説明

エマルション水溶液の濾過装置

【課題】構造が簡略化されたエマルション水溶液の濾過装置の提供。
【解決手段】膜モジュール3と、1つの濾過濃縮タンク2と、濾過濃縮タンク内の液量を所定量に維持するための調整手段を有しており、前記膜モジュールと前記濾過濃縮タンクが、前記膜モジュールで生じた濃縮液を前記濾過濃縮タンクに返送するための返送パイプ14で接続されており、供給パイプ13の途中に濾過濃縮ポンプ22と前記濃縮液の一部を排出するため排出手段18が設けられており、前記調整手段が、原液供給ポンプ、濾過濃縮タンク内に供給されたエマルション水溶液の液量又は液性を検知することができる測定器との組み合わせからなる手段である、エマルション水溶液の濾過装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜を用いたエマルション水溶液の濾過装置と、膜を用いたエマルション水溶液の濾過方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機物エマルションを含む塗料等は、品質を高めるための精製乃至は濃縮処理、更には使用済みのエマルション水溶液の回収乃至は濃縮処理には、蒸発、沈殿等の方法のほか、限外濾過を使用する方法が知られている(特許文献1〜4)。
【0003】
特許文献1、2には、水溶性高分子エマルションを限外濾過膜で処理する方法が記載されており、特許文献3には、限外濾過膜等を用いて塗料を回収する方法が記載されており、特許文献4には、限外濾過膜等を用いた膜分離装置により、カチオン電着塗装で生じた廃水を処理する方法が記載されている。
【特許文献1】特開昭60−38004号公報
【特許文献2】特開昭60−68005号公報
【特許文献3】特開平9−66256号公報
【特許文献4】WO02/002212
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は、濃縮タンクから膜装置に原液を連続的に送って濾過して、濾過水は排出し、濃縮液は濃縮タンクに返送していた。この方法の場合には、濃縮タンクに原液を供給するため、濃縮タンク内の濃縮液を抜き出す必要があり、濃縮液を貯留するために濃縮液貯留タンクが必要であった。
【0005】
本発明は、装置の構成が簡略化され、高濃度の濃縮液を得ることができる、エマルション水溶液の濾過装置を提供することを課題とする。
【0006】
また本発明は、工数を簡略化することができ、高濃度の濃縮液を得ることができる、エマルション水溶液の濾過方法を提供することを他の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、
濾過水を排出するための手段を有する膜モジュールと、
前記膜モジュールに供給するエマルション水溶液を貯留する1つの濾過濃縮タンクと、
前記濾過濃縮タンク内の液量を所定量に維持するための調整手段を有している、エマルション水溶液を処理するための濾過装置であり、
前記膜モジュールと前記濾過濃縮タンクが、前記濾過濃縮タンク内の液を前記膜モジュールに送る供給パイプと、前記膜モジュールで生じた濃縮液を前記濾過濃縮タンクに送るための返送パイプとの組み合わせからなる循環ラインで接続されており、前記供給パイプの途中に濾過濃縮ポンプと前記濾過濃縮タンク内の液の一部を排出するため排出手段が設けられており、
前記調整手段が、
(a)前記濾過濃縮タンク内に所定量のエマルション水溶液を供給することができる原液供給ポンプ、
(b)前記濾過濃縮タンク内に供給されたエマルション水溶液の液量又は液性を検知することができる測定器、
との組み合わせからなる手段である、エマルション水溶液の濾過装置を提供する。
【0008】
請求項2の発明は、更にエマルション水溶液を貯留するための一次貯留タンクと、前記一次貯留タンク内のエマルション水溶液を前記濾過濃縮タンクに供給するための原液供給ポンプを有している、請求項1記載のエマルション水溶液の濾過装置を提供する。
【0009】
請求項3の発明は、更に前記膜モジュール内の膜を洗浄するための洗浄水を貯留するための洗浄水貯留タンクを有している、請求項1又は2記載のエマルション水溶液の濾過装置を提供する。
【0010】
本発明のエマルション水溶液の濾過装置は、濾過濃縮タンクから所定量のエマルション水溶液を膜モジュールに送り、膜モジュールにてエマルション水溶液を濾過し、生じた濾過水は排水し、濃縮液は濾過濃縮タンクに返送することができる。このため、膜モジュールと濾過濃縮タンク間にて循環濾過ができ、排水した濾過水に相当する減量分のエマルション水溶液だけを濾過濃縮タンクに補充すればよい。
