説明

エマルション塗料及び遮熱材

【課題】
遮熱効果に優れたエマルション塗料及び遮熱材を提供することである。
【解決手段】
シラスバルーン(A)、雲母(B)及びバインダー樹脂(C)を含有してなり、シラスバルーン(A)、雲母(B)及びバインダー樹脂(C)の重量に基づいて、シラスバルーン(A)の含有量が5〜20重量%、雲母(B)の含有量が20〜75重量%、バインダー樹脂(C)の含有量が20〜70重量であって、シラスバルーン(A)と雲母(B)との重量比(A/B)が1/2〜1/5であることを特徴とするエマルション塗料を用いる。さらに造膜助剤(D)を含有することが好ましい。基材に、上記のエマルション塗料を塗布してなることを特徴とする遮熱材を用いる。基材は織物、編物及び不織布からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エマルション塗料及び遮熱材に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミノ珪酸ソーダガラスと、顔料と、樹脂エマルションと、分散剤と、粘着剤とを含んでなる塗布式断熱材であって、該アルミノ珪酸ソーダガラスが、中空ビーズ構造であると共に粒径が10〜50μmであり、かつその含有量が該断熱材の全重量の10〜20重量%であることを特徴とする塗布式断熱材が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−105385号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の塗布式断熱材では、遮熱効果が不十分であるという問題がある。すなわち、本発明の目的は、遮熱効果に優れたエマルション塗料及び遮熱材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のエマルション塗料の特徴は、シラスバルーン(A)、雲母(B)及びバインダー樹脂(C)を含有してなり、
シラスバルーン(A)、雲母(B)及びバインダー樹脂(C)の重量に基づいて、シラスバルーン(A)の含有量が5〜20重量%、雲母(B)の含有量が20〜75重量%、バインダー樹脂(C)の含有量が20〜70重量であって、
シラスバルーン(A)と雲母(B)との重量比(A/B)が1/2〜1/5である点を要旨とする。
【0005】
なお、さらに造膜助剤(D)を含有してなることが好ましい。また、造膜助剤(D)が、(ポリ)エチレングリコールアルキルエーテル、(ポリ)エチレングリコールアルキルエーテルカルボン酸エステル、(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールフェニルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテルカルボン酸エステル及びカルボン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。また、造膜助剤(D)の含有量が、シラスバルーン(A)、雲母(B)及びバインダー樹脂(C)の重量に基づいて、2〜30重量%であることが好ましい。
【0006】
本発明の遮熱材の特徴は、基材に、上記のエマルション塗料を塗布してなる点を要旨とする。なお、基材が織物、編物及び不織布からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。また、基材が木材であることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明のエマルション塗料は、従来の塗布式断熱材に比較して著しく遮熱効果に優れている。したがって、建物等の内壁や外壁、屋根等に塗装するだけで、建物内部へ熱が進入することを効率的に防ぐことができる。たとえば、貯水槽に適用すると、貯水槽内部の水の温度上昇を抑えることができ、水の変質を防止できる。また、建物に適用すると、建物内部へ熱が入り込みにくくなるため省エネルギーや二酸化炭素削減に寄与できる。
【0008】
本発明の遮熱材は、遮熱効果に著しく優れている。したがって、建物等の内壁や外壁、屋根等に設置するだけで、建物内部へ熱が進入することを効率的に防ぐことができる。たとえば、貯水槽に適用すると、貯水槽内部の水の温度上昇を抑えることができ、水の変質を防止できる。また、建物に適用すると、建物内部へ熱が入り込みにくくなるため省エネルギーや二酸化炭素削減に寄与できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
シラスバルーン(A)とは、火山灰(主に九州シラス台地から産出するシラス)を原料とした0.1mm以下の微細な中空ガラス球で九工試において発明されたものを意味する。
【0010】
シラスバルーン(A)の重量平均粒子径(μm)は、14〜100が好ましく、さらに好ましくは35〜80、特に好ましくは40〜70、最も好ましくは60〜70である。この範囲であると、遮熱効果及び遮音効果がさらに良好となる。
【0011】
