説明

エマルジョン中の架橋ヒアルロン酸

【課題】
知られている方法の欠点を示さない架橋マイクロビーズを調製する方法を提供する。
【解決手段】
本発明は、架橋ヒアルロン酸マイクロビーズを生成する方法、並びに生成されたマイクロビーズに関し、前記方法は:(a)ヒアルロン酸又はその塩を含む水性アルカリ溶液を提供する工程と;(b)有機中水又は油中水(VWO)エマルジョンが形成されるように、有機又は油相中で工程(a)の混合溶液から所望のサイズを有する微小液滴を形成する工程であって、使用される油相の量が油相及び水の合計に対して20〜50重量%未満のものである工程と;(c)エマルジョンに架橋剤を含む溶液を添加し、ヒアルロン酸と架橋剤との反応が生じて架橋ヒアルロン酸マイクロビーズが得られる工程と;(d)任意選択により、工程(c)で得られた架橋ヒアルロン酸マイクロビーズの分散液を後処理する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋ヒアルロン酸マイクロビーズを生成する方法に関し、前記方法は:
(a)ヒアルロン酸又はその塩を含む水性アルカリ溶液を提供する工程と;
(b)有機中水又は油中水(W/O:Water in Oil)エマルジョンが形成されるように、有機又は油相中で、工程(a)の混合溶液から、所望のサイズを有する微小液滴を形成する工程であって、使用される油相の量が、油相及び水の合計に対して20〜50重量%未満のものである工程と;
(c)W/Oエマルジョンを連続的に撹拌しながら、エマルジョンに架橋剤を含む溶液を添加し、それによって、ヒアルロン酸と架橋剤との反応が生じて架橋ヒアルロン酸マイクロビーズが得られる工程と;
(d)任意選択により、工程(c)で得られた架橋ヒアルロン酸マイクロビーズの分散液を後処理する工程と
を含む。
【背景技術】
【0002】
本発明は、化粧品及びパーソナルケアの適用分野で使用される修飾ヒアルロン酸(HA)、特にエマルジョン中の架橋HAを調製するための方法に関する。
【0003】
ヒアルロン酸(HA)は、非硫酸化グリコサミノグリカンの種類に属する、天然の線状炭水化物ポリマーである。ヒアルロン酸は、β−1,3−N−アセチルグルコサミン及びβ−1,4−グルクロン酸反復二糖単位であって分子量(MW)が最大6MDaであるものからなる。HAは、ヒアリン軟骨、滑膜関節液と、真皮及び表皮の両方の皮膚組織に存在する。HAは、脊椎動物の結合組織を含む天然組織から、ヒト臍帯から、及び鶏冠から抽出することができる。しかし今日では、感染物質が移動する潜在的リスクを最小限に抑えるために、また生成物の均一性、品質、及び利用可能性を増大させるために、微生物法で調製することが好ましい(WO03/0175902、Novozymes)。
【0004】
体内におけるHAの数多くの役割が明らかにされている。HAは、皮膚や腱、筋肉、軟骨などの多くの組織の細胞のメカニズムの支援として、生物学的有機体で重要な役割を演ずる。HAは、組織の湿潤や潤滑など、重要な生物学的プロセスに関与する。HAは、癒着、発生、細胞運動、癌、血管新生、及び創傷治癒など、数多くの生理学的機能の役割を有するとも考えられる。HAの独特の物理的及び生物学的性質(粘弾性、生体適合性、生分解性を含む)により、HAは、化粧品、眼科、リウマチ、薬物送達、創傷治癒、及び組織工学における広範な現行の及び開発中の適用例で用いられる。これら適用例のいくつかにおけるHAの使用は、HAが室温で、即ち約20℃で水に可溶であり、体内ではヒアルロニダーゼにより素早く分解され、生体材料に加工し難いことによって制限されている。したがって、HAの物理的及び機械的性質とin vivo滞留時間とを改善するために、HAの架橋が導入されている。
【0005】
米国特許第4,582,865号(Biomatrix Inc.)は、架橋剤としてジビニルスルホン(DVS)を使用した、単独の、又はその他の親水性ポリマーと混合したHAの架橋ゲルの調製について記述している。多官能性エポキシ化合物を使用した架橋HAあるいはその塩の調製は、EP0161887B1に開示されている。共有結合を通してHAを架橋するのに用いられてきた、その他の二官能性又は多官能性試薬には、ホルムアルデヒド(米国特許第4,713,448号、Biomatrix Inc.)、ポリアジリジン(WO03/089476A1、Genzyme Corp.)、L−アミノ酸又はL−アミノエステル(WO2004/067575、Biosphere S.P.A.)が含まれる。カルボジイミドも、HAを架橋することが報告されている(米国特許第5,017,229号、Genzyme Corp.;米国特許第6,013,679号、Anika Research Inc.)。脂肪族アルコールを用いたHAの全部あるいは部分架橋エステル、並びにそのような部分エステルと無機又は有機塩基との塩は、米国特許第4,957,744号に開示されている。HA鎖と、塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(「EDAC」)及びアジピン酸ジヒドロアジドとの、水/アセトン混合物中での架橋は、US2006/0040892(University of North Texas)に開示された。WO2006/56204(Novozyme A/S)は、架橋剤としてジビニルスルホン(DVS)を使用して、HAの架橋ゲルを調製するための方法も開示している。
【0006】
WO2008/100044は、ヒアルロン酸を架橋することによってヒアルロン酸ヒドロゲルナノ粒子を調製する方法について記述しており、この方法は、i)内部に溶解した界面活性剤を含有する油相と、ii)塩基性溶液に溶解したヒアルロン酸及び水溶性架橋剤を含有する水相とを混合して、w/oエマルジョンを形成するようにする工程と、w/oエマルジョン中のヒアルロン酸を架橋する工程とを含み、この油相は、ドデカン、ヘプタン、又はセチルエチルヘキサノエートを含むものである。
【0007】
EP0830416(米国特許第6,214,331号と同等)は、ヒアルロン酸、硫酸コンドロイチン、硫酸デルマタン、硫酸ケラタン、セルロース、キチン、キトサン、アガロース、カラギナン、カードラン、デキストラン、エマルサン、ゲラン、キサンタン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、タンパク質、糖タンパク質、ペプチドグリカン、プロテオグリカン、リポ多糖、又はこれらの組合せから選択される水溶性ポリマーと、水性媒体とを含む水性ポリマー溶液を、油乳化剤中に水を含有する油ベースに添加し、この混合物を撹拌してポリマー液滴を含有するエマルジョンを形成し、架橋剤によってその場でポリマー液滴を架橋し、それによって架橋ポリマー粒子を形成することが可能な、粒子の直径が212μm未満でありかつ粒子の少なくとも80%が球状である、架橋水溶性ポリマー粒子製剤の調製について記述している。ヒアルロン酸微小球を生成するために、架橋剤を、トルエン中の水性ヒアルロン酸のエマルジョンに直接添加する。架橋剤は、まず水溶液のpHをpH11に調節することによって不活性化され、次いでpHを7〜8に低下させることによって活性化される。油相として、トルエン、o−キシレン、又はイソオクタンを使用することが好ましい。水相と油相との重量比は、約1対1である。
【0008】
Nurettin Sahiner及びXinqiao Jai(Turk J Chem, 32(2008), 397-409)は、油相としてイソオクタンを使用した、ヒアルロン酸ベースのサブミクロンのヒドロゲル粒子の調製について述べている。エマルジョンを調製するために、水性ヒアルロン酸溶液0.54mlをイソオクタン15mlに添加した結果、水相と油相との重量比は10対1よりも高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の内容から、架橋したHA−マイクロビーズを調製するためのいくつかのプロセスが知られていることが、明らかである。知られているプロセスで油相として使用される成分のいくつかは、化粧品又はパーソナルケア用組成物の成分として使用するのに適していない。大量の水又は油相が、マイクロビーズを精製するために使用される。したがって、知られている方法の1つ又は複数の欠点を示さない、架橋マイクロビーズを調製する代替方法を提供することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことに、本発明者らは、
(a)ヒアルロン酸又はその塩を含む水性アルカリ溶液を提供する工程と;
(b)有機中水又は油中水(W/O)エマルジョンが形成されるように、有機又は油相中で、工程(a)の混合溶液から、所望のサイズを有する微小液滴を形成する工程であって、使用される油相の量が、油相及び水の合計に対して20〜50重量%未満のものである工程と;
(c)W/Oエマルジョンを連続的に撹拌しながら、エマルジョンに架橋剤を含む溶液を添加し、それによって、ヒアルロン酸と架橋剤との反応が生じて架橋ヒアルロン酸マイクロビーズが得られる工程と;
(d)任意選択により、工程(c)で得られた架橋ヒアルロン酸マイクロビーズの分散液を後処理する工程と
を含む、架橋ヒアルロン酸マイクロビーズの生成方法が、従来技術の方法から明らかにされた問題を解決することを見出した。
【0011】
本発明の方法には、最小限に抑えられた廃水又は廃油相が生成されるという利点がある。パーソナルケア又は化粧品の用途で許容される皮膚軟化剤を使用することによって、得られる本発明のマイクロビーズは、皮膚軟化剤として炭水化物を使用したときに生じ得る皮膚刺激の問題を全く示さない。本発明の方法には、化粧品又はパーソナルケアの配合物を形成する前に、マイクロビーズから、油相として使用される成分を完全に除去する必要がないという利点がある。段階(c)から得られた分散液を、引き続き中和させ、あるいは中和させることなしに、直接使用することも可能である。
【0012】
したがって、本発明の第1の態様では、
(a)ヒアルロン酸又はその塩を含む水性アルカリ溶液を提供する工程と;
(b)有機中水又は油中水(W/O)エマルジョンが形成されるように、有機又は油相中で、工程(a)の混合溶液から、所望のサイズを有する微小液滴を形成する工程であって、使用される油相の量が、油相及び水の合計に対して20〜50重量%未満のものである工程と;
(c)W/Oエマルジョンを連続的に撹拌しながら、エマルジョンに架橋剤を含む溶液を添加し、それによって、ヒアルロン酸と架橋剤との反応が生じて架橋ヒアルロン酸マイクロビーズが得られる工程と;
(d)任意選択により、工程(c)で得られた架橋ヒアルロン酸マイクロビーズの分散液を後処理する工程と
を含む、架橋ヒアルロン酸マイクロビーズの生成方法が提供される。
【0013】
第2の態様では、本発明は、好ましくはジビニルスルホンと架橋したヒアルロン酸又はその塩を含むマイクロビーズに関する。これらのマイクロビーズは、好ましくは、第1の態様の方法によって作製され、あるいは得られる。
【0014】
第3の態様では、本発明は、第2の態様で定義されたマイクロビーズを含む組成物に関する。
【0015】
本発明の第4の態様は、保湿剤、パーソナルケア、ヘアケア、スキンケア、又は化粧品組成物を製造するための、本発明の第2の態様によるマイクロビーズ、又は本発明の第3の態様による組成物、又は本発明の第1の態様による方法によって得られた分散液の使用に関する。
【0016】
本発明のその他の態様は、ビヒクルとして第2の態様で定義されたマイクロビーズの(有効量)を、好ましくはこのマイクロビーズに封入されたパーソナルケア用活性剤と共に含むパーソナルケア用組成物、第2の態様で定義されたマイクロビーズ又は第3の態様で定義された組成物の有効量を活性成分として含む化粧物品、第2の態様で定義されたマイクロビーズ又は第3の態様で定義された組成物を含む衛生物品に関し、好ましくはこの物品は、おむつ、衛生用タオル、手術用スポンジ、創傷治癒スポンジ、又はバンドエイドもしくはその他の創傷ドレッシング材料に含まれる部分である。
【0017】
いくつかの態様は、保湿剤又は化粧品を製造するための、又は審美的治療での、第2の態様で定義されたマイクロビーズ又は第3の態様で定義された組成物の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】その適用範囲が記述全体及び特許請求の範囲から明らかな本発明を、実施例に特定される実施形態に限定することなく、一例として本発明を示す図である。実施例2により得られた分散液の顕微鏡写真を示す。マイクロビーズ(粒子)の球状の特徴がわかる。
【図2】その適用範囲が記述全体及び特許請求の範囲から明らかな本発明を、実施例に特定される実施形態に限定することなく、一例として本発明を示す図である。実施例2で得られた粒子の粒度分布のグラフを示す。
【図3】その適用範囲が記述全体及び特許請求の範囲から明らかな本発明を、実施例に特定される実施形態に限定することなく、一例として本発明を示す図である。ブタの皮膚の顕微鏡写真を示す。ブタの皮膚は、実施例7により処理した。