【0011】
よって、従来のような濃縮液貯留タンクが不要となるので、構造を簡略化することができ、高濃度の濃縮液を得ることが容易になる。
【0012】
請求項4の発明は、膜によるエマルション水溶液の濾過方法であり、
運転開始前において、濾過濃縮タンクにエマルション水溶液を貯留する工程、
前記濾過濃縮タンクから膜モジュールに対して、所定量のエマルション水溶液を供給する工程、
前記膜モジュールにて、所定量のエマルション水溶液を濾過し、生じた濾過水を排水し、濃縮液を濾過濃縮タンクに返送する工程、
前記濾過濃縮タンク内のエマルション水溶液の減量を検知して、所定量のエマルション水溶液を補充する工程を有している、エマルション水溶液の濾過方法を提供する。
【0013】
請求項5の発明は、前記膜モジュール内の膜を逆圧洗浄する工程を有しており、逆圧洗浄に使用した洗浄排水を前記濾過濃縮液タンクに供給することで、前記濾過濃縮液タンク内のエマルション水溶液の減量分を補充する、請求項4記載のエマルション水溶液の濾過方法を提供する。
【0014】
請求項6の発明は、前記濃縮液に含まれているエマルション粒子を再利用する、請求項4〜6のいずれかに記載のエマルション水溶液の濾過方法を提供する。
【0015】
本発明のエマルション水溶液の濾過方法では、濾過濃縮タンクから所定量のエマルション水溶液を膜モジュールに送り、膜モジュールにてエマルション水溶液を濾過し、生じた濾過水は排水し、濃縮液は濾過濃縮タンクに返送する。このため、膜モジュールと濾過濃縮タンク間にて循環濾過ができ、排水した濾過水に相当する減量分のエマルション水溶液だけを濾過濃縮タンクに補充する。
【0016】
よって、従来のような濃縮液貯留タンクが不要となるので、工程を簡略化することができ、高濃度の濃縮液を得ることが容易になり、得られた濃縮液に含まれるエマルション粒子の再利用ができるようになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の濾過装置及び濾過方法によれば、従来は、濃縮タンクと濃縮液貯留タンクの2つのタンクが必要であったものを、1つのタンクにすることができる。よって、従来よりも簡略化された装置及び工程により、エマルション水溶液の濾過ができるようになる。
【0018】
更に本発明の濾過装置及び濾過方法により、エマルション水溶液を濾過処理することで、高濃度のエマルション粒子を含む濃縮液を効率よく得ることができる(即ち、消費エネルギー当たりのエマルション粒子の生成量を高くすることができる)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
<エマルション水溶液の濾過装置>
図1により、エマルション水溶液の濾過装置を説明する。図1は、濾過装置の概念図であり、濾過装置を使用した濾過方法の処理フローを示す図でもある。
【0020】
一次貯留タンク1と濾過濃縮タンク2、濾過濃縮タンク2と膜モジュール3、膜モジュール3と洗浄水タンク4、洗浄水タンク4と薬液タンク5は、それぞれが液を送るためのパイプで接続されている。
【0021】
一次貯留タンク1は、処理対象となるエマルション水溶液を貯留するためのもので、必要に応じて配置されるものである。一次貯留タンク1には、第1供給ライン11から、処理対象となるエマルション水溶液が供給され、貯留される。
【0022】
濾過濃縮タンク2は、運転開始前には、処理対象となるエマルション水溶液の所定量を貯留するものであり、一次貯留タンク1から第2供給ライン12を経て所定量のエマルション水溶液が供給される。一次貯留タンク1がないときは、直接外部から第2供給ライン12を経てエマルション水溶液が供給される。
【0023】
第2供給ライン12の途中には、原液供給ポンプ21と供給量センサー31が設置されている。供給量センサー31は、所定量のエマルション水溶液が濾過濃縮タンク2に供給されるようにするためのものである。
【0024】
本発明の装置では、一次貯留タンク1の容量が濾過濃縮タンク2の容量よりも大きいことが好ましく、より好ましくは一次貯留タンク1の容量が濾過濃縮タンク2の容量の1.5〜10倍である。
【0025】
濾過濃縮タンク2には、液量や液性を検知するためのセンサーを1又は2以上組み合わせて用いることができる。これらのセンサーにより、濾過濃縮タンク2内の液量を所定量に維持することができる。
【0026】