なお、重量平均粒子径は、JIS Z8815−1994に準じて、ロータップ試験ふるい振とう機及びJIS Z8801−1:2006に規定されたJIS標準ふるいを用いて測定される{各ふるい及び受け皿上の測定サンプル粒子の重量を秤量し、その合計を100%として各ふるい上の粒子の重量分率を求め、この重量分率を対数確率紙(横軸がふるいの目開き(粒子径)、縦軸が重量分率)にプロットし、各点を結ぶ線を引いて「粒子径−重量分率」線を得た後、この線から50重量%に対応する粒子径(重量平均粒子径)を求める。}。
【0012】
シラスバルーン(A)は、市場から容易に入手でき、たとえば、ウインライト(株式会社アクシーズの登録商標)MSB−301、MSB−3011、MSB−5011、MSB5021、SC−50(株式会社アクシーズケミカル);タイセツバルーン(美瑛白土工業株式会社の登録商標)K、同A、同B及び同C(美瑛白土工業株式会社);マールライト(丸中白土株式会社の登録商標)BA−15、同BA−20、同BA−25、同EA−15、同EA−20及び同EA−25(丸中白土株式会社);トワナライトSYB−5005、同SYB−5000、同SYB−2000、同SYB−1000H、同SYB−1000S、同SYB−0005、同SKB−9000、同SKB−6000、同SSB−4000及び同FTB(豊和直株式会社);DSRF(大建工業株式会社の登録商標)シリーズ(大建工業株式会社);サンキライトシリーズ(三機化工建設株式会社);シリカバルーンシリーズ(釧路石炭乾溜株式会社);シラックスシリーズ(株式会社シラックスウ);テラバルーンシリーズ(宇部マテリアルズ株式会社);スーパーバルーン(昭和化学工業株式会社);及びシラスバルーン(浅間軽石株式会社、エスケーライフ株式会社、株式会社システック等)等が挙げられる。
【0013】
雲母(B)としては、黒雲母、木下雲母、リチア雲母、真珠雲母、益富雲母、白雲母、金雲母、絹雲母、白水雲母、砥部雲母及びチンワルド雲母等が挙げられる。雲母(B)は複数種類の雲母の混合体でもよいが、白雲母を含むことが好ましく、さらに好ましくは白雲母を少なくとも50重量%(好ましくは70重量%、さらに好ましくは80重量%、特に好ましくは90重量%)含むこと、特に好ましくは白雲母だけからなることである。
【0014】
雲母(B)の重量平均粒子径(μm)は、1〜50が好ましく、さらに好ましくは2〜45、特に好ましくは2〜35、最も好ましくは5〜25である。この範囲であると、遮熱効果及び遮音効果がさらに良好となる。
【0015】
雲母(B)は、市場から容易に入手でき、たとえば、マイカ100MESH(株式会社東京興業貿易商会);Aシリーズ、グローバルバリューシリーズ、Bシリーズ、Cシリーズ、Yシリーズ、SAシリーズ、FKシリーズ、CTシリーズ(株式会社山口雲母工業所);ミクロマイカMK−100、MK−200、MK−300、MK−100F、S1MK(コープケミカル株式会社:非膨潤性合成雲母);及びソフシフME−100、S1ME(コープケミカル株式会社:膨潤性合成雲母)等が挙げられる。
【0016】
バインダー樹脂(C)としては、アクリル樹脂及びウレタン樹脂等が含まれる。
アクリル樹脂としては、公知のアクリル樹脂エマルション等が使用でき、たとえば、特公昭62−10269号、特公昭62−10545号、特公昭58−44707号、特公昭58−44707号、特公平01−53310号、特公平04−15803号、特公平05−25914号、特公昭63−4874号、特公昭63−28948号、特公平04−77030号、特公昭61−28699号、特公平06−45769号、特許第2517965号、特許第2642142号、特許第2763790号、特公平07−2929号、特公平07−13207号、特許第2689844号、特公平08−19370号、特開2006−335938号、特開2002−212207号、特開2005−232331号、特開2005−187675号、特開2004−250607号、特開2003−201305号、特開2003−176311号、特開2003−165803号又は特開2002−256154号の各公報に記載されたアクリル樹脂エマルション等が使用できる。
【0017】
ウレタン樹脂としては、公知のウレタン樹脂エマルション等が使用でき、たとえば、特開昭59−138212号、特開昭59−210978号、特開平03−149214号、特開平5−132535号、特開平05−25239号、特開平06−122747号、特開平07−157526号、特開平07−157527号、特開平09−100335号、特開平10−279650号、特開2006−30707号、特開2000−34322号、特開2005−154721号、特開2006−96852号、特開2005−146089号、特開2005−60690号、特開2002−145976号、特開2006−96893号、特開2006−96852号、特開2006−22222号、特開2006−22221号、特開2005−239841号、特開2005−187685号、特開2005−132961号、特開2003−171570号、特開2003−165818号又は特開2003−138021号の各公報に記載されたウレタン樹脂エマルション等が使用できる。
【0018】
バインダー樹脂(C)として樹脂エマルションを用いる場合、バインダー樹脂(C)の含有量(重量%)は、バインダー樹脂及び溶剤(水等)の重量に基づいて、20〜65が好ましく、さらに好ましくは30〜60、特に好ましくは35〜55である。また、この場合、溶剤(水等)の含有量(重量%)は、バインダー樹脂及び溶剤(水等)の重量に基づいて、35〜80が好ましく、さらに好ましくは40〜70、特に好ましくは45〜55である。
