説明

エマルジョンポリマーの製造法

本発明はコアシェル構造を有するエマルジョンポリマー粒子の製造法、ならびに塗料、ペーパーコーティング、フォームおよび化粧品におけるその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコアシェル構造を有するエマルジョンポリマー粒子の製造法、ならびに塗料、ペーパーコーティング、フォーム(Schaeume)および化粧品におけるその使用に関する。
【0002】
有機中空粒子はコアシェル粒子の特殊な一種であり、それは乾燥した形で硬質の外被(Huelle)によって囲まれた、空気で満たされた空洞からなる。この構造に基づき該粒子は光を散乱させるという特殊な性質を有し、そのことによって塗料、ペーパーコーティングにおける、および化粧品、例えばサンクリーム(Sonnencreme)における白色顔料としてのそれらの使用に根拠が見出される。そこでそれらは無機白色顔料の二酸化チタンの代わりに用いられ、かつ残留するTiOの効果を付加的に強める。
【0003】
C.J.McDonaldおよびM.J.Devonは、Advances in Colloid and Interface Science 2002, 99, 181〜213の中で、これらの中空粒子の多数の可能性、例えば特に有機溶剤または発泡剤による膨潤、炭化水素の封入またはW/O/Wエマルジョンをベースとするアプローチを記載している。しかしながら自然環境的な理由のみならずまた経済的な理由からも好ましい方法は、特定のコアシェル粒子の浸透膨潤である。
【0004】
EP22633はこのプロセスを本質的なものとして記載する。第1の段階において重合性酸、例えばアクリル酸またはメタクリル酸15〜70%からなる親水性コアが製造され、それは引き続き非イオン性モノマー、例えばスチレン>90%からなる硬質の疎水性コアで覆われる。コアシェル粒子の完成後、これは外被のガラス転移点の温度またはそのガラス転移点を上回る温度でアンモニアまたは他の揮発性塩基により膨張させられる。
【0005】
EP915108、EP959176、EP404184、US5,360,827ならびにWO00/68304は上記のプロセスの改良点を記載する。膨張を容易にするために外被はモノマーもしくは有機溶剤の添加によって軟質にされ、膨張が生じた後にこの可塑剤はラジカル開始剤の添加によって、反応消費によって容易に系から除去されえ、もしくは系に残留する。しかしながら可塑剤としてのモノマーの使用はある一定の条件と結び付けられている。それらに内在する反応性に基づき反応が予定より早く起きることが絶対に阻止されなければならず、すなわちモノマーの著しい反応が生じてはならない。このための措置として、ラジカル開始剤の完全な反応消費、膨張温度の低下ならびに重合禁止剤または還元剤の添加の終了を待つことが教示される。
【0006】
しかしながらこの処理方法はいくつかの欠点と結び付いている。待機時間によって延びたサイクルタイムを受け入れなければならないのみならず、従来のプロセスと比較して必要とされるより低い膨張温度に基づきモノマーの可塑効果およびそれによるTg低下を完全には利用することができない。しかしながら最も深刻な副次的な作用を重合禁止剤の使用が抱えている。それというのもこれらは不可避的にモノマーの最終的な減損を抑える働きをするからである。これにより状況によってはモノマーの最大濃度が膨張の所望された時点に達するのではなく、むしろ後になって初めて、機械的安定性に寄与するさらに他の外被が施与される時に達することとなり、このことにより外被は不安定なものへと脆弱化されかつ最も不利なケースにおいては塑性流動による溶解によってその全体的な破壊につながりうる。
【0007】
それゆえ本発明の課題は、従来技術の方法の欠点が回避されかつ膨張の時点で高いモノマー濃度を有するエマルジョンポリマー粒子のための、殊に有機中空粒子のための製造法を発展させることであった。
【0008】
課題は本発明に従って、
i)シード(Saat)
ii)そのつどシードと同様また膨張シード(Quellsaat)も包含するコア段階ポリマー(Kernstufenpolymer)の全質量に対して、少なくとも1つの非イオン性エチレン性不飽和モノマー0〜100質量%と少なくとも1つのモノエチレン性不飽和親水性モノマー0〜40質量%とを含有する膨張シード
iii)少なくとも1つの非イオン性エチレン性不飽和モノマー85〜99.9質量%と少なくとも1つの親水性モノエチレン性不飽和モノマー0.1〜15質量%とを含有する第1のシェル
iv)少なくとも1つの非イオン性エチレン性不飽和モノマー85〜99.9質量%と少なくとも1つの親水性モノエチレン性不飽和モノマー0.1〜15質量%とを含有する第2のシェル
v)181℃より小さい、有利には95℃より小さい天井温度(Ceiling Temperature)を有する少なくとも1つの可塑剤モノマー(Weichmachermonomer)
vi)そのようにして形成された粒子の、塩基による少なくとも7.5のまたは有利には8より大きいpH値までの中和、
vii)少なくとも1つの非イオン性エチレン性不飽和モノマー90〜99.9質量%と少なくとも1つの親水性モノエチレン性不飽和モノマー0.1〜10質量%とを含有する第3のシェル
viii)ならびに場合により、少なくとも1つの非イオン性エチレン性不飽和モノマーと少なくとも1つの親水性モノエチレン性不飽和モノマーとを含有するさらに他のシェル
を含有する多段階エマルジョンポリマーを包含する水性エマルジョンの製造によってエマルジョンポリマー粒子を製造する方法によって解決された。
【0009】
本発明のさらに他の一対象は、本発明に従って製造されたエマルジョンポリマーの、塗料、ペーパーコーティング、フォームおよび化粧品における使用である。
【0010】
本発明の一利点は、段階(iv)においてその天井温度(Frieder Vieweg & Sohn Verlagsgesellschaft mbH, Braunschweig/Wiesbaden, 1997)が膨張温度を下回るモノマーまたは−その極端なケースとして−熱力学的な理由からホモポリマーを形成することができないモノマーが使用される場合、従来技術の欠点が回避されえかつ膨潤が重合禁止剤または還元剤を添加することなく開始剤の残量の存在下においてすら可能であるという点にある。
【0011】
記載される発明は、多段階の連続して起こるエマルジョン重合である。連続して起こる、とは個々の段階の実施を指し、その際、個々のどの段階もいくつかの連続して起こる工程から構成されていてよい。
【0012】
"シード"という概念は、多段階重合の開始時に使用されかつエマルジョン重合からの生成物である水性ポリマー分散液を指すか、または中空粒子分散液を製造するための重合段階の最終時に、最後の段階を除いて存在する水性ポリマー分散液を指してもよい。
【0013】
第1の段階の重合の開始時に使用されるシードはin situでも製造されえ、かつ有利にはアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸およびメタクリ酸のエステルまたはその混合物からなる。殊に有利なのは、n−ブチルアクリレート、メチルメタクリレートおよびメタクリル酸とからの混合物である。
【0014】
シードポリマーの平均粒度は、非膨張状態において40〜100nm、有利には60〜90nmである。
【0015】
膨張シードは、非イオン性エチレン性不飽和モノマー0〜100質量%、有利には55〜80質量%とモノエチレン性不飽和親水性モノマー0〜45質量%、有利には20〜35質量%とを含有する。
【0016】
膨張シード(ii)対シードポリマー(i)の質量比は2:1〜50:1、有利には2:1〜30:1である。シード(i)と膨張シード(ii)とからなるコア段階ポリマーの非膨張状態における平均粒度は100〜400nm、有利には100〜250nmである。
【0017】
Foxの式(John Wiley & Sons Ltd., Baffins Lane, Chichester, England, 1997)に従って測定されたコア段階ポリマーのガラス転移点は−20℃から150℃の間にある。
【0018】
非イオン性エチレン性不飽和モノマーは、スチレン、ビニルトルエン、エチレン、ブタジエン、ビニルアセテート、ビニルクロリド、ビニリデンクロリド、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸またはメタクリル酸の(C〜C20)アルキルエステルまたは(C〜C20)アルケニルエステル、メタクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、オレイルアクリレート、オレイルメタクリレート、パルミチルアクリレート、パルミチルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ヒドロキシル基を含有するモノマー、殊にC〜C10−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、リシノール酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、イコセン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、チムノドン酸、イワシ酸と理解される。
【0019】
モノエチレン性不飽和親水性モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルオキシプロピオン酸、メタクリルオキシプロピオン酸、アクリルオキシ酢酸、メタクリルオキシ酢酸、クロトン酸、アコニット酸、イタコン酸、モノメチルマレエート、マレイン酸、モノメチルイタコネート、無水マレイン酸、フマル酸、モノメチルフマレート、無水イタコン酸、イタコン酸モノメチルエステルと理解される。
【0020】
