説明

エミュレータ装置およびプログラム

【課題】電子装置が備える操作子の多様な操作方法を説明するのに適したエミュレータ装置を提供する。
【解決手段】関数電卓のエミュレータ画面GEを表示させた状態で、教師の説明に伴うマイクからの入力音声を音声認識する。音声認識された入力音声に、表示変換テーブルに記憶されている何れかのキー音声が含まれ、さらに、同キー音声の後に有効確認単語テーブルに記憶されているキー操作を意図した単語音声が含まれると判断されると共に、電卓動作モードが同キー音声に対応するキーが動作するためのモードであると判断された場合は、前記エミュレータ画面GE内の電卓キーボードKB上の該当するキーにキー識別マークMが表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関数電卓などのユーザ操作に応じて動作する電子装置のエミュレータ装置およびその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば教育現場において、関数電卓の操作方法を説明する場合に、PCとプロジェクタを用い、関数電卓を模した画面をプロジェクタに表示させるマネージャソフトが実用されている。
【0003】
この場合、プロジェクタにより表示された関数電卓を模した画面に対しては、ユーザ(教師等)によってPC上で操作されるマウスポインタやユーザが手にするレーザポインタによって当該電卓のキーを指し示し、キー操作の手順等を説明していた。
【0004】
しかしながら、ユーザの手で操作されるマウスポインタやレーザポインタは、その位置がずれたり揺れたりして生徒側からは見難い場合が多々あった。
【0005】
そこで、ユーザによる説明の音声を認識してポインタの機能を行わせることが考えられる。
【0006】
従来のプレゼンテーション画面の表示装置において、音声認識を用いてプレゼンターにより音声入力された単語と画面上に表示された文字列が一致した場合に、当該文字列を強調表示することが考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−208292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の音声認識を用いたプレゼンテーション画面の表示装置は、音声入力された単語と画面上に表示された文字列が一致した場合に当該文字列を強調表示するものであるが、例えば関数電卓に備えられる各キーは、当該キー操作によって機能させたい内容に応じて、必ずしもキートップに表記された文字列と一致する呼び方をするものではない。
【0009】
このため、関数電卓のキー操作手順など、電子装置が備える操作子の多様な操作方法を説明するための表示装置としては適用することができない。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑みなされたもので、電子装置が備える操作子の多様な操作方法を説明するのに適したエミュレータ装置およびその制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るエミュレータ装置は、電子装置のエミュレータ画面を表示するエミュレータ画面表示手段と、音声入力手段と、この音声入力手段により入力された音声を認識する音声認識手段と、この音声認識手段により前記電子装置の操作子に相当する音声が認識された場合は、前記エミュレータ画面表示手段により表示されたエミュレータ画面の該当する操作子を識別表示する操作子識別表示手段と、を備えたことを特徴としている。
【0012】
本発明に係るプログラムは、表示手段と音声入力手段を備えたコンピュータを制御するためのプログラムであって、前記コンピュータを、電子装置のエミュレータ画面を前記表示手段により表示させるエミュレータ画面表示手段、前記音声入力手段により入力された音声を認識する音声認識手段、この音声認識手段により前記電子装置の操作子に相当する音声が認識された場合は、前記エミュレータ画面表示手段により表示されたエミュレータ画面の該当する操作子を識別表示する操作子識別表示手段、として機能させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電子装置が備える操作子の多様な操作方法を説明するのに適したエミュレータ装置およびその制御プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のエミュレータ装置の実施形態に係る電卓エミュレータを有するマネージャソフトを用いたプレゼンテーションシステムの構成を示す図。
