説明

エラスターゼ阻害剤並びにそれを含有する化粧品組成物及び医薬品組成物

【課題】日常生活のなかで引き起こされる皮膚の光老化に対する改善予防効果及び治療効果に優れた、安全で安定な、安価な、化粧品組成物及び医薬品組成物に配合して好適な新規なエラスターゼ阻害剤を提供すること。
【解決手段】クヌギ抽出物を有効成分として含有するエラスターゼ阻害剤であり、好ましくは、クヌギ抽出物がクヌギ植物の樹皮を水、水溶性有機溶媒及びこれらの混合溶媒のいずれかの溶媒で抽出して得られるものである。また上記エラスターゼ阻害剤を含有する化粧品組成物及び医薬品組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エラスターゼ阻害剤に関し、詳しくは、日常生活の中で引き起こされる皮膚の光老化に対する改善予防効果及び治療効果に優れた、安全で安定な、安価な、化粧品組成物及び医薬品組成物に配合して好適なエラスターゼ阻害剤に関する。また、そのエラスターゼ阻害剤を含有する化粧品組成物及び医薬品組成物に関する発明も包含する。
【背景技術】
【0002】
老化は年齢や遺伝的要素などの内的因子に加え外的因子の影響が大きいと言われている。特に皮膚の老化は紫外線を浴びることによって進行することから、その防御が重要な課題とされている。紫外線による皮膚の老化を防御するには、紫外線曝露により生じた活性酸素、フリーラジカルなどの消去、活性酸素やサイトカインなどにより誘導されたマトリックスメタロプロテアーゼ活性やエラスターゼ活性の阻害作用が重要であり、そのような作用をもつ化粧料が化粧品業界においては要望されている。紫外線や加齢によって活性化されたエラスターゼは皮膚に存在するエラスチンを分解し、たるみ、しわなどの皮膚の老化に典型的な兆候を示す。従って、エラスターゼ阻害剤は有効な皮膚老化防止剤として利用することが出来る。
【0003】
これに対し、植物の果実やその皮、種子、葉や根茎などから抽出した様々なエラスターゼ阻害剤などが製造され、化粧品、医薬品や食品などへの配合が試みられているが、植物を原料とする場合、その原料の安全性や調達が問題であるという難点があった。
【0004】
植物原料を由来とするエラスターゼ阻害剤としては、シラカバ、ケイヒ、フユボダイジュ、ナツボダイジュ、西洋シナノキ、シナノキ、ビワ、ハマメリスなどの植物(例えば、特許文献1参照。)、ショウキョウ、加水分解アーモンド、ワレモコウ、チョウジ、エイジツ、セイヨウサンザシ、シラカバなどの植物(例えば、特許文献2参照。)、オウゴン、オトギリソウ、ケイヒ、ゲンノショウコ、コンフリー、ボダイジュ、ボタンピなどの植物(例えば、特許文献3参照。)、コウボク、ゴミシ、サイコ、シンイ、トウキ、ボウイ、レンギョウなどの植物(例えば、特許文献4参照。)、グアバ、ガラナ、ローズマリー、オトギリソウ、ボタンピ、ホップ、シャクヤク、ソウハクヒおよびモッカなどの植物(例えば、特許文献5参照。)、ワレモコウ、イタドリ、ハチジョウイタドリ、オオイタドリ、メリッサ、マンネンロウ、ベニバナ、ショウガなどの植物(例えば、特許文献6参照。)、ウコン、セイヨウノコギリソウ、ゼニアオイ、タイム、ヤーコン、ローズヒップ(例えば、特許文献7参照。)、ブルセラ ランシフォリア植物(例えば、特許文献8参照。)、タラウマメキシカーナ植物(例えば、特許文献9参照。)、ラクトゥカインディカ植物(例えば、特許文献10参照。)、ムラサキ科チシャノキ属植物(例えば、特許文献11参照。)、ウマノスズクサ、カラスビシャク、コケモモ、トウリンドウ、ハマスゲ、ハマビシ(例えば、特許文献12参照。)、トルメンチラ、ネズ、レンゲソウなどの植物(例えば、特許文献13参照。)、グレープリーフ、サンショウ、セイヨウナツユキソウなどの植物(例えば、特許文献14参照。)、ラン科植物(例えば、特許文献15参照。)、アブラナ科植物(例えば、特許文献16参照。)、ハマウツボ科植物(例えば、特許文献17参照。)などがある。
【0005】