【図4】実施例11で決定された、皮膚パラメータである鱗状態を示す図である。
【図5】実施例11で決定された、皮膚パラメータである表面及び体積を示す図である。
【図6】実施例11で決定された、皮膚パラメータである粗さを示す図である。
【図7】実施例11で決定された、皮膚パラメータである肌理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(定義)
「ヒアルロン酸(hyaluronic acis)」という用語は、文献では、細胞表面、脊椎動物の結合組織の塩基性細胞外物質、関節の滑液、眼の眼球内液、ヒト臍帯組織、及び鶏冠で自然に生ずる、D−グルクロン及びN−アセチル−D−グルコサミン酸の残基によって構成された種々の分子量の酸性多糖を意味するのに使用される。
【0020】
「ヒアルロン酸(hyaluronic acid)」という用語は、実際に、通常は、様々な分子量の交互に配されたD−グルコン及びN−アセチル−D−グルコサミン酸残基を有する一連の多糖全て、又はその分解画分をも意味するとして使用され、したがって、「ヒアルロン酸(hyaluronic acids)」という複数を示す用語を使用することがより正しいと考えられる。しかし、単数を示す用語が、この記述においては全て同じに使用することにし;さらに、「HA」という略称を、この集合的な用語の代わりに頻繁に使用することにする。
【0021】
「ヒアルロン酸」は、本明細書では、β−1,4及びβ−1,3−グリコシド結合を交互に配することによって一緒に結合されたN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)及びグルクロン酸(GlcUA)の反復二糖単位で構成された非硫酸化グリコサミノグリカンと定義される。ヒアルロン酸は、ヒアルロナン、ヒアルロネート、又はHAとしても知られる。ヒアルロナン及びヒアルロン酸という用語は、本明細書では同義に使用される。
【0022】
「ヒアルロン酸」又は「HA」という用語は、本発明では、他に明白に記述されない限り、ヒアルロン酸又はその塩を示すのに使用される。
【0023】
「マイクロビーズ」という用語は、本明細書では、マイクロドロップ、微小液滴、微粒子、微小球、ナノビーズ、ナノドロップ、ナノ液滴、ナノ粒子、粒子、ナノスフィアなどと同義に使用される。
【0024】
ヒアルロン酸の含量は、変更を加えたカルバゾール法(Bitter及びMuir, 1962, Anal Biochem. 4: 330-334)により決定することができる。さらに、ヒアルロン酸の数平均分子量は、Ueno et al., 1988, Chem.Pharm.Bull. 36, 4971-4975; Wyatt, 1993, Anal.Chim.Acta 272: 1-40; Wyatt Technologies, 1999, "Light Scattering University DAWN Course Manual"及び“Dawn EOS Manual” Wyatt Technology Corporation, Santa Barbara, Californiaに記載されているものなど、当技術分野で標準的な方法を使用して決定することができる。
【0025】
本発明のいくつかの態様は、数ある構成成分の中でも、架橋HA生成物(マイクロビーズ)及び活性成分の(有効)量を含む、様々な組成物及び配合物に関し、好ましくはこの活性成分は、皮膚科用又は化粧品用活性剤;パーソナルケアとして許容される担体、賦形剤、又は希釈剤、好ましくは水溶性賦形剤、最も好ましくはラクトースである。
【0026】
さらに、本発明の態様は、第1の態様で定義された生成物又は上記態様及び実施形態で定義された組成物を含む物品、例えば一般に、化粧物品、衛生物品、又はパーソナルケア用物品に関する。最後の態様では、本発明は、第1の態様で定義された生成物又は本発明のその他の態様及び実施形態で定義された組成物を含む、化粧用カプセル又はマイクロカプセルに関する。
【0027】
(発明の詳細な説明)
架橋ヒアルロン酸マイクロビーズを得る本発明の方法について、次に詳細に記述する。
【0028】
本発明の、架橋ヒアルロン酸マイクロビーズを生成する方法は、
(a)ヒアルロン酸又はその塩を含む水性アルカリ溶液を提供する工程と;
(b)有機中水又は油中水(W/O)エマルジョンが形成されるように、有機又は油相中で、工程(a)の混合溶液から、所望のサイズを有する微小液滴を形成する工程であって、使用される油相の量が、油相及び水の合計に対して20〜50重量%未満のものである工程と;
(c)エマルジョンに架橋剤を含む溶液を添加し、それによって、ヒアルロン酸と架橋剤との反応が生じて架橋ヒアルロン酸マイクロビーズが得られる工程と;
(d)任意選択により、架橋ヒアルロン酸マイクロビーズの分散液を後処理する工程と
を含む。
【0029】
工程(a):
ヒアルロン酸の供給源は、重要ではない。雄鶏のとさかは、ヒアルロナンの有意な商業的供給源である。微生物は、代替の供給源である。米国特許第4,801,539号は、報告されたヒアルロン酸の収量がリットル当たり約3.6gである、ストレプトコッカス・ズーエピデミカス(Streptococcus zooepidemics)の株を含むヒアルロン酸を調製するための発酵法を開示する。欧州特許No.EP0694616は、報告されたヒアルロン酸の収量がリットル当たり約3.5gである、改善されたストレプトコッカス・ズーエピデミカスの株を使用した発酵プロセスを開示する。その全体が本明細書に組み込まれるWO03/054163(Novozymes)に開示されるように、ヒアルロン酸又はその塩は、例えばグラム陽性バチルス(Bacillus)宿主で、組換えにより生成することができる。
【0030】
ヒアルロナンシンターゼは、脊椎動物、病原菌、及び藻類ウイルスから得られた(DeAngelis,P.L., 1999, Cell.Mol.Life Sci. 56: 670-682)。WO99/23227は、ストレプトコッカス・エキシミリス(Streptococcus equisimilis)からのI族ヒアルロネートシンターゼを開示する。WO99/51265及びWO00/27437は、パスツレラ・ムルトシダ(Pasturella multocida)からのII族ヒアルロネートシンターゼについて記述する。Ferrettiらは、ヒアルロネートシンターゼ、UDPグルコースデヒドロゲナーゼ、及びUDP−グルコースピロホスホリラーゼをそれぞれコード化する3種の遺伝子、hasA、hasB、及びhasCからなるストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)のヒアルロナンシンターゼオペロンを開示する(Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 98, 4658-4663, 2001)。WO99/51265は、ストレプトコッカス・エキシミリス・ヒアルロナンシンターゼのコード領域を有する核酸セグメントについて記述する。
【0031】
組換えバチルス細胞のヒアルロナンは、培地に対して直接発現し、単純なプロセスを使用して培地からヒアルロナンを単離することができる。まず、バチルス細胞及び細胞砕片を培地から物理的に除去する。望む場合には培地を最初に希釈して、培地の粘度を低下させてもよい。遠心分離や精密濾過など、培地から細胞を除去するための多くの方法が、当業者に知られている。望む場合には、残りの上澄みをその後限外濾過などによって濾過して、小分子汚染物質を濃縮しヒアルロナンから除去してもよい。細胞及び細胞砕片の除去後、培地からのヒアルロナンの簡単な沈殿を、知られているメカニズムによって行う。塩、アルコール、又は塩とアルコールとの組合せを使用して、濾液からヒアルロナンを沈殿させてもよい。沈殿物にまで変性させると、ヒアルロナンを、物理的手段によって溶液から容易に単離することができる。ヒアルロナンは、凍結乾燥や噴霧乾燥など、当技術分野で知られている蒸発技法を使用することによって、濾液溶液から乾燥させるか、あるいは濃縮されることができる。
【0032】
使用されるヒアルロン酸又はその塩は、好ましくはグラム陽性菌又は宿主細胞によって、より好ましくはバチルス属の細菌によって、組換え生成される場合に有利になりうる。バチルス宿主細胞で組換えによりヒアルロン酸をどのように生成するかは、既に記述されており、その全体が本明細書に組み込まれているWO2003/054163、Novozymes A/Sを参照されたい。このように、好ましい実施形態では、本発明は、ヒアルロン酸又はその塩をバチルス宿主細胞で組換えにより生成する、第1の態様の方法に関する。
【0033】
宿主細胞は、ヒアルロン酸の組換え生成に適した任意のバチルス細胞であってもよい。バチルス宿主細胞は、野生型バチルス細胞又はその変異体であってもよい。本発明を実施するのに有用なバチルス細胞には、限定するものではないがバチルス・アガルデルヘンス(Bacillus agaraderhens)、バチルス・アルカロフィルス(Bacillus alkalophilus)、バチルス・アミロリケファシェンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)、バチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)、バチルス・クラウシー(Bacillus clausii)、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)、バチルス・フィルムス(Bacillus firmus)、バチルス・ラウタス(Bacillus lautus)、バチルス・レンタス(Bacillus lentus)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・メガトリウム(Bacillus megatrium)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、及びバチルス・スリンギエネシス(Bacillus thuringiensis)細胞が含まれる。組換え発現に特に適応させた変異体バチルス・サブチリス細胞は、WO98/22598に記載されている。非包封バチルス細胞が、本発明で特に有用である。
【0034】
好ましい実施形態では、Bacillus宿主細胞は、Bacillus amyloliquefaciens、Bacillus clausii、Bacillus lentus、Bacillus licheniformis、Bacillus stearothermophilus、又はBacillus subtilis細胞である。より好ましい実施形態では、Bacillus細胞は、Bacillus amyloliquefaciens細胞である。別のより好ましい実施形態では、Bacillus細胞はBacillus claisii細胞である。別のより好ましい実施形態では、Bacillus細胞はBacillus lentus細胞である。別のより好ましい実施形態では、Bacillus細胞はBacillus licheniformis細胞である。別のより好ましい実施形態では、Bacillus細胞はBacillus subtilis細胞である。最も好ましい実施形態では、Bacillus宿主細胞がBacillus subtilis A164Δ5(米国特許第5,891,701号参照)又はBacillus subtilis 168Δ4である。
【0035】
ヒアルロン酸は、それ自体を使用することができ、又はヒアルロン酸の塩を使用することができる。ヒアルロン酸の塩、好ましくは無機塩を使用することが有利になりうる。本発明で有用な、好ましいヒアルロン酸の塩は、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸アンモニウム、ヒアルロン酸カルシウム、ヒアルロン酸マグネシウム、ヒアルロン酸亜鉛、又はヒアルロン酸コバルトである。
【0036】
ヒアルロン酸の様々な分子量画分が、特定の目的に有利であると記述されてきた。本発明で使用されるヒアルロン酸又はその塩は、好ましくは、約10,000〜約10,000,000Da、より好ましくは25,000〜5,000,000Da、さらにより好ましくは50,000〜3,000,000Daの数平均分子量を有する。
【0037】
本発明の好ましい実施形態では、ヒアルロン酸又はその塩は、300,000〜3,000,000Daの範囲、好ましくは400,000〜2,500,000Da、より好ましくは500,000〜2,000,000Da、最も好ましくは500,000〜1,000,000Daの範囲の数平均分子量を有する。
【0038】