【図2】前記マネージャソフトがインストールされたPC10の電子回路の構成を示すブロック図。
【図3】前記PC10内のマネージャソフト13mのマーク表示プログラム13m3に含まれる表示変換テーブル13t1を示す図。
【図4】前記PC10内のマーク表示プログラム13m3に含まれる表示変換テーブル13t1の各音声データと組み合わせて設定される有効確認単語テーブル13t2を示す図。
【図5】前記PC10のマネージャソフト13mに従ったエミュレータ表示処理を示すフローチャート。
【図6】前記PC10のエミュレータ表示処理に伴うマーク表示処理を示すフローチャート。
【図7】前記PC10のエミュレータ表示処理に伴う電卓エミュレータ画面GEの表示状態を示す図。
【図8】前記PC10のエミュレータ表示処理に伴う他の実施形態のマーク表示処理を示すフローチャート。
【図9】前記PC10の他の実施形態のマーク表示処理に伴う電卓エミュレータ画面GEの表示状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下図面により本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
図1は、本発明のエミュレータ装置の実施形態に係る電卓エミュレータを有するマネージャソフトを用いたプレゼンテーションシステムの構成を示す図である。
【0017】
このプレゼンテーションシステムは、例えば教育現場において教師が生徒にグラフ関数電卓の操作方法を説明するためのものであり、PC10にインストールされたマネージャソフト13mによって当該PC10のハードウエアを動作させてグラフ関数電卓のエミュレータ画面GE(図7参照)を生成し、プロジェクタ20によって教室のスクリーン30に表示させる。
【0018】
前記マネージャソフト13mは、音声認識プログラムを有し、マイク11により入力されたユーザ(教師)Hの音声を認識し、その音声認識の内容に従って前記電卓エミュレータ画面GEの表示を制御する機能を有する。
【0019】
図2は、前記マネージャソフトがインストールされたPC10の電子回路の構成を示すブロック図である。
【0020】
このPC10は、コンピュータである制御部(CPU)12を備えている。制御部12は、記憶装置13に予め記憶されたPC制御プログラム、あるいは通信ネットワーク上のプログラムサーバやCD−ROMなどの外部記録媒体から入出力インターフェイス14を介して記憶装置13に読み込まれたPC制御プログラムに従ってRAM15を作業用メモリとし回路各部の動作を制御する。
【0021】
前記記憶装置13に記憶されるPC制御プログラムとしては、PC10の全体の制御を司るシステムプログラムの他、各種のアプリケーションプログラム、そして、グラフ関数電卓のエミュレータ画面GEを生成し、ユーザ操作に応じて当該エミュレータ画面GEの表示を制御するためのマネージャソフト(プログラム)13mが記憶される。
【0022】
前記マネージャソフト13mには、本PC10の電子回路をグラフ関数電卓に模倣して動作させるための電卓エミュレータプログラム13m1、当該電卓エミュレータプログラム13m1が起動中のマイク11による入力音声を認識するための音声認識プログラム13m2、音声認識された内容に応じて前記電卓エミュレータ画面GEのキーを識別表示させるためのマーク表示プログラム13m3が含まれる。
【0023】
そして、前記記憶装置13に記憶されるPC制御プログラムは、前記マイク11からの入力音声、キーボード16からのキー信号、マウス16Mからの移動信号やクリック信号等に応じて起動される。
【0024】
このように、制御部12には、マイク11、記憶装置13、入出力インターフェイス14、RAM15、キーボード16、マウス16Mが接続される他に、本体表示部17が接続され、さらに、前記入出力インターフェイス14を介して前記プロジェクタ20が接続される。
【0025】
図3は、前記PC10内のマネージャソフト13mのマーク表示プログラム13m3に含まれる表示変換テーブル13t1を示す図である。
【0026】
この表示変換テーブル13t1は、音声認識の対象とするキー音声データと、当該キー音声データに対応するグラフ関数電卓のキーと、当該キーを識別表示するための電卓動作モードのモード条件とを対応付けて記憶したものである。
