287)エスケー化研株式会社 (227)
【Fターム(参考)】