一方、植物由来の原料としてブナ科コナラ属のクヌギ(Quercus acutissima Carruthers )も知られている。クヌギを由来とする成分が有効に作用する剤としては、抗酸化剤(例えば、特許文献18参照。)、テストステロン5α―レダクターゼ阻害剤(例えば、特許文献19参照。)、SCF結合阻害剤(例えば、特許文献20参照。)、抗菌剤(例えば、特許文献21参照。)、コレステロール低下剤(例えば、特許文献22参照。)、ヒス
タミン遊離抑制剤(例えば、特許文献23参照。)などがある。
【0006】
しかしながら、クヌギ抽出物にエラスターゼ活性を阻害する作用があることは知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−171758号公報
【特許文献2】特開2000−119189号公報
【特許文献3】特開2000−159627号公報
【特許文献4】特開2000−178168号公報
【特許文献5】特開2000−247830号公報
【特許文献6】特開2000−319189号公報
【特許文献7】特開2002−205950号公報
【特許文献8】特開2002−255734号公報
【特許文献9】特開2002−255782号公報
【特許文献10】特開2002−308753号公報
【特許文献11】特開2002−363087号公報
【特許文献12】特開2002−363088号公報
【特許文献13】特開2003−183171号公報
【特許文献14】特開2003−342123号公報
【特許文献15】特開2004−018493号公報
【特許文献16】特開2006−008562号公報
【特許文献17】特開2009−263279号公報
【特許文献18】特開平7−126618号公報
【特許文献19】特開平10−109920号公報
【特許文献20】特開2003−073290号公報
【特許文献21】特開2004−359664号公報
【特許文献22】特開2005−239684号公報
【特許文献23】特開2005−281220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、日常生活の中で引き起こされる皮膚の光老化に対する改善予防効果及び治療効果に優れた、安全で安定な、安価な、化粧品組成物及び医薬品組成物に配合して好適な新規なエラスターゼ阻害剤を提供することにある。また、そのエラスターゼ阻害剤を含有する化粧品組成物及び医薬品組成物を提供することも副次的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記事情に鑑み鋭意研究を行った結果、クヌギ抽出物にエラスターゼ活性を抑制する作用があることを見出し、さらに、この抽出物を化粧品組成物や医薬品組成物に配合したところ、日常生活の中で引き起こされる各種皮膚トラブルの改善予防や治療に関して、顕著な作用を及ぼすことを見出して、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明のエラスターゼ阻害剤はクヌギ抽出物を有効性成分として含有するものである。そして、上記クヌギ抽出物はクヌギ植物の樹皮を水、水溶性有機溶媒及びこれらの混合溶媒のいずれかの溶媒で抽出して得られるものが好適である。さらに、本発明は上記エラスターゼ阻害剤を含有する化粧品組成物及び医薬品組成物でもある。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、日常生活の中で引き起こされる皮膚の光老化に対する改善予防効果及び治療効果に優れた、安全で安定な、安価なエラスターゼ阻害剤を提供できる。そして、このエラスターゼ阻害剤は化粧品組成物及び医薬品組成物に配合して好適であり、この化粧品組成物及び医薬品組成物も、日常生活の中で引き起こされる皮膚の光老化に対する改善予防効果及び治療効果に優れる。
【0012】