第1のシェル(iii)は、少なくとも1つの非イオン性エチレン性不飽和モノマー85〜99.9質量%、有利には90〜99.9質量%、ならびに少なくとも1つの親水性モノエチレン性不飽和モノマー0.1〜15質量%、有利には0.1〜10質量%を含有する。
【0021】
非イオン性エチレン性不飽和モノマーは、スチレン、ビニルトルエン、エチレン、ブタジエン、ビニルアセテート、ビニルクロリド、ビニリデンクロリド、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸またはメタクリル酸の(C〜C20)アルキルエステルまたは(C〜C20)アルケニルエステル、メタクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、オレイルアクリレート、オレイルメタクリレート、パルミチルアクリレート、パルミチルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ヒドロキシル基を含有するモノマー、殊にC〜C10−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、リシノール酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、イコセン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、チムノドン酸、イワシ酸、有利にはスチレン、アクリロニトリル、メタクリルアミド、メタクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートと理解される。
【0022】
モノエチレン性不飽和親水性モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルオキシプロピオン酸、メタクリルオキシプロピオン酸、アクリルオキシ酢酸、メタクリルオキシ酢酸、クロトン酸、アコニット酸、イタコン酸、モノメチルマレエート、マレイン酸、モノメチルイタコネート、無水マレイン酸、フマル酸、モノメチルフマレート、有利にはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、イタコン酸モノメチルエステルと理解される。
【0023】
第1のシェル(iii)はコア段階ポリマーを包含する。コア段階ポリマー対第1のシェル(iii)の質量比は20:1〜1:1、有利には10:1〜1:1であり、かつシェルポリマーは−60℃から120℃の間のFoxの式に従って測定されたガラス転移点を有する。
【0024】
この段階の粒度は、非膨張状態において120nm〜500nm、有利には150〜270nmである。
【0025】
第2のシェル(iv)は、少なくとも1つの非イオン性エチレン性不飽和モノマー85〜99.9質量%、有利には90〜99.9質量%と少なくとも1つの親水性モノエチレン性不飽和モノマー0.1〜15質量%、有利には0.1〜10質量%とを含有する。
【0026】
非イオン性エチレン性不飽和モノマーは、スチレン、ビニルトルエン、エチレン、ブタジエン、ビニルアセテート、ビニルクロリド、ビニリデンクロリド、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸またはメタクリル酸の(C〜C20)アルキルエステルまたは(C〜C20)アルケニルエステル、メタクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、オレイルアクリレート、オレイルメタクリレート、パルミチルアクリレート、パルミチルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ヒドロキシル基を含有するモノマー、殊にC〜C10−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、リシノール酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、イコセン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、チムノドン酸、イワシ酸、有利にはスチレン、アクリロニトリル、メタクリルアミド、メタクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートと理解される。
【0027】
モノエチレン性不飽和親水性モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルオキシプロピオン酸、メタクリルオキシプロピオン酸、アクリルオキシ酢酸、メタクリルオキシ酢酸、クロトン酸、アコニット酸、イタコン酸、モノメチルマレエート、マレイン酸、モノメチルイタコネート、無水マレイン酸、フマル酸、モノメチルフマレート、有利にはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、イタコン酸モノメチルエステルと理解される。
【0028】
第1のシェルは第2のシェルによって覆われ、かつ第1のシェル(iii)対第2のシェル(iv)の質量比は1:30〜1:1、有利には1:20〜1:1であり、かつシェルポリマーは50〜120℃のFoxに従って測定されたガラス転移点を有する。この段階の平均粒度は200nm〜1500nm、有利には250〜600nmである。
【0029】
(v)に記載された可塑剤モノマーは、例えばα−メチルスチレン、2−フェニルアクリル酸/アトロパ酸の(例えばメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル)のエステル、2−メチル−2−ブテン、2,3−ジメチル−2−ブテン、1,1−ジフェニルエテンまたはメチル−2−t−ブチルアクリレートならびにJ.Brandrup, E.H.Immergut, Polymer Handbook 3rd Edition, II/316ffに記載されたさらに他のモノマーと理解される。有利には、可塑剤モノマーとしてα−メチルスチレンが使用される。
【0030】
(vi)に記載された中和は、コアを膨張させるための塩基を用いて行われかつそれにより中空粒子が形成される。塩基として、例えばアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム;アンモニア;第1級アミン、第2級アミンおよび第3級アミン、例えばエチルアミン、プロピルアミン、モノイソプロピルアミン、モノブチルアミン、ヘキシルアミン、エタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、ジメトキシエチルアミン、2−エトキシエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、モルホリン、エチレンジアミン、2−ジエチルアミンエチルアミン、2,3−ジアミノプロパン、1,2−プロピレンジアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ネオペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,9−ジオキサドデカン−1,12−ジアミン、ポリエチレンイミンまたはポリビニルアミンが使用されうる。
【0031】
第3のシェル(vii)は、少なくとも1つの非イオン性エチレン性不飽和モノマー90〜99.9質量%、有利には95〜99.9質量%と少なくとも1つの親水性モノエチレン性不飽和モノマー0.1〜10質量%、有利には0.1〜5質量%とを含有する。
【0032】
非イオン性エチレン性不飽和モノマーは、スチレン、ビニルトルエン、エチレン、ブタジエン、ビニルアセテート、ビニルクロリド、ビニリデンクロリド、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸またはメタクリル酸の(C〜C20)アルキルエステルまたは(C〜C20)アルケニルエステル、メタクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、オレイルアクリレート、オレイルメタクリレート、パルミチルアクリレート、パルミチルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ヒドロキシル基を含有するモノマー、殊にC〜C10−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、リシノール酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、イコセン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、チムノドン酸、イワシ酸、有利にはスチレン、アクリロニトリル、メタクリルアミド、メタクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートと理解される。
【0033】
モノエチレン性不飽和親水性モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルオキシプロピオン酸、メタクリルオキシプロピオン酸、アクリルオキシ酢酸、メタクリルオキシ酢酸、クロトン酸、アコニット酸、イタコン酸、モノメチルマレエート、マレイン酸、モノメチルイタコネート、無水マレイン酸、フマル酸、モノメチルフマレート、有利にはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、イタコン酸モノメチルエステルと理解される。
【0034】
第3のシェルも第2のシェルを覆い、かつ第3のシェル対第2のシェルの質量比は5:1〜1:2、有利には3:1〜1:1であり、かつシェルポリマーは50〜120℃のFoxに従うガラス転移点を有する。
【0035】
本発明に従って製造されたポリマーが塗布(Anstrich)のために用いられる場合、最終平均粒度は300〜800nmであるのが望ましく、ペーパーでのおよび化粧用での適用のためには300〜2500nm、かつフォームでの適用のためには300〜800nmであるのが望ましい。