【0019】
バインダー樹脂(C)は、樹脂エマルションとして市場から容易に入手でき、たとえば、プライマル(ローム エンド ハースコムパニーの登録商標)B−15B、同P−376、同R−225、同E−358、同HA−8、同HA−16、同HA−24、同JP−934HS、同JP−120S、同2949、同AS−300、同AS−398、同PR−1058M、同SF−016、同SD−017、同SF−3122、同E−3131、同SD−021、同AC−2235、同AC−264、同AC−6310、同AC−2615、同AC−2508、同PR−29、同MA−23LO及びPR−1042{ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社製アクリル樹脂エマルション};モビニール(日本合成化学工業株式会社の登録商標)701、同727、同742A、同745、同749E、同752、同790、同880、同937、同940、同972、同1710、同1720、同1752、同1760、同6520、同6530、同7110、同7220、同7470、同7480、同7502、同7540、同8010、同DM60、同DM765F、同DM772、同DM774、同LDM6316、同LDM6740、同LDM7010、同LDM7158、同LDM7159、同LDM7512、同LDM7520、同LDM7522、同LDM7523及び同VDM7410(ニチゴー・モビニール株式会社製アクリル樹脂エマルション);SE−810A、SE841A、SE−909E、SE953A、SE−1314F、SE1645E、SE−2223L、UW−319SX、UW−223SX及びUW−550CS(大成ファインケミカル株式会社製アクリル樹脂エマルション);ユーコート(三洋化成工業株式会社の登録商標)UX−150、同UX−310、同UX−4300及び同UWS−145(三洋化成工業株式会社製ウレタン樹脂エマルション);WBR−016U、WBR−022U、WBR−201U、WBR−223U、WBR−401U及びWBR−601U(大成ファインケミカル株式会社製ウレタン樹脂エマルション);並びにWEM−031U、WEM−202U、WEM−321U、WEM−268A、WEM−279A、8UA−017A及び3DR−057(大成ファインケミカル株式会社製ウレタン・アクリルハイブリット樹脂エマルション)等が挙げられる。
【0020】
シラスバルーン(A)の含有量(重量%)は、シラスバルーン(A)、雲母(B)及びバインダー樹脂(C)の重量に基づいて、5〜20が好ましく、さらに好ましくは8〜17、特に好ましくは10〜15である。
【0021】
雲母(B)の含有量(重量%)は、シラスバルーン(A)、雲母(B)及びバインダー樹脂(C)の重量に基づいて、20〜75が好ましく、さらに好ましくは30〜70、特に好ましくは40〜60である。
【0022】
バインダー樹脂(C)の含有量(重量%)は、シラスバルーン(A)、雲母(B)及びバインダー樹脂(C)の重量に基づいて、20〜70が好ましく、さらに好ましくは22〜60、特に好ましくは30〜50である。なお、バインダー樹脂(C)として樹脂エマルションを用いる場合、バインダー樹脂(C)の含有量に溶剤(水等)の含有量は含まれない。
【0023】
シラスバルーン(A)と雲母(B)との重量比(A/B)は、1/2〜1/5が好ましく、さらに好ましくは1/3〜1/4である。
含有量及び重量比がこれらの範囲であると、遮熱効果がさらに良好となる。
【0024】
本発明のエマルション塗料には、さらに造膜助剤(D)を含有することが好ましい。造膜助剤を含有すると、遮熱効果及び遮音効果がさらに良好となる。造膜助剤(D)は、大部分の水が蒸発した後も塗膜中に残って、エマルション粒子同士の融合を促進させる機能を有し、さらに、シラスバルーン(A)及び雲母(B)が沈降等により偏在することを防止する機能を有すると考えられる。
【0025】
造膜助剤(D)としては、沸点が少なくとも100℃の有機化合物等が含まれ、(ポリ)エチレングリコールアルキルエーテル、(ポリ)エチレングリコールアルキルエーテルカルボン酸エステル、(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールフェニルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテルカルボン酸エステル及びカルボン酸エステル等が使用できる。
【0026】
なお、「(ポリ)エチレン・・・」とは、「エチレン・・・」又は「ポリエチレン・・・」を意味し、「(ポリ)プロピレン・・・」は「プロピレン・・・」又は「ポリプロピレン・・・」を意味する。
【0027】
(ポリ)エチレングリコールアルキルエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及びジエチレングリコールモノヘキシルエーテル等が挙げられる。
【0028】
(ポリ)エチレングリコールアルキルエーテルカルボン酸エステルとしては、エチレングリコールエチルエーテルアセテート及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0029】
