説明

エミュー油と果実の組成物

エミュー油と丸ごとの加工果実とからなる組成物を提供する。この組成物は、ヒトの皮膚への局所適用又は内服用の形態をとる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトの皮膚への局所適用に好適な組成物及び摂取に好適な組成物、より詳細には、エミュー油と様々な果実とからなる天然組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
エミュー油(カラヤオイルとしても知られている)は、トリの脂肪から得られる。エミュー油は、顔及び身体用のしわ防止皮膚軟化剤、化粧品のベース及び保湿剤を含む化粧品及び美容関連用品に使用される。エミュー油は、ヒトの皮膚を介する組成物の浸透を高めることができる特定の表面浸透特性を示す。エミュー油は、コレステロール、トリグリセリド及び低密度リポタンパク質を低減させ、かつ、高密度リポタンパク質を増加させる方法における治療のために使用される。エミュー油は、アレルギーを予防及び治療し、瘢痕を防止し、頭痛を治療し、鼻血を防止し、風邪及びインフルエンザの症状を治療し、かつ、月経に関する不快感を緩和すると考えられている。スプーン、スポイト、タブレット、ゼラチンカプセル、徐放カプセルを用いて、食品添加物として、摂取されることが知られている。エミュー油は、エマルジョン、懸濁液及び粉末の形態で投与することもできる。局所的であれば、エミュー油は、クリーム、ローション、オイル、粉末及びゲルで塗布され得る。
【0003】
いくつかの果実は、抗酸化作用が高いことが知られており、健康を改善する効果が実証されている。ブルーベリー、ザクロ、プラム、クランベリー、ブラックチョークベリー(セイヨウニワトコ)、ブラックエルダーベリー及びサクランボは全て、抗酸化作用が比較的高い。
【0004】
サクランボ及びその製品を使用することで、様々な付加的な健康上の利点が得られることが知られている。酸味の強いサクランボ(スミノミザクラ(prunus cerasus))、特にMontmorency種及びBalaton種は、抗酸化性であるのに加えてバイオフラボノイドの特に良好な供給源であることが示されている。例えば、サクランボからのアントシアニンは、有効な抗炎症剤であることが知られている。サクランボからのメラトニンは、有効な抗酸化剤であることが知られている。両者は癌を減らすことが分かっている。サクランボはまた、特定のホルモンの適切なバランスを保つのを助けると考えられている。実際、サクランボは通常、「ヒーリングフルーツ(the healing fruit)」と呼ばれている。
【0005】
サクランボから成分を抽出し、食品添加物及びサプリメント等の他の組成物中にそれらの成分を利用することが知られている。例えば、フラボノイドは、酸味の強いサクランボから抽出され、食品に添加されている。α−ヒドロキシ酸とエミュー油とを組み合わせることによって、保湿クリーム及び保湿ローションが得られることも知られている。サクランボは、α−ヒドロキシ酸の一種であるリンゴ酸の供給源であることが知られている。また、種を除いた酸味の強いサクランボを挽肉と混ぜ合わせると、保湿を高め、脂肪含量を減らし、かつ、風味を改良することが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、依然として、果実及びエミュー油の十分な利点は得られていない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[発明の概要]
本発明によれば、エミュー油及び果実のより多くの利点が、エミュー油と、丸ごと加工された果実、好ましくは、ブルーベリー、ザクロ、プラム、クランベリー、ブラックチョークベリー、ブラックエルダーベリー及びサクランボからなる群より選択される果実とを含む組成物によって実現され得る。一態様において、組成物は、エミュー油と、丸ごとのサクランボ、又は丸ごとのサクランボから抽出される少なくとも1種の物質とを含む。この物質は、アントシアニン、メラトニン、フェノール及びフラボノイドからなる群のものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
[詳細な説明]
以下の説明は主に、本発明の好ましい実施形態を説明するものである。しかしながら、当業者は、本発明を他の応用に十分に利用することができ、また本発明の代替的な態様及び実施形態も実施可能であることを容易に理解している。本発明のそれらの他の応用、態様及び実施形態は全て、本明細書によって、本発明中に明確に包含されており、本発明の一部を形成している。
【0009】
本発明は、エミュー油と果実とからなる組成物を包含する。好ましくは、エミュー油は、不純物及び変色等を取り除くように精製して処理される。エミュー油を精製する好ましいプロセスは通常、油を不安定にするほど、油の温度をあまり高くすることがない、「冷却精製(cold rendering)」と呼ばれている。本発明で使用されるのに好ましいエミュー油は、L. B. Processors LLC(1846 Mosley Ferry Rd., Chapmansboro, Tennessee 37035)から手に入れることができる。類似の組成を有する任意の他のエミュー油も、本発明の目的に関して本質的に等しく有効であると思われる。
【0010】
好ましい果実としては、サクランボ、及び好ましくはMontmorency種又はBalaton種である酸味の強いサクランボが挙げられる。甘いサクランボも、類似の利点をもたらし得る。サクランボはサクランボ濃縮物の形態で提供されることが好ましい。サクランボ濃縮物は、丸ごとのサクランボを圧搾して煮詰めることによる従来の様式で作られ、好ましくは68ブリックスの濃度とする。「ブリックス」という用語は、スクロースの測定単位である従来の意味で使用される(100gのショ糖溶液中の糖の百分率)。68ブリックスより濃い又は薄い濃縮物も許容可能であるが、±7ブリックスの範囲内であることが好ましい。Montmorency種のサクランボを用いると、3.9L(1ガロン)のサクランボ濃縮物にするのに、約39.9kg(88lbs)のサクランボを要する。濃度が好ましい範囲内のサクランボ濃縮物は市販されている。
【0011】