液量を検知するためのセンサーとしては、液面の位置を検知するための液面センサー等を挙げることができる。液性を検知するためのセンサーとしては、液濃度を検知するための濃度センサー、液濁度を検知するための濁度センサー、液濃度(液中の固形分量)の変化による透過光の屈折を検知するための屈折計、UVセンサー等を挙げることができる。
【0027】
図1では、前記調整手段として、濾過濃縮タンク2に液面センサー32と濃度センサー33が付設されている。
【0028】
膜モジュール3は、膜による濾過をするものであり、例えば、膜がモジュールケースに収容された公知の膜モジュールを用いることができる。膜は特に制限されず、中空糸膜、管状膜、チューブ状膜、平膜等を用いることができるが、中空糸膜が好ましい。膜素材は特に制限されず、公知の親水性材料からなる膜や疎水性材料からなる膜を用いることができるが、好ましくはセルロース系材料からなる膜である。セルロース系材料としては、酢酸セルロース、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、再生セルロース及びこれらの混合物から得られるものを挙げることができる。
【0029】
濾過濃縮タンク2内の液(運転開始時にはエマルション水溶液であり、運転開始後には濃縮液とエマルション水溶液の混合液となる)は、第3供給ライン13から、膜モジュール3に供給される。第3供給ライン13の途中には、濾過濃縮ポンプ22が設置されている。
【0030】
膜モジュール3と濾過濃縮液タンク2は、第3供給ライン13とは別に、第1返送ライン14と第2返送ライン15で接続されている。
【0031】
膜モジュール3で濾過された濾過水は、排水ライン16から排水され、濃縮液は、第1返送ライン14から濾過濃縮タンク2に返送される。濃縮液の一部は、第2返送ライン15から、第3供給ライン13から送られてきた液と共に、膜モジュール3に供給することができる。
【0032】
膜モジュール3は、逆圧洗浄ライン17により、洗浄水タンク4と接続されており、逆圧洗浄ライン17には、薬液タンク5が接続されている。逆圧洗浄ライン17の途中には、洗浄ポンプ23が設置されている。
【0033】
濾過濃縮タンク2内の液は、一部が濃縮液ライン18から排水され、回収される。各ラインにおける液の移動と停止は、開閉バルブ41〜46の開閉操作により行う。
【0034】
本発明の濾過装置では、濾過濃縮タンク2内の液の一部量のみを膜モジュール3に送って濾過する。この一部量は、濾過濃縮タンク2に付設された液面センサー32と濃度センサー33により検知される。
【0035】
運転を継続すると、濾過水の排水分だけ濾過濃縮タンク2内の液量が減少する。液量の減少は液面センサー32と濃度センサー33により検知され、原液供給ポンプ21が作動され、第2供給ライン12から不足分が補充される。このとき、供給量センサー31、液面センサー32、濃度センサー33の作用により、所定量のエマルション水溶液が供給される。
【0036】
<エマルション水溶液の濾過方法>
本発明のエマルション水溶液の濾過方法の一実施形態として、図1に示すエマルション水溶液の濾過装置を用いて濾過する方法について説明する。
【0037】
まず、一次貯留タンク1に対して、第1供給ライン11から、処理対象となるエマルション水溶液を供給し、貯留する。
【0038】
処理対象となるエマルション水溶液は特に制限されるものではないが、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を含有するエマルション型の接着剤や塗料又はこれらを含む排水を挙げることができる。
【0039】
上記熱可塑性樹脂としては、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、アクリル系接着剤、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマー、塩素化ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、プラスチゾル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリアミド、ナイロン、飽和無定形ポリエステル、セルロース誘導体を挙げることができる。
【0040】
上記熱硬化性樹脂としては、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レソルシノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ビニルウレタンを挙げることができる。
【0041】
本発明は、アクリル系ポリマー及び/又はメタクリル系ポリマーを含有するエマルション水溶液に適用することが好適である。