(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテルとしては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールペンチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル及びポリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
【0030】
(ポリ)プロピレングリコールフェニルエーテルとしては、プロピレングリコールフェニルエーテル及びジプロピレングリコールフェニルエーテル等が挙げられる。
【0031】
(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテルカルボン酸エステルとしては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート及びプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキサン酸エステル等が挙げられる。
【0032】
カルボン酸エステルとしては、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブタン酸エステル、プロピオン酸ペンチルエステル及びフタル酸ジブチルエステル等が挙げられる。
【0033】
これらの造膜助剤のうち、(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテルカルボン酸エステル及びカルボン酸エステルが好ましく、さらに好ましくは(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテル及びカルボン酸エステル、特に好ましくはプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールペンチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブタン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0034】
造膜助剤(D)を含有量する場合、造膜助剤(D)の含有量(重量%)は、シラスバルーン(A)、雲母(B)及びバインダー樹脂(C)の重量に基づいて、2〜30が好ましく、さらに好ましくは6〜20、特に好ましくは8〜15である。この範囲であると、遮熱効果がさらに良好となる。
なお、冬季等の寒い環境で使用する場合、造膜助剤(D)は多目に{およそ10〜20重量%増量して}使用し、逆に、夏季等の暖かい環境で使用する場合、造膜助剤(D)は少な目に{およそ10〜20重量%減量して}使用することが好ましい。
【0035】
本発明のエマルション塗料に含有する水は、バインダー樹脂(B)として用いた樹脂エマルションに含まれる水以外に、さらに水を含有させてもよい。
本発明のエマルション塗料に含有する水の含有量(重量%){樹脂エマルションに含まれる水を含む。}は、シラスバルーン(A)、雲母(B)及びバインダー樹脂(C)の重量に基づいて、30〜170が好ましく、さらに好ましくは40〜120、特に好ましくは50〜80である。この範囲であると、遮熱効果がさらに良好となる。
【0036】
本発明のエマルション塗料には、塗料としての各種機能を付与させるために、さらにその他の添加剤{顔料、染料、消泡剤、レベリング剤、粘弾性調整剤(増粘剤及び減粘剤等)、分散剤、防かび剤、防腐剤、紫外線吸収剤、沈降防止剤、防錆剤、つや消し剤及び酸化防止剤等}を含有させてもよい。
【0037】
本発明のエマルション塗料は、シラスバルーン(A)、雲母(B)及びバインダー樹脂(C)、並びに造膜助剤(D)、水及び/又はその他の添加剤を均一混合することにより容易に得られる。
均一混合の方法は、公知のエマルション塗料を得る方法と同様である。
【0038】
本発明のエマルション塗料は、セラミック、ガラス、磁器、陶器、コンクリート、金属、木材、プラスチックス及びこれらの複合体等に適用でき、建築用の折板、トタン板、瓦棒、スレート、ACL板、コンクリート及びカラーベスト等や産業用のダクト配管、サイロ、貯蔵タンク、制御盤、配電盤、コンテナ、保冷車、冷凍車及びその他熱が発生する装置(洗浄機等)等に好適である。
塗装に際しては、基材に直接塗装することもできるし、何らかの表面処理(シーラー、サーフェーサー又はフィラー等による下地処理等)を施した上に塗装することができる。
【0039】
塗装方法としては、ハケ塗り、カーテン塗装、スプレー塗装、ローラー塗装、ロールコーター、フローコーター塗装、浸漬塗装及びプレコート塗装等が適用できる。
塗装した塗膜は、自然乾燥又は低温度(およそ100℃以下)で強制乾燥させることができる。
【0040】
本発明の遮熱材は、以上のエマルション塗料を基材に塗布することにより得られる。
塗装方法及び乾燥法は、上記と同様である。塗装方法のうち、ハケ塗り、カーテン塗装、スプレー塗装及び浸漬塗装が好ましい。
【0041】