さらに、本発明のエラスターゼ阻害剤において、好適に使用するクヌギ樹皮は、生産地で収穫時に大量に廃棄されるクヌギの樹皮であり、原料として入手するための新たな設備も必要なく、容易に入手できる。また、従来の高価な原料を由来とするエラスターゼ阻害剤や、それを含有する化粧品組成物及び医薬品組成物に比べ、大量にかつ低コストで入手できるだけでなく、廃棄物を活用するため環境にも配慮したものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明に使用するクヌギは、ブナ科(Fagaceae)コナラ属クヌギ(Quercus acutissima Carruthers)の幹、枝、葉、根、樹皮、樹液、芽、花、果実、種子などいずれの箇所でも良い。これらの部位の中では、生産地で大量に廃棄されており新たな設備も必要なく容易に入手できることから、特に樹皮が好ましい。以下の説明では特に部位を限定しない限り、総称してクヌギという。本発明のエラスターゼ阻害剤に含有される有効成分はクヌギから抽出したものである。
【0015】
クヌギ抽出物を得るための抽出方法としては特に限定されないが、上記のクヌギから溶媒抽出したものが好ましい。溶媒で抽出するに際しては、クヌギを乾燥させてから用いても、乾燥させることなく用いてもよい。さらに乾燥に関係なくクヌギをそのまま用いても、切断または粉砕などにより細かくしてから用いてもよい。抽出効率の面から乾燥後、粉砕処理を実施することが望ましい。
【0016】
使用する溶媒は、水または水溶性有機溶媒、あるいはこれらの混合溶媒(含水有機溶媒)が好ましい。水溶性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、1,3−ブチレングリコール等の低級アルコール、ベンゼン、エチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトンなどが挙げられる。これらのなかではエタノールが好ましく、特に水との混合溶媒である含水エタノールが特に好ましい。具体的には、エタノール濃度が30〜60%の含水エタノールの溶媒が好適に使用される。
【0017】
溶媒抽出時に用いる装置は特に限定されず、通常のタンクやミキサーを用いてもよく、またソックスレー抽出器などの抽出器を用いてもよい。抽出時の温度や抽出時間も特に限定されない。溶媒抽出後に、濾過、吸着樹脂による処理、活性炭処理等によって不純物を除去してもよい。
【0018】
本発明のエラスターゼ阻害剤の剤型としては、溶媒抽出によって得られた液状抽出物の他に、液状抽出物を減圧乾燥や凍結乾燥等の通常の乾燥方法や濃縮方法等により乾固または濃縮したものであってもよい。また、必要に応じてその効力に影響がない範囲で脱臭、脱色等の精製処理をしてから用いても良く、また適宜賦形剤を用いて顆粒状にする等、使用し易い状態に製剤化されたものを用いればよい。
【0019】
本発明におけるクヌギ抽出物の製造方法の一例を説明する。クヌギの樹皮を細かく切断する。切断した樹皮をタンクに投入し、水または含水有機溶媒(例えば好ましくは含水エタノール)を加えて所定時間攪拌する。その後メッシュにて濾過する。得られたろ液は液状のクヌギ樹皮の溶媒抽出物であり、そのまま本発明のエラスターゼ阻害剤として使用でき
る。さらに、ろ液を減圧凍結乾燥する。得られた乾燥物もクヌギ樹皮の溶媒抽出物であるので、この状態で本発明のエラスターゼ阻害剤として使用してもよい。
【0020】
本発明のエラスターゼ阻害剤には、有効成分である上記クヌギ抽出物以外に、目的に応じて化粧品組成物または医薬品組成物に通常使用されている成分または使用が許容されている成分を、本発明の効果を損なわない範囲内で適宜配合することができる。
【0021】
本発明のエラスターゼ阻害剤を含有する化粧品組成物または医薬品組成物において、有効成分であるクヌギ抽出物の配合量は、化粧品組成物または医薬品組成物の総量を基準として、乾燥固形分換算で0.005wt%(質量%の略称)以上、10wt%以下が効果の発現性や原価の点から考えて好ましい。特に0.005wt%以上、5wt%以下が製品に配合して応用する際に好ましい。
【0022】
本発明のエラスターゼ阻害剤を化粧品組成物または医薬品組成物に配合する際に、エラスターゼ阻害剤とともに配合する他の成分としては、化粧品組成物または医薬品組成物のそれぞれにおいて通常使用できるものなら全て使用でき、効能、効果に応じ適宜選択する。
【0023】