【0036】
塗布において使用される顔料、特にTiOは、ここに記載されたポリマー分散液と完全にまたは部分的に置き換えることができる。典型的にそのような塗料は、特に水、増粘剤、水酸化ナトリウム溶液、顔料分散剤、会合性増粘剤、抑泡剤、殺虫剤、結合剤、ならびにフィルム形成助剤(Filmbildenhilfsmittel)を含有する。
【0037】
中空粒子分散液は、フェノレートおよび尿素ホルムアルデヒドとメラミンホルムアルデヒドを含むアミノプラストを含む樹脂質の縮合生成物または他の縮合物、例えば水分散性アルキドからなる他のコーティングにおける似たような適用に関しても使用されうる。
【0038】
さらに、大きい中空粒子の高い割合と小さい中空粒子の比較的小さい割合とを有する記載された発明の多形態のヘテロポリマー(polymodale Heteropolymere)は、もっぱら白色顔料として使用されるのみならずまた小さい中空粒子の割合によって粘着性の特性も有しうる。
ペーパーコーティングにおける顔料の使用によりペーパーのつやは高まる。これは、無機顔料の場合とは異なって、加圧下で可塑性の外被に起因するものとみなされうる。ペーパー印刷品質も高められる。無機顔料とここに記載された有機顔料との交換によりコーティングの密度の低下およびそれにより比較的軽量のペーパーが生じる。
【0039】
化粧品において顔料は、例えば日焼け止めクリーム中で光防御を強化するために使用されうる。際立った光散乱特性によって、サンクリーム中のUV活性物質によってUV線を吸収する確率が高められる。
【0040】
ポリマーはエマルジョンポリマーの通常の重合法に従って製造されうる。有利には酸素の排除下で、有利には窒素流中で運転される。重合法のために、通常の装置、例えば攪拌槽、攪拌槽カスケード(Ruehrkesselkaskaden)、オートクレーブ、管型反応器および混練装置が使用される。重合は、溶媒または希釈剤、例えばトルエン、o−キシレン、p−キシレン、クメン、クロロベンゼン、エチルベンゼン、アルキル芳香族化合物の工業用混合物、シクロヘキサン、工業用脂肪族混合物、アセトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、グリコールおよびグリコール誘導体、ポリアルキレングリコールおよびそれらの誘導体、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、酢酸メチルエステル、イソプロパノール、エタノール、水または混合物、例えばイソプロパノール/水−混合物中で実施されうる。
【0041】
重合は20〜300の℃の、有利には50〜200℃の温度で実施されうる。
【0042】
重合は、有利にはラジカルを形成する化合物の存在下において実施される。重合に際して使用されるモノマーに対してこれらの化合物の30質量%まで、有利には0.05〜15質量%が、とりわけ有利には0.2〜8質量%が必要とされる。多成分の開始剤系(例えばレドックス開始剤系)の場合、前記の質量データは成分の合計に対する。
【0043】
適切な重合開始剤は、例えばペルオキシド、ヒドロペルオキシド、ペルオキソ二硫酸塩、過炭酸塩、ペルオキシエステル、過酸化水素およびアゾ化合物である。水溶性または非水溶性であってもよい開始剤のための例は、過酸化水素、ジベンゾイルペルオキシド、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、過酸化ジラウロイル、メチルエチルケトンペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルネオデカノエート、t−アミルペルピバレート、t−ブチルペルピバレート、t−ブチルペルネオヘキサノエート、t−ブチルペル−2−エチルヘキサノエート、t−ブチル−ペルベンゾエート、ペルオキソ二硫酸リチウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、アゾジイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリルおよび4,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)である。
【0044】
開始剤は単独でまたは互いに混合して使用されえ、例えば過酸化水素とペルオキソ二硫酸ナトリウムとからの混合物が使用されうる。水性媒体中での重合のために、有利には水溶性開始剤が使用される。
【0045】
公知のレドックス開始剤系も重合開始剤として使用されうる。そのようなレドックス開始剤系は少なくとも1つのペルオキシド含有化合物を、レドックス共開始剤、例えば還元作用を持つ硫黄化合物、例えばアルカリ金属の亜硫酸水素塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、亜二チオン酸塩および四チオン酸塩およびアンモニウム化合物との組み合わせにおいて含有する。そうしてペルオキソ二硫酸塩と亜硫酸水素アルカリ金属または亜硫酸水素アンモニウムとの組み合わせ、例えばペルオキソ二硫酸アンモニウムと二亜硫酸アンモニウムとが使用されうる。ペルオキシド含有化合物対レドックス共開始剤の量は30:1〜0.05:1である。
【0046】
開始剤もしくはレドックス開始剤系との組み合わせにおいて、付加的に遷移金属触媒、例えば鉄、コバルト、ニッケル、銅、バナジウムおよびマンガンの塩が使用されうる。適切な塩は、例えば硫酸鉄(II)、塩化コバルト(II)、硫酸ニッケル(II)、塩化銅(I)である。還元作用を持つ遷移金属塩はモノマーに対して0.1ppm〜1000ppmの濃度において使用される。そうして過酸化水素と鉄(II)塩との組み合わせ、例えば過酸化水素0.5〜30%とモール塩0.1〜500ppmとが使用されうる。
【0047】
有機溶媒中での重合に際しても、上記の開始剤との組み合わせにおいてレドックス共開始剤および/または遷移金属触媒、例えばベンゾイン、ジメチルアニリン、アスコルビン酸ならびに重金属、例えば銅、コバルト、鉄、マンガン、ニッケル、クロムの有機溶媒に溶ける錯体が併用されうる。通常用いられるレドックス共開始剤もしくは遷移金属触媒の量は、ここでは使用されるモノマーの量に対して通常約0.1〜1000ppmである。
【0048】
反応混合物が、重合のために考慮に入れられる温度領域の下限で初期重合し、引き続き比較的高い温度で完全に重合する場合、種々の温度で崩壊する少なくとも2つの異なる開始剤を使用することが目的に適っており、結果的にどの温度幅においても十分な濃度のラジカルが提供される。
【0049】
開始剤は段階中でも添加されえ、もしくは開始剤の添加の速度は規定外に変化してもよい。
【0050】
低平均分子量を有するポリマーを製造するために、共重合を調節剤の存在下において実施することがしばしば目的に適っている。このために通常の調節剤、例えば有機SH基を含有する化合物、例えば2−メルカプトエタノール、2−メルカプトプロパノール、メルカプト酢酸、t−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンおよびt−ドデシルメルカプタン、C〜C−アルデヒド、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ヒドロキシルアンモニウム塩、例えば硫酸ヒドロキシルアンモニウム、ギ酸、亜硫酸水素ナトリウム、次亜リン酸もしくはその塩またはイソプロパノール使用されうる。重合調節剤はモノマーに対して一般的に0.1〜20質量%の量で使用される。適切な溶媒の選択によっても平均分子量に影響を与えることができる。そうしてベンジル型H原子を有する希釈剤の存在下における、または第2級アルコール、例えばイソプロパノールの存在下における重合により、連鎖移動による平均分子量の減少が生じる。
【0051】
僅かなもしくは比較的僅かな分子量を有するポリマーは、温度および/または開始剤濃度および/またはモノマーの供給速度を変化させることによっても得られる。
【0052】
比較的高い分子量のコポリマーを製造するために、重合に際して架橋剤の存在下において運転することがしばしば目的に適っている。そのような架橋剤は、2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物、例えば少なくとも2価の飽和アルコールのジアクリレートまたはジメタクリレート、例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,2−プロピレングリコールジアクリレート、1,2−プロピレングリコールジメタクリレート、ブタンジオール−1,4−ジアクリレート、ブタンジオール−1,4−ジメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、3−メチルペンタンジオールジアクリレートおよび3−メチルペンタンジオールジメタクリレートである。2つを上回るOH基を有するアルコールのアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルも架橋剤として使用されえ、例えばトリメチロールプロパントリアクリレートまたはトリメチロールプロパントリメタクリレートが使用される。架橋剤のさらに他のクラスは、そのつど200〜9000の分子量を有するポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールのジアクリレートまたはジメタクリレートである。ジアクリレートまたはジメタクリレートの製造のために使用されるポリエチレングリコールもしくはポリプロピレングリコールは、有利にはそのつど400〜2000の分子量を有する。エチレンオキシドもしくはプロピレンオキシドのホモポリマー以外に、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとからのブロックコポリマーまたはエチレンオキシドとプロピレンオキシドとからのコポリマーも使用されえ、それらはエチレンオキシド単位およびプロピレンオキシド単位をランダムに分布して含有する。エチレンオキシドもしくはプロピレンオキシドのオリゴマーも、架橋剤、例えばジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレートおよび/またはテトラエチレングリコールジメタクリレートの製造のために適している。