基材としては、織物、編物及び不織布からなる群より選ばれる少なくとも1種、メッシュフィルム(シートに微細な孔を数多く空けたもの)並びに板等が含まれる。これらのうち、織物、編物及び不織布からなる群より選ばれる少なくとも1種、並びに板が好ましく、さらに好ましくは織物、編物及び不織布からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0042】
基材の材質としては、合成樹脂{ナイロン、ビニロン、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン及びポリウレタン等}、天然物{植物繊維(綿及び麻等)、動物繊維(ウール、シルク、モヘヤ、カシミア、キャメル、ラマ及びアンゴラ等)及び鉱物繊維(アスベスト等)}、セラミック、ガラス、磁器、陶器、コンクリート、金属、木材、紙及びこれらの複合体等が挙げられる。これらのうち、合成樹脂、天然物、セラミック、ガラス及び木材が好ましく、さらに好ましくは天然物、セラミック及び木材、特に好ましくは天然物及び木材、最も好ましくは植物繊維である。
【0043】
本発明の遮熱材は、自動車用遮熱材{屋根、ドア又はボンネット等の遮熱材}、土木・建築用遮熱材{トンネル、屋根又は壁等の遮熱材}、配管用遮熱材{ダクト配管、熱媒配管及び水道管等の遮熱材}、保存庫用遮熱材{サイロ、貯蔵タンク、コンテナ、冷蔵庫、冷凍庫、保冷車又は冷凍車等の遮熱材}、電装用遮熱材{制御盤、配電盤又は電子機器等の遮熱材}及びその他熱が発生する装置(洗浄機等)用の遮熱材として好適である。
【0044】
なお、遮熱材は、高温度を遮蔽する場合であっても、低温度を遮蔽する場合であってもよい。また、本発明の遮熱材は、遮音効果や防水効果も併せ持つため、これらの効果及びこれらの複合効果が要求される用途にも適用できる。
【実施例】
【0045】
以下、特記しない限り、部は重量部を、%は重量%を意味する。
<実施例1>
シラスバルーン(A1){ウインライトMSB−5011、株式会社アクシーズケミカル、平均粒子径70μm}10部、雲母(B1){100MESH、株式会社東京興業貿易商会}40部、バインダー樹脂(C1){プライマルB−15B、ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社、アクリルエマルション、固形分46%}108.7部及び水21.3部を均一混合して、本発明のエマルション塗料(1)を得た。
【0046】
<実施例2>
実施例1で得たエマルション塗料(1)170部及び造膜助剤(D1){ダルパッドD、ダウケミカル株式会社、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル}8部を均一混合して、本発明のエマルション塗料(2)を得た。
【0047】
<実施例3>
シラスバルーン(A1){ウインライトMSB−5011、株式会社アクシーズケミカル、平均粒子径70μm}15部、雲母(B2){A−11、株式会社山口雲母工業所、平均粒子径5μm}45部、バインダー樹脂(C1){プライマルB−15B、ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社、アクリルエマルション、固形分46%}87部及び水3部を均一混合して、本発明のエマルション塗料(3)を得た。
【0048】
<実施例4>
実施例3で得たエマルション塗料(3)150部及び造膜助剤(D1){ダルパッドD、ダウケミカル株式会社、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル}15部を均一混合して、本発明のエマルション塗料(4)を得た。
【0049】
<実施例5>
シラスバルーン(A2){トワナライトSYB−2000、豊和直株式会社、平均粒子径60μm}10部、雲母(B3){AB−25S、株式会社山口雲母工業所、平均粒子径24μm}60部、バインダー樹脂(C1){プライマルB−15B、ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社、アクリルエマルション、固形分46%}65.2部及び水14.8部を均一混合して、本発明のエマルション塗料(5)を得た。
【0050】
<実施例6>
実施例5で得たエマルション塗料(5)150部及び造膜助剤(D1){ダルパッドD、ダウケミカル株式会社、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル}15部を均一混合して、本発明のエマルション塗料(6)を得た。
【0051】
<実施例7>
シラスバルーン(A3){トワナライトSYB−0005、豊和直株式会社、平均粒子径40μm}8部、雲母(B4){A−31、株式会社山口雲母工業所、平均粒子径35μm}32部、バインダー樹脂(C1){プライマルB−15B、ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社、アクリルエマルション、固形分46%}130.4部及び水49.6部を均一混合して、本発明のエマルション塗料(7)を得た。
【0052】
<実施例8>
実施例7で得たエマルション塗料(7)220部及び造膜助剤(D1){ダルパッドD、ダウケミカル株式会社、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル}20部を均一混合して、本発明のエマルション塗料(8)を得た。