【0027】
電卓エミュレータプログラム13m1の起動状態で、例えば、音声認識プログラム13m2により認識された入力音声が「サインキー」である場合、電卓エミュレータ画面GEに表示中の[sin]キーを識別表示するための条件として、現在の電卓動作モードが“演算モード”であることが設定される。また例えば、音声認識プログラム13m2により認識された入力音声が「トレースキー」である場合、電卓エミュレータ画面GEに表示中の[SHIFT]キーと[F1]キーを順次識別表示するための条件として、現在の電卓動作モードが“グラフモード”であることが設定される。
【0028】
図4は、前記PC10内のマーク表示プログラム13m3に含まれる表示変換テーブル13t1の各音声データと組み合わせて設定される有効確認単語テーブル13t2を示す図である。
【0029】
この有効確認単語テーブル13t2には、前記表示変換テーブル13t1に記録された何れかのキー音声データが入力音声として認識された際に、当該キー音声データに対応付けられたキーを識別表示するためのもう1つの条件として、当該キー音声データと組み合わせて入力音声の認識が必要な単語音声データ(「操作」「押して」)が記憶される。
【0030】
つまり、電卓エミュレータプログラム13m1の起動状態で、前記表示変換テーブル13t1に記憶された何れかのキー音声データが入力音声として認識された際に、当該キー音声データと組み合わせて前記有効確認単語テーブル13t2に記憶された単語音声データ(「操作」または「押して」)が入力音声として認識された場合に、前記キー音声データの音声認識を有効として判断する。
【0031】
このように構成されたPC10は、制御部(CPU)12が前記PC制御プログラム(マネージャソフト13mを含む)に記述された命令に従い回路各部の動作を制御し、ソフトウエアとハードウエアとが協働して動作することにより、以下の動作説明で述べる機能を実現する。
【0032】
次に、前記構成のマネージャソフトを用いたプレゼンテーションシステムのPC10によるエミュレータ表示動作について説明する。
【0033】
図5は、前記PC10のマネージャソフト13mに従ったエミュレータ表示処理を示すフローチャートである。
【0034】
図6は、前記PC10のエミュレータ表示処理に伴うマーク表示処理を示すフローチャートである。
【0035】
図7は、前記PC10のエミュレータ表示処理に伴う電卓エミュレータ画面GEの表示状態を示す図である。
【0036】
前記図1で示したように構成したプレゼンテーションシステムにより、教師が生徒にグラフ関数電卓の操作方法について教えるため、PC10においてマネージャソフト13mが起動されると、電卓エミュレータプログラム13m1に従い、図7(A)に示すような電卓エミュレータ画面GEが生成されて表示部17に表示されると共に、同電卓エミュレータ画面GEの表示データが入出力インターフェイス14を介してプロジェクタ20に出力され、教室のスクリーン30に表示される(ステップS1)。
【0037】
前記電卓エミュレータ画面GEは、グラフ関数電卓の正面パネルを模倣した電卓キーボードKBおよび電卓表示部DSからなる電卓画面FXと、前記電卓キーボードKBに配列されたキーをマウスポインタによりクリックすることで入力されたキー入力データが入力順に記録されて表示されるキーログ画面KLとで構成される。
【0038】
こうして前記電卓エミュレータ画面GEが生成されて表示されると、音声認識プログラム13m2に従い、マイク11から入力される音声の認識処理が開始され(ステップS2)、音声入力またはマウス入力の待機状態になる(ステップS3 or S13)。
【0039】
例えば教師Hによるグラフ関数電卓の説明に伴う音声がマイク11から入力されると(ステップS3(Yes))、当該入力音声が所定の時間(例えば2秒)以上途切れたと判断されるまで連続して取り込まれRAM15に記憶される(ステップS4,S5)。
【0040】
そして、前記入力音声が所定時間以上途切れたと判断されると(ステップS5(Yes))、前記RAM15に記憶された音声データが順次音声認識処理され(ステップS6)、入力された音声が雑音データなどであるか、あるいは有効な音声データであるか判断される(ステップS7)。
【0041】