【0042】
アクリル系ポリマーは、アクリル酸又はその誘導体のホモポリマー又はコポリマー、前記アクリル酸又はその誘導体と共重合可能な他のモノマーとのコポリマー、前記ホモポリマーやコポリマーと他のポリマーとの混合物である。
【0043】
アクリル酸の誘導体としては、アクリル酸エステル(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等)、アクリル酸アミド、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル等を挙げることができる。
【0044】
メタクリル系ポリマーは、メタクリル酸又はその誘導体のホモポリマー又はコポリマー、前記メタクリル酸又はその誘導体と共重合可能な他のモノマーとのコポリマー、前記ホモポリマーやコポリマーと他のポリマーとの混合物である。
【0045】
メタクリル酸の誘導体としては、メタクリル酸エステル(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等)、メタクリル酸アミド、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル等を挙げることができる。
【0046】
アクリル酸又はその誘導体とメタクリル酸又はその誘導体と共重合可能なモノマーとしては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル等のビニル系モノマー(ビニル基含有モノマー)を挙げることができる。
【0047】
前記他のポリマーとしては、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン等を挙げることができる。
【0048】
エマルション水溶液の固形分濃度は、0.1〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.3〜5質量%、更に好ましくは0.3〜3質量%である。
【0049】
次に、原液供給ポンプ21を作動させ、第2供給ライン12から、一次貯留タンク1内のエマルション水溶液を濾過濃縮タンク2に供給する。このときの供給量は、供給量センサー31、液面センサー32、濃度センサー33により調整する。
【0050】
次に、濾過濃縮ポンプ22を作動させ、開閉バルブ41が開放された状態の第3供給ライン13から、濾過濃縮タンク2内のエマルション水溶液の所定量(濾過濃縮タンク2内の一部量)を膜モジュール3に供給して、濾過する。このとき、開閉バルブ43、44は閉じられている。
【0051】
膜モジュール3の濾過により生成した濾過水は、排水ライン16から排水し、濃縮液は、開閉バルブ42が開放された状態の第1返送ライン14から、濾過濃縮液タンク2に返送する。この段階で、濾過濃縮液タンク2内は、濾過前のエマルション水溶液と返送された濃縮液の混合液となる。
【0052】
濾過濃縮液タンク2内の混合液は、同様にして所定量(濾過濃縮タンク2内の一部量)を第3供給ライン13から膜モジュール3に供給し、濾過する。濾過水は排水ライン16から排水し、濃縮液は第1返送ライン14から、濾過濃縮液タンク2に返送する。
【0053】
このようにして濾過濃縮液タンク2と膜モジュール3の間で循環濾過を繰り返していくと、排水された濾過水の総量分だけ、濾過濃縮液タンク2内の液量が減少する。この減少量が所定量になった時点を、液面センサー32と濃度センサー33により検知する。そして、原液供給ポンプ21を作動させ、第2供給ライン12から、一次貯留タンク1内のエマルション水溶液の所定量(前記減少量)を濾過濃縮タンク2に供給する。この場合の供給量は、供給量センサー31、液面センサー32、濃度センサー33により調整し、所定量になった時点で原液供給ポンプ21を停止する。
【0054】
このようにして、濾過濃縮液タンク2と膜モジュール3の間で循環濾過と、一次貯留タンク1からのエマルション水溶液の補充を繰り返しながら、濾過運転を継続する。
【0055】
濾過運転を継続して行くと、濾過濃縮タンク2内の濃度が高くなるため、開閉バルブ41を閉じ、開閉バルブ44を開放した状態で濾過濃縮ポンプ22を作動させ、濃縮液引抜ライン18から濃縮液を抜き出す。この場合は、抜き出した濃縮液の分だけ、一次貯留タンク1からエマルション水溶液を補充する。このとき、予め空気供給ライン19から空気を供給して、膜モジュール3や膜モジュール3に接続された各ライン内に通気して、滞留している濃縮液を濃縮液引抜ライン18から排水してもよい。