さらに別の好ましい実施形態では、ヒアルロン酸又はその塩は、10,000〜300,000Daの間の範囲、好ましくは20,000〜200,000Daの範囲、より好ましくは25,000〜100,000Daの範囲、最も好ましくは25,000〜80,000Daの範囲の数平均分子量を有する。
【0039】
工程a)の水性アルカリ溶液中のヒアルロン酸又はその塩の初期濃度は、得られる架橋マイクロビーズの性質に影響を及ぼす可能性がある。したがって本発明の好ましい実施形態は、水性アルカリ溶液が、溶解したヒアルロン酸又はその塩を0.1%〜40%(w/v)の間、好ましくは1〜15%(w/v)、より好ましくは4〜6%(w/v)の濃度で含む、第1の態様の方法に関する。
【0040】
水性アルカリ溶液は、ヒアルロン酸又はその塩とアルカリ水溶液とを混合することによって、得ることができる。
【0041】
水性アルカリ溶液は、塩基、好ましくは無機塩基、より好ましくはアルカリ金属水酸化物、最も好ましくは水酸化ナトリウムを、水又は水を含有する溶液に添加することによって調製してもよい。架橋反応中のpH値も、結果に影響を及ぼす。本発明の好ましい実施形態では、アルカリ溶液は、溶解したアルカリ金属水酸化物、好ましくは水酸化ナトリウムを、0.001〜2.0Mの濃度で含む。
【0042】
工程(a)の溶液は、好ましくは、11〜13のpHを、より好ましくは11.5〜12.5、最も好ましくは約12のpHを有する。
【0043】
工程(b)で溶液を使用する前に、工程(a)の溶液を激しく撹拌することが有利となりうる。
【0044】
工程(b):
工程(b)でエマルジョンを形成する場合、使用される油相の量は、油相及び水の合計に対して20乃至<50重量%、好ましくは25〜45重量%、より好ましくは30〜40重量%である。
【0045】
油層として化粧品又はパーソナルケア用配合物に使用される、標準的な皮膚軟化剤を使用することが好ましい。そのような標準的な皮膚軟化剤は、炭水化物又は芳香族炭水化物ではなく、特にトルエン、o−キシレン、ドデカン、ヘプタン、イソオクタン、又はセチルエチルヘキサノエートではない。本発明で使用される好ましい皮膚軟化剤は、2〜44個のC原子を有する直鎖状及び/又は分岐状モノ及び/又はジカルボン酸と、1〜22個のC原子を有する直鎖状及び/又は分岐状飽和又は不飽和アルコールとのモノ又はジエステル、2〜36個のC原子を有する脂肪族二官能性アルコールと、1〜22個のC原子を有する一官能性脂肪族カルボン酸とのエステル化生成物、長鎖アリール酸エステル、例えば、安息香酸と直鎖状及び/又は分岐状C6〜C22アルコールとのエステルなど、又は同様に安息香酸イソステアリルエステル、安息香酸ブチルオクチルエステル、又は安息香酸オクチルドデシルエステル、カーボネート、好ましくは直鎖状C6〜C22脂肪アルコールカーボネート、Guerbetカーボネート、例えば、炭酸ジカプリリル、炭酸ジエチルヘキシル、長鎖トリグリセリド、即ち3個の酸分子を有するグリセロールのトリプルエステルであって、その少なくとも1つがC6〜C10脂肪酸に対して長鎖トリグリセリドであるもの、オレイルアルコールやオクチルドデカノールなどの直鎖状又は分岐状脂肪アルコール、ジアルキルエーテルなどの脂肪アルコールエーテル、例えばジカプリリルエーテル、シリコーン油及びワックス、例えばポリメチルシロキサン、シクロメチルシロキサン、及びアリール又はアルキル又はアルコキシ置換ポリメチルシロキサン又はシクロメチルシロキサン、6〜18個、好ましくは8〜10個の炭素原子を有する脂肪アルコールをベースにしたGuerbetアルコール、直鎖状C6〜C22脂肪酸と直鎖状C6〜C22脂肪アルコールとのエステル、分岐状C6〜C13カルボン酸と直鎖状C6〜C22脂肪アルコールとのエステル、直鎖状C6〜C22脂肪酸と分岐状C8〜C18アルコール、特に2−エチルヘキサノール又はイソノナノールとのエステル、分岐状C6〜C13カルボン酸と分岐状アルコール、特に2−エチルヘキサノール又はイソノナノールとのエステル、直鎖状及び/又は分岐状脂肪酸と多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ダイマージオール、又はトリマートリオールなど)及び/又はGuerbetアルコールとのエステル、C6〜C18脂肪酸をベースにした液体モノ/ジ/トリグリセリド混合物、C6〜C22脂肪アルコール及び/又はGuerbetアルコールと芳香族カルボン酸とのエステル、植物油、分岐状一次アルコール、置換シクロヘキサン、エポキシド化脂肪酸エステルとポリオールとの開環生成物、及び/又はシリコーン油、又はこれら化合物の2種以上の混合物から選択される。使用される皮膚軟化剤は、相分離せずに水と混和しないことが好ましい。
【0046】
皮膚軟化剤及び油成分として適切なモノエステルは、例えば、12から22個のC原子を有する脂肪酸のメチルエステル及びイソプロピルエステル、例えば、ラウリン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、エルカ酸メチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピルなどである。その他の適切なモノエステルは、例えば、ステアリン酸n−ブチル、ラウリン酸n−ヘキシル、オレイン酸n−デシル、ステアリン酸イソオクチル、パルミチン酸イソノニル、イソノナン酸イソノニル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、オレイン酸エルシルと、テクニカルグレードの脂肪族アルコールカット及びテクニカルグレードの脂肪族カルボン酸の混合物から得ることが可能なエステル、例えば、12から22個のC原子を有する不飽和脂肪アルコールと12から22個のC原子を有する飽和及び不飽和脂肪酸とのエステルであり、動物及び植物脂肪から得られるようなものである。しかし、例えばホホバ油やマッコウクジラ油中に存在するような、天然に生ずるモノエステル及び蝋エステルの混合物も適切である。適切なジカルボン酸エステルは、例えば、アジピン酸ジ−n−ブチル、セバシン酸ジ−n−ブチル、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、コハク酸ジ(2−ヘキシルデシル)、アゼライン酸ジ−イソトリデシルである。適切なジオールエステルは、例えば、エチレングリコールジオレエート、エチレングリコールジ−イソトリデカノエート、プロピレングリコールジ−(2−エチルヘキサノエート)、ジ−イソステアリン酸ブタンジオール、ジ−カプリル酸/カプリン酸ブタンジオール、及びネオペンチルグリコールジ−カプリレートである。
【0047】
例として、脂肪酸トリグリセリドを本明細書に挙げることができ;そのようなものとして例えば、天然の植物油、例えばオリーブ油、ヒマワリ油、大豆油、ラッカセイ油、菜種油、アーモンド油、ゴマ油、アボカド油、ヒマシ油、カカオバター、ヤシ油であるが、ココナツ油又はパーム核油の液体内容物でもあり、また、動物油、例えばサメ肝油、タラ肝油、鯨油、牛脂、及びバター脂肪など、蜜蝋やカルナバヤシ蝋、鯨蝋、ラノリン、及び牛脚油などの蝋でもあり、牛脂の液体内容物又はカプリル・カプリン酸混合物の合成トリグリセリド、テクニカルグレードのオレイン酸からのトリグリセリド、イソステアリン酸のトリグリセリド、又はパルミチン酸/オレイン酸混合物からのトリグリセリドを皮膚軟化剤(油相)として使用することができる。
【0048】
本発明で油相として有用な好ましい皮膚軟化剤は、炭酸ジエチルヘキシル又はデシルココエート又はこれらの混合物である。
【0049】
油相として前記皮膚軟化剤を使用することによって、この皮膚軟化剤が化粧品又はパーソナルケア用配合物を配合するのに有用である場合には、マイクロビーズ分散液から油相を除去することが必要ではなくなる。
【0050】
エマルジョンを調製するのに、工程(a)又は工程(b)で1種又は複数の乳化剤を添加することが、助けになりうる。本発明で有用な乳化剤は、追加の構成成分として以下に列挙するものから選択することができる。
【0051】
工程(b)で形成された微小液滴が約1ナノメートル〜1ミリメートルの範囲の数平均直径を有する場合に有利になりうる。工程(b)の微小液滴の粒度分布の最大値は、好ましくは0.1〜100μmの範囲、より好ましくは0.5〜10μm、最も好ましくは1〜2μmの範囲である。液滴のサイズは、使用される乳化剤の選択及び撹拌の強度によって調節することができる。所望のサイズの液滴を得るのに必要な、使用される乳化剤及び撹拌の強度の組合せは、簡単な試験シリーズによって決定することができる。液滴又はマイクロビーズのサイズは、Accusizer(Accusizer 780 Optical Particle Sizer, PSS NICOMP, Santa Barbara, CAL, USA、Accusizer 780AD CW788-Nicompソフトウェアを備えるもの、V 1.68 (2000))で決定することができる。
【0052】
本発明で使用される好ましい乳化剤は、3〜9、好ましくは4〜6、より好ましくは約5のHLB値を有するものから選択される。好ましい乳化剤は、ポリグリセリル−4−ジイソステアレート/ポリヒドロキシステアレート/セバケート(ISOLAN(登録商標)GPS)、PEG/PPG−10/1ジメチコーン(ABIL(登録商標)EM 90)、イソステアリン酸ポリグリセリル−4(ISOLAN(登録商標)GI 34)、オレイン酸ポリグリセリル−3(ISOLAN(登録商標)GO 33)、イソステアリン酸メチルグルコース(ISOLAN(登録商標)IS)、ジイソステアロイルポリグリセリル−3ダイマージリノレエート(ISOLAN(登録商標)PDI)、オレイン酸グリセリル(TEGIN(登録商標)OV)、ラウリン酸ソルビタン(TEGO(登録商標)SML)、オレイン酸ソルビタン(TEGO(登録商標)SMO V)、及びステアリン酸ソルビタン(TEGO(登録商標)SMS)から選択される。これらの好ましい乳化剤は、Evonik Goldschmidt GmbHから入手可能である。
【0053】
工程(c):
架橋剤の濃度は、得られるマイクロビーズに多大な影響を及ぼした可能性がある。その結果、本発明の好ましい実施形態は、架橋剤(CA)の重量比が、ヒアルロン酸又はその塩(HA)/架橋剤(CA)(乾燥重量)が1:1〜100:1の間にあり、好ましくはHA/CA(乾燥重量)が2:1から50:1の間にある第1の態様の方法に関する。
【0054】
架橋度は、好ましくは0.001〜1の範囲であり、より好ましくは0.01〜0.5、さらにより好ましくは約0.1である。架橋度1は、n官能性のOH反応性化合物1モルが、ヒアルロン酸のnモル単糖と反応することを意味する。架橋度は、反応混合物中の未反応の架橋剤の量を分析することによって決定することができる。分析は、知られている分析方法、例えばHPLCによって行うことができる。
【0055】
本発明の方法に適した架橋剤は、例えば、多官能性(>=2)OH反応性化合物である。適切な架橋剤の例は、ジビニルスルホン(DVS)、又はビスエポキシド架橋技法をベースにした架橋剤であり、例えば、GDE=グリセロールジグリシジルエーテル又はBDE:1,4−ブタンジイルジグリシジルエーテルである。架橋剤は、ジビニルスルホン、グリセロールジグリシジルエーテル、又は1,4−ブタンジイルジグリシジルエーテルから選択されることが好ましい。本発明の最も好ましい架橋剤は、上述の重量比で好ましく使用されるジビニルスルホンである。
【0056】
架橋剤は、直接又は溶液として添加してもよい。架橋剤が溶液として添加される場合、その架橋剤は、好ましくは油相に溶解され、好ましくは工程(b)で使用したものと同じ油相に溶解される。架橋剤は、C〜Cアルコール、好ましくはエタノールを含む溶液として添加することが有利になりうる。架橋剤を、上述の油相及びC〜Cアルコール、好ましくはエタノールを含む溶液として添加することがより有利になりうる。エタノールを含む架橋剤溶液を使用することにより、架橋剤は、微小液滴中により素早く分布し得る。架橋剤の好ましい溶液は、油相20〜80重量%、好ましくは40〜60重量%と、C〜Cアルコール80〜20重量%、好ましくは40〜60重量%の混合物を、溶媒として含む。
【0057】
本発明者らは、工程(c)の架橋剤及びHA溶液を含む溶液を混合する間及び/又は混合した直後に撹拌する初期の期間は、満足のいくゲル化を実現することが望ましいことを見出した。したがって、架橋剤を含む溶液の添加は、撹拌しながら、好ましくは激しく撹拌しながら行われる。工程(c)で架橋剤を含む溶液を、1〜180分の期間、好ましくは撹拌しながら添加することが有利になりうる。架橋剤を含む溶液の前回の量を添加した後に、さらに1〜180分間にわたり撹拌することが好ましい場合がある。
【0058】
ヒアルロン酸又はその塩と、架橋剤、好ましくはジビニルスルホンとの反応は、好ましくは0℃〜100℃の温度、より好ましくは10℃から50℃、さらにより好ましくは20℃から30℃の温度で生じる。
