説明

エラスターゼ阻害剤

【課題】エラスターゼ阻害剤および該エラスターゼ阻害剤を有効成分として含有する皮膚外用剤又は化粧料を提供すること。
【解決手段】シダ目シシガシラ科(Blechnaceae)ヒリュウシダ属(Blechnum)及びオシダ科(Dryopteridaceae)イノデ属(Polystichum)に属する植物の群から選ばれる一種又は二種以上の植物の抽出物を有効成分とするエラスターゼ阻害剤、及びそれを含有する皮膚外用剤もしくは化粧料。当該エラスターゼ阻害剤は、真皮細胞外マトリックス構成成分であるエラスチンの分解を抑制し、真皮恒常性を維持するため、皮膚弾力性の低下やキメの消失、たるみやくすみといった皮膚外観変化の防止改善に有用である。また、本発明のエラスターゼ阻害剤は、エラスチン線維のエラスターゼによる分解を原因とするアテローム性動脈硬化、リュウマチ性関節炎等などの病態を予防改善するのにも有用である。さらに、エラスターゼは毛包形成に関与している可能性があるので、本発明のエラスターゼ阻害剤は、発毛及び育毛を抑制するのにも有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシダ目シシガシラ科(Blechnaceae)ヒリュウシダ属(Blechnum)及びオシダ科(Dryopteridaceae)イノデ属(Polystichum)に属する植物の群から選ばれる一種又は二種以上から得られた抽出物を有効成分とするエラスターゼ阻害剤及びそれを含有する皮膚外用剤又は化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
エラスチン線維は、ヒト等のほ乳類や魚類などの体内の血管・靭帯・肺・皮膚をはじめとする、ほぼ全身の臓器・組織に分布する細胞外マトリックスの結合組織の線維の一種で、伸縮可能なαへリックス構造が架橋することによって形成され、組織の柔軟性維持に重要な役割を担っていることが知られている。例えば、皮膚は表皮、真皮、皮下組織からなり、表皮は外部の乾燥や異物から体を守り、皮下組織は皮下脂肪等により外部からの衝撃を和らげ、真皮は線維芽細胞及びこれらの細胞の外にあって皮膚構造を支持する真皮細胞外マトリックスによって構成されており、皮膚の構造維持に重要な役割を果たしている。エラスチン線維は、皮膚では乳頭層の最下部で表皮面に平行に走る線維と乳頭層の中ほどの線維(elaunin fiber)、さらにそこから細い終末の線維が出て表皮の基底膜まで垂直に上がるもの(oxytalan fiber)があるとされている。
【0003】
皮膚弾力性の低下やキメの消失、たるみやくすみといった皮膚外観の変化は、加齢による線維芽細胞の増殖能の低下によるエラスチン線維等の産生能の低下が一因とされているが、加齢による影響のみならず若齢であっても、皮膚への紫外線への曝露、空気の著しい乾燥、過度の皮膚洗浄等の外部刺激などが、エラスチン線維の積極的な分解を引き起こし、弾力性の低下やキメの消失、たるみやくすみの原因となるともいわれている。
【0004】
エラスチン線維が分解する一因として、エラスターゼによる分解がある。エラスターゼは好中球に由来しセリンプロテアーゼファミリーに属する分泌型と、線維芽細胞に由来しマトリックスメタロプロテアーゼファミリーに属する膜型の2種がある。好中球は紫外線照射などによる炎症時に真皮に浸潤しエラスターゼを分泌することによってエラスチンを分解する。また、線維芽細胞由来の膜型エラスターゼも紫外線照射やIL-1α等のサイトカイン刺激によって発現亢進することが知られており(例えば、非特許文献1)、これら発現亢進されたエラスターゼが真皮細胞外マトリックスの生合成分解バランスを乱し、皮膚弾力性の低下やキメの消失、たるみやくすみの一因となると考えられる。
【0005】
従って、真皮におけるエラスターゼの作用を阻害し、エラスチン線維の分解を防止することが、しわやたるみ等の肌の外観変化防止に有効であるとされ、例えば、ブルセラ ランシフォリア抽出物(例えば、特許文献1)、スイートピーの花の抽出物(例えば、特許文献2)、アイスランドモスの抽出物(例えば、特許文献3)、マンネンタケの抽出物(例えば、特許文献4)等、植物・真菌抽出物などを有効成分として含有するエラスターゼ活性阻害剤が提案されている。しかしながらいずれも安全性、安定性、効果、価格の全ての面で必ずしも十分であるとはいえなかった。
【0006】
一方、従来より植物由来の成分は、安全性が良好であることから、皮膚外用剤、化粧料、食品及び医薬品等の薬効成分として種々利用されている。シダ目シシガシラ科(Blechnaceae)ヒリュウシダ属(Blechnum)及びオシダ科(Dryopteridaceae)イノデ属(Polystichum)に属する植物から得られた抽出物についても、皮膚外用剤又は化粧料等への利用や抗酸化剤としての利用(例えば、特許文献5)細胞賦活剤としての利用(例えば、特許文献6)、美白剤としての利用(例えば、特許文献7)、抗炎症剤としての利用(例えば、特許文献8)などが種々提案されている。しかし当該植物のエラスターゼ阻害効果に関してはこれまでに開示されていなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「機能性化粧品素材開発のための実験法」 シーエムシー出版
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−255734号公報
【特許文献2】特開2006−282617号公報