本発明の化粧品組成物の形態は特に限定されるものではないが、例えばクリーム、乳液、化粧水、エッセンス、洗顔料、クレンジング料、パックなどの基礎化粧料、口紅、ファンデーション、アイカラーなどのメイクアップ化粧料、ボディソープ、石鹸、シャンプー、リンス、コンデッショナーなどのトイレタリー製品、毛髪用セット剤などの毛髪用化粧料として用いることができる。
【0024】
上記化粧品組成物には、例えば一般に化粧料で用いられている賦形剤、香料などをはじめ、油脂類、界面活性剤、保湿剤、美白剤、pH調整剤、粘結剤類、多価アルコール類、精油及び香料類、増粘剤、防腐剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、顔料、植物粉砕物及び生薬類、無機塩類及び無機酸類、洗浄剤、乳化剤などの各種化粧料成分を適宜配合することができる。
【0025】
本発明の医薬品組成物の剤型としては特に限定されず、経口投与製剤でも非経口投与製剤のいずれであっても構わない。具体的には、エアゾール剤、液剤、エキス剤、エリキシル剤、カプセル剤(ハードカプセル、ソフトカプセル、マイクロカプセル)、顆粒剤、丸剤、眼軟膏剤、経皮吸収型製剤、懸濁剤、乳剤、坐剤(含膣剤)、散剤、酒精剤、錠剤(素錠、コーティング錠、特殊錠)、シロップ剤、浸剤・煎剤、注射剤(水溶性注射剤、非水溶性注射剤)、貼付剤、チンキ剤、点眼剤、トローチ剤、軟膏剤、パップ剤、芳香水剤、リニメント剤、リモナーデ剤、流エキス剤、ローション剤などが挙げられる。これらの製剤は、製剤技術分野における慣用方法にて製造でき、例えば日本薬局方記載の方法で製造することができる。これらの製剤は、ヒトを含む哺乳動物に対して安全に投与することができるものである。
【0026】
本発明のクヌギ抽出物を含有するエラスターゼ阻害剤は、生物に対する毒性が低い化合物であることから、そのまま、または薬理学的に許容される無毒性かつ不活性の担体等を併用して、ヒトを含む哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、サルなど)、魚類等に対して、医薬品組成物(動物薬含む)として適用することができる。
【0027】
上記薬理学的に許容される担体としては特に限定されず、製剤素材として公知である各種担体物質を使用することができる。上記担体物質としては特に限定されず、例えば、固形製剤においては、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等を挙げることができる。上記担体物質に加えて、更に、防腐剤、着色剤、天然色素、甘味剤等の製剤添加物も必要に応じて用
いることができる。これらの物質として、乳糖、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、カルメロースカルシウム、無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク等が具体的に例示できるが、これらに限られるものではない。
【0028】
液状製剤における上記担体物質としては特に限定されず、例えば、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤等として配合されるもの等を挙げることができる。更に、防腐剤、着色剤、水不溶性レーキ色素、甘味剤等の製剤添加物も必要に応じて用いることができる。これらの物質として、マンニトール、塩化ナトリウム、グルコース、ソルビトール、グリセロール、キシリトール、フルクトース、マルトース、マンノース等の等張化剤、亜硫酸ナトリウム等の安定化剤、ベンジルアルコール、パラヒドロキシ安息香酸メチル等の保存剤等の他、溶解補助剤、無痛化剤やpH調整剤等が具体的に例示できるが、これらに限られるものではない。
【実施例】
【0029】
以下、実施例及び比較例を例示することにより、本発明を具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0030】
試料1 クヌギ抽出物
クヌギの樹皮を乾燥後、細かく粉砕したものを10gビーカーに投入し、50%エタノールの水溶液500mlを加えて24時間攪拌した後、分析用濾紙にて濾過してクヌギ樹皮の溶媒抽出液を得た。この抽出液に含まれるエタノールを減圧下で留去した後、凍結乾燥して得られた乾燥物(2g)をクヌギ抽出物として以下の実施例に供した。