【0059】
本発明者らは、加熱工程が、溶液を混合した後に有益であると判断した。したがって本発明の好ましい実施形態は、工程(c)の混合溶液が、20℃〜100℃の範囲の温度、好ましくは25℃〜80℃の範囲、より好ましくは30℃〜60℃の範囲、最も好ましくは35℃〜55℃の範囲の温度に加熱され、その温度はこの範囲で、溶液を混合した後に少なくとも5分間にわたり、好ましくは少なくとも10分、20分、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、又は最も好ましくは少なくとも180分間にわたり、好ましくは撹拌せずに維持される、第1の態様の方法に関する。
【0060】
本発明の、別の好ましい実施形態では、工程(c)の反応混合物を、架橋反応が生じた後に室温で短時間、しかし連続して撹拌したまま行わせることが有利である。
【0061】
本発明の方法の好ましい実施形態では、工程(c)の反応混合物は、反応が生じた後に少なくとも5分間にわたり、好ましくは少なくとも10分間、20分間、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、又は最も好ましくは少なくとも180分間にわたり、0℃〜40℃の範囲、好ましくは10℃〜30℃の範囲の温度で維持される。
【0062】
工程(c)から得られる架橋マイクロビーズは、約1ナノメートル〜1ミリメートルの範囲の数平均直径を有することが好ましい。本発明の工程(c)の架橋マイクロビーズの粒度分布の最大値は、好ましくは、0.1〜100μm、より好ましくは0.5〜10μm、最も好ましくは1〜2μmの範囲にある。
【0063】
未反応の架橋剤をほとんど含まない、工程(c)の分散液を得ることが有利になりうる。好ましくは分散液、より好ましくはマイクロビーズは、10重量ppm(wppm)未満、より好ましくは5wppm未満を構成する。分散液中の遊離架橋剤の濃度は、未反応の架橋剤が毒物学的脅威になり得るので、この分散液が化粧品又はパーソナルケア用組成物を配合するのに直接使用される場合には特に低いものであることが必要である。したがって、未反応の架橋剤を上述の濃度で含む分散液が得られるまで、工程(c)の反応を続けることが好ましい。
【0064】
任意選択による工程(d)
任意選択による工程d)は、例えば、中和及び/又は分離工程とすることができる。
【0065】
中和の場合、架橋マイクロビーズは直接又は分散液からの分離後に、水、水及び酸、水及び緩衝液、特に水及びリン酸緩衝液、水及び生理食塩緩衝液、又は水及びリン酸緩衝液及び生理食塩緩衝液に、少なくとも1回接触させてもよい。好ましくは、任意選択による工程(d)は、架橋マイクロビーズのpHを緩衝液又は酸で中和する工程を含む。多くのタイプの緩衝液又は酸は、当業者に周知のように、本発明の工程d)での架橋マイクロビーズの膨潤及び中和に適していると考えられてきた。使用される酸又は酸溶液は、好ましくは、25℃の脂肪酸液体、特に乳酸、オレイン酸、又はイソステアリン酸を含む群から選択される。水溶性の酸、例えば乳酸を、75〜95重量%、好ましくは80〜90重量%含む、酸の水性溶液を使用することが有利になりうる。好ましくは、架橋マイクロビーズを液体に、特に水性酸溶液又は水性緩衝液であってそのpH値が2.0〜10.0の範囲、好ましくは5.0〜9.5の範囲にあるものに、接触させる。中和が、マイクロビーズの分離なしに行われる場合、中和のために鉱酸を使用しないことが有利であるが、それはそのような酸が、エマルジョン/分散液の破壊をもたらす可能性があるからである。
【0066】
好ましい適切な緩衝液は、pH値で選択され、その結果、架橋マイクロビーズは、7〜9.5のpH値、好ましくは8.5〜9.5、より好ましくは約9のpH値を有する。分散液(マイクロビーズを含む液体)のpHは、マイクロビーズのpH値と本質的に同じであることが推測される。したがって、マイクロビーズのpHは、周知の方法によって、例えばpH紙又はpHメータのpH電極を分散液中に入れることによって、容易に決定することができる。
【0067】
第1の態様の方法の緩衝液は、リン酸緩衝液及び/又は生理食塩緩衝液を含むことが好ましい。
【0068】
任意選択による精製工程は、当技術分野で知られている任意の分離技法、例えば濾過、デカンテーション、及び遠心分離などを含んでもよい。好ましくは、任意選択による工程(d)は、13,000ダルトン未満のサイズを有する分子を自由拡散させる透析膜を使用して、脱イオン水に対して架橋マイクロビーズを透析する工程を含む精製工程である。
【0069】
1つ又は複数の精製工程と、1つ又は複数の中和工程とを組み合わせることが有利になりうる。
【0070】
パーソナルケア用配合物に許容される皮膚軟化剤である皮膚軟化剤を油相として使用する場合、分離又は精製工程は、必ずしも必要ではない。工程(c)から得られた分散液は、直接又は中和後に、化粧品又はパーソナルケア用組成物を配合するのに使用することができる。
【0071】
本発明の方法により、本発明のマイクロビーズを得てもよい。本発明の好ましいマイクロビーズは、ジビニルスルホンと架橋した、ヒアルロン酸又はその塩を含む。本発明のこの好ましいマイクロビーズは、本発明の方法によって得てもよい。
【0072】
本発明の好ましいマイクロビーズは、ほぼ球形である。本発明のマイクロビーズは、好ましくは、1ナノメートル〜1ミリメートルの間の範囲、より好ましくは0.01〜1000μm、さらにより好ましくは0.1〜100μm、最も好ましくは0.5〜10μmの範囲で断面又は直径の分布の最大値を有する。通常、本発明のマイクロビーズは、はるかに狭い範囲の所望のサイズで作製されることになり、即ちこれらマイクロビーズは、かなり均一になる。工程(c)から得られる架橋マイクロビーズは、好ましくは、約1ナノメートルから1ミリメートルの範囲の数平均直径を有する。マイクロビーズは、好ましくは、約100〜1,000ナノメートルの範囲;又は1,000ナノメートル超〜1,000マイクロメートルの範囲の数平均直径を有する。本発明のマイクロビーズの多分散性は、好ましくは狭く、これは粒子の95%超、好ましくは97%超が、粒度分布の最大値の10倍以下であることを意味している。多分散性は、上述のAccusizer法を用いて、単一粒子光学的寸法決定法により決定することができる。
【0073】
本発明の好ましいマイクロビーズは、数平均分子量が約10,000〜約10,000,000Da、より好ましくは25,000〜5,000,000Da、さらにより好ましくは50,000〜3,000,000Daであるヒアルロン酸又はその塩を使用して得られる。
【0074】
本発明の好ましい実施形態では、マイクロビーズは、300,000〜3,000,000Daの範囲、好ましくは400,000〜2,500,000Da、より好ましくは500,000〜2,000,000Da、最も好ましくは500,000〜1,000,000Daの範囲の数平均分子量を有するヒアルロン酸又はその塩を使用して得られる。
【0075】
さらに別の好ましい実施形態では、マイクロビーズは、10,000〜300,000Daの間の範囲、好ましくは20,000〜200,000Daの範囲、より好ましくは25,000〜100,000Daの範囲、最も好ましくは25,000〜80,000Daの範囲の数平均分子量を有するヒアルロン酸又はその塩を使用して得られる。
【0076】
好ましいマイクロビーズは、ヒアルロン酸の無機塩として、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸アンモニウム、ヒアルロン酸カルシウム、ヒアルロン酸マグネシウム、ヒアルロン酸亜鉛、又はヒアルロン酸コバルトを含む。
【0077】
本発明のマイクロビーズは、活性成分、水溶性賦形剤、及び/又は保存剤、又はその他の成分を含んでもよい。好ましくは、活性成分はパーソナルケア用活性物質である。本発明のマイクロビーズは、皮膚軟化剤、乳化剤及び界面活性剤、増粘剤/粘度調節剤/安定化剤、UV光防護フィルタ、酸化防止剤、屈水剤(又はポリオール)、固形分及び充填材、被膜形成剤、真珠光沢添加剤、デオドラント及び制汗活性化合物、防虫剤、セルフタンニング剤、保存剤、コンディショニング剤、香料、染料、生体活性化合物、ケア用添加剤、スーパーオイリング剤、保湿剤、及びそれらの内部の溶媒の群から選択される少なくとも1種の追加の成分を含んでもよい。
【0078】
本発明のマイクロビーズは、これらマイクロビーズを含む本発明の組成物に接近できる。本発明の組成物は、皮膚軟化剤、乳化剤及び界面活性剤、増粘剤/粘度調節剤/安定化剤、UV光防護フィルタ、酸化防止剤、屈水剤(又はポリオール)、固形分及び充填材、被膜形成剤、真珠光沢添加剤、デオドラント及び制汗活性化合物、防虫剤、セルフタンニング剤、保存剤、コンディショニング剤、香料、染料、生体活性化合物、ケア用添加剤、スーパーオイリング剤、保湿剤、及び溶媒の群から選択される少なくとも1種の追加の成分を含んでもよい。追加の成分は、マイクロビーズの内部及び/又は外部にあってもよい。好ましくは追加の成分は、マイクロビーズの外側の本発明の組成物中にのみ存在する。
【0079】
上述のように、本発明の生成物、例えばマイクロビーズ又はこれらマイクロビーズを含む組成物もしくは分散液が、その他の成分(追加の成分)も含む場合、有利になりうる。その他の成分は、本発明の生成物が組成物又は分散液である場合、マイクロビーズの内部、又はマイクロビーズの内部及び/又は外部にあってもよい。有用になりうるその他の成分は、好ましくは1種又は複数の活性成分であり、好ましくは1種又は複数のパーソナルケア用活性物質であり、特に生体活性剤、及び/又は1種又は複数の水溶性賦形剤である。
【0080】
水溶性賦形剤は、(1種又は複数の)活性成分を安定化させる目的で含めてもよく、そのような賦形剤には、タンパク質、例えばアルブミン又はゼラチン;グリシン、アラニン、グルタミン酸、アルギニン、リシン、及びこれらの塩などのアミノ酸;グルコース、ラクトース、キシロース、ガラクトース、フルクトース、マルトース、サッカロース、デキストラン、マンニトール、ソルビトール、トレハロース、及びコンドロイチンスルフェートなどの炭水化物;リン酸塩などの無機塩;TWEEN(登録商標)(ICI)、ポリエチレングリコール、及びこれらの混合物などの界面活性剤を含めてもよい。賦形剤又は安定化剤は、生成物の0.001〜99重量%に及ぶ量で使用してもよい。
【0081】
皮膚軟化剤、乳化剤及び界面活性剤、増粘剤/粘度調節剤/安定化剤、UV光防護フィルタ、酸化防止剤、屈水剤(又はポリオール)、固形分及び充填材、被膜形成剤、真珠光沢添加剤、デオドラント及び制汗活性化合物、防虫剤、セルフタンニング剤、保存剤、コンディショニング剤、香料、染料、生体活性化合物、ケア用添加剤、スーパーオイリング剤、及び溶媒の群から選択される追加の成分の好ましい例を、以下に示す。
【0082】
追加の成分として使用することができる乳化剤又は界面活性剤は、非イオン、陰イオン、陽イオン、又は両性界面活性剤である。
【0083】
以下の群の少なくとも1種からの化合物は、非イオン性乳化剤又は界面活性剤として用いることができる。
8から22個のC原子を有する直鎖状脂肪アルコール、12から22個のC原子を有する脂肪酸、及びアルキル基中に8から15個のC原子を有するアルキルフェノールへの、エチレンオキシド2から100モル及び/又はプロピレンオキシド0から5モルの付加生成物、グリセロールへの、エチレンオキシド1から100モルの付加生成物の、C12/18脂肪酸モノ及びジエステル、6から22個の炭素原子を有する飽和及び不飽和脂肪酸の、グリセロールモノ及びジエステルとソルビタンモノ及びジエステルと、それらのエチレンオキシド付加生成物、アルキル基中に8から22個の炭素原子を有するアルキルモノ及びオリゴグリコシドと、それらのエチレンオキシド付加生成物、ヒマシ油及び/又は水素化ヒマシ油への、エチレンオキシド2から200モルの付加生成物、直鎖状、分岐状、不飽和又は飽和C6〜C22脂肪酸、リシノール酸、及び12−ヒドロキシステアリン酸と、グリセロール、ポリグリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、糖アルコール(例えば、ソルビトール)、アルキルグルコシド(例えば、メチルグルコシド、ブチルグルコシド、ラウリルグルコシド)、及びポリグルコシド(例えば、セルロース)をベースにした部分エステル、モノ、ジ、及びトリアルキルホスフェートと、モノ、ジ、及び/又はトリ−PEG−アルキルホスフェートと、それらの塩、例えば、PEG/PPG−20/6ジメチコーン、PEG/PPG−20/20ジメチコーン、ビス−PEG/PPG−20/20ジメチコーン、PEG−12又はPEG−14ジメチコーン、PEG/PPG−14/4又は4/12又は20/20又は18/18又は17/18又は15/15などの,ポリシロキサン/ポリエーテルコポリマー(ジメチコーンコポリオール)、ポリシロキサン/ポリアルキルポリエーテルコポリマー及び対応する誘導体、例えば、ラウリル又はセチルジメチコーンコポリオールなど、特にセチルPEG/PPG−10/1ジメチコーン(ABIL(登録商標)EM 90(Evonik Degussa))、DE1165574によるペンタエリスリトール、脂肪酸、クエン酸、及び脂肪アルコールの混合エステル、及び/又は、6から22個の炭素原子を有する脂肪酸、メチルグルコース、及びポリオール、例えばグリセロールやポリグリセロールなどの混合エステル、例えばグリセリルステアレートシトレート、グリセリルオレエートシトレート、及びクエン酸ジラウリルなどのクエン酸エステル。