【特許文献3】特開2007−302607号公報
【特許文献4】特開2005−23021号公報
【特許文献5】特開2005−232131号公報
【特許文献6】特開2003−321377号公報
【特許文献7】特開2003−095910号公報
【特許文献8】特開2009−215251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は良好なエラスターゼ阻害効果を有すると共に、安全性、安定性に優れたエラスターゼ阻害剤及びそれを含有する皮膚外用剤又は化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は様々な植物抽出物を鋭意検討した結果、シダ目シシガシラ科(Blechnaceae)ヒリュウシダ属(Blechnum)及びオシダ科(Dryopteridaceae)イノデ属(Polystichum)に属する植物の抽出物に顕著なエラスターゼ阻害効果を見出し、本発明を完成させた。
【0011】
すなわち本発明はシダ目シシガシラ科(Blechnaceae)ヒリュウシダ属(Blechnum)及びオシダ科(Dryopteridaceae)イノデ属(Polystichum)に属する植物の群から選ばれる一種又は二種以上の抽出物を有効成分とするエラスターゼ阻害剤、およびそれを含有する皮膚外用剤又は化粧料を提供する。
又、本発明の一態様として、前記シシガシラ科(Blechnaceae)ヒリュウシダ属(Blechnum)に属する植物が、ブレクナム フルヴィアタイル(Blechnum fluviatile)及びブレクナムディスカラー(Blechnum discolor)から選ばれる植物であり、前記オシダ科(Dryopteridaceae)イノデ属(Polystichum)に属する植物が、ポリスティキューム ヴェスティタム(Polystichum vestitum)である上記エラスターゼ阻害剤が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明のエラスターゼ阻害剤は、真皮細胞外マトリックス構成成分であるエラスチンの分解を抑制し、真皮恒常性を維持するので、皮膚弾力性の低下やキメの消失、たるみやくすみといった皮膚外観変化の防止改善に有用である。また、本発明のエラスターゼ阻害剤は、エラスチン線維のエラスターゼによる分解を原因とする病態や状態を予防改善するのに有用である。例えば、肺気腫、アテローム性動脈硬化、リュウマチ性関節炎等、皮膚の弾力が減退または消失し、しわやたるみが生じるとともに肺気腫、大動脈瘤、腸管拡張症などを引き起こす一連の症候群である皮膚弛緩症、及び主に日光に連続曝露された部位において、外観所見でなめし皮様の皮膚肥厚、深いしわ、黄変色などが認められる日光弾性線維症等の一連の皮膚疾患等の予防、治療等に有用である。さらに、エラスターゼは毛包形成に関与している可能性があるので、本発明のエラスターゼ阻害剤を含有する皮膚外用剤又は化粧料は、発毛及び育毛を抑制する皮膚外用剤又は化粧料としても有用である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、「〜」はその前後の数値を含む範囲を意味するものとする。
本発明は、シダ目シシガシラ科(Blechnaceae)ヒリュウシダ属(Blechnum)及びオシダ科(Dryopteridaceae)イノデ属(Polystichum)に属する植物の群から選ばれる一種又は二種以上の抽出物を有効成分とするエラスターゼ阻害剤に関する。前記シシガシラ科(Blechnaceae)ヒリュウシダ属(Blechnum)に属する植物としては、例えば、ブレクナム カペンセ(Blechnum capnse)、ブレクナム ディスカラー(Blechnum discolor)、ブレクナム プロセラム(Blechnum procerum)、ブレクナム フルヴィアタイル(Blechnum fluviatile)、ブレクナム モンタナム(Blechnum montanum)、ブレクナム デュラム(Blechnum durum)、ブレクナムアマバイル(Blechnum amabile)、ブレクナム バチエニイ(Blechnum buchtienii)、ブレクナム カスタニュウム(Blechnum castaneum)、ブレクナム コレンソイ(Blechnum colensoi)、ブレクナム サイカディフォリウム(Blechnum cycadifolium)、ブレクナム ハンコッキイ(Blechnum hancockii)、ブレクナム ハステイタム(Blechnum hastatum)、ブレクナム インディキューム(Blechnumindicum)、ブレクナム ニグラム(Blechnum nigrum)、ブレクナム ナイポニクム(Blechnum niponicum)、ブレクナム オリエンテール(Blechnum orientale)等が挙げられる。より好ましくは、ブレクナム ディスカラー(Blechnum discolor)、ブレクナム フルヴィアタイル(Blechnum fluviatile)の抽出物が好ましい。
【0014】