【0031】
・実施例1〜4、比較例1
表1に示す各実施例の濃度となるように、試料1のクヌギ抽出物を0.1mol/Lのトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)で調製し、各試料溶液50μL得た。なお、比較例1の試料溶液は緩衝液のみとした。
【0032】
<エラスターゼ阻害作用の測定>
クヌギ抽出物のエラスターゼ阻害作用は以下の試験により測定した。96ウェルプレートを用いて、上記各試料溶液50μLと20μg/mLの豚膵臓由来エラスターゼ溶液50μL(酵素溶液)を混合した。その後、上記緩衝液で調製した0.4514mg/mLのN−サクシル−Ala−Ala−Ala−p−ニトロアニリド100μLを添加して、37℃で20分反応させた。反応終了後、波長415nmにおける吸光度を測定した。次式に基づき、得られたデータから、エラスターゼ活性(%)を算出した。エラスターゼ活性の数値が小さいほどエラスターゼ阻害作用が大きいことを示す。
【0033】
エラスターゼ活性(%)={1−(C−D)/(A−B)}×100
(式中、Aは「試料無添加、酵素添加時の吸光度」を表し、Bは「試料、酵素ともに無添加時の吸光度」を表し、Cは「試料、酵素ともに添加時の吸光度」を表し、Dは「試料添加、酵素無添加時の吸光度」を表す。なお、試料及び酵素の無添加時は上記緩衝液50μLで代用した。)
【0034】
【表1】

【0035】
表1に示すように、クヌギ抽出物が濃度依存的にエラスターゼ活性を阻害した。
【0036】
以下に、エラスターゼ阻害作用を有する試料1のクヌギ抽出物を含有する化粧品組成物料及び医薬品組成物の実施例を示す。組成は質量%で示す。
【0037】
実施例5 パック
試料1のクヌギ抽出物 0.5
タルク 25.0
プロピレングリコール 6.0
KCl 0.1
香料 適 量
カオリン to 100
【0038】
実施例6 栄養クリーム
試料1のクヌギ抽出物 4.0
ステアリン酸 2.5
ステアリルアルコール 8.0
スクワラン 5.0
オクチルドデカノール 7.0
グリセリルモノステアレート 4.0
防腐剤 適 量
香料 適 量
グリセリン 6.0
ソルビトール 13.0
乳酸カリウム 0.5
精製水 to 100
【0039】
実施例7 リップトリートメント
試料1のクヌギ抽出物 0.1
キャンデリラロウ 12.0
固形パラフィン 8.0
ミツロウ 5.0
カルナバロウ 2.0
ラノリン 14.0
マンニット 15.0
イソプロピルミリステート 10.0
香料 適 量
酸化防止剤 適 量
ヒマシ油 to 100
【0040】
実施例8 乳液
試料1のクヌギ抽出物 5.0
ステアリン酸 2.0
セタノール 2.0
ワセリン 2.0
ラノリンアルコール 1.5
流動パラフィン 9.0
スクワラン 3.5
ソルビトール 10.0
トリエタノールアミン 1.0
プロピレングリコール 5.0
防腐剤 適 量
香料 適 量
精製水 to 100
【0041】
実施例9 栄養クリーム
試料1のクヌギ抽出物 2.0
ステアリン酸 2.0
ステアリルアルコール 8.0
還元ラノリン 2.0
スクワラン 8.0
オクチルドデカノール 6.0
防腐剤 適 量
香料 適 量
プロピレングリコール 5.0
グリセリン 3.0
乳酸 0.3
クエン酸ナトリウム 0.5
精製水 to 100
【0042】
実施例10 スリミングマッサージジェル
試料1のクヌギ抽出物 2.0
グリセリン 60.0
PEG200 14.0
ポリビニルアルコール 0.2
精製水 to 100
【0043】
実施例11 スリミングマッサージソープ
試料1のクヌギ抽出物 5.0
ラウリン酸 10.0
水酸化カリウム 2.8
ヤシ油脂肪酸カリウム液 30.0
エデト酸2ナトリウム 0.15
メチルセルロース 0.5
ラウリン酸アミノプロピルベタイン液 2.0
グリセリン 8.0
香料 適 量
精製水 to 100
【0044】
実施例12 マッサージ用ジェル
試料1のクヌギ抽出物 0.5
カフェイン 0.1
カルボキシビニルポリマー 0.5