【0056】
また、濾過運転を継続して行くと膜モジュール3内の膜に目詰まりが生じて濾過性能が低下するため、適当間隔にて逆圧洗浄する。逆圧洗浄は、開閉バルブ45を開放し、開閉バルブ42、46を閉じた状態で、洗浄ポンプ23を作動させ、洗浄タンク4内の洗浄水を逆圧洗浄ライン17から膜モジュール3に送って洗浄する。洗浄水には、薬液タンク5から、次亜塩素酸ナトリウム水溶液等の薬液を混入させることができる。
【0057】
洗浄排水は、濃縮液引抜ライン18から排水してもよいが、第2返送ライン15と第1返送ライン14から濾過濃縮タンク2に送ることが好ましい。この場合は、装置外にエマルションを排出しないため、効率的である。なお、薬液を含有する洗浄水を使用した場合には、濃縮液引抜ライン18から排水することが好ましい。
【0058】
本発明の濾過方法では、従来必要であった濃縮液貯留タンクが不要になるため、処理フローを簡略化することができ、高濃度のエマルション水溶液を回収することができる。回収されたエマルション水溶液は、塗料等の原料として再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の濾過装置の概念図。
【符号の説明】
【0060】
1 一次貯留タンク
2 濾過濃縮タンク
3 膜モジュール
4 洗浄水タンク
5 薬液タンク
31 供給量センサー
32 液面センサー
33 濃度センサー




【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過水を排出するための手段を有する膜モジュールと、
前記膜モジュールに供給するエマルション水溶液を貯留する1つの濾過濃縮タンクと、
前記濾過濃縮タンク内の液量を所定量に維持するための調整手段を有している、エマルション水溶液を処理するための濾過装置であり、
前記膜モジュールと前記濾過濃縮タンクが、前記濾過濃縮タンク内の液を前記膜モジュールに送る供給パイプと、前記膜モジュールで生じた濃縮液を前記濾過濃縮タンクに送るための返送パイプとの組み合わせからなる循環ラインで接続されており、前記供給パイプの途中に濾過濃縮ポンプと前記濾過濃縮タンク内の液の一部を排出するため排出手段が設けられており、
前記調整手段が、
(a)前記濾過濃縮タンク内に所定量のエマルション水溶液を供給することができる原液供給ポンプ、
(b)前記濾過濃縮タンク内に供給されたエマルション水溶液の液量又は液性を検知することができる測定器、
との組み合わせからなる手段である、エマルション水溶液の濾過装置。
【請求項2】
更にエマルション水溶液を貯留するための一次貯留タンクと、前記一次貯留タンク内のエマルション水溶液を前記濾過濃縮タンクに供給するための原液供給ポンプを有している、請求項1記載のエマルション水溶液の濾過装置。
【請求項3】
更に前記膜モジュール内の膜を洗浄する洗浄水を貯留するための洗浄水貯留タンクを有している、請求項1又は2記載のエマルション水溶液の濾過装置。
【請求項4】
膜によるエマルション水溶液の濾過方法であり、
運転開始前において、濾過濃縮タンクにエマルション水溶液を貯留する工程、
前記濾過濃縮タンクから膜モジュールに対して、所定量のエマルション水溶液を供給する工程、
前記膜モジュールにて、所定量のエマルション水溶液を濾過し、生じた濾過水を排水し、濃縮液を濾過濃縮タンクに返送する工程、
前記濾過濃縮タンク内のエマルション水溶液の減量を検知して、所定量のエマルション水溶液を補充する工程を有している、エマルション水溶液の濾過方法。
【請求項5】
前記膜モジュール内の膜を逆圧洗浄する工程を有しており、逆圧洗浄に使用した洗浄排水を前記濾過濃縮液タンクに供給することで、前記濾過濃縮液タンク内のエマルション水溶液の減量分を補充する、請求項4記載のエマルション水溶液の濾過方法。
【請求項6】
前記濃縮液に含まれているエマルション粒子を再利用する、請求項4〜6のいずれかに記載のエマルション水溶液の濾過方法。





【図1】
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【公開番号】特開2008−183470(P2008−183470A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−16271(P2007−16271)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(594152620)ダイセン・メンブレン・システムズ株式会社 (104)
【Fターム(参考)】