又、本発明に用いられる前記オシダ科(Dryopteridaceae)イノデ属(Polystichum)に属する植物としては、例えば、ポリスティキューム ヴェスティタム(Polystichum vestitum)、ポリスティキューム ポリブレップバラム(Polystichum polyblepbarum)、ポリスティキューム フィブリロソパレアセウム(Polystichum fibrillosopaleaceum)、ポリスティキューム ロンジフロンス(Polystichum longifrons)、ポリスティキューム オーバエ(Polystichum obae)、ポリスティキューム ロンチティス(Polystichum lonchitis)、ポリスティキューム エキシミウム(Polystichum eximium)、ポリスティキューム アトキンソニイ(Polystichum atkinsonii)、ポリスティキューム ピセオパレアセウム(Polystichum piceopaleaceum)等が挙げられる。より好ましくは、ポリスティキューム ヴェスティタム(Polystichum vestitum)の抽出物が好ましい。
【0015】
本発明に用いられる前記シダ植物抽出物は、一般的な方法で調製することがきる。抽出部位についても特に制限はなく、前記シダ植物の根、茎、幹、葉、胞子等のいずれの部分の抽出物であってもよいし、二箇所以上の部分から得られた抽出物を混合して用いてもよく、あるいは二箇所以上の部分から異なる溶媒により抽出された抽出物を二種以上混合して用いてもよい。
【0016】
前記シダ植物抽出物は、根、茎、幹、葉もしくは胞子などの一箇所又は二箇所以上を、適当な溶媒によって抽出することによって得られる。これらの部分に乾燥、細切、圧搾又は醗酵等の処理を適宜に施した後,抽出処理を行なってもよい。抽出は、前記シダ植物を低温ないし加温下で溶媒中に所定の時間浸漬することによって実施できる。
抽出溶媒としては特に限定されないが、例えば、水;メタノール、エタノール等の低級一価アルコール;グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の液状多価アルコール;アセトン等のケトン類;エチルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル等のエステル類;等の一種又は二種以上を用いることができる。なかでも水と低級アルコールの混合物を用いるのが好ましい。
【0017】
前記シダ植物抽出物は、そのままエラスターゼ阻害剤として用いることができる。また、所望により、適宜の期間そのまま放置し熟成させた後に用いることもできる。必要ならば、本発明の効果に影響のない範囲で、更に、濾過又はイオン交換樹脂等により、脱臭、脱色等の精製処理を施して用いることもできる。又、液体クロマトグラフィー等の分離手段を用い、活性の高い画分を取り出して用いることもできる。
【0018】
前記シダ植物抽出物の好ましい抽出方法の例としては、濃度0〜100vol%の含水エタノールを溶媒として用い、室温で、又は加温して1〜5日間抽出を行った後、濾過し、得られた濾液を更に一定期間静置して熟成させ、再び濾過を行う方法が挙げられる。但し、抽出法はこれに限定されるものではない。
【0019】
前記シダ植物抽出物は、その形態については特に制限はなく、液状、ペースト状、ゲル状等いずれの形態であってもよい。又、抽出溶媒を含む液状の抽出物を、減圧乾燥、又は凍結乾燥などにより乾固させて固体状とした後に用いることもできる。あるいは、スプレードライ等により乾燥させて粉末として用いることもできる。さらに、抽出物をそのままあるいは固化させた後に適当な組成の溶媒に溶解あるいは希釈して用いても良い。
【0020】
本発明のエラスターゼ阻害剤における阻害活性としては、エラスターゼとその基質タンパク質であるエラスチン線維との結合を阻害するなど、エラスターゼの作用を阻害する活性をいい、上記エラスターゼとしては、ヒト等のほ乳類や魚類の体内の血管・靭帯・肺・皮膚をはじめとする、ほぼ全身の臓器・組織に分布する細胞外マトリックスの結合組織のエラスチン線維の分解活性を有するものであれば特に制限されず、例えば、ほ乳動物の結合組織から抽出したエラスターゼや、ヒトの真皮細胞外マトリックスに存在するエラスターゼを挙げることができ、具体的には、白血球に由来するエラスターゼ(EC3.4.21.37)や、膵臓に由来するエラスターゼ(EC3.4.21.36)を例示することができる。また、本発明のエラスターゼ阻害剤における阻害活性の程度としては、N−サクシニル−Ala−Ala−Ala−p−ニトロアニリドを基質とした以下の方法において、エラスターゼ活性阻害率が、20%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは35%以上の阻害活性を具体的に例示することができる。
【0021】
上記エラスターゼ活性阻害率を算出する方法としては、基質としてN−サクシニル−Ala−Ala−Ala−p−ニトロアニリドを用い、エラスターゼ酵素が該基質に作用するとニトロアニリンを遊離して発色し、波長405nmにおける吸光度が上昇するが、エラスターゼの酵素活性が阻害されると遊離ニトロアニリン量が低下して該吸光度が低下する性質を利用する方法があげられる。
【0022】
本発明のエラスターゼ阻害剤は、エラスチン線維のエラスターゼによる分解を原因とする状態を改善する手段として用いられる用途、例えば、皮膚外用剤や化粧料、肺気腫、アテローム性動脈硬化、リュウマチ性関節炎等の治療・予防剤、皮膚の弾力が減退または消失し、しわやたるみが生じるとともに肺気腫、大動脈瘤、腸管拡張症などを引き起こす一連の症候群である皮膚弛緩症、及び主に日光に連続曝露された部位において、外観所見でなめし皮様の皮膚肥厚、深いしわ、黄変色などが認められる日光弾性線維症等の一連の皮膚疾患等の治療・予防剤等の医薬品などの用途に用いることができるが、皮膚外用剤(医薬部外品を含む)や化粧料をその用途として特に好適に例示することができる。