【0084】
陰イオン性乳化剤又は界面活性剤は、例えばカルボン酸基、硫酸基、スルホン酸基、又はリン酸基など、水に対する溶解性を与える基と、親油性基を含有することができる。皮膚が耐えられる陰イオン界面活性剤は、その多数が当業者に知られており、商業的に得ることができる。この文脈では、これらは、そのアルカリ金属、アンモニウム、又はアルカノールアンモニウム塩の形をとるアルキルスルフェート又はアルキルホスフェート、アルキルエーテル−スルフェート、アルキルエーテル−カルボキシレート、アシルサルコシネート、及びスルホスクシネート、と、そのアルカリ金属又はアンモニウム塩の形をとるアシルグルタメートとすることができる。
【0085】
陽イオン乳化剤及び界面活性剤も、添加することができる。第4級アンモニウム化合物、特に、8から22個のC原子を有する少なくとも1つの直鎖状及び/又は分岐状の飽和又は不飽和アルキル鎖を備えたものを使用することができ、特にしたがって例えば、アルキルトリメチルアンモニウムハロゲン化物などであって、例えば、塩化もしくは臭化セチルトリメチルアンモニウム又は塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムなどであり、またさらに、ジアルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物であって、例えば塩化ジステアリルジメチルアンモニウムなどである。
【0086】
例えば塩化パルミトアミドプロピルトリメチルアンモニウムなどのモノアルキルアミドクアットや、対応するジアルキルアミドクアットをさらに使用することができる。
【0087】
モノ、ジ、又はトリエタノールアミンをベースにした4級化脂肪酸エステルであってもよい、容易に生分解可能な第4級エステル化合物をさらに使用することができる。アルキルグアニジニウム塩を、陽イオン乳化剤としてさらに混合することができる。
【0088】
穏やかな界面活性剤、即ち特に皮膚が耐えられる界面活性剤の、典型的な例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテル−スルフェート、硫酸モノグリセリド、モノ及び/ジアルキルスルホスクシネート、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸タウリド、脂肪酸グルタメート、エーテル−カルボン酸、アルキルオリゴグルコシド、脂肪酸グルカミド、アルキルアミドベタイン、及び/又はタンパク質−脂肪酸縮合体であり、後者は例えば、小麦タンパク質をベースにする。
【0089】
さらに、両性界面活性剤、例えばベタイン、アンホアセテート、又はアンホプロピオネートなど、したがって例えば、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネートなど、例えばココ−アルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N−アシルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネート、例えばココ−アシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート、及び2−アルキル−3−カルボキシ−メチル−3−ヒドロキシエチルイミダゾリンであって、それぞれの場合に8から18個のC原子をアルキル又はアシル基中に有する物質、及びココ−アシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートを使用することが可能である。
【0090】
両性界面活性剤の中で、C8/C18アルキル又はアシル基とは別に、分子中に少なくとも1個の遊離アミノ基と少なくとも1個の−COOH又はSO3H基とを含有し、かつ内塩の形成が可能であるような、表面活性化合物を使用することが可能である。適切な両性界面活性剤の例は、N−アルキルグリシン、N−アルキルプロピオン酸、N−アルキルアミノ酪酸、N−アルキルイミノジプロピオン酸、N−ヒドロキシエチル−N−アルキルアミドプロピルグリシン、N−アルキルタウリン、N−アルキルサルコシン、2−アルキルアミノプロピオン酸、及びアルキルアミノ酢酸であって、それぞれの場合に8から18個のC原子をアルキル基中に有するものである。両性界面活性剤のその他の例は、N−ココアルキルアミノプロピオネート、ココアシルアミノエチルアミノプロピオネート、及びC12/18アシルサルコシンである。
【0091】
組成物の配合に使用される好ましい乳化剤又は界面活性剤は、マイクロビーズの生成に使用されるものと同一である。
【0092】
適切な増粘剤は、例えば、多糖、特にキサンタンガム、グアールガム、寒天、アルギネート、及びチロースと、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース、さらに高い分子量の、脂肪酸のポリエチレングリコールモノ及びジエステル、ポリアクリレート(例えば、Carbopols(商標)又はSynthalens(商標))、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、及びポリビニルピロリドン、界面活性剤、例えばエトキシル化脂肪酸グリセリドなど、脂肪酸とポリオール、例えばペンタエリスリトールやトリメチロールプロパンなどとのエステル、制限された相同分布を有する脂肪アルコールエトキシレート、又はオリゴグルコシド、塩化ナトリウムや塩化アンモニウムなどの電解質である。
【0093】
油状の相を濃化するための可能性ある増粘剤は、全て当業者に知られている増粘剤である。この文脈では、特に、硬化ヒマシ油や蜜蝋、マイクロワックスなどのワックスを挙げることができる。シリカやアルミナ、層状シリケート(例えば、ヘクトライト、ラポナイト、サポナイト)などの無機増粘剤も、さらに用いることができる。この文脈では、油状相に関するこれら無機増粘剤を、疎水的に変性させることができる。この文脈では、エアロシル、層状シリケート、及び/又は脂肪酸の金属塩、例えばステアリン酸亜鉛などを、油中水エマルジョンを濃化/安定化させるのに特に用いることができる
【0094】
製剤は、水性界面活性剤系用の粘度調節剤として、例えば、NaCl、ココアミドDEA/MEAやラウレス−3などの低分子量非イオン性界面活性剤、又は、PEG−200水素化グリセリルパルメートなどの、ポリマー性、高分子量、結合性の、高度にエトキシル化された脂肪誘導体を含むことができる。
【0095】
用いることができるUV光防護フィルタは、例えば、紫外線を吸収することが可能であり、かつ吸収されたエネルギーを、より長い波長の放射線の形で、例えば熱として再び放出することが可能な有機物質である。UVBフィルタは、油溶性又は水溶性にすることができる。挙げることができる油溶性UVB光防護フィルタは、例えば:3−ベンジリデンカンファー及びその誘導体、例えば3−(4−メチルベンジリデン)カンファー(INCI:4−メチルベンジリデンカンファー、商標:Eusolex 6300)、4−アミノ安息香酸誘導体、例えば4−(ジメチルアミノ)−安息香酸2−メチルヘキシルエステル、4−(ジメチルアミノ)安息香酸2−エチルヘキシルエステル、及び4−(ジメチルアミノ)安息香酸アミルエステルなど、桂皮酸のエステル、例えば4−メトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルエステル(INCI:メトキシ桂皮酸オクチル、商標:Parsol(登録商標)MCX)、4−メトキシ桂皮酸イソペンチルエステル、2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(INCI:オクトクリレン;商標:Uvinul N-539)など、サリチル酸のエステル、例えばサリチル酸2−エチルヘキシルエステル、サリチル酸4−イソプロピルベンジルエステル、サリチル酸ホモメチルエステルなど、ベンゾフェノンの誘導体、例えば2−ヒドロキシ−4メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(4’−ジエチルアミノ−2’−ヒドロキシベンゾイル)−安息香酸ヘキシルエステル(アミノベンゾフェノンとも呼ぶ)など、ベンザルマロン酸のエステル、例えば4−ケトキシベンズマロン酸ジ−2−エチルヘキシルエステルなど、トリアジン誘導体、例えば4,4’,4”−(1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリルトリイミノ)−トリス−安息香酸トリス(2−エチルヘキシルエステル)(2,4,6−トリス−[アニリノ−(p−カーボ−2’−エチル−1’−ヘキシルオキシ)]−1,3,5−トリアジンとも呼ぶ。INCL:オクチルトリアゾン、BASF AktiengesellschaftからUVINUL(登録商標)T 150という商標で販売されている)、2,4−ビス−{[4−(2−エチル−ヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]−フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(INCN:アニソトリアジン、Tinosorb(登録商用)Sという商標で得ることが可能)、ジオクチルブチルアミドトリアゾン(INCI:ジオクチルブタミドトリアゾン)、2,4−ビス−[5−1(ジメチルプロピル)ベンゾキサゾール−2−イル−(4−フェニル)−イミノ]−6−(2−エチルヘキシル)−イミノ−1,3,5−トリアジン(CAS番号288254-16-0、Uvasorb(登録商標)K2Aという商標で3V Sigmaから得ることが可能)、2,4−ビス−{[4−(2−エチル−ヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]−フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(INCI:ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)であって、CIBA−Chemikalien GmbHからTinosorb(登録商標)という商標で得ることが可能なもの、及び2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール(CAS番号:2725-22-6)など、プロパン−1,3−ジオン、例えば1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4’−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオンなどである。
【0096】
本明細書で特に好ましく用いられるUV−Bフィルタは、UV光防護フィルタ物質、2−シアノ−3−フェニル-桂皮酸2−エチルヘキシルエステル、2,4−ビス−{[4−(2−エチル−ヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]−フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、ジオクチルブチルアミドトリアゾン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、4−メトキシベンズマロン酸ジ−2−エチルヘキシルエステル、2,4,6−トリス−[アニリノ−(p−カーボ−2’−エチル−1’−ヘキシルオキシ)]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス−[5−1(ジメチルプロピル)ベンゾキサゾール−2−イル−(4−フェニル)−イミノ]−6−(2−エチルヘキシル)−イミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス−{[4−(2−エチル−ヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]−フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、及び2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノールである。