【0053】
架橋剤としてさらに、ビニルアクリレート、ビニルメタクリレート、ビニルイタコネート、アジピン酸ジビニルエステル、ブタンジオールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ペンタエリトリットトリアリルエーテル、トリアリルサッカロース、ペンタアリルサッカロース、ペンタアリルスクロース、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジビニルエチレン尿素、ジビニルプロピレン尿素、ジビニルベンゼン、ジビニルジオキサン、トリアリルシアヌレート、テトラアリルシラン、テトラビニルシランおよびビス−またはポリアクリルシロキサン(例えばTh.Goldschmidt AGのTegomer(R))が適している。
【0054】
架橋剤は、有利には重合されるべきモノマーもしくは一段階の重合されるべきモノマーに対して0.1〜30質量%の量で使用される。架橋剤はどの段階でも添加してよい。
【0055】
さらに、ポリマー液滴もしくはポリマー粒子を界面活性助剤によって安定化させることが有利でありうる。典型的にはこのために乳化剤または保護コロイドが使用される。アニオン性、非イオン性、カチオン性および両性の乳化剤が考慮に入れられる。アニオン性乳化剤は、例えばアルキルベンゼンスルホン酸、スルホン化脂肪酸、スルホサクシネート、脂肪アルコールスルフェート、アルキルフェノールスルフェートおよび脂肪アルコールエーテルスルフェートである。非イオン性乳化剤として、例えばアルキルフェノールエトキシレート、第1級アルコールエトキシレート、脂肪酸エトキシレート、アルカノールアミドエトキシレート、脂肪アミンエトキシレート、EO/PO−ブロックコポリマーおよびアルキルポリグルコシドが使用されうる。カチオン性もしくは両性の乳化剤として、例えば第4級化アミンアルコキシレート、アルキルベタイン、アルキルアミドベタインおよびスルホベタインが使用される。
【0056】
典型的な保護コロイドは、例えばセルロース誘導体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキシドとプロピレングリコールとからのコポリマー、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、デンプンおよびデンプン誘導体、デキストラン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリエチレンイミン、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルサクシンイミド、ポリビニル−2−メチルサクシンイミド、ポリビニル−1,3−オキサゾリドン−2、ポリビニル−2−メチルイミダゾリンおよびマレイン酸もしくは無水マレイン酸を含有するコポリマーであり、例えばそれらはDE2501123の中で記載されている。
【0057】
通常、乳化剤または保護コロイドはモノマーに対して0.05〜20質量%の濃度で使用される。
【0058】
水溶液または希釈溶液中で重合される場合、モノマーは重合の前または重合中に全体的にまたは部分的に塩基によって中和されうる。塩基として、例えばアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム;アンモニア;第1級アミン、第2級アミンおよび第3級アミン、例えばエチルアミン、プロピルアミン、モノイソプロピルアミン、モノブチルアミン、ヘキシルアミン、エタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、ジメトキシエチルアミン、2−エトキシエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジイソプロパノールアミンまたはモルホリンが考慮の対象となる。
【0059】
さらに多塩基アミンも中和のために使用されえ、例えばエチレンジアミン、2−ジエチルアミンエチルアミン、2,3−ジアミノプロパン、1,2−プロピレンジアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ネオペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,9−ジオキサドデカン−1,12−ジアミン、ポリエチレンイミンまたはポリビニルアミンが使用されうる。
【0060】
有利には、重合前のまたは重合中のエチレン性不飽和カルボン酸の部分的なまたは完全な中和のために、アンモニア、トリエタノールアミンおよびジエタノールアミンが使用される。
【0061】
とりわけ有利には、エチレン性不飽和カルボン酸は重合前および重合中に中和されない。重合の実施は、多数の変法に従って連続的にまたは不連続的に実施されうる。通常、モノマーの一部は、場合により適切な希釈剤または溶媒中にかつ場合により乳化剤、保護コロイドまたはさらに他の助剤の存在下において装入され、不活性化され、かつ所望された重合温度に達するまで温度が高められる。しかしながら適切な希釈剤のみを装入してもよい。規定された時間内に、そのつど場合により希釈剤中におけるラジカル開始剤、さらに他のモノマーおよびそれ以外の助剤、例えば調節剤または架橋剤が計量供給される。供給時間は違った長さに選択してもよい。例えば、開始剤供給においてはモノマー供給におけるより長い供給時間を選択してよい。
【0062】
ポリマーが蒸気揮発性の溶媒または溶媒混合物中で製造される場合、溶媒は蒸気の導通によって分離されえ、そうして水溶液または分散液が獲得される。ポリマーは、有機希釈剤から乾燥処理によっても分離されうる。
【0063】
実験方法
ガラス転移点の測定
ガラス転移点を、Foxの式(John Wiley & Sons Ltd., Baffins Lane, Chichester, England, 1997)を用いた理論計算によって測定した。
【0064】
1/Tg=W/Tga+W/Tgb
[式中、TgaおよびTgb=ポリマー"a"および"b"のガラス転移点
およびW=ポリマー"a"および"b"の質量割合である]。
【0065】
粒度の測定
粒度の測定は、Coulter M4+(粒子アナライザー)によってまたはMalvern社のHPPS(高性能粒径測定装置(High Performance Particle Sizer))を用いた準光弾性光散乱または動的光散乱としても公知(ISO 13321−規格)の光子相関分光法によって、またはPolymer Labs社のPSDA(粒径分布アナライザー)を用いた流体力学的分別(Hydrodynamische Fraktionierung)によって行った。
【0066】
白色度の測定の実施
容器中に下記の着色ペースト(Farbpaste)6gと約30%の中空粒子分散液1gとを秤量して入れ、混合物を−空気の導入なしに−均質化した。200μmのドクターブレードを用いて0.9cm/秒の速度で、この混合物のフィルムを黒色のプラスチックシート(マット仕上げ、Article No.13.41 EG 870934001、Bernd Schwegmann GmbH & Co.KG,D)上に引き伸ばした。試料を23℃でかつ40〜50%の相対湿度で24時間乾燥させた。それに引き続き、登録商標"Minolta CM−508i"の分光光度計を用いて3つの異なる箇所の白色度を測定する。測定点には、後でマイクロメータースクリューを用いて着色シートの相応する層厚を未コーティングのプラスチックシートに対する示差測定によって測定するために印をつける。3つの個々の測定からの平均的な層厚ならびに平均的な白色度の算出後、最終的にその際に得られた白色度を50μmの乾燥層厚に対して線形外挿(lineare Extrapolation)によって標準化した。このために必要な校正は、約30〜60μmの乾燥層厚の領域における標準中空粒子分散液の白色度測定によって行った。
【0067】

着色ペーストの製造
A)容器中に水240gを装入し、その後に以下の使用物質を記載された順序で、約1000rpmで運転するディソルバーを用いて添加しかつ合計で約15分間、均質になるまで攪拌する:
Natrosol(R)250 HR(Hercules GmbH社のヒドロキシエチルセルロース−増粘剤)2.5g、10%の水酸化ナトリウム溶液1g、Pigmentverteiler(R)MD 20(BASF AG社のマレイン酸とジイソブチレンとからのコポリマー)6g、Collacral(R)LR 8990(BASF AG社のポリウレタン−会合性増粘剤)10g、Agitan(R)E 255(Muenzing Chemie GmbH社のシロキサン抑泡剤)3g、Proxel(R)BD 20(Avecia Inc社の殺虫剤)2g、Acronal(R)A 684(バインダー、BASF AG社の50%の分散液)370g、Taxanol(R)(Eastman Chemical Company社のフィルム形成助剤)20g、Agitan(R)E 255(Muenzing Chemie GmbH社のシロキサン抑泡剤)2g、5%のCollacral LR 8989(BASF AG社のポリウレタン−会合性増粘剤)10g。
【0068】
B)容器中に水250gを装入し、その後に以下の使用物質を記載された順序で、約1000rpmで運転するディソルバーを用いて添加しかつ合計で約15分間、均質になるまで攪拌する:
Natrosol(R)250 HR(Hercules GmbH社のヒドロキシエチルセルロース−増粘剤)2.5g、10%の水酸化ナトリウム溶液1g、Pigmentverteiler(R)MD 20(BASF AG社のマレイン酸とジイソブチレンとからのコポリマー)6g、Collacral(R)LR 8990(BASF AG社のポリウレタン−会合性増粘剤)10g、Agitan(R)E 255(Muenzing Chemie GmbH社のシロキサン抑泡剤)3g、Proxel(R)BD 20(Avecia Inc社の殺虫剤)2g、Kronos 2300 203g、Acronal(R)A 684(バインダー、BASF AG社の50%の分散液)370g、Taxanol(R)(Eastman Chemical Company社のフィルム形成助剤)20g、Agitan(R)E 255(Muenzing Chemie GmbH社のシロキサン抑泡剤)2g、5%のCollacral LR 8989(BASF AG社のポリウレタン−会合性増粘剤)10g、中空粒子分散液116g。
【0069】
分散液A(シード)
水230g、アリールスルホネート(15%)2.17g、n−ブチルアクリレート338g、メチルメタクリレート303.6gおよびメタクリル酸8.45gからプレエマルジョンを製造した。水2356g、アリールスルホネート(15%)32.0gならびにプレエマルジョン41.2gからなる装入物を、馬蹄形攪拌機、還流冷却器および2つの供給容器を備え付けた重合容器中で、窒素雰囲気において80℃の温度に加熱しかつ22.4%の過硫酸アンモニウムの溶液14gの添加後に15分間、初期重合した。次いでプレエマルジョンの残部を60分以内に80℃で計量供給した。引き続きさらに15分間、後重合しかつ20分以内に55℃に冷却した。残留モノマーを減損させるために、次いで10%のt−ブチルヒドロペルオキシドの溶液6.5gならびに5%のRongalit Cの溶液8.1gを反応混合物に添加し、30℃に冷却後に25%のアンモニアの溶液8.1gの添加によって分散液のpH値を調整した。
固体含有率:19.7%
pH値:2.6
粒度(AUZ、D50):47nm
【0070】
分散液B1(膨張核)
水1455g、分散液Aの63.2gからなる装入物を、馬蹄形攪拌機、還流冷却器および2つの供給容器を備え付けた重合容器中で、窒素雰囲気において79℃の温度に加熱しかつ2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液10gの添加後に5分間、初期重合した。次いで水262g、アリールスルホネート(15%)3.33g、Lutensit A−EP(酸の形、20%)20.75g、メチルメタクリレート186.6gおよびメタクリル酸124.4gからなるプレエマルジョン1を113分以内に79℃で計量供給した。それに引き続き水254g、アリールスルホネート(15%)2.67g、メチルメタクリレート187gおよびメタクリル酸2.05gからなるプレエマルジョン2を、2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液22gと一緒に67分以内に79℃で計量供給した。最終的にさらに30分間、後重合した。
固体含有率:19.9%
pH値:2.5
粒度(Autosizer):195nm
【0071】
分散液B2(膨張核)
水1455g、分散液Aの42.0gからなる装入物を、馬蹄形攪拌機、還流冷却器および2つの供給容器を備え付けた重合容器中で、窒素雰囲気において79℃の温度に加熱しかつ2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液10gの添加後に5分間、初期重合した。次いで水262g、アリールスルホネート(15%)3.33g、Lutensit A−EP(酸の形、20%)20.75g、メチルメタクリレート211.8gおよびメタクリル酸104.3gからなるプレエマルジョン1を113分以内に79℃で計量供給した。それに引き続き水254g、アリールスルホネート(15%)2.67g、メチルメタクリレート186gおよびメタクリル酸2.05gからなるプレエマルジョン2を、2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液22gと一緒に67分以内に79℃で計量供給した。最終的にさらに30分間、後重合した。
固体含有率:19.7%
pH値:2.9
粒度(Autosizer):211nm
【0072】
分散液B3(膨張核)
水1009gとAcronal A 508 28.7gとからなる装入物を、馬蹄形攪拌機、還流冷却器および2つの供給容器を備え付けた重合容器中で、窒素雰囲気において82℃の温度に加熱しかつ2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液20.2gの添加後に5分間、初期重合した。次いで水163g、アリールスルホネート(15%)2.24g、Lutensit A−EPA(部分中和された、20%)13.95g、メチルメタクリレート124.9gおよびメタクリル酸83.6gおよびアリルメタクリレート0.50gからなるプレエマルジョン1を70分以内に82℃で計量供給した。供給の終わり頃に2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液3.0gを添加しかつ5分間攪拌した。それに引き続き水171g、アリールスルホネート(15%)1.79g、メチルメタクリレート112g、n−ブチルアクリレート13.8gおよびメタクリル酸1.38gからなるプレエマルジョン2を、2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液12gと一緒に70分以内に82℃で計量供給した。最終的にさらに30分間、後重合した。
固体含有率:19.8%
pH値:4.4
粒度(Autosizer):207nm
【0073】
分散液B4(膨張核)
水1542gと分散液Aの44.2gとからなる装入物を、馬蹄形攪拌機、還流冷却器および2つの供給容器を備え付けた重合容器中で、窒素雰囲気において82℃の温度に加熱しかつ2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液10.6gの添加後に5分間、初期重合した。次いで水277g、アリールスルホネート(15%)3.53g、Lutensit A−EP(酸の形、20%)22.00g、メチルメタクリレート222.6gおよびメタクリル酸109.7gからなるプレエマルジョン1を113分以内に計量供給し、その際、重合温度を連続的に82℃から80℃に下げた。それに引き続き水269g、アリールスルホネート(15%)2.83g、メチルメタクリレート196gおよびメタクリル酸2.17gからなるプレエマルジョン2を、2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液23gと一緒に67分以内に80℃で計量供給した。最終的にさらに30分間、後重合した。
固体含有率:19.7%
pH値:2.7
粒度(Autosizer):215nm
【0074】
分散液B5(膨張核)
水1009gとAcronal A 508 28.7gとからなる装入物を、馬蹄形攪拌機、還流冷却器および2つの供給容器を備え付けた重合容器中で、窒素雰囲気において82℃の温度に加熱しかつ2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液20.2gの添加後に5分間、初期重合した。次いで水163g、アリールスルホネート(15%)2.24g、Lutensit A−EPA(部分中和された、20%)13.95g、メチルメタクリレート125.0g、メタクリル酸83.6gおよびアリルメタクリレート0.34gからなるプレエマルジョン1を70分以内に82℃で計量供給した。供給の終わり頃に2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液3.0gを添加しかつ5分間攪拌した。それに引き続き水171g、アリールスルホネート(15%)1.79g、メチルメタクリレート112g、n−ブチルアクリレート13.8gおよびメタクリル酸1.38gからなるプレエマルジョン2を、2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液12gと一緒に70分以内に82℃で計量供給した。最終的にさらに30分間、後重合した。
固体含有率:19.8%
pH値:4.4
粒度(Autosizer):220nm
【0075】
分散液B6(膨張核)
水1613gとAcronal A 508 45.2gとからなる装入物を、馬蹄形攪拌機、還流冷却器および2つの供給容器を備え付けた重合容器中で、窒素雰囲気において82℃の温度に加熱しかつ2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液10.6gの添加後に5分間、初期重合した。次いで水127g、アリールスルホネート(15%)1.77g、Lutensit A−EPA(部分中和された、20%)11.13g、メチルメタクリレート99.1gおよびメタクリル酸65.7gからなるプレエマルジョン1を70分以内に82℃で計量供給した。同時に水127g、アリールスルホネート(15%)1.77g、Lutensit A−EPA(部分中和された、20%)11.13g、メチルメタクリレート110.1g、メタクリル酸54.2gおよびアリルメタクリレート0.53gからなるプレエマルジョン2を70分以内にプレエマルジョン1中に計量供給した(パワーフィードモード (Power-Feed-Fahrweise))。供給の終わり頃に2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液4.7gを添加しかつ5分間攪拌した。それに引き続き水269g、アリールスルホネート(15%)2.83g、メチルメタクリレート176g、n−ブチルアクリレート21.7gおよびメタクリル酸2.17gからなるプレエマルジョン3を、2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液19gと一緒に70分以内に82℃で計量供給した。最終的にさらに30分間、後重合した。