ここで、有効な音声データであると判断された入力音声について(ステップS7(Yes))、マーク表示プログラム13m3に従い、表示変換テーブル13t1(図3参照)に記憶されている何れかのキー音声と一致する入力音声が含まれるか否か判断される(キー名称チェック:ステップS8)。
【0042】
前記表示変換テーブル13t1に記憶された何れかのキー音声と一致する入力音声が含まれると判断されると(ステップS8(Yes))、当該キー音声と一致判断された入力音声に続いて有効であると判断された入力音声について、有効確認単語テーブル13t2に記憶されている単語音声(「操作」または「押して」)と一致する入力音声が含まれるか判断される(並びチェック:ステップS9)。
【0043】
前記有効確認単語テーブル13t2に記憶された単語音声(「操作」または「押して」)と一致する入力音声が含まれると判断されると(ステップS9(Yes))、現在の電卓エミュレータの動作モードが、前記表示変換テーブル13t1にて一致判断されたキー音声のキーに対応付けられて記憶された動作モードの条件(例えば、入力音声に含まれたキー音声が「トレースキー」でそのキーが[SHIFT]+[F1]キーの場合は“グラフモード”)と一致するか判断される(状態チェック:ステップS10)。
【0044】
前記表示変換テーブル13t1にて入力音声と一致判断されたキー音声のキーに対応付けられた動作モードの条件と一致したと判断されると(ステップS10(Yes))、前記電卓画面FXの電卓キーボードKB上で既にキー識別マークMが表示されている場合には同マークMの表示が解除された後(ステップS11)、前記入力音声と一致判断されたキー音声のキーと対応するところのキー表示部分に新たなキー識別マークMが表示される(ステップSA)。
【0045】
このキー識別マークMの表示処理(ステップSA)において、識別表示の対象となるキーが1つである場合は(ステップA1(No))、図7(A)に示すように、該当するキー表示部分(この場合は[MENU])に赤色のキー識別マークMが表示される(ステップA2)。
【0046】
また、キー識別マークMの表示処理(ステップSA)において、識別表示の対象となるキーが複数ある場合は(ステップA1(Yes))、図7(B)に示すように、該当する第1のキー表示部分(この場合は[SHIFT])に緑色のキー識別マークM1が表示された後(ステップA3)、第2のキー表示部分(この場合は[F1])に赤色のキー識別マークM2が表示される(ステップA4)。
【0047】
一方、有効な音声データであると判断された入力音声について(ステップS7(Yes))、前記表示変換テーブル13t1に記憶された何れかのキー音声と一致する入力音声が含まれないと判断された場合は(ステップS8(No))、前記電卓画面FXの電卓キーボードKB上で既にキー識別マークMが表示されている場合には同マークMの表示が解除された後(ステップS12)、前記音声入力またはマウス入力の待機状態に戻る(ステップS3 or S13)。
【0048】
また、前記表示変換テーブル13t1に記憶された何れかのキー音声と一致する入力音声が含まれると判断された場合であっても(ステップS8(Yes))、さらに、前記有効確認単語テーブル13t2に記憶された単語音声(「操作」または「押して」)と一致する入力音声が含まれないと判断された場合には(ステップS9(No))、前記音声入力またはマウス入力の待機状態に戻る(ステップS3 or S13)。
【0049】
また、前記表示変換テーブル13t1に記憶された何れかのキー音声と一致する入力音声が含まれると判断され(ステップS8(Yes))、さらに、前記有効確認単語テーブル13t2に記憶された単語音声(「操作」または「押して」)と一致する入力音声が含まると判断された場合であっても(ステップS9(Yes))、現在の電卓エミュレータの動作モードが、前記表示変換テーブル13t1にて一致判断されたキー音声のキーに対応付けられた動作モードの条件と一致しないと判断された場合には(ステップS10(No))、前記音声入力またはマウス入力の待機状態に戻る(ステップS3 or S13)。
【0050】