【0097】
好ましく用いられるUV−Aフィルタは、1−(4’−tert−ブチルフェニル)−3−(4’−メトキシフェニル)−プロパン−1,3−ジオン、1−フェニル−3−(4’−イソプロピルフェニル)プロパン−1,3−ジオンである。
【0098】
特に好ましいUV−Aフィルタは、Parsol(登録商標)1789という商標でGivaudanから、及びEusolex(登録商標)9020という商標でMerckから販売されている4−(tert−ブチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタン(CAS番号70356-09-01)と、DE102004027475によるヒドロキシベンゾフェノン、特に好ましくは2−(4’−ジエチルアミノ−2’−ヒドロキシベンゾイル)−安息香酸ヘキシルエステル(アミノベンゾフェノンとも呼ぶ)であって、BASFからUvinul A Plusという商標で得ることができるものである。
【0099】
さらに好ましいUVフィタ物質は、いわゆるブロードバンドフィルタであり、即ち、UV−A及びUV−B放射線の両方を吸収するフィルタ物質である。この群の中で、CIBA−Chemikalien GmbHからTinosorb(登録商標)Mという商標で得ることができる2,2’メチレン−ビス−(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノールと、INCI名がドロメトリゾールトリシロキサンである2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−[2−メチル−3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]−ジシロキサニル]プロピル]−フェノール(CAS番号:155633-54-8)とが好ましく用いられる。
【0100】
いくつかの異なるUVフィルタの組合せを使用することが好ましい。
【0101】
言及した可溶性物質に加えて、不溶性顔料、即ち細かく分散した金属酸化物及び塩、例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、シリケート(タルク)、硫酸バリウム、及びステアリン酸亜鉛なども、この目的に適している。この文脈では、粒子は、100nm未満の平均直径、例えば5から50nmの間、特に15から30nmの間の平均直径を有するべきである。これらの粒子は球形を有することができるが、楕円形を有するか、あるいはそれ以外で球形から逸脱した形状を有する粒子を用いることもできる。微細化した有機顔料、例えば50%強度の水性分散液として得ることができる、例えば<200nmの粒度を有する2,2’−メチレン−ビス−{6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール}などは、光防護フィルタの比較的新規な種類である。
【0102】
その他の適切なUV光防護フィルタは、P.FinkelのSOFW−Journal 122、543(1996)の概説にさらに見出すことができる。
【0103】
用いられるUV光防護フィルタの量は、配合物に対して好ましくは0.01〜15%、好ましくは0.05から10%、特に好ましくは0.1〜5%である。
【0104】
主なUV光防護フィルタの上記2つの群に加え、UV放射線が皮膚に浸透したときに引き起こされる光化学反応の連鎖を妨げる、酸化防止タイプの2次的な光防護剤も、用いることができる。用いることができる酸化防止剤は、例えば超酸化物ジスムターゼ、トコフェロール(ビタミンE)、ジブチルヒドロキシトルエン、及びアスコルビン酸(ビタミンC)である。
【0105】
流動特性及び使用特性を改善するのに使用することができる屈水剤は、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、又はポリオールである。本明細書に適したポリオールは、2から15個の炭素原子及び少なくとも2個のヒドロキシル基を有することができる。典型的な例は:
グリセロールアルキレングリコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール及びポリエチレングリコールなどであって、平均分子量が100から1000ダルトンであるもの、自己縮合度が1.5から10のテクニカルグレードのオリゴグリセロール混合物、例えば、ジグリセロール含量が40から50重量%のテクニカルグレードのジグリセロール混合物、メチロール化合物、特に、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリスリトール、及びジペンタエリスリトールなど、低級アルキルグルコシド、特に1から4個の炭素原子をアルキル基中に有するもの、例えばメチル及びブチルグルコシド、5から12個の炭素原子を有する糖アルコール、例えばソルビトール又はマンニトールなど、5から12個の炭素原子を有する糖、例えばグルコース又はスクロースなど、アミノ糖、例えばグルカミンなどである。
【0106】
用いることができる固形分は、例えば、酸化鉄顔料、二酸化チタン又は酸化亜鉛粒子、及び「UV安定化剤」で追加的に述べたものである。例えばナイロン12、窒化ホウ素、例えばポリアクリレートやポリメタクリレートなどのポリマー粒子、又はシリコーンエラストマーなど、特定の感覚作用をもたらす粒子もさらに用いることができる。使用することができる充填剤には、タピオカデンプン、リン酸架橋デンプン、アルミニウム−デンプン、又はナトリウム−デンプンなどの、デンプン及びデンプン誘導体、コハク酸オクテニル、及び主にUVフィルタ作用も着色作用も発揮しない顔料、例えばAerosils(登録商標)(CAS No.7631−86−9)が含まれる。
【0107】
用いることができる、例えば耐水性を改善するための被膜形成剤は、例えば:ポリウレタン、ジメチコーンコポリオール、ポリアクリレート、又はPP/Aコポリマー(PVP=ポリビニルピロリドン、VA=酢酸ビニル)である。用いることができる脂溶性被膜形成剤は:例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)をベースにしたポリマー、ポリビニルピロリドンのコポリマー、PP/ヘキサデセンコポリマー、又はPP/エイコセンコポリマーである。
【0108】
使用することができる、真珠光沢のある添加剤は、例えば、ジステアリン酸グリコール又はジステアリン酸PEG−3である。
【0109】
可能性あるデオドラント活性化合物は、例えば、通常の香料成分などの臭気マスク剤、臭気吸収剤、例えば特許公開明細書DE4009347に記載されている層状シリケートであり、これらの中では特に、モンモリロナイト、カオリナイト、イライト、ベイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ベントナイト、スメクタイト、さらに例えば、リシノール酸の亜鉛塩である。微生物阻害物質も、組み込むのに同様に適している。微生物阻害物質は、例えば、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル(Irgasan)、1,6−ジ−(4クロロフェニルビグアニド)ヘキサン(クロロヘキシジン)、3,4,4’トリクロロカルボニリド、第4級アンモニウム化合物、丁子油、ハッカ油、タイム油、クエン酸トリエチル、ファルネソール(3,7,11−トリメチル−2,6,10−ドデカトリエン−1−オール)、エチルヘキシルグリセリルエーテル、カプリル酸ポリグリセリル−3(TEGO(登録商標)Cosmo P813, Evonik Degussa)、及び特許公開明細書DE19855934、DE3740186、DE3938140、DE4204321、DE4229707、DE4229737、DE4238081、DE4309372、DE4324219、及びEP666732に記載されている、活性剤である。
【0110】
使用することができる制汗剤活性化合物は、収斂薬、例えば、アルミニウムクロロハイドレート(「ACH」)及びアルミニウムジルコニウムグリシン塩(「ZAG」)などの塩基性塩化アルミニウムである。
【0111】
使用することができる防虫剤は、例えば、N,N−ジエチル−m−トルアミド、1,2−ペンタンジオール、又はInsect Repellent 3535である。
【0112】
使用することができるセルフタンニング剤は、例えば、ジヒドロキシアセトン及びエリスルロースである。
【0113】
使用することができる保存剤は、例えば、単一又は複数のアルキルパラベンエステルとフェノキシエタノールとの混合物である。アルキルパラベンエステルは、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、及び/又はブタンパラベンとすることができる。フェノキシエタノールの代わりに、例えばベンジルアルコールやエタノールなどのその他のアルコールを使用することも可能である。さらに、その他の従来の保存剤、例えばソルビン酸又は安息香酸、サリチル酸、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、クロロアセトアミド、ジアゾリジニル尿素、DMDMヒダントイン、ヨードプロピニルブチルカルバメート、ヒドロキシメチルグリシン酸ナトリウム、メチル−イソチアゾリン、クロロメチル−イソチアゾリン、エチルヘキシルグリセロール、又はカプリリルグリコールなどを使用することも可能である。
【0114】
使用することができるコンディショニング剤は、例えば、塩化セトリモニウム、塩化ジセチルジモニウム、塩化ベヘントリモニウム、塩化ジステアリルジモニウム、メト硫酸ベヘントリモニウム、塩化ジステアロイルエチルジモニウム、塩化パルミトアミドプロピルトリモニウム、グアールヒドロキシプロピルトリモニウム塩化物、ヒドロキシプロピル−グアール、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウム又はクオタニウム−80などの有機第4級化合物、あるいはまたそれらのアミン誘導体、例えばアミノプロピルジメチコーン又はステアラミドプロピルジメチルアミンである。
【0115】
使用することができる香料は、天然又は合成の芳香物質、又はそれらの混合物である。天然の芳香物質は、花(ユリ、ラベンダー、バラ、ジャスミン、オレンジの花、イラン−イラン)、幹及び葉(ゼラニウム、パチョリ、プチグレン)、実(アニシード、コリアンダー、キャラウェイ、ジュニパー)、果物の皮(ベルガモット、レモン、オレンジ)、根(メース、アンゲリカ、セロリ、カルダモン、コスタス、アイリス、タイム)、針及び枝(トウヒ、モミ、マツ、ドワーフパイン)、樹脂及びバルサム(ガルバナム、エレミ、ベンゾイン、ミルラ、乳香、オポポナックス)からの抽出物である。動物性原材料、例えばシベットやビーバーなどがさらに適している。典型的な合成芳香化合物は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコール、及び炭化水素タイプの生成物である。エステルタイプの芳香化合物は、例えば、酢酸ベンジル、イソ酪酸フェノキシエチル、酢酸p−t−ブチルシクロヘキシル、酢酸リナリル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、グリシン酸エチルメチル−フェニル、プロピオン酸アリルシクロヘキシル、プロピオン酸スチラリル、及びサリチル酸ベンジルである。エーテルには、例えばベンジルエチルエーテルが含まれ、アルデヒドには、例えば8から18個の炭素原子を有する直鎖状アルカナール、シトラール、シトロネラル、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロイシトロネラル、イリアル、及びブルゲオナールが含まれ、ケトンには、例えばイオノン、α−イソメチルイオノン、及びメチルセドリルケトンが含まれ、アルコールには、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコール、及びテルピネオールが含まれ、炭化水素には、主にテルペン及びバルサムが含まれる。心地良いフレグランスノートを一緒に発生させる様々な芳香物質の混合物を、用いることができる。芳香成分として通常使用されている低揮発性の精油、例えばセージ油、カモミール油、クローブ油、メリッサ油、ハッカ油、ケイ皮油、リンデンブロッサム油、ジュニパーベリー油、ベチベル油、乳香油、ガルバナム油、ラボラナム油、及びラバンジン油も、香料として適している。ベルガモット油、ジヒドロミルセノール、リリアル、ライラール、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、α−ヘキシルシンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、ボイサムブレンフォルテ、アムブロキサン、インドール、ヘジオン、サンデリス、レモン油、マンダリン油、オレンジ油、アリルアミルグリコレート、シクロベルタール、ラバンジン油、クラリーセージ油、β−ダマスコン、バーボンゼラニウム油、サリチル酸シクロヘキシル、ベルトフィックスケウアー、イソ−E−スーパー、フィクソリドNP、エベルニル、イラルデインγ、フェニル酢酸、酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル、ローズオキシド、ロミラット、イロチル、及びフロラマットを、単独で又は混合物として使用することも可能である。