【0023】
本発明のエラスターゼ阻害剤の皮膚外用剤又は化粧料中への含有割合としては、本発明の効果が奏される限り特に制限されないが、製剤中での安定性等の観点から、好ましくは乾燥固形分の質量%(以下単に「%」で示す)で0.00002%〜0.1%、さらに好ましくは0.0002%〜0.02%である。
又、溶液として抽出物を使用する場合は、溶質である乾燥固形分の含有量が上記範囲内であれば、その抽出液濃度は何ら限定されるものではない。
【0024】
本発明のエラスターゼ阻害剤を医薬品、皮膚外用剤、化粧料等として調製するに際しては、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、希釈剤、緩衝剤、等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解補助剤等の医薬品添加物と適宜混合、希釈又は溶解して配合してもよく、かかる剤型としては、軟膏、外用液剤、貼付剤、乳液、ローション、溶液、ゲル等の剤型やパック、パウダー、スティック等を挙げることができ、また、治療目的に応じて非経口的又は経口的に用いることができる。
【0025】
さらに、本発明のエラスターゼ阻害剤は、通常皮膚外用剤又は化粧料に配合される成分として、以下の油性成分、粉体成分、界面活性剤、水性成分、酸化防止剤、防腐剤、皮膚老化防止に効果があるといわれている化合物、紫外線吸収剤、紫外線防御剤、抗炎症剤成分から選択される1種又は2種以上を本発明の効果を妨げない範囲で適宜配合することで、本発明のエラスターゼ阻害剤を含有する皮膚外用剤ないし化粧料を調整することが出来る。
【0026】
本発明の皮膚外用剤又は化粧料に配合される油性成分としては、皮膚外用剤又は化粧料に一般に用いられる油性成分であれば特に制限されず、例えば、動物油、植物油、合成油等を起源とする炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類などを挙げることができ、具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリエチレンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー、パラフィンワックス、モンタンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリイソブチレン、ポリブテン、セレシンワックス、オゾケライトワックス等の炭化水素類、モクロウ、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、ゲイロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス等のロウ類、ホホバ油、2−エチルヘキサン酸セチル、乳酸イソステアリル、乳酸オクチルドデシル、乳酸オレイル、乳酸ステアリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、フィトステロール脂肪酸エステル、トリグリセライド等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、高重合度メチルフェニルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、架橋型ポリエーテル変性メチルポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、ステアリル変性メチルポリシロキサン、オレイル変性メチルポリシロキサン、ベヘニル変性メチルポリシロキサン、ポリビニルピロリドン変性メチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキルメチルポリシロキサン・メチルポリシロキサン共重合体、アルコキシ変性ポリシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、オクタン酸デキストリン、ラウリン酸デキストリン、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、ベヘニン酸デキストリン、ヤシ油脂肪酸デキストリン、(パルミチン酸/オクタン酸)デキストリン、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カリウム、12−ヒドロキシステアリン酸等の油性ゲル化剤類などを挙げることができる。
【0027】
また、本発明の皮膚外用剤又は化粧料に配合することができる粉体としては、皮膚外用剤又は化粧料に一般に用いられる粉体であれば、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に制限されず、例えば、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等を挙げることができ、具体的には、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、チタン・酸化チタン焼結物、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、無水ケイ酸、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、
紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の光輝性粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいはさらにアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体などを挙げることができる。
【0028】
また、本発明の皮膚外用剤又は化粧料に配合することができる界面活性剤としては、皮膚外用剤又は化粧料に一般に用いられる界面活性剤であれば特に制限されず、例えば、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を挙げることができ、具体的には、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレンアルキル共変性オルガノポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、レシチン等を挙げることができる。
【0029】
また、本発明の皮膚外用剤又は化粧料に配合される水性成分としては、皮膚外用剤又は化粧料に一般に用いられる水及び水に可溶な成分であれば特に制限されず、例えば、低級アルコール、グリコール類、グリセロール類、植物抽出液、水溶性高分子等を挙げることができ、具体的には、水、エタノール、ブチルアルコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、アルキル付加カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等を挙げることができる。
【0030】
さらに、本発明の皮膚外用剤又は化粧料に配合することのできる酸化防止剤としては、例えば、α−トコフェロール、アスコルビン酸等を挙げることができ、防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等を挙げることができるが、皮膚外用剤又は化粧料に一般に用いられる酸化防止剤や防腐剤であれば特に制限されない。
【0031】
なお、本発明のエラスターゼ阻害剤に加えて、皮膚老化防止に効果があるといわれている化合物を配合することが、肌のしわ、たるみ、ざらつきなどの外観変化を防止するために相乗効果が期待できる点から望ましい。かかる皮膚老化防止剤としては、皮膚外用剤又は化粧料に一般に用いられる皮膚老化防止剤であれば特に制限されず、例えば、レチノール、レチノイン酸、コエンザイムQ10、スーパーオキサイドディスムターゼ、マンニトール、クエルセチン、カテキン及びその誘導体、ルチン及びその誘導体、ボタンピ抽出物、ヤシャジツ抽出物、メリッサ抽出物、羅漢果抽出物、カロチノイド等のビタミンA類、チアミン及びその誘導体、リボフラビン及びその誘導体、ピリドキシン及びその誘導体、ニコチン酸及びその誘導体等のビタミンB類、トコフェロール及びその誘導体等のビタミンE類、ジブチルヒドロキシトルエン並びにブチルヒドロキシアニソールを挙げることができる。
【0032】
また、本発明のエラスターゼ活性阻害剤に加えて、紫外線防御剤を配合することが、紫外線によるエラスチン繊維の分解を防ぐ点で好ましい。紫外線防御剤としては、皮膚外用剤又は化粧料に一般に用いられる紫外線防御剤であれば特に制限されず、例えばベンゾフェノン系化合物、PABA系化合物、ケイ皮酸系化合物、サリチル酸系化合物、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、p−メトキシ桂皮酸−2−エチルへキシル、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸ナトリウム、2−フェニル−ベンズイミダゾール−5−硫酸、酸化チタン、酸化亜鉛を挙げることができる。
【0033】
さらに、本発明のエラスターゼ活性阻害剤に加えて、抗炎症剤を配合することが、皮膚、特に真皮の炎症を抑えて、エラスターゼ活性を低下させるために望ましい。かかる抗炎症剤としては、皮膚外用剤又は化粧料に一般に用いられる抗炎症剤であれば特に制限されず、例えば、アラントイン、イオウ及びその誘導体、グリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体、アルテア抽出物、アシタバ抽出物、アルニカ抽出物、インチンコウ抽出物、イラクサ抽出物、オウバク抽出物、オトギリソウ抽出物、カミツレ抽出物、キンギンカ抽出物、クレソン抽出物、コンフリー抽出物、サルビア抽出物、シコン抽出物、シソ抽出物、シラカバ抽出物、ゲンチアナ抽出物を挙げることができる。
【実施例】
【0034】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に制限されるものではない。
[製造例1]ブレクナム ディスカラー抽出物の製造
シダ目シシガシラ科(Blechnaceae)ヒリュウシダ属(Blechnum)ブレクナム ディスカラー(Blechnum discolor)の葉および茎の混合物100gを細切し、これに80%含水エタノール2Lを加えて室温または加熱して1日間抽出を行った。抽出液を濾過後濃縮し、エタノール濃度を20%に調整した後に冷所に1週間静置し生じた沈殿を取り除いた。その後、活性炭を用いて濾過を行い、溶媒を留去して乾固し、固形分であるブレクナム ディスカラー抽出物を得た。収量は3gであった。
[製造例2]ブレクナム フルヴィアタイル抽出物の製造