具体的には、教師Hの説明として「グラフを表示する場合には、先ずメニューキーを操作して、グラフモードを設定します」との一連の入力音声が認識された場合は(ステップS3〜S7)、表示変換テーブル13t1のキー音声「メニューキー」が含まれると判断されると共に(ステップS8(Yes))、有効確認単語テーブル13t2の単語音声「操作」が含まれると判断される(ステップS9(Yes))。この場合、表示変換テーブル13t1において前記キー音声「メニューキー」のキー[MENU]に対応付けられた動作モードの条件は無し“−”なので(ステップS10(Yes))、図7(A)に示すように、電卓エミュレータ画面GE内の電卓画面FXにおける電卓キーボードKBの該当するキー表示部分[MENU]に赤色のキー識別マークMが表示される(ステップSA(A1→A2))。
【0051】
また、電卓エミュレータの動作モードが“グラフモード”に設定された状態で、教師Hの説明として「グラフをトレースする場合には、トレースキーを操作します」との一連の入力音声が認識された場合は(ステップS3〜S7)、表示変換テーブル13t1のキー音声「トレースキー」が含まれると判断されると共に(ステップS8(Yes))、有効確認単語テーブル13t2の単語音声「操作」が含まれると判断され(ステップS9(Yes))、さらに、前記キー音声「トレースキー」のキー[SHIFT]+[F1]に対応付けられた動作モードの条件“グラフモード”に一致すると判断される(ステップS10(Yes))。すると、図7(B)に示すように、電卓エミュレータ画面GE内の電卓画面FXにおける電卓キーボードKBの該当する第1のキー表示部分[SHIFT]に緑色のキー識別マークM1が表示された後、第2のキー表示部分[F1]に赤色のキー識別マークM2が表示される(ステップSA(A1→A3,A4))。
【0052】
また、教師Hの説明として「トレースキーはグラフ上の各点の座標を表示させます」との一連の入力音声が認識された場合は(ステップS3〜S7)、表示変換テーブル13t1のキー音声「トレースキー」が含まれると判断されるものの(ステップS8(Yes))、有効確認単語テーブル13t2に記憶された何れの単語音声(「操作」または「押して」)も含まれないと判断されるので(ステップS9(No))、キー識別マークMは表示されず、音声入力またはマウス入力の待機状態になる(ステップS3 or S13)。
【0053】
一方、前記音声入力またはマウス入力の待機状態において(ステップS3 or S13)、マウス16Mから移動信号が入力されると(ステップS13,S14(Yes))、前記電卓エミュレータ画面GE上に表示されているマウスポインタが、当該マウス16Mの移動信号に応じた方向と距離に対応する位置に移動されて表示される(ステップS15)。
【0054】
また、マウス16Mからクリック信号が入力されると(ステップS13〜S16(Yes))、前記電卓エミュレータ画面GE内の電卓キーボードKB上にキー識別マークMの表示中であるか否かが判断される(ステップS17)。
【0055】
ここで、電卓キーボードKB上にキー識別マークMの表示中であると判断され(ステップS17(Yes))、さらに、前記マウス16Mからのクリック信号に応じた電卓エミュレータ画面GE上でのクリック位置が、当該キー識別マークMの表示中であるキーの位置と同じであると判断されると(ステップS18(Yes))、該当するキーの入力に応じた電卓処理が実行され、電卓表示部DSの表示内容が更新される(ステップS19)。
【0056】
なお、前記マウス16Mからのクリック信号に応じた電卓エミュレータ画面GE上でのクリック位置が、キー識別マークMの表示中であるキーの位置と同じではないと判断された場合には(ステップS18(No))、該当するマウスクリックに応じた電卓処理は実行されず、キーマーク位置とクリック位置とが異なる事を報知するアラームメッセージが表示される(ステップS20)。
【0057】
一方、マウス16Mからクリック信号が入力された際に(ステップS13〜S16(Yes))、前記電卓エミュレータ画面GE内の電卓キーボードKB上にキー識別マークMの表示中ではないと判断された場合には(ステップS17(Yes))、該当するマウスクリックの入力に応じた電卓処理が実行され、電卓表示部DSの表示内容が更新される(ステップS19)。
【0058】
したがって、前記構成のマネージャソフトを用いたプレゼンテーションシステムのPC10によるエミュレータ表示機能によれば、関数電卓のエミュレータ画面GEを表示させた状態で、教師Hの説明に伴うマイク11からの入力音声を音声認識する。音声認識された入力音声に、表示変換テーブル13t1に記憶されている何れかのキー音声が含まれ、さらに、同キー音声の後に有効確認単語テーブル13t2に記憶されているキー操作を意図した単語音声が含まれると判断されると共に、電卓動作モードが同キー音声に対応するキーが動作するためのモードであると判断された場合は、前記エミュレータ画面GE内の電卓キーボードKB上の該当するキーにキー識別マークMが表示される。