【0116】
用いることができる染料は、例えば刊行物「Kosmetische Farbemittel[化粧品着色剤]、the Dyestuffs Commission of the Deutsche Forschungsgemeinschaft、erlag Chemie、Weinheim、1984、p.81〜106」に要約されているような、化粧品を目的として適切であり承認された物質である。
【0117】
生体活性化合物は、例えば、トコフェロール、酢酸トコフェロール、パルミチン酸トコフェロール、アスコルビン酸、デオキシリボ核酸、補酵素Q10、レチノール、ビスアボロール、アラントイン、フィタントリオール、パンテノール、AHA酸、アミノ酸、ヒアルロン酸、α−ヒドロキシ酸、ポリグルタミン酸、クレアチン(及びクレアチン誘導体)、グアニジン(及びグアニジン誘導体)、セラミド、フィトスフィンゴシン(及びフィトスフィンゴシン誘導体)、スフィンゴシン(及びスフィンゴシン誘導体)、擬似セラミド、精油、ペプチド、タンパク質加水分解物、植物エキス、スフィンゴ脂質、及びビタミン複合体を意味すると理解すべきである。
【0118】
製剤が含むことができるケア添加剤は、例えば、エトキシル化グリセロール脂肪酸エステルであって例えばPEG−7グリセロールココエートなど、又は、例えばポリクウォタニウム−7やポリグリセロールエステルなどの陽イオンポリマーである。
【0119】
使用することができるスーパーオイリング剤は、例えば、ラノリン及びレシチンと、ポリエトキシル化又はアシル化ラノリン及びレシチン誘導体、ポリオール脂肪酸エステル、モノグリセリド及び脂肪酸アルカノールアミドなどの物質であり、後者はフォーム安定化剤としても同時に機能する。
【0120】
使用することができる溶媒は、例えば、エタノール、プロパノール、又は1,3−プロパンジオールなどの脂肪族アルコール、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸グリセロールなどの環状カーボネート、酢酸エチル、乳酸エチル、アジピン酸ジメチル、及びアジピン酸ジエチルなどのモノ又はポリカルボン酸のエステル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、炭酸グリセロール、又は水である。
【0121】
組成物の耐水性を改善するために、したがってUV防護性能も増大させるために好ましく用いられるその他の追加の成分は、被膜形成剤の群である。好ましく用いられる被膜形成剤は、ポリウレタン、ジメチコーンコポリオール、ポリアクリレート、PP/Aコポリマー(PVP=ポリビニルピロリドン、VA=酢酸ビニル)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルピロリドンのコポリマー、PP/ヘキサデセンコポリマー、又はPP/エイコセンコポリマーである。
【0122】
好ましく用いられるその他の追加の成分は、デオドラント及び制汗活性化合物の群である。この群からは、収斂剤が好ましく用いられ、特に好ましくは、アルミニウムクロロハイドレート(「ACH」)やアルミニウムジルコニウムグリシン塩(「ZAG」)などの塩基性塩化アルミニウムである。
【0123】
追加の成分は、本発明の方法の工程(c)を終了した後に、又は工程(a)、(b)、及び/又は(c)の実施中に、組成物に添加してもよい。特に保存剤の添加は、工程(b)及び/又は(c)を実施している間に行ってもよい。追加の成分は、工程(c)で得られた分散液に添加することが好ましい。
【0124】
本発明による組成物は、例えば、スキンケア、フェイスケア、ヘッドケア、ボディケア、インティメートケア、フットケア、ヘアケア、ネイルケア、デンタルケア、又はオーラルケア製品に使用することができる。したがって本発明の組成物は、スキンケア、フェイスケア、ヘッドケア、ボディケア、インティメートケア、フットケア、ヘアケア、ネイルケア、デンタルケア、又はオーラルケア組成物から選択されるパーソナルケア又は化粧品用組成物にすることができる。
【0125】
本発明による組成物は、例えば、エマルジョン、懸濁液、溶液、クリーム、軟膏、ペースト、ゲル、油、粉末、エアロゾル、スティック、スプレー、クレンジング製品、メイクアップもしくはサンスクリーン製剤、又はフェイスローションの形で使用することができる。したがって本発明の組成物は、エマルジョン、懸濁液、溶液、クリーム、軟膏、ペースト、ゲル、油、粉末、エアロゾル、スティック、スプレー、クレンジング製品、メイクアップもしくはサンスクリーン製剤、又はフェイスローションにすることができる。
【0126】
本発明の組成物、好ましくは化粧品、皮膚科、又はパーソナルケア用組成物は、好ましくは、本発明のマイクロビーズを0.1〜60重量%、好ましくは0.5〜25重量%、より好ましくは1から10重量%、特に好ましくは2〜5重量%含む。
【0127】
本発明のマイクロビーズ又は本発明の組成物又は本発明による方法によって得られた分散液は、保湿剤、パーソナルケア、ヘアケア、スキンケア、又は化粧品用組成物の製造に使用することができる。
【0128】
本発明のマイクロビーズ又は本発明の組成物又は本発明による方法によって得られた分散液は、特に、局所皮膚充填材として使用することができる。本発明のマイクロビーズは、好ましくは、皮膚の皺及び襞に集まる。したがって本発明の生成物は、製剤に使用、あるいは局所皮膚充填材として使用した場合に多くの利点を示す。特別な利点は、皺の深さの減少と、皮膚の粗さの減少である。皮膚は、より艶やかになり、より良好な輝きを有する。したがって、本発明の別の態様は、皺及び粗い肌を治療する局所皮膚充填材を製造するための、本発明のマイクロビーズ又は本発明の組成物又は本発明による方法によって得られた分散液の使用である。
【0129】
以下に示す実施例は、その適用範囲が説明全体及び特許請求の範囲から明らかである本発明を、これらの実施例で特定される実施形態に限定することなく、例として本発明について述べている。
【実施例】
【0130】
(実施例1)
デシルココエートでの架橋微粒子の調製
ヒアルロン酸ナトリウム(HyaCare(登録商標)、Evonik Goldschmidt GmbH)6重量%を水性NaOH(0.2M)に溶かした溶液70gを、レベル1のハンドブレンダ(SG Zauberstab、Typ M 122 2-Speed)で激しく撹拌することによって、2分で、デシルココエート(TEGOSOFT(登録商標)DC、Evonik Goldschmidt GmbH)27g及びポリグリセリル−4−ジイソステアレート/ポリヒドロキシステアレート/セバケート(ISOLAN(登録商標)GPS、Evonik Goldschmidt GmbH)3gの混合物に添加した。得られた混合物を、レベル2のハンドブレンダで3分間均質化させた。デシルココエート3g及びエタノール5mlの混合物中のジビニルスルホンの512μlの溶液を、撹拌することによって、均質化された混合物に添加した。得られたエマルジョンをさらに1.5時間撹拌した。次いでpHを、撹拌しながら乳酸(水中で90重量%)を添加することによって、9の値に調節した。得られた生成物は、白色の分散液であった。
【0131】
(実施例2)
ヘキシル炭酸ジエチルでの架橋微粒子の調製
ヒアルロン酸ナトリウム(HyaCare(登録商標)、Evonik Goldschmidt GmbH)4.2gを水性NaOH(0.2M)66gに溶かした溶液を、ハンドブレンダ(レベル1)で激しく撹拌することによって、2分で、ヘキシル炭酸ジエチル(TEGOSOFT(登録商標)DEC、Evonik Goldschmidt GmbH)27g及びポリグリセリル−4−ジイソステアレート/ポリヒドロキシステアレート/セバケート(ISOLAN(登録商標)GPS、Evonik Goldschmidt GmbH)3gの混合物に添加した。得られたプレエマルジョンを、レベル2のハンドブレンダで2分間均質化させた。ジビニルスルホン358μlをヘキシル炭酸ジエチル3gに溶かした溶液を、1滴ずつ、均質化されたプレエマルジョンに添加した。得られた混合物をさらに0.5時間、50℃の温度で撹拌した。得られた生成物は、白色の分散液であった。
【0132】
顕微鏡で撮影した分散液の写真(図1)は、マイクロビーズ(粒子)の球形の特徴を明瞭に示す。
【0133】
粒度分布は、光学的粒子寸法測定器(Accusizer、会社:Particle Sizing Systems)で決定した。粒度分布を図2に示す。
【0134】
(実施例3)
乳化剤としてPEG/PPG−10/1ジメチコーンを使用したデシルココエートでの架橋微粒子の分散液の調製
ヒアルロン酸ナトリウム(HyaCare(登録商標)、Evonik Goldschmidt GmbH)5.9gを水性NaOH(0.2M)92gに溶かした溶液を、ハンドブレンダ(レベル1)で激しく撹拌することによって、2分で、デシルココエート(TEGOSOFT(登録商標)DC、Evonik Goldschmidt GmbH)38.2g及びPEG/PPG−10/1ジメチコーン(ABIL(登録商標)EM 90、Evonik Goldschmidt GmbH)4.2gの混合物に添加した。得られたプレエマルジョンを、レベル2のハンドブレンダで2分間均質化させた。ジビニルスルホン450μlをデシルココエート3.8gに溶かした溶液を、1滴ずつ、均質化されたプレエマルジョンに添加した。得られた混合物をさらに0.5時間、室温で撹拌した。得られた生成物は、白色の分散液であった。
【0135】
(実施例4)
乳化剤としてモノオレイン酸グリセリルを使用したジエチルヘキシルカーボネートでの架橋微粒子の分散液の調製
調製は、実施例2に従って行った。モノオレイン酸グリセリル(TEGIN(登録商標)O V、Evonik Goldschmidt GmbH)3gを、ポリグリセリル−4−ジイソステアレート/ポリヒドロキシステアレート/セバケート3gの代わりに使用した。
【0136】
(実施例5)
ヒアルロン酸ナトリウムの蛍光標識架橋微粒子の調製
ヒアルロン酸ナトリウム(HyaCare(登録商標)、Evonik Goldschmidt GmbH)5.6g及びフルオレシン0.5mgを水性NaOH(0.2M)88gに溶かした溶液を、ハンドブレンダ(レベル1)で激しく撹拌することによって、2分で、ヘキシル炭酸ジエチル(TEGOSOFT(登録商標)DEC、Evonik Goldschmidt GmbH)36g及びポリグリセリル−4ジイソステアレート/ポリヒドロキシステアレート/セバケート(ISOLAN(登録商標)GPS、Evonik Goldschmidt GmbH)4gの混合物に添加した。得られたプレエマルジョンを、レベル2のハンドブレンダで2分間均質化させた。ジビニルスルホン486μlをヘキシル炭酸ジエチル4gに溶かした溶液を、1滴ずつ、均質化されたプレエマルジョンに添加した。得られた混合物をさらに0.5時間、50℃の温度で撹拌した。得られた生成物は、薄緑色の分散液であった。
【0137】
(実施例6)
ブタ皮膚への架橋ヒアルロン酸ナトリウム微粒子の分散液の適用
凍結させたブタ皮膚約2cmを解凍し、後で剃毛した。実施例5の分散液0.1mlを、スパチュラを使用してブタ皮膚に塗り拡げた。ブタ皮膚を、後で蛍光顕微鏡(位相差顕微鏡、会社:Leica、倍率10×)で検査した。この顕微鏡画像の写真を図3に示す。蛍光粒子が皮膚の皺に蓄積されている状態を、明瞭に見ることができる。
【0138】
(実施例7)
中和のためにイソステアリン酸を使用した架橋微粒子の分散液の調製
調製は、実施例1に従い行った。イソステアリン酸(分散液の全重量に対して1重量%)を乳酸の代わりに使用して、pHを調節した。得られた生成物は、白色の分散液であった。
【0139】
(実施例8)
ヒアルロン酸ナトリウムの蛍光修飾
ヒアルロン酸ナトリウム(HyaCare(登録商標))10gを、トルエン100mlに懸濁した。DTAF(5−(4,6−ジクロロ−s−トリアジン−2−イルアミノ)フルオレセイン塩酸塩、Sigma)0.025gをエタノール15mlに溶解し、この溶液をHyaCare(登録商標)懸濁液に添加した。懸濁液を室温で16時間撹拌し、濾過した。固体残留物をエタノールで洗浄し、減圧下で乾燥した。