ポリビニルアルコール 3.0
グリセリン 35.0
ポリエチレングリコール400 45.0
エタノール 適 量
防腐剤 適 量
精製水 to 100
【0045】
実施例5〜12の各化粧品組成物は通常の化粧料の製造方法に準じて製造した。いずれの化粧料組成物も連用により、たるみ、しわ、しみなどの皮膚の光老化の進行防止または改善が見られた。
【0046】
実施例10 顆粒剤 wt%
試料1のクヌギ抽出物 10.0
デンプン 30.0
乳糖 49.0
結晶セルロース to 100
【0047】
上記の各成分を均一に混合し、常法により作製し顆粒剤とした。1包20mg(クヌギ抽出物2mg)を1日3回食後に服用したところ、一ヶ月経過後にたるみ、しわ、しみなどの皮膚の光老化の進行防止または改善が見られた。
【0048】
実施例11 錠剤 wt%
試料1のクヌギ抽出物 1.0
結晶セルロース 1.5
ビタミンC 20.0
香料 1.3
グアガム 0.06
DKエステル 1.5
粉糖 to 100
【0049】
上記の各成分を均一に混合し、その混合物を常法により作製し1錠500mg(クヌギ抽出物5mg)の錠剤とした。1錠を毎晩就寝前に服用したところ、一ヶ月経過後にたるみ、しわ、しみなどの皮膚の光老化の進行防止または改善が見られた。
【0050】
実施例12 ソフトカプセル剤 wt%
試料1のクヌギ抽出物 3.0
ビタミンE 20.0
小麦胚芽油 15.0
グリセリン脂肪酸エステル 5.0
ミツロウ 2.0
大豆油 to 100
【0051】
上記の各成分を均一に混合し、その混合物を常法によりゼラチン及びグリセリンからなるゼラチン皮膜に充填し、1カプセル100mg(クヌギ抽出物3mg)のソフトカプセルとした。1カプセルを朝晩食後に服用したところ、一ヶ月経過後にたるみ、しわ、しみなどの皮膚の光老化の進行防止または改善が見られた。
【0052】
実施例13 ハードカプセル剤 wt%
試料1のクヌギ抽出物 15.0
デキストリン 24.0
グリセリン脂肪酸エステル 1.0
粉糖 to 100
【0053】
上記の各成分を均一に混合し、その混合物を常法によりゼラチンからなるカプセル容器に充填し、1カプセル50mg(クヌギ抽出物7.5mg)のハードカプセルとした。1カプセルを毎晩就寝前に服用したところ、一ヶ月経過後にたるみ、しわ、しみなどの皮膚の光老化の進行防止または改善が見られた。
【0054】
以上の結果から、クヌギ抽出物は優れたエラスターゼ阻害効果を有し、紫外線による皮膚の光老化を遅らせることが期待できる。これによってクヌギ抽出物を含有する化粧品組成物及び医薬品組成物が、エラスターゼ阻害作用を有し、日常生活の中で引き起こされる各種皮膚トラブルの予防、改善及び治療効果を有するものであることが考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明のエラスターゼ阻害剤は、紫外線による皮膚の光老化を遅らせることができることが期待できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クヌギ抽出物を有効性成分として含有することを特徴とするエラスターゼ阻害剤。
【請求項2】
クヌギ抽出物がクヌギ植物の樹皮を水、水溶性有機溶媒及びこれらの混合溶媒のいずれかの溶媒で抽出して得られるものである請求項1に記載のエラスターゼ阻害剤。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のエラスターゼ阻害剤を含有する化粧品組成物。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のエラスターゼ阻害剤を含有する医薬品組成物。

【公開番号】特開2011−121920(P2011−121920A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282673(P2009−282673)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(306018365)クラシエホームプロダクツ株式会社 (188)
【Fターム(参考)】