【0053】
<実施例9>
シラスバルーン(A3){トワナライトSYB−0005、豊和直株式会社、平均粒子径40μm}17部、雲母(B4){A−31、株式会社山口雲母工業所、平均粒子径35μm}51部、バインダー樹脂(C1){プライマルB−15B、ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社、アクリルエマルション、固形分46%}69.6部及び水2.4部を均一混合して、本発明のエマルション塗料(9)を得た。
【0054】
<実施例10>
実施例9で得たエマルション塗料(9)140部及び造膜助剤(D1){ダルパッドD、ダウケミカル株式会社、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル}6部を均一混合して、本発明のエマルション塗料(10)を得た。
【0055】
<実施例11>
シラスバルーン(A1){ウインライトMSB−5011、株式会社アクシーズケミカル、平均粒子径70μm}8部、雲母(B4){A−31、株式会社山口雲母工業所、平均粒子径35μm}70部、バインダー樹脂(C1){プライマルP−376、ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社、アクリルエマルション、固形分50%}44部及び水18部を均一混合して、本発明のエマルション塗料(11)を得た。
【0056】
<実施例12>
実施例11で得たエマルション塗料(11)140部及び造膜助剤(D1){ダルパッドD、ダウケミカル株式会社、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル}6部を均一混合して、本発明のエマルション塗料(12)を得た。
【0057】
<実施例13>
シラスバルーン(A4){トワナライトSYB−1000S、豊和直株式会社、平均粒子径35μm}10部、雲母(B4){A−41S、株式会社山口雲母工業所、平均粒子径45μm}30部、バインダー樹脂(C2){プライマルP−376、ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社、アクリルエマルション、固形分50%}120部及び水60部を均一混合して、本発明のエマルション塗料(13)を得た。
【0058】
<実施例14>
実施例13で得たエマルション塗料(13)220部及び造膜助剤(D1){ダルパッドD、ダウケミカル株式会社、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル}20部を均一混合して、本発明のエマルション塗料(14)を得た。
【0059】
<実施例15>
シラスバルーン(A5){ウインライトMSB−5021、株式会社アクシーズケミカル、平均粒子径80μm}20部、雲母(B5){A−41S、株式会社山口雲母工業所、平均粒子径45μm}40部、バインダー樹脂(C3){プライマルR−225、ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社、アクリルエマルション、固形分38%}105.3部、造膜助剤(D3){キョウワノールM、協和発酵ケミカル株式会社、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート}30部及び水104.7部を均一混合して、本発明のエマルション塗料(15)を得た。
【0060】
<実施例16>
シラスバルーン(A6){トワナライトSYB−5005、豊和直株式会社、平均粒子径100μm}5部、雲母(B6){A−51、株式会社山口雲母工業所、平均粒子径50μm}25部、バインダー樹脂(C3){プライマルR−225、ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社、アクリルエマルション、固形分38%}184.2部、造膜助剤(D2){スマックMP−40、花王株式会社、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル}30部及び水5.8部を均一混合して、本発明のエマルション塗料(16)を得た。
【0061】
<実施例17>
シラスバルーン(A6){トワナライトFTB、豊和直株式会社、平均粒子径14μm}10部、雲母(B2){A−11、株式会社山口雲母工業所、平均粒子径5μm}20部、バインダー樹脂(C3){プライマルR−225、ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社、アクリルエマルション、固形分38%}184.2部、造膜助剤(D1){ダルパッドD、ダウケミカル株式会社、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル}2部及び水5.8部を均一混合して、本発明のエマルション塗料(17)を得た。
【0062】
<実施例18>