シダ目シシガシラ科(Blechnaceae)ヒリュウシダ属(Blechnum)ブレクナム フルヴィアタイル(Blechnum fluviatile)の葉および茎の混合物100gを細切し、これに50%含水エタノール2Lを加えて室温または加熱して1日間抽出を行った。抽出液を濾過後濃縮し、エタノール濃度を20%に調整した後に冷所に1週間静置し生じた沈殿を取り除いた。その後、活性炭を用いて濾過を行い、溶媒を留去して乾固し、固形分であるブレクナム フルヴィアタイル抽出物を得た。
[製造例3]ポリスティキューム ヴェスティタム抽出物の製造
シダ目オシダ科(Dryopteridaceae)イノデ属(Polystichum)ポリスティキューム ヴェスティタム(Polystichum vestitum)の葉および茎の混合物100gを細切し、これに50%含水エタノール2Lを加えて室温または加熱して1日間抽出を行った。抽出液を濾過後濃縮し、エタノール濃度を20%に調整した後に冷所に1週間静置し生じた沈殿を取り除いた。その後、活性炭を用いて濾過を行い、溶媒を留去して乾固し、固形分であるポリスティキューム ヴェスティタム抽出物を得た。
【0035】
実施例1
<エラスターゼ活性阻害効果評価試験>
製造例1で得られたブレクナム ディスカラー抽出物について、エラスターゼ活性阻害試験を行った。酵素のエラスチン認識部位を模した合成基質としては、N−サクシニル−Ala−Ala−Ala−p−ニトロアニリド(SIGMA社製)を用い、エラスターゼとしては、豚膵臓由来のエラスターゼ酵素(SIGMA社製)を用いた。製造例1で得られたブレクナム ディスカラー抽出物を50%エタノール水溶液を用いて800μg/mlおよび80μg/mlとなるように試料溶液を調製した。上記N−サクシニル−Ala−Ala−Ala−p−ニトロアニリドを、ジメチルスルフォキサイド(DMSO)に溶解し、0.1mol/L濃度の溶液とした後、0.05mol/LTris−HCL(pH8.8)緩衝液で希釈し、1mmol/L濃度の基質溶液として調製した。また、上記豚膵臓由来のエラスターゼ酵素は、0.05mol/LTris−HCL(pH8.8)で希釈し、0.05units/mL濃度の酵素溶液として調製した。
【0036】
上記試料溶液50μLと上記基質溶液100μLとを混合した後、上記酵素溶液50μLを添加し、37℃にて30分間反応させた。反応系における試料溶液の最終濃度はそれぞれ200μg/mlおよび20μg/mlであった。分光光度計(BIO−TEK INSTRUMENTS社製)により波長405nmにおける吸光度を測定し、生成したニトロアニリン量を定量して、以下の式に示すように、試料未添加の場合の吸光度を100%とした相対値でエラスターゼ活性阻害率を算出した。
エラスターゼ活性阻害率={1−(A−B)/(C−D)}×100
A:基質溶液と試料溶液とを混合した混合液に酵素溶液を添加した後30分経過時の該混合液の波長405nmにおける吸光度
B:基質溶液と試料溶液とを混合した混合液の波長405nmにおける吸光度
C:試料溶液の代わりに、該溶液の溶媒を基質溶液と上記割合で混合した後、酵素溶液を添加した時の混合液の波長405nmの吸光度
D:試料溶液も酵素溶液も添加していない、基質溶液の波長405nmの吸光度
一般的なプロテアーゼ阻害剤として使用されるプロテアーゼインヒビターカクテルを比較対照とし、最終濃度1000μg/ml、500μg/mlにおいて同様に試験した。
結果を下記表1に示す。
【0037】
【表1】

【0038】
表1に示すように、ブレクナム ディスカラー抽出物はエラスターゼ阻害効果を示し、一般的なプロテアーゼ阻害剤であるプロテアーゼインヒビターカクテルよりも高いものであった。
また、同様に製造例2のブレクナム フルヴィアタイル抽出物、製造例3のポリスティキューム ヴェスティタム抽出物について測定を行うと、同様のエラスターゼ阻害効果が得られる。
【0039】
実施例2:化粧水(1)
(成分) (質量%)
(1)グリセリン 5.0
(2)1,3−ブチレングリコール 6.5
(3)ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン
モノラウリン酸エステル 1.2
(4)エタノール 8.0
(5)製造例1のブレクナム ディスカラー抽出物 0.0002
(6)乳酸 0.05
(7)乳酸ナトリウム 0.1
(8)パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル 3.0
(9)防腐剤 適量
(10)香料 適量
(11)精製水 残量
【0040】
(製造方法)
A:成分(3)、(4)及び(8)〜(10)を混合溶解した。
B:成分(1)、(2)、(5)〜(7)及び(11)を混合溶解した。
C:AにBを添加し混合して、化粧水を得た。
【0041】
実施例3:水中油型乳液(1)
(成分) (質量%)
(1)ポリオキシエチレン(10E.O.)ソルビタン
モノステアレート 1.0
(2)ポリオキシエチレン(60E.O.)ソルビット
テトラオレエート 0.5
(3)グリセリルモノステアレート 1.0
(4)ステアリン酸 0.5
(5)ベヘニルアルコール 0.5
(6)スクワラン 8.0
(7)製造例2のブレクナム フルヴィアタイル抽出物 0.002
(8)防腐剤 0.1
(9)カルボキシビニルポリマー 0.1
(10)水酸化ナトリウム 0.05
(11)エタノール 5.0
(12)精製水 残量
(13)香料 適量
【0042】
(製造方法)