固体含有率:19.8%
pH値:4.3
粒度(Autosizer):210nm
【0076】
分散液B7(膨張核)
水1589gとAcronal A 508 45.2gとからなる装入物を、馬蹄形攪拌機、還流冷却器および2つの供給容器を備え付けた重合容器中で、窒素雰囲気において82℃の温度に加熱しかつ2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液10.6gの添加後に5分間、初期重合した。次いで水277g、アリールスルホネート(15%)3.53g、Lutensit A−EPA(部分中和された、20%)22.00g、メチルメタクリレート222.1g、アリルメタクリレート0.53gおよびメタクリル酸109.7gからなるプレエマルジョン1を70分以内に82℃で計量供給した。供給の終わり頃に2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液4.7gを添加しかつ5分間攪拌した。それに引き続き水269g、アリールスルホネート(15%)2.83g、メチルメタクリレート196gおよびメタクリル酸2.17gからなるプレエマルジョン2を、2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液23gと一緒に70分以内に82℃で計量供給した。最終的にさらに30分間、後重合した。
固体含有率:19.7%
pH値:4.8
粒度(Autosizer):209nm
【0077】
分散液B8(膨張核)
水986gとAcronal A 508 28.2gとからなる装入物を、馬蹄形攪拌機、還流冷却器および2つの供給容器を備え付けた重合容器中で、窒素雰囲気において82℃の温度に加熱しかつ2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液20.9gの添加後に5分間、初期重合した。次いで水161g、アリールスルホネート(15%)2.20g、Lutensit A−EPA(部分中和された、20%)13.70g、t−ドデシルメルカプタン0.07g、メチルメタクリレート136.3g、アリルメタクリレート0.66gおよびメタクリル酸68.3gからなるプレエマルジョン1を70分以内に82℃で計量供給した。供給の終わり頃に2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液2.9gを添加しかつ5分間攪拌した。それに引き続き水167g、アリールスルホネート(15%)1.76g、メチルメタクリレート110g、n−ブチルアクリレート13.5gおよびメタクリル酸1.35gからなるプレエマルジョン2を、2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液12gと一緒に70分以内に82℃で計量供給した。最終的にさらに30分間、後重合した。
固体含有率:19.7%
pH値:4.3
粒度(Autosizer):213nm
【0078】
比較試験:
分散液C1
水513gと分散液B1の158.3gとからなる装入物を、馬蹄形攪拌機、還流冷却器および2つの供給容器を備え付けた重合容器中で、窒素雰囲気において80℃の温度に加熱しかつ2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液14.4gの添加後に5分間、初期重合した。次いで水158g、アリールスルホネート(15%)6.6g、メタクリル酸11.3gおよびスチレン180gとからなるプレエマルジョン1を、2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液18.3gと一緒に80分以内に80℃で開始時に計量供給し、供給の終わり頃に内部温度を92℃に高めかつ過硫酸ナトリウムの供給を停止した。エマルジョンの供給が終了した後、水16g、アリールスルホネート(15%)0.6gおよびα−メチルスチレン15.8gからなるプレエマルジョン2を添加しかつ5分間攪拌し、次いで10%のアンモニアの水30gの添加を行った;反応混合物をさらに15分間92℃で攪拌した。それに引き続き2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液4.0gを3分以内に計量供給した。水210g、アリールスルホネート(15%)7.5g、メチルメタクリレート22.5gおよびスチレン221gからなるプレエマルジョン3を、2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液27.4gと一緒に100分以内に92℃で計量供給した。最終的にさらに30分間、後重合した。残留モノマーを減少させるために最終的にさらに化学的脱臭を実施した。このために10%のt−ブチルヒドロペルオキシドの溶液13.5gならびに10%のアスコルビン酸の溶液13.5gを並行して60分以内に92℃で反応混合物に計量供給した。
固体含有率:29.9%
pH値:7.6
【0079】
分散液C1V
合成を分散液C1の製造と同じように、ただしプレエマルジョン2がα−メチルスチレンに代わりに同じ量のメチルメタクリレートを含有するという違いを伴って行った。
固体含有率:29.5%
pH値:8.8
【0080】
分散液C2V
合成を分散液C1の製造と同じように、ただしプレエマルジョン2がα−メチルスチレンに代わりに同じ量のスチレンを含有するという違いを伴って行った。
固体含有率:29.5%
pH値:8.9
【0081】
分散液C3V
合成を分散液C1の製造と同じように、ただしプレエマルジョン2がα−メチルスチレンに代わりに同じ量のスチレンならびに付加的にIrganox HP 2215(Ciba Speciality Chemicals社の抑制剤(Inhibitor))0.45gを含有するという違いを伴って行った。
固体含有率:29.2%
pH値:8.5
【0082】
【表1】

【0083】
上の表から容易に読み取れるように、C1のみが理想的に挙動しかつはるかに極めて高い白色度を有している。C1は、膨張プロセス中の残留モノマーの理想的な挙動、すなわち著しい減少が生じないアンモニア添加の時点での最大値ならびにプレエマルジョン3(VE3)の添加後の明らかな低下を示す。ちょうど記載された理想的な挙動とは対照的に、膨張モノマーとしてのメチルメタクリレートおよびスチレンは非常に素早く分解し(CV1+CV2)、抑制剤の添加もこれを阻止することができない(CV3)。抑制剤はむしろプレエマルジョン3の添加後の引き続くさらなる重合に対して破壊作用を及ぼす。膨張技術の制御は、粒度の増大の挙動にも表れる。C1のケースにおいてのみ主要な拡大膨張(Expansion)が、所望された時点で、すなわちpH調整の直後に生じる。他のケースにおいては、粒子はまた安定させる外皮の重合中にも明らかに成長し、このことからより悪化した白色度が結果的に生じると考えられる。
【0084】
さらに他の本発明による中空粒子−分散液:
分散液C2a:
水501gと分散液B2の152.0gとからなる装入物を、馬蹄形攪拌機、還流冷却器および2つの供給容器を備え付けた重合容器中で、窒素雰囲気において80℃の温度に加熱しかつ2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液14.4gの添加後に5分間、初期重合した。次いで水158g、アリールスルホネート(15%)6.6g、メタクリル酸9.7gおよびスチレン155gとからなるプレエマルジョン1を、2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液16.7gと一緒に80分以内に80℃で開始時に計量供給し、供給の終わり頃に内部温度を92℃に高めかつ過硫酸ナトリウムの供給を停止した。エマルジョンの供給が終了した後、水16g、アリールスルホネート(15%)0.6gおよびα−メチルスチレン13.5gからなるプレエマルジョン2を添加しかつ5分間攪拌し、次いで10%のアンモニアの水26gの添加を行った;反応混合物をさらに15分間92℃で攪拌した。それに引き続き2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液4.0gを3分以内に計量供給した。水229g、アリールスルホネート(15%)7.5g、メチルメタクリレート25.2gおよびスチレン247gからなるプレエマルジョン3を、2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液29.0gと一緒に100分以内に92℃で計量供給した。最終的にさらに30分間、後重合した。残留モノマーを減少させるために最終的にさらに化学的脱臭を実施した。このために10%のt−ブチルヒドロペルオキシドの溶液13.5gならびに10%のアスコルビン酸の溶液13.5gを並行して60分以内に92℃で反応混合物に計量供給した。
固体含有率:28.5%
pH値:8.7
粒度(Autosizer):731nm(多分散性 0.13)
白色度:74
【0085】
分散液C2b:
水486gと分散液B2の174.7gとからなる装入物を、馬蹄形攪拌機、還流冷却器および2つの供給容器を備え付けた重合容器中で、窒素雰囲気において80℃の温度に加熱しかつ2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液14.4gの添加後に5分間、初期重合した。次いで水179g、アリールスルホネート(15%)7.5g、メタクリル酸11.0gおよびスチレン176gとからなるプレエマルジョン1を、2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液18.9gと一緒に90分以内に80℃で開始時に計量供給し、供給の終わり頃に内部温度を92℃に高めかつ過硫酸ナトリウムの供給を停止した。エマルジョンの供給が終了した後、水16g、アリールスルホネート(15%)0.6gおよびα−メチルスチレン15.3gからなるプレエマルジョン2を添加しかつ5分間攪拌し、次いで10%のアンモニアの水29gの添加を行った;反応混合物をさらに15分間92℃で攪拌した。それに引き続き2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液4.0gを3分以内に計量供給した。水207g、アリールスルホネート(15%)6.6g、メチルメタクリレート22.7gおよびスチレン225gからなるプレエマルジョン3を、2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液26.7gと一緒に90分以内に92℃で計量供給した。最終的にさらに30分間、後重合した。残留モノマーを減少させるために最終的にさらに化学的脱臭を実施した。このために10%のt−ブチルヒドロペルオキシドの溶液13.5gならびに10%のアスコルビン酸の溶液13.5gを並行して60分以内に92℃で反応混合物に計量供給した。
固体含有率:29.3%
pH値:8.7
粒度(Autosizer):719nm(PD 0.18)
白色度:70
【0086】
分散液C3:
水486gと分散液B3の181.2gとからなる装入物を、馬蹄形攪拌機、還流冷却器および2つの供給容器を備え付けた重合容器中で、窒素雰囲気において82℃の温度に加熱しかつ2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液14.4gの添加後に5分間、初期重合した。次いで水179g、アリールスルホネート(15%)7.5g、メタクリル酸11.0gおよびスチレン176gとからなるプレエマルジョン1を、2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液18.9gと一緒に90分以内に82℃で計量供給した。両方の供給を終了した後、内部温度を30分以内に92℃に高め、次いで水16g、アリールスルホネート(15%)0.6gおよびα−メチルスチレン15.3gからなるプレエマルジョン2を添加しかつ5分間攪拌し、次いで10%のアンモニアの水29gの添加を行った;反応混合物をさらに15分間92℃で攪拌した。それに引き続き2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液4.0gを3分以内に計量供給した。水177g、アリールスルホネート(15%)6.6g、メチルメタクリレート22.7gおよびスチレン223gからなるプレエマルジョン3を、2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液26.7gと一緒に115分以内に92℃で計量供給した。55分の供給時間後に7%のイタコン酸32.1gをプレエマルジョン3に添加した。最終的にさらに30分間、後重合した。残留モノマーを減少させるために最終的にさらに化学的脱臭を実施した。このために10%のt−ブチルヒドロペルオキシドの溶液13.5gならびに10%のアスコルビン酸の溶液13.5gを並行して60分以内に92℃で反応混合物に計量供給した。
固体含有率:29.1%
pH値:7.0
粒度(Autosizer):519nm(PD 0.09)
白色度:73
【0087】
分散液C4:
水431gと分散液B4の155.3gとからなる装入物を、馬蹄形攪拌機、還流冷却器および2つの供給容器を備え付けた重合容器中で、窒素雰囲気において80℃の温度に加熱しかつ2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液12.8gの添加後に5分間、初期重合した。次いで水159g、アリールスルホネート(15%)6.7g、メタクリル酸9.8gおよびスチレン156gとからなるプレエマルジョン1を、2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液16.8gと一緒に90分以内に80℃で開始時に計量供給し、供給の終わり頃に内部温度を92℃に高めかつ過硫酸ナトリウムの供給を停止した。エマルジョンの供給が終了した後、水14g、アリールスルホネート(15%)0.5gおよびα−メチルスチレン13.6gからなるプレエマルジョン2を添加しかつ5分間攪拌し、次いで10%のアンモニアの水26gの添加を行った;反応混合物をさらに15分間92℃で攪拌した。それに引き続き2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液3.6gを3分以内に計量供給した。水158g、アリールスルホネート(15%)5.9g、メチルメタクリレート20.2gおよびスチレン198gからなるプレエマルジョン3を、2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液23.7gと一緒に90分以内に92℃で計量供給した。45分の供給時間後に7%のイタコン酸28.6gをプレエマルジョン3に添加した。最終的にさらに30分間、後重合した。残留モノマーを減少させるために最終的にさらに化学的脱臭を実施した。このために10%のt−ブチルヒドロペルオキシドの溶液12.0gならびに10%のアスコルビン酸の溶液12.0gを並行して60分以内に92℃で反応混合物に計量供給した。
固体含有率:28.8%
pH値:8.0
粒度(Autosizer):測定不可能
白色度:72
【0088】
分散液C5:
水458gと分散液B5の154.5gとからなる装入物を、馬蹄形攪拌機、還流冷却器および2つの供給容器を備え付けた重合容器中で、窒素雰囲気において82℃の温度に加熱しかつ2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液12.8gの添加後に5分間、初期重合した。次いで水159g、アリールスルホネート(15%)6.7g、メタクリル酸9.8gおよびスチレン156gとからなるプレエマルジョン1を、2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液16.8gと一緒に90分以内に82℃で計量供給した。両方の供給を終了した後、内部温度を30分以内に92℃に高め、次いで水14g、アリールスルホネート(15%)0.5gおよびα−メチルスチレン13.6gからなるプレエマルジョン2を添加しかつ5分間攪拌し、次いで10%のアンモニアの水26gの添加を行った;反応混合物をさらに15分間92℃で攪拌した。それに引き続き2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液3.6gを3分以内に計量供給した。水157g、アリールスルホネート(15%)5.9g、メチルメタクリレート20.2gおよびスチレン198gからなるプレエマルジョン3を、2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液23.7gと一緒に100分以内に92℃で計量供給した。最終的にさらに30分間、後重合した。残留モノマーを減少させるために最終的にさらに化学的脱臭を実施した。このために10%のt−ブチルヒドロペルオキシドの溶液12.0gならびに10%のアスコルビン酸の溶液12.0gを並行して60分以内に92℃で反応混合物に計量供給した。
固体含有率:28.9%
pH値:8.3
粒度(Autosizer):571nm(PD 0.06)
白色度:78
【0089】
分散液C6:
水458gと分散液B6の154.5gとからなる装入物を、馬蹄形攪拌機、還流冷却器および2つの供給容器を備え付けた重合容器中で、窒素雰囲気において82℃の温度に加熱しかつ2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液12.8gの添加後に5分間、初期重合した。次いで水159g、アリールスルホネート(15%)6.7g、メタクリル酸9.8gおよびスチレン156gとからなるプレエマルジョン1を、2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液16.8gと一緒に90分以内に82℃で計量供給した。両方の供給を終了した後、内部温度を30分以内に92℃に高め、次いで水14g、アリールスルホネート(15%)0.5gおよびα−メチルスチレン13.6gからなるプレエマルジョン2を添加しかつ5分間攪拌し、次いで10%のアンモニアの水26gの添加を行った;反応混合物をさらに15分間92℃で攪拌した。それに引き続き2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液3.6gを3分以内に計量供給した。水157g、アリールスルホネート(15%)5.9g、メチルメタクリレート20.2gおよびスチレン198gからなるプレエマルジョン3を、2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液23.7gと一緒に100分以内に92℃で計量供給した。最終的にさらに30分間、後重合した。残留モノマーを減少させるために最終的にさらに化学的脱臭を実施した。このために10%のt−ブチルヒドロペルオキシドの溶液12.0gならびに10%のアスコルビン酸の溶液12.0gを並行して60分以内に92℃で反応混合物に計量供給した。
固体含有率:29.4%
pH値:8.8
粒度(Autosizer):560nm(PD 0.11)
白色度:77
【0090】
分散液C7:
水458gと分散液B7の155.3gとからなる装入物を、馬蹄形攪拌機、還流冷却器および2つの供給容器を備え付けた重合容器中で、窒素雰囲気において82℃の温度に加熱しかつ2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液12.8gの添加後に5分間、初期重合した。次いで水159g、アリールスルホネート(15%)6.7g、メタクリル酸9.8gおよびスチレン156gとからなるプレエマルジョン1を、2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液16.8gと一緒に90分以内に82℃で計量供給した。両方の供給を終了した後、内部温度を30分以内に92℃に高め、次いで水14g、アリールスルホネート(15%)0.5gおよびα−メチルスチレン13.6gからなるプレエマルジョン2を添加しかつ5分間攪拌し、次いで10%のアンモニアの水26gの添加を行った;反応混合物をさらに15分間92℃で攪拌した。それに引き続き2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液3.6gを3分以内に計量供給した。水157g、アリールスルホネート(15%)5.9g、メチルメタクリレート20.2gおよびスチレン198gからなるプレエマルジョン3を、2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液23.7gと一緒に100分以内に92℃で計量供給した。最終的にさらに30分間、後重合した。残留モノマーを減少させるために最終的にさらに化学的脱臭を実施した。このために10%のt−ブチルヒドロペルオキシドの溶液12.0gならびに10%のアスコルビン酸の溶液12.0gを並行して60分以内に92℃で反応混合物に計量供給した。
固体含有率:29.4%
pH値:8.8
粒度(Autosizer):578nm(PD 0.08)
白色度:77
【0091】
分散液C8:
水458gと分散液B8の154.5gとからなる装入物を、馬蹄形攪拌機、還流冷却器および2つの供給容器を備え付けた重合容器中で、窒素雰囲気において82℃の温度に加熱しかつ2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液12.8gの添加後に5分間、初期重合した。次いで水159g、アリールスルホネート(15%)6.7g、メタクリル酸9.8gおよびスチレン156gとからなるプレエマルジョン1を、2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液16.8gと一緒に90分以内に82℃で計量供給した。両方の供給を終了した後、内部温度を30分以内に92℃に高め、次いで水14g、アリールスルホネート(15%)0.5gおよびα−メチルスチレン13.6gからなるプレエマルジョン2を添加しかつ5分間攪拌し、次いで10%のアンモニアの水26gの添加を行った;反応混合物をさらに15分間92℃で攪拌した。それに引き続き2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液3.6gを3分以内に計量供給した。水157g、アリールスルホネート(15%)5.9g、メチルメタクリレート20.2gおよびスチレン198gからなるプレエマルジョン3を、2.5%の過硫酸ナトリウムの溶液23.7gと一緒に100分以内に92℃で計量供給した。最終的にさらに30分間、後重合した。残留モノマーを減少させるために最終的にさらに化学的脱臭を実施した。このために10%のt−ブチルヒドロペルオキシドの溶液12.0gならびに10%のアスコルビン酸の溶液12.0gを並行して60分以内に92℃で反応混合物に計量供給した。
固体含有率:29.3%
pH値:8.6
粒度(Autosizer):544nm(PD 0.13)
白色度:76

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性エマルジョンの製造によってエマルジョンポリマー粒子を製造する方法であって、
i)シード
ii)そのつどシード(i)と膨張シード(ii)とを含有するコア段階ポリマーの全質量に対して、少なくとも1つの非イオン性エチレン性不飽和モノマー0〜100質量%と少なくとも1つのモノエチレン性不飽和親水性モノマー0〜40質量%とを含有する膨張シード
iii)少なくとも1つの非イオン性エチレン性不飽和モノマー85〜99.9質量%と少なくとも1つの親水性モノエチレン性不飽和モノマー0.1〜15質量%とを含有する第1のシェル
iv)少なくとも1つの非イオン性エチレン性不飽和モノマー85〜99.9質量%と少なくとも1つの親水性モノエチレン性不飽和モノマー0.1〜15質量%とを含有する第2のシェル
v)181℃より小さい、有利には95℃より小さい天井温度を有する少なくとも1つの可塑剤モノマー
vi)そのようにして形成された粒子の、塩基による少なくとも7.5以上の、有利には8より大きいpH値までの中和
vii)少なくとも1つの非イオン性エチレン性不飽和モノマー90〜99.9質量%と少なくとも1つの親水性モノエチレン性不飽和モノマー0.1〜10質量%とを含有する第3のシェル
viii)ならびに場合により、少なくとも1つの非イオン性エチレン性不飽和モノマーと少なくとも1つの親水性モノエチレン性不飽和モノマーとを含有するさらに他のシェル
を含有する多段階エマルジョンポリマーを包含する水性エマルジョンの製造によってエマルジョンポリマー粒子を製造する方法。
【請求項2】
膨張シード(ii)対シードポリマー(i)の質量比が2:1〜50:1であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
シード(i)と膨張シード(ii)とからなるコア段階ポリマーの非膨張状態における平均粒度が100〜400nmであることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
コア段階ポリマーのFoxの式に従って測定されたガラス転移点が−20℃から150℃の間にあることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
コア段階ポリマー対第1のシェル(iii)の質量比が20:1〜1:1であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
シェルポリマー(iii)が、−60℃から120℃の間のFoxの式に従って測定されたガラス転移点を有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
非膨張状態における段階(iii)の粒度が120nm〜500nmであることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
第1のシェル(iii)対第2のシェル(iv)の質量比が1:30〜1:1であることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
シェルポリマー(iv)が、50〜120℃のFoxに従うガラス転移点を有することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
段階(iv)の平均粒度が200〜1500nmであることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
(v)に記載された可塑剤モノマーが、α−メチルスチレン、2−フェニルアクリル酸/アトロパ酸の(例えばメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル)のエステル、2−メチル−2−ブテン、2,3−ジメチル−2−ブテン、1,1−ジフェニルエテンまたはメチル−2−t−ブチルアクリレートの群から選択されていることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
(vi)に記載された塩基が、アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム;アンモニア;第1級アミン、第2級アミンおよび第3級アミン、例えばエチルアミン、プロピルアミン、モノイソプロピルアミン、モノブチルアミン、ヘキシルアミン、エタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、ジメトキシエチルアミン、2−エトキシエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、モルホリン、エチレンジアミン、2−ジエチルアミンエチルアミン、2,3−ジアミノプロパン、1,2−プロピレンジアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ネオペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,9−ジオキサドデカン−1,12−ジアミン、ポリエチレンイミンまたはポリビニルアミンの群から選択されていることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
第3のシェル(viii)対第2のシェル(iv)の質量比が5:1〜1:2であることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
シェルポリマー(vii)が、50〜120℃のFoxに従うガラス転移点を有することを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
請求項1から13までのいずれか1項記載の方法に従って製造されたポリマー粒子の、塗料、ペーパーコーティング、化粧品またはフォームにおける、耐衝撃性改良剤としての熱可塑性成形材料における使用。
【請求項16】
水と、試験3に記載の方法に従って得られる多段階エマルジョンポリマーとを包含する水性エマルジョンポリマー。

【公表番号】特表2009−501257(P2009−501257A)
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520860(P2008−520860)
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【国際出願番号】PCT/EP2006/064041
【国際公開番号】WO2007/006766
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】