【0059】
このため、電卓エミュレータ画面GEにて表示された各種のキーの操作手順を説明する際に、マウスポインタやレーザポインタによって当該各キーを指し示す必要なく、該当するキーを生徒に見易く且つ適切に識別表示させることができる。
【0060】
なお、前記実施形態の図5〜図7を参照して説明したマーク表示処理(ステップSA(A1〜A4))では、例えばキー音声「トレースキー」や「ルートキー」に対応して操作対象となるキーが、[SHIFT]キーと、電卓キーボードKB上に[Trace]や[√]と表記された[F1]キーや[x]キーとの第1,第2のキーからなる場合に、該当する第1のキー表示部分[SHIFT]に緑色のキー識別マークM1を表示させた後、第2のキー表示部分([F1]や[x])に赤色のキー識別マークM2を表示させる構成とした。
【0061】
ここで、前記[SHIFT]キーとの組合せで機能する機能名の文字・記号が電卓キーボードKB上に表記されているところの各キーを、当該[SHIFT]キーとの組合せを要する場合にだけ“2ndキー”と称し、次の他の実施形態にて説明するように、前記“2ndキー”にキー識別マークMを表示させる場合には、該当する機能名の文字・記号(2nd文字)も併せて識別表示MCさせる構成としてもよい。
【0062】
(他の実施形態)
図8は、前記PC10のエミュレータ表示処理に伴う他の実施形態のマーク表示処理を示すフローチャートである。
【0063】
図9は、前記PC10の他の実施形態のマーク表示処理に伴う電卓エミュレータ画面GEの表示状態を示す図である。
【0064】
すなわち、例えば「トレースキー」とのキー音声と、「操作」または「押して」の単語音声とが、音声認識されたユーザ入力音声に含まれると判断され(ステップS3〜S9(Yes))、さらに、“グラフモード”の設定状態にあると判断された場合に(ステップS10(Yes))、先ず、図7(B)で示したように、該当する第1のキー表示部分[SHIFT]に緑色のキー識別マークM1を表示させた後、第2のキー表示部分[F1]に赤色のキー識別マークM2を表示させる(ステップSA(A1→A3,A4))。
【0065】
この場合、図8,図9に示すように、前記第2のキー表示部分[F1](2ndキー)に赤色のキー識別マークM2を表示させるのに伴い、電卓キーボードKB上に隣接表記された2nd文字[Trace]も併せて赤色で識別表示MCさせる(ステップA4a〜A4c)。
【0066】
これにより、前記[SHIFT]キーとの組合せで機能する各キー(2ndキー)の説明についても、その説明を聞く側にとって、より分かり易く表示させることができる。
【0067】
また、前記各実施形態におけるキー識別マークM,M1,M2や2nd文字は、その表示色を変化させて識別表示させる構成としたが、さらに、点滅表示させたり、点線にして表示させたり、表示色の濃淡を変化させて表示させたり、矢印を付加して表示させたりすることで、より分かり易く表示させてもよい。
【0068】
なお、前記各実施形態において記載したマネージャソフトを用いたプレゼンテーションシステムのPC10による各処理の手法、すなわち、図5のフローチャートに示すエミュレータ表示処理、図6のフローチャートに示す前記エミュレータ表示処理に伴うマーク表示処理、図8のフローチャートに示す前記エミュレータ表示処理に伴う他の実施形態のマーク表示処理などの各手法は、何れもコンピュータに実行させることができるプログラムとして、メモリカード(ROMカード、RAMカード等)、磁気ディスク(フロッピディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記録媒体に格納して配布することができる。そして、プレゼンテーションシステムを制御する電子式計算機(10)のコンピュータ(CPU12)は、この記録媒体に記憶されたプログラムを記憶装置(13)に読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されることにより、前記各実施形態において説明したエミュレータ表示機能を実現し、前述した手法による同様の処理を実行することができる。