サクランボの別の好ましい形態は、真空凍結乾燥法によって製造される凍結乾燥粉末である。凍結乾燥された赤色の酸味の強いサクランボ粉末の販売供給業者は、Crystals International, Inc.,(600 West Dr. M. L. King, Jr. Blvd., Plant City, Florida)である。この製品は、70%の赤色の酸味の強いサクランボジュース濃縮物を含有する。サクランボ粉末は、噴霧乾燥法、ドラム乾燥法及びパン乾燥(pan dry)法において製造することができる。サクランボの他の許容可能な形態としては、サクランボピューレ及びElliottのサクランボ(ピューレと似ているが、丸ごとのサクランボのより大きい塊を含む)が挙げられる。
【0012】
1つの形態において、エミュー油とサクランボとを混ぜ合わせて、ヒトの皮膚への局所使用のためのクリーム、オイル又はローションを製造する。好ましい組成物は、1重量%〜20重量%のエミュー油と、2重量%〜15重量%のサクランボとを含んでいる。アントシアニン及びメラトニンを含む特定の化合物中にみられる、サクランボによる天然の健康上の利点の全ては、皮膚のエミュー油の浸透によって皮下へと運ばれる。溶解性及び粘性を上げるために、組成物中に他の化合物を付与することが得策であろう。このような化合物としては、水、グリセリン及び化粧品、クリーム及びオイルに共通している既知のエマルジョンが挙げられる。
【0013】
別の形態では、エミュー油とサクランボとを煮詰めて内服用形態とする。1つの例は、組成物のゼラチンカプセルを含む経口投与である。他の例としては、カプセル内の組成物の粉末形態、又はタブレットに圧縮された組成物の乾燥形態が挙げられる。経口投与のための好ましい組成物は、1重量%〜35重量%のエミュー油と、1重量%〜45重量%のサクランボとを含む。液体の形態では、組成物は、皮下注射又は筋肉内注射等によって全身的に投与され得る。組成物はまた、副作用をあまり伴うことなく溶液又はエマルジョンによって経口的に投与され得る。
【0014】
組成物が、消化を改善し、老化の進行を遅らせ、関節炎及び痛風の炎症を低減し、ある種の癌及び心臓疾患を防止し、ホルモンを安定させ、かつ、バランスを整える助けをし、フリーラジカルを中和し、短期間の記憶喪失を減らし、ストレスとの闘いを助け、大きな緊張及び疲労を減らし、LDLコレステロールを低減し、リズム及び正常な睡眠パターンを確実とするように身体を改善し、かつ、長期間の安定した保存期間を維持するうえ、また、破壊的な副作用を全く伴わないと考えられている。本発明はまた、エミュー油と、サクランボ由来のアントシアニン及びメラトニン等の丸ごとのサクランボから抽出される有効成分とを含む組成物を包含する。
【0015】
組成物が、クリーム、丸薬、ゼラチンカプセル、マッサージオイル、ローション、ゲル、シャンプー、セッケン、コンディショナー、スプレー、固形物及び粉末の形態をとることができることは明らかである。当業者に既知のあるエマルジョンを使用すると、自動車洗浄剤及び床洗浄剤のような製品は、組成物からの利点を得ることができると考えられている。同様に、ペットフードも、エミュー油と果実との混合物を包含することによって改良され得ると考えられている。
【0016】
当然ながら、他の果実をエミュー油と組み合わせて使用すると、それらの果実によって与えられる特定の利点がもたらされ得る。例えば、抗酸化作用が高いことが知られている果実は、その効果が実証されている。濃縮形態、抽出物又は粉末の、ブルーベリー、ザクロ、プラム、クランベリー、ブラックチョークベリー(セイヨウニワトコ)及びブラックエルダーベリーは、サクランボの代わりに使用することができる。一方、それらを、サクランボに加えて使用することもできる。
【0017】
他の成分を加えることで組成物の利点を上げることができると考えられている。コエンザイムQ10を加えることで、心臓疾患、脳疾患及び歯周病に対して助けとなることが示されている。試料の組成は、サクランボ濃縮物1部、エミュー油1部、オメガ3系魚油(医薬品等級/トキシン未含有)1部、認可されている最高級の有機アマニ油1部、及びCoQ10 1部を含有するであろう。味を改良する必要があれば、より多くのサクランボ濃縮物を加えることができる。
【0018】
本発明は、本発明のある特定の実施形態に関して詳細に記載しているが、これは例示の手段であって、限定するものではなく、また添付の特許請求の範囲は、従来技術が容認されるように広範に解釈されるべきであることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エミュー油と加工果実とからなる組成物。
【請求項2】
加工果実が、ブルーベリー、ザクロ、プラム、クランベリー、ブラックチョークベリー(セイヨウニワトコ)、サクランボ及びブラックエルダーベリーからなる群より選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
加工果実が丸ごとのサクランボである請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
サクランボが酸味の強いサクランボである請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
1重量%〜20重量%のエミュー油と、2重量%〜15重量%の果実とからなる請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
クリーム、丸薬、ゼラチン、カプセル、マッサージオイル、ローション、ゲル、シャンプー、セッケン、コンディショナー、スプレー、固形物及び粉末の形態のいずれかである請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
1重量%〜35重量%のエミュー油と、1重量%〜45重量%のサクランボとからなる請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
エミュー油と、丸ごとのサクランボから抽出される少なくとも1種の物質とからなる組成物であって、前記物質が、アントシアニン、メラトニン、フェノール及びフラボノイドからなる群の1種である組成物。

【公表番号】特表2008−508301(P2008−508301A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523806(P2007−523806)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/026782
【国際公開番号】WO2006/015119
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(507028239)
【Fターム(参考)】