A:成分(8)〜(9)を成分(12)に添加し膨潤後、成分(7)及び(10)を添加し混合して、70℃に加温し水相を調製した。
B:成分(1)〜(6)を70℃に加温した。
C:にBを添加し乳化した。
D:Cを室温まで冷却後、成分(11)及び(13)を添加し混合して、乳液を得た。
【0043】
実施例4:洗顔料
(成分) (質量%)
(1)ラウリン酸 5.0
(2)ミリスチン酸 18.5
(3)ステアリン酸 6.0
(4)グリセリン 12.0
(5)ポリエチレングリコール1500 5.0
(6)水酸化カリウム 6.5
(7)精製水 残量
(8)ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 5.0
(9)ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 1.8
(10)ポリオキシエチレン(7.5E.O.)ラウリルエーテル 2.0
(11)ジステアリン酸エチレングリコール 1.0
(12)ヒドロキシプロピルメチルセルロース1%水溶液 5.0
(13)製造例1のブレクナム ディスカラー抽出物 0.00002
(14)香料 適量
【0044】
(製造方法)
A:成分(1)〜(7)及び(13)を加熱溶解した。
B:成分(8)〜(11)を加熱溶解した。
C:AにBを添加し混合した。
D:Cを冷却後、成分(12)、(14)を添加し混合して、洗顔料を得た。
【0045】
実施例5:化粧水(2)
(成分) (質量%)
(1)クエン酸 0.05
(2)クエン酸ナトリウム 0.2
(3)ピロリドンカルボン酸ナトリウム(50%)液 0.5
(4)グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
(5)グリセリン 3.0
(6)1,3−ブチレングリコール 8.0
(7)精製水 残量
(8)エタノール 10.0
(9)製造例3のポリスティキューム ヴェスティタム抽出物 0.002
(10)香料 適量
(11)防腐剤 適量
(12)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 0.5
【0046】
(製造方法)
A:成分(1)〜(6)を混合溶解した。
B:成分(7)〜(12)を混合溶解した。
C:AにBを添加し混合して、化粧水を得た。
【0047】
実施例6:水中油型乳液(2)
(成分) (質量%)
(1)ステアリン酸 1.0
(2)セタノール 0.5
(3)親油型モノステアリン酸グリセリン 0.5
(4)流動パラフィン 2.0
(5)スクワラン 3.0
(6)ホホバ油 3.0
(7)パルミチン酸セチル 0.2
(8)パルミチン酸レチノール 0.2
(9)酢酸トコフェロール 0.05
(10)防腐剤 適量
(11)モノステアリン酸ソルビタン 0.3
(12)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 0.5
(13)ジブチルヒドロキシトルエン 0.1
(14)トリエタノールアミン 0.5
(15)1,3−ブチレングリコール 15.0
(16)グリセリン 3.0
(17)ポリエチレングリコール6000 0.5
(18)製造例1のブレクナム ディスカラー抽出物 0.02
(19)精製水 残量
(20)カルボキシビニルポリマー1%水溶液 8.0
(21)香料 適量
【0048】
(製造方法)
A:成分(1)〜(13)を加熱溶解し、70℃に保った。
B:成分(14)〜(19)を加熱溶解し、70℃に保った。
C:AにBを添加し乳化して、さらに成分(20)を添加し混合した。
D:Cを冷却後、成分(21)を添加し混合して、乳液を得た。
【0049】
実施例7:クリーム
(成分) (質量%)
(1)ステアリン酸 2.5
(2)セタノール 2.5
(3)親油型モノステアリン酸グリセリン 2.0
(4)ワセリン 2.0
(5)ジペンタエリトリット脂肪酸エステル 2.0
(6)ミリスチン酸イソトリデシル 5.0
(7)流動パラフィン 8.0
(8)スクワラン 5.0
(9)ミツロウ 1.0
(10)パルミチン酸セチル 2.0
(11)セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
(12)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 1.5
(13)コエンザイムQ10 0.1
(14)防腐剤 適量
(15)トリエタノールアミン 1.2
(16)1,3−ブチレングリコール 8.0
(17)グリセリン 2.0
(18)ポリエチレングリコール20000 0.5
(19)製造例1のブレクナム ディスカラー抽出物 0.2
(20)精製水 残量
(21)カルボキシビニルポリマー1%水溶液 10.0
(22)香料 適量
【0050】
(製造方法)
A.成分(1)〜(14)を加熱溶解し、70℃に保った。
B.成分(15)〜(20)を加熱溶解し、70℃に保った。
C.AにBを添加し乳化して、さらに成分(21)を添加し混合した。
D.Cを冷却後、成分(22)を添加し混合して、クリームを得た。
【0051】
実施例8:油中水型日焼け止めクリーム
(成分) (質量%)
(1)ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン(注1) 2.0
(2)パルミチン酸オクチル 15.0
(3)デカメチルシクロペンタシロキサン 20.0
(4)トリベヘン酸グリセリル 1.0