【0140】
(実施例9)
蛍光標識粒子分散液の調製
実施例9の蛍光ヒアルロン酸ナトリウムを0.2M NaOHに溶かした6(重量)%溶液116gを、デシルココエート(TEGOSOFT(登録商標)DC)43.3g及びISOLAN(登録商標)GPS 4.8gの混合物に、撹拌しながら(ハンドブレンダ、レベル1)添加した。エマルジョンを、ハンドブレンダ(レベル2)で3分間均質化した。ジビニルスルホン572μgを、デシルココエート4.8g及びエタノール5mlの混合物に加えたものを、撹拌しながらエマルジョンに添加した。撹拌は、室温で1時間継続し、その後、イソステアリン酸8gを撹拌しながら添加した。得られた分散液は、pH9を有していた。
【0141】
(実施例10)
HA粒子を含有する化粧品配合物
実施例9で得られた蛍光標識粒子の分散液を、化粧品クリームに配合した。このクリームの組成(単位:重量%)を表1に示す。
【0142】
【表1】

【0143】
(実施例11)
架橋ヒアルロン酸を含有するクリーム
以下の成分(表2)を撹拌しながら混合することによって、0.11%架橋ヒアルロン酸(CL-HA)を含有するクリームを生成する。
【0144】
【表2】

【0145】
この配合物を、12名のパネリストの前腕内側に適用する。適用前と、2及び7時間後に、デジタルカメラ(Visioscan VC 98、Courage & Khazaka、Cologne、Germany)を使用して前腕内側の写真を撮影する。この写真は、デジタルの白黒写真であり、256のグレイレベルに分割されている。グレイレベル分布に基づいて、ソフトウェア(Visioscan VC 98に装備されている)が、鱗状態、粗さ、表面、体積、又は肌理のパラメータなどの種々の皮膚パラメータを計算する。
【0146】
1.皮膚の鱗状態
グレイレベル分布に基づいて、ソフトウェアが、光画素の割合を計算し、それによって、パラメータである皮膚の鱗状態を評価する。以下の表3は、鱗状態の低減を示す。
【0147】
【表3】

【0148】
適用後2時間で、対照領域(未処理)並びにビヒクル又はCL−HAで処理した領域は、皮膚の鱗状態が低減したことを示す。この効果は、対照領域及びビヒクルで処理した領域では7時間後に低下したが、CL−HAによる鱗状態の低減は、7時間後も続いたままである。皮膚の鱗状態の試験結果を示すグラフを、図4に示す。
【0149】
2.表面及び体積
パラメータである表面は、皮膚の全表面を計算する。これは、皺の数が少なくなるほど又は皺が小さくなるほど、表面が小さくなるべきであることを意味する。パラメータである体積は、皺を充填するのに必要な体積を指す。両方のパラメータは、皺の深さ及び数が試験配合物によって減少する場合、低下することになる。このような理由で、試験配合物で処理した後の両方のパラメータの変化の合計が、計算される:
合計表面−体積=Δ表面+Δ体積[%]。
【0150】
結果を表4に示す。
【0151】
【表4】

【0152】
適用後2時間で、表面及び体積は、ビヒクルとCL−HAを含有する配合物とによって減少する。7時間後、このプラスの効果は、ビヒクルで処理した皮膚で消失するのに対し、この効果は、CL−HAで処理した試験領域でさらに改善された。表面及び体積試験から得た結果を示すグラフを、図5に示す。
【0153】
3.粗さパラメータR1〜R5
粗さパラメータR1、R2、R3、R4、及びR5は、金属産業に由来する。これらのパラメータは、DIN 4762〜4768で定義された粗さパラメータRt、Rm、Rz、Rp、及びRaに対応する。これらは、深く微細な皺の深さを指す。全ての粗さパラメータは、皺の深さが減少した場合に低下することになる。このような理由で、パラメータは下記の通りまとめられる:
合計R1〜R5=ΔR1+ΔR2+ΔR3+ΔR4+ΔR5
【0154】
以下の表5は、合計R1〜R5の結果を示す。
【0155】
【表5】

【0156】
適用後2時間で、ビヒクルとCL−HAを含有する試験配合物とは皮膚の粗さを低減させる。この効果は、7時間後にビヒクルで処理した試験領域で消失するのに対し、CL−HAで処理した試験領域では、その効果がほぼ一定のままである。粗さパラメータ試験の結果を示すグラフを、図6に示す。
【0157】
4.肌理パラメータ
肌理パラメータ(エネルギーNRJ、エントロピーENT、均質性HOM、コントラストCONT、及び分散VAR)は、隣接する画素の色差を指す。これらのパラメータは、皮膚の色調がどれくらい均一かを示し、即ち、肌理パラメータの改善は、改善された皮膚外観と連関することを意味する。このパラメータは、以下の方程式を使用してまとめられる:
合計肌理−パラメータ=ΔNRJ+ΔENT+ΔHOM−ΔCONT−ΔAR
【0158】
以下の表6は、合計肌理−パラメータの結果を示す。
【0159】
【表6】

【0160】
適用後2時間で、ビヒクル並びにCL−HAを有する試験配合物は、肌理パラメータを改善する。CL−HAで処理した試験領域では、この効果は7時間後も持続したままであるのに対し、この効果は、ビヒクルで処理した皮膚では低下する。肌理パラメータ試験の結果を示すグラフを、図7に示す。
【0161】
このように、本発明のマイクロビーズは、皺及び皮膚の鱗状態を低減させるのに、また、皮膚の肌理パラメータを改善してより均一は皮膚の色調をもたらすのに、有効である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ヒアルロン酸又はその塩を含む水性アルカリ溶液を提供する工程と;
(b)有機中水又は油中水(W/O)エマルジョンが形成されるように、有機又は油相中で、工程(a)の混合溶液から、所望のサイズを有する微小液滴を形成する工程であって、使用される油相の量が、油相及び水の合計に対して20〜50重量%未満のものである工程と;
(c)前記エマルジョンに、架橋剤を含む溶液を添加し、それによって、ヒアルロン酸と前記架橋剤との反応が生じて架橋ヒアルロン酸マイクロビーズが得られる工程と;
(d)任意選択により、工程(c)で得られた前記架橋ヒアルロン酸マイクロビーズの分散液を後処理する工程と
を含む、架橋ヒアルロン酸マイクロビーズを生成する方法。
【請求項2】
前記ヒアルロン酸又はその塩が、バチルス宿主細胞で組換えにより生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ヒアルロン酸又はその塩が、50〜3,000kDaの間の平均分子量を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記アルカリ溶液が、溶解したヒアルロン酸又はその塩を0.1〜40%(w/v)の間の濃度で含む、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記アルカリ溶液が、溶解した水酸化ナトリウムを0.001〜2.0Mの間の濃度で含む、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ヒアルロン酸又はその塩:架橋剤(乾燥重量)が1:1〜100:1の間の重量比で、前記架橋剤が工程(c)の混合溶液に含まれる、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
工程(b)では、炭化水素、芳香族炭化水素、及びセチルエチルヘキサノエートを除く、化粧品又はパーソナルケア用配合物で使用される標準的な皮膚軟化剤からなる群から選択される皮膚軟化剤が、油相として使用される、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記架橋剤が、ジビニルスルホン、グリセロールジグリシジルエーエル、又は1,4−ブタンジイルジグリシジルエーテルから選択される請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
工程(b)の微小液滴が、約1ナノメートル〜1ミリメートルの平均直径を有する、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
任意選択による工程(d)が、13,000ダルトン未満のサイズを有する分子を自由拡散させる透析膜を使用して、脱イオン水に対して架橋マイクロビーズを透析する工程を含む、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
任意選択による工程(d)が、7.0〜9.5のpHまで、緩衝液又は酸で架橋マイクロビーズのpHを中和させる工程を含む、請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
工程(b)では、ポリグリセリル−4−ジイソステアレート/ポリヒドロキシステアレート/セバケート又はPEG/PPG−10/1ジメチコーンを乳化剤として使用する、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
ジビニルスルホンで架橋されたヒアルロン酸又はその塩を含むマイクロビーズ。
【請求項14】
請求項1から12のいずれかに記載の方法によって得られたマイクロビーズ。
【請求項15】
約1ナノメートル〜1ミリメートルの範囲の平均直径を有する、請求項13又は14に記載のマイクロビーズ。
【請求項16】
ヒアルロン酸の無機塩として、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸アンモニウム、ヒアルロン酸カルシウム、ヒアルロン酸マグネシウム、ヒアルロン酸亜鉛、又はヒアルロン酸コバルトを使用して得られた、請求項13から15のいずれかに記載のマイクロビーズ。
【請求項17】
活性成分、水溶性賦形剤、及び/又は保存剤も含む、請求項13から16のいずれかに記載のマイクロビーズ。
【請求項18】
前記活性剤成分が、パーソナルケア用活性物質である、請求項17に記載のマイクロビーズ。
【請求項19】
請求項13から18のいずれかに記載のマイクロビーズを含む組成物。
【請求項20】
皮膚軟化剤、乳化剤及び界面活性剤、増粘剤/粘度調節剤/安定化剤、UV光防護フィルタ、酸化防止剤、屈水剤(又はポリオール)、固形分及び充填材、被膜形成剤、真珠光沢添加剤、デオドラント及び制汗活性化合物、防虫剤、セルフタンニング剤、保存剤、コンディショニング剤、香料、染料、生体活性化合物、ケア用添加剤、スーパーオイリング剤、及び溶媒の群から選択される少なくとも1種の追加の成分を含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
スキンケア、フェイスケア、ヘッドケア、ボディケア、インティメートケア、フットケア、ヘアケア、ネイルケア、デンタルケア、又はオーラルケア用組成物から選択されるパーソナルケア又は化粧品用組成物である、請求項19又は20に記載の組成物。
【請求項22】
エマルジョン、懸濁液、溶液、クリーム、軟膏、ペースト、ゲル、油、粉末、エアロゾル、スティック、スプレー、クレンジング製品、メイクアップもしくはサンスクリーン製剤、又はフェイスローションである、請求項19から21のいずれかに記載の組成物。
【請求項23】
保湿剤、パーソナルケア、ヘアケア、スキンケア、又は化粧品用組成物を製造するための、請求項13から18のいずれかに記載のマイクロビーズ、又は請求項19から22のいずれかに記載の組成物、又は請求項1から12のいずれかに記載の方法によって得られた分散液の使用。
【請求項24】
局所皮膚充填材としての、請求項13から18のいずれかに記載のマイクロビーズ、又は請求項19から22のいずれかに記載の組成物、又は請求項1から12のいずれかに記載の方法によって得られた分散液の使用。
【請求項25】
皺及び荒れた皮膚の治療用の局所皮膚充填材を製造するための、請求項13から18のいずれかに記載のマイクロビーズ、又は請求項19から22のいずれかに記載の組成物、又は請求項1から12のいずれかに記載の方法によって得られた分散液の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−506719(P2011−506719A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538575(P2010−538575)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【国際出願番号】PCT/EP2008/067172
【国際公開番号】WO2009/077399
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(507375465)エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (100)
【出願人】(510101664)
【Fターム(参考)】