シラスバルーン(A2){トワナライトSYB−2000、豊和直株式会社、平均粒子径60μm}5部、雲母(B4){A−31、株式会社山口雲母工業所、平均粒子径35μm}75部、バインダー樹脂(C1){プライマルB−15B、ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社、アクリルエマルション、固形分46%}43.5部、造膜助剤(D1){ダルパッドD、ダウケミカル株式会社、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル}20部及び水6.5部を均一混合して、本発明のエマルション塗料(18)を得た。
【0063】
<比較例1>
XOL-200(アルミノシリケート多空隙球体、Sphere One, Inc.、比重0.25g/cc、平均粒子径60μm、粒子径範囲10〜210μm、分解温度1700℃、「EXTENDOSPHERES」はキューピー・コーポレーションの登録商標)14.8部、二酸化チタン(JR−600A、テイカ株式会社、ルチル型酸化チタン、平均粒子径0.25μm、比重4.1、吸油量19g/100g)19.5部、アクリルエマルション樹脂{プライマルB−15B、ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社、アクリルエマルション、固形分46%}60.7部、分散剤{ノプコスパース44−C、サンノプコ株式会社、ポリカルボン酸ナトリウム塩、40%}2部、粘着剤{ニチゴーポリスターWR−906、日本合成化学工業株式会社}0.8部、溶剤{ブチルセルソルブ、小原化学塗料株式会社、エチレングリコ−ルモノブチルエ−テル}2.2部及び水10部を均一混合して、比較用のエマルション塗料(H)を得た。
【0064】
実施例1〜18及び比較例1で得たエマルション塗料(1)〜(18)及び(H)を用いて、遮熱効果1及び遮音効果を評価し、その結果を表1に示した。
<遮熱効果1>
ケイ酸カルシウム板(軽カル板;厚さ5mm)を用いて、高さ170mm×幅280mm×奥行190mm(外寸)の容器(側板、底板からなり、天板のない容器)を作成し、幅方向を2分するようにして、軽カル板で間仕切りし、2部屋持つ容器を得た。ついで、容器の内面の全てに厚さ10mmの発泡スチロール板を張り付けた後(間仕切りの両面にも発泡スチロールを貼り付けた。)、2部屋それぞれの中央に電球(100V、90W、シリカ球)を設置して、遮熱効果評価装置を調製した(上部は開放されている。)。
【0065】
鋼板(SS−41;190mm×137.5mm×厚さ2.3mm)に、評価塗料を乾燥厚で0.8mmになるように重ね塗りし、約25℃で12時間乾燥させて、評価用鋼板を得た。
そして、遮熱効果評価装置の2つの部屋のうち、一つの部屋の開放部(上部)を評価用鋼板で塞ぎ、また、他一つの部屋の開放部(上部)を鋼板(評価塗料を塗布していない鋼板;ブランク鋼板)で塞いだ。なお、評価用鋼板とブランク鋼板との間は5mmの間隔を空けた。ついで、25℃の室内において、遮熱評価装置内の電球を点灯させて、30分後に、評価用鋼板中央部から垂直に15cm上方の温度(a)と、ブランク鋼板中央部から垂直に15cm上方の温度(b)とを温度計(シンワ測定株式会社)で測定し、これらの温度の差(b−a)を遮熱効果とした。
【0066】
<遮音効果>
床下地用合板(15mm×910mm×1820mm)から、48.5cm×48.5cmの側板及び50cm×50cmの天板を切り出し、これらを組み合わせて、50cm×50cm×50cm(外寸)の木箱20個を作成し、板と板との結合部分に浴室用シリコーンコーキング剤で目止めした。木箱の開放部に、5cm×47cm×47cmのスポンジを貼り付けた底板(50cm×50cm)で、スポンジが木箱内に入るようにして蓋をした。
ついで、木箱の外壁面に、評価塗料を乾燥厚で0.8mmになるように重ね塗りし、約25℃で2日間乾燥して、評価用木箱を得た。
【0067】
評価用木箱内のスポンジの上に、静かな部屋にいる評価者(何の音が聞こえるか知らされていない。)に電話をかけ放しにした携帯電話を乗せた後、評価用木箱を再び密閉状態にし、ピアノ、ドラム及びトランペット等の楽器がある室内に置いた。そして、ピアノを引いて、静かな部屋にいる評価者に、ピアノの音が聞こえるかどうかを次の評価基準により、評価させた。
【0068】
◎ 時々、音が聞こえるが何の音であるのか全く判らない
○ 音が聞こえるが何の音であるのか断言できない
△ ピアノの音が聞こえるが曲名が判るほどではない
× よく聞こえ、曲名が判る
【0069】
【表1】



【0070】
ブランクは、評価塗料を塗らなかったこと以外、実施例及び比較例の塗料と同様にして評価した。
本発明のエマルション塗料は、比較用のエマルション塗料や何もしなかった場合(ブランク)に比較して、遮熱効果及び遮音効果が著しく優れていた。
【0071】
<実施例19>
基材(1){日本不織布株式会社製不織布、スプリトップSP−1150E、ポリプロピレン・スパンボンド不織布、20cm×20cm、厚み0.68mm}に、実施例1で得たエマルション塗料(1)を乾燥厚で0.4mmになるようにラスターハケで塗布し、約25℃で12時間乾燥させて、本発明の遮熱材(1)を得た。
なお、乾燥厚は、基材(1)の厚みと共に塗膜の厚みをマイクロメーター(株式会社ミツトヨ)で測定し、予め測定しておいた基材(1)の厚みを差し引くことにより算出した。
【0072】
<実施例20〜24>