(5)微粒子酸化亜鉛 12.0
(6)微粒子酸化チタン 3.0
(7)パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル(注2) 7.0
(8)4−tertブチル−4’−メトキシ
ジベンゾイルメタン(注3) 1.0
(9)ジプロピレングリコール 5.0
(10)エタノール 5.0
(11)ポリエチレン末 3.0
(12)防腐剤 適量
(13)香料 適量
(14)製造例2のブレクナム フルヴィアタイル抽出物 0.002
(15)精製水 残量
(注1):KF−6017(信越化学工業社製)
(注2):ユビナールMC80(BASF社製)
(注3):PARSOL 1789(L.C.UNITED社製)
【0052】
(製造方法)
A:成分(1)〜(8)を70℃で加熱混合した。
B:成分(9)〜(12)及び(14)〜(15)を50℃で加温混合した。
C:AにBを添加し乳化して、冷却後成分(13)を添加し混合して、油中水型日焼け止めクリームを得た。
【0053】
実施例9:パック化粧料
(成分) (質量%)
(1)ポリビニルアルコール 15.0
(2)グリセリン 10.0
(3)ポリオキシエチレン(10)メチルグルコール 3.0
(4)トリオクタン酸グリセリル 5.0
(5)ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸ナトリウム 1.0
(6)エタノール 20.0
(7)カオリン 2.0
(8)酸化チタン 2.0
(9)グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
(10)乳酸(50%水溶液) 0.5
(11)乳酸ナトリウム(50%水溶液) 0.5
(12)防腐剤 適量
(13)香料 適量
(14)製造例3のポリスティキューム ヴェスティタム抽出物 0.02
(15)精製水 残量
【0054】
(製造方法)
A:成分(1)〜(5)及び(15)を70℃で加熱混合し、室温まで冷却した。
B:Aに成分(6)〜(14)を添加し混合して、パック化粧料を得た。
【0055】
実施例10:リキッドファンデーション
(成分) (質量%)
(1)ジペンタエリトリット脂肪酸エステル 2.0
(2)流動パラフィン 5.0
(3)ステアリン酸 2.0
(4)セタノール 1.0
(5)自己乳化型モノステアリン酸グリセリル 1.0
(6)パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 8.0
(7)防腐剤 適量
(8)グリセリン 5.0
(9)トリエタノールアミン 1.0
(10)カルボキシメチルセルロース 0.2
(11)ベントナイト 0.5
(12)精製水 残量
(13)酸化チタン 6.0
(14)微粒子酸化チタン 2.0
(15)微粒子酸化亜鉛 4.0
(16)マイカ 2.0
(17)タルク 4.0
(18)着色顔料 適量
(19)製造例1のブレクナム ディスカラー抽出物 0.00002
(20)香料 適量
【0056】
(製造方法)
A:成分(1)〜(7)を70℃で加熱混合し、この混合物に成分(13)〜(18)を添加し混合して70℃に保った。
B:成分(8)〜(12)を70℃で加熱混合した。
C:BにAを添加し乳化して、冷却後、成分(19)、(20)を添加し混合して、リキッドファンデーションを得た。
【0057】
上記で調製した種々の化粧料は、いずれも経時安定性に優れ、皮膚に適用することにより、肌のしわやたるみを改善し、張りのある美しい肌にする、老化防止効果に優れたものである。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明によれば、植物由来の安全性の良好なエラスターゼ阻害剤、及びそれを含有する皮膚外用剤又は化粧料を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シダ目シシガシラ科(Blechnaceae)ヒリュウシダ属(Blechnum)及びオシダ科(Dryopteridaceae)イノデ属(Polystichum)に属する植物の群から選ばれる一種又は二種以上の植物の抽出物を有効成分とするエラスターゼ阻害剤。
【請求項2】
前記シシガシラ科(Blechnaceae)ヒリュウシダ属(Blechnum)に属する植物が、ブレクナム フルヴィアタイル(Blechnum fluviatile)及びブレクナム ディスカラー(Blechnum discolor)から選ばれる植物である請求項1に記載のエラスターゼ阻害剤。
【請求項3】
前記オシダ科(Dryopteridaceae)イノデ属(Polystichum)に属する植物が、ポリスティキューム ヴェスティタム(Polystichum vestitum)である請求項1に記載のエラスターゼ阻害剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のエラスターゼ阻害剤を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のエラスターゼ阻害剤を含有することを特徴とする化粧料。

【公開番号】特開2012−167026(P2012−167026A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26681(P2011−26681)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】