【0069】
また、前記各手法を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態として通信ネットワーク上を伝送させることができ、この通信ネットワークに接続されたコンピュータ装置(プログラムサーバ)から前記のプログラムデータを電子式計算機(10)に取り込んで記憶装置(13)に記憶させ、前述したエミュレータ表示機能を実現することもできる。
【0070】
なお、本願発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が異なる形態にして組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
【0071】
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0072】
[1]
電子装置のエミュレータ画面を表示するエミュレータ画面表示手段と、
音声入力手段と、
この音声入力手段により入力された音声を認識する音声認識手段と、
この音声認識手段により前記電子装置の操作子に相当する音声が認識された場合は、前記エミュレータ画面表示手段により表示されたエミュレータ画面の該当する操作子を識別表示する操作子識別表示手段と、
を備えたことを特徴とするエミュレータ装置。
【0073】
[2]
前記電子装置の操作子に相当する操作子音声と当該操作子音声に応じて操作対象となる操作子名とを対応付けて記憶したテーブル記憶手段を備え、
前記操作子識別表示手段は、前記音声認識手段により前記テーブル記憶手段に記憶された電子装置の操作子に相当する操作子音声が認識された場合に、前記エミュレータ画面表示手段により表示されたエミュレータ画面において、同操作子音声に対応付けられて記憶された操作子名の操作子を識別表示する、
ことを特徴とする[1]に記載のエミュレータ装置。
【0074】
[3]
予め定められた特定単語の音声を記憶した特定単語記憶手段を備え、
前記操作子識別表示手段は、前記音声認識手段により前記テーブル記憶手段に記憶された電子装置の操作子に相当する操作子音声が認識され、さらに、前記特定単語記憶手段に記憶された特定単語の音声が認識された場合に、前記エミュレータ画面表示手段により表示されたエミュレータ画面において、同操作子音声に対応付けられて記憶された操作子名の操作子を識別表示する、
ことを特徴とする[2]に記載のエミュレータ装置。
【0075】
[4]
前記電子装置のエミュレータの動作状態を判断する状態判断手段を備え、
前記テーブル記憶手段は、前記電子装置の操作子に相当する操作子音声と当該操作子音声に応じて操作対象となる操作子名と同電子装置の動作状態とを対応付けて記憶し、
前記操作子識別表示手段は、前記音声認識手段により前記テーブル記憶手段に記憶された電子装置の操作子に相当する操作子音声が認識され、さらに、前記特定単語記憶手段に記憶された特定単語の音声が認識され、さらに、前記状態判断手段により判断されたエミュレータの動作状態が同操作子音声に対応付けられて記憶された電子装置の動作状態である場合に、前記エミュレータ画面表示手段により表示されたエミュレータ画面において、同操作子音声に対応付けられて記憶された操作子名の操作子を識別表示する、
ことを特徴とする[3]に記載のエミュレータ装置。
【0076】
[5]
前記操作子識別表示手段による操作子の識別表示は、該当する操作子を特定の色のマークで囲んで識別表示することを特徴とする[1]ないし[4]の何れかに記載のエミュレータ装置。
【0077】
[6]
表示手段と音声入力手段を備えたコンピュータを制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
電子装置のエミュレータ画面を前記表示手段により表示させるエミュレータ画面表示手段、
前記音声入力手段により入力された音声を認識する音声認識手段、
この音声認識手段により前記電子装置の操作子に相当する音声が認識された場合は、前記エミュレータ画面表示手段により表示されたエミュレータ画面の該当する操作子を識別表示する操作子識別表示手段、
として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0078】
H …ユーザ(教師・プレゼンター)
10 …PC
11 …マイク
12 …制御部(CPU)
13 …記憶装置
13m…マネージャソフト