エマルション塗料(1)をエマルション塗料(2)〜(6)のいずれかに変更したこと以外、実施例19と同様にして、本発明の遮熱材(2)〜(6)を得た。
【0073】
<実施例25>
基材(2){日本不織布株式会社製不織布、スプリトップSP−1100E、ポリプロピレン・スパンボンド不織布、20cm×20cm、厚み0.52mm}に、実施例7で得たエマルション塗料(7)を乾燥厚で0.4mmになるようにラスターハケで塗布し、約25℃で12時間乾燥させて、本発明の遮熱材(7)を得た。
【0074】
<実施例26〜32>
エマルション塗料(7)をエマルション塗料(8)〜(14)のいずれかに変更したこと以外、実施例25と同様にして、本発明の遮熱材(8)〜(14)を得た。
【0075】
<実施例33>
基材(3){佐野屋糸業株式会社製生地、生地No.0888、綿100%、20cm×20cm、厚み約0.7mm}に、実施例15で得たエマルション塗料(15)を乾燥厚で0.4mmになるようにラスターハケで塗布し、約25℃で12時間乾燥させて、本発明の遮熱材(15)を得た。
【0076】
<実施例34〜36>
エマルション塗料(15)をエマルション塗料(16)〜(18)のいずれかに変更したこと以外、実施例33と同様にして、本発明の遮熱材(16)〜(18)を得た。
【0077】
<比較例2>
エマルション塗料(1)をエマルション塗料(H)に変更したこと以外、実施例19と同様にして、比較用の遮熱材(H1)を得た。
【0078】
<比較例3>
エマルション塗料(7)をエマルション塗料(H)に変更したこと以外、実施例25と同様にして、比較用の遮熱材(H2)を得た。
【0079】
<比較例4>
エマルション塗料(15)をエマルション塗料(H)に変更したこと以外、実施例33と同様にして、比較用の遮熱材(H3)を得た。
【0080】
実施例19〜36及び比較例2〜4で得た遮熱材(1)〜(18)及び(H1)〜(H3)を用いて、遮熱効果を評価し、その結果を表2に示した。
<遮熱効果2>
評価サンプル(遮熱材)を目開き8mmの金網(30cm×30cm)に載せて、金網の高さをアルコールランプの炎の先端が金網に触れるように調整し、評価サンプルを加熱した。加熱開始から1分後に、評価サンプルの炎と反対側の面から約1cmの地点(炎の真上付近)の温度をデジタル温度計で測定した。また、加熱開始から2分後に炎を消して、炎が触れていた面の状態を目視観察し、次の基準で判定した。
【0081】
◎ 加熱前後で変化が認められなかった
○ わずかに黒こげが認められた(黒こげ部分の強度は変化が認められなかった)
△ 黒こげ広くあり、こげの部分は簡単に崩れ落ちた
× 加熱開始とほぼ同時に燃え上がり、大きな穴が開いた
【0082】
なお、ブランクとして、基材(1)〜(3)をそのまま評価したが、加熱開始とほぼ同時に燃え上がり、大きな穴が開いた(×)ため、温度は未測定である。
【0083】
【表2】



【0084】
本発明の遮熱材は、比較用の遮熱材に比較して、遮熱効果が著しく優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シラスバルーン(A)、雲母(B)及びバインダー樹脂(C)を含有してなり、
シラスバルーン(A)、雲母(B)及びバインダー樹脂(C)の重量に基づいて、シラスバルーン(A)の含有量が5〜20重量%、雲母(B)の含有量が20〜75重量%、バインダー樹脂(C)の含有量が20〜70重量であって、
シラスバルーン(A)と雲母(B)との重量比(A/B)が1/2〜1/5であることを特徴とするエマルション塗料。
【請求項2】
さらに造膜助剤(D)を含有してなる請求項1に記載のエマルション塗料。
【請求項3】
造膜助剤(D)が、(ポリ)エチレングリコールアルキルエーテル、(ポリ)エチレングリコールアルキルエーテルカルボン酸エステル、(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールフェニルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテルカルボン酸エステル及びカルボン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載のエマルション塗料。
【請求項4】
造膜助剤(D)の含有量が、シラスバルーン(A)、雲母(B)及びバインダー樹脂(C)の重量に基づいて、2〜30重量%である請求項2又は3に記載のエマルション塗料。
【請求項5】
基材に、請求項1〜4のいずれかに記載のエマルション塗料を塗布してなることを特徴とする遮熱材。
【請求項6】
基材が織物、編物及び不織布からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載の遮熱材。
【請求項7】
基材が木材である請求項5に記載の遮熱材。

【公開番号】特開2008−248054(P2008−248054A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−90277(P2007−90277)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(507009087)トータル・マテリアル株式会社 (2)
【Fターム(参考)】