13m1…電卓エミュレータプログラム
13m2…音声認識プログラム
13m3…マーク表示プログラム
13t1…表示変換テーブル
13t2…有効確認単語テーブル
14 …入出力インターフェイス
15 …RAM
16 …キーボード
16M…マウス
17 …表示部
20 …プロジェクタ
30 …スクリーン
GE …電卓エミュレータ画面
FX …電卓画面
KB …電卓キーボード
DS …電卓表示部
KL …キーログ画面
M,Mn…キー識別マーク
MC …2nd文字識別表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子装置のエミュレータ画面を表示するエミュレータ画面表示手段と、
音声入力手段と、
この音声入力手段により入力された音声を認識する音声認識手段と、
この音声認識手段により前記電子装置の操作子に相当する音声が認識された場合は、前記エミュレータ画面表示手段により表示されたエミュレータ画面の該当する操作子を識別表示する操作子識別表示手段と、
を備えたことを特徴とするエミュレータ装置。
【請求項2】
前記電子装置の操作子に相当する操作子音声と当該操作子音声に応じて操作対象となる操作子名とを対応付けて記憶したテーブル記憶手段を備え、
前記操作子識別表示手段は、前記音声認識手段により前記テーブル記憶手段に記憶された電子装置の操作子に相当する操作子音声が認識された場合に、前記エミュレータ画面表示手段により表示されたエミュレータ画面において、同操作子音声に対応付けられて記憶された操作子名の操作子を識別表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載のエミュレータ装置。
【請求項3】
予め定められた特定単語の音声を記憶した特定単語記憶手段を備え、
前記操作子識別表示手段は、前記音声認識手段により前記テーブル記憶手段に記憶された電子装置の操作子に相当する操作子音声が認識され、さらに、前記特定単語記憶手段に記憶された特定単語の音声が認識された場合に、前記エミュレータ画面表示手段により表示されたエミュレータ画面において、同操作子音声に対応付けられて記憶された操作子名の操作子を識別表示する、
ことを特徴とする請求項2に記載のエミュレータ装置。
【請求項4】
前記電子装置のエミュレータの動作状態を判断する状態判断手段を備え、
前記テーブル記憶手段は、前記電子装置の操作子に相当する操作子音声と当該操作子音声に応じて操作対象となる操作子名と同電子装置の動作状態とを対応付けて記憶し、
前記操作子識別表示手段は、前記音声認識手段により前記テーブル記憶手段に記憶された電子装置の操作子に相当する操作子音声が認識され、さらに、前記特定単語記憶手段に記憶された特定単語の音声が認識され、さらに、前記状態判断手段により判断されたエミュレータの動作状態が同操作子音声に対応付けられて記憶された電子装置の動作状態である場合に、前記エミュレータ画面表示手段により表示されたエミュレータ画面において、同操作子音声に対応付けられて記憶された操作子名の操作子を識別表示する、
ことを特徴とする請求項3に記載のエミュレータ装置。
【請求項5】
前記操作子識別表示手段による操作子の識別表示は、該当する操作子を特定の色のマークで囲んで識別表示することを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載のエミュレータ装置。
【請求項6】
表示手段と音声入力手段を備えたコンピュータを制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
電子装置のエミュレータ画面を前記表示手段により表示させるエミュレータ画面表示手段、
前記音声入力手段により入力された音声を認識する音声認識手段、
この音声認識手段により前記電子装置の操作子に相当する音声が認識された場合は、前記エミュレータ画面表示手段により表示されたエミュレータ画面の該当する操作子を識別表示する操作子識別表示手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−37030(P2013−37030A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170271(P2011−170271)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】